JP2009060770A - 電線張替工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 張替える電線の下側に交差する電線があっても、この交差電線との十分な距離を確保して作業中にこれらが干渉することを防止し、交差電線を活線状態のまま効率よく電線を張替えることができる電線張替工法を提供する。
【解決手段】 複数本の電線C,Dのうち、最も下側に配設される最下電線Dの張替に適用される電線張替工法であって、最下電線Dの直近の上側の電線Cに沿って張替用上金車4が展開され、操作ロープ用ローラ14には、操作ロープ6が通され、操作ロープ6に、吊上げロープ8の一端が固定され、吊上げロープ8の他端は、ガイドローラ12から垂下され、最下電線Dには、吊上げロープ8を介して吊架される張替用下金車5が備わり、操作ロープ6の一端を引っ張ることにより、各吊上げロープ8を介して張替用下金車5を上昇させ、張替用下金車5とともに最下電線Dが上昇した状態で、最下電線Dと新設電線を張替える。
【選択図】 図5

Description

この発明は、鉄塔間に架設された電線を張替える際、電線の下側に交差する電線や建物等の重要な工作物たる線下横過物がある場合における電線張替工法に関するものである。
変電所においては、複数の鉄塔が配設されるとともに、それぞれの鉄塔間に架設される電線が交差して形成されている。このような状況において、電線の張替えを施工する場合、張替えるべき電線を停電させて行われるが、これと交差する他の鉄塔間に架設された電線を停電することは電力供給上の理由からできない。したがって、このような交差電線は活線のまま作業を行うことが多い。交差電線と交差する直近の上側の電線、すなわち鉄塔間に架設された複数の電線のうち最も下側に位置する最下電線の張替作業の際には、特に交差電線との干渉を避ける必要があり、作業には慎重を期し、これが迅速な張替作業の妨げとなっていた。なお、このような問題は変電所だけではなく、電線の下に建物等の重要な工作物たる線下横過物がある様々な箇所において同様におこっている。
一方で、防護ネットを利用した電線張替工法が特許文献1に記載されている。この工法は、電線の下側に防護ネットを張り、地上構造物への落下物を防止するものである。
特開2007−37314号公報
しかしながら、特許文献1に記載の張替工法は、既設電線の下側に防護ネットを形成する。この工法では、交差電線等の線下横過物がある場合に、落下物が交差電線に干渉することを防止できるが、防護ネット自体が交差電線に干渉するおそれがある。
この発明は、上記従来技術を考慮したものであって、張替える電線の下側に線下横過物があっても、この線下横過物との十分な距離を確保して作業中にこれらが干渉することを防止し、したがって線下横過物が交差電線の場合には、交差電線が活線状態のまま効率よく電線を張替えることができる電線張替工法の提供を目的とするものである。
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、鉄塔間に架設された複数本の電線のうち、最も下側に配設される最下電線の張替に適用される電線張替工法であって、当該最下電線の直近の上側の電線に沿って一定間隔をあけて複数の張替用上金車が展開され、当該張替用上金車は、前記上側の電線に吊り下げられ、当該上側の電線に対してその位置を固定され、当該張替用上金車に備わる操作ロープ用ローラには、操作ロープが通され、当該操作ロープに、間隔をあけて複数の吊上げロープの一端がそれぞれ固定され、当該各吊上げロープの他端は、前記張替用上金車の下端に備わるガイドローラに通して当該ガイドローラから垂下され、前記最下電線には、一定間隔をあけて前記吊上げロープを介して吊架される複数の各張替用下金車が備わり、前記操作ロープの一端を引っ張ることにより、前記各吊上げロープを介して前記張替用下金車を上昇させ、前記張替用下金車とともに前記最下電線が上昇した状態で、前記複数の張替用下金車を通して前記最下電線と新設電線を張替えることを特徴とする電線張替工法を提供する。
請求項2の発明では、前記吊上げロープの前記操作ロープに対する固定位置に対応してそれぞれ吊り金車が配設され、前記操作ロープに固定した当該吊り金車は、前記最下電線の直近の上側の電線に通され、前記吊上げロープの一端を固定されることを特徴としている。
請求項3の発明では、前記鉄塔にセミ金車を取り付け、当該セミ金車と接続されたカムアロングを前記最下電線の一方の端部に取り付け、セミ金車のワイヤを伸ばしながら、前記操作ロープを移動させて前記最下電線を上昇させることを特徴としている。
