JP2013173835A - 高分子電解質組成物、高分子電解質膜、触媒組成物、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な長期安定性の燃料電池を実現する高分子電解質組成物、高分子電解質膜、触媒組成物、膜電極接合体、固体高分子型燃料電池の提供。
【解決手段】 高分子電解質と含硫黄重合体とを含む高分子電解質組成物であって、前記含硫黄重合体は、下記式(1)で表される第1の構造単位と、下記式(2)で表される第2の構造単位とを有する高分子電解質組成物。
[化1]
(Ar01,Ar02:アリーレン基;E01:直接結合、チオ基、スルフィニル基、オキシ基;E02:チオ基、スルフィニル基;Ar03,Ar04:アリーレン基;E03:直接結合、チオ基、スルフィニル基、オキシ基、下記式(3)で表される基;Y01:直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、下記式(3)で表される基;R1,R2:水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基)
【選択図】なし
【解決手段】 高分子電解質と含硫黄重合体とを含む高分子電解質組成物であって、前記含硫黄重合体は、下記式(1)で表される第1の構造単位と、下記式(2)で表される第2の構造単位とを有する高分子電解質組成物。
[化1]
(Ar01,Ar02:アリーレン基;E01:直接結合、チオ基、スルフィニル基、オキシ基;E02:チオ基、スルフィニル基;Ar03,Ar04:アリーレン基;E03:直接結合、チオ基、スルフィニル基、オキシ基、下記式(3)で表される基;Y01:直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、下記式(3)で表される基;R1,R2:水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基)
【選択図】なし
Description
本発明は、高分子電解質組成物、高分子電解質膜、触媒組成物、膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池に関するものである。
固体高分子形燃料電池(以下、「燃料電池」と略記することがある。)は、水素と酸素の電気化学的反応を利用した発電装置であり、燃料電池に使用される高分子電解質膜として、フッ素系高分子電解質膜や炭化水素系高分子電解質膜が注目されている。
ところで、フッ素系高分子電解質膜や炭化水素系高分子電解質膜を用いた燃料電池は、長期運転を行った場合の運転安定性(以下、「長期安定性」と呼ぶことがある)が必ずしも十分でないことが指摘されている。この長期安定性を妨げる要因の1つとして、電池稼動時に発生する過酸化物(例えば、過酸化水素等)又は該過酸化物から発生するラジカルによる膜の劣化が知られている。それゆえ、高分子電解質膜の過酸化物やラジカルに対する耐久性(以下、「ラジカル耐性」と呼ぶことがある)を向上させることが、固体高分子型燃料電池の長期安定性の向上に繋がるとされている。
このようなラジカル耐性を向上させた高分子電解質膜として、特許文献1には、スルホン化ポリマーと、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン及びビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトからなる酸化防止剤と、を含む高分子電解質組成物を形成材料とした高分子電解質膜が記載されている。
しかしながら、上記の酸化防止剤は、非脂肪族炭化水素系高分子電解質への分散性及び相溶性が低く、酸化防止剤自体の耐久性も低い。そのため、上記の高分子電解質膜を備えた燃料電池は、電池の起動・停止を繰り返すような長期運転を行なうと、ラジカルによる高分子電解質膜の劣化によって、イオン伝導性が低下し易く、結果として燃料電池自体の発電性能が低下し易い。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、良好な長期安定性の燃料電池を実現する高分子電解質膜が得られる高分子電解質組成物、該高分子電解質組成物を用いた高分子電解質膜、触媒組成物、膜電極接合体及び長期安定性に優れた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一形態は、高分子電解質と含硫黄重合体とを含む高分子電解質組成物であって、前記含硫黄重合体は、下記式(1)で表される第1の構造単位と、下記式(2)で表される第2の構造単位とを有する高分子電解質組成物を提供する。
(式(1)中、Ar01及びAr02はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。E01は直接結合、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基を表す。E02はチオ基又はスルフィニル基を表す。)
(式(2)中、Ar03及びAr04はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。E03は直接結合、チオ基、スルフィニル基、オキシ基又は下記式(3)で表される基を表す。Y01は直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基又は下記式(3)で表される基を表す。)
(式中、R1及びR2はそれぞれ同一又は相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し、R1とR2とが連結して環を形成していてもよい。)
本発明の一形態においては、前記含硫黄重合体の含有量が、前記高分子電解質100質量%に対して0.001質量%以上10質量%未満であることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記第2の構造単位が、下記式(4)で表される構造単位であることが望ましい。
(式(4)中、R01〜R08は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。E04は直接結合、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基を表す。Y02は直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基又は下記式(3)で表される基を表す。)
(式(3)中、R1及びR2はそれぞれ同一又は相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し、R1とR2とが連結して環を形成していてもよい。)
本発明の一形態においては、前記第1の構造単位が、下記式(5)で表される構造単位であることが望ましい。
(式(5)中、R09〜R16は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。E05及びE06はそれぞれチオ基又はスルフィニル基を表す。)
本発明の一形態においては、下記式(7)で表される構造単位を有することが望ましい。
(式(7)中、R33〜R40は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。E10は、チオ基、スルフィニル基、又はオキシ基を表す。Y04は、カルボニル基、スルホニル基、−C(CH3)2−で示される基、又は−C(CF3)2−で示される基を表す。E11は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。)
本発明の一形態においては、前記含硫黄重合体が、下記式(6)で表される構造を有する重合体であることが望ましい。
(式(6)中、R17〜R32は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。E07は、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基を表す。Y03は、カルボニル基又はスルホニル基を表す。E08及びE09はそれぞれチオ基又はスルフィニル基を表わす。)
本発明の一形態においては、前記高分子電解質のイオン交換容量が1.5meq/g以上であることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記高分子電解質が、芳香族炭化水素系高分子電解質であることが望ましい。
本発明の一形態においては、前記高分子電解質が、下記式(11a)、(12a)、(13a)又は(14a)で示されるイオン交換基を有する構造単位と、下記式(11b)、(12b)、(13b)又は(14b)で示されるイオン交換基を有しない構造単位とを有することが望ましい。
(式中、Ar1〜Ar9は、それぞれ同一又は相異なり、主鎖に芳香環を有し、さらに芳香環を有する側鎖を有してもよい2価の芳香族基を表す。該主鎖の芳香環か側鎖の芳香環の少なくとも1つが該芳香環に直接結合したイオン交換基を有する。Z、Z’はそれぞれ同一又は相異なり、−CO−で示される基、又は−SO2−で示される基を表す。X、X’、X”はそれぞれ同一又は相異なり、−O−で示される基、又は−S−で示される基を表す。Yは直接結合又は下記式(15)で表される基を表す。pは0、1又は2を表し、q、rはそれぞれ同一又は相異なり1、2又は3を表す。)
(式中、Ar11〜Ar19は、それぞれ同一又は相異なり側鎖としての置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。Z、Z’はそれぞれ同一又は相異なり−CO−で示される基、又は−SO2−で示される基を表す。X、X’、X”はそれぞれ同一又は相異なり−O−で示される基、又は−S−で示される基を表す。Yは直接結合又は下記式(15)で表される基を表す。p’は0、1又は2を表し、q’、r’はそれぞれ同一又は相異なり1、2又は3を表す。)
(式中、R1及びR2はそれぞれ同一又は相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し、R1とR2とが連結して環を形成していてもよい。R1とR2とが連結して形成される環を有する式(15)の基としては、炭素数5〜20の2価の環状炭化水素基が挙げられる。)
本発明の一形態は、上述の高分子電解質組成物を含有する高分子電解質膜を提供する。
本発明の一形態は、上述の高分子電解質組成物と、触媒成分と、を含有する触媒組成物を提供する。
本発明の一形態は、上述の高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持する触媒層と、を有する膜電極接合体を提供する。
本発明の一形態は、上述の膜電極接合体を有する固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明によれば、良好な長期安定性の燃料電池を実現する高分子電解質膜が得られる高分子電解質組成物、該高分子電解質組成物を用いた高分子電解質膜、触媒組成物、膜電極接合体及び長期安定性に優れた固体高分子型燃料電池を提供することができる。
以下、本実施形態の好適な実施態様について具体的に説明する。
[高分子電解質組成物]
本実施形態の高分子電解質組成物は、高分子電解質と含硫黄重合体とを含む高分子電解質組成物であって、前記含硫黄重合体は、下記式(1)で表される第1の構造単位と、下記式(2)で表される第2の構造単位とを有するものである。
(式(1)中、Ar01及びAr02はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。E01は直接結合、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基を表す。E02はチオ基又はスルフィニル基を表す。)
(式(2)中、Ar03及びAr04はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。E03は直接結合、チオ基、スルフィニル基、オキシ基又は下記式(3)で表される基を表す。Y01は直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基又は下記式(3)で表される基を表す。)
(式(3)中、R1及びR2はそれぞれ同一又は相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し、R1とR2とが連結して環を形成していてもよい。)
本実施形態の高分子電解質組成物は、高分子電解質と含硫黄重合体とを含む高分子電解質組成物であって、前記含硫黄重合体は、下記式(1)で表される第1の構造単位と、下記式(2)で表される第2の構造単位とを有するものである。
(含硫黄重合体)
まず、本実施形態の高分子電解質組成物に用いられる含硫黄重合体について説明する。
まず、本実施形態の高分子電解質組成物に用いられる含硫黄重合体について説明する。
上記式(1)で表される第1の構造単位において、Ar01及びAr02はそれぞれ同一又は相異なり、置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。該アリーレン基の好ましい炭素数としては、3〜20であり、より好ましくは5〜12であり、特に好ましくは6〜10である。
上記の炭素数3〜50のアリーレン基として、ベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル等の単環性芳香環、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン等の縮環系芳香環、及びフラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン等のヘテロ原子を環内に含む芳香環、から芳香環上の水素原子を二つ取り去って得られる基をあげることができる。
好ましくは、ベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル等の単環性芳香環、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン等の縮環系芳香環から芳香環上の水素原子を二つ取り去って得られる基である。
より好ましくは、ベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル等の単環性芳香環から芳香環上の水素原子を二つ取り去って得られる基である。
好ましくは、ベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル等の単環性芳香環、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、ペリレン等の縮環系芳香環から芳香環上の水素原子を二つ取り去って得られる基である。
より好ましくは、ベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル等の単環性芳香環から芳香環上の水素原子を二つ取り去って得られる基である。
上記炭素数3〜50のアリーレン基は置換基を有してもよく、該置換基は、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
上記炭素数3〜50のアリーレン基が有していてもよい置換基は、好ましくは、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
特に好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
特に好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
前記ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基又はヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基又はクロロ基が挙げられ、より好ましくはフルオロ基である。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基として、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の直鎖状アルキル基;イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐鎖状アルキル基;トリフルオロメチル基等の前述の直鎖状アルキル基や分岐鎖状アルキル基上の水素原子を1以上のハロゲン原子で置換した基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。
