JP2013170142A - π共役系化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化状態が安定で、電子供与性基や複素環、縮環構造を有するπ電子の豊富なπ共役系化合物を高収率・高選択性的に合成する製造方法を提供する。
【解決手段】チオフェン環を一部に含む縮環アリーレン基または電子供与性基で置換されたアリーレン基を有するハロゲン化合物と亜鉛化合物とを、出発原料として用いてクロスカップリング反応を行うことにより、それぞれ異なるアリーレン基が互いに結合した構造を有するπ電子の豊富なπ共役系化合物を高収率で得る。
【選択図】 なし
【解決手段】チオフェン環を一部に含む縮環アリーレン基または電子供与性基で置換されたアリーレン基を有するハロゲン化合物と亜鉛化合物とを、出発原料として用いてクロスカップリング反応を行うことにより、それぞれ異なるアリーレン基が互いに結合した構造を有するπ電子の豊富なπ共役系化合物を高収率で得る。
【選択図】 なし
Description
本発明は、π電子の豊富な構造を有するπ共役系化合物の製造方法に関するものである。
ピロール、チオフェン、アニリン等のようにヘテロ原子が環内外に存する五員環構造又は六員環構造を有する化合物を重合したり、炭化水素系芳香環構造を有する化合物を重合したりして得られる重合体は半導体性を有しており、有機薄膜太陽電池、有機電界トランジスタ、RFID等の様々な有機デバイスへの用途が検討されている。また、アニオンでドーピングされたこれらの重合体は導電性を有しており、またドーピング量を調整することにより電気特性及び光学特性を適切にコントロールすることができるため、各種電極、エレクトロクロミック材料、各種センサー、一次電池、二次電池、固体電解コンデンサ、帯電防止剤等の様々な有機材料への用途が検討されている。
前述の重合体を得る方法として、第二鉄塩や第二銅塩などの酸化剤を用いて酸化重合させる化学酸化重合法、電解液中で電圧を印加することで電気化学的に重合させる電解重合法、有機金属体やハロゲン体を前駆体としクロスカップリング反応により重合させるカップリング重合法が挙げられる。中でもカップリング法は反応位置の選択性に優れており、半導体として有機薄膜太陽電池、薄膜トランジスタに用いられる重合体合成に好適に用いられている(特許文献1〜3)。
半導体用途の重合体は中性状態で使用される一方で、導体用途の重合体は、重合体が酸化され、カチオン性を帯び、カウンターアニオンであるドーパントによりドーピングされ、導電性を有する状態で使用される。したがって、ドーピングされた酸化状態が安定な導電性の重合体およびその原料が求められている。
本発明者らは、重合体の酸化状態を安定にするべくイオン化ポテンシャルの低い化合物の合成を検討し、イオン化ポテンシャルを下げるためには、電子供与性置換基や複素環や縮環構造を骨格に導入したπ電子の豊富な構造を有する化合物が有効であると考え、特許文献1〜3等に記載の従来方法に従い、π電子の豊富な構造を有するπ共役系化合物の合成を試みた。しかし、原料の分解・低収率・副反応などの問題が発生し、収率良く目的物を得ることはできなかった。
しかして、本発明の目的は、電子供与性基や複素環、縮環構造を有するπ電子の豊富なπ共役系化合物を高収率・高選択性的に合成する製造方法を提供することにある。
本発明者らは更なる鋭意検討を重ね、特定のハロゲン化合物と亜鉛化合物とを用いてクロスカップリング反応を行うことにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
1.下記式(1)
X−Ar1−X’ ・・・(1)
で示されるハロゲン化合物(α)と、下記式(2)
Y−Ar2−Y’ ・・・(2)
で示される亜鉛化合物(β)とをクロスカップリングさせることによる、Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有するπ共役系化合物の製造方法;
[式(1)中、Xはハロゲン原子を示し、X’はハロゲン原子または水素原子を示し、式(2)中、Yは−ZnCl、−ZnBrまたは−ZnIを示し、Y’は−ZnCl、−ZnBr、−ZnIまたは水素原子を示し、
式(1)及び(2)中、Ar1及びAr2はそれぞれ異なって、下記式(3)で示される縮環ヘテロアリーレン基または(4)で示されるアリーレン基であり、
(式(3)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基もしくはアルキルチオ基を示し、Z1は置換基を有してもよいホウ素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、リン原子、硫黄原子、ゲルマニウム原子またはセレン原子を示し、環Cは置換基を有してもよい5員または6員の芳香環若しくはヘテロ芳香環を示し、更に縮環していてもよい。)
*−Ar’n−* ・・・(4)
(式(4)中、Ar’は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基またはアルキルチオ基で置換されている単環アリーレン基であり、nは1〜3の整数を示す。)
Ar1及びAr2のうち少なくとも一方は上記式(3)で示される縮環へテロアリーレン基である];
2.前記式(3)で示される縮環へテロアリーレン基が下記式(5)
または下記式(6)
[式中R1は前記と同義であり相互に異なっていてもよく、Z1は請求項1の定義と同義である。]
で示される縮環へテロアリーレン基であることを特徴とする請求項1に記載のπ共役系化合物の製造方法;
3.前記式(3)で示される縮環へテロアリーレン基が下記式(5a)
