JP2013172707A - 農圃土壌の加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、農圃などの土壌を加温することによる農作物の栽培・育成を効率よく行える、蓄熱性に富み、放熱面積が大きく、傾斜地でも十分適用できる温熱管を採用した農圃土壌の加熱装置を提供する。
【解決手段】 農圃の土壌温度を上昇させるもので、土壌中に横方向に埋設され、かつ、電熱ヒータを取り囲んで砂鉄の蓄熱体を備えた複数の温熱管を並列状態に配設したものを一群とし、前記群の複数を横方向又は縦方向に配列したことを、また一群の温熱管の夫々に加熱電源装置から配線して並列的に給電することを特徴とし、また一群の各温熱管の両端部を載置するロの字状又はコの字状の函体を二列、温熱管に直交する方向で農圃土壌中に配設し、又は、一群の各温熱管の両端部をT型チーズ、ソケットやエルボを用いて並列状態に農圃土壌中に配設したことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】 農圃の土壌温度を上昇させるもので、土壌中に横方向に埋設され、かつ、電熱ヒータを取り囲んで砂鉄の蓄熱体を備えた複数の温熱管を並列状態に配設したものを一群とし、前記群の複数を横方向又は縦方向に配列したことを、また一群の温熱管の夫々に加熱電源装置から配線して並列的に給電することを特徴とし、また一群の各温熱管の両端部を載置するロの字状又はコの字状の函体を二列、温熱管に直交する方向で農圃土壌中に配設し、又は、一群の各温熱管の両端部をT型チーズ、ソケットやエルボを用いて並列状態に農圃土壌中に配設したことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、農圃などの土壌を加温することによって農作物の栽培・育成が効率よく行える農圃土壌の加熱装置に関し、詳しくは、それに用いられる加熱管を適正に配置する装置に関するものである。
近年、わが国において、農作物の栽培可能面積は増加する傾向になく、食糧自給率の低下が懸念され、また、食の安全も求められてきており、この点で、栽培・育成耕地である農圃における農作物の生産性が、これまで以上に重要な事項となって来ている。
農作物の生産性を向上し、季節により栽培・育成する農作物の種類の制約を緩和するため、即ち栽培・育成環境を良好にするための一手段として、太陽熱を利用するハウス栽培が盛んに行われてきている。また、従来、農作物の栽培・育成を阻害する土壌中の病害虫を防除し、駆除するために農薬が使用されてきたが、環境破壊や他の生物への薬害の回避の点から、農薬の使用が禁止され、制約されるようになってきた。この農薬の代わりに、夏季の太陽熱を利用して土壌の温度を上昇させて病害虫の防除、駆除する方法が採用されるようになっている。
この太陽熱は夏季には利用できるが、冬季には十分利用できなく、また、太陽熱による土壌加温も表土には有効であるが、土壌の深い部分ではその加温が効きにくい問題があった。この問題に対して、出願人は有効な手段として下記の先行技術を開示した〔参考文献1〕
特開2009−72202公報(〔0007〜0012〕、〔図1〜3〕)
前記先行技術である農圃土壌の加熱装置は、図6に示すように、蓄熱体として、熱伝達性がよく、体積当たりの蓄熱量が大きくとれる砂鉄を用いた大径の電熱ヒータの温熱管2であり、前記温熱管2から土壌への放熱作用が良好で、土壌の加温が効率よく均一に行うことができる。これにより、特に冬期において、農作物の栽培・育成において生産性が向上し、品質も維持改善を図ることができる。また、本装置は、温熱管2が水平状態のみならず、傾斜状態でも設置して適用できると共に、2〜5.5m単位の温熱管2をジョイント11して全長の長いユニットとして使用できる。
しかし、前記先行技術は、畝に沿って埋設した温熱管2を直列状態で電気的接続10を行う配置を採っておるので、直列接続した温熱管への電気供給は加熱電源装置12からの供給電圧を上げる必要があり、農圃において漏電、感電を招来する危険性があった。また、一本の温熱管2のヒータが断線しても、直列状態にある全体の温熱管2が作動しないおそれがあった。また、前記埋設された温熱管2の断線箇所を見付け出すことも容易でなく、しかも、温熱管2の取替え作業も難しく、この保守保全に関して容易でないという問題があった。
