JP2013166282A - 繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法 - Google Patents

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Akira Ohata
晃 尾畑
Masanori Higashimori
正憲 東森
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Abstract

【課題】簡略で精度良く、射出成形法に用いる金型における繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料のショートショットを含む流動過程を解析する方法を提供する。
【解決手段】射出成形時の金型における繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程を解析する方法であって、下記数式(1)に基づき、流動解析に用いる設定金型厚みtを算出することを特徴とする繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法など。
数式(1): t=C×t
[式中、tは実際の金型厚みであり、tは解析に用いる設定金型厚みであり、C=(α×exp(L/t)+β×(L/t)+γ)−0.5 で示され、但し、C≦1.0 であり、Lは長繊維を含む繊維フィラーの代表長さであり、α、β及びγは実験的に求められた定数である。]
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法に関し、さらに詳しくは、射出成形法に用いる金型における繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料のショートショット(未充填または充填不足による成形不良)を含む流動過程を解析する方法に関する。
自動車部品などの各種工業部品や各種容器などの日用生活用品などの成形体は、その多くがポリプロピレン系樹脂をはじめとする熱可塑性樹脂を用いて、金型により、射出成形法や射出圧縮成形法などにて成形され製造されている。
射出成形金型を設計する場合、成形品キャビティ部の流体の流入位置などのパラメータは、ショートショットなどによる成形不良が発生しないよう適切に決定しなければならない。そのため、ショートショット等の問題が成形品キャビティのどの部分に発生するか予測し、発生箇所を避けるように金型を設計し、適切な成形条件を設定することが重要である。
射出成形における充填解析では、一般的な樹脂材料であれば、概ね実用的な精度で流動パターンやショートショットを予測することができる。この際、計算機によって成形性の予測を行う方法として、射出成形CAEシステムを使用する方法があり、このようなシステム例としては、Moldflow(Autodesk社製)、3D TIMON(東レエンジニアリング株式会社製)、Planets(サイバネットシステム株式会社)のシステムが挙げられる。
ところが、最近では、樹脂材料として、曲げ弾性率などの物理特性、電気特性等の改良のため、繊維充填樹脂材料が用いられるようになり、特に、強化用充填材として長繊維フィラーを用いた長繊維含有樹脂材料が用いられている。この長繊維含有樹脂材料を用いた、射出成形における充填解析を実施すると、流動パターンやショートショットなどを実用的な精度で予測することができない。
射出成形における成形品キャビティー部の流動パターンやショートショットなどの成形不良を実用的な精度で予測する技術として、例えば、射出成形過程に代表される流体流動過程において流体の流動を解析し、流動シミュレーションなどの予測方法により、圧力、温度、速度、剪断応力等の流動挙動を求める解析装置や解析方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
そして、これらの解析装置や解析方法により、従来、非常に多大な時間を要していた射出成形過程における流体の3次元解析などを、実用的な計算時間の範囲内に精密に行うことができ、製品開発において、高品質化、効率化、低コスト化に役立っている。
例えば、特許文献1には、流体の流動するキャビティを多数の微小要素に分割した3次元モデルを構築し、微小要素がキャビティ壁面に近い位置にある場合は小さな値となるように、遠い位置にある場合は大きな値となるように流動コンダクタンスκを決定し、この流動コンダクタンスに基づいて各微小要素における圧力、圧力変化または流動速度を算出する流体の流動過程の解析装置および解析方法が開示されている。
ところが、この特許文献1に記載の解析装置および解析方法では、繊維等の充填材が加えられた溶融樹脂(射出成形材料)についても、他の添加剤が混入された溶融樹脂と同様に、かかる溶融樹脂を粘性流体とみなして流動解析を行っていた。そのため、代表長さの一例である平均長さが0.1〜0.5mm程度の繊維(充填材)が加えられた溶融樹脂を、制作される製品の肉厚を規定するキャビティの幅が1mm以上となる金型に対して射出成形する場合には、キャビティの幅に対して繊維の平均長さが十分に小さいために繊維の平均長さが溶融樹脂の流動に与える影響が小さく、かかる射出成形の流動解析を良好に行うことが可能であった。
