JP2019015633A - 測定方法及び分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解質溶液による電極の腐蝕の発生を抑制することが可能な測定方法及び分析装置を提供する。【解決手段】本発明の一形態に係る測定方法は、薄膜が形成された発振子の前記薄膜に電解質溶液を接触させて、前記発振子の共振周波数近傍の第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号を断続的に前記発振子に供給し、前記発振子から出力される出力信号を測定する。【選択図】図6
Description
本発明は、QCMを用いた、薄膜材料の電解質溶液による腐蝕の測定を行う測定方法及び分析装置に関する。
薄膜の腐蝕速度や結着性等の膜特性を定量的に測定する方法として、QCM(Quartz Crystal Microbalance)を用いた測定法がある(例えば特許文献1参照。)。この測定法では、圧電発振子に薄膜を形成し、この薄膜に腐蝕性又は酸化性の物質を接触させ、薄膜の質量変化量を圧電素子の振動数変化量に基づいて測定する。
QCMを用いた測定法において、薄膜に電解質溶液を接触させて薄膜の腐蝕についての測定を行う際、長時間、圧電発振子を電解質溶液に接触させていると、薄膜が面内均一に腐蝕せず、面内で局所的に腐蝕が進み、薄膜及びその下に形成される電極が腐蝕していた。このように電極が腐蝕されてしまうと、薄膜の腐蝕による質量変化量に加え、電極の腐蝕による質量変化量も、振動数変化量に影響してしまい、薄膜の腐蝕による質量変化量を測定することが困難となる。また、電極が腐蝕されてしまうと測定ができなくなってしまうという問題があった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、電解質溶液によって局部的に薄膜が腐蝕することを抑制することが可能な測定方法及び分析装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る測定方法は、第1の入力信号を断続的に発振子に供給し、出力信号を測定する。
上記第1の入力信号を断続的に発振子に供給する工程では、薄膜が形成された発振子の上記薄膜に電解質溶液を接触させて、上記発振子の共振周波数近傍の第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号を断続的に上記発振子に供給する。
上記出力信号の測定工程では、上記発振子から出力される出力信号を測定する。
上記第1の入力信号を断続的に発振子に供給する工程では、薄膜が形成された発振子の上記薄膜に電解質溶液を接触させて、上記発振子の共振周波数近傍の第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号を断続的に上記発振子に供給する。
上記出力信号の測定工程では、上記発振子から出力される出力信号を測定する。
上記測定方法によれば、第1の入力信号が断続的に発振子に供給されるので、高い電力が継続的に発振子に印加されることがない。これにより、局部的に薄膜の腐蝕がすすむことが抑制され、安定した測定を行うことができる。
上記薄膜は、上記発振子の電極上に形成されてもよい。
このように薄膜の下に電極が形成されていてもよく、局部的に腐蝕が進んだ薄膜部分から薄膜の下層に位置する電極まで電解質溶液が到達して電極が腐蝕されるということが抑制される。したがって、電極が腐蝕し、はがれて測定が続行できなくなるということが発生しにくく、安定した測定を行うことができる。
このように薄膜の下に電極が形成されていてもよく、局部的に腐蝕が進んだ薄膜部分から薄膜の下層に位置する電極まで電解質溶液が到達して電極が腐蝕されるということが抑制される。したがって、電極が腐蝕し、はがれて測定が続行できなくなるということが発生しにくく、安定した測定を行うことができる。
上記第1の入力信号の断続的な供給は、第1の電力で掃引された上記第1の入力信号と、上記第1の電力よりも低い第2の電力で上記第1の周波数範囲以外の第2の周波数範囲で掃引された第2の入力信号を連続して上記発振子に供給することを繰り返してもよい。
このように、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲で連続して掃引された、第1の入力信号及び第2の入力信号を発振子に繰り返して供給することにより、第1の入力信号を断続的に発振子に供給してもよい。
上記第2の入力信号の供給により上記発振子から出力される出力信号の各測定点のコンダクタンスは、上記第1の入力信号の供給により上記発振子から出力される出力信号の各測定点のコンダクタンスよりも小さくてもよい。
これにより、水晶発振子に印加される総電力量を抑制できる結果、外部に漏洩する電磁界の総量を抑制できる。
これにより、水晶発振子に印加される総電力量を抑制できる結果、外部に漏洩する電磁界の総量を抑制できる。
上記第2の電力は−20dBm以下であってもよい。
上記第1の電力は−20dBm以上10dBm以下であってもよい。
上記第1の入力信号は信号供給回路から出力され、上記第1の入力信号の断続的な供給は、上記信号供給回路と上記発振子との導通による上記発振子への上記第1の入力信号の供給と、上記信号供給回路と上記発振子との導通状態の遮断による上記発振子への上記第1の入力信号の供給停止とを繰り返してもよい。
このように、信号供給回路と発振子との導通状態を制御して、発振子への第1の入力信号の供給と供給停止とを繰り返すことにより、第1の入力信号を断続的に発振子に供給してもよい。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る分析装置は、制御部と、測定回路とを具備する。