なお、直鎖状アルキル基の例示として炭素数12のもの(ドデシル基)まで示し、炭素数13〜20までのアルキル基については省略している。また、分岐鎖状アルキル基の例示として、炭素数4のもの(ブチル基)について示し、他の炭素数のアルキル基については省略している。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でヒドロキシ基の水素原子を置換した基等が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基として、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、ビフェニル基等の単環性アリール基;1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基等の縮環系アリール基;2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基等のヘテロアリール基等が挙げられる。なお、例示した単環性アリール基においては、フェニル基上の置換基の結合位置が、オルト位(o−)、メタ位(m−)、パラ位(p−)のいずれのものも採用することができる。
好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基が挙げられる。
好ましくは、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラシル基、2−アントラシル基、4−アントラシル基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でヒドロキシ基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でメルカプト基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基でホルミル基の水素原子を置換した基が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の例示の群より選ばれるアルキル基が、スルホニル基に1つ結合した1価の基が挙げられる。具体的には、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、t−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、デシルスルホニル基等が挙げられる。
上記の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、前述の置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基の例示の群より選ばれるアリール基が、スルホニル基に1つ結合した1価の基が挙げられる。
具体的には、フェニルスルホニル基、メチルフェニルスルホニル基、メトキシフェニルスルホニル基、エトキシフェニルスルホニル基、フェノキシフェニルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基、ビフェニルスルホニル基等の単環性アリールスルホニル基;1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基等の縮環系アリールスルホニル基;3−フリルスルホニル基、2−フリルスルホニル基、3−チエニルスルホニル基、2−チエニルスルホニル基等のヘテロアリールスルホニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基として、好ましくは、フェニルスルホニル基、メチルフェニルスルホニル基、メトキシフェニルスルホニル基、エトキシフェニルスルホニル基、フェノキシフェニルスルホニル基等の単環性アリールスルホニル基;1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、1−アントラシルスルホニル基、2−アントラシルスルホニル基、4−アントラシルスルホニル基等の縮環系アリールスルホニル基が挙げられる。
式(1)中のE01は、直接結合、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基を表す。E01として、好ましくは直接結合、チオ基又はスルフィニル基であり、より好ましくは直接結合又はチオ基であり、特に好ましくはチオ基である。
式(1)中のE02は、チオ基又はスルフィニル基を表し、好ましくはチオ基である。
上記式(2)で表される第2の構造単位において、Ar03及びAr04はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基を表す。Ar03及びAr04における置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基としては、上記Ar01及びAr02における置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基と同様なものをあげることができ、その好ましい例も同様である。
式(2)中のE03は、直接結合、チオ基、スルフィニル基、オキシ基又は下記式(3)で表される基を表す。好ましくは、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基であり、より好ましくはチオ基又はオキシ基であり、特に好ましくはチオ基である。
式(3)中のR1及びR2は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基を表し、R1とR2とが連結して環を形成していてもよい。
R1及びR2における置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基における置換基と同様なものをあげることができ、その好ましい例も同様である。
R1及びR2における置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基における置換基と同様なものをあげることができ、その好ましい例も同様である。
式(3)中のR1とR2とは連結して環を形成していてもよい。R1とR2とが連結して形成される環を有する式(2)の基としては、シクロヘキシリデン基等の炭素数5〜20の2価の環状炭化水素基が挙げられる。
式(2)中のY01は、直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基又は上記式(3)で表される基を表す。
Y01は好ましくは直接結合、カルボニル基、スルホニル基又は上記式(3)で表される基であり、より好ましくは直接結合、カルボニル基又はスルホニル基であり、よりさらに好ましくはカルボニル基又はスルホニル基であり、特に好ましくはスルホニル基である。
このような含硫黄重合体のより好ましいものとして、上記式(2)で示される構造単位の数に対して上記式(1)で示される構造単位の数の比が0.1〜100の範囲であると好ましく、より好ましくは0.3〜10であり、よりさらに好ましくは0.4〜2であり、特に好ましくは0.6〜1.5である。このような範囲にあると、後述する高分子電解質組成物溶液で用いられる溶媒に対し、含硫黄重合体の溶解性、分散性が良好となる傾向にある。
また、本実施形態の含硫黄重合体は、第2の構造単位が下記式(4)で表される構造単位であると好ましい。
(式(4)中、R01〜R08は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
E04は直接結合、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基を表す。
Y02は直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、又は上記式(3)で表される基を表す。)
E04は直接結合、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基を表す。
Y02は直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、又は上記式(3)で表される基を表す。)
式(4)中のR01〜R08は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
R01〜R08における、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基の置換基として例示した基をあげることができる。
好ましいR01〜R08としては、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
好ましいR01〜R08としては、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
式(4)中のE04は、直接結合、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基を表す。好ましくはチオ基、スルフィニル基又はオキシ基であり、より好ましくはチオ基又はオキシ基であり、特に好ましくはチオ基である。
式(4)中のY02は、直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基又は上記式(3)で表される基を表す。好ましくは直接結合、カルボニル基、スルホニル基又は上記式(3)で表される基であり、より好ましくは直接結合、カルボニル基又はスルホニル基であり、よりさらに好ましくはカルボニル基又はスルホニル基であり、特に好ましくはスルホニル基である。
上記式(4)で示される構造単位として、下記式(4−1)〜(4−19)で表される構造単位を例示することができる。
また、本実施形態の含硫黄重合体は、第1の構造単位が下記式(5)で表される構造単位であると好ましい。
(式(5)中、R09〜R16は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
E05及びE06はそれぞれチオ基又はスルフィニル基を表す。)
E05及びE06はそれぞれチオ基又はスルフィニル基を表す。)
式(5)中、R09〜R16は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、シアノ基、カルボキシ基、ホスホノ基、ホルミル基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
R09〜R16におけるハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記R01〜R08において例示したものと同様なものをあげることができる。
好ましいR09〜R16としては、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
より好ましくは、水素原子、メルカプト基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
より好ましくは、水素原子、メルカプト基、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
上記式(5)中、E05及びE06はそれぞれチオ基又はスルフィニル基を表し、好ましくはチオ基である。
上記式(5)で示される構造単位として、下記式(5−1)〜(5−16)で表される構造単位を例示することができる。
また、本実施形態の含硫黄重合体は、下記式(6)で表される構造を有するとより好ましい。
式(6)中のR17〜R32は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
R17〜R32における、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基の置換基として例示した基をあげることができる。
より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
さらに好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
R17〜R32における、ハロゲノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基の置換基として例示した基をあげることができる。
より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲノ基、メルカプト基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
さらに好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
式(6)中のE07は、チオ基、スルフィニル基、又はオキシ基を表す。好ましくはチオ基又はオキシ基であり、より好ましくはチオ基である。
式(6)中のY03は、カルボニル基又はスルホニル基を表す。好ましくはスルホニル基である。
式(6)中のE08及びE09は、それぞれチオ基又はスルフィニル基を表わす。好ましくはチオ基である。
上記式(6)で示される構造単位として、下記式(6−1)〜(6−16)で表される構造単位を例示することができる。
本実施形態の含硫黄重合体は、下記式(7)で表される構造単位を末端基として有すると好ましい。
式(7)中のR33〜R40は、それぞれ同一又は相異なり、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
R33〜R40における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基の置換基として例示した基をあげることができる。
好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
より好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
より好ましくは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
特に好ましくは、水素原子である。
式(7)中のE10は、チオ基、スルフィニル基又はオキシ基を表す。好ましくはチオ基又はオキシ基であり、より好ましくはオキシ基である。
式(7)中のY04は、カルボニル基、スルホニル基、−C(CH3)2−で示される基、又は−C(CF3)2−で示される基を表す。好ましくはカルボニル基又はスルホニル基であり、より好ましくはスルホニル基である。
式(7)中のE11は、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基を表す。
E11における、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリールスルホニル基としては、上記炭素数3〜50のアリーレン基の置換基として例示した基をあげることができる。
好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子又はヒドロキシ基である。
特に好ましくは、ヒドロキシ基である。
好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
より好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数4〜21のアロイル基である。
よりさらに好ましくは、水素原子又はヒドロキシ基である。
特に好ましくは、ヒドロキシ基である。
本実施形態の含硫黄重合体は、上記式(7)で示される構造単位を末端基として有することにより、後述する高分子電解質組成物溶液で用いられる溶媒に対する含硫黄重合体の溶解性、分散性を調整することができる。
上記式(7)で示される構造単位として、下記式(7−1)〜(7−8)で表される構造単位を例示することができる。
上記式(6)で示される構造単位と上記式(7)で示される構造単位の好ましい組み合わせとして、下記式(8−1)〜(8−5)で表される化合物を例示することができる。
