JP2013172225A - 無線通信装置の調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力モードの切替え機能を備えた無線通信装置に対してILPC特性を改善する。
【解決手段】電力モードとして複数のモードを有する送信部を備え、さらに前記送信部の増幅器のゲインを制御するゲイン制御値と送信電力との対応を含む送信電力制御テーブルを、前記複数のモードに対応して備えた無線通信装置の送信電力の調整にあたり、(A)各ゲイン制御値に対応する送信電力を測定して前記送信電力制御テーブルを作成する調整処理を、モード毎に個別に行い、(B)モード間での切替を行い、前記モード切替時前後で送信電力を測定する処理を、予め定められた複数のゲイン制御値に対して行い、前記測定した送信電力で、前記(A)の調整処理で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルを修正し、(C)隣接するゲイン制御値の送信電力の差電力が規格外の場合、対応するゲイン制御値の送信電力欄にスキップするための情報を格納する。
【選択図】図11
【解決手段】電力モードとして複数のモードを有する送信部を備え、さらに前記送信部の増幅器のゲインを制御するゲイン制御値と送信電力との対応を含む送信電力制御テーブルを、前記複数のモードに対応して備えた無線通信装置の送信電力の調整にあたり、(A)各ゲイン制御値に対応する送信電力を測定して前記送信電力制御テーブルを作成する調整処理を、モード毎に個別に行い、(B)モード間での切替を行い、前記モード切替時前後で送信電力を測定する処理を、予め定められた複数のゲイン制御値に対して行い、前記測定した送信電力で、前記(A)の調整処理で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルを修正し、(C)隣接するゲイン制御値の送信電力の差電力が規格外の場合、対応するゲイン制御値の送信電力欄にスキップするための情報を格納する。
【選択図】図11
Description
本発明は無線通信装置に関し、特に、携帯電話端末等に適用して好適な装置と調整方法に関する。
携帯電話端末等の無線通信装置では、低消費電力化の観点から、出力パワー(送信電力)によってバイアス電圧を制御し、モードを例えば2段階(HPM(High Power Mode)/LPM(Low Power Mode))や3段階(HPM/MPM(Medium Power Mode)/LPM)と切替える電力増幅器(PA:Power Amplifier)が主流になっている。なお、複数の送信モード(高出力モードと低出力モード)を持つ無線通信装置として例えば特許文献1等の記載が参照される。
このため、無線通信装置において、電力増幅器のモード切替え時における過渡応答等によって、例えば出力電力(送信電力)のずれが発生し、ILPC(Inner Loop Power Control:内部ループ電力制御)特性が規格外になる例が発生することが知られている。ここで、ILPC特性とは、3GPP(3rd Generation Partner Project)で規定されている送信電力制御に関する特性の一つであり、端末(UE:User Equipment)と基地局(NodeB/eNodeB)間での電力制御に関するものである。
なお、ILPCは、例えば基地局で受信信号品質(例えばSIR(Signal to Interference Ratio:信号電力対干渉電力比))を測定し、該SIRの測定結果を閾値と比較し、該SIRが閾値よりも高い場合、送信電力レベルを下げるように指示する送信電力コマンド(TPC:Transmission Power Command)を端末(UE)に送信し、該SIRが閾値よりも低い場合には、送信電力レベルを上げるように指示する送信電力コマンドを端末に送信し、SIRが目標値に維持されるように制御する。このような制御を行うことで、基地局において配下の複数の端末(UE)からの受信電力を一定に維持することを可能としている。
本発明が解決しようとする課題について以下に概説する。
はじめに、電力増幅器におけるモード切替え時の過渡応答等によるILPC特性の劣化について説明する。
図1に、参考例として、HPM/LPMの2モード電力増幅器において、モード切替え時の電力増幅器の電源電圧(Vcc)の挙動(出力電力と電源電圧の特性)の一例を模式的に示す。図1において、横軸は電力増幅器の出力電力(Output Power)、縦軸は電源電圧(Vcc)である。図1においてHPMの特性曲線(実線)とLPMの特性曲線(破線)の相違は、例えば電力増幅器のバイアス(バイアス電流等)の相違に基づく。各特性曲線において、一定の電源電圧Vccに対する出力電力(Output Power)の変化は、電力増幅器を駆動する励振増幅器のゲイン(利得)の変化に対応する。なお、励振増幅器のゲインは電力増幅器の検波出力に基づき制御回路(AGC(Auto Gain Control))回路)等により自動で制御される。
図2、図3に、参考例として、HPMからLPMのモード切替え時、LPMからHPMのモード切替え時の電力増幅器の過渡応答の例をそれぞれ模式的に示す。図2、図3には、ILPC特性の規格外となる場合が例示されており、HPMとLPMのモード切替の前後における:
(a)電力モード:Mode、
(b)電力増幅器の電源電圧:Vcc(理想)、
(c)電力増幅器の出力電力(送信電力):Power変動(理想)、
(d)電力増幅器の電源電圧:Vcc(実動作)、
(e)電力増幅器の出力電力(送信電力):Power変動(実動作)
が示されている。図2、図3において、横軸は時間である。
(a)電力モード:Mode、
(b)電力増幅器の電源電圧:Vcc(理想)、
(c)電力増幅器の出力電力(送信電力):Power変動(理想)、
(d)電力増幅器の電源電圧:Vcc(実動作)、
(e)電力増幅器の出力電力(送信電力):Power変動(実動作)
が示されている。図2、図3において、横軸は時間である。
図2に模式的に示すように、電源電圧(Vcc)は、HPMからLPMにモードが切替わると上昇する。理想的には、モード切替え時に、瞬時に電源電圧Vccが上昇するのが望ましい(図2(b)のVcc(理想)参照)。しかしながら、実際には、モード切替え時における電源電圧Vccの上昇は緩やかである(図2(d)のVcc(実動作)参照)。このため、HPMからLPMに切替わった後、定常状態になるまで出力電力(Power)は変動する(図2(e)のPower変動(実動作)参照)。同様に、LPMからHPMに切替わった後(図3)も、電源電圧Vccの下降は緩やかであり、定常状態になるまで出力電力(Power)は変動する(図3(e)のPower変動(実動作)参照)。
モード切替え時の電力増幅器の出力電力(Power)の変動の影響等により、ゲインが変動し、その結果、ILPC特性の劣化につながる。
なお、電力増幅器は、CPU(Central Processing Unit)等処理装置からのモード切替信号により、HPM/LPMモード等に切り替えられる(例えば特許文献1の図1等参照)。
近年のフィーチャーフォン(通話機能を主体としその他カメラ機能やワンセグ等特徴的な機能を備えた高機能端末の通称)からスマートフォン(インターネット対応のPCベースのタッチパネル携帯端末)へのシフトで、端末(UE)の消費電力が多くなり、低消費電力化の観点から、APT(Average Power Tracking)技術が採用されている。APTとは、電源(Vcc)をDC/DCコンバータで降圧、最適化し、無線特性(ACLR:Adjacent Channel Leakage Ratio:隣接チャネルリーク比)に影響が無い最低電圧のところで電力増幅器(PA)を動作させ、消費電力を削減させる技術である。
しかしながら、APTを導入することで、モード切替え時の電源電圧(Vcc)の変動が大きくなることによるゲイン変動が大きくなり、さらにILPC特性が劣化する、という課題がある。
一般的に、モード切替え機能を備えた電力増幅器を用いた無線通信装置の送信電力の調整は、モード毎に行われている。後述するように、モード毎に個別に行う調整を「通常調整」ともいう。
図4、図5は、無線通信装置の調整と動作を説明する図であり、無線通信装置内に保持される送信電力制御(TPC:Transmission Power Control)テーブルの一部が示されている。この送信電力制御テーブルには、TXAGC(TX Auto Gain Control:TX(RF(Radio Frequency)送信部)の自動利得制御)の値(コード)と送信電力値(Power)の対応が表形式で記憶されている。TXAGCとPowerの対応表であることから、本明細書では、「TXAGC−Powerテーブル」(送信自動利得制御・送信電力テーブル)という。TXAGCの欄(カラム)は、RF送信部(TX)における励振増幅器の利得を制御する所定ビット数のディジタル信号である。Powerの欄(カラム)は、当該TXAGCの値(コード)に対する電力増幅器の実際の送信電力値(出力電力値)である。