上記制御部は、薄膜が形成された発振子の上記薄膜に電解質溶液を接触させた状態で、上記発振子の共振周波数近傍の第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号を断続的に上記発振子に供給する。
上記測定回路は、上記発振子から出力される出力信号を測定する。
上記制御部は、薄膜が形成された発振子の上記薄膜に電解質溶液を接触させた状態で、上記発振子の共振周波数近傍の第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号を断続的に上記発振子に供給する。
上記測定回路は、上記発振子から出力される出力信号を測定する。
上記制御部は、第1の電力で掃引された上記第1の入力信号と、上記第1の電力よりも低い第2の電力で上記第1の周波数範囲以外の第2の周波数範囲で掃引された第2の入力信号を連続して上記発振子に供給することを繰り返してもよい。
上記第1の入力信号を出力する信号供給回路と、上記発振子と上記信号供給回路との導通状態を切り替える切替器を更に具備し、上記制御部は、上記切替器の作動を制御して、上記第1の入力信号が断続的に上記発振子に供給されるよう制御してもよい。
以上述べたように、本発明によれば、電解質溶液による薄膜の腐蝕が局部的に進むことが抑制され、発振子の寿命特性が向上し、安定した測定が可能な測定方法及び分析装置を提供することができる。
本実施形態の分析装置では、薄膜が形成された水晶発振子(発振子)であるQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサを電解質溶液に浸漬させた状態で、水晶発振子に入力信号が供給される。そして、入力信号が供給された水晶発振子から出力される出力信号が測定される。これにより、電解質溶液による薄膜の物理的特性の変化として共振周波数変化量が測定される。水晶発振子の詳細な構造については後述するが、水晶発振子は、薄い板状の水晶板の両面にそれぞれ電極が形成され、一方の面の電極上に薄膜が形成されてなる。
本実施形態の分析装置では、水晶発振子に入力した入力信号と水晶発振子から出力された出力信号から共振周波数変化量が測定され、その測定結果より薄膜の電解質溶液との接触による薄膜の膜厚変化が算出される。これにより、例えば、薄膜の腐蝕の度合いや薄膜の腐蝕の進み方の経時変化、薄膜の腐蝕による電解質溶液の汚染と薄膜の腐蝕の進み方との関係の経時変化等を分析することができる。
一般に、薄膜の腐蝕の様子の経時変化を分析するには、水晶発振子に継続的に入力信号を供給していき、所望の経過時間で測定をする必要がある。ここで、入力信号が継続的に水晶発振子に供給される場合について図10を用いて説明する。図10は、水晶発振子の部分概略断面図であり、継続的に入力信号が水晶発振子に供給されて水晶発振子上の電極がはがれる様子を説明する図である。
継続的に入力信号が水晶発振子に供給されて分析が行なわれる場合、薄膜が面内均一に腐蝕せず、局部的に薄膜の腐蝕が進み、分析開始から約30分で電極がはがれてしまう場合があった。局部的に薄膜の腐蝕が進むと、出力信号の周波数が乱れ、電解質溶液による薄膜の腐蝕を測定することが困難となる。更に、薄膜の局部的溶解により、薄膜の下に形成される電極も電解質溶液により腐蝕して電極がはがれてしまう。この局部的な薄膜の腐蝕や電極のはがれは、センサ部表面の膜のモフォロジーによって生じた膜の凹凸が原因の一つと推測される。
図10の各図は、電解質溶液81に水晶発振子を浸漬している様子を示す部分概略断面図であり、水晶発振子の薄膜が形成される側の面付近を拡大したものである。図10の各図に示すように、水晶発振子10は、水晶板11と、水晶板11の一方の面上に形成されたチタン(Ti)からなる電極13と、電極13上に形成された窒化シリコン膜からなる薄膜18とを有する。水晶発振子10は、薄膜18が電解質溶液81に接触するように、電解質溶液81中に浸漬される。電極13及び薄膜18は、例えばスパッタにより成膜される。尚、電極と水晶板に密着性がない場合は、電極と水晶板との間に下地膜を設けても良い。また、電極と薄膜に密着性がない場合は、電極と薄膜の間に下地膜を設けても良い。
図10(A)に示すように、電極13にモフォロジーによって生じた凹凸があると、この凹凸箇所の電極13を覆うように成膜される薄膜18の表面に凸部15が形成される。このような凸部15が薄膜18の表面に存在した水晶発振子10の電極13に入力信号が継続的に印加されると、凸部15に電界が集中し、図10(B)に示すように、薄膜18に亀裂19が生じる。
時間が経過すると、図10(C)に示すように、薄膜18の亀裂19から電解質溶液81が入り込み、薄膜18以外にも電極13をも腐蝕していき、更に亀裂19が深くなる。そして、亀裂19から電解質溶液81が入り込んでいき、図10(D)に示すように、薄膜18、電極13は腐蝕され、その結果、電極13がはがれてしまう。このように、センサ部表面の膜のモフォロジーによって生じた膜の凹凸が、薄膜18の局部的な腐蝕や電極のはがれの原因になっているものと思われる。なお、交番磁界により電解質溶液中のイオンが動かされることにより、滞留せず腐食が加速される要因となっていることも考えられる。
これに対し、本発明者等は、薄膜の電解質溶液による腐蝕の分析のために、薄膜が形成された水晶発振子を用いて薄膜の電解質溶液による腐蝕により生じる水晶発振子の物理的特性変化を測定するにあたって、高い電力が継続的に水晶発振子に印加されないよう構成することにより、局部的に薄膜の腐蝕がすすむことが抑制され、水晶発振子に形成される電極の腐蝕が抑制されることを見出し、本発明に至った。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
