JP2013180277A - 逆浸透膜処理用スケール防止剤および逆浸透膜処理におけるスケール生成防止方法 - Google Patents

逆浸透膜処理用スケール防止剤および逆浸透膜処理におけるスケール生成防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】逆浸透膜処理におけるスケール生成を防止する技術において、十分な高いスケール防止効果を持ち、かつ、近年の排水規制にも十分適応可能な新規な技術を提供すること。
【解決手段】分子量が400以上のホスホン酸と、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体と、を少なくとも含有する逆浸透膜処理用スケール防止剤を提供する。本発明によれば、逆浸透膜処理におけるスケール生成を防止する方法において、優れたスケール防止効果を保ちつつ、排水中のリン濃度を減少することが可能であるため、近年の排水規制にも十分の適応可能で高性能な逆浸透膜処理を行うことが可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、逆浸透膜処理用スケール防止剤に関する。より詳しくは、特定の分子量を有する成分を組み合わせることで優れたスケール防止効果を発揮する逆浸透膜処理用スケール防止剤および逆浸透膜処理におけるスケール生成防止方法に関する。
従来から、冷却水系、ボイラ水系、逆浸透膜などの膜処理、地熱発電所の還元井などにおいて、水と接触する伝熱面、配管、膜面ではスケール障害が発生することが問題視されている。特に、省資源、省エネルギーの立場から、高濃縮運転をした場合(膜処理の場合、回収率を高くした場合)、溶解する塩類が濃縮され難溶性の塩となってスケール化することが知られている。熱交部に生成したスケールは伝熱阻害、配管への付着は流量低下、膜への付着はフラックス低下を引き起こす。また、生成したスケールが剥離し、系内を循環し、ポンプ、配管、熱交部の閉塞や、閉塞に伴う配管、熱交部でのスケール化の促進を引き起こす。このような問題は、地熱発電所の還元井でも同様に発生する。
生成するスケール種としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸亜鉛、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛等がある。
生成するスケール種や水系の種類に応じて、用いるスケール防止剤はそれぞれ異なるが、例えば、カルシウム系スケールに対しては、ヘキサメタリン酸ソーダやトリポリリン酸ソーダ等の無機ポリリン酸類、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸やホスホノブタントリカルボン酸等のホスホン酸類、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有素材などが一般的に用いられている。また、必要に応じて、これらと、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、3−アリロキシー2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニルモノマーや、アクリルアミド等のノニオン性ビニルモノマーなどを、対象水質に応じて組み合わせたコポリマーなども、スケール防止剤として一般的に使用されている。
スケールを防止する具体的な技術としては、例えば、特許文献1には、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)又はニトリロ三酢酸(NTA)などのキレート剤と、ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸又はホスフィノカルボン酸共重合物などの分散剤とを含有するスケール防止剤を、ボイラ水中に添加することにより、ボイラを運転しながらスケールを除去する技術が開示されている。
これらのスケール防止剤は、冷却水、蒸発濃縮等様々な系において比較的スケール防止効果の高い素材として報告されているが、全ての水系に有効的に用いることができるとは限らず、水系の種類に応じて最適化する必要がある。特に、逆浸透膜処理においては、様々な条件が、冷却水系などと異なるため、冷却水系など他の水系で好適に用いられているスケール防止剤であっても、そのまま逆浸透膜処理に用いることができないのが実情である。
ここで、冷却水系などの一般的な水系と、逆浸透膜処理との違いを説明する。
冷却水系などの一般的な水系では、スケール防止をすべき箇所が熱交換器表面であり、その温度は50〜90℃であるのに対し、逆浸透膜処理における主なスケール防止箇所は、逆浸透膜面であり、その温度も10〜40℃と異なっている。また、その滞留時間も冷却水系のような一般的な水系では20〜100時間であるのに対し、逆浸透膜処理では約15分程度と非常に短い。
更に、冷却水、蒸発濃縮、ボイラ等において生成するスケールは、一定の厚さとなって付着することにより、伝熱阻害や、機器の安定化に影響するため、ある一定の析出抑制効果、耐ゲル化能を有する素材であれば、適用することが可能であり、スケール防止剤として適用可能な物性(分子量、組成)範囲が広い。また、冷却水系のような一般的な水系では、多少のスケール生成は防食被膜となるため許容されるので、生成したスケールの成長を抑制する能力程度でも効果が期待できる。
これに対し、逆浸透膜処理では、通水流路が小さいため、微小な析出物(スケール及び共存するイオンとスケール防止剤のゲル化物)が生成すると、膜面を閉塞し膜処理性能に影響するため、微小な析出物をも生成させない能力が、スケール防止剤に求められる。また、冷却水系などに比べ、逆浸透膜処理においては複数のスケールが同時に生成する可能性があり、一つのスケールのみに対して、スケール防止効果の高いスケール防止剤ではなく、様々なスケールを同時に防止できるスケール防止剤が求められている。
