JP2013177258A - 複合金属酸化物粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒径が十分に小さく、疎水性のマトリクス中での分散性が良好な、ペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物の粒子を、粉砕工程を必要としない方法で効率良く製造できるようにする。
【解決手段】複合金属酸化物を含む複合金属酸化物粒子を製造する方法であって、複合金属酸化物が、Ba、Sr、Ca、Mg、Al、Pb、Co、Snからなる群から選ばれる1種以上からなる元素Aと、Ti、Zr、W、Nb、Hf、Sn、Siからなる群から選ばれる1種からなる元素Bと、酸素Oとを構成元素とする複合金属酸化物からなり、元素Bの酸化物粒子をシランカップリング剤で処理する第1の工程と、第1の工程で得られる生成物と、元素Aの水酸化物とを反応させる第2の工程を有することを特徴とする複合金属酸化物粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は複合金属酸化物粒子の製造方法に関する。
例えば二酸化チタン(TiO)は高屈折率・高誘電率材料であるため、有機材料または有機無機複合材料等からなるマトリクスの光学特性または電気的特性を改善するための添加材として有望である。
二酸化チタン粒子等の金属酸化物粒子の表面は、通常、親水性であるのに対して、マトリクスの有機材料は疎水性であるため、マトリクス中での分散性を良好にするために、金属酸化物粒子の表面にシランカップリング剤などで疎水化処理を施す方法が知られている。
しかしながら、二酸化チタンは光触媒活性を有し、光照射によって隣接する有機材料の分解を生じやすい、という問題がある。
これに対して、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウムなどの、ペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物粒子は、酸素を挟んでチタン原子と、チタン以外の金属元素(バリウム、ストロンチウム等)とが交互に存在するため、光触媒活性を生む二酸化チタンの結晶構造が無く、隣接する有機材料を破壊するリスクが少ない。
かかるペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物は、高誘電率であるため、該複合金属酸化物粒子を疎水化処理したものは、電気的特性を改善するための、光触媒活性を有しない添加材として期待できる。
また、特にチタン酸バリウムは、高屈折率であるため、チタン酸バリウムを疎水化処理したものは、光学特性を改善するための、光触媒活性を有しない添加材として期待できる。
チタン酸バリウムの一般的な製造方法として、酸化チタンと水酸化バリウムとを、水の存在下で加熱して反応させる水熱法が知られている。
また特許文献1には、トナー用の高屈折率材料粒子として好適な、疎水化処理されたチタン酸バリウムを製造する方法が記載されている。具体的には、まず水酸化チタンとバリウム化合物とを、水とアルコールを含む溶媒中で反応させてチタン酸バリウム前駆体を得(第一の工程)、該チタン酸バリウム前駆体を加熱処理して(第二の工程)チタン酸バリウム粒子を得、該チタン酸バリウム粒子にシランカップリング剤による疎水化処理を施す(第三の工程)方法が記載されている。
国際公開第2007/086451号
マトリクス中に分散して使用される金属複合金属酸化物粒子は、マトリクスの光透過(透明)性を損なわないために、粒径が十分に小さいことが要求される。
例えば可視光域の波長は約400〜700nmと定義されている。波長の約1/4より大きい物体に当たった光は散乱することから、添加材の粒径が70nm以下であれば、マトリクスの光透過(透明)性が損なわれないと考えられる。
しかしながら、従来の水熱法や特許文献1に記載されているような製造方法では、得られる粒子の細かさが、良好な光透過性を得るには不十分である。
特許文献1の実施例では、合成したチタン酸バリウム粒子をコーヒーミル等で粉砕した後にシランカップリング剤で疎水化処理を行って、粒径が150〜660nm程度の粒子を得ているが、粉砕のための工程が必要であり、粒径の細かさも未だ不十分である。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、粒径が小さく、疎水性のマトリクス中での分散性が良好な、ペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物の粒子を、粉砕工程を必要としない方法で効率良く製造できるようにした、複合金属酸化物粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の複合金属酸化物粒子の製造方法は、複合金属酸化物を含む複合金属酸化物粒子を製造する方法であって、前記複合金属酸化物が、Ba、Sr、Ca、Mg、Al、Pb、Co、Snからなる群から選ばれる1種以上からなる元素Aと、Ti、Zr、W、Nb、Hf、Sn、Siからなる群から選ばれる1種からなる元素Bと、酸素Oとを構成元素とする複合金属酸化物からなり、元素Bの酸化物粒子をシランカップリング剤で処理する第1の工程と、第1の工程で得られる生成物と、元素Aの水酸化物とを反応させる第2の工程を有することを特徴とする。
または、本発明の複合金属酸化物粒子の製造方法は、複合金属酸化物を含む複合金属酸化物粒子を製造する方法であって、前記複合金属酸化物が、Ba、Sr、Ca、Mg、Al、Pb、Co、Snからなる群から選ばれる1種以上からなる元素Aと、Ti、Zr、W、Nb、Hf、Sn、Siからなる群から選ばれる1種からなる元素Bと、酸素Oとを構成元素とする複合金属酸化物からなり、元素Bであるいずれかの元素B’の酸化物粒子をシランカップリング剤で処理する第1の工程と、第1の工程で得られる生成物と、元素Aの水酸化物と、前記元素B’以外の元素Bを含む化合物とを反応させる第2の工程を有することを特徴とする。
前記第1の工程で用いる前記元素BまたはB’の酸化物粒子の一次粒径が1〜56nmであることが好ましい。
前記第2の工程の反応を、水および有機溶媒の存在下で50〜250℃に加熱する方法で行うことが好ましい。
本発明によれば、粒径が十分に小さく、疎水性のマトリクス中での分散性が良好な、ペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物の粒子を、粉砕工程を必要としない方法で効率良く製造できる。
実施例で得られた疎水化複合金属酸化物粒子の電子顕微鏡写真である。 実施例で得られた疎水化複合金属酸化物粒子の電子顕微鏡写真である。 実施例で得られた疎水化複合金属酸化物粒子の電子顕微鏡写真である。 比較例で得られた複合金属酸化物粒子の電子顕微鏡写真である。
本明細書における粒径は、透過型顕微鏡による観察画像を解析し、画像から100個の粒子についてフェレ径(縦横方向の各画素数)を読み取り、最頻値をナノメートルに変換して得られる値である。
<複合金属酸化物>
本発明における複合金属酸化物粒子は複合金属酸化物を含む。該複合金属酸化物は、Ba、Sr、Ca、Mg、Al、Pb、Co、Snからなる群から選ばれる1種以上からなる元素Aと、Ti、Zr、W、Nb、Hf、Sn、Siからなる群から選ばれる1種以上からなる元素Bと、酸素Oとを構成元素とする。かかる元素Aと元素Bと酸素Oを構成元素とする複合金属化合物は、ペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物である。
元素Aは、Ba、Sr、Ca、Pbからなる群から選ばれる1種以上からなることが好ましい。
元素Bは、Ti、Zr、Sn、Siからなる群から選ばれる1種以上からなることが好ましく、Tiおよび/またはZrからなることがより好ましい。
ペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物は、代表的にはABO(A、Bはそれぞれ金属元素)で表され、Aは+2の価数を持つ金属元素、Bは+4の価数を持つ金属元素が主である。A、Bはそれぞれ二種以上で構成されたり一部置換されることもある。元素Aの合計のモル数と、元素Bの合計のモル数は通常1:1であるが、特に限定されない。例えば、複合金属酸化物を合成する際の、元素Aと元素Bの仕込み比によって該モル数の比を変化させることができる。
本発明における複合金属酸化物は、ペロブスカイト型結晶構造を有する範囲で、構成元素(元素A、元素B、酸素O)のほかに添加元素を含んでもよい。かかる添加元素は、具体的には、ABOのAサイトに置換する添加元素および/またはBサイトに置換する添加元素である。かかる添加元素は、結晶構造安定化や、酸素欠陥による電荷の移動を抑制する目的で複合金属酸化物に導入される公知の添加元素を用いることができる。例えば、Aサイトに置換する添加元素としては、La、Bi、Y、Ce、Li、Na、Ag等が挙げられ、Bサイトに置換する添加元素としては、例えばNb、Ta、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が挙げられる。
複合金属酸化物が添加元素を含む場合、その含有量の上限は、複合金属酸化物の組成を主として構成するものではない点で、Aサイトに置換する添加元素は元素Aに対して1モル%以下が好ましく、0.1モル%以下がより好ましい。Bサイトに置換する添加元素は元素Bに対して1モル%以下が好ましく、0.1モル%以下がより好ましい。
本発明における、元素Aと元素Bと酸素Oを構成元素とする複合金属化合物の好ましい例を以下に示す。以下の式において0<x<1、0<y<1である。
チタン酸バリウム[BaTiO(元素AであるBaと元素BであるTiのモル比(Ba/Ti)が1/1でない場合も含めて、代表的に左のように表す。以下同様。)]、
チタン酸ストロンチウム[SrTiO]、
チタン酸バリウムストロンチウム[(BaSr1−x)TiO]、
チタン酸カルシウム[CaTiO]、
チタン酸ジルコニウム酸バリウム[Ba(TiZr1−y)O]、
チタン酸ジルコニウム酸鉛[Pb(TiZr1−y)O]、
チタン酸ジルコニウム酸バリウムストロンチウム[(BaSr1−x)(TiZr1−y)O]、
チタン酸ジルコニウム酸バリウムカルシウム[(BaCa1−x)(TiZr1−y)O]、
ジルコン酸バリウム[BaZrO]、
ジルコン酸ストロンチウム[SrZrO]、
スズ酸バリウム[BaSnO]、
スズ酸ストロンチウム[SrSnO]、
珪酸バリウム[BaSiO]等。
本発明の複合金属酸化物粒子の製造方法においてはシランカップリング剤が用いられる。本発明の製造方法で得られる複合金属酸化物粒子は、複合金属酸化物のほかに、シランカップリング剤、シランカップリング剤の加水分解物、およびシランカップリング剤の加水分解縮合物からなる群から選ばれる1種以上のシランカップリング剤由来成分が含まれる。本明細書において、複合金属酸化物とシランカップリング剤由来成分を含む粒子を疎水化複合金属酸化物粒子ということもある。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は、一分子中に、有機物との反応や相互作用に寄与する疎水性の有機官能基と、加水分解性基(アルコキシ基)との両方を有する有機ケイ素化合物であればよく、公知のシランカップリング剤を適宜用いることができる。
例えば、下記式(1)で表されるシランカップリング剤が好ましい。
Si(OR・・・(1)
(式中、Rは有機官能基、ORは炭素原子数1または2のアルコキシ基、aは1以上の整数、bは1以上の整数、a+b=4、aが2以上の場合に複数のRは互いに同じでもよく、異なっていてもよい、bが2以上の場合に複数のRは互いに同じでもよく、異なっていてもよい。)
式(1)において、ORはメトキシ基またはエトキシ基が好ましい。bは3が好ましい。
式(1)における有機官能基は、シランカップリング剤において公知の疎水性の有機官能基を適宜用いることができる。かかる有機官能基の例としては、アルキル基(水素原子の一部または全部がフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい)、フェニル基、スチリル基、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基、エポキシ基等が挙げられる。
式(1)で表されるシランカップリング剤の例として、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、1,1,2,2−Hトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
<複合金属酸化物粒子の製造方法>
(第1の実施形態)
本実施形態では、複合金属酸化物中の元素Bが1種のみからなる実施形態について、元素Bがチタン(Ti)である場合を例に挙げて説明する。
[元素Bの酸化物粒子]
本実施形態において、元素Bの酸化物粒子として、酸化チタン(以下、チタニアということもある。)の粒子を用いる。酸化チタン粒子を含む水分散液の形態で用いることが好ましい。酸化チタン粒子を含む水分散液はシランカップリング剤のアルコキシ基を十分に加水分解させる点で酸性あるいはアルカリ性であることが好ましく、具体的には酸性の場合pHが1〜5であることが好ましく、アルカリ性の場合pHが8〜14であることが好ましい。
酸化チタン粒子の一次粒径によって、後述の第2の工程で得られる疎水化複合金属酸化物粒子の粒径を制御できる。該疎水化複合金属酸化物粒子の粒径は、該疎水化複合金属酸化物粒子が添加されるマトリクスの光透過(透明)性を低下させないためには、70nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましい。
疎水化複合金属酸化物粒子の粒径を70nm以下にするためには、元素Bの酸化物粒子の一次粒径が56nm以下であることが好ましく、48nm以下であることがより好ましい。下限値は原料元素が多数集まった微粒子の状態が得られやすい点で1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましい。
上記好ましい粒径の酸化チタン粒子を含む水分散液は市販品から入手可能である。
酸化チタン粒子は凝集していてもよい。凝集している場合、一次粒径が上記の範囲内であればよく、二次粒径は特に限定されない。疎水化複合金属酸化物粒子が添加されるマトリクスの光透過(透明)性を得るためには、二次粒径が100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましい。
[第1の工程]
本工程では酸化チタン粒子をシランカップリング剤で処理する。シランカップリング剤で処理するとは、粒子の表面にシランカップリング剤の加水分解物および/または加水分解縮合物を、化学的または物理的に結合させることを意味する。
従来の、水熱法を用いて、疎水化された複合金属酸化物粒子を製造する方法では、元素Bの酸化物(例えば酸化チタン)と元素Aの水酸化物(例えば水酸化バリウム)とを、水の存在下で加熱することによって反応させてABO(例えばBaTiO)を合成した後に、シランカップリング剤処理を行うのに対して、本実施形態の製造方法では、合成に用いる酸化チタン粒子を、元素Aと反応させる前にシランカップリング剤で処理する。
本工程において、シランカップリング剤処理は水およびアルコールの存在下で、行うことが好ましい。
