JP2013177551A - ビス−ボロンジピロメテン系色素及びその前駆体 - Google Patents

ビス−ボロンジピロメテン系色素及びその前駆体 Download PDF

Info

Publication number
JP2013177551A
JP2013177551A JP2012280250A JP2012280250A JP2013177551A JP 2013177551 A JP2013177551 A JP 2013177551A JP 2012280250 A JP2012280250 A JP 2012280250A JP 2012280250 A JP2012280250 A JP 2012280250A JP 2013177551 A JP2013177551 A JP 2013177551A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
formulas
formula
bis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012280250A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6086526B2 (ja
Inventor
Hidemitsu Uno
英満 宇野
Mitsunori Nakamura
光則 中村
Kotaro Takahashi
功太郎 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Ehime University NUC
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Ehime University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd, Ehime University NUC filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2012280250A priority Critical patent/JP6086526B2/ja
Publication of JP2013177551A publication Critical patent/JP2013177551A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6086526B2 publication Critical patent/JP6086526B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】安定性に優れたビス−ボロンジピロメテン系色素を提供する。
【解決手段】本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素は、式(1)又は式(2)で表される。電子求引性基を有することにより、ビス−ボロンジピロメテン色素(高共役化合物)のHOMO準位を下げることができ、酸素に対する安定性が向上する。

[式(1)中、R1〜R14のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
式(2)中、R15〜R28のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。]
【選択図】図1

Description

本発明は、安定性に優れたビス−ボロンジピロメテン系色素及びその前駆体に関する。
従来、赤外線カットフィルター、近赤外線吸収フィルム、セキュリティーインク等の用途において、目に見えないという不可視性を有し、且つ、近赤外領域にシャープな吸収を有する色素への高い要求がある。
近赤外領域に吸収を持つ色素として、アゾ系色素、シアニン系色素、スチリル系色素等が知られている。しかし、これらの色素は、いずれも分子骨格がフレキシブルであるため、異性化に伴う吸収波長の変化や、求核剤との反応、熱又は酸素による分解が起こりやすく、耐久性が劣る。他に、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素も知られている。しかし、これらの色素は、可視領域にも大きな吸収を有しており、不可視性が不十分である。
そこで、不可視性を有し、且つ、近赤外領域に吸収を有する色素として、ピロロピロールを主骨格とするピロロピロール系色素(特許文献1(化合物D−30)、非特許文献1参照)が提案されている。このような、ピロロピロール系色素は、ジケトピロロピロール化合物を用いて作製されるが、化合物の溶解性を高めるために、嵩高い置換基を導入する必要がある。なお、特許文献1、非特許文献1に記載されたピロロピロール系色素では、いずれもメソ位にシアノ基が導入されているが、これらは単に色素の合成を容易にするために導入されている。
また、非特許文献2には、ビス−ボロンジピロメテン系色素が記載されている。
特開2009−263614号公報
ジョージ・M・フィッシャー(Georg M.Fischer)、外3名、「ジケトピロロピロールに基づく近赤外色素及び蛍光色素(Near-Infrared Dyes and Fluorophores Based on Diketopyrrolopyrroles)」、アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション(Angewandte Chemie International Edition)、(ドイツ)、ワイリー−ブイ・シー・エッチ社(Wiley-VCH)、 2007年、第46刊、p.3750-3753 宇野 英満、他3名、「ペリ環状反応を用いた高π共役拡張複素環式化合物の精密合成(Efficient Synthesis of Highly π-Expanded Heterocycles Based on the Pericyclic Cycloreversion)」、第23回国際複素環化学会議(2011年7月31日−8月4日、Glasgow、UK)予稿集、p.68
非特許文献2に記載されたビス−ボロンジピロメテン系色素は、可視領域の吸収が少なく、近赤外領域に吸収特性を有している。しかしながら、π共役の拡張した近赤外吸収色素では、例えば、有機溶剤に溶解した溶液状態において、酸素による色素の分解、劣化が早くなる傾向がある。そのため、従来のビス−ボロンジピロメテン系色素では、安定性の観点から改良の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、安定性に優れたビス−ボロンジピロメテン系色素を提供することを目的とする。また、このようなビス−ボロンジピロメテン系色素を得るために有用なビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体を提供することも目的とする。
本発明者らの研究によると、ビス−ボロンジピロメテン系色素化合物では、DFT(Density Functional Theory)計算による分子のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位が高い(閾値は−5eV程度)場合には、分子が酸化を受けて分解しやすくなることがわかった。そこで、ビス−ボロンジピロメテン系色素について研究を進めた結果、分子のHOMO準位を低下させることにより、酸素に対する安定性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
上記課題を解決することができた本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素は、式(1)又は(2)で表されることを特徴とする。

[式(1)中、R1〜R14のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
式(2)中、R15〜R28のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。]
また、本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体は、式(13)〜(16)で表されることを特徴とする。
[式(13)中、RingAは、下記式Ia〜IIaから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ia〜IIa中、a1〜a4は炭素番号を意味する)。

式(14)中、RingBは、下記式Ib〜IIbから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ib〜IIb中、b1〜b4は炭素番号を意味する)。

式(15)中、RingCは、下記式Ic〜IIcから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式Ic〜IIc中、c1〜c4は炭素番号を意味する)、

RingDは、下記式Id〜IIIdから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式Id〜IIId中、d1〜d4は炭素番号を意味する)、

RingEは、下記式Ie〜IIIeから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ie〜IIIe中、e1〜e4は炭素番号を意味する)。

式(16)中、RingFは、下記式If〜IIfから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式If〜IIf中、f1〜f4は炭素番号を意味する)、

RingGは、下記式Ig〜IIIgから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式Ig〜IIIg中、g1〜g4は炭素番号を意味する)、

RingHは、下記式Ih〜IIIhから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ih〜IIIh中、h1〜h4は炭素番号を意味する)。

式(13)及び(15)中、R39〜R52のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
式(14)及び(16)中、R53〜R66のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
各式中、L1〜L8は、それぞれ独立して、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。なお*は、結合手を示す。]
加えて、本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体は、式(3)〜(6)で表される化合物であることが望ましい。

[式(3)及び(5)中、R1〜R14のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
式(4)及び(6)中、R15〜R28のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
各式中、L1〜L8は、それぞれ独立して、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。なお*は、結合手を示す。]
前記ビス−ボロンジピロメテン系色素及びビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体は、前記電子求引性基が、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、アルキルオキシカルボニル基及びアシル基よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素は、置換基として電子求引性基を有しているため、分子のHOMO準位が低い。そのため、酸素による分解が抑制され、安定性が優れる。さらに、本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素は、後述するように前駆体が優れた溶解性を有している。そのため、例えば、重合性組成物やポリマー溶液に色素の前駆体を添加し、熱処理することで、不可視性材料へ変換するという使用も可能である。
また、本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体には、最終的な色素においてベンゼン環構造となる部分の一部もしくは全てに、ビシクロ構造、シクロヘキサン構造又はシクロヘキセン構造を有する化合物を用いることができるため汎用性に優れる。特に、最終的な色素においてベンゼン環構造となる部分の一部もしくは全てがビシクロ構造となっている化合物は、有機溶媒に対する溶解性が高く、取扱いが容易である。また、当該前駆体を加熱処理するだけで、ビシクロ構造をベンゼン環構造に変換することができ、容易にビス−ボロンジピロメテン系色素に変換できるため、色素含有膜等を容易に作製できる。
合成例3で作製した化合物(2−2)のクロロホルム溶液中での吸収スペクトルである。 合成例3で作製した化合物(2−2)を溶媒に溶解させた際の経時変化を確認した吸収スペクトルである。 化合物(Z)を溶媒に溶解させた際の経時変化を確認した吸収スペクトルである。
1.ビス−ボロンジピロメテン色素
本発明のビス−ボロンジピロメテン色素は、2つのボロンジピロメテン(4,4−ジフルオロ−3H−4−ボラ(IV)−3a,4a−ジアザ−s−インダセン)を有し、これらのボロンジピロメテンが、それぞれの一方のピロール環でベンゼン環を介して互いに結合しており、且つ、前記ボロンジピロメテンそれぞれの他方のピロール環にはベンゼン環が結合している構造を、主骨格とする。そして、前記ビス−ボロンジピロメテン色素は、その主骨格に結合する置換基として少なくとも一つの電子求引性基を有する。
電子求引性基を有することにより、ビス−ボロンジピロメテン色素(高共役化合物)において、電子のエネルギー準位を制御し、分子のHOMO準位を下げることができ、酸素に対する安定性が向上する。
本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素は、式(1)又は(2)で表される。なお、式(1)又は(2)で表される化合物は、ホウ素原子(B)が隣接する2つの窒素原子(N)のうち、どちらと共有結合で結合しているかの違いによって、構造異性体が存在する。本発明には、これらの構造異性体も含まれる。

