以下、本発明の実施形態を図1から図8に基づいて詳細に説明する。なお、図1〜図8において同一の要素部品には同じ番号がふってある。
図2は、本発明を適用した撮影装置としてのデジタル式一眼レフカメラの概略構成を示す図である。図2において、101はCPU(中央演算処理装置)であり、本カメラの動作は、このCPU101により制御される。105は撮影レンズであり、被写体光を撮像素子(撮像手段)であるCCD106上に結像させている。なお、図2に書かれた撮影レンズ105は、便宜的に1枚のレンズ105aで表現しているが、実際には複数のレンズから成り立っている。
120は、撮影レンズ105のCCD106結像面と等価の結像面(一次結像面)に置かれた焦点検出板(以降、ピント板と称する)であり、被写体像は主ミラー123で反射され、ピント板120上に一次結像する。撮影者は、この被写体像をペンタプリズム128、さらには接眼レンズ群121を通じて見ることができる、いわゆるTTL方式の光学ファインダ構成となっている。一方、主ミラー123は、半透過ミラーとなっており、主ミラー123を透過した一部の光束は、サブミラー122を通じて焦点検出手段である焦点検出ユニット119に導かれ、周知の位相差検出方式の焦点検出動作を行う。焦点検出手段は、撮影画面の複数の領域について焦点検出が可能となっている。
130は、縦横200×300画素のCCDからなる測光センサであり、測光レンズ129によってピント板120に結像した被写体像を複数の領域に分けた各々の輝度、色を検出することが可能となっている。また、測光センサ130の出力を用いてCPU101は顔認識、および色認識から被写体が人物か否かの判定を行うことができる。また、この測光センサ130も撮像手段と言うことができる。
撮影者がレリーズSW114(不図示)を押すと、主ミラー126は撮影レンズ105の光路外に退避する。一方、撮影レンズ105によって集光された被写体光はフォーカルプレーンシャッタ133にてその光量制御がなされ、CCD(撮像素子)106によって被写体像として光電変換処理表示された後、撮影済み画像として記録メディアに記録されるとともに、TFT方式ディスプレイの外部表示部113に撮影画像の表示がなされる。これが通常の静止画撮影であるが、本カメラはそれ以外にライブビュー撮影、動画撮影も可能となっている。
光学ファインダ(OVF)を備えた一般的な一眼レフカメラでは、前述のように撮影時に主ミラー123が撮影レンズ105の光路外に退避すると光学ファインダは真っ暗になり、被写体を見ることができなくなる。これに対して、本実施例の撮影装置では、光学ファインダ光路の途中に電子ビューファインダ(EVF)を配置しているので、主ミラー123が撮影光路外に退避しても被写体像の確認が可能となっている。つまり、光学ファインダを覗くのと同じファインダ光学系の中で被写体観察を行うことができ、ライブビュー撮影を可能にしている。
ライブビュー撮影とは、主ミラー123を撮影光路から退避させ、シャッタ133を開放状態で、CCD106が連続的に撮像を行い、その画像をカメラ背面部にある外部表示部113、あるいは電子ビューファインダの小型TFT方式ディスプレイである内部表示部(表示手段)124のいずれか、あるいは両方において連続して画像表示を行い、この表示を観察しながら撮影者は任意のタイミングで静止画撮影を行うものである。
さらには、ライブビュー撮影状態から任意のタイミングで動画フォーマットへの変換、記録を行うのが動画撮影である。
図8は、カメラの外装部に配置されたライブビュースイッチ140と、動画撮影スイッチ141を示している。ライブビュースイッチ140は回転式のスイッチであり、スイッチの突起部が撮影モードのアイコン142の位置にある時は、光学ファインダを用いた通常の静止画撮影モードであり、アイコン143の位置に突起部を移動させると、カメラの撮影モードはライブビュー撮影モードに設定される。また、ライブビュー撮影モード時に動画スタート・ストップスイッチ141を押すと、動画撮影・記録が開始され、再度、ボタンの押し直しで動画撮影は停止するようになっている。
次に、電子ビューファインダに関する光学構成について、以下の説明を行う。
