JP2013170923A - 腐食環境計測装置及び腐食環境計測方法 - Google Patents

腐食環境計測装置及び腐食環境計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】湿度の影響が十分に小さく、腐食性ガスによる腐食の程度を精度よく検出できる腐食環境計測装置及び腐食環境計測方法を提供する。
【解決手段】腐食環境計測装置は、QCMセンサ11と、QCMセンサ11を乾燥させる乾燥部12と、乾燥部12を駆動制御するとともにQCMセンサ11の共振周波数から腐食度を検出する制御部10とを有する。制御部10は、QCMセンサ11の共振周波数を測定する際に、乾燥部12を駆動させてQCMセンサ11を乾燥させる。そして、QCMセンサ11の共振周波数に基づいて、腐食度を検出する。
【選択図】図4

Description

本発明は、腐食環境計測装置及び腐食環境計測方法に関する。
工場やサーバルーム等の施設には様々な電子機器が設置されるが、それらの電子機器が設置される環境中には硫化水素(H2S)ガスや亜硫酸ガス等の腐食性ガスが含まれることがある。
腐食性ガスは、電子機器内の部品を腐食して、電子機器の故障や特性の劣化などの不具合を引き起こす。このため、電子機器が設置された環境中の腐食性ガスを監視して、必要に応じて適切な対策を早めにとることが好ましい。
腐食性ガスの監視に好適なセンサとして、QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサが知られている。一般的なQCMセンサは、薄板状の水晶振動子と、水晶振動子の両面に形成された一対の電極と、腐食性ガスにより腐食する金属膜(以下、「腐食金属膜」という)とを有する。QCMセンサは質量センサの一種であり、腐食金属膜が腐食することによる質量変化により水晶振動子の共振周波数が変化することを利用して、腐食性ガスによる腐食の程度を検出する。
特開2001−99777号公報 特開2009−300244号公報 特開2007−64647号公報
QCMセンサの共振周波数は湿度により影響される。そのため、湿度が一定でない場合は、腐食の程度の検出精度が低下する。
以上から、湿度の影響が十分に小さく、腐食性ガスによる腐食の程度を精度よく検出できる腐食環境計測装置及び腐食環境計測方法を提供することを目的とする。
開示の技術の一観点によれば、QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサと、前記QCMセンサを乾燥させる乾燥部と、前記乾燥部を駆動制御するとともに前記QCMセンサの共振周波数から腐食度を検出する制御部とを有する腐食環境計測装置が提供される。
開示の技術の他の一観点によれば、QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサを乾燥させる工程と、前記QCMセンサの共振周波数を計測する工程と、前記QCMセンサの共振周波数に基づいて腐食度を検出する工程とを有する腐食環境計測方法が提供される。
上述の腐食環境計測装置及び腐食環境計測方法によれば、QCMセンサを乾燥させた状態で共振周波数を測定するので、湿度の影響を排除でき、腐食性ガスによる腐食の程度を精度よく検出できる。
図1は、ATカット水晶振動子の共振周波数の温度特性の一例を示した図である。 図2は、金(Au)、コバルト(Co)及び鉄(Fe)における相対湿度と吸着水分量との関係を示した図である。 図3は、硫化水素を含む雰囲気中におけるQCMセンサの共振周波数の変化を示す図である。 図4は、第1の実施形態に係る腐食環境計測装置を例示したブロック図である。 図5は、QCMセンサの断面図である。 図6は、QCMセンサ及びエアー吹き付け部を例示した斜視図である。 図7は、発振回路の一例を表した回路図である。 図8は、QCMセンサをエアーの流れ方向に対し平行に配置した例を示す図である。 図9は、第1の実施形態に係る腐食環境計測装置を使用した腐食環境計測方法を説明するフローチャートである。 