上記含硫黄重合体の数平均分子量としては1300を超えるものが好ましく、より好ましくは1300超〜1000000未満であり、さらに好ましくは1300超〜10000未満であり、よりさらに好ましくは1300超〜5000未満であり、ことさらに好ましくは1400超〜4000未満であり、特に好ましくは1600超〜3000未満である。1300を超えるものであると、含硫黄重合体を、高分子電解質に配合して高分子電解質膜とした場合、高分子電解質膜から含硫黄重合体が流出しにくくなるため、好ましい。
含硫黄重合体の数平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
以下にGPC測定条件を示す。
(測定条件)
・カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−M
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
・検出:示差屈折率法
・標準物質:東ソー社製 標準ポリスチレン A300、A1000、A2500、A5000、F1、F2、F10、F40、F128、F288
以下にGPC測定条件を示す。
(測定条件)
・カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−M
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
・検出:示差屈折率法
・標準物質:東ソー社製 標準ポリスチレン A300、A1000、A2500、A5000、F1、F2、F10、F40、F128、F288
次に、上記含硫黄重合体を製造するための方法について説明する。含硫黄重合体の製造方法としては、下記(9−1)〜(9−5)の製造方法が挙げられる。
(9−1)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、又は上記式(3)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーと、チオ基又はスルフィニル基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジチオールモノマーとの重合反応。
(9−2)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、又は上記式(3)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーと、チオ基又はスルフィニル基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジオールモノマーとの重合反応。
(9−3)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、又は上記式(3)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジオールモノマーと、チオ基又はスルフィニル基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーとの重合反応。
(9−4)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、又は上記式(3)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーと、単環性芳香族ジチオールモノマー又は縮環性芳香族ジチオールモノマーとの重合反応。
(9−5)直接結合、オキシ基、カルボニル基、スルホニル基、又は上記式(3)で表される基で2つのアリーレン基が連結されている構造を有する芳香族ジハロゲン化物モノマーと、硫黄又は硫化水素との重合反応。
上記芳香族ジハロゲン化物、芳香族ジチオール、芳香族ジオールにおけるアリーレン基としては、上記Ar01およびAr02における置換基を有していてもよい炭素数3〜50のアリーレン基と同様なものをあげることができ、その好ましい例も同様である。
上記芳香族ジハロゲン化物におけるハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基、クロロ基が挙げられる。
上記(9−4)の反応における単環性芳香族ジチオールとしては、1,2−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、5−ブロモ−1,3−ベンゼンジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、4,4’−ビフェニルジチオールなどが挙げられ、縮環性芳香族ジチオールとしては1,5−ナフタレンジチオールなどが挙げられる。
また、上記(9−1)〜(9−5)の反応においては、反応を促進させる為、反応系内に塩基を共存させることもできる。塩基としては種々の塩基を用いることができ、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、アンモニア、などの無機塩基、トリエチルアミン、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイドなどの有機塩基などが挙げられる。
上記(9−1)〜(9−5)の反応では溶媒を用いることができ、特に限定するものではないが、使用可能な溶媒としては、例えば、ヘキサン、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒などが挙げられる。
上記(9−1)〜(9−5)の反応の中でも好ましくは(9−1)、(9−4)、(9−5)であり、より好ましくは(9−1)、(9−4)であり、特に好ましくは(9−1)である。
上記(9−1)の反応として、下記式(9−1−1)〜(9−1−12)で表される反応を例示することができる。
また、上記式(7)で表される末端基は、上記(9−1)〜(9−5)の反応で得られる含硫黄重合体と、上記式(7)で表される構造を有する化合物と、を反応させることで導入することができる。上記(9−1)〜(9−5)の反応で得られる含硫黄重合体は、末端にハロゲノ基、メルカプト基、又はヒドロキシ基を有している。そのため、上記式(7)で表される構造を有する化合物であって、これらの官能基と反応し得るものと、上記(9−1)〜(9−5)の反応で得られる含硫黄重合体と、を反応させることにより、末端が上記式(7)で表される基で修飾された含硫黄重合体を得ることができる。上記含硫黄化合物の末端に含まれるハロゲノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基の残存量は、上記(9−1)〜(9−5)の反応において、末端に導入したい基を有するモノマーを、もう一方のモノマーに対して小過剰用いることで制御することができる。
上記末端基の導入反応としては下記(10−1)〜(10−4)をあげることができる。
(10−1)末端にハロゲノ基を有する含硫黄重合体と、上記式(7)で表される構造を備えヒドロキシ基を有する芳香族化合物と、の反応。
(10−2)末端にハロゲノ基を有する含硫黄重合体と、上記式(7)で表される構造を備えメルカプト基を有する芳香族化合物と、の反応。
(10−3)末端にメルカプト基を有する含硫黄重合体と、上記式(7)で表される構造を備えハロゲノ基を有する芳香族化合物と、の反応。
(10−4)末端にヒドロキシ基を有する含硫黄重合体と、上記式(7)で表される構造を備えハロゲノ基を有する芳香族化合物と、の反応。
上記ハロゲノ基を有する芳香族化合物、ヒドロキシ基を有する芳香族化合物、メルカプト基を有する芳香族化合物の好ましい例としては、下記式(8)で示される化合物をあげることができる。
上記E12はハロゲノ基、ヒドロキシ基、又はメルカプト基を表す。好ましくはヒドロキシ基、メルカプト基が挙げられ、より好ましくはヒドロキシ基が挙げられる。
上記E12におけるハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられ、好ましくはフルオロ基、クロロ基が挙げられる。
また、上記(10−1)〜(10−4)の反応においては、反応を促進させる為、反応系内に塩基を共存させることもできる。塩基としては種々の塩基を用いることができ、例えば上記(9−1)〜(9−5)の反応における塩基などが挙げられる。
上記(10−1)〜(10−4)の反応では溶媒を用いることができ、特に限定するものではないが、使用可能な溶媒としては、例えば上記(9−1)〜(9−5)の反応における溶媒などが挙げられる。
上記(10−1)〜(10−4)の反応の中でも好ましくは(10−1)、(10−2)であり、より好ましくは(10−1)である。
上記(10−1)の反応として、下記式(10−1−1)〜(10−1−8)で表される反応を例示することができる。
(高分子電解質)
次に、本実施形態の高分子電解質組成物に用いられる高分子電解質について説明する。高分子電解質としては、以下に示すように、炭化水素系高分子電解質と、フッ素系高分子電解質とを挙げることができる。
次に、本実施形態の高分子電解質組成物に用いられる高分子電解質について説明する。高分子電解質としては、以下に示すように、炭化水素系高分子電解質と、フッ素系高分子電解質とを挙げることができる。
高分子電解質は、フッ素系高分子電解質と炭化水素系高分子電解質を組み合わせて含有してもよいが、この場合、高分子電解質の全量(100質量%)に対して、炭化水素系高分子電解質が、51質量%以上であると好ましく、70質量%以上であるとより好ましく、85質量%以上であるとさらに好ましく、90質量%以上であると特に好ましく、最も好ましくは100質量%である。
(炭化水素系高分子電解質)
まず、本発明の一実施態様における高分子電解質組成物に用いることができる炭化水素系高分子電解質について説明する。
まず、本発明の一実施態様における高分子電解質組成物に用いることができる炭化水素系高分子電解質について説明する。
ここで、炭化水素系高分子電解質とは、この高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してハロゲン原子が15質量%以下である高分子電解質を意味する。かかる炭化水素系高分子電解質は、前記のフッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有するため、より好ましい。特に好適な炭化水素系高分子電解質とは実質的にハロゲン原子を含有していない炭化水素系高分子電解質であり、このような炭化水素系高分子電解質は燃料電池の作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりする恐れがない。
なお、ここでいう「炭化水素系高分子電解質」とは複素原子を含んでもよい。
なお、ここでいう「炭化水素系高分子電解質」とは複素原子を含んでもよい。
また、炭化水素系高分子電解質は、イオン交換基を有する高分子であることが好ましい。その理由は、高分子電解質組成物にイオン交換基を有する高分子電解質が含まれると、高分子電解質組成物を用いて形成する後述の高分子電解質膜や触媒層のイオン伝導性が良好になるためである。
上述のイオン交換基として、酸性のイオン交換基(すなわち、カチオン交換基)又は塩基性のイオン交換基(すなわち、アニオン交換基)が挙げられる。高いプロトン伝導性を得る観点から、イオン交換基はカチオン交換基であることが好ましい。カチオン交換基を有する高分子電解質を用いることにより、一層発電性能に優れた燃料電池が得られる。カチオン交換基としては、例えば、スルホ基(−SO3H)、カルボキシ基(−COOH)、ホスホノ基(−PO3H2)、スルホニルイミド基(−SO2NHSO2−)、フェノール性のヒドロキシ基等が挙げられる。これらの中でも、カチオン交換基としては、スルホ基又はホスホノ基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。なお、これらのイオン交換基は、部分的に、あるいは全てが、金属イオンや4級アンモニウムイオン等で交換されて塩を形成していてもよいが、燃料電池用部材として使用する際には、実質的に全てが遊離酸の形態であることが好ましい。前記イオン交換基が遊離酸の形態であると、後述する積層フィルムの製造において、高分子電解質組成物溶液の調製がより容易になるという利点もある。
これらのイオン交換基は、高分子電解質の主鎖もしくは側鎖のいずれか一方に、又は両方に導入されていてもよいが、主鎖へ導入されているのが好ましい。
前記高分子電解質がイオン交換基を有する場合、前記イオン交換基の導入量は、高分子電解質単位質量当たりのイオン交換基数であるイオン交換基容量で表すことができる。
ここで「イオン交換基容量」とは、高分子電解質膜や触媒層を構成する高分子電解質の、乾燥樹脂1g当たりに含有するイオン交換基の当量数で定義される値[ミリ当量/g乾燥樹脂](以下、meq/g)である。
また、「乾燥樹脂」とは高分子電解質を、水の沸点以上の温度に保持し、質量減少がほとんどなくなり質量の経時変化がほぼ一定値に収束した樹脂をいう。
本実施形態で用いる高分子電解質は、イオン交換基の導入量が、イオン交換容量で表して1.5meq/g以上6.0meq/g以下であると好ましく;2.0meq/g以上5.5meq/g以下であると、より好ましく;2.7meq/g以上5.0meq/g以下であるとさらに好ましい。イオン交換容量がこの範囲であると、得られる高分子電解質膜や触媒層のプロトン伝導性や耐水性がより良好となり、いずれも燃料電池の使用される高分子電解質膜や触媒層としての機能が優れるので好ましい。
以下、好適なイオン交換基を有する高分子電解質に関し詳述する。このような高分子電解質の具体例としては、例えば、下記の(A)〜(F)で表される高分子電解質が挙げられる。
(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(B)主鎖が脂肪族炭化水素からなり、主鎖の一部の水素原子がフッ素原子で置換された高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(C)主鎖が芳香環を有する高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(D)主鎖が、シロキサン基やフォスファゼン基等の無機の単位構造を有する高分子にイオン交換基が導入された高分子電解質;
(E)高分子電解質(A)〜(D)の調製に使用する高分子の主鎖を構成する構造単位から選ばれる2種以上の構造単位を組み合わせた共重合体に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(F)主鎖や側鎖に窒素原子を含む炭化水素系高分子に、硫酸やリン酸等の酸性化合物をイオン結合により導入した高分子電解質
(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(B)主鎖が脂肪族炭化水素からなり、主鎖の一部の水素原子がフッ素原子で置換された高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(C)主鎖が芳香環を有する高分子に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(D)主鎖が、シロキサン基やフォスファゼン基等の無機の単位構造を有する高分子にイオン交換基が導入された高分子電解質;
(E)高分子電解質(A)〜(D)の調製に使用する高分子の主鎖を構成する構造単位から選ばれる2種以上の構造単位を組み合わせた共重合体に、イオン交換基が導入された高分子電解質;
(F)主鎖や側鎖に窒素原子を含む炭化水素系高分子に、硫酸やリン酸等の酸性化合物をイオン結合により導入した高分子電解質
なお、以下の例示においては、イオン交換基がスルホ基である高分子電解質を主として例示するが、このスルホ基を別のイオン交換基に置き換えた高分子電解質でもよい。
前記(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸等が挙げられる。
前記(B)の高分子電解質としては、特開平9−102322号公報に記載された炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとの共重合によって製造された高分子を主鎖とし、スルホ基を有する炭化水素鎖を側鎖とし、共重合様式がグラフト重合であるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)が挙げられる。また、米国特許第4,012,303号公報又は米国特許第4,605,685号公報に記載された方法により得られる炭化フッ素系ビニルモノマーと炭化水素系ビニルモノマーとの共重合体に、α,β,β−トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホ基を導入して固体高分子電解質としたスルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFEも挙げることができる。
