JP2013176263A - ケーブル敷設システム、敷設方法、および敷設治具 - Google Patents

ケーブル敷設システム、敷設方法、および敷設治具 Download PDF

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Abstract

【課題】ケーブル敷設作業を安全且つ効率的に行う事が可能なケーブル敷設システム、敷設方法、および敷設治具を提供する。
【解決手段】ラダーラック1の上に平行に張られ、張力調整手段を有する2本のワイヤーW1、W2と、ラダーラックの横木もしくは支柱11A、11Bに取りけられ、前記ワイヤーW1、W2を保持する繋留手段のアンカー部15と、2本のワイヤーW1、W2に吊り下がり、敷設するケーブルCBを把握し、取り付けられた牽引ロープ41で引かれて、ラダーラック1上にケーブルCBを牽引搬送するケーブル敷設治具であるフレーム5とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、梯子状ケーブルラックに適用されるケーブル敷設システム、敷設方法、および敷設治具に関する。
従来、天井近く等の高所に設置される梯子状ラックへの電力や通信に使用する電気ケーブル(以下、ケーブルと称す。)の敷設は高所作業となる場合が多く、敷設ルートに沿った足場を設置して敷設作業が行われる。ラック上へのケーブル敷設作業においては、敷設始点側にケーブルジャッキに取り付けられたケーブルドラムからケーブルを引き出し、必要に応じて金車や可撓管等にケーブルを通過させ、送り出す。そして、作業員をラックルート上に数メートル間隔で配置し、ケーブルを掛け声等の合図でタイミングを合わせて手送りすることにより敷設していた。
この方法では、高所のラック上の作業となる為、ケーブル敷設ルート全面への足場設置が必須であるが、通常、配管・機器等既設設備がラックの下方に設置されていることが多く足場の設置が困難なケースもあった。
又、安全確保に伴い、全面足場設置による足場設置費用の増加及び、足場組立解体期間の長期化による危険作業時間の増加が懸念されていた。
更に、作業員をラックルート上に数メートル間隔で配置しケーブル敷設作業を行う為、一度に長距離の敷設を行う場合、人員を多く投入する必要がある。しかし、少人数での作業となる場合には、短ピッチ間隔の持ち場を次々と繰り返し移動するため、作業が手間取るだけでなく作業足場昇降時の危険性が高い作業となっていた。
ラックにケーブル敷設を機械化する為に梯子状ラックの上面に走行車を装着してケーブルを牽引敷設する方法が考案されている(例えば、特許文献1。)が、ラックにケーブルが既に敷設されるかまたは、他の構造物が横断、設置されていることが多い。その結果、走行車の移動が実際は困難であるか、または不可能な場合が多く、治具を用いた安全で効率的なケーブル敷設が困難な問題があった。
特開2001−251719号。
従来、建家の天井付近等の高所に設けられたケーブルラックに安全で効率的にケーブル敷設をすることが困難な問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、足場設置の困難な箇所及び、作業間隔の狭い箇所へのケーブル敷設作業を安全且つ効率的に行う事が可能なケーブル敷設システム、敷設方法、および敷設治具を提供することである。
上記目的を達成するために、本実施形態のケーブル敷設システムは、水平向きに設置されたラックの上に、前記ラックの一方の端付近に置かれたケーブルドラムから電気ケーブルを引き出して敷設するためのケーブル敷設システムにおいて、前記ラックの長手方向に沿った上方に略水平で2本平行に繋留されて前記敷設される電気ケーブルを保持するフレームが吊下げられる2本のワイヤーと、前記ワイヤーが繋留される繋留部と、前記2本のワイヤーが前記平行に繋留できる位置に前記ラックまたは前記ラックの支持構造物に脱着可能な保持手段とを有する繋留手段と、牽引ロープと、左右両端に設けられてそれぞれが前記ワイヤー上を滑走可能に前記ワイヤーに懸垂するスライダー部と、前記敷設される電気ケーブルの端部を把握して牽引可能に保持するケーブルグリップ部と、前記左右方向に対する前記ケーブルグリップの取り付位置を調整して固定するケーブルグリップ固定手段とが取り付けられたフレームとを具備し、前記平行に設置された前記ワイヤーに前記懸垂され、前記電気ケーブルを把握した前記フレームが前記牽引ロープを前記ラックの一方から他方へ向けて牽引されることにより前記電気ケーブルを前記ラック上に配置することを特徴とする。