また、請求項4の発明では、前記最下電線を前記新設電線に張替えた後、当該新設電線の一方の端部を一方の鉄塔に固定し、前記新設電線の他方の鉄塔側に第2のカムアロングを取り付け、前記他方の鉄塔に取り付けた第2のセミ金車を前記第2のカムアロングと接続し、前記第2のセミ金車のワイヤを巻き取りながら、前記操作ロープを戻して前記張替用下金車とともに前記新設電線を下降させることを特徴としている。
請求項5の発明では、前記ガイドローラは、前記電線張替用上金車の移動方向に回動可能に備わることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、最下電線を上昇させた状態で、最下電線の張替え作業を行うため、最下電線の下側に位置する交差電線等の線下横過物との十分な距離を確保して作業を行えるので、これらが干渉することを防止できる。したがって、安全性に優れた作業を実現できる。また、最下電線の上昇作業は操作ロープを移動させることにより行うため、簡単かつ迅速に最下電線を上昇させることができる。このとき、最下電線は鉄塔間の全体にわたって同時に上昇するため、さらに作業が迅速になる。また、操作ロープの展開は電線張替用の金車と同時に行うことができるので、そのための工程を別途必要とすることなく、効率のよい作業が可能となる。
請求項2の発明によれば、前記吊上げロープの前記操作ロープに対する固定位置に対応してそれぞれ吊り金車が配設され、前記操作ロープに固定した当該吊り金車は、前記最下電線の直近の上側の電線に通され、前記吊上げロープの一端を固定されるため、当該上側の電線と操作ロープとの間隔を一定に保持することができ、操作性が向上する。また、操作ロープの荷重を当該吊り金車で支えることができるので、張替用上金車のガイドローラの負担を軽減することができる。さらに、吊り金車を最下電線の直近の上側の電線に沿って展開することができるので、金車の展開が容易になる。
請求項3の発明によれば、カムアロングとセミ金車との簡単な構造で、最下電線の上昇の際に、電線の長さの不足分をセミ金車に巻回されたワイヤで補うことができる。
請求項4の発明によれば、新設した最下電線(新設電線)を緊張した状態で下降させることができるので、これがたるんで交差電線と干渉することを防止できる。
請求項5の発明によれば、操作ロープを電線に沿って移動させて吊上げロープにより張替用下金車を上昇させる際に、吊上げロープの引っ張りに追従してガイドローラが回動するので、吊上げロープを傷めることなく、円滑な作業が実現できる。
この発明は、鉄塔間に架設された複数本の電線のうち、最も下側に配設される最下電線の張替に適用される電線張替工法であって、当該最下電線の直近の上側の電線に沿って一定間隔をあけて複数の張替用上金車が展開され、当該張替用上金車は、前記上側の電線に吊り下げられ、当該上側の電線に対してその位置を固定され、当該張替用上金車に備わる操作ロープ用ローラには、操作ロープが通され、当該操作ロープに、間隔をあけて複数の吊上げロープの一端がそれぞれ固定され、当該各吊上げロープの他端は、前記張替用上金車の下端に備わるガイドローラに通して当該ガイドローラから垂下され、前記最下電線には、一定間隔をあけて前記吊上げロープを介して吊架される複数の各張替用下金車が備わり、前記操作ロープの一端を引っ張ることにより、前記各吊上げロープを介して前記張替用下金車を上昇させ、前記張替用下金車とともに前記最下電線が上昇した状態で、前記複数の張替用下金車を通して前記最下電線と新設電線を張替える電線張替工法である。
図1〜図4はこの発明に係る電線張替工法を順番に示す概略図である。また、図5は金車の概略図である。なお、以下では張替えるべき電線の下側にある線下横過物として、交差する電線を例にして説明するが、本願発明はこれに限られるものではなく、建物等の種々の線下横過物がある場合においても、同様に適用することができる。
図1に示すように、鉄塔A,B間には送電線等の複数本の電線が架設される(図では2本の電線C,D)。これらの電線C,Dは、両端においてがいし連1を介して張架される。変電所等においては、複数の鉄塔が配設されるとともに、それぞれの鉄塔間に架設される電線が交差して形成されている。図では、電線E,F,Gが電線C,Dと交差している(電線E,F,Gは図の垂直方向に配設されている)。すなわち、交差電線E,F,Gは、電線C,Dよりも下側に位置し、電線C,Dと交差するように鉄塔A,Bとは異なる他の鉄塔(図示省略)間に架設されるものである。この電線C,Dを新線に張替える工事をする場合、電線C,Dは電力が止められているが、交差電線E,F,Gは活線のままである。