しかしながら、キャビティの幅が1mm程度となる金型に対して、平均長さが1mm〜3mm程度の繊維が加えられた溶融樹脂を射出成形する場合には、キャビティの幅に対して、繊維の平均長さが大きくなるために、実際には、樹脂が詰まって流れにくくなる現象が生じているにも関わらず、上述した特許文献1に提案されている解析装置では、かかる場合にも、当該溶融樹脂を粘性流体とみなして解析を行うために、実測と解析結果とが乖離し、流動解析を良好に行うことが困難であった。
また、特許文献2には、成形品の設計支援方法であって、
(1)金型内の流体の流路形状定義モデルから複数の微小要素からなる解析モデルを作成する解析モデル作成工程と、
(2)前記金型内の流体の流路形状定義モデルまたは前記解析モデルに基づいて成形品の各部の肉厚を算出し、前記解析モデルの各部における流路肉厚を算出する流路肉厚算出工程と、
(3)前記解析モデル、流体の材料物性データおよび成形条件データを使用して流動解析を行い、成形性評価パラメータとして、流動解析結果と前記各部における流路肉厚から前記金型内の流体の流動比分布を求める成形性評価パラメータ算出工程とを含んでなることを特徴とする成形品の設計支援方法が開示されている。
また、特許文献3には、射出成形過程における射出成形材料の流動挙動を、解析対象物の形状を複数の微小要素に分割した解析モデルを用いてコンピュータによりシミュレーションする数値解析方法であって、樹脂流路の一部または全体を複数の微小な線要素に分割する工程と、前記樹脂流路の断面形状を定義する工程と、前記断面形状にもとづき前記線要素の断面を複数の微小な2次元要素に分割する工程と、前記2次元要素を用いて前記樹脂流路の断面内温度分布を解析する工程を有することを特徴とする、射出成形CAE解析方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2、3に記載の成形品の設計支援方法などは、特許文献1と同様に、長繊維含有樹脂材料を用いた場合に、流動解析を良好に行うことが困難であった。
さらに、特許文献4には、上記特許文献1〜3に記載の流動解析方法などの欠点を補い、種々の代表長さを有する充填材が含有される流体の流体流動過程における流動解析を良好に行うことができる解析装置、解析方法及び解析プログラムを提供するために、流体が流動する金型のキャビティの少なくとも一部を複数の微小要素に分割してなる3次元モデルを構築するモデル構築工程と、前記微小要素における流体の流動コンダクタンスを決定する流動コンダクタンス決定工程と、前記流動コンダクタンス決定工程により決定された流動コンダクタンスに基づいて前記微小要素における流体の圧力、圧力変化及び流動速度の少なくとも1つを算出する算出工程とを含み、前記算出工程により算出された流体の圧力、圧力変化及び流動速度の少なくとも1つにより解析された解析結果を出力する流体流動過程の解析方法において、前記流動コンダクタンス決定工程は、前記金型により製作される製品の肉厚を規定する前記キャビティの幅の大きさと、前記流体に含有される充填材の代表長さとの関係式を含む関数方程式を解くことにより決定することを特徴とする流体流動過程の解析方法などが開示されている。そして、前記流動コンダクタンス決定工程は、下記の関数方程式を解くことにより前記微小要素における流体の流動コンダクタンスを決定している。
C×((∂κ/∂x)+(∂κ/∂y)+(∂κ/∂z))=−(1/η)
但し、C=α×exp(L/t)+β×(L/t)+γ
で示され、α×exp(L/t)+β×(L/t)+γ<1
となるとき、C=1となる(ηは流体の材料粘度、x、y及びzは微小要素の位置、κは流動コンダクタンス、Cは流動抵抗、Lは充填材の代表長さ、tはキャビティの幅の大きさ、α、β及びγは実験的に求められた定数である。)。
つまり、上記特許文献4に記載の流体流動過程の解析方法では、課題解決のキーとなるC(流動抵抗)は、流体の材料粘度ηに掛かる定数(粘度補正係数)である。言い換えると、成形品の薄肉部で長い繊維が金型と干渉し、流れが悪くなる(流動抵抗が大)場合に、材料のみかけ粘度が上昇したとして、粘度を補正することを意味している。
しかしながら、成形品には、通常、厚肉部と薄肉部が混在するから、部位毎に異なる粘度補正を行う必要があり、そのために、この特許文献4に記載の流体流動過程の解析方法では、この補正などは、コンピュータプログラム中に組み込まれる必要があり、新たなコンピュータプログラムを必要とする。尚、一般的な解析者は、市販のソフトを導入し利用しているため、プログラムを改造することはできないという問題もあり、この解析方法を利用するには、本機能を有する新たな流動解析ソフトを導入しなくてはならない。
特開平8−99341号公報 特開2004−318863号公報 特開2009−023254号公報 特開2010−201822号公報