無線通信装置の調整時において、TXAGCに対応する送信電力値(Power)の測定結果は、TXAGC−Powerテーブルに格納される。
図4において、(A)、(B)は、HPMモードとLPMモードにおける、TXAGC−Powerテーブルの一部を示している。図4の例では、TXAGC−Powerテーブルの送信電力値(Power)は1ステップあたり0.7dBm(dBmは1mWを0dB(デシベル)としたもの)である。すなわち、TXAGCの値が1つ増えると、送信電力値(Power)は0.7dBm増加する。
例えば、HPM、LPMの2モードの場合、無線通信装置の調整時には、HPMとLPMのモードを切替えて2回の掃引を行う。1回の掃引では、TXAGC−PowerテーブルのTXAGCの値の下限値から上限値(あるいは上限値から下限値)までの各値を励振増幅器に設定して送信電力の測定を行い、測定結果(送信電力値)をTXAGC−Powerテーブルの対応する行のPowerに格納する。なお、送信電力の測定にあたり、無線通信装置からは、TXAGCに対応するゲインと設定されたモードで増幅されたバースト信号が出力され、測定器で測定が行われる。
図4の(A)、(B)のTXAGC−Powerテーブルにおいて、四角で囲んだ行((A)のTXAGC=80と、(B)のTXAGC=87)は、モード切替の閾値に対応している。なお、HPMとLPM間でのモード切替の閾値の送信電力(Power)は12dBmに設定されている。
電力増幅器がHPMモードで動作時、TXAGCが「80」、すなわち、送信電力(Power)が12dBmとなると、これより低い値の送信電力については、モード切替により、LPMモードとなり、LPMモードで対応するTXAGCの値は「87」となり、送信電力(Power)は10.9dBとなる。
図4に示すように、調整どおりに動作していれば、送信電力は、
・モード切替前のHPMで+12.0dBm、
・モード切替後のLPMで+10.9dBm、
となり、その差電力ΔPowerは、
ΔPower=(+10.9)−(+12.0)
=−1.1dB
となる。
・モード切替前のHPMで+12.0dBm、
・モード切替後のLPMで+10.9dBm、
となり、その差電力ΔPowerは、
ΔPower=(+10.9)−(+12.0)
=−1.1dB
となる。
モード切替前後の電力の差ΔPower(1ステップサイズの差電力)に関してILPC特性の仕様(3GPP(Third Generation Partnership Project)の仕様、例えば3GPP TS 34.121-1 V10.0.0 (2011-09) 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; User Equipment (UE) conformance specification; Radio transmission and reception (FDD); Part 1: Conformance specification(Release 10) 5.4.2A Inner Loop Power Control in the Uplink for DC-HSUPA、5.4.2A.5 Test requirements、Table 5.4.2A.5.1: Transmitter power control range参照)によれば、
−0.4dB〜−1.6dB
である。このため、上記ΔPower=−1.1dBは、ILPC特性の仕様に収まっており、問題はない。
−0.4dB〜−1.6dB
である。このため、上記ΔPower=−1.1dBは、ILPC特性の仕様に収まっており、問題はない。
無線通信装置の実動作時も、調整どおりに動作するのであれば、問題ないが、実際は、上記したように、モード切替え時の過渡応答によるパワーのズレが発生するため、モード切替え時点でのILPC特性が劣化する。
無線通信装置の実動作時のモード切替え時のパワーは、図5に模式的に示すように、HPMモードにおいてTXAGC=80に対する送信電力(Power)=+12.0dBmから、LPMモードに切り替わると、TXAGC=87に対する送信電力(Power)は+10.3dBmとなり、差電力ΔPowerは
ΔPower=(+10.3)−(+12.0)
=−1.7dB
となる。この場合、差電力ΔPowerは、ILPC特性の仕様:−0.4dB〜−1.6dBから外れ、不可(N/A:Not Applicable)となる。
ΔPower=(+10.3)−(+12.0)
=−1.7dB
となる。この場合、差電力ΔPowerは、ILPC特性の仕様:−0.4dB〜−1.6dBから外れ、不可(N/A:Not Applicable)となる。
なお、図5では、HPMモードでのTXAGC−PowerテーブルのTXAGC=80以下のTXAGCに対するテーブルの内容として、破線で示すように、LPMモードでのTXAGC−PowerテーブルのTXAGC=80以下のテーブルの内容をつなげて示している。HPMモードでTXAGC=80以下(送信電力=12dBm以下)については、LPMモードへのモード切替後、LPMモードでのTXAGC=87以下の利得制御により、送信電力が制御される。
このように、モード切替え時において電源電圧Vccの変動が大きくなることによる、電力増幅器のゲインの変動が大きくなり、さらに、ILPC特性が劣化する。
無線通信装置の送信電力の調整では、モード切替え時の送信電力の変動は考慮されていないため新たな調整手法が必要となってくる(本発明者の知見)。
したがって、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、電力モードの切替機能を備えた無線通信装置に対して、ILPC特性の改善を可能とする調整方法と装置を提供することある。
本発明の1つの側面によれば、送信信号を出力する電力モードとして複数のモードを有する送信部と、前記モードの切替えを制御する処理装置を備え、さらに前記送信部の増幅器のゲインを制御するゲイン制御値と送信電力値との対応を含む送信電力制御テーブルを、前記複数のモードに対応して備えた無線通信装置の送信電力の調整にあたり、
(A)各ゲイン制御値に対応する送信電力を測定して前記送信電力制御テーブルを作成する調整処理を、モード毎に個別に行い、
(B)予め定められた複数のゲイン制御値の各々に対して、複数のモード間でモードの切替えを行い前記モード切替えに連動し前記切替え前後で送信電力を測定し、前記モード切替えに連動して測定した送信電力で、前記(A)で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルを修正する、無線通信装置の調整方法が提供される。
(A)各ゲイン制御値に対応する送信電力を測定して前記送信電力制御テーブルを作成する調整処理を、モード毎に個別に行い、
(B)予め定められた複数のゲイン制御値の各々に対して、複数のモード間でモードの切替えを行い前記モード切替えに連動し前記切替え前後で送信電力を測定し、前記モード切替えに連動して測定した送信電力で、前記(A)で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルを修正する、無線通信装置の調整方法が提供される。
本発明の別の側面によれば、送信信号を出力する電力モードとして複数のモードを有する送信部と、モードの切替えを制御する処理装置を備え、さらに、前記送信部の増幅器のゲインを制御するゲイン制御値と送信電力値との対応を含む送信電力制御テーブルを前記複数のモードに対応して備え、
複数のモードにそれぞれ対応する複数の前記送信電力制御テーブルは、送信電力調整時に、複数のモード間でモードの切替えを行い前記モード切替えに連動し前記切替え前後で測定された送信電力値を含む無線通信装置が提供される。
複数のモードにそれぞれ対応する複数の前記送信電力制御テーブルは、送信電力調整時に、複数のモード間でモードの切替えを行い前記モード切替えに連動し前記切替え前後で測定された送信電力値を含む無線通信装置が提供される。
本発明によれば、電力モードの切替え機能を備えた無線通信装置に対してILPC特性を改善することができる。
本発明の好ましい形態においては、送信信号を出力する電力モードとして複数のモードを有する送信部(TX)を備え、さらに前記送信(TX)部の増幅器のゲインを制御するゲイン制御値(TXAGC)と送信電力値(Power)との対応を含む送信電力制御テーブル(TXAGC−Powerテーブル)を、前記複数のモードに対応して備えた無線通信装置の送信電力の調整にあたり、以下のステップ(A)、(B)を含む。
(A)各ゲイン制御値(TXAGC)に対応する送信電力を測定して前記送信電力制御テーブルを作成する調整処理を、モード毎に個別に行い(図11のステップS11〜S14)。
