JP2013178489A - 偏光レンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光層や機能性膜の剥離発生が抑制された、優れた耐久性を有する偏光レンズを提供すること。
【解決手段】レンズ基材上に二色性色素を配列堆積させることにより偏光層を形成する偏光層形成工程、前記偏光層にアミノ基含有シランカップリング剤溶液を含浸させるアミノシラン処理工程、アミノシラン処理工程後の偏光層上にポリエーテルポリウレタン樹脂と水系溶媒とを含有する水系樹脂組成物を塗布した後に該組成物を乾燥させることによりプライマー層を形成するプライマー層形成工程、および、形成したプライマー層上に硬化性組成物を塗布した後に硬化処理を施すことにより硬化被膜を形成する被膜形成工程、を含むことを特徴とする偏光レンズの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光レンズの製造方法に関するものであり、詳しくは、高い耐久性を有する、眼鏡レンズとして好適な偏光レンズの製造方法に関するものである。
偏光レンズは、日常生活やスポーツ中に人の眼が感じるまぶしさを低減するための眼鏡レンズとして広く用いられているものであり、一般に二色性色素の偏光性を利用することにより防眩性が発揮される。これら偏光レンズは、通常、二色性色素を含む偏光層を基材上または基材上に設けた配列層上に形成することにより作製される。そのような偏光レンズの製造方法が、例えば特許文献1〜4に開示されている。
特表2008−527401号公報 特開2009−237361号公報 国際公開第2008/106034号 国際公開第2009/029198号
上記特許文献1〜4に記載されているように、偏光レンズでは通常、耐久性向上、各種機能付与等を目的として偏光層上に機能性膜が設けられる。しかし、偏光層と機能性膜との密着性が低いと、保管中ないしは使用中に機能性膜がレンズ本体から剥離する場合がある。また偏光層と下層の密着性が低い場合には、偏光層において剥離が生じてしまうが、このような剥離はレンズの耐久性を低下させるため、長期にわたり装用者に使用されるため高い耐久性が求められる眼鏡レンズ用途に使用される偏光レンズにおいては回避すべきである。
そこで本発明の目的は、偏光層や機能性膜の剥離発生が抑制された、優れた耐久性を有する偏光レンズを提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の手段によって、高い耐久性を有する偏光レンズの提供が可能となることを新たに見出し、本発明を完成させた。これは主に、以下の理由によるものと、本発明者らは推察している。
(i)被膜形成工程における硬化処理によってプライマー層に含まれるポリエーテルポリウレタン樹脂のエーテル結合が切断され活性基が発生し、この活性基が下層の色素層成分と反応することで密着が強化されると考えられる。
(ii)アミノシラン処理により偏光層と下層との密着が強化されることも、耐久性向上に寄与していると考えられる。
即ち、上記目的は下記手段によって達成された。
[1]レンズ基材上に二色性色素を配列堆積させることにより偏光層を形成する偏光層形成工程、
前記偏光層にアミノ基含有シランカップリング剤溶液を含浸させるアミノシラン処理工程、
アミノシラン処理工程後の偏光層上にポリエーテルポリウレタン樹脂と水系溶媒とを含有する水系樹脂組成物を塗布した後に該組成物を乾燥させることによりプライマー層を形成するプライマー層形成工程、および、
形成したプライマー層上に硬化性組成物を塗布した後に硬化処理を施すことにより硬化被膜を形成する被膜形成工程、
を含むことを特徴とする偏光レンズの製造方法。
[2]前記硬化処理を、光照射または加熱により行う[1]に記載の偏光レンズの製造方法。
[3]前記アミノシラン処理において、アミノ基含有シランカップリング剤溶液を含浸させた後に乾燥または加熱処理を施す[1]または[2]に記載の偏光レンズの製造方法。
[4]前記アミノシラン処理工程後であってプライマー層形成工程前の偏光層にエポキシ基含有シランカップリング剤を含浸させるエポキシシラン処理を行うことを含む[1]〜[3]のいずれかに記載の偏光レンズの製造方法。
[5]前記エポキシシラン処理において、エポキシ基含有シランカップリング剤を含浸させた後に乾燥または加熱処理を施す[4]に記載の偏光レンズの製造方法。
本発明によれば、高い耐久性を有する、眼鏡レンズとして好適な偏光レンズを提供することができる。
本発明の偏光レンズの製造方法は、
レンズ基材上に二色性色素を配列堆積させることにより偏光層を形成する偏光層形成工程、
前記偏光層上にアミノ基含有シランカップリング剤溶液を含浸させるアミノシラン処理工程、
アミノシラン処理工程後の偏光層上にポリエーテルポリウレタン樹脂と水系溶媒とを含有する水系樹脂組成物を塗布した後に該組成物を乾燥させることによりプライマー層を形成するプライマー層形成工程、および、
形成したプライマー層上に硬化性組成物を塗布した後に硬化処理を施すことにより硬化被膜を形成する被膜形成工程、
を含み、これにより、偏光層上に形成された被膜や偏光層の剥離が抑制された、高い耐久性を有する偏光レンズの提供を可能とするものである。こうして得られた偏光レンズは、高い耐久性を有することが求められる眼鏡レンズとして好適である。
以下、本発明の偏光レンズの製造方法について、更に詳細に説明する。
レンズ基材
