JP2013174140A - ポンプユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外筒12と、外筒12の内周側に設けられた内筒11と、内筒11の軸方向両端部と外筒12の軸方向両端部とを固定する固定部材である上流側及び下流側フランジ13A,13Bと備えたポンプユニット10において、内筒11に、内筒11の周方向に間隔を隔てて配置されて内筒11の軸方向に沿って延長する拘束体15を設けて内筒11の変形を拘束するとともに、拘束体15の中間に内筒11の周方向に間隔を隔てて形成される内筒11の内周側に突出する山形状の突起16を設けて、拘束体15により区画された膨張域を均一に膨張させたり、拘束体と拘束体との間に複数の突起を設けて、突起同士を当接させて形成された網目状の隙間により固液混合物を濾過するなどして、流体の搬送状態を制御するようにした。
【選択図】図1
Description
ポンプユニット50は、内筒51と外筒52の間に設けられた空気室53に図示しない圧搾空気給排手段から一方のフランジ54に設けられた空気導入孔54Hを介して加圧用媒体である圧搾空気を供給して内筒51及び外筒52を膨張させ、内筒51の一方の端部側から内筒51の内壁より形成された流路55内に送り込まれた流体を内筒51の他方の端部側から排出する。なお、同図の符号54hは、ポンプユニット50を軸方向に複数接続したときに、当該ポンプユニット50の後段に接続されるポンプユニットへ圧搾空気を送るための図示しないエア・チューブを通すための孔である。
図11(c)に示すように、内筒51には、当該内筒51の軸方向に平行な方向に延長し、内筒51の変形を拘束する拘束体56が周方向に等間隔で複数本設けられている。当該拘束体56は、内筒51の軸方向への膨張を規制,拘束するものであって、内筒51の膨張時には、図12(a),(b)に示すように、拘束体56が内筒51の変形を拘束し、内筒51を複数の膨張域511〜514に区画する。
これにより、加圧用媒体である圧搾空気を供給して内筒51を膨張させると、内筒51は、拘束体56により区画された複数の膨張域511〜514により流路55となるユニット内部を閉状態にするので、流体を効率よくポンプユニット50の一方の端部側から他方の端部側に搬送することができる。
したがって、このようなポンプユニット50を軸方向に複数連結することで、液体や固液混合物などの流体をポンプユニット50の連結方向に沿って効率よく搬送することのできる蠕動運動型ポンプ装置を構成することができる(例えば、特許文献1参照)。
上記構成によれば、内側突出部を拘束体と拘束体との中間の位置に設けて、拘束体で区画された内筒の各部分(以下、膨張域という)を内側突出部を中心に膨張させるようにすれば、各膨張域を均一に膨張させることができる。そしてこの場合には、内側突出部自身が内筒で閉鎖されていない流路の空間を埋めるので、流路となるユニット内部の閉口率RL[%]及び体積排除率RE[%]をほぼ100%にすることができる。
また、逆に、内側突出部を拘束体と拘束体との間に複数個設けて、膨張時に内側突出部同士を当接させて拘束体で分割された内筒の各部分の間に網目状の隙間を形成するようにすれば、固液混合物を濾過するなど、流体の搬送状態を制御することができる。
RL[%]={(S0−Sp)/S0}×100 ……(1)
閉口率RL[%]は、ユニットの弁としての性能を表している。
なお、符号12は外筒、符号18は空気室、符号19は流体の流路である。
体積排除率RE[%]は、内筒11が膨張したときのユニット内部(流路19)の体積変化の割合を表す量で、図14(a),(b)に示すように、通常時の流路19の体積をV0[m3]、膨張時の流路19の体積をVp[m3]としたときに、以下の式(2)で表される。
RE[%]={(V0−Vp)/V0}×100 ……(2)
体積排除率RE[%]は、ユニット内部の流体を押し出す効率を表している。
このように、拘束体として、細くて強度の高いカーボンロービング繊維を用いれば、内筒を膨張させたときの閉鎖割合を大きくできるとともに、拘束体の耐久性を向上させることができる。
また、本願発明は、外筒が、ゴム部材と、ゴム部材内に埋設されて当該外筒の周方向に延長する高弾性繊維とを備えることを特徴とする。
このような構成の外筒を用いれば、外筒及び内筒の膨張時には、ポンプユニットの軸方向の長さを収縮させることができる。したがって、外筒及び内筒が膨張して流体をユニット内部から押し出すときには、ユニット長さが短くなるので、流体を効率よく搬送することができる。