図10は、第2の実施形態に係る腐食環境計測装置を例示したブロック図である。 図11は、QCMセンサ及びヒータを例示した斜視図である。 図12は、第2の実施形態に係る腐食環境計測装置を使用した腐食環境計測方法を説明するフローチャートである。 図13は、温度と飽和水蒸気量との関係を示す図である。 図14は、第3の実施形態に係る腐食環境計測装置を例示したブロック図である。 図15は、QCMセンサ及びヒータを例示した斜視図である。 図16は、吸水量の検出に使用するQCMセンサの断面図である。 図17は、第3の実施形態に係る腐食環境計測装置を使用した腐食環境計測方法を説明するフローチャートである。
以下、実施形態について説明する前に、実施形態の理解を容易にするための予備的事項について説明する。
QCMセンサの共振周波数を測定することにより、環境中の腐食性ガスによる腐食の程度を監視できる。しかし、QCMセンサの共振周波数は、腐食金属膜の腐食の程度だけではなく、環境中の温度や湿度によっても変化する。このため、腐食性ガスによる腐食の程度を精度よく検出するためには、環境中の温度や湿度による共振周波数の変化を考慮することが重要である。
例えば事前にQCMセンサの温度特性、すなわち温度とQCMセンサの共振周波数の変化量との関係を調べておき、環境中の温度を測定してQCMセンサの共振周波数を補正することで、温度の影響による検出誤差を小さくすることができる。
湿度に関しても、温度と同様に、QCMセンサの湿度特性、すなわち相対湿度とQCMセンサの共振周波数の変化量との関係を事前に調べておき、環境中の相対湿度を測定してQCMセンサの共振周波数を補正することが考えられる。
しかし、QCMセンサの場合は、腐食により腐食金属膜の表面積が変化するとともに酸化物や硫化物などの腐食生成物が発生し、それにより湿度特性が変化する。しかも、湿度特性の変化は、腐食金属膜の種類、腐食性ガスの種類及び腐食の状態などに関係する。このため、事前に調べた湿度特性の通りにQCMセンサの共振周波数が変化するわけではなく、上述した方法では湿度の影響による検出誤差を十分に小さくすることは困難である。
以下、湿度による検出誤差について説明する。
図1は、横軸に温度をとり、縦軸に周波数偏差(frequency deviation)をとって、ATカット水晶振動子の共振周波数の温度特性の一例を示した図である。また、図2は、横軸に相対湿度をとり、縦軸に吸着水分量をとって、金(Au)、コバルト(Co)及び鉄(Fe)における相対湿度と吸着水分量との関係を示した図である。
例えば、腐食金属膜として鉄を使用した場合の吸着水分量の影響を試算すると、以下のようになる。
ATカットの水晶振動子をQCMセンサとした場合の検出感度は、下記(1)式に示すSaurbreyの式で与えられる。
Figure 2013170923
ここで、Δfは共振周波数の変化量、fはQCMセンサの基本共振周波数、Sは電極の面積、μは水晶のせん断応力、ρは水晶の密度、Δmは質量の変化量である。
上記(1)式によると、基本共振周波数fが9MHzのQCMセンサの場合、1ngの質量の変化が1Hzの変化として計測できることがわかる。
一方、図2から、相対湿度が90%のときの鉄の吸着水分量は0.21μg/cm2であることがわかる。この吸着水分量は、基本共振周波数fが9MHzのQCMセンサの周波数変化量に換算すると210Hzになる。また、相対湿度が40%のときの鉄の吸着水分量は0.006μg/cm2であり、この吸着水分量を基本共振周波数fが9MHzのQCMセンサの周波数変化量に換算すると6Hzになる。
すなわち、相対湿度が40%の環境下での測定を基準とすると、相対湿度が90%の環境下での測定は、吸着水分による誤差を200Hz程度含むことになる。逆にいえば、腐食金属膜の表面の吸着水分量を相対湿度40%相当まで除去することで、相対湿度に依存する吸着水分による誤差を6Hz程度まで小さくすることができる。
なお、200Hzの誤差は、基本共振周波数fが9MHzのQCMセンサでは約20℃程度の温度変化に相当し、無視できない値である。