具体的には、酸化チタン粒子を含む水分散液、アルコール、およびシランカップリング剤を混合、撹拌して混合液とし、該混合液の液温を15〜45℃程度に保持して、十分に加水分解反応させる。保持時間は、例えばシランカップリング剤にもよるが、1〜16時間程度である。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。これらは1種でもよく2種以上を併用してもよい。酸化チタン粒子を含む水分散液の水を共沸させ効率的に除去出来る点でエタノールが好ましい。
前記混合液におけるアルコールの含有量は酸化チタン粒子を含む水分散液に対して50〜400容量%が好ましく、100〜200容量%がより好ましい。アルコールの含有量が上記範囲の上限値以下であるとシランカップリング剤の加水分解速度が十分に得られ、下限値以上であるとシランカップリング剤が系中に相溶しやすい。
前記混合液中における酸化チタン粒子の含有量は水分散液と上記アルコールとの合計に対して1〜30質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。酸化チタン粒子の含有量が上記範囲の上限値以下であると凝集を回避しやすくなり、下限値以上であると酸化チタン粒子が十分にシランカップリング剤で処理されやすい、
前記混合液中におけるシランカップリング剤の含有量は得られる疎水化複合金属酸化物粒子の総表面積(m)に6μモル/mを掛けた値に対して0.8〜1.6モル当量が好ましく、1.0〜1.4モル当量がより好ましい。なお、シランカップリング剤が平面(固体表面)に緻密に並んだときの、平面に接する1層のシランカップリング剤の密度がほぼ6μモル/mである。疎水化複合金属酸化物粒子の総表面積(m)は、予め該粒子を試作して求めることができる。
シランカップリング剤の含有量が上記範囲の上限値以下であると元素Aとの副反応を起こしにくく、下限値以上であると疎水化複合金属酸化物粒子の良好な分散性が得られやすい。
このようにしてシランカップリング剤と酸化チタン粒子とを反応させて得られる反応液は、必要に応じて溶媒置換を行って、シランカップリング剤で処理された酸化チタン粒子(以下、第1の生成物ということもある。)の有機溶媒分散液とし、これを次工程に用いてもよい。または該反応液の溶媒を留去した後に乾燥させることによって、第1の生成物の乾燥物を得、これを有機溶媒に分散させた有機溶媒分散液を次工程に用いてもよい。
該第1の生成物の有機溶媒分散液中の有機溶媒は、後述の第2の工程における反応液中の有機溶媒として挙げたものが好ましい。
第1の生成物の有機溶媒分散液中における、第1の生成物(シランカップリング剤で処理された酸化チタン粒子)の含有量は、後述のアルカリ剤を除いて、0.5〜30質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。第1の生成物の含有量が上記範囲の上限値以下であると凝集を回避しやすくなり、下限値以上であると効率的な生産性が得られる。
第1の生成物の有機溶媒分散液は、アルカリ剤を加えてアルカリ性とすることが好ましい。第1の生成物の有機溶媒分散液をアルカリ性にすることにより、後述の第2の工程における加熱条件下で、有機物であるシランカップリング剤が分解することを避けられるとともに、シラノール基の縮合反応を促進することができる。具体的には、第1の生成物の有機溶媒分散液のpHが7以上あることが好ましく、8以上がより好ましい。該pHの上限は微粒子の分散を保ちやすい点から、第1の工程においては14以下が好ましく、12以下がより好ましい。
前記アルカリ剤としては、例えばアンモニア水溶液とエタノールとの混合溶液等のアンモニアアルコール溶液、アンモニアメタノール等が挙げられる。
[第2の工程]
本工程では、第1の工程で得られた第1の生成物(シランカップリング剤で処理された酸化チタン粒子)と、元素Aの水酸化物とを反応させる。これにより、チタン(Ti)と元素Aと酸素Oとからなる複合金属酸化物およびシランカップリング剤由来成分を含む粒子(以下、第2の生成物ということもある。)が生成する。
この反応は、水および有機溶媒の存在下で加熱処理する方法で行うことが好ましい。具体的には、第1の工程で得られた第1の生成物と、元素Aの水酸化物と、水と、有機溶媒を含む反応液を加熱処理する。複合金属酸化物を構成する元素Aが2種以上である場合は、該反応液に該2種以上の元素Aのそれぞれの水酸化物を含有させる。
該反応液中の有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のケトン類;トルエン、ヘキサン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール;パーフルオロトリブチルアミン、1、1、1、2、3、4、4、5、5、5−デカフルオロ−3−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)ペンタン等の含フッ素溶媒が挙げられる。これらは1種でもよく2種以上を混合して用いてもよい。
第1の工程で得られた第1の生成物は、前記第1の生成物の有機溶媒分散液の形態で用いることが好ましい。
本工程における反応液中に存在する元素B(本実施形態ではTi)に対する元素Aのモル比(元素A/元素B)は特に限定されない。例えば0.2/1〜1.1/1が好ましく、0.6/1〜1.05/1がより好ましい。該モル比が上記範囲の下限値以上であると元素Bの酸化物粒子内部に元素Aが侵入して良好な複合金属酸化物が得られやすい。上限値以下であると副反応が抑制されやすい。
該反応液における水の含有量は、反応液全量に対して5〜50容量%が好ましく、10〜35容量%がより好ましい。但し、ここでいう水の含有量には、前述の第1の工程の最終段階で加えたアルカリ剤が水を含む場合は、該アルカリ剤中の水も算入する。水の含有量が上記範囲の上限値以下であると第2の生成物が溶媒相に分配しやすく、下限値以上であると元素Aの水酸化物が溶解する場が十分に提供される。
該反応液は反応後の水相と溶媒相との分液を促進させる点でアルコールを含むことが好ましい。好ましくはエタノールを含む。該反応液におけるアルコールの含有量は上記水の量に対して30〜400容量%が好ましく、50〜300容量%がより好ましい。アルコールの含有量が上記範囲の上限値以下であると均一相にならずに分液が起こり、下限値以上であると反応液が乳化して溶けなくなることが避けられる。但し、乳化した場合に、アルコールを適量添加することによって分液させることもできる。
該反応液中の、アルコール以外の有機溶媒の含有量は、該反応液における前記第1の生成物(シランカップリング剤で処理された酸化チタン粒子)の含有量が、上述した第1の生成物の有機溶媒分散液中における、該第1の生成物(シランカップリング剤で処理された酸化チタン粒子)の含有量の好ましい範囲となるように適宜設定することが好ましい。
本工程における反応液の加熱処理は公知の手法により行うことができる。例えば反応液にマイクロウェーブを照射する方法、オートクレーブ中で加熱する方法等を用いることができる。加熱条件は、所望の複合金属酸化物が得られる範囲であればよい。加熱が不足すると複合金属酸化物の結晶生成が進行せず、過剰に加熱するとシランカップリング剤を分解したり、粒子を凝集させる傾向がある。加熱処理の際に、撹拌を伴ったほうが好ましい。
例えば、反応液の温度(反応温度)は50〜250℃が好ましく、80〜200℃がより好ましい。但し、マイクロウェーブ照射により加熱している場合は、粒子表面が優先的に加熱されるため局所的な実際の温度は不明であり、反応液の温度を以てマイクロウェーブ照射量を制御することになる。該反応温度に保持する時間(保持時間)は、所定の温度に到達してから、マイクロウェーブ照射による直接加熱の場合は0.5〜60分間程度が好ましく、1〜30分程度がより好ましい。オートクレーブ等による間接加熱の場合は0.5〜72時間程度が好ましく、1〜48時間程度がより好ましい。
