JP2013169874A - 車体構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】車体前後方向から入力される荷重を効率よく伝達させる。
【解決手段】フロア部の下部を構成する下壁32を有する樹脂製のロアパネル12Lと、フロア部の車幅方向中央部及び両側部に、それぞれ車体前後方向に延在する閉断面構造のトンネル部38とロッカ部36とを下壁32と対向して構成するとともに、トンネル部38とロッカ部36との間の溝部41に車体前方側及び車体後方側がそれぞれ先細り形状となる開口部41A、41Bが形成され、開口部41Aの車体前方側の溝部41に下壁32の被接合部81と接合される接合部80が形成され、かつ41Bの車体後方側における溝部41にそれぞれ下壁32の被接合部と接合される接合部が形成された上壁40、44を有する樹脂製のアッパパネル12Uと、を備えた車体構造10とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂製のフロア部を備えた車体構造に関する。
樹脂製フロアパネルと、この樹脂製フロアパネルの外周に配設される車体骨格部材とからなるアンダーボディ構造は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ロッカ、フロアパネル、ダッシュパネル、クロスメンバ、フロントクロスメンバ及びリアクロスメンバが、炭素繊維強化プラスチックで構成された車体フロア部構造も、従来から知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭64−22681号公報 特開2008−155700号公報
このようなアンダーボディ構造や車体フロア部構造では、前面衝突時や後面衝突時等、車体前後方向から入力される荷重を効率よく伝達させることが望まれており、その伝達効率の向上には未だ改善の余地がある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、車体前後方向から入力される荷重を効率よく伝達できる車体構造を得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の車体構造は、フロア部の下部を構成する下壁を有する樹脂製のロアパネルと、前記フロア部の車幅方向中央部及び両側部に、それぞれ車体前後方向に延在する閉断面構造のトンネル部とロッカ部とを前記下壁と対向して構成するとともに、前記トンネル部と前記ロッカ部との間の溝部に車体前方側及び車体後方側がそれぞれ先細り形状となる開口部が形成され、かつ前記開口部の車体前方側及び車体後方側における前記溝部にそれぞれ前記下壁の被接合部と接合される接合部が形成された上壁を有する樹脂製のアッパパネルと、を備えたことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、上壁のトンネル部とロッカ部との間の溝部に車体前方側及び車体後方側がそれぞれ先細り形状となる開口部が形成されるとともに、その開口部の車体前方側及び車体後方側における溝部にそれぞれ下壁の被接合部と接合される接合部が形成されている。したがって、前面衝突時や後面衝突時等、車体前後方向から入力された荷重の一部は、接合部(被接合部)に伝達される。
ここで、車体前方側の接合部の車体後方側には、車体前方側が先細り形状となる開口部が形成され、車体後方側の接合部の車体前方側には、車体後方側が先細り形状となる開口部が形成されている。したがって、車体前方側の接合部(被接合部)又は車体後方側の接合部(被接合部)に伝達された荷重は、その先細り形状によって、溝部の車幅方向両側へ誘導されて分散される。つまり、その荷重は、車幅方向で対向するトンネル部の側壁とロッカ部の側壁に伝達されて吸収される。このように、本発明によれば、車体前後方向から入力される荷重をトンネル部及びロッカ部へ効率よく伝達することができる。
また、請求項2に記載の車体構造は、請求項1に記載の車体構造であって、車体前方側の前記接合部及び前記被接合部に、フロントサスペンションメンバを取り付けるための取付孔が形成され、車体後方側の前記接合部及び前記被接合部に、リアサスペンションメンバを取り付けるための取付孔が形成されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、フロントサスペンションメンバに入力された荷重を車体前方側の接合部(被接合部)へ効率よく伝達することができ、また、リアサスペンションメンバに入力された荷重を車体後方側の接合部(被接合部)へ効率よく伝達することができる。