下記実施形態においては、高い電力が継続的に水晶発振子に供給されないように、共振周波数近傍の第1の周波数範囲が掃引された第1の入力信号が断続的に水晶発振子に供給されるよう構成される。これにより、局部的に薄膜の腐蝕がすすむことが抑制され、更に水晶発振子に形成される電極の腐蝕が抑制される。したがって、水晶発振子の寿命が長くなり、安定した測定を行うことが可能となる。そして、水晶発振子から出力される出力信号には、電極の腐蝕による振動数変化がほとんど含まれないので、電解質溶液による腐蝕によって生じる薄膜の膜厚変化等をより正確に把握することができる。
下記実施形態においては、高い電力が継続的に水晶発振子に供給されないように、共振周波数近傍の第1の周波数範囲が掃引された第1の入力信号が断続的に水晶発振子に供給されるよう構成される。これにより、局部的に薄膜の腐蝕がすすむことが抑制され、更に水晶発振子に形成される電極の腐蝕が抑制される。したがって、水晶発振子の寿命が長くなり、安定した測定を行うことが可能となる。そして、水晶発振子から出力される出力信号には、電極の腐蝕による振動数変化がほとんど含まれないので、電解質溶液による腐蝕によって生じる薄膜の膜厚変化等をより正確に把握することができる。
(第1の実施形態)
[分析装置の構成]
本実施形態の分析装置においては、共振周波数近傍の第1の周波数範囲及び該第1の周波数範囲以外の第2の周波数範囲で連続して掃引された入力信号が繰り返して水晶発振子に供給されることにより、第1の周波数範囲が掃引された第1の入力信号が断続的に水晶発振子に供給されるよう構成されている。
[分析装置の構成]
本実施形態の分析装置においては、共振周波数近傍の第1の周波数範囲及び該第1の周波数範囲以外の第2の周波数範囲で連続して掃引された入力信号が繰り返して水晶発振子に供給されることにより、第1の周波数範囲が掃引された第1の入力信号が断続的に水晶発振子に供給されるよう構成されている。
図1は、第1の実施形態の分析装置の構成を示す模式図である。図2は、図1の分析装置の一部を構成する水晶発振子の構成を説明する図である。
図1に示すように、分析装置100は、センサ部1と、測定装置としてのネットワークアナライザ2と、情報処理装置3と、ペルチェ素子4と、ペルチェコントローラ5を具備する。
センサ部1は、電解質溶液81が収容される容器82と、水晶発振子10とを有する。センサ部1は、底面に水晶発振子10が水平に配置された容器82内に電解質溶液81が注入された構成となっている。水晶発振子10は、薄膜18が形成された一方の面が上側に位置するように容器82内に配置され、薄膜18は電解質溶液81に接触する状態となっている。
ペルチェ素子4及びペルチェコントローラ5は、センサ部1の温度調整を行うための温調手段である。ペルチェ素子4は、センサ部1の下方に設けられている。ペルチェコントローラ5は、後述する制御部31からの制御信号を基にペルチェ素子4に印加する電流の向きを制御する。センサ部1の温度は、例えば、測定の開始から終了まで温度条件が同じとなるように、ペルチェ素子4及びペルチェコントローラ5により調整される。
図2(A)及び(B)は電極13及び14の形状を説明するための水晶発振子10の部分平面図及びその断面図である。図2(B)は図2(A)の線2B−2Bで切断したときの断面図に相当する。図2(C)及び(D)は、図2(A)及び(B)に示される構造に薄膜18が形成された水晶発振子10の平面図及びその断面図である。図2(D)は図2(C)の線2D−2Dで切断したときの断面図に相当する。
図2に示すように、水晶発振子10は、円形の薄板からなるATカットの水晶板11と、水晶板11の一方の面に形成された第1の電極13と、水晶板11の他方の面に形成された第2の電極14と、水晶板11の一方の面に形成された第1の電極13を覆うように形成された薄膜18とを具備する。第1の電極13と第2の電極14は、チタンから形成される。薄膜18は窒化シリコン膜から形成される。
測定は、第1の電極13及び第2の電極14に電圧が印加されることにより行われる。尚、本実施形態においては第1の電極13上に、腐蝕測定対象の薄膜を成膜しているが、例えば電極自体が腐蝕測定対象の薄膜であってもよい。
上述したように、容器82の底面に水晶発振子10を設けたときに、水晶発振子10は、第1の電極13及び薄膜18が形成される一方の面が上面側に、第2の電極14が形成される他方の面が下面側に位置するように水平に配置される。水晶発振子10の一方の面に形成される薄膜18は電解質溶液81に曝され、他方の面に形成される第2の電極14は電解質溶液81に曝されず、水晶発振子10が発振できるように構成されている。水晶発振子10の共振周波数は、腐食により電解質溶液中に散逸した薄膜の質量に比例して上昇するので、共振周波数の変化量を測定することにより、腐蝕の度合いを分析することができる。
ネットワークアナライザ2は、信号供給回路21と、測定回路22とを有する。信号供給回路21は、周波数を変化させながら水晶発振子10を有するセンサ部1へ向けた交流の入力信号を出力することができるように構成される。信号供給回路21から出力される入力信号は、制御部31により、セグメント掃引条件が設定される。セグメント掃引については後述する。信号供給回路21から出力される入力信号は、ケーブル7を介して水晶発振子10(第1及び第2の電極13,14)に供給される。尚、後述する図6及び図9において、ネットワークアナライザはネットアナと略して記載した。
測定回路22は、センサ部1に入力信号が供給され水晶発振子10から出力される出力信号の信号強度を検出する。測定回路22は、水晶発振子10の出力信号や、信号供給回路21から出力される入力信号に基づいて、水晶発振子10の共振周波数や位相などの周波数特性を測定して、情報処理装置3に出力することができるように構成されている。