(B)予め定められた複数のゲイン制御値の各々に対して、複数のモード間でモードの切替えを行い前記モード切替えに連動し前記切替え前後で送信電力を測定し、前記モード切替えに連動して測定した送信電力で、前記(A)で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルを修正する(図11のステップS15、図12)。
(A)各ゲイン制御値(TXAGC)に対応する送信電力を測定して前記送信電力制御テーブルを作成する調整処理を、モード毎に個別に行い(図11のステップS11〜S14)。
(B)予め定められた複数のゲイン制御値の各々に対して、複数のモード間でモードの切替えを行い前記モード切替えに連動し前記切替え前後で送信電力を測定し、前記モード切替えに連動して測定した送信電力で、前記(A)で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルを修正する(図11のステップS15、図12)。
本発明の好ましい形態においては、
(C)前記送信電力制御テーブル(TXAGC−Powerテーブル)の前記修正の結果、隣接するゲイン制御値の1ステップ当りの送信電力値の変化量が、予め定められた規格から外れている場合(図8(A)、(B)の※参照)、前記隣接するゲイン制御値のうち一方のゲイン制御値の送信電力欄に、送信電力制御において前記対応するゲイン制御値をスキップするための情報(図9(A)、(B)の「999」参照)を格納するようにしてもよい。
(C)前記送信電力制御テーブル(TXAGC−Powerテーブル)の前記修正の結果、隣接するゲイン制御値の1ステップ当りの送信電力値の変化量が、予め定められた規格から外れている場合(図8(A)、(B)の※参照)、前記隣接するゲイン制御値のうち一方のゲイン制御値の送信電力欄に、送信電力制御において前記対応するゲイン制御値をスキップするための情報(図9(A)、(B)の「999」参照)を格納するようにしてもよい。
本発明の好ましい形態においては、
前記(B)において、
・前記送信電力制御テーブルに対して、モードの切替えを行うために予め定められた送信電力の閾値に対応付けされるゲイン制御値をモード毎に決定し、前記送信電力制御テーブルに対して閾値前後の所定の範囲(例えば図6(A)、(B)の破線で囲んだ領域)をモード毎に設定し(図12のステップS21)、
・一つのゲイン制御値(TXAGC)に対する送信電力の測定毎にモードの切替えを行うことで前記所定の範囲の各ゲイン制御値(TXAGC)の送信電力を測定し(図7、図12のステップS22、S23)、
前記(C)において、
・前記(A)の調整処理(モード毎に個別の通常調整)で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルの前記修正として、前モード切替えに連動し前記切替え前後に測定した送信電力値(図7(C)、(D))で、前記送信電力制御テーブルの前記所定の範囲に対応する送信電力欄の値を更新する(図12のステップS24)ようにしてもよい。
前記(B)において、
・前記送信電力制御テーブルに対して、モードの切替えを行うために予め定められた送信電力の閾値に対応付けされるゲイン制御値をモード毎に決定し、前記送信電力制御テーブルに対して閾値前後の所定の範囲(例えば図6(A)、(B)の破線で囲んだ領域)をモード毎に設定し(図12のステップS21)、
・一つのゲイン制御値(TXAGC)に対する送信電力の測定毎にモードの切替えを行うことで前記所定の範囲の各ゲイン制御値(TXAGC)の送信電力を測定し(図7、図12のステップS22、S23)、
前記(C)において、
・前記(A)の調整処理(モード毎に個別の通常調整)で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルの前記修正として、前モード切替えに連動し前記切替え前後に測定した送信電力値(図7(C)、(D))で、前記送信電力制御テーブルの前記所定の範囲に対応する送信電力欄の値を更新する(図12のステップS24)ようにしてもよい。
本発明の好ましい形態においては、前記送信信号を出力する前記電力モードとして少なくとも第1、第2のモード(例えばHPM、LPM)を含み、
前記(B)において、
・前記第1、第2のモード(HPM、LPM)に対応する第1、第2の前記送信電力制御テーブルに対して、モードの切替えを行うために予め定められた送信電力の閾値に対応付けされる第1、第2のゲイン制御値(TXAGC)(例えば図6(A)の80、図6(B)の89)を決定し、前記第1、第2の前記送信電力制御テーブルに対して前記第1、第2のゲイン制御値前後の第1、第2の所定の範囲(例えば図6(A)、(B)の破線で囲んだ領域)を設定し(図12のステップS21)、
・一つのゲイン制御値(TXAGC)に対する送信電力の測定毎に、前記第1と第2のモードを交互に切替えていくことで(図7)、前記第1、第2の所定の範囲の各ゲイン制御値の送信電力を測定し(図12のステップS22、S23)、
・前記第1、第2のモード切替えに連動し前記切替え前後に測定した前記第1、第2の所定の範囲の各送信電力値(図7(C)、(D))で、前記(A)で作成した前記第1、第2の送信電力制御テーブルの前記第1、第2の所定の範囲にそれぞれ対応する送信電力欄の値を更新する、ようにしてもよい。
前記(B)において、
・前記第1、第2のモード(HPM、LPM)に対応する第1、第2の前記送信電力制御テーブルに対して、モードの切替えを行うために予め定められた送信電力の閾値に対応付けされる第1、第2のゲイン制御値(TXAGC)(例えば図6(A)の80、図6(B)の89)を決定し、前記第1、第2の前記送信電力制御テーブルに対して前記第1、第2のゲイン制御値前後の第1、第2の所定の範囲(例えば図6(A)、(B)の破線で囲んだ領域)を設定し(図12のステップS21)、
・一つのゲイン制御値(TXAGC)に対する送信電力の測定毎に、前記第1と第2のモードを交互に切替えていくことで(図7)、前記第1、第2の所定の範囲の各ゲイン制御値の送信電力を測定し(図12のステップS22、S23)、
・前記第1、第2のモード切替えに連動し前記切替え前後に測定した前記第1、第2の所定の範囲の各送信電力値(図7(C)、(D))で、前記(A)で作成した前記第1、第2の送信電力制御テーブルの前記第1、第2の所定の範囲にそれぞれ対応する送信電力欄の値を更新する、ようにしてもよい。
本発明の好ましい形態においては、前記(C)において、前記送信電力制御テーブルの修正の結果、前記所定の範囲内の上限又は下限のゲイン制御値の送信電力値と、前記上限又は下限のゲイン制御値に隣接するゲイン制御値の送信電力値の差電力が、前記規格外であるか判定し、前記規格外である場合(図8(A)、(B)の※参照)、前記所定の範囲内の上限又は下限、又は前記上限又は下限に隣接するゲイン制御値の送信電力欄に、送信電力制御において、前記ゲイン制御値をスキップするための情報(図9(A)、(B)の「999」参照)を設定するようにしてもよい。
本発明の好ましい形態においては、前記無線通信装置が、前記送信電力制御テーブルを、前記各モードに関して、複数の周波数区間のそれぞれに対して備え(図15参照)、前記無線通信装置の送信電力の調整にあたり、各周波数区間に関して、前記(A)乃至(C)の処理を行うようにしてもよい(図14参照)。
本発明の好ましい形態においては、前記無線通信装置が、前記送信電力制御テーブルを、前記各モードに関して、互いに異なるいくつかの設定温度のそれぞれに対して備え(図17参照)、前記無線通信装置の送信電力の調整にあたり、各設定温度に関して、前記(A)乃至(C)の処理を行うようにしてもよい(図16参照)。
本発明の好ましい形態においては、前記送信信号の周波数帯域を複数の周波数区間に分割し、前記無線通信装置が、前記送信電力制御テーブルを、前記各モードに関して、互いに異なるいくつかの設定温度、互いに異なる複数の周波数区間の組み合せに対して備え、前記無線通信装置の送信電力の調整にあたり、各設定温度にそれぞれに対して、前記各周波数区間に関して、前記(A)乃至(C)の処理を行うようにしてもよい(図18参照)。
本発明の好ましい形態によれば、無線通信装置の実動作時のパワー変動を再現するために、モード毎に個別に送信電力の調整(モード毎に個別に、送信電力測定を行いTXAGC−Powerテーブルを作成するもので、以下では、簡単のため「通常調整」という)を行った後に、本発明によって新規に提案される「モード切替え時パワー測定」を行う。「モード切替え時パワー測定」とは、例えばHPMで送信電力測定後、LPMへモードを切替えて送信電力を測定し、LPMで送信電力測定後、HPMへモードを切替えて送信電力を測定器で測定するという具合に、モードを交互に切替え、該切替に連動して切替前後に送信電力の測定を行う。本発明の好ましい形態によれば、「モード切替え時パワー測定」によるモード切替前後の送信電力値で、モード毎に個別に作成されたTXAGC−Powerテーブルを修正する。さらに、記各モードの送信電力制御テーブルの修正の結果、送信電力制御テーブルにおいて、TXAGCの1ステップあたりの送信電力値の変化量(ΔPower)が、予め定められた規格外である場合には、例えばTXAGCの隣のTXAGC±1のPowerの欄に、IPLCにおいて、当該TXAGC+1又は、当該TXAGC−1をスキップするための情報(予め定められた値等)を設定する。以下、いくつかの実施形態に即して説明する。
