JP2013178353A - 画像形成装置及び方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 熱膨張層を備える媒体に立体画像を形成する際に、画像の隆起量を調節することができる画像形成装置を提供することができる。
【解決手段】 本発明は、熱膨張層を備える媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。そして、画像形成装置は、光吸収性を有する材料を含有する現像剤による現像剤像を媒体に形成する現像手段と、媒体に形成する画像を隆起させる隆起量を含む画像形成条件情報を保持する手段と、保持した画像形成条件情報に基づいて現像手段により画像形成を行うそれぞれの領域の画像形成密度を決定する手段と、決定した画像形成密度に従って、現像手段が、媒体への画像形成を行うように制御する手段とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、画像形成装置及び方法に関し、例えば、点字等を印刷するプリンタ等に適用し得る。
従来、印刷媒体表面の文字や画像等の印刷についてその一部または全ての画像の領域を隆起させた立体画像の印刷を実現する方法が提案されている。主な用途は視覚障害者用の印刷物に点字画像を付与したり、また記憶効率を向上させるために視覚と触覚両方で文字を認識できる初等教育用教材として使用されたりしている。
以前より立体印刷においては専用の点字プリンタやエンボス印刷等が存在していたが、特許文献1では、マイクロカプセル状の熱膨張性材料(熱により膨張する性質のある材料)を用いることについて記載されている。特許文献1の記載技術では、基材シート上に熱膨張性材料が塗布された印刷媒体に、通常のインクジェットプリンタや電子写真プリンタ等で画像を形成し、光吸収性の高い現像剤(トナー剤)に光照射を行うと吸収された光エネルギーが熱エネルギーに変換され、熱膨張性材料が発泡して画像を立体化させる方法が提案されている。
特開平1−28657号公報
しかしながら特許文献1の記載技術では、画像の隆起量すなわち熱膨張性材料の発泡性能は、現像剤の光吸収特性と光源から照射する光エネルギー量により一意的に決定されるため、異なる種類の印刷媒体(熱膨張シート)を使用した場合に所望の隆起量が得られず、例えば点字の認識率が低下するという問題があった。
そのため、熱により膨張する熱膨張性材料を含有する熱膨張層を備える媒体に立体画像を形成する際に、画像の隆起量を調節することができる画像形成装置及び方法が望まれている。
第1の本発明は、熱により膨張する熱膨張性材料を含有する熱膨張層を備える媒体に画像を形成する画像形成装置において、(1)光吸収性を有する材料を含有する現像剤による現像剤像を、前記媒体に形成する現像手段と、(2)前記媒体に形成する画像を隆起させる隆起量を含む画像形成条件情報を保持する画像形成条件保持手段と、(3)前記画像形成条件保持手段で保持した画像形成条件情報に基づいて、前記現像手段により画像形成を行うそれぞれの領域の画像形成密度を決定する画像形成密度決定手段と、(4)前記画像形成密度決定手段が決定した画像形成密度に従って、前記現像手段が、前記媒体への画像形成を行うように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
第2の本発明は、熱により膨張する熱膨張性材料を含有する熱膨張層を備える媒体に画像を形成する画像形成方法において、(1)現像手段、画像形成条件保持手段、画像形成密度決定手段、制御手段を有し、(2)前記現像手段は、光吸収性を有する材料を含有する現像剤による現像剤像を、前記媒体に形成し、(3)前記画像形成条件保持手段は、前記媒体に形成する画像を隆起させる隆起量を含む画像形成条件情報を保持し、(4)前記画像形成密度決定手段は、前記画像形成条件保持手段で保持した画像形成条件情報に基づいて、前記現像手段により画像形成を行うそれぞれの領域の画像形成密度を決定し、(5)前記制御手段は、前記画像形成密度決定手段が決定した画像形成密度に従って、前記現像手段が、前記媒体への画像形成を行うように制御することを特徴とする。
本発明によれば、熱により膨張する熱膨張性材料を含有する熱膨張層を備える媒体に立体画像を形成する際に、画像の隆起量を調節することができる画像形成装置を提供することができる。
第1の実施形態に関係する各装置(実施形態の画像形成装置を含む)の機能的構成の機能的構成について示した説明図である。 第1の実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。 第1の実施形態に係る印刷条件入力部により表示される印刷条件情報入力画面の例について示した説明図である。 第1の実施形態に係る第1定着部の定着プロセス後に、現像剤が印刷媒体の表面に定着した状態について示した説明図である。 第1の実施形態に係る第2定着器の処理後の印刷媒体について、発泡層が隆起した状態について示した説明図である。 第1の実施形態に係る第2定着器の処理後の印刷媒体について、K現像剤の印刷密度(K印刷Duty)と隆起量との関係について示したグラフ(その1)である。 第1の実施形態に係る第2定着器の処理後の印刷媒体について、K現像剤の印刷密度(K印刷Duty)と隆起量との関係について示したグラフ(その2)である。 第1の実施形態に係る第2定着器の処理後の印刷媒体について、K現像剤の印刷密度(K印刷Duty)と隆起量との関係について示したグラフ(その3)である。 第1の実施形態に係る相関テーブルの内容例について示した説明図である。 第2の実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。 第2の実施形態に係る画像形成装置の隆起量検出センサの周辺について拡大して示す概略断面図である。 第2の実施形態に関係する各装置(実施形態の画像形成装置を含む)の機能的構成の機能的構成について示した説明図である。 第2の実施形態に係る印刷条件入力部により表示される印刷条件情報入力画面の例について示した説明図である。 第2の実施形態の画像形成装置の相関関係検査モードで用いられる検査用の印刷パターンの例について示した説明図である。 第2の実施形態に係る画像形成装置で用いられる検査用の印刷パターンの画像が印刷媒体に形成された場合の各領域の隆起の状態を表わした説明図である。 第2の実施形態に係る隆起特性解析部で行われる、K現像剤の印刷密度(K印刷Duty)と隆起量との相関関係に関する解析処理について示した説明図である。 第2の実施形態に係る相関テーブルで、相関関係情報が追加された状態について示した説明図である。
(A)第1の実施形態
以下、本発明による画像形成装置及び方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に関係する各装置(第1の実施形態の画像形成装置1を含む)の機能的構成について示したブロック図である。
図2は、第1の実施形態の画像形成装置1の概略断面図である。