[式(1)中、R1〜R14のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
式(2)中、R15〜R28のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。]
前記電子求引性基としては、親電子置換反応で導入できる置換基であれば、特に限定されない。電気求引性基において、電子求引性の指標としては、ハメット則の置換基定数σ等が知られており、ハメット則の置換基定数σが正である官能基が電子求引性基として挙げられる。前記電子求引性基としては、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、チオシアネート基、トリフルオロメチル基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基等が挙げられる。
式(1)において、R1〜R14の2以上が電子求引性基であることが好ましく、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上である。
式(2)において、R15〜R28の2以上が電子求引性基であることが好ましく、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上である。
前記電子求引性基を導入する位置は特に限定されないが、ビス−ボロンジピロメテン系色素の安定性向上効果の点から、アルファ位(式(1)のR11〜R14、式(2)のR25〜R28)又はメソ位(式(1)のR9及びR10、式(2)のR23及びR24)に導入することが好ましい。ピロメテン骨格において、アルファ位、メソ位は最も反応性に富む部分であるため、この部分に電子求引性基を導入することで、反応点を潰すことができる。
前記ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。これらの中でもフッ素が好ましい。
前記アシル基としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜15のアシル基が好ましく、炭素数1〜10のものがより好ましい。
前記アルキルオキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記カルバモイル基としては、例えば、カルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−(2−ドデシルオキシエチル)カルバモイル基等が挙げられる。
前記アルキルスルフィニル基としては、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基等が挙げられる。
前記アリールスルフィニル基としては、例えば、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メトキシフェニルスルフィニル基、2−ブトキシフェニルスルフィニル基、2−フルオロフェニルスルフィニル基、3−メチルフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−メチルフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
前記アルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基等が挙げられる。
前記アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、2−フルオロフェニルスルホニル基、3−メチルフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、3−フルオロフェニルスルホニル基、4−メチルフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられる。
前記スルファモイル基としては、例えば、スルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−2−エチルヘキシルスルファモイル基、N−デシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N−2−メチルフェニルスルファモイル基、N−2−クロロフェニルスルファモイル基、N−2−メトキシフェニルスルファモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルスルファモイル基、N−3−クロロフェニルスルファモイル基、N−3−ニトロフェニルスルファモイル基、N−3−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−メトキシフェニルスルファモイル基、N−4−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−ジメチルアミノフェニルスルファモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基等が挙げられる。
また、電子求引性基として、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルホ基、トリフルオロメチル基等を有するアルキル基又はアリール基も使用できる。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のものがより好ましい。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、インデニル基、アズレニル基、フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、ペンタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、フェナントリル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜25のアリール基が好ましく、炭素数1〜15のものがより好ましい。
前記有機置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオオキシ基等が挙げられる。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のものがより好ましい。
前記アルキル基は置換基を有していてもよい。前記アルキル基が有する置換基としては、ハロゲン、アルキルオキシ基が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、イコシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜10のものがより好ましい。
前記チオアルコキシ基としては、例えば、メチルチオオキシ基、エチルチオオキシ基、プロピルチオオキシ基、ブチルチオオキシ基、ペンチルチオオキシ基、ヘキシルチオオキシ基、ヘプチルチオオキシ基、オクチルチオオキシ基、ノニルチオオキシ基、デシルチオオキシ基、ウンデシルチオオキシ基、ドデシルチオオキシ基、トリデシルチオオキシ基、テトラデシルチオオキシ基、ペンタデシルチオオキシ基、ヘキサデシルチオオキシ基、ヘプタデシルチオオキシ基、オクタデシルチオオキシ基、ノナデシルチオオキシ基、イコシルチオオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜20のチオアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜10のものがより好ましい。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、インデニル基、アズレニル基、フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、ペンタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、アセナフチレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、フェナントリル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜30のアリール基が好ましく、炭素数1〜15のものがより好ましい。
前記アリール基は置換基を有していてもよい。前記アリール基が有する置換基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、チオシアネート基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基が挙げられる。
前記アリールオキシ基、例えば、フェニルオキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、ピレニルオキシ基、インデニルオキシ基、アズレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、ターフェニルオキシ基、クオーターフェニルオキシ基、ペンタレニルオキシ基、ヘプタレニルオキシ基、ビフェニレニルオキシ基、インダセニルオキシ基、アセナフチレニルオキシ基、フェナレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、フェナントリルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜25のアリールオキシ基が好ましく、炭素数1〜15のものがより好ましい。
前記アリールチオオキシ基としては、例えば、フェニルチオオキシ基、ビフェニルチオオキシ基、ナフチルチオオキシ基、アントリルチオオキシ基、フェナントリルチオオキシ基、ピレニルチオオキシ基、インデニルチオオキシ基、アズレニルチオオキシ基、フルオレニルチオオキシ基、ターフェニルチオオキシ基、クオーターフェニルチオオキシ基、ペンタレニルチオオキシ基、ヘプタレニルチオオキシ基、ビフェニレニルチオオキシ基、インダセニルチオオキシ基、アセナフチレニルチオオキシ基、フェナレニルチオオキシ基、フルオレニルチオオキシ基、フェナントリルチオオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜25のアリールチオオキシ基が好ましく、炭素数1〜15のものがより好ましい。
1〜R8としては、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルホ基、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基が好ましく、水素、ハロゲンがより好ましい。
9又はR10としては、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルホ基、置換していてもよいアリール基が好ましく、水素、シアノ基、置換していてもよいアリール基がより好ましい。
11〜R14としては、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、スルホ基、置換していてもよいアリール基が好ましく、水素、シアノ基、置換していてもよいアリール基がより好ましい。
15〜R22としては、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルホ基、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基が好ましく、水素、ハロゲンがより好ましい。
23又はR24としては、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルホ基、置換していてもよいアリール基が好ましく、水素、シアノ基、置換していてもよいアリール基がより好ましい。
25〜R28としては、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、スルホ基、置換していてもよいアリール基が好ましく、水素、シアノ基、置換していてもよいアリール基がより好ましい。
式(1)で表される化合物としては、R1〜R8の少なくとも一つが電子求引性基である態様(態様1−1);R11〜R14の少なくとも一つが電子求引性基である態様(態様1−2);R9又はR10の少なくとも一つが電子求引性基である態様(態様1−3);R1〜R8の少なくとも一つが電子求引性基であり、且つ、R11〜R14の少なくとも一つが電子求引性基である態様(態様1−4);が挙げられる。
式(2)で表される化合物としては、R15〜R22の少なくとも一つが電子求引性基である態様(態様2−1);R25〜R28の少なくとも一つが電子求引性基である態様(態様2−2);R23又はR24の少なくとも一つが電子求引性基である態様(態様2−3);R15〜R22の少なくとも一つが電子求引性基であり、且つ、R25〜R28の少なくとも一つが電子求引性基である態様(態様2−4);が挙げられる。
前記態様(1−1)又は(2−1)では、R1〜R8の全て又はR15〜R22の全てが電子求引性基であることが好ましい。
前記態様(1−2)又は(2−2)では、R11〜R14の全て又はR25〜R28の全てが電子求引性基であることが好ましい。
前記式(1)で表される化合物は、R1〜R14のいずれか一つに、嵩高い有機置換基を有することが好ましい。前記式(2)で表される化合物は、R15〜R28のいずれか一つに、嵩高い有機置換基を有することが好ましい。嵩高い置換基を有することで、溶媒への溶解性がより向上する。前記嵩高い有機置換基としては、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数3〜15の置換基を有していてもよいアリール基(好ましくは、t−ブチルフェニル基)が挙げられる。
本発明のビス−ボロンジピロメテン色素の前駆体は、近赤外吸収色素として、近赤外線を吸収・カットする機能を有する半導体受光素子用の光学フィルター;省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板;セキュリティーインクや不可視バーコードインクとしての情報表示材料;近赤外光を利用した太陽電池用色素;プラズマディスプレイパネル(PDP)やCCD用の赤外線カットフィルター;レーザー溶着用の光熱変換材料用途;等に用いることができる。
2.ビス−ボロンジピロメテン色素の前駆体
本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体には、式(13)〜(16)で表されるような、最終的な色素においてベンゼン環構造となる部分の一部もしくは全てに、ビシクロ構造、シクロヘキサン構造又はシクロヘキセン構造を有する化合物を使用することができる。
なお、前記式(13)中、RingAは、下記式Ia〜IIaから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ia〜IIa中、a1〜a4は炭素番号を意味する)。

式(14)中、RingBは、下記式Ib〜IIbから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ib〜IIb中、b1〜b4は炭素番号を意味する)。

式(15)中、RingCは、下記式Ic〜IIcから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式Ic〜IIc中、c1〜c4は炭素番号を意味する)、

RingDは、下記式Id〜IIIdから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式Id〜IIId中、d1〜d4は炭素番号を意味する)、

RingEは、下記式Ie〜IIIeから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ie〜IIIe中、e1〜e4は炭素番号を意味する)。

式(16)中、RingFは、下記式If〜IIfから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式If〜IIf中、f1〜f4は炭素番号を意味する)、

RingGは、下記式Ig〜IIIgから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式Ig〜IIIg中、g1〜g4は炭素番号を意味する)、

RingHは、下記式Ih〜IIIhから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ih〜IIIh中、h1〜h4は炭素番号を意味する)。

式(13)及び(15)中、R39〜R52のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
式(14)及び(16)中、R53〜R66のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
各式中、L1〜L8は、それぞれ独立して、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。なお*は、結合手を示す。
39〜R52及びR53〜R66は、上述した式(1)又は(2)のR1〜R14及びR15〜R28と同義であり、好ましいものも同様である。
2−1.ビシクロ構造を有するビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体
最終的な色素においてベンゼン環構造となる部分の一部もしくは全てがビシクロ構造であるビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体は、下記式(3)〜(6)で表される。すなわち、ビシクロ構造を有する前駆体とは、化合物(13)において環状構造Iaを有する化合物;化合物(14)において環状構造Ibを有する化合物;化合物(15)において環状構造Ic、Id、及びIeを有する化合物;化合物(16)において環状構造If、Ig及びIhを有する化合物である。
なお、式(3)〜(6)で表される化合物は、ホウ素原子(B)が隣接する2つの窒素原子(N)のうち、どちらと共有結合で結合しているかの違いによって、構造異性体が存在する。本発明には、これらの構造異性体も含まれる。
この前駆体は、加熱処理するだけで、ビシクロ構造をベンゼン環構造に変換することができ、容易にビス−ボロンジピロメテン系色素に変換できるため、色素含有膜等を容易に作製できる。また、前記前駆体は、ビシクロ構造を有するため、有機溶媒に対する溶解性が高い。そのため、溶媒を用いた精製をおこなうことができ、より高純度のビス−ボロンジピロメテン系色素を容易に得ることができる。

