JP2013177422A - サーファクタント処置療法 - Google Patents

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Abstract

【課題】気管支肺異形成症を示しているかあるいはその発症の危険がある乳児への治療的または予防的な療法の提供。
【解決手段】呼吸困難症候群に対して肺表面活性剤で処置された乳児における気管支肺異形成症の治療または予防方法であって、肺表面活性剤での呼吸困難症候群に対する処置に続いて、気管支肺異形成症を治療または予防するのに有効な量および時間で、乳児に肺表面活性剤を投与することを含む方法。肺表面活性剤は特定のペプチドを含む合成肺表面活性剤が好ましい。
【選択図】なし

Description

関連出願の引用
本出願は、2005年1月6日に出願された出願番号第60/641,805に対して、35U.S.C119(e)条の利益を主張するものであり、その開示は、その全体が参照として組み入れられる。
本発明は、肺疾患の処置に関する。特に、気管支肺異形成症および関連疾患の治療または予防のための療法が提供され、肺表面活性剤の使用を特徴とする。
種々の特許、特許刊行物および科学論文が、明細書全体にわたって引用しうる。これらの文献の各々の内容は、それらの全体において、本明細書に参照として組み入れられる。
天然の肺表面活性剤(PS)(肺サーファクタント)は、肺で天然に生成され、酸素を吸収する肺の能力に不可欠なタンパク質/脂質組成物である。それらは、肺の肺胞表面全体および肺胞につながる終末誘導気道を覆う。表面活性剤(サーファクタント)は、肺胞内に通常存在する液の表面張力を継続的に改変することにより呼吸を容易にする。十分な表面活性剤が存在しないと、あるいは表面活性剤(サーファクタント)が劣化すると、肺胞はつぶれやすくなり、肺は、十分な酸素を吸収しなくなる。終末誘導気道の表面張力を低下させることにより、表面活性剤(サーファクタント)は、開放度を維持する、すなわち、気道を開いた状態に保つ。開放度の喪失は、気道の開放度障害の喪失および肺機能不全をもたらす。ヒト表面活性剤(ヒトサーファクタント)は、主に、主要なものがジパルミトイルホスファチジル−コリン(DPPC)であるリン脂質、ならびに4種の表面活性剤ポリペプチド、A、B、CおよびD(サーファクタントポリペプチド、A、B、CおよびD)を含み、表面活性剤タンパク質B(SP−B)(サーファクタントプロテインB)は、呼吸機能に対して最も重要である。天然および合成肺表面活性剤(天然および合成肺サーファクタント)は、通常、出生間もない未熟児における呼吸困難症候群を処置するために使用される。
気管支肺異形成症(BPDまたはBD)(慢性肺疾患(CLD)とも称される)は、通常、未熟児の呼吸困難症候群(RDS)および他の合併症から生き残った未熟児に典型的に生じる、時として、生命を脅かす肺疾患である。出生前のステロイドおよび出生後の外因性肺表面活性剤(外来性肺サーファクタント)のほぼ全面的な導入で、多数の潜在的に危険のある低出生時体重の乳児が、現在、未熟児の急性肺疾患から生き残り、慢性肺疾患を発症するのみである。合成および動物由来の表面活性剤(サーファクタント)の広範な使用の前には、BPDは、歴史的に、気道損傷および線維症を特徴としていた。表面活性剤補充療法(サーファクタント補充療法)の出現以来、乳児は、従来の報告に記載されているより気道および線維症への関わりが少なくなったようであるが、肺胞形成および血管新生の異常を有している。病状の性質の変化によって、新生児生理学者は「新たなBPD」と呼ぶようになった。BPDは、出生時またはそのすぐ後に呼吸支援を必要とする満期産児にも発生しうる。
表面活性剤療法は、より大きく、中程度に未熟な乳児がこの疾患を患う頻度を減少させているが、極端な未熟児における表面活性剤による生存のメリットは、より小さい、より未熟な赤子に対するBPDの発症というシフトをもたらしている。抗炎症用量での出生後ステロイドは、BPDの生理的帰結を少し減少させることが知られているが、それは、神経発達の成果を犠牲にしてである。さらに、ステロイドは、肺胞形成を減少させうる。ビタミンA誘導体は、動物において肺胞形成を促進するが、臨床結果はささやかなものである。興味深い理論的根拠にもかかわらず、抗酸化剤は、ほとんど価値がないことが立証されている。吸入された一酸化窒素が、非常に低い出生時体重の乳児においてBPDの可能性を減少させるかどうかは、進行中の臨床試験の結果による。
BPDまたはCLDの原因は、おそらく多因子的である。しかしながら、BPDの病態生理的な来歴および帰結は、すでに臨床的に使用されている薬剤での予防という新しいアプローチを示唆している。初期の穏やかな肺浮腫の結果としての肺コンプライアンスの減少は、その後のBPDの進行と相関することが示されている。好中球の肺への移動は、肺浮腫および高酸素症の存在下に増加する。これらの細胞が活性化されると、それらは、さらに肺を損傷するプロテアーゼおよびオキシダントを含む炎症メディエーターを放出する。これらのことにより、肺機能を劣化させ、初めに人工呼吸器から離れることができた多くの乳児に機械的な換気の必要を生じさせ、また、離れることができなかったものには、人工呼吸器の必要性を増大させる。表面活性剤は、それ自体、プロテアーゼ、オキシダント種および小分子メディエーターのターゲットであり、毛細管漏洩の存在下に、気管支肺胞液に見出される多くの血漿タンパク質により不活性化されうる。
BPDおよび関連肺疾患を予防または緩和するための処置が必要である。本発明は、この必要および他の重要な必要に対するものである。
本発明の一態様は、呼吸困難症候群(「RDS」)に対して肺表面活性剤(肺サーファクタント)で処置された乳児におけるBPDの治療または予防方法を提供する。肺表面活性剤(肺サーファクタント)での呼吸困難症候群に対する処置に続いて、BPDを治療または予防するのに有効な量および時間で、乳児に肺表面活性剤(肺サーファクタント)を投与する。典型的には、BPDに対する肺表面活性剤(肺サーファクタント)の投与は、肺表面活性剤(肺サーファクタント)での呼吸困難症候群に対する処置の後に、例えば、RDSに対する処置の完了に続いて、その次の投与間隔で、乳児の生後3日目に、あるいはRDSに対する処置が完了した時にはいつでも、開始される。特定の実施態様においては、肺表面活性剤(肺サーファクタント)の投与は、乳児の月経後年齢(「PMA」)で少なくとも36週目まで継続されるか、あるいは乳児の出生後年齢で少なくとも28日目まで継続される。特定の実施態様においては、肺表面活性剤(肺サーファクタント)の投与は、乳児の生後少なくとも14日目または18日目まで継続される。特定の実施態様においては、処置は、乳児の生後3日目から10日目のいずれかの時、例えば、乳児の生後14日目もしくは18日目またはそれ以降に開始される。
本発明の他の一態様は、呼吸支援が必要な乳児におけるBPDの治療または予防方法を提供する。肺表面活性剤は、BPDを治療または予防するのに有効な量および時間で、乳児に投与する。特定の実施態様においては、PSは、乳児がもはや呼吸支援を必要としなくなるまで投与される。特定の実施態様においては、PSは、乳児の生後1日目またはその後に投与され、PMAで少なくとも36週目まであるいは乳児の出生後年齢で少なくとも28日目まで継続される。特定の実施態様においては、投与は、乳児の生後1日目に、または乳児の生後3日目に開始される。特定の実施態様においては、投与は、乳児がBPDと診断される前に開始され、そして乳児の生後2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する。特定の実施態様においては、投与は、乳児の生後1日目または乳児の生後2日目に開始され、そして乳児の生後2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する。これらの実施態様のいくつかにおいて、処置は、乳児の生後少なくとも10日目、14日目、または18日目まで継続される。これらの実施態様のいくつかにおいて、PSの投与は、乳児の生後3日目から18日目、3日目から14日目、または3日目から10日目のいずれかの時に開始される。呼吸支援が必要な乳児は、呼吸困難症候群を示していても、示していなくてもよい。
乳児への肺表面活性剤の投与方法は、この分野で公知である。特定の実施態様においては、投与は、気管内投与による。他の実施態様においては、投与は、エアゾール適用および吸入による。用語「吸入」は、例えば、乾燥粉末の吸入および湿潤エアゾールの吸入の双方を包含する。
特定の実施態様においては、上記の処置プロトコルには、他の呼吸器療法、例えば機械的換気法、鼻腔CPAP(nCPAP)を含む連続的陽気道圧(CPAP)あるいは他の治療剤の投与が伴う。
好ましい実施態様において、方法は、合成肺表面活性剤を投与することを含む。特に好ましいものは、配列番号1を有するペプチドを含む肺表面活性剤である。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および実施例から理解されるであろう。
特記しない限り、本明細書中に記載されまたは引用されているすべての医療手順は、医師および/または医療従事者に理解されている現下の看護標準に準じて行われている。
本明細書中で使用される用語は、特別の実施態様のみを記述するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書および付属の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他の意味を指示していない限り、複数の対象物を包含する。そこで、例えば、「ペプチド」は、2以上のペプチドなどを包含する。
本明細書中で使用される、量、時間などの測定可能な値に関する「約」は、特定の値から、±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、なおより好ましくは±0.1%のばらつきを包含することを意味し、そのようなばらつきは、開示された方法を行うのに適切である。