図3は、横軸に暴露時間をとり、縦軸に共振周波数の変化量をとって、硫化水素(H2S)を含む雰囲気中におけるQCMセンサの共振周波数の変化を示す図である。ここでは、腐食金属膜が銀(Ag)により形成されたQCMセンサを使用している。この図3から、200Hzの周波数変化量は、0.15ppmという比較的高濃度の腐食性ガス(硫化水素)を含む環境雰囲気に約5時間暴露して腐食が進行した状態と同等であることがわかる。
以下の実施形態では、湿度の影響が十分に小さく、腐食性ガスによる腐食の程度を精度よく検出できる腐食環境計測装置及び腐食環境計測方法について説明する。
(第1の実施形態)
図4は第1の実施形態に係る腐食環境計測装置を例示したブロック図、図5はQCMセンサの断面図、図6はQCMセンサ及びエアー吹き付け部を例示した斜視図である。
図4のように、本実施形態に係る腐食環境計測装置は、QCMセンサ11と、エアー吹き付け部12と、制御部10とを有する。また、制御部10は、記憶部10aと、駆動部10bとを有する。エアー吹き付け部12は、乾燥部の一例である。
QCMセンサ11は、図5のように、水晶振動子21と、水晶振動子21を挟んで配置された一対の電極22a,22bと、電極22a,22bの表面上に形成された腐食金属膜23a,23bとを有する。水晶振動子21は、例えば直径が8mm、厚さが67μmのATカットされた水晶により形成されている。
電極22a,22bは、腐食されにくい金属で形成されていることが好ましい。本実施形態では、電極22a,22bが金(Au)により形成されており、その直径は4mm、厚さは約80nmであるとする。電極22a,22b、及びこれらの電極22a,22bに接続するリード線24a,24b(図6参照)などの配線が腐食性ガスで腐食されるおそれがある場合は、電極22a,22b及び配線をアルミナ(酸化アルミニウム)等により形成された保護膜で覆っておくことが好ましい。
腐食金属膜23a,23bは、検出対象の腐食性ガスに応じた金属材料により形成される。ここでは、検出対象の腐食性ガスを硫化水素(H2S)とし、腐食金属膜23a,23bが銀(Ag)により形成されているものとする。本実施形態では水晶振動子21の両方の面側に腐食金属膜を配置しているが、水晶振動子21の片方の面側のみに腐食金属膜を配置してもよい。
腐食金属膜23a,23bの膜厚が厚すぎると、水晶振動子21の安定な振動を阻害する。一方、腐食金属膜23a,23bの膜厚が薄すぎると、腐食金属膜23a,23b全体が短時間で腐食されてしまうため、十分な測定ができない。このため、腐食金属膜23a,23bの膜厚は、数100nm〜1000nmとすることが好ましい。
QCMセンサ11の電極22a,22bは、リード線24a,24b(図6参照)を介して駆動部10bに設けられた発振回路に接続される。そして、発振回路からQCMセンサ11の電極22a,22bに電圧が印加されて、QCMセンサ11がその質量に応じた振動数で振動する。図7は、発振回路の一例を表した回路図である。図7中のC1,C2はコンデンサ、R1,R2は抵抗、Aは増幅器である。
図6のように、QCMセンサ11の近傍にはエアー吹き付け部12が配置される。エアー吹き付け部12は、吸気口及び排気口が設けられた筒状のダクト25と、ダクト25内に配置された除湿部26と、ダクト25の吸気口からエアーを取り込み、排気口からQCMセンサ11にエアーを吹き付ける送風ファン27とを有する。送風ファン27は、駆動部10bから供給される電力により回転する。
除湿部26にはシリカゲル等の除湿剤が配置されており、ダクト25内を通るエアーから水分を吸収する。このため、QCMセンサ11には乾燥したエアーが吹き付けられ、腐食金属膜23a,23bの表面を乾燥した状態にすることができる。
図6ではQCMセンサ11をエアーの流れ方向に対し垂直に配置しているが、その場合は腐食金属膜23a,23bのうち風下側の腐食金属膜の乾燥が不十分になるおそれがある。水晶振動子21の両面の金属膜23a,23bを均等に且つ十分に乾燥させるためには、QCMセンサ11の両側からエアーを吹き付けるようにしたり、又は図8のようにQCMセンサ11をエアーの流れ方向に対し平行に配置することが好ましい。図8中の矢印は、エアーの流れ方向を示している。