本発明の偏光レンズの製造方法において使用されるレンズ基材としては、眼鏡レンズのレンズ基材に通常使用される材料、例えば、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のプラスチック、無機ガラス、等からなるものを用いることができる。レンズ基材の厚さおよび直径は、特に限定されるものではないが、通常、厚さは1〜30mm程度、直径は50〜100mm程度である。本発明の偏光レンズが視力矯正用の眼鏡レンズの場合、レンズ基材としては、屈折率ndが1.5〜1.8程度のものを使用することが通常である。レンズ基材としては、通常無色のものが使用されるが、透明性を損なわない範囲で着色したものを使用することもできる。また、その上に偏光層が形成される基材の表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等の任意の形状であることができる。
配列層
偏光層に含まれる二色性色素の偏光性は、主に二色性色素が一軸配向することにより発現される。二色性色素を一軸配向させるためには、二色性色素を含む塗布液を溝を有する表面上に塗布する方法が一般的に採用されており、本発明でも使用することができる。二色性色素を一軸配向させるための溝は、基材表面に形成してもよいが、上記特許文献1〜4に記載されているように、レンズ基材上に設けた配列層の表面に形成することが、二色性色素の偏光性を良好に発現させるうえで有利である。
上記配列層は、通常、レンズ基材上に直接または他の層を介して間接的に設けられる。レンズ基材と配列層との間に形成され得る層の一例としては、ハードコート層を挙げることができる。ハードコート層としては、特に限定されるものではないが有機ケイ素化合物に微粒子状金属酸化物を添加した被膜が好適である。そのようなハードコート層の詳細については、例えば、特開2007−77327号公報段落[0071]〜[0074]および特開2009−237361号公報段落[0027]を参照できる。また、ハードコート層形成のために有機ケイ素化合物に代えてアクリル化合物を使用することもでき、アクリレートモノマーやオリゴマー等の公知の紫外線硬化樹脂やEB硬化樹脂を、ハードコート形成用のコーティング組成物として用いることもできる。そのようなハードコート層については後述する。ハードコート層の厚さは、例えば0.5〜10μm程度である。なお、レンズ基材としてはハードコート付きで市販されているものもあり、本発明ではそのようなレンズ基材上に配列層を形成することもできる。
上記配列層の厚さは、通常0.02〜5μm程度であり、好ましくは0.05〜0.5μm程度である。配列層は、蒸着、スパッタ等の公知の成膜法によって成膜材料を堆積させることにより形成してもよく、ディップ法、スピンコート法等の公知の塗布法によって形成してもよい。上記成膜材料として好適なものとしては、金属、半金属、またはこれらの酸化物、複合体もしくは化合物を挙げることができる。より好ましくは、Si、Al、Zr、Ti、Ge、Sn、In、Zn、Sb、Ta、Nb、V、Y、Crから選ばれる材料またはその酸化物、さらにはこれら材料の複合体もしくは化合物を用いることができる。これらの中でも配列層としての機能付与の容易性の観点からはSiO、SiO2等のケイ素酸化物が好ましく、中でも後述するシランカップリング剤との反応性の点からはSiO2が好ましい。
一方、上記塗布法によって形成される配列層としては、無機酸化物ゾルを含むゾル−ゲル膜を挙げることができる。上記ゾル−ゲル膜の形成に好適な塗布液としては、アルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキサンを無機酸化物ゾルとともに含む塗布液を挙げることができる。配列膜としての機能付与の容易性の観点から、上記アルコキシシランは、好ましくは特開2009−237361号公報に記載の一般式(1)で表されるアルコキシシランであり、上記ヘキサアルコキシジシロキサンは、好ましくは特開2009−237361号公報に記載の一般式(2)で表されるヘキサアルコキシジシロキサンである。上記塗布液は、アルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキサンのいずれか一方を含んでもよく、また両方を含んでもよい。更に必要に応じて特開2009−237361号公報に記載の一般式(3)で表される官能基含有アルコキシシランを含むこともできる。上記塗布液および成膜方法(塗布方法)の詳細については、特開2009−237361号公報段落[0011]〜[0023]、[0029]〜[0031]および同公報記載の実施例を参照できる。
次いで、上記配列層上に塗布される塗布液中の二色性色素を一軸配向させるために、通常、形成した配列層上に溝を形成する。溝が形成された配列層表面に二色性色素を含む塗布液を塗布すると、二色性色素の性質により、該色素が溝に沿って、または溝と直交する方向に配向する。これにより、二色性色素を一軸配向させ、その偏光性を良好に発現させることができる。上記溝の形成は、例えば、液晶分子の配向処理のために行われるラビング工程によって行うことができる。ラビング工程は、被研磨面を布などで一定方向に擦る工程であり、その詳細は、例えば米国特許2400877号明細書や米国特許4865668号明細書等を参照できる。または、特開2009−237361号公報段落[0033]〜[0034]に記載の研磨処理により、配列層上に溝を形成することも可能である。形成される溝の深さやピッチは、二色性色素を一軸配向させることができるように設定すればよい。
偏光層(二色性色素層)形成工程
