JP2013170211A - 重合体エマルションの製造方法 - Google Patents

重合体エマルションの製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】低温で成膜でき、耐水性に優れた塗膜が得られる重合体エマルションの製造方法を提供する。
【解決手段】 下記の工程1〜工程3を行い、重合体エマルションを製造する方法にある。
工程1:エチレン性不飽和単量体混合物(a1)を乳化重合する工程。
工程2:前記工程1で得た重合体の分散液に酸基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物(a2)を加えて乳化重合する工程。
工程3:前記工程2で得られた重合体の分散液を、40℃以上、重合体の分散液の沸点未満で、20分以上保持して中和する工程。
【選択図】なし

Description

本発明は、低温で成膜でき、耐水性に優れた塗膜が得られる重合体エマルションの製造方法に関する。
近年、塗料分野においては、地球環境や塗装作業環境等への配慮から、有機溶剤を媒体
とする溶剤系塗料から、水を分散媒とする水性塗料への変換が図られている。
例えば特許文献1には、酸基含有ビニル系単量体を含むビニル系単量体混合物をラジカル共重合して得られる共重合体の水性分散液中で、ビニル系単量体混合物の乳化重合を行う、透明性に優れたエマルションの製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を併用し、単量体混合物(a)を乳化重合して重合体を形成した後に、単量体(a)とは組成の異なるエチレン性不飽和単量体混合物(b)を加え乳化重合する、耐水性、耐マッドクラック性を改善したエマルションの製造方法が記載されている。
特開2003−268299号公報 特開2010−138256号公報
しかし、特許文献1記載の方法では、酸基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物を重合し、中和工程を行った後に、さらにビニル系単量体混合物を加え重合しているが、この方法では中和後に安定した分散状態または溶解状態とするために、酸基含有ビニル系単量体の量が多くなり、耐水性が不十分となりやすい。
また、特許文献2記載の方法では、前記単量体混合物(b)として酸基含有エチレン性不飽和単量体を含むものを使用した場合に、中和工程が最適化されていないため、低温での成膜性と耐水性が不十分となりやすい。
本発明は低温での成膜性と耐水性とに優れる塗膜を形成できる重合体エマルションの製造方法を提供することにある。
本発明の要旨は、下記の工程1〜工程3を行い、重合体エマルションを製造する方法にある。
工程1:エチレン性不飽和単量体混合物(a1)を乳化重合する工程。
工程2:前記工程1で得た重合体の分散液に酸基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物(a2)を加えて乳化重合する工程。
工程3:前記工程2で得られた重合体の分散液を、40℃以上、重合体の分散液の沸点未満で、20分以上保持して中和する工程。
本発明により、低温で成膜でき、耐水性に優れた塗膜が得られる重合体エマルションを製造できる。
[工程1]
本発明の工程1は、エチレン性不飽和単量体混合物(a1)を乳化重合する工程である。
エチレン性不飽和単量体混合物(a1)に含まれるエチレン性不飽和単量体は、ラジカル重合可能なものであればよく、以下の単量体が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等。シクロアルキル(メタ)アクリレート類:シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等。ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体類:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等。ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレート類:ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等。ヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート類:p−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等。ラクトン変性ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体類。アミノアルキル(メタ)アクリレート類:2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等。アミド基含有重合性単量体:(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等。多官能性(メタ)アクリレート類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等。金属含有ラジカル重合性単量体:ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛等。耐紫外線基含有(メタ)アクリレート類:2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、1−(メタ)アクリロイル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−アミノ−4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。他の(メタ)アクリル系単量体:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等。アルデヒド基又はケト基に基づくカルボニル基含有単量体:アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニトリルアクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等。芳香族ビニル系単量体:スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等。共役ジエン系単量体:1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3―ブタジエン等。その他ビニル系単量体:酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピオン酸ビニル等。後述するグラフト交叉剤を有するシリコーンポリマー。オキシラン基含有ラジカル重合性単量体:グリシジル(メタ)アクリレート等。自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体:N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミドのアルキロール又はアルコキシアルキル化合物等。
炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類の中でも、炭素数4以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート等の疎水性の単量体を含んでいることが好ましく、エチレン性不飽和単量体混合物(a1)の全量を100質量%とした場合、60質量%以上含んでいることが好ましい。60質量%以上であれば、塗膜の耐水性が向上する。
さらに、疎水性で屈折率の高い、芳香族ビニル系単量体やシクロアルキル(メタ)アクリレート類など環状構造の単量体を含むことが塗膜の光沢と耐水性の点で好ましい。これらの単量体は、エチレン性不飽和単量体混合物(a1)の全量を100質量%とした場合、20質量%以上含んでいることが好ましい。20質量%以上であれば、塗膜の光沢を発現するとともに耐水性が向上する。
また、前記単量体混合物(a1)に含まれる酸基含有エチレン性不飽和単量体は、耐水性向上の点から、前記単量体混合物(a1)中に0.3質量%以上、1.8質量%以下であることが好ましい。
酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程1の重合は、公知の乳化重合で行うことができる。乳化重合は、例えば、界面活性剤の存在下、エチレン性不飽和単量体混合物を重合系内に供給し、重合開始剤により重合する公知の方法を使用することができる。また、ソープフリー重合法、シード重合法を用いても良く、2段以上の多段で行っても良い。
開始剤は公知のラジカル重合用開始剤が使用でき、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類や2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]及びその塩類、2,2´−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)及びその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}及びその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)及びその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]及びその塩類等の水溶性アゾ化合物、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類等が挙げられる。これらの開始剤は単独でも、2種類以上の混合物としても使用できる。
また、重合速度の促進、及び70℃以下での低温の重合を行う場合は、例えば、10時間半減期温度が70℃以下である2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、及びその塩類等の水溶性アゾ化合物、もしくは重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、通常、単量体の全量に対して0.01〜10質量部の範囲であるが、重合の進行や反応の制御を考慮に入れると、0.05〜5質量部の範囲が好ましい。
また、単量体混合物(a1)と単量体混合物(a2)の合計100質量部に対し、界面活性剤を0.1〜10質量部含むことが好ましい。界面活性剤が0.1質量部以上存在することによって、水性被覆材の貯蔵安定性が向上し、重合時の安定性も向上する。また、界面活性剤を10質量部以下とすることによって、耐水性を損なうことなく塗料化配合時の安定性、経時的安定性等を維持することができる。より好ましい配合量は、0.5〜8質量部である。
界面活性剤としては、公知の各種のアニオン性、カチオン性、又はノニオン性の界面活性剤、さらには高分子乳化剤が挙げられる。また、界面活性剤成分中にエチレン性不飽和結合を持つ反応性乳化剤も使用できる。
[工程2]
本発明の工程2は、前記工程1で得た重合体の分散液に、酸基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物(a2)を加えて乳化重合する。
工程1で得た重合体の分散液に、酸基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物(a2)を加えて乳化重合することでエマルション粒子の表面に酸基を局在化させ、耐水性を低下させることなく低温における成膜性が向上する。
酸基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも耐水性や耐候性の点でメタクリル酸やアクリル酸が好ましい。
単量体混合物(a2)に含まれる酸基含有エチレン性不飽和単量体以外の単量体としては、工程1のエチレン性不飽和単量体混合物(a1)で例示したエチレン性不飽和単量体を用いることができる。
また、前記単量体混合物(a2)に含まれる酸基含有エチレン性不飽和単量体は、前記単量体混合物(a1)と前記単量体混合物(a2)の総量の0.3質量%以上1.8質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上1.5質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以上1.2質量%以下である。
0.3質量%以上であれば低温での成膜性が良好となり、1.8質量%以下であれば耐水性が良好となる。