図1、図2に示すように画像形成装置1には、印刷媒体(印刷用紙)Sに画像を形成するための画像形成部300(現像手段)が備えられている。そして、画像形成部300には、印刷媒体Sをセット(載置面に積載)する給紙ユニット8と、給紙ユニット8に積載された印刷媒体Sを、画像形成部300内部に供給するための給紙ローラ7が配置されている。
画像形成装置1で、画像形成に用いる印刷媒体Sは、熱により熱膨張する熱膨張性材料を含有する熱膨張層(以下では、「発泡層」とも呼ぶ)を有しているものとする。印刷媒体Sの具体的な材料や構成については限定されないものであるが、例えば、特許文献1に記載されている「熱膨張性シート」等を適用することができる。
画像形成部300では、給紙ローラ7の媒体供給方向の下流側に(図2の左側)レジストローラ対13が配置されている。給紙ローラ7により画像形成部300内部に供給された印刷媒体Sは、レジストローラ対13により、さらに媒体供給方向の下流に搬送される。
そして、画像形成部300では、レジストローラ対13の媒体供給方向の下流側には、画印刷媒体Sを搬送するための搬送ベルト14が配置されている。
そして、画像形成部300には、黒色の現像剤(トナー剤)を用いて画像形成するKドラムユニット3、それぞれ異なる色(シアン、マゼンタ、イエロー)の現像剤を用いて画像形成する3つのカラードラムユニット4、5、6が、搬送ベルト14に沿って直列に配置されている。そして、Kドラムユニット3、カラードラムユニット4、5、6には、それぞれ、図示しない光ヘッド及び帯電ローラにより、表面上に現像剤像を形成する感光ドラム3a、4a、5a、6aが搭載されている。なお、以下では、黒(ブラック)を「K」、シアンを「C」、マゼンタを「M」、イエローを「Y」とも表わすものとする。
そして、搬送ベルト14の内側には、Kドラムユニット3、カラードラムユニット4、5、6のそれぞれに対向する位置に、印刷媒体に現像剤像を転写するための転写ローラ15、16、17、18が配置されている。転写ローラ15、16、17、18は、搬送ベルト14上を通過する印刷媒体Sに対して、対向するドラムユニットの感光ドラムの表面に形成された現像剤像を転写する。すなわち、画像形成部300では、現像剤としてのトナー剤によるトナー像を、印刷媒体Sに転写する電子写真式の画像形成が行われる。
そして、搬送ベルト14の媒体供給方向の下流側には、第1定着器19が配置されている。第1定着器19では、搬送ベルト14から供給された印刷媒体S(各ドラムユニットにより現像剤像が形成されている)を挟み込む1対のローラとしてアッパローラ19a及びロワローラ19bが配置されている。第1定着器19では、アッパローラ19a及びロワローラ19bにより印刷媒体Sが挟み込まれ、熱と圧力により印刷媒体Sに形成された現像剤像が定着される。そして、第1定着器19では、搬送ベルト14から供給された印刷媒体Sが、アッパローラ19a及びロワローラ19bにより、さらに媒体供給方向の下流側に送られる。
そして、第1定着器19の媒体供給方向の下流側には、照射手段としての第2定着器21が配置されている。
第2定着器21は、輪射カバー21a、搬送ベルト21b、及び赤外光ランプ22を有している。第2定着器21では、第1定着器19から供給された印刷媒体Sを、搬送ベルト21bで受け取り、さらに媒体供給方向の下流側に送り込む。第2定着器21には、搬送ベルト21bの近傍に、赤外光ランプ22が配置されており、赤外光ランプ22は、搬送ベルト21b上を通過する印刷媒体Sに赤外光を照射する。図2に示すように、第2定着器21では、赤外光ランプ22から発光された赤外光を、凹形状の輪射カバー21aに反射させ、その反射光が、搬送ベルト21b上の印刷媒体Sに照射されるように構成されている。
そして、第2定着器21の媒体供給方向の下流側には、第2定着器21から供給された印刷媒体Sを、画像形成部300の外部に排出するための排紙ローラ対23が配置されている。また、画像形成部300には、排紙ローラ対23により排出された印刷媒体Sを積載可能なスタッカ24が配置されている。
画像形成部300では、媒体供給の搬送路上に、それぞれ配置された地点において印刷媒体Sを検知するための媒体位置検知センサ9、10、11、12が配置されている。媒体位置検知センサ9は、媒体供給の搬送路の入り口(給紙ローラ7とレジストローラ対13との間)に配置されている。媒体位置検知センサ10は、媒体供給の搬送路上で、レジストローラ対13と搬送ベルト14との間に配置されている。媒体位置検知センサ11は、媒体供給の搬送路上で、搬送ベルト14と第1定着器19との間に配置されている。媒体位置検知センサ12は、媒体供給の搬送路上で、第1定着器19と第2定着器21との間に配置されている。
画像形成装置1には、図1、図2に示すように、上位装置200が接続されている。上位装置200は、印刷データ(画像データ)の作成機能や、ユーザとのインタフェースの機能等を担っている。言い換えると、画像形成装置1は、上位装置200のプリンタとして機能している。
上位装置200は、アプリケーション201、印刷条件入力部202、送信データ生成部203、及びI/F部204を有している。
上位装置200は、例えば、PC等の情報処理装置に、アプリケーション201、印刷条件入力部202、及び送信データ生成部203のそれぞれに相当するプログラムをインストールすることにより構成するようにしてもよく、その場合でも機能的には、図1のように示すことができる。なお、上位装置200の各処理構成については、一部又は全部を画像形成装置1側に搭載するようにしてもよい。
I/F部204は、上位装置200を画像形成装置1に接続することが可能なインタフェースである。上位装置200と画像形成装置1との間の接続構成は限定されないものであるが、例えば、USB接続やネットワーク接続(有線や無線等、ネットワーク構成については限定されない)等の接続構成を適用することができる。したがって、I/F部204としては、画像形成装置1との接続構成に対応したインタフェースを適用する必要がある。
アプリケーション201は、上位装置200において、ユーザからの入力操作に基づいて印刷データ(画像データ)を作成するプログラムである。アプリケーション201としては、例えば、ワードプロセッサ、画像作成アプリケーション等を適用することができる。なお、上位装置200では、アプリケーション201によらずに、他の装置のアプリケーションで作成された印刷データの供給を受けて処理するようにしてもよい。
印刷条件入力部202は、画像形成装置1で行う印刷処理(画像形成処理)の条件の入力をユーザから受け付けて、入力された印刷条件を保持する機能を担っている。印刷条件入力部202の詳細構成については後述する。
送信データ生成部203は、アプリケーション201等で生成された印刷データに基づく画像を、印刷条件入力部202で保持した印刷条件で、画像形成装置1に印刷(画像形成)させるための送信データを作成する。送信データ生成部203は、送信データを生成すると、その送信データについて、I/F部204を介して、画像形成装置1に送信する。
そして、画像形成装置1は、図1、図2に示すように、上位装置200からの送信データの供給を受けて、その送信データを処理する画像処理部100を有している。
