はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明を、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
以下の各手段は「パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機は、CPU(中央演算装置)や遊技に関わる制御プログラムが記憶されたROM等の電子部品が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。当該遊技機においては、不正な利益を得ることを目的として、制御基板を不正な制御基板に変更したり、ROM(ROMがCPUと共に1チップ化されている場合には当該チップ)を不正なものに交換したりすることで遊技内容を変更する等といった不正行為が数多く報告されている。これに対して、例えば特許文献1には、制御基板(又は、当該制御基板を収容する基板ボックス)に識別情報が記憶されたICチップを取り付けた構成が開示されている。この場合、遊技ホールの管理者などがリーダにより識別情報の読み取り作業を行うことで上記不正行為の有無が確認される。」という背景技術について、「しかしながら、上記確認作業を、例えば1日に1度行う場合には、少なくとも1日間は不正な制御基板に交換された状態で遊技が行われてしまう。一方、確認作業の間隔を短くすると、その作業が煩雑となってしまう。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
手段1.遊技機(パチンコ機P,スロットマシンS)に識別情報(ID情報)が記憶された識別手段(アンテナ付きICチップ303,320a)を備え、その識別情報を読み取ることで遊技機に対する不正を監視する不正監視システムであって、
非接触状態で前記識別情報を読み取る情報読取手段(スキャナSC)を備えるとともに、その情報読取手段を対応する遊技機の識別情報の読み取りが可能な位置に設置し、
さらに、連続的又は断続的に前記識別情報の読み取りを行うよう前記情報読取手段を読取制御する読取制御手段(ホールコンピュータHCの不正検出設定処理ステップS1302〜ステップS1306、ステップS1602〜ステップS1607、ステップS1702〜ステップS1703)と、
前記情報読取手段が読み取った識別情報、又はそれに対応した対応情報を収集する情報収集手段(ホールコンピュータHC、ホール内ネットワークHN)と、
その読取制御が実行された情報読取手段から前記情報収集手段が前記情報を収集したか否かを判定する判定手段(ホールコンピュータHCの不正検出判定処理におけるステップS1307〜ステップS1312、ステップS1608〜ステップS1610、ステップS1704〜ステップS1708)と、
当該判定手段により前記情報が収集されていないと判定された場合に、異常処理を実行する異常処理実行手段(ホールコンピュータHCのステップS1313、ステップS1611、ステップS1709)と
を備えたことを特徴とする不正監視システム。
手段1の不正監視システムでは、識別情報が記憶された識別手段が遊技機に設けられており、連続的又は断続的に識別情報の読み取りを行うことにより遊技機に対する不正行為が行われたか否かが確認される。
この場合に、不正監視システムは情報読取手段を備えており、その情報読取手段は対応する遊技機の識別情報の読み取りが可能な位置に設置されている。情報読取手段が読み取った識別情報又は対応情報は収集され、その読み取りが実行された情報読取手段から情報が収集されていない場合には異常処理が実行される。かかる構成とすることにより、遊技ホールの管理者等が識別情報の読み取り作業を行う必要はなく、識別情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
また、上記識別情報の読み取りは連続的又は断続的に行われており、例えば、読取制御手段が遊技機とは異なって電力供給を受けていれば、遊技機の電源が切断されている又はは遊技機に電力供給がなされていないとしても上記識別情報の読み取りを行うことができる。これにより、遊技ホールに遊技機が設置されており、遊技ホールの営業時間が終了し、遊技機の電源が切断されている場合において、不正な制御装置への交換等といった遊技機に対する不正行為が行われたとしてもそれを発見することができる。
なお、「識別情報を非接触で読み取る構成」としては、「情報読取手段は、前記識別情報を呼び出す呼出波を出力する呼出波出力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)と、前記識別手段からの応答波を入力する応答波入力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)とを備えた構成」が考えられる。また、「識別手段は、前記識別情報を記憶した記憶手段(ICチップ305,320b,585a)と、その記憶された識別情報を読み出して出力する出力手段(アンテナ部306,320c,585b)とを備え、さらに情報読取手段は、前記識別手段に呼出信号を出力することで前記出力手段に前記識別情報を出力させる呼出手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)と、その出力された識別情報を入力する入力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)とを備えた構成」が考えられる。
手段2.手段1において、遊技機には、遊技機の制御を行う制御装置(主制御装置271,582,払出制御装置311)が設けられており、
前記識別手段は、前記制御装置に備えられているものであり、
前記制御装置は、制御基板(主制御基板278、払出制御基板311a)と、当該制御基板を収容するケース体(基板ボックス273,315)とを備え、
前記制御基板又は前記ケース体にシール(封印シール300,320,585)を貼り付け、
当該シールは、背面側に粘着剤層が設けられたベース部材(ベースシート301)を備え、
さらに、前記識別手段は、前記ベース部材の背面側に設けられ前記識別情報が記憶されたICチップ(ICチップ305,320b,585a)と、同じくベース部材の背面側に設けられ前記シールを剥がす力に伴う応力によって一部が破壊される程度の脆性を有し、前記ICチップに記憶された識別情報を前記情報読取手段に対して出力可能とするアンテナ(アンテナ部306,320c,585b)とを備えたことを特徴とする不正監視システム。
手段2によれば、制御基板又はケース体にシールが貼り付けられており、当該シールにおけるベース部材の背面側にはICチップとアンテナとが設けられている。このICチップに記憶された識別情報はアンテナを介して情報読取手段に対して出力可能となっている。この場合に、アンテナはシールを剥がす力に伴う応力によって一部が破壊される程度の脆性を有している。よって、シールが剥がされることでアンテナに破壊が生じ、その破壊が生じた位置にてアンテナが分断される。これにより、情報読取手段が識別情報を読み取ることができなくなるので異常処理が実行される。本構成によれば、不正な制御装置への交換に際して、シールの貼り替えが行われたとしても、当該不正行為が行われたか否かを確認することができる。
手段3.手段1において、遊技機には、遊技機の制御を行う制御装置(主制御装置271,582,払出制御装置311)が設けられており、
前記識別手段は、前記制御装置に備えられているものであり、
前記制御装置は、分離可能な複数のケース体(ボックスベース276,317、ボックスカバー277,318)と、これら複数のケース体により形成される内部空間内に収容される制御基板(主制御基板278)とを備え、
前記ケース体間の境界を跨ぐようにしてシール(封印シール300,320,585)を貼り付け、
当該シールは、背面側に粘着剤層が設けられ、シールを剥がす力に伴う応力によって一部が破壊される程度の脆性を有するベース部材(ベースシート301)を備え、
さらに、前記識別手段は、前記ベース部材の背面側に設けられ前記識別情報が記憶されたICチップ(ICチップ305,320b,585a)と、同じくベース部材の背面側に設けられ前記シールを剥がす力に伴う応力によって一部が破壊される程度の脆性を有し、前記ICチップに記憶された識別情報を前記情報読取手段に対して出力可能とするアンテナ(アンテナ部306,320c,585b)とを備えたことを特徴とする不正監視システム。
手段3によれば、制御基板を収容するケース体間の境界を跨ぐようにしてシールが貼り付けられている。よって、ケース体を分離させるにはケース体からシールを剥がす必要がある。シールのベース部材は、シールを剥がす力に伴う応力によって一部が破壊される程度の脆性を有している。よって、シールが不正に剥がされたこと、すなわち、制御基板に対して不正が行われたことの痕跡が残る。
かかる構成において、ベース部材の背面側には、ICチップとアンテナとが設けられており、ICチップに記憶された識別情報が情報読取手段に対して出力可能となっている。この場合に、アンテナはシールを剥がす力に伴う応力によって一部が破壊される程度の脆性を有しているため、シールが剥がされることでアンテナに破壊が生じ、その破壊が生じた位置にてアンテナが分断される。これにより、情報読取手段が識別情報を読み取ることができなくなるので異常処理が実行される。本構成によれば、不正な制御装置への交換だけでなく、ケース体の不正な分離が行われたか否かを確認することができる。
手段4.手段1において、遊技機本体に対して開閉自在に支持された開閉体(前扉枠13)を備え、
前記識別手段は、前記開閉体の開放先端側に備えられており、
前記情報読取手段は、前記開閉体が閉鎖されている場合には前記識別情報を読み取ることができるよう設定されており、前記開閉体が開放されている場合には前記識別情報を読み取ることができないよう設定されていることを特徴とする不正監視システム。
手段4によれば、開閉体の開放先端側に識別手段が備えられている。また、情報読取手段は開閉体が閉鎖されている場合には識別情報を読み取ることができるが、開閉体が開放されている場合には識別情報を読み取ることができない。これにより、開閉体が開放されている場合には識別情報を読み取ることができないため不正行為が行われているものとして異常処理が実行される。よって、不正行為が行われたか否かの確認を良好に行うことができる。
なお、本手段を適用した不正監視システムにおいて、情報読取手段が上記呼出波出力手段と、上記応答波入力手段とを備えており、開閉体が開放されている場合には、開閉体の開放に伴って識別手段が移動することによって、識別手段からの応答波が上記応答波入力手段に届かないよう設定されているものが考えられる。この場合、識別手段が開閉体の開放基端側に備えられている場合と比して、開閉体が開放された場合には開閉体の開放に伴って識別手段の位置が大きく移動することとなる。開閉体が開放されている場合には開閉体の開放と伴って識別手段の位置が大きく移動するために、識別情報を読み取ることができないという読取結果を良好に得ることができる。よって、開放基端側に識別手段が備えられている場合と比して、不正に開閉体が開放されたか否かの確認し、不正行為が行われたか否かの監視を良好に行うことができる。
手段5.手段4において、前記開閉体は、遊技機本体に対してそれぞれの開閉体が重なるようにして複数備えられており、
前記識別手段は、前記複数の開閉体のうち最も外側の開閉体に備えられていることを特徴とする不正監視システム。
手段5によれば、重なるようにして複数の開閉体が備えられており、当該開閉体のうち最も外側の開閉体に識別手段が備えられている。この場合、内側の開閉体が開放された場合には、当該開閉体よりも外側にある開閉体も開放されることとなる。これにより、内側の開閉体が開放された場合にも情報読取手段が識別情報を読み取ることができなくなるために、異常処理を実行することができる。よって、最も外側の開閉体に識別手段を備えるのみで複数の開閉体が開放されているかを監視することができる。
手段6.手段1乃至手段5のいずれか一において、遊技機は、前記識別手段として、前記制御装置に設けられた第1識別手段(アンテナ付きICチップ303)と、当該制御装置とは別の制御装置、又は遊技媒体の付与に関連した媒体付与関連装置に設けられた第2識別手段(アンテナ付きICチップ320a)とを備え、
前記情報読取手段は、遊技機から前記第1識別手段及び前記第2識別手段の両方の識別情報を読み取ることを特徴とする不正監視システム。
手段6によれば、遊技機において遊技に関わる複数種の装置に対する不正行為の有無を一括して確認することができる。これにより、識別情報の読み取りに基づいた不正行為の確認をより良好に行うことができる。
なお、「媒体付与関連装置」としては、遊技媒体の払い出しを行う払出装置(払出装置358,573)が考えられる。また、いわゆるパチンコ遊技機においては、遊技領域に設けられた入球部(一般入賞口31等)に入球した遊技球を検出する球検出装置(入賞口スイッチ221等)が考えられる。
手段7.手段6において、前記第1識別手段に記憶された第1識別情報と、前記第2識別手段に記憶された第2識別情報とを、関連付けて設定したことを特徴とする不正監視システム。
手段7によれば、判定手段は遊技機に関して第1識別情報と第2識別情報とを判定用に記憶しておく必要はなく、記憶容量の削減を図ることが可能となる。
手段8.手段7において、前記第1識別情報と前記第2識別情報とを、同一の特定情報を有するように設定し、
前記判定手段は、前記情報収集手段が遊技機に関して前記特定情報を有する2つの識別情報、又はそれに対応した情報を収集したか否かを判定することを特徴とする不正監視システム。
手段8によれば、判定手段は遊技機に関して第1識別情報と第2識別情報とを判定用に記憶しておく必要はなく、記憶容量の削減を図ることが可能となる。
なお、「同一の特定情報を有する」とは、第1識別情報と第2識別情報とが同一の特定情報を含む構成が考えられる。
手段9.手段1乃至手段8のいずれか一において、遊技機が設置された遊技ホールを管理する管理端末装置(ホールコンピュータHC)に、前記読取制御手段、前記情報収集手段、前記判定手段、及び前記異常処理実行手段を設けたことを特徴とする不正監視システム。
手段9によれば、遊技ホールを管理する管理端末装置において、読取制御処理、情報収集処理、判定処理、及び異常処理が実行される。よって、これら各処理を実行するための制御装置を別途設ける構成に比べ、構成の簡素化を図ることができる。
手段10.手段1乃至手段9のいずれか一において、前記読取制御手段は、予め定められた特定周期で前記情報読取手段に対して前記読取制御を実行することを特徴とする不正監視システム。
手段10によれば、予め定められた特定周期で読取制御が行われる。すなわち、特定周期毎に断続的に読取制御を行うことができる。これにより、複雑な処理を行うことなく上記手段1等の効果を得ることができる。
手段11.手段1乃至手段9のいずれか一において、前記読取制御手段は、常に前記情報読取手段に対して前記読取制御を実行することを特徴とする不正監視システム。
手段11によれば、常に読取制御が行われる。すなわち、連続的に読取制御を行うことができる。よって、一の読取制御が行われた場合に、当該一の読取制御に対応した情報を収集したか否かによって異常処理を実行するか否かを決定することができる。
手段12.手段1乃至手段10のいずれか一において、遊技機は、遊技球が流下する遊技領域と、当該遊技領域に向けて遊技球を発射する遊技球発射装置(遊技球発射機構160)と、当該遊技球発射装置による遊技球の発射を実行させるべく操作される発射操作手段(遊技球発射ハンドル18)とを備えたことを特徴とする不正監視システム。
本発明は、いわゆるパチンコ遊技機が設置された遊技ホールの不正監視システムにおいて好適に適用される。
手段13.手段12において、前記情報読取手段は、前記識別情報を呼び出す呼出波を出力する呼出波出力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)と、前記識別手段からの応答波を入力する応答波入力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)とを備えるとともに、
前記読取制御手段は、前記発射操作手段が操作されている遊技機に対応した情報読取手段に対して読取制御を行わないようにする読取規制手段(ホールコンピュータHCのステップS1302)を備えたことを特徴とする不正監視システム。
手段13によれば、識別情報の読み取りを行う場合には、情報読取手段から呼出波が出力され、それに対する応答波を当該情報読取手段が入力することにより行われる。かかる構成によれば、識別情報の読み取りが非接触で行われる。
この場合に、発射操作手段が操作されている遊技機に対しては識別情報の読み取りが行われない。よって、遊技領域に向けて遊技球が発射されている状況下において呼出波や応答波が出力されることが防止される。遊技領域に向けて遊技球が発射されている状況下において呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、例えば、遊技領域に設けられた遊技球の入球部や、入球部への入球に基づいて賞球の制御を行う制御装置に対して、呼出波や応答波がノイズとなり、遊技が正確に進行しないおそれがある。これに対して、本手段の構成によれば、かかる不都合の発生を抑制しつつ、上記手段1等の効果を得ることができる。
なお、読取規制手段は、前記発射操作手段の操作停止後はそれまでに発射された遊技球の遊技領域における流下が終了するまで当該遊技機に対応した情報読取手段に対して読取制御を行わないようにする構成とするのが好ましい。これにより、遊技領域において遊技球が流下している間は呼出波や応答波の出力を停止することができる。また、かかる効果を得る具体的な構成としては、「前記発射操作手段の操作停止後は、前記遊技球発射装置から発射された遊技球が前記遊技領域を流下し終えるのに要する期間以上、その遊技機に対応した情報読取手段に対して前記読取制御を行わない構成」などが考えられる。
また、識別手段が遊技機を制御する制御装置に備えられている場合、読取制御手段は前記識別手段を有する前記制御装置を介さずに前記発射操作手段の操作状況(発射許可信号)を入力するよう構成するのが好ましい。識別手段を有する制御装置を介して操作状況を入力する構成を想定すると、かかる制御装置に対する不正に際して発射操作手段が操作されている旨の操作状況を常に出力するように細工されることで、識別情報の読み取りが行われなくなってしまう。これに対して、識別手段を有する制御装置を介さずに操作状況を入力するよう構成することで、上記不都合の発生を抑制することができる。
手段14.手段13において、遊技機は、前記遊技領域に、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(図柄表示装置41)と、前記流下する遊技球が入球可能な始動入球部(作動口33)とを備え、当該始動入球部への入球に基づいて前記絵柄の可変表示を開始する構成とし、
前記読取規制手段は、前記絵柄の可変表示が行われている遊技機に対応した情報読取手段に対して前記読取制御を行わないようにすることを特徴とする不正監視システム。
手段14によれば、絵柄の可変表示が行われている遊技機に対しては識別情報の読み取りが行われない。よって、絵柄の可変表示が行われている状況下において呼出波や応答波が出力されることが防止される。絵柄の可変表示が行われている状況下において呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、例えば、絵柄表示装置やその制御装置に対して、呼出波や応答波がノイズとなり、遊技が正確に進行しないおそれがある。これに対して、本手段の構成によれば、かかる不都合の発生を抑制しつつ、上記手段1等の効果を得ることができる。
特に、上記手段13及び本手段14を備え、遊技領域に向けて遊技球が発射されている間、及び絵柄の可変表示が行われている間は、その遊技機に対して呼出波や応答波が出力されることが防止される。
なお、識別手段が遊技機を制御する制御装置に備えられている場合、読取制御手段は制御装置を介さずに前記絵柄表示装置の表示状況(可変表示中信号)を入力するよう構成するのが好ましい。識別手段を有する制御装置を介して表示状況を入力する構成を想定すると、かかる制御装置に対する不正に際して絵柄の可変表示が行われている旨の表示状況を常に出力するように細工されることで、識別情報の読み取りが行われなくなってしまう。これに対して、識別手段を有する制御装置を介さずに表示状況を入力するよう構成することで、上記不都合の発生を抑制することができる。
手段15.手段13又は手段14において、遊技機は、前記流下する遊技球が入球可能な賞球入球部(一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33)を前記遊技領域に備えるとともに、当該賞球入球部への入球に基づいて所定数の遊技球を払い出す払出装置(払出装置358)を備え、
前記読取規制手段は、前記払出装置により遊技球が払い出されている遊技機に対応した情報読取手段に対して読取制御を行わないようにすることを特徴とする不正監視システム。
手段15によれば、払出装置により遊技球の払い出しが実行されている遊技機に対しては識別情報の読み取りが行われない。よって、払出装置にて遊技球が払い出されている状況下において呼出波や応答波が出力されることが防止される。払出装置にて遊技球が払い出されている状況下において呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、それら呼出波や応答波が払出装置に対してノイズとなり、遊技球の払い出しが正確に行われないおそれがある。これに対して、本手段の構成によれば、かかる不都合の発生を抑制しつつ、上記手段1等の効果を得ることができる。
特に、上記手段13及び本手段15を備え、遊技領域に向けて遊技球が発射されている間、及び払出装置から遊技球が払い出されている間は、その遊技機に対して呼出波や応答波が出力されることが防止される。また、上記手段13、上記手段14、及び本手段15を備えた構成においては、遊技領域に向けて遊技球が発射されている間、絵柄の可変表示が行われている間、及び払出装置から遊技球が払い出されている間は、その遊技機に対して呼出波や応答波が出力されることが防止される。
なお、識別手段が遊技機を制御する制御装置に設置されている場合、読取制御手段は前記識別手段を有する前記制御装置を介さずに前記払出装置の駆動状況(駆動信号)を入力するよう構成するのが好ましい。識別手段を有する制御装置を介して駆動状況を入力する構成を想定すると、かかる制御装置に対する不正に際して遊技球が払い出されている旨の駆動状況を常に出力するように細工されることで、識別情報の読み取りが行われなくなってしまう。これに対して、識別手段を有する制御装置を介さずに駆動状況を入力するよう構成することで、上記不都合の発生を抑制することができる。
手段16.手段1乃至手段9のいずれか一において、前記遊技機は、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(リールユニット555)と、前記絵柄の可変表示を開始させるべく操作される始動操作手段(スタートレバー561)と、前記絵柄の可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップスイッチ562)とを備えたことを特徴とする不正監視システム。
本発明は、始動操作手段及び停止操作手段が遊技者によって積極操作される遊技機が複数設置された遊技ホールの不正監視システムにおいて好適に適用される。
手段17.手段16において、前記情報読取手段は、前記識別情報を呼び出す呼出波を出力する呼出波出力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)と、前記識別手段からの応答波を入力する応答波入力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)とを備えるとともに、
前記読取制御手段は、前記始動操作手段が操作され前記絵柄の可変表示が行われている遊技機に対応した情報読取手段に対して読取制御を行わないようにする読取規制手段(ホールコンピュータHCのステップS1602〜ステップS1606)を備えたことを特徴とする不正監視システム。
手段17によれば、識別情報の読み取りを行う場合には、情報読取手段から呼出波が出力され、それに対する応答波を当該情報読取手段が入力することにより行われる。かかる構成によれば、識別情報の読み取りが非接触で行われる。
この場合に、始動操作手段が操作され絵柄の可変表示が行われている遊技機に対しては識別情報の読み取りが行われない。よって、絵柄の可変表示の開始から終了までは呼出波や応答波が出力されることが防止される。絵柄の可変表示の開始から終了までに呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、例えば、絵柄表示装置やその制御を行う制御装置に対して、呼出波や応答波がノイズとなり、遊技が正確に進行しないおそれがある。これに対して、本手段の構成によれば、かかる不都合の発生を抑制しつつ、上記手段1等の効果を得ることができる。
なお、識別手段が遊技機を制御する制御装置に備えられている場合、読取制御手段は制御装置を介さずに前記絵柄表示装置の表示状況(リール停止信号)を入力するよう構成するのが好ましい。識別手段を有する制御装置を介して表示状況を入力する構成を想定すると、かかる制御装置に対する不正に際して絵柄の可変表示が行われている旨の表示状況を常に出力するように細工されることで、識別情報の読取処理が行われなくなってしまう。これに対して、識別手段を有する制御装置を介さずに表示状況を入力するよう構成することで、上記不都合の発生を抑制することができる。
手段18.手段17において、前記遊技機は、前記停止操作手段の操作後における停止絵柄に応じて遊技媒体を払い出す払出装置(払出装置573)を備え、
前記読取規制手段は、前記払出装置により遊技媒体が払い出されている遊技機に対応した情報読取手段に対して読取制御を行わないようにすることを特徴とする不正監視システム。
手段18によれば、払出装置により遊技媒体の払い出しが実行されている遊技機に対しては識別情報の読み取りが行われない。よって、払出装置にて遊技媒体が払い出されている状況下において呼出波や応答波が出力されることが防止される。払出装置にて遊技媒体が払い出されている状況下において呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、それら呼出波や応答波が払出装置に対してノイズとなり、遊技媒体の払い出しが正確に行われないおそれがある。これに対して、本手段の構成によれば、かかる不都合の発生を抑制しつつ、上記手段1等の効果を得ることができる。
特に、上記手段17及び本手段18を備え、始動操作手段が操作されてから絵柄の可変表示が終了するまでの間、及び払出装置から遊技媒体が払い出されている間は、その遊技機に対して呼出波や応答波が出力されることが防止される。
なお、識別手段が遊技機を制御する制御装置に備えられている場合、読取制御手段は制御装置を介さずに前記払出装置の駆動状況(駆動信号)を入力するよう構成するのが好ましい。識別手段を有する制御装置を介して駆動状況を入力する構成を想定すると、かかる制御装置に対する不正に際して遊技球が払い出されている旨の駆動状況を常に出力するように細工されることで、識別情報の読み取りが行われなくなってしまう。これに対して、識別手段を有する制御装置を介さずに駆動状況を入力するよう構成することで、上記不都合の発生を抑制することができる。
手段19.手段18において、遊技機は、遊技媒体を受け入れる受入手段(メダル投入口563、貯留用通路566)を備え、当該受入手段により予め定められた数の遊技媒体が受け入れられ、且つ前記始動操作手段が操作された場合に前記絵柄の可変表示を開始する構成とし、さらに前記予め定められた数の遊技媒体が受け入れられ、且つ前記始動操作手段が操作された場合に前記受入手段による遊技媒体の受け入れを阻止する受入阻止手段(セレクタ565)を備え、当該受入阻止手段は1遊技回の終了に際して前記受け入れの阻止を解除する構成とし、
前記読取制御手段は、前記遊技機において前記遊技媒体の払い出しが行われない場合には前記絵柄の可変表示が終了してから前記受け入れの阻止が解除されるまでに、前記遊技媒体の払い出しが行われる場合には前記遊技媒体の払い出しが終了してから前記受け入れの阻止が解除されるまでに、前記情報読取手段に対して読取制御を行うことを特徴とする不正監視システム。
手段19によれば、受入手段による遊技媒体の受け入れが許容されている遊技機に対しては識別情報の読み取りが行われない。よって、受入手段にて遊技媒体が受け入れられている状況下において呼出波や応答波が出力されることが防止される。受入手段にて遊技媒体が受け入れられている状況下において呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、それら呼出波や応答波が受入手段に対してノイズとなり、遊技媒体の受け入れが正確に行われないおそれがある。これに対して、本手段の構成によれば、かかる不都合の発生を抑制しつつ、上記手段1等の効果を得ることができる。
また、遊技媒体の払い出しが行われない場合には絵柄の可変表示が終了してから受け入れの阻止が解除されるまでに、遊技媒体の払い出しが行われる場合には遊技媒体の払い出しが終了してから受け入れの阻止が解除されるまでに、遊技機に対して呼出波の出力を行う。つまり、遊技機において、1遊技回が終了し遊技媒体の受け入れの阻止が解除される前の段階で情報読取手段による読取制御が行われる。これにより、遊技機において遊技が進行している状況で呼出波や応答波が出力されることが防止され、遊技の進行を阻害することなく上記手段1等の効果を得ることができる。
なお、識別手段が遊技機を制御する制御装置に備えられている場合、読取制御手段は前記識別手段を有する前記制御装置を介さずに前記受入手段の受入状況を入力するよう構成するのが好ましい。識別手段を有する制御装置を介して受入状況を入力する構成を想定すると、かかる制御装置に対する不正に際して遊技媒体の受け入れが許容されている旨の受入状況を常に出力するように細工されることで、識別情報の読取処理が行われなくなってしまう。これに対して、識別手段を有する制御装置を介さずに受入状況を入力するよう構成することで、上記不都合の発生を抑制することができる。
手段20.手段1乃至手段19のいずれか一において、遊技機への電力供給が遮断されている場合であっても、前記情報読取手段に動作電力を供給する動作電力供給手段(データ記憶保持用コンデンサ607、ホールコンピュータHC)を備えたことを特徴とする不正監視システム。
手段20によれば、遊技機への電力供給が遮断されている場合であっても、当該遊技機に設けられた識別手段から識別情報の読み取りを行うことが可能となる。これにより、例えば、遊技ホールの閉店時などにおいて、不正な制御装置への交換等といった遊技機に対する不正行為が行われたとしてもそれを発見することができる。
上記手段10を備えた構成においては、前記予め定められた特定周期を、想定される不正行為の作業時間よりも短くすることで不正行為の作業中において識別情報の読み取りを行うことが可能となり、不正行為の発見をより確実に行うことが可能となる。
この場合に、遊技機への電力供給が遮断されている間は情報読取手段へ動作電力が供給されないようにすると、その間に行われた不正行為に対しては上記効果は奏し得ない。これに対して、本手段20によれば、遊技機への電力供給が遮断されている間も情報読取手段への動作電力が供給されるため、上記効果を確実に奏する。
手段21.手段20において、前記情報読取手段を遊技機にそれぞれ搭載し、
前記遊技機の前記制御装置には、電力が供給されている間は遊技情報を記憶保持する揮発性記憶手段(RAM503)を備え、
さらに、遊技機に対して外部電源からの電力供給が遮断されたとしても、前記揮発性記憶手段に対して電力を供給する記憶保持用電力供給手段(データ記憶保持用コンデンサ607)を備え、
当該記憶保持用電力供給手段を、前記動作電力供給手段として兼用したことを特徴とする不正監視システム。
手段21によれば、記憶保持用電力供給手段が動作電力供給手段として兼用されるため、構成の簡素化を図りつつ上記手段20における効果を奏することができる。
手段22.手段20において、前記動作電力供給手段は、遊技機が設置された遊技ホールを管理する管理端末装置(ホールコンピュータHC)であり、
前記情報読取制御手段は、前記管理端末装置に設けられていることを特徴とする不正監視システム。
手段22によれば、管理端末装置の電力を利用して不正行為の監視を行っている。
例えば、上記手段4を適用した場合、遊技機の電源が遮断されていたとしても、開閉体が開放されたか否かを確認することができ、遊技ホールの営業時間が終了しており、遊技機の電源が遮断されていたとしても、不正行為が行われたか否かの監視を良好に行うことができる。
手段23.手段1乃至手段18のいずれか一において、一の情報読取手段により特定の複数の遊技機から識別情報を読み取るようにしたことを特徴とする不正監視システム。
手段23によれば、特定の複数の遊技機に対して一の情報読取手段が兼用されるので、遊技ホールなどにおいて情報読取手段の数を削減することが可能となり低コスト化を図ることが可能となる。よって、識別情報の読み取りに基づいた不正行為の確認をより良好に行うことができる。
手段24.手段1乃至手段23のいずれか一において、前記情報読取手段は、前記識別情報を呼び出す呼出波を出力する呼出波出力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)と、前記識別手段からの応答波を入力する応答波入力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)とを備え、
さらに、前記呼出波が出力されてから前記応答波を入力するまでの応答期間を計測する応答期間計測手段(スキャナSCに設けられた応答時間計測タイマ)を備え、
前記判定手段は、予め設定された基準応答期間と前記応答期間計測手段が計測した応答期間とを比較し、その比較結果に基づいて前記計測した応答期間が正常であるか否かを判定する応答期間判定手段(ホールコンピュータHCの不正検出処理におけるステップS2007)を備え、