実際に逆浸透膜処理において生成するスケール種としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウムなどがある。これらを防止する逆浸透膜処理用スケール防止剤としては、分子量の比較的小さくスケール防止効果の高いことから、ヘキサメタリン酸ソーダやトリポリリン酸ソーダ等の無機ポリリン酸類、アミノメチルホスホン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸やホスホノブタントリカルボン酸等のホスホン酸類といったリンを含む素材が一般的に使用されている。
しかし、近年の排水中のリン濃度の規制に伴い、よりリン濃度の低いスケール防止剤が望まれているという実情がある。
その他、逆浸透膜処理におけるスケール防止方法としては、例えば、特許文献2では、供給原料流のpHを約6.0から約7.0までの範囲内に制御し、供給原料流の温度を約10℃から約27℃の範囲内に制御した状態で、有機ホスホネートとアミド構造を有するN-置換アクリルアミドポリマーを組み合わせたスケール防止剤を用いた逆浸透膜処理におけるスケール防止技術が開示されている。
また、特許文献3には、水溶性高分子ホスホネートと水溶性ポリカルボキシレートを組み合わせたスケール防止剤をもちいて、逆浸透脱塩装置運転時のスケールの形成及び付着を抑制する方法が開示されている。
しかし、特許文献2の有機ホスホネートとアミド構造を有するN-置換アクリルアミドポリマーの組合せは、分子量の高いポリマーを含み、また、特許文献3の水溶性高分子ホスホネートと水溶性ポリカルボキシレートの組合せは、ゲル化しやすいカルボキシル基を有するポリマーを含むため、いずれの方法においても、高濃度添加した場合には、スケール防止剤により、Flux低下を引き起こす可能性があるといった問題があった。
特開2001−300584号公報 特開平07−155558号公報 特表2007−521955号公報
上述のように、逆浸透膜処理におけるスケール防止技術は、まだまだ開発の途であり、有効的かつ諸問題を解決するための方法の開発が大いに期待されているのが実情である。また、近年の排水中のリン濃度の規制に伴い、よりリン濃度の低いスケール防止剤が望まれていることから、スケール防止効果だけの観点から薬剤を選定することが難しいという実情もある。
そこで、本発明では、逆浸透膜処理におけるスケール生成を防止する技術において、十分な高いスケール防止効果を持ち、かつ、近年の排水規制にも十分適応可能な新規な技術を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、逆浸透膜処理におけるスケール防止方法について、特に、スケール防止効果およびリン濃度に着目し、有効な方法を鋭意研究した結果、所定のスケール防止剤を組み合わせることにより、優れたスケール防止効果を保ちつつ、排水中のリン濃度を減少させることに成功し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明では、分子量が400以上のホスホン酸と、
ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体と、
を少なくとも含有する逆浸透膜処理用スケール防止剤を提供する。
本発明に係るスケール防止剤は、前記ホスホン酸と前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体とを少なくとも含有すれば、その配合比は特に限定されないが、本発明では特に、前記ホスホン酸と前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体との重量比を、前記ホスホン酸:前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体=65〜35:35〜65とすることが好ましい。
本発明に係るスケール防止剤に用いることが可能な前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の具体的な分子量は特に限定されないが、本発明では特に、分子量が2000以下のモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を選択することが好ましい。
また、本発明に係るスケール防止剤に用いることが可能な前記ホスホン酸の種類も特に限定されないが、本発明では特に、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を選択することが好ましい。
本発明では次に、逆浸透膜処理におけるスケール生成を防止する方法であって、
被処理水に分子量が400以上のホスホン酸を添加する第1スケール防止剤添加工程と、
被処理水にホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を添加する第2スケール防止剤添加工程と、
を少なくとも順不同で行うスケール生成防止方法を提供する。
本発明に係るスケール生成防止方法では、前記第1スケール防止剤添加工程と前記第2スケール防止剤添加工程とを少なくとも行えば、各工程で添加する前記ホスホン酸と前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体との添加量の比は特に限定されないが、本発明では特に、前記ホスホン酸と前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体との重量比を、前記ホスホン酸:前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体=65〜35:35〜65で添加することが好ましい。
本発明に係るスケール生成防止方法で用いることが可能な前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の具体的な分子量は特に限定されないが、本発明では特に、分子量が2000以下のモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を選択することが好ましい。