または下記式(6e)
[式中R1は前記と同義であり相互に異なっていてもよく、R2は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基を示す。]
で示されることを特徴とする請求項2に記載のπ共役系化合物の製造方法;
4.前記式(4)で示されるアリーレン基が下記式(7)
[式中、R3は水素原子、ハロゲン原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基もしくはアルキルチオ基を示し、R4は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。]
で示されるチオフェン−2,5−ジイル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
5.Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有する化合物が下記式(8)
−(Ar1−Ar2)m− ・・・(8)
[式中、Ar1及びAr2は前記と同義であり、mは2〜1000である。]
で示される重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
6.Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有する化合物が下記式(9)
Ar2 q−Ar1−Ar2−Ar1 p ・・・(9)
[式中、Ar1およびAr2は前記と同義であり、pは0または1であり、qは0または1であり、p及びqの少なくとも一方は0である。]
で示される化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
7.前記式(1)中のX’がハロゲン原子であり、前記式(2)中のY’が−ZnCl、−ZnBrまたは−ZnIであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
8.前記式(1)及び(2)中の、X’及びY’のうち少なくとも一方が水素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
である。
1.下記式(1)
X−Ar1−X’ ・・・(1)
で示されるハロゲン化合物(α)と、下記式(2)
Y−Ar2−Y’ ・・・(2)
で示される亜鉛化合物(β)とをクロスカップリングさせることによる、Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有するπ共役系化合物の製造方法;
[式(1)中、Xはハロゲン原子を示し、X’はハロゲン原子または水素原子を示し、式(2)中、Yは−ZnCl、−ZnBrまたは−ZnIを示し、Y’は−ZnCl、−ZnBr、−ZnIまたは水素原子を示し、
式(1)及び(2)中、Ar1及びAr2はそれぞれ異なって、下記式(3)で示される縮環ヘテロアリーレン基または(4)で示されるアリーレン基であり、
*−Ar’n−* ・・・(4)
(式(4)中、Ar’は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基またはアルキルチオ基で置換されている単環アリーレン基であり、nは1〜3の整数を示す。)
Ar1及びAr2のうち少なくとも一方は上記式(3)で示される縮環へテロアリーレン基である];
2.前記式(3)で示される縮環へテロアリーレン基が下記式(5)
で示される縮環へテロアリーレン基であることを特徴とする請求項1に記載のπ共役系化合物の製造方法;
3.前記式(3)で示される縮環へテロアリーレン基が下記式(5a)
で示されることを特徴とする請求項2に記載のπ共役系化合物の製造方法;
4.前記式(4)で示されるアリーレン基が下記式(7)
で示されるチオフェン−2,5−ジイル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
5.Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有する化合物が下記式(8)
−(Ar1−Ar2)m− ・・・(8)
[式中、Ar1及びAr2は前記と同義であり、mは2〜1000である。]
で示される重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
6.Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有する化合物が下記式(9)
Ar2 q−Ar1−Ar2−Ar1 p ・・・(9)
[式中、Ar1およびAr2は前記と同義であり、pは0または1であり、qは0または1であり、p及びqの少なくとも一方は0である。]
で示される化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
7.前記式(1)中のX’がハロゲン原子であり、前記式(2)中のY’が−ZnCl、−ZnBrまたは−ZnIであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
8.前記式(1)及び(2)中の、X’及びY’のうち少なくとも一方が水素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法;
である。