[式(3)及び(5)中、R1〜R14のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
式(4)及び(6)中、R15〜R28のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
各式中、L1〜L8は、それぞれ独立して、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。なお*は、結合手を示す。]
1〜R14及びR15〜R28は、上述した式(1)又は(2)と同義であり、好ましいものも同様である。
1〜L8は、それぞれ独立して、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。ビシクロ構造におけるL1〜L8が、これらのいずれかであれば、前記前駆体を加熱若しくは光照射、若しくは光と熱で同時に処理することで、逆Diels−alder反応を生じ、容易にベンゼン環構造に変化させることができる。これらの中でも、L1〜L8としては、*−CH2−CH2−*(エチレン基)が好ましい。
式(3)又は(5)で表される化合物としては、R1〜R8の少なくとも一つが電子求引性基である態様((態様3−1)又は(態様5−1));R11〜R14の少なくとも一つが電子求引性基である態様((態様3−2)又は(態様5−2));R9又はR10の少なくとも一つが電子求引性基である態様((態様3−3)又は(態様5−3));R1〜R8の少なくとも一つが電子求引性基であり、且つ、R11〜R14の少なくとも一つが電子求引性基である態様((態様3−4)又は(態様5−4));が挙げられる。
式(4)又は(6)で表される化合物としては、R15〜R22の少なくとも一つが電子求引性基である態様((態様4−1)又は(態様6−1));R25〜R28の少なくとも一つが電子求引性基である態様((態様4−2)又は(態様6−2));R23又はR24の少なくとも一つが電子求引性基である態様((態様4−3)又は(態様6−3));R15〜R22の少なくとも一つが電子求引性基であり、且つ、R25〜R28の少なくとも一つが電子求引性基である態様((態様4−4)又は(態様6−4));が挙げられる。
前記態様(3−1)、(4−1)、(5−1)又は(6−1)では、R1〜R8の全て又はR15〜R22の全てが電子求引性基であることが好ましい。
前記態様(3−2)、(4−2)、(5−2)又は(6−2)では、R11〜R14の全て又はR25〜R28の全てが電子求引性基であることが好ましい。
1〜L8が、*−CH2−CH2−*である化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
1〜L8が、*−C(=O)−*である化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
1〜L8が、*−C(=O)−C(=O)−*である化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
2−2.シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有するビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体
最終的な色素においてベンゼン環構造となる部分の一部もしくは全てがシクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造となっている化合物も、ビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体として使用できる。
シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有するビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体としては、例えば、式(13)において、RingAとして環状構造IIaを有する化合物;式(14)において、RingBとして環状構造IIbを有する化合物;式(15)において、RingCとして環状構造IIc、RingDとしてIId又はIIIdのいずれか、RingEとして環状構造IIe又はIIIeのいずれかを有する化合物;式(16)において、RingFとして環状構造IIf、RingGとしてIIg又はIIIgのいずれか、RingHとして環状構造IIh又はIIIhのいずれかを有する化合物が例示できる。
シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有するビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体においても、式(3)〜(6)で表される化合物と同様に、ホウ素原子(B)が隣接する2つの窒素原子(N)のうち、どちらと共有結合で結合しているかの違いによって、構造異性体が存在する。本発明には、これらの構造異性体も含まれるものとする。
2−3.ビシクロ構造と、シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有するビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体
最終的な色素において、ベンゼン構造となる部分の一部にビシクロ構造を有し、ビシクロ構造以外の部分でシクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有する化合物も、ビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体として使用できる。すなわち、該前駆体には、(i)最終的な色素において、ベンゼン構造となる部分の一部としてビシクロ構造を有し、ビシクロ構造以外の部分が全てシクロヘキサン構造である前駆体、(ii)最終的な色素において、ベンゼン構造となる部分の一部としてビシクロ構造を有し、ビシクロ構造以外の部分が全てシクロヘキセン構造である前駆体、(iii)最終的な色素において、ベンゼン構造となる部分の一部としてビシクロ構造を有し、ビシクロ構造以外の部分にシクロヘキサン構造とシクロヘキセン構造の両方を有する前駆体が含まれる。
ビシクロ構造と、シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有するビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体とは、式(15)において、RingCとして環状構造Ic、RingDとしてIId又はIIIdのいずれか、RingEとして環状構造IIe又はIIIeのいずれかを有する化合物、RingCとして環状構造IIc、RingDとRingEのうち少なくとも一つがビシクロ構造である(RingDが環状構造Idであるか又はRingEが環状構造Ieであるか、又は環状構造Idと環状構造Ieの両方を有する)化合物;式(16)において、RingFとして環状構造If、RingGとしてIIg又はIIIgのいずれか、RingHとして環状構造IIh又はIIIhのいずれかを有する化合物、RingFとして環状構造IIf、RingGとRingHのうち少なくとも一つがビシクロ構造である(RingGが環状構造Igであるか又はRingHが環状構造Ihであるか、又は環状構造Igと環状構造Ihの両方を有する)化合物である。
ビシクロ構造と、シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有するビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体においても、式(3)〜(6)で表される化合物と同様に、ホウ素原子(B)が隣接する2つの窒素原子(N)のうち、どちらと共有結合で結合しているかの違いによって、構造異性体が存在する。本発明には、これらの構造異性体も含まれるものとする。
3.ビス−ボロンジピロメテン系色素の合成方法
以下、本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素の合成方法の一例を説明する。
本発明のビス−ボロンジピロメテン系色素の合成方法としては、式(13)〜(16)で表される化合物を合成した後、これを熱処理することにより製造することができ、化合物中にビシクロ構造を有する前駆体の場合、例えば、式(3)又は(4)で表される化合物を合成した後、これを熱処理する方法(製法1);式(5)又は(6)で表される化合物を合成した後、これを熱処理して式(3)又は(4)で表される化合物を得、これを熱処理する方法(製法2);が挙げられる。
また、化合物中に、シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有する前駆体の場合、ビス−ボロンジピロメテン系色素の合成方法としては、例えば、前述したシクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有するビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体を製造した後、これを酸化する方法(製法3)が挙げられる。
また化合物中に、ビシクロ構造と、シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有する前駆体の場合、ビス−ボロンジピロメテン系色素の合成方法としては、例えば、先にビシクロユニットを熱分解し、その後化合物中に存在するシクロヘキサン構造とシクロヘキセン構造を酸化により変換する方法(製法4);先に化合物中のシクロヘキサン構造とシクロヘキセン構造を酸化し、その後ビシクロユニットを熱分解する方法(製法5);等が挙げられる。
前記製法1及び製法2のいずれにおいても、出発原料としては、式(7)で表される化合物(以下、「式(7)で表される化合物」を「化合物(7)」と略称することがある。また他の化学式で表される化合物も同様に略称することがある。)又は(8)で表される化合物が使用できる。
これらの化合物は、例えば、「宇野 英満 他7名著、Synthesis and structures of pyrroles fused with rigid bicyclic ring systems at β-positions、J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1、 2000年、p.4347-4355」、「山田容子 他8名著、Photochemical Synthesis of Pentacene and its Derivatives、Chem. Eur. J. 2005年、11巻、p.6212-6220」、米国特許出願公開第2009/0226634号明細書に記載の方法を参考にして合成できる。

[式(7)、(8)中、L9及びL10は、それぞれ独立して、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。なお*は、結合手を示す。]
なお、化合物(7)、(8)は、式(9)又は(10)で表される化合物のように、置換基を変更してから使用してもよい。

[式(9)、(10)中、L9及びL10は、それぞれ独立して、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。なお*は、結合手を示す。R31〜R34は、それぞれ電子求引性基、水素又は有機置換基を示す。]
化合物(7)〜(10)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
そして、製法1では、前記化合物(7)〜(10)のいずれかに、式(11)で表される化合物及び三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を反応させることで、化合物(3)又は(4)が得られる。また、製法2では、前記化合物(7)〜(10)のいずれかに、式(12)で表される化合物及び三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を反応させることで、化合物(5)又は(6)が得られる。

[式(11)、(12)中、R35〜R38は、それぞれ電子求引性基、水素又は有機置換基を示す。Xは、アルデヒド基又はエトキシカルボニル基を示す。Yは、置換していてもよいメチル基を示す。
式(12)中、L11は、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。なお*は、結合手を示す。]
前記置換していてもよいメチル基が有する置換基としては、電子求引性基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、置換していてもよいアリール基又は置換していてもよいアルキル基が挙げられる。
次いで、製法3では、前駆体としてはシクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有する前駆体が使用できる。該前駆体の出発原料としては、式(17)で表される化合物又は式(18)で表される化合物が使用できる。
製法3では、前記化合物(17)又は(18)のいずれかに、式(11)、(19)又は(20)で表される化合物及び三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を反応させることにより、シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有する前駆体を取得できる。

[式(11)、(19)、(20)中、R43〜R46は、それぞれ電子求引性基、水素又は有機置換基を示す。Xは、アルデヒド基又はエトキシカルボニル基を示す。Yは、置換していてもよいメチル基を示す。]
次に製法4及び5について説明する。製法4及び5のいずれにおいても、前駆体としては、ビシクロ構造と、シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有する前駆体が使用できる。該前駆体の出発原料としては、式(7)〜(10)で表される化合物が使用できる。
なお、式(7)〜(10)で表される化合物としては、製法1及び2の欄で詳述した化合物と同一のものを使用することができる。
そして、前記化合物(7)〜(10)のいずれかに、式(11)、(19)又は(20)で表される化合物及び三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を反応させることにより、ビシクロ構造と、シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有する前駆体を取得できる。