別に定義されない限り、本明細書中で使用されているすべての技術用語および科学用語は、本発明に関する当業者により通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されていると同様のまたは均等なすべての方法を本発明の試験を行う上で使用することができるが、好ましい材料および方法が本明細書中に記載されている。本発明を記載し、クレームする上で、以下の用語が使用される。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、「ペプトイド」および「タンパク質」は、互換的に、アミノ酸残基のポリマーを言及するのに使用される。用語は、1以上のアミノ酸残基が対応する天然由来のアミノ酸の人工的な化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然由来のアミノ酸ポリマーおよび非天然由来のアミノ酸ポリマーに適用される。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然由来のアミノ酸と同様な様式で機能する化学化合物を意味する。非天然残基は、科学文献および特許文献において十分に記述されており;天然アミノ酸残基の模倣物として有用な少数の例示的非天然組成物およびガイドラインは、下記にされている。例えば、芳香族アミノ酸の模倣物は、例えば、D−またはL−ナフチルアラニン;D−またはL−フェニルグリシン;D−またはL−2−チエニルアラニン;D−またはL−1,2,3−または4−ピレニルアラニン;D−またはL−3−チエニルアラニン;D−またはL−(2−ピリジニル)−アラニン;D−またはL−(3−ピリジニル)−アラニン;D−またはL−(2−ピラジニル)−アラニン;D−またはL−(4−イソプロピル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン;D−p−フルオロ−フェニルアラニン;D−またはL−p−ビフェニルフェニルアラニン;K−およびL−p−メトキシ−ビフェニルフェニルアラニン;D−またはL−2−インドール(アルキル)アラニン;およびD−またはL−アルキルアイニン(ここで、アルキルは、置換もしくは非置換メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソ−ブチル、sec−イソチル、イソ−ペンチル、または非酸性アミノ酸である)で置換することにより生成することができる。非天然アミノ酸の芳香環として、例えば、チアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、およびピリジル芳香環が挙げられる。
「ペプチド」は、具体的に本明細書中で例示されているそれらのペプチドの同種変形体であるペプチドを包含する。本明細書中で使用される「同種変形体」とは、他の生物学的に同様な残基によるアミノ酸残基の置換を意味する。同種変形体の例として、他のものを1種の疎水性残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、システイン、グリシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、ノルロイシンまたはメチオニンで置換すること、あるいは他のものを1種の極性残基で置換すること、例えばリジンをアルギニンで、アスパラギン酸をグルタミン酸で、またはアスパラギンをグルタミンで置換することなどが挙げられるが、これらに限定されない。互いに置換することができる中性親水性アミノ酸として、アスパラギン、グルタミン、セリンおよびスレオニンが挙げられる。「同種変形体」として、また、置換ポリペプチドに列せられる抗体がまた非置換ポリペプチドと免疫反応する場合には、非置換親アミノ酸の代わりに、置換アミノ酸の使用が挙げられる。そのような同種置換体は、本発明のペプチドの種類の定義内である。本明細書中で使用される「カチオン性」は、pH7.4で正味の正電荷を有する任意のペプチドを意味する。ペプチドの生物学的活性は、当業者に公知で本明細書中に記載の標準的な方法により決定することができる。
本発明のペプチドは、この分野で公知の方法により合成することができる。例えば、特定の実施態様においては、α−アミノ基のt−BOCまたはFMOC保護等の一般に使用されている方法を使用することができる。双方の方法は段階的な合成を含み、それによりペプチドのC末端を出発して、単一のアミノ酸が各工程で添加される(Coligan et. al.、Current Protocols in Immunology, Wiley Interscience, 1991, Unit 9)。本発明のペプチドは、例えば、0.1〜1.0mMolアミン/gポリマーを含有するコポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)を使用して、Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85: 2149, 1962およびStewart and Young, 1969, Solid Phase Peptides Syntheisis, pp. 27-62に記載の周知の固相ペプチド合成法により合成することができる。化学合成が終了すると、ペプチドは液体HF−10%アニソールで約1/4〜1時間0℃で処理することでポリマーから脱保護及び切断することができる。試薬を蒸発させた後、1%酢酸溶液を用いてペプチドをポリマーから抽出し、次いで凍結乾燥して原料を得る。これは通常、溶媒として5%酢酸を用いたSephadexG−15によるゲル濾過のような技術により、精製することができる。カラムの適切な画分を凍結乾燥することで均質なペプチド又はペプチド誘導体が生じることとなる。これは、次いで、アミノ酸分析、薄層クロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、紫外部吸光光度法、モル回転、溶解度及び固相エドマン分解法のような標準的技術により特定することができる。
タンパク質に関して使用される「組換え」は、そのタンパク質が異種の核酸もしくはタンパク質の導入または元来の核酸もしくはタンパク質の改変により変性されていることを示している。
本発明の目的で、BPDは、28日齢もしくはその近辺、PMAの36週もしくはその近辺、または下記の表1に記載のとおりのときに診断される。PMAの36週または28日齢において、90%以上の酸素飽和濃度(「SaO2」)を維持するために機械的人工換気法に置かれているかまたは補足的な酸素を必要とする乳児(摂食中に補足的な酸素を必要とする乳児を除く)は、BPDを有しているといわれる。一般に、胸部X線が、BPD診断を確定するために、28日齢の乳児に対してなされる。BPDである肺のX線は、しばしば、あわ立っており、スポンジ様の様相を呈する。X線は、眼に見えない電磁エネルギー線を使用する診断試験法であり、内部の組織、骨、および臓器の画像をフィルム上に作り出す。
あるいは、BPDは、その全体が参照として本明細書に組み入れられる、Jobe and Bancalari, Am. J Respir Crit Care Med, 2001, 163:1723-1729からの、下記の表1に記載の基準を使用して診断することができる。
表1
妊娠週齢 <32週 ≧32週
認定時点 PMAの36週または家庭へ 出産後>28日ただし<56
の退院のいずれか早い方 日または家庭への退院のいず
れか早い方

乳児が既に>21%の酸素で 乳児が既に>21%の酸素で
少なくとも28日処置されて 少なくとも28日処置されて
いる いる

軽度のBPD PMAの36週または退院の 出産後56日または退院まで
いずれか早い方で室内気吸入 のいずれか早い方で室内気吸


中度のBPD PMAの36週または退院の 出産後56日または退院まで
いずれか早い方で<30%の のいずれか早い方で<30%
酸素が必要 の酸素が必要

重度のBPD PMAの36週または退院の 出産後56日または退院まで
いずれか早い方で≧30%の のいずれか早い方で≧30%
酸素および/または陽圧(例 の酸素および/または陽圧(
えば、PPVまたはNCPA 例えば、PPVまたはNCP
PA)が必要 APA)が必要
表1に与えられている無呼吸疾患(例えば、中枢性無呼吸または横隔膜麻痺)に対する>21%の酸素および/または陽圧で処置された乳児は、それらがまた実質肺疾患を患っておらず、呼吸困難の臨床的特徴を示していない限り、BPDを有していない。>21%の酸素での処置の日とは、その日に、乳児が12時間より長く、>21%の酸素を受けることを意味する。PMAの36週または出産後56日もしくは退院時に>21%の酸素および/または陽圧で処置することは、「急性の」出来事を反映せず、むしろ、PMAの36週、出産後56日、または退院の前およびその後に、数日間乳児の通常の日常的治療を反映している。
本発明の目的で、「呼吸困難症候群」は、20〜28時間齢の間に得られる胸部レントゲン写真において網状顆粒状陰影を示すと共に、吸入気酸素分率(「FiO2」)≧0.30を必要とする24時間齢の乳児において存在しているものと定義される。
「補足的酸素」は、酸素飽和濃度≧90%を維持するための、任意の追加的な酸素の必要を意味する。これは、補足的酸素(≧21%FiO2)が与えられるならば、機械的換気法および/またはCPAPを包含する。
「乳児」は、新生児を包含する。典型的には、新生児は、4週齢以下の、未熟でまたはその他で生まれた乳児である。本明細書で使用される目的において、乳児は、2歳以下である。
「呼吸支援」は、例えば、補足的酸素、機械的換気法、CPAP、アルブテロール処置などを含む、呼吸疾患を処置する任意の介入を包含する。
「処置」は、疾患または病態、例えばBPDの処置または改善における成功のあらゆる兆候を意味する。1日目の処置(またはDOL1)は、時間0(出生時)が生じる日であり、DOL2、3などは、時間0の後の各々の引き続く日の00:00(真夜中)に始まる。
「予防」は、患者における、疾患または病態、例えばBPDの予防を意味する。例えば、呼吸困難症候群を示しているかまたは出生時に任意の形態の呼吸支援を必要とする乳児を、本発明の方法で処置し、後で、例えば、28日齢またはPMAの36週に、BPDではないと診断された場合、BPDはその乳児において予防されていると理解される。
「表面活性剤活性」は、任意の物質、例えば、有機分子、タンパク質またはポリペプチド単独でのまたは他の分子と組み合わせての、空気/水界面での表面張力を低下させる能力を意味する。測定は、ウィルヘルミー秤または振動バブル表面計を用いて、生体外アッセイにより行うことができる。例えば、その各々が参照として全体が本明細書に組み入れられる、King et al, Am. J. Physiol. 1972, 223:715-726またはEnhorning, J. Appl. Physiol., 1977, 43:198-203参照。主として、Enhorning表面計(Surfactometer International, Toronto, Ontario)は、最大(0.55mm)と最小(0.4mm)半径の間で20回/分の割合で振動するバブルの液体−空気界面を横切る圧力勾配(δP)を測定する。37℃で、水を封じ込めた、20μの試料チャンバーで形成されたバブルを、圧力変化を0〜−2cmH2Oで較正した帯状チャート記録器上に記録しながら、光学顕微鏡を通してモニターする。さらに、肺に入る所与の圧力の空気におけるコンプライアンスまたは流量の増加の生体内での測定は、例えば、その全体が参照として本明細書に組み入れられるRobertson, Lung, 1980, 158:57-68のアッセイにおいて容易に行うことができる。このアッセイにおいて、評価すべき試料は、帝王切開により未熟に出産されたウサギまたは羊の胎仔に、気管内チューブを通して投与される。(これらの「未熟児」は、それら自体のPSを欠いており、人工呼吸器で支援されている)。肺コンプライアンス、血中気体および呼吸器圧の測定は、活性の指標を提供する。振動バブルの表面張力を低下する能力として評価される活性剤活性の生体外アッセイおよびウサギ胎仔を用いる生体内アッセイは、Revak et al, Am. Rev. Respir. Dis., 1986, 134:1258-1265により詳細に説明されている。