画像処理部100は、印刷データ生成部101、K画像データ処理部102、カラー画像データ処理部103、媒体情報記憶部104、画像データ処理部105、及びI/F部106を有している。画像処理部100は、例えば、プロセッサやメモリ等のプログラムの実施構成に画像処理プログラム等をインストールすることにより実現するようにしても良いが、その場合でも機能的には図1のように構成を示すことができる。
I/F部106は、上位装置200と接続可能なインタフェースであり、上位装置200との接続方式に応じたインタフェースが適用される。
画像データ処理部105は、上位装置200から供給された送信データから、Kドラムユニット3及びカラードラムユニット4、5、6のそれぞれで印刷(画像形成)すべき画像(成分)を解析する。
K画像データ処理部102は、印刷データ生成部101で解析された結果に基づいて、送信データから、Kドラムユニット3で形成する画像のデータ(以下、「K画像データ」と呼ぶ)を形成するものである。
カラー画像データ処理部103は、印刷データ生成部101で解析された結果に基づいて、送信データから、それぞれのカラードラムユニット4、5、6で形成する画像のデータ(以下、これらの画像の集合をまとめて「カラー画像データ」と呼ぶ)を形成する。
相関関係情報保持手段としての媒体情報記憶部104は、画像形成部300で印刷(画像形成)される印刷媒体Sに関する情報を記憶している。媒体情報記憶部104に記憶される情報の詳細については後述する。
制御手段及び画素密度決定手段としての印刷データ生成部101は、K画像データ及びカラー画像データをまとめて、画像形成部300に供給するための印刷データを生成し、画像形成部300に供給する。
画像形成部300には、図1、図2に示すように、印刷制御部2及び現像器制御部25が配置されている。
印刷制御部2は、画像処理部100(印刷データ生成部101)から供給される印刷データに基づいて、印刷媒体Sに印刷(画像形成)を行うために、画像形成部300内の各構成要素を制御するものである。ただし、各ドラムユニット(Kドラムユニット3、カラードラムユニット4、5、6)については、現像器制御部25が直接の制御を行っているため、印刷制御部2は、各ドラムユニットに対する制御(例えば、K画像データ及びカラー画像データの供給)については、現像器制御部25を介して行う。
次に画像処理部100の印刷データ生成部101における画像調整処理について説明する。
図4は第1定着部19の定着プロセス後に、現像剤が印刷媒体Sの表面に定着した状態について示した説明図である。
図4(d)は、第1定着部19の定着プロセスで、現像剤が印刷媒体Sの表面に定着した状態について示した断面図である。
図4(d)に示すように、印刷媒体Sは、基材シート層S1の上に、発泡層S2が積層された構造になっており、各ドラムユニットでは、この発泡層S2の上に現像剤を用いた画像が形成される。なお、以下では、印刷媒体Sで現像剤による画像形成が行われる面(図4では発泡層S2の表面)を「印刷面」とも呼ぶものとする。
そして、図4に示す印刷媒体Sの印刷面上において、3つの円形の領域I1、I2、I3にそれぞれ異なる条件で現像剤による画像が定着されている。図4(a)〜図4(c)は、それぞれ、領域I1、I2、I3について印刷面側から見た状態(画像)について示している。
領域I1には、K現像剤を印刷Duty(印刷密度)100%で定着させた状態となっているものとする。また、領域I2には、K現像剤を印刷Duty50%で定着させた状態となっているものとする。さらに、領域I3にはC(シアン)の現像剤を印刷Duty100%で定着させた状態となっているものとする。また、図4(d)に示すように、領域I1、I2、I3では、いずれも、印刷面に現像剤がほぼ同じ厚さ(高さ)で積層(定着)された状態であるものとする。
なお、印刷Dutyとは、画像形成装置1により画像形成が行われる場合に、画像形成を行う各領域(例えば、上述の領域I1〜I3のような領域)に対して現像剤による画像形成を行う密度を示している。例えば、画像形成装置1では、単位面積あたりの画素数(画素密度)を調節することにより印刷Dutyを調節することができる。例えば、上述の領域I1では、印刷Dutyが100%となっているので、領域I1内の全てが現像剤による画素で埋められていることを示している。そして、上述の領域I2では、印刷Duty50%となっているので、領域I2の半分の領域が現像剤による画素で埋められていることを示している。
なお、以下では、K現像剤を用いて形成された画像を、「K画像」とも呼ぶものとする。また、同様に、C現像剤を用いて形成された画像を「C画像」とも呼ぶものとする。また、以下では、K画像におけるK現像剤による印刷密度を「K印刷Duty」と呼ぶものとする。さらに、以下では、C画像におけるC現像剤による印刷密度を「C印刷Duty」と呼ぶものとする。例えば、K印刷Duty50%という場合には、当該領域において、K現像剤による印刷密度が50%であることを表わす。
ところで、K画像を形成するK現像剤(例えば、顔料にカーボンブラックを含むK現像剤)は、赤外領域の光吸収性が高い。一方、C画像(シアンの画像)を形成する現像剤(例えば顔料にフタロシアニンを含む淡青色のトナー)は赤外領域の光吸収性が低いため、第2定着部21の赤外光ランプ22の光照射を受けると、領域I1(K印刷Duty100%)、及び領域I2(K印刷Duty50%)の画像を形成するK現像剤は高温となり、領域I3(C印刷Duty100%)の画像を形成するC現像剤の吸熱は少ないという結果となる。
その結果、図5に示すように、K現像剤下の領域(印刷面のうちK現像剤が定着された領域)の発泡層S2は含有する熱膨張性材料が膨張(発泡)し隆起する。
図5は、図4に示す印刷媒体Sについて、第2定着器21の定着プロセス後に、K画像下Kの領域の発泡層S2が隆起した状態について示した説明図である。図5(a)〜図5(c)は、それぞれ、領域I1、I2、I3に形成された画像について示している。また、図5(d)は、印刷媒体Sの断面図(領域I1、I2、I3を含む断面図)である。
このとき、同じK画像が形成された領域でも、K印刷Dutyのより高い領域の方が、より高温となるため、領域I1(K印刷Duty100%)よりも領域I3(C印刷Duty100%)の方が、発泡層S2の隆起が高くなる。図5では、領域I1(K印刷Duty100%)の断面で、最も厚くなっている部分の、印刷面からの高さ(印刷面からの厚さ)を「h1」と表わしている。また、図5では、領域I2(K印刷Duty50%)の断面で、最も厚くなっている部分の、印刷面からの高さを「h2」と表わしている。そして、領域I2よりも領域I1の方が印刷Dutyが高いためh1>h2の関係となっている。
なお、以下では、h1、h2のように、印刷媒体SのK現像剤下の領域で、第2定着器21による定着処理(赤外光の照射)が行われた後の最も厚くなっている部分の、印刷面からの隆起高さ(印刷面からの厚さ)を「隆起量」とも呼ぶものとする。
ところで、基材シートS1や発泡層S2に含有される熱膨張性材料に異なる材料を使用して製造された印刷媒体に同様の定着処理(赤外光照射)を行うと、同じK印刷Dutyの画像であっても熱膨張性材料の発泡による隆起量が異なる。