加熱処理の終了後、反応液を例えば自然冷却(放冷)により冷却し、静置して、目的の第2の生成物(疎水化複合金属酸化物粒子)を含む有機溶媒相(上相)と、水相(下相)とに分相する。これを分液し、得られた有機溶媒相を乾燥することにより、目的の第2の生成物の乾燥物を得ることができる。
第2の工程の後、必要に応じて精製を行ってもよい。
例えば得られた第2の生成物の乾燥物を、有機溶媒に溶解または分散させて遠心分離を行う方法で精製してもよい。これにより、例えば粒径が100nm以上程度の粗大粒子を除去することができる。
または、例えば上記第2の生成物の乾燥物を、有機溶媒に溶解または分散させた溶液に対し、貧溶媒となる有機溶媒を多量に加えて第2の生成物を沈殿させることで、第2の生成物(疎水化複合金属酸化物粒子)の表面に位置していないシランカップリング剤由来成分を上澄み中へと除去することができる。ここでいう貧溶媒とは、選択するシランカップリング剤の有機官能基にもよるが、例えば疎水性の高い有機官能基であればメタノール、少し極性を含む有機官能基であればヘキサンが挙げられる。
または、例えば得られた第2の生成物の乾燥物を、酢酸水溶液等の酸性の水溶液で洗浄してもよい。これにより第2の生成物中に、複合金属酸化物の結晶構造を構成していない状態で存在する元素Aを除去することができる。
本発明の製造方法によれば、後述の実施例にも示されるように、合成後に粉砕を行わなくても、粒径が70nm以下と十分に小さい、複合金属酸化物およびシランカップリング剤由来成分を含む複合金属酸化物粒子(疎水化複合金属酸化物粒子)が得られる。
また後述の実施例にも示されるように、得られた疎水化複合金属酸化物粒子をX線回折法により分析すると、酸化チタンに由来するピークは認められず、元素Aとチタンと酸素とからなるペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物のピークが見られる。さらに、得られた疎水化複合金属酸化物粒子は、疎水性の有機溶媒中で良好な分散性を示す。
これらのことから、本発明の製造方法で得られる疎水化複合金属酸化物粒子は、ペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物粒子の表面に、シランカップリング剤の加水分解物および/または加水分解縮合物が化学的または物理的に結合していると推測される。
このような疎水化複合金属酸化物粒子は、誘電率が高く、酸化チタンのような光触媒活性はなく、粒径が小さく、疎水性のマトリクス中での分散性が良好であるため、マトリクスの光透過性を低下させずに電気的特性を改善するための添加材として好適である。
特にチタン酸バリウムは屈折率が高く、酸化チタンのような光触媒活性はなく、粒径が小さく、疎水性のマトリクス中での分散性が良好であるため、マトリクスの光透過性を低下させずに光学特性を改善するための添加材として好適である。
本発明において、元素Bの酸化物粒子を、元素Aと反応させる前にシランカップリング剤で処理することにより、元素Aと反応させたときに粒径が小さい複合金属酸化物粒子が生成する理由については以下のように考えられる。
後述の実施例に示されるように、本発明の製造方法によれば、第2の工程の反応液中の元素Aと元素Bのモル比(元素A/元素B)を1/1(=1)としても、得られた複合金属酸化物粒子を酸性の水溶液で洗浄した後に元素分析すると、該モル比(元素A/元素B)は1より小さい値となる。このことから、第1の工程で得られる第1の生成物(シランカップリング剤で処理された元素Bの酸化物粒子)の粒子表面の元素Bには、シランカップリング剤の加水分解物および/または加水分解縮合物が結合しているため、元素Aの水酸化物との反応中も該元素Bは粒子表面位置にそのまま保持されやすく、その結果、第2の工程では、シランカップリング剤の加水分解物および/または加水分解縮合物と結合した表面の元素Bの内方に元素Aが取り込まれた状態の疎水化複合金属酸化物粒子が生成すると推測される。該粒子の粒径は、元素Bの酸化物粒子よりもやや大きくなるが、表面にシランカップリング剤の加水分解物および/または加水分解縮合物が結合しているため凝集しにくく、したがって粒径が小さい疎水化複合金属酸化物粒子が得られると考えられる。
なお、本実施形態では、複合金属酸化物中の元素Bがチタン(Ti)である場合に、第1の工程で酸化チタン粒子を用いたが、複合金属酸化物中の元素Bがチタン(Ti)以外である場合には、酸化チタン粒子に代えてチタン以外の元素Bの酸化物粒子を用いる。
この場合においても、合成に用いる元素Bの酸化物粒子を、元素Aと反応させる前にシランカップリング剤で処理することにより、第1の実施形態と同様に、合成後に粉砕を行わなくても、粒径が70nm以下と十分に小さく、疎水性のマトリクス中での分散性が良好な、金属酸化物およびシランカップリング剤由来成分を含む複合金属酸化物粒子(疎水化複合金属酸化物粒子)が得られる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、複合金属酸化物中の元素Bが2種以上からなる実施形態について説明する。
すなわち、第1の実施形態は複合金属酸化物中の元素Bがチタンのみであったが、例えば複合金属酸化物中の元素Bが、チタン(元素B’)と、チタン以外の元素Bの1種とからなる場合は、第2の工程において、第1の工程で得られた第1の生成物(シランカップリング剤で処理された酸化チタン粒子)と、元素Aの水酸化物と、チタン以外の元素Bを含む化合物とを反応させる。
すなわち、第2の工程における前記反応液に、チタン以外の元素Bを含む化合物を含有させて、前記加熱処理を行う。チタン以外の元素Bが2種以上である場合は、該反応液に該2種以上の元素Bをそれぞれ含む化合物を含有させる。
これにより、チタン(Ti)と、チタン以外の元素Bと、元素Aと、酸素Oとからなる複合金属酸化物およびシランカップリング剤由来成分を含む複合金属酸化物粒子(疎水化複合金属酸化物粒子。第2の生成物)が生成する。
第2の工程で用いる、チタン以外の元素Bを含む化合物としては、例えば硝酸ジルコニル(硝酸酸化ジルコニウム2水和物)、タングステン酸ナトリウム、塩化ニオブ、塩化ハフニウム、塩化スズ、テトラメトキシシラン等が挙げられる。
本実施形態においても、合成に用いる酸化チタン粒子(元素B’の酸化物粒子)を、元素Aと反応させる前にシランカップリング剤で処理することにより、第1の実施形態と同様に、合成後に粉砕を行わなくても、粒径が70nm以下と十分に小さく、疎水性のマトリクス中での分散性が良好な、疎水化複合金属酸化物粒子が得られる。
なお、本実施形態では、第1の工程における元素B’の酸化物粒子として酸化チタン粒子を用いたが、これに代えてチタン以外の元素Bの酸化物粒子を用いてもよい。
この場合においても、合成に用いる元素B’の酸化物粒子を、元素Aと反応させる前にシランカップリング剤で処理することにより、第2の実施形態と同様に、合成後に粉砕を行わなくても、粒径が70nm以下と十分に小さく、疎水性のマトリクス中での分散性が良好な、金属酸化物およびシランカップリング剤由来成分を含む複合金属酸化物粒子(疎水化複合金属酸化物粒子)が得られる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の例において用いた原料等は以下の通りである。
チタニア(A): 堺化学社製、二酸化チタン水分散液(一次粒径5nm、固形分濃度15質量%、比重1.11、pH3)
チタニア(B): 石原産業社製、二酸化チタン水分散液(一次粒径5nm、二次粒径40−50nm、固形分濃度30.1質量%、比重1.322、pH1.9)
チタニア(C): 石原産業社製、二酸化チタン水分散液(一次粒径30nm、固形分濃度39.2質量%、比重1.345、pH8.3)