前記(C)の高分子電解質は、主鎖に酸素原子等のヘテロ原子を含む高分子電解質であってもよい。このような高分子電解質としては、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれに、スルホ基が導入された高分子電解質が挙げられる。具体的には、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール(例えば、特開平9−110982号公報参照)等が挙げられる。前記(C)の高分子電解質は、主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されている化合物であってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリイミド、ポリ((4−フェノキシベンゾイル)−1,4−フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)が挙げられる。このような高分子電解質は、特開平9−110982号公報、及びJ.Appl.Polym.Sci.,18,1969(1974)にも記載されている。
前記(D)の高分子電解質としては、例えば、ポリフォスファゼンにスルホ基が導入された高分子電解質等が挙げられる。これらは、Polymer Prep.,41,No.1,70(2000)に記載された方法に準じて容易に製造することができる。
前記(E)の高分子電解質は、スルホ基が導入されたランダム共重合体、スルホ基が導入された交互共重合体、又はスルホ基が導入されたブロック共重合体のいずれであってもよい。
前記(F)の高分子電解質としては、例えば、特表平11−503262号公報に記載されたようなリン酸を導入させたポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
さらに、本発明の一実施態様における高分子電解質組成物に使用する高分子電解質としては、イオン交換基を有する構造単位とイオン交換基を有しない構造単位とからなる共重合体が、好ましい。このような共重合体であると、得られる高分子電解質を用い、後述の方法にて作成される高分子電解質膜や触媒層が良好なプロトン伝導性と耐水性を発現し、燃料電池用として有利であるという利点がある。なお、かかる共重合体に関し、2種の構造単位の共重合様式は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合又は交互共重合のいずれであってもよく、これらの共重合様式を組み合わせてもよい。
燃料電池用として良好な耐熱性を有する高分子電解質膜や触媒層を得るためには、前記炭化水素系高分子電解質であって、中でも、主鎖に芳香環を有する炭化水素系高分子電解質(すなわち、上記(C)で表される炭化水素系高分子電解質)が好ましく;さらには主鎖を構成する芳香環を有し、且つ前記芳香環に直接結合又は他の原子もしくは原子団を介して間接的に結合したイオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質が好ましい。特に、主鎖を構成する芳香族を有し、さらに芳香環を有する側鎖を有してもよく、主鎖を構成する芳香環か側鎖の芳香環の、どちらかの芳香環に直接結合したイオン交換基を有する芳香族炭化水素系高分子電解質が好ましい。
特に好ましい芳香族炭化水素系高分子電解質としては、分子構造内にイオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有しない構造単位と、を有する高分子電解質が例示される。
上述のイオン交換基を有する構造単位としては、下記式(11a)〜(14a)で示される構造を例示することができる。
また、上述のイオン交換基を有しない構造単位としては、下記式(11b)〜(14b)で示される構造を例示することができる。
イオン交換基を有する構造単位を示す式(11a)〜(14a)において、Ar1〜Ar9は、2価の芳香族基を表す。2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族炭化水素基;1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮合環系芳香族炭化水素基;ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フラザン、フェノキサジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,3,5−トリアジン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、フェナルサジン、ベンゾイミダゾール、及びベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる1種の化合物から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価のヘテロ芳香族基;下記式(N−01)〜(N−07)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む2価のヘテロ芳香族基等が挙げられる。
式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9としては、好ましくは、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族炭化水素基;1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮合環系芳香族炭化水素基であり;より好ましくは2価の単環性芳香族炭化水素基である。
また、式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9で表される芳香族基の芳香環上の水素原子は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基で置換されていてもよい。
式(11a)〜(13a)におけるZ及びZ’は、それぞれ同一又は相異なり−CO−で示される基、又は−SO2−で示される基を表し、耐久性の観点から−SO2−で示される基が好ましい。
式(11a)〜(13a)におけるX、X’、及びX”は、それぞれ同一又は相異なり−O−で示される基又は−S−で示される基を表し、耐久性の観点から−O−で示される基が好ましい。
式(12a)におけるYは、直接結合又は上記式(15)で表される基を表し、好ましくは直接結合である。
式(12a)におけるpは、0、1又は2を表し、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
式(13a)におけるq、rはそれぞれ同一又は相異なり1、2又は3を表し、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9で表される芳香族基は、芳香環に少なくとも一つのイオン交換基を有する。前記イオン交換基の具体例及び好ましい例は前述のものと同様なものを挙げることができる。これらのイオン交換基は、高分子電解質の主鎖、側鎖のいずれか一方、又は両方に導入されていてもよいが、主鎖の芳香環へ導入されているのが好ましい。前記イオン交換基として、上述のように酸性のイオン交換基が好ましく、酸性のイオン交換基の中でも、スルホ基又はホスホノ基がより好ましく、スルホ基が特に好ましい。
また、式(14a)で表されるイオン交換基を有する構造単位の例の一つとして、下記式(14a−1)で表される構造単位を挙げることができる。
式(14a−1)におけるAr110、Ar120及びAr130は、2価の芳香族基を表す。このような2価の芳香族基としては、式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9と同様の2価の芳香族基が挙げられる。
R120、R130は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属原子又は炭化水素基を示す。アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、又はセシウム、が挙げられる。
炭化水素基としては、複素環基を有していてもよく、このような炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1] ヘプチルメチル基等の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、複素環基を有する炭化水素基等が挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。なお、R120、R130は、水素原子であることが好ましい。
炭化水素基としては、複素環基を有していてもよく、このような炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1] ヘプチルメチル基等の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、複素環基を有する炭化水素基等が挙げられる。これらのうちn−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、さらにはネオペンチル基が好ましい。なお、R120、R130は、水素原子であることが好ましい。
上記式(14a−1)で表される構造単位は、さらに下記式(14a−2)で表される構造単位であることが好ましい。
上記式(14a−2)で表されるイオン交換基を有する構造単位の具体例としては、後述の式(4a−13)〜(4a−20)で表される構造単位を挙げることができる。
一方、イオン交換基を有しない構造単位を示す式(11b)〜(14b)において、Ar11〜Ar19は、互いに独立に2価の芳香族基を表す。このような2価の芳香族基としては、例えば、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族炭化水素基;1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮合環系芳香族炭化水素基;ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、インドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フラザン、フェノキサジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,3,5−トリアジン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、フェナルサジン、ベンゾイミダゾール、及びベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる1種の化合物から芳香環上の水素原子を2個取り去って得られる2価のヘテロ芳香族基;及び下記式(N−01)〜(N−07)で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む2価のヘテロ芳香族基等が挙げられる。
式(11b)〜(14b)におけるAr11〜Ar19としては、好ましくは、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等の2価の単環性芳香族炭化水素基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,7−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基等の2価の縮合環系芳香族炭化水素基であり、より好ましくは2価の単環性芳香族炭化水素基である。
式(11b)〜(13b)におけるZ及びZ’は、それぞれ同一又は相異なり−CO−で示される基、又は−SO2−で示される基を表わし、耐久性の観点から−SO2−で示される基が好ましい。
式(11b)〜(13b)におけるX、X’、及びX”は、それぞれ同一又は相異なり−O−で示される基又は−S−で示される基を表し、耐久性の観点から−O−で示される基が好ましい。
式(12b)におけるYは、直接結合又は上記式(15)で表される基を表し、好ましくは直接結合である。
式(12b)におけるp’は、0、1又は2を表し、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
式(13b)におけるq’、及びr’はそれぞれ同一又は相異なり1、2又は3を表わし、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
また、Ar11〜Ar19で表される芳香族基の芳香環上の水素原子は、フッ素原子、ホルミル基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基で置換されていてもよい。なお、ここでいう「置換基を有していてもよい」の置換基とは前記イオン交換基を包含するものではない。
ここで、前述の2価の芳香族基(式(11a)〜(14a)におけるAr1〜Ar9で表される芳香族基及び式(11b)〜(14b)におけるAr11〜Ar19で表される芳香族基)の置換基を以下に例示する。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルキル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、イコシルオキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアルコキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基;及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリール基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等のアリールオキシ基;及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が20以下であるアリールオキシ基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜21のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の炭素数2〜21のアシル基;及びこれらの基にフッ素原子、ヒドロキシ基、ニトリル基、アミノ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が置換され、その総炭素数が21以下であるアシル基が挙げられる。
前記置換基は、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等のアリール基;フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の芳香環を有するアシル基等の芳香環を有する置換基であると、ポリマーの耐熱性が良好となる傾向があり、より実用的な燃料電池用部材が得られるため好ましい。
芳香環を有するアシル基を置換基として有する重合体を含む高分子電解質においては、前記アシル基を有する2つの構造単位が隣接し、前記2つの構造単位にあるアシル基同士が結合したり、アシル基同士が結合した後に転位反応を生じたりすることにより、構造が変化する場合がある。また、このような構造変化が生じたか否かは、例えば13C−核磁気共鳴スペクトルの測定により確認することができる。
なお、本発明の一実施態様における炭化水素系高分子電解質の好ましい要素の一つとして、この高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してハロゲン原子が15質量%以下である高分子電解質であることが挙げられる。かかる炭化水素系高分子電解質は、前記のフッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有するため、より好ましい、特に好適な炭化水素系高分子電解質とは実質的にハロゲン原子を含有していない炭化水素系高分子電解質であり、このような炭化水素系高分子電解質は燃料電池の作動時に、ハロゲン化水素を発生して、他の部材を腐食させたりする恐れがない。