水晶振動子21の一方の面側のみに腐食金属膜を形成した場合は、腐食金属膜を形成した面のみにエアーを吹き付けるようにしてもよい。
エアー中に含まれる腐食性ガスにより腐食金属膜22a,22bの腐食の進行が速くなる場合は、ダクト25内に、除湿剤とともにケミカルフィルタを配置することが好ましい。但し、相対湿度が低いときには腐食性ガスによる腐食の進行が遅くなるため、本実施形態のように除湿部26を配置してエアー中の水分量を少なくした場合は、ケミカルフィルタを設けなくてもよい。
本実施形態では、上述したようにQCMセンサ11の近傍にエアー吹き付け部11として送風ファン27を配置しているが、圧縮空気ボンベ(図示せず)又はエアーコンプレッサーから電磁弁及びエアードライヤー等を介してQCMセンサ11に乾燥エアーを吹き付けるようにしてもよい。
図9は、本実施形態に係る腐食環境計測装置を使用した腐食環境計測方法を説明するフローチャートである。
まず、ステップS11において、制御部10は、駆動部10bを介してQCMセンサ11への電圧供給を開始する。これにより、QCMセンサ11は、その質量に応じた共振周波数で振動する。
次に、ステップS12に移行し、制御部10は、駆動部10bを介して送風ファン27を回転させて、金属膜23a,23bへのエアーの吹き付けを開始する。その後、ステップS13に移行する。
ステップS13,S14では、QCMセンサ11の共振周波数が一定になるのを待つ。すなわち、ステップS13において、制御部10は駆動部10bを介してQCMセンサ11の共振周波数を取得する。その後、ステップS14において共振周波数が一定であるか否かを判定する。
エアーの吹き付けを開始してからそれほど時間が経過していない場合は、金属膜23a,23bに付着した水分が減少するのにともなって共振周波数が変化するので、ステップS14では“NO”と判定される。その場合は、ステップS13に戻り、ステップS14で“YES”と判定されるまでループを繰り返す。
QCMセンサ11の共振周波数が一定となりステップS14で“YES”と判定されると、ステップS15に移行する。ステップS15では、制御部10が、そのときのQCMセンサ11の共振周波数を記憶部10aに記憶する。
その後、ステップS16に移行し、制御部10は、QCMセンサ11へのエアーの吹き付けを停止する。すなわち、制御部10は、駆動部10bを制御して送風ファン27への電力供給を停止する。
次に、ステップS17に移行し、制御部10は、QCMセンサ11への電圧供給を停止する。これにより、QCMセンサ11の振動が停止する。
次に、ステップS18に移行し、制御部10は、記憶部10aに記憶されているQCMセンサ11の共振周波数の変化量に基づいて腐食金属膜23a,23bの腐食の程度を判定する。そして、腐食がある程度進んだと判定した場合は、例えばQCMセンサ11の共振周波数の変化量を腐食度(腐食の程度)に換算して表示装置(図示せず)に表示したり、警報を発生するなどの処理を行う。
次いで、ステップS19において、制御部10は予め設定された終了条件に基づいて処理を終了するか否かを判定する。例えばステップS18で予め設定された腐食度まで腐食が進行したと判定した場合は、上述した腐食環境計測処理を終了する。一方、ステップS19で処理を継続すると判定した場合は、ステップS20に移行する。そして、次の測定タイミングまで待機した後、ステップS11から処理を継続する。
本実施形態では、上述したように、QCMセンサ11の共振周波数を測定するときにQCMセンサ11に乾燥エアーを吹き付けて、腐食金属膜23a,23bの表面を乾燥させる。このため、湿度の影響による測定誤差が低減され、腐食性ガスによる腐食の程度を精度よく検出できるという効果を奏する。