前記異常処理実行手段は、前記応答期間判定手段により前記計測した応答期間が正常でないと判定された場合に異常処理を実行することを特徴とする不正監視システム。
手段24によれば、情報読取手段から呼出波を出力してから当該情報読取手段にて応答波を入力するまでの応答期間が計測され、その計測した応答期間が正常でない場合には異常処理が実行される。遊技機に対する不正行為としては、遊技機を制御する制御装置を不正な装置に交換する不正行為が想定され、さらにかかる不正行為に際して識別手段が遊技を制御装置に取り付けられていたとしても正規の制御装置に取り付けられていた識別手段を取り外し、当該識別手段を識別情報出力用のダミー品として不正な装置に添える行為が想定される。但し、かかる不正行為が行われた場合には、識別手段をダミー品として不正な装置に添える際に識別手段の情報読取手段に対する相対距離が変化するものと考えられる。これに対して、上記のとおり、応答期間を計測し、その計測した応答期間が正常でない場合には異常処理を実行することで、識別手段をダミー品として使用する不正行為が行われたとしても、かかる不正行為が行われたことを発見することが可能となる。
手段25.手段1乃至手段24のいずれか一において、前記異常処理実行手段は、前記異常処理として、前記識別情報又は前記対応情報を収集できなかった遊技機を特定した態様の異常報知を実行するよう報知手段(表示装置535)を制御することを特徴とする不正監視システム。
手段25によれば、識別情報又はそれに対応した対応情報の収集が行われなかった場合には、異常報知が実行されることにより不正行為が行われた遊技機が特定される。これにより、遊技ホールの管理者などは不正行為が行われた遊技機を容易に把握することができ、かかる不正行為に対して適性に対処することができる。
手段26.遊技機にそれぞれ設けられた媒体付与関連装置には識別情報が記憶された識別手段を備え、その識別情報を読み取ることで遊技機に対する不正を監視する不正監視システムであって、
非接触状態で前記識別情報を読み取る情報読取手段を備えるとともに、その情報読取手段を対応する遊技機の識別情報の読み取りが可能な位置に設置し、
さらに、連続的又は断続的に前記識別情報の読み取りを行うよう前記情報読取手段を読取制御する読取制御手段と、
前記情報読取手段が読み取った識別情報、又はそれに対応した対応情報を収集する情報収集手段と、
その読取制御が実行された情報読取手段から前記情報収集手段が前記情報を収集したか否かを判定する判定手段と、
当該判定手段により前記情報が収集されていないと判定された場合に、異常処理を実行する異常処理実行手段と
を備えたことを特徴とする不正監視システム。
手段26の不正監視システムでは、識別情報が記憶された識別手段が遊技機の媒体付与関連装置に設けられているので、識別情報の読み取りを行うことにより不正な媒体付与関連装置への交換等といった遊技機に対する不正行為が行われたか否かが確認される。
この場合に、不正監視システムは情報読取手段を備えており、その情報読取手段は対応する遊技機の識別情報の読み取りが可能な位置に設置されている。情報読取手段が読み取った識別情報又は対応情報は収集され、その読取制御が実行された情報読取手段から情報が収集されていない場合には異常処理が実行される。かかる構成とすることにより、遊技ホールの管理者等が識別情報の読み取り作業を行う必要はなく、識別情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
また、連続的又は断続的に上記識別情報の読み取りは行われており、例えば、読取制御手段が遊技機とは異なって電力供給を受けていれば、遊技機の電源が切断されている又は遊技機に電力供給がなされていないとしても上記識別情報の読み取りを行うことができる。これにより、遊技ホールに遊技機が設置されており、遊技ホールの営業時間が終了し、遊技機の電源が切断されている場合において、不正な制御装置への交換等といった遊技機に対する不正行為が行われたとしてもそれを発見することができる。
なお、「識別情報を非接触で読み取る構成」としては、「情報読取手段は、前記識別情報を呼び出す呼出波を出力する呼出波出力手段と、前記識別手段からの応答波を入力する応答波入力手段とを備えた構成」が考えられる。また、「識別手段は、前記識別情報を記憶した記憶手段と、その記憶された識別情報を読み出して出力する出力手段とを備え、さらに情報読取手段は、前記識別手段に呼出信号を出力することで前記出力手段に前記識別情報を出力させる呼出手段と、その出力された識別情報を入力する入力手段とを備えた構成」が考えられる。
また、「媒体付与関連装置」としては、遊技媒体の払い出しを行う払出装置が考えられる。また、いわゆるパチンコ遊技機においては、遊技領域に設けられた入球部に入球した遊技球を検出する球検出装置が考えられる。
また、本手段26に対して上記手段2乃至25のいずれかを適用することで、各手段の効果を奏することができる。
手段27.遊技機(パチンコ機P,スロットマシンS)に設けられた制御装置(主制御装置271,582、払出制御装置311)又は媒体付与関連装置には識別情報(ID情報)が記憶された識別手段(アンテナ付きICチップ303,320a)を備え、当該識別情報を取得することで遊技機に対する不正を監視する不正監視システムであって、
非接触状態で前記識別情報を読み取る情報読取手段(スキャナSC)を、前記識別情報の読み取りが可能な位置に設置し、
さらに、連続的又は断続的に前記識別情報の読み取りを行うよう前記情報読取手段を制御する読取制御手段(ホールコンピュータHCの不正検出設定処理ステップS1302〜ステップS1306、ステップS1602〜ステップS1607、ステップS1702〜ステップS1703)と、
その読取制御が実行された情報読取手段から前記情報収集手段が前記情報を収集したか否かを判定する判定手段(ホールコンピュータHCの不正検出判定処理におけるステップS1307〜ステップS1312、ステップS1608〜ステップS1610、ステップS1704〜ステップS1708)と、
当該判定手段により前記情報が収集されていないと判定された場合に、異常処理を実行する異常処理実行手段(ホールコンピュータHCのステップS1313、ステップS1611、ステップS1709)と
を備えたことを特徴とする不正監視システム。
手段27の不正監視システムでは、識別情報が記憶された識別手段が遊技機の制御装置又は媒体付与関連装置に設けられているので、識別情報の読み取りを行うことにより不正な制御装置への交換、又は不正な媒体付与関連装置への交換等といった遊技機に対する不正行為が行われたか否かが確認される。
この場合に、不正監視システムは、識別情報の読み取りが可能な位置に情報読取手段を備えており、識別情報の読取処理が行われる。そして、この読取処理において識別情報を読み取らなかった場合には、異常処理が実行される。かかる構成とすることにより、遊技ホールの管理者等が識別情報の読み取り作業を行う必要はなく、識別情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
また、連続的又は断続的に上記識別情報の読み取りは行われており、例えば、読取制御手段が遊技機とは異なって電力供給を受けていれば、遊技機の電源が切断されている又は遊技機に電力供給がなされていないとしても上記識別情報の読み取りを行うことができる。これにより、遊技ホールに遊技機が設置されており、遊技ホールの営業時間が終了し、遊技機の電源が切断されている場合において、不正な制御装置への交換等といった遊技機に対する不正行為が行われたとしてもそれを発見することができる。
なお、「識別情報を非接触で読み取る構成」としては、「情報読取手段は、前記識別情報を呼び出す呼出波を出力する呼出波出力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)と、前記識別手段からの応答波を入力する応答波入力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)とを備えた構成」が考えられる。また、「識別手段は、前記識別情報を記憶した記憶手段(ICチップ305,320b,585a)と、その記憶された識別情報を読み出して出力する出力手段(アンテナ部306,320c,585b)とを備え、さらに情報読取手段は、前記識別手段に呼出信号を出力することで前記出力手段に前記識別情報を出力させる呼出手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)と、その出力された識別情報を入力する入力手段(スキャナSCのCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543)とを備えた構成」が考えられる。
また、「媒体付与関連装置」としては、遊技媒体の払い出しを行う払出装置(払出装置358,573)が考えられる。また、いわゆるパチンコ遊技機においては、遊技領域に設けられた入球部(一般入賞口31等)に入球した遊技球を検出する球検出装置(入賞口スイッチ221等)が考えられる。
手段28.手段1乃至手段27のいずれか一に記載の不正監視システムにて使用するための前記識別手段を備えたことを特徴とする遊技機。
遊技機に識別手段が設けられていることにより、上記手段1乃至27のいずれかの効果を奏することができる。
手段29.手段28において、遊技機本体に対して開閉自在に支持された開閉体(前扉枠13)を備え、
前記識別手段は、前記開閉体の開放先端側に備えられていることを特徴とする遊技機。
手段29によれば、遊技機における開閉体の開放先端側に識別手段が備えられている。これにより、識別手段が開閉体の開放基端側に備えられている場合と比して、開閉体が開放された場合には開閉体の開放に伴って識別手段が大きく移動することとなる。
本手段における不正行為を監視する方法として、開閉体が閉鎖されている場合には識別情報を情報読取手段が読み取ることができ、開閉体が開放されている場合には識別手段から出力される識別情報を情報読取手段が読み取れないよう設定されてものが考えられる。さらに、開閉体が開放又は閉鎖されていくのに伴い、識別手段が移動することによって識別情報を読み取ることができるか否かが決定するよう設定されていれば、識別手段が開放基端側に備えられている場合、識別手段が開放先端側に備えられている場合と比して開閉体が開放されたとしても識別手段の位置があまり移動しないため、開閉体が開放されている場合に識別情報を読み取れなくするための設定が難しくなることが考えられる。よって、開放基端側に識別手段が備えられている場合と比して、開放先端側に識別手段が備えられている方が、開閉体が開放されている場合に識別情報を読み取れないという読取結果を良好に得ることが可能となり、不正行為の監視を良好に行うことができる。
手段30.手段28又は手段29において、前記情報読取手段を備えたことを特徴とする遊技機。
手段30によれば、識別手段及び情報読取手段が遊技機に備えられている。これにより、例えば、遊技ホールにおいて遊技機を設置する場合に、情報読取手段を設置する場所を設ける必要がなくなる。
さらに、手段4又は手段5を備えた構成においては、遊技機の予め定められた位置に識別手段及び情報読取手段が設置されている場合、開閉体が閉鎖されている場合には識別情報を読み取ることができ、開閉体が開放されている場合に識別情報を読み取ることができなくするための設定を予め行っておくことが可能となり、遊技機毎に開閉体が開放されている場合に識別情報を読み取ることができなくするための設定をする必要がなくなる。
手段31.遊技機(パチンコ機P,スロットマシンS)に識別情報(ID情報)が記憶された識別手段(アンテナ付きICチップ303,320a)を備え、その識別情報を読み取ることで遊技機に対する不正を監視する不正監視システムであって、
遊技機は、遊技機本体に対して開閉自在に支持された開閉体(前扉枠13)を備え、
前記識別手段は、前記開閉体に備えられているものであり、
非接触状態で前記識別情報を読み取る情報読取手段(スキャナSC)と、
連続的又は断続的に前記識別情報の読み取りを行うよう前記情報読取手段を読取制御する読取制御手段(ホールコンピュータHCの不正検出設定処理ステップS1302〜ステップS1306、ステップS1602〜ステップS1607、ステップS1702〜ステップS1703)と、
前記情報読取手段が読み取った識別情報、又はそれに対応した対応情報を収集する情報収集手段(ホールコンピュータHC、ホール内ネットワークHN)と、
その読取制御が実行された情報読取手段から前記情報収集手段が前記情報を収集したか否かを判定する判定手段(ホールコンピュータHCの不正検出判定処理におけるステップS1307〜ステップS1312、ステップS1608〜ステップS1610、ステップS1704〜ステップS1708)と、
当該判定手段により前記情報が収集されていないと判定された場合に、異常処理を実行する異常処理実行手段(ホールコンピュータHCのステップS1313、ステップS1611、ステップS1709)と
を備え、
前記情報読取手段は、前記開閉体が閉鎖されている場合には前記識別情報を読み取ることができるよう設定されており、前記開閉体が開放されている場合に前記識別情報を読み取ることができないよう設定されていることを特徴とする不正監視システム。
手段31の不正監視システムでは、識別情報が記憶された識別手段が遊技機の開閉体に設けられており、連続的又は断続的に識別情報の読み取りを行うことにより不正に開閉体が開放されたか否かが確認され、遊技機に対する不正行為が行われたか否かが確認される。
この場合に、不正監視システムは情報読取手段を備えており、その情報読取手段に対応する識別手段が遊技機の開閉体に備えられている。情報読取手段が読み取った識別情報又は対応情報は収集され、読取制御が実行された情報読取手段から情報が収集されていない場合には異常処理が実行される。かかる構成とすることにより、遊技ホールの管理者等が識別情報の読み取り作業を行う必要はなく、識別情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
また、連続的又は断続的に上記識別情報の読み取りは行われており、例えば、読取制御手段が遊技機とは異なって電力供給を受けていれば、遊技機の電源が切断されている若しくは遊技機に電力供給がなされていなかったとしても上記識別情報の読み取りを行うことができる。これにより、遊技ホールに遊技機が設置されており、遊技ホールの営業時間が終了し、遊技機の電源が切断されている場合において、開閉体が不正に開放され、不正な制御装置への交換等といった遊技機に対する不正行為が行われたとしてもそれを発見することができる。
また、前面扉が開放されている場合には読取手段は、前記識別情報を読み取ることができないよう設定されている。この場合も読取手段が識別情報を読み取れなかったという対応情報を収集することによって異常処理を実行することができる。
また、本手段31に対して上記手段2乃至30のいずれかを適用することで、各手段の効果を奏することができる。
(第1の実施の形態)
以下、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の不正監視システムに関する第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はシステム構成を説明するための概略図である。
図1に示すように、遊技ホールには多数のパチンコ機P−1,P−2,P−3,P−4,・・・・P−m,P−nが設置されている。各パチンコ機Pは、ホール内ネットワークHNを介してホールコンピュータHCに接続されている。これにより、ホールコンピュータHCにおいて各パチンコ機Pにおける遊技状況が管理されている。
また、遊技ホールには、2台のパチンコ機Pに対応させて1台のスキャナSC−1,SC−2,・・・・SC−kが設置されている。これら各スキャナSCもホール内ネットワークHNを介してホールコンピュータHCに接続されている。そして、ホールコンピュータHCは、各スキャナSCから入力する情報に基づいて各パチンコ機Pに対する不正を監視する。そこで、以下にかかる不正の監視に関する構成について説明する。
先ず、パチンコ機Pの構成について以下に説明する。図2はパチンコ機Pの正面図、図3はパチンコ機Pの主要な構成を展開又は分解して示す斜視図、図4はパチンコ機Pを構成する本体枠12の前面構成を示す正面図である。なお、図3、図4では便宜上、パチンコ機Pの遊技領域内の構成を空白としている。
図2〜図4に示すように、パチンコ機Pは、当該パチンコ機Pの外殻を形成する外枠11を備えている。外枠11は、遊技ホールへの設置の際に、いわゆる島設備に取り付けられる。外枠11は、木製の板材を全体として矩形枠状に組み合わせた状態とされ、各板材を小ネジ等の離脱可能な締結部材により固定することによって構成されている。したがって、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて構成部材の再利用(リユース)が容易な構成となっている。なお、外枠11を合成樹脂やアルミニウム等の金属によって構成してもよい。
外枠11の一側部には、本体枠12が開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機Pの正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を軸心にして本体枠12が前方側に開放できるようになっている。更に言うと、本パチンコ機Pには右側に遊技球発射ハンドル18の設置箇所が設けられているため、遊技球発射ハンドル18とは反対側の側部を中心に本体枠12を開閉可能としたということができる。
本体枠12の前面側の下部位置には、前面板14が設けられている。前面板14は、幅方向ほぼ中央部において手前側へ膨出した膨出部15aを有するベース部15と、ベース部15の膨出部15a内側に設けられ下方にくぼんだ皿形状をなす球受皿としての下皿16と、下皿16の奥側の壁面を構成し、下皿16への球排出口17aが形成された奥壁パネル17とを備えている。ベース部15は本体枠12に対してネジ等の締結部材により固定されていることから、ベース部15が本体枠12に対する取付部を構成している。ベース部15には膨出部15aよりも右方に、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル18が設けられている。
遊技球発射ハンドル18は、操作ハンドル18aと支持台座18bとより構成されている。支持台座18bには、周知の構成のため図示による説明は省略するが、遊技者が操作ハンドル18aに触れていることを検知するためのタッチセンサ、操作ハンドル18aが操作されたことを検知するための発射スイッチ及び操作ハンドル18aの操作量を検知するためのダイヤル可変抵抗器が設けられている。さらに、操作ハンドル18aを操作した状態で、遊技球の発射を止めるべく操作される止め打ちスイッチが設けられている。これらタッチセンサ、発射スイッチ、ダイヤル可変抵抗器及び止め打ちスイッチの信号線は、後述する電源及び発射制御装置313に接続されている。
ベース部15の膨出部15a前面側にはスライド式の球抜きレバー19が設けられている。球抜きレバー19が操作されると下皿16内の貯留球が下方に排出されるよう構成されている。奥壁パネル17の球排出口17aとは異なる位置には、多数の小孔が集合したスピーカカバー部17bが形成されており、当該パネル17の後方に設置されたスピーカ20の出力音がスピーカカバー部17bを通じて前方に発せられるようになっている。
本体枠12の前面側の前面板14を除く範囲には、本体枠12を覆うようにして前面扉としての前扉枠13が設けられている。前扉枠13は、本体枠12に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠12と同様、パチンコ機Pの正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
前扉枠13の下部位置には、下皿16の上方において手前側へ膨出した膨出部22が設けられ、その膨出部22内側には上方に開口した上皿23が設けられている。上皿23は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構160側へ導くための球受皿である。膨出部22前面側には上皿23用の球抜きレバー24が設けられており、この球抜きレバー24を操作すると上皿23の最下流部付近に設けられた球抜き通路(図示略)が開放され、上皿23内の貯留球が下皿16へ排出されるようになっている。前扉枠13には、ガラス137が設けられている。
図4に示すように、本体枠12は、外形が前記外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース25を主体に構成されており、樹脂ベース25の中央部には略円形状の窓孔26が形成されている。樹脂ベース25の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。図5に示すように、遊技盤30は略四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース25の裏側に当接した状態で取着されている。
次に、遊技盤30の構成を図5に基づいて説明する。遊技盤30には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35等がそれぞれ設けられている。実際には、一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35は木ねじ等により遊技盤表面に取り付けられている。
作動口33には、所定の条件下で作動状態(開放状態)となる電動役物が付随的に設けられている。前記一般入賞口31、可変入賞装置32及び作動口33に遊技球が入ると、それが後述する検出スイッチにより検出され、その検出結果に基づいて上皿23(場合によっては下皿16)に対し所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30の最下部にはアウト口36が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されていると共に、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。遊技盤30の左右両側部には、組付相手である本体枠12の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように凹部としての切欠38が複数箇所に形成されている。
可変表示ユニット35には、作動口33への入賞をトリガとして第1図柄(特別図柄)を変動表示する図柄表示装置41が設けられている。可変表示ユニット35には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム43が配設されている。センターフレーム43の上部中央には、第1特定ランプ部47及び第2特定ランプ部48が横並びの状態で設けられている。また、これら両特定ランプ部47,48が配設された領域を挟むように、第1特定ランプ部47及び図柄表示装置41に対応した保留ランプ44が設けられている。遊技球が作動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ44の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。センターフレーム43の下部には、第2特定ランプ部48に対応した保留ランプ46が設けられている。遊技球がスルーゲート34を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置41は8インチサイズの液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて第1図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。この図柄の変動表示については、後に詳細に説明することとする。
第1特定ランプ部47には、その内側に赤、緑、青の3色発光タイプのLEDランプが配設されている。そして、作動口33への入賞をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、作動口33への入賞をトリガとして、赤色光が点灯され、その状態で所定時間が経過すると緑色光に発光色が切り替えられる。そして、緑色光が点灯された状態で前記所定時間が経過すると青色光に発光色が切り替えられる。その後、発光色の切り替え停止時期がくるまで、赤色、緑色、青色という順序で発光色の切り替えが繰り返し行われる。これにより、第1特定ランプ部47には、赤色、緑色、青色が、この順序で繰り返し表示されることとなる。そして、最終的に赤色又は緑色が停止表示された場合には、大当たりが発生し、青色が停止表示された場合には、大当たりが発生しない。また、最終的に赤色で停止表示された場合と、最終的に緑色で停止表示された場合とで、大当たりの種類が異なり、前者の方が遊技者に有利な大当たりが発生する(いわゆる、確変大当たり)。
一方、第2特定ランプ部48には、その内側に赤、緑の2色発光タイプのLEDランプが配設されている。この第2特定ランプ部48は、スルーゲート34の通過をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置32の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32内の継続入賞口への入賞を条件として次ラウンドへの移行条件成立とし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置32が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤30には、後述する遊技球発射機構160から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射機構160から発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50は、内外二重に設けられた内レール部51と外レール部52とを有する。
内レール部51は、他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられている。また、外レール部52は、内レール部51と同様に他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられた支持部52aを有し、その支持部52aの内側面に、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするための摺動プレート52bが取り付けられている。摺動プレート52bは、長尺状をなすステンレス製の金属帯よりなり、複数箇所で支持部52aに支持されている。かかる場合、内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、これら各レール部51,52が所定間隔を隔てて対向する部分により球案内通路が形成されている。なお、内外のレール部51,52が対向する部位では、遊技盤30との当接部53により各レール部51,52が連結されており、球案内通路は手前側に開放した溝状に形成されている。
レールユニット50において、前記球案内通路より遊技球が飛び出す部位(図5の左上部)には戻り球防止部材54が取着され、該飛び出した遊技球の最大飛翔部分に対応する部位(図5の右上部)には返しゴム55が取着されている。戻り球防止部材54により、一旦球案内通路から遊技盤30の上部へと飛び出した遊技球が球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム55に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。
レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされる。
内レール部51及び外レール部52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。凸部57は、内レール部51の外周部から下方へ延びるように形成され、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路76(図4参照)に導く機能を有する。遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレートを貼着するためのスペース(図のSa,Sb)となっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58a,58bが形成されている。証紙等のシールを遊技盤30に直接貼り付ける構成とすることで、証紙等の不正な貼り直し等が行いにくいものとなっている。
遊技盤30においてレールユニット50よりも外方の左上部には、前後に貫通した中継端子孔59が設けられており、この中継端子孔59を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60がパチンコ機P前面側に露出されるようになっている。
樹脂ベース25の窓孔26(遊技盤30)の下方には、遊技球発射機構160が取り付けられている。遊技球発射機構160は、図6に示すように、ベース部材としての金属板161を備えており、金属板161には、電磁式のソレノイド162と、発射レール163とが取り付けられている。
ソレノイド162は、本体部162aと出力軸162bとを主要構成部品として備えており、本体部161aへの電気的な信号の入力に基づき通電され、出力軸162bが伸縮方向に移動する。また、ソレノイド162は、通電時に出力軸162bが左斜め上方へ突出するように配置されている。発射レール163は、ソレノイド162により打ち出された遊技球を案内するものであり、その長手方向が出力軸162bの伸縮方向に延びるように配置されている。なお、発射レール163上には前扉枠13側の球出口(上皿23の最下流部より通じる球出口)から1つずつ遊技球Bが供給されるが、当該遊技球Bを発射レール163上に保持するためのストッパ164が金属板161上に取り付けられている。
以上の構成において、遊技者により遊技球発射ハンドル18が操作されるのに基づいてソレノイド162が通電されると出力軸162bが突出し、発射レール163上においてストッパ164により保持されている遊技球が打ち出される。そして、当該遊技球は発射レール163上を移動し、遊技領域に打ち出される。
発射レール163と球案内通路との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路76が設けられている。したがって、仮に遊技球発射機構160から発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らずファール球として球案内通路内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路76を介して下皿16に排出される。
本体枠12の前面において発射レール163の左側には、左右一対の排出口66,67が形成されると共に、その前方に、排出口66,67より排出された遊技球を上皿23又は下皿16の何れかに案内するための遊技球案内ユニット70が取り付けられている。便宜上以下の説明では、排出口66を第1排出口、排出口67を第2排出口ともいう。これら排出口66,67は、本体枠12の背面に設けられた遊技球分配部245(図11参照)に通じており、基本的に第1排出口66より遊技球の排出が行われ、この第1排出口66も含め上皿23に通じる通路が遊技球で一杯になると、第1排出口66に代えて第2排出口67より遊技球の排出が行われるようになっている。
遊技球案内ユニット70には、前述のファール球通路76が一体的に形成されている。遊技球案内ユニット70には、前記排出口66,67と下皿16とを連通するための球排出通路71が形成されている。遊技球案内ユニット70には、本体枠12の第1排出口66の手前側に、上皿23に連通する連通口72が形成され、連通口72を閉鎖するようにして開閉プレート73が取り付けられている。開閉プレート73は支軸74により回動可能に支持され、付勢手段としてのバネ75により連通口72を閉鎖する位置に常時付勢されている。
遊技球案内ユニット70の上記構成によれば、前扉枠13を開放した状態ではバネ75の付勢力により開閉プレート73が図示の如く起き上がり、連通口72を閉鎖する。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が球排出通路71を通じて下皿16に案内される。したがって、連通口72の上流側に遊技球が貯留されている状態で前扉枠13を開放した場合、その貯留球は連通口72よりこぼれ落ちることなく、球排出通路71を通じて下皿16に流下する。つまり、前飾り枠が省略され前扉枠13に対して上皿23が直接設けられる構成とした本パチンコ機Pにあっても、前扉枠13の開放に際し連通口72の上流側にある遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠13を閉鎖した状態では、前扉枠13の裏面に設けられた球通路樋138(図3参照)によりバネ75の付勢力に抗して開閉プレート73が押し開けられる。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が連通口72を介して上皿23に案内される。したがって、連通口72より上流側の遊技球は上皿23に払い出される。
樹脂ベース25には、窓孔26の右下部に略四角形状の小窓78が設けられている。したがって、遊技盤30の右下隅部スペース(図5のSa)に貼られた証紙等は、この小窓78を通じて視認できるようになっている。この小窓78から遊技盤30上に証紙等を直接貼り付けることも可能である。
樹脂ベース25には、窓孔26の左上部にも小窓79が設けられている。この小窓79は、図5で説明した遊技盤30の中継端子孔59に対応する位置にそれとほぼ同一の形状で設けられ、中継端子孔59及び小窓79を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60が本体枠12の前面側に露出される。かかる構成において、前扉枠13側に設けた各種ランプに対しては、本体枠12(樹脂ベース25)の小窓79より露出した接続コネクタ60を介して電気的な接続がなされている。