また、請求項3に記載の車体構造は、請求項1又は請求項2に記載の車体構造であって、前記上壁は、前記フロア部の車体前後方向中途部に、車幅方向に延在する閉断面構造のクロス部を前記下壁と対向して構成することを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、フロア部に車幅方向に延在する閉断面形状のクロス部が形成される。したがって、側面衝突時等、車幅方向から入力された荷重をクロス部へ効率よく伝達することができる。
以上のように、本発明によれば、車体前後方向から入力される荷重を効率よく伝達することができる。
樹脂ボディ構造を備えた自動車の概略構成を示す側断面図である。 樹脂ボディ構造のフロア部を構成するアッパパネル及びロアパネルを車体後方から見て示す分解斜視図である。 樹脂ボディ構造のフロア部を構成するアッパパネル及びロアパネルを車体前方から見て示す分解斜視図である。 フロントサスペンションメンバが取り付けられた樹脂ボディ構造のフロア部を車体後方から見て示す斜視図である。 リアサスペンションメンバが取り付けられた樹脂ボディ構造のフロア部を車体前方から見て示す斜視図である。 樹脂ボディ構造のフロア部の構成を示す平面図である。 接合部の構成を拡大して示す斜視図である。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、図中に適宜記す矢印FRは車体前後方向の前方向を、矢印UPは車体上下方向の上方向を、矢印OUTは車幅方向外側をそれぞれ示す。また、以下の説明で、特記なく前後、上下、左右の方向を用いる場合は、車体前後方向の前後、車体上下方向の上下、車体左右方向(車幅方向)の左右を示すものとする。
図1で示すように、車両としての(電気)自動車Vには、本実施形態に係る車体構造としての樹脂ボディ構造10が適用されている。この樹脂ボディ構造10は、アンダーボディ12と、フロントサスペンションモジュール14と、フロントエネルギー吸収部材(以下「フロントEA部材」という)16と、リアサスペンションモジュール18と、リアエネルギー吸収部材(以下「リアEA部材」という)20と、を主要部として構成されている。
(アンダーボディの構成)
図2、図3で示すように、樹脂製のアンダーボディ12は、ロアパネル12Lとアッパパネル12Uとで構成されており、ロアパネル12Lとアッパパネル12Uとが接合されることで、平面視で略矩形状とされたフロア部22が構成されるようになっている(図6参照)。
また、このアンダーボディ12は、フロア部22の前端から上向きに立設された前壁部としてのダッシュロア部24と、フロア部22の後端から上向きに立設された後壁部としてのロアバック部26と、を含んで構成されている。ダッシュロア部24及びロアバック部26は、フロア部22の略全幅に亘る長さを有しており、正面視では車幅方向が長手方向の略矩形状に形成されている。
また、図4、図5で示すように、ダッシュロア部24の車幅方向両端からは、後向きに前側壁28が延設されており、ロアバック部26の車幅方向両端からは、前向きに後側壁30が延設されている。前側壁28及び後側壁30は、それぞれの下端がフロア部22(後述するロッカ部36)の車幅方向外側端部に連続しており、かつ互いに前後に離間している。以上により、アンダーボディ12は、全体としてバスタブ状(側壁の一部が切り欠かれたバスタブ状)に形成されている。
また、図1〜図5で示すように、フロア部22は、略水平面に沿って平坦な下壁32と、この下壁32と上下に対向し、かつ略水平面に沿って平坦な上壁40、44と、を有している。そして、このフロア部22には、それぞれ前後方向が長手方向とされたサイド骨格構造部としての左右一対のロッカ部36と、センター骨格構造部としてのトンネル部38とが形成されている。
左右一対のロッカ部36は、下壁32と、下壁32と上下に対向するロッカ壁としての上壁40と、下壁32の車幅方向両側から上向きに立設された外側壁34と、外側壁34と車幅方向に対向する(車幅方向を向く)縦壁としての内側壁42とで、正断面視で矩形枠状の閉断面構造に構成されている。