シランカップリング剤(F): 3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、製品名:KBM7103、比重1.14)
シランカップリング剤(G): n−オクタデシルトリメトキシシラン(比重0.883)
シランカップリング剤(H): フェニルトリメトキシシラン(信越化学社製、製品名:KBM103、比重1.06)
シランカップリング剤(I): 1,1,2,2−H トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン(比重1.64)
シランカップリング剤(J): スチリルトリメトキシシラン(信越化学社製、製品名:KBM1403、比重1.06)
シランカップリング剤(K): ビニルトリメトキシシラン(信越化学社製、製品名:KBM1003、比重0.97)
マトリクス(N):CH=CH−C(O)−(CHCHO)−C(O)−CH−=CH(TGDAと略記する。比重1.12)
マトリクス(P):2−ヒドロキシブチルアクリレート(比重1.04)
アンモニアエタノール溶液(T): 濃度28質量%のアンモニア水溶液と、エタノールとの体積1:1の混合溶液(比重0.934)
光開始剤(U): IC184(製品名、BASF社製)
水酸化バリウム: Ba(OH)・8H
水酸化ストロンチウム: Sr(OH)・8H
水酸化カルシウム: Ca(OH)
水酸化鉛: Pb(OH)
硝酸ジルコニル: 硝酸酸化ジルコニウム2水和物
MIBK: メチルイソブチルケトン(比重0.8)
MW: マイクロウェーブ反応装置。伊マイルストーンゼネラル社製、製品名:StartSYNTH、最大出力:1000Wを用いた。
[実施例1]
チタニア(A)を3ml(TiO重量:498mg)採り、エタノールの5mlを加えて撹拌し、さらにシランカップリング剤(F)の275μlを加えて撹拌した。加水分解時間を16時間とった後、エタノールの15mlを加えてから、40℃、50hPaで溶媒留去した。再びエタノールの15mlを加えて40℃、20hPaで溶媒留去し乾固させた。そこにMIBKの5mlを加えて溶解し、チタニアの有機溶媒分散液(V−1)を得た。このチタニアの有機溶媒分散液(V−1)に、アンモニアエタノール溶液(T)を5ml加えてよく撹拌し、pHを11〜12程度とした。これを水酸化バリウムの1967mg、水7.5ml、エタノール7.5ml、MIBK15mlと共に内容積50mlのマイクロウェーブ反応容器(以下MW容器という。)に入れた。MW容器内の反応液におけるTiに対するBaのモル比(Ba/Ti)は1/1である。
MW容器内の反応液の温度が室温から165℃に2分で到達し、そこから10分間、温度を保持するようにマイクロウェーブ(MW)を照射させ、その後自然冷却し、MW処理済み溶液(W−1)を得た。
MW処理済み溶液(W−1)を静置して分相を待った後、480Gで10分間遠心して、水相(下相)と油相(上相)とに分けた。この油相をエバポレーターで乾燥させ、得られた乾燥粉を再びMIBKの5mlに溶解、分散させ、遠心分離を行って精製を行い、粗大粒子等を除去した。この後、乾燥させて、疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)の1200mgを得た。
1200mg/{チタニア498mg+シランカップリング剤274μL×比重1.14×加水分解による見なし重量減0.79+水酸化バリウム8水和物1967mg×Baの分子量(=137.33)/Ba(OH)・8HOの分子量(=315.46)}で算出される収率(以下、同様)は75%であった。
<評価>
(1)粒径
疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)について、透過型電子顕微鏡による観察を行った。画像解析の結果、疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)の粒径は6〜7nmであった。疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)の撮像の例を図1に示す。
(2)マトリクス(P)中での分散性
疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)について100mgを採取し、マトリクス(P)の112μlを加えたところ、透明性のある粘性液体となり、分散性は良好であった。
この粘性液体に光開始剤(U)を1mg加え、0.5mm厚のガラス板2枚の間に挟み、波長365nmの光を110mW/cmで10分間照射して光硬化させた。片側のガラス板を剥がして光硬化層の膜厚を確認したところ、25μmであった。残ったもう片方のガラス板と該光硬化層との積層物について可視光透過率を評価した。波長550nmにおける透過率は95%であった。但し、ガラス板単体の透過率は96%である。この結果より、疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)を含む光硬化層は可視光の透過性に優れていることがわかる。
光硬化層の光透過性が優れていることは、該光硬化層に添加した粒子の粒径が小さく、かつ分散性が良好であることを意味する。
(3)マトリクス(N)中での分散性
マトリクス(N)はマトリクス(P)またはMIBKよりも疎水性が高い。
疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)の100mgを内容積20mlのサンプル瓶に採り、マトリクス(N)の112μlを加え、さらに溶媒としてMIBKを加えて透明とした後、エバポレーターによって40℃、53hPaで溶媒留去し、コンポジット(XC−1)を得た。
溶媒留去の完了は、サンプル瓶と内容物の総重量が、MIBKを加える前の重量にまで減少し、かつ官能試験によりMIBKの臭いが確認されなくなったとき、とした。この溶媒留去によって疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)が析出することは無かった。このように溶媒(MIBK)が存在しなくても、マトリクス(N)中に良好に分散することができた。
コンポジット(XC−1)に光開始剤(U)を1mg加え、0.5mm厚のガラス板2枚の間に挟み、波長365nmの光を110mW/cmで10分間照射して光硬化させた。片側のガラス板を剥がして光硬化層の膜厚を確認したところ、20μmであった。残ったもう片方のガラス板と該光硬化層との積層物について可視光透過率を評価した。波長550nmにおける透過率は95%であった。但し、ガラス板単体の透過率は96%である。この結果より、疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)を含む光硬化層は可視光の透過性に優れていることがわかる。
(4)元素分析
得られた疎水化酸化物微粒子(X−1)の500mgをMIBKの5mlに溶解し、濃度20質量%酢酸水溶液5mlで3回洗浄し、さらにヘキサンを加えて沈殿させ、沈殿物を減圧乾固させる方法で洗浄した後、下記の方法で元素分析を行ったところ、粒子中のBa/Tiのモル比は0.84であった。
[元素分析方法]
CCD多元素同時型 ICP発光光度分析装置(SII社製、型式SPS5520)を用いてICP発光分析法にて定量した。サンプルの前処理は、サンプル50mg当たり濃硝酸5mlと希フッ酸水0.05mlを加えて超音波で分解処理した。
[実施例2]