なお、QCMセンサ11に吹き付けるエアーの温度が環境温度と異なる場合は、QCMセンサ11の温度を測定して共振周波数を補正することが重要になる。その場合は、予めQCMセンサ11の温度特性(図1参照)を調べておき、ステップS14で共振周波数が一定になったと判定した時点のQCMセンサ11の温度を取得し、温度特性を参照して共振周波数を補正すればよい。
また、図9のフローチャートにおいて、ステップS11とステップS12との間にQCMセンサ11の初期の共振周波数を取得するステップを追加し、ステップS13で初期の共振周波数と比較するようにしてもよい。ステップS12とステップS13との間が短時間であれば、その間に共振周波数の変化はないと考えられるので、上記のステップの追加は不要である。
(第2の実施形態)
図10は第2の実施形態に係る腐食環境計測装置を例示したブロック図、図11はQCMセンサ及びヒータを例示した斜視図である。図10において、図4と同一物には同一符号を付して、重複する部分の説明は省略する。
本実施形態に係る腐食環境計測装置は、QCMセンサ11と、ヒータ32と、温度センサ33と、制御部30とを有する。また、制御部30は、記憶部30aと、駆動部30bとを有する。ヒータ32は、乾燥部の一例である。
図11のように、ヒータ32はQCMセンサ11の近傍に配置されている。このヒータ32は、制御部30の駆動部30bから供給される電力により発熱する。また、QCMセンサ11の近傍には温度センサ33が配置されている。この温度センサ33から出力される信号は制御部30の駆動部30bに伝達され、制御部30は温度センサ33の出力に基づいてQCMセンサ11の温度を検出する。
図11ではQCMセンサ11の一方の面側に配置されたヒータ32のみを図示しているが、QCMセンサ11の両面に腐食金属膜が配置されている場合は、QCMセンサ11の両側にヒータ32を配置することが好ましい。
本実施形態ではヒータ32で発生する熱によりQCMセンサ11の表面に付着した水分を除去して、湿度の影響による測定誤差を低減する。但し、本実施形態では、ヒータ32の発熱によりQCMセンサ11の温度が上昇するため、温度上昇にともなう共振周波数の変化を補正することが重要になる。
QCMセンサ11の近傍に温度センサ33を配置する替わりに、QCMセンサ11に温度センサを内蔵させてもよい。温度センサとして、例えば熱電対やサーミスタ等を使用することができる。
図12は、本実施形態に係る腐食環境計測装置を使用した腐食環境計測方法を説明するフローチャートである。
まず、ステップS21において、制御部30は、駆動部30bを介してQCMセンサ11への電圧供給を開始する。これにより、QCMセンサ11は、その質量に応じた共振周波数で振動する。
次に、ステップS22に移行し、制御部30は、駆動部30bを介してヒータ32への電力供給を開始し、ヒータ32を発熱させる。このとき、制御部30は、温度センサ33から出力される信号によりQCMセンサ11が一定温度となるように(より正確に言うとセンサ11近傍の雰囲気温度が一定となるように)、駆動部30bを介してヒータ32に供給する電力を制御する。以下、ヒータ32による加熱温度について説明する。
図2から、相対湿度が40%程度であれば、吸着水分量が少ないため、湿度によるQCMセンサ11の共振周波数の変化は小さいことがわかる。そこで、本実施形態では、温度が30℃、相対湿度が90%の環境を、ヒータ32の加熱により、QCMセンサ11近傍の雰囲気の相対湿度が40%の環境とする。
図13は、横軸に温度をとり、縦軸に飽和水蒸気量をとって、両者の関係を示す図である。この図13からわかるように、温度が30℃のときの飽和水蒸気量は約30.4g/m3であるから、温度が30℃、相対湿度が90%のときの水蒸気量は約27.4g/m3となる。この水蒸気量27.4g/m3を0.4(40%)で除して得た値、すなわち68.5g/m3が飽和水蒸気量となる温度(約46℃)まで加熱すれば、温度が30℃、相対湿度が90%の環境を、相対湿度が40%の環境とすることができる。従って、本実施形態では、QCMセンサ11近傍の温度が46℃になるように、ヒータ32を制御する。