トンネル部38は、下壁32と、下壁32と上下に対向するトンネル壁としての上壁44と、互いに対向する(車幅方向を向く)一対の縦壁としてのセンター側壁46とで、正断面視で矩形枠状の閉断面構造に構成されている。
なお、本実施形態では、車幅方向両側部における上壁40と、車幅方向中央部における上壁44とでは、下壁32との対向間隔が異なるように構成されている。すなわち、左右のロッカ部36の方がトンネル部38よりも高位となるように構成されている。また、フロア部22に左右のロッカ部36とトンネル部38とを構成したことにより、上壁40と上壁44との間には、正断面視で凹状となる溝部としての底溝部41が形成されている。
図6で詳細に示すように、後述するセンタークロス部60の前方側の底溝部41には、車体後方側端部が前壁64(後述)までほぼ達する矩形状とされるとともに、車体前方側端部が先細り形状とされた開口部(長孔)41Aが形成されている。そして、そのセンタークロス部60の後方側の底溝部41には、車体前方側端部が後壁66(後述)までほぼ達する矩形状とされるとともに、車体後方側端部が先細り形状とされた開口部(長孔)41Bが形成されている。
更に、開口部41Aよりも車体前方側の底溝部41(前側の底溝部41において開口部41Aを除く車体前方側部分)は、下壁32と接合される接合部80とされており、その接合部80の車幅方向中央部には、後述するフロントサスペンションメンバ70を取り付けるための取付孔80Aが車体前後方向に並んで2つ形成されている。
なお、接合部80を除く開口部41A周りの底溝部41の一部は、下壁32に接合される上フランジ12UFとされている。また、下壁32において、接合部80が重ね合わされる部位(図2において仮想線で示す領域)は被接合部81とされており、取付孔80Aと同等の取付孔81Aが形成されている。
一方、開口部41Bよりも車体後方側の底溝部41(後側の底溝部41において開口部41Bを除く車体後方側部分)は、下壁32と接合される接合部82とされており、その接合部82の車幅方向中央部には、後述するリアサスペンションメンバ72を取り付けるための取付孔82Aが車体前後方向に並んで2つ形成されている。
なお、接合部82を除く開口部41B周りの底溝部41の一部は、下壁32に接合される上フランジ12UFとされている。また、下壁32において、接合部82が重ね合わされる部位(図3において仮想線で示す領域)は被接合部83とされており、取付孔82Aと同等の取付孔83Aが形成されている。
また、図4、図5で示すように、ダッシュロア部24は、左右のロッカ部36及びトンネル部38の各前端部から上方向へ向けて一体に連続する3つの閉断面構造で構成されている。同様に、ロアバック部26は、左右のロッカ部36及びトンネル部38の各後端部から上方向へ向けて一体に連続する3つの閉断面構造で構成されている。
詳細には、図2、図4で示すように、ダッシュロア部24は、前後に対向する外前壁48及び内前壁50と、下壁32と、下壁32に対向する上壁52と、を有して構成されている。
内前壁50は、左右のロッカ部36をそれぞれ構成する内側壁42を車体前方側へ延長して一体に形成された縦壁としての内側壁43と、トンネル部38を構成するセンター側壁46を車体前方側へ延長して一体に形成された縦壁としてのセンター側壁47と、底溝部41を車体前方側へ延長して一体に形成された前溝部51と、を有している。
前溝部51には、矩形状(正方形状)の開口部51Aが形成されており、内前壁50の車幅方向両側部にも、矩形状(台形状)の開口部51Bが形成されている。そして、内前壁50の2つの前溝部51が外前壁48に接合されることにより、ダッシュロア部24には、3つの閉断面形状が車幅方向に並んで形成されるようになっている。
つまり、このダッシュロア部24には、下壁32と、外前壁48と、内前壁50と、上壁52と、各内側壁43と、各センター側壁47とで、閉断面構造(閉断面形状)が車幅方向に3つ構成(形成)されるようになっている。
なお、内前壁50の上壁40、44と連続する下部は、傾斜壁50S(図1参照)とされている。傾斜壁50Sは、前端側より後端側が下方に位置するように前後(水平)方向に対して傾斜されており、その前上端は、内前壁50の上下方向に略沿った上下壁50V(図1参照)の下端に連続されている。そして、傾斜壁50Sの後下端は、上壁40又は上壁44の前端に連続されている。
一方、図3、図5で示すように、ロアバック部26は、前後に対向する外後壁54及び内後壁56と、下壁32と、下壁32に対向する上壁58と、を有して構成されている。