次に、レンズ基材上に直接または配列層等を介して設けられる偏光層(二色性色素層)について説明する。
「二色性」とは、媒質が光に対して選択吸収の異方性を有するために、透過光の色が伝播方向によって異なる性質を意味し、二色性色素は、偏光光に対して色素分子のある特定の方向で光吸収が強くなり、これと直交する方向では光吸収が小さくなる性質を有する。また、二色性色素の中には、水を溶媒とした時、ある濃度・温度範囲で液晶状態を発現するものが知られている。このような液晶状態のことをリオトロピック液晶という。この二色性色素の液晶状態を利用して特定の一方向に色素分子を配列させることができれば、より強い二色性を発現することが可能となる。上記溝を形成した表面上に二色性色素を含有する塗布液を塗布することにより二色性色素を一軸配向させることができ、これにより良好な偏光性を有する偏光層を形成することができる。
本発明において使用される二色性色素としては、特に限定されるものではなく、偏光部材に通常使用される各種二色性色素を挙げることができる。具体例としては、アゾ系、アントラキノン系、メロシアニン系、スチリル系、アゾメチン系、キノン系、キノフタロン系、ペリレン系、インジゴ系、テトラジン系、スチルベン系、ベンジジン系色素等が挙げられる。また、米国特許2400877号明細書、特表2002−527786号公報に記載されているもの等でもよい。
二色性色素含有塗布液は、溶液または懸濁液であることができる。二色性色素の多くは水溶性であるため、上記塗布液は通常、水を溶媒とする水溶液である。塗布液中の二色性色素の含有量は、例えば1〜50質量%程度であるが、所望の偏光性が得られればよく上記範囲に限定されるものではない。
塗布液は、二色性色素に加えて、他の成分を含むこともできる。他の成分としては、二色性色素以外の色素を挙げることができ、このような色素を配合することで所望の色相を有する偏光部材を製造することができる。さらに塗布性等を向上させる観点から、必要に応じてレオロジー改質剤、接着性促進剤、可塑剤、レベリング剤等の添加剤を配合してもよい。
塗布液の塗布方法としては、特に限定はなく、前述のディップ法、スピンコート法等の公知の方法が挙げられる。偏光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常0.05〜5μm程度である。なお、後述するシランカップリング剤は通常、偏光層に浸透し実質的に偏光層に含まれることになる。
上記二色性色素として水溶性色素を用いる場合には、膜安定性を高めるために塗布液を塗布乾燥した後に非水溶化処理を施すことが好ましい。非水溶化処理は、例えば色素分子の末端水酸基をイオン交換することや色素と金属イオンとの間でキレート状態を作り出すことにより行うことができる。そのためには、形成した偏光層を金属塩水溶液に浸漬する方法を用いることが好ましい。使用できる金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えばAlCl3、BaCl2、CdCl2、ZnCl2、FeCl2およびSnCl3等を挙げることができる。非水溶化処理後、偏光層の表面をさらに乾燥させてもよい。
アミノシラン処理
前述のように二色性色素含有塗布液をレンズ基材上に直接または配列層等を介して塗布し二色性色素を配列堆積させることにより、偏光層を形成することができる。そして本発明では、形成された偏光層にアミノ基含有シランカップリング剤(アミノシラン)を含浸させる。このアミノシラン処理を経て得られた偏光レンズにおいて偏光層の剥離が抑制される理由は、ここで偏光層に取り込まれるアミノシランが偏光層と下層(配列層等)との密着性向上に寄与することにあると考えられる。また、アミノシラン処理は偏光層の膜強度向上にも寄与し得る。アミノシラン処理は、上記の非水溶化処理の後に行うことが望ましい。
前記アミノシラン処理は、好ましくは、偏光層表面にアミノ基含有シランカップリング剤を、例えば濃度1〜15質量%程度、好ましくは1〜10質量%程度の溶液として塗布することにより実施される。上記溶液の溶媒は、水性溶媒であることが好ましく、水または水とアルコール(メタノール、エタノール等)との混合溶媒であることがより好ましい。上記溶液の塗布は、ディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法等の公知の手段によって行うことができる。アミノ基含有シランカップリング剤の塗布後のレンズは、一態様では温度制御なしの雰囲気中に放置し自然乾燥または風乾により乾燥させることができ、他の態様では加熱炉内等に所定期間放置することによって加熱処理することもできる。上記加熱処理は、好ましくは50〜120℃、5分〜3時間程度で実施することができる。
シランカップリング剤とは、一般にR−Si(OR’)3で表される構造を有し(複数存在するR’は同一であっても異なっていてもよい)、アミノ基含有シランカップリング剤とは、上記Rで表される官能基にアミノ基を含むものである。アミノ基は、通常、2価の連結基を介してSiに結合している。2価の連結基としては、後述の具体例化合物に含まれる連結基を挙げることができる。一方、上記R’で表される官能基は、通常アルキル基であり水性溶媒中で加水分解を受けシラノール(Si−OH)を生成する。上記R’で表されるアルキル基の炭素数は、例えば1〜10であり、好ましくは1〜3である。その具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン等、およびそれらの加水分解物を挙げることができる。これらアミノ基含有シランカップリング剤は、1種単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、アミノ基含有シランカップリング剤の塗布後、塗布面を純水、脱イオン水等ですすぎ洗いすることにより最表面に過剰に付着したカップリング剤を除去することも可能である。