さらに、前記単量体混合物(a1)と前記単量体混合物(a2)の質量比は、40/60〜70/30が好ましい。前記単量体混合物(a1)が40質量%以上であれば低温での成膜性や低温での塗膜の伸度が良好となり、70質量%以下であれば、耐汚染性やタック性が良好となる。
また、前記単量体混合物(a1)を重合して得られる重合体のFoxの計算式で得られるガラス転移温度(以下、Tgと表す)は、−20℃以上10℃以下が好ましい。前記Tgが−20℃以上であれば耐汚染性やタック性が良好となり、10℃以下であれば低温での成膜性や低温での塗膜の伸度が良好となる。
さらに、前記単量体混合物(a2)を重合して得られる重合体のTgは60℃以上90℃以下が好ましい。前記Tgが60℃以上であれば耐汚染性やタック性が良好となり、90℃以下であれば低温での成膜性や低温での塗膜の伸度が良好となる。
なお、Foxの計算式から得られるガラス転移温度とは、下記式(1)により算出したのものである。i成分の単独重合体のガラス転移温度は高分子学会編「高分子データハンドブック」(Polymer HandBook,J.Brandrup,Interscience,1989)に記載されている標準的な分析値を用いた。表1に、代表的な単独重合体のTgの文献値を示す。
[数1]
Tg:共重合体のガラス転移温度(℃)
Tgi:i成分の単独重合体のガラス転移温度(℃)
Wi:i成分の質量比率、ΣWi=1

なお、工程2の重合は、工程1と同様に公知の乳化重合で行うことができる。
[工程3]
工程3では、前記工程2で得られた重合体の分散液を、40℃以上、重合体の分散液の沸点未満で20分以上保持して中和を行う。
中和の温度が、40℃未満では得られる塗膜の耐水性が不十分となり、重合体の分散液の沸点以上ではエマルションの形態を安定に保持することができなくなる。
また、中和を行う際の保持時間を20分以上とすることで、得られる塗膜の耐水性が良好となる。また、低温での成膜性の点から保持時間は110分以下とすることが好ましい。
低温での成膜性と塗膜の耐水性の点から、中和の温度は45℃以上65℃以下が好ましく、保持時間は40分以上110分以下がより好ましい。
中和に用いる塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。中でも、塗膜中に残存する可能性が低い低沸点の塩基性化合物が好ましく、アンモニアが好ましい。
塩基性化合物の添加量は、酸基含有エチレン性不飽和単量体(a3)の酸基に対して0.5〜1.2モル当量の塩基性化合物を添加することが好ましい。0.5モル当量以上であれば、低温での成膜性、耐水性が良好となり、1.2モル当量以下であれば、塗膜の乾燥時のアンモニア臭気が少なく作業性が良好となる。耐水性の点から0.8モル当量以上がより好ましい。
また、下記式(2)で求めた中和度が、エマルションの貯蔵安定性の点から45%以上であることが好ましく、耐水性の点から80%以上がより好ましい。
[数2]
中和度(%)=[表面酸価(w)/粒子全体酸価(wa)]×100・・・式(2)
なお、表面酸価(w)は、粒子を溶解させない水を溶媒として用いて測定した酸価であり、粒子全体酸価(wa)は、アセトン:水=8:2の混合液を溶媒として測定した酸価
である。
また、本発明の重合体エマルションのキュムラント解析による平均粒子径は、100nm以上140nm以下が好ましい。100nm以上であればエマルションの粘度が高くなり過ぎず、140nm以下であれば塗膜の透明性が良好となる。
本発明の重合体エマルションのゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)で測定した質量平均分子量は5万〜500万が好ましい。塗膜の耐久性の観点から10万以上が好ましく、成膜性の観点から400万未満が好ましい。
[重合体エマルションを含む塗料組成物]
本発明の重合体エマルションは、塗料用組成物として、各種顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、造膜助剤等の各種添加剤を含んでもよく、さらに他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤、メラミン類等の硬化剤と混合して使用してもよい。
特に、共重合体成分に対して、可塑性、軟化性を有するような造膜助剤を、重合体に対して、5〜50重量%添加することが、低温での成膜性、耐水性等の点から好ましい。
造膜助剤は、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等の2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の(ポリ)エチレングリコール又は(ポリ)プロピレングリコール等のモノエーテル類;フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル類;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のカルビトール類などが挙げられる。特に2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートが弾性に優れるので好ましい。
これらの造膜助剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合体エマルションを含む塗料組成物を用いて各種材料の表面に塗膜を形成するためには、例えば、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法等の各種塗装法を適宜選択することができ、常温乾燥、又は40〜200℃に加熱乾燥することで十分に成膜した塗膜を得ることができる。
また、常温あるいは50℃程度の低温乾燥で塗膜を形成させた後、重合体のガラス転移温度以上の加熱でエマルション粒子同士の結着を強固にして、より耐候性の良い塗膜とすることもできる。
以下に、実施例を用いて本発明を説明する。実施例中の評価方法と評価基準は以下の通りである。
(1)中和度
表面酸価(w)と粒子全体酸価(wa)を測定し、以下の式(2)により求めた。
[数2]
中和度(%)=[表面酸価(w)/粒子全体酸価(wa)]×100・・・式(2)