内後壁56は、左右のロッカ部36をそれぞれ構成する内側壁42を車体後方側へ延長して一体に形成された縦壁としての内側壁45と、トンネル部38を構成するセンター側壁46を車体後方側へ延長して一体に形成された縦壁としてのセンター側壁49と、底溝部41を車体後方側へ延長して一体に形成された後溝部57と、を有している。
後溝部57には、矩形状(正方形状)の開口部57Aが形成されている。そして、内後壁56の2つの後溝部57が外後壁54に接合されることにより、ロアバック部26には、3つの閉断面形状が車幅方向に並んで形成されるようになっている。
つまり、このロアバック部26には、下壁32と、外後壁54と、内後壁56と、上壁58と、各内側壁45と、各センター側壁49とで、閉断面構造(閉断面形状)が車幅方向に3つ構成(形成)されるようになっている。
なお、内後壁56の上壁40、44と連続する下部は、傾斜壁56S(図1参照)とされている。傾斜壁56Sは、前端側が後端側よりも下方に位置するように前後(水平)方向に対して傾斜されており、その後上端は、内後壁56の上下方向に略沿った上下壁56V(図1参照)の下端に連続されている。そして、傾斜壁56Sの前下端は、上壁40又は上壁44の後端に連続されている。
また、フロア部22は、左右のロッカ部36とトンネル部38とを車体前後方向の略中央部で架け渡す(車幅方向に延在する)センタークロス部60を有している。センタークロス部60は、下壁32と、下壁32と上下に対向するクロス壁としての上壁62と、前後に対向する前壁64及び後壁66とで側断面視で矩形枠状の閉断面構造に構成されている(図1参照)。
以上説明したアンダーボディ12は、樹脂材料にて構成されている。アンダーボディ12を構成する樹脂材料としては、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの強化繊維を含有する繊維強化樹脂が挙げられる。
そして、このアンダーボディ12(フロア部22)は、図2〜図5で示すように、ロアパネル12Lとアッパパネル12Uとを上下に重ね合わせ、接着剤で接合することで構成されている。
詳細には、ロアパネル12Lは、下壁32(被接合部81、83)と、外側壁34と、ダッシュロア部24の外前壁48と、ロアバック部26の外後壁54と、前側壁28の外壁28Aと、後側壁30の外壁30Aと、平面視で周縁部から外向きに張り出された下フランジ12LFと、を含んで構成されている。
アッパパネル12Uは、ロッカ部36の上壁40及び内側壁42と、トンネル部38の上壁44及びセンター側壁46と、ダッシュロア部24の内前壁50、上壁52、内側壁43及びセンター側壁47と、ロアバック部26の内後壁56、上壁58、内側壁45及びセンター側壁49と、センタークロス部60の上壁62、前壁64及び後壁66と、前側壁28の内壁28Bと、後側壁30の内壁30Bと、平面視で周縁部から外向きに張り出された上フランジ12UFと、を含んで構成されている。
そして更に、このアッパパネル12Uは、トンネル部38とロッカ部36との間に形成された底溝部41(接合部80、82)と、内前壁50に形成された前溝部51と、内後壁56に形成された後溝部57と、を含んで構成されている。なお、上記したように、上フランジ12UFは、接合部80、82を除く開口部41A、41B周りの底溝部41の一部にも形成されている。
したがって、アンダーボディ12は、ロアパネル12Lとアッパパネル12Uとが、下フランジ12LFと上フランジ12UF、下壁32と上フランジ12UF、下壁32(被接合部81、83)と接合部80、82、外前壁48と前溝部51、外後壁54と後溝部57がそれぞれ接着されることで互いに固着され、上記各閉断面構造を構成するようになっている。なお、前側壁28は、外壁28Aと内壁28Bとで閉断面構造を構成し、後側壁30は、外壁30Aと内壁30Bとで閉断面構造を構成するようになっている。
(サスペンションモジュールの構成)
図1で示すように、フロントサスペンションモジュール14は、フロントサスペンションメンバ70と、図示しない左右一対のフロントサスペンションとを少なくとも含んで構成されている。フロントサスペンションメンバ70は、車幅方向が長手方向とされるとともに、図1の側断面視で閉断面構造とされている。