図2において、126、127は、それぞれ表示プリズム1、表示プリズム2である。表示プリズム1と表示プリズム2は、その間に薄い空気層を伴った状態で保持がなされている。表示プリズム1の一方の面126bはペンタプリズム128に接合されており、接合面126bはハーフミラーになっている。内部表示部124に表示された画像は、表示プリズム1の表示プリズム2に対抗する面126aにて全反射し、ペンタプリズム128へ接合されているハーフミラー面126bにてその一部の光が反射し、撮影者の眼に入射する。
ライブビュー撮影時、あるいは動画撮影時は、光路変更手段としての主ミラー123が撮影光路外に退避しているため、撮影レンズ105からの被写体光は撮影者の眼に到達しないため、内部表示部124に表示された被写体像のみを撮影者は観察することができる。また、被写体からの光は、ハーフミラー面126bにてその光量の一部が減衰するが、その多くの光は透過し、表示用の全反射面126aでも全反射は起きずに、そのまま撮影者の眼に到達する。
ここで、ハーフミラー面126bは、光学ファインダの光量減を実用上最小限としたいので、透過率が80%前後、内部表示部124の光は20%反射(80%減衰)前後になるように設定し、電子ビューファインダの光量減衰分は、内部表示部124であるTFTバックライト輝度を明るくすることで、光学ファインダと電子ビューファインダの光量バランスをとっている。
光学ファインダは、撮影レンズ105によってピント板120に投影された被写体像を接眼レンズ群121で拡大して見るものである。一方、電子ビューファインダの場合、接眼レンズ群121は光学ファインダと共用しており、該接眼レンズ群121からピント板までの光路長よりも短い光路長位置に配置された内部表示部124の視度をピント板120と一致させるためにEVFレンズ125が配置されている。
以上の構成により、本カメラの撮影者は、通常の静止画撮影時には通常の光学ファインダにて被写体の観察を行うが、ライブビュー撮影、あるいは動画撮影時においても、光学ファインダを覗いていた同じ姿勢のままに、内部表示部124による表示、いわゆる電子ビューファインダを用いた被写体観察が可能となっている。
また、CCD106にて連続的に撮像されている画像を内部表示部124に表示するか、外部表示部113に表示をするかは、カメラが自動的に選択を行うようになっている。撮影者がカメラのファインダを覗いているか否かを検知するセンサ(不図示)が接眼レンズ121の近傍に設けられており、その出力に応じて、撮影者がカメラのファインダを覗いていれば撮影画像は内部表示部124に表示がなされ、撮影者がカメラのファインダを覗いていない場合には、外部表示部113に画像表示がなされる。
また、光路変更手段としての主ミラー123が撮影光路内に位置している場合、つまり、静止画撮影状態で光学式ファインダが有効になっている場合でも、内部表示部124に焦点検出領域や、電池残量、ISO感度値などの情報をキャラクタ、あるいは数字で表示すれば、撮影被写体の光学像に重畳させてスーパーインポーズ表示を行うことが可能である。
以上、光学ファインダと電子ビューファインダを両立させた光学系の説明を行ってきたが、本構成を採用すると光学ファインダとしては性能上不利になる面もある。表示プリズム1、2は、光学ファインダにとって本来不要であり、それらがファインダ光路中に挿入されることで接眼レンズ121群がピント板120から遠ざかることになり、視野角、倍率、視野率といった光学ファインダの性能が低下する要因となっているからである。そこで、優先度の高い光学ファインダの性能を維持するために、光学ファインダの光路が横切る表示プリズム1、2の厚みは必要最低限とするのが望ましい。
図4は、本発明の実施例1によるデジタルカメラの概略構成を示す電気ブロック図である。図4において、101は前述のCPU(中央演算処理装置)であり、その内部には不揮発性メモリであるEEPROM101aが構成されている。また、CPU101には、制御プログラムを記憶しているROM(リードオンリーメモリ)102、RAM(ランダムアクセスメモリ)103、データ格納手段104、画像処理部108、表示制御部111、レリーズSW114、電源を供給するためのDC/DCコンバータ117がそれぞれ接続され、画像処理部108にはCCD制御部107、さらにCCD106が接続されている。CCD106は、有効画素数約1000万画素(3888×2592画素)を有している。