[式(11)、(19)、(20)中、R43〜R46は、それぞれ電子求引性基、水素又は有機置換基を示す。Xは、アルデヒド基又はエトキシカルボニル基を示す。Yは、置換していてもよいメチル基を示す。]
また、ビシクロ構造と、シクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造を有する前駆体は、該前駆体の出発原料として、前述した式(17)又は式(18)で表される化合物を使用し、該化合物のいずれかと、前記化合物(12)を必須とし、必要に応じて、前記化合物(11)、(19)、(20)を含む反応系において、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体と反応させることにより製造できる。
前記前駆体の精製方法は特に限定されず、シリカゲルクロマトグラフィー、アルミナカラムクロマトグラフィー、昇華精製、再結晶、晶析等を用いることができる。なお、作業の簡便性から、再結晶、晶析、シリカゲルクロマトグラフィーやアルミナカラムクロマトグラフィーが好ましい。
次いで、製法2では、化合物(5)又は(6)に熱処理を施すことにより、分子の両末端のビシクロ構造をベンゼン環構造に変換し、化合物(3)又は(4)を得る。
この際の熱処理温度は、120℃以上が好ましく、より好ましくは130℃以上であり、190℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下である。また、熱処理時間は、0.2時間以上が好ましく、より好ましくは0.5時間以上であり、4時間以下が好ましく、より好ましくは3時間以下である。
そして、製法1及び製法2ともに、化合物(3)又は(4)に熱処理を施すことにより、分子の中央のビシクロ構造をベンゼン環構造に変換し、化合物(1)又は(2)を得る。
この際の熱処理温度は、200℃以上が好ましく、より好ましくは210℃以上であり、280℃以下が好ましく、より好ましくは270℃以下である。また、熱処理時間は、0.2時間以上が好ましく、より好ましくは0.5時間以上であり、4時間以下が好ましく、より好ましくは3時間以下である。
加えて製法3〜5では、化合物中のシクロヘキサン構造及び/又はシクロヘキセン構造は、例えば、「Cai Chenxin 他3名著, Fasile synthesis of 4,9-dihydro-2H-benz[f]-and 4,11-dihydro-2H-naphth[2,3-f]-isoindoles and their utility for porphyrin synthesis, Heterocycles, vol. 84, No.2, 2012年, p.829-841」のScheme1 vii)に記載の方法や、「Timsy Uppal 他5名著, Synthesis, Computational Modeling, and Properties of Benzo-Appended BODIPYs, Chem. Eur. J., vol. 18, 2012, p.3893-3905」に記載のシクロヘキサン構造をベンゼン環へ変換する各スキームを参考に、これらを酸化してベンゼン環に変換するとよい。このような方法により、ビス−ボロンジピロメテン系色素(化合物(1)又は(2))を合成できる。
また、得られたビス−ボロンジピロメテン系色素(化合物(1)又は(2))は、必要に応じて精製してもよい。精製方法としては、前記前駆体と同様の方法が挙げられる。
なお、製法3の原料として用いられる化合物(17)及び化合物(18)の製造方法は、例えば、1,4−シクロヘキサジエンを原料として、下記スキームI及び本願明細書の実施例の7.の欄に記載する方法を参考に合成するとよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、合成された化合物についての分析には、以下の装置を用いた。
融点;Seiko Instruments社製 型式「EXSTAR6000/TG/DTA6200」
紫外−可視吸収スペクトル;日立ハイテクノロジー社製 型式「U−2810」、日本分光社製 型式「v−570型」
赤外吸収スペクトル;堀場製作所製 型式「FT-720」
NMRスペクトル;日本電子社製 型式「JNM−AL400」、日本電子社製 型式「JNM−EX400」、バリアン・テクノロジーズ社製 型式「マーキュリー2000」
マススペクトル;日本電子社製、型式「JMS−MS 700型」
(MALDI−TOF)マススペクトル;アプライド・バイオシステムズ社製、型式「Voyager−DETM−PRO」
1.合成例1(syn 4-tBu-phenyl tetrafluoroisoindole benzo bisBODIPY)
1−1.syn diiodo dipyrrole
反応容器に、化合物(7−1)520mg(1.59mmol)、ジクロロヨウ素酸ベンジルトリメチルアンモニウム(BTMA・ICl2)1.20g(3.45mmol)、CaCO3 500mg(5mmol)、CH2Cl2 33ml、MeOH 13mlを加え、4時間還流した。反応終了後、室温に戻し、反応溶液を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液、水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、ヘキサン/メタノール(体積比9:1)溶液でトリチュレーションすることで、式(3−1−1)で表される化合物500mg(0.86mmol、化合物(7−1)からの収率54mol%)を得た。
得られた化合物(3−1−1)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form:C1818224 (Exact Mass:579.9356,MW:580.1555)
Appearance:white powder
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.40(t,3H),1.71(m,4H),3.82(m,1H),4.34(q,4H),5.23(m,1H),8.50(br,1H).
mp:271℃
HRMS calcd for C1818224 :580.9434,found 580.9432
MS(FAB) m/z 580M+
1−2.syn 4-tBu phenyl dipyrrole bis ester
反応容器に化合物(3−1−1)100mg(0.172mmol)、4−t−Bu−フェニルボロン酸68mg(0.38mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh34)10mg(0.009mmol)を加え、アルゴン置換した。次に、dry−toluene 5mlを加え、凍結脱気をおこなった。その後、10質量%Na2CO3水溶液(Na2CO3 56mg/水 0.56ml)を加え、90℃で16時間攪拌した。反応終了後、セライト濾過し、反応溶液を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、ヘキサン/メタノール(体積比9:1)溶液でトリチュレーションすることで、式(3−1−2)で表される化合物53mg(0.089mmol、化合物(3−1−1)からの収率50mol%)を得た。
得られた化合物(3−1−2)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form:C384424 (Exact Mass:592.3301,MW:592.7670)
Appearance:white powder
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.36(s,18H),1.44(t,6H,J=7Hz),1.76−1.85(m,4H),4.37(q,4H,J=7.0Hz),4.86(m,1H),5.35(m,1H),7.45(m,8H),8.44(br,2H).
MS(MALDI−TOF) m/z =592(M+
1−3.syn 4-tBu phenyl dipyrrole
反応容器に化合物(3−1−2)50mg(0.084mmol)を入れ、窒素置換した。エチレングリコール4mlを加え、遮光した後、水酸化ナトリウム90mg(2.25mmol)を加え、160℃で2時間攪拌した。反応終了後、室温まで戻し、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、ヘキサンで洗浄することで、式(3−1−3)で表される化合物の粗生成物53mgを得た。これ以上の精製はせず、次の反応に用いた。
得られた化合物(3−1−3)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form:C32362 (Exact Mass:448.2878,MW:448.6416)
Appearance: white solid
MS(MALDI−TOF) m/z =448(M+
1−4.syn 4-tBu-phenyl tetrafluoroisoindole BCOD bisBODIPY
反応容器に化合物(3−1−3)の粗生成物90mg、4,5,6,7−テトラフルオロベンゾ[c]ピロール−1カルバルデヒド70mg(0.32mmol)を入れ、窒素置換した。dry−toluene20mlを加え、遮光した後、塩化ホスホリル(POCl3)0.1ml(1mmol)を滴下し、80℃で12時間攪拌した。室温に戻し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)0.2ml(1.1mmol)を加え、80℃で1時間攪拌した。再度室温に戻し、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF3・Et2O)0.14ml(1.1mmol)を加えた後、80℃で5時間攪拌した。反応終了後、室温に戻した後、水でクエンチし、セライト濾過で不要物を取り除いた。酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、カラムクロマトグラフィーで精製することで、式(3−1)で表される化合物29mg(0.03mmol)を得た。
得られた化合物(3−1)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form: C50362124 (Exact Mass:942.2934,MW:942.4505)
Appearance:purple solid
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.38(s,18H),2.0−2.1(m,4H),3.73(m,1H),4.35(m,1H),7.45(m,8H),7.80(s,2H),8.32(s,2H).
mp:250℃(dcmp)
MS(MALDI−TOF) m/z =942(M+), 914(M−28)
UV−vis(CHCl3): λ=590nm
FL(CHCl3): λ=624nm
1−5.syn 4-tBu-phenyl tetrafluoroisoindole benzo bisBODIPY
ミクロチューブに、化合物(3−1)を入れ、真空中、250℃で2時間加熱した。室温に戻した後、式(1−1)で表される化合物を得た。
得られた化合物(1−1)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form: C48322124 (Exact Mass:914.2621,MW:914.3979)
Appearance: black solid
HRMS calcd for C48322124:915.2700,found 915.2710
MS(MALDI−TOF) m/z = 914(M+
UV−vis(CHCl3): λ=748nm
FL(CHCl3): λ=755nm
2.合成例2(anti 4-tBu-phenyl tetrafluoroisoindole benzo bisBODIPY)
2−1.anti diiodo dipyrrole
反応容器に、式(8−1)で表される化合物456mg(1.39mmol)、BTMA・ICl2 1.053g(3.03mmol)、CaCO3 439mg(4.39mmol)、CH2Cl2 29ml、MeOH 11mlを加え、4時間還流した。反応終了後、室温に戻し、反応溶液を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液、水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、ヘキサン/メタノール(体積比9:1)溶液でトリチュレーションすることで、式(4−1−1)で表される化合物737mg(1.27mmol、化合物(8−1)からの収率91mol%)を得た。
得られた化合物(4−1−1)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form:C1818224 (Exact Mass:580.9434,MW:580.9438)
Appearance:white powder
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.42(t,6H,J=7.0Hz),1.70−1.73(m,4H),4.24−4.44(m,4H),4.54(m,2H),8.35(br,2H).
mp:277℃
HRMS calcd for C1818224,:579.9356, found 579.9438
MS(FAB) m/z 580M+
2−2.anti 4-tBu phenyl dipyrrole bis ester
反応容器に化合物(4−1−1)764mg(1.32mmol),4−t−ブチルフェニルボロン酸474mg(2.65mmol),Pd(PPh34 76.4mg(0.066mmol)を加え、アルゴン置換した。次に、dry−toluene 21mlを加え、凍結脱気をおこなった。その後、Na2CO3水溶液(Na2CO3 430mg /水 4.3ml)を加え、90℃で16時間攪拌した。反応終了後、セライト濾過し、反応溶液を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、ヘキサン/メタノール(体積比9:1)溶液でトリチュレーションすることで、式(4−1−2)で表される化合物513mg(0.86mmol、化合物(4−1−1)からの収率66mol%)を得た。
得られた化合物(4−1−2)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form: C384424 (Exact Mass:593.3379,MW:593.3372)
Appearance:white powder
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.36(s,18H),1.44(t,6H,J=7Hz),1.76−1.79(m,4H),4.43−4.45(m,4H),5.15(m,2H),7.45−7.55(m,8H),8.42(br,2H).
mp:318℃
HRMS calcd for C384424,:593.3379, found 593.3372
MS(MALDI−TOF) m/z =592 (M+
2−3.anti 4-tBu phenyl dipyrrole
反応容器に化合物(4−1−2)140mg(0.24mmol)を入れ、窒素置換した。エチレングリコール11mlを加え、遮光した後、水酸化ナトリウム250mg(6.25mmol)を加え、160℃で2時間攪拌した。反応終了後、室温まで戻し、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、ヘキサンで洗浄することで、式(4−1−3)で表される化合物の粗生成物80mgを得た。これ以上の精製はせず、次の反応に用いた。
得られた化合物(4−1−3)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form: C32362 (Exact Mass:448.2878, MW:448.6416)
Appearance: white solid
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.35(s,18H),1.82(m,4H),4.56(m,2H),6.55(m,2H),7.41(m,8H),7.59(br,2H).
MS(MALDI−TOF) m/z =448(M+
2−4.anti 4-tBu-phenyl tetrafluoroisoindole BCOD bisBODIPY
反応容器に化合物(4−1−3)の粗生成物200mg、4,5,6,7−テトラフルオロベンゾ[c]ピロール−1カルバルデヒド200mg(0.92mmol)を入れ、窒素置換した。dry−toluene40mlを加え、遮光した後、POCl3 0.3ml(3mmol)を滴下し、80℃で12時間攪拌した。室温に戻し、DIPEA 0.6ml(3.3mmol)を加え、80℃で1時間攪拌した。再度室温に戻し、BF3・Et2O 0.42ml(1.1mmol)を加えた後、80℃で5時間攪拌した。反応終了後、室温に戻した後、水でクエンチし、セライト濾過で不要物を取り除いた。酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、カラムクロマトグラフィーで精製することで、式(4−1)で表される化合物75mg(0.08mmol)を得た。
得られた化合物(4−1)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form: C50362124 (Exact Mass:942.2934,MW:942.4505)
Appearance: purple solid
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.37−1.42(m,4H),1.42−1.45(s,18H),4,25(m,2H),7.51(s,2H),7.61(m,4H),7.68(s,2H),7.74(m,4H).
mp:250℃(dcmp)
MS(MALDI−TOF) m/z =592 (M+
MS(MALDI−TOF) m/z =942(M+), 914(M−28)
UV−vis(CHCl3): λ=600nm
FL(CHCl3): λ=609nm
2−5.anti 4-tBu-phenyl tetrafluoroisoindole benzo bisBODIPY
ミクロチューブに、化合物(4−1)を入れ、真空中、250℃で2時間加熱した。室温に戻した後、式(2−1)で表される化合物を得た。
得られた化合物(2−1)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form:C48322124 (Exact Mass:914.2621,MW:914.3979)
Appearance: black solid
HRMS calcd for C48322124 :915.2700,found 915.2711
MS(MALDI−TOF) m/z = 914(M+
UV−vis(CHCl3): λ=811nm
FL(CHCl3): λ=819nm
3.合成例3
3−1.化合物(6−1−1)
反応容器に4−t−ブチル安息香酸3.69g(20.7mmol)を入れてAr置換した。この容器にトリフルオロ酢酸無水物2.9ml(20.7mmol)を加え、15分間攪拌した。トリフルオロ酢酸2.7ml(35.3mmol)を加え、5分間攪拌した。反応容器を遮光し、4,7−ジヒドロ−4β,7β−エタノ−2H−イソインドール−1−カルボン酸エチル1.50g(6.90mmol)を加えて室温で3日間攪拌した。飽和重曹水を加えてクエンチし、クロロホルムで抽出、有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(Si,CHCl3,Rf=0.29)で精製することで、式(6−1−1)で表される化合物1.509g(4.00mmol、収率58mol%)を得た。
得られた化合物(6−1−1)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form.:C2427NO3 (Exact Mass:377.1991,Mol.Wt.:377.4761)
Appearance:White solid
m.p.:138℃
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=9.20(br s,1H),7.74(d−d,J=8.4Hz,2H),7.52(d−d,J=8.4Hz,2H),6.54(m,1H),6.43(m,1H),4.45(m,1H),4.37(q,J=7.1Hz,2H),3.84(m,1H),1.64−1.44(m,4H),1.41(t,J=7.1Hz,3H),1.39(s,9H)
13C NMR(CDCl3,100MHz):δ=186.01, 161.21, 156.40, 137.54, 137.09, 136.37, 136.09, 135.23, 129.32, 125.57, 125.02, 118.24, 61.07, 35.55, 34.87, 33.93, 31.60, 26.58, 26.55, 14.87
MS (MALDI−TOF): m/z: 378.50 [M+H+], 349.46 [M−C24+
Anal. Calcd for C2427NO3: C, 76.36; H, 7.21; N, 3.71
Found: C, 76.13; H, 7.20; N, 3.76
3−2.化合物(6−1−2)
反応容器に化合物(6−1−1)1.12g(2.98mmol)を入れてAr置換した。この反応容器にdry−THF 30ml、dry−MeOH 10mlを加え、氷浴下でNaBH4 0.375g(9.91mmol)を加えた。その後、室温に戻し、2時間攪拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮することで、式(6−1−2a)で表される化合物と式(6−1−2b)で表される化合物との混合物(化合物(6−1−2))1.084g(2.86mmol、化合物(6−1−1)からの収率95mol%)を得た。
得られた化合物(6−1−2)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form.:C2429NO3 (Exact Mass:379.2147,Mol.Wt.:379.4920)
Appearance:White solid
m.p.:170℃ decomp
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=8.67−8.34(m,1H),7.35(m,2H),7.31(m,2H),6.50−6.33(m,2H),5.88(m,1H),4.32(m,1H),4.27(m,2H),3.54(m,1H),2.49−2.19(m,1H),1.55−1.37(m,4H),1.34(m,3H),1.31(m,9H).
Anal.Calcd for C2429NO3 (M+1/6CHCl3):C,72.68;H,7.36;N,3.51
Found:C,72.66;H,7.16;N,3.60
3−3.化合物(6−1−3)
反応容器に化合物(6−1−2)0.759g(2.00mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.0375g(0.307mmol)を入れてAr置換した。この反応容器にdry−CH2Cl2 28ml、無水酢酸1.9ml(20.1mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。反応溶液を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下濃縮した。カラムクロマトグラフィー(Si,40%酢酸エチル/ヘキサン,Rf=0.61)で精製することで、式(6−1−3a)で表される化合物と式(6−1−3b)で表される化合物との混合物(化合物(6−1−3))0.8400g(1.99mmol、化合物(6−1−2)からの収率99.6mol%)を得た。
得られた化合物(6−1−3)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form.:C2631NO4(Exact Mass:421.2253,Mol.Wt.:421.5286)
Appearance:White solid
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=8.28(m,1H),7.38(m,2H),7.27(m,2H),6.93(m,1H),6.43(m,2H),4.30(m,3H),3.57(s,1H),2.14(s,3H),1.55−1.37(m,4H),1.35(m,3H),1.32(s,H)
13C NMR(CDCl3,100MHz):δ= 170.09, 170.02, 161.61, 151.35, 151.30, 136.71, 135.81, 135.69, 135.31, 135.28, 135.14, 134.79, 130.25, 129.93, 126.43, 126.25, 125.50, 124.68, 124.66, 113.78, 113.69, 69.88, 69.53, 59.90, 34.53, 33.59, 33.56, 32.47, 32.44, 31.23, 26.48, 26.43, 26.22, 26.15, 21.14, 14.47
Anal.Calcd for C2631NO4+(1/3H2O):C,73.04;H,7.47;N,3.28
Found:C,72.89;H,7.42;N,3.32
HRMS(FAB):Calcd for C2632NO4[M+H],422.2231
Found:422.2322
3−4.化合物(6−1−4)
反応容器に化合物(6−1−3)0.847g(2.01mmol)、化合物(8−1)0.329g(1.00mmol)を入れてAr置換した。この反応容器に酢酸26mlを加え、遮光した。p−トルエンスルホン酸一水和物0.10g(0.53mmol)を加えて、室温で3時間攪拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。カラムクロマトグラフィー(Si,40%酢酸エチル/ヘキサン,Rf=0.52)で精製し、式(6−1−4a)で表される化合物と式(6−1−4b)で表される化合物と式(6−1−4c)で表される化合物との混合物(化合物(6−1−4))1.040g(0.99mmol、化合物(8−1)からの収率99mol%)を得た。
得られた化合物(6−1−4)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form.:C667448 (Exact Mass:1050.5507,Mol.Wt.:1051.3158)
Appearance:White powder
m.p.:170℃ decomp
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=8.04(m,4H),7.36−7.27(m,4H),7.15−7.01(m,4H),6.49−5.99(m,4H),5.56−5.16(m,2H),4.45−4.03(m,12H),3.10(m,2H),1.56−1.10(m,42H)
MS(MALDI−TOF): m/z: 1022 [M−(H+C24)]+,978[M+H−(C242]+
Anal.Calcd for C667448:C,75.40;H,7.09;N,5.33
Found:C,75.30;H,7.09;N,5.42
3−5.化合物(6−1−5)
反応容器に化合物(6−1−4)0.526g(0.500mmol)、水酸化ナトリウム0.32g(8.00mmol)、エチレングリコール10mlを入れてAr置換した。この反応容器を遮光し、170℃で3時間攪拌した。室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮し、カラムクロマトグラフィー(Si,40%酢酸エチル/ヘキサン,Rf=0.74)で精製することで、式(6−1−5)で表される化合物0.341g(0.447mmol、化合物(6−1−4)からの収率89mol%)を得た。
得られた化合物(6−1−5)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form.:C54584 (Exact Mass:762.4661,Mol.Wt.:763.0651)
Appearance:Black oil
1H NMR (CD2Cl2, 400 MHz): δ=7.33−6.89(m,12H),6.38−6.06(m,8H),5.34(m,2H),3.65(s,2H),3.27(m,2H),2.99(s,2H),1.50−1.34(m,12H),1.23(m,18H)
3−6.化合物(6−1−6)
反応容器に化合物(6−1−5)0.341g(0.447mmol)を入れてAr置換した。この反応容器にdry−DMF 11ml、dry−CH3CN 4.5mlを
加えた。調製しておいたイソシアン酸クロロスルホニル(CSI)溶液(CSI 0.17ml(1.97mmol)、CH3CN 2ml)を−50℃で滴下し、その温度で
1時間30分攪拌した。ゆっくりと室温まで昇温し、一晩攪拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮し、カラムクロマトグラフィー(Si,40%酢酸エチル/ヘキサン,Rf=0.46)で精製することで、式(6−1−6)で表される化合物0.342g(0.396mmol、化合物(6−1−5)からの収率88mol%)を得た。
得られた化合物(6−1−6)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form.:C58548 (Exact Mass:862.4471,Mol.Wt.:863.1030)
Appearance:Brown oil
1H NMR(CDCl3,400MHz): δ=8.16−7.77(m,4H),7.41(m,4H),7.05(m,4H),6.53−6.20(m,4H),5.51(m,2H),4.01(s,2H),3.86−3.70(m,2H),3.34−2.93(m,2H),1.64−1.41(m,12H),1.34(m,18H)
3−7.化合物(6−1)
反応容器に化合物(6−1−6)0.342g(0.396mmol)を入れてAr置換した。この反応容器にdry−toluene 15mlを加え、遮光した。2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)0.181g(0.797mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。dry−トリエチルアミン2.0ml(14.3mmol)を加え、室温で10分間攪拌し、BF3・OEt2を加えて、80℃で一晩攪拌した。室温へ冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮し、カラムクロマトグラフィー(Si,CH2Cl2,Rf=0.33)で精製し、再結晶(クロロホルム/ヘキサン)することで、式(6−1a)で表される化合物と式(6−1b)で表される化合物と式(6−1c)で表される化合物との混合物(化合物(6−1))0.1039g(0.109mmol、化合物(6−1−6)からの収率28mol%)を得た。
得られた化合物(6−1)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form.:C5848248 (Exact Mass:954.4124,Mol.Wt.:954.6709)
Appearance:Red powder
m.p.:170℃ decomp
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=7.90(brs,2H),7.68(brs,2H),7.36(d−d,J=8.3Hz,4H),6.45(m,J=5.6Hz,2H),6.16(t−tm,2H),4.14(d,J=5.6Hz,2H),3.17(d,J=12.4Hz,2H),2.98(s,2H),1.48(s,18H),1.47-1.15(m,12H)
13C NMR(CDCl3,100MHz):δ=156.73, 156.56, 1
56.22, 156.17, 150.45, 150.30, 146.25, 146.05, 142.19, 135.25, 134.99, 133.72, 133.37, 131.85, 130.85, 128.52, 128.48, 128.27, 128.00, 127.70, 127.43, 125.80, 120.49, 116.57, 111.09, 110.77, 110.70, 36.13, 36.03, 35.42, 33.36, 33.31, 32.53, 32.45, 31.59, 31.24, 26.87, 25.69, 25.57, 22.66, 14.13
FL (CHCl3):λmax(φ)=571nm(0.014)
HRMS (FAB):Calcd for C5849248 [M+H], 955.4202
Found:955.4201
3−8.化合物(4−2)
反応容器(ミクロチューブ)に化合物(6−1)4.8mg(5.03μmol)を入れてAr置換した。これを減圧下、170℃で2時間加熱し、室温に冷却することで、式(4−2)で表される化合物3.8mg(4.23μmol、化合物(6−1)からの収率84mol%)を得た。
得られた化合物(4−2)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form.:C5440248 (Exact Mass:898.3498,Mol.Wt.:898.5646)
Appearance:Black solid
m.p.:260℃ decomp
1H NMR(CD2Cl2,400MHz):δ=7.87(t,J=7.8Hz,4H),7.67(d,J=7.8Hz,2H),7.45(t,J=7.8Hz,2H),7.40−7.31(m,6H),6.60(d,J=8.3Hz,2H),2.93(s,2H),1.44(s,18H),1.36(brs,4H)
13C NMR(CD2Cl2,100MHz):δ=155.62, 147.50, 145.38, 142.40, 135.94, 133.71, 132.95, 130.59, 129.44, 129.10, 128.19, 127.92, 127.67, 126.82, 123.58, 123.18, 112.36, 111.69, 110.67, 35.63, 32.38, 31.45, 27.18
FL (CHCl3):λmax(φ)=608nm(0.88)
HRMS (FAB):Calcd for C5441248 [M+H],899.3576
Found:899.3571
3−9.化合物(2−2)
反応容器(ミクロチューブ)に化合物(4−2)を入れてAr置換した。これを減圧下、260℃で2時間加熱し、室温に冷却することで、式(2−2)で表される化合物を得た。
得られた化合物(2−2)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form.:C5236248 (Exact Mass:870.3185,Mol.Wt.:870.5115)
Appearance:Black powder
HRMS (FAB):Calcd for C5237248 [M+H],871.3263
Found: 871.3273
また、得られた化合物(2−2)0.1mgをクロロホルム25mlに溶解し、クロロホルム溶液を調製し、この溶液の吸収スペクトルを図1に示した。
4.合成例4
4−1.化合物(6−2)(Alpha-CO2Et-meso-4-tert-Butylphenyl-BCOD-bisBODIPY)