一つの態様において、本発明は、気管支肺異形成症(BDまたはBPD)を示しているか発症する危険のある乳児に、肺表面活性剤(PS)を治療的にまたは予防的に投与することに関する。一つの実施態様において、PS投与は、呼吸困難症候群を示している乳児において開始され、その症候群を肺表面活性剤でまたは他の手段(例えば、換気法)によりあるいはそれらの組み合わせで処理することが引き続く。典型的には、乳児RDSは、出生後最初の数時間〜1または2日以内にPS療法を介して処置される。本発明の方法において、BPDの処置または予防用のPSの投与は、RDS処置に続いて、例えば、生後2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日目またはその近傍で、あるいはRDSに対する処置が完結したときにはいつでも開始される。特定の実施態様においては、乳児は、RDSに対する処置が完結したのち、その処置に適切なその次の投与間隔に、肺表面活性剤で処置される。例えば、いくつかの実施態様において、PSが気管内点滴注入により液体として投与される場合、BPDに対するPSでの処置は、RDSに対するPSの最後の処置に続いて約6時間である。臨床医は、この分野で公知の投与プロトコルに基づいて、BPDの処置に対するPSの投与が開始されるべきときに、決定することができる。
特定の実施態様において、乳児はRDSに対してPS療法を受けていないが、それにもかかわらず、本発明に従って、BPDを治療または予防するためにPSを投与することができる。特定の実施態様においては、PSでの処置は、呼吸困難症候群の症状が発見された後に開始される。特定の好ましい実施態様においては、投与は、乳児がBPDと診断される前に開始され、乳児の生後2、3、4、5、6、7、8、9、または10日目以降に少なくとも1回乳児を肺界面活性剤で処置する。PSの投与は、例えば、乳児の生後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14日目又はそれ以降或いはその近傍に開始することができる。呼吸困難症候群を診断する方法は、この分野で公知であるため、本明細書中では詳細には記述しない。
特定の実施態様においては、本方法で処置される乳児は、呼吸支援を必要としているが、必ずしも呼吸困難症候群を示している必要はない。これらの乳児は、RDSと診断されていないか、あるいはPDSに対するPSで処置されていないかのいずれかである。これらの乳児においては、これらの乳児が呼吸支援を必要としていることが認識されるとできるだけ早急に、処置を開始することができる。特定の実施態様においては、これは、生後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日目またはその近傍で、あるいは乳児の生後約3日目〜10日目の間である。特定の実施態様においては、これは、乳児の生後10日目より後、例えば、14日目、18日目またはその後でありうる。
PS療法は、他の形態の呼吸支援に付随して提供することができる。典型的には、PS療法は、乳児がBPDと診断される前に開始される。特定の実施態様においては、本方法は、乳児のBPDの発症を予防する。
処置は、医師または他の医療従事者が、治療または予防効果が達成されるのに適当であると認定した期間継続される。処置は、例えば、乳児がもはや呼吸支援を必要としなくなるまでまたはそれ以上継続される。典型的には、処置は、1〜2週間、例えば、乳児の生後14日目〜18日目あるいはその近傍まで継続される。しかしながら、処置の期間は、短かく、例えば1週間、または長く、例えば3週間以上、あるいは新生児集中看護からまたは病院から退院するまででありうる。例えば、処置は、乳児のPMAで少なくとも36週目までまたは乳児の出生後28日目まで継続することができる。特定の実施態様においては、乳児が誕生時には呼吸困難症候群を示していないが、数日後に、呼吸支援を必要とする状態になった場合、PSでの処置は、乳児の生後3日目のかなり後までは開始されないが、そこで、処置は、典型的には、乳児の生後14日目または18日目を過ぎて継続される。未熟に生まれた乳児において、例えば、乳児が出生時またはその近いときに呼吸困難症候群を示しているいないにかかわらず、処置は、例えば、PMAの36週またはさらに後まで継続することができる。
種々の実施態様において、PSは、周期的にまたは継続的に、処置期間中、標準および/または製造者の指示に従った容量およびプロトコルを用いて投与する(例えば、実施例1参照)。
本発明の方法に使用するために選択されるPSは、RDSに使用されるPSと同じであるかまたは異なることができる。一つの実施態様においては、同じPSが使用される。現時使用されているあるいはRDSおよび他の肺症状で使用するために今後開発される任意のPSが、本発明で使用するのに好適である。
特定の態様において、本発明の肺表面活性剤は、動物起源由来のまたは合成由来のカチオン性ペプチドを含む。ここで使用するペプチドの例として、天然由来および非天然由来の肺表面活性剤ポリペプチド、例えば、動物由来のSP−A、SP−B、SP−C、またはSP−Dポリペプチド;組み換え体SP−A、SP−B、SP−C、またはSP−Dポリペプチド;合成由来のSP−A、SP−B、SP−C、またはSP−Dポリペプチド;SP−A、SP−B、SP−C、またはSP−D類縁体;SP−A、SP−B、SP−C、またはSP−Dポリペプチド模倣体;活性を保持している控えめに修飾された変形体;および活性を保持しているそのフラグメントのいずれかまたはその組み合わせが挙げられる。肺表面活性剤ポリペプチド模倣体は、一般的に、ヒト表面活性剤タンパク質の本質的な属性を模倣するように設計されているポリペプチドである。特定の好ましい実施態様においては、肺表面活性剤ポリペプチドは、少なくとも約10、好ましくは少なくとも11アミノ酸残基、そして約80より多い、より通常は約35より少ない、好ましくは約25アミノ酸残基より少ないものからなるカチオン性ペプチドを含む。
本明細書で使用する肺表面活性剤ポリペプチドのアミノ酸配列の例、それらを単離する方法、および遺伝子工学的手法でそれらを製造する方法は、この分野で公知である。例えば、それらの各々の開示が参照として全体がこれに組み入れられる、米国特許第5,874,406;5,840,527;4,918,161;5,827,825;6,660,833,5,006,343;5,455,227;5,223,481;5,753,621;5,891,844;4,861,756;5,272,252;5,024,95;5,238,920;5,302,481;6,022,955;5,874,406;5,840,527;5,827,825;6,013,619;6,660,833;ならびに国際公開WO8603408およびWO8904326参照。本明細書で使用される好ましい肺表面活性剤ペプチドは、SP−BもしくはSP−Cポリペプチドまたはポリペプチド模倣体である。
好ましい合成肺表面活性剤は、1以上のリン脂質およびポリペプチドを含み、ここで、ポリペプチドは、リン脂質と混合したときに、リン脂質単独の表面活性剤活性よりも大きな表面活性剤活性を有する合成肺表面活性剤を形成するものである。本明細書で使用される特に好ましい肺表面活性剤は、SP−Bポリペプチドまたはポリペプチド模倣体である。SP−Bは、表面張力を低下し、酸素交換を促進するために最も重要な表面活性剤タンパク質であることが公知の天然肺表面活性剤におけるタンパク質である。SP−Bポリペプチド模倣体は、サイズが一般に約80アミノ酸より小さい、小さな疎水性ポリペプチドである。多くのSP−Bポリペプチド模倣体は、疎水性のカチオン性モチーフの組み合わせを有している。天然SP−Bポリペプチドのように、SP−B模倣体は、好ましくは、末端誘導気道の表面張力を低下させ、酸素交換を促進する。
本発明で使用される好ましいSP−B模倣体は、KL4ペプチドであり、これはリジンとロイシン残基の繰り返しを含有するカチオン性ペプチドである。KL4は、それらの各々が、参照としてその全体およびすべての目的がここに組み入れられる、例えば、米国特許第5,260,273、5,164,369、5,407,914および6,613,734に記載の肺表面活性剤ポリペプチド模倣体ファミリーの代表である。KL4ペプチドの製造方法は、米国特許第5,164,369に見出すことができる。
特定の実施態様においては、肺表面活性剤ポリペプチド模倣体とは、ゼロ未満の、好ましくは−1以下の、より好ましくは−2以下の複合疎水性を有するアミノ酸残基配列を持つポリペプチドをいう。ペプチドの複合疎水性値は、ペプチド中の各アミノ酸残基を、その開示が参照として組み入れられるHopp et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 78:3824-3829, 1981に記載されているその対応する疎水性値に割り当てることにより決定する。所与のペプチドに対して、疎水性値を合計し、その合計が複合疎水性値を表す。これらの疎水性ポリペプチドは、典型的には、SP18の疎水性領域の機能を果たす。したがって、特定の実施態様においては、肺表面活性剤ポリペプチド模倣体のアミノ酸配列は、SP18の疎水性および親水性残基のパターンを模倣しており、SP18の疎水性領域の機能を果たす。SP18は、公知の肺表面活性剤アポタンパク質であり、より完全には、参照としてその全体およびすべての目的がここに組み入れられる、Glasser et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 84:4007-4001, 1987に記載されている。しかしながら、本発明のポリペプチドおよび他の表面活性剤分子は元来のSP18のものと同様の配列を有する分子に限定されないことを理解されたい。それどころか、本発明のいくつかの好ましい表面活性剤分子は、それらが同様な表面活性剤活性および交互の荷電/非荷電(または疎水性/親水性)残基配列を有していることを除いて、特定のアミノ酸残基配列に関してSP18にほとんど類似していない。
特定の実施態様においては、本明細書で使用されるポリペプチドの例は、交互の疎水性および親水性アミノ酸残基領域を有し、式:
(Zabcd