カメラの外装背面部、ファインダ内にそれぞれ設けられた外部表示部113、内部表示部124は、CCD106にて撮像された画像を縦横各々間引き処理された画像を表示することのできるTFTカラー液晶である。表示制御部111は、CCD106にて撮像された静止画像、動画像の外部表示部113、内部表示部124への表示の駆動を行っている。モータ制御部125は、CPU101の指示を受けてミラー駆動を始め、カメラ内部の複数のモータを制御している。また、DC/DCコンバータ117には電池116から電源が供給されている。
CPU101は、ROM102内の制御プログラムに基づいて各種制御を行う。これらの制御の中には、画像処理部108から出力された撮影画像信号を読み込み、RAM103へ転送を行う処理、同様に、RAM103よりLCD制御部111へデータを転送する処理、また、画像データをJPEG圧縮し、ファイル形式でデータ格納手段104へ格納する処理がある。動画データの場合も同様な処理を経て、MOV形式のファイルに圧縮され、データ格納手段104へ格納される。
さらに、CPU101は、CCD106、CCD制御部107、画像処理部108、LCD制御部111などに対してデータ取り込み画素数やデジタル画像処理の変更指示を行う。
119は、前述の焦点検出用の一対のラインCCDセンサを含んだ焦点検出制御部であり、ラインセンサから得た電圧をA/D変換し、CPUに送る。また、CPU101の指示のもとに、焦点検出制御部119はラインセンサの蓄積時間とAGC(オートゲインコントロール)の制御も行う。
また、レリーズSW114の操作に伴う撮影動作の指示、各素子への電源の供給をコントロールするための制御信号をDC/DCコンバータ117に対して出力する等の様々な処理もCPU101の制御の基に行われている。
RAM103は、画像展開エリア103a、ワークエリア103b、VRAM103c、一時退避エリア103dを備えている。画像展開エリア103aは、画像処理部108より送られてきた撮影画像(YUVデジタル信号)やデータ格納手段104から読み出されたJPEG圧縮画像データを一時的に格納するためのテンポラリバッファとして、または画像圧縮処理、解凍処理のための画像専用ワークエリアとして使用される。
ワークエリア103bは各種プログラムのためのワークエリアである。VRAM103cは表示部113へ表示する表示データを格納するVRAMとして使用される。また、一時退避エリア103dは各種データを一時退避させるためのエリアである。
データ格納手段104は、CPU101によりJPEG圧縮された撮影画像データ、あるいはMOV形式動画像データをファイル形式で格納しておくためのフラッシュメモリである。CCD106は、CPU101からの解像度変換指示に従って、水平方向および垂直方向の間引き画素データの出力が可能である。
CCD制御部107は、CCD106に転送クロック信号やシャッタ信号を供給するためのタイミングジェネレータ、CCD出力信号のノイズ除去、ゲイン処理を行うための回路、さらに、アナログ信号を10ビットデジタル信号に変換するためのA/D変換回路を有しており、さらには外部表示部113、内部表示部124にライブビュー表示、および動画撮影を行うために、CPU101からの解像度変換指示に従って、画素間引き処理を行うための回路等を含んでいる。
また、画像処理部108は、CCD制御部107より出力された10ビットデジタル信号をガンマ変換、色空間変換、また、ホワイトバランス、AE、フラッシュ補正等の画像処理を行い、YUV(4:2:2)フォーマットの8ビットデジタル信号出力を行うものである。これら撮影レンズ105、CCD106、CCD制御部107、画像処理部108から撮像手段が構成されている。
表示制御部111は、画像処理部108から転送されたYUVデジタル画像データ、あるいはデータ格納手段104の画像ファイルに対してJPEGの解凍を行ったYUVデジタル画像データを受け取り、RGBデジタル信号へ変換した後、外部表示部113、あるいは内部表示部124へ出力する処理を行う。