表面酸価(w)は、重合体エマルション2gを秤量(E)し、水50ccで希釈して測定溶液を調製。次いで自動酸価測定装置(平沼産業株式会社製自動滴定装置 AUTOTITRATOR COM−1600)を用いて0.2mol/lの水酸化カリウム溶液を滴定し電位差変位の極大点の水酸化カリウム溶液滴定量(K)より以下の式(3)を用いて算出した。
粒子全体酸価(wa)は、表面酸価の測定方法のうち、測定溶液を調製する希釈溶媒を水10cc/アセトン40ccの混合溶媒に変えた以外は、表面酸価(w)の測定と同様の方法で行った。
[数3]
表面酸価(w)(mgKOH/g)=[水酸化カリウム溶液滴定量(K)×56.1×ファクター(F)×0.2/エマルションサンプル量(E)]/[エマルション固形分(%)×0.01]・・・式(3)
(2)キュムラント解析による平均粒子径
重合体エマルションを固形分1%になるようにイオン交換水で希釈し、大塚電子株式会社製粒径アナライザーFPAR−1000を用いて室温下にて測定し、キュムラント解析により平均粒子径を算出する。
(3)最低造膜温度(MFT)
熱板の温度設定を低温側0℃、高温側50℃に設定したMFT測定装置(株式会社井本製作所製造膜温度試験機)を用い、熱板上に200μmのアプリケーターで重合体エマルションを塗装し、JISK6828 5.11の方法にて準じて実施した。
MFTは、塗膜の外観の点から、20℃未満が好ましく、10℃未満がさらに好ましい。
(4)耐水性
ガラス板に重合体エマルションを150μのアプリケーターで塗装し、60℃で4時間乾燥させ乾燥塗膜を作製する。作製した塗膜の裏面に光反射防止の黒布を当てて色差計(日本電色株式会社製分光式色彩計SE−2000型)を用いL値(L1)を測定し試験前の白度基準とする。次いで同塗膜を50℃のイオン交換水に浸漬し、12時間後水上げ直後のL値(L2)を測定し、L2からL1を差し引いたΔLを白度の変化量として算出した。
[ΔL値の判断基準]
4未満:特に耐水性良好
6未満:耐水性良好
7未満:使用可能なレベル
7以上:耐水性不十分
(実施例1)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌棒、滴下漏斗、冷却管を装備した2リットルの4つ口フラスコに、純水315g及びSR−1025(反応性乳化剤:ADEKA(株)製)11.2gを入れ、30分間十分に窒素ガスを通気し、純水中の溶存酸素を置換した。窒素ガス通気を停止した後、120rpmで攪拌しながら75℃に昇温した。ここに、スチレン10.7g、メチルメタクリレート2.9g、t−ブチルメタクリレート3.2g、2−エチルヘキシルアクリレート18.2g(単量体混合物(a1−1))、SR−1025(反応性乳化剤:ADEKA(株)製)2.6g及び純水13.9gから得られる乳化分散液と純水7.0gに溶かした過硫酸アンモニウム0.2gを投入し重合を実施した。ついで、重合発熱ピークを確認した後、純水35.0gに溶かした過硫酸アンモニウム1.5gを追加し、5分後にスチレン135.6g、メチルメタクリレート36.3g、t−ブチルメタクリレート40.9g、2−エチルヘキシルアクリレート229.6g(単量体混合物(a1−2))、SR−1025(反応性乳化剤:ADEKA(株)製)33.3g及び純水175.1gから得られる乳化分散液を2時間かけて滴下し、工程1の重合を終了した。
1時間保持した後、さらに、スチレン65.8g、メチルメタクリレート46.2g、t−ブチルメタクリレート67.9g、2−エチルヘキシルアクリレート35.7g、メタクリル酸7g(単量体混合物(a2))、SR−1025(反応性乳化剤:ADEKA(株)製)17.3g及び純水91gから得られる乳化分散液を2時間かけて滴下し、工程2の重合を終了した。滴下終了後16.8gの純水を滴下して乳化分散液滴下配管を洗浄した。純水滴下終了した後1時間、80℃にて攪拌を継続し、その後28%アンモニア水溶液を5.7g添加し、60℃で30分間中和を行い、酸基含有アクリル系重合体エマルションを得た。得られた重合体エマルションの評価結果を表2に示した。
St:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
t−BMA:t−ブチルメタクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
MAA:メタクリル酸
(実施例2〜6)
中和条件を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に検討を行った。得られた重合体エマルションの評価結果を表2に示した。
(実施例7、8)
酸基含有エチレン性不飽和単量体の量、中和条件を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に検討を行った。得られた重合体エマルションの評価結果を表2に示した。
(比較例1、2)
中和条件を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に検討を行った。得られた重合体エマルションの評価結果を表2に示した。
比較例1では、中和での保持時間が短いため耐水性が不十分となった。
比較例2では、中和の温度が低いため耐水性が不十分となった。
(比較例3)
中和温度を100℃とした以外は実施例1と同様な条件で検討を行った。
重合体の分散液が沸騰し容器内から重合物が噴出したため、検討を中止した。

Claims (5)

  1. 下記の工程1〜工程3を行い、重合体エマルションを製造する方法。
    工程1:エチレン性不飽和単量体混合物(a1)を乳化重合する工程。
    工程2:前記工程1で得た重合体の分散液に酸基含有エチレン性不飽和単量体を含む単量体混合物(a2)を加えて乳化重合する工程。
    工程3:前記工程2で得られた重合体の分散液を、40℃以上、重合体の分散液の沸点未満で、20分以上保持して中和する工程。
  2. 工程3で、45℃以上65℃以下で中和する請求項1記載の重合体エマルションを製造する方法。
  3. 工程3で、40分以上110分以下保持して中和する請求項1記載の重合体エマルションを製造する方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の方法で得られた重合体エマルション。
  5. 請求項4記載の重合体エマルションを含む塗料組成物。
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