本発明の目的は、上記事情に鑑み、簡略で精度良く、射出成形法に用いる金型における繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料のショートショットを含む流動過程を解析する方法を提供することにある。尚、ここでいう射出成形とは、広く射出成形全般を指し、例えば、射出圧縮成形、射出発泡成形なども含まれるものとする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、射出成形法に用いる金型における繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料のショートショットを含む流動過程を解析するために、前記特許文献4に記載の流体流動過程の解析方法などを詳細に考察し、成形品の薄肉部で長い繊維が金型と干渉し、流れが悪くなる(流動抵抗が大)場合に、材料のみかけ粘度が上昇したとして、粘度を補正することに替えて、繊維長に対して、流路幅が狭い場合に流れが悪くなり、ショートショットが発生する挙動から、流路幅を実際の流路幅より狭く見積もると、すなわち、流路幅を補正することにより、成形品の薄肉部でも、厚肉部でも、流動パターンやショートショットが発生する挙動を精度よく、解析または予測できることを、見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、射出成形時の金型における繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程を解析する方法であって、
下記数式(1)に基づき、流動解析に用いる設定金型厚みtを算出することを特徴とする繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法が提供される。
数式(1): t=C×t
[式中、tは実際の金型厚みであり、tは解析に用いる設定金型厚みであり、C=(α×exp(L/t)+β×(L/t)+γ)−0.5 で示され、但し、C≦1.0 であり、Lは長繊維を含む繊維フィラーの代表長さであり、α、β及びγは実験的に求められた定数である。]
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に、繊維長が1〜10mmの繊維フィラーを1〜60重量部含有することを特徴とする繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法が提供される。
本発明の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法は、特別な仕組み、機能を持たない一般的な解析ソフトを使って、高い精度で、金型内の長繊維含有熱可塑性樹脂材料の流動挙動およびショートショットを解析または予測することができる。
詳しくは、代表長さが大きい繊維フィラー(長繊維)が含有された熱可塑性樹脂材料について、射出成形法によって成形する樹脂成形体を設計するに際し、従来では解析が困難であった、キャビティの幅が非常に小さい金型に対して、計算機支援により、金型厚みのパラメータ(t)を最適化調整し、樹脂成形の流動パターンをシミュレーションすることで、高い精度で、金型内の長繊維含有熱可塑性樹脂材料の流動挙動およびショートショットを解析または予測することができる。
このため、一般的に高価になり易い樹脂成形体の成形用金型の製作が、少ない回数で済むと共に、経験や勘をまじえた試作・修正改造、樹脂成形体の試験成形やその試行錯誤の繰り返しなどが不要となり、大幅なコスト低減や作業の効率化を図ることができる。
流動解析実験に用いられるキャビティを有する金型Kを模式的に示す説明図である。 流動解析実験での結果を示す図である。
本発明は、射出成形時の金型における繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程を解析する方法であって、
下記数式(1)に基づき、流動解析に用いる設定金型厚みtを算出することを特徴とする繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法である。
数式(1): t=C×t
[式中、tは実際の金型厚みであり、tは解析に用いる設定金型厚みであり、C=(α×exp(L/t)+β×(L/t)+γ)−0.5 で示され、但し、C≦1.0 であり、Lは長繊維を含む繊維フィラーの代表長さであり、α、β及びγは実験的に求められた定数である。]
本発明の手法の合理性について、短形断面流路の流体の関係式を用いて説明する。
1.矩形断面流路を流れる流体(樹脂材料)の関係式と本発明の概要
先ず、射出成形法に用いる金型における矩形断面流路を流れる流体(樹脂材料)の関係方程式は、下記の式(2)で示すことができる。
式(2):流速(Q)=W×t×τ/(6η)
[式中、ηは流体の粘度、tは断面厚み、Wは断面の幅、τは剪断応力を示す。]
上記の式(2)において、射出成形法に用いる金型における長繊維含有熱可塑性樹脂材料のショートショットを含む流動過程を考察すると、金型の隅々まで、熱可塑性樹脂材料を充填するためには、すなわち、充填不良のショートショットを予測するためには、流体の粘度(η)、断面厚み(t)、断面の幅(W)、剪断応力(τ)が影響していることになる。
ここで、前記の特許文献4では、成形品の薄肉部で長い繊維が金型と干渉し、流れが悪くなる(流動抵抗が大)場合に、材料のみかけ粘度が上昇したとして、粘度を補正している。
一方、本発明の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法では、特許文献4の流体粘度(η)に替えて、上記の式(1)において、金型における長繊維含有熱可塑性樹脂材料のショートショットを含む流動過程に、同様に影響する断面厚み(t)を、補正する。
