JP2013171706A - リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性が高く、機械強度が強く、内部短絡不良率が低いリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法と、それを用いてなるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することにある。
【解決手段】リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法において、湿式抄造法で製造された不織布を金属ヒートロールの表面にタングステンカーバイド溶射、或いはセラミック溶射されている金属ヒートロールと弾性ロールから構成されたカレンダーで厚み調整することを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法と該製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池用セパレータ及び、該リチウムイオン二次電池用セパレータを具備してなるリチウムイオン二次電池。
【選択図】なし
【解決手段】リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法において、湿式抄造法で製造された不織布を金属ヒートロールの表面にタングステンカーバイド溶射、或いはセラミック溶射されている金属ヒートロールと弾性ロールから構成されたカレンダーで厚み調整することを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法と該製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池用セパレータ及び、該リチウムイオン二次電池用セパレータを具備してなるリチウムイオン二次電池。
【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池に関する。
近年の携帯電子機器の普及及びその高性能化に伴い、高エネルギー密度を有する二次電池が望まれている。この種の電池として、有機電解液(非水電解液)を使用するリチウムイオン二次電池が注目されてきた。このリチウムイオン二次電池の平均電圧は、アルカリ二次電池の約3倍の3.7Vであり、高エネルギー密度となるが、アルカリ二次電池のように水系の電解液を用いることができないため、十分な耐酸化還元性を有する非水電解液を用いている。
リチウムイオン二次電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と記す場合がある)としては、ポリオレフィンからなるフィルム状の多孔質フィルム、再生セルロース繊維の叩解物を主体とした紙製セパレータ、湿式抄造法で製造された極細で短繊維長の短繊維を含有してなる不織布セパレータ、合成樹脂をメルトブロー法で紡糸し積層したメルトブローセパレータ等が提案されている。しかしながら、フィルム状多孔質フィルムでは、電解液の保液性が低く、内部抵抗が高く、ハイレートでの放電特性に劣る問題や、紙製セパレータや不織布セパレータ、そして、メルトブロー法で紡糸し積層したセパレータではシート強度が不十分である問題、その結果として内部短絡不良率が高くなる問題があった。
このようなセパレータにおいては、電池のエネルギー密度を増加するため、できるだけ厚みを薄くすることが求められている。セパレータの厚みを薄くする方法としては、セパレータの厚み方向に熱を加えながら、圧力を加えることのできる押圧成型手段をいずれも用いることができる。例えば、金属ヒートロール、平板プレス等を用いることができるが、連続処理が容易な金属ヒートロールによるカレンダー処理が使用される。金属ヒートロール方式のカレンダー処理としては、金属ヒートロールと金属ヒートロールの組み合わせや金属ヒートロールと弾性ロールの組み合わせ、若しくは、2組以上のニップを有する複数段の熱カレンダー等が使用されている。
しかし、金属ヒートロールと金属ヒートロールの組み合わせでは、金属ヒートロール面に繊維が取られ、セパレータにピンホールが発生することや、汚れた金属ヒートロール面で厚み調整することで、セパレータの厚みの均一性が低下することがあった。さらに、湿式抄造法で得られた不織布の構成繊維のヨレやもつれによる膨らみがセパレータに発生した場合、その部分に割れや裂けや穴が発生することがあった(例えば、特許文献1参照)。
次に、金属ヒートロールと弾性ロールの組み合わせでは、湿式抄造法で得られた不織布の短繊維のヨレやもつれによる膨らみがセパレータに発生した場合にも、その部分に割れや裂けや穴が発生することはないが、弾性ロール側の短繊維の結着が甘くなるため、弾性ロール表面に繊維取られが起きやすく、セパレータにピンホールが発生しやすくなることがあった。それを防ぐために、金属ヒートロール温度を上げた場合やロール間の線圧を上げた場合、セパレータが金属ヒートロール面に貼り付き、シートが切れることや短繊維が金属ヒートロールに取られ、均一性が損なわれることがあった。
さらに、金属ヒートロールと弾性ロールの組み合わせでは、生産性を上げるために、加工速度を上げた場合、セパレータが金属ヒートロール側に貼り付きやすくなり、剥離ラインが不安定となり、シートが切れることがあった。
本発明は、上記実情を鑑みたものであって、従来、作業性が悪く、生産速度を落として生産していた湿式抄造法で製造された不織布を効率良く熱カレンダー作業し、機械強度が強く、且つ内部短絡不良率が低いリチウムイオン二次電池用セパレータを得ることができるリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法と、該製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池用セパレータ及び該リチウムイオン二次電池用セパレータを具備してなるリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、