また、本発明に係るスケール生成防止方法で用いることが可能な前記ホスホン酸の種類も特に限定されないが、本発明では特に、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を選択することが好ましい。
本発明によれば、逆浸透膜処理におけるスケール生成を防止する方法において、優れたスケール防止効果を保ちつつ、排水中のリン濃度を減少することが可能であるため、近年の排水規制にも十分の適応可能で高性能な逆浸透膜処理を行うことが可能である。
本発明に係るスケール生成防止方法のフロー図である。 実施例1〜7の通水時間とFluxの経時変化との関係を示す図面代用グラフである。 比較例1〜7の通水時間とFluxの経時変化との関係を示す図面代用グラフである。
以下、本発明を実施するための好適な形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<1.逆浸透膜処理用スケール防止剤>
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤は、逆浸透膜処理におけるスケール生成を防止するための薬剤であって、(1)ホスホン酸と、(2)モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体と、を少なくとも含有する薬剤である。また、必要に応じて、(3)スライムコントロール剤、(4)その他添加剤などを更に含有させることも可能である。以下、各成分について、詳細に説明する。
(1)ホスホン酸
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤に含有させるホスホン酸は、H型における分子量が400以上であることを特徴とする。本願発明者らは、分子量が400以上のホスホン酸に限り、後述する(2)モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体と併用した場合に、良好な効果が得られることを見出した(実施例参照)。即ち、本願発明者らは、ホスホン酸を単独で用いる場合には、その分子量に関係なく、一定以上のスケール防止効果を期待することができるが、排水中のリン濃度を低下させるために、後述する(2)モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体と併用する場合においては、分子量が400以上のホスホン酸でないと、十分なスケール防止効果が発揮できないことを突き止めた。
本発明では、H型における分子量が400以上のホスホン酸であれば、具体的な種類は特に限定されず、通常、逆浸透膜処理用スケール防止剤に用いることが可能なホスホン酸を、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、ジエチレントリアミンペンタホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸などを挙げることができる。この中でも本発明では特に、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を選択することが好ましい。
(2)モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤には、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を含有させることを特徴とする。本願発明者らは、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体は、単独では、添加量を増やしたとしても満足できる結果は得られないが(比較例5および6参照)、前記(1)ホスホン酸と併用することで、相乗的なスケール防止効果が得られることを見出した(実施例参照)。
また、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を前記(1)ホスホン酸と併用することで、十分なスケール防止効果を発揮しつつ、排水中のリン濃度を低く抑えることにも成功した(実施例参照)。
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤に用いることができるモノエチレン性不飽和カルボン酸の具体的な種類は、本発明の効果を損なわなければ、通常、逆浸透膜処理用スケール防止剤に用いることが可能なモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、モノエチレン性不飽和カルボンサンとして、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、フマル酸などを挙げることができる。
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤には、これらのモノエチレン性不飽和カルボン酸を用いたホスフィン酸基を有する重合体を用いる。その構造例としては、例えば、下記の化学式(1)で表すことができる。
Figure 2013180277
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤に用いることができるモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の具体的な分子量は、特に限定されないが、本発明では、分子量2000以下のモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を用いることが好ましい。分子量2000以下のモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を用いることで、重合体のゲル化による膜透過性の低下をより確実に防止することが可能である。