レリーズSW114は、撮影動作の開始を指示するためのものである。このレリーズSW114は不図示のカメラ操作部材であるレリーズボタンの押下圧によって2段階のスイッチポジションを有しており、1段目のポジション(SW1 ON)の検出で、ホワイトバランス、測光等のカメラ設定のロック動作が行われ、2段目のポジション(SW2 ON)の検出で、被写体画像信号の取り込み動作が行われる。
測光制御部132は、CPU101の指示に従って、CCDからなる測光センサ130を駆動制御し、被写体輝度信号を取り込み、CPU101にデータを送る。
基本的な測光動作としては、測光センサ130の受光面の画素において発生した輝度信号はCPU101にて各々A/D変換が行われ、各々8ビットのデジタル信号となる。これに撮影レンズの明るさを示すFno.(実効Fno.)の値の補正、センサ出力信号のバラツキ補正(レベル・ゲインの調整)、さらには撮影レンズ105から送られてくる情報等から測光補正が行われ、最終的に被写界輝度信号値を得ることができる。
これらの情報に基づいてカメラの最適露出演算が行われ、カメラのシャッタスピード、撮影レンズの絞りを最適に制御することで最適な露光を得ることができる。また、前述の通り、測光センサ130は露出制御のみならず、測光センサ130が出力する多数の被写界輝度信号、色信号に基づいて、CPU101の演算処理によって被写体検出、ひいては撮影シーン判別が可能である。また、116はリチャージャブルの2次電池あるいは乾電池であり、DC/DCコンバータ117は、電池116からの電源供給を受け、昇圧、レギュレーションを行うことにより複数の電源を作り出し、CPU101を初めとする各素子に必要な電圧の電源を供給している。
このDC/DCコンバータ117は、CPU101からの制御信号により、各々の電圧供給の開始、停止を制御できるようになっている。
次に、ライブビュー撮影モードにおけるカメラの撮影動作について、図1、図5のフローチャートとファインダ視野図である図3を用いて詳細な説明を行う。
図5のフローチャートはカメラの撮影動作を説明したものである。
ステップS200にてカメラの電源がONされると、ステップS201にてCPU101はカメラのスイッチ操作部材がライブビュー撮影モードに設定されているか否かの検出を行う。ステップ201にてカメラがライブビュー撮影モードに設定されていなければ、ステップS217にて光学ファインダを使用した通常の静止画撮影モードでの動作を行う。静止画撮影モードの動作は、レリーズSW114のON(SW2 ON)から始まり、静止画撮影、記録という一眼レフスチルカメラとして一般的なシーケンスとなっており、本発明と直接の関係はないので省略する。
一方、ステップ201にてカメラがライブビュー撮影モードに設定されていると、ステップS202にて、電子ビューファインダの表示部である内部表示部124に表示する動画像の表示モード(以下EVF表示モードと称する)が決定される。
ここで、図3(a)〜図3(c)および図1を用いてEVF表示モードについて説明する。図3(a)はカメラの主ミラー123が撮影光路内に静止している撮影待機状態にあり、光学ファインダにて撮影者が見ることのできる被写体像を示している。ここで、被写体像の内部の複数の四角い枠は、被写体に対し撮影レンズ105が合焦状態にある焦点検出領域を示しており、内部表示部124にて表示された四角い枠のキャラクタが光学ファインダ被写体像と重畳されて見えている。また、この光学ファインダの光学的な仕様は、焦点距離50mmの撮影レンズ105をカメラに装着した際のファインダ倍率が1.0倍であり、撮影領域とファインダで視認可能な被写体領域との比率を意味するいわゆる視野率が100%となっている。
図3(b)は、光学ファインダから電子ビューファインダに切替った際に見ることのできる被写体像を示しており、その被写体像は、CCD106にて撮像された被写体像が光電変換され、画像処理を経て、内部表示部124によって表示された電子画像となっている。この時の電子ビューファインダの仕様は、ファインダ倍率が0.8倍、視野率100%である。