すなわち、下記数式(1)に基づき、流動解析に用いる設定金型厚みtを算出することを特徴とする長繊維含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法である。
数式(1): t=C×t
[式中、tは実際の金型厚みであり、tは解析に用いる設定金型厚みであり、C=(α×exp(L/t)+β×(L/t)+γ)−0.5 で示され、但し、C≦1.0 であり、Lは長繊維を含む繊維フィラーの代表長さであり、α、β及びγは実験的に求められた定数である。]
2.本発明の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法の適用
市販のソフトを導入し利用している一般的な解析者は、通常、プログラムソフトを改造することはできない。ソフトが持っている機能と性能を超えて利用することは、基本的には困難である。解析者は、解析の準備段階において、解析用形状(メッシュ)を作成する。この作業は、流動解析プログラム付属の機能を使って行うこともできるが、他のメッシュ作成用のCADソフトを使う方が一般的である。
ここで肉厚の設定は、解析者が自由に変えることができる。
本発明の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法に基づき、実際の金型厚みに対する設定金型厚みを算出しておき、解析用形状を作る際に反映させれば、特許文献4に記載の発明と同様の効果を、解析結果に反映させることができる。
本発明の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法は、万能ではなく、以下のようなものには、適さない。
すなわち、
(i)液晶成形のような超薄肉成形品や低速成形等、充填工程中の流体温度変化に伴う流動性変化が大きい成形には適さない。これは、実際と異なる厚み設定をするため、充填中の樹脂の冷え方が変わるために適さないと、考察している。
(ii)そり解析を行う場合には、適さない。
ここで、本発明の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法の技術的意義を説明する。
一般に、熱可塑性樹脂材料に含有する繊維フィラーの長さが、金型流路の幅(板厚)に比べ、十分に短い場合には、繊維は樹脂の流れに応じて順調に移動する。
ところが、繊維長が長くなるに伴い、繊維が金型に接触する頻度は、高くなる。そして、接触により一時的に回転運動が阻害されるため、流動性が悪化するが、その影響はさほど大きくは無い。しかし、繊維長が板厚を超えて長い場合には、繊維は、慢性的に金型内壁面からの拘束を受けるため、繊維の回転運動は著しく阻害され、樹脂材料全体としての流動性が大幅に悪化する。
流動性悪化の原因となる繊維対金型の干渉頻度と程度は、繊維長と板厚の大小関係で決定される。
従来の方法では、長繊維材料の充填解析がショートショットを予測できないのは、充填解析が以上の現象を考慮していないからである。
ところが、本発明では、上記の現象を考慮しているために、特別な仕組み、機能を持たない一般的な解析ソフトを使って、高い精度で、金型内の長繊維含有熱可塑性樹脂材料の流動挙動およびショートショットを解析または予測することができる。
3.長繊維含有熱可塑性樹脂材料
本発明の繊維フィラー(長繊維)含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法において、繊維フィラー(長繊維)含有熱可塑性樹脂材料としては、特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に、繊維長が1.0〜10mmの繊維フィラーを1〜60重量部含有するものを、好ましく適用することができる。
樹脂材料としては、上記ポリプロピレン系樹脂に限定されずに、射出成形で成形に用いることができるものであればよく、例えば、ポリエチレン(PE)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(PI)、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリルニトリルスチレン(AS)等を用いることができきる。
また、本発明では、成形品として、比較的厚肉品である厚みが1〜10mmであることが好ましい。
さらに、繊維フィラーとしては、その種類については、特に限定されず、成形品の剛性、強度、耐熱性、導電性、絶縁性、耐蝕性等の物性を高めることができるものであればよく、例えば、炭素繊維等の強化繊維、タルク、マイカ、アルミナ、クレー、珪藻土、石綿、硫酸バリウム、酸化チタン、カリオン、湿式又は乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、ボロン繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、モミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、各種有機繊維などの各種無機フィラー及び有機フィラーを挙げることができる。中でも、ガラス繊維、炭素繊維が好ましく、ガラス繊維がより好ましい。
また、繊維フィラーの代表長さとしては、例えば、30μm〜10mm程度が好ましい。本実施の形態においては、代表長さの一例として平均長さを用いているが、本発明においては、平均長さ以外に、最小長さ、最大長さ、中間長さを代表長さとして用いてもよい。