また、フロントサスペンションメンバ70には、左右のフロントサスペンションが全体として組み付けられており、フロントサスペンションメンバ70は、各フロントサスペンションを介して前輪Wfを転舵可能に支持するようになっている。すなわち、各フロントサスペンションは、自動車Vの車体を構成する他の部分に頼ることなく独立して機能するように、フロントサスペンションメンバ70に支持されている。
一方、リアサスペンションモジュール18は、リアサスペンションメンバ72と、図示しない左右一対のリアサスペンションとを少なくとも含んで構成されている。リアサスペンションメンバ72には、左右のリアサスペンションが全体として組み付けられており、リアサスペンションメンバ72は、各リアサスペンションを介して後輪Wrを回転可能に支持するようになっている。すなわち、各リアサスペンションは、自動車Vの車体を構成する他の部分に頼ることなく独立して機能するように、リアサスペンションメンバ72に支持されている。
更に、後輪Wrには、図示しないホイールインモーターが内蔵されている。そして、リアサスペンションモジュール18には、ホイールインモーターを駆動するための図示しないバッテリー及び制御装置であるPCU(パワーコントロールユニット)が組み付けられている。したがって、リアサスペンションモジュール18は、自動車Vの駆動ユニットとして捉えることもできる。
そして、フロントサスペンションメンバ70は、ダッシュロア部24の外前壁48及び接合部80(被接合部81)に締結にて固定されており、リアサスペンションメンバ72は、ロアバック部26の外後壁54及び接合部82(被接合部83)に締結にて固定されている。
詳細には、フロントサスペンションメンバ70の下部には、車体後方側へ延在するフランジ74が一体に形成されており、そのフランジ74は、被接合部81に下方から重ね合わせることができるように構成されている。そして、そのフランジ74の車幅方向中央部には、車体前後方向に並んでボルト挿通孔74A(図4参照)が形成されている。
したがって、被接合部81に車体下方側からフランジ74を重ね合わせ、その下方側からボルト挿通孔74A及び取付孔81A、80Aに締結具としてのボルト84を挿通し、接合部80上でナット86に螺合することにより、そのフランジ74が接合部80(被接合部81)に締結固定される(図1参照)。
また、フロントサスペンションメンバ70の後壁78側(車体前方側)から挿通されたボルト(図示省略)が外前壁48に形成された取付孔48A(図2、図3、図5参照)に挿通され、開口部51Aからナット(図示省略)が螺合されることにより、その後壁78が外前壁48に締結固定される。以上により、フロントサスペンションメンバ70が、ダッシュロア部24に締結固定される。
一方、リアサスペンションメンバ72の下部には、車体前方側へ延在するフランジ76が一体に形成されており、そのフランジ76は、被接合部83に下方から重ね合わせることができるように構成されている。そして、そのフランジ76の車幅方向中央部には、車体前後方向に並んでボルト挿通孔76A(図5参照)が形成されている。
したがって、被接合部83に、車体下方側からフランジ76を重ね合わせ、その下方側からボルト挿通孔76A及び取付孔83A、82Aに締結具としてのボルト84を挿通し、接合部82上でナット86に螺合することにより、そのフランジ76が接合部82(被接合部83)に締結固定される(図1参照)。
また、図5で示すように、リアサスペンションメンバ72には、車体前方側を向く取付プレート68が形成されており、その取付プレート68は、ロアバック部26の外後壁54に車体後方側へ突出するように一体に形成された突出壁54A(図2〜図4参照)に重ね合わせることができるように構成されている。そして、その突出壁54A及び取付プレート68には、それぞれ車体上下方向に並んで取付孔54B(図2〜図4参照)及びボルト挿通孔(図示省略)が形成されている。
したがって、突出壁54Aに取付プレート68を車体後方側から重ね合わせ、その後方側からボルト挿通孔及び取付孔54Bにボルト(図示省略)を挿通して開口部57Aからナット(図示省略)を螺合することにより、その取付プレート68が突出壁54Aに締結固定される。以上により、リアサスペンションメンバ72が、ロアバック部26に締結固定される。
(EA部材の構成)