このようにしてステップS22でヒータ32によるQCMセンサ11の加熱を開始した後、ステップS23に移行する。
ステップS23,S24では、QCMセンサ11の共振周波数が一定になるのを待つ。すなわち、ステップS23において、制御部30は駆動部30bを介してQCMセンサ11の共振周波数を取得する。その後、ステップS24において共振周波数が一定であるか否かを判定する。
ヒータ32への電力供給を開始してからそれほど時間が経過していない場合は、QCMセンサ11の表面に付着した水分が減少するのにともなって共振周波数が変化するので、ステップS24では“NO”と判定される。その場合は、ステップS23に戻り、ステップS24で“YES”と判定されるまでループを繰り返す。
QCMセンサ11の共振周波数が一定となりステップS24で“YES”と判定されると、ステップS25に移行する。ステップS25では、制御部30が、そのときのQCMセンサ11の共振周波数を記憶部30aに記憶する。
その後、ステップS26に移行し、制御部30は、駆動部30bを制御してヒータ32への電力供給を停止する。
次に、ステップS27に移行し、制御部30は、QCMセンサ11への電圧供給を停止する。これにより、QCMセンサ11の振動が停止する。
次に、ステップS28に移行し、制御部30は、記憶部30aに記憶されているQCMセンサ11の共振周波数を、温度特性を参照して基準温度(例えば30℃)における共振周波数に補正する。補正後の共振周波数も、記憶部30aに記憶する。
次いで、ステップS29に移行し、制御部30は、補正後のQCMセンサ11の共振周波数の変化に基づいて腐食の程度を判定し、必要に応じて腐食の程度を表示装置(図示せず)等に表示したり、警報を発生する等の処理を行う。
次いで、ステップS30において、制御部30は予め設定された終了条件に基づいて処理を終了するか否かを判定し、終了すると判定した場合は上述した腐食環境計測処理を終了する。一方、ステップS30で処理を継続すると判定した場合は、ステップS31に移行する。そして、次の測定タイミングまで待機した後、ステップS21から処理を継続する。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に腐食金属膜の表面を乾燥させてからQCMセンサ11の共振周波数を取得するので、湿度の影響による測定誤差が低減され、腐食性ガスによる腐食の程度を精度よく検出できる。
(第3の実施形態)
図14は第3の実施形態に係る腐食環境計測装置を例示したブロック図、図15はQCMセンサ及びヒータを例示した斜視図である。図14において、図4,図10と同一物には同一符号を付して、重複する部分の説明は省略する。
本実施形態に係る腐食環境計測装置は、QCMセンサ11,41と、ヒータ32と、温度センサ33と、制御部40とを有する。また、制御部40は、記憶部40aと、駆動部40bとを有する。
QCMセンサ11は、第1及び第2の実施形態と同様に、腐食性ガスによる金属膜の腐食状態の検出に使用する。一方、QCMセンサ41は、吸水量の検出に使用する。このQCMセンサ41は、QCMセンサ11とは異なり、腐食金属膜を有してなく、図16の断面図に示すように、水晶振動子51を金(Au)により形成された一対の電極52a,52bで挟んだ構造を有する。そして、図15のように、QCMセンサ41は、QCMセンサ11及び温度センサ33の近傍に配置され、駆動部40bから電圧が供給されて振動する。
金(Au)は腐食しにくい金属であるので、QCMセンサ41の共振周波数は水分の吸着量と温度とにのみ関係し、腐食の影響を排除できる。
図17は、本実施形態に係る腐食環境計測装置を使用した腐食環境計測方法を説明するフローチャートである。ここでは、制御部40に、予め所定の湿度(例えば40%)の環境下で測定されたQCMセンサ11,41の温度特性のデータが記憶されているものとする。
まず、ステップS41において、制御部40は、駆動部40bを介してQCMセンサ41への電圧供給を開始する。これにより、QCMセンサ41は、その質量に応じた共振周波数で振動する。