前記炭化水素系高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位、及び、イオン交換基を有しない構造単位を有し、イオン交換基を有する構造単位が密な相が膜厚方向に連続相を形成できれば、よりプロトン伝導性に優れる高分子電解質膜や触媒層が得られるといった利点があるので好ましい。
本発明の一実施態様において、好適な高分子電解質は、前記式(11a)〜(14a)で表される構造単位からなる、イオン交換基を有する構造単位と、前記式(11b)〜(14b)で表される構造単位からなる、イオン交換基を有しない構造単位とを有する高分子電解質である。このような高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有しない構造単位と、のそれぞれに対応するモノマー又はオリゴマーを出発物質とする共重合体として得ることができる。さらに好適なイオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有しない構造単位との組み合わせとしては、下記の表1の<A>〜<M>に示す組み合わせをあげることができる。
本発明の一実施態様において好適に用いられる高分子電解質の構造としては、更に好ましくは、<B>、<C>、<D>、<G>、<H>、<I>、<J>、<L>、又は<M>であり;より更に好ましくは<G>、<H>、<L>又は<M>であり;殊更に好ましくは<G>、<H>、又は<L>であり;より殊更に好ましくは<G>、又は<L>であり;特に好ましくは<L>である。
好適な共重合体の例として、以下に示すイオン交換基を有する構造単位の群から選ばれる1種又は2種以上の構造単位と、以下に示すイオン交換基を有しない構造単位の群から選ばれる1種又は2種以上の構造単位と、からなる共重合体を挙げることができる。なお、イオン交換基を有する繰り返し単位におけるイオン交換基は、好適なスルホ基により例示している。もちろん、スルホ基に代えて上述のイオン交換基のいずれかを採用してもよい。
また、これら構造単位同士は直接結合している形態でもよく、適当な原子又は原子団で連結している形態でもよい。ここでいう構造単位同士を結合する原子又は原子団の典型的な例としては、2価の芳香族基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらを組み合わせてなる2価の基を挙げることができる。
前記例示の中でも、イオン交換基を有する構造単位を表す式としては、式(4a−1)、(4a−2)、(4a−3)、(4a−4)、(4a−5)、(4a−6)、(4a−7)、(4a−8)、(4a−9)、(4a−10)、(4a−11)、及び(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましい。同様に、式(4a−10)、(4a−11)、及び(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく、式(4a−11)又は(4a−12)が特に好ましい。
このような構造単位を含むセグメントを有する高分子電解質、特に、このような構造単位を繰り返し単位として含むセグメント(イオン交換基を有するセグメント)を有する高分子電解質は、このセグメントがポリアリーレン構造となるために化学的安定性も比較的良好となる傾向がある。
また、イオン交換基を有しない構造単位を表す式としては、式(4b−1)、(4b−2)、(4b−3)、(4b−4)、(4b−5)、(4b−6)、(4b−7)、(4b−8)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−11)、(4b−12)、(4b−13)、及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましい。同様に、式(4b−2)、(4b−3)、(4b−10)、(4b−13)、及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく;式(4b−2)、(4b−3)、及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が特に好ましい。
本発明の一実施態様に係る高分子電解質は、イオン交換基を有する構造単位と、イオン交換基を有しない構造単位とを有する高分子電解質であり、この2種の構造単位の共重合様式は、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、又はグラフト共重合の何れでもよく、これらの共重合様式の組み合わせでもよい。好ましくは、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合であり;より好ましくは、ランダム共重合、ブロック共重合であり;特に好ましくはブロック共重合である。
ブロック共重合体としては、主としてイオン交換基を有する構造単位からなるセグメント(イオン交換基を有するセグメント)及び、主としてイオン交換基を有しない構造単位からなるセグメント(すなわち、イオン交換基を実質的に有しないセグメント)とを有する共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体では、イオン交換基を有するセグメントが密な相が膜厚方向に連続相を形成することで、よりプロトン伝導性に優れる高分子電解質膜や触媒層が得られるといった利点がある。また、好適なイオン交換基を有するセグメントを構成する構造単位とイオン交換基を実質的に有しないセグメントを構成する構造単位の組み合わせとしては、下記の表2の<A>〜<M>に示すセグメントの組み合わせを挙げることができる。
更に好ましくは、<B>、<C>、<D>、<G>、<H>、<I>、<J>、<L>、又は<M>であり;より更に好ましくは<G>、<H>、<L>又は<M>であり;殊更に好ましくは<G>、<H>、又は<L>であり;より殊更に好ましくは<G>、又は<L>であり;特に好ましくは<L>である。
前記例示の中でも、イオン交換基を有するセグメントを構成する繰り返し単位に用いられる構造単位を表す式としては式(4a−1)、(4a−2)、(4a−3)、(4a−4)、(4a−5)、(4a−6)、(4a−7)、(4a−8)、(4a−9)、(4a−10)、(4a−11)及び(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく;式(4a−10)、(4a−11)、及び(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく;式(4a−11)又は(4a−12)が特に好ましい。
本発明の一実施態様に係る上記ブロック共重合体の好ましい形態の一つとして、イオン交換基を有するセグメントの主鎖が、実質的に複数の芳香環が直接連結してなるポリアリーレン構造を有することが挙げられる。そのようなセグメントの構造単位として、好ましくは前述の式(4a−10)、(4a−11)、(4a−12)、(4a−13)、(4a−14)、(4a−15)、(4a−16)、(4a−17)、(4a−18)、(4a−19)及び(4a−20)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく、式(4a−10)、(4a−11)及び(4a−12)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく、式(4a−11)又は(4a−12)が特に好ましい。
このような構造単位からなる繰り返し単位を含むセグメント(すなわち、イオン交換基を有するセグメント)を有する高分子電解質、特に、このような繰り返し単位からなるセグメントを有する高分子電解質は、優れたイオン伝導性を発現できるものであり、このセグメントがポリアリーレン構造となるために化学的安定性も比較的良好となる傾向がある。
ここで「ポリアリーレン構造」とは、主鎖を構成している芳香環同士が実質的に直接結合で結合されている形態であり、具体的には、前記芳香環同士の結合の総数を100%としたとき、直接結合の割合が80%以上の構造であると好ましく、90%以上の構造であるとより好ましく、95%以上の構造であると更に好ましい。なお、直接結合で結合されている形態以外の形態とは、芳香環同士が2価の原子又は2価の原子団を介して結合している形態である。
イオン交換基を有しないセグメントを構成する繰り返し単位に用いられる構造単位を表す式としては、式(4b−1)、(4b−2)、(4b−3)、(4b−4)、(4b−5)、(4b−6)、(4b−7)、(4b−8)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−11)、(4b−12)、(4b−13)及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が好ましく;式(4b−2)、(4b−3)、(4b−9)、(4b−10)、(4b−13)及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がより好ましく;式(4b−2)、(4b−3)、(4b−13)及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位がよりさらに好ましく;式(4b−2)、(4b−3)及び(4b−14)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位が特に好ましい。
また、イオン交換基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有しないセグメントとは、直接結合している形態でもよく、適当な原子又は原子団で連結している形態でもよい。ここでいうセグメント同士を結合する原子又は原子団の典型的な例としては、2価の芳香族基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はこれらを組み合わせてなる2価の基を挙げることができる。
好適なブロック共重合体の例として、上記に示すイオン交換基を有する構造単位の群から選ばれる1種又は2種以上の構造単位を含むセグメント(すなわち、イオン交換基を有するセグメント)と、主として上記に示すイオン交換基を有しない構造単位の群から選ばれる1種又は2種以上の構造単位を含むセグメント(すなわち、イオン交換基を実質的に有しないセグメント)と、からなるブロック共重合体を挙げることができる。
ここで、「イオン交換基を有するセグメント」とは、イオン交換基が、前記セグメントを構成する構造単位1個あたりで平均0.5個以上含まれているセグメントであることを意味し、構造単位1個あたりでイオン交換基が平均1.0個以上含まれているとより好ましい。
一方、「イオン交換基を実質的に有しないセグメント」とは、イオン交換基が、前記セグメントを構成する構造単位1個あたりで平均0.5個未満であるセグメントであることを意味し、構造単位1個あたりでイオン交換基が平均0.1個以下であるとより好ましく;平均0.05個以下であるとさらに好ましい。
典型的には、イオン交換基を有するセグメントとイオン交換基を実質的に有しないセグメントとが、直接結合で結合されているか、適当な原子又は原子団で結合された形態のブロック共重合体である。
上記式(11a)〜(14a)で表される構造単位から選ばれる1種以上の構造単位からなるセグメントの重合度は2以上であり、3以上が好ましく;5以上がより好ましく;10以上が更に好ましい。また、かかるセグメントの重合度は1000以下が好ましく;500以下が好ましい。この重合度が2以上、好ましくは5以上であれば、燃料電池用の高分子電解質として、十分なプロトン伝導度を発現し、この重合度が1000以下であれば、製造がより容易である利点がある。
即ち、かかるセグメントの重合度は、2以上、1000以下が好ましく;5以上、1000以下がよりに好ましく;5以上、500以下が更に好ましく;10以上、500以下が最も好ましい。
即ち、かかるセグメントの重合度は、2以上、1000以下が好ましく;5以上、1000以下がよりに好ましく;5以上、500以下が更に好ましく;10以上、500以下が最も好ましい。
また、式(11b)〜(14b)で表される構造単位から選ばれる1種以上の構造単位からなるセグメントの重合度は1以上であり、2以上が好ましく;3以上がより好ましい。また、かかるセグメントの重合度は100以下が好ましく;90以下がより好ましく;80以下が更に好ましい。重合度がこのような範囲内であれば、燃料電池用の高分子電解質として、十分な機械強度を有し、製造が容易であるので好ましい。
即ち、かかるセグメントの重合度は、1以上、100以下が好ましく;2以上、90以下がより好ましく;3以上、80以下が更に好ましい。
即ち、かかるセグメントの重合度は、1以上、100以下が好ましく;2以上、90以下がより好ましく;3以上、80以下が更に好ましい。
また、本発明の一実施態様で用いられる炭化水素系高分子電解質の分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量で表して、5000〜1000000であることが好ましく;10000〜800000であることがより好ましく;10000〜600000であることがより更に好ましく;中でも15000〜400000であることが特に好ましい。このような範囲の分子量の高分子電解質を用いることにより、後述の方法にて作成される高分子電解質膜は、その膜の形状を安定的に維持できる傾向がある。前記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
(フッ素系高分子電解質)
また、本発明の一実施形態における高分子電解質組成物に用いることができるフッ素系高分子電解質としては、通常知られたフッ素系高分子電解質を例示することができる。例えば、上述の炭化水素系高分子電解質中の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素系高分子電解質を用いることができる。具体的には、パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、又はパーフルオロカルボン酸ポリマーが挙げられる。他にも、Nafion(デュポン社登録商標)、旭化成製のAciplex(旭化成登録商標)、旭硝子製のFlemion(旭硝子登録商標)等のフッ素系高分子電解質や、上述した特開2003−113136号公報に記載されているフッ素系高分子電解質等も用いることが可能である。
なお、「フッ素系高分子電解質」とは、当該高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してフッ素原子が15質量%を超える高分子電解質を意味する。
また、本発明の一実施形態における高分子電解質組成物に用いることができるフッ素系高分子電解質としては、通常知られたフッ素系高分子電解質を例示することができる。例えば、上述の炭化水素系高分子電解質中の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素系高分子電解質を用いることができる。具体的には、パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、又はパーフルオロカルボン酸ポリマーが挙げられる。他にも、Nafion(デュポン社登録商標)、旭化成製のAciplex(旭化成登録商標)、旭硝子製のFlemion(旭硝子登録商標)等のフッ素系高分子電解質や、上述した特開2003−113136号公報に記載されているフッ素系高分子電解質等も用いることが可能である。
なお、「フッ素系高分子電解質」とは、当該高分子電解質を構成する元素質量含有比で表してフッ素原子が15質量%を超える高分子電解質を意味する。
(その他成分)
また、本実施形態の高分子電解質組成物には、高分子電解質組成物の効果を損なわない範囲で、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤を添加することができる。
また、本実施形態の高分子電解質組成物には、高分子電解質組成物の効果を損なわない範囲で、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤を添加することができる。