実施例1において、シランカップリング剤(F)の275μlの代わりに、シランカップリング剤(F)の250μlおよびシランカップリング剤(G)の63μlを用いた。その他は実施例1と同様にしてチタニアの有機溶媒分散液(V−2)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−2)を、実施例1と同様に処理して、MW処理済み溶液(W−2)を得た。このMW処理済み溶液(W−2)を実施例1と同様に精製して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−2)の1200mgを得た。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−2)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−2)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例3]
チタニア(A)を3ml(TiO重量:498mg)採り、エタノールの5mlを加えて撹拌し、さらにシランカップリング剤(H)の269μlを加えて撹拌した。加水分解時間を16時間とった後、エタノールの10mlとトルエンの5mlとを加えてから、40℃、50hPaで溶媒留去した。次にエタノールの5mlとトルエンの10mlとを加えてから、40℃、50hPaで溶媒留去した。再びエタノールの5mlとトルエンの10mlとを加えてから、40℃、20hPaで溶媒留去し乾固させた。
そこにトルエンの5mlを加えて溶解し、チタニアの有機溶媒分散液(V−3)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−3)に、アンモニアエタノール溶液(T)を5ml加えてよく撹拌し、一度溶媒留去してから再びトルエンの5mlに分散させて、pH8〜9程度の分散液とした。これを、水酸化バリウムの1645mg、水7.5ml、トルエン25mlと共に耐圧容器(内容積60ml)に入れた。耐圧容器内の反応液におけるTiに対するBaのモル比(Ba/Ti)は0.835/1である。
該耐圧容器をオートクレーブ(AC)中で200℃に保持して24時間置いた。その後自然冷却し、オートクレーブ(AC)処理済み溶液(W−3)を得た。
このAC処理済み溶液(W−3)を実施例1と同様に精製して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−3)の1200mgを得た。収率は83%であった。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−3)はトルエンに対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−3)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例4]
実施例1において、シランカップリング剤(F)の275μlの代わりに、シランカップリング剤(F)の100μl、シランカップリング剤(G)の63μl、およびシランカップリング剤(H)の147μlを用いた。その他は実施例1と同様にしてチタニアの有機溶媒分散液(V−4)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−4)を、実施例1と同様に処理して、MW処理済み溶液(W−4)を得た。このMW処理済み溶液(W−4)を実施例1と同様に精製して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−4)の1200mgを得た。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−4)はMIBKとトルエンの1:1混合溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−4)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例5]
チタニア(A)を3ml(TiO重量:498mg)採り、水5mlを加えて希釈し、含フッ素溶媒(CFCFCF(OCH)CF(CF、以下、含フッ素溶媒という。)の20mlを加え、さらにシランカップリング剤(I)の447μlを加えて2時間激しく撹拌した。固形成分は含フッ素溶媒に移相したので含フッ素溶媒相を取り分け、チタニア含フッ素溶媒分散液(V−5)を得た。
このチタニア含フッ素溶媒分散液(V−5)に、アンモニアエタノール溶液(T)を5ml加えてよく撹拌しpHを8〜9程度とした。これを、水酸化バリウムの1645mg、および水10mlと共に内容積50mlの耐圧容器に入れた。耐圧容器内の反応液におけるTiに対するBaのモル比(Ba/Ti)は0.835/1である。
該耐圧容器をオーブンに入れて135℃に保持し48時間置いた。その後自然冷却し、オートクレーブ(AC)処理済み溶液(W−5)を得た。
このAC処理済み溶液(W−5)を静置して分相を待った後、水相(上相)と含フッ素溶媒相(下相)とに分けた。この含フッ素溶媒相を遠心分離して粗大粒子を除くなど精製を行い、乾燥させ、疎水化複合金属酸化物粒子(X−5)の1350mgを得た。収率は72%であった。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−5)は含フッ素溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−5)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例6]
実施例1において、シランカップリング剤(F)の275μlの代わりに、シランカップリング剤(F)の175μlおよびシランカップリング剤(J)の109μlを用いた。その他は実施例1と同様にしてチタニアの有機溶媒分散液(V−6)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−6)を、実施例1と同様に処理して、MW処理済み溶液(W−6)を得た。このMW処理済み溶液(W−6)を実施例1と同様に精製して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−6)の1200mgを得た。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−6)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−6)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例7]
実施例1において、シランカップリング剤(F)の275μlの代わりに、シランカップリング剤(F)の175μlおよびシランカップリング剤(K)の79μlを用いたその他は実施例1と同様にしてチタニアの有機溶媒分散液(V−7)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−7)を、実施例1と同様に処理して、MW処理済み溶液(W−7)を得た。このMW処理済み溶液(W−7)を実施例1と同様に精製して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−7)の1200mgを得た。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−7)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−7)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例8]
実施例1と同様にして、チタニアの有機溶媒分散液(V−1)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−1)に、アンモニアエタノール溶液(T)を5ml加えてよく撹拌し、pHを11〜12程度とした。これを、水酸化ストロンチウムの1657mg、水7.5ml、エタノール7.5ml、MIBK15mlと共にMW容器に入れた。MW容器内の反応液におけるTiに対するSrのモル比(Sr/Ti)は1/1である。