本発明は、これらの問題を解決したものであって、温熱管の電気的接続方法を変え、また多数の温熱管を並列に配置して設置し易くすることにより、温熱管の設置を適切に、かつ容易とし、また、故障の温熱管を見付けることや取替えを容易にすることができる農圃土壌の加熱装置を提供するものである。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る農圃土壌の加熱装置は、農圃の土壌温度を上昇させるもので、土壌中に横方向に埋設され、かつ、電熱ヒータを取り囲んで砂鉄の蓄熱体を備えた温熱管を多数配設した農圃土壌の加熱装置において、複数の温熱管を並列状態に配設したものを一群とし、前記群の複数を横方向又は縦方向に配列したことを特徴とする。また、請求項2に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項1に記載の農圃土壌の加熱装置において、前記一群の温熱管の夫々に加熱電源装置から並列的に配線して給電することを特徴とする。
温熱管は、外径30〜150mm程度、長さ2〜5.5mのものを1ユニットとして、内部に電熱ヒータを取り囲んで比熱が高く、熱伝導率の高い砂鉄を蓄熱体として充填して構成される。これら電熱ヒータを熱源とする温熱管から土壌中へ放熱するので、土壌を長時間にわたり、斑なく加温することができる。これら複数の温熱管を土壌中に並列状態に配設したものを一群とし、前記群の複数を横方向又は縦方向にマトリックス状に配列した加熱装置を採用することにより土地面積の大小に拘わらず、かつ、農圃の形状に左右されず、農圃土壌を効率よく加熱することができる。このように一群の温熱管を並列状態に配設することは、土壌中の基礎面上に温熱管を並べて設置し易く、土壌中の温熱管の位置精度を上げて、土壌を効率よく加熱でき、かつ、土壌中に埋設された温熱管の保守、修理も容易にできる。
また、各温熱管へ加熱電源装置からの給電も並列に配線して行う構成をとることにより、温熱管同士を直列的に配線するのに比べ、全体の温熱管への供給電圧を低くすることができる。この供給電圧を低くすることが、装置からの漏電や作業者の感電事故のおそれが少なくなる。また、設備の損傷の頻度が少なくなり、設備の稼働率が向上する。また、電熱ヒータの断線等により温熱管が故障しても、その温熱管のみが加熱の機能が働かないだけで、一群の温熱管全体への給電は確保できるので、その悪影響を最低限に留めることができる。
また、請求項3に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項1又は2記載の農圃土壌の加熱装置において、前記一群の各温熱管の両端部を載置する受け部を設けたロの字状又はコの字状の函体を二列、温熱管に直交する方向で農圃土壌中に配設したことを特徴とする。また、請求項4に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項1から3のいずれかに記載の農圃土壌の加熱装置において、前記函体が、温熱管を中心にして上下に分割できるように構成されていることを特徴とする。また、請求項5に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項1から4のいずれかに記載の農圃土壌の加熱装置において、前記函体が、耐食性のある金属製又は合成樹脂製であることを特徴とする。
これらの構成により、一群の温熱管を並列状態に配置して、土壌中の基礎面に温熱管を並べて設置する際に、基礎面に設置された支持装置である二列の函体の受け部上に各温熱管を差し渡して置くだけで設置できるから、温熱管の設置作業が容易で、精度よく行える。また、函体を上下に二分割しているので、函体の上部のみを取外して行うことにより、温熱管の設置又は取外し作業が容易となる。また、温熱管の端部、即ち電熱ヒータの挿入部が函体の内部に位置するので、土壌と直接接触することがなく、腐食とか漏電のおそれが少ない。また、函体の材質は耐食性の金属または合成樹脂であるから、製作も容易で、温熱管の支持、土壌中への設置についても、機能を十分発揮できる。
また、請求項6に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項1又は2記載の農圃土壌の加熱装置において、前記一群の各温熱管の両端部を夫々T型チーズに嵌合して接続すると共に、隣り合うT型チーズをソケットにより接続して、前記温熱管群を並列状態に一体化して農圃土壌中に配設したことを特徴とする。また、請求項7に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項1又は2記載の農圃土壌の加熱装置において、前記一群の各温熱管の両端部を夫々T型チーズに嵌合して接続すると共に、隣り合うT型チーズをエルボにより接続して、前記温熱管群を並列状態に一体化して農圃土壌中に配設したことを特徴とする。また、請求項8に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項6又は7に記載の農圃土壌の加熱装置において、前記T型チーズ、ソケット或いはエルボが、耐食性のある金属製又は合成樹脂製であることを特徴とする。