(1)リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法において、湿式抄造法で製造された不織布(以下、「湿式不織布」ともいう)を金属ヒートロールの表面にタングステンカーバイド溶射、或いはセラミック溶射されている金属ヒートロールと弾性ロールから構成されたカレンダーで厚み調整することを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法、
(2)上記(1)に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(3)上記(2)に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを具備してなるリチウムイオン二次電池、
を見出した。
(1)リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法において、湿式抄造法で製造された不織布(以下、「湿式不織布」ともいう)を金属ヒートロールの表面にタングステンカーバイド溶射、或いはセラミック溶射されている金属ヒートロールと弾性ロールから構成されたカレンダーで厚み調整することを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法、
(2)上記(1)に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(3)上記(2)に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを具備してなるリチウムイオン二次電池、
を見出した。
本発明の湿式抄造法によるリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法では、金属ヒートロールの表面にタングステンカーバイド溶射、或いはセラミック溶射されている金属ヒートロールと弾性ロールから構成されたカレンダーで厚み調整することに特徴がある。金属ヒートロールの表面にタングステンカーバイドを溶射された金属ヒートロール、或いは、酸化クロムやアルミナ等をセラミック溶射されている金属ヒートロールは非粘着効果が高く、熱ヒートロール温度を高くしても、加工速度を速くしても、ロール間の圧力を上げても、湿式抄造法で製造された不織布が金属ヒートロールに貼り付くことがなく、短繊維の一部が剥ぎ取られることがなく、安定した剥離ラインで生産することができ、紙切れすることがなくなった。また、金属ヒートロールへの繊維取られがなくなることで、弾性ロールの繊維取られもなくなり、セパレータの厚みの均一性が高まると共に、引張強度が強く、内部短絡率が低いセパレータを得ることが可能である。
よって、本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、引張強度が強く、このセパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池は、内部短絡不良が抑制されるという効果が得られる。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池をより詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法では、傾斜型抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機等を適用できるが、これらの中から同種又は円網抄紙機など異種の抄紙機を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機等を用いて不織布を製造することができる。抄造用ワイヤーも、通常抄造で使用するワイヤーであって、パルプや合成繊維を主成分とするスラリーから紙を漉き上げる工程で使用されるワイヤーを適用できる。ワイヤーの材質としては例えばプラスチック製、金属製等があり、形態としては、天然繊維、再生繊維、ポリエステル等の合成繊維等から選ばれる繊維からなるモノフィラメント、マルチフィラメント、より糸等から構成された織物やフェルト状等の網を適用できる。本発明では、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂からなるプラスチックワイヤーが好ましい。また、プラスチックワイヤーの種類としては、1重織、多重織(2重織、2.5重織、3重織、3.5重織)等があるが、いずれの使用も可能である。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法にて生産するリチウムイオン二次電池用セパレータの原料としては、セパレータ用途の湿式抄造という性格上、合成樹脂の短繊維、セルロースの短繊維が挙げられる。これらは、単独又は適宜組み合わせて用いることができる。これらの原料による効果としては、短繊維がセパレータ内部に細密構造を形成することにより、電解液の保液性が向上すること、細孔が小さくなり、内部短絡が起こり難くなること等が挙げられる。
本発明において、短繊維を構成する合成樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリビニルケトン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、フラン系樹脂、尿素系樹脂、アニリン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。このうち、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を使用すると、セパレータの破損抑制効果が高く、緻密性に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータを得ることができる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリトリメチレンテレフタレート系、ポリエチレンナフタレート系、ポリブチレンナフタレート系、ポリエチレンイソフタレート系等が挙げられる。これらの中でも、リチウムイオン二次電池用セパレータに使用する場合には、耐熱性に優れているポリエチレンテレフタレート系が好ましい。