樹脂ベース25の上部には、前扉枠13の開放の状態を検出するための前扉枠開放スイッチ27が設けられている。樹脂ベース25の左右2カ所には、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた際に前扉枠13背面の金具類(図7に示す補強板131〜134)に接触し、且つその金具類を本体枠12側に導通させてアース(接地)するための金属片28a,28bが取り付けられている。
本体枠12の左端側(開閉軸線側)には、前扉枠13を開閉可能に支持するための支持機構として、上下一対の支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には上方へ突出する突起軸84が設けられている。なお、支持金具81,82に支持される前扉枠13の具体的構成については後述する。また、本体枠12の右端側(開閉軸線とは反対側)には、前扉枠13裏面側の開放端側に設けた上下一対の鉤金具155,156(図3参照)を挿入するための挿入孔87,88がそれぞれ設けられている。本パチンコ機Pでは、本体枠12や前扉枠13を施錠状態とするための施錠装置が本体枠12の裏面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具155,156が挿入孔87,88を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠13が本体枠12に対して開放不能に施錠される。
本体枠12の右下隅部には、外枠11に対する本体枠12の施錠及び解錠、並びに本体枠12に対する前扉枠13の施錠及び解錠を行うための鍵部材としてのシリンダ錠91が設置されている。シリンダ錠91は施錠装置に一体化されており、施錠装置のうちシリンダ錠91だけが本体枠12の前方に突出した状態で設けられている。シリンダ錠91は、本体枠12の施解錠と前扉枠13の施解錠とを共に賄う機能を有しており、鍵穴に差し込んだキーを左(反時計回り方向)に回すと本体枠12の施錠が解かれ、逆にキーを右(時計回り方向)に回すと前扉枠13の施錠が解かれるようになっている。
次に、前扉枠13について図2,図7を参照しつつ説明する。なお、図7は、前扉枠13の背面図である。
前扉枠13には遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした視認窓としての窓部101が形成されている。窓部101は、円形に近い略楕円形状をなし、より詳しくは、その左右側の略中央部が上下側に比べて緩やかに湾曲した形状となっている。
前扉枠13の下端部における左右両側には、本体枠12表面や遊技盤30表面等(証紙等を含む)の一部を視認できるよう透明樹脂を取り付けた小窓107が設けられている。小窓107に取り付けられる透明樹脂は、その内部の証紙等を工場等で容易に機械読み取りできるよう平坦状に構成される。但し、小窓107に、内部の証紙等をホール作業者等が容易に目視できるよう拡大レンズ部を設けることも可能である。
前扉枠13にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御されることにより、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部101の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状ランプ102が左右対称に設けられ、環状ランプ102の中央であってパチンコ機Pの最上部にはLED等の発光手段を内蔵した中央ランプ103が設けられている。本パチンコ機Pでは、中央ランプ103が大当たりランプとして機能し、大当たり状態時に点灯や点滅を行うことにより大当たり中であることを報知する。また、上皿23周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿ランプ104が設けられている。その他、中央ランプ103の左右側方には、賞球払出中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とがそれぞれ設けられている。
前扉枠13には、窓部101の下方位置に、貸球操作部120が配設されている。貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機Pの側方に配置されたCRユニットに紙幣やカード等を投入した状態で、貸球操作部120によって球貸し操作、カード返却操作及びカード度数の確認を行うことができる。
前扉枠13の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図7に示すように、前扉枠13の裏側にあって窓部101の左右及び上下の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。これにより、補強板131〜134による電気経路の閉じたループが切断され、ノイズの原因となる磁界の発生等が防止されている。
図7の右側となる開閉軸線側の補強板131にはその上端部及び下端部に、本体枠12に対する組付機構として、組付金具151,152が取り付けられている。そして、本体枠12側の支持金具81,82(図4参照)に対して前扉枠13側の組付金具151,152が取り付けられている。すなわち、下側の組付金具152には下面に開口する軸穴が形成されており、その軸穴に下側の支持金具82の突起軸84が挿入される一方、上側の組付金具151の軸部が上側の支持金具81の支持孔83に挿入されることにより、本体枠12に対して前扉枠13が開閉可能に支持されている。また、同補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前扉枠13を閉じた状態で本体枠12の孔部12a(図4参照)に挿入されるように構成されている。これにより、上皿23を含む形態で前扉枠13を構成し、その上下の軸支間隔を長くした本パチンコ機Pにおいても、中間位置における前扉枠13の浮き上がりが防止できる。それ故、前扉枠13を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
図7の左側となる開閉軸線とは反対側の補強板132には鉤形状をなす上下一対の鉤金具155,156が取り付けられている。これら鉤金具155,156は、後方に延び、本体枠12に設けた挿入孔87,88(図4参照)に対応するようにして設けられている。本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した際、鉤金具155,156が本体枠12側の挿入孔87,88に挿入されて施錠装置により施錠状態とされるようになっている。
下側の補強板134には、前記発射レール163に対向する位置に樹脂ケース136が取り付けられている。樹脂ケース136には、前記貸球操作部120用の回路基板が収容されている。樹脂ケース136の背面(図7に見える面)は平坦状をなし、前扉枠13を閉じた際に発射レール163の側壁を構成するようになっている。故に、発射レール163から遊技球が前方にこぼれ落ちることが防止される。
下側の補強板134の一部を切り欠いた部位には、パチンコ機P後方に向けて球通路樋138が設置されており、球通路樋138の少なくとも上方には、同じくパチンコ機P後方に向けて延びる庇(ひさし)部139が設けられている。この場合、本体枠12側に前扉枠13を閉じた状態では、球通路樋138と庇部139との間に、本体枠12側の連通口72上辺に沿って延びる突条が入り込むようにして配置される。故に、球通路樋138より針金やフィルム等を侵入させて不正行為を行おうとしても、遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為を防止することができる。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の内側が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。ガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されている。
次に、パチンコ機Pの背面の構成を説明する。なお、図8はパチンコ機Pの背面図、図9はパチンコ機Pの背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
まず、パチンコ機Pの背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機Pの背面側には、各種制御装置(各種制御基板)が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されるとともに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御装置を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に本体枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御装置271(主制御基板)と音声ランプ制御装置272(音声ランプ制御基板)とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御装置311(払出制御基板)、電源及び発射制御装置313(電源及び発射制御基板)を他方の取付台に搭載してユニット化している。以下においては、便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化され、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて本体枠12又は遊技盤30の裏面に対して展開できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置された場合に隠れた部位を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。実際には、図10の概略図に示すように、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機Pのほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重複する領域に、裏パックユニット203が配置されている。
第1制御基板ユニット201にはパチンコ機Pの背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に第1制御基板ユニット201が回動可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部すなわち支軸部M1の反対側となる開放端側に、ナイラッチ(登録商標)等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機P本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。また、第2制御基板ユニット202にはパチンコ機Pの背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に第2制御基板ユニット202が回動可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部すなわち支軸部M4の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機P本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。さらに、裏パックユニット203にはパチンコ機Pの背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に裏パックユニット203が回動可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部すなわち支軸部M6の反対側となる開放端側にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられるとともに、上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機P本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
次に、本体枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。なお、図11は本体枠12に遊技盤30を組み付けた状態でかつ前記各ユニット201〜203等を取り外した状態の構成を示す背面図、図12は本体枠12を後方より見た斜視図、図13は遊技盤30を後方より見た斜視図である。
遊技盤30は、樹脂ベース25に囲まれた四角枠状の設置領域に裏面側より設置され、本体枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって後方へ脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。図11にはロック状態を示す。左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で本体枠12の外方へ張り出さないよう構成されている。
遊技盤30の中央に配置される可変表示ユニット35には、センターフレーム43(図5参照)を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、図柄表示装置41と表示制御手段としての表示制御装置214とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム43に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
遊技盤30の裏面には、可変表示ユニット35を取り囲むようにして集合板ユニット215が設けられている。集合板ユニット215は、薄板状の枠体として例えばABS樹脂等の合成樹脂により成形されるベースを有し、そのベース面が遊技盤30の裏面に当接されるようにして取り付けられている。集合板ユニット215には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット215の下方には、前記一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33の遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、本体枠12にポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製の排出通路盤217が取り付けられており、排出通路盤217には排出球をパチンコ機P外部の例えば遊技ホールの島設備等へ案内するための排出通路218が形成されている。したがって、図11に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも集合板ユニット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機P外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機P外部に排出される。
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット215には、遊技盤30表側の一般入賞口31と対応する位置に入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32と対応する位置に特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223が設けられている。特定領域スイッチ222は、大当たり中に可変入賞装置32へ入賞した遊技球が特定領域に入ったことを判定するスイッチである。特定領域とはラウンドの更新可否を判定するための領域であり、Vゾーンとも称されている。カウントスイッチ223は、可変入賞装置32に入賞した遊技球の数をカウントするスイッチである。また、作動口33に対応する位置には作動口33への遊技球の入賞を検知する作動口スイッチ224が設けられ、スルーゲート34に対応する位置にはスルーゲート34の遊技球の通過を検知するゲートスイッチ225が設けられている。入賞口スイッチ221及びゲートスイッチ225は電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続されている。そして、盤面中継基板226及び大入賞口中継基板227が主制御装置271(主制御基板)に接続されている。作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主制御装置271(主制御基板)に接続されている。その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口の開閉扉を開放するための大入賞口ソレノイドと、入賞球を特定領域かその他の領域に振り分けるための振分板を駆動する入賞球振分板ソレノイドとが設けられ、作動口33には、それに付随する電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。
上記入賞検知機構にて各々検出された検出結果は主制御装置271(主制御基板)に取り込まれ、該主制御装置271(主制御基板)よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311(払出制御基板)に出力される。そして、払出制御装置311(払出制御基板)の出力により所定数の遊技球の払出が実行されるようになっている。
集合板ユニット215には、その中央上部に中継端子板276が設けられており、さらにその右上部に盤用外部端子板230が設けられている。中継端子板276は、主制御装置271(主制御基板)や電源及び発射制御装置313(電源及び発射制御基板)から音声ランプ制御装置272への信号線を中継するものである。盤用外部端子板230には、表示制御装置214からの可変表示中信号を出力するための出力端子と、電源及び発射制御装置313からの発射許可信号を出力するための出力端子とが設けられている。なお、これ以外にも、大当たり中又は第1図柄の変動時間短縮中に信号出力するための出力端子と、大当たり中に信号出力するための出力端子とが設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して遊技(遊技盤30側の状態)に関する信号が出力される。盤用外部端子板230は、取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられている。
集合板ユニット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる軸受け金具231が設けられ、この軸受け金具231には同一軸線上に上下一対の軸受け孔231aが形成されている。また、遊技盤30において、軸受け金具231の右方には上下一対の被締結孔(具体的にはナイラッチの取付孔)232が設けられ、軸受け金具231の上方には係止爪片233が設けられている。
本体枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、本体枠12にはその右端部に長尺状の軸受け金具235が取り付けられている。この軸受け金具235は補強部材としても機能する。図14に示すように、軸受け金具235は遊技盤30よりも下方へ延びる長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より後方へ起立させるようにして、下部2カ所に第2制御基板ユニット202用の軸受け部237が形成されると共に、上部2カ所に裏パックユニット203用の軸受け部238が形成されている。これら軸受け部237,238にはそれぞれ同軸の軸受け孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)239が設けられている。また、裏パックユニット203用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)240が設けられている。本体枠12において遊技盤30の左上方、右寄り上方及び右寄り下方の各位置には、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具241,242,243がそれぞれ設けられている。
上記の如く本体枠12の左右一側部(図11では右側部)には長尺状の軸受け金具235が設けられる一方、本体枠12の左右他側部(図11では左側部)には施錠装置が設けられている。施錠装置は、上下方向に延び本体枠12に固定された基枠247と、その基枠247に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆248とを備え、基枠247の下部に前記シリンダ錠91が一体化されている。連動杆248は、シリンダ錠91の操作により上下いずれかの方向に移動する。連動杆248には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具249が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉鎖した際には、鉤金具249が外枠11側の支持金具(図示略)に係止され、施錠装置により施錠状態とされるようになっている。この場合、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が上方向に移動すると、外枠11に対する本体枠12の施錠が解除される。逆に、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が下方向に移動すると、本体枠12に対する前扉枠13の施錠が解除される。
本体枠12の背面における遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿23、下皿16又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。遊技球分配部245は、左側の開口部245aが第1排出口66を介して上皿23に通じ、中央の開口部245bが第2排出口67を介して下皿16に通じ、右側の開口部245cが排出通路218に通じるように、各通路が形成されている。
次に、第1制御基板ユニット201の構成を図15〜図18に基づいて説明する。図15は第1制御基板ユニット201の正面図、図16は同ユニット201の斜視図、図17は同ユニット201の分解斜視図、図18は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、取付台251に主制御装置271と音声ランプ制御装置272とが搭載されている。主制御装置271は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、供給電力を監視する機能(電源監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックス273に収容されて構成されている。主制御装置271には複数のコネクタが設けられており、各コネクタにハーネスや信号線が差し込まれることで、他の基板等(払出制御基板、盤面中継基板226等)との電気的な接続がなされるようになっている。なお、主制御装置271の詳細な構成については後に説明する。
音声ランプ制御装置272は、表示制御装置214からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス274に収容されて構成されている。
取付台251は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製であり、取付台251の表面には平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は縦横に直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。基板搭載面252の上縁部及び下縁部にはそれぞれ、基板搭載面252より起立した起立部254が一体成形されている。そして、横長の基板搭載面252上に主制御装置271が配置されると共に、縦長の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置272が配置される。このとき、主制御装置271は、上下の側部が起立部254にて支えられる。また、音声ランプ制御装置272は、複数箇所でネジ等により基板搭載面253に固定される。
ここで、図18に示すように、基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔256が形成されている。一方、主制御装置271の基板ボックス273には、その裏面の左右2カ所に回動操作式の固定具275が設けられている。主制御装置271を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔256に固定具275が挿通されるように主制御装置271を載置し、その状態で固定具275を回動操作することで主制御装置271がロックされる。したがって、主制御装置271は第1制御基板ユニット201の裏面側から固定具275をロック解除しなければ取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が得られる。
また、取付台251において、主制御基板用の基板搭載面252の下方には、基板搭載面252の裏面空間に通じる開口を遮蔽するための遮蔽部257が設けられている。したがって、基板搭載面252の下方より取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具275のロック状態を不正に解除することができないようになっている。また、第1制御基板ユニット201をパチンコ機P裏面に搭載した状態では、当該ユニット201の上部が裏パックユニット203により覆われるため、やはり取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具275のロック状態を不正に解除することができないようになっている。
取付台251の左端面には上下一対の掛止ピン261が設けられており、この掛止ピン261を前記軸受け金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して回動可能に片持ち支持される。取付台251の右端部には前記被締結孔232にはめ込まれる締結具として上下一対のナイラッチ262が設けられている。取付台251の上端部には前記係止爪片233が係止される長孔263が設けられている。したがって、ナイラッチ262を被締結孔232にはめ込むと共に、長孔263に係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。
次に、主制御装置271の構成を図19〜図22に基づいて説明する。図19は主制御装置271の斜視図、図20は主制御装置271の分解斜視図、図21は主制御装置271の基板ボックス273を説明するための説明図、図22は主制御措置271の一部を拡大して示す斜視図である。
主制御装置271は、上記のとおり基板ボックス273を備えている。基板ボックス273は、略直方体形状のボックスベース276と該ボックスベース276の開口部を覆うボックスカバー277とから構成されており、それらボックスベース276とボックスカバー277とから構成される内部空間に主制御基板278が収容されている。
主制御基板278は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生機、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を備えている。本実施の形態では、CPU、ROM及びRAMがCPUチップ278aに1チップ化されている。また、詳細な説明は省略するが、入出力ドライバ用ICチップ278b及びラッチ用ICチップ278cが搭載されている。
ボックスベース276及びボックスカバー277は、ポリカーボネート樹脂などといった透明性を有する合成樹脂により形成されている。ボックスベース276には、底板部276aの長辺側に側板部276bが形成されており、短辺側の一側には側板部276bに連なるようにして段差部276cが形成されている。側板部276bの先端は内側に折り曲げて形成されている。側板部276bの右端部は、ボックスカバー277をスライド装着するための装着口276dとなっている。この場合、図21に示すように、ボックスカバー277を装着口276dから装着し、段差部276cに当たるまでスライド移動させることで、ボックスカバー277がボックスベース276上の所定位置に装着されるようになっている。
ボックスカバー277には、ボックスベース276の段差部276cと重なるようにして延出部277aが形成されている。延出部277aはボックスベース276の段差部276cと共に封印手段としての封印ユニット279(いわゆる、カシメ構造)を構成しており、当該封印ユニット279によってボックスベース276とボックスカバー277とが連結され、基板ボックス273が封印されている。
封印ユニット279は、ボックスベース276とボックスカバー277とを連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図20等に示すように、5つの封印部材279a,279bが形成された構成となっており、この封印部材279a,279bの長孔に係止爪を挿入することでボックスベース276とボックスカバー277とが連結されるようになっている。この場合、係止爪を封印部材279a,279bから抜くことが不可能な構成となっているため、基板ボックス273を開封するためには封印部材279a,279bを破壊する必要が生じる。よって、基板ボックス273が不正に開封されたことの履歴を残すことができ、主制御基板278に対して不正が行われたことを発見することができる。
ボックスカバー277及びボックスベース276には、封印ユニット279が設けられた側部とは反対側の側部に貼付板部281,282が設けられており、これら貼付板部281,282が締結具(連結具)としての金属製のネジ283,284によって締結されている(連結されている)。このように金属製のネジ283,284によって締結することで、主制御基板278を不正に取り外すべく両貼付板部281,282を締結する締結具を分断しようとする行為が抑制される。
かかる締結に関する構成について図23に示す貼付板部281,282の縦断面図を用いて説明する。各貼付板部281,282には、それぞれの長辺方向の両端側に各貼付板部281,282を貫通するようにしてネジ孔285a,285b,286a,286bが形成されている。ネジ孔285aとネジ孔285bとはその軸線が同一軸線上に位置するようにして形成されており、これらが連通されて第1ネジ孔285が形成されている。一方、ネジ孔286aとネジ孔286bとはその軸線が同一軸線上に位置するようにして形成されており、これらが連通されて第2ネジ孔286が形成されている。なお、第1ネジ孔285及び第2ネジ孔286は、各貼付板部281,282において上下に並んでいる。
第1ネジ孔285には、貼付板部281におけるパチンコ機P後方を向く面281a(以下、第1貼付面281aともいう)側を段差状に拡径させて頭収容部287が形成されている。これに対して、第2ネジ孔286には、貼付板部282におけるパチンコ機P前方を向く面282a(以下、第2貼付面282aともいう)側を段差状に拡径させて頭収容部288が形成されている。そして、これら頭収容部287,288に各ネジ283,284の頭部283a,284aが収容されるようにネジ283,284が螺着されている。つまり、一方のネジ283(以下、第1ネジ283ともいう)は第1貼付面281a側から螺着されているのに対して、他方のネジ284(以下、第2ネジ284ともいう)は第2貼付面282a側から螺着されている。
各ネジ283,284の螺着に際しては、各頭部283a,284aが各頭収容部287,288の段差部287a,288aに当接するまで螺着される。この場合に、各頭部283a,284aが段差部287a,288aに当接した状態(すなわち、締結が完了した状態)では、各ネジ283,284の頭部283a,284aは開口289,290(以下、取り外し側開口289,290ともいう)に対してX1の距離だけ内側の位置にある。つまり、各頭部283a,284aの頂上(先端)の位置は各ネジ孔285,286における軸線方向の途中位置となっている。
各ネジ283,284によって締結された貼付板部281,282には、図22等に示すように、封印シール300が貼り付けられている。この場合に、図22や図23等に示すように、各貼付板部281,282には、その上縁に一連の上側突条291a,292aが一体形成されており、その下縁にも一連の下側突条291b,292bが一体形成されている。そして、各貼付板部281,282が締結されていることにより、各上側突条291a,292aの先端が相互に当接するとともに、各下側突条291b,292bの先端が相互に当接している。また、各貼付板部281,282はそれぞれボックスカバー277の側方端部293及びボックスベース276の側方端部294に対して連続させて形成されており、これら側方端部293,294はそれぞれ各貼付板部281,282の基端側の区画壁を構成する。つまり、上側突条291a,292a、下側突条291b,292b、及び側方端部293,294は囲み部Cとして機能し、貼付板部281,282における貼付面281a、281b,282a,282bは当該囲み部Cによって囲まれている。
囲み部Cによって囲まれた貼付面281a、281b,282a,282bに封印シール300が略コ字状に曲げて貼り付けられている。この場合に、封印シール300の周縁は囲み部Cに近接しており、封印シール300を剥がそうとしても、その剥がし行為が非常に困難なものとなっている。封印シール300が貼り付けられていることにより貼付面281a、281b,282a,282bのほぼ全域が覆われている。したがって、各ネジ孔285,286における取り外し側開口289,290は封印シール300によって覆われている。