<実施形態1>
図6は、本発明の第1の実施形態におけるモード切替え時パワー測定を用いた調整の様子を表したものである。図6において、(A)、(B)は、モード毎に個別に送信電力を測定してTXAGC−Powerテーブルを作成する「通常調整」後の、HPM、LPMモードのTXAGC−Powerテーブル、(C)、(D)は、「モード切替え時パワー測定」後のHPM、LPMモードのTXAGC−Powerテーブルの一部を表している。
図6は、本発明の第1の実施形態におけるモード切替え時パワー測定を用いた調整の様子を表したものである。図6において、(A)、(B)は、モード毎に個別に送信電力を測定してTXAGC−Powerテーブルを作成する「通常調整」後の、HPM、LPMモードのTXAGC−Powerテーブル、(C)、(D)は、「モード切替え時パワー測定」後のHPM、LPMモードのTXAGC−Powerテーブルの一部を表している。
本実施形態では、「通常調整」を行った後に、「モードの切替え範囲」を設定する(図6の(A)、(B)の破線で囲んだ領域)。例えば、HPMとLPMのモード切替え閾値を+12dBmとした場合、HPMとLPMのTXAGC−Powerテーブルで、+12dBmに最も近い、TXAGCに対して、±2の範囲をモードの切替え範囲に設定する。図6の(A)では、TXAGCが78〜82の範囲、図6の(B)では、TXAGCが87〜91の範囲をモードの切替え範囲とする。
そして、「モードの切替え範囲」で「モード切替え時パワー測定」を行う。すなわち、HPMとLPMをモードを切替えながら、無線通信装置の送信電力(Power)を測定し、測定した送信電力値を、TXAGCに対応するPowerの欄に設定し、HPMとLPMのTXAGC−Powerテーブルを修正する(図6の(C)、(D)参照)。
「モードの切替え範囲」に対する「モード切替え時パワー測定」について、図7を参照して説明する。図7(A)、(B)は「通常調整」後のHPMとLPMのTXAGC−Powerテーブルである図6(A)、(B)の破線で囲んだモードの切替え範囲に対応する。図7(A)、(B)には、「モード切替え時パワー測定」の測定順序の一例が矢印で示されている。図7(C)、(D)は、「モード切替え時パワー測定」による「モードの切替え範囲」のHPMとLPMの送信電力値の測定結果を示している。図7(C)、(D)の測定結果で、図6(A)、(B)の「通常調整」後のHPMとLPMのTXAGC−Powerテーブルを修正した結果が、図6(C)、(D)にそれぞれ対応し、図6(C)、(D)の破線で囲んだモードの切替え範囲(修正後のHPMとLPMのTXAGC−Powerテーブル)は、図7(C)、(D)に対応する。
はじめに電力増幅器をHPMモードとし(無線通信装置のCPUにより電力モードを設定する)、TXAGC=82として送信電力を、測定器で測定し((図7(C):実測Power=13.4dBm)、その後、LPMモードに切替え(無線通信装置のCPUにより電力モードを設定する)、TXAGC=91として送信電力を測定器で測定する(図7(D):実測Power=13.1dBm)。
再び、電力増幅器をHPMモードに切替え、「モードの切替え範囲」の上限のTXAGC=81として送信電力を測定器で測定し(図7(C):実測Power=13.2dBm)、LPMモードに切替え、TXAGC=90として送信電力を測定器で測定する(図7(D):実測Power=12.5dBm)。
再び、電力増幅器をHPMモードに切替え、TXAGC=80として送信電力を測定器で測定し(図7(C):実測Power=12.4dBm)、次に、LPMモードに切替え、TXAGC=89として送信電力を測定器で測定する(図7(D):実測Power=11.9dBm)。
再び、電力増幅器をHPMモードに切替え、TXAGC=79として送信電力を測定器で測定し(図7(C):実測Power=11.8dBm)、次に、LPMモードに切替え、TXAGC=88として送信電力を測定器で測定する(図7(D):実測Power=11.0dBm)。
再び、電力増幅器をHPMモードに切替え、「モードの切替え範囲」の下限のTXAGC=78として送信電力を測定器で測定し(図7(C):実測Power=11.0dBm)、次に、LPMモードに切替え、TXAGC=87として送信電力を測定器で測定する(図7(D):実測Power=10.3dBm)。
こうすることで、HPMとLPMのTXAGC−Powerテーブルにおいて、無線通信装置の実動作時と同様の、モード切替え時の送信電力(Power)の変動を再現することができる。
「モード切替え時パワー測定」の測定結果(図7(C)、(D))で、HPMとLPMのTXAGC−Powerテーブルを修正する(図6(C)、(D)参照)。この結果、無線通信装置の実動作時のILPC特性の劣化を改善することができる。
なお、電力モードとして、例えばHPM、MPM、LPM等の3つのモードがある場合の「モード切替え時パワー測定」では、「モードの切替え範囲」内の各TXAGCに対して、例えば、HPMでの送信電力測定→モード切替→MPMでの送信電力測定→モード切替→LPMでの送信電力測定→モード切替→HPMでの送信電力測定→モード切替→・・・という具合に、モード切替処理と測定が連動して行われる。なお、モード切替の順番として、LPM→モード切替→MPM→モード切替→HPM・・・等であってもよい。
TXAGC−Powerテーブルにおいて、モード毎個別に調整が行われる「通常調整」による調整箇所と、本実施形態による「モード切替え時パワー測定」で修正した箇所の境目で、ILPC特性が仕様に対して不可(N/A:Not Applicable)となる可能性がある。
図8(A)、(B)は、HPMとLPMモードのTXAGC−Powerテーブルにおいて、「モード切替え時パワー測定」で修正した箇所の境目でILPC特性が規格外となる場合の例を示している。図8(A)、(B)において、破線で囲んだ領域は、「モードの切替え範囲」に対応し、「モード切替え時パワー測定」によるテーブル修正箇所(図6(C)、(D)の破線で囲んだ領域)を表している。
図8(A)では、記号※で指示するように、「モード切替え時パワー測定」で測定されたTXAGC=81とTXAGC=82の1ステップの送信電力の差分ΔPowerは、
ΔPower=(+13.2)−(+13.4)
=−0.2dB
となり、IPLC特性の仕様の下限:±0.4dBに対して規格外となり不可(N/A)となる。
ΔPower=(+13.2)−(+13.4)
=−0.2dB
となり、IPLC特性の仕様の下限:±0.4dBに対して規格外となり不可(N/A)となる。
図8(B)では、記号※で指示すように、「モード切替え時パワー測定」で測定されたTXAGC=87とその境界のTXAGC=86の1ステップの送信電力の差分ΔPowerは、
ΔPower=(+10.3)−(+10.2)
=0.1dB
となり、IPLC特性の仕様の下限:±0.4dBに対して規格外となり、不可(N/A)となる。
ΔPower=(+10.3)−(+10.2)
=0.1dB
となり、IPLC特性の仕様の下限:±0.4dBに対して規格外となり、不可(N/A)となる。
そこで、HPMとLPMのTXAGC−Powerテーブルにおいて、破線で囲んだ範囲が、「モード切替え時パワー測定」によるテーブル修正箇所であり、その境目の部分で、TXAGCを1つスキップ(飛ばす)させる処理を行うかどうかの検討を行う必要がある。
図9(A)、(B)は、スキップ処理の検討の様子を示している。スキップが必要な場合は、例えばTXAGC−Powerテーブルにおいて、スキップ対象のTXAGCのエントリのPowerの欄にスキップ信号として任意の値(例えば図9(A)、(B)では、「999」)を格納し、端末(UE)側で識別させて、スキップさせる制御を行う。図9(A)、(B)では、図8(A)、(B)のHPMと、LPMのTXAGC−Powerテーブルにおいて、1ステップの差分ΔPowerが、IPLC特性の仕様から外れたTXAGC=81、82と、TXAGC=86、87に対して、TXAGC=82のPower欄と、TXAGC=86のPower欄に、それぞれ「999」が設定されている。