本発明の製造方法を用いることにより、電子供与性基や縮環構造を有するπ電子の豊富なπ共役系化合物及びπ共役系重合体を高収率かつ高選択的に合成することができる。本発明の製造方法により得られたπ共役系重合体は、ドーピングされた状態が安定でありかつ高い導電性を示すため、有機エレクトロニクス材料等に有用である。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の製造方法は、下記式(1)
X−Ar1−X’ ・・・(1)
で示されるハロゲン化合物(α)と、下記式(2)
Y−Ar2−Y’ ・・・(2)
で示される亜鉛化合物(β)とを出発原料とする。本発明の製造方法により、Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有するπ共役系化合物を得ることができる。
X−Ar1−X’ ・・・(1)
で示されるハロゲン化合物(α)と、下記式(2)
Y−Ar2−Y’ ・・・(2)
で示される亜鉛化合物(β)とを出発原料とする。本発明の製造方法により、Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有するπ共役系化合物を得ることができる。
前記式(1)、(2)中、Ar1及びAr2はそれぞれ異なって、下記式(3)で示されるπ電子の豊富な縮環ヘテロアリーレン基
であるか、または下記式(4)で示される電子供与性基を置換基として有するπ電子の豊富なアリーレン基
*−Ar’n−* ・・・(4)
であり、Ar1及びAr2のうち少なくとも一方は式(3)で示される縮環ヘテロアリーレン基である。式中の*はX、X’、YまたはY’のいずれかに結合する箇所を示す。
*−Ar’n−* ・・・(4)
であり、Ar1及びAr2のうち少なくとも一方は式(3)で示される縮環ヘテロアリーレン基である。式中の*はX、X’、YまたはY’のいずれかに結合する箇所を示す。
前記式(3)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基もしくはチオアルコキシ基を示す。Z1は置換基を有してもよいホウ素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、珪素原子、リン原子、硫黄原子、ゲルマニウム原子またはセレン原子を示し、環Cは置換基を有してもよい5員または6員の芳香環若しくはヘテロ芳香環を示し、更に縮環していてもよい。すなわち前記式(3)で示されるアリーレン基はチオフェン環を一部に含む縮環ヘテロアリーレン基である。
R1が示すハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子がそれぞれ挙げられ、好ましくはフッ素原子または塩素原子である。前記式(1)中のAr1が前記式(3)で示される縮環ヘテロアリーレン基である場合、R1とX及びX’が表すハロゲン原子は同一であっても異なるものであってもよい。ただし、R1とX及びX’が表すハロゲン原子が異なる場合には、ハロゲン原子のカップリング反応性が、X及びX’>R1となるようにハロゲン原子を選択するのが好ましい。
Z1が有していてもよい置換基としては、例えば炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基が挙げられる。当該置換基は、環C上の炭素原子またはヘテロ原子に結合した側鎖を意味する。
前記式(3)で示される縮環へテロアリーレン基として具体的に例示するならば、例えば、下記式(5)または(6)で示される基が挙げられる。
[式中R1は前記と同義であり相互に異なっていてもよく、Z1は前記と同義である。]
前記式(5)で示されるアリーレン基としては、例えば、下記式(5a)〜(5i)
を例示することができる。特に式(5a)、(5b)、(5c)、(5e)で示されるアリーレン基が本発明の製造方法において好ましく使用できる。R2は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシルオ基、2−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、R2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
前記式(6)で示されるアリーレン基としては、例えば、下記式(6a)〜(6i)
を例示することができる。特に式(6a)、(6b)、(6c)、(6e)、(6g)、(6h)および(6i)で示されるアリーレン基が本発明の製造方法において好ましく使用できる。R2は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシルオ基、2−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、R2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
前記式(4)中、Ar’は電子供与性基として炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数1〜20のアルキルチオ基を有する単環アリーレン基であり、nは1〜3の整数である。
単環アリーレン基としては特に限定されないが、チオフェン環、ピロール環、フラン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環等から誘導される2価のヘテロアリーレン基が挙げられ、結合位置としては特に限定されないが、環内に存する炭素原子に結合していることが好ましい。なお、本明細書において「単環」とは縮環していないことを意味し、式(4)において、Ar’は単環アリーレン基が複数連結した多環構造(nが2または3)を含む。