このような状況において、鉄塔A,B間に架設された最も下側の最下電線Dの張替えを行う際、まず複数個の金車2を電線C,Dに展開する(図1では3個の金車2)。この金車2は、図5に示すように、吊り金車3、張替用上金車4、張替用下金車5で構成される。張替用上金車4は、その上部のローラで電線Cに吊り下げられ、電線Cに沿って張られた展開ロープ7に固定される。また、操作ロープ6は、前記張替用上金車4の中部に上下に間隔をあけて設けた操作ロープ用ローラ14及びローラ17に通して設けられる。前記張替用上金車4の前方の電線Cに、吊り金車3が吊り下げられ、前記操作ロープ6に固定される。当該吊り金車3には、吊上げロープ8の一端が固定される。当該吊上げロープ8の他端は、張替用上金車4の下端に備わるガイドローラ12を介して張替用下金車5と接続される。当該張替用下金車5は、その下部ローラ25で電線Dを吊り下げている。
操作ロープ6としては、10mmのナイロンロープを利用でき、展開ロープとしては、12mmのアラミドロープを利用できる。また、吊上げロープとしては、10mmのナイロンロープを利用できる。
金車2の展開は、自走機や地上からのウインチ等によって展開ロープ7を電線Cに沿って移動させて行われる。このとき、操作ロープ6も電線Cに沿って同時に移動させる。これに伴い、吊り金車3及び張替用上金車4は電線Cに沿って移動し、張替用下金車5は最下電線Dに沿って移動する。最下電線Dの一方の端部には、カムアロング9が取り付けられ、ここにがいし連1に取り付けたセミ金車10が接続される。
以上までの工程が、図1に示す金車展開工程である。
次に、図2に示すように、金車2が展開した状態で、展開ロープ7を固定したまま操作ロープ6のみをウインチ等にて鉄塔A側から引っ張る(矢印H方向)。これにより、操作ロープ6に固定された吊り金車3も鉄塔A側に移動する。したがって、吊り金車3と吊上げロープ8を介して接続された張替用下金車5は、張替用上金車4方向に上昇する(矢印I方向)。この上昇に伴い、セミ金車10からワイヤ11が伸びて(矢印J方向)、最下電線Dの実長不足分を補う。
上述したように、最下電線Dの上昇作業は操作ロープ6を電線Cに沿って移動させることにより行うため、簡単かつ迅速に最下電線Dを上昇させることができる。このとき、最下電線Dは鉄塔A,B間の全体にわたって同時に上昇するため、さらに作業が迅速になる。また、操作ロープ6の展開は電線張替用の金車4,5と同時に行うことができるので、そのための工程を別途必要とすることなく、効率のよい作業が可能となる。さらに、最下電線Dを上昇させることにより、交差電線E,F,Gとの距離が広がるため、作業中に最下電線Dが交差電線E,F,Gと干渉することを防止できる。また、最下電線Dの上昇の際の実長不足分は、セミ金車10とカムアロング9との簡単な構造で補うことができる。
以上までの工程が、図2に示す最下電線引き上げ工程である。
次に、図3に示すように、新設の最下電線D1を既設の最下電線Dにスリーブ22を介して接続する。この後、鉄塔Aから新設最下電線D1を延線車等(図示省略)にて送り出しながら(矢印K方向)、鉄塔Bにて既設最下電線Dをウインチ等(図示省略)にて巻取り(矢印L方向)、撤去する。このときも、張替用下金車5は上昇したままである。
このようにして最下電線Dを上昇させた状態で、最下電線Dの張替え作業を行うため、交差電線E,F,Gとの十分な距離を確保して作業を行えるので、これらが干渉することを防止できる。したがって、安全性に優れた作業を実現できる。
以上までの工程が、図3に示す最下電線張替え工程である。
次に、図4に示すように、既設最下電線Dを全て撤去して、新設最下電線D1を鉄塔A,B間に架渡したら、鉄塔Bにて新設最下電線D1の端部に引き留めクランプ(図示省略)を係止して鉄塔Bのがいし連1に取り付ける。新設最下電線D1の鉄塔A側の端部には、第2のカムアロング23を取り付けて、がいし連1に取り付けた第2のセミ金車24を接続する。この後、第2のセミ金車24のワイヤを巻き取りながら(矢印N方向)操作ロープ6をウインチにて入れ込み(矢印M方向)、これとともに張替用下金車5を介して新設最下電線D1を下降させる(矢印O方向)。したがって、新設最下電線D1は、緊張した状態で下降し、そのまま鉄塔AB間に架設される。これにより、新設最下電線D1が下降時にたるんで交差電線E,F,Gと干渉することを防止できる。
以上までの工程が、図4に示す最下電線下降工程である。
図6は張替用上金車の正面図であり、図7は側面図である。