これらの構成により、一群の温熱管を並列状態に配置して、土壌中の基準面に温熱管を並べて設置する際に、温熱管の各端部にT型チーズの足の継手部分を取り付け、隣り合うT型チーズの両手の端部をソケットにより嵌め込み又は差込み接続を行うことで、温熱管を規則正しく並列状態にして土壌中に配設できる。この場合、T型チーズの両手部分の接続をソケットを用いて行うと、並列状態にある温熱管群を水平状態又は傾斜状態を保って配設することが容易である。また、ソケットの代わりにエルボを用いてT型チーズ同士を接続すれば、エルボの角度だけ隣り合うT型チーズの角度を変えられ、即ち隣り合う温熱管の並びを水平から角度を振ることができるので、温熱管を一段づつ、又は全体を階段状に設置することも可能で、階段状の畝を持つ農圃に適用できる。また、T型チーズ、ソケットやエルボ等の組み合わせにより各温熱管の端面は土壌から隔離された空間部に位置するので、温熱管に供給する電気や測温のケーブルの設置が容易であり、また損傷や漏電の恐れも皆無となる。また、T型チーズ、ソケットやエルボの材質は耐食性の金属または合成樹脂であるから、製作も容易で、温熱管の支持、土壌中への設置についても、機能を十分発揮できる。
また、請求項9に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項3から5のいずれかに記載の農圃土壌の加熱装置において、前記函体の中空部に、各温熱管のヒータに接続する配線ケーブル及び前記配線ケーブルの端部と主配線に接続する配線ジョイントを収納したことを特徴とする。
この構成により、函体の中空部に各温熱管のヒータに接続する配線ケーブル及び前記配線ケーブルの端部と主配線に接続する配線ジョイントを収納しているので、配線ケーブル、配線ジョイントが土壌中に露出せず、土壌中への漏電やそれに伴う農圃作業者への感電事故を皆無にできる。また、電熱ヒータの断線を含んだ温熱管の取替えの際、配線ケーブル等の脱着作業が簡易で、安全に実施できる。
また、請求項10に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項6から8のいずれかに記載の農圃土壌の加熱装置において、前記T型チーズ、ソケット又はエルボの中空部に、各温熱管のヒータに接続する配線ケーブル及び前記配線ケーブルの端部と主配線に接続する配線ジョイントを収納したことを特徴とする。
この構成により、T型チーズ、ソケット又はエルボの中空部に各温熱管のヒータに接続する配線ケーブル及び前記配線ケーブルの端部と主配線に接続する配線ジョイントを収納しているので、配線ケーブル、配線ジョイントが土壌と完全に隔離することができるので、土壌中への漏電やそれに伴う農圃作業者への感電事故を皆無にできる。また、電熱ヒータの断線を含んだ温熱管の取替えの際、配線ケーブル等の脱着作業が簡易で、安全に実施できる。
また、請求項11に係る農圃土壌の加熱装置は、請求項2から10のいずれかに記載の農圃土壌の加熱装置において、前記加熱電源装置に、前記温熱管内の所定位置の蓄熱体温度を設定温度範囲内に制御する電熱ヒータの加熱制御装置を付加して備えたことを特徴とする。
この構成により、また、温熱管に充填した蓄熱体の所定位置の温度を、例えば、60℃から200℃の範囲で制御すると、蓄熱体への過熱と低熱が防止できることと、さらに、前述の過熱防止に伴い電熱ヒータへの通電を間歇的にすることができるので、例えば、需要量が少ない夜間電力の活用を図ることができ、ひいては、地球環境の改善にも寄与することができる。
本発明に係る請求項1から2に記載の農圃土壌の加熱装置によれば、熱伝達性がよく、体積当たりの蓄熱量が大きくとれる砂鉄を用いた温熱管であるので、複数の温熱管を土壌中に並列状態に配設したものを一群とし、複数の群を横方向又は縦方向にマトリックス状に配列することにより、土地面積の大小や農圃の形状に左右されず、配設が容易に行えるし、また、農圃土壌を効率よく加熱することができる。また、各温熱管への給電も並列に配線して行うので、全体の温熱管への供給電圧を低くくできる。これにより、装置からの漏電や農圃作業者の感電事故のおそれや設備の損傷が少なくなり、設備の稼働率が向上し、また農圃作業の安全面の向上に寄与できる。また、電熱ヒータの断線等により一本の温熱管が故障しても、温熱管全体への給電が確保できるので、その悪影響を最低限に留められる。