Ar’が有する炭素数1〜20のアルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、又は環状のアルコキシ基が挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、2−メチルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などが挙げられる。該アルコキシ基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。該アルコキシ基が更にアルコキシ基で置換されている場合、ポリアルキレングリコール鎖を形成していてもよく、例えば、2−メトキシエトキシ基、2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ基、2−(2−エトキシ(2−メトキシエトキシ))エトキシ基、3−メトキシプロポキシ基、3−(3−メトキシプロポキシ)プロポキシ基、3−(3−プロポキシ(3−メトキシプロポキシ))プロポキシ基などが挙げられる。
Ar’が有する炭素数1〜20のアルキルチオ基としては、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキルチオ基が挙げられ、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−オクチルチオ基、n−デシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−ヘキサデシルオチオ基、2−メチルヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基などが挙げられる。該アルキルチオ基は更に置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。
前記式(7)中、R3は水素原子、ハロゲン原子、または置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基もしくはチオアルコキシ基を示し、R4は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示す。R4としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。有してもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。溶解性の観点から、R4はアルコキシ基が更にアルコキシ基で置換されたポリアルキレングリコール鎖であることが好ましい。
本発明の出発原料であるハロゲン化合物(α)と亜鉛化合物(β)中のAr1及びAr2は、それぞれ異なるアリーレン基である。ここで、それぞれ異なるとは、主鎖骨格がそれぞれ異なるもの、または主鎖骨格が同一であって置換基がそれぞれ異なるものを意味する。また、Ar1とAr2のうち少なくとも一方は式(3)で示される縮環ヘテロアリーレン基であり、例えば、Ar1とAr2の両方が式(3)で示される縮環ヘテロアリーレン基であってもよいし、どちらか一方が式(4)で示される単環アリーレン基であってもよい。Ar1とAr2との組み合わせは、目的生成物とするπ共役系化合物に応じて任意に選択することができる。
前記式(1)中のXはハロゲン原子を示し、X’はハロゲン原子または水素原子を示す。前記式(2)中、Yは−ZnCl、−ZnBrまたは−ZnIを示し、Y’は−ZnCl、−ZnBr、−ZnIまたは水素原子を示す。
本発明において、前記式(1)で示されるハロゲン化合物(α)と前記式(2)で示される亜鉛化合物(β)とをクロスカップリングさせることにより、Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有するπ共役系化合物を製造することができる。Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有するπ共役系化合物としては、下記式(8)で示される交互共重合体または下記式(9)で示される化合物が挙げられる。
−(Ar1−Ar2)m− ・・・(8)
Ar2 q−Ar1−Ar2−Ar1 p ・・・(9)
[式中、Ar1およびAr2は前記と同義であり、mは2〜1000であり、pは0または1であり、qは0または1であり、p及びqの少なくとも一方は0である。]
−(Ar1−Ar2)m− ・・・(8)
Ar2 q−Ar1−Ar2−Ar1 p ・・・(9)
[式中、Ar1およびAr2は前記と同義であり、mは2〜1000であり、pは0または1であり、qは0または1であり、p及びqの少なくとも一方は0である。]
本発明の製造方法は、用いるハロゲン化合物(α)及び亜鉛化合物(β)の組み合わせにより、前記式(8)で示される交互共重合体または前記式(9)で示される化合物を得ることができる。具体的には、本発明の製造方法は下記反応式(I)〜(IV)で示される。
反応式(I)〜(IV)中、Ar1、Ar2、X、Y及びmは前記と同義である。本発明の製造方法において、ハロゲン化合物(α)のX’及び亜鉛化合物(β)のY’のうち少なくとも一方が水素原子である場合は、化学反応式(II)〜(IV)で表される反応となり、前記式(9)で示されるπ共役系化合物を得ることができる。ハロゲン化合物(α)のX’及び亜鉛化合物(β)のY’の両方が水素原子でない場合、化学反応式(I)で表される反応となり、前記式(8)で示されるπ共役系交互共重合体を得ることができる。
前記亜鉛化合物(β)の調整方法は特に限定されるものではないが、下記反応式(V)に示す有機リチウム試薬とハロゲン化亜鉛を用いる製造方法や、下記反応式(VI)に示す金属亜鉛を用いる製造方法等が挙げられる。