本実施形態においては、ネットワークアナライザ2を用いてセンサ部1に、所定の周波数範囲で掃引された入力信号が印加され、水晶発振子10のアドミッタンスが測定される。水晶発振子10のアドミッタンスは、その実数成分であるコンダクタンス、虚数成分であるサセプタンス等に基づいて解析される。図3は、薄膜18が形成された水晶発振子10を電解質溶液81に浸漬したときの水晶発振子10のコンダクタンス波形を示す。
図3において、FSは水晶発振子の共振周波数を示し、この周波数は薄膜の質量変化と電解質溶液の粘性変化の両方の影響を受けた周波数となっている。F1及びF2は、共振周波数のコンダクタンスGmaxの半値であるコンダクタンス1/2Gmaxとなる第1の周波数(F1)及び第2の周波数(F2)である。F2は、電解質溶液の粘性変化の影響を受けない周波数である。FWは、F1とF2の半値半周波数(F1−F2)/2の変化量であり、薄膜の質量変化の影響を受けない周波数である。このように、アドミッタンス解析を用いて、薄膜の質量変化や電解質溶液の粘性変化を分析することができる。
本実施形態においては、ネットワークアナライザ2により測定される水晶発振子10の発振周波数は、上述のアドミッタンス解析により求められる。
本実施形態においては、ネットワークアナライザ2により測定される水晶発振子10の発振周波数は、上述のアドミッタンス解析により求められる。
情報処理装置3は、ネットワークアナライザ2及びペルチェコントローラ5の動作を制御する。情報処理装置3は、制御部31と、入力部32と、表示部33とを有する。情報処理装置3は、分析手段の一例であり、ネットワークアナライザ2にて検出されたセンサ部1の出力に基づいて水晶発振子10の発振周波数を測定するように構成される。情報処理装置3は、さらに、水晶振動子10の発振周波数に基づいて、薄膜の腐蝕の度合いや薄膜の腐蝕の進み方の経時変化等を分析することができるように構成されてもよい。
入力部32は、マウス、キーボード、タッチパネル等から構成される。入力部32を介して、ユーザにより、ネットワークアナライザ2からセンサ部1に対して出力される入力信号のセグメント掃引の条件が設定可能に構成される。
セグメント掃引とは、セグメントと呼ばれる複数の周波数範囲を設定し、更に、そのセグメント毎に測定点数、分解能帯域幅(RBW)、電力(パワー)、掃引時間を設定し、順番にそれらすべてのセグメントの掃引を1回の掃引として実行するものである。
セグメント掃引とは、セグメントと呼ばれる複数の周波数範囲を設定し、更に、そのセグメント毎に測定点数、分解能帯域幅(RBW)、電力(パワー)、掃引時間を設定し、順番にそれらすべてのセグメントの掃引を1回の掃引として実行するものである。
制御部31は、信号供給回路21から出力される入力信号が、ユーザにより設定されたセグメント掃引条件となるようにネットワークアナライザ2を制御する。尚、本実施形態においては、制御部31を情報処理装置3に設けたが、ネットワークアナライザ2に設けてもよい。また、制御部31を含む情報処理装置3の構成をネットワークアナライザ2に設けてもよい。
表示部33は、例えば液晶ディスプレイ等から構成される。表示部33は、ネットワークアナライザ2から出力された水晶発振子10の周波数や位相などの周波数特性や、この周波数特性を基に情報処理装置3により算出された薄膜の腐蝕の度合いや薄膜の腐蝕の進み方の経時変化等の分析結果を表示可能に構成される。
[測定方法]
次に上述の分析装置100による共振周波数の測定方法について図4〜図6を用いて説明する。
図4は、センサ部1に供給される入力信号の周波数範囲とその出力(コンダクタンス)の波形を概略的に示す図である。
図5(A)は、センサ部1に供給される入力信号であって、入力電圧(又は電流)波形を時系列にて示す概念図である。
図5(B)は、ケーブル7の2線にて測定される電圧または電流を時系列信号とし、その信号の各波長における、振幅最大値に接する包絡線を示す概念図である。なお包絡線の基となる測定信号は図示を省略している。
図6は、分析装置100による周波数の測定方法のフローチャートである。
次に上述の分析装置100による共振周波数の測定方法について図4〜図6を用いて説明する。
図4は、センサ部1に供給される入力信号の周波数範囲とその出力(コンダクタンス)の波形を概略的に示す図である。
図5(A)は、センサ部1に供給される入力信号であって、入力電圧(又は電流)波形を時系列にて示す概念図である。
図5(B)は、ケーブル7の2線にて測定される電圧または電流を時系列信号とし、その信号の各波長における、振幅最大値に接する包絡線を示す概念図である。なお包絡線の基となる測定信号は図示を省略している。
図6は、分析装置100による周波数の測定方法のフローチャートである。
入力信号について説明する。
図5(A)に示すように、センサ部1の水晶発振子10には、共振周波数近傍の第1の周波数範囲A(セグメントA)及び該第1の周波数範囲A以外の第2の周波数範囲B(セグメントB)で、時間的に連続する2つの掃引時間A',B'を繰り返し単位とした入力信号83が任意の回数繰り返されて供給される。
図5(A)に示すように、センサ部1の水晶発振子10には、共振周波数近傍の第1の周波数範囲A(セグメントA)及び該第1の周波数範囲A以外の第2の周波数範囲B(セグメントB)で、時間的に連続する2つの掃引時間A',B'を繰り返し単位とした入力信号83が任意の回数繰り返されて供給される。
入力信号83は、第1の周波数範囲A(第1の掃引時間A')で掃引された第1の入力信号831と第2の周波数範囲B(第2の掃引時間B')で掃引された第2の入力信号832とが時間的に連続して掃引された信号である。第1の周波数範囲A(第1の掃引時間A')における第1の入力信号831の掃引と第2の周波数範囲B(第2の掃引時間B')における第2の入力信号832の掃引は、1回の掃引として実行される。これにより、第1の入力信号831が断続的にセンサ部1に供給される。