反応容器に、合成例3の3−4工程で得られた化合物(6−1−4)を0.402g(0.382mmol)を入れて、攪拌した後に、容器内をAr置換し、dry-CH2Cl2(4ml)を加え遮光した。DDQ(0.176g、0.775mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。ジイソプロピルエチルアミン(0.95ml、5.59mmol)を加え、室温で10分間攪拌した。BF3・OEt2(0.7ml、5.67mmol)を加え、室温で30分攪拌した。水を加えクエンチし、クロロホルムで抽出し、有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(Si、40%酢酸エチル/ヘキサン、Rf=0.47)で精製し、再結晶(クロロホルム/ヘキサン)することで、式(6−2)で表される化合物0.267g(0.234mmol、化合物(6−1−4)からの収率61mol%)を得た。
得られた化合物(6−2)の分析データは、以下のとおりである。
Mol. Form.: C66682428 (Exact Mass: 1142.5159, Mol. Wt.: 1142.8837)
Appearance: Orange solid
1H NMR (solvent, 400 MHz): δ= 7.61 (m, 4H), 7,29 (m, 4H), 6.39 (m, 2H), 6.05 (m, 2H), 4.49 - 4.32 (m, 8H), 4.30 (m, 2H), 3.51 (s, 2H), 2.51 (s, 2H), 1.48 (s, 18H), 1.45 - 1.40 (m, 12H), 1.40 - 1.05 (m, 12H)
13C NMR (solvent, 100 MHz): δ= 160.93, 160.91, 160.76, 160.72, 154.05, 153.81, 151.49, 149.21, 142.57, 139.89, 138.68, 138.48, 135.88, 135.81, 133.65, 130.83, 130.43, 129.76, 128.47, 128.08, 127.64, 126.05, 125.89, 125.21, 61.56, 61.50, 35.46, 35.06, 34.08, 34.03, 32.76, 31.33, 27.05, 25.79, 25.74, 25.65, 25.57, 14.11, 14.06
IR (KBr)νmax/cm-1: 2962, 1701, 1558, 1111
UV/Vis/NIR (solvent): λmax(logε) = 553 (5.06), 448 (4.43) nm
Anal. Calcd for C66682448 +1/2 CHCl3: C, 66.42; H, 5.74; N, 4.66Found: C, 66.25; H, 5.68; N, 4.54
HRMS (FAB): Calcd for C66682448 +H, 1143.5238
Found: 1143.5247
4−2.化合物(2−2)(Alpha-CO2Et-meso-4-tert-Butylphenyl-All retro-bisBODIPY)