前記反応式(V)、(VI)中、Ar2は前記と同義であり、X1、X2及びX3はハロゲン原子である。有機Li試薬は特に限定されないが、例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等が挙げられる。金属亜鉛は特に限定されないが、例えばリーケ亜鉛等の活性化された金属亜鉛が好ましく使用できる。
前記化学反応式(I)〜(IV)で表される本発明の製造方法は、ハロゲン化合物(α)及び亜鉛化合物(β)を触媒下で加熱、攪拌することで行われる。本発明の反応は、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明の製造方法は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。用いられる溶媒としては特に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族または脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4一ジオキサン等のエーテル等が挙げられる。前記溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法で用いられる触媒としては、有機化学合成においてクロスカップリング反応を行う際に一般的に用いられる金属触媒を使用することができる。例えば、パラジウム触媒等の金属触媒を好適に使用することができ、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム(II)、ジクロロ(ジフェニルホスフィノエタン)パラジウム(II)、ジクロロ(ジフェニルホスフィノプロパン)パラジウム(II)、ジクロロ(ジフェニルホスフィノブタン)パラジウム(II)、ジベンジリデンアセトンパラジウム(0)、トリスベンジリデンアセトンジパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)等が挙げられる。用いられる金属触媒の量は特に限定されないが、ハロゲン化合物(α)1molに対して、0.00001〜0.3molが好ましくは、0.0001〜0.1molがより好ましい。
上記の金属触媒は、遷移金属と配位子からなるものであってもよい。これらの配位子としては、所望の配位子を適宜添加してもよいし、金属触媒由来の配位子をそのまま用いることもできる。例えば、リン配位子、カルベン配位子等が挙げられ、配位子の添加方法については特に限定されない。用いられる配位子の量は特に限定されないが、ハロゲン化合物(α)1molに対して、0.00001〜1.2molが好ましくは、0.0001〜0.4molがより好ましい。
反応温度としては、特に限定されないが−50℃〜200℃が好ましく、より好ましくは0℃〜100℃である。反応時間としては、特に限定されないが1分〜48時間が好ましい。
反応終了後に、粗生成物を公知の手法、例えば、抽出、再結晶、カラムクロマトグラフィで精製することができる。本発明の製造方法においては得られる粗生成物の純度が高いため、再結晶等の簡便な方法のみでも精製することが可能であり、π共役系化合物を高収率で得ることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<合成例1>
温度計及びジムロート冷却器を備えた500ml三つ口フラスコに、クロロホルム200mLおよびN−ドデシル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(10.4g,30.0mmol)を加え、反応容器を0℃まで冷却した。その後、N−ブロモスクシンイミド(10.7g,60.0mmol)を3回に分割して加え、2時間攪拌した。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を100ml加え、有機層を抽出した。得られた有機層を蒸留水100mlで4回洗浄した後、濃縮、減圧乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をヘキサンで再結晶することにより、下記式(10)で示された2,6−ジブロモ−N−ドデシル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(12.9g,25.5mmol)を得た。
温度計及びジムロート冷却器を備えた500ml三つ口フラスコに、クロロホルム200mLおよびN−ドデシル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(10.4g,30.0mmol)を加え、反応容器を0℃まで冷却した。その後、N−ブロモスクシンイミド(10.7g,60.0mmol)を3回に分割して加え、2時間攪拌した。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を100ml加え、有機層を抽出した。得られた有機層を蒸留水100mlで4回洗浄した後、濃縮、減圧乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をヘキサンで再結晶することにより、下記式(10)で示された2,6−ジブロモ−N−ドデシル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(12.9g,25.5mmol)を得た。