アクリル系樹脂としては、アクリロニトリル100%の重合体からなるもの、アクリロニトリルに対して、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニル等を共重合させたもの等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、オレフィン系共重合体等が挙げられる。耐熱性の観点から、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、オレフィン系共重合体等を挙げることができる。
本発明において、合成樹脂の短繊維には、バインダーとして機能する熱融着性短繊維を使用することができる。熱融着性短繊維としては、芯鞘型、偏芯型、分割型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型の複合繊維、或いは単一成分からなる繊維(単繊維)等が挙げられるが、特に未延伸ポリエステル系短繊維や芯部に非熱接着成分、鞘部に熱接着成分を配した芯鞘型熱融着性短繊維を含有することが好ましい。未延伸ポリエステル系短繊維は均一性を向上させる点において好適であり、芯鞘型熱融着性短繊維は、芯部の繊維形状を維持しつつ、鞘部のみを軟化、溶融又は湿熱溶解させて繊維同士を熱接着させるため、セパレータの緻密な構造を損なわずに繊維同士を接着させるのに好適である。熱融着性短繊維を、加熱又は湿熱加熱により、軟化、溶融又は湿熱溶解させて、繊維同士を熱接着させることによって、高い機械的強度が得られる。
合成樹脂短繊維の繊度は、0.007〜1.3dtexが好ましく、0.02〜1.1dtexがより好ましく、0.04〜0.8dtexがさらに好ましい。合成樹脂短繊維の繊度が1.3dtexを超えた場合、厚さ方向における繊維本数が少なくなるため、必要とされる緻密性が確保できなくなる場合がある。また、凹凸が大きくなって、シート表面に厚みムラが生じ、セパレータが破断しやすくなる。合成樹脂短繊維の繊度が0.007dtex未満の場合、繊維の安定製造が困難になる。
合成樹脂短繊維の繊維長としては、1mm以上7mm以下が好ましく、1mm以上5mm以下がより好ましく、1mm以上3mm以下がさらに好ましい。繊維長が7mmを超えた場合、地合不良となる場合があり、繊維長が1mm未満の場合には、セパレータの機械的強度が低くなって、ハンドリング時や電池組み立て時にセパレータが破損する場合がある。
短繊維は、単一の組成からなる繊維(単繊維)であっても良いし、2種以上の組成からなる繊維(複合繊維)であっても良い。また、本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータに含まれる短繊維は、1種でも良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法では、傾斜型抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、これらの中から同種又は円網抄紙機など異種の抄紙機を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機等を用いて抄造する湿式抄造法によって不織布を製造する。原料スラリーには、繊維原料の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、無機填料、有機填料、消泡剤等を適宜添加し、5〜0.001質量%程度の固形分濃度に原料スラリーを調製する。この原料スラリーをさらに所定濃度に希釈して抄造して得られた湿潤シートを乾燥してリチウムイオン二次電池用セパレータを得る。得られたリチウムイオン二次電池用セパレータは、必要に応じて、カレンダー処理や熱カレンダー処理による厚み調整や、引張強度アップや熱収縮性向上のため、熱処理等が施される。
セパレータの厚み調整の方法としては、セパレータの厚み方向に熱を加えながら、圧力を加えることのできる押圧成型手段をいずれも用いることができる。例えば、金属ヒートロールや平板プレス等を用いることができるが、連続処理が容易な金属ヒートロールによるカレンダー処理が使用されることが多い。
金属ヒートロールとして、ステンレス鋼が使用されることがあるが、構成繊維に熱融着性短繊維を配合した湿式不織布を通した場合、ヒートロール表面に湿式不織布が貼り付くことや、構成繊維が剥ぎ取られることが多く、通常、ハードクロムメッキ処理が行われる。しかしながら、このハードクロムメッキ処理を施した金属ヒートロールを使用しても、構成繊維に熱融着性短繊維を配合した湿式不織布を通した場合、加工速度が速くなると、剥離ラインがニップ出口から金属ヒートロール側に移動し、さらに幅方向の剥離ラインが不均一になり、紙切れやペーパーロール間で不織布の流れ方向にシワが発生することがあった。また、長時間カレンダー処理すると、金属ヒートロール表面に繊維付着物や湿式不織布の添加助剤、例えば、消泡剤や粘剤等の成分付着により汚れてきて、ドクター刃で汚れを取り除いても、粘着物質が残り、剥離が悪化して、紙切れすることがあった。この現象は、金属ヒートロール温度が熱融着性短繊維の融点より30℃低い温度より高くなると顕著に現れ始め、カレンダーロールの線圧を上げるとさらに顕著に現れる。