次に、ステップS42に移行し、制御部40は、駆動部40bを介してヒータ32への電力供給を開始する。
次に、ステップS43に移行し、制御部40はQCMセンサ41の共振周波数を取得するとともに、温度センサ33から出力される信号に基づいてQCMセンサ11,41の温度を検出する。その後、ステップS44に移行し、制御部40は、ステップS43で取得したQCMセンサ41の共振周波数と、予め測定されたQCMセンサ41の温度特性とを照合し、QCMセンサ41の共振周波数と温度特性から得られる共振周波数とが一致しているか否かを判定する。
ステップS43で取得したQCMセンサ41の共振周波数が温度特性から得られる共振周波数と所定の範囲内で一致していない場合(NOの場合)は、QCMセンサ41の水分付着量が多いと考えられる。この場合は、ステップS43に戻り、ステップS44でYESと判定されるまでループを繰り返す。
ステップS44でYESと判定された場合は、QCMセンサ11,41に付着していた水分が十分除去されたと考えることができる。この場合は、ステップS45に移行し、QCMセンサ11に電圧を供給して、そのときのQCMセンサ11の共振周波数を記憶部40aに記憶する。
その後、ステップS46に移行し、制御部40は、駆動部40bを制御してヒータ32への電力供給を停止する。
次に、ステップS47に移行し、QCMセンサ11,41への電圧供給を停止する。これにより、QCMセンサ11,41の振動が停止する。
次に、ステップS48に移行し、制御部40は、記憶部40aに記憶されているQCMセンサ11の共振周波数を、温度特性を参照して基準温度(例えば30℃)における共振周波数に補正する。補正後の共振周波数も、記憶部40aに記憶する。
次いで、ステップS49に移行し、制御部40は、補正後のQCMセンサ11の共振周波数の変化に基づいて腐食の程度を判定し、必要に応じて表示装置(図示せず)に腐食の程度を表示したり、警報を発生する等の処理を行う。
次いで、ステップS50において、制御部40は予め設定された終了条件に基づいて処理を終了するか否かを判定し、終了すると判定した場合は上述した腐食環境計測処理を終了する。一方、ステップS50で処理を継続すると判定した場合は、ステップS51に移行する。そして、次の測定タイミングまで待機した後、ステップS41から処理を継続する。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に腐食金属膜の表面を乾燥させてからQCMセンサ11の共振周波数を取得するので、湿度の影響による測定誤差が低減され、腐食性ガスによる腐食の程度を精度よく検出できる。
なお、上記で説明した各実施形態において、ステップS14、ステップS24、ステップS44で共振周波数が一定又は温度特性と一致する判断を行っているが、完全に一定又は一致する必要はない。つまり、どの程度まで吸着水分による測定誤差を低減したいのか、要求する測定精度にしたがって判断基準を設ければよい。高い精度を要求しない場合は、エアーの吹き付けやヒータの加熱による周波数の変化量の割合が精度に依存する所定値よりも小さくなった時点で、上記各ステップで一定又は一致したものと判断し、次のステップに移行する。これにより、測定時間を短縮することが可能になる。
また、特に第2の実施形態では、ステップS28で温度補正をしているが、これに加えて、ステップS24の判断の前に温度補正のステップを追加することが可能である。これにより、温度が一定になる前に、吸着水分の影響が要求する測定精度を満足した場合には測定を終了することができ、測定に要する時間を短縮することが可能になる。
以上の諸実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサと、
前記QCMセンサを乾燥させる乾燥部と、
前記乾燥部を駆動制御するとともに前記QCMセンサの共振周波数から腐食度を検出する制御部と
を有することを特徴とする腐食環境計測装置。
(付記2)前記乾燥部が、前記QCMセンサにエアーを吹き付けるものであることを特徴とする付記1に記載の腐食環境計測装置。