反応容器に前記工程で得られた化合物(6−2)を22.9mg(20.04μmol)を入れて、容器内をN2置換した。減圧下、175℃で1時間、240℃で30分、250℃で30分加熱し、室温へ冷却することで、式(2−2)で表される化合物21.0mg(19.8μmol、化合物(6−2)からの収率99%)を得た。
得られた化合物(2−2)の分析データは、以下のとおりである。
Mol. Form.: C60562448 (Exact Mass: 1058.4220, Mol. Wt.: 1058.7243)
Appearance: Black solid
m.p.: 333℃decomp
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ= 8.13 (d, J = Hz, 2H), 7.76 (d, J = Hz, 4H), 7.44 (d, J = Hz, 4H), 7.20 (s, 2H), 7.04 (t, J = Hz, 2H), 6.13 (d, J = Hz, 2H), 4.57 (q, J = Hz, 4H), 4.47 (q, J = Hz, 4H), 1.57 (s, 18H), 1.54 (m, 12H)
UV/Vis/NIR (CHCl3): λmax(logε) = 884 (***), 796 (***), 418 nm
HRMS (FAB): Calcd for C60562448 +H, 1059.4299
Found: 1059.4301
5.HOMO、LUMOの計算
各化合物のHOMO、LUMOは、密度汎関数理論(DFT:Density Functional Theory)により、B3LYP/6−31G(d)レベルで行った。エネルギーレベルの計算は、汎用量子化学計算プログラム(ガウシアン社製、「Gaussian(登録商標) 03W」)を用いて行った。また、軌道図の描画やエネルギーレベルの数値確認は、計算結果視覚化プログラム(ガウシアン社製、「GaussView(登録商標)4.1」)を使用した。結果を表1に示した。
表1に示すように、主骨格に結合する置換基として、電子求引性基を有するNo.1〜9の化合物は、いずれもHOMO準位が−5eVより深くなっている。よって、電子求引性基を有さないNo.10の化合物と比べて、HOMO準位が低下していることがわかる。
6.化合物の安定性試験
合成例3で得られた化合物(2−2)及び下記の化合物(Z)について、溶液にした状態での安定性を評価した。なお、化合物(Z)は、非特許文献2の記載に基づいて合成した。評価は、それぞれ以下のように行った。
6−1.化合物(2−2)
化合物(2−2)0.1mgをクロロホルム25mlに溶解し、クロロホルム溶液を調製した。この溶液の経時変化を、吸収スペクトルを測定して確認したものを図2に示した。
6−2.化合物(Z)
化合物(Z)0.27mgをクロロホルム50mlに溶解し、クロロホルム溶液を調製した。この溶液の経時変化を、吸収スペクトルを測定して確認したものを図3に示した。
図2に示すように、化合物(2−2)では、クロロホルム溶液に溶解した後、12時間経過後(12h)、19時間経過後(19h)の吸収スペクトルが、溶解直後(0min)における吸収スペクトルと、ほぼ同様の波形を示している。このことから、主骨格に結合する電子求引性基を有する化合物(2−2)は、溶媒に溶解した際に、非常に安定していることがわかる。
これに対して、図3に示すように、化合物(Z)では、クロロホルム溶液に溶解した直後(0min)では、約840nmに大きなピークを有し、約610nmに現れるピークは非常に小さい。しかし、クロロホルム溶液に溶解した後、時間が経過するにつれて、約840nmにおけるピークが小さくなり、約610nmにおけるピークが大きくなっている。そして、クロロホルム溶液に溶解した後、2時間経過後(2h)には、約840nmにおけるピークよりも、約610nmにおけるピークの方が大きくなっており、わずか4時間経過後(4h)には、約840nmにおけるピークがほぼ消滅し、約610nm(可視領域)に非常に大きなピークを示している。
すなわち、主骨格に電子求引性基を有さない化合物(Z)では、溶媒に溶解した際に、非常に不安定であり、わずかな時間で不可視性を失うことがわかる。
7.合成例
7−1.化合物(17−2)
反応容器を窒素置換し、dry−CH2Cl2(50ml)を加えた。1,4−シクロヘキサジエン(5ml,53mmol)を加え、反応容器を−78℃に冷却してスルフェニルクロライド(6ml,53mmol)を滴下した。室温に戻して1時間攪拌した後、反応溶液を飽和重曹水、水、ブラインで洗浄し、有機相に無水硫酸ナトリウムを加え、綿栓濾過した。さらに、濾液を減圧下で濃縮することにより、式(17−2)で表される化合物10.26g(1.16mmol、化合物(17−1)からの収率86%)を得た。
得られた化合物(17−2)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form: C1213ClS(Exact Mass: 224.0426, MW:224.7496)
Appearance: colorless oil
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=2.25(m, 1H), 2.38(m, 1H), 2.84(m, 1H), 2.98(m, 1H), 3.59(m, 1H), 4.18(m, 1H), 5.60(m, 1H), 5.68(m, 1H), 7.30(m, 3H), 7.45(m, 2H)
13C NMR(100MHz, CDCl3):d=133.56, 132.09, 128.95, 127.38, 123.60, 122.27, 56.95, 47.43, 31.14 27.80
mp:−−−(oil compound)
HRMS calcd for C1213ClS, : 225.0505, found 225.0485
MS(FAB) m/z 225 M+
Anal. Calcd for C384424 : C, 64.13; H, 5.83.
Found: C, 63.92; H, 5.93; N, 0.09.
7−2.化合物(17−3)
反応容器に式(17−2)で表される化合物(10.26g,46mmol)を入れ、ジクロロメタン(500ml)を加えた。反応容器を0℃に冷却し、純度69〜75%のmCPBA(24.1g,92mmol)を加え、室温に戻して16時間攪拌した。反応終了後、セライト濾過により不溶物を取り除き、濾液を飽和重曹水、水、ブラインで洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。さらに、減圧下で濃縮することにより、式(17−3)で表される化合物7.55g(29.4mmol、化合物(17−2)からの収率64%)を得た。
得られた化合物(17−3)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form: C1213ClSO2(Exact Mass:256.0325, MW:256.7484)
Appearance: colorless oil
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=2.45(m, 1H), 2.55(m, 1H) 2.65(m, 1H), 2.94(m, 1H), 3.57(m, 1H), 4.63(m, 1H), 5.67(m, 2H), 7.58(m, 2H), 7.68(m, 1H), 7.92(m, 2H)
13C NMR(100MHz, CDCl3):d=138.22, 133.90, 129.19, 128.57, 122.81, 122.23, 63.69, 51.48, 32.44, 22.08.
mp: −−−(oil compound)
HRMS calcd for C1213ClSO2 : 257.0403, found 257.0408
MS(FAB) m/z 257M+
7−3.化合物(17−4)
反応容器に式(17−3)で表される化合物(3.87g、15.1mmol)を入れ窒素置換し、dry−ジクロロメタン(56ml)を加えた。反応容器を0℃に冷却してDBU(2.24ml、15.1mmol)を滴下した。室温に戻して3時間攪拌した後、1M塩酸を加えてクエンチし、反応溶液を飽和重曹水、水、ブラインで洗浄した。有機相にシリカゲルと無水硫酸ナトリウムを加え、濾液を減圧下で濃縮することで式(17−4a)及び(17−4b)で表される化合物2.06g(9.35mmol、化合物(3)からの収率62%)を得た。
得られた化合物(17−4a)及び(17−4b)の分析データは、以下のとおりである。なお、各データは化合物(17−4a)及び(17−4b)が混合している状態で測定している。
Mol.Form: C1213SO2(Exact Mass:220.0558, MW:220.2875)
Appearance:colorless oil
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=2.82(m, 4H), 2.95(m, 2H) 3.88(m, 1H), 5.54(m, 2H), 5.67(m, 2H), 5.79(m, 1H), 6.08(m, 1H), 7.05(m, 1H), 7.45−7.59(m, 4H), 7.62(m, 2H), 7.87(m, 4H)
mp: −−−(oil compound)
7−4.化合物(17−5)
反応容器に、式(17−4a)及び(17−4b)で表される化合物(1.08g,4.9mmol)を入れて窒素置換し、dry−THF(40ml)を加えた。イソシアノ酢酸エチル(0.65ml,6mmol)を加えた後、反応容器を0℃に冷却して1Mのt−BuOK/dry−THF溶液(1.36g,12mmol,12ml)を滴下した。室温に戻して12時間攪拌した後、1M塩酸を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出した。反応溶液を飽和重曹水、水、ブラインで洗浄し、有機相に無水硫酸ナトリウムを加え、綿栓濾過した。さらに、濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により精製した。そして、溶液を濃縮して得られた固体をヘキサンで洗浄することにより、式(17−5)で表される化合物500mg(2.61mmol、化合物(17−4a)及び(17−4b)の混合物からの収率53%)を得た。
得られた化合物(17−5)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form: C1113NO2(Exact Mass:191.0946, MW:191.2264)
Appearance: white solid
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.35(t, 3H, J=7Hz), 3.22(m, 2H), 3.44(m, 2H), 4.30(q, 4H, J=7.0Hz), 5.88(m, 2H), 6.71(m, 1H), 8.88(br, 1H)
13C NMR(100MHz, CDCl3):d=161.55, 124.79, 124.31, 123.72, 118.83, 118.44, 117.42, 59.88, 24.14, 22.44, 14.63.
IR νmax(KBr)/cm-1 : 3288, 1685, 1675, 1323, 1250, 1154
mp: 94℃
HRMS calcd for C1113NO2, : 192.1025, found 192.1014
MS(FAB) m/z 192M+
Anal. Calcd for C1113NO2 : C, 69.09; H, 6.85 N, 7.32
Found: C, 68.92; H, 7.03; N, 7.42.
7−5.化合物(17−6)
反応容器に式(17−5)で表される化合物(3.35g、17.5mmol)を入れて窒素置換し、dry−ジクロロメタン(150ml)を加えた。反応容器を−78℃に冷却してスルフェニルクロライド(1.99ml、17mmol)を滴下した。室温に戻して1時間攪拌した後、反応溶液を飽和重曹水、水、ブラインで洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。さらに、減圧下で濃縮することで式(17−6a)及び(17−6b)で表される化合物4.95g(14.7mmol、化合物(17−5)からの収率84%)を得た。
得られた化合物(17−6a)及び(17−6b)の分析データは、以下のとおりである。なお、各データは化合物(17−6a)及び(17−6b)が混合している状態で測定している。
Mol.Form: C1718ClNO2S(Exact Mass:335.0407, MW: 335.8483)
Appearance: pale yellow solid
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.32−1.38(m, 6H, J=7Hz), 2.98−2.34(m, 4H), 3.35−3.67(m, 4H), 3.73(m, 2H), 4.30(m, 4H), 4.88−5.10(m, 2H), 6.74(m, 2H), 7.28−7.36(m, 6H), 7.45−7.51(m, 4H), 8.90(br, 2H)
13C NMR(100MHz, CDCl3):d=161.39, 161.33, 133.66, 133.63, 132.27, 132.14, 129.19, 129.18, 127.64, 127.60, 122.66, 121.91, 119.42, 119.25, 118.57, 118.34, 116.85, 116.17, 60.02, 60.00, 57.51, 57.43, 47.94, 47.80, 28.81, 27.31, 25.07, 23.54, 14.49, 14.45.
mp:110℃
HRMS calcd for C1718ClNO2, : 336.0825, found 336.0824
MS(FAB) m/z 336M+
Anal. Calcd for C1718ClNO2S : C, 60.80; H, 5.40 N, 4.17
Found: C, 61.10; H, 5.67; N, 3.84.
7−6.化合物(17−7)
反応容器に、式(17−6a)及び(17−6b)で表される化合物(4.95g,14.7mmol)を入れ、ジクロロメタン(179ml)を加えた。反応容器を0℃に冷却し、純度69〜75%のmCPBA(7.05g,29.4mmol)を加え、室温に戻して16時間攪拌した。反応終了後、セライト濾過により不溶物を取り除き、濾液を飽和重曹水、水、ブラインで洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。さらに、減圧下で濃縮することにより、式(17−7a)及び(17−7b)で表される化合物5.4g(14.7mmol、化合物(17−6a)及び(17−6b)の混合物からの収率99%)を得た。
得られた化合物(17−7a)及び(17−7b)の分析データは、以下のとおりである。なお、各データは化合物(17−7a)及び(17−7b)が混合している状態で測定している。
Mol.Form: C1718ClNO4S (Exact Mass:367.0645, MW: 367.8471)
Appearance: pale yellow solid
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.28−1.40(m, 6H), 3.01−3.64(m, 8H), 3.73(m, 2H), 4.30(m, 4H), 4.88−5.12(m, 2H), 6.73(m, 2H), 7.45−7.78(m, 6H), 7.82−8.01(m, 4H), 9.08(br, 2H)
mp:80℃
HRMS calcd for C1718ClNO4, : 368.0723, found 368.0688
MS(FAB) m/z 368M+
7−7.化合物(17−8)
反応容器に、式(17−7a)及び(17−7b)で表される化合物(1.12g,3.05mmol)を入れ、窒素置換し、dry−THF(30ml)を加えた。反応容器を0℃に冷却し、1Mのt−BuOK/THF溶液(340mg,3.04mmol,3.04ml)を加え、室温に戻して4時間攪拌した。反応終了後、1M塩酸を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出した。反応溶液を飽和重曹水、水、ブラインで洗浄した。有機相に無水硫酸ナトリウムを加え、濾液を減圧下で濃縮した。そして、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により精製することで式(17−8a)及び(17−8b)で表される化合物770mg(2.32mmol、化合物(17−7a)及び(17−7b)の混合物からの収率76%)を得た。
得られた化合物(17−8a)及び(17−8b)の分析データは、以下のとおりである。なお、各データは化合物(17−8a)及び(17−8b)が混合している状態で測定している。
Mol.Form: C1717NO4S (Exact Mass:331.0878, MW: 331.3862)
Appearance: pale yellow solid
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.26−1.39(m, 6H), 3.36−3.78(m, 8H), 4.30(m, 4H), 6.72(m, 2H), 7.49−7.63(m, 6H), 7.87−7.97(m, 4H), 8.95(br, 2H)
7−8.化合物(17)