図1で示すように、フロントEA部材16は、フロントサスペンションメンバ70の車幅方向の長さ(左右のフロントサスペンションの間隔)と略同等の車幅方向に沿った長さを有するボックス形状(略矩形箱状)に形成されている。そして、このフロントEA部材16は、その後端から張り出されたフランジ16Fにおいて、フロントサスペンションメンバ70に締結固定されている。
一方、リアEA部材20は、リアサスペンションメンバ72の車幅方向の長さ(左右のリアサスペンションの間隔)と略同等の車幅方向に沿った長さを有するボックス形状(略矩形箱状)に形成されている。そして、このリアEA部材20は、その車幅方向両端から張り出されたフランジ20Fにおいて、リアサスペンションメンバ72に締結固定されている。
以上説明したフロントEA部材16、リアEA部材20は、樹脂材料にて各部が一体に形成されている。フロントEA部材16、リアEA部材20を構成する樹脂材料としては、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの強化繊維を含有する繊維強化樹脂が挙げられる。また、フロントEA部材16、リアEA部材20は、アルミニウムやその合金などの金属材料で構成してもよい。
(作用)
以上のような構成の樹脂ボディ構造10において、次にその作用について説明する。
本実施形態に係る樹脂ボディ構造10が適用された(電気)自動車Vは、リアサスペンションメンバ72に内蔵されたPCUから後輪Wrのホイールインモーターに電力が供給され、そのホイールインモーターの駆動力により走行する。そして、この自動車Vでは、図示しないステアリングホイールの操舵に応じて、フロントサスペンションを介して支持された前輪Wfが転舵される。
この自動車Vにおいて、前面衝突が生じると、フロントEA部材16に衝突荷重が入力される。この衝突荷重によりフロントEA部材16は圧縮変形され、衝撃エネルギー(動荷重)を吸収しつつ、フロントサスペンションメンバ70に荷重(支持反力)を伝達する。
このとき、フロントEA部材16に入力された衝突荷重は、フロントサスペンションメンバ70の広い面(車幅方向に長い壁)で受け止められ、フロントEA部材16は安定して圧縮変形される。したがって、フロントEA部材16による衝突荷重の吸収が効率よく行われる。
そして、フロントEA部材16によって吸収仕切れずに、フロントサスペンションメンバ70に伝達された衝突荷重は、ダッシュロア部24を介してフロア部22に伝達され、そのフロア部22によって吸収される。
詳細には、フロントEA部材16からフロントサスペンションメンバ70の後壁78を介してダッシュロア部24に入力された荷重は、ダッシュロア部24に形成された3つの閉断面構造、即ち各閉断面構造をそれぞれ構成する内前壁50の各内側壁43及び各センター側壁47によって受け止められる。
そのため、外前壁48の車体後方側への曲げ変形を抑制できるとともに、内前壁50の各内側壁43及び各センター側壁47から、ロッカ部36の前側の各内側壁42における稜線R1(図4参照)及びトンネル部38の前側の各センター側壁46における稜線R2(図4参照)へ荷重を伝達することができる。
つまり、ダッシュロア部24に構成されている3つの閉断面構造(閉断面形状)は、それぞれフロア部22のロッカ部36及びトンネル部38と連続して形成されている。したがって、ダッシュロア部24に入力された荷重は、ダッシュロア部24からフロア部22のロッカ部36及びトンネル部38に効率よく伝達されて吸収される。
また、フロントサスペンションメンバ70のフランジ74は、接合部80(被接合部81)にボルト84及びナット86によって締結固定されている。したがって、フロントサスペンションメンバ70に伝達された荷重は、フランジ74及びボルト84(締結具)を介して、接合部80(被接合部81)へも伝達される。
ここで、センタークロス部60よりも前側の底溝部41には、車体前方側端部が先細り形状となる開口部41Aが形成されている。したがって、図6、図7で示すように、接合部80(被接合部81)に対し、車体前方側から車体後方側へ向けて伝達された荷重は、底溝部41の車幅方向両側へ誘導されて分散される。すなわち、その荷重は、車幅方向で互いに対向する内側壁43、42とセンター側壁47、46に伝達される。
これにより、接合部80(被接合部81)の取付孔80A、81A周りへの応力集中が緩和され、ボルト84に掛かる負担を軽減できるとともに、その荷重は、ロッカ部36及びトンネル部38に効率よく伝達されて吸収される。よって、フロア部22の変形を抑制することができる。