図6では、異なる材料を使用した3種類(種類SA、種類SB、種類SC)の印刷媒体に同様の条件でK現像剤による画像形成を行って、同様の条件で定着処理(第1定着器19、及び第2定着器21による定着処理)を行った場合の隆起量の計測結果について示した説明図である。図6では、横軸をK印刷Duty[%]とし、縦軸を隆起量[mm]として示している。
図6に示すように、種類SAの印刷媒体に印刷Duty50%のK画像を印刷し、光照射(第2定着器21による処理)を施すと約0.5mm隆起するのに対し、種類SBの印刷媒体では約0.3mm、印刷媒体SCでは約0.4mmの隆起量となっている。
一般に点字の高さの読み取りやすさの最適値は0.4mm程度と言われており、例えば印刷媒体SAに100%Dutyの点字画像を印刷すると約0.7mmの隆起量となり、認識しづらい点字像を形成してしまう。
ここで図6の各印刷媒体の印刷Dutyと隆起量の関係から回帰曲線を求めると図7に示すように多項式で表わすことが可能な相関性があることが分かる。さらに、図8に示すように、隆起量を変数とする回帰曲線から得られた近似式により、所望の隆起量を得るためのK印刷Dutyを特定することが出来る。図8のグラフでは、隆起量を横軸、K印刷Dutyを縦軸とし、図7の回帰曲線から得られた近似式をあてはめた結果について示している。
上述のように、印刷媒体の種類ごとの隆起量とK印刷Dutyの関係を纏めたものが図9に示すテーブルである。
図9に示すテーブルではでは、3種類の印刷媒体SA、SB、SCのそれぞれについて、隆起量ごとに対応するK印刷Dutyが登録されている。図9に示す媒体情報記憶部104では、例えば、種類SAの印刷媒体について0.4mmの隆起量を得たい領域については、K印刷Duty43%で、K現像剤を用いた印刷を行えば良いことが分かる。
そして、媒体情報記憶部104には、図9に示すような形式のテーブル(相関テーブル1041)が格納されているものとする。そして、画像形成装置1では、ユーザが所望する用紙種類および隆起量の情報から決定されるK印刷Dutyを、印刷データ生成部101が媒体情報記憶部104(相関テーブル1041)から取得し、K画像の領域について取得したK印刷Dutyを適用した画像調整処理をK画像の印刷データに適用する。
図9の相関テーブル1041に示すように、例えば、0.4mmの隆起量の点字を形成したい場合には、種類SCの印刷媒体にK印刷Duty53%のK画像を形成すれば良い。また、図9の相関テーブル1041に示すように、例えば、隆起量が0.6mmの文字を形成したい場合には、種類SAの印刷媒体にK印刷Duty64%の画像を印刷すれば良い。
この実施形態では、媒体情報記憶部104に、各種類の印刷媒体についてK印刷Dutyと隆起量との相関関係を示す情報(以下、「相関関係情報」と呼ぶ)として、隆起量ごと(0.1mmきざみ)のK印刷Dutyを登録する形式となっているが、相関関係情報を登録する形式はこれに限定されない。例えば、ある種類の印刷媒体について、隆起量とK印刷Dutyとの関係が、以下の(1)式のような多項式で示される場合には、画像形成装置1に、以下の(1)式における当該印刷媒体固有のパラメータ(k、m、n)だけを相関関係情報として登録しておき、所望の隆起量に応じたK印刷Dutyを求めて取得するようにしても良い。なお、以下の(1)式では、「y」は求めるべきK印刷Dutyの値、「x」は所望の隆起量を示している。また、以下の(1)式における「k」、「m」、「n」は当該印刷媒体の種類に係る固有の定数値であり、実験結果等により予め求めた値を適用するようにしても良い。
y=kx+mx+n …(1)
以上のように、媒体情報記憶部104で相関関係情報を登録する形式については限定されないものである。
そして、この実施形態では、ユーザから、印刷(画像形成)に用いる印刷媒体Sに適用する印刷媒体の種類及び所望の隆起量の入力を受付ける処理が、上位装置200の印刷条件入力部202で行われるものとする。印刷条件入力部202については、上述の通り画像形成装置1側に搭載するようにしても良いが、この実施形態では、上位装置200で入力された情報が送信データの一部として供給されるものとする。
この実施形態では、印刷条件入力部202により、ユーザから印刷条件に関する情報(以下、「印刷条件情報」と呼ぶ)として、印刷媒体種類を特定する情報(以下、「指定印刷媒体情報」と呼ぶ)と、所望の隆起量(以下、「指定隆起量」と呼ぶ)とを取得するものとする。そして、送信データ生成部203では、印刷条件入力部202が取得した印刷条件情報を送信データに含めて、画像形成装置1に供給するものとする。
印刷条件入力部202では、用紙種類入力部2021により指定印刷媒体情報を取得する処理が行われ、高さ入力部2022で、指定隆起量を取得する処理が行われる。
印刷条件入力部202で、ユーザから印刷条件情報を取得する手段については限定されないものであるが、例えば、上位装置200がディスプレイ及び入力手段(例えば、ポインティングデバイスやキーボード等)を備えるPCである場合には、上位装置200に、図3に示すような入力操作画面(以下、「印刷条件情報入力画面」と呼ぶ)を表示させて、ユーザからの入力操作を受付けるようにしても良い。
図3の印刷条件情報入力画面では、フィールドF11及びフィールドF12に、ユーザから印刷媒体の種類(指定印刷媒体情報)の入力を受付けるためのリストボタン(オブジェクト)が配置されている。すなわち、フィールドF11及びフィールドF12のリストボタンは、用紙種類入力部2021により構成されるオブジェクトとなっている。図3の印刷条件情報入力画面では、フィールドF11のリストボタンにより、ユーザに使用する印刷媒体のメーカを選択させ、フィールドF12のリストボタンにより、ユーザに、フィールドF11で指定されたメーカの商品名のいずれかを選択させる構成となっている。用紙種類入力部2021では、フィールドF11及びフィールドF12で指定された、メーカ名及び商品名の組合せに対応する指定印刷媒体情報(相関テーブル1041に登録されている印刷媒体の種類のいずれかを識別する識別情報)を取得する。例えば、用紙種類入力部2021では、メーカ名及び商品名の組合せのそれぞれに対応する指定印刷媒体情報を登録しておき、フィールドF11及びフィールドF12で指定された内容に基づいた指定印刷媒体情報を取得するようにしても良い。なお、用紙種類入力部2021では、単に、印刷媒体の種類の名称を1つのフィールド(リストボタン)で選択させたり、ユーザからのキーボード等による直接入力により、指定印刷媒体情報の入力を受け付けるようにしても良い。
図3の印刷条件情報入力画面では、フィールドF13に、指定隆起量(膨らみ高さ)の入力を受付けるためのリストボタン(オブジェクト)が配置されている。すなわち、フィールドF13のリストボタンは、高さ入力部2022により構成されるオブジェクトとなっている。図3の印刷条件情報入力画面では、フィールドF13のリストボタンにより、ユーザに指定隆起量(相関テーブル1041に登録されている指定隆起量のいずれか)を選択させる構成となっている。そして、フィールドF13のリストボタンで選択された値が高さ入力部2022により指定隆起量として取得される。