また、本実施形態のケーブル敷設システムのケーブル敷設方法は、ワイヤーと、繋留手段と、スライド手段とケーブルグリップと牽引ロープとが取り付けられたフレームとを備え、水平向きに設置されたラックの上に、前記ラックの一方の端付近に置かれたケーブルドラムから電気ケーブルを引き出して敷設するためのケーブル敷設システムのケーブル敷設方法において、前記ワイヤーは、前記繋留手段により前記ラックの長手方向に沿った上方に略水平で2本平行に繋留され、かつ前記敷設される電気ケーブルを保持するフレームが吊下げられ、前記繋留手段は、前記ワイヤーを前記ワイヤーに取り付けられたフック、またはワイヤーを繋留し、台座部分をバイス手段により前記ラックまたは前記ラックの支持構造物に前記2本のワイヤーが前記平行に繋留できる位置に保持し、前記フレームは、左右両端に設けられる前記スライド手段により前記ワイヤーに懸垂および前記ワイヤーを滑走し、前記敷設される電気ケーブルの端部を把握する前記ケーブルグリップが前記左右方向に対する取り付位置を調整して固定され、前記牽引ロープが前記ラックの一方から他方へ向けて牽引されることにより前記把握した電気ケーブルを前記ラック上に配置することを特徴とする。
さらに本実施形態のケーブル敷設システムのケーブルの敷設治具は、水平向きに設置されたラックの上に、前記ラックの一方の端付近に置かれたケーブルドラムから電気ケーブルを引き出して敷設するためのケーブル敷設システムのケーブル敷設治具において、前記ラックの長手方向に沿った上方に略水平で2本平行に繋留されるワイヤーに懸垂されて前記電気ケーブルを敷設するケーブル敷設治具であって、フレームに牽引ロープと、左右両端に設けられてそれぞれが前記ワイヤー上を滑走可能に前記ワイヤーに懸垂するスライダー部と、前記敷設される電気ケーブルの端部を把握して牽引可能に保持するケーブルグリップ部と、前記左右方向に対する前記ケーブルグリップの取り付位置を調整して固定するケーブルグリップ固定手段とが取り付けられ、前記平行に設置された前記ワイヤーに前記懸垂され、前記電気ケーブルを把握した前記フレームを前記牽引ロープを前記ラックの一方から他方へ向けて牽引することにより前記電気ケーブルを前記ラック上に配置することを特徴とする。
本実施形態に係わるケーブル敷設システムの設置概念図。 本実施形態に係わる支柱およびケーブルラック取付図。 本実施形態に係わるケーブル敷設システムの他の設置概念図。 金車部の取付方法の一例を示す構造図。 脱着アンカーの横木への取付方法を説明する組立図。 脱着アンカーの支柱の縦木への取付方法を説明する組立図。 ワイヤー敷設の変形方法を示す図。 ケーブルを搬送するフレームの構造図。 スライダーの実施形態を示す構造図。 スライダーの実施形態を示す構造図。 復路のスライダーの牽引を示すケーブル敷設システムの配置図。 整線機能が付加されたフレームの構造図。
以下実施形態のケーブル敷設システムを図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係わるケーブル敷設システムの設置概念図である。
図1において、電力や通信に使用する電気ケーブル(以下、ケーブルと称す。)のケーブルCBが敷設されるラックは、建家等の室内天井近くに水平に配置される梯子状のラック(以下、ラダーラック1と呼ぶ。)で、天井からラダーラック1を吊り下げて支持固定する支柱11A、11Bが距離dで設置されている。また、両支柱11A、11Bの中間にも適当な間隔で天井からラダーラック1を支持固定する補助支柱12によって支えられることもある。
図2は、支柱とケーブルラックの建家への取付を説明する取付図の一例で、図2(a)は支柱11A、11Bが天井部rに固定して取り付けられる場合、図2(b)は、支柱11の縦木が壁面に固定されるとともに、支え木19bで補強支持されている場合を示している。