IPLCにおいて、基地局からの送信電力制御コマンドで送信電力を1ステップ、アップする場合に、該当するTXAGCにおいて、TXAGC−PowerテーブルのPower値に「999」が設定されている場合には、当該TXAGCを1つスキップさせる。例えば図9(A)を参照すると、例えばHPMのTXAGC−Powerテーブルにおいて、TXAGC=81に対応する送信電力に設定されている場合、基地局からの送信電力制御コマンドで送信電力を1ステップ、アップする場合、1つ上のTXAGC=82にはPower値に「999」が設定されているため、さらに1つ上のTXAGC=83に設定し、Power値は14.1dBmとなる(図9(A)の※の矢印参照)。逆に、例えばTXAGC=83から1ステップ、ダウンさせる場合、TXAGC=82をスキップし、TXAGC=81に設定される。このとき、TXAGC=83と81の送信電力の差ΔPowerは、
ΔPower=(+14.1)−(+13.2)
=0.9dB
となり、IPLC特性の仕様:±0.4dB〜±1.6dBの範囲内に収まる。
ΔPower=(+14.1)−(+13.2)
=0.9dB
となり、IPLC特性の仕様:±0.4dB〜±1.6dBの範囲内に収まる。
図9(B)を参照すると、例えばLPMのTXAGC−Powerテーブルにおいて、TXAGC=87に対応する送信電力に設定されている場合、送信電力制御コマンドで送信電力を1ステップ、ダウンさせる場合、1つ下のTXAGC=86にはPower値に「999」が設定されているため、さらに1つ下のTXAGC=85に設定し、Power値は9.5dBmとなる(図9(B)の※の矢印参照)。逆に、例えばTXAGC=85から1ステップ、アップする場合、TXAGC=86をスキップし、TXAGC=87に設定される。TXAGC=87と85の送信電力の差ΔPowerは、
ΔPower=(+10.3)−(+9.5)
=0.8dB
となり、IPLC特性の仕様:±0.4dB〜±1.6dBの範囲内に収まる。
ΔPower=(+10.3)−(+9.5)
=0.8dB
となり、IPLC特性の仕様:±0.4dB〜±1.6dBの範囲内に収まる。
このように、スキップ処理を行うことで、「モード切替え時パワー測定」でTXAGC−Powerテーブルを修正したことによる送信電力値のズレ(規格外となること)を回避することができる。
本実施形態において、「モード切替え時パワー測定」は、「通常調整」の実行後に行う。例えば、HPM/LPMの2モードの電力増幅器を想定する。まず、HPMとLPMの各モードそれぞれのTXAGCを設定する。
そして、HPMのTXAGC(例えば0〜MAX値まで、あるいはその逆)を掃引し、それぞれの送信電力を測定し、測定値をHPMのTXAGC−Powerテーブルの該当するTXAGCのPowerの欄に格納する。LPMに関しても同様に、TXAGCを掃引し、それぞれの送信電力を測定し、測定値をLPMのTXAGC−Powerテーブルの該当するTXAGCのPowerの欄に格納する。
つづいて、「モード切替え時パワー測定」を行う。まず、無線特性を考慮して決まっている送信電力のモード切替え閾値(例えば図4ではHPMからLPMへのモード切替閾値は12dBm)に最も近いTXAGC値の前後(任意)を、HPMとLPMを切替えながら送信電力の測定を行い、測定結果に基づき、TXAGC−Powerテーブルを修正する。
次に、「モード切替え時パワー測定」の実行より生じる、「通常調整」によるTXAGC−Powerテーブルの境目の送信電力値(Power)のズレを回避するために、上記した「スキップ処理」の検討を行う。
上記一連の工程により、モード切替え時の過渡応答によるILPC特性の劣化を回避することが可能となる。
図10は、本発明の一実施形態の測定システムの構成を示す図である。図10(A)には、被調整対象の無線通信装置12と、測定装置として、無線通信装置12の送信電力を測定する測定器を備えたテスタ(Tester)9、及び、パソコン(PC)10を備えた構成が模式的に示されている。図10(B)には、無線通信装置12のRF装置の送信部(TX)の概略構成が示されている。
図10(A)を参照すると、無線通信装置12は、CPU装置1と、ディジタル信号処理装置(DBB)2と、RF装置3と、メモリ装置4と、電源装置5と、バッテリー6と、アンテナ7と、I/Oポート8とを備えている。テスタ(Tester)9と、パソコン(PC)10は、無線通信装置12のI/Oポート8に接続される。
CPU装置1は、ディジタル信号処理装置(DBB:Digital BaseBand)2、RF装置3、メモリ装置4、電源装置5とのデータ、制御信号の送受を行い、これらを制御する。ディジタル信号処理装置(DBB)2は、RF装置3からの受信信号をディジタル信号処理(復調・復号処理等)を行ってCPU装置1へ送り、CPU装置1からの送信信号に対してディジタル信号処理(符号化・変調処理等)を行ってRF装置3へ送る。さらに、ディジタル信号処理装置(DBB)2は、RF装置3の送信部(TX)31の送信電力制御を行う。RF装置3の送信部(TX)31内の電力増幅器(PA)に供給する電圧を決定し、電源装置5の電圧を制御する。ディジタル信号処理装置(DBB)2は、さらに図6等を参照して説明したTXAGC−Powerテーブルを保持する。なお、TXAGC−Powerテーブルは電気的に書き込み・消去可能は不揮発性メモリ等に保持してもよい。
RF装置3の受信部(RX)32は、無線信号の復調を行い、アナログ・デジタル(AD)変換した(I(In−Phase)、Q(Quadrature−Phase)信号)、ディジタル信号処理装置2へ送る。
また、RF装置3の送信部(TX)31は、ディジタル信号処理装置(DBB)2からの信号(I、Q信号)をデジタルアナログ変換器(DAC)でアナログ信号に変換し、ミキサ(MIX)にて局発信号で直交変調してRF信号に変換し、励振増幅器(DRV:Driver AMP.)、図示されないフィルタ、電力増幅器(PA)を介して、共用器(DUP)33からアンテナ7に出力する。また電力増幅器(PA)からの出力信号は検波器(DET)で検波され、検波電圧を不図示のアナログ・デジタル変換器でAD変換し、ディジタル信号処理装置(DBB)2へ送る。ディジタル信号処理装置(DBB)2は、検波電圧の変換結果に基づき、送信部(TX)31の励振増幅器(DRV)に供給する自動ゲイン信号(AGC信号)を制御し、そのゲインを可変に制御する。すなわち、励振増幅器(DRV)の増幅出力を制御し、電力増幅器(PA)から出力される電力(送信電力)を制御する。CPU装置1は電力モードの設定(切替え)を制御し、ディジタル信号処理装置(DBB)2を介して、送信部(TX)31の電力増幅器(PA)にモード切替信号を供給する。電力増幅器(PA)はモード切替信号の値に応じた電力モードで送信信号を出力する。なお、送信電力測定時には、CPU装置1からバースト信号が供給される。
メモリ装置4は制御情報等が書き込まれており、CPU装置1が制御に応じて読み取る。電源装置5は、CPU装置1からの制御に従い、CPU装置1、ディジタル信号処理2、RF装置3、メモリ装置4の電源供給を行う。ディジタル信号処理装置2からの制御に従い、電力増幅器(PA)に電源供給する。バッテリー6は、電源装置5経由で装置全体に電圧を供給する。
アンテナ7は、共用器(DUP)33を介して送信部(TX)31と受信部(RX)32に接続され、基地局からの信号を受信して共用器(DUP)33を介して受信部(RX)32に供給し、送信部(TX)31から共用器(DUP)33を介して供給される送信信号を電波にて送出する。I/Oポート8は同軸端子を備え、RF装置3の送信部から出力されるRF信号を取り出す。また、PC10と接続し、CPU装置1に対してメモリ装置4の設定情報等の書き換えを行う。テスタ9はI/Oポート8から取り出されるRF信号の特性を測定する。PC10はテスタ9を制御する。例えばGPIB(General Purpose Interface Bus)バスで接続される)、I、Q信号のオフセット調整値と、TXAGCの設定値、試験開始コマンド等を、I/Oポート8の入力端子を介してCPU装置1に入力する。PC10とI/Oポート8とは例えばUSB(Universal Serial Bus)で接続される)。切り替えスイッチ11はRF信号の出力先を、アンテナ(ATN)7かI/Oポート8に切り替える。
図11、図12、図13は、図10の無線通信装置12の送信電力の調整処理を説明する流れ図である。
図11を参照すると、まず、「通常調整」を行う。CPU装置1にて、例えば、HPMにモードを設定する(ステップS11)。
次に、CPU装置1にて、設定したモードのTXAGCを設定する(ステップS12)。
そして、設定したTXAGC毎に無線通信装置12の送信電力(Output Power)をテスタ9で測定する。テスタ9で測定した結果は、パソコン10、I/Oポート8を介して、無線通信装置12のCPU装置1に入力され、CPU装置1からディジタル信号処理装置(DBB)2内のTXAGC−PowerテーブルのPower欄に格納する(ステップS13)。TXAGC−Powerテーブルの全範囲のTXAGCに対して送信電力の測定を行い、のPower欄に格納する。