次に、封印シール300の構成を図24〜図27に基づいて説明する。図24は封印シール300の構成を示す断面図、図25(a)は封印シール300の構成を示す正面図、図25(b)は封印シール300の構成を示す背面図、図26は貼付面281a、281b,282a,282bに対する封印シール300の位置関係を説明するための説明図、図27(a)は封印シール300周辺を拡大して示す正面図、図27(b)は封印シール300周辺を拡大して示す側面図、図27(c)は封印シール300周辺を拡大して示す背面図である。なお、図26においては、後述する各切り込み307,308,309を省略して示す。
封印シール300は、略矩形状のベースシート301を備えており、ベースシート301の背面には粘着剤が塗布され粘着剤層302が形成されている。粘着剤層302には不正監視用の識別手段としてのアンテナ付きICチップ303が貼り付けられている。なお、図24においては、粘着剤層302の背面側に剥離シート304が示してある。この剥離シート304は封印シール300を基板ボックス273に貼り付ける際に剥がされる。
ベースシート301はポリエステル系フィルムなどの可撓性樹脂フィルムにより形成されており適度な脆性を有し、さらに溶剤や熱に対して反応性を有する。具体的には、粘着剤層302を構成する粘着剤に対して溶解性を備えたトルエンなどがベースシート301に塗布されると、ベースシート301は変色する。また、粘着剤層の粘着力が低下する温度(例えば、50℃)以上の熱が加えられた場合にもベースシート301は変色する。これにより、基板ボックス273の貼付板部281,282から封印シール300を不正に剥がそうとして溶剤がかけられたり、熱が加えられたりした場合、ベースシート301が変色することで当該不正行為の痕跡を残すことができる。
ベースシート301の表面には、図25(a)に示すように、インク塗布部301a、識別番号部301b及び機種情報部301cが設けられている。インク塗布部301aには、紫外線などといった特定の波長の光が照射されることにより模様が表れる特殊インクが塗布されている。識別番号部301bには、複数の数字が記載されており、当該識別番号部301bに記載される数字はパチンコ機毎に異なっている。機種情報部301cには、当該遊技機の機種名や当該遊技機の製造メーカー名などが記載されている。なお、インク塗布部301a及び識別番号部301bが設けられた上部領域R1は貼付板部281の第1貼付面281aに位置し、機種情報部301cが設けられた中間領域R2は両貼付板部281,282の側面側に位置し、下部領域R3は貼付板部282の第2貼付面282aに位置している。
粘着剤層302の粘着剤は、従来の封印シールと同様に、一旦貼り付けされた後に剥がされるとベースシート301から剥がれる程度の粘着力を有している。したがって、封印シール300が剥がされた場合には再度貼り付けすることが不可能なものであり、さらには粘着剤層の一部が貼付板部281,282側に残ることとなる。よって、封印シール300を不正に剥がした痕跡を残すことができる。
アンテナ付きICチップ303は、ICチップ305及びアンテナ部306より構成されており、長尺状のアンテナ部306の中央付近にICチップ305が配置されている。ICチップ305は集積回路として形成されるものであり、制御部及びメモリ領域を有する。メモリ領域には、識別情報としてのID情報が記憶されている。アンテナ部306は、アルミ等の金属薄層で形成されており、その厚みはICチップ305の厚みよりも薄い。また、アンテナ部306は、共振周波数が2.45GHz等の一定周波数となるようにアンテナパターンとして作製されている。
ICチップ305のID情報は、制御部によって呼び出されてアンテナ部306から発信することができるように構成されており、アンテナ部306から発信されたID情報をリーダ/ライタとして形成されるスキャナで入力して読み取ることができるようになっている。このID情報の読み取りについては後に説明する。
アンテナ付きICチップ303(アンテナ部306)は、図25(b)に示すように、粘着剤層302が形成されたベースシート301に対し、当該ベースシート301の一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って斜めに配置されている。この場合、長尺状のアンテナ部306はその長手方向がベースシート301のすべての辺方向と交差することとなる。そして、封印シール300が両貼付板部281,282に跨って貼り付けられているのに伴って、アンテナ部306も両貼付板部281,282に跨っている。また、アンテナ付きICチップ303は、矩形状のベースシート301の中心に対して点対称となるように配置されている。
封印シール300には、アンテナ部306の長手方向に沿って等間隔で並ぶ多数のアンテナ用切り込み307が形成されている。アンテナ用切り込み307は、アンテナ部306の長手方向に対して略直交する方向に延びる直線状であり、ベースシート301の表面側から粘着剤層302の背面側まで貫通している(なお、図25(a)ではアンテナ用切り込み307を省略して示してある)。
アンテナ用切り込み307が延びる方向は、アンテナ部306の長手方向に対して略直交する方向であるため、ベースシート301のすべての辺方向と交差している。また、アンテナ用切り込み307は、アンテナ部306に若干掛かる構成となっている。この場合に、アンテナ部306はアンテナ用切り込み307により分断されていないため、ID情報の出力に関して弊害は生じない。また、アンテナ用切り込み307がアンテナ部306を挟んで直線状に並ばないように、アンテナ部306の一側に位置するアンテナ用切り込み307と他側に位置するアンテナ用切り込み307とは、アンテナ部306の長手方向にずらして形成されている。
封印シール300の4隅には、ベースシート301の表面側から粘着剤層302の背面側まで貫通する隅側切り込み308がそれぞれ形成されている。隅側切り込み308は、封印シール300の隅角に沿うようにしてL字状に形成されている。また、封印シール300の外縁には、図25に示すように、外側端部から内側に向けて多数の外縁切り込み309が形成されている。これら外縁切り込み309は、内側から外側に向けて開くようにして鋭角のV字状となっており、さらに封印シール300の外周に沿って等間隔で形成されている。
封印シール300を貼付板部281,282から剥がそうとする場合、封印シール300をその隅角から剥がす場合と、封印シール300の一辺に沿う方向に剥がす場合とが想定される。前者の場合、剥がす力に伴う応力が隅側切り込み308や外縁切り込み309に集中するため、封印シール300の破壊が生じ易い。一方、後者の場合、この剥がす方向はアンテナ部306の延びる方向に対して交差する方向である。したがって、剥がす力に伴う応力がアンテナ用切り込み307の端部に集中することで、アンテナ用切り込み307を介してベースシート301が破壊され、アンテナ部306が分断される。アンテナ部306が分断されるとID情報が出力されなくなるので、ID情報をスキャナで読み取ることができなくなる。よって、主制御基板278に対して不正行為が行われた場合には、それを容易に発見することができる。
次に、封印シール300のアンテナ部306と各貼付板部281,282を締結する各ネジ283,284との位置関係について説明する。
アンテナ部306の両端部306a,306bは、図27等に示すように、第1貼付面281a及び第2貼付面282aにおいて、各ネジ孔285,286における取り外し側開口289,290を跨ぐようにして配置されている。詳細には、アンテナ部306の短手方向の寸法は当該開口289,290の孔径よりも小さくなっており、さらにアンテナ部306はその両端部306a,306bが取り外し側開口289,290を挟んで当該開口289,290の周縁部を架渡すように配置されている。このようにアンテナ部306が配置されていることにより、アンテナ部306の両端部306a,306bは対応するネジ283,284の頭部283a,284aと対峙している。
かかる構成において、上記のとおり、各ネジ283,284の頭部283a,284aの頂上の位置は各ネジ孔285,286における軸線方向の途中位置となっている。すなわち、各頭部283a,284aの頂上の位置は封印シール300に対して各ネジ孔285,286内に入り込んだ位置となっている。したがって、アンテナ部306と各ネジ283,284とは、図23に示すように離間されている。また、アンテナ部306と各ネジ283,284との間には両者を介在する介在部材が設けられていない。つまり、アンテナ部306と各ネジ283,284との間には空間BSが設けられている。これにより、アンテナ部306が各ネジ283,284に接触することが防止されている。特に、上記のとおりアンテナ部306が取り外し側開口289,290を挟んで当該開口289,290の周縁部を架渡すように配置されているため、アンテナ部306がネジ孔285,286内に向けて撓みにくくなり、アンテナ部306と各ネジ283,284の頭部283a,284aとを対峙させた構成において両者を確実に離間させることができる。例えば、アンテナ部306が各ネジ283,284に接触すると、設定された共振周波数(本実施の形態では、2.45GHz)が変化してしまい、ICチップ305に記憶されたID情報がスキャナSCによって読み取れなくなるおそれがあるが、本実施の形態における構成によればかかる不都合の発生を防止することができる。
上記のとおり各貼付板部281,282には囲み部Cが形成されており、封印シール300の周縁は囲み部Cに近接している。したがって、封印シール300の貼り付け作業に際しては、封印シール300が囲み部Cによって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部306の両端部306a,306bが取り外し側開口289,290を跨ぎ、各ネジ283,284の頭部283a,284aと対峙する。
また、図26に示すように、囲み部Cによって囲まれる領域は、封印シール300の面積よりも広くなっている。これにより、封印シール300の貼り付け作業に際しては、貼り付け位置に所定のゆとりが生まれ、貼り付け作業の作業性が向上されている。この場合に、その貼り付け位置のゆとりは、アンテナ部306の両端部306a,306bが取り外し側開口289,290を跨ぎ、且つ各ネジ283,284の頭部283a,284aと対峙する範囲内で形成されている。さらに、上記のとおりアンテナ付きICチップ303は矩形状のベースシート301の中心に対して点対称となるように配置されているため、封印シール300を上下逆に貼り付けたとしても、アンテナ部306の両端部306a,306bが取り外し側開口289,290を跨ぎ、且つ各ネジ283,284の頭部283a,284aと対峙する。
次に、第2制御基板ユニット202の構成を図28〜図30に基づいて説明する。図28は第2制御基板ユニット202の正面図、図29は同ユニット202の斜視図、図30は同ユニット202の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台325を有し、取付台325に払出制御装置311、電源及び発射制御装置313及びCRユニット接続基板314が搭載されている。
払出制御装置311は、賞品球や貸出球の払出を制御する払出制御基板を具備しており、当該払出制御基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックス315に収容されて構成されている。基板ボックス315は、ボックスベース317とボックスカバー318とから構成されており、これらボックスベース317及びボックスカバー318には封印手段としての封印ユニット319が設けられている。また、ボックスベース317とボックスカバー318とを跨ぐようにして封印シール320が貼り付けられている。
封印シール320は、主制御装置271に貼り付けられた封印シール300と同様に、ICチップ320b及びアンテナ部320cを有するアンテナ付きICチップ320aを備えている(図29参照)。ICチップ320bに記憶されたID情報は、主制御装置271のICチップ305に記憶されたID情報とは内容が異なっている。一方、アンテナ部320cのパターンは、その共振周波数が主制御装置271のアンテナ部306と同一となるように形成されている。
また、払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、後述する払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
電源及び発射制御装置313は、基板ボックス316内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機Pは各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
CRユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないCRユニットに電気的に接続され、主として遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。
取付台325は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面326が設けられている。基板搭載面326には、電源及び発射制御装置313及びCRユニット接続基板314が横並びとなった状態で搭載され、ネジ等で固定されている。電源及び発射制御装置313の基板ボックス316上には略平板状の台座プレート327が載置されるとともに台座プレート327上に払出制御装置311が搭載され、ネジ等で固定されている。
取付台325には、パチンコ機P後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン328が設けられており、掛止ピン328を前記軸受け部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。取付台325の左端部には締結具として上下一対のナイラッチ329が設けられており、ナイラッチ329を前記被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に固定される。
次に、裏パックユニット203の構成を図31,図32に基づいて説明する。図31は裏パックユニット203の正面図、図32は裏パックユニット203の分解斜視図である。
裏パックユニット203は、裏パック351と遊技球の払出機構部352とが一体化されることにより構成されている。裏パック351は例えばABS樹脂等の合成樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機P後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。
裏パック351のベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、タンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、タンクレール356の下流側には上下方向に延びるケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出制御装置311の制御により払出モータ358aが駆動されて必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。払出装置358より払い出された遊技球は払出通路359等を通じて前記上皿23等に供給される。
払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する裏パック制御基板381が設置されている。また、裏パック制御基板381は、外部(外部電源)より主電源を取り込む役割を果たす。即ち、裏パック制御基板381には、例えば外部電源より交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ381aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
裏パック351には、その右上部に枠用外部端子板390が設けられている。枠用外部端子板390には、払出モータ358aからの駆動信号を出力するための出力端子、タンク355やタンクレール356で遊技球が不足した場合に信号出力するための出力端子、本体枠12の開放時に信号出力するための出力端子、及び前扉枠13の開放時に信号出力するための出力端子が設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して枠側の状態に関する信号が出力される。
裏パック351には、枠用外部端子板390に隣接して略四角形状の窓部391が設けられている。したがって、裏パックユニット203を本体枠12に取り付けた状態では、窓部391を通じて遊技盤30裏面の盤用外部端子板230が露出し、裏パックユニット203を装着したままで盤用外部端子板230の操作を行うことができるようになっている。前述のとおり、盤用外部端子板230は取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられていることから、盤用外部端子板230の配線を接続したままで、窓部391を介して当該盤用外部端子板230を取り出すことも可能となる。裏パック351の右上部には本体枠12の開放の状態を検出するための本体枠開放スイッチ392が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉じた状態では当該スイッチ392の金属接点が閉じて本体枠12の閉鎖が検知され、外枠11に対して本体枠12を開いた状態では金属接点が開いて本体枠12の開放が検知されるようになっている。
裏パック351には、パチンコ機P後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン385が設けられており、掛止ピン385を前記軸受け部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を前記被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に前記固定具242を挿入した上で当該固定具242を回動操作することで、裏パックユニット203が本体枠12に固定される。また、前記固定具241,243によっても裏パックユニット203が本体枠12に固定される。
次に、本パチンコ機Pの電気的構成について、図33のブロック図に基づいて説明する。図33では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置271に設けられた主制御基板278には、主制御回路500と停電監視回路508とが内蔵されている。主制御回路500には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機Pの電源の遮断後においても電源及び発射制御装置313に設けられた電源及び発射制御基板313aからデータ記憶保持用電力が供給されてデータが保持される構成となっている。詳細には、電源及び発射制御基板313aには、データ記憶保持用コンデンサが設けられており、当該コンデンサからデータ記憶保持用電力が供給される。
CPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路500の入力側には、主制御基板278に設けられた電源監視回路508、払出制御装置311に設けられた払出制御基板311a及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、電源監視回路508には電源及び発射制御基板313aが接続されており、主制御回路500には電源監視回路508を介して電力が供給される。
一方、主制御回路500の出力側には、電源監視回路508、払出制御基板311a及び中継端子板276が接続されている。払出制御基板311aには、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板276を介して主制御回路500から音声ランプ制御装置272に設けられた音声ランプ制御基板272aに対して各種コマンドなどが出力される。
電源監視回路508は、主制御回路500と電源及び発射制御基板313aとを中継し、また電源及び発射制御基板313aから出力される最大電力である直流安定24ボルトの電力を監視する。
払出制御基板311aは、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御基板311aのRAM513は、主制御回路500のRAM503と同様に、パチンコ機Pの電源の遮断後においても電源及び発射制御基板313aからデータ記憶保持用電力が供給されてデータを保持できる構成となっている。また、RAM513における各種のカウンタ等が記憶される作業エリアには、コマンド入力フラグ格納エリアなどといった各種フラグ格納エリアと共に、主制御回路500から出力されたコマンドが記憶されるコマンドバッファ513aが設けられている。
コマンドバッファ513aは、主制御回路500から出力されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファ513aにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
払出制御基板311aのCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板311aの入力側には、主制御回路500、電源及び発射制御基板313a、及び裏パック接続基板381が接続されている。また、払出制御基板311aの出力側には、主制御回路500及び裏パック接続基板381が接続されている。この場合に、裏パック接続基板381を介して払出装置358などを含む払出機構部352が接続されている。
電源及び発射制御基板313aは、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路500や払出制御基板311a等に対して各々に必要な動作電力を供給する。
発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作にしたがって発射ソレノイド162の発射制御を担うものであり、発射ソレノイド162は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。具体的には、発射制御部には遊技球発射ハンドル18に設けられた発射スイッチ331、タッチセンサ332及び止め打ちスイッチ333が接続されており、発射スイッチ331及びタッチセンサ332がオン、止め打ちスイッチ333がオフの状態となった場合に限って発射許可信号を主制御回路500(電源監視回路508を介して)に出力する。主制御回路500は、当該発射許可信号の入力に基づいて所定周期の発射制御信号を発射制御部(電源監視回路508を介して)に出力する。これにより、発射制御部は、発射制御信号の入力周期にしたがって発射ソレノイド162を駆動する。この場合に、遊技球発射ハンドル18にはハンドル操作量を判定するためのダイヤル可変抵抗器が設けられており、発射制御部はダイヤル可変抵抗器における抵抗値の変化に基づいて発射ソレノイド162による打ち出し速度を決定する。また、発射許可信号は主制御回路500だけでなく、遊技ホール側のホールコンピュータHCに出力される。
なお、電源部には、RAM消去スイッチ回路が設けられており、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御回路500のRAM503に記憶されたデータをクリアするためのRAM消去信号を出力する。即ち、RAM消去スイッチ323が押された際、RAM消去スイッチ回路は主制御回路500に対してRAM消去信号を出力する。これにより、RAM消去スイッチ323が押された状態でパチンコ機Pの電源が投入されると、主制御回路500においてRAM503のデータがクリアされる。また、この際、主制御回路500から払出制御基板311aに対して払出初期化コマンドが出力され、払出制御基板311aにおいてもRAM513のデータがクリアされる。
音声ランプ制御基板272aは、スピーカ20や各種ランプ102〜106、及び表示制御装置214を制御するものである。演算装置であるCPU521は、そのCPU521により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM522と、ワークメモリ等として使用されるRAM523とを備えている。
音声ランプ制御基板272aのCPU521にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板272aの入力側には中継端子板276に中継されて主制御回路500が接続されており、主制御回路500から出力される各種コマンドに基づいて、スピーカ20、各種ランプ102〜106、及び表示制御装置214を制御する。表示制御装置214は、音声ランプ制御基板272aから入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置41を制御する。
次に、図柄表示装置41の表示内容について、図34に基づいて説明する。
図柄表示装置41には、左・中・右の3つの図柄列が設定されている。各図柄列は、例えば「0」〜「9」の数字を各々付した主図柄と、例えば菱形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。各主図柄及び副図柄がそれぞれ第1図柄を構成している。各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間に副図柄が配されている。すなわち、各図柄列には、10個の主図柄及び10個の副図柄の計20個の第1図柄が備えられている。この場合において、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「高確率図柄」に相当し、当該高確率図柄が揃うことで特別遊技状態たる大当たり状態に突入し、さらにその後、高確率時の状態に移行する。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「低確率図柄」に相当し、当該低確率図柄が揃うことで大当たり状態に移行するが、かかる場合には高確率時の状態には移行しない。また、第1特定ランプ部47においては、確変状態となる大当たりのときに赤色が表示され、通常状態となる大当たりのときに緑色が表示される。
図柄表示装置41には、各図柄列毎に20個の第1図柄が周期性をもって上から下へとスクロールするように変動表示されるようになっている。図柄表示装置41には、各図柄列毎に上・中・下の3段の第1図柄が表示されるようになっている。したがって、図柄表示装置41には、3段×3列の計9個の第1図柄が表示される。また、図柄表示装置41には、5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機Pの動作について説明する。
本実施の形態では、主制御回路500のCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部47の発光色の設定や、図柄表示装置41の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図35に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置41が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置41の変動パターン選択に使用する第1変動種別カウンタCS1と、第1特定ランプ部47に表示される色の切り替えを行う期間を決定する第2変動種別カウンタCS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、作動口33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に、確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしており、例えば、C2=0〜24が確変状態となる大当たりに該当し、C2=25〜49が通常状態となる大当たりに該当する。なお、大当たり種別カウンタC2により、図柄表示装置41の変動停止時の図柄の組合せ及び当該図柄の組合せを停止させる位置も決定される。大当たり種別カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしており、例えば、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様といった図柄表示装置41の表示態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、第1特定ランプ部47に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。また、この切替表示時間は、図柄表示装置41の図柄の変動時間に相当する。両変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部47に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置41による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して両変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左列第1図柄、中列第1図柄、右列第1図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。
本実施の形態では、CPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
なお、図示は省略するが、第2特定ランプ部48の抽選には第2特定ランプ乱数カウンタC4が用いられる。第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2特定ランプカウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかのスルーゲート34を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」である。
次いで、主制御回路500のCPU501により実行される各制御処理を図36〜図41のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図36は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機Pの電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機Pの電源が遮断されると、停電信号が電源監視回路508からCPU501のNMI端子に出力され、CPU501は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM503に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。当該処理については、後に説明する。
次に、主制御回路500のCPU501により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、図37のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS201では、各種入賞スイッチや払出制御基板311aなどからの信号読み込み処理を実行する。すなわち、主制御回路500に接続されている各種スイッチの状態や払出制御基板311aなどからの信号を読み込むと共に、当該スイッチや信号の状態を判定して検出情報を保存する(但し、RAM消去スイッチ323の状態や停電信号を除く)。
その後、ステップS202では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。続くステップS203では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。
その後、ステップS204にて始動入賞処理を実行した後に、本処理を終了する。ここで、この始動入賞処理を図38のフローチャートを用いて説明する。先ずステップS301では、遊技球が作動口33に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判定する。遊技球が作動口33に入賞したと判定されると、続くステップS302では、第1特定ランプ部47及び図柄表示装置41の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。作動口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS303に進み、作動保留球数Nを1インクリメントする。続くステップS304では、前記ステップS203で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU501は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図39のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS401では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板311aや音声ランプ制御基板272a等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS402では、RAM503のアクセスを許可する。