また、図3は、本実施形態のケーブル敷設システムにおいて、ラダーラック1と同様に梯子状の支柱11A、11Bを底面に固定し、上方へ立ててラダーラック1を下方から支持固定する設置方法の概念図である。
図1〜図3に示されるラダーラック1の支持方法、ケーブル敷設システムは、基本的な概念形態を示すもので、実施形態は、これらの主旨を逸脱しない範囲で限定されることなく組合せなど変形、応用されるものである。
以下、図1、図3を参照してケーブル敷設本実施形態のケーブル敷設システムは、(1)ラダー状のラックの上に平行に張られ、張力調整手段を有する2本のワイヤーW1、W2と、(2)ラダーもしくはラダーの支持構造物である支柱11に取りけられ、ワイヤーを保持する繋留手段のアンカー部15と、(3)2本のワイヤーに吊り下がり、敷設するケーブルを把握し、取り付けられた牽引ロープで引かれて、ラダーラック上にケーブルを牽引搬送するケーブル敷設治具であるフレーム5とを備えている。
支柱11A、11Bとには、対向して2本の高張力鋼線であるワイヤーW1、W2が、懸架支柱12の内側に略水平に平行間隔Dで張られる。ワイヤーW1、W2は、両支柱11A、11Bにアンカー部15として例えば、アイボルトをネジ固定し、それにワイヤー端の装着部16となるフックによって繋留する。なお、アンカー部15は、ここでは支柱11に取り付ける例を示しているが、ワイヤーW1、W2が平行に敷設できる位置のコンクリート壁に雌ねじアンカーを埋め込みアイボルトをそれに取り付ける方法をとっても良い(図示せず。)。
2本のワイヤーW1、W2には両端にワイヤーとの懸垂滑走部となるスライダー51が取り付けられたフレーム5が吊下られる。フレーム5は、牽引ロープ41で牽引されてワイヤー上を滑走し支柱11Aと支柱11Bとの間で往復が可能になっている。なお、後述の様に牽引ロープを1本では無く、2本にしてフレームの往復に応じていずれか一本を使用するようにしても良い。
フレーム5には、支柱11Bの付近に置かれたケーブルドラムから引き出されたケーブルCBの端部がケーブルグリップ51によって保持される。そして、作業員が支柱11A側から牽引ロープ41を牽引することによりケーブルCBを支柱11Aまで到達させてラダーラック1の上に敷設する。
この2本の平行なワイヤーにまたがって取り付けられたフレームがケーブルを引っ張って敷設するのでラダーラック1の上を左右に振られることなく安定にケーブルが引き出されて敷設可能になる。
ラダーラック1の支柱11B寄りの横木19、または支柱11Bのラダーラック1の最近部の横木19には、ケーブルドラム13から引き出されたケーブルのダクト上の横方向の敷設位置のガイドとなる金車部17が取り付けられる。
図4は、金車部の取付方法の一例を示す構造図である。
図4において、金車部17はクランプ(バイス)機構を持つ台座に取り付けられ、クランプネジを締めることにより横木19へ固定される。
この金車部17の横木19上の左右取付位置が後述するフレーム5のケーブルグリップ51の取付位置と対応して設けられることにより、ダクト(ラダーラックの長手方向)に平行にケーブルが延伸されるのでケーブル敷設位置調整の容易化が図られる。
図5は、脱着アンカー部の横木への取付方法を説明する組立図である。
懸架支柱12が有る場合、それがフレーム5の滑走の支障にならないようにワイヤーW1、W2を懸架支柱12の内側に来るように配置したい場合、例えば、図5の様に支柱11A、11Bの横木19、または、ラダーラック1の横木19にそれぞれ、例えば、クランプ(バイス)機構と一体化された脱着アンカー部15aが取り付けられる。
横木19には、距離Dでワイヤーの繋留用の例えばアイボルトEBによるアンカー部15が、クランプ(バイス)機構CLにより設けられる。横木19への固定位置は、支柱と横木、懸架支柱の有無等の状況により適宜選択される。
特にラダーラック1の横木19に取り付けられる脱着アンカー部15aは、ラダーラック1の上をアイボルトEBに繋留されるワイヤーW1、W2に吊り下げられるフレーム5が滑走出来る位置(高さ)になっている。
図6は、脱着アンカー部の支柱の縦木への取付方法を説明する組立図である。