エポキシシラン処理
以上説明したアミノシラン処理後のレンズは、そのまま後述するプライマー層形成工程に付すことができるが、眼鏡レンズとして好適な偏光レンズを得るためには、アミノシラン処理後の偏光層にエポキシ基含有シランカップリング剤を含浸させること(エポキシシラン処理)が好ましい。このエポキシシラン処理により偏光層における曇りやクラックの発生を抑制することができ、眼鏡レンズに求められる高い光学特性を有する偏光レンズが得られるからである。これは、エポキシ基含有シランカップリング剤によって偏光層の膜強度が高められることによるものであると、本発明者らは推察している。
エポキシ基含有シランカップリング剤とは、上記Rで表される官能基にエポキシ基を含むものであり、エポキシ基含有シランカップリング剤に関する上記構造式の詳細は、Rにエポキシ基を含む点以外は先にアミノ基含有シランカップリング剤について述べた通りである。その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(γ−GPS)、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシドキシ基含有トリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン等のエポキシアルキルアルコキシシラン、およびそれらの加水分解物を挙げることができる。これらエポキシ基含有シランカップリング剤は、1種単独でも、または2種以上組み合わせて用いてもよい。その他、エポキシシラン処理の詳細については、先にアミノシラン処理について述べた通りである。また、エポキシシラン処理においても、アミノシラン処理と同様にカップリング剤溶液の塗布後に加熱処理を行うこともできるが、加熱処理なしで、例えば自然乾燥または風乾のみでも、曇りやクラックの発生を抑制することは可能である。
プライマー層形成工程
本発明の偏光レンズの製造方法において、前記した処理後の偏光層上は、ポリエーテルポリウレタン樹脂と水系溶媒とを含有する水系樹脂組成物を塗布した後に該組成物を乾燥させることによりプライマー層が形成される。ここで水系樹脂組成物としてポリエーテルポリウレタン樹脂を含むものを用いることにより、プライマー層上に設けられる被膜と偏光層との密着性を高めることができる。上記被膜形成のための硬化処理によってポリエーテルポリウレタン樹脂に含まれるエーテル結合が切断されることで活性基が発生し、この活性基が下層の偏光層成分と反応することが、密着性向上に寄与していると考えられる。また、上記組成物は水系であるため下層の偏光層に含まれる二色性色素との親和性に優れる点でも、非水系樹脂と比べて有利である。なお本発明において、「水系樹脂組成物」とは、含有される水系溶媒が除去されることにより固化する性質を有する組成物をいうものとする。また、ここで形成するプライマー層の厚さは、得られる偏光レンズの光学特性と密着性の両立の観点から、0.05μm〜2.0μmであることが好ましい。
前記水系樹脂組成物に含まれる水系溶媒は、少なくとも水を含む溶媒であって、例えば水または水と極性溶媒等との混合溶媒である。また、前記水系樹脂組成物中の固形分濃度は、液安定性および製膜性の観点から、好ましくは1〜62質量%であり、より好ましくは5〜38質量%である。前記水系樹脂組成物は、樹脂成分のほかに、必要に応じて、酸化防止剤、分散剤、可塑剤、レベリング剤等の添加剤を含む偏光層ことも可能である。また、市販されている水系樹脂組成物を、水、アルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)等の溶媒で希釈し、適宜添加剤を加えて使用してもよい。
前記水系樹脂組成物は、水系溶媒に溶解した状態または微粒子(好ましくはコロイド粒子)として分散した状態でポリエーテルポリウレタン樹脂を含むことができる。中でも、水系溶媒中にポリエーテルポリウレタン樹脂が微粒子状に分散した分散液であることが望ましく、この場合、ポリエーテルポリウレタン樹脂の粒径は、組成物の分散安定性の観点から、0.3μm以下であることが好ましい。また、前記水系樹脂組成物のpHは、25℃において、5.5〜9.0程度であることが安定性の点から好ましく、25℃での粘度は、塗布適性の点から、5〜500mPa・sであることが好ましく、10〜50mPa・sであることがより好ましい。
前記水系樹脂組成物としては、樹脂成分として、ポリエーテルポリウレタン樹脂を含むものであり、これ以外の樹脂成分を含んでもよいが、その場合は樹脂成分の中で最も多くを(例えば80質量%以上)をポリエーテルポリウレタン樹脂が占めることが好ましい。密着性をより一層高めるためには、樹脂成分としてポリエーテルポリウレタン樹脂のみを含む水系樹脂組成物を使用することが好ましい。ポリエーテルポリウレタン樹脂とは、ポリオール成分としてポリエーテルポリオールのみを用いて得られたポリウレタンである。なお、ポリオール成分として、ポリエーテルポリオールとともにポリエステルポリオールを用いて得られたポリウレタン(ポリエーテルポリエステルポリウレタン)では、後述の比較例2に示すように、プライマー層による密着性向上を達成することはできなかった。エーテル結合とともにポリオール成分に含まれるエステル結合が、密着性低下を引き起こしていると考えられる。このように、ポリエーテルポリオールとともに他の骨格のポリオールを用いて得られたポリウレタンでは得られない密着性向上効果を、ポリエーテルポリウレタン樹脂により達成できる点は、本発明者らにより初めて見出された知見である。
ポリエーテルポリウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオールと有機ポリイソシアネートとを、必要に応じて鎖延長剤とともに、反応に不活性で水との親和性の大きい溶媒中でウレタン化反応させてプレポリマーとし、このプレポリマーを中和後、鎖延長剤を含有する水系溶媒に分散させて高分子量化することにより調製することができる。中でも、前記水系樹脂組成物としては、ポリエーテルポリオールを基本骨格に持ち、カルボキシル基、スルホン基等のアニオン性基を持つ末端イソシアネートプレポリマーを水系溶媒に分散させた結果得られたものが好ましい。そのような水系樹脂組成物の調製方法は公知であり、また、本発明において上記水系樹脂組成物としては、市販されている水性ウレタンをそのまま、または必要に応じて水系溶媒で希釈して使用することもできる。
前記水系樹脂組成物を前述のアミノシラン処理またはエポキシシラン処理後の偏光層表面に塗布および乾燥させることにより、偏光層上にプライマー層として水系樹脂層を形成することができる。塗布方法としては、ディップ法、スピンコート法等の公知の塗布法を用いることができる。塗布条件は、所望の膜厚のプライマー層を形成できるように適宜設定すればよい。塗布前には、被塗布面である偏光層表面に対し、酸、アルカリ、各種有機溶媒等による化学的処理、プラズマ、紫外線、オゾン等による物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理を行うこともできる。上記乾燥は、例えば室温〜100℃の雰囲気中に5分〜24時間、水系樹脂組成物を塗布したレンズを配置することにより行うことができる。
被膜形成工程
次いで、形成したプライマー層上に硬化性組成物を塗布した後に硬化処理を施すことにより硬化被膜を形成する。硬化性組成物の塗布は、ディップ法、スピンコート法等の公知の塗布法を用いて行うことができる。硬化処理は、硬化性組成物の種類に応じて加熱または光照射により行われる。前述のように、ここで施される硬化処理によってプライマー層中のポリエーテルポリウレタン樹脂が活性基を発生することが、プライマー層と偏光層との密着性向上に寄与すると考えられる。形成される硬化被膜の種類は、偏光レンズに求められる性能に応じて決定することができ、好ましい具体例としては偏光レンズの耐傷性等の向上に寄与するハードコート層を挙げることができる。レンズの耐久性向上と光学特性を両立する観点からは、その厚さは0.5〜10μmの範囲であることが好ましい。
ハードコート層の一態様としては、前述の有機ケイ素化合物に微粒子状金属酸化物を添加した被膜を形成することができる。該被膜は通常、加熱処理により硬化される。加熱硬化処理は、例えば有機ケイ素化合物および微粒子状金属酸化物を含む塗布液を塗布したレンズを50〜150℃の雰囲気温度の環境下に30分〜2時間程度配置することで行うことができる。
また、作業性の点からは、偏光層上に設けるハードコート層は、光硬化性化合物から形成することが有利である。この点から好ましいハードコート層としては、多官能アクリレート系化合物を主成分とするものなどが例示される。なお本発明における「アクリレート」との語は、メタクリレートも含むものとする。また、以下の(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートを含むものとする。アクリル系被膜は一般に偏光層との密着性に乏しいところ、両膜の間に上記のプライマー層を設けることで密着性を高めることができる。
ハードコート層形成のために使用され得る多官能アクリレート系化合物とは、分子中に少なくとも2個のアクリレート系重合性基を有する化合物であり、好ましくは分子中に少なくとも2個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する化合物であり、具体的には、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ホスファゼン化合物のホスファゼン環にアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が導入されたホスファゼン系アクリレート化合物またはホスファゼン系メタクリレート化合物、分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートと少なくとも1個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基および水酸基を有するポリオール化合物との反応により得られるウレタンアクリレート化合物やウレタンメタクリレート化合物、分子中に少なくとも2個のカルボン酸ハロゲン化物と少なくとも1個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基および水酸基を有するポリオール化合物との反応により得られるポリエステルアクリレート化合物、ポリエステルメタクリレート化合物、ならびに上記各化合物の2量体、3量体などのようなオリゴマーなどが挙げられる。