ここで、電子ビューファインダの像倍率が光学ファインダよりも低いのは、前述したように光学ファインダ性能を優先させたことと、カメラ外形の大型化を防ぐために、内部表示部124に小型ディスプレイ(例えば0.5インチパネルサイズ)を採用したことによるものである。内部表示部124が小型になった時点で、光学ファインダと共用している接眼レンズ121群はそのパワー(拡大率)が不足し、表示パネル全面を視認できる(視野率100%に同義)ようにEVFファインダ光学系を設計するとEVFのファインダ倍率が下がらざるを得ないのである。
このときのEVF表示形態をEVF表示モード1(第1の表示モード)とする。
一方、図3(c)は、同じ内部表示部124に光学ファインダと同じ倍率1.0倍(図3(b)の像倍率の1.25倍)に電子ズームした画像を表示したものである。この場合、図内の点線が本来CCD106に投影された被写体像の範囲であり、撮影はなされるがファインダ表示はできない領域であり、この場合、視野率は100÷1.25の80%となる。
この時の表示形態をEVF表示モード2(第2の表示モード)とする。EVF表示モード2では、例えば、内部表示部124に960×640画素のTFT方式パネルを用いれば、CCD106の画素が3888×2592画素なので、約4倍の電子ズームまでであれば充分に高精細なファインダ像を見ることができる。
さらに、図3(c)のEVF表示範囲を撮像画素範囲内で移動させて表示することによって、撮影構図全体を確認することもできる。
例えば、図6は、EVF表示範囲を撮像画素範囲の左上端まで移動させた表示となっている。なお図6の破線は、EVFで表示可能な情報範囲(つまり撮像された範囲)を示したものである。このEVF表示範囲の移動は、カメラ外観部にある方向スイッチや、外部表示部113のタッチパネルによる操作で可能となる。操作部材の動作中(指で押す、さわる等)は操作をした方向の端まで移動した画面を表示するが、動作をやめると本来の撮影構図を中心とした表示位置に戻るようになっている。
また、図3(b)のEVF表示モード1、図3(c)のEVF表示モード2のいずれにおいても、焦点検出領域を示す四角い枠は、内部表示部124で表示されるEVF被写体像に重畳されて表示がなされる。また、その表示位置、および枠の大きさは、主被写体との関係が同じになるように、ファインダ倍率に比例して変化させている。従って、ファインダ倍率が大きい方がより撮影レンズ105のピントを被写体の特定の位置に正確に合せることができる。さらには、枠の太さもファインダ倍率が低い時は細く、倍率が高い時は太く表示させている。
そこで、本実施例のカメラでは、ファインダ倍率は小さいが全視野を表示することができる撮影構図を重視する撮影に適したEVF表示モード1(図3(b))と、表示視野は狭いが倍率は光学像と同じであるため、ピント確認がし易く、主被写体観察を重視した撮影に適したEVF表示モード2(図3(c))という2つのEVF表示モードを有している。
さらには、撮影状況に応じて2つの表示モードを適宜切換えて表示することで、電子ビューファインダの視野角が小さいという欠点を補うようにしている。
それでは、上記2つのEVF表示モードからカメラはどのようにして1つのモードを決定するのかを図1の表示モードの選択フローチャート(表示モード選択手段)を用いて説明する。
ステップS300において、撮影者はカメラ(撮影装置)の背面に設けられた外部表示部113の画面を見ながらEVF表示モードの設定を行うことができる。最初にステップ301にてEVF表示モードをカメラに自動的に行わせるか否かの選択を行う。もし、自動で行わせたくないのであれば、ステップS305にて撮影者が手動で上記EVF表示モード1、あるいは上記EVF表示モード2を選択、固定することが可能である。
一方、カメラが自動的にEVF表示モードを選択させるように設定すると、ステップS302でカメラは撮影構図内に所定の大きさ以上の人物が存在しているか否かの判定を行う。実際の人物判定は、前述したように、CPU101が、縦横200×300画素のCCDからなる測光センサ130の信号からエッジ処理、色情報等の処理をすることで顔認識、つまり、人物の存在判定を行うことができる(人物判定手段)。顔認識、人物検出の処理については種々提案がなされているので、ここでは割愛する。