(ZおよびUは、出現ごとにZおよびUは独立に選択されるようなアミノ酸残基である)で表される少なくとも10アミノ酸残基を有することを特徴とする。Zは親水性アミノ酸残基であり、好ましくはR、D、EおよびKよりなる群から選択される。Uは疎水性アミノ酸残基であり、好ましくはV、I、L、C、YおよびFよりなる群から選択される。文字「a」、「b」、「c」および「d」は、疎水性または親水性残基の数を示す数である。文字「a」は、約1〜約5、好ましくは約1〜約3の平均値を有する。文字「b」は、約3〜約20、好ましくは約3〜約12、最も好ましくは約3〜約10の平均値を有する。文字「c」は、1〜10、好ましくは2〜10、最も好ましくは3〜6の平均値を有する。文字「d」は、0〜3、好ましくは1〜2の平均値を有する。
特定の実施態様においては、表面活性剤ポリペプチドは、式:
(Zabcd
(式中、Zは、R、D、EおよびKよりなる群から独立に選択されるアミノ酸残基であり;Jは、α−アミノ脂肪族カルボン酸であり;aは約1〜約5の平均値を有し;bは、約3〜約20の平均値を有し;cは、1〜10であり;dは、0〜3である)で表されるアミノ酸残基の交互のグループ分けを有する配列を含んでいる。
特定の実施態様においては、本発明のポリペプチドは、式:
(Babcd
(式中、Bは、H、5−ヒドロキシリジン、4−ヒドロキシプロリンおよび3−ヒドロキシプロリンよりなる群から独立に選択されるアミノ酸残基であり;Uは、V、I、L、C、YおよびFよりなる群から独立に選択されるアミノ酸残基である。一つの好ましい変形体において、Bはコラーゲン由来のアミノ酸であり、好ましくは、5−ヒドロキシリジン、4−ヒドロキシプロリンおよび3−ヒドロキシプロリンよりなる群から独立に選択され;aは約1〜約5の平均値を有し;bは、約3〜約20の平均値を有し;cは、1〜10であり;dは、0〜3である)で表されるアミノ酸残基領域の交互のグループ分けを有している。
特定の実施態様においては、本発明の表面活性剤ポリペプチドは、式:
(Babcd
(式中、Bは、H、5−ヒドロキシリジン、4−ヒドロキシプロリンおよび3−ヒドロキシプロリンよりなる群から独立に選択されるアミノ酸残基であり;Jは、α−アミノ脂肪族カルボン酸であり;aは約1〜約5の平均値を有し;bは、約3〜約20の平均値を有し;cは、1〜10であり;dは、0〜3である)で表されるアミノ酸残基の交互のグループ分けを有する配列を含んでいる。
関連する式中に「J」を含む種々の実施態様において、Jは4〜6個の炭素を有するα−アミノ脂肪族カルボン酸である。他の変形体において、Jは6個以上の炭素を有するα−アミノ脂肪族カルボン酸である。さらに他の変形体において、Jは、α−アミノ脂肪族ブタン酸、α−アミノペンタン酸、α−アミノ−2−メチルプロパン酸、およびα−アミノヘキサン酸よりなる群から独立に選択される。
特定の実施態様においては、本発明の表面活性剤ポリペプチドは、式:
(Zabcd
(式中、Zは、R、D、EおよびKよりなる群から独立に選択されるアミノ酸残基であり;Uは、V、I、L、C、YおよびFよりなる群から;V、I、L、CおよびFよりなる群から;またはLおよびCよりなる群から独立に選択されるアミノ酸残基であり;aは約1〜約5の平均値を有し;bは、約3〜約20の平均値を有し;cは、1〜10であり;dは、0〜3である)で表されるアミノ酸残基の交互のグループ分けを有する配列を含んでいる配列を含む。
前記の式中、ZおよびU、ZおよびJ、BおよびU、ならびにBおよびJは、各出現ごとに独立に選択されるアミノ酸残基である。さらに、上記の式の各々において、aは、一般に約1〜約5の平均値を有し;bは、一般に約3〜約20の平均値を有し;cは、1〜10であり;dは、0〜3である。
特定の実施態様においては、ZおよびBは、荷電アミノ酸残基である。他の好ましい実施態様において、ZおよびBは、親水性または正に荷電したアミノ酸残基である。一つの変形体において、Zは、好ましくはR、D、EおよびKよりなる群から選択される。関連する実施態様において、Zは、好ましくはRおよびKよりなる群から選択される。さらに他の好ましい実施態様において、Bは、H、5−ヒドロキシリジン、4−ヒドロキシプロリンおよび3−ヒドロキシプロリンよりなる群から独立に選択される。一つの好ましい実施態様において、BはHである。他の好ましい実施態様において、Bはコラーゲン構成性アミノ酸残基であり、5−ヒドロキシリジン、(δ−ヒドロキシリジン)、4−ヒドロキシプロリンおよび3−ヒドロキシプロリンよりなる群から選択される。
特定の実施態様においては、UおよびJは、好ましくは、非荷電アミノ酸残基である。他の好ましい実施態様において、UおよびJは、疎水性アミノ酸残基である。一つの実施態様において、Uは、好ましくは、V、I、L、C、YおよびFよりなる群から独立に選択される。他の好ましい実施態様において、Uは、V、I、L、CおよびFよりなる群から独立に選択される。さらに他の好ましい実施態様において、Uは、LおよびCよりなる群から独立に選択される。種々の好ましい実施態様において、UはLである。
同様に、特定の実施態様においては、Bは、H、5−ヒドロキシリジン、4−ヒドロキシプロリンおよび3−ヒドロキシプロリンよりなる群から好ましく選択されるアミノ酸である。あるいは、Bは、5−ヒドロキシリジン、4−ヒドロキシプロリンおよび3−ヒドロキシプロリンを含む、コラーゲン由来アミノ酸よりなる群から選択されうる。
特定の実施態様においては、荷電および非荷電アミノ酸は、修飾アミノ酸の群から選択される。例えば、一つの好ましい実施態様において、荷電アミノ酸は、二、三の例を挙げると、シトルリン、ホモアルギニンまたはオルニチンよりなる群から選択される。同様に、種々の好ましい実施態様において、非荷電アミノ酸は、α−アミノ脂肪族ブタン酸、α−アミノペンタン酸、α−アミノ−2−メチルプロパン酸およびα−アミノヘキサン酸よりなる群から独立に選択される。
本発明の特定の実施態様においては、項目「a」、「b」、「c」および「d」は、荷電または非荷電残渣(または親水性もしくは疎水性残基)の数を示す数である。種々の実施態様において、「a」は、約1〜約5、好ましくは約1〜約3、より好ましくは約1〜約2、さらにより好ましくは1の平均値を有する。
種々の実施態様において、「b」は、約3〜約20、好ましくは約3〜約12、より好ましくは約3〜約10、さらにより好ましくは約4〜8の範囲の平均値を有する。一つの好ましい実施態様において、「b」は、約4である。
種々の実施態様において、「c」は、1〜10、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜8または4〜8の範囲、さらにより好ましくは3〜6の平均値を有する。一つの好ましい実施態様において、「c」は、約4である。
種々の実施態様において、「d」は、0〜3または1〜3である。一つの好ましい実施態様において、「d」は、0〜2または1〜2であり;他の好ましい実施態様において、「d」は1である。
アミノ酸残基が独立に選択されることを述べることにより、各出現ごとに、特定の基からの残渣が選択されることを意味する。すなわち、「a」が2であるとき、例えば、Zで表される親水性の各々は、独立に選択され、したがって、RR、RD、RE、RK、DR、DD、DE、DKなどを包含する。「a」および「b」が平均値を有することを述べることにより、繰返し配列(例えば、Zab)内の残渣の数はペプチド配列内で多少変動することができるが、「a」および「b」の平均値は、それぞれ、約1〜約5および約3〜約20である。
例えば、下記の表2中の「KL8」で表示されるペプチドに対して式(Zabcdを使用して、式は、K181812と再記述することができ、ここで、「b」の平均値は6[すなわち、(8+8+2)/3=6]であり、cは3であり、dは0である。
本発明のポリペプチドは、また、種々の変更、例えば、保存的(同種)または非保存的(異種)のいずれかで、挿入、欠失および置換に付することができ、ここで、そのような変更は、それらの使用においてある種の効果をもたらす。
追加の残基を、本発明のポリペプチドのいずれかの末端、例えば、そのようなポリペプチドを好都合にラベルまたは固体マトリックスまたは担体に加えることができる「リンカー」を提供する目的で、添加することができる。本発明のポリペプチドで使用できるラベル、固体マトリックスおよび担体は、この分野で公知である。
アミノ酸残基リンカーは、通常、少なくとも1個の残基であり、40個以上の残基、より頻繁には1〜10個の残基でありうる。結合に使用される典型的なアミノ酸は、チロシン、システイン、リジン、グルタミン酸およびアスパラギン酸などである。さらに、本発明のポリペプチド配列は、末端NH2アシル化、例えばアセチル化またはチオグリコール酸アミド化、末端カルボキシルアミド化、例えばアンモニア、メチルアミンなどで修飾されている配列により、天然配列とは異なっていることができる。
特定の実施態様においては、本発明で使用できるSP−Bポリペプチド模倣体の例は、表2に示されているものを包含するが、それらに限定されない。

表2:肺表面活性剤模倣体ペプチド
Figure 2013177422
1記号表示は、示されたアミノ酸残基配列に対する略号である。
本発明は、タンパク質、ポリペプチド、およびアミノ酸残基を含む分子を包含する種々の表面活性剤分子、ならびに種々の表面活性剤組成物に関する。広範な、一般的ではないが天然由来アミノ酸を含む他の分子、天然アミノ酸の代謝物およびカタボライト、置換アミノ酸、ならびにアミノ酸類縁体、さらに「D」配置のアミノ酸が、本発明の分子および組成物において有用である。さらに、「設計された」アミノ酸誘導体、類縁体および模倣体も、本発明の種々の化合物、組成物および方法、ならびに非アミド結合を構成する主鎖構造を含むポリマーにおいて有用である。
例えば、L−アミノ酸に加えて、ホモアルギニン、シトルリン、オルニチンおよびα−アミノブタン酸等のアミノ酸代謝物も、肺表面活性剤に有用である。そこで、上記の種々の式において、「荷電した」、ZまたはBは、ホモアルギニン、シトルリンまたはオルニチンならびに、本明細書で特定されている種々の他の分子を含むことができる。同様に、Jは、α−アミノブタン酸(α−アミノ酪酸としても知られている)、α−アミノペンタン酸、α−アミノヘキサン酸、および本明細書で特定されている種々の他の分子を含みうる。
さらに、一般にタンパク質に由来しないが天然に知られている置換アミノ酸が、本明細書中に開示されているように有用であり、以下の例:L−カナバニン;1−メチル−L−ヒスチジン;3−メチル−L−ヒスチジン;2−メチル−L−ヒスチジン;α,ε−ジアミノピメリン酸(L体、メソ体、または双方);サルコシン;L−オルニチンベタイン;ヒスチジン(ヘルジニン)のベタイン;L−シトルリン;L−ホスホアルギニン;D−オクトピン;o−カルバミル−D−セリン;γ−アミノブタン酸;およびβ−リジンを包含する。以下のものを含む、D−アミノ酸およびD−アミノ酸類縁体も、本発明のタンパク質、ペプチドおよび組成物において有用である:いくつかの例を挙げると、D−アラニン、D−セリン、D−バリン、D−ロイシン、D−イソロイシン、D−アロイソロイシン、D−フェニルアラニン、D−グルタミン酸、D−プロリン、およびD−アロヒドロキシプロリン。上記のものは、また、本発明に係る表面活性剤分子で使用することができ;したがって、使用するのに特に好ましいのは、式{(荷電)a(非荷電)bc(荷電)dに対応するものである。