MW容器内温度の反応液の温度が室温から165℃に2分で到達し、そこから16分間これを保持するようマイクロウェーブを照射させ、その後自然冷却し、MW処理済み溶液(W−8)を得た。
MW処理済み溶液(W−8)を実施例1と同様に処理して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−8)の1000mgを得た。収率は77%であった。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−8)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−8)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例9]
実施例1と同様にして、チタニアの有機溶媒分散液(V−1)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−1)に、アンモニアエタノール溶液(T)を5ml加えてよく撹拌し、pHを11〜12程度とした。これを、水酸化バリウムの1180mg、水酸化ストロンチウムの663mg、水7.5ml、エタノール7.5ml、MIBK15mlと共にMW容器に入れた。MW容器内の反応液におけるTiに対するBaとSrの合計のモル比((Ba+Sr)/Ti)は1/1である。またBa/Srのモル比は6/4である。
MW容器内温度が室温から165℃に2分で到達し、そこから12分間これを保持するようマイクロウェーブを照射し、その後自然冷却し、MW処理済み溶液(W−9)を得た。
MW処理済み溶液(W−9)を実施例1と同様に処理して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−9)の1100mgを得た。収率は74%であった。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−9)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−9)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例10]
実施例1と同様にして、チタニアの有機溶媒分散液(V−1)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−1)に、アンモニアエタノール溶液(T)を5ml加えてよく撹拌し、pHを11〜12程度とした。これを、水酸化カルシウムの462mg、水酸化バリウムの98mg、水7.5ml、エタノール7.5ml、MIBK15mlと共にMW容器に入れた。MW容器内の反応液におけるTiに対するCaとBaの合計のモル比((Ca+Ba)/Ti)は1.05/1である。
MW容器内の反応液の温度が室温から100℃に2分で到達して10分間これを保持し、そこからさらに165℃に2分で到達し、そこから30分間これを保持するようマイクロウェーブを照射し、その後自然冷却し、MW処理済み溶液(W−10)を得た。
MW処理済み溶液(W−10)を実施例1と同様に処理して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−10)の880mgを得た。収率は85%であった。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−10)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−10)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例11]
チタニア(A)を2.25ml(TiO重量:374mg)採り、シランカップリング剤(F)を280μl採る以外は、実施例1と同様にして、チタニアの有機溶媒分散液(V−11)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−11)に、アンモニアエタノール溶液(T)を5ml加えてよく撹拌し、pHを11〜12程度とした。これを、水酸化バリウムの1967mg、硝酸ジルコニウムの417mg、水7.5ml、エタノール7.5ml、MIBK15mlと共にMW容器に入れた。MW容器内の反応液におけるTiとZrの合計に対するBaのモル比(Ba/(Ti+Zr))は1/1である。またTi/Zrのモル比は75/25である。
MW容器内の反応液の温度が室温から165℃に2分で到達し、そこから10分間これを保持するようマイクロウェーブ(MW)を照射し、その後自然冷却し、MW処理済み溶液(W−11)を得た。
MW処理済み溶液(W−11)を実施例1と同様に処理して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−11)の1250mgを得た。収率は77%であった。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−11)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−11)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例12]
チタニア(A)を1.425ml(TiO重量:237mg)採り、シランカップリング剤(F)を290μl採る以外は、実施例1と同様にして、チタニアの有機溶媒分散液(V−12)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−12)に、アンモニアエタノール溶液(T)を5ml加えてよく撹拌し、pHを11〜12程度とした。これを、水酸化鉛の2896mg、硝酸ジルコニウムの875mg、水7.5ml、エタノール7.5ml、MIBK15mlと共にMW容器に入れた。MW容器内の反応液におけるTiとZrの合計に対するPbのモル比(Pb/(Ti+Zr))は1/1である。またTi/Zrのモル比は475/525である。
MW容器内の反応液の温度が室温から165℃に2分で到達し、そこから20分間これを保持するようマイクロウェーブ(MW)を照射し、その後自然冷却し、MW処理済み溶液(W−12)を得た。
MW処理済み溶液(W−12)を実施例1と同様に処理して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−12)の1300mgを得た。収率は62%であった。
<評価>疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−12)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して透明に分散した。
なお、疎水化複合金属酸化物粒子(X−12)の粒径は、実施例1と同程度であった。
[実施例13]
実施例1においてチタニア(A)の代わりにチタニア(B)を用いたほかは実施例1と同様にして、チタニアの有機溶媒分散液(V−13)を得た。反応液におけるTiに対するBaのモル比(Ba/Ti)は1/1である。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−13)を、実施例1と同様に処理して、MW処理済み溶液(W−13)を得た。このMW処理済み溶液(W−13)を実施例1と同様に精製して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−13)の1200mgを得た。収率は75%であった。
<評価>