そして、画像処理部100の印刷データ生成部101では、上位装置200からの送信データに含まれる印刷条件情報に基づいて、K画像データに基づく画像形成に適用すべきK印刷Dutyを、媒体情報記憶部104(相関テーブル1041)から取得する。
そして、画像処理部100の印刷データ生成部101は、決定したK印刷Dutyで、送信データに含まれるK画像データに基づく画像の形成がなされるようにK画像データを調整する処理(以下、「画像調整処理」と呼ぶ)を行い、画像調整処理を行ったK画像データを、現像器制御部25に供給する。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の画像形成装置1で、印刷媒体Sに印刷(画像形成)が行われる一連の動作(実施形態の画像形成方法)を説明する。
まず、ユーザの操作により、上位装置200のアプリケーション201で、画像データが作成されたものとする。そして、さらにユーザの上位装置200に対する操作により、作成された画像データについて、印刷命令が実行されたものとする。そして、上位装置200では、印刷命令が実行されると、印刷条件入力部202により、図3に示す印刷条件情報入力画面がディスプレイに表示されるものとする。そして、上位装置200では、ユーザによる印刷条件情報入力画面(印刷条件入力部202)に対する操作により、印刷条件情報として指定隆起量及び指定印刷媒体情報が選択入力されたものとする。そして、ユーザにより、印刷条件情報が選択入力されると、印刷条件入力部202は、取得した印刷条件入力部202を、送信データ生成部203に供給する。
そして、送信データ生成部203は、アプリケーション201の画像データと印刷条件入力部202の印刷条件の情報から送信データを作成し、上位装置200のI/F部204を介して、画像形成装置1(画像形成装置のI/F部106)に送信する。
そして、画像形成装置1では、画像処理部100により送信データが取得される。
画像処理部100では、取得された送信データのうち、画像データが、K画像データ処理部102、カラー画像データ処理部103及び、画像データ処理部105により処理される。画像データ処理部105は、送信データに含まれる画像データを解析する。そして、K画像データ処理部102は、画像データ処理部105の解析結果に基づいて画像データからK画像データを生成する。同様に、カラー画像データ処理部103も、画像データ処理部105の解析結果に基づいてカラーが像データ(C/M/Yの各色の現像剤で形成する画像のデータ)を生成する。
一方、印刷データ生成部101では上位装置200から供給された送信データに含まれる印刷条件情報(指定隆起量、指定印刷媒体情報)に対応するK印刷Dutyの値を、相関テーブル1041から取得する。そして、印刷データ生成部101は、K画像データに対して、取得したK印刷Dutyの値に基づいた画像調整処理を施し、画像調整処理後のK画像データと、カラー画像データとを合わせて印刷データとして、印刷制御部2に供給する。
印刷制御部2は受け取った印刷データを現像器制御部25へと転送し、各ドラムユニット3、4、5、6の感光ドラム3a、4a、5a、6aの表面に画像形成動作を開始する。
ドラムユニット3、4、5、6の感光ドラム3a、4a、5a、6aの近傍には図示せぬ帯電手段と露光手段が配設され、感光ドラム3a、4a、5a、6a表面を負の電位に帯電させた後、露光手段の明滅にて印刷データに応じて部分的に帯電電位を弱くすることで印刷データの静電潜像を形成する。そして、ドラムユニット3、4、5、6内部に収納された現像剤が印刷データの静電潜像部に付着し、現像剤像が感光ドラム3a、4a、5a、6a表面に形成され、感光ドラム3a、4a、5a、6aの回転と共に搬送される。そして、同時に印刷制御部2は、給紙ローラ7を駆動することにより、給紙ユニット8に積載された印刷媒体Sの供給を開始する。
印刷媒体Sは、媒体搬送路上の媒体位置検知センサ9により印刷媒体Sが正常に給紙されたことが検出され、レジストローラ対13により用紙先端位置の位置決めの後、さらに媒体供給方向の下流へと搬送される。そして、印刷媒体Sの先端(媒体供給方向の下流側の端)が媒体位置検知センサ10により検出されると、印刷制御部2は搬送ベルト14による印刷媒体Sの搬送を開始するが、このときドラムユニット3、4、5、6の感光ドラム3a、4a、5a、6aの表面に形成された現像剤像を印刷媒体Sの所望の位置に転写するため、感光ドラム3a、4a、5a、6aを駆動する適正なタイミングが、媒体位置検知センサ10による検出結果に基づき調整される。
搬送ベルト14内部には転写ローラ15、16、17、18がドラムユニット3、4、5、6に対向して配されており、転写ローラ15、16、17、18に印加された現像剤像と逆電位の電圧により感光ドラム3a、4a、5a、6a表面の現像剤像が転写される。
さらに印刷媒体Sが媒体位置検知センサ11を通過すると、印刷制御部2の制御により、第1定着器19のアッパローラ19a内部に配されたハロゲンランプ20による熱と、ロワローラ19bによる圧力とが、印刷媒体S表面の現像剤像に加えられ、印刷媒体Sの表面の現像剤像が定着する。
そして、印刷媒体Sが、媒体位置検知センサ12を通過すると、印刷制御部2の制御により、第2定着器21内の輪射カバー21a内部に配された赤外光ランプ22が発光され、輪射カバー21aにより印刷媒体S表面へ集中させた光エネルギーが、光吸収性の高い現像剤(主としてK現像剤)にて形成された部分で、熱エネルギーに変換され、現像剤下の熱膨張性材料を含有する発泡層S2が発泡し、当該領域の印刷面が隆起する。
以上により立体画像が形成された印刷媒体Sは第2定着器21内の搬送ベルト21bにより下流へと搬送される。
最後に印刷媒体Sは排紙ローラ対23により画像形成部300の外部へ排出され、スタッカ24に積載されることで画像形成が完了する。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
画像形成装置1では、印刷媒体の種類ごとの、K印刷Dutyと隆起量との相関関係を示す相関関係情報を相関テーブル1041に記憶しておき相関テーブル1041を使用して光吸収性の高いK画像の印刷密度に関する画像調整処理を行うようにした。これにより、画像形成装置1では、複数の異なる種類の印刷媒体を使用しても、所望の隆起量の立体画像の形成を行うことができる。
また、画像形成装置1では、立体画像形成の手段として、熱膨張性材料を含有する発泡層が設けられた印刷媒体に、光吸収性の高い顔料(例えば、Kトナー)を含む現像剤を用いて画像形成する構成としたことで、特殊な現像剤や印刷プロセスを利用した専用の装置を使用する場合とは異なり、一般の画像形成装置で簡単に高品質な立体画像形成が実現できる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による画像形成装置及び方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(B−1)第2の実施形態の構成及び動作