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤は、前記ホスホン酸と前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体とを少なくとも含有すれば、その配合比は特に限定されないが、本発明では特に、前記ホスホン酸と前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体との重量比を、前記ホスホン酸:前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体=65〜35:35〜65とすることが好ましい。前記ホスホン酸の重量比を65以下、前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の重量比を35以上とすることで、十分なスケール防止効果を維持したままリン濃度を低下させることができ、また、前記ホスホン酸の重量比を35以上、前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の重量比を65以下とすることで、近年の排水規制にも適応可能な範囲でスケール防止効果を更に向上させることができる。
(3)スライムコントロール剤
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤には、本発明の効果を阻害しない範囲において、スライムコントロール剤を更に含有させることができる。本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤に用いることができるスライムコントロール剤の具体的な種類は、本発明の効果を損なわなければ特に限定されず、通常、逆浸透膜処理用スケール防止剤に用いることが可能なスライムコントロール剤を、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩、クロルメチルトリチアゾリン、クロルメチルイソチアゾリン、メチルイソチアゾリン、エチルアミノイソプロピルアミノメチルチアトリアジン、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜塩素酸とスルホファミン酸の混合物などを挙げることができる。
(4)その他添加剤
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤には、本発明の効果を阻害しない範囲において、酵素、殺菌剤、着色剤、香料、水溶性有機溶媒、消泡剤などの他の添加剤を更に含有させることもできる。本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤に用いることができる各種添加剤の具体的な種類も特に限定されず、通常、逆浸透膜処理用スケール防止剤に用いることが可能な各種添加剤を、1種または2種以上、自由に選択して用いることができる。
以上説明した本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤は、逆浸透膜処理において生成するあらゆる種類のスケールに適用することが可能であるが、特に、炭酸カルシウムや硫酸カルシウムに優れた効果を発揮することができる。
<2.スケール生成防止方法>
図1は、本発明に係るスケール生成防止方法のフロー図である。本発明に係るスケール生成防止方法は、逆浸透膜処理におけるスケール生成を防止する方法であって、(1)第1薬剤添加工程と、(2)第2スケール防止剤添加工程と、を順不同で行う方法である。また、必要に応じて、(3)pH調整工程を更に順不同で行うことも可能である。以下、各工程について、詳細に説明する。
(1)第1スケール防止剤添加工程
第1スケール防止剤添加工程は、被処理水にホスホン酸を添加する工程である。本発明に係るスケール生成防止方法では、H型における分子量が400以上のホスホン酸を添加することを特徴とする。なお、本発明に係るスケール生成防止方法で用いることができるホスホン酸の具体的な種類は、前記逆浸透膜処理用スケール防止剤と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
(2)第2スケール防止剤添加工程
第2スケール防止剤添加工程は、被処理水にホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を添加する工程である。本願発明者らは、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を添加する第2スケール防止剤添加工程のみでは、モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の添加量を増やしたとしても満足できる結果は得られないが(比較例5および6参照)、ホスホン酸を添加する前記(1)第1スケール防止剤添加工程を行うことで、相乗的なスケール防止効果が得られることを見出した(実施例参照)。なお、本発明に係るスケール生成防止方法で用いることができるモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の具体的な種類は、前記逆浸透膜処理用スケール防止剤と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
前記(1)第1スケール防止剤添加工程と前記(2)第2スケール防止剤添加工程で添加する各スケール防止剤の添加量は特に限定されず、添加する被処理水の水質に応じて、適宜設定することが可能である。本発明では特に、各スケール防止剤の合計量が0.01〜100mg/Lになるように添加することが好ましく、第2スケール防止剤添加工程で添加するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の濃度が0.1〜10mg/Lになるように添加することがより好ましい。