図6(a)において、支柱11A、11Bの縦木に脱着アンカー15aを取り付けることにより、懸架支柱12の有無に対応して、ラダーラック1の平面と適当な距離を取った上で高さ方向を水平になるように調節することが可能である。ここでは支柱1本の縦木についての取付を示しているが、他の3本の縦木に付いても同様にすれば良く高さ方向が揃うようにクランプ位置を調整する。
クランプ位置の高さは、ラダーラック1より上で、敷設されるケーブルCBが敷設中に引き出されて自重で下方に弛んだ場合でもラダーラック1を擦らない程度にする。そうすれば、敷設中のケーブルCBとラダーラック1の横木部分との摩擦の発生を防ぎ、少人数で効率良くケーブル敷設することが出来る。
また、アイボルトEBの頂部が向く方向、言い換えるとワイヤーの張り方は、懸架支柱12はじめ障害物の有無等に対応して、図6(b)、図6(c)、図6(d)の様にアイボルトの取付位置の組合せを適宜選択をすればよい。
また、各ワイヤーW1、W2の一端は、アンカー部15のアイボルトEBに引掛ける為のフック状の装着部16が取り付けられ(図示せず。)、他端には、装着部16としてケーブル長と張力を微調整するターンバックル18が取り付けられていると良い。装着部16は、フック(トリガースナップ・アイスナップ・アイフック、カラビナ)の様な脱着容易なものが好ましい。
図7は、ワイヤー敷設の変形方法を示す図である。
図7において、支柱11Bに取り付けられたワイヤーウィンチWXから引き出された一本のワイヤーが後述のフレーム5のスライダー部50と各支柱に取り付けられたアンカー15の各アイボルトEBを通過、周回後、支柱11Bのアンカー部15に繋留される。ワイヤーウィンチWXを巻き上げることにより弛みが無くなり所要の張力が得られる。
ワイヤーウィンチWXは、一般にワイヤー荷締機と呼ばれるものがあり、支柱11Bの1箇所にネジ止め、またはワイヤーの終端部に設けられたフック(図示せず)が支柱の横木19等に引っ掛けられ支柱11Bに保持、または固定される。
なお、図示しないが同様の変形例として、2本有る支柱11BのそれぞれにワイヤーウィンチWXを取付け、2本のワイヤーW1、W2をそれぞれ支柱11Aのアンカー部15で繋留し、張力を調整するようにしても良い。このウィンチを利用する方法では、ワイヤーウィンチWXに余裕長を持ったワイヤーが準備されているため、ワイヤーの長さを支柱間距離に応じて調整することが容易になる。
次に、ケーブルを保持して牽引搬送する治具であるフレーム5について説明する。
図8は、ケーブルを搬送するフレームの構造図である。
図8(a)〜図8(c)は、フレーム5の平面図、側面図、正面図である。フレーム5の両側にはワイヤーW1、W2の上を滑走するためのスライダー50がスペーサ52を介して固定ブロック53に取り付けられている。
ここでは、一例としてスライダー50は、例えば、アイボルト状でワイヤーW1(W2)が通され、アイボルトの環状部の上部が、ワイヤーにぶら下がり摺動する例を示している。この2つのスライダー50(アイボルト)のワイヤーへ懸垂する点の間隔は、ワイヤーW1とワイヤーW2との平行間隔Dに概ね近くなるよう予め異なった長さで複数準備されているスペーサ52から選択してフレーム5に取り付けるによって調整される。
図9、図10は、スライダーの実施形態を示す構造図である。
スライダー50の形状は、図8に示されるアイボルト状で有るほか、ワイヤー敷設後にフレーム脱着が可能な図9(a)の様なフックアイボルト、ワイヤーとの摩擦を減らし、一層スムーズな滑走を可能とするためには図9(b)の様な滑車を用いるなどのその他の滑走可能な構造や方法を用いても良い。
図9(b)の滑車状のスライダー50は、台座506が切り欠き部を設けているのでワイヤー敷設後にプーリ502にワイヤーが掛かるようにスライダー50を取り付ける。なお、切り欠き構造は、実線表記の形状でも良いし、点線表記の形状でも良く、前者は、プーリ502がワイヤーW1(W2)を保持し易く外れ難く、後者は、ワイヤーW1への吊り下げ作業がより簡単になる。
また、別の滑車の形態として図10の様に分解可能な構造となっているものを用いても良い。滑車は軸ネジ取手505付きのプーリ軸ネジ504によってカバー503とともにプーリ502が台座506に組み入れられている。ワイヤー敷設時には、このスライダー50は分解されているが、ワイヤー敷設後にプーリ502とその外側のカバー503とを台座506に取り付ける。