その代謝物およびカタボライトを含む、非常に多くの種類のアミノ酸を、表面活性剤活性を示す分子に組み込むことができる。例えば、オルニチン、ホモアルギニン、シトルリン、およびa−アミノブタン酸等の分子は、本明細書中に記載のように、表面活性剤活性を示す分子の有用な成分である。本発明に係る表面活性剤分子も、より長い直鎖分子を含み;α−アミノペンタン酸およびα−アミノヘキサン酸は、そのような有用な分子の二つの追加例である。
本発明は、修飾が生じる時間および位置に関係なく、類縁体、代謝物、カタボライトおよび誘導体を含む、広範な修飾アミノ酸を包含することを理解されたい。基本的に、修飾アミノ酸は3つの範疇に分けることができる:(1)アミノ酸のカタボライトおよび代謝物;(2)翻訳後修飾を通して生成される修飾アミノ酸(例えば、側鎖の修飾);ならびに(3)非代謝性または非カタボリックプロセスを通してアミノ酸を生成する修飾(例えば、実験室での修飾アミノ酸または誘導体の合成)。
本発明は、また、直鎖、分枝鎖または炭化水素もしくはヘテロ環配置のいずれか中のメチレン基を加えるかまたは取り去ることにより、より長いまたはより短い側鎖を含む残渣単位のアミノ酸の側鎖を容易に設計できることに関する。直鎖および分枝鎖構造は、非炭素原子、例えば、S、OまたはNを含有することもできる。脂肪酸は、また、本明細書中の表面活性剤分子の有用な構成成分でありうる。設計された側鎖は、(R’)で、または(R)荷電もしくは極性基付属体なしで、終端化することができる。
さらに、異なるリンカーの使用からもたらされる分子を含む類縁体もまた、本明細書で開示されているように有用である。アミド結合以外の結合を介して共に結合している側鎖を持つ分子、例えば、成分が、二、三の例を挙げると、カルボキシ−もしくはホスホ−エステル、エチレン、メチレン、ケトンまたはエーテル結合を介して結合したアミノ酸側鎖または他の側鎖(R−またはR’−)を含有する分子は、また、本明細書中で開示されているように有用である。基本的に、任意のアミノ酸側鎖、RまたはR’基含有分子は、分子が交互の親水性および疎水性残基(すなわち、成分分子)を含みかつ本明細書に記載のような表面活性剤活性を示す限り、本明細書で開示されているように有用である。
本発明は、また、適切なリンカーで結合したペプチド二量体、例えばシスチン分子で結合したペプチド二量体に関する。そのようなリンカーまたは橋架けは、このように、他のポリペプチド鎖、二量体、三量体等を架橋できる。ペプチド二量体および/または他のペプチド多量体を結合するために使用できる他の有用なリンカーとして、上に掲げたもの、例えば、二、三の例を挙げると、カルボキシ−もしくはホスホ−エステル、エチレン、メチレン、ケトンまたはエーテル結合が挙げられる。
本明細書に開示された多くの有用なポリペプチドが、ペプチド結合を介して結合されている「L」体の天然由来アミノ酸を含んでいることが認識されているが、アミノ酸側鎖類縁体、非アミド結合(例えば、主鎖が異なる)を含む分子も有意な表面活性剤活性を示すことができ、また他の効果をも有することも理解されよう。例えば、容易には分解されない分子を構築することが望まれる場合には(例えば、表面活性剤組成物での使用)、一連のD−アミノ酸を含むポリペプチド分子を合成することが望まれる。「レトロ」主鎖を介して結合された一連のアミノ酸を含む分子、すなわち、カルボキシ末端からアミノ末端へ逆方向に構築された内部アミド結合を有する分子は、また、より分解されにくく、従って、本明細書に記載の種々の用途に有用でありうる。例えば、下記のものは、主鎖に「レトロ」結合を持つ分子の例を示す。
Figure 2013177422
他の変形体において、より「剛直な」配座をとる分子を構築することが望まれ;これを達成する一つの手段は、メチルまたは他の基をアミノ酸の炭素原子に付加することである。
上記のように、CH3以外の他の基を炭素原子に付加することができ、すなわち、本発明の表面活性剤分子は、α炭素にCH3を組み入れたもののみに限定されない。例えば、上記の側鎖および分子のいずれをも、α炭素成分に、指示されたCH3基の代わりに使用することができる。
本明細書で使用される、ポリペプチドおよびアミノ酸残基の「類縁体」および「誘導体」なる用語は、アミノ酸の代謝物およびカタボライト、ならびに「天然由来」L体のアミノ酸と呼ばれるものに通常見出されるものとは異なる結合、主鎖、側鎖または側鎖基を含む分子を包含することを意図する(「類縁体」および「誘導体」なる用語は、また、本明細書中で互換的に、簡便に使用することができる)。したがって、D−アミノ酸、アミノ酸を模倣する分子および「設計された」側鎖を持つアミノ酸(すなわち、表面活性剤活性を有する分子中の1以上のアミノ酸の代わりに使用できるもの)もまた、本明細書中の「類縁体」および「誘導体」なる用語に包含される。
1以上の延長されたまたは置換されたRまたはR’基を有するアミノ酸を含む、広い種類の有用な表面活性剤分子がまた、本発明で検討される。再び、当業者は、開示から、個々のアミノ酸に、結合に、および/または鎖それ自体に種々の修飾をなすことができ、その修飾は、得られた分子が本明細書に記載の表面活性剤活性を有する限り、本発明の範囲内の分子をもたらすことを認識することになる。
本発明の特定の方法において、肺表面活性剤は、1以上の脂質を含んでいる。これらの実施態様においては、表面活性剤組成物は、得られる組成物が表面活性剤活性を有する限り、例えば、約0.05の少量から100重量%までの脂質を含むことができる。重量%とは、重量での組成物中の重量での化合物の百分率を意味する。したがって、50重量%を有する組成物は、例えば、全組成物100gあたり脂質50gを含んでいる。本明細書で使用される「脂質」なる用語は、一般的に両親媒性である、天然由来の、合成のまたは半合成の(すなわち、修飾された天然の)化合物をさす。脂質は、典型的には、親水性成分と疎水性成分を含む。脂質の例として、リン脂質、脂肪酸、脂肪アルコール、中性脂肪、ホスファチド、油類、糖脂質、界面活性剤(表面活性剤)、脂肪族アルコール、ワックス類、テルペン、およびステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。語句、「半合成の(または修飾された天然の)」は、ある形式で化学的に修飾されている天然化合物を意味する。好ましくは、脂質は、脂肪酸、アルコール、そのエステルおよびエーテル、脂肪アミン、またはそれらの組み合わせである。
リン脂質の例には、天然および/または合成リン脂質が包含される。使用できるリン脂質として、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴ脂質、ジアシルグリセリド、カルジオリピン、セラミド、セレブロシド等が挙げられるが、これらに限定されない。リン脂質の例として、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジラウリルホスファチジルコリン(DLPC)(C12:0)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)(C14:0)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジフィタノイルホスファチジルコリン、ノナデカノイルホスファチジルコリン、アラキドイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)(C18:1)、ジパルミトオレオイルホスファチジルコリン(C16:1)、リノレオイルホスファチジルコリン(C18:2)、ミリストイルパルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、ステロイルミリストイルホスファチジルコリン(SMPC)、ステロイルパルミトイルホスファチジルコリン(SPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルパルミトオレオイルホスファチジルコリン(PPoPC)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、パルミトイルオレオイルホスファチジルセリン(POPS)、大豆レシチン、卵黄レシチン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、および卵ホスファチジルコリン(EPC)が挙げられるが、これらに限定されない。
脂肪酸および脂肪アルコールの例として、ステロール、パルミチン酸、セチルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、フィタン酸、ジパルミチン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、脂肪酸は、パルミチン酸であり、好ましくは、脂肪アルコールはセチルアルコールである。
脂肪酸エステルの例として、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸コレステリル、パルミチン酸パルミチル パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、トリパルミチン等が挙げられるが、これらに限定されない。
半合成のまたは修飾された天然脂質の例は、化学的に修飾された、上記の脂質の任意のものである。化学的な修飾には、多数の修飾が包含されるが、好ましい修飾は、1以上のポリエチレングリコール(PEG)基を脂質の所望の部分に結合させることである。ポリエチレングリコール(PEG)は、主としてPEGが生体適合性、非毒性、非免疫原性で、水溶性のポリマーであるので、生体材料、バイオテクノロジーおよび医薬に広く使用されている。Zhao and Harris, ACS Symposium Series 680:458-72, 1997。薬物輸送の領域において、PEG誘導体は、タンパク質との共有結合(すなわち、「PEG化」)に広く使用されて、免疫原性、タンパク質分解および腎クリアランスを減少させ、また溶解性を増大させる。Zalipsky, Adv. Drug Del. Rev. 16:157-82, 1995。
PEGと結合されている脂質は、本明細書中で、「PEG脂質」と称する。好ましくは、PEG脂質が使用される場合、それらはアルコールおよび/またはアルデヒド中に存在する。
肺表面活性剤は、デキストロース、フルクトース、ラクトース、マルトース、マンニトール、スクロース、ソルビトール、トレハロース等の種々の糖、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ソルビタントリオレエート、チロキサポール等の表面活性剤、PEG、デキストラン等のポリマー、NaCl、Cal2等の塩、セチルアルコールのようなアルコール、および緩衝剤を包含するがこれらに限定されない他の賦形剤を含むことができる。