また、この自動車Vにおいて、後面衝突が生じると、リアEA部材20に衝突荷重が入力される。この衝突荷重によりリアEA部材20は圧縮変形され、衝撃エネルギー(動荷重)を吸収しつつ、リアサスペンションメンバ72に荷重(支持反力)を伝達する。
このとき、リアEA部材20に入力された衝突荷重は、リアサスペンションメンバ72の広い面(車幅方向に長い壁)で受け止められ、リアEA部材20は安定して圧縮変形される。したがって、リアEA部材20による衝突荷重の吸収が効率よく行われる。
そして、リアEA部材20によって吸収仕切れずに、リアサスペンションメンバ72に伝達された衝突荷重は、ロアバック部26を介してフロア部22に伝達され、フロア部22によって吸収される。
詳細には、リアEA部材20からリアサスペンションメンバ72の取付プレート68を介してロアバック部26に入力された荷重は、ロアバック部26に形成された3つの閉断面構造、即ち各閉断面構造をそれぞれ構成する内後壁56の各内側壁45及び各センター側壁49によって受け止められる。
そのため、外後壁54の車体前方側への曲げ変形を抑制できるとともに、内後壁56の各内側壁45及び各センター側壁49からロッカ部36の後側の各内側壁42における稜線R3(図5参照)及びトンネル部38の後側の各センター側壁46における稜線R4(図5参照)へ荷重を伝達することができる。
つまり、ロアバック部26に構成されている3つの閉断面構造(閉断面形状)は、それぞれフロア部22のロッカ部36及びトンネル部38と連続して形成されている。したがって、ロアバック部26に入力された荷重は、ロアバック部26からフロア部22のロッカ部36及びトンネル部38に効率よく伝達されて吸収される。
また、リアサスペンションメンバ72のフランジ76は、接合部82(被接合部83)にボルト84及びナット86によって締結固定されている。したがって、リアサスペンションメンバ72に伝達された荷重は、フランジ76及びボルト84(締結具)を介して、接合部82(被接合部83)へも伝達される。
ここで、センタークロス部60よりも後側の底溝部41には、車体後方側端部が先細り形状となる開口部41Bが形成されている。したがって、図6で示すように、接合部82(被接合部83)に対し、車体後方側から車体前方側へ向けて伝達された荷重は、底溝部41の車幅方向両側へ誘導されて分散される。すなわち、その荷重は、車幅方向で互いに対向する内側壁45、42とセンター側壁49、46に伝達される。
これにより、接合部82(被接合部83)の取付孔82A、83A周りへの応力集中が緩和され、ボルト84に掛かる負担を軽減できるとともに、その荷重は、ロッカ部36及びトンネル部38に効率よく伝達されて吸収される。よって、フロア部22の変形を抑制することができる。
また、この自動車Vにおいて、側面衝突が生じても、それによって入力された衝突荷重は、フロア部22に閉断面構造に構成されたセンタークロス部60で受け止められる(吸収される)。つまり、車体側方(車幅方向外側)から入力された荷重は、センタークロス部60に効率よく伝達されて吸収される。よって、フロア部22の変形を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る樹脂ボディ構造10によれば、衝突時におけるアンダーボディ12の変形を抑制することができる。すなわち、フロントサスペンションメンバ70及びリアサスペンションメンバ72が、それぞれロアパネル12Lの下壁32のみ(1枚のパネルのみ)に締結固定されている構成であると、フロントサスペンションメンバ70又はリアサスペンションメンバ72に伝達された衝突荷重は、ロアパネル12Lへは伝達されるが、アッパパネル12Uへは伝達され難い。
しかしながら、本実施形態に係る樹脂ボディ構造10では、下壁32(被接合部81)に接合された接合部80にフロントサスペンションメンバ70が締結固定され、下壁32(被接合部83)に接合された接合部82にリアサスペンションメンバ72が締結固定されている。すなわち、フロントサスペンションメンバ70及びリアサスペンションメンバ72は、それぞれロアパネル12Lとアッパパネル12Uとが重ね合わされた部位に(2枚のパネルに跨って)締結固定されている。
したがって、フロントサスペンションメンバ70又はリアサスペンションメンバ72に伝達された衝突荷重は、ロアパネル12L及びアッパパネル12Uの両方へ効率よく伝達され、トンネル部38及びロッカ部36により効果的に吸収される。よって、衝突時における車室(フロア部22)の変形を抑制することができる。