モードの数だけ、ステップS11からS13を繰り返す(ステップS14)。HPMとLPMの2モードの場合、ステップS11からS13をHPMとLPMについて行う。
全モードの通常調整が終了した場合、「モード切替え時パワー測定」に移る(ステップS15)。
最後に、TXAGC−Powerテーブルに「通常調整」において格納した箇所とモード切替え時パワー測定で修正した箇所の境目等で、ILPC特性がスペックの下限でNGになる可能性があることから、その箇所をスキップする処理が必要かどうかの検討を行う(ステップS16)。
図12を参照すると、図11のステップS15の「モード切替え時パワー測定」の処理手順が示されている
CPU装置1で各種設定を行う(ステップS21)。例えば以下の設定を行う。
・TXAGC−Powerテーブルにおいて、モード切替え閾値(Power)に最も近いTXAGC(HPM、LPM等モード毎に記憶する)。
・TXAGC−Powerテーブルにおいて、モード切替えの範囲を設定する。例えば図6(A)、(B)に示したように、モード切替えの範囲は、HPMでは、閾値に最も近いTXAGC±2、LPMでは、閾値に最も近いTXAGC±2とする。
・TXAGC−Powerテーブルにおいて、モード切替え閾値(Power)に最も近いTXAGC(HPM、LPM等モード毎に記憶する)。
・TXAGC−Powerテーブルにおいて、モード切替えの範囲を設定する。例えば図6(A)、(B)に示したように、モード切替えの範囲は、HPMでは、閾値に最も近いTXAGC±2、LPMでは、閾値に最も近いTXAGC±2とする。
HPMのモード切替えの範囲の上限のTXAGCで送信電力の測定、HPMからLPMへモードを切替え、LPMのモード切替えの範囲の上限のTXAGCで送信電力の測定し、
LPMからHPMへモードを切替え、HPMのモード切替えの範囲のTXAGC−1で送信電力の測定し、HPMからLPMへモードを切替え、LPMのモード切替えの範囲のTXAGC−1で送信電力の測定する、というように、モードとTXAGCを切替えながら送信電力を測定し、測定値でTXAGC−Powerテーブルを修正していく(ステップS22、S23、S24)。
LPMからHPMへモードを切替え、HPMのモード切替えの範囲のTXAGC−1で送信電力の測定し、HPMからLPMへモードを切替え、LPMのモード切替えの範囲のTXAGC−1で送信電力の測定する、というように、モードとTXAGCを切替えながら送信電力を測定し、測定値でTXAGC−Powerテーブルを修正していく(ステップS22、S23、S24)。
HPMのモード切替えの範囲の下限のTXAGC、LPMのモード切替えの範囲の下限のTXAGCに対応する送信電力の測定が終了した場合、すなわち、切替えパターンが全て終了すると、モード切替え時パワー測定は終了となる(ステップS25)。
図12の例では、1回の「モード切替え時パワー測定」で終了しているが、複数回行い、平均化(Averaging)した値をTXAGC−Powerテーブルに格納するなど精度を上げるようにしてもよい。
図12の例では、1回の「モード切替え時パワー測定」で終了しているが、複数回行い、平均化(Averaging)した値をTXAGC−Powerテーブルに格納するなど精度を上げるようにしてもよい。
次に図11のステップS16の「スキップ処理の検討」を図13を参照して説明する。
まず、無線通信装置12のCPU装置1は、TXAGC−Powerテーブルにおいて、「モード切替え時パワー測定」で設定したモード切替え範囲(TXAGC)の上限Topと下限Bottomを設定する(ステップS31)。例えば、ここでHPMの切替え範囲(TXAGC)のTopをHPM_top、BottomをHPM_btmとする。例えば図6(A)において、HPM_topのTXAGCは「82」、HPM_btmのTXAGCは「78」である。
次に、「通常調整」による送信電力の測定結果に基づき設定されたTXAGC−Powerテーブルと、「モード切替え時パワー測定」による送信電力の測定結果に基づき修正されたTXAGC−Powerテーブルのモード切替え範囲の境目のパワー(送信電力)を比較する(ステップS32)。例えば、TXAGCがHPM_topのパワーと、1つ上のHPM_top+1のパワーの差を求め、絶対値を算出し、Tempとういう作業用変数に格納する。
TempをILPC特性の仕様と比較する。ステップS33では、Temp<0.4dBが成り立つか判定し、Temp≧0.4dBが成り立つ場合、ステップS34で、Temp>1.6dBが成り立つか判定する。ステップS33で、Temp<0.4dBが成り立つか、ステップS34でTemp>1.6dBが成り立つ場合、不可(N/A)であり、TXAGC−PowerテーブルのHPM_top+1のテーブルにスキップ信号(例えば、「999」)を格納する(ステップS35)。無線通信装置において、TXAGC−PowerテーブルのTXAGCがHPM_top+1のPowerの値が「999」であるため、これをスキップする処理を行うことで、規格外れを回避することが可能となる。
スキップ処理が完了、もしくは、NGが無い場合は、全モードで比較完了したことを確認し(ステップS36)、終了していない場合は、モードを切替え(ステップS37)、パワーの比較(ステップS32)に戻る(ステップS36)。
全モードに対してスキップ処理の検討が完了の場合、スキップ処理の検討を終了する。スキップ処理の検討が終了し次第、調整が終了となる。以上が、実施例の動作の説明である。
以上説明したように、モード切替え電力増幅器(PA)を用いた無線通信装置のパワー調整に、「モード切替え時パワー測定」を加えることによって、モードが切替わる際の過渡応答によるILPC特性劣化を防止することができる。
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図14、図15は、本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。無線通信装置の出力電力は、RFIC(無線IC)や電力増幅器の周波数特性によって変動することから、使用帯域の中心周波数(Mch)のみで送信電力の調整を行うと、TXAGC−Powerテーブルで設定した値からパワーがずれて、ILPC特仕様に対して規格外となり、不可(N/A)になる可能性がある。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図14、図15は、本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。無線通信装置の出力電力は、RFIC(無線IC)や電力増幅器の周波数特性によって変動することから、使用帯域の中心周波数(Mch)のみで送信電力の調整を行うと、TXAGC−Powerテーブルで設定した値からパワーがずれて、ILPC特仕様に対して規格外となり、不可(N/A)になる可能性がある。
周波数特性を補正するようなテーブルは用意する構成が知られている(例えば特許文献2)が、モード切替え時の過渡応答は考慮されていない。
本発明の第2の実施形態では、周波数特性によるパワー変動を考慮し、補正を行うために、使用帯域の中心周波数(Mch)だけでなく、任意の周波数(例えば、高域側(Hch)と、低域側(Lch)を加えた3ポイント)でも、「通常調整」と「モード切替え時パワー測定」を行って調整し、それぞれのTXAGC−Powerテーブルを作成するようにしている。これによって、無線通信装置の実動作時の周波数特性による出力電力の変動で、モード切替え時に、ILPC特性の仕様の規格外となる、ことを回避することが可能となる。
図14を参照すると、無線通信装置12のCPU装置1は、周波数の設定を行う(ステップS41)。ここでは、一例として、Lch(低域)/Mch(中域)/Hch(高域)の周波数を設定することとし、説明する。
次に、前述した「通常調整」を行う。CPU装置1にてモードを設定する(ステップS42)。
そして、設定したモードのTXAGCを設定する(ステップS43)。
設定したTXAGC毎の無線通信装置の出力電力(送信電力)を測定し、ディジタル信号処理装置2内のTXAGC−Powerテーブルに格納する(ステップS44)。
モードの数だけ、ステップS42からS44を繰り返す(ステップS45)。
全モードの通常調整が終了した場合、「モード切替え時パワー測定」と「スキップ処理の検討」に移る(ステップS46、S47)。
「モード切替え時パワー測定」と「スキップ処理の検討」は、図12、図13を参照して説明した処理と同様であるため、説明は省略する。
最後に、無線通信装置12のCPU装置1は、Lch/Mch/Hch全ての周波数に対して調整したことを確認する(ステップS48)。
全周波数終わっていなければ、無線通信装置12のCPU装置1は、再び、ステップS41の周波数設定に戻り、ステップS41からS47を繰り返す。全周波数終わっていれば、送信電力調整を終了する。