表面活性剤組成物の例は、この分野で公知の方法を用いて製造することができる。例えば、特定の実施態様において、脂質およびポリペプチドを含む表面活性剤組成物の例は、表面活性剤ポリペプチドの溶液をリポソームの懸濁液と混合することにより、あるいは表面活性剤ポリペプチドをリポソームの懸濁液と混合することにより、あるいは有機溶媒の存在下に表面活性剤ポリペプチドとリン脂質を直接混合することにより製造することができる。
好ましくは、肺表面活性剤は、リン脂質と遊離脂肪酸または脂肪アルコール、例えば、DPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)、POPG(パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール)およびパルミチン酸(PA)を含む。例えば、その開示が、本明細書に、その全体およびすべての目的で、参照として組み込まれる、米国特許第5,789,381号参照。
特定の好ましい実施態様において、肺表面活性剤は、ルシナクタントまたは合成表面活性剤タンパク質KLLLLKLLLLKLLLLKLLLL(KL4;配列番号1)を含む他の肺表面活性剤調合物である。ルシナクタントは、DPPC、POPG、パルミチン酸(PA)およびKL4ペプチドの組み合わせ(約7.5:2.5:1.35:0.267の重量比)である。特定の実施態様においては、薬物製品は、例えば、リン脂質含有量が10、20および30mg/mlの濃度で調合される。特定の他の実施態様においては、薬物製品は、KL4濃度を同時に増大させて、より大きい濃度、例えば、リン脂質含有量が40、60、90、120またはそれ以上のmg/mlで調合される。
呼吸困難系および他の肺の条件において現在使用されているまたは今後使用するために開発される任意の肺表面活性剤は、本発明での使用に好適である。これらは、天然由来のまたは合成の肺表面活性剤を包含する。本明細書で使用される合成PSは、タンパク質を含まない肺表面活性剤および、天然由来の表面活性剤タンパク質のペプチド模倣体を含む合成ペプチドを含む肺表面活性剤の双方をさす。現在のPS製品としては、ルシナクタント(Surfaxin(登録商標)、Discovery Laboratories, Inc., Warrington, PA)、ウシ脂質表面活性剤(BLES(登録商標)、BLES Biochemicals, Inc. London, Ont)、カルファクタント(Infasurf(登録商標)、Forest pharmaceuticals, St. Louis, MO)、天然ウシ表面活性剤(Alveofact(登録商標)、Thomae, Germany)、ウシ表面活性剤(Surfactant TA(登録商標)、Tokyo Tanabe, Japan)、ポラクタントアルファ(Curosurf(登録商標)、Chiesi Farmaceutici SpA, Parma, Italy)、プマクタント(Alec(登録商標)、Britannia Pharmaceuticals, UK)、ベラクタント(Survanta(登録商標)、Abbott Laboratories, Inc., Abbott Park, IL)およびパルミチン酸コルフォスセリル(colfosceril)(Exosurf(登録商標)、GlaxoSmithKline, plc, Middlesex, U.K.)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施態様において、PSは、ルシナクタントまたは合成表面活性剤タンパク質KLLLLKLLLLKLLLLKLLLL(KL4;配列番号1)を含む他のPS調合物である。
本明細書に記載の処置療法は、他の呼吸療法と組み合わせることができる。特定の実施態様においては、PS投与は、ある時間の間またはPS処置の全体の期間、従来の換気法または高頻度換気法のいずれかの換気法において、挿管され維持されている乳児に行われる。
他の実施態様において、交互PS調合物と同様に、交互モードの投与を利用することができる。例えば、PSは、エアゾール化(霧状化)のために調合し、低流速酸素と組み合わせて鼻用CPAP、鼻用もしくは鼻咽頭プロングを介してまたは顔マスクもしくは酸素フードを介して投与することができる。
特定の実施態様においては、エアゾール化肺表面活性剤を、その全体およびすべての目的で参照として組み込まれる、共に係属中の2005年5月17日出願の米国出願11/130,783に記載のように投与することができる。投与は、陽気道圧の投与を含む他の非侵襲性肺呼吸療法と組み合わせることができる。「非侵襲性肺呼吸療法」なる用語は、機械的換気法を使用せず、CPAP、二相性陽気道圧(BiPAP)、同期的間欠的強制換気法(SIMV)などを包含しうる呼吸療法をさす。そのような療法を使用することは、当業者がよく理解しているように、種々の呼吸ガスの使用を含む。非侵襲性肺呼吸療法に使用される呼吸ガスは、ときどき、本明細書中で、「CPAPガス」、「CPAP空気」、「nCPAP」、「換気ガス」「換気空気」または単に「空気」と称される。しかしながら、それらの用語は、非侵襲性肺呼吸療法に通常使用される任意の種類のガスを包含することを意図するものであり、調整ガス(conditioning gas)として使用するための上記のガスおよびガスの組み合わせを含むが、これらに限定されない。特定の実施態様においては、非侵襲性肺呼吸療法に使用されるガスは、調整ガスと同じである。他の実施態様においては、各々のガスは、お互いに異なる。
特定の実施態様においては、本発明の肺伝達方法は、CPAPと組み合わせて使用される。CPAPの使用は、機能的残留容量を増加させ、酸素化を改善することが示されている。喉頭は拡張され、声門気道抵抗は正常である。気道閉塞後の呼吸胸腹運動および向上したヘリング・ブロイエルの膨張反射の共時性の改善も存在する。CPAPは、睡眠時無呼吸、いびき、ARDS、IRDS等の種々の症状を処置する上で有用であることが示されている。
CPAPの投与を達成するために、圧力源と送達デバイスまたは送達装置が必要である。CPAP生成空気流は、新鮮な加湿ガスの噴出からの運動エネルギーを陽気道圧に変換することにより、鼻気道付近に典型的に発生される。約5〜約12リットル/分の呼吸ガスの連続的な流速は、約2〜約10cmH2Oの対応するCPAPを発生する。種々の改変を、患者の必要に基づいて圧力量を個別に設定することができるセンサーを包含するCPAPシステムに適用することができる。
典型的には、CPAPを達成するために好適な流速および圧力は、処置される患者の特徴に基づく。好適な流速および圧力は、従事している臨床医が容易に算出することができる。本発明は、低流速、中流速および高流速を含む、換気ガスの多様な流速を使用することを包含する。あるいは、エアゾールを、陽圧を加えずに、すなわち、併用呼吸療法としてのCPAPなしで供給することができる。
好ましくは、患者に送達されるCPAP発生用空気流は、肺および気道が許容し得ないほどに乾燥することを防ぐ湿度レベルを有している。従って、CPAP発生用空気は、しばしば、ハイドレーター等を通してバブリングすることにより加湿されて、好ましくは約70%より多い相対湿度を達成する。より好ましくは、湿度は、約85%より多く、さらにより好ましくは、98%である。
CPAP誘起用空気の好適な源は、水中管CPAP(水中呼吸抵抗)ユニットである。これは、一般に、バブルCPAPと称されている。
他の好ましい圧力源は、CPAP回路の呼気リム上の可変抵抗バルブを使用する呼気流バルブである。これは、典型的には、人工呼吸器を介して組み合わされている。
他の好ましい源は、インファントフロードライバー(Infant Flow Driver)または「IFD」(Electro Medical Equipment, Ltd., Brighton, Sussex, UK)である。IFDは、鼻レベルで圧力を発生させ、慣用のフロー源およびマノメーターを使用して、CPAP効果をもたらすことが可能な高圧供給噴出を発生させる。高圧供給噴出の方向は、患者の力により鼻腔に加えられた圧力に応答し、これは、吸気サイクル中の空気圧の変動を減少させることが、文献中に示唆されている。
ここで述べたシステムと同様の特性を有するものを含む他のCPAPシステムは、また、本発明で検討される。
エアゾール化送達に従って発生したエアゾール流は、好ましくは、例えばマスク、単鼻用プロング、双鼻用プロング、鼻咽頭用プロング、鼻用カニューレなどを含みうる鼻用送達デバイスを介して患者に送達される。送達デバイスは、傷を最小にし、エアゾールの浪費を避けるために密封を維持し、患者が息をするためにしなくてはならない仕事量を最小にするように選択される。
エアゾール産生に使用する場合、表面活性剤組成物は、細かく分割された形態で、場合により好適な噴射剤と組み合わせて供給することができる。有用な噴射剤は、典型的には、周囲条件でガスであり、加圧下で凝縮されるものであり、例えば、低級アルカンおよびフレオン等のフッ素化アルカンが挙げられる。表面活性剤組成物がエアゾールとして送達される特定の実施態様においては、エアゾールは、加圧下に好適な容器に詰めることができる。
表面活性剤の好適な用量、エアゾール化するか、または液体もしくは乾燥固体として送達するかは、患者の年齢および疾患の重症度に依存し、従事する臨床医により容易に判定されうる。肺表面活性剤の実際の用量は、当然のことながら、暴露の程度および対象者の特定の状態(例えば、対象者の年齢、大きさ、適合性、症状の程度、感受性因子など)のような因子に応じて変動する。本明細書中で「有効投与量」とは、そのために投与される効果を生み出す投与量を意味する。
表面活性剤が未熟で生まれた乳児に液体として供給される場合には、表面活性剤組成物の一部が、好ましくは気管内注入により送達されて、処置された患者の肺に有効投与量の表面活性剤が入れられる。好ましくは、単回表面活性剤投与量は、例えば、約20〜約30mg総リン脂質(TPL)/kg、より好ましくは約60〜約175mgTPL/kgの範囲である。当然のことながら、表面活性剤の正確な投与量は、患者の年齢および状態、処置される症状の重症度等の因子、および従事する臨床医の技量内の他の因子に依存する。共に係属中の2005年5月17日出願の米国出願11/130,783に開示されているような、表面活性剤組成物がエアゾールとして送達される特定の実施態様においては、肺表面活性剤の有効投与量は、例えば、約1mgTPL/kg表面活性剤〜約1000mgTPL/kg表面活性剤、好ましくは約2mgTPL/kg表面活性剤〜約175mgTPL/kg表面活性剤でありうる。表面活性剤組成物が乾燥固体組成物として送達される特定の実施態様においては、肺表面活性剤の有効投与量は、例えば、約1mgTPL/kg表面活性剤〜約1000mg以上TPL/kg表面活性剤、好ましくは約2mgTPL/kg表面活性剤〜約175mgTPL/kg表面活性剤でありうる。送達の他の方法としては、洗浄(lavage)、肺洗浄などが挙げられる。そのように用いられる場合、投与量範囲は、十分に当業者の技量の範囲内である。