また、本発明に係る請求項3から5及び請求項9,11に記載の農圃土壌の加熱装置によれば、土壌基礎面に設けた二列の函体の受け部に各温熱管を差し渡して設置できるから、温熱管の設置作業が容易で、精度よく行える。また、函体を上下に二分割しているので、函体の上部が取外しでき、温熱管の設置又は取外し作業が容易となる。また、温熱管の端部、即ち電熱ヒータの挿入部が函体の内部に位置するので、土壌と直接接触することがなく、腐食とか漏電のおそれが少ない。また、函体の中空部に各温熱管に接続する配線ケーブル及び主配線との配線ジョイントを収納できるので、配線ケーブル、配線ジョイント等が土壌中に露出せず、土壌中への漏電やそれに伴う農圃作業者への感電事故を皆無にできる。また、温熱管の取替えの際、配線ケーブル等の脱着作業も簡易で、安全に実施できる。
また、本発明に係る請求項6から8及び請求項10,11に記載の農圃土壌の加熱装置によれば、土壌基準面に温熱管を並列状態に維持した温熱管群の設置作業が容易で、精度よく行える。また、T型チーズをソケット又はエルボを介して接続しているので、温熱管の設置又は取外し作業が容易となる。また、温熱管の端部、即ち電熱ヒータの挿入部がT型チーズ等の内部空間に設置できるので、土壌と直接接触することがなく、腐食とか漏電のおそれがほとんどない。また、T型チーズ等の中空部に各温熱管に接続する配線ケーブル及び主配線との配線ジョイントを収納できるので、配線ケーブル、配線ジョイント等が土壌中に露出せず、絶縁して設置できるから、土壌中への漏電やそれに伴う農圃作業者への感電事故を皆無にできる。また、温熱管の取替えの際、配線ケーブル等の脱着作業も簡易で、安全に実施できる。
本発明に係わる農圃土壌の加熱装置を実施するための形態について図1〜7を用いて説明する。図1は、本発明の実施するための形態に係る農圃土壌の加熱装置であって、模式的全体斜視図である。また、図2は、図1の模式的平面配置図である。図1は、本発明に係る農圃土壌の加熱装置1の代表的な適用例を示す。加熱装置1は、土壌20中に、複数本の温熱管2を並列状態に配設し、かつ並列的に配線ケーブル10で結線した一群の温熱管2を縦方向に複数列に配列したものである。図2には、一群の温熱管2を縦方向に5列配置した農圃Aを示す。また、複数の温熱管2を並列に通電と測温を司る配線ケーブル10に接続される加熱電源制御装置12が一群の温熱管2をユニットとして、群毎に設置されている。図2の農圃Aの面積が25m×40m(約一反)とすれば、60mm径の温熱管2を10本、2mピッチで並列状態で配設した一群を縦方向に5列配置したことを例示している。このように、農圃Aの大きさに従い、一群を構成する温熱管2の数、一群を縦方向や横方向にマトリックス状に配置する群数を適宜設定して加熱装置1を設置することができる。
図1、図3b、cに示すように、温熱管2は、農圃Aを構成する畝Bの土壌20中に埋設されており、栽培・育成する作物にもよるが、地表面から約20〜50cmの深さにある。温熱管2は、外径30〜150mm程度、長さ2〜5.5mのものを1ユニットとして、内部に電熱ヒータ2aを取り囲んで比熱が高く、熱伝導率の高い砂鉄を蓄熱体2bとして充填して構成される。これら電熱ヒータ2aを熱源とする温熱管2から土壌20中へ放熱するので、土壌20を長時間にわたり、斑なく加温することができる。これら複数の温熱管2を土壌20中に並列状態に配設したものを一群とし、前記群の複数を横方向又は縦方向にマトリックス状に配列した加熱装置の様式により農圃A面積の大小に拘わらず、かつ、農圃Aの形状に左右されず、農圃土壌20を効率よく加熱することができる。このように一群の温熱管2を並列に配置することは、土壌20中の基礎面に温熱管2を並べて設置し易く、土壌20中に温熱管2の位置精度を上げて、土壌加熱を効率よくできるし、また、土壌20中に埋設された温熱管2の保守、修理も容易にできる。