なお、外前壁48及び内前壁50(前溝部51)から直接(ボルト84を介さずに)接合部80(被接合部81)へ伝達された荷重や、外後壁54及び内後壁56(後溝部57)から直接(ボルト84を介さずに)接合部82(被接合部83)へ伝達された荷重も、それぞれ開口部41A、41Bの先細り形状により、ロッカ部36(内側壁42)及びトンネル部38(センター側壁46)へ誘導・分散させることができる。
また、上記した通り、フロントサスペンションメンバ70及びリアサスペンションメンバ72が締結固定される部位は、2枚のパネル(ロアパネル12Lとアッパパネル12U)が重ね合わされた部位(接合部80と被接合部81、及び接合部82と被接合部83)である。したがって、その部位の強度(剛性)を向上させることができ、自動車Vの操縦安定性能を向上させることができる。
また、アンダーボディ12が樹脂製であっても、それぞれ3つの閉断面構造を備えたダッシュロア部24及びロアバック部26を、衝突時のエネルギー吸収部材として機能させることができる。そのため、別途エネルギー吸収部材を追加する構成に比べて、自動車Vの低コスト化及び軽量化を図ることができる。特に、アッパパネル12Uには、開口部41A、41B、51A、51B、57Aが形成されているため、より軽量化を図ることができる。
以上、本実施形態に係る車体構造(樹脂ボディ構造10)について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る車体構造(樹脂ボディ構造10)は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、アッパパネル12Uとロアパネル12Lとは、融着や溶着によって接合される構成にしてもよい。
また、接合部80、82及び被接合部81、83は、図1で示すような傾斜壁ではなく、車体前後方向に沿った水平壁とされていてもよい。また、接合部80、82及び被接合部81、83が、図示のような傾斜壁とされ、かつフランジ74、76が車体前後方向に沿った水平壁とされている場合には、そのフランジ74、76と被接合部81、83との間に図示しないブラケットを介在させて、フロントサスペンションメンバ70及びリアサスペンションメンバ72を接合部80、82(被接合部81、83)にそれぞれ締結固定するようにしてもよい。
10 樹脂ボディ構造(車体構造)
12 アンダーボディ
12U アッパパネル
12L ロアパネル
22 フロア部
32 下壁
36 ロッカ部
38 トンネル部
40 上壁
41 底溝部(溝部)
41A 開口部
41B 開口部
44 上壁
60 センタークロス部(クロス部)
70 フロントサスペンションメンバ
72 リアサスペンションメンバ
80 接合部
80A 取付孔
81 被接合部
81A 取付孔
82 接合部
82A 取付孔
83 被接合部
83A 取付孔

Claims (3)

  1. フロア部の下部を構成する下壁を有する樹脂製のロアパネルと、
    前記フロア部の車幅方向中央部及び両側部に、それぞれ車体前後方向に延在する閉断面構造のトンネル部とロッカ部とを前記下壁と対向して構成するとともに、前記トンネル部と前記ロッカ部との間の溝部に車体前方側及び車体後方側がそれぞれ先細り形状となる開口部が形成され、かつ前記開口部の車体前方側及び車体後方側における前記溝部にそれぞれ前記下壁の被接合部と接合される接合部が形成された上壁を有する樹脂製のアッパパネルと、
    を備えたことを特徴とする車体構造。
  2. 車体前方側の前記接合部及び前記被接合部に、フロントサスペンションメンバを取り付けるための取付孔が形成され、
    車体後方側の前記接合部及び前記被接合部に、リアサスペンションメンバを取り付けるための取付孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車体構造。
  3. 前記上壁は、前記フロア部の車体前後方向中途部に、車幅方向に延在する閉断面構造のクロス部を前記下壁と対向して構成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体構造。
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