ステップS302で撮影被写体がある大きさを持った人物像であると判定された場合は、ステップS303にて倍率を重視したEVF表示モード2(図3(c))が選択される。一方、ステップS302で撮影被写体がある大きさ以下の人物像、あるいは、撮影被写体が存在しないと判定された場合には、ステップS304にて、撮影構図を重視したEVF表示モード1(図3(b))が選択される。
以上のフローにて決定されたEVF表示モードが、ステップS202(図1、図5共通)にてカメラにセットされる。これが表示モード選択手段であり、ここでは、人物判定手段の結果に基づいて選択がなされていることになる。
ここで、再び、図5のカメラの撮影動作のフローチャートに戻る。
ステップS202で、EVF時の表示の仕方が決まると、CPU101は主ミラー123を撮影レンズの光路外へ退避させ(ミラーアップ)、フォーカルプレーンシャッタ133を開放状態に保つという、一連のメカシーケンスがステップ203にて実行される。
次に、カメラはステップS204でCCD106にて撮影レンズ105によって投影された被写体像の光電変換を行い、画像処理部108を介して電気信号をステップS205で内部表示部124に被写体像の表示を連続して行う。
ステップS206にて、レリーズSW114の2段目のポジション(SW2 ON)の検出がなされると、ステップS207にて通常の静止画撮影動作を行い、ステップS208にて静止画撮影は終了する。
一方、ステップS206にてSW2 ONが検出されない場合は、ステップS209にて動画スタート・ストップスイッチ141がONしているかの検出を行い、動画スタート・ストップスイッチ141がONしていれば、ステップS210にて録画を開始し、動画スタート・ストップスイッチ141がOFF状態であれば、再度ステップS206のSW2 ONの検出に戻る。
ステップS211にて動画スタート・ストップスイッチ141のOFFを検知すると、ステップS212にて動画撮影を終了する。動画スタート・ストップスイッチ141のOFFが検知されなければ、動画撮影は継続される。ステップS208、ならびにステップS212にて静止画、動画の撮影が終了すると、ステップS213でライブビュー撮影モードに設定されているか否かの検出が行われ、依然としてライブビュー撮影モードの状態であれば、ステップS206に戻ってSW2 ONの検出判定を行う。一方、ライブビュー撮影モードではなく、静止画撮影モード(ライブビュースイッチ140 OFF)に変更されたことを検出した場合は、ステップS214にて、CPU101はCCD106のライブビュー撮像動作を停止させるとともに、ステップS215で電子ビューファインダの内部表示部124の表示も停止させる。
続いて、CPU101は、ステップS216にて主ミラー123を撮影レンズの光路上に戻し(ミラーダウン)、フォーカルプレーンシャッタ133を閉鎖状態に保つという一連のメカシーケンスを実行する。つまり、ライブビュー撮影モードはここで完全に停止することになり、再び、ステップS201のライブビューモードにあるか否の判定を待つことになる。
また、図5のステップS202のEVF表示モードの決定では、上記説明した図2のフローチャートによるものではない他の手段を用いても良い。例えば、カメラの撮影において、あらかじめ撮影者が撮影モードを指定することができる(撮影モード切換え手段)ので、選択された撮影モードに応じて最適なEVF表示モードが選択されるようにしても良い。撮影モードの設定は、カメラ外装部のダイヤル(不図示)を指定の位置まで回転させることで設定を行う。
撮影モードの代表的なモードであるポートレートモードは撮影レンズ105の絞り値を極力開く(Fno.を明るく)ように露出制御する撮影モードであり、撮影レンズの被写界深度が浅くなるため、人物がより強調される画像が得られる。
この場合は、EVF表示モード2(図3(c))にてEVFの表示を行うようにする。一方、風景モードは撮影レンズ105の絞りを絞って、被写界深度を深くし、近くから遠くまでピントが合う撮影モードなので、撮影構図を重視したEVF表示モード2に表示モードが自動的に設定される。このように撮影モードとEVF表示モードを対応づけしておくことでもEVF表示モードの決定を行うことができる。つまり、この場合、表示モード選択手段は、撮影モード切換え手段の信号に基づいて実行されていることになる。