その後、ステップS403では、電源及び発射制御装置313に設けたRAM消去スイッチ323がオンされているか否かを判定し、続くステップS404ではRAM503の停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判定する。また、ステップS405ではRAM判定値を算出し、続くステップS406では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。
上述したように、本パチンコ機Pでは、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。したがって、RAM消去スイッチ323が押されていれば、ステップS409〜S411の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS409〜S411の処理に移行する。
ステップS409では、従側の制御基板となる払出制御基板311a(及び音声ランプ制御基板272a等)を初期化するために、払出初期化コマンド(及び音声ランプ初期化コマンド等)を出力する。続くステップS410ではRAM503の使用領域を0にクリアし、ステップS411ではRAM503の初期化処理を実行する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、停電フラグがセットされていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS407にて停電フラグ格納エリアに格納されている停電フラグをクリアする。その後、ステップS408にて従側の制御基板(払出制御基板311a及び表示制御基板214a等)を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図40のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S509の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS510,S511のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS501では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。次に、ステップS502では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。続くステップS503では、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理では、左・中・右図柄列のいずれかの更新時期か否かを判定し、更新時期となった図柄列の外れ図柄カウンタCL,CM,CRを更新する。そして、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、前後外れリーチとなる外れリーチ図柄の組合せである場合、前後外れ以外リーチ図柄の組合せである場合、リーチとならない完全外れ図柄の組合せである場合には、その組合せがそれぞれに対応したバッファ内に格納される。なお、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せが大当たり図柄の組合せである場合には、そのまま更新処理を終了する。
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理の後は、ステップS504にて第1特定ランプ部47に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部47に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。また、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置41による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判定し、さらに大当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たりの種類を決定する(いわゆる、確変大当たりか否かを決定する)。なお、この際、第1図柄における大当たり図柄の種類及び大当たり図柄の組合せの停止ラインも決定し、停止図柄コマンドとして設定する。また、大当たりが発生しないと判定された場合には、リーチ乱数カウンタC3の値に基づいて第1図柄における外れ図柄の組合せの態様を決定する。かかる場合に、上記外れ図柄カウンタ更新処理にて更新されバッファ内に格納された図柄の組合せを停止図柄コマンドとして設定する。さらに、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいて、第1特定ランプ部47に表示される色の切替表示時間、及び第1図柄の変動表示時間を決定する。さらに、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいて第1図柄におけるリーチ種別やその大まかな図柄変動態様を決定し、変動態様コマンドとして設定する。なお、当該第1特定ランプ部制御処理にて第1特定ランプ部47のオンオフ制御が開始される毎に作動保留球数Nが1減算され、作動保留球数Nが0の場合にはオンオフ制御が開始されない。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS505にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。
その後、ステップS506では、第2特定ランプ部48に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。簡単に説明すると、遊技球がスルーゲート34を通過したことを条件に、その都度の第2特定ランプカウンタC4の値が取得されると共に第2特定ランプ部48に表示される色の切り替え処理が実施される。そして、第2特定ランプ乱数カウンタC4の値により表示される色の抽選が実施され、赤色が選択されると、作動口33に付随する電動役物が所定時間開放される。
ステップS506の後は、ステップS507にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、図41に示すように、先ずステップS601にて発射カウンタLCを1加算し、続くステップS602にてその加算後の発射カウンタLCの値が150以上であるか否かを判定する。かかる場合に、通常処理の中では、遊技球発射制御処理は4msec毎に実行されるものであり、発射カウンタLCが0から150に達する間には0.6secの時間が必要となる。
ステップS602にて発射カウンタLCの値が150未満の場合には、そのまま本処理を終了する。一方、発射カウンタLCの値が150以上の場合には、ステップS603にて発射カウンタLCを0クリアし、ステップS604に進む。ステップS604では、RAM503の発射許可フラグ格納エリアに発射許可フラグがセットされているか否かを判定する。発射許可フラグは、電源及び発射制御基板313aから発射許可信号が出力されることによりセットされるフラグである。発射許可フラグがセットされていた場合には、ステップS605にて電源及び発射制御基板313aに発射制御信号を出力し、発射許可フラグがセットされていなかった場合には、発射制御信号を出力することなく本処理を終了する。電源及び発射制御基板313aは1の発射制御信号を入力することにより、発射ソレノイド162を1回励磁し、遊技球を1個発射させる。
即ち、本パチンコ機Pでは、遊技者が遊技球発射ハンドル18を操作していることを条件として遊技球の発射が行われる。また、上述のとおり、発射カウンタLCが0から150に達する間には0.6secの時間が必要となるため、基本的に、発射制御信号は1分間に100回出力され、1分間に100個の遊技球が発射される。
通常処理(図40)の説明に戻り、遊技球発射制御処理の後はステップS508にて、RAM503内に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判定する。停電フラグがセットされていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS509にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS510,S511)。つまり、ステップS510では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。また、ステップS511では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。
一方、ステップS508にて、停電フラグがセットされていると判定した場合は、停電により電源が遮断されたことになるので、ステップS512以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS512では、各割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS513にて電源が遮断されたことを示す停電信号を他の制御基板(払出制御基板311aや音声ランプ制御基板272aなど)に対して出力する。そして、ステップS514にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS515にてRAM503のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
次に、払出制御基板311aのCPU511により実行される各制御処理を図42〜図47のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU511の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理と、主制御回路500から出力されるコマンドの入力により起動される入力時割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理と入力時割込み処理とを説明し、その後、タイマ割込み処理、メイン処理の順で説明する。
NMI割込み処理は、停電の発生等に伴ってパチンコ機Pの電源が遮断されるときに、停電信号を入力することにより実行される。但し、本実施の形態では、当該停電信号を、電源を監視する電源監視回路508から入力するのではなく、主制御回路500から入力する。NMI割込み処理では、主制御回路500におけるNMI割込み処理と同様に、払出制御基板311aのRAM513に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述するメイン処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。当該処理については、後に説明する。
次に、主制御回路500からコマンドを入力した場合に、他の処理を中断して実行される入力時割込み処理について、図42のフローチャートを用いて説明する。
入力時割込み処理では、先ずステップS701にて主制御回路500から出力されたコマンドをRAM513のコマンドバッファ513aに記憶し、その後、ステップS702にてRAM513に設けられたコマンド入力フラグ格納エリアにコマンド入力フラグをセットし、本処理を終了する。上述したように、コマンドがコマンドバッファ513aに記憶される場合には、記憶ポインタが参照されて所定の記憶領域に記憶されると共に、次に入力したコマンドを次の記憶領域に記憶させるために記憶ポインタが更新される。
次に、払出制御基板311aのCPU511により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、図43のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS801では、主制御回路500から入力したコマンドの判定を行うコマンド判定処理を実行する。このコマンド判定処理では、図44に示すように、ステップS901にて、RAM513のコマンド入力フラグ格納エリアにコマンド入力フラグがセットされているか否かを判定する。コマンド入力フラグがセットされていない場合は、新たなコマンドが主制御回路500から出力されていないので、そのまま本処理を終了する。一方、コマンド入力フラグがセットされていた場合は、ステップS902にてコマンド読出し処理を実行する。コマンド読出し処理では、入力したコマンドをRAM513のコマンドバッファ513aから読出し、さらにコマンド入力フラグをクリアする。かかる場合に、コマンドバッファ513aの読出ポインタが更新される。
その後、読み出されたコマンドの種類を、ステップS903、ステップS908及びステップS909の各処理にて判定し、各コマンドに対応した処理を実行する。つまり、ステップS903では、払出初期化コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、電源投入時に主制御回路500からRAM513の初期化が指示されていることになるので、ステップS904〜ステップS906の処理を実行した後に本処理を終了する。ステップS904では、RAM513に設けられた払出許可フラグ格納エリアに払出許可フラグがセットされているか否かを判定し、当該フラグがセットされていない場合は、ステップS905にてRAM513の作業領域を0にクリアし、さらにステップS906にてRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS907にて払出許可フラグをセットすることで、賞球の払出が許可される。
なお、ステップS904において払出許可フラグがセットされている場合は、ステップS905及びステップS906の処理を行うことなく本処理を終了する。かかる構成とすることにより、RAM消去スイッチ323が押されていないにも関わらずノイズの影響などで払出初期化コマンドの入力を認識したとしても、その際に残っている賞球が遊技者に払い出されることなく消去されることを防止できる。
ステップS908では、復電コマンドであるか否かを判定し、当該コマンドである場合には、払出制御基板311aが停電による電源遮断の前の状態に復帰するので、ステップS907にて払出許可フラグをセットした後に本処理を終了する。かかる構成とすることにより、電源遮断前に賞球が残っていた場合に当該賞球を即座に払い出すことができる。
ステップS909では、賞球コマンドである否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS910にて賞球コマンドに対応した賞球個数を総賞球個数に加算した後に、ステップS907にて払出許可フラグをセットし本処理を終了する。
なお、コマンドバッファ513aから読み出したコマンドが、払出初期化コマンド、復電コマンド又は賞球コマンドのいずれでもない場合は、当該コマンドはノイズ等により生じたコマンドと認識し、コマンドバッファ513aの読出ポインタを更新するだけで他の処理を行わずに本処理を終了する。
タイマ割込み処理(図43)の説明に戻り、コマンド判定処理を実行した後は、ステップS802にて払出許可フラグがセットされているか否かを判定する。払出許可フラグがセットされていない場合は、そのまま本処理を終了する。一方、払出許可フラグがセットされている場合は、ステップS803にて状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
また、ステップS804では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、ステップS805では、報知する状態の有無を判定し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する。
ステップS806〜S808では、賞球払出の処理を実行する。この場合、賞球の払出不可状態でなく且つ前記ステップS801のコマンド判定処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(ステップS806,S807が共にNO)、ステップS808に進み、図45に示す賞球制御処理を開始する。また、賞球の払出不可状態又は総賞球個数が0であれば(ステップS806,S807の何れかがYES)、ステップS809〜S811の貸球払出の処理に移行する。
貸球払出の処理において、貸球の払出不可状態でなく且つCRユニットからの貸球払出要求を入力していれば(ステップS809がNO、S810がYES)、ステップS811に進み、図46に示す貸球制御処理を開始する。また、貸球の払出不可状態又は貸球払出要求を入力していなければ(ステップS809がYES又はS810がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
ステップS812では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS813では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本処理を終了する。
ここで、図45に示す賞球制御処理において、ステップS1001では、払出モータ358aを駆動させて賞球の払出を実行する。続くステップS1002では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判定する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1003に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図43のタイマ割込み処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1004に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判定する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1005に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図43のタイマ割込み処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1006に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判定する。払出が完了していれば、ステップS1007で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図43のタイマ割込み処理に戻る。
また、図46に示す貸球制御処理において、ステップS1101では、払出モータ358aを駆動させて貸球の払出を実行する。続くステップS1102では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判定する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1103に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図43のタイマ割込み処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1104に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判定する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1105に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図43のタイマ割込み処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1106に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判定する。払出が完了していれば、ステップS1107で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図43のタイマ割込み処理に戻る。
次に、払出制御基板311aのメイン処理を、図47のフローチャートを用いて説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
まず、ステップS1201では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、割込みモードを設定する。そして、ステップS1202に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS1203で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS1204では、RAM513の停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判定する。また、ステップS1205ではRAM判定値を算出し、続くステップS1206では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
停電フラグがセットされていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合はRAM513の初期化処理(ステップS1211〜S1213)に移行する。つまり、ステップS1211ではRAM513の全領域を0にクリアし、続くステップS1212ではRAM513の初期化処理を実行する。また、ステップS1213ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。
一方、停電フラグがセットされており、さらにRAM判定値(チェックサム値等)が正常である場合は、復電時の処理(停電による電源遮断後の復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS1207にて停電フラグをクリアすると共に、ステップS1208にて賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS1209ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。
ステップS1209又はステップS1213の処理の後は、ステップS1210にて割込みを許可し、さらにステップS1214にてRAM513の停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判定する。その結果、停電フラグがセットされていなければ、停電フラグがセットされるまで待機する。
一方、停電フラグがセットされている場合には、停電が発生したことになるので、停電時処理としてステップS1215移行の処理を実行する。停電時処理では、先ずステップS1215にて各割込み処理の発生を禁止する。その後、ステップS1216にて上述したコマンド判定処理(図44参照)を実行し、ステップS1217にてRAM判定値を算出、保存し、さらにステップS1218にてRAM513のアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
次に、不正監視システムに関する電気的構成について、図48のブロック図に基づいて説明する。なお、図48では、2台のパチンコ機P、及びこれらパチンコ機Pに対応した1台のスキャナSCのホールコンピュータHCに対する電気的構成について示すが、他のパチンコ機P及び他のスキャナSCについても同様である。
ホールコンピュータHCは、演算処理手段であるCPU531を備えている。CPU531には、このCPU531によって実行される各種の制御プログラムや、各パチンコ機Pに設けられた各ICチップ305,320bのID情報といった固定値データ等を記憶したROM532と、このROM532内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM533などが内蔵されている。CPU531には各種信号を入出力するための入出力ポート534が接続されている。また、ホールコンピュータHCには表示装置535が設けられており、当該表示装置535はCPU531の出力側に接続されている。つまり、CPU531における処理に基づいて表示装置535において各種の表示が行われる。
CPU531の入力側及び出力側には、スキャナSCが接続されている。スキャナSCは、その内部にCPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543を備えている。CPU541はRF回路542に接続されており、RF回路542はリーダアンテナ543に接続されている。CPU541には、当該CPU541により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROMと、そのROM内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAMが内蔵されている。
また、ホールコンピュータHCのCPU531の入力側には、各パチンコ機Pが接続されており、各パチンコ機PからホールコンピュータHCに対して種々の信号が出力される。この信号について詳細には、CPU531には、各パチンコ機Pの表示制御装置214と、電源及び発射制御装置313と、払出装置358の払出モータ358aとが接続されている。表示制御装置214からは、図柄の可変表示が行われていることを表す可変表示中信号を入力する。電源及び発射制御装置313からは、遊技球発射ハンドル18が操作されていることを表す上述した発射許可信号を入力する。払出モータ358aからは、駆動されていることを表す駆動信号を入力する。そして、CPU531は、それら可変表示中信号、発射許可信号及び駆動信号を入力していないことを条件として、後述する不正検出処理(図49)にて電波出力信号を出力する。
スキャナSCのCPU541は、ホールコンピュータHCから電波出力信号を入力することにより、RF回路542を駆動してリーダアンテナ543から所定周波数の呼出波を出力させる。リーダアンテナ543から出力された呼出波により、誘導電磁界が形成される。この誘導電磁界が形成される範囲内には、対応する各パチンコ機Pに設けられた主制御装置271,271及び払出制御装置311,311が含まれている。つまり、各主制御装置271,271及び各払出制御装置311,311に貼り付けられた各封印シール300,320,300,320が含まれている。
各パチンコ機Pの封印シール300,320,300,320に設けられたアンテナ部306,320c,306,320cは、対応するスキャナSCから出力される呼出波の周波数に合わせて作製されている。例えば、図1において、パチンコ機P1及びパチンコ機P2のアンテナ部306,320c,306,320cはスキャナSC1から出力される呼出波の第1周波数に合わせて作製されており、パチンコ機P3及びパチンコ機P4のアンテナ部306,320c,306,320cはスキャナSC2から出力される呼出波の第2周波数に合わせて作製されている。
スキャナSCから出力される呼出波によって誘導電磁界が形成されることで、各アンテナ部306,320c,306,320cにおいて電磁誘導により起電力が発生する。各封印シール300,320,300,320の各ICチップ305,320b,305,320bでは、この起電力を電源としてメモリ領域に記憶されているID情報を呼び出して各アンテナ部306,320c,306,320bからID情報を含んだ応答波を出力し、この出力された応答波はリーダアンテナ543で入力される。この入力した応答波に内在したID情報はスキャナSCのCPU541にて読み込まれ、当該CPU541は当該ID情報をホールコンピュータHCに出力する。
ただし、各パチンコ機Pの主制御装置271や払出制御装置311が不正な制御装置に交換された場合には、応答波の出力は行われない。また、主制御装置271や払出制御装置311の基板ボックス273,315が不正に開放された場合には、封印シール300,320のアンテナ部306,320cが分断され、アンテナ部306,320cからの応答波の出力は行われない。これらの場合、ホールコンピュータHCのCPU531においては、不正が行われたパチンコ機Pに対応するID情報がスキャナSCから出力されないことに基づいて、そのパチンコ機Pにおける主制御装置271や払出制御装置311に対して不正行為が行われたことを把握する。そして、ホールコンピュータHCに設けられた表示装置535においてエラー表示を行う。
次に、ホールコンピュータHCのCPU531により実行される不正検出処理を図49のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、上記のとおり遊技ホールには複数のスキャナSCが設けられており、当該不正検出処理は各スキャナSC毎に設定されている。つまり、各スキャナSC毎に不正検出処理が実行される。また、各不正検出処理は例えば4msec毎に実行される。なお、以下の説明では、主制御装置271に貼り付けられた封印シール300のICチップ305を主側ICチップ305ともいい、払出制御装置311に貼り付けられた封印シール320のICチップ320bを払出側ICチップ320bともいう。
不正検出処理においては先ずステップS1301にて、RAM533に設けられた待機中フラグ格納エリアに待機中フラグがセットされているか否かを判定する。待機中フラグはホールコンピュータHCがスキャナSCに対して電波出力信号を出力することでセットされ、出力停止信号を出力することでクリアされるフラグである。そして、スキャナSCは、電波出力信号を入力することで所定周波数の呼出波を出力し、出力停止信号を入力することで呼出波の出力を停止する。したがって、待機中フラグがセットされている間はスキャナSCからのID情報の入力待ち状態にある。
待機中フラグがセットされていない場合には、ステップS1302〜ステップS1306の不正検出設定処理を実行する。一方、待機中フラグがセットされている場合には、ステップS1307〜ステップS1313の不正検出判定処理を実行する。
不正検出設定処理では、先ずステップS1302にてRAM533の遊技中フラグ格納エリアに遊技中フラグがセットされているか否かを判定する。遊技中フラグは、対応する各パチンコ機Pのいずれかから、上述した可変表示中信号、発射許可信号、又は駆動信号を入力している間セットされるフラグである。つまり、遊技中フラグは、対応するいずれかのパチンコ機Pにおいて遊技が進行しているか否かを表すフラグである。
遊技中フラグがセットされていない場合には、ステップS1303にて周期カウンタFCを1加算し、その後、ステップS1304にて周期カウンタFCが15000以上となったか否かを判定する。かかる場合に、待機中フラグがセットされていない場合には、不正検出設定処理は4msec毎に実行されるものであり、周期カウンタFCが0〜15000に達する間に1minの時間が必要となる。
ステップS1304にて周期カウンタFCの値が15000未満の場合には、そのまま本処理を終了する。一方、周期カウンタFCの値が15000以上の場合には、ステップS1305に進む。ステップS1305では、スキャナSCに対して電波出力信号を出力する。これにより、スキャナSCのCPU541はRF回路542を駆動し、リーダアンテナ543を介して所定周波数の呼出波を出力させる。また、ステップS1305では、待機中フラグをセットするとともに、周期カウンタFCを0クリアする。その後、本処理を終了する。
一方、遊技中フラグがセットされておりステップS1302にて肯定判定をした場合には、ステップS1306にて周期カウンタFCを0クリアした後に本処理を終了する。
即ち、本不正監視システムでは、1台のスキャナSCに対応する各パチンコ機Pにおいて、遊技者が遊技球ハンドル18を操作しておらず、図柄表示装置41にて図柄の可変表示が行われておらず、さらに払出装置358による遊技球の払い出しが行われていない状態が1min継続することで、スキャナSCから呼出波が出力される。これにより、遊技が行われている状況下においてスキャナSCから呼出波が出力されることを防止しつつ、所定の頻度で当該呼出波の出力を実行することができる。
不正検出設定処理にて待機中フラグがセットされることにより、次回の不正検出処理ではステップS1301にて肯定判定をする。これにより、不正検出判定処理を開始する。不正検出判定処理では、先ずステップS1307にてスキャナSCからID情報を入力したか否かを判定する。ID情報を入力している場合には、ステップS1308にてID情報確認処理を実行する。
ID情報確認処理では、図50に示すように、ステップS1401,ステップS1404,ステップS1407,及びステップS1410において、入力したID情報が第1ID情報〜第4ID情報のいずれであるかを判定する。第1ID情報及び第3ID情報は、主側ICチップ305に記憶されたID情報であり、第2ID情報及び第4ID情報は、払出側ICチップ302bに記憶されたID情報である。上述したとおりホールコンピュータHCのROM532には各ID情報が記憶されており、各判定においては入力したID情報とROM532に記憶された各ID情報とを比較し、いずれのID情報であるかを判定する。
入力したID情報を判定した後は、ステップS1402,ステップS1405,ステップS1408,及びステップS1411において、ホールコンピュータHCのRAM533のIDフラグ格納エリアに、入力したと判定したID情報に対応したIDフラグがセットされているか否かを判定する。対応したIDフラグがセットされていない場合には、ステップS1403,ステップS1406,ステップS1409,及びステップS1412において入力したと判定したID情報に対応したIDフラグをセットする。一方、既にIDフラグがセットされている場合には、そのまま次の処理へと移行する。このようにステップS1402,ステップS1405,ステップS1408,及びステップS1411において入力したID情報に対応したIDフラグがセットされているか否かを判定するのは、全ID情報を入力する前に所定のID情報を繰り返し入力することがあるからである。