1H−NMR(270MHz、CDCl3)σ:7.02(s,2H)、4.07(t,J=6.8Hz,2H)、1.80(m,2H)、1.24(m,18H)、0.88(t,J=6.8Hz,3H)
<合成例2>
温度計及びジムロート冷却器を備えた500ml三つ口フラスコに、テトラヒドロフラン100mLおよび3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(5.06g,25.0mmol)を加え、反応容器を0℃まで冷却した。その後、N−ブロモスクシンイミド(4.89g,27.5mmol)を3回に分割して加え、2時間攪拌した。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液100mlを加え、その後ヘキサン100mlを用いて有機層を3回抽出した。得られた有機層を蒸留水100mlで4回洗浄した後、濃縮、減圧乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記式(11)で示された2−ブロモ−3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(6.18g,22.0mmol,88%)を得た。
温度計及びジムロート冷却器を備えた500ml三つ口フラスコに、テトラヒドロフラン100mLおよび3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(5.06g,25.0mmol)を加え、反応容器を0℃まで冷却した。その後、N−ブロモスクシンイミド(4.89g,27.5mmol)を3回に分割して加え、2時間攪拌した。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液100mlを加え、その後ヘキサン100mlを用いて有機層を3回抽出した。得られた有機層を蒸留水100mlで4回洗浄した後、濃縮、減圧乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記式(11)で示された2−ブロモ−3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(6.18g,22.0mmol,88%)を得た。
1H−NMR(270MHz、CDCl3)σ: 7.18(d,1H,J=5.9Hz)、6.76(d,1H,J=5.9Hz)、4.20(m,2H)、3.82(m,2H)、3.73(m,2H)、3.56(m,2H)、3.39(s,3H)
温度計及びジムロート冷却器を備えた200ml三つ口フラスコに、脱水テトラヒドロフラン8.0ml及び3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(425mg,2.10mmol)を加え、反応容器を−20℃まで冷却した。その後ノルマルブチルリチウム(2.6Mヘキサン溶液)を0.81ml(2.10mmol)加え、1時間攪拌した。その後、塩化亜鉛286mg(2.10mmol)をテトラヒドロフラン2.0mlに溶かした溶液を加え、30分攪拌した。その後、合成例1で得た2,6−ジブロモ−N−ドデシル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(505mg,1.00mmol)及びジクロロ(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム(II)(37.0mg,0.0500mmol)を加え、反応容器の温度を40℃まであげ、1時間攪拌した。反応終了後、トルエン100mlおよび飽和食塩水100ml加え、有機層を抽出した。得られた有機層を蒸留水100mlで3回洗浄した後、濃縮、減圧乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をジイソプロピルエーテルに溶解させ、−5℃まで冷却し再結晶し、下記式(12)で示される化合物を高収率で得た(681mg,0.910mmol,91%)。
1H−NMR(270MHz、アセトン-D6)σ:7.41(s,2H)、7.26(d,J=5.7Hz,2H)、7.07(d,J=5.7Hz,2H)、4.32(m,6H)、3.91(m,4H)、3.72(m、4H)、3.55(m,4H)、3.32(s,6H)、1.92(br,2H),1.4−1.2(br,18H)、0.86(t,J=6.8Hz,3H)
温度計及びジムロート冷却器を備えた200ml三つ口フラスコに、脱水テトラヒドロフラン8.0ml及び3−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)チオフェン(517mg,2.10mmol)を加え、反応容器を−20℃まで冷却した。その後ノルマルブチルリチウム(2.6Mヘキサン溶液)を0.81ml(2.10mmol)加え、1時間攪拌した。その後、塩化亜鉛286mg(2.10mmol)をテトラヒドロフラン2.0mlに溶かした溶液を加え、30分攪拌した。その後、2,6−ジブロモチエノ[3,2−b]チオフェン(298mg,1.00mmol)及びジクロロ(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム(II)(37.0mg,0.0500mmol)を加え、反応容器の温度を40℃まであげ、1時間攪拌した。反応終了後、トルエン100mlおよび飽和食塩水100ml加え、有機層を抽出した。得られた有機層を蒸留水100mlで3回洗浄した後、濃縮、減圧乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をジイソプロピルエーテルに溶解させ、−5℃まで冷却し再結晶し、下記式(13)で示される化合物(551mg,0.876mmol,88%)を高収率で得た。