(高分子電解質組成物)
本実施形態の高分子電解質組成物は、上述の高分子電解質100質量%に対して、含硫黄重合体が0.001質量%以上10質量%未満含まれる。好適には、含硫黄重合体の含有量が0.01質量%以上10質量%未満であり、0.1質量%以上10質量%未満であるとより好ましく、0.1質量%以上8質量%以下であるとさらに好ましく、0.5質量%以上6質量%以下であると特に好ましい。含硫黄重合体の含有量がこの範囲であると、燃料電池の長期安定性を達成できるだけでなく、高分子電解質の特性を十分に発揮でき、高分子電解質膜の発電性能等が十分に発揮される。
本実施形態の高分子電解質組成物は、上述の高分子電解質100質量%に対して、含硫黄重合体が0.001質量%以上10質量%未満含まれる。好適には、含硫黄重合体の含有量が0.01質量%以上10質量%未満であり、0.1質量%以上10質量%未満であるとより好ましく、0.1質量%以上8質量%以下であるとさらに好ましく、0.5質量%以上6質量%以下であると特に好ましい。含硫黄重合体の含有量がこの範囲であると、燃料電池の長期安定性を達成できるだけでなく、高分子電解質の特性を十分に発揮でき、高分子電解質膜の発電性能等が十分に発揮される。
以上のような高分子電解質組成物では、含硫黄重合体が安定剤として機能する。そのため、本実施形態の高分子電解質組成物を用いると、長期安定性の良好な高分子電解質膜や膜電極接合体、さらには発電性能と長期安定性の良好な燃料電池を実現することができる。
[高分子電解質膜]
次に、上述の高分子電解質組成物を形成材料とする、本実施形態の高分子電解質膜について説明する。
次に、上述の高分子電解質組成物を形成材料とする、本実施形態の高分子電解質膜について説明する。
本実施形態の高分子電解質膜は、上記の含硫黄重合体と高分子電解質とを含有する高分子電解質組成物を含む。高分子電解質膜は、以下の(i)〜(iv)の工程を含む溶液キャスト法により製造される高分子電解質膜が好ましい。
(i)上述のような高分子電解質組成物を、少なくとも高分子電解質組成物に含まれる高分子電解質を溶解し得る有機溶媒に溶解し、液状組成物(高分子電解質組成物溶液)を調製する工程;
(ii)前記(i)で得られた液状組成物を、比較的平滑な表面を有する支持基材上に流延塗工し、前記支持基材上に高分子電解質の流延膜を形成する工程;
(iii)前記(ii)で支持基材上に形成された流延膜から、前記有機溶媒を除去して、前記支持基材上に高分子電解質膜を形成する工程;
(iv)前記(iii)の工程を行った後、支持基材と高分子電解質膜とを分離する工程
(ii)前記(i)で得られた液状組成物を、比較的平滑な表面を有する支持基材上に流延塗工し、前記支持基材上に高分子電解質の流延膜を形成する工程;
(iii)前記(ii)で支持基材上に形成された流延膜から、前記有機溶媒を除去して、前記支持基材上に高分子電解質膜を形成する工程;
(iv)前記(iii)の工程を行った後、支持基材と高分子電解質膜とを分離する工程
ここで、前記溶液キャスト法に関する各工程(i)〜(iv)に関し順次説明する。
(工程(i))
まず、工程(i)では液状組成物を調製する。本工程で調製される液状組成物が、本発明における「高分子電解質組成物溶液」である。
まず、工程(i)では液状組成物を調製する。本工程で調製される液状組成物が、本発明における「高分子電解質組成物溶液」である。
液状組成物の調製に使用する有機溶媒としては、高分子電解質組成物に含まれる1種又は2種以上の高分子電解質を溶解し得るものが選ばれる。また、高分子電解質組成物に加えて、上記の含硫黄重合体も共に溶解し得る有機溶媒が好ましい。さらに、高分子電解質組成物に加えて、添加剤等の成分を用いる場合は、これら他の成分も共に溶解し得る有機溶媒が好ましい。
使用する有機溶媒は、少なくとも使用する高分子電解質組成物に含まれる高分子電解質を溶解し得る溶媒であり、好ましくは、少なくとも使用する高分子電解質組成物に含まれる高分子電解質を、25℃で1質量%以上の濃度で溶解し得る有機溶媒である。より好適には、少なくとも使用する高分子電解質組成物に含まれる高分子電解質を5質量%以上50質量%の濃度で溶解し得る有機溶媒を用いる。
また、この有機溶媒は、次の工程(ii)において支持基材上に高分子電解質組成物の流延膜を形成した後に、加熱処理により除去し得る程度の揮発性が必要である。ただし、前記有機溶媒は少なくとも1種、101.3kPa(1気圧)における沸点が150℃以上である有機溶媒を含むことが好ましい。液状組成物の調製に使用する有機溶媒として沸点が150℃未満の有機溶媒のみを用いると、後述する工程(iii)で流延膜から有機溶媒を除去して高分子電解質膜を形成しようとすると、形成した高分子電解質膜に凹凸状の外観不良が発生するおそれがある。これは、沸点が150℃未満である有機溶媒では、前記流延膜から急激に有機溶媒が揮発してしまうためである。
前記高分子電解質組成物溶液の調製に好適な有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。
これらは単独で用いることもできるが、2種以上の有機溶媒を混合して用いることもできる。中でも、非プロトン性極性溶媒を含む有機溶媒が好ましく、実質的に非プロトン性極性溶媒からなる有機溶媒が特に好ましい。ここでいう「実質的に非プロトン性極性溶媒からなる有機溶媒」とは、主として非プロトン性極性溶媒からなる有機溶媒を意味するが、企図せず含有される水分等の存在を排除するものではない。前記非プロトン性極性溶媒は、支持基材に対して親和性が比較的小さく、前記支持基材に非プロトン性極性溶媒が吸収され難いという利点もある。また、上述の好適な高分子電解質であるブロック共重合体の溶解性が高いという点では、前記非プロトン性極性溶媒の中でも、DMSO、DMF、DMAc、NMP、GBL又はこれらから選ばれる2種以上の混合溶媒が好ましい。
(工程(ii))
次に、工程(ii)の工程について説明する。図1は、工程(ii)〜(iv)を示す工程図であり、図1(a)は工程(ii)を示す図である。
次に、工程(ii)の工程について説明する。図1は、工程(ii)〜(iv)を示す工程図であり、図1(a)は工程(ii)を示す図である。
この工程は、前記工程(i)で得られた液状組成物12Sを支持基材P上に流延塗工し、流延膜12Aを形成する工程である。流延塗工の方法としては、ローラーコート法、スプレイコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等の各種手段を用いることができるが、好ましくは、ダイと呼ばれる一定クリアランスが設けられた金型により、所定の幅及び厚みに高分子電解質組成物溶液を賦型する手段が挙げられる。図1(a)では、ダイ100から液状組成物12Sを吐出して流延膜12Aを形成することとして示している。
このようにして支持基材P上に形成された流延膜12Aは、塗工時に液状組成物12S中の有機溶媒の一部が揮発するために膜の形状を有するものとなる。この際の流延膜12Aの膜厚は、3μm〜50μmになるようにしておくことが好ましい。このような膜厚の流延膜12Aを得るには、使用する液状組成物12Sの高分子電解質濃度、塗工装置の塗出量等を適宜調整すればよい。また、前記支持基材Pが連続的に走行する基材である場合は、その支持基材Pの走行速度等で調節することもできる。
工程(ii)で使用する支持基材Pとしては、流延塗工に供する液状組成物12Sに対して十分な耐久性を有し、後述する工程(iii)での処理条件に対しても耐久性を有する材質からなるものが選択される。この場合の「耐久性」とは、液状組成物12Sによって支持基材P自身が実質的に溶け出さないことや、工程(iii)の処理条件により、支持基材P自身が膨潤や収縮を起こさず寸法安定性がよいこと等を意味するものである。
このような支持基材Pとしては、たとえばガラス板;SUS箔、銅箔等の金属箔;ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のプラスチックフィルムをあげることができる。また、このプラスチックフィルムには、上述したような耐久性を著しく損なわない範囲で、そのフィルム表面に対し、UV処理、離型処理、エンボス処理等の表面処理を行ってもよい。以下においては、支持基板Pがプラスチックフィルムであることとして説明を行う。
(工程(iii))
次に工程(iii)に関し説明する。図1(b)は工程(iii)を示す図である。
次に工程(iii)に関し説明する。図1(b)は工程(iii)を示す図である。
この工程は前記工程(ii)において前記支持基材P上に形成された流延膜12Aに含有される有機溶媒Sを除去して、支持基材P上に高分子電解質膜12を形成する工程である。このような除去には、乾燥又は洗浄溶媒による洗浄が推奨される。図1(b)では、有機溶媒Sが蒸発することにより乾燥し、除去されることとして図示している。このような乾燥と洗浄とを組み合わせて、前記有機溶媒Sを除去することがより一層好ましく、乾燥と洗浄とを組み合わせる場合には、まず乾燥を行って、前記支持基材P上に形成された流延膜12Aに含有される前記有機溶媒Sのほとんど全てを除去した後、洗浄溶媒による洗浄を行うことが特に好ましい。
ここでは、工程(iii)として好適な方法である乾燥と洗浄とを、この順で実施することについて詳述する。工程(ii)を経て得られた支持基材P上に形成された流延膜12Aから有機溶媒を乾燥除去するには、加熱、減圧、通風等の処理を採用することができるが、生産性が良好である点と、操作が容易である点で加熱処理が好ましい。この場合、流延膜12Aが形成された支持基材P(以下、場合により「第1の積層フィルム」という)を、直接加熱、温風接触等により加熱処理する。
流延膜12A中の高分子電解質を著しく損なわない点で、温風処理が特に好ましい。たとえば、第1の積層フィルムが長尺状であり、かかる長尺状の第1の積層フィルムを連続的に処理する場合は、乾燥炉中に第1の積層フィルムを通過させればよい。このときの乾燥炉は、40℃〜150℃の範囲、好ましくは50℃〜140℃に温度設定された温風を送風する。その際、該第1の積層フィルムの通過方向に対し交差する方向、及び対向する方向のいずれか一方又は両方から送風するとよい。こうすることにより、支持基材P上にある流延膜12Aから有機溶媒S等の揮発成分が乾燥(蒸発)除去され、前記支持基材P上に高分子電解質膜12が形成された第2の積層フィルムが形成される。
このようにして得られた第2の積層フィルムの高分子電解質膜12中には、まだ若干量の有機溶媒が含有されているため、この有機溶媒を洗浄溶媒で洗浄する。洗浄溶媒で洗浄することにより、外観等に優れる高分子電解質膜12が得られ易い。前記液状組成物の調製において好適な有機溶媒である、DMSO、DMF、DMAc、NMP若しくはGBL、又はこれらの組合せからなる混合溶媒を使用した場合、前記洗浄溶媒には純水、特に超純水を使用することが好ましい。
上述のように、第1の積層フィルムが長尺状であって連続的に走行している場合、乾燥炉を通過して連続的に形成された第2の積層フィルムは、たとえば洗浄溶媒を充填した洗浄槽中を通過させることにより洗浄することができる。また、乾燥炉を通過して連続的に形成された第2の積層フィルムを適当な巻芯に巻き取って巻取り体として後、この巻取り体を、洗浄処理を担う洗浄装置へと移し変え、移し変えた巻取り体から第2の積層フィルムを洗浄槽へと送り出す形式で洗浄を行うこともできる。こうすることで、第2の積層フィルムにある高分子電解質膜12の有機溶媒含有量を、より一層低減させることが可能である。
(工程(iv))
次に工程(iv)に関し説明する。図1(c)は工程(iv)を示す図である。工程(iv)においては、工程(iii)において形成された第2の積層フィルムから支持基材Pを剥離等によって除去することにより高分子電解質膜12を得る。
次に工程(iv)に関し説明する。図1(c)は工程(iv)を示す図である。工程(iv)においては、工程(iii)において形成された第2の積層フィルムから支持基材Pを剥離等によって除去することにより高分子電解質膜12を得る。
得られる高分子電解質膜12は好適な溶液キャスト法により得られたものであるため、実質的に貫通孔を有さない膜となる。なお、ここでいう「実質的に貫通孔を有さない」とは、ボイド等の微小貫通孔が高分子電解質膜12に形成されていないことを意味する。ただし、この高分子電解質膜12は、燃料電池の作動に支障のない程度の少数量のボイド又は小さい径のボイドであれば、当該ボイドを有するような膜であってもよい。
なお、工程(iii)と工程(iv)との間に、得られた第2の積層フィルムを塩酸や硫酸等の強酸に接触させる酸処理工程が含まれることとしてもよい。
また、上述の溶液キャスト法の説明では、主として支持基材Pが連続的に走行している場合を説明したが、無論、枚葉の支持基材Pを用いても、高分子電解質膜12を得ることができる。この場合、枚葉の支持基材P上に塗工された液状組成物は、適当な乾燥炉中に保管することで、有機溶媒を除去することができるし、このようにして得られた枚葉の第2の積層フィルムは、洗浄溶媒を備えた洗浄槽に浸漬等することで洗浄処理を行うことができる。
また、洗浄後の第2の積層フィルムは、支持基材Pを除去した後、残存又は付着している洗浄溶媒を乾燥除去させてもよいし、洗浄後の第2の積層フィルムをそのまま加熱等することで残存又は付着している洗浄溶媒を乾燥除去した後、支持基材Pを除去してもよい。
以上、溶液キャスト法による実質的に貫通孔を有さない高分子電解質膜12の製造方法を説明したが、この高分子電解質膜12には、高分子電解質及び含硫黄重合体の他の成分(その他の成分)を含有させることができる。
その他の成分としては、上述した、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤等の添加剤が挙げられる。
なお、これらその他の成分は、溶液キャスト法による成膜を行う際に、用いる高分子電解質組成物にこれらの成分を添加しておき、その他の成分が含まれる高分子電解質組成物を用いて上述の液状組成物を調製することで、高分子電解質膜に含有させるとよい。
[膜電極接合体]
次に、本実施形態の高分子電解質膜を有する膜電極接合体(MEA)について説明する。図2は、膜電極接合体を示す模式図である。本実施形態の膜電極接合体20は、本実施形態の高分子電解質膜12の両面に、触媒層14a,14bを接合することにより製造することができる。
次に、本実施形態の高分子電解質膜を有する膜電極接合体(MEA)について説明する。図2は、膜電極接合体を示す模式図である。本実施形態の膜電極接合体20は、本実施形態の高分子電解質膜12の両面に、触媒層14a,14bを接合することにより製造することができる。
触媒層14a,14bは、それぞれ、水素の酸化反応を活性化する触媒、及び酸素の還元反応を活性化する触媒を含む。このような触媒としては、公知の触媒を用いることができるが、白金又は白金系合金の微粒子を触媒として用いることが好ましい。白金又は白金系合金の微粒子は、活性炭や黒鉛等の粒子状又は繊維状のカーボンに担持されて用いられることとしてもよい。
触媒層14a,14bは、上述の触媒、高分子電解質及び高分子電解質を溶解し得る有機溶媒を混合して得られた触媒インクを、高分子電解質膜12の表面に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
[触媒組成物、触媒層]
また、図2における上記触媒層14a,14bの形成材料として、本実施形態の高分子電解質組成物と、上述の触媒(触媒成分)とを含む触媒組成物を用いることもできる。この触媒組成物を、触媒組成物に含まれる高分子電解質を溶解し得る有機溶媒と混合して触媒インクを調整し、この触媒インクを高分子電解質膜12の表面に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
また、図2における上記触媒層14a,14bの形成材料として、本実施形態の高分子電解質組成物と、上述の触媒(触媒成分)とを含む触媒組成物を用いることもできる。この触媒組成物を、触媒組成物に含まれる高分子電解質を溶解し得る有機溶媒と混合して触媒インクを調整し、この触媒インクを高分子電解質膜12の表面に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
このようにして得られる触媒層は、本実施形態の高分子電解質組成物が含まれているため、長期安定化に優れたものとなる。
また、このようにして得られる膜電極接合体は、高分子電解質膜12及び触媒層14a,14bの両方に本実施形態の高分子電解質組成物が含まれることとなるため、長期安定化に優れたものとなる。