また、図2に示すように、各温熱管2へ加熱電源装置12からの給電も並列に配線して行う構成をとることにより、温熱管2同士を直列的に配線するのに比べ、温熱管2全体への供給電圧を低くすることができる。この供給電圧を低くすることにより、加熱装置1からの漏電や感電事故のおそれを少なくし、かつ、加熱装置1の故障・損傷を少なくして、設備の稼働率が向上し、また農圃Aにおける作業の安全面を確保できる。また、電熱ヒータ2aの断線等により温熱管2が故障しても、その温熱管2のみが機能しないだけで、一群の温熱管2全体への給電は確保できるので、電熱ヒータ2aの不具合による加熱装置1全体への悪影響を最低限に留めることができる。
図3a,b,cに示すように、農圃土壌の加熱装置1は、一群の各温熱管2の両端部を載置する受け部5a、5bを付設した断面ロの字状の函体4a,4bからなる支持装置3を二列、温熱管2に直交する方向で土壌中20に配設している。また、支持装置3の二列の函体4aは複数の連結具6により連結固定され、函体4同士の水平および平行度を確保している。また、支持装置3の函体4a、4bは、温熱管2を中心として上下に二分割している。また、函体4a,4bは耐食性のある金属製又は合成樹脂製である。これらの構成により、一群の温熱管2を並列状態に置いて、土壌20中の基礎面に温熱管2を並べて設置する際に、基礎面上に設置された二列の支持装置3である函体4aの受け部5aの上に各温熱管2を差し渡して設置した後、函体4bを被せて固定すれば、温熱管2の設置、固定作業が容易で、精度よく行える。また、函体4bは長手方向に適宜分割しているので、温熱管2の作業又は取外し作業が短い函体4bのみを取外して行えるから容易である。また、温熱管2の端部、即ち電熱ヒータ2aの挿入部が函体4の内部に位置するので、土壌20と直接接触することがなく、腐食とか漏電のおそれが少ない。また、函体4の材質は耐食性の金属または合成樹脂であるから、製作も容易で、温熱管2の支持、土壌20中への設置についても、機能を十分発揮できる。
函体4の中空部に、各温熱管2のヒータに接続する配線ケーブル10及び前記配線ケーブルの端部と主配線に接続する配線ジョイント11を収納する。これにより、函体4の中空部に各温熱管2のヒータ2a及び温度センサ2fに接続する配線ケーブル10及び配線ケーブル10の端部と主配線に接続する配線ジョイント11を収納しているので、配線ケーブル10、配線ジョイント11が土壌20中に露出せず、土壌20への漏電やそれに伴う農圃A作業者への感電事故を皆無にできる。また、電熱ヒータ2aの断線等に基く温熱管2の取替えの際、配線ケーブル10等の脱着作業が簡易で、安全に実施できる。
また、図4a,b,cに示すように、農圃土壌の加熱装置1は、一群の温熱管2を定型のT型チーズ7及びソケット8を介して所定の間隔で並列状態にして土壌中20に配設する。すなわち、温熱管2の端部にT型チーズ7の足元の継手部に嵌め合わせると共に、T型チーズ7の両手の継手部をソケット8により嵌め込み又は差し込んで接続するものである。これにより温熱管2の両端部を夫々のT型チーズ7と確実に嵌合することができ、またT型チーズ7の手部を隣り合うT型チーズ7の手部とをソケット8を用いて接合又は接続することにより、各温熱管2の両端部を夫々T型チーズ7とソケット8を介して連結して確実に位置固定することができるから、全体として、温熱管2群を規則正しく並列状態に配設することができる。この結果、T型チーズ7とソケット8を介して連結した温熱管2群を水平状態又は傾斜状態にして土壌20中に配設することが容易であり、また経年的にもその設置状態が狂わない。また、図5に示すように、ソケット8に代えて、エルボ9を用いることができる。ソケット8は二つの管を直線状に接続すのに対し、エルボ9は接続する管の方向が種々の角度、例えば45°エルボ、90°エルボがあり、またこれらを組み合わせることで、隣り合うT型チーズ7の方向を傾斜方向に変えることができるので、図5に示すように階段状の畝であっても温熱管2群を地形に合わせて階段状に配設することができる。また、T型チーズ7、ソケット8やエルボ9の長さを変えるだけで、温熱管2同士の間隔(ピッチ)を変更することも容易である。