図5(A),(B)に示すように、薄膜の電解質溶液による腐蝕の様子を分析するにあたっては、センサ部1に第1の入力信号831を供給し、入力信号831に対応する水晶発振子10の出力ケーブル7に於ける信号841が分析に用いられる。第2の入力信号832に対応する水晶発振子10の出力ケーブル7に於ける信号842は分析には使用せず、第2の入力信号832をセンサ部1に供給する時間は、次の第1の入力信号831を供給するまでの待機時間となる。
図4に示すように、第2の入力信号832の第2の周波数範囲Bは、水晶発振子10の共振周波数の基本波(N=1)と、この3倍の周波数(N=3)との間にある周波数範囲内に設定される。第2の周波数範囲Bは、共振が生じない周波数域である。
図5(B)に示すように、第2の周波数範囲Bで掃引された第2の入力信号832の供給を行い水晶発振子10に接続されるケーブル7に於ける信号を計測すると、入力信号と同等または減衰した信号が検出される。これは、コンダクタンスが小さい周波数領域では水晶振動子10を含む等価回路が、入力信号を減衰(消費)させる方向に働くためである。逆に、コンダクタンスが大きい領域、すなわち共振領域である第1の周波数範囲Aでは、水晶振動子10を含む等価回路が入力信号を増幅するため、ケーブル7に於ける信号は、最大でFsに相当するコンダクタンスに対応した値まで増幅されて検出される。
測定方法について図6のフローチャートに従って説明する。
まず、水晶発振子10が電解質溶液81に浸漬された状態で、ネットワークアナライザ2が起動される。
まず、水晶発振子10が電解質溶液81に浸漬された状態で、ネットワークアナライザ2が起動される。
次に、ユーザにより、入力信号83の掃引条件が入力部32を介して情報処理装置3に入力される。本実施形態では、図4に示すように、共振周波数近傍の第1の周波数範囲A(セグメントA)と該第1の周波数範囲A以外の第2の周波数範囲B(セグメントB)の2つのセグメントが設定される。
第1の周波数範囲Aの第1の入力信号831の掃引条件は、中心周波数が27MHz、掃引範囲(スタート周波数からストップ周波数までの範囲)が500kHz、測定点が200点、分解能帯域幅が200Hz、第1の電力が0dBm、掃引時間(第1の掃引時間A')が1秒である。スタート周波数の波長A1、中心周波の波長A2、そしてストップ周波数の波長A3をそれぞれ図5(A)に概念的に示す。
第2の周波数範囲Bの第2の入力信号832の掃引条件は、中心周波数が54MHz、掃引範囲が500kHz、測定点が200点、分解能帯域幅が200Hz、第2の電力が−40dBm、掃引時間(第2の掃引時間B')が1秒である。スタート周波数の波長B1、中心周波数の波長B2、そしてストップ周波数の波長B3をそれぞれ図5(A)に概念的に示す。なお同図は、波高が−40dBm/0dBmの比率で小さくなっていることも併せて概念的に示している。
本実施形態では、連続掃引モードで掃引が行われ、入力信号83の水晶発振子10への供給が2回繰り返されるように設定されるが、供給回数はこれに限定されない。例えば、薄膜の腐蝕の様子の経時変化を分析する場合、センサ部1への第1の入力信号831が複数回供給されるように設定すればよく、第1の入力信号831の供給のタイミング及び回数は任意に設定可能である。
また、掃引条件は上記に限定されず、少なくとも第2の入力信号832の第2の電力が、第1の入力信号831の第1の電力以下であることが望ましい。水晶発振子表面の腐食の支配的な因子は、発振現象により電圧・電流が増幅されることによる水晶発振子表面の電界・磁界の増大と考えられる。このため、測定時に、第1の電力よりも低い第2の電力で第2の入力信号が供給されることで、第1および第2の電力が同一である時と比べ、水晶発振子10に印加されるバックグランド電力(入力信号電力)を下げることができ、さらに水晶振動子表面の腐食を抑制することができる。
第2の電力値は、−20dBm以下が望ましい。−20dBm以下とすることにより、薄膜18の腐蝕が局部的に進むことが防止され、電極13の腐蝕が抑制され、水晶発振子10の長寿命化が可能となる。第2の電力値の下限値は限定されず、使用するネットワークアナライザ2の電力値の可能設定範囲により決定される。
第1の電力値は、−20dBm以上10dBm以下であることが望ましい。−20dBm以上とすることにより、安定した周波数のコンダクタンス波形を取得でき、−20dBmよりも低い電力値であると、周波数波形が乱れてしまう。また、10dBm以下とすることにより安定した周波数のコンダクタンス波形を取得でき、10dBmより高いと周波数波形が乱れてしまう。
本実施形態においては、第1の周波数範囲Aの掃引時間(第1の掃引時間A')と第2の周波数範囲Bの掃引時間(第2の掃引時間B')をそれぞれ1秒ずつとしたが、これに限定されない。第2の掃引時間B'は、第1の掃引時間A'以上であってもよい。例えば、第1の掃引時間A'を1秒とし、第2の掃引時間B'を9秒とするなどしてもよい。
また、第2の周波数範囲Bで掃引された第2の入力信号832の供給により水晶発振子10から出力される出力信号842の各測定点のコンダクタンスは、第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号831の供給により水晶発振子10から出力される出力信号841の最小のコンダクタンスよりも小さくなるように、第2の周波数範囲Bを設定することが望ましい。これにより水晶発振子に印加される総電力量を抑制でき、この結果、外部に漏洩する電界および磁界(電磁界)の総量を抑制できる。したがって、例えば、図10(A)に示すように凸部15が形成されたとしても、外部に漏洩する電磁界の総量が抑制されているので、凸部15への電磁界の集中が抑制され、薄膜18に亀裂19が生じにくい。