(変形例)
なお、触媒組成物は、図3に示すように、ガス拡散層16の表面に触媒組成物を用いて調整した触媒インクを塗布し乾燥させることにより、ガス拡散層16と積層一体化した触媒層15を形成し、積層体30とするために用いてもよい。
なお、触媒組成物は、図3に示すように、ガス拡散層16の表面に触媒組成物を用いて調整した触媒インクを塗布し乾燥させることにより、ガス拡散層16と積層一体化した触媒層15を形成し、積層体30とするために用いてもよい。
ガス拡散層16は、積層体30が燃料電池に組み込まれた際に、触媒層15への原料ガスの拡散を促進する機能を有する層である。また、ガス拡散層16は、集電体として機能する導電性を有する多孔質材料により構成されることが好ましい。前記多孔質材料としては、多孔質性のカーボン不織布、又はカーボンペーパーが、原料ガスを触媒層15へ効率的に輸送することができるために好ましい。
積層体30は、高分子電解質膜12と接合させることで、図4に示すような、燃料電池用の膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)32を得ることができる。すなわち、一対の積層体30を用いて、それぞれの積層体30(30a,30b)が有する触媒層15(15a,15b)が、高分子電解質膜12に接するように(ガス拡散層16a,16bが高分子電解質膜12に接しないように)挟持し、高分子電解質膜12に接合させることで、膜電極ガス拡散層接合体32が得られる。
具体的な方法としては例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
また、このようにして得られる膜電極ガス拡散層接合体32中の膜電極接合体21は、高分子電解質膜12及び触媒層15a,15bの両方に本実施形態の高分子電解質組成物が含まれているため、長期安定化に優れたものとなる。
なお、図4の膜電極ガス拡散層接合体32では、本実施形態の高分子電解質膜12と積層体30とを用いることとして示しているが、本実施形態の高分子電解質膜12を用いることなく、公知の高分子電解質膜と積層体30とを用いて膜電極ガス拡散層接合体としてもよい。このような膜電極ガス拡散層接合体においても、積層体30が有する触媒層14には、本実施形態の高分子電解質組成物が含まれているため、長期安定化に優れたものとなる。
[燃料電池]
図5は、本発明の好適な一実施態様の膜電極接合体を有する燃料電池のセル(以下、単に燃料電池と称することがある。)についての縦断面図である。図5では、燃料電池10は、上述した図2の膜電極接合体20を備えている。
図5は、本発明の好適な一実施態様の膜電極接合体を有する燃料電池のセル(以下、単に燃料電池と称することがある。)についての縦断面図である。図5では、燃料電池10は、上述した図2の膜電極接合体20を備えている。
燃料電池10は、膜電極接合体20の両側に、これを挟むようにガス拡散層16a,16b及びセパレータ18a,18bを順に備えている。なお、膜電極接合体20及びガス拡散層16a,16bとからなる構造体は、上述した膜電極ガス拡散層接合体と同じものである。
触媒層14a、及び触媒層14bは、燃料電池10における電極層として機能する層である。触媒層14aには、水素の酸化反応を活性化する触媒が含まれ、負極として機能する。また、触媒層14bには、酸素の還元反応を活性化する触媒が含まれ、正極として機能する。
セパレータ18a,18bは、電子伝導性を有する材料で形成されている。セパレータ18a,18bは、触媒層14a,14b側に、燃料ガス等の流路となる溝(図示せず)が形成されていると好ましい。前記電子伝導性を有する材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレスが挙げられる。
以上のような燃料電池10は、少なくとも高分子電解質膜12に本実施形態の高分子電解質組成物が含まれているため、長期安定化に優れたものとなる。もちろん、触媒層14a,14bに、本実施形態の高分子電解質組成物が含まれるものとすると、より長期安定化に優れた燃料電池とすることができる。
このようにして製造された本実施形態の燃料電池は、燃料として、例えば、水素ガス、改質水素ガス、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
(その他)
なお、本実施形態の高分子電解質膜を用いた膜電極接合体及び燃料電池においては、高分子電解質膜中に導入した含硫黄重合体が、高分子電解質膜と接する触媒層へ移行することもある。このような移行は、前記高分子電解質膜の両面に触媒及びガス拡散層を接合する工程や、燃料電池の運転時等に起こることがある。なお、ここでの運転とは、燃料電池のエージング、起動、作動又は停止をさす。
なお、本実施形態の高分子電解質膜を用いた膜電極接合体及び燃料電池においては、高分子電解質膜中に導入した含硫黄重合体が、高分子電解質膜と接する触媒層へ移行することもある。このような移行は、前記高分子電解質膜の両面に触媒及びガス拡散層を接合する工程や、燃料電池の運転時等に起こることがある。なお、ここでの運転とは、燃料電池のエージング、起動、作動又は停止をさす。
このように、高分子電解質膜中に導入した含硫黄重合体が、高分子電解質膜と接する触媒層へ移行した形態も、前記の高分子電解質膜及び前記の触媒層と同様に、良好な長期安定性を発現できるため、好適である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
本実施例において合成した含硫黄高分子及び高分子電解質については、以下の方法を用いて物性を測定した。
本実施例において合成した含硫黄高分子及び高分子電解質については、以下の方法を用いて物性を測定した。
(分子量測定)
後述する含硫黄高分子の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
測定に際しては、含硫黄高分子(以下、「測定対象物」と称する)4mgを下記移動層溶媒8mLに溶解して、下記の測定条件で測定を行い、ポリスチレンを標準物質として換算することによって、測定対象物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出した。
(測定条件)
・カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−M
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
・検出:示差屈折率法
・標準物質:東ソー社製 標準ポリスチレン A300、A1000、A2500、A5000、F1、F2、F10、F40、F128、F288
後述する含硫黄高分子の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
測定に際しては、含硫黄高分子(以下、「測定対象物」と称する)4mgを下記移動層溶媒8mLに溶解して、下記の測定条件で測定を行い、ポリスチレンを標準物質として換算することによって、測定対象物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出した。
(測定条件)
・カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−M
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
・検出:示差屈折率法
・標準物質:東ソー社製 標準ポリスチレン A300、A1000、A2500、A5000、F1、F2、F10、F40、F128、F288
(イオン交換容量の測定)
後述する高分子電解質のイオン交換容量は、下記方法で測定した。
まず、測定に供する高分子電解質をキャスト製膜法により成膜して高分子電解質膜とし、得られた高分子電解質膜を適当な質量になるように裁断した。裁断した高分子電解質膜の乾燥質量を加熱温度110℃に設定されたハロゲン水分率計を用いて測定した。
次いで、このようにして乾燥させた高分子電解質膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加え、2時間放置した。その後、高分子電解質膜が浸漬された溶液に、0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えて中和点まで滴定を行い、中和に要した塩酸量を求めた。
そして、裁断した高分子電解質膜の乾燥質量及び中和に要した塩酸の量から、高分子電解質のイオン交換容量(単位:meq/g)を算出した。
後述する高分子電解質のイオン交換容量は、下記方法で測定した。
まず、測定に供する高分子電解質をキャスト製膜法により成膜して高分子電解質膜とし、得られた高分子電解質膜を適当な質量になるように裁断した。裁断した高分子電解質膜の乾燥質量を加熱温度110℃に設定されたハロゲン水分率計を用いて測定した。
次いで、このようにして乾燥させた高分子電解質膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加え、2時間放置した。その後、高分子電解質膜が浸漬された溶液に、0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えて中和点まで滴定を行い、中和に要した塩酸量を求めた。
そして、裁断した高分子電解質膜の乾燥質量及び中和に要した塩酸の量から、高分子電解質のイオン交換容量(単位:meq/g)を算出した。
[含硫黄高分子の合成]
(含硫黄重合体1の合成)
下記式(101)に従って、含硫黄重合体1を合成した。
(含硫黄重合体1の合成)
下記式(101)に従って、含硫黄重合体1を合成した。
アルゴン気流下の共沸蒸留装置を備えたフラスコに、4,4’−チオビスベンゼンチオール(9.34g)、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(15.0g)、スルホラン(219g)、炭酸カリウム(11.3g)、トルエン(110g)を加え、この混合物を150℃のオイルバスで4時間加熱し、トルエンを加熱還流することで系内の水分を共沸脱水した。生成した水とトルエンを留去した後、ここにトルエン(60g)を加え、この混合物を180℃のオイルバスで4.5時間加熱し、再度トルエンを加熱還流することで系内の水分を再度共沸脱水した。この後、トルエンと水分を留去した。この混合物を170℃に加熱し4.5時間保持した後、室温まで自然冷却した。ビーカーにメタノール(800g)を取り、得られた反応混合物を加え、生成した沈殿を濾過により取出した。得られた沈殿をメタノールで洗浄後、2mol/L塩酸で洗浄し、次いで水、メタノールで洗浄した。洗浄後、得られた沈殿を80℃で乾燥させ、含硫黄重合体1(19.1g)を得た。
(含硫黄重合体2の合成)
下記式(102)に従って、含硫黄重合体2を合成した。
下記式(102)に従って、含硫黄重合体2を合成した。
アルゴン気流下の共沸蒸留装置を備えたフラスコに、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(20.0g)、スルホラン(237g)、炭酸カリウム(12.8g)、トルエン(117g)を加え、この混合物を160℃のオイルバスで1.5時間加熱し、トルエンを加熱還流することで系内の水分を共沸脱水した。この後、生成した水とトルエンを留去した。この混合物を内温130℃まで自然冷却した後、含硫黄重合体1(6.0g)を加え、180℃のオイルバスで5時間加熱した後、室温まで自然冷却した。
ビーカーにメタノール(800g)及び2mol/L塩酸(400g)を取り、得られた反応混合物を加え、生成した沈殿を濾過により取出した。得られた沈殿を水、次いでメタノールで洗浄後、乾燥させた。この得られた生成物をジメチルアセトアミド(18.5g)に溶解させた。ビーカーにメタノール(250g)及び6mol/L塩酸(50g)を取り、得られたジメチルアセトアミド溶液を加え、生成した沈殿を濾過により取出した。得られた沈殿を水、次いでメタノールで洗浄後、乾燥させることで含硫黄重合体2(4.65g)を得た。
上述した方法で測定したところ、含硫黄重合体2は、数平均分子量2000、重量平均分子量3800であった。
上述した方法で測定したところ、含硫黄重合体2は、数平均分子量2000、重量平均分子量3800であった。
[高分子電解質の合成]
後述する合成方法により、下記式(103)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(104)で示されるイオン交換基を実質的に有しないセグメントとを有する高分子電解質Aを合成した。
下記条件に基づいてGPC測定をしたところ、得られた高分子電解質Aは、イオン交換容量=4.6meq/g、数平均分子量2.83×105、重量平均分子量6.90×105であった。
(GPC測定条件)
・カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−M
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
・検出:示差屈折率法
・標準物質:ポリスチレン
後述する合成方法により、下記式(103)で示されるスルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(104)で示されるイオン交換基を実質的に有しないセグメントとを有する高分子電解質Aを合成した。
下記条件に基づいてGPC測定をしたところ、得られた高分子電解質Aは、イオン交換容量=4.6meq/g、数平均分子量2.83×105、重量平均分子量6.90×105であった。
(GPC測定条件)
・カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−M
・カラム温度:40℃
・移動相溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量:0.5mL/分
・検出:示差屈折率法
・標準物質:ポリスチレン
(合成方法)
(1.重合体aの合成)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、窒素雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル10.2g(54.7mmol)、炭酸カリウム8.32g(60.2mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド96g、トルエン50gを加えた。バス温155℃で2.5時間トルエンを加熱還流することで系内の水分を共沸脱水した。生成した水とトルエンを留去した後、室温まで放冷し、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン22.0g(76.6mmol)を加えた。バス温を160℃に昇温し、14時間保温撹拌した。
(1.重合体aの合成)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、窒素雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル10.2g(54.7mmol)、炭酸カリウム8.32g(60.2mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド96g、トルエン50gを加えた。バス温155℃で2.5時間トルエンを加熱還流することで系内の水分を共沸脱水した。生成した水とトルエンを留去した後、室温まで放冷し、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン22.0g(76.6mmol)を加えた。バス温を160℃に昇温し、14時間保温撹拌した。
放冷後、反応液を、メタノール1000gと35質量%塩酸200gとの混合溶液に加え、析出した沈殿を濾過した後、イオン交換水で中性になるまで洗浄し、乾燥した。
得られた粗生成物27.2gをN,N−ジメチルアセトアミド97gに溶解し、不溶物を濾過した後、メタノール1100gと35質量%塩酸100gとの混合溶液に加え、析出した沈殿を濾過した後、イオン交換水で中性になるまで洗浄し、乾燥し下記式(105)で表されるイオン交換基を実質的に有しないセグメントを誘導する重合体(重合体a)を25.9g得た。
上記高分子電解質のGPC測定条件で測定したところ、前駆体aは、数平均分子量1700、重量平均分子量3200であった。