本発明の金属ヒートロールは、表面にタングステンカーバイド溶射、或いは、酸化クロムやアルミナがセラミック溶射されている。特に、タングステンカーバイド溶射は金属ヒートロールの熱膨張に対して耐久性があり、耐摩耗性が高く好ましい。金属ヒートロールの表面をタングステンカーバイド溶射、或いは、酸化クロムやアルミナによりセラミック溶射することで、構成繊維に熱融着性短繊維を配合した湿式不織布を速い加工速度で通した場合でも、剥離ラインはニップ出口で、幅方向均一になり、紙切れ発生やペーパーロール間で流れ方向にシワが発生することがなくなった。また、長時間カレンダー処理しても、金属ヒートロール表面に繊維付着物が付着することがなくなり、湿式不織布の添加助剤、例えば、消泡剤や粘剤等の成分付着により汚れてきても、ドクター刃で軽く当てただけで汚れがなくなるため、剥離ラインが常に安定して、紙切れすることもなくなった。この現象は、金属ヒートロール温度を熱融着性短繊維の融点に近付けた場合や、カレンダーロールの線圧を上げた場合でも効果があった。
本発明の弾性ロールの材質としては、特に限定されるものではなく、コットン、ゴム、プラスチック発泡体等が挙げられる。ゴムとしては、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、オレフィン系エラストマー、熱可塑性エラストマー、シリコンゴムが挙げられる。
本発明の熱カレンダー処理は表面にタングステンカーバイド溶射、或いは、酸化クロムやアルミナがセラミック溶射された金属ヒートロールと弾性ロールを用いることを特徴とする。このロールの組み合わせでは、湿式抄造法で得られた湿式不織布の構成繊維のヨレやもつれによる膨らみがセパレータに発生した場合にも、その部分に割れや裂けや穴が発生することはない。また、弾性ロールを用いることで、ニップ幅を確保することができるため、セパレータの急激な収縮を抑えることができ、厚みを幅方向に対して均一に調整することができると共に、金属ヒートロールと弾性ロールがニップされた瞬間の紙切れを防ぐことができる。
リチウムイオン二次電池用セパレータの厚みは、6〜50μmであることが好ましく、8〜45μmであることがより好ましく、10〜40μmであることがさらに好ましい。6μm未満では、十分な機械的強度が得られなかったり、正極と負極との間の絶縁性が不十分で、内部短絡不良率、放電特性のバラツキが高くなったり、容量維持率やサイクル特性が悪くなったりする場合がある。50μmより厚いと、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。
リチウムイオン二次電池用セパレータの坪量は、5〜40g/m2であることが好ましく、7〜30g/m2であることがより好ましく、10〜20g/m2であることがさらに好ましい。5g/m2未満では、十分な機械的強度が得られない場合や、正極と負極との間の絶縁性が不十分で、内部短絡不良率や放電特性のバラツキが高くなる場合がある。40g/m2を超えると、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が高くなる場合や、放電特性が低くなる場合がある。
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、黒鉛やコークス等の炭素材料、金属リチウム、アルミニウム、シリカ、スズ、ニッケル、鉛から選ばれる1種以上の金属とリチウムとの合金、SiO、SnO、Fe2O3、WO2、Nb2O5、Li4/3Ti5/3O4等の金属酸化物、Li0.4CoN等の窒化物が用いられる。正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、チタン酸リチウム、リチウムニッケルマンガン酸化物、リン酸鉄リチウムが用いられる。リン酸鉄リチウムは、さらにマンガン、クロム、コバルト、銅、ニッケル、バナジウム、モリブデン、チタン、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、ホウ素、ニオブから選ばれる1種以上の金属との複合物でも良い。
リチウムイオン二次電池の電解液には、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン(DMM)、これらの混合溶媒等の有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)等が挙げられる。固体電解質としては、ポリエチレングリコールやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビニリデン等のゲル状ポリマーにリチウム塩を溶解させたものが用いられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
実施例1
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40部、繊度0.1dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維20部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの未延伸PET系熱融着性短繊維40部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(0.5%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを傾斜型抄紙機にて湿式抄造した後、130℃のヤンキードライヤーで乾燥し、次に、タングステンカーバイド溶射された金属ヒートロールの温度を200℃、ショア硬度92のウレタン系ゴムの弾性ロールで、線圧200kN/m、加工速度40m/分にて熱カレンダー処理を行い、未延伸PET系熱融着性短繊維を結着させて湿式不織布強度を発現させ、坪量12g/m2、厚さ16μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