不正検出判定処理において、ステップS1308のID情報確認処理を実行した後は、ステップS1309にて全ID情報を入力したか否かを判定する。つまり、第1IDフラグ〜第4IDフラグがセットされているか否かを判定する。全フラグがセットされている場合には、対応する各パチンコ機Pの主制御装置271及び払出制御装置311に対して不正行為が行われていないことを意味するため、ステップS1310に進む。
ステップS1310では、先ずスキャナSCに対して出力停止信号を出力する。これにより、スキャナSCのCPU541はRF回路542の駆動を停止し、リーダアンテナ543を介した呼出波の出力を停止させる。また、ステップS1310では、第1〜第4IDフラグ、及び待機中フラグをクリアするとともに、待機カウンタWCを0クリアする。その後、本処理を終了する。
一方、ステップS1307又はステップS1309にて否定判定をした場合は、ステップS1311に進む。つまり、ID情報を入力していない場合、又は全ID情報を入力していない場合には、ステップS1311に進む。ステップS1311では待機カウンタWCを1加算する。その後、ステップS1312では待機カウンタWCが10以上となったか否かを判定する。かかる場合に、ID情報を入力していない場合、又は全ID情報を入力していない場合には、ステップS1311及びステップS1312の処理は4msec毎に実行されるものである。したがって、ステップS1312ではスキャナSCに対して電波出力信号を出力してから40msecが経過したか否かを判定している。
ステップS1312にて待機カウンタWCが10未満である場合には否定判定をし、そのまま本処理を終了する。一方、待機カウンタWCが10以上である場合には、対応する各パチンコ機Pの各主制御装置271又は各払出制御装置311のいずれかに対して不正行為が行われたことを意味するため、エラー表示処理を実行した後に本処理を終了する。
エラー表示処理では、ホールコンピュータHCの表示装置535にて、ID情報を入力しなかったパチンコ機Pの台番、及び主制御装置271又は払出制御装置311のいずれであるのかを特定した態様の表示を行う。例えば、「j番台の主制御装置に対してエラー発見」などといった表示を行う。これにより、遊技ホールの管理者などは不正の有無を容易に発見することができる。かかるエラー表示はホールコンピュータHCに設けられた確認ボタンが操作されるまで継続される。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御装置271及び払出制御装置311にID情報が記憶されたICチップ305,320bを設けたことにより、そのID情報の読み取りを行うことで不正な制御装置への交換等といった不正行為が行われたか否かを確認することができる。この場合に、対応するパチンコ機PのID情報を読み取り可能な位置にスキャナSCを設置し、所定のタイミングで各スキャナSCからID情報を呼び出すための呼出波を出力するようにした。そして、呼出波を出力してから予め定められた期間内にその呼出波を出力したスキャナSCに対応したパチンコ機PからID情報を入力しなかった場合には、ホールコンピュータHCの表示装置535にてエラー表示を行うようにした。かかる構成とすることにより、遊技ホールの管理者等がID情報の読み取り作業を行う必要はなく、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
ID情報の読み取り作業を遊技ホールの管理者等が行う場合を想定すると、遊技ホールには多数のパチンコ機Pが設置されているため、かかる作業を1日に1度行う場合であったとしても作業負荷は大きなものとなる。また、読み取り作業を1日に1度行うだけでは少なくとも1日間は不正行為が行われた状態で遊技が行われてしまうため、確認作業の間隔を短くするのが好ましい。この場合、上記作業負荷はより大きなものとなる。また、確認作業の間隔を短くするためには、遊技ホールの営業中に確認作業を行う必要が生じ、それは困難である。これに対して、本実施の形態の構成によれば、上記のとおり遊技ホールの管理者等がID情報の読み取り作業を行う必要はないため、上記不都合が生じることはなく、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
ICチップ305,320bをアンテナ付きICチップ303,320aとして封印シール300,320に設けた。このアンテナ付きICチップ303,320aはアンテナ部306,320cから出力する応答波によりID情報を出力する構成であり、アンテナ部306,320cが分断されることにより応答波の出力が行われなくなる。また、アンテナ部306,320cは封印シール300,320を剥が力に伴う応力によって一部が破壊される程度の脆性を有している。さらには、主制御装置271や払出制御装置311の基板ボックス273,315を開封するためには封印シール300,320を剥がす必要がある。つまり、以上の構成によれば、基板ボックス273,315が開封された場合には、ICチップ305,320bからID情報が出力されなくなり、エラー表示が行われる。よって、不正な制御装置への交換だけでなく、基板ボックス273,315の不正な開封が行われたか否かを確認することができる。
各パチンコ機Pにおいて主制御装置271及び払出制御装置311にICチップ305,320bを設け、それら制御装置271,311に対する不正行為の有無を一括して確認するようにした。これにより、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認をより良好に行うことができる。
ホールコンピュータHCにおいて不正検出処理を実行するようにした。つまり、遊技ホールを管理するホールコンピュータHCが、ID情報を確認することによる不正行為の確認機能を兼用することとなる。よって、当該不正行為の確認を行うための制御装置を別途設ける構成に比べ、構成の簡素化を図ることができる。
一のスキャナSCにより複数のパチンコ機Pから識別情報を読み取るようにした。これにより、遊技ホールにおいてスキャナSCの数を削減することが可能となり低コスト化を図ることが可能となる。
不正検出処理においてID情報の入力を確認できなかった場合には、その確認できなかったパチンコ機Pを特定するとともに、主制御装置271又は払出制御装置311のいずれであるかを特定した態様でエラー報知を行うようにした。これにより、遊技ホールの管理者などは不正行為が行われたパチンコ機P及びその不正行為が行われた箇所を容易に把握することができ、かかる不正行為に対して適性に対処することができる。
遊技球発射ハンドル18が操作されている間、図柄表示装置41において図柄の可変表示が行われている間、及び払出装置358から遊技球が払い出されている間は、そのパチンコ機Pに対応したスキャナSCから呼出波を出力しないようにした。これにより、パチンコ機Pにおいて遊技が行われている状況下において呼出波や応答波が出力されることが防止される。遊技が行われている状況下において呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、例えば、遊技球を検出する検出センサ、図柄表示装置41、払出装置358、及び各種制御装置に対して、呼出波や応答波がノイズとなり、遊技が正確に進行しないおそれがある。より詳細には、例えば、大当たり判定が正常に行われなかったり、図柄表示装置41における表示に支障をきたすおそれがある。これに対して、本実施の形態における構成によれば、かかる不都合の発生を抑制することができる。
ホールコンピュータHCは、発射許可信号、可変表示中信号、及び駆動信号を電源及び発射制御装置313、表示制御装置214、及び払出モータ358aからそれぞれ直接入力する。これら信号を主制御装置271や払出制御装置311を介して入力する構成を想定すると、主制御装置271や払出制御装置311に対する不正に際して上記各信号を常に出力するように細工されることで、呼出波の出力が開始されなくなってしまう。これに対して、本実施の形態における構成によれば、かかる不都合の発生を抑制することができる。
(第2の実施の形態)
以下、スロットマシンの不正監視システムに関する第2の実施の形態を詳細に説明する。図示による説明は省略するが、本実施の形態における遊技ホールには多数のスロットマシンが設置されており、これらスロットマシンはホール内ネットワークを介してホールコンピュータに接続されている。また、遊技ホールには1台のスロットマシンに対応させて1台のスキャナが設置されている。これら各スキャナもホール内ネットワークを介してホールコンピュータに接続されている。そして、ホールコンピュータは、各スキャナから入力する情報に基づいて各スロットマシンに対する不正を監視する。そこで、以下にかかる不正の監視に関する構成について説明する。
先ず、スロットマシンSの構成について以下に説明する。図51はスロットマシンSの前面扉552を閉じた状態の斜視図、図52はスロットマシンSの前面扉552を開いた状態の斜視図、図53は筐体551の正面図である。
スロットマシンSは、その外殻を形成する筐体551を備えている。筐体551は前方に開放した箱状に形成されている。筐体551の前面側には、前面扉552が開閉可能に取り付けられている。前面扉552の中央部上寄りには、遊技パネル553が設けられており、遊技パネル553には、縦長の3つの表示窓554L,554M,554Rが横並びとなるように形成されている。表示窓554L,554M,554Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓554L,554M,554Rを通じて筐体551の内部に設けられたリールユニット555による図柄の可変表示が視認可能となっている。
リールユニット555は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された複数(3個)のリール556L,556M,556Rを備えている。これら各リール556L,556M,556Rは、各表示窓554L,554M,554Rと1対1で対応している。各リール556L,556M,556Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール556L,556M,556Rの外周面には複数の図柄が回転方向に付されている。また、各リール556L,556M,556Rは、それぞれ図示しないステッピングモータに連結されており、ステッピングモータの駆動により各リール556L,556M,556Rが個別に回転する。各リール556L,556M,556Rが回転することにより、上述した図柄の可変表示が実行される。
遊技パネル553の下方左側には、各リール556L,556M,556Rを一斉に回転開始させるために操作されるスタートレバー561が設けられている。また、スタートレバー561の右側には、回転している各リール556L,556M,556Rを個別に停止させるために操作されるストップスイッチ562L,562M,562Rが設けられている。また、表示窓554L,554M,554Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口563が設けられている。
メダル投入口563から投入されたメダルは、前面扉552の背面に設けられたセレクタ565によって貯留用通路566か排出用通路567のいずれかへ導かれる。すなわち、セレクタ565にはメダル通路切替ソレノイドが設けられ、そのメダル通路切替ソレノイドの非励磁時には排出用通路567側とされ、励磁時には貯留用通路566側に切り替えられるようになっている。貯留用通路566に導かれたメダルは、筐体551の内部に収納されたホッパ装置571へと導かれる。一方、排出用通路567に導かれたメダルは、前面扉552の前面下部に設けられたメダル受け皿575へと導かれ、遊技者に返還される。なお、セレクタ565にはメダル検出センサが設けられており、当該センサにより貯留用通路566に導かれるメダルが検出される。
メダルを遊技者に付与するホッパ装置571は、メダルを貯留する貯留タンク572と、メダルを遊技者に払い出す払出装置573とより構成されている。払出装置573は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路567へメダルを排出し、排出用通路567を介してメダル受け皿575へメダルを払い出すようになっている。
表示窓554L,554M,554Rの下方左側には、投資価値としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのマックスベットスイッチ576が設けられている。なお、マックスベットスイッチ576が操作された場合の投入枚数は3枚に限定されることはない。
前面扉552の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ577と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ578と、遊技者に各種情報を与える補助表示部579とが設けられている。補助表示部579の背面には上部ランプ577やスピーカ578,補助表示部579を駆動させるための表示制御装置581が設けられている。
筐体551の内部においてリールユニット555の上方には、主制御装置582が設けられている。主制御装置582は、主たる制御を司るCPU等を含む主基板を具備しており、主基板が基板ボックス583に収容されて構成されている。基板ボックス583は、ボックスベースとボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット584によって開封不能に連結されている。また、基板ボックス583には、ボックスベースとボックスカバーとを跨ぐようにして封印シール585が貼り付けられている。封印シール585は上記第1の実施の形態における封印シール300,320と同様に不正監視用の識別手段としてのアンテナ付きICチップを備えている。
次に、本スロットマシンSの電気的構成について、図54のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置582には、演算処理手段であるCPU591を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU591には、このCPU591によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM592と、このROM592内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM593などが内蔵されている。CPU591には図示しない入出力ポートが接続されている。
主制御装置582の入力側には、スタートレバー561、ストップスイッチ562、マックスベットスイッチ576、リールユニット555、セレクタ565、及びホッパ装置571等が接続されている。この場合に、リールユニット555については各リール556L,556M,556Rの回転位置(原点位置)を個別に検出するリールインデックスセンサが接続されており、セレクタ565についてはメダル投入口563から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサが接続されており、ホッパ装置571については当該ホッパ装置571から払い出されるメダルを検出する払出検出センサが接続されている。
主制御装置582の出力側には、リールユニット555、セレクタ565、及びホッパ装置571等が接続されている。この場合に、リールユニット555については各リール556L,556M,556Rを回転させるための各ステッピングモータが接続されており、セレクタ565については当該セレクタ565に設けられた通路切替ソレノイドが接続されており、ホッパ装置571についてはメダルを払い出すためのメダル払出用回転板の駆動部が接続されている。また、主制御装置582の出力側には表示制御装置581が接続されている。
表示制御装置581は、上部ランプ577やスピーカ578、及び補助表示部579を制御するものである。演算装置であるCPU596は、そのCPU596により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM597と、ワークメモリ等として使用されるRAM598とを備えている。CPU596には図示しない入出力ポートが接続されている。表示制御装置581の入力側には主制御装置582が接続されており、表示制御装置581の出力側には上部ランプ577、スピーカ578、及び補助表示部579が接続されている。そして、表示制御装置581は、主制御装置582から出力される各種コマンドに基づいて、上部ランプ577、スピーカ578、及び補助表示部579を制御する。
次に、主制御装置582のCPU591により実行される通常処理を図55のフローチャートを参照しながら説明する。
通常処理では、先ずステップS1501にてメダルがベットされているか否かを判定する。すなわち、マックスベットスイッチ576の操作により仮想メダルがベットされたか、又はメダル投入口563よりメダルが投入されたか否かを判定する。メダルがベットされているときには、続いてステップS1502にてスタートレバー561が操作されたか否かを判定する。ステップS1501又はステップS1502にて否定判定をした場合には、ステップS1501に戻る。一方、ステップS1501及びステップS1502にて肯定判定をした場合には、ステップS1503にてメダル投入不許可処理を行う。
具体的には、セレクタ565に設けられたメダル通路切替部材のソレノイドを非励磁とし、仮にメダル投入口563からメダルが投入されたとしても排出用通路567を介して遊技者にかかるメダルが返却されるようにする。また、マックスベットスイッチ576のON操作を無効化する処理も併せて行う。
その後、ステップS1504の抽選処理、ステップS1505のリール制御処理、ステップS1506のメダル払出処理、ステップS1507の特別遊技状態処理を順に実行し、ステップS1508ではメダル投入許可処理を行う。
抽選処理ではスタートレバー561の操作に基づく当選役の抽選を行い、リール制御処理では各リール556L,556M,556Rの回転及び停止制御を行う。この場合に、リールユニット555は全リール556L,556M,556Rの停止後にホールコンピュータHCに対してリール停止信号を出力する。メダル払出処理では各リール556L,556M,556Rの回転停止後にメダルの払い出しに対応した入賞図柄が有効ライン上に停止していた場合に、所定枚数のメダルの払い出しを実行するようホッパ装置571を駆動制御する。この場合に、ホッパ装置571はメダル払出用回転板を駆動している間、ホールコンピュータHCに対して駆動信号を出力する。特別遊技状態処理では、いわゆるボーナスゲームへの移行処理及び終了処理を実行する。メダル投入許可処理では、セレクタ565に設けられたメダル通路切替部材のソレノイドを励磁し、メダル投入口563からメダルが投入された際に貯留用通路566へ導かれるようにするとともに、マックスベットスイッチ576のON操作を有効化する処理を行う。
以上の処理を行うことで、1遊技回が終了し、ステップS1501に戻る。ここで、本スロットマシンSにおいてはステップS1506のメダル払出処理が終了してからステップS1508のメダル投入許可処理が実行されるまでに所定の期間(例えば、0.1sec)が確保されている。この間に、スキャナSCから呼出波が出力される。
次に、不正監視システムに関する電気的構成について、図56のブロック図に基づいて説明する。なお、図56では、1台のスロットマシンS、及びこのスロットマシンSに対応した1台のスキャナSCのホールコンピュータHCに対する電気的構成について示すが、他のスロットマシンS及び他のスキャナSCについても同様である。
ホールコンピュータHCは、上記第1の実施の形態と同様に、CPU531、ROM532、RAM533、入出力ポート534、及び表示装置535を備えている。ROM532内には、各スロットマシンSに設けられた各ICチップ585aのID情報が記憶されている。
CPU531の入力側及び出力側には、スキャナSCが接続されている。スキャナSCは、上記第1の実施の形態と同様に、CPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543を備えている。また、ホールコンピュータHCのCPU531の入力側には、スロットマシンSが接続されており、スロットマシンSからホールコンピュータHCに対して種々の信号が出力される。この信号について詳細には、CPU531には、スロットマシンSのリールユニット555と、ホッパ装置571とが接続されている。リールユニット555からは、各リール556L,556M,556Rが回転後停止したことを表すリール停止信号を入力する。ホッパ装置571からは、メダル払出用回転板を駆動していることを表す駆動信号を入力する。そして、CPU531は、リール停止信号を入力し、且つ駆動信号を入力していないことを条件として、後述する不正検出処理(図57)にて電波出力信号を出力する。
スキャナSCのCPU541は、ホールコンピュータHCから電波出力信号を入力することにより、RF回路542を駆動してリーダアンテナ543から所定周波数の呼出波を出力させる。リーダアンテナ543から出力された呼出波により、誘導電磁界が形成される。この誘導電磁界が形成される範囲内には、対応するスロットマシンSに設けられた主制御装置582が含まれている。つまり、主制御装置582に貼り付けられた封印シール585が含まれている。
スロットマシンSの封印シール585に設けられたアンテナ部585bは、対応するスキャナSCから出力される呼出波の周波数に合わせて作製されている。したがって、スキャナSCから出力される呼出波によって誘導電磁界が形成されることで、アンテナ部585bにおいて電磁誘導により起電力が発生する。封印シール585のICチップ585aでは、この起電力を電源としてメモリ領域に記憶されているID情報を呼び出してアンテナ部585bからID情報を含んだ応答波を出力し、この出力された応答波はリーダアンテナ543で入力される。この入力した応答波に内在したID情報はスキャナSCのCPU541にて読み込まれ、当該CPU541は当該ID情報をホールコンピュータHCに出力する。
ただし、主制御装置582が不正な制御装置に交換された場合には、応答波の出力は行われない。また、主制御装置582の基板ボックス583が不正に開放された場合には、封印シール585のアンテナ部585bが分断され、アンテナ部585bからの応答波の出力は行われない。これらの場合、ホールコンピュータHCのCPU531においては、スキャナSCからID情報が出力されないことに基づいて、主制御装置582に対して不正行為が行われたことを把握する。そして、ホールコンピュータHCに設けられた表示装置535においてエラー表示を行う。
次に、ホールコンピュータHCのCPU531により実行される不正検出処理を図57のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、上記のとおり遊技ホールには複数のスキャナSCが設けられており、当該不正検出処理は各スキャナSC毎に設定されている。つまり、各スキャナSC毎に不正検出処理が実行される。また、各不正検出処理は例えば4msec毎に実行される。
不正検出処理においては先ずステップS1601にて、RAM533に設けられた待機中フラグ格納エリアに待機中フラグがセットされているか否かを判定する。待機中フラグはホールコンピュータHCがスキャナSCに対して電波出力信号を出力することでセットされ、出力停止信号を出力することでクリアされるフラグである。そして、スキャナSCは、電波出力信号を入力することで所定周波数の呼出波を出力し、出力停止信号を入力することで呼出波の出力を停止する。したがって、待機中フラグがセットされている間はスキャナSCからのID情報の入力待ち状態となる。
待機中フラグがセットされていない場合には、ステップS1602〜ステップS1607の不正検出設定処理を実行する。一方、待機中フラグがセットされている場合には、ステップS1608〜ステップS1611の不正検出判定処理を実行する。
不正検出設定処理では、先ずステップS1602にてRAM533に設けられたリール停止フラグ格納エリアにリール停止フラグがセットされているか否かを判定する。リール停止フラグがセットされていない場合には、ステップS1603にてリールユニット555からリール停止信号を入力しているか否かを判定する。リール停止信号を入力していない場合には、そのまま本処理を終了する。リール停止信号を入力している場合には、ステップS1604にてリール停止フラグをセットするとともに、計測タイマに20msecをセットした後に、本処理を終了する。つまり、リール停止フラグは各リール556L,556M,556Rが回転停止した直後であることを示すフラグである。
リール停止フラグがセットされている場合には、ステップS1602にて肯定判定をし、ステップS1605に進む。ステップS1605では、ホッパ装置572から駆動信号を入力しているか否かを判定することで、メダルの払い出しが行われているか否かを判定する。メダルの払い出しが行われている場合には、そのまま本処理を終了する。メダルの払い出しが行われていない場合には、ステップS1606にてステップS1604の処理において20msecにセットされた計測タイマが「0」となったか否かを判定する。かかる判定を行うことで、各リール556L,556M,556Rの回転が停止してからメダルの払い出しが開始されるまでの時間が確保されている。
計測タイマが「0」となっていない場合には、そのまま本処理を終了する。計測タイマが「0」となっている場合には、ステップS1607を実行した後に本処理を終了する。ステップS1607では、スキャナSCに対して電波出力信号を出力する。これにより、スキャナSCのCPU541はRF回路542を駆動し、リーダアンテナ543を介して所定周波数の呼出波を出力させる。また、ステップS1607では、待機中フラグのセット、リール停止フラグのクリアを行うとともに、計測タイマに10msecをセットする。
即ち、本不正監視システムでは、1台のスキャナSCに対応するスロットマシンSにおいて、各リール556L,556M,556Rの回転が停止した直後、又はメダルの払い出しが実行される場合には当該払い出しが完了した直後に、対応するスキャナSCから呼出波が出力される。また、スキャナSCから呼出波が出力された場合には、基本的に10msecを経過する前にICチップ585aからID情報を入力し、後述するようにID情報を入力することで呼出波の出力は停止される。主制御装置582のCPU591において実行される通常処理では、上述したようにステップS1506のメダル払出処理が終了してからステップS1508のメダル投入許可処理が実行されるまでに所定の期間が確保されているため、この間に呼出波の出力が停止される。よって、遊技(メダルの投入、各リール556L,556M,556Rの回転、及びメダルの払い出し)が行われている状況下においてスキャナSCから呼出波が出力されることを防止しつつ、所定の頻度で(1遊技回毎に)当該呼出波の出力を実行することができる。
不正検出設定処理にて待機中フラグがセットされることにより、次回の不正検出処理ではステップS1601にて肯定判定をする。これにより、不正検出判定処理を開始する。不正検出判定処理では、先ずステップS1608にてスキャナSCからID情報を入力したか否かを判定する。ID情報を入力している場合には、主制御装置582に対して不正行為が行われていないことを意味するため、ステップS1609に進む。
ステップS1609では、先ずスキャナSCに対して出力停止信号を出力する。これにより、スキャナSCのCPU541はRF回路542の駆動を停止し、リーダアンテナ543を介した呼出波の出力を停止させる。また、ステップS1609では、待機中フラグをクリアする。その後、本処理を終了する。
一方、ID情報を入力しておらずステップS1608にて否定判定をした場合には、ステップS1610にて計測タイマが「0」となったか否かを判定する。計測タイマが「0」でない場合には否定判定をし、そのまま本処理を終了する。一方、計測タイマが「0」である場合には、主制御装置582に対して不正行為が行われたことを意味するため、エラー表示処理を実行した後に本処理を終了する。
エラー表示処理では、ホールコンピュータHCの表示装置535にて、ID情報を入力しなかったスロットマシンSの台番を特定した態様の表示を行う。例えば、「k番台のスロットマシンSに対してエラー発見」などといった表示を行う。これにより、遊技ホールの管理者などは不正の有無を容易に発見することができる。かかるエラー表示はホールコンピュータHCに設けられた確認ボタンが操作されるまで継続される。
以上詳述した第2の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
メダル投入許可状態においては、スキャナSCからの呼出波の出力を行わないようにした。これにより、メダル投入口563からメダルが投入されている状況下において呼出波や応答波が出力されることが防止される。メダルが投入されている状況下において呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、それら呼出波や応答波がセレクタ565に設けられたメダル検出センサに対してノイズとなり、投入されたメダルのカウントが正確に行われないおそれがある。これに対して、本実施の形態の構成によれば、かかる不都合の発生を抑制することができる。
主制御装置582のCPU591においてメダル払出処理(ステップS1506)が終了してからメダル投入許可処理(ステップS1508)が実行されるまでに、スキャナSCによる呼出波の出力及び応答波の入力を行うようにした。つまり、1遊技回が終了しメダルの受け入れの阻止が解除される前の段階で呼出波の出力及び応答波の入力を行うようにした。これにより、遊技が進行している状況で呼出波や応答波が出力されることが防止され、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
なお、本第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態における特徴的な構成と同一又は類似した構成を備えており、かかる構成に基づく効果は本第2の実施の形態においても同様に奏する。
(第3の実施の形態)
本実施の形態における不正監視システムにおいては、上記第1の実施の形態や上記第2の実施の形態と異なり、スキャナSCに対応する遊技機にて遊技が行われているか否かに関係なく、全スキャナSCから所定周期で呼出波を出力する。当該不正監視システムのホールコンピュータHCにおける不正検出処理を、上記第1の実施の形態におけるパチンコ機P及びスキャナSCの配置態様を例にとって以下に説明する。図58は、不正検出処理を示すフローチャートである。
不正検出処理においては先ずステップS1701にて、ホールコンピュータHCのRAM533に設けられた待機中フラグ格納エリアに待機中フラグがセットされているか否かを判定する。待機中フラグはホールコンピュータHCが各スキャナSCに対して電波出力信号を出力することでセットされ、出力停止信号を出力することでクリアされるフラグである。そして、各スキャナSCは、電波出力信号を入力することでそれぞれ異なる周波数の呼出波を出力し、出力停止信号を入力することで呼出波の出力を停止する。したがって、待機中フラグがセットされている間は各スキャナSCからのID情報の入力待ち状態となる。
待機中フラグがセットされていない場合には、ステップS1702及びステップS1703の不正検出設定処理を実行する。一方、待機中フラグがセットされている場合には、ステップS1704〜ステップS1709の不正検出判定処理を実行する。
不正検出設定処理では、先ずステップS1702にて前回の待機中フラグのクリア処理が実行されてから5minが経過したか否かを判定する。経過していない場合には、そのまま本処理を終了する。経過している場合には、ステップS1703を実行した後に本処理を終了する。ステップS1703では、各スキャナSCに対して電波出力信号を出力する。これにより、各スキャナSCのCPU541はRF回路542を駆動し、リーダアンテナ543を介して所定周波数の呼出波を出力させる。また、ステップS1703では待機中フラグをセットする。即ち、本不正監視システムでは、所定周期で各スキャナSCから呼出波が出力される。
不正検出設定処理にて待機中フラグがセットされることにより、次回の不正検出処理ではステップS1701にて肯定判定をする。これにより、不正検出判定処理を開始する。不正検出判定処理では、先ずステップS1704にて各スキャナSCからID情報を入力したか否かを判定する。ID情報を入力している場合には、ステップS1705にてID情報確認処理を実行する。
ID情報確認処理では、上記第1の実施の形態におけるID情報確認処理(図50参照)と同様に、各パチンコ機Pの主制御装置及び払出制御装置からID情報を入力したか否かを個別に判定し、入力していた場合には対応するフラグをセットする。
つまり、ホールコンピュータHCのROM532には、図59(a)に示すように、各パチンコ機Pの主制御装置271及び払出制御装置311に対応させてID情報が記憶されている。例えば、パチンコ機P1の主制御装置のID情報は「1001」であり、払出制御装置のID情報は「2001」である。また、ホールコンピュータHCのRAM533には、図59(b)に示すように、各パチンコ機Pの主制御装置及び払出制御装置に対応させて確認フラグ格納エリアが設けられている。そして、ID情報確認処理では入力したID情報に対応した確認フラグをセットする。
ステップS1705のID情報確認処理を実行した後は、ステップS1706にて全ID情報を入力したか否かを判定する。つまり、全確認フラグがセットされているか否かを判定する。全フラグがセットされている場合には、全てのパチンコ機Pに対して不正行為が行われていないことを意味するため、ステップS1707に進む。
ステップS1707では、先ず各スキャナSCに対して出力停止信号を出力する。これにより、スキャナSCのCPU541はRF回路542の駆動を停止し、リーダアンテナ543を介した呼出波の出力を停止させる。また、ステップS1707では、待機中フラグをクリアする。その後、本処理を終了する。