1H−NMR(270MHz、CDCl3)σ:7.38(s,2H)、7.07(d,J=5.7Hz,2H)、6.88(d,J=5.7Hz,2H)、4.28(m,4H)、3.91(m,4H)、3.72(m,4H)、3.67(m,8H)、3.53(m,4H)、3.36(s,6H)
温度計及びジムロート冷却器を備えた200ml三つ口フラスコに、脱水テトラヒドロフラン20.0ml及びN−ドデシル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(348mg,1.00mmol)を加え、反応容器を0℃まで冷却した。その後ノルマルブチルリチウム(2.6Mヘキサン溶液)を0.77ml(2.00mmol)加え、1時間攪拌した。その後、塩化亜鉛273mg(2.00mmol)をテトラヒドロフラン2.0mlに溶かした溶液を加え、30分攪拌した。その後、合成例2で得た2−ブロモ−3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(590mg,2.10mmol)及びジクロロ(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム(II)(37.0mg,0.0500mmol)を加え、反応容器の温度を40℃まであげ、1時間攪拌した。反応終了後、トルエン100mlおよび飽和食塩水100ml加え、有機層を抽出した。得られた有機層を蒸留水100mlで3回洗浄した後、濃縮、減圧乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をジイソプロピルエーテルに溶解させ、−5℃まで冷却し再結晶し、前記式(12)で示される化合物(628mg,0.840mmol,84%)を高収率で得た。
温度計及びジムロート冷却器を備えた200ml三つ口フラスコに、脱水テトラヒドロフラン20.0ml及びN−ドデシル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(348mg,1.00mmol)を加え、反応容器を0℃まで冷却した。その後ノルマルブチルリチウム(2.6Mヘキサン溶液)を0.77ml(2.00mmol)加え、1時間攪拌した。その後、塩化亜鉛273mg(2.00mmol)をテトラヒドロフラン2.0mlに溶かした溶液を加え、30分攪拌した。その後、2,5−ジブロモ−3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(720mg,2.00mmol)及びジクロロ(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム(II)(37.0mg,0.0500mmol)を加え、反応容器の温度を40℃まであげ、24時間攪拌した。反応終了後、メタノール300mLを加え粗生成物を得た。この粗生成物を、ソックスレー抽出器を用いてアセトンで8時間、n−ヘキサンで8時間洗浄した。その後、クロロホルムでソックスレー抽出することで、下記式(14)で示される重合体(165mg,30%)を得た。得られた重合体の数平均分子量は4500であった。なお、数平均分子量は、テトラヒドロフランを溶離液とするGPC(東ソー株式会社製;のHLC−8020 EcoSEC)を用いて測定した。なお、カラムは、東ソー株式会社製のTSKgel Multipore HZの2本を直列に繋いだものを用いた。
1H−NMR(270MHz、CDCl3)σ:7.20−6.70(br−m,3H)、4.40−3.50、(br−m、10H)、3.42(br,3H)、2.00−1.70(br,2H),1.50−1.00(br,18H)、0.90−0.70(br−m,3H)
温度計及びジムロート冷却器を備えた200ml三つ口フラスコに、脱水トルエン10ml及び、脱水DMF10ml、2−トリメチルスズ−3(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(767mg,2.10mmol)、2,6−ジブロモ−N−ドデシル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(505mg,1.00mmol)、フッ化カリウム(58.0mg,1.00mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(58.0mg,0.0500mmol)、を加え、反応容器を100℃まで加熱し、1時間攪拌した。その後、トルエン100mlおよび飽和食塩水100ml加え、有機層を抽出した。得られた有機層を蒸留水100mlで3回洗浄した後、濃縮、減圧乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をジイソプロピルエーテルに溶解させ、−5℃まで冷却し再結晶した。純度を上げるため、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、前記式(12)で示される化合物(331mg,0.443mmol,44%)を得た。なお、カラムクロマトグラフィにより不純物として下記式(15)で示されるホモカップリング化合物25mgを単離し、副反応が起こっていることが確認された。
化合物(15)の物性データ