この構造は、プーリ502からワイヤーW1が外れても台座506で元のプーリへ押し返されるので両者の勘合が確実になる。
フレーム5には、ケーブルグリップ51をフレーム5に固定する為のグリップ固定バー54が設けられ、ケーブルグリップ51がグリップ固定ビス56でグリップ止めホール55に取り付けられる。グリップ止めホール55は、グリップ固定バー54に予め数cm間隔で準備されており、ラダーラック1上のケーブル敷設位置に対応した左右位置にケーブルグリップ51がネジ止め可能になっている。
このため、1回に複数のケーブルを敷設したい場合にも、ケーブル引き出し始め側の支柱11B側の横木19にケーブル本数に対応して金車部17を取り付け、また、フレーム5側でも敷設本数に応じてケーブルグリップ51を準備して取付れば、概ね平行して複数ケーブルをラダーラック1上に敷設することが可能になる。
ケーブルグリップ51は、編組線を螺旋状に寄り合わせた袋構造になっており、敷設されるケーブルCBを袋部分に挿入して、ケーブルグリップ51を引っ張ることによりケーブルCBを喰える様に把握し、牽引できる様になる。一般のケーブルグリップは、一端がループ状になった紐状の引っ掛け構造になっているが、本実施形態におけるケーブルグリップ51は、ネジ止め部分とケーブルを把握する部分とが、回転連結するスイベル(ねじれ取り、回転機構付き繋ぎ)構造を備えることにより、ケーブルドラムCDから引き出されたケーブルCBの捩れが打ち消される。一本のケーブルでも捩れ対策が有効であるが、特に複数ケーブルを敷設する場合、捩れを戻す作業が無くなる効果が大きく得られる。
また、フレーム5は、牽引ロープ41が取り付けられ、往路として支柱11Aへ向けてフレーム5が牽引される。フレーム5は、2回目のケーブル敷設を行う為に支柱11Bへ向かう復路では、牽引ロープ41の端を作業者が掴んで支柱11Bへ戻る。この復路の牽引用に、図11に示される様にもう一本牽引ロープ41aを追加しておいても良い。こうすると、往路で牽引ロープ41aはケーブルCBと同様ラダーラック1の上に這って置かれるが、復路では、支柱 11B側からこの牽引ロープ41aを作業者が引っ張れば良い。
復路にラダーラック1上に置かれたケーブルCBの整線作業を整線機構を備えるフレーム5によって実施するようにすることが可能である。
フレーム5は、ワイヤーW1、W2とスライダー50によって懸垂されているが、整線が可能なフレーム5では、スライダー50と固定ブロック53との間が回転機構を備えることにより、180度裏返すことを可能にしている。図9(b)に示されるスライダー50の取付先である固定ブロック53は、ベアリング532が組み込まれ、そのベアリング532には、スライダー50を取り付けるネジのボルトとなる受け軸531が圧入されている。このベアリング532により、スライダー50がワイヤーW1、W2へ懸垂しているままフレーム5を裏返すことが可能になる。
図11は、復路のスライダーの牽引を示すケーブル敷設システムの配置図、図12は、整線機能が付加されたフレームの構造図である。
図12(a)は平面図、図12(b)は側面図である。
図12においてフレーム5は、裏側が上に反転された状態を示しており、裏側にラダーラック1上に置かれたケーブルを掻き寄せ、絞り込む絞込部561と絞込部562とが取り付けられている。ここでは図8に示されたケーブルグリップ51等表面に搭載される部品の記載を省略している。
絞込部561と絞込部562は、レール57により貫通され、左右に移動可能であって、所要の左右位置の位置決め後、ビスbを締めることによってレール57へ固定される。
複数のケーブルCBがラック状に置かれた後、支柱11A側の端へ寄せられたフレーム5を裏返し、絞込部561と絞込部562とに挟まれるように複数のケーブルCB(#1〜#n)を置く。そして、牽引ロープ41(または牽引ロープ41a)によって支柱11Bへ向けてフレーム5を引くことにより、ケーブルCB(#1〜#n)は間隔が寄せられて整線される。