図15は、第2の実施形態により調整したTXAGC−Powerテーブルの様子を示している。図15の(A)、(B)、(C)は、HPMモードにおいて、Lch(低域)/Mch(中域)/Hch(高域)の周波数にそれぞれ対応したTXAGCと送信電力値(Power)との対応を格納したTXAGC−Powerテーブルの一部を示している。図15の(D)、(E)、(F)は、LPMモードにおいて、Lch(低域)/Mch(中域)/Hch(高域)の周波数にそれぞれ対応したTXAGCと送信電力値(Power)との対応を格納したTXAGC−Powerテーブルの一部を示している。
無線通信装置の実動作時には、無線通信装置内で設定される周波数をモニタし、作成したLch、Mch、HchのTXAGC−Powerテーブルを用いて線形補間を行い、電力増幅器の送信電力(Power)を設定する。なお、線形補間とは、よく知られているように、異なる2点の間にある点の値を補間する方法である。始点(x1,y1)、終点(x2,y2)とするとき、始点と終点の2点を結ぶ直線上の任意のxに対応するyの値は以下のように表すことができる。
例えば、無線通信装置が2G(Giga)帯の周波数(Lch=1922.6MHz、Mch=1950MHz、Hch=1977.4MHz)で動作しているものとする。
無線通信装置の設定周波数が1940MHzであり、送信電力の設定としてHPMのTXAGC=91である場合、HPM_LchとHPM_Mchのテーブルを用いて、線形補間を行う。図15(A)、(B)のHPM_LchとHPM_MchのテーブルのTXAGC=91のPowerは20.1dBm、19.7dBmである。(x1、y1)=(1922.6MHz、20.1dBm)、(x2、y2)=(1950MHz、19.7dBm)を上式(1)に代入すると、1940MHzでの設定送信電力Pは以下のようになる。
無線通信装置の設定周波数が1940MHzであり、送信電力の設定としてHPMのTXAGC=91である場合、HPM_LchとHPM_Mchのテーブルを用いて、線形補間を行う。図15(A)、(B)のHPM_LchとHPM_MchのテーブルのTXAGC=91のPowerは20.1dBm、19.7dBmである。(x1、y1)=(1922.6MHz、20.1dBm)、(x2、y2)=(1950MHz、19.7dBm)を上式(1)に代入すると、1940MHzでの設定送信電力Pは以下のようになる。
P=20.1 + (19.7 - 20.1)×(1940 - 1922.6)/(1950 - 1922.6)
=19.85dBm
=19.85dBm
このように、設定される周波数に従って各ch、各モードのTXAGC−Powerテーブルを用いて線形補間しながら、モード切替え処理を行うことで、周波数特性を補正することができ、ILPC特性の仕様に対して規格外となることを回避することが可能となる。
<実施形態3>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。無線通信装置の出力電力(送信電力)は温度によって変動する。一般的に、電力増幅器等のIC(Integrated Circuit)は、動作時に発熱し、温度が上昇する。温度が上昇することによって、電力増幅器の出力電力が変動し、前記第1の実施形態に従って調整したTXAGC−PowerテーブルのPowerと実際の出力電力の間にズレが生じ、ILPC特性の仕様から外れる可能性がある。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。無線通信装置の出力電力(送信電力)は温度によって変動する。一般的に、電力増幅器等のIC(Integrated Circuit)は、動作時に発熱し、温度が上昇する。温度が上昇することによって、電力増幅器の出力電力が変動し、前記第1の実施形態に従って調整したTXAGC−PowerテーブルのPowerと実際の出力電力の間にズレが生じ、ILPC特性の仕様から外れる可能性がある。
電力増幅器等に対して温度特性を補正する構成等(温度補償回路等)は知られているが、電力増幅器におけるモード切替え時の過渡応答等は考慮されていない。
本実施形態では、無線通信装置の出力電力の温度特性を考慮し、補正を行うために、温度を変動させられる恒温槽等で、例えば85℃から−30℃の間の任意の点で、無線通信装置の周辺温度を変化させ、「通常調整」及び「モード切替え時パワー測定」を行う。
これによって、無線通信装置の実動作時の出力パワーの温度特性変動によるモード切替え時のILPC特性の仕様から外れることを回避することが可能となる。図16は、本実施形態の処理を説明する流れ図である。
図16を参照すると、まず、温度の設定を行う(ステップS51)。
そして、「通常調整」を行う。まず、CPU装置1にてモードを設定する(ステップS52)。次に、設定したモードのTXAGCを設定する(ステップS53)。設定したTXAGC毎のパワーを測定し、TXAGC−PowerテーブルのPowerの欄に格納する(ステップS54)。
モードの数だけ、ステップS52からS54を繰り返す(ステップS55)。全モードの通常調整が終了した場合、モード切替え時パワー測定とスキップ処理の検討に移る(ステップS56、S57)。
「モード切替え時パワー測定」と「スキップ処理の検討」は、図12、図13を参照して説明した処理と同様であるため、説明は省略する。
最後に、任意で設定した温度の全てに対して調整が終了したことを確認する(ステップS58)。全温度で終了していない場合、再び、ステップS51の温度設定に戻り、ステップS51からS57を繰り返す。全温度で終了している場合、送信電力の調整を終了する。
図17は、第3の実施形態で調整したTXAGC−Powerテーブルの様子を示している。図17の(A)、(B)、(C)は、HPMモードにおいて、周囲温度85℃、20℃、−30℃にそれぞれ対応したTXAGCと送信電力値(Power)との対応を格納したTXAGC−Powerテーブルの一部を示している。図17の(D)、(E)、(F)は、LPMモードにおいて、周囲温度85℃、20℃、−30℃にそれぞれ対応したTXAGC−Powerテーブルの一部を示している。
サーミスタを用いて温度をモニタし、異常な温度になった際の誤動作を防ぐシステムが搭載したる無線通信装置が知られている。第3の実施形態において、無線通信装置の実動作時には、無線通信装置内の温度をモニタし、作成した温度毎のTXAGC−Powerテーブルを用いて線形補完を行い、パワーを設定する。
例えば、無線通信装置が周辺温度50℃、HPMのTXAGC=90だった場合、HPM_85℃とHPM_20℃のテーブルを用いて線形補間を行うと、設定パワーPは式(1)を用いると次のようになる。
P=19 + (50 - 20) × (17.8 - 19)/(85 - 20)
=18.45dBm
=18.45dBm
このように、無線通信装置の周辺温度に従って各温度、各モードのTXAGC−Powerテーブルを用いて線形補間しながらモード切替え処理を行うことで、温度特性を補正でき、ILPC特性の仕様から外れる、ことを回避することが可能となる。
<実施形態4>
次に本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、無線通信装置の出力電力の周波数特性と温度特性による出力電力の変動により、ILPC特性の仕様から外れることを回避するものである。本実施形態は、前記第2、第3の実施形態を組み合せたものである。図18は、本実施形態の処理を説明する流れ図である。
次に本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態は、無線通信装置の出力電力の周波数特性と温度特性による出力電力の変動により、ILPC特性の仕様から外れることを回避するものである。本実施形態は、前記第2、第3の実施形態を組み合せたものである。図18は、本実施形態の処理を説明する流れ図である。
図18を参照すると、まず、無線通信装置を収容する恒温層の温度の設定を行う(ステップS61)。恒温層の温度の設定は図10のパソコン10によって行われる。
次に、無線通信装置のCPU装置1は周波数の設定を行う(ステップS62)。
そして、モード毎に個別に、TXAGCを掃引して送信電力を測定しTXAGC−PowerテーブルのPower欄に設定する「通常調整」を行う。
まず、CPU装置1にてモードを設定する(ステップS63)。
次に、設定したモードのTXAGCを設定する(ステップS64)。
設定したTXAGC毎のパワーを測定し、ディジタル信号処理装置2にあるTXAGC−PowerテーブルのPower欄に格納する(ステップS65)。
モードの数だけ、ステップS63からS65を繰り返す(ステップS66)。
全モードの通常調整が終了した場合、「モード切替え時パワー測定」と「スキップ処理の検討」を行う(ステップS67、S68)。「モード切替え時パワー測定」と「スキップ処理の検討」は、図12、図13を参照して説明した処理と同様であるため説明は省略する。