これらの化合物はそれぞれ単独または2種以上を混合して用いることができる。なお、上記の多官能(メタ)アクリレートの他に、ハードコート層用塗料組成物の硬化時の固形分に対して、好ましくは10.0質量%以下の、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の中から選択される少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートを配合してもよい。
また、ハードコート層には、硬度を調整する目的で重合性オリゴマーを添加することができる。このようなオリゴマーとしては、末端(メタ)アクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリ(メタ)アクリレート、末端(メタ)アクリレートポリスチレン、末端(メタ)アクリレートポリエチレングリコール、末端(メタ)アクリレートアクリロニトリル−スチレン共重合体、末端(メタ)アクリレートスチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体などのマクロモノマーを挙げることができる。その含有量は塗料組成物の硬化時の固形分に対して、好ましくは5.0〜50.0質量%である。
上記重合性成分は、溶剤と混合した状態の溶液として用いてもよい。また、重合性成分として市販されているものを用いることも可能である。また、ハードコート層形成のための塗料組成物は、公知の光重合開始剤を含むこともできる。光重合開始剤の種類および使用量は、特に限定されるものではなく適宜設定することができる。その他の成分として、耐擦傷性を向上させる目的で無機酸化物粒子を添加することもできる。無機酸化物粒子は溶剤中で分散させた状態で、例えばコロイド溶液として、他の成分と混合することが均一な被膜を形成するために好ましい。無機酸化物としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ、アルミナ−マグネシウムや酸化スズ−ジルコニア等の複合酸化物等が挙げられる。その添加量は、通常塗料組成物の固形分当たり5〜80質量%程度である。
上記ハードコート層形成用塗料組成物をプライマー層上に塗布し、必要に応じて乾燥させた後に光照射することにより、アクリル系ハードコート層を形成することができる。塗布条件は、所望の膜厚のハードコート層を形成できるように適宜設定すればよい。照射する光は、例えば電子線または紫外線であり、照射する光の種類および照射条件は、使用するハードコート層形成成分の種類に応じて適宜選択される。一般に照射光量500〜2000mJ/cm2程度で紫外線を照射することで、レンズの耐傷性向上に寄与する高強度のハードコート層を形成することができ、また上記光照射によってプライマー層の密着性を高めることができる。
以上説明した工程により、レンズ基材上に、偏光層、プライマー層、および硬化被膜をこの順に有する偏光レンズを得ることができる。本発明の偏光レンズの製造方法では、上記硬化被膜の上に、更に必要に応じて、反射防止膜、撥水膜、紫外線吸収膜、赤外線吸収膜、フォトクロミック膜、帯電防止膜等の機能性膜を公知の方法で積層することも可能である。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に記載の室温とは、25℃±5℃の範囲である。
[実施例1]
偏光レンズの作製
(1)配列層の形成
レンズ基材として、フェニックスレンズ(HOYA株式会社製、屈折率1.53、ハードコート付き、直径70mm、ベースカーブ4、中心肉厚1.5mm)を用いて、レンズ凹面に真空蒸着法により、厚さ0.2μmのSiO2膜を形成した。
形成されたSiO2膜に、研磨剤含有ウレタンフォーム(研磨剤:フジミインコーポレーテッド社製商品名POLIPLA203A、平均粒径0.8μmのAl23粒子、ウレタンフォーム:上記レンズ凹面の曲率とほぼ同形状)を用いて、一軸研磨加工処理を回転数350rpm、研磨圧50g/cm2の条件で30秒間施した。研磨処理を施したレンズは純水により洗浄、乾燥させた。
(2)偏光層の形成
レンズを乾燥後、研磨処理面上に、水溶性の二色性色素(スターリング オプティクス インク(Sterling Optics Inc)社製商品名Varilight solution 2S)の約5質量%水溶液2〜3gを用いてスピンコートを施し、偏光層を形成した。スピンコートは、色素水溶液を回転数300rpmで供給し、8秒間保持、次に回転数400rpmで45秒間保持、さらに1000rpmで12秒間保持することで行った。
次いで、塩化鉄濃度が0.15M、水酸化カルシウム濃度が0.2MであるpH3.5の水溶液を調製し、この水溶液に上記で得られたレンズをおよそ30秒間浸漬し、その後引き上げ、純水にて充分に洗浄を施した。この工程により、水溶性であった色素は難溶性に変換される(非水溶化処理)。
(3)アミノシラン処理
上記(2)の後、レンズをγ−アミノプロピルトリエトキシシラン10質量%水溶液に15分間浸漬し、その後純水で3回洗浄し、加熱炉内(炉内温度85℃)で30分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。
(4)エポキシシラン処理
上記冷却後、レンズをγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2質量%水溶液に30分浸漬し、その後レンズを加熱炉内(炉内温度60℃)で30分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。