従来は作業員が脚立を移動させつつ手作業でケーブルを寄せて整線していたがフレーム5を用いたこの作業により、速やかに整線することが可能である。
以上述べた少なくともひとつの実施形態のケーブル敷設システムによれば足場設置の困難な箇所及び、作業間隔の狭い箇所へのケーブル敷設作業を安全且つ効率的に行う事が可能なケーブル敷設システム、敷設治具、敷設方法を提供することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上記説明では、フレームが板状で有る実施形態の場合を例に説明しているが、実施形態が板の代わりに周囲を枠状の骨組みで構成する物でも良いし、また、1本のパイプ、もしくは柱状の棒でも同様の効果を得ることが出来る。
更に、ここでは図示しないが上記説明では、ラダーラックを代表例として、敷設されたケーブルを載せる横木部分が、代わりに広く平面状の板によって構成される物でも良い。その場合、上記説明でバイス機構を支える支持構造部である横木部分は、ラダーのフレーム(外周枠)や部分的に取り付けられる横木によって支えられる物で有れば本願の実施形態と同様であることは勿論である。
1 ラダーラック
11A、11B 支柱
15 アンカー部
15a 脱着アンカー部
16 装着部
17 金車部
18 ターンバックル
19 横木
41、41a 牽引ロープ
5 フレーム
50 スライダー
51 ケーブルグリップ
52 スペーサ
53 固定ブロック
532 ベアリング
54 グリップ固定バー
551 スイベル部
561、562 絞込部
502 プーリ
CB ケーブル
CL クランプ機構
W1、W2 ケーブル
WX ワイヤーウィンチ

Claims (10)

  1. 水平向きに設置されたラックの上に、前記ラックの一方の端付近に置かれたケーブルドラムから電気ケーブルを引き出して敷設するためのケーブル敷設システムにおいて、
    前記ラックの長手方向に沿った上方に略水平で2本平行に繋留されて前記敷設される電気ケーブルを保持するフレームが吊下げられる2本のワイヤーと、
    前記ワイヤーが繋留される繋留部と、前記2本のワイヤーが前記平行に繋留できる位置に前記ラックまたは前記ラックの支持構造物に脱着可能な保持手段とを有する繋留手段と、
    牽引ロープと、
    左右両端に設けられてそれぞれが前記ワイヤー上を滑走可能に前記ワイヤーに懸垂するスライダー部と、
    前記敷設される電気ケーブルの端部を把握して牽引可能に保持するケーブルグリップ部と、
    前記左右方向に対する前記ケーブルグリップの取り付位置を調整して固定するケーブルグリップ固定手段とが取り付けられた
    フレームとを具備し、
    前記平行に設置された前記ワイヤーに前記懸垂され、前記電気ケーブルを把握した前記フレームが前記牽引ロープを前記ラックの一方から他方へ向けて牽引されることにより前記電気ケーブルを前記ラック上に配置する
    ことを特徴とするケーブル敷設システム。
  2. 前記繋留手段は、アイボルト状の繋留部と、前記繋留部が取り付けられたバイスにより前記ラックまたは前記ラックの支持構造物に脱着可能とする保持手段とを備える
    ことを特徴とする請求項1記載のケーブル敷設システム。
  3. 前記ワイヤーは、その終端部がターンバックルとそれに繋がるフック状の装着部によって前記繋留手段に繋留され、そのターンバックルによって当該ワイヤーの張力が調整されることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル敷設システム。
  4. 前記ワイヤーの一方である終端部は、前記繋留手段にフック状の装着部によって繋留され、他方の始端部は、前記支持構造物に固定または保持されるワイヤーウィンチが取り付けられ、前記ワイヤーウィンチによって当該ワイヤーの張力が調整されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載のケーブル敷設システム。
  5. 前記ケーブルグリップ部は、前記把握したケーブルが回転するスイベル機構を介して前記ケーブルグリップ固定手段に固定されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル敷設システム。