(3)pH調整工程
pH調整工程は、被処理水にpH調整剤を添加して所望のpHに調整する工程である。本発明に係るスケール生成防止方法では、pH調整工程は特に必須の工程ではなく、また、被処理水のpH条件も特に限定されず、目的に応じて自由に設定することができる。
以上説明した(1)第1スケール防止剤添加工程、(2)第2スケール防止剤添加工程、および(3)pH調整工程は、順不同で行うことが可能である。また、それぞれの工程を別々に行う方法に限らず、例えば、(1)第1スケール防止剤添加工程および(2)第2スケール防止剤添加工程を同時に行った後に、(3)pH調整工程を行ったり、全ての工程を同時に行ったりすることも可能である。
また、(1)第1スケール防止剤添加工程、(2)第2スケール防止剤添加工程、および(3)pH調整工程を行う箇所も特に限定されず、装置構成や目的に応じて、自由に設計することができる。例えば、スケールの付着を防止したい場所で行ったり、スケールの付着を防止したい場所の直前で行ったりすることも可能である。
本発明に係るスケール生成防止方法では、他のスケール防止剤を併用することも可能である。併用することが可能な他のスケール防止剤の具体的な種類は特に限定されず、通常、逆浸透膜処理におけるスケール防止方法で用いることが可能なスケール防止剤を、1種または2種以上、自由に選択して併用することができる。例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸とアクリル酸との共重合体、マレイン酸とスルホン酸との共重合体、アクリル酸とスルホン酸との共重合体、アクリル酸とノニオン基含有モノマーのコポリマーとの共重合体、アクリル酸とスルホン酸とノニオン基含有モノマーのターポリマーとの共重合体などを挙げることができる。
前記共重合体に用いるスルホン酸としては、例えば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸4−スルホブチル、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、およびこれらの金属塩などを挙げることができる。
また、前記共重合体に用いるノニオン基含有モノマーとしては、例えば、アルキルアミド(C1〜C5のアルキルアミド)、ヒドロキシエチルメタクリレート、付加モル数1〜30の(ポリ)エチレンもしくはプロピレンオキサイドのモノ(メタ)アクリレート、付加モル数1〜30のモノビニルエーテルエチレンもしくはプロピレンオキサイドなどを挙げることができる。
本発明に係るスケール生成防止方法において、その他適用可能な水質条件や、運転条件などは、特に制限されず、自由に設定することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するとともに、本発明の効果を検証する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本実施例では、逆浸透膜処理において、分子量が400以上のホスホン酸と、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体とを併用した場合(実施例1〜7)と、各薬剤を単独で使用した場合(比較例1〜6)と、更に、分子量が400未満のホスホン酸と、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体とを併用した場合(比較例7)とで、スケール防止効果を比較した。スケール防止効果の判定には、通水時間に対するFluxの経時変化を求めることにより、逆浸透膜の性能低下の有無で評価を行った。以下、具体的な試験方法を説明する。
<試験方法>
まず、塩化ナトリウム 500mg/L溶液を、ポリアミド逆浸透膜(日東電工株式会社製「ES20」)に、操作圧0.75MPa、回収率80%で通水し、Fluxを測定した。
次に、塩化ナトリウム 500mg/L溶液、塩化カルシウム 1000mgCaCO3/L溶液、下記表1(実施例1〜7)および表2(比較例1〜7)に示すスケール防止剤、炭酸水素ナトリウム100mgCaCO3/L溶液、硫酸ナトリム 1000mgSO4/L溶液を加えたのち、水酸化ナトリウム水溶液と硫酸水溶液でpHを8.0に調製した。調整した溶液を、ポリアミド逆浸透膜(日東電工株式会社製「ES20」)に、操作圧0.75MPa、回収率80%で通水した。
なお、スケール防止剤を無添加の条件をBlankとした。
なお、本発明に用いた表中のホスホン酸およびホスフィノカルボン酸の種類は、以下の通りである。
HMDTMP ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸
EDTMP エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸
SHMP ヘキサメタリン酸
HEDP ヒドロキシエチリデンホスホン酸
ホスフィノカルボン酸 分子量 1210:Belsperse 164(登録商標)(BWA社製)
ホスフィノカルボン酸 分子量 350:Belclene 500(登録商標)(BWA社製)
Figure 2013180277
Figure 2013180277
<評価>
塩化ナトリウム 500mg/L溶液におけるにおけるFluxを1として、各スケール防止剤等を添加した場合のFluxとの比をFlux比として、Fluxの経時変化を比較した。
<結果>
実施例1〜7の結果を図2に、比較例1〜7の結果を図3に示す。
図2の図面代用グラフに示す通り、スケール防止剤無添加のBlankでは、Fluxが大きく低下したが、分子量が400以上のホスホン酸と、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体とを併用した実施例1〜7では、いずれもFlux低下を抑制することができた。この結果から、逆浸透膜処理において、分子量が400以上のホスホン酸と、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体とを併用することにより、スケールを有効に防止することができ、安定した膜処理が行えることが分かった。