以上の処理後、形成された偏光層の厚さは、約1μmであった。
(5)プライマー層の形成
上記冷却処理後の偏光膜表面に、スピンコート法により水系ポリウレタン樹脂組成物を塗布した。水系ポリウレタン樹脂組成物として、株式会社ADEKA製商品名アデカボンタイターHUX−350(樹脂成分:ポリエーテルポリウレタン樹脂)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)にて6倍に希釈し、レベリング剤(東レ・ダウコーニング社製商品名FZ−2105)を添加したものを使用した。スピンコートは、上記組成物を偏光層上に回転数100rpmで供給し、10秒間保持、次に回転数400rpmで10秒間保持、さらに1000rpmで30秒間保持することで行った。
スピンコート後、レンズを室温で風乾させて偏光層上にプライマー層を形成した。形成されたプライマー層の厚さは、0.30μmであった。
(6)ハードコート層の形成
上記(5)の処理を施したレンズにジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製KAYARAD DPHA)1000質量部、酢酸エチル2500質量部、光重合開始剤(チバジャパン製Irgacure819)30質量部を混合した塗布液をスピンコート(1000rpmで、30秒保持)により塗布した。塗布後、紫外線照射装置によりUV照射光量1200mJ/cm2で硬化し、厚さ6μmのハードコート層を得た。
以上の工程により、レンズ基材上に配列層、偏光層、プライマー層、およびハードコート層を有する偏光レンズを合計2枚用意した。
[実施例2]
プライマー層形成のための水系ポリウレタン樹脂組成物として、株式会社ADEKA製商品名アデカボンタイターHUX−550(樹脂成分:ポリエーテルポリウレタン樹脂)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)にて6倍に希釈したものを使用した点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[実施例3]
エポキシシラン処理を行わなかった点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[実施例4]
アミノシラン処理における加熱処理およびエポキシシラン処理を行わなかった点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[実施例5]
エポキシシラン処理における加熱処理を行わなかった点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[実施例6]
以下の方法でハードコート層を形成した点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製KAYARAD DPHA)500質量部、メチルエチルケトン分散コロイダルシリカ1000質量部(固形分30%)、酢酸エチル3000質量部、光重合開始剤(チバジャパン製Irgacure819)30質量部を混合した塗布液をスピンコート(1000rpmで、30秒保持)により塗布した。塗布後、紫外線照射装置によりUV照射光量1800mJ/cm2で硬化し、厚さ1.5μmのハードコート層を得た。
[実施例7]
アミノシラン処理における加熱処理およびエポキシシラン処理における加熱処理を、いずれも室温での自然乾燥に変更した点、ならびに以下の方法でハードコート層を形成した点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン17質量部、メタノール30質量部、および、水分散コロイダルシリカ(固形分40質量%、平均粒子径15nm)28質量部を加え充分に混合し、5℃で24時間攪拌を行った。次に、プロピレングリコールモノメチルエーテル15質量部、シリコ−ン系界面活性剤0.05質量部、および、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ−トを1.5質量部加え、充分に撹拌した後、濾過を行ってハードコ−ティング液(ハードコート組成物)を調製した。このコ−ティング液のpHは、およそ5.5であった。
プライマー層表面に、調製したハードコーティング組成物をディッピング法(引き上げ速度20cm/分)でコーティングし、その後、炉内温度100℃の加熱炉内で90分間加熱硬化することで、厚さ3μmのハードコート層を形成した。
[比較例1]
プライマー層形成のための水系ポリウレタン樹脂組成物として、株式会社ADEKA製商品名アデカボンタイターHUX−210(樹脂成分:ポリエステルポリウレタン樹脂)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)にて12倍に希釈したものを使用した点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[比較例2]
プライマー層形成のための水系ポリウレタン樹脂組成物として、株式会社ADEKA製商品名アデカボンタイターHUX−320(樹脂成分:ポリエーテルポリエステルポリウレタン樹脂)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)にて6倍に希釈したものを使用した点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[比較例3]