最後に、Lch/Mch/Hch全ての周波数に対して調整したことを確認する(ステップS69)。終わっていなければ、再び周波数設定に戻り、ステップS62からS69を繰り返す。終わっている場合、次に、任意で設定した全ての温度に対して調整したことを確認する(ステップS70)。全ての温度に対して調整が終わっていなければ、再び、ステップS61の温度設定に戻り、ステップS61からS70を繰り返す。全ての温度に対して終わっていれば、パワー調整を終了する。
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
1 CPU装置
2 ディジタル信号処理装置(DBB)
3 RF(無線)装置
4 メモリ装置
5 電源装置
6 バッテリー
7 アンテナ
8 I/Oポート
9 テスタ
10 パソコン(PC)
11 切り替えスイッチ
12 無線通信装置
31 送信部(TX)
32 受信部(RX)
33 DUP
2 ディジタル信号処理装置(DBB)
3 RF(無線)装置
4 メモリ装置
5 電源装置
6 バッテリー
7 アンテナ
8 I/Oポート
9 テスタ
10 パソコン(PC)
11 切り替えスイッチ
12 無線通信装置
31 送信部(TX)
32 受信部(RX)
33 DUP
Claims (10)
- 送信信号を出力する電力モードとして複数のモードを有する送信部と、前記モードの切替えを制御する処理装置を備え、さらに前記送信部の増幅器のゲインを制御するゲイン制御値と送信電力値との対応を含む送信電力制御テーブルを、前記複数のモードに対応して備えた無線通信装置の送信電力の調整にあたり、
(A)各ゲイン制御値に対応する送信電力を測定して前記送信電力制御テーブルを作成する調整処理を、モード毎に個別に行い、
(B)予め定められた複数のゲイン制御値の各々に対して、複数のモード間でモードの切替えを行い前記モード切替えに連動し前記切替え前後で送信電力を測定し、前記モード切替えに連動して測定した送信電力で、前記(A)で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルを修正する、ことを特徴とする無線通信装置の調整方法。 - (C)前記送信電力制御テーブルの前記修正の結果、隣接するゲイン制御値の1ステップ当りの送信電力値の変化量が、予め定められた規格から外れている場合、前記隣接するゲイン制御値のうち一方のゲイン制御値の送信電力欄に、送信電力制御において前記対応するゲイン制御値をスキップするための情報を格納する、ことを特徴とする請求項1記載の無線通信装置の調整方法。
- 前記(B)において、
(B1)前記送信電力制御テーブルに対して、モードの切替えを行うための予め定められた送信電力の閾値に対応付けされるゲイン制御値をモード毎に決定し、
(B2)前記送信電力制御テーブルに対して閾値前後の所定の範囲をモード毎に設定し、
(B3)一つのゲイン制御値に対する送信電力の測定毎にモードの切替えを行うことで前記所定の範囲の各ゲイン制御値の送信電力を測定し、
(B4)前記(A)で作成した各モードに対応する前記送信電力制御テーブルの前記修正として、前記(B3)においてモード切替えに連動し前記切替え前後に測定した送信電力値で、前記送信電力制御テーブルの前記所定の範囲に対応する送信電力欄の値を更新する、ことを特徴とする請求項2記載の無線通信装置の調整方法。 - 前記送信信号を出力する前記電力モードとして少なくとも第1、第2のモードを含み、
前記(B)において、
(B1)前記第1、第2のモードにそれぞれ対応する第1、第2の前記送信電力制御テーブルに対して、モードの切替えを行うための予め定められた送信電力の閾値に対応付けされる第1、第2のゲイン制御値を決定し、
(B2)前記第1、第2の前記送信電力制御テーブルに対してそれぞれ前記第1、第2のゲイン制御値前後の第1、第2の所定の範囲を設定し、
(B3)一つのゲイン制御値に対する送信電力の測定毎に、前記第1と第2のモードを交互に切替えていくことで、前記第1、第2の所定の範囲の各ゲイン制御値の送信電力を測定し、
(B4)前記(B3)において前記第1、第2のモード切替えに連動し前記切替え前後に測定した前記第1、第2の所定の範囲の各送信電力値で、前記(A)で作成した前記第1、第2の送信電力制御テーブルの前記第1、第2の所定の範囲にそれぞれ対応する送信電力欄の値を更新する、ことを特徴とする請求項2記載の無線通信装置の調整方法。 - 前記(C)において、前記送信電力制御テーブルの修正の結果、前記所定の範囲内の上限又は下限のゲイン制御値の送信電力値と、前記上限又は下限のゲイン制御値に隣接するゲイン制御値の送信電力値の差電力が、前記規格外であるか判定し、前記規格外である場合、前記所定の範囲内の上限又は下限、又は前記上限又は下限に隣接するゲイン制御値の送信電力欄に、送信電力制御において、前記ゲイン制御値をスキップするための情報を設定する請求項3又は4記載の無線通信装置の調整方法。
- 前記無線通信装置の前記送信信号の周波数帯域を互いに異なる複数の周波数区間に分割し、
前記無線通信装置が、前記送信電力制御テーブルを、前記各モードに関して、前記複数の周波数区間のそれぞれに対して備え、前記無線通信装置の送信電力の調整にあたり、
各周波数区間に関して、前記(A)乃至(C)の処理を行う、ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の無線通信装置の調整方法。 - 前記無線通信装置が、前記送信電力制御テーブルを、前記各モードに関して、互いに異なるいくつかの設定温度のそれぞれに対して備え、前記無線通信装置の送信電力の調整にあたり、
各設定温度に関して、前記(A)乃至(C)の処理を行う、ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の無線通信装置の調整方法。 - 前記無線通信装置の送信信号の周波数帯域を互いに異なる複数の周波数区間に分割し、
前記無線通信装置が、前記送信電力制御テーブルを、前記各モードに関して、互いに異なるいくつかの設定温度、前記複数の周波数区間の組み合せに対して備え、前記無線通信装置の送信電力の調整にあたり、各設定温度にそれぞれに対して、
前記各周波数区間に関して、前記(A)乃至(C)の処理を行う、ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の無線通信装置の調整方法。 - 送信信号を出力する電力モードとして複数のモードを有する送信部と、
モードの切替えを制御する処理装置を備え、さらに、
前記送信部の増幅器のゲインを制御するゲイン制御値と送信電力値との対応を含む送信電力制御テーブルを前記複数のモードに対応して備え、
複数のモードにそれぞれ対応する複数の前記送信電力制御テーブルは、送信電力調整時に、複数のモード間でモードの切替えを行い前記モード切替えに連動し前記切替え前後で測定された送信電力値を含む、ことを特徴とする無線通信装置。 - 前記処理装置は、
送信電力の調整の結果、各モードの前記送信電力制御テーブルにおいて、隣接するゲイン制御値の送信電力値の差電力が、1ステップ当りの変化量として予め定められた規格から外れている合、前記隣接する前記ゲイン制御値の一方の送信電力欄に、前記一方のゲイン制御値をスキップするための情報を設定し、
送信電力を1ステップ増加又は減少させる送信電力制御コマンドを受け、前記送信電力制御テーブルにおいて1つ増加又は減少させた先のゲイン制御値の送信電力の値が前記ゲイン制御値をスキップするための情報に設定されている場合、前記ゲイン制御値をスキップしてさらに1つ増加又は減少させたゲイン制御値の送信電力に設定する、ことを特徴とする無線通信装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2012033563A JP2013172225A (ja) | 2012-02-20 | 2012-02-20 | 無線通信装置の調整方法 |
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JP (1) | JP2013172225A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111615181A (zh) * | 2020-04-14 | 2020-09-01 | 福州瑞芯微电子股份有限公司 | 一种功率放大器内环功控指标优化的方法、装置、设备和介质 |
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2012
- 2012-02-20 JP JP2012033563A patent/JP2013172225A/ja active Pending
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