以下、第2の実施形態の画像形成装置1Aの構成及び動作(実施形態の画像形成方法)について、第1の実施形態との差異を説明する。
図10は、第2の実施形態の画像形成装置1Aの概略断面図であり、上述の図2と同一又は対応する部分には同一又は対応する符号を付している。
図11は、第2の実施形態に関係する各装置(第2の実施形態の画像形成装置1Aを含む)の機能的構成について示したブロック図であり、上述の図1と同一又は対応する部分には同一又は対応する符号を付している。
第1の実施形態の画像形成装置1では、相関テーブル1041の内容(相関関係情報)は予め保持されているものとして説明した。これに対して、第2の実施形態では、供給された印刷媒体Sにについて検査して相関関係情報(K印刷Dutyと隆起量との相関関係)を求め、相関テーブル1041に当該印刷媒体の媒体種類に関する相関関係情報を追加登録する構成が追加されている点で、第2の実施形態と異なる。以下、第2の実施形態について第1の実施形態との差異を中心に説明する。
すなわち、第2の実施形態の画像形成装置1Aでは、供給された印刷媒体Sに関する相関関係情報を検査し、検査した結果を、相関テーブル1041に追加登録することができる相関関係検査モードで動作することが可能となっている。
以下では、画像形成装置1Aにおいて相関関係検査モードで動作する場合に必要な構成について説明する。
第2の実施形態では、上位装置200が上位装置200Aに置き換えられている点で第1の実施形態と異なっている。そして、上位装置200Aでは、印刷条件入力部202及び送信データ生成部203が、印刷条件入力部202A及び送信データ生成部203Aに置換えられている点で第1の実施形態と異なっている。そして、印刷条件入力部202Aでは、用紙種類入力部2021が用紙種類入力部2021Aに置き換えられている点で第1の実施形態と異なっている。
また、第2の実施形態の画像形成装置1Aでは、画像形成部300及び画像処理部100が、画像形成部300A及び画像処理部100Aに置き換えられている点で第1の実施形態と異なっている。
第2の実施形態の画像処理部100Aでは、印刷データ生成部101が印刷データ生成部101Aに置き換えられ、さらに、相関関係情報取得手段としての隆起特性解析部107が追加されている点で、第1の実施形態と異なっている。
第2の実施形態の画像形成部300Aでは、印刷制御部2が印刷制御部2Aに置き換えられ、さらに、印刷媒体Sの搬送路上で第2定着器21と排紙ローラ対23との間(第2定着器21に対して媒体供給方向の下流側)に、隆起量検出センサ26が配置されている点で、第1の実施形態と異なっている。
画像形成装置1Aにおいて、相関関係検査モードで動作を開始するためのトリガについては限定されないものであるが、この実施形態では、ユーザの上位装置200A対する所定の操作をトリガとする例について説明する。
すなわち、ユーザが、上位装置200Aに対して相関関係検査モードで画像形成装置1Aを動作させる操作(具体的な操作内容は限定されないものである)を行うと、画像形成装置1Aは相関関係検査モードで動作を開始する。そして、画像形成装置1Aは、相関関係検査モードで動作を開始すると、次に給紙ユニット8から供給される印刷媒体Sについて、相関関係情報を取得して、媒体情報記憶部104(相関テーブル1041)に登録する。
この実施形態では、ユーザから相関関係検査モードで画像形成装置1Aを動作させる操作を受付ける処理は、印刷条件入力部202A(用紙種類入力部2021A)により、印刷条件情報入力画面を用いて行われるものとする。
図13は、第2の実施形態の印刷条件入力部202Aが表示する印刷条件情報入力画面について示した説明図である。
第2の実施形態の印刷条件情報入力画面では、フィールドF14に、ユーザから相関関係検査モードのON又はOFFの指定を受付けるためのチェックボックスのオブジェクトが追加されている点で、第1の実施形態と異なっている。フィールドF14のチェックボックスについては、用紙種類入力部2021Aにより構成されるオブジェクトであるものとする。すなわち、上位装置200Aでは、フィールドF14のチェックボックスにチェックが入れられた状態で印刷命令を実行する操作が実行された場合に、画像形成装置1Aを相関関係検査モードで動作するようにする制御が行われる。
具体的には、上位装置200Aでは、送信データ生成部203Aにより、相関関係検査モードで用いられる検査用の印刷パターンの画像データが取得(予め登録されているデータを取得するようにしても良い)され、相関関係検査モードで動作する旨の制御情報と共に、画像形成装置1Aに供給される。なお、この相関関係検査モードで用いられる検査用の印刷パターンの画像データについては、画像形成装置1A側(画像処理部100A)で予め保持しておくようにしても良い。
図14は、相関関係検査モードで用いられる検査用の印刷パターンの例について示した説明図である。図14(a)は、印刷媒体Sに印刷パターンの画像形成が行われた場合の印刷面全体について示しており、図14(b)は、印刷パターンを構成する領域I4〜I8の部分だけを拡大して示している。
図14に示すように、この実施形態の検査用の印刷パターンは、印刷媒体S上の領域I4〜I8のそれぞれにK印刷Dutyの値が異なるK画像が形成される画像となっている。この実施形態では、領域I4、I5、I6、I7、I8のK印刷Dutyは、それぞれ、100%、70%、50%、30%、10%となっている。
そして、画像処理部100Aでは、供給された送信データに含まれる制御情報に基づいて、相関関係検査モードでの動作を開始し、供給された画像データに基づいてK画像データが生成され、印刷データ生成部101Aから、画像形成部300Aに供給される。しかし、印刷データ生成部101Aでは、相関関係検査モードで動作している間は、K画像データに対する画像調整処理は行われず、そのまま印刷データ生成部101Aに供給されるものとする。
そして、画像形成部300Aでは、第1の実施例と同様の動作で、Kドラムユニット3の感光ドラム3aに形成された現像剤像の転写および第1定着器11による定着プロセスおよび第2定着器21によるプロセスが行われる。そして、立体画像が形成された印刷媒体Sは、第2定着器21内の搬送ベルト21bにより下流へと搬送される際、隆起量検出センサ26により検査用の印刷パターンを構成する領域I4〜I8のそれぞれについて隆起量に関する測定が行われる。
図11は、隆起量検出センサ26と、隆起量検出センサ26の周辺に配置された構成要素の概略断面図である。
隆起量検出センサ26は、印刷媒体Sの搬送路の上方向(図11の上方向)に配置されている。そして、隆起量検出センサ26は、下方向の搬送路上を通過する印刷媒体Sに先端が接触する棒形状の接触子26aを有している。接触子26aは、回転軸26bを中心として回転自在に付けられている。すなわち、印刷面に隆起が形成された印刷媒体Sが、隆起量検出センサ26の下を通過すると、その隆起に応じて接触子26aの先端が上下動することになる。そして、接触子26aの先端の上下動に伴って、接触子26a自体は回転軸26bを中心として回転することになる。そして、隆起量検出センサ26には、接触子26aの回転に応じた電圧となる電気信号を出力することができるセンサ回路26cが備えられている。例として、この実施形態において、センサ回路26cは、接触子26aの先端が上方向に動作して、図11の矢印Sの方向に回転する量が大きくなるほど、高い電圧となる電気信号を出力するように構成されているものとする。そして、センサ回路26cから出力される電気信号(当該電気信号の波形を表わすデジタルデータとしても良い)が、印刷制御部2Aを介して隆起特性解析部107に供給される。