反応容器に、式(17−8a)及び(17−8b)で表される化合物(680mg,2.05mmol)を入れて窒素置換し、dry−THF(20ml)を加えた。イソシアノ酢酸エチル(0.27ml,2.5mmol)を加えた後、反応容器を0℃に冷却して1Mのt−BuOK/THF溶液(570mg,5.09mmol,5.1ml)を滴下した。室温に戻して12時間攪拌した後、1M塩酸を加えてクエンチし、酢酸エチルで抽出した。反応溶液を飽和重曹水、水、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え、濾液を減圧下で濃縮した。そして、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により精製した。さらに、溶液を濃縮して得られた固体をヘキサンで洗浄することにより、式(17)で表される化合物70mg(0.232mmol、化合物(17−8a)及び(17−8b)の混合物からの収率11%)を得た。
得られた化合物(17)の分析データは、以下のとおりである。
Mol.Form: C161824(Exact Mass:302.1267, MW:302.3251)
Appearance: pale brown powder
1H NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.40(m, 6H), 3.99(m, 4H), 4.37(m, 4H), 6.86(m, 2H), 8.95(br, 2H)
HRMS calcd for C161824, : 303.1345, found 303.1348
MS(FAB) m/z 303M+
本発明のビス−ボロンジピロメテン色素は、近赤外吸収色素として、近赤外線を吸収・カットする機能を有する半導体受光素子用の光学フィルター;省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板;セキュリティーインクや不可視バーコードインクとしての情報表示材料;近赤外光を利用した太陽電池用色素;プラズマディスプレイパネル(PDP)やCCD用の赤外線カットフィルター;レーザー光を利用した熱変換材料として、レーザー製版、熱転写記録、リライタブル感熱、レーザー溶着、樹脂の熱硬化用の近赤外線吸収材料;サングラス等の保護眼鏡用材料;等に用いることができる。