(1)粒径
疎水化複合金属酸化物粒子(X−13)について、透過型電子顕微鏡による観察を行った。画像解析の結果、疎水化複合金属酸化物粒子(X−13)の粒径は6〜7nmであった。疎水化複合金属酸化物粒子(X−13)の撮像の例を図2に示す。
(2)疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−13)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して透明に分散した。
[実施例14]
実施例1においてチタニア(A)の代わりにチタニア(C)を用い、シランカップリング剤(F)を50μl採る以外は、実施例1と同様にして、チタニアの有機溶媒分散液(V−14)を得た。反応液におけるTiに対するBaのモル比(Ba/Ti)は1/1である。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−14)を、実施例1と同様に処理して、MW処理済み溶液(W−14)を得た。このMW処理済み溶液(W−14)を実施例1と同様に精製して、疎水化複合金属酸化物粒子(X−14)の1200mgを得た。収率は75%であった。
<評価>
(1)粒径
疎水化複合金属酸化物粒子(X−14)について、透過型電子顕微鏡による観察を行った。画像解析の結果、疎水化複合金属酸化物粒子(X−14)の粒径は40〜60nmであった。疎水化複合金属酸化物粒子(X−14)の撮像の例を図3に示す。
(2)疎水性の有機溶媒中での分散性
この疎水化複合金属酸化物粒子(X−14)はMIBKとヘキサンの2:1混合溶媒に対して分散した。
<X線回折分析>
上記実施例1〜7で得た疎水化複合金属酸化物粒子(X−1)〜疎水化複合金属酸化物粒子(X−7)について、X線回折装置(リガク社製、製品名:TTR−III、以下同様。)により、2θ:20°〜60°の範囲でX線回折分析を行った。
その結果、いずれの疎水化複合金属酸化物粒子においても、X線回折チャートから、チタン酸バリウムのピークパターンが含まれており、二酸化チタンに由来する25°付近のピークは確認されなかった。これより、バリウムとチタンと酸素とからなるペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物が生成したことがわかる。
また、上記実施例8〜12で得た疎水化複合金属酸化物粒子(X−8)〜疎水化複合金属酸化物粒子(X−12)について、それぞれX線回折分析を行った。
その結果、疎水化複合金属酸化物粒子(X−8)にはチタン酸ストロンチウム、疎水化複合金属酸化物粒子(X−9)にはチタン酸バリウムストロンチウム、疎水化複合金属酸化物粒子(X−10)にはチタン酸カルシウム、疎水化複合金属酸化物粒子(X−11)にはチタン酸ジルコン酸バリウム、疎水化複合金属酸化物粒子(X−12)にはチタン酸ジルコン酸鉛のピークパターンが含まれており、二酸化チタンに由来する25°付近のピークは確認されなかった。これより、元素Aと元素Bと酸素とからなるペロブスカイト型結晶構造をとる複合金属酸化物が生成したことがわかる。
[比較例21]
本例では、水熱法でチタン酸バリウム粒子を製造した。
チタニア(A)を0.5ml(TiO重量:83mg)採り、水39.5mlを加えて希釈した。これを水酸化バリウムの328mgと共にMW容器に入れた。MW容器内の反応液におけるTiに対するBaのモル比(Ba/Ti)は1/1である。
MW容器内の反応液の温度が室温から165℃に2分で到達し、そこから10分間これを保持するようマイクロウェーブを照射し、その後自然冷却し、MW処理済み溶液(W−21)を得た。
このMW処理済み溶液(W−21)中では、白色固体が沈殿しており、分散してはいなかった。この白色固体を乾燥させ、チタン酸バリウム粒子(X−21)を得た。
<評価>
(1)粒径
チタン酸バリウム粒子(X−21)について、透過型電子顕微鏡による観察を行った。画像解析の結果、チタン酸バリウム粒子(X−21)の粒径は80〜100nm前後であった。チタン酸バリウム粒子(X−21)の撮像の例を図4に示す。
(2)マトリクス(P)中での分散性
チタン酸バリウム粒子(X−21)についてボールミルで3日間粉砕処理を行った後、粒度分布を測定(日機装社製、マイクロトラック粒度分布計使用)した。平均粒径は50nmであったが、大粒径側への分布は100nmほどまでのびていた。
粉砕後の粉体をシランカップリング剤(F)で表面処理した後、マトリクス(P)と混合したところ、散乱によるヘイズが目視確認されたため、製膜は行わなかった。
[比較例22]
本例は、チタニア粒子の表面処理を、シランカップリング剤に代えてテトラエトキシシランを用いて行った例である。
チタニア(A)を3ml(TiO重量:498mg)採り、エタノールの5mlを加えて撹拌し、さらにテトラエトキシシランの250μlを加えて撹拌した。加水分解時間を16時間とった後、エタノールの15mlを加えてから、40℃、50hPaで溶媒留去した。そこにエタノールの5mlを加えて溶解し、チタニアの有機溶媒分散液(V−22)を得た。
このチタニアの有機溶媒分散液(V−22)に、アンモニアエタノール溶液(T)を5ml加えてよく撹拌し、pHを11〜12程度とした。これを、水酸化バリウムの1967mg、水7.5ml、エタノール22.5mlと共にMW容器に入れた。MW容器内の反応液におけるTiに対するBaのモル比(Ba/Ti)は1/1である。
MW容器内の反応液の温度が室温から165℃に2分で到達し、そこから10分間これを保持するようマイクロウェーブ(MW)を照射し、その後自然冷却し、MW処理済み溶液(W−22)を得た。
このMW処理済み溶液(W−22)中では白色固体が沈殿しており、分散してはいなかった。該白色個体の粒子は直径80〜〜500nm程度のバルクを形成しており、粒径の測定は行わなかった。

Claims (4)

  1. 複合金属酸化物を含む複合金属酸化物粒子を製造する方法であって、
    前記複合金属酸化物が、Ba、Sr、Ca、Mg、Al、Pb、Co、Snからなる群から選ばれる1種以上からなる元素Aと、Ti、Zr、W、Nb、Hf、Sn、Siからなる群から選ばれる1種からなる元素Bと、酸素Oとを構成元素とする複合金属酸化物からなり、
    元素Bの酸化物粒子をシランカップリング剤で処理する第1の工程と、
    第1の工程で得られる生成物と、元素Aの水酸化物とを反応させる第2の工程を有することを特徴とする、複合金属酸化物粒子の製造方法。
  2. 複合金属酸化物を含む複合金属酸化物粒子を製造する方法であって、
    前記複合金属酸化物が、Ba、Sr、Ca、Mg、Al、Pb、Co、Snからなる群から選ばれる1種以上からなる元素Aと、Ti、Zr、W、Nb、Hf、Sn、Siからなる群から選ばれる2種以上からなる元素Bと、酸素Oとを構成元素とする複合金属酸化物からなり、
    元素Bであるいずれかの元素B’の酸化物粒子をシランカップリング剤で処理する第1の工程と、
    第1の工程で得られる生成物と、元素Aの水酸化物と、前記元素B’以外の元素Bを含む化合物とを反応させる第2の工程を有することを特徴とする、複合金属酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記第1の工程で用いる前記元素BまたはB’の酸化物粒子の一次粒径が1〜56nmである、請求項1または2に記載の複合金属酸化物粒子の製造方法。
  4. 前記第2の工程の反応を、水および有機溶媒の存在下で50〜250℃に加熱する方法で行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合金属酸化物粒子の製造方法。
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