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
図1(a)〜(c)は、実施の形態1に係るポンプユニット10を示す図で、ポンプユニット10は、内筒11と、外筒12と、上流側及び下流側フランジ13A,13Bとを備える。
内筒11は、例えば、天然ラテックスゴムやシリコーンゴムなどのゴム部材から構成された円筒状の部材で、内筒11の軸方向両端部は、それぞれ、上流側フランジ13Aの流入側に設けられた凹部13kと下流側フランジ13Bの排出側に設けられた凹部13kとにおいて、内側固定リング14により固定される。
図2(a)〜(c)にも示すように、内筒11は、周方向に間隔を隔てて、内筒11の軸方向に沿って延長する複数の拘束体15と、内筒11の周方向に間隔を隔てて設けられた内側突出部としての突起16とを備える。各突起16は、互いに隣接する2本の拘束体15,15の中間に位置に設けられる。
本例では、ゴム部材として低アンモニア天然ラテックスゴムを用いるとともに、拘束体15として、細くて強度の高いカーボンロービング繊維を用いた。
カーボンロービング繊維は、細くて強度が高いので、内筒を膨張させたときの閉鎖割合を大きくできるとともに、拘束体の耐久性を向上させることができる。
なお、拘束体15の本数iとしては、内筒11を膨張させたときに内筒11の内部が完全に閉鎖されて緩みがない、という条件から、i≧4であることが望ましい。本例では、拘束体15の本数を、前述の条件を満たす最小の本数である4本に設定した。
突起16は、内筒11の軸方向から見たときに、拘束体15のうちの隣り合う2本の拘束体15,15の中間の位置にそれぞれ位置している。したがって、突起16の本数は拘束体15の本数と等しい。また、突起16は、内筒11の軸方向に沿って平行に延在しており、その位置は、内筒11の軸方向中央部付近が好ましい。
また、突起16の長さlgとしては、当該内筒11の軸方向の長さlの15%程度かそれ以上の長さを有していればよく、高さhgとしては、当該内筒11の肉厚以上とすることが好ましい。また、山形の頂角については特に制限はないが、頂角の大きさとしては、45°〜120°の範囲にあればよい。
本例では、図3(a)に再掲するように、内筒11の軸方向と平行な方向に延長する断面形状が山形状の突起16を設けたが、図3(b),(c)に示すように、台形状などの多角形状の突起16mや半円状の突起16nを設けてもよい。
内筒11の外周側と外筒12の内周側と上流側フランジ13A及び下流側フランジ13Bとにより、加圧用媒体である圧搾空気を供給するための加圧用通路としての空気室18が形成され、内筒11の内周側と上流側フランジ13A及び下流側フランジ13Bとにより、液体や固液混合物などの流体を搬送するための流路19が形成される。なお、この流路19を、以下「ユニット内部」という場合がある。
なお、符号13pは上流側フランジ13Aの流入側に設けられた係合凹部、符号13qは下流側フランジ13Bの排出側に設けられた係合凸部である。ポンプユニット10を複数連結する際には、上流側のポンプユニットの係合凸部13qと下流側のポンプユニットの係合凹部13pとを係合することで、複数のポンプユニット10を内筒11及び外筒12の軸方向に連結する。
図5(a),(b)に示すように、空気室18に圧搾空気を導入すると、内筒11は、周方向の4点において拘束体15を起点に膨張する。また、内筒11は、この拘束体15によって複数個の膨張域111〜114に区画されて膨張するような膨張変形を起こす。
また、突起16は、内筒11の内壁側に設けられているため、内筒11内に圧搾空気を導入すると、突起16がある部分に対しても面に垂直な方向の圧力が作用し、内筒11の膨張時には、突起16自身が内筒11で閉鎖されていない空間を埋めるので、閉口率と体積排除率とをほぼ100%にすることができる。
すなわち、図5(a),(b)に示すように、外筒12はポンプユニット10の径方向外側へ膨張し、内筒11は拘束体15により区画された複数の膨張域111〜114が径方向内側に均等に膨張するとともに、ポンプユニット10全体が軸方向へ収縮する。
これにより、内筒11では、最大膨張時においては、膨張域111〜114により流路となるユニット内部をほぼ全閉状態とすることができるとともに、ポンプユニット10全体が軸方向に収縮するので、流体をポンプユニット10の一方の端部側から他方の端部側に効率よく搬送することができる。