  6. 前記フレームは、更に
    前記ケーブルグリップが取り付けられた面と反対側の面に、複数の前記敷設された電気ケーブルを掻き寄せる整線手段が左右取付位置変更可能に取付けられ、
    前記スライダー部は、回転機構により表裏が反転可能に前記フレームに取り付けられ、
    前記ラック上に前記牽引ロープが引かれることにより前記電気ケーブルが前記配置された後、前記フレームを反転させて前記整線手段に前記電気ケーブルが置かれ、前記フレームが前記牽引ロープにより逆方向へ牽引された場合、
    前記整線手段が、前記配置された電気ケーブルの間隔を寄せる整線を行うことを特徴とする請求項5記載のケーブル敷設システム。
  7. ワイヤーと、繋留手段と、スライド手段とケーブルグリップと牽引ロープとが取り付けられたフレームとを備え、水平向きに設置されたラックの上に、前記ラックの一方の端付近に置かれたケーブルドラムから電気ケーブルを引き出して敷設するためのケーブル敷設システムのケーブル敷設方法において、
    前記ワイヤーは、
    前記繋留手段により前記ラックの長手方向に沿った上方に略水平で2本平行に繋留され、かつ前記敷設される電気ケーブルを保持するフレームが吊下げられ、
    前記繋留手段は、前記ワイヤーを前記ワイヤーに取り付けられたフック、またはワイヤーを繋留し、台座部分をバイス手段により前記ラックまたは前記ラックの支持構造物に前記2本のワイヤーが前記平行に繋留できる位置に保持し、
    前記フレームは、
    左右両端に設けられる前記スライド手段により前記ワイヤーに懸垂および前記ワイヤーを滑走し、
    前記敷設される電気ケーブルの端部を把握する前記ケーブルグリップが前記左右方向に対する取り付位置を調整して固定され、
    前記牽引ロープが前記ラックの一方から他方へ向けて牽引されることにより前記把握した電気ケーブルを前記ラック上に配置する
    ことを特徴とするケーブル敷設システムのケーブル敷設方法。
  8. 水平向きに設置されたラックの上に、前記ラックの付近に置かれたケーブルドラムから電気ケーブルを引き出して敷設するためのケーブル敷設システムのケーブル敷設治具において、
    前記ラックの長手方向に沿った上方に略水平で2本平行に繋留されるワイヤーに懸垂され、保持している前記電気ケーブルを敷設するケーブル敷設治具であって、
    フレームに
    牽引ロープと、
    左右両端に設けられてそれぞれが前記ワイヤー上を滑走可能に前記ワイヤーに懸垂するスライダー部と、
    前記敷設される電気ケーブルの端部を把握して牽引可能に保持するケーブルグリップ部と、
    前記左右方向に対する前記ケーブルグリップの取り付位置を調整して固定するケーブルグリップ固定手段とが取り付けられ、
    前記平行に設置された前記ワイヤーに前記懸垂され、前記電気ケーブルを把握した前記フレームを前記牽引ロープを前記ラックの一方から他方へ向けて牽引することにより前記電気ケーブルを前記ラック上に配置する
    ことを特徴とするケーブル敷設システムのケーブルの敷設治具。
  9. 前記ケーブルグリップ部は、捻れを解消するスイベル機構を有して前記ケーブルグリップ固定手段に固定されていることを特徴とする請求項8記載のケーブル敷設システムのケーブの敷設治具。
  10. 前記フレームは、更に
    前記ケーブルグリップが取り付けられた面と反対側の面に、複数の前記敷設された電気ケーブルを掻き寄せる整線手段が前記左右方向に取付位置変更可能に取付けられ、
    前記スライダー部は、回転機構により表裏が反転可能に前記フレームに取り付けられ、
    前記電気ケーブルが前記ラック上に前記牽引ロープを引くことにより前記配置された後、前記フレームを反転させて前記整線手段に前記電気ケーブルが置かれ、前記フレームが前記牽引ロープにより逆方向へ牽引された場合、
    前記整線手段が、前記配置された電気ケーブルの間隔を寄せる整線を行うことを特徴とする請求項9記載のケーブル敷設システムのケーブルの敷設治具。
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