また、T型チーズ7、ソケット8及びエルボ9は、耐食性のある金属製又は合成樹脂製である。耐食性のある金属としては、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等を採用することができ、経済性を考慮すれば、鋼製が好ましい。また、合成樹脂としては、強度、耐食性、耐熱性を考慮して硬質ポリ塩化ビニール、ポリエチレン等を用いることができる。これらの構成により、一群の温熱管2を並列状態に置いて、土壌20中の基礎面に温熱管2を並べて設置する際に、各温熱管2の両端の円筒部分に夫々T型チーズ7の足元部を嵌め合わせる。次いで、温熱管2の端部のT型チーズ7と隣り合う温熱管2の端部のT型チーズ7とをソケット8又はエルボ9を用いて接続する。この接続作業を繰り返すことによって、温熱管2群を並列状態にして、かつ、水平状態又は傾斜状態にして土壌20中に設置することができる。このように温熱管2の設置、固定作業が容易で、精度よく行える。また、T型チーズ7と接続するソケット8又はエルボ9は、温熱管2と直交する方向に適宜分割しているので、温熱管2の作業又は取外し作業が接続部分であるソケット8又はエルボ9のみを取外して行えるから容易である。また、温熱管2と接続するT型チーズ7の耐熱性が問題になる場合には、温熱管2とT型チーズ7との間に断熱材7aを介在させて嵌め合わせることで対応できる。
また、温熱管2群の両端部と接合するT型チーズ7とそれに接合するソケット8又はエルボ9は土壌20や土壌20中の水が浸入する余地がない閉鎖状態の管路を形成している。この両側の管路内に各温熱管2のヒータに接続する配線ケーブル10及び前記配線ケーブルの端部と主配線に接続する配線ジョイント11を収納するので、各温熱管2対して並列に配線することが容易である。この接続作業は、温熱管2をT型チーズ7とソケット8又はエルボ9を用いて接続する際に合わせて行うことができる。また、各温熱管2のヒータ2a及び温度センサ2fに接続する配線ケーブル10及び配線ケーブル10の端部と主配線に接続する配線ジョイント11を収納しているので、配線ケーブル10、配線ジョイント11が土壌20と隔離されているので、土壌20への漏電やそれに伴う農圃Aの作業者への感電事故を皆無にできる。また、電熱ヒータ2aの断線等に基く温熱管2の取替えの際、配線ケーブル10等の脱着作業が簡易で、安全に実施できる。
また、温熱管2は、図6に示すように、直径30〜150mm径、長さ2〜5.5mの金属製又は耐熱の合成樹脂製の管本体2cと、中心部に蓄熱体2bを加熱する電熱ヒータ2aを設け、電熱ヒータ2aを取り囲んで蓄熱体2bが充填され、蓄熱体2bの所定位置に温度センサ2fを単数又は複数個設けており、また、熱伝導性の高い材料の管本体2cの場合において、温熱管2の下部(加熱する方向の反対側)には、詳しくは、中心より60〜90°の円弧部分の管本体2cに接して、発泡スチロール板等の断熱材2eとアルミ板等の熱反射板2dを重ねて設け、蓄熱体2bの熱が、加熱を必要としない土壌部分に対向している管本体2cの下部に、輻射と伝導による伝熱で熱が逃げるのを防いだ構成にしている。また、前述の温熱管2の直径と長さは代表例であって、この数値に拘束されることはない。
蓄熱体2bは、微粒の砂鉄を密充填して構成される。前記砂鉄は、粒度が0.2mm前後と小さく、比重が約4.5と砂の2.0と比べても倍以上ある。また、温熱管2内に均一に砂鉄を充填する場合には、温熱管2内に電熱ヒータ2aを中心に設けた後に、温熱管2を垂直又は傾斜状態に置いて、管本体2cに振動を与えながら一端から砂鉄を充填すると、確実に充填することができる。また、熱伝導率が、砂(0.3W/m.K)や土壌(0.14W/m.K)に比べ、砂鉄は2−3W/m.Kと大きいから、蓄熱に際し、蓄熱体2bの嵩比重が大きいこともあって、蓄熱量が大きくとれ、しかも、密充填にしているので、温度上昇が均一で早くできるという特徴がある。そして、放熱に際しても、その蓄熱量が十分生かされて、土壌20への加温を良好に行うことができる。また、砂鉄は、主成分が磁鉄鉱、チタン鉄鉱から構成され、融点も1200℃前後と高く、例えば100〜500℃の使用温度域では性状が変化しない物質であり、蓄熱体4としては好適である。また、砂鉄は固体粉末であるから、温熱管2が水平の状態のみならず、傾斜の状態でも、その蓄熱、放熱の作用、効果に悪影響が出ない。
また、管本体2cの材質は、前記温熱管2は土壌20中に埋設される放熱管でもあるから、熱伝達性がよい材料を選択し、さらに、周囲を土壌から冷やされるとはいえ、材料によっては60〜200℃の耐熱性が求められる。また、内部に充填物があるので、管本体2cが径方向に座屈する危険性が少ないことから、ある程度の強度でよい。これらの点から、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の耐食性のある金属製管を採用することができ、とりわけ経済性を考慮すれば、鋼製管が好ましい。また、合成樹脂製管でも、熱伝達性がよく、ある程度(60〜200℃)の耐熱性のある塩化ビニール、ポリエチレン又はグラス繊維入りポリエチレンテレフタレート(FRPET)製の管を用いることができる。