図示したように、張替用上金車4は、電線C上で回転可能なメインローラ13(図では2個のメインローラ)と、操作ロープ6上で回転可能な操作ロープ用ローラ14を備える。張替用上金車4の上部には、蝶ネジ15を締めることにより展開ロープ7を挟持することができる挟み込み部16が備わる。ここに展開ロープ7を挟持することにより、張替用上金車4は展開ロープ7に固定される。張替用上金車4の下部には、展開ロープ7や操作ロープ6の軸方向(金車2の移動方向)に軸17aを支点として回動可能(図6において点線で示した)に形成されたガイドローラ12が備わる。このようにガイドローラ12を回動可能に形成することにより、操作ロープ6を電線Cに沿って移動させて吊上げロープ8により張替用下金車5を上昇させる際に、吊上げロープ8の引っ張り方向に追従してガイドローラ12が回動するので、吊上げロープ8を傷めることなく、円滑な作業が実現できる。また、ガイドローラ12の回動支点となる軸17aにもローラ17を形成しておくことにより、さらに吊上げロープ8を傷めるおそれを抑制できる。操作ロープ6がたるんだ場合には、ローラ17で支持される。
図8は吊り金車の正面図であり、図9は側面図である。
図示したように、吊り金車3には、電線C上で回転可能なメインローラ18が備わる。吊り金車3の下部には、蝶ネジ19を締めることにより操作ロープ6を挟持することができる挟み込み部20が備わる。ここに操作ロープ6を挟持することにより、吊り金車3は操作ロープ6に固定される。下部には、吊上げロープ8の一端を固定するためのリング穴21が形成される。
この発明に係る電線張替工法を順番に示す概略図である。 この発明に係る電線張替工法を順番に示す概略図である。 この発明に係る電線張替工法を順番に示す概略図である。 この発明に係る電線張替工法を順番に示す概略図である。 金車の概略図である。 張替用上金車の正面図である。 図6の側面図である。 吊り金車の正面図である。 図8の側面図である。
符号の説明
1:がいし連、2:金車、3:吊り金車、4:張替用上金車、5:張替用下金車、6:操作ロープ、7:展開ロープ、8:吊上げロープ、9:カムアロング、10:セミ金車、11:ワイヤ、12:ガイドローラ、13:メインローラ、14:操作ロープ用ローラ、15:蝶ネジ、16:挟み込み部、17:ローラ、18:メインローラ、19:蝶ネジ、20:挟み込み部、21:リング穴、22:スリーブ、23:第2のカムアロング、24:第2のセミ金車、25:下部ローラ、A,B:鉄塔、C:電線、D:最下電線、E,F,G:交差電線

Claims (5)

  1. 鉄塔間に架設された複数本の電線のうち、最も下側に配設される最下電線の張替に適用される電線張替工法であって、
    当該最下電線の直近の上側の電線に沿って一定間隔をあけて複数の張替用上金車が展開され、
    当該張替用上金車は、前記上側の電線に吊り下げられ、当該上側の電線に対してその位置を固定され、
    当該張替用上金車に備わる操作ロープ用ローラには、操作ロープが通され、
    当該操作ロープに、間隔をあけて複数の吊上げロープの一端がそれぞれ固定され、
    当該各吊上げロープの他端は、前記張替用上金車の下端に備わるガイドローラに通して当該ガイドローラから垂下され、
    前記最下電線には、一定間隔をあけて前記吊上げロープを介して吊架される複数の各張替用下金車が備わり、
    前記操作ロープの一端を引っ張ることにより、前記各吊上げロープを介して前記張替用下金車を上昇させ、
    前記張替用下金車とともに前記最下電線が上昇した状態で、前記複数の張替用下金車を通して前記最下電線と新設電線を張替えることを特徴とする電線張替工法。
  2. 前記吊上げロープの前記操作ロープに対する固定位置に対応してそれぞれ吊り金車が配設され、前記操作ロープに固定した当該吊り金車は、前記最下電線の直近の上側の電線に通され、前記吊上げロープの一端を固定されることを特徴とする請求項1に記載の電線張替工法。
  3. 前記鉄塔にセミ金車を取り付け、当該セミ金車と接続されたカムアロングを前記最下電線の一方の端部に取り付け、セミ金車のワイヤを伸ばしながら、前記操作ロープを移動させて前記最下電線を上昇させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電線張替工法。
  4. 前記最下電線を前記新設電線に張替えた後、
    当該新設電線の一方の端部を一方の鉄塔に固定し、
    前記新設電線の他方の鉄塔側に第2のカムアロングを取り付け、
    前記他方の鉄塔に取り付けた第2のセミ金車とともに前記新設電線を前記第2のカムアロングと接続し、
    前記第2のセミ金車のワイヤを巻き取りながら、
    前記操作ロープを戻して前記張替用下金車を下降させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電線張替工法。
  5. 前記ガイドローラは、前記電線張替用上金車の移動方向に回動可能に備わることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電線張替工法。
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