情報処理装置3にセグメント掃引の条件がユーザにより設定された後、測定がスタートすると、設定されたセグメント掃引条件に従って、制御部31により、第1の周波数範囲A及び第2の周波数範囲Bで連続して掃引された入力信号83が水晶発振子10に対してネットワークアナライザ2(信号供給回路21)から出力されるように制御される。これにより、ネットワークアナライザ2の測定条件が設定される(S101)。
ネットワークアナライザ2に測定条件が設定されると、測定がスタートする(S102)。設定された測定条件に従って、ネットワークアナライザ2から、第1の周波数範囲Aで掃引された第1の入力信号831がセンサ部1に対して供給され、予め設定された測定点での出力信号841が検出される(掃引測定、S103)。
S103の掃引測定に連続して、第2の周波数範囲Bで掃引された第2の入力信号832が水晶発振子10に供給され、予め設定された測定点での出力信号842が測定回路22において検出される(掃引測定、S104)。S103の掃引とS104の掃引は連続して1回の掃引で行なわれる。
制御部31は、検出された出力信号841を解析する(データ解析、S105)。制御部31は、第1の周波数範囲Aにおける水晶発振子10の発振周波数を測定し、その測定値を表示部33へ出力する(S106)。その後、S107に進み、S107で測定ストップと判定されると、測定は終了する。S108で測定をストップしないと判定されると、S103に戻り、S103〜S107のステップを繰り返す。S107の測定ストップの判定は、予めセットされた指定回数をもとに行われる。
以上のように、本実施形態においては、共振周波数近傍の第1の周波数範囲A及び該第1の周波数範囲A以外の第2の周波数範囲Bで連続して掃引された入力信号83が繰り返してセンサ部1に供給される。これにより、第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号831が断続的にセンサ部1に供給される。
第2の周波数範囲Bで掃引された第2の入力信号832は、水晶発振子10の共振現象を生じさせないため、印加電圧・電圧が入力信号と比較して増幅されることはなく、したがって水晶発振子10の表面の電界・磁界の増加を生じさせることはない。これにより、薄膜の腐蝕が局部的に進むことが抑制され、電極の腐蝕が抑制され、水晶発振子の寿命が長くなり、安定した測定を行うことができる。
さらに、第2の周波数範囲Bでは印加される電力量が共振領域より低いため、膜表面の電磁界も低く保たれる。従って、例えば周波数範囲Aのみを繰り返す測定と比較して、意図しない亀裂などによる腐蝕を発生させる確率を下げる事ができる。これにより本来測定したい膜18が一様に腐蝕され終わるまでの期間、亀裂などによる異常値を計測すること無く、測定を継続することが可能となる。
すなわち、第1の入力信号831の供給期間において水晶発振子10表面の薄膜18に電磁界の増大に起因する亀裂が生じたとしても、第2の入力信号832の供給期間において電解質溶液81との接触により薄膜18の腐食が進行する結果、薄膜18に生じた亀裂は緩和されることになる。このように、第1の入力信号831を断続的に供給することで、薄膜18の全面が均等に腐食し、これにより亀裂などの異常腐食を原因とする測定不良を阻止して、安定した薄膜評価を実現することが可能となる。
(第2実施形態)
[分析装置の構成]
本実施形態の分析装置は、水晶発振子と信号供給回路との導通状態を切り替える切替器を具備する。分析装置は、切替器の作動が制御され、水晶発振子とネットワークアナライザ(測定装置)の信号供給回路との導通状態を切り替わることにより、第1の周波数範囲が掃引された第1の入力信号が断続的にセンサ部に供給されるように構成される。
[分析装置の構成]
本実施形態の分析装置は、水晶発振子と信号供給回路との導通状態を切り替える切替器を具備する。分析装置は、切替器の作動が制御され、水晶発振子とネットワークアナライザ(測定装置)の信号供給回路との導通状態を切り替わることにより、第1の周波数範囲が掃引された第1の入力信号が断続的にセンサ部に供給されるように構成される。
図7は、第2の実施形態の分析装置200の構成を示す模式図である。第1の実施形態の分析装置100と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、水晶発振子10の構成についても第1の実施形態で既に説明をしているため、ここでは説明を省略する。
図7に示すように、分析装置200は、センサ部1と、測定装置であるネットワークアナライザ2と、情報処理装置203と、ペルチェ素子4と、ペルチェコントローラ5と、切替器6を具備する。
情報処理装置203は、制御部231と、入力部32と、表示部33を有する。情報処理装置203は、分析手段の一例であり、測定された水晶発振子10の周波数特性に基づいて、薄膜の腐蝕の度合いや薄膜の腐蝕の進み方の経時変化等を分析することができるように構成されている。
入力部32は、マウス、キーボード、タッチパネル等から構成される。入力部32を介して、ユーザにより、ネットワークアナライザ2からセンサ部1に対して出力される入力信号の掃引条件が設定可能に構成される。
掃引条件には、掃引する周波数範囲、測定点数、分解能帯域幅(RBW)、電力(パワー)、掃引時間がある。信号供給回路21は、入力信号(図4における第1の入力信号831に相当)を連続的に生成する。
本実施形態においては、ネットワークアナライザ2から出力される入力信号の電力は時系列で変化させる必要はない。そして、切替器6の作動により、ネットワークアナライザ2の信号供給回路21と水晶発振子10との導通状態が制御される。