繊度0.06dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40部、繊度0.1dtex、繊維長3mmの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維20部、繊度0.2dtex、繊維長3mmの未延伸PET系熱融着性短繊維40部を一緒に混合し、パルパーの水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、均一な抄造用スラリー(0.5%濃度)を調製した。この抄造用スラリーを傾斜型抄紙機にて湿式抄造した後、130℃のヤンキードライヤーで乾燥し、次に、タングステンカーバイド溶射された金属ヒートロールの温度を200℃、ショア硬度92のウレタン系ゴムの弾性ロールで、線圧200kN/m、加工速度40m/分にて熱カレンダー処理を行い、未延伸PET系熱融着性短繊維を結着させて湿式不織布強度を発現させ、坪量12g/m2、厚さ16μmのリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例2
加工速度を60m/分に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
加工速度を60m/分に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例3
金属ヒートロールの温度を210℃、加工速度を60m/分にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
金属ヒートロールの温度を210℃、加工速度を60m/分にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例1
ハードクロム(Cr)メッキされた金属ヒートロールに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
ハードクロム(Cr)メッキされた金属ヒートロールに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例2
ハードクロムメッキされた金属ヒートロールに変更した以外は実施例2と同様にして、比較例2のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
ハードクロムメッキされた金属ヒートロールに変更した以外は実施例2と同様にして、比較例2のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例3
ハードクロムメッキされた金属ヒートロールに変更した以外は実施例3と同様にして、比較例3のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
ハードクロムメッキされた金属ヒートロールに変更した以外は実施例3と同様にして、比較例3のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例4
酸化クロム(酸化Cr)によるセラミック溶射された金属ヒートロールに変更した以外は実施例3と同様にして、実施例4のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
酸化クロム(酸化Cr)によるセラミック溶射された金属ヒートロールに変更した以外は実施例3と同様にして、実施例4のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
実施例5
金属ヒートロールの温度を185℃、弾性ロールとして、コットンロールを使用し、加工速度を30m/分に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
金属ヒートロールの温度を185℃、弾性ロールとして、コットンロールを使用し、加工速度を30m/分に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例4
タングステンカーバイド溶射された金属ヒートロールを上下2本使用し、線圧を150kN/mに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例4のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
タングステンカーバイド溶射された金属ヒートロールを上下2本使用し、線圧を150kN/mに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例4のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
比較例5
ウレタン系ゴムの弾性ロールを上下2本使用に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例5のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
ウレタン系ゴムの弾性ロールを上下2本使用に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例5のリチウムイオン二次電池用セパレータを得た。
<リチウムイオン二次電池>
[負極の作製]
メソカーボンマイクロビーズ81質量%、アセチレンブラック14質量%、ポリテトラフルオロエチレン5質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚み15μmの銅箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚み100μmのリチウムイオン二次電池用負極を作製し、これを負極とした。
[負極の作製]
メソカーボンマイクロビーズ81質量%、アセチレンブラック14質量%、ポリテトラフルオロエチレン5質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚み15μmの銅箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚み100μmのリチウムイオン二次電池用負極を作製し、これを負極とした。
[正極の作製]