Claims (5)

  1. 式(1)又は(2)で表されることを特徴とするビス−ボロンジピロメテン系色素。
    [式(1)中、R1〜R14のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
    式(2)中、R15〜R28のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。]
  2. 前記電子求引性基が、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、アルキルオキシカルボニル基及びアシル基よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のビス−ボロンジピロメテン系色素。
  3. 式(13)〜(16)で表されることを特徴とするビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体。
    [式(13)中、RingAは、下記式Ia〜IIaから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ia〜IIa中、a1〜a4は炭素番号を意味する)。
    式(14)中、RingBは、下記式Ib〜IIbから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ib〜IIb中、b1〜b4は炭素番号を意味する)。
    式(15)中、RingCは、下記式Ic〜IIcから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式Ic〜IIc中、c1〜c4は炭素番号を意味する)、
    RingDは、下記式Id〜IIIdから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式Id〜IIId中、d1〜d4は炭素番号を意味する)、
    RingEは、下記式Ie〜IIIeから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ie〜IIIe中、e1〜e4は炭素番号を意味する)。
    式(16)中、RingFは、下記式If〜IIfから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式If〜IIf中、f1〜f4は炭素番号を意味する)、
    RingGは、下記式Ig〜IIIgから選択されるいずれか一つの環状構造であり(式Ig〜IIIg中、g1〜g4は炭素番号を意味する)、
    RingHは、下記式Ih〜IIIhから選択されるいずれか一つの環状構造である(式Ih〜IIIh中、h1〜h4は炭素番号を意味する)。
    式(13)及び(15)中、R39〜R52のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
    式(14)及び(16)中、R53〜R66のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
    各式中、L1〜L8は、それぞれ独立して、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。なお*は、結合手を示す。]
  4. 式(3)〜(6)で表される請求項3に記載のビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体。
    [式(3)及び(5)中、R1〜R14のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
    式(4)及び(6)中、R15〜R28のいずれか一つは、電子求引性基であり、残りは水素又は有機置換基である。
    各式中、L1〜L8は、それぞれ独立して、*−CH2−CH2−*、*−C(=O)−*、*−C(=O)−C(=O)−*を示す。なお*は、結合手を示す。]
  5. 前記電子求引性基が、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、アルキルオキシカルボニル基及びアシル基よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項3又は4に記載のビス−ボロンジピロメテン系色素の前駆体。
JP2012280250A 2012-02-10 2012-12-21 ビス−ボロンジピロメテン系色素及びその前駆体 Active JP6086526B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012280250A JP6086526B2 (ja) 2012-02-10 2012-12-21 ビス−ボロンジピロメテン系色素及びその前駆体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012027806 2012-02-10
JP2012027806 2012-02-10
JP2012280250A JP6086526B2 (ja) 2012-02-10 2012-12-21 ビス−ボロンジピロメテン系色素及びその前駆体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013177551A true JP2013177551A (ja) 2013-09-09
JP6086526B2 JP6086526B2 (ja) 2017-03-01

Family

ID=49269511

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012280250A Active JP6086526B2 (ja) 2012-02-10 2012-12-21 ビス−ボロンジピロメテン系色素及びその前駆体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6086526B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11091503B2 (en) 2017-11-10 2021-08-17 Lg Chem, Ltd. Compound and color conversion film comprising the same

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5433896A (en) * 1994-05-20 1995-07-18 Molecular Probes, Inc. Dibenzopyrrometheneboron difluoride dyes
JP2004311030A (ja) * 2002-06-03 2004-11-04 Mitsubishi Chemicals Corp 有機電界発光素子
JP2009263614A (ja) * 2008-03-30 2009-11-12 Fujifilm Corp 赤外線吸収性化合物および該化合物からなる微粒子

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5433896A (en) * 1994-05-20 1995-07-18 Molecular Probes, Inc. Dibenzopyrrometheneboron difluoride dyes
JP2004311030A (ja) * 2002-06-03 2004-11-04 Mitsubishi Chemicals Corp 有機電界発光素子
JP2009263614A (ja) * 2008-03-30 2009-11-12 Fujifilm Corp 赤外線吸収性化合物および該化合物からなる微粒子

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11091503B2 (en) 2017-11-10 2021-08-17 Lg Chem, Ltd. Compound and color conversion film comprising the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP6086526B2 (ja) 2017-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11072573B2 (en) Binaphthyl compounds
Hu et al. Dithienylethene-based rotaxanes: synthesis, characterization and properties
JP5959171B2 (ja) π共役有機ホウ素化合物及びその製造方法
Yu et al. AIE-active difluoroboronated acylhydrozone dyes (BOAHY) emitting across the entire visible region and their photo-switching properties
Wang et al. Facile synthesis and controllable bromination of asymmetrical intermediates of perylene monoanhydride/monoimide diester
Şenkuytu et al. Cyclotriphosphazene-BODIPY Dyads: Synthesis, halogen atom effect on the photophysical and singlet oxygen generation properties
JP4086920B2 (ja) ナフタレンラクタムイミド蛍光染料
Yagishita et al. Highly efficient blue emission from boron complexes of 1-(o-hydroxyphenyl) imidazo [1, 5-a] pyridine
JP2017141215A (ja) 新規オキソカーボン系化合物
Knight et al. Synthesis of 3-aminoBODIPY dyes via copper-catalyzed vicarious nucleophilic substitution of 2-halogeno derivatives
Çınar et al. Synthesis and photophysical properties of monomeric and dimeric halogenated aza-BODIPYs
JP6086526B2 (ja) ビス−ボロンジピロメテン系色素及びその前駆体
JP6638948B2 (ja) 新規オキソカーボン系化合物
CN107001926A (zh) 双(二芳基亚甲基)‑二氢并苯类化合物的聚集诱导发光和聚集促进光致变色
JP6226363B2 (ja) ビス−ボロンジピロメテン系色素
CA3054518A1 (en) Oligomeric perylene diimide non-fullerene acceptors via direct (hetero) arylation cross-coupling reactions
CN106947469B (zh) 异吲哚硼杂荧光染料及其制备方法及其应用
JP2020033489A (ja) 新規化合物及びその製造方法
Dauth et al. Preparation of 2‐Azarhodacyclobutanes by Rhodium (I)–Olefin Oxidation
KR101478884B1 (ko) 비스인돌일말레이미드계 화합물 및 이의 제조방법
JP2017036248A (ja) 新規なベンゾインデノフルオレノピラン類及びその製造方法
Jaung Synthesis of new porphyrins with dicyanopyrazine moiety and their optical properties
CN110305105A (zh) 醛基官能团化二噻吩乙烯共轭延伸通用性分子骨架化合物及其制备方法和应用
CN114524752B (zh) 开关型光致变色联苯型α-氰基二苯乙烯基化合物及其制备方法
EP3950675A1 (en) Fluorescent compound, preparation method therefor, and use thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151111

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20151111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160810

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6086526

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250