さらに、図5のカメラの撮影動作のフローチャートのステップS202のEVF表示モードセットの説明において、図1の表示モード選択のフローチャートで、CPU101が、縦横200×300画素のCCDからなる測光センサ130の信号からエッジ処理、色情報等の処理をすることで顔認識、つまり、人物の存在判定を行うことができる(人物判定手段)としているが、撮影記録用のCCD106を代わりに用いることもできる。
この場合、シーケンス的には、主ミラー123が撮影レンズ光路外へ退避し、フォーカルプレーンシャッタ133が開放され、撮像を開始し、一旦、例えば、撮影全視野が表示されるEVF表示モード1にて電子ビューファインダ表示を実行する。次に、CCD106の撮像信号からCPU101が撮影される被写体の人物判定を実行し、撮影シーン解析を行い、適切なEVF表示モードに切り替えるということになる。
もし、撮影される被写体が人物だと判断されれば、EVF表示モード1(図3(b))からEVF表示モード2(図3(c))に切替るので、撮影者は一瞬とまどいを感じるかも知れないが、カメラに搭載されている測光センサが上記実施例と異なり、人物判定を行うには充分な分割数、機能を有していない場合には有効な手段である。
以上のようにファインダ倍率は小さいが全視野を表示することができるEVF表示モード1(図3(b))と、表示視野は狭いが倍率は光学像と同じであるEVF表示モード2(図3(c))の2つのEVF表示モードを、撮影状況、撮影モードに応じて適宜切換えて表示するカメラの説明を行ってきた。
しかしながら、本発明は上記2つのEVF表示モードのみに限定されるわけではない。例えば、図7に示したEVF表示モードは、人物近傍は光学ファインダ並みの倍率であり、かつ、撮像画像の周辺までを電子ビューファインダにて表示可能とした例である。
この表示モードについて以下説明を行う。
前記のごとく本実施例のカメラでは、測光センサ130の被写体像信号からCPU101によって行われる人物判定手段により、撮影画面上での主被写体の位置、主被写体の大きさが計測できる。そこで、図7において、主被写体である人物を含んだ特定の領域139を設定し、該領域内を光学ファインダ並みの倍率となるように電子ズーム表示を行うようにする。さらに、特定領域139から画面端の領域に行くに従って、画素間引きの割合を段階的、連続的に大きくしていくことで、結果的に全画像範囲、全視野を表示することが可能となる。
つまり、被写体内の人物判定を行う人物判定手段106、130を備え、前記人物判定手段にて前記被写体内に人物が存在すると判定された場合、前記撮像手段105で得られた撮影画像を画像処理にて人物を含む特定領域を前記光学ファインダ121の光学倍率に一致するように部分的に拡大し、前記人物を含む特定領域から表示画面周辺に至るまでの領域について段階的に前記光学ファインダ121の光学倍率よりも低い倍率となるよう表示することによって、前記撮像手段105で得られた撮影画像の全範囲を前記電子ビューファインダ124にて表示する第3の表示モードを有する。
ここで、特定の領域を小さくしすぎると、主被写体が大きく表示される効果が少なくなり、逆に大きく設定してしまうと、主被写体周辺の背景がいびつな像となり不自然さを感じる可能性が高い。よって、主被写体の大きさよりもやや小さく領域を設定することが望ましい。また、特定の領域139の範囲全体を必ずしも光学像並みの均一倍率とする必要はなく、該領域内の領域中心から緩やかに倍率を落とし、領域外になると倍率の落とし方(間引き)を顕著に変えるようにすると、より滑らかな被写体像の表示を行うことが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、これまでのファインダ構成の説明では、光学ファインダと電子ビューファインダを両立させるために、表示プリズム1、2を用いているが、単純にハーフミラーを1枚配置する構成でも本発明への適用は可能であり、また、EVF表示モードについて本説明で述べた電子ビューファインダの表示形態以外の例であっても、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。