LiMn2O4を95質量%、アセチレンブラック2質量%、ポリテトラフルオロエチレン3質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚み20μmのアルミニウム箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚み100μmのリチウムイオン二次電池用正極を作製し、これを正極とした。
LiMn2O4を95質量%、アセチレンブラック2質量%、ポリテトラフルオロエチレン3質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚み20μmのアルミニウム箔の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚み100μmのリチウムイオン二次電池用正極を作製し、これを正極とした。
[リチウムイオン二次電池の作製]
実施例1〜5及び比較例1〜5のセパレータを2枚、正極、負極の順に貼り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を140℃で10時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF6/EC:DEC(30:70、容量%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池を作製した(電池容量=30mAh相当)。
実施例1〜5及び比較例1〜5のセパレータを2枚、正極、負極の順に貼り合わせ、リード線を外部に引き出し、電池本体部を作製した。次に、電池本体部を140℃で10時間真空乾燥し、これを真空中で室温まで放冷した後、アルミニウムのラミネートフィルム中に挿入し、1M−LiPF6/EC:DEC(30:70、容量%)からなる電解液を適当量注液、真空含浸後、余剰の電解液を除去密閉してリチウムイオン二次電池を作製した(電池容量=30mAh相当)。
実施例及び比較例のセパレータ及びリチウムイオン二次電池について、下記評価を行い、結果を表1及び表2に示した。
[坪量]
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
[厚み]
JIS B7502に規定された方法、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより、厚みを測定した。
JIS B7502に規定された方法、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより、厚みを測定した。
[セパレータ強度]
作製したセパレータについて、卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−1150)を用いて、JIS P8113に準じて縦方向の引張強さを測定した。試験片のサイズは、縦方向250mm、幅50mmとし、2個のつかみ具の間隔を100mm、引張速度を300mm/minとした。
作製したセパレータについて、卓上型材料試験機(株式会社オリエンテック製、商品名STA−1150)を用いて、JIS P8113に準じて縦方向の引張強さを測定した。試験片のサイズは、縦方向250mm、幅50mmとし、2個のつかみ具の間隔を100mm、引張速度を300mm/minとした。
[繊維塊によるセパレータの割れ、裂け、穴の発生]
熱カレンダー処理後のセパレータを目視観察し、割れ、裂け、穴の有無を評価した。
熱カレンダー処理後のセパレータを目視観察し、割れ、裂け、穴の有無を評価した。
[流れ方向のシワ発生の有無]
熱カレンダー処理後、剥離ラインが不安定になり、流れ方向に発生するシワを目視観察し、以下の基準で評価を行った。
○:シワはほぼ発生しなかった。
△:幅方向でランダムにツレシワの発生が時折見られるが、重なりシワにはならない。
×:重なりシワが発生しており、巻き取り品質に問題あり
熱カレンダー処理後、剥離ラインが不安定になり、流れ方向に発生するシワを目視観察し、以下の基準で評価を行った。
○:シワはほぼ発生しなかった。
△:幅方向でランダムにツレシワの発生が時折見られるが、重なりシワにはならない。
×:重なりシワが発生しており、巻き取り品質に問題あり
[金属ヒートロールへの貼り付き]
湿式不織布の金属ヒートロールへの貼り付き状態を目視観察し、以下の基準で評価を行った。
○:貼り付き無し。
△:金属ヒートロールのニップ出口で、金属ヒートロール側にやや貼り付く。
×:金属ヒートロールに貼り付き、紙切れした。
湿式不織布の金属ヒートロールへの貼り付き状態を目視観察し、以下の基準で評価を行った。
○:貼り付き無し。
△:金属ヒートロールのニップ出口で、金属ヒートロール側にやや貼り付く。
×:金属ヒートロールに貼り付き、紙切れした。
[金属ヒートロール表面の汚れ]
湿式不織布を熱カレンダー処理した際、金属ヒートロールの汚れ状態を目視観察し、以下の基準で評価を行った。
○:汚れ無し。
△:金属ヒートロール表面側に繊維取られがやや見られ、全体的に曇った状態となる。
×:金属ヒートロール表面側に繊維取られが見られ、連続生産が難しい。
湿式不織布を熱カレンダー処理した際、金属ヒートロールの汚れ状態を目視観察し、以下の基準で評価を行った。
○:汚れ無し。
△:金属ヒートロール表面側に繊維取られがやや見られ、全体的に曇った状態となる。
×:金属ヒートロール表面側に繊維取られが見られ、連続生産が難しい。
[内部短絡不良率]
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池100個を用い、充放電電圧範囲2.8〜4.2V、充放電電流1Cで、定電流充放電を500サイクル繰り返した際の内部短絡不良率を算出した。
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池100個を用い、充放電電圧範囲2.8〜4.2V、充放電電流1Cで、定電流充放電を500サイクル繰り返した際の内部短絡不良率を算出した。