切替器6は、スイッチ回路の一例である。1つの水晶発振子に対して1つの切替器6が設けられる。切替器6は、ネットワークアナライザ2と水晶発振子10との間を接続するケーブル7に接続される。切替器6は、情報処理装置203からケーブル9を介して供給される制御信号に応じて、信号供給回路21と水晶発振子10との導通とその遮断を切り替える。上記制御信号は、ネットワークアナライザ2を介して供給されてもよい。
切替器6は、その導通状態において、ネットワークアナライザ2と水晶発振子10とをケーブル7を介して電気的に接続し、センサ部1へ入力信号を供給する。一方、切替器6は、その遮断状態において、ネットワークアナライザ2からセンサ部1への入力信号の供給を遮断する。分析装置200は、切替器6が遮断状態にあるときに、生成された入力信号をネットワークアナライザ2へ戻すループ回路(図示略)を備えていてもよい。上記ループ回路は、ケーブル7の配線間等に存在する浮遊容量で形成されてもよい。
制御部231は、信号供給回路21から出力される入力信号が、ユーザにより設定された掃引条件となるようにネットワークアナライザ2を制御する。更に、制御部231は、切替器6に対して、ネットワークアナライザ2と切替器6との導通状態を切り替える制御信号を出力する。尚、本実施形態においては、制御部231を情報処理装置203に設けたが、ネットワークアナライザ2に設けてもよく、これらに限定されない。また、制御部231を含む情報処理装置203の構成をネットワークアナライザ2に設けてもよい。
本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、入力信号として、水晶発振子10の共振周波数近傍の第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号831が、ネットワークアナライザ2からセンサ部1へ供給される。ネットワークアナライザ2は、入力信号に対応するセンサ部1からの出力信号に基づいて、水晶発振器10の発振周波数を測定する。
[測定方法]
次に上述の分析装置200による共振周波数の測定方法について図7及び図8を用いて説明する。図8は、本実施形態の分析装置に用いられる切替器の動作を説明するタイミングチャートである。図8の下の図は、切替器6の動作のタイミングチャートを示し、上の図は、切替器6の動作に伴うセンサ部1からの出力信号のコンダクタンス波形である。図9は分析装置200による周波数の測定方法のフローチャートである。
次に上述の分析装置200による共振周波数の測定方法について図7及び図8を用いて説明する。図8は、本実施形態の分析装置に用いられる切替器の動作を説明するタイミングチャートである。図8の下の図は、切替器6の動作のタイミングチャートを示し、上の図は、切替器6の動作に伴うセンサ部1からの出力信号のコンダクタンス波形である。図9は分析装置200による周波数の測定方法のフローチャートである。
図9のフローチャートに従って、測定方法について説明する。
まず、水晶発振子10が電解質溶液81に浸漬された状態で、ネットワークアナライザ2が起動される。
まず、水晶発振子10が電解質溶液81に浸漬された状態で、ネットワークアナライザ2が起動される。
次に、ユーザにより、ネットワークアナライザ2の測定条件、切替器6の切替条件等が設定される(S201)。入力信号の掃引条件、切替器6の切替条件等は、入力部32を介して情報処理装置203に入力される。
入力信号は、共振周波数近傍の第1の周波数範囲Aで掃引された第1の入力信号831に相当する(図4参照)。本実施形態では、掃引条件は、中心周波数が27MHz、掃引範囲(掃引スタート周波数から掃引ストップ周波数までの範囲)が500kHz、測定点が200点、分解能帯域幅が200Hz、第1の電力(パワー)が0dBm、掃引時間が1秒となるように設定され、更に、第1の入力信号の水晶発振子10への供給が連続して行われるように連続測定モードに設定される。
切替器6の切替条件としては、入力された掃引時間及び第1の入力信号10の水晶発振子10への供給回数を基に、導通状態の切り替えのタイミングや切り替えの回数等が設定される。切替器6の導通時間は、入力信号の掃引時間に対応する。切替器6の導通時間及び遮断時間は特に限定されず、例えば、いずれも1秒に設定される。これに限られず、遮断時間を導通時間以上にしてもよい。
ネットワークアナライザ2の測定条件、切替器6の切替条件等が設定されると、測定がスタートする(S202)。まず、切替器6が導通状態に切り替えられて、センサ部1とネットワークアナライザ2とが電気的に接続される(S203)。
次に、ネットワークアナライザ2の信号供給回路21より、センサ部1へ入力信号が供給される(本測定、S204)。これにより、センサ部1より入力信号に応じた第1の出力信号851(図9参照)が出力される。ネットワークアナライザ2は、第1の出力信号851を測定する(本測定、S204)。
所定の導通時間が経過すると、切替器6が遮断状態に切り替えられて、センサ部1とネットワークアナライザ2との電気的接続が遮断される(S205)。切替器6が遮断状態に切り替えられると、ネットワークアナライザ2は、第2の出力信号852を受信する。第2の出力信号852は、典型的には出力ゼロの信号である(空測定、S206)。出力ゼロの信号とは、バックグラウンド信号と同義である。
次に、制御部231は、センサ部1の出力信号を解析する(データ解析、S207)。制御部231は、本測定で検出された第1の出力信号を基に、水晶発振器1の発振周波数を測定し、表示部33へ出力する(S208)。