プライマー層形成のための水系ポリウレタン樹脂組成物として、株式会社ADEKA製商品名アデカボンタイターHUX−386(樹脂成分:ポリカーボネートポリウレタン樹脂)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)にて6倍に希釈したものを使用した点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[比較例4]
プライマー層形成のための水系ポリウレタン樹脂組成物として、株式会社ADEKA製商品名アデカボンタイターHUX−541(樹脂成分:ポリエステルポリウレタン樹脂)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)にて6倍に希釈したものを使用した点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[比較例5]
プライマー層形成のための水系ポリウレタン樹脂組成物として、株式会社ADEKA製商品名アデカボンタイターHUX−232(樹脂成分:ポリエステルポリウレタン樹脂)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)にて6倍に希釈したものを使用した点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[比較例6]
アミノシラン処理を行わなかった点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
[比較例7]
アミノシラン処理、およびエポキシシラン処理における加熱処理を行わなかった点以外は実施例1と同様の方法で偏光レンズを得た。
評価方法
1.ハードコート層、偏光層の密着性評価
ハードコート層に1〜2mm間隔で100目クロスカットし、このクロスカットしたところに粘着テープ(ニチバン株式会社製セロファンテープ)を強く貼り付けた後、粘着テープを急速に剥がした後の硬化膜の100目中で剥離せず残留したマス目数を調べた。
2.外観評価
上記1.の評価を行ったレンズとは別のレンズを蛍光灯下で目視観察し、曇りおよびクラックの有無を評価した。
以上の結果を、表1に示す。
Figure 2013178489
表1に示すように、アミノシラン処理を行った偏光層上にポリエーテルポリウレタン樹脂を含むプライマー層を形成した実施例1〜7では膜剥離はまったくまたはほとんどなく、プライマー層による密着性向上が達成された。エポキシシラン処理なしの実施例3および4では曇りおよびクラックが観察されたため、これらレンズを断面観察したところ、曇りおよびクラックは偏光層で発生していることが確認された。エポキシシラン処理により偏光層の膜強度が向上したことが、エポキシシラン処理を行った実施例1、2、5、6および7において曇りやクラックが発生しなかった理由であると考えられる。
これに対し、比較例1〜5において膜剥離が発生した理由は、プライマー層形成のためにポリエーテルポリウレタン樹脂を使用しなかったことにあると推察される。また、アミノシラン処理なしの比較例6および7において剥離が発生した箇所を目視で確認したところ偏光層において剥離が発生していたことから、アミノシラン処理によって偏光層と下層の配列層との密着性が強化されたことが確認できる、また、比較例6および7のレンズを断面観察したところ、偏光層において曇りおよびクラックが発生していることが確認された。この結果から、アミノシラン処理は偏光層の膜強度向上にも寄与することが確認できる。
以上の結果から、本発明によれば偏光層やハードコート層の密着性が高く優れた耐久性を有する偏光レンズを提供することができ、更には曇りやクラックのない高品質な偏光レンズの提供も可能であることが示された。
本発明は眼鏡レンズの製造分野において有用である。

Claims (5)

  1. レンズ基材上に二色性色素を配列堆積させることにより偏光層を形成する偏光層形成工程、
    前記偏光層にアミノ基含有シランカップリング剤溶液を含浸させるアミノシラン処理工程、
    アミノシラン処理工程後の偏光層上にポリエーテルポリウレタン樹脂と水系溶媒とを含有する水系樹脂組成物を塗布した後に該組成物を乾燥させることによりプライマー層を形成するプライマー層形成工程、および、
    形成したプライマー層上に硬化性組成物を塗布した後に硬化処理を施すことにより硬化被膜を形成する被膜形成工程、
    を含むことを特徴とする偏光レンズの製造方法。
  2. 前記硬化処理を、光照射または加熱により行う請求項1に記載の偏光レンズの製造方法。
  3. 前記アミノシラン処理において、アミノ基含有シランカップリング剤溶液を含浸させた後に乾燥または加熱処理を施す請求項1または2に記載の偏光レンズの製造方法。
  4. 前記アミノシラン処理工程後であってプライマー層形成工程前の偏光層にエポキシ基含有シランカップリング剤を含浸させるエポキシシラン処理を行うことを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光レンズの製造方法。
  5. 前記エポキシシラン処理において、エポキシ基含有シランカップリング剤を含浸させた後に乾燥または加熱処理を施す請求項4に記載の偏光レンズの製造方法。
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