本発明を、実施例に基づき、詳細に説明する。
先ず、図1に示す金型Kを用い、ガラス繊維強化樹脂材料の射出成形実験を行った。
金型Kにより成形される成形品の形状は、図1の50に示す150mm×150mm×3mmの平板部と、51、52、53、54、55に示す長さが30mmで紙面垂直方向に20mmの高さを持つ5枚のリブにより構成される。
リブの厚みは、51が1.2mm、52が1.4mm、53が1.6mm、54が1.8mm、55が2.0mmである。
また、金型Kには、56に示す1辺にフィルムゲートが接続されており、流動中のメルトフロントが56の辺と平行になることを確認した。
樹脂材料として、日本ポリプロ株式会社製、商品名:ファンクスターR(グレード名:XLR2975B、ガラス長繊維を40重量%充填したポリプロピレン)を用いた。成形品中の代表繊維長を実測したところ、2.0mmであった。
金型温度を35℃、射出時間を1.2秒とした。メルトフロントがリブ手前に届く時間で保圧に切り換わるように調整し、保圧を10MPaとした。樹脂温度は、230℃と250℃の2水準とした。
以上の条件にて、成形された成形品の各リブ毎の充填率を求め、「実測値」とした。
一方、上記の射出成形実験と同一の成形条件にて、本発明の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法に基づき、射出成形解析を行った。尚、解析では、使用ソフトとして、オートデスク社製の「Autodesk Moldflow Insight」を用いた。
解析に用いたα、β、γを表1に示した。解析結果より、各リブ毎の充填率を求め、実施例とした。また、従来の解析装置(解析方法)のように、補正係数Cを用いない方法で得られた解析結果より、各リブ毎の充填率を求めたものを、比較例とした。
表2および図2に、実測値、比較例および実施例を示す。
Figure 2013166282
Figure 2013166282
先ず、表1、2に示された結果から、実測値を見てみると、樹脂温度250℃で、肉厚が含有繊維の代表長さと同じ2.0mmのリブ55においては、ショートショットが生じてなく、充填率は100%であった。
また、肉厚がより薄いリブほど、充填率が低下していることから、リブへの流入中に繊維が金型に干渉する頻度が高くなることで、流動抵抗が増しショートショットしたものと考察できる。
次に、実測値を、比較例や実施例と比べると、比較例は、リブ51〜54で実測値から大きく乖離したが、実施例は、全ての水準において、実測値とほぼ一致した。
上記の実測値と比較例を、対比すると、比較例は、上記のように、リブ51〜54で実測値から大きく乖離し、この理由としては、リブ51〜54では、繊維代表長さよりも薄肉であるが、この解析が繊維と金型の干渉による流動抵抗増加を全く考慮していないことが乖離の原因と考えられる。一方、上記の実測値と実施例を、対比すると、全ての水準において、上記のように、実施例は、実測値とほぼ一致した。
以上のことから、ショートショットを精度良く予測する上で、本発明の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法を用いることが極めて有効であることが分かる。
本発明の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法は、代表長さが大きい繊維フィラー(長繊維)が含有された熱可塑性樹脂材料について、射出成形法によって成形する樹脂成形体を設計するに際し、従来では解析が困難であった、キャビティの幅が非常に小さい金型に対して、計算機支援により、金型厚みのパラメータ(t)を最適化調整し、樹脂成形の流動パターンをシミュレーションすることで、高い精度で、金型内の長繊維含有樹脂材料の流動挙動およびショートショットを解析または予測することができる。そのため、産業上の利用可能性が高い。
50 平板部
51 リブ
52 リブ
53 リブ
54 リブ
55 リブ
56 フィルムゲート接続部

Claims (2)

  1. 射出成形時の金型における繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程を解析する方法であって、
    下記数式(1)に基づき、流動解析に用いる設定金型厚みtを算出することを特徴とする繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法。
    数式(1): t=C×t
    [式中、tは実際の金型厚みであり、tは解析に用いる設定金型厚みであり、C=(α×exp(L/t)+β×(L/t)+γ)−0.5 で示され、但し、C≦1.0 であり、Lは長繊維を含む繊維フィラーの代表長さであり、α、β及びγは実験的に求められた定数である。]
  2. 前記繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に、繊維長が1〜10mmの繊維フィラーを1〜60重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の繊維フィラー含有熱可塑性樹脂材料の流動過程の解析方法。
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