投与の回数は変動しうるが、典型的には、2〜3日ごとに1回である。他の実施態様において、患者は、より頻回に、例えば、6〜8時間ごとに、一日2回、または毎日、あるいはより少ない回数で、例えば、週二回またはさらに週一回、投与される。他の実施態様において、患者は、諸治療法の初期にはより頻回に、そして、処置商法の後期には頻度を少なくして、例えば、1週間は毎日一回、続いて、処置期間の最終まで、週二回で、投与することができる。投与形態、例えば、エアゾールまたは乾燥固体に応じて、液体注入物に比較して、患者は、処置期間の一部または全部の間、連続的に投与されることができる。
他の実施態様においては、乳児は、当業者が理解しているように、他の治療剤、予防剤または補助剤、例えば、ステロイド、一酸化窒素、抗酸化剤もしくは反応性酸素捕捉剤、気管支拡張剤、利尿剤、抗菌剤もしくは抗感染剤、降圧剤、または抗炎症剤(例えば、二、三例を挙げると、PLA2阻害剤、プロテアーゼもしくはエラスターゼ阻害剤、PDE−4阻害剤)で処置することができる。そのような処置として、PSと他の治療剤、予防剤または補助剤との併用投与が挙げられる。併用投与は、肺表面活性剤の投与に関して、補助剤の同時(すなわち、同じときに)、予めの、または引き続いての投与を含みうる。組み合わせて投与する場合、各成分は、同時に、あるいは異なる時点で任意の順序で、連続的に投与することができる。したがって、各成分は、所望の治療効果を得るように、別々に、ただし、時間的に十分に近接して、投与することができる。PSと他の治療剤、予防剤または補助剤との併用投与は、PSと他の薬剤を、双方が治療効果を果たすような時間で投与することを意味している。当業者は、本発明の特定の薬物について、投与の適切なタイミング、順序および投与量を決定するのに困難なことはない。
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するために供されるものである。例示のためのものであって、本発明を限定するものではない。
実施例1:気管支肺異形成症の危険がある未熟児へのルシナクタント投与用のプロトコル
この実施例は、呼吸困難症候群(RDS)の予防または治療のために挿管され、表面活性剤を入れられた超低出生時体重(VLBW)未熟児へのルシナクタント投与用のプロトコルを提供する。このプロトコルは、BPDを発症する危険があるVLBW乳児において、ルシナクタントの安全性および効能を評価するために、臨床試験において使用されている。
ルシナクタントの二種の投与量療法(90mg/kg出生時体重または175mg/kg出生時体重)を使用した。出生時体重600〜900gで生まれ、肺疾患の悪化が予見される生存日(DOL)3の挿管されたままの乳児を処置した。乳児が挿管されたままである場合、処置は、3、5、7、10および14日目に投与した。1日目(またはDOL1)は、時間0(出生の時)が生じた日であり、DOL2、3等は、時間0の後、各々の引き続く日の00:00(真夜中)に始まる。
ルシナクタントは、製造者の指示に従って投与した。簡潔に述べると、ルシナクタントの投与は、カテーテルチップが気管内チューブの遠位端で終了するように、Bodaiバルブまたは等価物を通して末端孔カテーテルに結合されているシリンジにより、行われる。乳児は、頭を上げて左側を下にした臥位に置き、シリンジ容量の半分をゆっくり投与した。短い回復期間の後、乳児を、右側を下にした臥位に置き、シリンジの残りの内容物を投与した。必要と判断された場合には、4回で投与した(左右臥位位置を変えながら)。
処置プロトコルの効能は、以下の評価をすることにより決定した:(1)時間を経て機械的換気法または酸素に残されている乳児の割合;(2)月経後(受胎後)28日および36週での死亡またはBDの発生;(3)AUC日数3〜28、吸気酸素(FiO2)の割合および平均気道圧;(4)前、投与後6および24時間、人工呼吸器駆動圧力−容量ループにより評価される肺コンプライアンス;および(5)日常の新生児集中看護の一部として収集される、気管吸気の表面張力低下特性ならびに気管吸気中の成長因子および炎症メディエーターの濃度の評価を含む、効能の代用尺度。
実施例2:未熟新生児におけるRDSの予防用の、nCPAPを介してエアゾールとして送達されるルシナクタント投与用のプロトコル
この実施例は、未熟児へのnCPAPを介してのエアゾールとしてのルシナクタント投与用のプロトコルを提供する。このプロトコルは、試験段階2、未熟新生児におけるRDSの予防用の、nCPAPを介してエアゾールとして送達されるルシナクタントの実施可能性、安全性、および耐容性を評価する一般試験において使用される。
ルシナクタントは、認可された振動機械デバイス(Aeroneb-Pro(登録商標)または等価物)を用いて投与され、出生の30分以内にnCPAPを介して送達された。第一の処置群においては、20mg/mlのルシナクタントを、3時間にわたって持続的に生後最初の30分以内に投与された。3回の処置までは、48時間にわたって可能であり、各々の処置は、少なくとも3時間離れている(前の処置の終わりから)。第二の処理群においては、20mg/mlのルシナクタントを、3時間にわたって持続的に生後最初の30分以内に投与された。3回の処置までは、48時間にわたって可能であり、各々の処置は、少なくとも1時間離れている(前の処置の終わりから)。
適格な未熟新生児が、順次、登録され、妊娠期間により階層化(階層1:30〜32の完全週に、階層2:28〜29の完全週が続く)されて、第一の処置療法群(エアゾール処置3時間/非エアゾール処置3時間)とし、nCPAPを介してエアゾール化ルシナクタントを受けた。安全性および耐容性データは、すべての5人の新生児の登録後に評価した。第一の処置群への登録が一旦完了すると、新生児は、順次、登録され、第二の処置療法群(エアゾール処置3時間/非エアゾール処置1時間)に階層化された。すべての登録されている新生児は、28日齢まで評価した。
すべての17人の新生児が、関係のいかんを問わず、少なくとも1つの副作用を経験した。合計で83の副作用が報告され;これらの副作用のうち、8つ(47.1%)は、薬物の研究に関連すると考えられ、2つ(11.8%)は、デバイスに関連すると考えられ、また6つ(35.3%)は、薬物およびデバイスの研究の双方に関連すると考えられた。最も一般的な副作用は、処置の研究への関係のいかんを問わず、無呼吸(16/17、94.1%)、酸素飽和度減少(12/17、70.6%)、明らかな動脈管(6/17、35.3%)、低カルシウム血症(5/17、29.4%)であった。合計で5つの重大な副作用が、研究の途中で報告された。重大な副作用のうちの2つは、デバイスに関連していると考えられた。この研究中に死亡は生じなかった。
この研究から、ルシナクタントをnCPAPを介して送達することが可能であり、処置は、一般に、安全であり、十分に耐容性であることが示された。鍵となる観察として、17人の新生児のうち15人は、28日目にBPDの徴候を有していないことが挙げられた。
上の記述から、組成物および方法において種々の改変および変更を、当業者が考えつくであろう。付属の特許請求の範囲内のすべてのそのような改変は、その範囲に含まれるものである。各々の列挙された範囲には、すべての組み合わせおよび下位の組み合わせ、ならびにその中に含まれる特定の数が包含される。
上記のすべての刊行物および特許文献は、各々が個々に記載されていると同じ程度に、すべての目的で、その全体がここに参照として取り込まれる。
上記の発明は、理解を明確なものとする目的で、実施例により詳細に説明されたが、いくつかの変更および改変が開示によって理解され、そして限定ではなく例証の目的で提示されている付属の請求項の範囲内で過度の実験をすることなく、実施できることが、当業者に明らかである。
上記の発明は、理解を明確なものとする目的で、実施例により詳細に説明されたが、いくつかの変更および改変が開示によって理解され、そして限定ではなく例証の目的で提示されている付属の請求項の範囲内で過度の実験をすることなく、実施できることが、当業者に明らかである。
さらに、本発明は、次の(1)〜にもある。
(1)
呼吸困難症候群に対して肺表面活性剤で処置された乳児における気管支肺異形成症の治療または予防方法であって、肺表面活性剤での呼吸困難症候群に対する処置に続いて、気管支肺異形成症を治療または予防するのに有効な量および時間で、乳児に肺表面活性剤を投与することを含む方法。
(2)
肺表面活性剤での呼吸困難症候群に対する処置の完了に続いて、投与がその次の投与間隔において開始される、(1)の方法。
(3)
投与が、乳児の生後3日目に開始される、(1)の方法。
(4)
投与が、乳児の月経後年齢で少なくとも36週目まで継続される、(1)の方法。
(5)
投与が、乳児の出生後年齢で少なくとも28日目まで継続される、(1)の方法。
(6)
投与が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、(1)の方法。
(7)
投与が、乳児の生後少なくとも18日目まで継続される、(1)の方法。
(8)
投与が、乳児の生後3日目に開始され、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、(3)の方法。
(9)
投与が、乳児の生後3日目から14日目のいずれかの時に開始される、(1)の方法。
(10)
投与が、乳児の生後3日目から10日目のいずれかの時に開始される、(9)の方法。
(11)
気管支肺異形成症を予防することを含む、(1)の方法。
(12)
投与が気管内投与によるものである、(1)の方法。
(13)
投与が吸入によるものである、(1)の方法。
(14)
投与に他の呼吸器療法が伴うものである、(1)の方法。
(15)
他の呼吸器療法が、慣用の換気法、高頻度換気法または連続的陽気道圧である、(14)の方法。
(16)
他の呼吸器療法が、1以上の治療剤の投与である、(14)の方法。
(17)
他の治療剤が、一酸化窒素、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ビタミン誘導体、反応性酸素捕捉剤、気管支拡張剤、利尿剤、抗菌剤、抗感染剤、降圧剤または抗炎症剤である、(16)の方法。
(18)
合成肺表面活性剤を投与することを含む、(1)の方法。
(19)
合成肺表面活性剤が、配列番号1を有するペプチドを含むものである、(18)の方法。
(20)
呼吸支援が必要な乳児における気管支肺異形成症の治療または予防方法であって、気管支肺異形成症を治療または予防するのに有効な量および時間で、乳児に肺表面活性剤を投与することを含む方法。
(21)
気管支肺異形成症を予防することを含む、(20)の方法。
(22)
肺表面活性剤での処置が、乳児がもはや呼吸支援を必要としなくなるまで投与される、(20)の方法。
(23)
投与が、乳児の生後1日目またはその後に開始され、乳児の月経後年齢で少なくとも36週目まで継続される、(20)の方法。
(24)