したがって、検査用の印刷パターンを構成する各領域I4〜I8の配置位置は、印刷媒体Sが搬送路を通過する際の隆起量検出センサ26の接触子26aの位置と、幅方向の位置が一致している必要がある。
そして、隆起特性解析部107は、隆起量検出センサ26から供給された電気信号の波形に基づいて、印刷媒体Sの検査用の印刷パターンを構成するそれぞれの領域(領域I4〜I8)の隆起量を数値化して取得し、取得した隆起量に基づいて当該印刷媒体Sの相関関係情報を取得して、媒体情報記憶部104(相関テーブル1041)に登録する処理を行う。
次に、隆起特性解析部107が、隆起量検出センサ26から供給された電気信号の波形に基づいて、印刷媒体Sの検査用の印刷パターンを構成するそれぞれの領域(領域I4〜I8)の隆起量を数値化して取得する処理について説明する。
図15は、印刷媒体Sの検査用の印刷パターンを構成する領域I4〜I8のそれぞれの隆起の状態を表わした説明図である。図15(a)は、領域I4〜I8のそれぞれの画像を拡大して示している。図15(b)は、印刷媒体Sの断面図(領域I4〜I8の全てを含む断面)である。
図15では、領域I4〜I8の隆起量(印刷面からの高さのピーク)を、それぞれh5〜h8と表わしている。図15に示すように、h4〜h8の関係は、I4〜I8のK印刷Dutyに応じて、h8<h7<h6<h5<h4の関係となっている。
隆起量検出センサ26では、上述の通り、接触子26aの先端の高さに応じた電気信号が出力されるため、この電気信号の波形は、概ね図15(b)に示す印刷媒体Sの印刷面の断面と同様の形状となる。例えば、隆起特性解析部107で、各領域の高さのピークを、当該領域の隆起量として取得するものとすると、隆起特性解析部107は、それぞれの領域に対応する山型の波形のピークの電圧に応じた高さを、当該領域の隆起量として取得することができる。例えば、隆起特性解析部107に、予め各領域の配置順序(媒体供給方向の下流方向から上流方向の順序)を登録しておけば、隆起量検出センサ26から供給される電気信号に応じて、各領域の隆起量を数値化して取得することができる。なお、隆起特性解析部107には、電気信号の電圧から、印刷面上の高さに換算するための変換式(変換テーブルとしても良い)を備えている必要がある。
なお、隆起特性解析部107が、電気信号の電圧から、印刷面上の高さに変換する際に、印刷媒体S自体の厚さ(隆起していない部分の厚さ)を除外する方が測定精度の面からは望ましい。隆起特性解析部107が印刷媒体S自体の厚さを把握する方法については限定されないものであるが、例えば、隆起量検出センサ26から供給される電気信号の電圧の下限値に基づいて取得するようにしても良いし、予め登録した値を適用するようにしても良い。
そして、隆起特性解析部107は、各領域I4〜I8の隆起量とK印刷Dutyの値に基づいて、当該印刷媒体Sに関する相関関係情報を算出する。
図16は、各領域I4〜I8の隆起量とK印刷Dutyの値との関係の例について示したグラフである。
図16のグラフでは、横軸をK印刷Duty、縦軸を隆起量として示しており、各領域I4〜I8の隆起量の測定結果をプロットして示している。そして、図16のグラフでプロットした点に基づいて回帰分析を行い、K印刷Dutyと隆起量との相関関係を多項式(2次関数)で表現すると、以下の(2)式のように表わすことができる。以下の(2)式では、「y」をK印刷Duty、「x」を隆起量としている。
y=−0.00006x+0.0115x−0.093 …(2)
すなわち、隆起特性解析部107では、検査用の印刷パターンの各領域に対して隆起量を測定し、その測定結果に対して上述のような回帰分析を行い、その回帰分析の結果に基づいてK印刷Dutyと隆起量との相関関係を示す多項式(例えば、上記の(2)式)を求めることができる。
そして、隆起特性解析部107は、K印刷Dutyと隆起量との相関関係を示す多項式に基づいて、当該印刷媒体Sの種類に対応する相関関係情報を生成して、媒体情報記憶部104(相関テーブル1041)に追加登録する。具体的には、隆起特性解析部107は、相関テーブル1041で登録すべき隆起量ごとのK印刷Dutyを、求めた多項式から算出して、算出したK印刷Dutyを相関関係情報として相関テーブル1041に追加登録する。
図17は、相関関係情報が追加された状態の相関テーブル1041について示した説明図である。
図17では、新たに相関関係検査モードで検査対象となった印刷媒体Sの種類をSDとし、SDの種類の印刷媒体に関する相関関係情報(隆起量ごとのK印刷Dutyの値)が、相関テーブル1041登録されている様子について示している。新たに登録された印刷媒体の種類の名称(SD)を隆起特性解析部107が取得する方法については限定されないものであるが、例えば、隆起特性解析部107で所定ルールに基づいて生成した名称を適用するようにしても良いし、ユーザに入力させた名称(例えば、上位装置200Aの印刷条件入力部202Aで入力を受付けるようにしても良い)を適用するようにしても良い。また、上位装置200Aでは、次回以降、用紙種類入力部2021Aで、新たに登録された印刷媒体の種類を選択できるように、用紙種類入力部2021Aで表示するリストボタンの内容を更新する処理を行う必要がある。
以上のように、画像形成装置1Aでは、隆起特性解析部107により、新たな種類の印刷媒体に関する相関関係情報が、媒体情報記憶部104(相関テーブル1041)に登録され、検査に用いられた印刷媒体Sは排紙ローラ対23により画像形成部300Aの外部へ排出され、スタッカ24に積載され、1連の相関関係検査モードの処理は終了となる。
以上のように、画像形成装置1Aでは、相関関係検査モード媒体情報記憶部104の相関テーブル1041では、新たな種類の印刷媒体に関する相関関係情報が登録され、次回以降ユーザは、当該種類の印刷媒体を用いた印刷を行っても、第1の実施形態と同様に、所望の隆起量の立体印刷画像を形成することが出来るようになる。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して以下のような効果を奏することができる。
第2の実施形態の画像形成装置1Aでは、K印刷Dutyと隆起量の相関関係が未知の印刷媒体について、相関関係検査モードで検査を行って相関関係情報を取得し、取得した相関関係情報を、相関テーブル1041に追加して再度利用する構成を設けた。これにより、K印刷Dutyと隆起量の相関関係が未知の印刷媒体についても、第1の実施例と同様に、所望の隆起量の立体画像形成を行うことができる。