また、電熱ヒータ2aは、発熱温度が500〜600℃程度でよく、また、蓄熱体2bである砂鉄の中に埋没して設置されることから、シース付ニクロム線ヒータを使用するのが好ましい。また、前述したように、加熱装置12の加熱制御は、温度制御を主としたもので、前記温熱管2内の中間位置又は中間の2点の蓄熱体2bの温度を温度センサ2fで測定して、その温度又は平均温度が設定温度範囲内(例えば、下限60℃と上限200℃の間)をヒステリシスに制御するために、電熱ヒータ2aの通電を間歇的に行うことで、通電量(電圧、電流)を調節することが好ましい。この上下限の設定温度は、土壌20の目標温度を、例えば40〜60℃と定めれば、それを目途に決めることができる。このヒステリシス加熱は、蓄熱体2bに貯熱容量の大きい砂鉄を用いることで可能になる。また、通電が間歇的に行えるので、深夜電力を積極的に活用することも可能で、その際は通電プログラム制御を備えていることが好ましい。また、電熱ヒータ2aを中心に周りを砂鉄の充填を妨げない蜂の巣状フィン(図示しない)を取り付けて蓄熱体2bへの熱伝達を向上することができる。また、電熱ヒータ2aの温度制御を感熱線を用いて行うことも可能である。
配線ケーブル10は、図1、2、3、4にも示しているが、各温熱管2の電熱ヒータ2aの電源配線と温度センサ2fの測温配線とを並列的に配線することができ、各温熱管2の配線は夫々独立している。加熱制御装置12は、温度制御を主としたもので、前記温熱管2内の蓄熱体2bの所定位置での温度を温度センサ2fで測定して、その温度が設定温度範囲内になるように制御するための電熱ヒータ2aの通電量(電圧、電流)を調節する装置である。また、深夜電力を積極的に活用する通電プログラム制御を備えていることが好ましい。
本発明に係る農圃土壌の加熱装置1の代表的な適用例を図1,2,7に示す。図1,7に示すように、農圃Aは、複数列の畝Bよりなり、畝Bの土壌20に作物21が栽培・育成される。そして、本発明に係る農圃土壌の加熱装置1の一群の温熱管2が函体4で支持されて、前記土壌20中に約20〜50cmの深さで埋設され、土壌20を加熱する構成である。そして、通常、土壌20の加温や保温を効率よくするために、ハウスCやトンネルを畝Bの上に掛けている。なお、本図では、加熱装置1を構成する一群の温熱管2を畝B方向に直角に配置しているが、畝B方向に対して平行に配置することも可能であって、温熱管2の加熱効果やその保守・保全の観点から適宜決めることができる。また、本図では、温熱管2を函体4で支持された適用例を示しているが、函体4の代わりにT型チーズ7とソケット8又はエルボ9を用いた温熱管2の支持形態については図4を参酌できる。
冬季には太陽熱が不足がちであるが、前記温熱管2からの放熱温度を40〜60℃にすれば、農作物21の育成を促進したり、育成期間を短縮することができる。特に、冷え込む夜間に通電して土壌20を加温し、昼間は通電を控えて、温熱管2の蓄熱体2bが保有する熱量を利用して土壌20の加温を行うことが本発明の加熱制御装置12を用いることにより可能となる。
また、土壌消毒であるが、本発明によれば、埋設した温熱管2から強制的加熱ができるので、土壌20の温度を40〜60℃に上げて、土壌20中の害虫や病原菌などを死滅させることができ、十分な深さの土壌消毒が可能である。また、土壌20の温度を80℃前後に上げれば、土壌20中にある雑草の種子を死滅させることができる。このように、温熱管2を農圃全体に効率よく配設することで、病害虫の駆除・予防や雑草の生成防止・除草を行うことができる。また、この土壌消毒法によれば、野菜等の農作物の栽培・育成に際し、苗を移植する前の休耕期間中に、前記温熱管2で土壌20を加熱して消毒し、その後苗を育成して病害虫や雑草から農作物を守ることができる。また、夏季の土壌消毒においては、太陽熱を併用するのも有効で、省エネルギーの方法である。
農業分野において、農圃土壌のみならず、水耕栽培においても、深夜電力を利用したヒステリシス加熱ができる加熱装置として利用できる。これにより二酸化炭素の削減に寄与して地球環境の保全に貢献できる。
1:加熱装置 2:温熱管 2a:電熱ヒータ 2b:蓄熱体
2c:管本体 2d:熱反射板 2e:断熱材 2f:温度センサ
3: 支持装置 4a,b:函体 5a,b:管受板 6:連結具
7:T型チーズ 7a:断熱材 8:ソケット 9:エルボ