投与が、乳児の生後1日目またはその後に開始され、乳児の出生後年齢で少なくとも28日目まで継続される、(20)の方法。
(25)
投与が、乳児の生後1日目に開始される、(20)の方法。
(26)
投与が、乳児の生後3日目に開始される、(20)の方法。
(27)
投与が、乳児がBPDと診断される前に開始され、乳児の生後2日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する、(20)の方法。
(28)
乳児の生後3日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する、(27)の方法。
(29)
投与が、乳児の生後1日目に開始される、(27)の方法。
(30)
投与が、乳児の生後少なくとも10日目まで継続される、(29)の方法。
(31)
投与が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、(29)の方法。
(32)
処置が、乳児の生後2日目に開始される、(27)の方法。
(33)
処置が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、(32)の方法。
(34)
投与が、乳児の生後3日目から18日目のいずれかの時に開始される、(27)の方法。
(35)
乳児が呼吸困難症候群を示していない、(20)の方法。
(36)
乳児が呼吸困難症候群を示している、(20)の方法。
(37)
肺表面活性剤が、呼吸困難症候群の発作の後に投与される、(36)の方法。
(38)
投与が、乳児の生後1日目またはその後に開始され、乳児の月経後年齢の少なくとも36週の間継続される、(36)の方法。
(39)
投与が、乳児の生後1日目またはその後に開始され、乳児の出生後年齢の少なくとも28日の間継続される、(36)の方法。
(40)
投与が、乳児の生後1日目に開始される、(36)の方法。
(41)
投与が、乳児の生後3日目に開始される、(36)の方法。
(42)
投与が、乳児がBPDと診断される前に開始され、乳児の生後2日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する、(36)の方法。
(43)
乳児の生後3日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する、(42)の方法。
(44)
投与が、乳児の生後1日目に開始される、(42)の方法。
(45)
投与が、乳児の生後少なくとも10日目まで継続される、(44)の方法。
(46)
投与が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、(44)の方法。
(47)
処置が、乳児の生後2日目に開始される、(42)の方法。
(48)
処置が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、(47)の方法。
(49)
投与が、乳児の生後3日目から18日目のいずれかの時に開始される、(42)の方法。
(50)
投与が気管内投与によるものである、(20)の方法。
(51)
投与が吸入によるものである、(20)の方法。
(52)
投与に他の呼吸器療法が伴うものである、(20)の方法。
(53)
他の呼吸器療法が、慣用の換気法、高頻度換気法または連続的陽気道圧である、(52)の方法。
(54)
他の呼吸器療法が、1以上の治療剤の投与である、(52)の方法。
(55)
他の治療剤が、一酸化窒素、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ビタミン誘導体、反応性酸素捕捉剤、気管支拡張剤、利尿剤、抗菌剤、抗感染剤、降圧剤または抗炎症剤である、(54)の方法。
(56)
合成肺表面活性剤を投与することを含む、(20)の方法。
(57)
合成肺表面活性剤が、配列番号1を有するペプチドを含むものである、(56)の方法。

Claims (57)

  1. 呼吸困難症候群に対して肺表面活性剤で処置された乳児における気管支肺異形成症の治療または予防方法であって、肺表面活性剤での呼吸困難症候群に対する処置に続いて、気管支肺異形成症を治療または予防するのに有効な量および時間で、乳児に肺表面活性剤を投与することを含む方法。
  2. 肺表面活性剤での呼吸困難症候群に対する処置の完了に続いて、投与がその次の投与間隔において開始される、請求項1の方法。
  3. 投与が、乳児の生後3日目に開始される、請求項1の方法。
  4. 投与が、乳児の月経後年齢で少なくとも36週目まで継続される、請求項1の方法。
  5. 投与が、乳児の出生後年齢で少なくとも28日目まで継続される、請求項1の方法。
  6. 投与が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、請求項1の方法。
  7. 投与が、乳児の生後少なくとも18日目まで継続される、請求項1の方法。
  8. 投与が、乳児の生後3日目に開始され、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、請求項3の方法。
  9. 投与が、乳児の生後3日目から14日目のいずれかの時に開始される、請求項1の方法。
  10. 投与が、乳児の生後3日目から10日目のいずれかの時に開始される、請求項9の方法。
  11. 気管支肺異形成症を予防することを含む、請求項1の方法。
  12. 投与が気管内投与によるものである、請求項1の方法。
  13. 投与が吸入によるものである、請求項1の方法。
  14. 投与に他の呼吸器療法が伴うものである、請求項1の方法。
  15. 他の呼吸器療法が、慣用の換気法、高頻度換気法または連続的陽気道圧である、請求項14の方法。
  16. 他の呼吸器療法が、1以上の治療剤の投与である、請求項14の方法。
  17. 他の治療剤が、一酸化窒素、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ビタミン誘導体、反応性酸素捕捉剤、気管支拡張剤、利尿剤、抗菌剤、抗感染剤、降圧剤または抗炎症剤である、請求項16の方法。
  18. 合成肺表面活性剤を投与することを含む、請求項1の方法。
  19. 合成肺表面活性剤が、配列番号1を有するペプチドを含むものである、請求項18の方法。
  20. 呼吸支援が必要な乳児における気管支肺異形成症の治療または予防方法であって、気管支肺異形成症を治療または予防するのに有効な量および時間で、乳児に肺表面活性剤を投与することを含む方法。
  21. 気管支肺異形成症を予防することを含む、請求項20の方法。
  22. 肺表面活性剤での処置が、乳児がもはや呼吸支援を必要としなくなるまで投与される、請求項20の方法。
  23. 投与が、乳児の生後1日目またはその後に開始され、乳児の月経後年齢で少なくとも36週目まで継続される、請求項20の方法。
  24. 投与が、乳児の生後1日目またはその後に開始され、乳児の出生後年齢で少なくとも28日目まで継続される、請求項20の方法。
  25. 投与が、乳児の生後1日目に開始される、請求項20の方法。
  26. 投与が、乳児の生後3日目に開始される、請求項20の方法。
  27. 投与が、乳児がBPDと診断される前に開始され、乳児の生後2日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する、請求項20の方法。
  28. 乳児の生後3日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する、請求項27の方法。
  29. 投与が、乳児の生後1日目に開始される、請求項27の方法。
  30. 投与が、乳児の生後少なくとも10日目まで継続される、請求項29の方法。
  31. 投与が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、請求項29の方法。
  32. 処置が、乳児の生後2日目に開始される、請求項27の方法。
  33. 処置が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、請求項32の方法。
  34. 投与が、乳児の生後3日目から18日目のいずれかの時に開始される、請求項27の方法。
  35. 乳児が呼吸困難症候群を示していない、請求項20の方法。
  36. 乳児が呼吸困難症候群を示している、請求項20の方法。
  37. 肺表面活性剤が、呼吸困難症候群の発作の後に投与される、請求項36の方法。
  38. 投与が、乳児の生後1日目またはその後に開始され、乳児の月経後年齢の少なくとも36週の間継続される、請求項36の方法。
  39. 投与が、乳児の生後1日目またはその後に開始され、乳児の出生後年齢の少なくとも28日の間継続される、請求項36の方法。
  40. 投与が、乳児の生後1日目に開始される、請求項36の方法。
  41. 投与が、乳児の生後3日目に開始される、請求項36の方法。
  42. 投与が、乳児がBPDと診断される前に開始され、乳児の生後2日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する、請求項36の方法。
  43. 乳児の生後3日目以降に少なくとも1回乳児を肺表面活性剤で処置する、請求項42の方法。
  44. 投与が、乳児の生後1日目に開始される、請求項42の方法。
  45. 投与が、乳児の生後少なくとも10日目まで継続される、請求項44の方法。
  46. 投与が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、請求項44の方法。
  47. 処置が、乳児の生後2日目に開始される、請求項42の方法。
  48. 処置が、乳児の生後少なくとも14日目まで継続される、請求項47の方法。
  49. 投与が、乳児の生後3日目から18日目のいずれかの時に開始される、請求項42の方法。
  50. 投与が気管内投与によるものである、請求項20の方法。
  51. 投与が吸入によるものである、請求項20の方法。
  52. 投与に他の呼吸器療法が伴うものである、請求項20の方法。
  53. 他の呼吸器療法が、慣用の換気法、高頻度換気法または連続的陽気道圧である、請求項52の方法。
  54. 他の呼吸器療法が、1以上の治療剤の投与である、請求項52の方法。
  55. 他の治療剤が、一酸化窒素、ステロイド、抗酸化剤、ビタミン、ビタミン誘導体、反応性酸素捕捉剤、気管支拡張剤、利尿剤、抗菌剤、抗感染剤、降圧剤または抗炎症剤である、請求項54の方法。
  56. 合成肺表面活性剤を投与することを含む、請求項20の方法。
  57. 合成肺表面活性剤が、配列番号1を有するペプチドを含むものである、請求項56の方法。
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