円錐台状の突起16pは、周方向中心部にある程度の大きさを有していればよい。また、円錐台状の突起16pの個数としては、1個であってもよいが、内筒11の軸方向の長さが長い場合には、内筒11の軸方向に間隔を隔てて複数個設けてもよい。
本例では、排気系を備えた圧搾空気給排手段30を用いて、空気室18内の空気を強制的に排気する構成とすることで、特に搬送対象となる流体の粘度が高い高粘度流体搬送時における内筒11の戻り(復元)を速くして、搬送効率を向上させることが可能な形態について説明する。なお、流体によっては排気系を使用しない場合もあることはもちろんである。
ここでは、ポンプユニット10が6個の場合について説明する。以下、蠕動運動型ポンプ20を構成する6個のポンプユニットを、第1〜第6ユニット201〜206という。
3ポート電磁弁361〜366は、エアチューブ371〜376と比例電磁弁321〜326とエアレギュレータ35とに接続されて、比例電磁弁321〜326とエアチューブ371〜376との通路を開閉するとともに、エアレギュレータ35とエアチューブ371〜376との通路を開閉する。
比例電磁弁321〜326は、開放時には、コンプレッサー31から排出される一定圧力の圧搾空気の空気圧を、制御信号に応じた圧力に調整して第1〜第6ユニット201〜206の空気室18に供給する。
エアレギュレータ35とエアチューブ371〜376との通路が開放されると、空気室18内に導入された圧搾空気は、エアポンプ33により強制的に吸引され、その結果、空気室18内の圧力は、外気圧より低く設定されたエアレギュレータ35の設定圧力にまで減少する。エアレギュレータ35の設定圧力は、第1〜第6ユニット201〜206内(流路内)に発生する負圧に応じて設定される。
このように、比例電磁弁321〜326の閉鎖時は、空気室18内の空気をエアポンプ33により強制的に吸引する構成とすれば、高粘度流体の粘性により、膨張状態にある内筒11の初期状態(圧搾空気導入前の状態)への復元が阻害されるような場合であっても、内筒11を速やかに初期状態に戻すことができる。
なお、本例では、エアチューブ371〜376により、第1〜第6ユニット201〜206とコンプレッサー31とエアポンプ33との間を、3ポート電磁弁361〜366を介して、それぞれ連結することにより、第1〜第6ユニット201〜206の空気室18への圧搾空気の供給と空気室18内からの圧搾空気の排気とを独立に制御している。
同図に示すように、圧搾空気給排手段30による強制吸引が実行されない場合には、流体の粘性が増加するごとに体積効率が次第に低下していくことが分かる。
一方で、圧搾空気給排手段30による強制吸引が実行される場合には、流体の粘性に関わらず3種の流体の流量が略同じ値で収束していることから、蠕動運動型ポンプ20が有する管内体積を十分に活用できていることが分かる。つまり、強制吸引を実行する蠕動運動型ポンプ20によれば、流体の粘性に依存することなく、流体を安定して搬送することが可能となる。
まず、図8(a)に示すように、第1〜第6ユニット201〜206の連結方向が鉛直方向になるように蠕動運動型ポンプ20をセットするとともに、最下段のポンプユニットである第1ユニット201を図7に示した水槽38内に収納された液体39内に設置して、第1ユニット201内へ液体を導入する。なお、初期状態では、3ポート電磁弁361はコンプレッサー31側が開放され、かつ、比例電磁弁321〜326は閉状態にあるので、第1〜第6ユニット201〜206の内筒11はいずれも収縮した状態にある。
次に、図8(b)に示すように、比例電磁弁321を開放して第1ユニット201の空気室18内に圧搾空気を送り、第1ユニット201のみを膨張させて、第1ユニット201内の流体を第2ユニット202内に押し出す。
次に、図8(c)に示すように、第1ユニット201の内筒11を膨張させたまま、エアチューブ372が連結されている比例電磁弁322を開放して第2ユニット202の空気室18に圧搾空気を送り、第2ユニット202を膨張させて、第2ユニット202内の流体を第3ユニット203内に押し出す。
次に、図8(d)に示すように、第2ユニット202を膨張させたまま、エアチューブ373が連結されている比例電磁弁323を開放して第3ユニット203の空気室18内に圧搾空気を送り、第3ユニット203を膨張させて、第3ユニット203内の流体を第4ユニット204内に押し出す。このとき、エアチューブ371が連結されている比例電磁弁321を閉鎖するとともに、3ポート電磁弁361をエアポンプ33側に切換える。これにより、第1ユニット201の空気室18内の圧搾空気は、エアポンプ33により強制的に吸引されエアレギュレータ35の設定圧力にまで減少するので、内筒11及び外筒12は、容易に収縮する。したがって、第1ユニット201内に新たな液体39を速やかに導入することができる。