一方、図3の図面代用グラフおよび前記表2に示す通り、ホスホン酸のみ添加した比較例1〜4では、いずれもFlux低下を抑制することができたが、リン濃度が1.3〜3mg/Lと高い結果であった。
また、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体のみを添加した比較例5および6では、リン濃度を低く抑えることはできたが、いずれもFlux低下を抑制できないことが分かった。この結果と実施例の結果を踏まえると、逆浸透膜処理において十分なスケール防止効果を発揮するためには、ホスホン酸の配合割合を35%以上に設定することが好ましいことが分かった。
更に、ホスホン酸と、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体とを併用した場合であっても、分子量が400未満のホスホン酸を用いた比較例7では、リン濃度を低く抑えることはできたが、Flux低下を抑制できないことが分かった。
これらの比較例1〜7の結果を踏まえると、分子量が400未満のホスホン酸は単独であれば効果を有しているが(比較例1および2)、リン濃度を低下させるために、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体と併用する場合には、分子量が400未満のホスホン酸では、十分な効果が得られないことが分かった。即ち、実施例1〜7の結果も勘案すると、逆浸透膜処理において十分なスケール抑制効果を発揮しつつ、リン濃度を低く抑えるために、ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を用いる場合においては、分子量が400以上のホスホン酸を用いる必要があることが分かった。
次に、実施例1〜7の中での効果を比較する。
実施例1〜3のFlux低下速度を比較すると、実施例1<実施例3<実施例2の順であった。この結果から、分子量400以上のホスホン酸としては、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸を用いることがより好ましく、ホスフィノカルボン酸としては、分子量1000程度のものを用いることが好ましいことが分かった。
リン濃度に注目すると、ホスホン酸の配合割合が65%を超える実施例7では、1mg/Lを超えてしまうことが分かった。この結果から、近年の排水規制にも十分に適応可能とするために、排水中のリン濃度を減少するためには、ホスホン酸の配合割合を65%以下に設定することが好ましいことが分かった。
本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤およびスケール生成防止方法を用いれば、逆浸透(RO)膜から排水される水のリン濃度を低くすることができ、また、RO膜分離装置内でのスケール生成によるフラックスの低下を効果的に防止することができ、長期にわたり安定的な膜処理を行うことが可能である。
また、本発明に係る逆浸透膜処理用スケール防止剤およびスケール生成防止方法を用いれば、非常に長い期間、薬品洗浄など逆浸透膜の性能回復手段を講じることなく連続運転することが可能である。
(1) 第1スケール防止剤添加工程
(2) 第2スケール防止剤添加工程
(3) pH調整工程

Claims (8)

  1. 分子量が400以上のホスホン酸と、
    ホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体と、
    を少なくとも含有する逆浸透膜処理用スケール防止剤。
  2. 前記ホスホン酸と前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体との重量比が、前記ホスホン酸:前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体=65〜35:35〜65である請求項1記載の逆浸透膜処理用スケール防止剤。
  3. 前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の分子量が2000以下である請求項1または2に記載の逆浸透膜処理用スケール防止剤。
  4. 前記ホスホン酸が、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸である請求項1から3のいずれか一項に記載の逆浸透膜処理用スケール防止剤。
  5. 逆浸透膜処理におけるスケール生成を防止する方法であって、
    被処理水に分子量が400以上のホスホン酸を添加する第1スケール防止剤添加工程と、
    被処理水にホスフィン基を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸重合体を添加する第2スケール防止剤添加工程と、
    を少なくとも順不同で行うスケール生成防止方法。
  6. 前記ホスホン酸と前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体との重量比が、ホスホン酸:モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体=65〜35:35〜65である請求項5記載のスケール生成防止方法。
  7. 前記モノエチレン性不飽和カルボン酸重合体の分子量が2000以下である請求項5または6に記載のスケール生成防止方法。
  8. 前記ホスホン酸が、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸である請求項5から7のいずれか一項に記載のスケール生成防止方法。
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