(付記3)前記乾燥部に、前記QCMセンサに吹き付けるエアー中の水分を除去する除湿部を有することを特徴とする付記2に記載の腐食環境計測装置。
(付記4)前記乾燥部が、前記QCMセンサを加熱するヒータを有することを特徴とする付記1に記載の腐食環境計測装置。
(付記5)前記QCMセンサの温度を検出する温度センサを有し、前記制御部は前記温度センサにより検出した温度に基づいて前記QCMセンサの共振周波数を補正することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の腐食環境計測装置。
(付記6)前記制御部には、前記QCMセンサの温度特性が記憶されていることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の腐食環境計測装置。
(付記7)QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサを乾燥させる工程と、
前記QCMセンサの共振周波数を計測する工程と、
前記QCMセンサの共振周波数に基づいて腐食度を検出する工程と
を有することを特徴とする腐食環境計測方法。
(付記8)前記QCMセンサを乾燥させる工程では、前記QCMセンサにエアーを吹き付けることを特徴とする付記7に記載の腐食環境計測方法。
(付記9)前記QCMセンサを乾燥させる工程では前記QCMセンサを加熱し、
前記腐食度を検出する工程では前記QCMセンサの温度に応じて前記QCMセンサの共振周波数を補正することを特徴とする付記7に記載の腐食環境計測方法。
10,30,40…制御部、10a,30a,40a…記憶部、10b,30b,40b…駆動部、11、41…QCMセンサ、12…エアー吹き付け部、21…水晶振動子、22a,22b…電極、23a,23b…腐食金属膜、24a,24b…リード線、25…ダクト、26…除湿部、27…送風ファン、32…ヒータ、33…温度センサ。

Claims (5)

  1. QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサと、
    前記QCMセンサを乾燥させる乾燥部と、
    前記乾燥部を駆動制御するとともに前記QCMセンサの共振周波数から腐食度を検出する制御部と
    を有することを特徴とする腐食環境計測装置。
  2. 前記乾燥部が、前記QCMセンサにエアーを吹き付けるものであることを特徴とする請求項1に記載の腐食環境計測装置。
  3. 前記乾燥部が、前記QCMセンサを加熱するヒータを有することを特徴とする請求項1に記載の腐食環境計測装置。
  4. 前記QCMセンサの温度を検出する温度センサを有し、前記制御部は前記温度センサにより検出した温度に基づいて前記QCMセンサの共振周波数を補正することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の腐食環境計測装置。
  5. QCM(Quartz Crystal Microbalance)センサを乾燥させる工程と、
    前記QCMセンサの共振周波数を計測する工程と、
    前記QCMセンサの共振周波数に基づいて腐食度を検出する工程と
    を有することを特徴とする腐食環境計測方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103558114A (zh) * 2013-10-17 2014-02-05 长安大学 一种沥青路面材料中固体添加物的吸油值测试装置
KR101550290B1 (ko) * 2014-05-19 2015-09-07 한국표준과학연구원 수정 미소 저울을 이용한 수소 누출 감지 시스템 및 그 누출 감지 방법
JP2019015633A (ja) * 2017-07-07 2019-01-31 株式会社アルバック 測定方法及び分析装置
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