ここで、分析装置200が上記ループ回路または同義の浮遊容量を備えている場合、第2の出力信号852は、ケーブル等の信号伝送経路のバックグランド信号に相当し、これにより、信号伝送経路の異常やバックグランドノイズ等を検出することができる。さらに制御部231は、バックグランドの時間的変化(ドリフト)に基づいて、第1の出力信号851の補正するようにしてもよく、これにより水晶振動子10の発振周波数の測定精度を高めることができる。
その後、S209に進み、S209で測定ストップと判定されると、測定は終了する。制御部231は、S209で測定をストップしないと判定したとき、S203〜S208のステップを繰り返す。S209の測定ストップの判定は、ユーザにより入力された測定終了の入力操作をもとに行われるが、切替器6の切替回数に基づいて行われてもよい。
以上のように、本実施形態においては、ネットワークアナライザ(測定装置)の信号供給回路と水晶発振子(発振子)との導通状態を切り替える切替器を備えており、切替器によりセンサ部への入力信号の供給と停止が繰り返されることにより、入力信号が断続的に水晶発振子に供給される。
これにより、水晶発振子に印加される総電力量を抑制でき、この結果、外部に漏洩する電磁界の総量を抑制できる。したがって、例えば、図10(A)に示すように凸部15が形成されたとしても、外部に漏洩する電磁界の総量が抑制されているので、凸部15への電磁界の集中が抑制され、薄膜18に亀裂19が生じにくい。
また、常時高い電力が印加されることがないため、膜表面の電磁界も低く保たれる。従って、例えば周波数範囲Aのみを繰り返す測定と比較して、意図しない亀裂などによる腐蝕を発生させる確率を下げる事ができる。これにより本来測定したい膜18が一様に腐蝕され終わるまでの期間、亀裂などによる異常値を計測すること無く、測定を継続することが可能となる。
以上により、薄膜の腐蝕が局部的に進むことが防止され、電極の腐蝕が抑制され、水晶発振子の寿命が長くなり、安定した測定を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば上記実施形態においては、水晶発振子を1つ設けた分析装置を例にあげて説明したが、水晶発振子を複数設けてもよい。また、電解質溶液及び薄膜の材料も上記実施形態に限定されない。また、上記実施形態においては、電極上に腐蝕測定対象の薄膜を形成した場合について説明したが、電極自体を腐蝕測定対象の薄膜としてもよい。上記測定方法により局所的に電極(薄膜)の腐蝕が進むことが抑制されるので、安定した測定を行うことができる。
6…切替器
10…水晶発振子(発振子)
18…薄膜
21…信号供給回路
22…測定回路
31、231…制御部
81…電解質溶液
83…入力信号
100、200…分析装置
831…第1の入力信号
832…第2の入力信号
A…第1の周波数範囲
B…第2の周波数範囲
10…水晶発振子(発振子)
18…薄膜
21…信号供給回路
22…測定回路
31、231…制御部
81…電解質溶液
83…入力信号
100、200…分析装置
831…第1の入力信号
832…第2の入力信号
A…第1の周波数範囲
B…第2の周波数範囲
Claims (10)
- 薄膜が形成された発振子の前記薄膜に電解質溶液を接触させて、前記発振子の共振周波数近傍の第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号を断続的に前記発振子に供給し、
前記発振子から出力される出力信号を測定する
測定方法。 - 請求項1に記載の測定方法であって、
前記薄膜は、前記発振子の電極上に形成される
測定方法。 - 請求項1又は2記載の測定方法であって、
前記第1の入力信号の断続的な供給は、第1の電力で掃引された前記第1の入力信号と、前記第1の電力よりも低い第2の電力で前記第1の周波数範囲以外の第2の周波数範囲で掃引された第2の入力信号を連続して前記発振子に供給することを繰り返す
測定方法。 - 請求項3記載の測定方法であって、
前記第2の入力信号の供給により前記発振子から出力される出力信号の各測定点のコンダクタンスは、前記第1の入力信号の供給により前記発振子から出力される出力信号の各測定点のコンダクタンスよりも小さい
測定方法。 - 請求項3又は請求項4記載の測定方法であって、
前記第2の電力は−20dBm以下である
測定方法。 - 請求項3から請求項5いずれか1項に記載の測定方法であって、
前記第1の電力は−20dBm以上10dBm以下である
測定方法。 - 請求項1又は請求項2記載の測定方法であって、
前記第1の入力信号は信号供給回路から出力され、
前記第1の入力信号の断続的な供給は、前記信号供給回路と前記発振子との導通による前記発振子への前記第1の入力信号の供給と、前記信号供給回路と前記発振子との導通状態の遮断による前記発振子への前記第1の入力信号の供給停止とを繰り返す
測定方法。 - 薄膜が形成された発振子の前記薄膜に電解質溶液を接触させた状態で、前記発振子の共振周波数近傍の第1の周波数範囲で掃引された第1の入力信号を断続的に前記発振子に供給する制御部と、
前記発振子から出力される出力信号を測定する測定回路
を具備する分析装置。 - 請求項8に記載の分析装置であって、
前記制御部は、第1の電力で掃引された前記第1の入力信号と、前記第1の電力よりも低い第2の電力で前記第1の周波数範囲以外の第2の周波数範囲で掃引された第2の入力信号を連続して前記発振子に供給することを繰り返す
分析装置。 - 請求項8に記載の分析装置であって、
前記第1の入力信号を出力する信号供給回路と、
前記発振子と前記信号供給回路との導通状態を切り替える切替器
を更に具備し、
前記制御部は、前記切替器の作動を制御して、前記第1の入力信号が断続的に前記発振子に供給されるよう制御する
分析装置。
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