上記高分子電解質のGPC測定条件で測定したところ、前駆体aは、数平均分子量1700、重量平均分子量3200であった。
(2.重合体bの合成)
次に、アルゴン雰囲気下、フラスコに無水臭化ニッケル2.12g(9.71mmol)、N−メチルピロリドン96gを加え、バス温70℃で攪拌した。無水臭化ニッケルが溶解したのを確認した後、バス温を50℃に冷却し、2,2’−ビピリジル1.82g(11.7mmol)を加え、ニッケル含有溶液を調製した。
次に、アルゴン雰囲気下、フラスコに無水臭化ニッケル2.12g(9.71mmol)、N−メチルピロリドン96gを加え、バス温70℃で攪拌した。無水臭化ニッケルが溶解したのを確認した後、バス温を50℃に冷却し、2,2’−ビピリジル1.82g(11.7mmol)を加え、ニッケル含有溶液を調製した。
アルゴン雰囲気下、フラスコに重合体a4.02g、N−メチルピロリドン384gを加え50℃に調整した。得られた溶液に、亜鉛粉末3.81g(58.2mmol)、メタンスルホン酸1質量部とN−メチルピロリドン9質量部との混合溶液1.05g、及び、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)24.0g(45.9mmol)を加え、50℃で30分間撹拌した。これに、上述のニッケル含有溶液を注ぎ込み、50℃で6時間重合反応を行い、黒色の重合溶液を得た。
得られた重合溶液を、13質量%塩酸3360gに投入し、室温で30分間撹拌した。生じた沈殿を濾過した後、13質量%塩酸3360gを加え、室温で30分間撹拌し、濾過し、イオン交換水で濾液のpHが4を越えるまで洗浄した。得られた粗ポリマーに、イオン交換水840gと、メタノール790gを加え、バス温90℃で1時間加熱撹拌した。粗ポリマーをろ過し、乾燥することで、下記式(106)で示される、スルホン酸前駆基(スルホン酸(2,2−ジメチルプロピル基))を有するセグメントと、下記式(107)で示されるセグメントと、を含む重合体(重合体b)を23.9g得た。
(3.高分子電解質Aの合成)
上述の重合体bを23.9g、イオン交換水47.8g、無水臭化リチウム15.9g(183mmol)及びN−メチルピロリドン478gをフラスコに入れ、バス温126℃で12時間加熱撹拌し、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液を13質量%塩酸3340gに投入し、1時間攪拌した。析出した粗ポリマーを濾過し、メタノール10質量部と35%塩酸10質量部との混合溶液2390gで洗浄する操作を3回繰り返した。その後、濾液のpHが4を越えるまでイオン交換水で洗浄した。その後、得られたポリマーをイオン交換水に浸漬させ、90℃以上に昇温し、約10分間加熱保温し濾過する洗浄操作を、5回繰り返した。得られたポリマーを乾燥することにより下記(108)で示される繰り返し単位からなる、スルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(109)で示されるイオン交換基を実質的に有しないセグメントとを含む高分子電解質Aを17.3g得た。
上述の重合体bを23.9g、イオン交換水47.8g、無水臭化リチウム15.9g(183mmol)及びN−メチルピロリドン478gをフラスコに入れ、バス温126℃で12時間加熱撹拌し、ポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液を13質量%塩酸3340gに投入し、1時間攪拌した。析出した粗ポリマーを濾過し、メタノール10質量部と35%塩酸10質量部との混合溶液2390gで洗浄する操作を3回繰り返した。その後、濾液のpHが4を越えるまでイオン交換水で洗浄した。その後、得られたポリマーをイオン交換水に浸漬させ、90℃以上に昇温し、約10分間加熱保温し濾過する洗浄操作を、5回繰り返した。得られたポリマーを乾燥することにより下記(108)で示される繰り返し単位からなる、スルホン酸基を有するセグメント(イオン交換基を有するセグメント)と、下記式(109)で示されるイオン交換基を実質的に有しないセグメントとを含む高分子電解質Aを17.3g得た。
1H−NMRスペクトルを測定し、高分子電解質Aでは、重合体bが有する2,2−ジメチルプロポキシスルホニル基が定量的にスルホン酸基に変換されていることを確認した。
[実施例1]
(高分子電解質膜1の作製)
上述のように重合して得られた高分子電解質AをN−メチル−2−ピロリドンに溶解して、濃度が6.5質量%の高分子電解質組成物溶液を調製した。併せてここに含硫黄重合体2(高分子電解質A/含硫黄重合体2の質量比=100質量%/5質量%)を添加し、溶解させることで高分子電解質組成物溶液を調製した。得られた高分子電解質組成物溶液を、スロットダイを用いて、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基板と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して成膜した。
得られた膜を2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで、高分子電解質膜1を作製した。膜厚は10μmであった。
(高分子電解質膜1の作製)
上述のように重合して得られた高分子電解質AをN−メチル−2−ピロリドンに溶解して、濃度が6.5質量%の高分子電解質組成物溶液を調製した。併せてここに含硫黄重合体2(高分子電解質A/含硫黄重合体2の質量比=100質量%/5質量%)を添加し、溶解させることで高分子電解質組成物溶液を調製した。得られた高分子電解質組成物溶液を、スロットダイを用いて、支持基材である巾300mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績社製、E5000グレード、厚さ100μm)に連続的に流延塗布して、流延膜を形成した。その後、支持基板と流延膜とを連続的に100℃に設定した熱風ヒーター乾燥炉へと搬送し、溶媒を除去して成膜した。
得られた膜を2N硫酸に2時間浸漬後、イオン交換水で水洗し、更に風乾した後に支持基材から剥離することで、高分子電解質膜1を作製した。膜厚は10μmであった。
得られた高分子電解質膜1を用い、燃料電池セルを組み立てた後、燃料電池セルの運転を行い、高分子電解質膜1の安定性を評価した。燃料電池セルの組み立て、及び高分子電解質膜1の耐久性評価は、以下の記載の方法により行った。
(燃料電池セルの組み立て)
(1.触媒インクの作成)
市販の5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、溶媒:水と低級アルコールの混合物)6.30gに、白金が担持された白金担持カーボン(SA50BK、エヌ・イー・ケムキャット製、白金含有量;50質量%)1.00g投入し、さらにエタノール43.45g、水6.43gを加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌して触媒インクを得た。
(1.触媒インクの作成)
市販の5質量%ナフィオン(登録商標)溶液(アルドリッチ社製、溶媒:水と低級アルコールの混合物)6.30gに、白金が担持された白金担持カーボン(SA50BK、エヌ・イー・ケムキャット製、白金含有量;50質量%)1.00g投入し、さらにエタノール43.45g、水6.43gを加えた。得られた混合物を1時間超音波処理した後、スターラーで5時間攪拌して触媒インクを得た。
(2.膜電極接合体の作製)
一方の表面に劣化防止剤層を形成した高分子電解質膜1について、劣化防止剤層を有さない表面の中央部における3cm×3cmの領域に、スプレー法にて上記の触媒インクを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は75℃に設定した。同様にして重ね塗りをした後、溶媒を除去してアノード触媒層を形成させた。アノード触媒層として14.2mgの固形分(白金目付け:0.6mg/cm2)が塗布された。
続いて、劣化防止剤層の上に同様に触媒インクを塗布して、カソード触媒層を形成させ膜電極接合体を得た。カソード触媒層として14.2mgの固形分(白金目付け:0.6mg/cm2)が塗布された。
一方の表面に劣化防止剤層を形成した高分子電解質膜1について、劣化防止剤層を有さない表面の中央部における3cm×3cmの領域に、スプレー法にて上記の触媒インクを塗布した。この際、吐出口から膜までの距離は6cm、ステージ温度は75℃に設定した。同様にして重ね塗りをした後、溶媒を除去してアノード触媒層を形成させた。アノード触媒層として14.2mgの固形分(白金目付け:0.6mg/cm2)が塗布された。
続いて、劣化防止剤層の上に同様に触媒インクを塗布して、カソード触媒層を形成させ膜電極接合体を得た。カソード触媒層として14.2mgの固形分(白金目付け:0.6mg/cm2)が塗布された。
(3.燃料電池セルの組み立て)
上述のようにして得られたMEAの両外側に、ガス拡散層としてカーボンクロスと、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータとを配し、さらにその外側に集電体及びエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効電極面積9cm2の燃料電池セルを組み立てた。
上述のようにして得られたMEAの両外側に、ガス拡散層としてカーボンクロスと、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータとを配し、さらにその外側に集電体及びエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効電極面積9cm2の燃料電池セルを組み立てた。
(高分子電解質膜1の耐久性評価)
作製した燃料電池セルを95℃に保ちながら、アノード触媒層側には低加湿状態の水素(25mL/分、背圧0.1MPaG)を供給し、カソード触媒層側には低加湿状態の空気(63mL/分、背圧0.05MPaG)を供給して、開回路と一定電流での負荷変動試験を行った。各原料ガスの加湿は水の入ったバブラーにガスを通すことで行い、水素バブラーの水温は45℃、空気用バブラーの水温は55℃とした。
この条件で燃料電池セルを500時間継続して作動させた。
作製した燃料電池セルを95℃に保ちながら、アノード触媒層側には低加湿状態の水素(25mL/分、背圧0.1MPaG)を供給し、カソード触媒層側には低加湿状態の空気(63mL/分、背圧0.05MPaG)を供給して、開回路と一定電流での負荷変動試験を行った。各原料ガスの加湿は水の入ったバブラーにガスを通すことで行い、水素バブラーの水温は45℃、空気用バブラーの水温は55℃とした。
この条件で燃料電池セルを500時間継続して作動させた。
耐久性評価を行った燃料電池セルから膜電極接合体を取り出し、エタノール/水の混合溶液(エタノール含有量:90質量%)に投入して超音波処理することで、アノード触媒層及びカソード触媒層を取り除いた。
次いで、試験前後における高分子電解質膜1をそれぞれ4mg秤量し、各高分子電解質膜1に対し、ジメチルスルホキシド8mLを添加して溶解させた後、25質量%テトラメチルアンモニウム水酸化物メタノール溶液10μLに浸漬し、100℃で2時間反応させた。
放冷後、得られた反応液の重量平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、上記高分子電解質のGPC測定条件で測定した。測定結果から、負荷変動試験前と試験後との親水セグメントの重量平均分子量、及び、負荷変動試験前と試験後との高分子電解質全体の重量平均分子量の維持率を算出した。この維持率が高いほど、高分子電解質の劣化が小さいことを示している。
次いで、試験前後における高分子電解質膜1をそれぞれ4mg秤量し、各高分子電解質膜1に対し、ジメチルスルホキシド8mLを添加して溶解させた後、25質量%テトラメチルアンモニウム水酸化物メタノール溶液10μLに浸漬し、100℃で2時間反応させた。
放冷後、得られた反応液の重量平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、上記高分子電解質のGPC測定条件で測定した。測定結果から、負荷変動試験前と試験後との親水セグメントの重量平均分子量、及び、負荷変動試験前と試験後との高分子電解質全体の重量平均分子量の維持率を算出した。この維持率が高いほど、高分子電解質の劣化が小さいことを示している。
[比較例1]
含硫黄重合体2を添加しないこと(高分子電解質Aのみを用いること)以外は、実施例1と同様にして高分子電解質膜2を作製した。また、実施例1の高分子電解質膜1の代わりに、高分子電解質膜2を用いること以外は、実施例1と同様に評価した。
含硫黄重合体2を添加しないこと(高分子電解質Aのみを用いること)以外は、実施例1と同様にして高分子電解質膜2を作製した。また、実施例1の高分子電解質膜1の代わりに、高分子電解質膜2を用いること以外は、実施例1と同様に評価した。
実施例1、比較例1の評価結果を表3に示す。
評価の結果、表3に示すように、含硫黄重合体2を用いて作成した高分子電解質膜1は、含硫黄重合体2を添加せず高分子電解質Aのみを用いて作成した高分子電解質膜2と比較して、負荷変動試験前後でも高分子電解質の分子量が高く維持されており、優れた長期安定性を有することが判明した。
以上の結果より、本発明の高分子電解質組成物が、高分子電解質膜、膜電極接合体、固体高分子形燃料電池に好適に用いられることが分かった。また、本発明の高分子電解質組成物は、触媒組成物として好適に用いることができる。
10…燃料電池、12…高分子電解質膜、12A…流延膜、12S…液状組成物、14a,14b…触媒層、15,15a,15b…触媒層、16,16a,16b…ガス拡散層、18a,18b…セパレータ、20…膜電極接合体、30,30a,30b…積層体、32…膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)、100…ダイ、P…支持基材、S…有機溶媒
Claims (13)
- 高分子電解質と含硫黄重合体とを含む高分子電解質組成物であって、
前記含硫黄重合体は、下記式(1)で表される第1の構造単位と、下記式(2)で表される第2の構造単位とを有する高分子電解質組成物。
- 前記含硫黄重合体の含有量が、前記高分子電解質100質量%に対して0.001質量%以上10質量%未満である請求項1に記載の高分子電解質組成物。
- 前記第2の構造単位が、下記式(4)で表される構造単位である請求項1または2に記載の高分子電解質組成物。
- 前記第1の構造単位が、下記式(5)で表される構造単位である請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子電解質組成物。
- 下記式(7)で表される構造単位を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子電解質組成物。
- 前記含硫黄重合体が、下記式(6)で表される構造を有する重合体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子電解質組成物。
- 前記高分子電解質のイオン交換容量が1.5meq/g以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子電解質組成物。
- 前記高分子電解質が、芳香族炭化水素系高分子電解質である請求項1〜7のいずれか1項に記載の高分子電解質組成物。
- 前記高分子電解質が、下記式(11a)、(12a)、(13a)又は(14a)で示されるイオン交換基を有する構造単位と、下記式(11b)、(12b)、(13b)又は(14b)で示されるイオン交換基を有しない構造単位と、を有する請求項8に記載の高分子電解質組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子電解質組成物を含有する高分子電解質膜。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子電解質組成物と、触媒成分と、を含有する触媒組成物。
- 請求項10に記載の高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持する触媒層と、を有する膜電極接合体。
- 請求項12に記載の膜電極接合体を有する固体高分子形燃料電池。
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