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(C−1)上記の各実施形態の画像形成装置では、画像の現像手段(画像形成部)として、電子写真方式のドラムユニットを用いていたが、現像手段で用いる現像(画像形成)の方式は限定されないものであり、インクジェット方式、熱転写方式、ドットインパクト方式等の種々の方式を適用することができる。
また、上記の実施形態では、本発明の画像形成装置をプリンタとして用いる例について説明したが、本発明の画像形成装置の用途は限定されないものであり、印刷機、複写機、複合機、ファクシミリ、プロッタ等の他の種類の画像形成装置に適用するようにしてもよい。
(C−2)上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置内部に、第2の定着器を設けた構成例を用いて説明したが、第2の定着器については当該画像形成装置から省略し、第2の定着器のプロセス(光照射による発泡プロセス)については別の装置で行うようにしてもよい。
また、上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置では、現像剤として顔料にカーボンブラックを含むK現像剤を適用し、当該現像剤に吸収させる光の光源として赤外光を発光する光源を第2定着器に適用しているが、光源の光の波長と、現像剤の吸収する光の波長が近い組合せであれば、光源と現像剤の組み合わせは上記の例に限定されないものである。また、第2定着器において、印刷媒体に光を照射する構成についても上記の実施形態の例(輪射カバーを利用した方式)に限定されず、種々の方式を適用することができる。
さらに、上記の各実施形態の画像形成装置は、タンデム構成のカラープリンタに適用する例について説明したが、用いる現像剤の種類の数は限定されない(ただし、少なくとも光吸収性を有する現像剤(例えば、K現像剤)は1つ利用する必要がある)。
(C−3)第2の実施形態の隆起特性解析部では、接触子の上下動を電気信号に変換して印刷媒体の各領域の隆起量を測定しているが、隆起量を測定する方式は上記の例に原点されず、光学的に測定する方式等他の種々の方式を適用し得る。
1…画像形成装置、2…印刷制御部、300…画像形成部、3…Kドラムユニット、4、5、6…カラードラムユニット、3a、4a、5a、6a…感光ドラム、7…給紙ローラ、8…給紙ユニット、9、10、11、12…媒体位置検知センサ、13…レジストローラ対、14…搬送ベルト、15、16、17、18…転写ローラ、19…第1定着器、19a…アッパローラ、19b…ロワローラ、20…ハロゲンランプ、21…第2定着器、21a…輪射カバー、21b…搬送ベルト、22…赤外光ランプ、23…排紙ローラ対、24…スタッカ、25…現像器制御部、100…画像処理部101…印刷データ生成部、102…K画像データ処理部、103…カラー画像データ処理部、104…媒体情報記憶部、1041…相関テーブル、105…画像データ処理部、106…I/F部、200…上位装置、201…アプリケーション、202…印刷条件入力部、2021…用紙種類入力部、2022…高さ入力部、203…送信データ生成部、204…I/F部、S…印刷媒体、S1…基材シート層、S2…発泡層。

Claims (7)

  1. 熱により膨張する熱膨張性材料を含有する熱膨張層を備える媒体に画像を形成する画像形成装置において、
    光吸収性を有する材料を含有する現像剤による現像剤像を、前記媒体に形成する現像手段と、
    前記媒体に形成する画像を隆起させる隆起量を含む画像形成条件情報を保持する画像形成条件保持手段と、
    前記画像形成条件保持手段で保持した画像形成条件情報に基づいて、前記現像手段により画像形成を行うそれぞれの領域の画像形成密度を決定する画像形成密度決定手段と、
    前記画像形成密度決定手段が決定した画像形成密度に従って、前記現像手段が、前記媒体への画像形成を行うように制御する制御手段と
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記媒体の画像形成密度と隆起量との相関関係に関する相関関係情報を保持する相関関係情報保持手段をさらに有し、
    前記画像形成密度決定手段は、前記相関関係情報保持手段が保持する相関関係情報を利用して、前記現像手段の画像形成に適用する画像形成密度を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記相関関係情報保持手段は、媒体の種類ごとの相関関係情報を保持し、
    前記画像形成条件保持手段が保持する画像形成条件情報には、画像形成に用いる前記媒体の種類を表わす媒体種類情報が含まれおり、
    前記画像形成密度決定手段は、前記画像形成条件保持手段が保持した画像形成条件情報に含まれる媒体種類情報に対応する相関関係情報を、前記相関関係情報保持手段から取得して、取得した相関関係情報に基づいて、前記現像手段に適用する画像形成密度を決定すること
    を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記現像剤が吸収する光の波長が赤外光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の画像形成装置
  5. 前記現像剤がカーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置
  6. 前記制御手段は、前記現像手段を制御して、前記媒体に、検査用画像を形成させ、
    前記現像手段により現像剤像が形成された媒体に、前記現像剤が吸収する波長の光を照射する照射手段と
    前記照射手段による照射が行われた前記媒体のうち、前記検査用画像が形成された領域の隆起量を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出結果を利用して、前記媒体に関する相関関係情報を求めて取得する相関関係情報取得手段とを備え、
    前記相関関係情報保持手段は、前記相関関係情報取得手段が取得した相関関係情報を、前記媒体に関する相関関係情報として保持する
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  7. 熱により膨張する熱膨張性材料を含有する熱膨張層を備える媒体に画像を形成する画像形成方法において、
    現像手段、画像形成条件保持手段、画像形成密度決定手段、制御手段を有し、
    前記現像手段は、光吸収性を有する材料を含有する現像剤による現像剤像を、前記媒体に形成し、
    前記画像形成条件保持手段は、前記媒体に形成する画像を隆起させる隆起量を含む画像形成条件情報を保持し、
    前記画像形成密度決定手段は、前記画像形成条件保持手段で保持した画像形成条件情報に基づいて、前記現像手段により画像形成を行うそれぞれの領域の画像形成密度を決定し、
    前記制御手段は、前記画像形成密度決定手段が決定した画像形成密度に従って、前記現像手段が、前記媒体への画像形成を行うように制御する
    ことを特徴とする画像形成方法。
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