なお、内筒11及び外筒12の収縮後には、3ポート電磁弁361を再びコンプレッサー31側に切換えておくことが好ましい。
次に、図8(f)に示すように、第4ユニット204を膨張させたまま、第5ユニット205を膨張させて、第5ユニット205内の流体を第6ユニット206内に押し出すとともに、第3ユニット203を収縮させる。
次に、図8(g)に示すように、第5ユニット205を膨張させたまま、第6ユニット206を膨張させて、第6ユニット206内の流体を蠕動運動型ポンプ20の外部へ押し出すとともに、第4ユニット204を収縮させる。
次に、図8(h)に示すように、第6ユニット206を膨張させたまま、第1ユニット201を膨張させて、第1ユニット201内の流体を第2ユニット202内に押し出すとともに、第5ユニット205を収縮させる。
図8(h)の状態は、第6ユニット206が膨張している以外は、前記の図8(b)の状態と同じである。したがって、次には、図8(c)に示すように、第6ユニット206を収縮させるとともに、第1ユニット201を膨張させたまま第2ユニット202を膨張させて、第2ユニット202内の流体を第3ユニット203内へ押し出す。
以下、図8(c)〜図8(h)の動作を繰り返すことにより、第1ユニット201内へ導入された流体を第6ユニット206から蠕動運動型ポンプ20の外部へ排出することができる。
実施の形態1では、内筒を、拘束体15と、拘束体15との中間に突起16,16m,16n、あるいは、突起16pのような内側突出部を1個だけ設けた内筒11とすることで、ポンプユニット10の閉口率をほぼ100%としたが、図9に示すように、円筒状の突起などから成る内側突出部46kを拘束体45と拘束体45との間に複数個設けた内筒40を備えたポンプユニットを用いれば、濾過機能を有するポンプユニットを得ることができる。なお、実施の形態2の内筒40を備えたポンプユニットの構造は、図1で示したポンプユニット10とは内筒の構成が異なるだけなので、図示を省略する。また、拘束体45は、図1に記載のポンプユニット10の拘束体15と同一構成である。
よって、搬送される流体が例えば固液混合物等である場合には、網目状の隙間の大きさよりも大きな固体は隙間を通過できず、液体と網目状の隙間の大きさよりも小さな固体のみがポンプユニットから排出されるので、ポンプユニットに流入した固液混合物を濾過することができる。
また、図10(b),(c)に示すように、内側突出部46kの大きさや個数を変更すれば網目の大きさを調整できるので、濾過する固体の大きさを選別することができる。つまり、内側突出部46kの大きさや個数を変更することにより流体の搬送状態を自在に制御することができる。
12a,12b 円筒状のゴム部材、12k 高弾性繊維、
13A,13B フランジ、 13H 空気流入孔、
13h 貫通孔、13k 凹部、13p 係合凹部、13q 係合凸部、
14 内側固定リング、15 拘束体、16 突起、17 外側固定リング、
18 空気室、19 流路(ユニット内部)。
Claims (3)
- 外筒と、
前記外筒の内周側に設けられた内筒と、
前記内筒の軸方向両端部と前記外筒の軸方向両端部とを固定する固定部材と、
前記内筒と前記外筒との間に加圧用媒体を供給する加圧用通路とを備え、
前記加圧用媒体にて前記内筒を膨張させて流体を搬送するポンプユニットであって、
前記内筒が、
当該内筒の周方向に間隔を隔てて設けられ、前記内筒の軸方向に平行な方向に沿って延長して前記内筒の変形を拘束する複数の拘束体と、
前記内筒の周方向に間隔を隔てて設けられ、当該内筒の内周側に突出する複数の内側突出部と、
を備えることを特徴とするポンプユニット。 - 前記拘束体がカーボンロービング繊維であることを特徴とする請求項1に記載のポンプユニット。
- 前記外筒が、ゴム部材と、前記ゴム部材内に埋設されて当該外筒の周方向に延長する高弾性繊維とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポンプユニット。
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