一方、ステップS1704又はステップS1706にて否定判定をした場合は、ステップS1708に進む。つまり、ID情報を入力していない場合、又は全ID情報を入力していない場合には、ステップS1708に進む。ステップS1708ではステップS1703にて待機中フラグをセットしてから1secが経過したか否かを判定する。
ステップS1708にて1secが経過していない場合には否定判定をし、そのまま本処理を終了する。一方、1secが経過していた場合には、いずれかのパチンコ機Pの主制御装置271又は払出制御装置311に対して不正行為が行われたことを意味するため、ステップS1709にてエラー表示処理を実行した後に本処理を終了する。
エラー表示処理では、ホールコンピュータHCの表示装置535にて、ID情報を入力しなかったパチンコ機Pの台番、及び主制御装置271又は払出制御装置311のいずれであるのかを特定した態様の表示を行う。例えば、「j番台の主制御装置に対してエラー発見」などといった表示を行う。これにより、遊技ホールの管理者などは不正の有無を容易に発見することができる。かかるエラー表示処理はホールコンピュータHCに設けられた確認ボタンが操作されるまで継続される。
以上詳述した第3の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
パチンコ機Pの制御装置にID情報が記憶されたICチップが設けられているので、ID情報の読み取りを行うことにより、不正な制御装置への交換等といったパチンコ機Pに対する不正行為が行われたか否かを確認することができる。この場合に、遊技ホールには複数台のパチンコ機Pに対して1個のスキャナSCが設けられており、ホールコンピュータHCに制御されることにより各スキャナSCから所定周期で呼出波が出力される。そして、呼出波を出力してから予め定められた期間内に各ID情報をホールコンピュータHCが入力しなかった場合には、エラー表示を行うようにした。かかる構成とすることにより、遊技ホールの管理者等がID情報の読み取り作業を行う必要はなく、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
ホールコンピュータHCは、予め定められた特定周期で各スキャナSCから呼出波を出力させる。かかる構成とすることにより、複雑な処理を行うことなく上記効果を奏することができる。
なお、本第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態における特徴的な構成と同一又は類似した構成を備えており、かかる構成に基づく効果は本第3の実施の形態においても同様に奏する。
(第4の実施の形態)
本実施の形態では、不正監視システムの構成が上記各実施の形態とは異なっている。そこで、以下にかかる不正監視システムをパチンコ機Pに適用した構成を説明する。
先ず、本実施の形態では、上記第1の実施の形態及び上記第3の実施の形態と異なり、主制御装置271にのみアンテナ付きICチップ303(ICタグ又は電子タグともいう)が取り付けられており、払出制御装置311にはアンテナ付きICチップが取り付けられていない。また、当該アンテナ付きICチップ303に格納されたID情報を読み取るスキャナSC(リーダ装置ともいう)は、遊技ホールの島設備側に設置されているのではなく、遊技ホールに設置された各パチンコ機Pに搭載されている。
パチンコ機PにおけるスキャナSCの取り付けに関する構成を、図60を用いて以下に説明する。図60は、スキャナSCの取り付けに関する構成を説明するための主制御装置271及び当該主制御装置271の取付台601周辺の横断面図である。
取付台601は、ポリカーボネート樹脂等といった合成樹脂により成形されており、上記第1の実施の形態における取付台251と同様に、基板搭載面602が形成されている。この基板搭載面602に搭載させるようにして主制御装置271が取付台601に取り付けられている。この場合、主制御装置271は、当該主制御装置271の基板ボックス273に形成された貼付板部281,282が取付台601の左右方向の一端側に位置するように取り付けられている。貼付板部281,282には、上記第1の実施の形態と同様に、封印シール300が貼り付けられており、当該封印シール300にはアンテナ付きICチップ303が取り付けられている(埋め込まれている)。
取付台601におけるアンテナ付きICチップ303が配置された側の端部の裏面には、遊技盤30側に突出するボス603が一体形成されており、当該ボス603に対してネジ止めすることでスキャナSCが取付台601に固定されている。つまり、スキャナSCは取付台601の裏面側に固定されている。
スキャナSCは、箱状のハウジング605を備えており、当該ハウジング605の一端側にリーダアンテナ543が設けられている。そして、このリーダアンテナ543が取付台601を挟んでアンテナ付きICチップ303と対峙するようにしてスキャナSCは配置されている。つまり、リーダアンテナ543とアンテナ付きICチップ303はパチンコ機Pの厚み方向に並んでおり、両者の間には金属製の部材が介在していない。
以上の構成において、アンテナ付きICチップ303に設定された共振周波数と同じ周波数の呼出波がスキャナSCから出力(発信)されると、当該呼出波は取付台601を透過し、呼出波により形成される誘導電磁界の範囲内にはアンテナ付きICチップ303が含まれる。誘導電磁界が形成されることにより、アンテナ付きICチップ303からはID情報を含んだ応答波が出力(発信)される。この応答波は取付台601を透過し、スキャナSCのリーダアンテナ543において入力(受信)される。これにより、スキャナSCにてID情報の読み取りを行うことができる。なお、スキャナSCから出力される呼出波の電波強度は、呼出波の伝播範囲がアンテナ付きICチップ303からID情報を読み取る上で最小限の範囲となるように設定されている。
次に、不正監視システムに関する電気的構成について、図61のブロック図に基づいて説明する。なお、図61では、1台のパチンコ機PのホールコンピュータHCに対する電気的構成について示すが、遊技ホールに設置された他のパチンコ機Pについても同様である。
ホールコンピュータHCは、上記第1の実施の形態と同様に、CPU531、ROM532、RAM533、入出力ポート534、及び表示装置535を備えている。ROM532内には、各パチンコ機Pに設けられた各アンテナ付きICチップ303のID情報が記憶されている。
CPU531の入力側には、パチンコ機Pに搭載されたスキャナSCが接続されている。つまり、スキャナSCからホールコンピュータHCに対して有線通信により情報の出力が行われる。なお、かかる情報の出力を無線通信により行う構成としてもよい。
スキャナSCは、上記第1の実施の形態と同様に、CPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543を備えている。スキャナSCのCPU541は予め設定された規定周期でリーダアンテナ543から呼出波を出力するようにRF回路542を駆動する。
ここで、本実施の形態では、スキャナSCに対して電源及び発射制御装置313を介して動作電力が供給される。この場合に、スキャナSCに対しては、パチンコ機Pの電源のOFF後においても動作電力が供給されるようになっている。
詳細には、電源及び発射制御装置313には、主制御装置271のRAM503に対して上述したデータ記憶保持用電力を供給するためのデータ記憶保持用コンデンサ607(データ記憶保持用電源部)が設けられている。このデータ記憶保持用コンデンサ607は電源及び発射制御装置313の電源部に接続されており、パチンコ機Pの電源がON状態の場合にはデータ記憶保持用コンデンサ607にて蓄電される。また、データ記憶保持用コンデンサ607は主制御装置271のCPU501のVBB端子に電気的に接続されている。したがって、パチンコ機Pの電源がOFF状態(外部電源からの電力供給が遮断された状態)の場合にはデータ記憶保持用コンデンサ607から放電され、RAM503に対してデータ記憶保持用電力が供給される。
この場合に、このデータ記憶保持用コンデンサ607はスキャナSCに対しても電気的に接続されており、パチンコ機Pの電源がOFF状態の場合にはデータ記憶保持用コンデンサ607から放電され、スキャナSCに対して動作電力が供給される。これにより、パチンコ機Pの電源がOFF状態の場合であってもスキャナSCによるID情報の読み取りは継続される。ちなみに、データ記憶保持用コンデンサ607の容量は比較的大きく確保されており、電源がOFF状態となる前にRAM503に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持されるとともに、スキャナSCに対しても所定の期間内(例えば、1日や2日)に亘って動作電力が供給される。なお、データ記憶保持用電力を供給するデータ記憶保持用電源部は、コンデンサに限定されることはなく、バッテリーや電池等であってもよい。
また、ホールコンピュータHCは、各パチンコ機Pの電源をOFF状態とする遊技ホールの閉店時であっても電源はON状態に維持されている。これにより、スキャナSCにおけるID情報の読み取り結果は、遊技ホールの閉店時であってもホールコンピュータHCにて入力され、後述する不正検出処理が実行される。
次に、スキャナSCのCPU541にて実行されるID情報読み取り処理を図62のフローチャートを参照しながら説明する。なお、ID情報読み取り処理は定期的に(本実施の形態では2msec周期で)繰り返し実行される。
ID情報読み取り処理では、先ずステップS1801にて出力周期タイマが読み取り時間Ta(読み取り周期)となったか否かを判定する。出力周期タイマはスキャナSCに設けられたタイマ回路からなる。また、読み取り時間Taは、本不正監視システムにおける監視対象である主制御装置271に対して不正行為が行われる場合に、その不正行為を行う上で想定される作業時間の約半分の時間として設定されている。
かかる読み取り時間Taと不正行為との関係について詳細に説明する。主制御装置271に対する不正行為としては、主制御装置271を丸ごと不正な装置に交換する不正行為(以下、第1不正行為ともいう)、主制御装置271の基板ボックス273を開封し主制御基板278を不正な基板に交換する不正行為(以下、第2不正行為ともいう)、主制御装置271の基板ボックス273を開封しCPUチップ278aを不正なチップに交換する不正行為(以下、第3不正行為ともいう)、及び主制御装置271の基板ボックス273を開封し主制御基板278に不正な電子部品を取り付ける不正行為(以下、第4不正行為ともいう)等が想定される。
これら各不正行為において、不正行為後であっても、スキャナSCにて正規のID情報を読み取ることができるようにしてしまう行為が想定される。具体的には、第1不正行為に際しては、不正な装置に対して、正規のアンテナ付きICチップ303に格納されたID情報と同一のID情報を格納させた不正なアンテナ付きICチップを取り付ける行為が想定される。また、第2〜第4不正行為に際しては、不正な制御基板への交換等を行った後に再度封印した基板ボックスに、正規のアンテナ付きICチップ303に格納されたID情報と同一のID情報を格納させた不正なアンテナ付きICチップを取り付ける行為が想定される。さらには、第3不正行為及び第4不正行為においては、不正な基板ボックスに不正を施した主制御基板278を収容させて封印するとともに、その基板ボックスに対して、正規のアンテナ付きICチップ303に格納されたID情報と同一のID情報を格納させた不正なアンテナ付きICチップを取り付ける行為が想定される。
これらの行為に対して、読み取り時間Taは、それら各不正行為を行う上で想定される各作業時間のうち最短となる作業時間の約半分の時間として設定されている。より具体的には、上記各不正行為のうち第1不正行為の作業時間が最短となると考えられ、かかる想定される作業時間の約半分の時間となるように読み取り時間Taが設定されている。本パチンコ機Pでは、第1不正行為の作業時間は2min(実験値)であるため、読み取り時間Taは1minに設定されている。これにより、不正行為の作業中においてスキャナSCによってID情報の読み取りを実行することが可能となり、後述する不正検出処理において不正行為が行われたことを特定することが可能となる。これについては後に説明する。
ID情報読み取り処理の説明に戻り、ステップS1801にて出力周期タイマが読み取り時間Ta以上となっていた場合には肯定判定をし、ステップS1802にてCPU541はRF回路542を駆動し、リーダアンテナ543から呼出波を出力させる。また、当該ステップS1802では、出力周期タイマを「0」クリアする。その後、ステップS1803に進む。一方、ステップS1801にて出力周期タイマが読み取り時間Ta未満となっていた場合には否定判定をし、そのままステップS1803に進む。
ステップS1803では、アンテナ付きICチップ303から応答波を入力したか否かを判定する。応答波を入力していない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、応答波を入力していた場合には、ステップS1804にて応答波に基づいて読み取ったID情報をホールコンピュータHCに出力する。また、ステップS1804では、ID情報とともに、ID情報出力元のスキャナSC(パチンコ機P)を特定するための識別用固有情報を出力する。この識別用固有情報としては、例えば、各スキャナSCに予め割り当てられた固有情報(例えば、スキャナSCの製造番号)が考えられ、またスキャナSCが搭載されたパチンコ機Pの固有情報(例えば、台番号)が考えられる。その後、本処理を終了する。
次に、ホールコンピュータHCのCPU531にて実行される不正検出処理を図63のフローチャートを参照しながら説明する。なお、不正検出処理は定期的に(本実施の形態では、2msec周期で)繰り返し実行される。
不正検出処理では、先ずステップS1901にていずれかのパチンコ機P(すなわち、パチンコ機Pに搭載されたスキャナSC)からID情報を入力したか否かを判定する。いずれかのパチンコ機PからID情報を入力している場合には、ステップS1902に進む。
ステップS1902では、管理用ID情報読み出し処理を実行する。管理用ID情報読み出し処理では、ID情報とともに入力した識別用固有情報に基づいてID情報の出力元のパチンコ機P(スキャナSC)を特定し、その特定したパチンコ機Pの管理用に登録されたID情報を読み出す。より詳細には、ホールコンピュータHCのROM532には、管理データが予め作成されている。かかる管理データでは、各パチンコ機Pの識別用固有情報とそれに対応する管理用のID情報とがセットで登録されている。そして、管理用ID情報読み出し処理では入力したID情報の識別用固有情報に対応した管理用のID情報を読み出す。
その後、ステップS1903では、入力したID情報と管理用のID情報とが一致するか否かを判定する。一致する場合には、ステップS1904にて、確認したID情報の監視タイマを「0」クリアした後に本処理を終了する。ここで、監視タイマはホールコンピュータHCに設けられたタイマ回路からなり、各パチンコ機Pに1対1で対応させて監視タイマが設けられている。そして、この監視タイマによりID情報の入力タイミングを図ることでパチンコ機Pに対する不正の有無を判定することが可能となる。かかる監視タイマに基づく不正有無の判定はステップS1906〜ステップS1907において説明する。
なお、遊技ホールには多数のパチンコ機Pが設置されているため、2以上のパチンコ機Pから同じタイミングでID情報を入力することがある。この場合、ステップS1902〜ステップS1904の処理は入力した全てのID情報に対してまとめて実行される。
ステップS1903にて入力したID情報が管理用のID情報と一致しなかった場合には、ステップS1905に進み異常処理を実行した後に本処理を終了する。異常処理では、ID情報が管理用のID情報と一致しなかったパチンコ機Pの台番号等をホールコンピュータHCのRAM533にエラーデータとして記憶する。この際、ID情報が一致しなかった旨も合わせて記憶する。これにより、パチンコ機Pに対して不正が行われたことを詳細に記憶管理することが可能となる。
また、表示装置535にてID情報が管理用のID情報と一致しなかったパチンコ機Pの台番号等を表示する。この際、ID情報が一致しなかった旨も合わせて表示する。これにより、遊技ホールの管理者等は表示装置535を確認することで、不正の発生、その不正が発生したパチンコ機P、及びどのようなエラーが発生したかを把握することができる。
一方、ステップS1901にてID情報を入力していなかった場合には、ステップS1906にて監視タイマ確認処理を実行する。監視タイマ確認処理では、ホールコンピュータHCに設けられた全ての監視タイマのうち予め設定された規定時間Tbを超えた監視タイマがあるか否かを判定する。
ここで、規定時間Tbは上述した読み取り時間Taよりも若干長い時間となるように設定されている。詳細には、読み取り時間Taは、上述したとおり、想定される各不正行為の作業時間のうち最短となる作業時間の約半分となるように設定されている。これに対して、規定時間Tbは、スキャナSCからホールコンピュータHCへのID情報の出力に際して生じる出力タイミングの誤差などを踏まえて、読み取り時間Taよりも若干長い時間(例えば、読み取り時間Taよりも1sec長い時間)となるように設定されている。
規定時間Tbを超えた監視タイマがない場合には、そのまま本処理を終了する。規定時間Tbを超えた監視タイマがある場合には、ステップS1905にて異常処理を実行した後に本処理を終了する。かかる異常処理では、規定時間Tbを超えた監視タイマに対応したパチンコ機Pの台番号等をホールコンピュータHCのRAM533にエラーデータとして記憶する。この際、規定時間Tbを超えた旨も合わせて記憶する。これにより、パチンコ機Pに対して不正が行われたことを詳細に記憶管理することが可能となる。
また、表示装置535にて規定時間Tbを超えた監視タイマに対応したパチンコ機Pの台番号等を表示する。この際、規定時間Tbを超えた旨も合わせて表示する。これにより、遊技ホールの管理者等は表示装置535を確認することで、不正の発生、その不正が発生したパチンコ機P、及びどのようなエラーが発生したかを把握することができる。
なお、封印シール300が主制御装置271における前扉枠13の開放先端側に貼り付けられる構成となっている。これにより、不正行為を行うために前扉枠13が開放された場合、前扉枠13の開放基端側に貼り付けられている場合と比して、前扉枠13の開放に伴い封印シール300に埋め込まれているアンテナ付きICチップ303の位置が大きく変動することとなる。
次に、想定される各種不正とそれに対する不正検出の態様を図64のタイムチャートを参照しながら説明する。図64は、1台のパチンコ機Pに着目した場合のホールコンピュータHCにおけるID情報の入力タイミングを示すタイムチャートである。
主制御装置271に対して何ら不正が行われない場合には、図64(a)に示すように、ホールコンピュータHCでは読み取り時間Ta(読み取り周期)の間隔でID情報を繰り返し入力する。
主制御装置271に対して不正が行われ、ホールコンピュータHCにてID情報を入力しなくなった場合、又はホールコンピュータHCにて管理用のID情報と同一のID情報を入力しなくなった場合には、図64(b)に示すように、t1のタイミングの後は、ID情報を入力しなくなる。この場合、ホールコンピュータHCに設けられた監視タイマが規定時間Tbを超えることで上述した異常処理が実行される。
かかる異常が発生する場合としては、主制御装置271を丸ごと不正な装置に交換する不正行為において不正な装置にアンテナ付きICチップを設けなかった場合、基板ボックス273を開封して行う不正行為において基板ボックス273の開封時にアンテナ付きICチップ303を破壊し、代わりのアンテナ付きICチップを設けなかった場合、不正な装置又は不正後の基板ボックス273に不正なアンテナ付きICチップを取り付ける不正行為においてそのアンテナ付きICチップに格納されたID情報が正規のアンテナ付きICチップ303に格納されたID情報と異なる場合等が考えられる。
また、上記不正行為以外にも、上述したように、不正行為後であっても、スキャナSCにて正規のID情報を読み取ることができるようにしてしまう行為が想定される。かかる不正行為が行われた場合には、図64(c)に示すように、t2のタイミング後にID情報の読み取りが行われなくなったにも関わらず、その後、t3のタイミングで再度、ID情報の読み取りが再開されてしまう。これに対して、上記のとおり、ID情報の読み取り間隔(読み取り時間Ta)が、想定される各不正行為の作業時間のうち最短となる作業時間の約半分となるように設定されている。したがって、ホールコンピュータHCの監視タイマの時間が、t2のタイミングとt3のタイミングとの間で規定時間Tbを超えることとなる。この場合、ホールコンピュータHCにて上述した異常処理が実行される。
以上詳述した第4の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
封印シール300が主制御装置271における前扉枠13の開放先端側に貼り付けられている構成とした。不正行為を行うために前扉枠13が開放された場合、前扉枠13の開放に伴い封印シール300に埋め込まれているアンテナ付きICチップ300が前扉枠13の開放基端側に取り付けられている場合と比して、アンテナ付きICチップ303の位置が大きく変動することとなる。これにより、前扉枠13が開放されている場合には監視タイマ確認処理にて監視タイマが規定時間Tbを越える確認結果を得やすくすることができる。よって、不正行為の監視を良好に行うことができる。
パチンコ機Pの主制御装置271にアンテナ付きICチップ303が設けられているので、ID情報の読み取りを行うことにより、不正な主制御装置271への交換等といった不正行為が行われたか否かを確認することができる。この場合に、ID情報を読み取るスキャナSCを各パチンコ機Pに搭載し、それら各スキャナSCが読み取ったID情報に基づいてホールコンピュータHCにおいて不正検出処理を実行するようにした。これにより、遊技ホールの管理者等がID情報の読み取り作業を行う必要はなく、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
ID情報の読み取り周期を、想定される各不正行為の作業時間のうち最短となる作業時間の約半分となるように設定した。したがって、不正行為後であってもスキャナSCにて正規のID情報を読み取ることができるようにしてしまう行為(例えば、主制御装置271の不正な装置への交換)が行われる場合であっても、その不正行為の作業(主制御装置271の交換作業)が行われている最中にID情報の読み取りが1回は行われ、その際にID情報の読み取りが行えないことで異常処理が実行される。よって、上記巧妙な不正行為であってもそれを発見することができる。
スキャナSCには、パチンコ機Pの電源がOFF状態であっても動作電力が供給されるようにした。これにより、パチンコ機Pの電源がOFF状態であってもID情報の読み取りを行うことが可能となる。また、管理装置としてのホールコンピュータHCは、パチンコ機Pの電源がOFF状態となる遊技ホールの閉店時においても電源がON状態となっている。これにより、遊技ホールの閉店時においても不正検出処理を実行することができる。
特に、本実施の形態では、上記のとおり、不正行為の作業中にID情報の読み取りを行うことで、不正行為後であってもスキャナSCにて正規のID情報を読み取ることができるようにしてしまう不正行為が行われたことを発見することができるようになっている。この場合に、遊技ホールの閉店時においてID情報の読み取り、及び不正検出処理が実行されないと、その間に行われた上記巧妙な不正行為を発見することができない。これに対して、上記のとおり、遊技ホールの閉店時においてもID情報の読み取り、及び不正検出処理が実行されるため、上記巧妙な不正行為を確実に発見することができる。
また、スキャナSCには、電源及び発射制御装置313に設けられたデータ記憶保持用コンデンサ607から動作電力を供給することで、パチンコ機Pの電源OFF状態であっても動作電力が供給されるようにした。つまり、主制御装置271のRAM503に対してデータ記憶保持用電力を供給するデータ記憶保持用コンデンサ607を、パチンコ機Pの電源がOFF状態の場合にスキャナSCに動作電力を供給する手段として兼用することができる。よって、構成の簡素化を図りつつ上記効果を奏することができる。
なお、本第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態や上記第3の実施の形態における特徴的な構成と同一又は類似した構成を備えており、かかる構成に基づく効果は第4の実施の形態においても同様に奏する。
(第5の実施の形態)
本実施の形態では、不正監視システムにおける不正を検出するための処理構成が上記第4の実施の形態と異なっている。そこで、以下にかかる処理構成を説明する。図65は、ホールコンピュータHCのCPU531にて実行される不正検出処理を示すフローチャートである。なお、不正検出処理は定期的に(本実施の形態では、2msec周期で)繰り返し実行される。
不正検出処理では、先ずステップS2001にて、RAM533に設けられた待機中フラグ格納エリアに待機中フラグがセットされているか否かを判定する。待機中フラグは各パチンコ機Pの各スキャナSCに対して電波出力信号を出力することでセットされ、全スキャナSCから応答があった場合にクリアされるフラグである。つまり、待機中フラグがセットされている間は各スキャナSCからのID情報の入力待ち状態にある。
待機中フラグがセットされていない場合には、ステップS2002〜ステップS2003の不正検出設定処理を実行する。一方、待機中フラグがセットされている場合には、ステップS2004〜ステップS2009の不正検出判定処理を実行する。
不正検出設定処理では、先ずステップS2002にて不正の検出開始時期となったか否かを判定する。ここで、本実施の形態では、待機中フラグがセットされていない状態で予め定められた特定期間(例えば、30min)が経過した場合にステップS2002にて肯定判定をし、経過していない場合にはステップS2002にて否定判定をする。ステップS2002にて否定判定をした場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ステップS2002にて肯定判定をした場合には、ステップS2003にて電波出力信号を遊技ホールに設けられた全パチンコ機Pの各スキャナSCに対して出力し、さらに待機中フラグをセットした後に本処理を終了する。
各スキャナSCでは、電波出力信号をホールコンピュータHCから入力することでアンテナ付きICチップ303からのID情報の読み取りを開始する。ここで、各スキャナSCのCPU541にて実行されるID情報読み取り処理について図66のフローチャートを参照しながら説明する。なお、ID情報読み取り処理は定期的に(本実施の形態では、2msec周期で)繰り返し実行される。
ID情報読み取り処理では、先ずステップS2101にてホールコンピュータHCから電波出力信号を入力したか否かを判定する。電波出力信号を入力していない場合には、そのままステップS2103に進む。電波出力信号を入力している場合には、ステップS2102にてRF回路543を駆動し、リーダアンテナ543を介して呼出波を出力する。この場合、出力期間の短い呼出波を1パルス出力する。また、ステップS2102では、カウントアップ式の応答時間計測タイマをON状態とする。その後、ステップS2103に進む。
ステップS2103では、アンテナ付きICチップ303から応答波を入力したか否かを判定する。応答波を入力していない場合には、そのまま本処理を終了する。応答波を入力している場合には、ステップS2104にて、応答波から読み取ったID情報をホールコンピュータHCに出力する。この際、ID情報とともに、ID情報出力元のスキャナSC(パチンコ機P)を特定するための識別用固有情報を出力する。この識別用固有情報としては、例えば、各スキャナSCに予め割り当てられた固有情報(例えば、スキャナSCの製造番号)が考えられ、またスキャナSCが搭載されたパチンコ機Pの固有情報(例えば、台番号)が考えられる。
また、ステップS2104では、応答波を入力したタイミングにおける応答時間計測タイマの値を応答時間としてホールコンピュータHCに出力する。さらに、ステップS2104では、応答時間計測タイマをOFF状態とする。その後、本処理を終了する。
図65における不正検出処理の説明に戻り、ステップS2003にて待機中フラグがセットされることにより、次回の不正検出処理ではステップS2001にて肯定判定をする。これにより、不正検出判定処理を開始する。不正検出判定処理では、先ずステップS2004にていずれかのパチンコ機P(すなわち、パチンコ機Pに搭載されたスキャナSC)からID情報を入力したか否かを判定する。いずれかのパチンコ機PからID情報を入力している場合には、ステップS2005に進む。
ステップS2005では、管理用ID情報読み出し処理を実行する。管理用ID情報読み出し処理では、ID情報とともに入力した識別用固有情報に基づいてID情報の出力元のパチンコ機P(スキャナSC)を特定し、その特定したパチンコ機Pの管理用に登録されたID情報を読み出す。より詳細には、ホールコンピュータHCのROM532には、管理データが予め作成されている。かかる管理データでは、各パチンコ機Pの識別用固有情報とそれに対応する管理用のID情報とがセットで登録されている。そして、管理用ID情報読み出し処理では入力したID情報の識別用固有情報に対応した管理用のID情報を読み出す。
その後、ステップS2006では、入力したID情報と管理用のID情報とが一致するか否かを判定する。一致する場合には、ステップS2007に進み、ID情報と共に入力した応答時間が予めROM532に設定された基準応答時間と一致するか否かを判定する。ここで、基準応答時間は、所定の範囲を持って設定されている。入力した応答時間が基準応答時間と一致する場合には(入力した応答時間が基準応答時間の範囲内に入る場合には)、ステップS2008にて全ID情報の入力が完了したか否かを判定する。ID情報の入力が未完の場合には、そのまま本処理を終了する。ID情報の入力が完了している場合には、ステップS2009にて待機中フラグをクリアした後に本処理を終了する。
ステップS2006にて入力したID情報が管理用のID情報と一致しなかった場合、又はステップS2007にて入力した応答時間が基準応答時間と一致しなかった場合(入力した応答時間が基準応答時間の範囲内に入らない場合)には、ステップS2010にて異常処理を実行した後に本処理を終了する。
異常処理では、ID情報が管理用のID情報と一致しなかったパチンコ機Pの台番号等、又は応答時間が基準応答時間と一致しなかったパチンコ機Pの台番号等をホールコンピュータHCのRAM533にエラーデータとして記憶する。この際、ID情報が一致しなかった旨、又は応答時間が一致しなかった旨も合わせて記憶する。これにより、パチンコ機Pに対して不正が行われたことを詳細に記憶管理することが可能となる。
また、表示装置535にてID情報が管理用のID情報と一致しなかったパチンコ機Pの台番号等、又は応答時間が基準応答時間と一致しなかったパチンコ機Pの台番号等を表示する。この際、ID情報が一致しなかった旨、又は応答時間が一致しなかった旨も合わせて表示する。これにより、遊技ホールの管理者等は表示装置535を確認することで、不正の発生、その不正が発生したパチンコ機P、及びどのようなエラーが発生したかを把握することができる。
一方、ステップS2004にてID情報を入力していない場合には、ステップS2011に進む。ステップS2011では、ステップS2003にて電波出力信号を出力してから所定時間(例えば、5sec)が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、そのまま本処理を終了する。所定時間が経過している場合には、ステップS2010にて異常処理を実行した後に本処理を終了する。
かかる異常処理では、未だID情報を入力していないパチンコ機Pの台番号等をホールコンピュータHCのRAM533にエラーデータとして記憶する。この際、ID情報を入力しなかった旨も合わせて記憶する。これにより、パチンコ機Pに対して不正が行われたことを詳細に記憶管理することが可能となる。
また、表示装置535にて未だID情報を入力していないパチンコ機Pの台番号等を表示する。この際、ID情報を入力しなかった旨も合わせて表示する。これにより、遊技ホールの管理者等は表示装置535を確認することで、不正の発生、その不正が発生したパチンコ機P、及びどのようなエラーが発生したかを把握することができる。
ここで、上記不正検出処理で説明したように、本実施の形態では、スキャナSCから呼出波を出力してから応答波を入力するまでの応答時間を計測し、その計測結果に基づいて異常処理を実行する。このような不正検出の処理を実行するのは、以下の理由による。
つまり、主制御装置271に対する不正行為としては、上記第4の実施の形態で説明したように、主制御装置271を丸ごと不正な装置に交換する不正行為(以下、第1不正行為ともいう)、主制御装置271の基板ボックス273を開封し主制御基板278を不正な基板に交換する不正行為(以下、第2不正行為ともいう)、主制御装置271の基板ボックス273を開封しCPUチップ278aを不正なチップに交換する不正行為(以下、第3不正行為ともいう)、及び主制御装置271の基板ボックス273を開封し主制御基板278に不正な電子部品を取り付ける不正行為(以下、第4不正行為ともいう)等が想定される。
これら各不正行為において、不正行為後であっても、上記第4の実施の形態にて説明した態様とは異なる態様で、スキャナSCにて正規のID情報を読み取ることができるようにしてしまう行為が想定される。具体的には、第1不正行為に際しては、アンテナ付きICチップ303を破壊させずに基板ボックス273から貼付板部281,282を切断し、図67に示すように、この切断した貼付板部281,282を不正な装置611の基板ボックス612内に収容させる行為が想定される。また、第3不正行為及び第4不正行為においては、不正な基板ボックスに不正を施した主制御基板278を収容させて封印するとともに、切断した貼付板部281,282を不正な基板ボックス内に収容させる行為が想定される。これらの行為においては、切断された貼付板部281,282に設けられた封印シール300のアンテナ付きICチップ303が、正規のID情報を出力するためのダミー品として使用されることとなる。