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池用セパレータは、短繊維として合成樹脂短繊維を含有した湿式抄造法で製造されたセパレータである。
表1に示したとおり、実施例1、2及び3のリチウムイオン二次電池用セパレータは、タングステンカーバイド溶射された金属ヒートロールと弾性ロールの組み合わせで熱カレンダー処理を行っており、セパレータに割れ、裂け、穴の発生がなく、金属ヒートロールからの剥離ラインが安定しているため、シワが入ることもなかった。加工速度を40m/分から60m/分に増速しても、剥離性は良好であったが、厚みが16μmから18μmに厚くなった。金属ヒートロール温度を210℃へ上げた結果、厚みは16μmになり、金属ヒートロールに貼り付くことなく、繊維取られも発生しなかった。また、湿式不織布の添加助剤による金属ヒートロールの汚れはドクターで簡単に落とすことができ、剥離性に影響を与えることがなかった。結果として、セパレータ強度が強く、内部短絡不良もなかった。
比較例1、2及び3のリチウムイオン二次電池用セパレータは、ハードクロムメッキされた金属ヒートロールと弾性ロールの組み合わせで熱カレンダー処理を行っているが、加工速度を40m/分から60m/分に上げると、熱ヒートロールからの剥離が不安定となり、シワが発生し、金属ヒートロールに繊維取られや汚れが発生するようになった。また、厚みは19μmにまで厚くなったため、金属ヒートロール温度を210℃へ上げた結果、金属ヒートロールに貼り付き、紙切れが起きたため、セパレータが得られなかった。比較例2では、金属ヒートロールから剥離性が悪化し、金属ヒートロールに繊維取られや汚れが発生するようになった場合、内部短絡不良が起きることが判った。
表2に示したとおり、実施例4のリチウムイオン二次電池用セパレータは、セラミック素材として、酸化クロムを溶射された金属ヒートロールと弾性ロールの組み合わせで、加工速度60m/分、金属ヒートロール温度を210℃で熱カレンダー処理を行っているが、セパレータに割れ、裂け、穴の発生がなく、金属ヒートロールからの剥離ラインが安定しているため、シワが入ることもなかった。金属ヒートロールに貼り付くことなく、繊維取られも発生しなかった。また、湿式不織布の添加助剤による金属ヒートロールの汚れはドクターで簡単に落とすことができ、剥離性に影響を与えることがなかった。結果として、セパレータ強度が強く、内部短絡不良もなかった。
実施例5のリチウムイオン二次電池用セパレータは、タングステンカーバイド溶射された金属ヒートロールと弾性ロールとしてコットンの組み合わせで熱カレンダー処理を行った場合である。コットンの耐熱性が劣るため、金属ヒートロール温度を185℃に落とした結果、加工速度を30m/分に下げる必要があったが、セパレータに割れ、裂け、穴の発生がなく、金属ヒートロールからの剥離ラインが安定しているため、シワが入ることもなかった。金属ヒートロールに貼り付くことなく、繊維取られも発生しなかった。また、湿式不織布の添加助剤による金属ヒートロールの汚れはドクターで簡単に落とすことができ、剥離性に影響を与えることがなかった。結果として、セパレータ強度が強く、内部短絡不良もなかった。
比較例4のリチウムイオン二次電池用セパレータは、タングステンカーバイド溶射された金属ヒートロールを上下2本の組み合わせで熱カレンダー処理を行った場合であるが、構成繊維のわずかなヨレやもつれにより、熱カレンダー後、割れ、裂け、穴が開く現象が見られた。また、両耳部で急激な収縮が発生し、両耳に重なりシワが発生した。割れ、裂け、穴が開いたものはセパレータとして使用できないため、内部短絡不良率の確認はしなかった。
比較例5のリチウムイオン二次電池用セパレータは、ショア硬度92のウレタン系弾性ロールを上下2本の組み合わせでカレンダー処理を行った場合であるが、熱が掛っていないため、厚みが厚く、引張強度が弱く、構成繊維が弾性ロールに取られ気味であった。結果として、内部短絡不良は5%と悪かった。
このように、湿式抄造法によるリチウムイオン二次電池用セパレータにおいて、金属ヒートロールの表面がタングステンカーバイド溶射、或いはセラミック溶射された金属ヒートロールと弾性ロールから構成された熱カレンダーで厚み調整すると、セパレータ強度が強く、内部短絡不良率がゼロである等、セパレータ特性に優れたリチウムイオン二次電池用セパレータが得られる。
本発明の活用例としては、リチウムイオン二次電池用セパレータ、リチウムポリマーイオン二次電池用セパレータが好適である。
Claims (3)
- リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法において、湿式抄造法で製造された不織布を金属ヒートロールの表面にタングステンカーバイド溶射、或いはセラミック溶射されている金属ヒートロールと弾性ロールから構成されたカレンダーで厚み調整することを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法。
- 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを具備してなるリチウムイオン二次電池。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012034782A JP2013171706A (ja) | 2012-02-21 | 2012-02-21 | リチウムイオン二次電池用セパレータの製造方法、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019049079A (ja) * | 2017-09-11 | 2019-03-28 | 三菱製紙株式会社 | 電磁波シールド材用不織布基材の製造方法 |
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2012
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