10:配線ケーブル 11:配線ジョイント 12:加熱電源制御装置
20:土壌 21:作物
A:農圃 B:畝 C:ハウス
2c:管本体 2d:熱反射板 2e:断熱材 2f:温度センサ
3: 支持装置 4a,b:函体 5a,b:管受板 6:連結具
7:T型チーズ 7a:断熱材 8:ソケット 9:エルボ
10:配線ケーブル 11:配線ジョイント 12:加熱電源制御装置
20:土壌 21:作物
A:農圃 B:畝 C:ハウス
Claims (11)
- 農圃の土壌温度を上昇させるもので、土壌中に横方向に埋設され、かつ、電熱ヒータを取り囲んで砂鉄の蓄熱体を備えた温熱管を多数配設した農圃土壌の加熱装置において、複数の温熱管を並列状態に配設したものを一群とし、前記群の複数を横方向又は縦方向に配列したことを特徴とする農圃土壌の加熱装置。
- 前記一群の温熱管の夫々に加熱電源装置から並列的に配線して給電することを特徴とする請求項1に記載の農圃土壌の加熱装置。
- 前記一群の各温熱管の両端部を載置する受け部を設けたロの字状又はコの字状の函体を二列、温熱管に直交する方向で農圃土壌中に配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の農圃土壌の加熱装置。
- 前記函体が、温熱管を中心にして上下に分割できるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の農圃土壌の加熱装置。
- 前記函体が、耐食性のある金属製又は合成樹脂製であることを特徴とする請求項3又は4に記載の農圃土壌の加熱装置。
- 前記一群の各温熱管の両端部を夫々T型チーズに嵌合して接続すると共に、隣り合うT型チーズをソケットにより接続して、前記温熱管群を並列状態に一体化して農圃土壌中に配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の農圃土壌の加熱装置。
- 前記一群の各温熱管の両端部を夫々T型チーズに嵌合して接続すると共に、隣り合うT型チーズをエルボにより接続して、前記温熱管群を並列状態に一体化して農圃土壌中に配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の農圃土壌の加熱装置。
- 前記T型チーズ、ソケット或いはエルボが、耐食性のある金属製又は合成樹脂製であることを特徴とする請求項6又は7に記載の農圃土壌の加熱装置。
- 前記函体の中空部に、各温熱管のヒータに接続する配線ケーブル及び前記配線ケーブルの端部と主配線に接続する配線ジョイントを収納したことを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の農圃土壌の加熱装置。
- 前記T型チーズ、ソケット又はエルボの中空部に、各温熱管のヒータに接続する配線ケーブル及び前記配線ケーブルの端部と主配線に接続する配線ジョイントを収納したことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の農圃土壌の加熱装置。
- 前記加熱電源装置に、前記温熱管内の所定位置の蓄熱体温度を設定温度範囲内に制御する電熱ヒータの加熱制御装置を付加して備えたことを特徴とする請求項2から10のいずれかに記載の農圃土壌の加熱装置。
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JP2012167831A JP2013172707A (ja) | 2012-01-25 | 2012-07-28 | 農圃土壌の加熱装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015155763A1 (en) * | 2014-04-09 | 2015-10-15 | Roots Sustainable Agricultural Technologies Ltd. | Heat delivery system and method |
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-
2012
- 2012-07-28 JP JP2012167831A patent/JP2013172707A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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