これに対して、上記のとおり呼出波を出力してから応答波を入力するまでの応答時間を計測することで、アンテナ付きICチップ303を正規のID情報を出力するためのダミー品として使用する不正行為を発見することが可能となる。この応答時間の計測と不正行為の発見との相関について図68のタイムチャートを参照して説明する。
アンテナ付きICチップ303をダミー品として使用する不正行為が行われていない場合には、図68(a)に示すように、t4のタイミングでスキャナSCから呼出波が出力されたのに対して、t5のタイミングでスキャナSCに応答波が入力され、応答時間がTcとなっている。この応答時間Tcに対して±Tαの範囲が基準応答時間に該当する。
これに対して、アンテナ付きICチップ303をダミー品として使用する不正行為が行われ、且つアンテナ付きICチップ303の位置がスキャナSCのリーダアンテナ543に対し当初の位置よりも遠くなった場合(具体的には、図67のような場合)には、図68(b)に示すように、t4のタイミングでスキャナSCから呼出波が出力されたのに対して、t6のタイミングでスキャナSCにて応答波が入力され、応答時間がTdとなっている。この応答時間Tdは、基準応答時間Tcに対してTd>(Tc+Tα)の関係にある。よって、上述した不正検出処理において異常処理が実行される。
また、アンテナ付きICチップ303をダミー品として使用する不正行為が行われ、且つアンテナ付きICチップ303の位置がスキャナSCのリーダアンテナ543に対して当初の位置よりも近くなった場合には、図68(c)に示すように、t4のタイミングでスキャナSCから呼出波が出力されたのに対して、t7のタイミングでスキャナSCにて応答波が入力され、応答時間がTeとなっている。この応答時間Teは、基準応答時間に対してTe<(Tc―Tα)の関係にある。よって、上述した不正検出処理において異常処理が実行される。
以上詳述した第5の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
スキャナSCから呼出波を出力してから当該スキャナSCにてアンテナ付きICチップ303からの応答波を入力するまでの応答時間を計測するようにした。そして、かかる応答時間が予め設定された基準応答時間と一致しない場合には、異常処理を実行するようにした。これにより、アンテナ付きICチップ303を正規のID情報を出力するためのダミー品として使用する不正行為が行われた場合であっても、基準応答時間に対する実際の応答時間の差異を確認することで、かかる不正行為を発見することができる。
なお、本第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態における特徴的な構成と同一又は類似した構成を備えており、かかる構成に基づく効果は第5の実施の形態においても同様に奏する。
(第6の実施の形態)
本実施の形態では、上述した第1〜第5の実施形態とは異なり、アンテナ付きICチップ303が前扉枠13に取り付けられている。これにより、前扉枠13及び樹脂ベース25が不正に開放されたか否かを確認することができる。
なお、本実施の形態における不正検出処理及びID情報読み取り処理は、第5の実施の形態における不正検出処理及びID情報読み取り処理と同様のため説明を省略する。また、第5の実施の形態とは異なり、本実施形態では前扉枠13が開放されたか否かを検知するため、図65におけるステップS2002の検出開始時期になったか否かの判定に用いる特定期間は、第4の実施形態と同様に第1不正行為における作業時間の約半分の時間として1min又は可能な限り短い時間を設定するのが望ましい。
先ず、第6の実施の形態における不正監視システムに関する電気的構成について、図69のブロック図に基づいて説明する。なお、図69では、1台のパチンコ機PのホールコンピュータHCに対する電気的構成について示すが、遊技ホールに設置された他のパチンコ機Pについても同様である。
図69に示すように、ホールコンピュータHCは、上記第1の実施の形態と同様に、CPU531、ROM532、RAM533、入出力ポート534、及び表示装置535を備えている。ROM532内には、各パチンコ機Pに設けられた各アンテナ付きICチップ303のID情報が記憶されている。
CPU531の入力側には、パチンコ機Pに搭載されたスキャナSCが接続されている。つまり、スキャナSCからホールコンピュータHCに対して有線通信により情報の出力が行われる。なお、かかる情報の出力を無線通信によって行ってもよい。
また、ホールコンピュータHCは、各パチンコ機Pの電源をOFF状態とする遊技ホールの閉店時であっても電源はON状態に維持されている。これにより、スキャナSCにおけるID情報の読み取り結果は、遊技ホールの閉店時であってもホールコンピュータHCにて入力され、第5の実施形態にて説明した不正検出処理が実行される。
スキャナSCは、上記第1の実施の形態と同様に、CPU541、RF回路542、及びリーダアンテナ543を備えている。スキャナSCのCPU541は予め設定された規定周期でリーダアンテナ543から呼出波を出力するようにRF回路542を駆動する。
ここで、パチンコ機Pとは異なって電源供給をスキャナSCは受けている。本実施の形態では、スキャナSCはホールコンピュータHCから電源を供給されている。これにより、パチンコ機Pの電源が切断されているか否かに関わらず不正検出処理を行うことが可能となる。
次に図70を用いて、前扉枠13に備えられたアンテナ付きICチップ303について説明する。前扉枠13の開放先端側且つ遊技機内部側の下部にアンテナ付きICチップ303が埋め込まれたシール330が貼り付けられている。具体的には、前扉枠13において、遊技盤30から見て下側、かつ遊技球発射ハンドル18のほぼ真上にシール330が貼り付けられている。また、シール330は前扉枠13の裏面側に貼り付けられている。前扉枠13の裏面側にシール330が貼り付けられていることによって、前扉枠13が閉鎖されている場合に、シール330に不正行為が行われることを抑制することができる。なお、本実施の形態では、シール330を貼り付けるために、前扉枠13の裏面側に平面スペースが設けられている。
前扉枠13の開放先端側にシール330が貼られているため、前扉枠13の開放基端側に貼られている場合と比して、前扉枠13が開放された場合に、前扉枠13が開放されていくのに伴いアンテナ付きICチップ303が大きく移動することとなる。これにより、前扉枠13が不正に開放されたことを良好に検知することが可能となる。なお、シール330は上記封印シール300と同一のものである。
図71を用いて、呼出波及び応答波の届く範囲について説明する。上述したとおり、ホールコンピュータHCにはスキャナSCが接続されている。図71(a)はパチンコ機Pの前扉枠13が閉じている状態を示しており、図71(b)はパチンコ機Pの前扉枠13が開放している状態を示している。
また、図71(a)、(b)に示す斜線の範囲は、スキャナSCから出力される呼出波がアンテナ付きICチップ303に届き、アンテナ付きICチップ303からスキャナSCに応答波が応答基準時間内に入力される応答可能範囲である。図71(a)に示すように、アンテナ付きICチップ303が応答可能範囲内にある場合には、スキャナSCから出力された呼出波がアンテナ付きICチップ303に入力され、アンテナ付きICチップ303からスキャナSCに応答波が入力されるため、不正行為は行われていないと判断され、異常処理は実行されない。しかしながら、図71(b)に示すように、アンテナ付きICチップ303が応答可能範囲外にある場合には、スキャナSCから出力された呼出波がアンテナ付きICチップ303に入力されない又はスキャナSCから出力された呼出波がアンテナ付きICチップ303に入力されたとしても、アンテナ付きICチップ303から出力された応答波がスキャナSCに入力されない。これにより、上述した図65の不正検出処理におけるステップS2011にて所定時間が経過しても応答波がスキャナSCに入力されないと判断され異常処理が実行される。
また、本実施の形態では、前扉枠13の裏面側に樹脂ベース25が配置されている。さらに、前扉枠13及び樹脂ベース25は同じ側(手前側)に開放される。これにより、樹脂ベース25を開放するためには前扉枠13を開放しなければならないといえる。シール330が前扉枠13に貼り付けられているため、樹脂ベース25が開放された場合にも、前扉枠13が開放されることとなり、応答可能範囲外にアンテナ付きICチップ303が移動してしまう。これにより、前扉枠13にシール330を貼り付けることによって、前扉枠13が開放されている場合のみならず、樹脂ベース25が開放されている場合にも上記異常処理を実行することができる。
なお、本実施の形態では一定の角度(例えば、3度)以上前扉枠13が開放された場合には、アンテナ付きICチップ303が応答可能範囲外にあるように設定されている。さらに、応答可能範囲内にアンテナ付きICチップ303がある場合には、前扉枠13は開放されていない又はほとんど開放されていないように応答可能範囲が設定されている。これにより、応答可範囲内にアンテナ付きICチップ303がある場合には、少なくとも前扉枠13はほとんど開放されておらず、不正行為を行うことができない。
次に、本実施の形態における応答時間の計測と不正行為の発見との相関について図72のタイムチャートを参照して説明する。
図72に示すようにタイミングt8にてスキャナSCから呼出波が出力された場合に、前扉枠13が閉じている場合には、タイミングt9にて応答波が入力され、応答時間がTcとなっている。この応答時間Tcに対して±Tαの範囲が基準応答時間に該当する。
これに対して、前扉枠13が開放されているタイミングt10にてスキャナSCから呼出波が出力された場合、所定時間Tc+Tαが経過したとしてもアンテナ付きICチップ303から応答波がスキャナSCに入力されない。よって、第5の実施形態において説明した異常処理が実行される。
以上詳述した第6の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
前扉枠13にシール330を貼り付けたことによって前扉枠13が開放されているか否かを良好に確認することができる。また、前扉枠13の開放先端側にシール330を貼り付けたために、前扉枠13が開放されている場合には、前扉枠13の開放に伴ってシール330が移動し、シール330が応答可能範囲外にあるか否かによって、前扉枠13が開放されているか否かを良好に検知することができる。さらに、前扉枠13にシール330が貼り付けられているために、樹脂ベース25が開放された場合にも、応答可能範囲外にアンテナ付きICチップ303が移動してしまう。これにより、前扉枠13にシール330を貼り付けることによって、前扉枠13が開放されている場合のみならず、樹脂ベース25が開放されている場合にも上記異常処理を実行することができる。
また、前扉枠13の開放先端側にシール330を貼り付けたために、前扉枠13の開放基端側に備えられている場合と比して前扉枠13が開放されていくのに伴いシール330が大きく移動する。よって、シール330が前扉枠13の開放基端側に備えられている場合と比して、前扉枠13の開放先端側に備えられている方が、前扉枠13が開放されているか否かを良好に検知することができる。
ホールコンピュータHCからスキャナSCに電力を供給するようにした。これにより、パチンコ機Pの電源が切断されているか否かにかかわらず、不正検出処理を行うことができる。これにより、例えば、遊技ホールの営業時間が終了しており、遊技機の電源が切断されていたとしても、不正に前扉枠13が開放されたか否かを確認し、不正行為が行われたか否かを良好に確認することができる。
また、予め定められた規定周期にて呼出波を出力するようにした。これにより、不正行為を断続的に監視することができる。
(他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記各実施の形態において、識別手段はアンテナ付きICチップに限定されない。ただし、識別手段は識別情報を記憶しており、スキャナなどの情報読取手段により識別情報を読み取ることができる必要がある。また、封印シール300,320,585を複数のケース体を跨ぐようにして貼り付けるのではなく、ボックスベース又はボックスカバーの何れか一方のみに貼り付けたり、制御基板に貼り付ける構成としてもよい。また、アンテナ付きICチップは封印シール300,320,585に設けられている必要はなく、制御基板や基板ボックスなどに単独で設けられた構成であってもよい。
さらに、識別情報としてアンテナ付きICチップの設置されている場所が位置情報として記憶されていてもよい。すなわち、アンテナ付きICチップが移動しているか否かによって、不正行為が行われているかを判定し、不正行為が行われていると判定された場合には異常処理を行えばよい。ICチップが設置されている位置の把握として、例えば、アンテナ付きICチップに音波を発生させる装置を備えておき、音波の反射によって、アンテナ付きICチップの位置を特定するものが考えられる。
(2)スキャナSCが呼出波を出力してからエラー発生と判定されるまでの期間は、上記各実施の形態における期間に限定されることはない。但し、呼出波によるノイズにより遊技の進行が阻害されないように、その判定期間を極力短くするのが好ましい。
(3)上記各実施の形態では識別手段であるアンテナ付きICチップを制御装置271,311,582に対して設けたが、制御装置271,311,582以外に設けてもよい。例えば、遊技媒体の払い出しを行う払出装置358,573に設けてもよい。この場合、不正な払出装置に交換されたか否かを容易に確認することができる。
また、上記第1の実施の形態においては、電源及び発射制御装置313にアンテナ付きICチップを設ける構成としてもよい。電源及び発射制御装置313に対して不正を行うことにより遊技球の発射周期を変更する不正行為が想定されるため、電源及び発射制御装置313に対してアンテナ付きICチップを設けることで、かかる不正行為の確認を容易に行うことができる。
(4)異常処理の態様は上記各実施の形態におけるものに限定されることはない。例えば、エラーを発見したパチンコ機PやスロットマシンSにおいてスピーカやランプなどによりエラー報知を行う構成としてもよい。
(5)上記各実施の形態において、スキャナSCが取り外された場合には、異常処理を実行する構成としてもよい。例えば、ホールコンピュータHCが各スキャナSCから接続確認用信号を入力する構成とする。そして、当該接続確認用信号の入力が停止された場合にはエラー表示などといった異常処理を行う。
(6)上記各実施の形態において、ホールコンピュータHCが不正検出処理を実行するのではなく、各スキャナSCが不正検出処理を実行する構成としてもよい。この場合に、上記第1の実施の形態においては、スキャナSCに対して可変表示中信号、発射許可信号、及び駆動信号を入力する。また、上記第2の実施の形態においては、スキャナSCに対してリール停止信号、及び駆動信号を入力する。この場合、上記第1の実施の形態や上記第2の実施の形態と同様に、パチンコ機PやスロットマシンSにおいて遊技が行われている間にスキャナSCから呼出波が出力されることが防止される。
(7)上記各実施の形態において、ホールコンピュータHCは各スキャナSCから対応するパチンコ機P又はスロットマシンSのID情報を入力するのではなく、各スキャナSCが対応するパチンコ機P又はスロットマシンSからID情報を入力したか否かを表す対応情報を入力する構成としてもよい。この場合、各スキャナSCにおいて対応するパチンコ機P又はスロットマシンSからID情報を入力したか否かを判定する必要があるので、各スキャナSCのROMに対応するパチンコ機P又はスロットマシンSのID情報を記憶させておく必要がある。
(8)上記各実施の形態において、各スキャナSCの配置位置は任意である。例えば、パチンコ機PやスロットマシンSが備え付けられる島設備内に各スキャナSCを配置してもよい。また、パチンコ機PやスロットマシンSの側部に設けられる遊技球貸出操作装置に各スキャナSCを搭載する構成としてもよい。例えば、第6の実施の形態においては、前扉枠13の開放先端側且つ遊技機内部側の下部にシール330を貼り付けることによってアンテナ付きICチップ303を設置したが、アンテナ付きICチップ303が前扉枠13に埋め込まれていてもよいし、前扉枠13の開放基端側にシール330が貼り付けられていてもよい。すなわち、アンテナ付きICチップ303を設置する場所は特定しないし、アンテナ付きICチップ303がシール330に埋め込まれていなくともよい。ただし、前扉枠13の開放基端側に設置するならば、前扉枠13が開放されていても、前扉枠13が閉鎖されている場合と比してアンテナ付きICチップ303の位置が移動しないため、応答可能範囲の設定が難しくなることが考えられる。
(9)上記第1の実施の形態や上記第3の実施の形態において、各スキャナSCを各パチンコ機Pに1対1で設ける構成としてもよい。また、かかる構成において、各スキャナSCを各パチンコ機Pに搭載する構成としてもよい。また、これと同様に、上記第2の実施の形態において、各スキャナSCを各スロットマシンSに搭載する構成としてもよい。
また、各実施の形態において、スキャナSCを3台、4台又は5台以上の遊技機に対して1台設ける構成としてもよい。
(10)上記第1の実施の形態及び上記第3の実施の形態において、主側ICチップ305からID情報(第1ID情報)を入力しなかった場合と、払出側ICチップ320bからID情報(第2ID情報)を入力しなかった場合とで、それぞれ異なる報知を行う構成としてもよい。例えば、第1ID情報用の報知部と、第2ID情報用の報知部とをそれぞれ別に設ける構成としてよい。より詳細には、パチンコ機10の背面等に第1ID情報用のランプ部と、第2ID情報用のランプ部を設ける。これにより、エラー報知が行われた場合において、主制御装置271と払出制御装置311とでいずれに対して不正行為が行われたかを、遊技ホールの管理者等が容易に把握することができる。
(11)上記第1の実施の形態及び上記第3の実施の形態において、主制御装置271におけるアンテナ付きICチップ303のアンテナ部306のパターンと、払出制御装置311におけるアンテナ付きICチップ320aのアンテナ部320cのパターンとを同一としたが、異なるパターンとしてもよい。ただし、この場合、各アンテナ付きICチップ303,320aの動作周波数が異なるため、それぞれに対応した動作周波数の呼出波を出力可能なスキャナSCを設ける必要がある。そして、不正検出処理においては、主制御装置271に対応したID情報を読み取るための主側検出処理と、払出制御装置311に対応したID情報を読み取るための払出側検出処理とを設ける必要がある。
(12)上記第1の実施の形態及び上記第3の実施の形態において、1台のスキャナSCに対応した各パチンコ機Pにおける各アンテナ部306,320cのパターンを異なるパターンとしてもよい。ただし、この場合、各パチンコ機P毎にID情報を呼び出すための動作周波数が異なるため、それぞれに対応した動作周波数の呼出波を出力可能とするスキャナSCを設ける必要がある。
(13)上記第1の実施の形態において、主側ICチップ305に記憶された第1ID情報、及び払出側ICチップ320bに記憶された第2ID情報の内容は任意である。例えば、第1ID情報が「12345」であり、第2ID情報が「98765」である構成としてもよい。
また、第1ID情報が「100A」であり、第2ID情報が「200A」であるといったように、第1ID情報と第2ID情報とでそれぞれ同一の特定情報(ここでは、「00A」)を有する構成としてもよい。この場合に、ホールコンピュータHCは、各パチンコ機Pに関して入力したID情報がROM532に記憶した第1ID情報か第2ID情報か否かを判定することで不正を判定するのではなく、同一の特定情報を有する2つのID情報を入力したか否かを判定することで不正を判定する構成としてもよい。かかる構成とすることにより、ホールコンピュータHCのROM532に全ID情報を記憶させておく必要がないので、ROM532の記憶容量の削減を図ることができる。なお、かかる構成を上記第3の実施の形態におけるホールコンピュータHCに対して適用してもよい。
(14)上記第1の実施の形態及び上記第3の実施の形態において、一のパチンコ機Pにおける主側ICチップ305に記憶された第1ID情報と、払出側ICチップ320bに記憶された第2ID情報とを同一の情報としてもよい。ただし、本構成においては、主制御装置271に対する不正行為と払出制御装置311に対する不正行為とを区別して認識するために、スキャナSCから出力される呼出波を、第1周波数の第1呼出波と第2周波数の第2呼出波とで2種類設定し、さらに主制御装置271のアンテナ部306を第1周波数に対応させて形成し、払出制御装置311のアンテナ部320cを第2周波数に対応させて形成する必要がある。
(15)上記第1の実施の形態における遊技球発射制御処理(図41)において、ステップS604にて発射許可フラグがセットされていないと判定された場合には発射カウンタLCを0クリアする構成としてもよい。この場合、遊技者によって遊技球発射ハンドル18が操作されてから所定期間が経過するまでは遊技球が発射されない。そして、この所定期間を、スキャナSCが呼出波を出力してから各ID情報を入力し、そのID情報がホールコンピュータHCにおいて入力されるまでに要する期間(即ち、不正検出処理においてステップS1305から実行されてからステップS1310が実行されるまでに要する期間)よりも長くすることで、呼出波が出力されている間に遊技球の発射が開始されてしまうことを防止することができる。
(16)上記第1の実施の形態において、遊技球発射機構160から発射した遊技球の数と遊技領域を流下し終えた遊技球の数とをカウントし、両者の差が「0」でない場合にはスキャナSCから呼出波を出力しないようにする構成としてもよい。この場合、遊技領域を遊技球が流下している間は確実に呼出波の出力を防止することができる。
(17)上記第1の実施の形態において、ホールコンピュータHCが表示制御装置214から可変表示中信号を入力することで、図柄表示装置41にて図柄が可変表示されているか否かを判定する構成としたが、主制御装置271や音声ランプ制御装置272から当該可変表示中信号を入力する構成としてもよい。また、払出装置358の駆動信号を払出制御装置311から入力する構成としてもよい。
(18)上記第1の実施の形態において、ホールコンピュータHCが電源及び発射制御装置313から発射許可信号を入力するのではなく、発射スイッチ331、タッチセンサ332、及び止め打ちスイッチ333から直接信号を入力する構成としてもよい。
(19)上記第1の実施の形態では、図柄表示装置41を備えたパチンコ機10に対して本発明を適用したが、それ以外のタイプのパチンコ機に適用してもよい。例えば、遊技球転動部や有利口などが設けられた入賞役物装置を備えたパチンコ機に対して本発明を適用してもよい。
(20)上記第2の実施の形態では、各スロットマシンSにおいて、1遊技回に1回、スキャナSCから呼出波を出力しID情報の確認を行う構成としたが、これに代えて、複数遊技回に1回、各スキャナSCから呼出波を出力しID情報の確認を行う構成としてもよい。
(21)上記第2の実施の形態において、補助表示部579にて遊技における各種演出を行っている間はスキャナSCから呼出波を出力しない構成としてもよい。この場合、スキャナSCからの呼出波やICチップ585aからの応答波が補助表示部579における表示に対してノイズとなることを防止することができる。
(22)上記第2の実施の形態において、メダル通路切替ソレノイドの励磁状況をセレクタ565からホールコンピュータHCに出力する構成としてもよい。この場合、メダル不許可状態にあるか否かをホールコンピュータHCに把握させることができる。
(23)取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機に上記第2の実施の形態における不正監視システムを適用してもよい。
(24)上記第3の実施の形態において、各スキャナSCからの呼出波の出力タイミングを異ならせてもよい。例えば、スキャナSC−1が呼出波を出力してから特定時間(例えば、1min)後にスキャナSC−2が呼出波を出力し、当該スキャナSC−2が呼出波を出力してから特定時間後にスキャナSC−3が呼出波を出力する構成としてもよい。
(25)上記第3の実施の形態において、スキャナSCに出力周期計測タイマを設け、当該タイマを参照することでスキャナSCが独自に呼出波を出力する構成としてもよい。
(26)上記第3の実施の形態における不正監視システムの構成をパチンコ機Pに対してではなく、スロットマシンSに対して適用してもよい。また、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機に対して適用してもよい。さらには、上記各種遊技機に対してまとめて適用してもよい。
同様に、上記第6の実施の形態における不正監視システムの構成をパチンコ機Pに対してではなく、スロットマシンSに対して適用してもよい。また、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機に対して適用してもよい。スロットマシンSに適用した場合には、例えば、前面扉552の開放先端側にシール330又はアンテナ付きICチップ303を設置しておけばよく、さらに、スキャナSCをスロットマシンSの後方又は筐体551におけるスロットマシンSの後方側に設置しておけばよい。この場合でも、前面扉552の開放に伴い、アンテナ付きICチップ303が移動するため、前面扉552の開放を検知し、不正行為が行われたことを良好に確認することができる。
(27)上記各実施の形態において、ホールコンピュータHCのROM532が各パチンコ機Pや各スロットマシンSの各ID情報とともに、各パチンコ機PやスロットマシンSの遊技機情報を記憶する構成としてもよい。この遊技機情報について上記第1の実施の形態について例示すると、遊技盤30の右下隅部や左下隅部のスペースSa,Sbに貼り付けられた証紙に記載された情報が考えられる。
(28)パチンコ機PやスロットマシンSなどの遊技機が多数設置される遊技ホールにおいては、島設備が多数列に設けられており、それら各島設備の両面側にそれぞれ複数の遊技機が設置されている。この場合に、各島設備毎に管理装置を設け、各島設備に設けられた各スキャナSC(各島設備に設置されたパチンコ機Pに搭載された各スキャナSC)への開始制御又は各スキャナSCからのID情報の収集を対応する島設備の管理装置にて行う構成としてもよい。そして、そのID情報の収集結果に基づいて各管理装置がエラー表示処理などを行う構成としてもよい。また、ID情報の収集結果をホールコンピュータHCに出力し、ホールコンピュータHCにおいてエラー表示処理などを行う構成としてもよい。
(29)上記第4の実施の形態においては、ID情報の読み取り時間Taを、想定される各不正行為の作業時間のうち最短となる作業時間の半分となるように設定したが、これに代えて、かかる最短となる作業時間の1/4や3/4となるように設定してもよい。すなわち、ID情報の読み取りが不正行為の作業中に少なくとも一度発生するのであれば、読み取り時間Taの設定値は任意である。なお、ID情報の読み取りが不正行為の作業中に確実に発生するようにすべく、読み取り時間Taを想定される各不正行為の作業時間のうち最短となる作業時間の半分以下となるように設定するのが好ましい。
(30)上記第4の実施の形態では、スキャナSCが出力周期タイマを備え、呼出波の出力タイミングをスキャナSCにて決定したが、これに代えて、出力周期タイマをホールコンピュータHCに設け、呼出波の出力タイミングをホールコンピュータHCにて決定してもよい。
(31)上記第4の実施の形態では、スキャナSCに対してデータ記憶保持用コンデンサ607から動作電力を供給することで、パチンコ機Pの電源がOFF状態であってもスキャナSCにてID情報の読み取りが実行されるようにしたが、これを変更してもよい。例えば、パチンコ機Pの電源がOFF状態であってもホールコンピュータHCからスキャナSCに対して動作電力を供給するようにしてもよい。また、スキャナSCに固有の電源部を搭載するようにしてもよい。
また、パチンコ機Pの電源がOFF状態の場合には、スキャナSCに対して動作電力が供給されないようにしてもよい。つまり、遊技ホールの閉店後などにおいては、スキャナSCにおいてID情報読み取り処理を実行しないようにしてもよい。当該構成であっても、パチンコ機Pの電源がON状態とされることで、スキャナSCにおいてID情報読み取り処理が再開される。そして、当該ID情報読み取り処理では、アンテナ付きICチップ(電子タグ)に記憶されたID情報が読み取られ、それがホールコンピュータHCに対して出力される。よって、パチンコ機Pの電源がOFF状態の間に主制御装置などに不正が行われていたとしても、それを発見することが可能となる。また、仮に、スキャナSCが不正なスキャナに交換されていたとしても、正規のスキャナSCからは識別用固有情報が出力される構成であるため、その識別用固有情報の有無や識別用固有情報が正規のものか否かをホールコンピュータHCにて確認することで、スキャナSCに対する不正を発見することが可能となる。なお、不正行為をより確実に発見するためには、上記第4の実施の形態や上記第5の実施の形態のように、パチンコ機Pの電源がOFF状態であってもスキャナSCに対して動作電力を供給し、ID情報読み取り処理を実行するようにするのが好ましい。
(32)上記第4の実施の形態では、スキャナSCを取付台251に取り付けたが、当該スキャナSCを主制御装置271の基板ボックス273内に収容させてもよい。また、スキャナSCの代わりに、主制御基板278にID情報読み取り用の電子部品を実装し、さらに配線パターンを形成することでスキャナ手段(リーダ手段)を設ける構成としてもよい。
(33)上記第4の実施の形態において、パチンコ機Pの電源がOFF状態となる遊技ホールの閉店時には、スキャナSCにて読み取ったID情報及びその読み取り時間をスキャナSCにおいて記憶保持し、パチンコ機Pの電源がON状態となる遊技ホールの開店時にその記憶保持しているID情報及びその読み取り時間をホールコンピュータHCに出力するようにしてもよい。この場合、遊技ホールの閉店時においてはホールコンピュータHCの電源をON状態としなくても、上記第4の実施の形態における効果と同様の効果を奏する。
(34)上記第4の実施の形態及び上記第5の実施の形態において、異常処理を実行する場合、不正発見の時間も合わせてホールコンピュータHCのRAM533に記憶するようにしてもよい。また、不正発見の時間も合わせてホールコンピュータHCの表示装置535に表示するようにしてもよい。
(35)上記第4の実施の形態において、スキャナSCにおける出力周期タイマをカウンタとして構成してもよい。すなわち、ID情報読み取り処理は、例えば、2msec周期などといったように定期的に実行されるため、ID情報読み取り処理を実行する毎にカウンタの値に1加算していく構成とすることで、カウンタの値によって出力周期を特定することが可能となる。なお、このカウンタの構成をホールコンピュータHCにおける監視タイマに対して適用してもよく、また上記第5の実施の形態において、スキャナSCの応答時間計測タイマなどに対して適用してもよい。
(36)上記第4の実施の形態における不正検出に関する処理構成と上記第5の実施の形態における不正検出に関する処理構成とを共に有する構成としてもよい。すなわち、ID情報の読み取り周期を想定される各不正行為の作業時間のうち最短となる作業時間の約半分となるように設定するとともに、ID情報の読み取りに際しては応答時間の計測を行うようにする。これにより、パチンコ機Pに対する不正行為をより確実に発見することができる。
(37)上記各実施の形態において、リーダ/ライタとしての機能を有するスキャナではなく、リーダのみの機能を有するスキャナを用いてもよい。
(38)第6の実施の形態では、パチンコ機Pの電源が切断されているか否かにかかわらず、予め定められた周期にてスキャナSCから呼出波が出力されたが、パチンコ機Pに電源が入れられている場合は、呼出波が出力されないように設定していてもよいし、遊技中には呼出波が出力されないよう設定していてもよい。
(39)第6の実施の形態では、前扉枠13が開放されたか否かによって不正行為を監視する構成としたが、これに加え、例えば、第5の実施の形態のように主制御装置271にも封印シール300が貼り付けられている構成にしてもよい。
この場合、前扉枠13が開放されたか否かを監視するだけでなく、主制御装置271にも不正行為が行われたか否かを監視することができる。
前扉枠13が開放されたか否か及び主制御装置271に不正行為が行われたか否かを監視することによって不正行為を良好に抑制することができる。
(40)上記第6の実施の形態では、スキャナSCはパチンコ機Pの外部に設置されていたが、かかる構成に限定されるものではない。
スキャナSCがパチンコ機Pの内部に設置されていてもよい。この場合、パチンコ機Pの電源が切断されていてもスキャナSCに電力が供給されるよう設定するのが望ましい。パチンコ機Pとは異なって電力を供給する方法として、例えば、スキャナSCが電池やコンデンサを備えており、電池やコンデンサからスキャナSCに電力を供給する方法が考えられる。パチンコ機Pの電源が切断されていてもスキャナSCに電力が供給されることによって、遊技ホールの営業時間が終了しており、パチンコ機Pの電源が切断されていたとしても不正行為が行われたか否かの監視を良好に行うことができる。
(41)上記第5及び第6の実施の形態では、特定期間が経過することによって電波出力信号がスキャナSCに出力され、電波出力信号が入力されることによってアンテナ付きICチップ303からのID情報の読み取りを開始する構成としたが、かかる構成に限定されるものではない。
スキャナSCは常にアンテナ付きICチップ303からのID情報の読み取りを行っており、その読み取りに対応したID情報がアンテナ付きICチップ303からスキャナSCに入力されることによって不正行為を監視するものが考えられる。すなわち、スキャナSCは連続的にID情報の読み取りを行っており、連続的に不正行為を監視しているともいえる。この場合、一のID情報の読み取りに対応したID情報が所定期間内にアンテナ付きICチップ303からスキャナSCに入力されなかった場合に、異常処理を実行すればよい。