1H−NMR(270MHz、アセトン-D6)σ:7.43(s,2H)、7.41(s,2H)、7.28(d,J=5.4Hz,d)、7.08(d,J=5.4Hz,d)、4.34(m,8H)、3.92(m,4H)、3.73(m,4H)、3.56(m,4H)、3.32(s,6H)、2.0−1.8(br,4H),1.5−1.2(br,36H)、0.85(t,J=6.8Hz,6H)
1H−NMR(270MHz、アセトン-D6)σ:7.43(s,2H)、7.41(s,2H)、7.28(d,J=5.4Hz,d)、7.08(d,J=5.4Hz,d)、4.34(m,8H)、3.92(m,4H)、3.73(m,4H)、3.56(m,4H)、3.32(s,6H)、2.0−1.8(br,4H),1.5−1.2(br,36H)、0.85(t,J=6.8Hz,6H)
<比較例2>
以下の反応式に従って、式(12)で示される化合物を合成した。
温度計及びジムロート冷却器を備えた200ml三つ口フラスコに、脱水トルエン10ml及び、トルエン10ml、2,6−トリメチルスズ−N−ドデシル−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(673mg,1.00mmol)、2−ブロモ−3(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン(590g,2.10mmol)、フッ化カリウム(58.0mg,1.00mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(58.0mg,0.0500mmol)、を加え、反応容器を100℃まで加熱し、1時間攪拌した。その後、トルエン100mlおよび飽和食塩水100ml加え、有機層を抽出した。得られた有機層を蒸留水100mlで3回洗浄した後、濃縮、減圧乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をジイソプロピルエーテルに溶解させ、−5℃まで冷却し再結晶した。純度を上げるため、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、前記式(12)で示される化合物(97mg,0.13mmol,13%)を得た。なお、本反応においては複数の副生成物が大量に生じていた。
以下の反応式に従って、式(12)で示される化合物を合成した。
本発明の製造方法で得られたπ共役系化合物は、半導体性或いはドーピングした状態で導電性を有する重合体、またはその単量体成分として使用することができ、有機エレクトロニクス材料等に有用である。有機エレクトロニクス材料としては、例えば、電極、固体電解コンデンサ、熱電素子、圧電素子、アクチュエーター、センサー、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタ、電波による個体識別(RFID)器、電界効果トランジスタ(FET)、集積回路(IC)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、有機半導体素子等に使用することができる。
Claims (8)
- 下記式(1)
X−Ar1−X’ ・・・(1)
で示されるハロゲン化合物(α)と、下記式(2)
Y−Ar2−Y’ ・・・(2)
で示される亜鉛化合物(β)とをクロスカップリングさせることによる、Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有するπ共役系化合物の製造方法;
[式(1)中、Xはハロゲン原子を示し、X’はハロゲン原子または水素原子を示し、式(2)中、Yは−ZnCl、−ZnBrまたは−ZnIを示し、Y’は−ZnCl、−ZnBr、−ZnIまたは水素原子を示し、
式(1)及び(2)中、Ar1及びAr2はそれぞれ異なって、下記式(3)で示される縮環ヘテロアリーレン基または(4)で示されるアリーレン基であり、
*−Ar’n−* ・・・(4)
(式(4)中、Ar’は置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基またはアルキルチオ基で置換されている単環アリーレン基であり、nは1〜3の整数を示す。)
Ar1及びAr2のうち少なくとも一方は上記式(3)で示される縮環へテロアリーレン基である]。 - Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有する化合物が下記式(8)
−(Ar1−Ar2)m− ・・・(8)
[式中、Ar1及びAr2は前記と同義であり、mは2〜1000である。]
で示される重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法。 - Ar1とAr2とが互いに結合した構造を有する化合物が下記式(9)
Ar2 q−Ar1−Ar2−Ar1 p ・・・(9)
[式中、Ar1およびAr2は前記と同義であり、pは0または1であり、qは0または1であり、p及びqの少なくとも一方は0である。]
で示される化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法。 - 前記式(1)中のX’がハロゲン原子であり、前記式(2)中のY’が−ZnCl、−ZnBrまたは−ZnIであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法。
- 前記式(1)及び(2)中の、X’及びY’のうち少なくとも一方が水素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のπ共役系化合物の製造方法。
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