(第1の実施の形態)
以下、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)に関する第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開又は分解して示す斜視図、図3はパチンコ機10を構成する本体枠12の前面構成を示す正面図である。なお、図2、図3では便宜上、パチンコ機10の遊技領域内の構成を空白としている。
図1〜図3に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えている。外枠11は、遊技ホールへの設置の際に、いわゆる島設備に取り付けられる。外枠11は、木製の板材を全体として矩形枠状に組み合わせた状態とされ、各板材を小ネジ等の離脱可能な締結部材により固定することによって構成されている。したがって、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて構成部材の再利用(リユース)が容易な構成となっている。なお、外枠11を合成樹脂やアルミニウム等の金属によって構成してもよい。
外枠11の一側部には、本体枠12が開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を軸心にして本体枠12が前方側に開放できるようになっている。更に言うと、本パチンコ機10には右側に遊技球発射ハンドル18の設置箇所が設けられているため、遊技球発射ハンドル18とは反対側の側部を中心に本体枠12を開閉可能としたということができる。本体枠12は合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されている。ABS樹脂を用いることにより、比較的低コストで耐衝撃性の高い本体枠12を得ることができる。本体枠12をアルミニウム等の金属によって構成してもよい。なお本実施の形態では、外枠11と本体枠12とにより遊技機本体が構成されている。外枠11に代わる構成として設置枠体を遊技ホール側に予め設けておき、遊技ホールへのパチンコ機10の設置に際しては本体枠12を前記設置枠体に組み付ける構成とすることも可能である。かかる構成では、本体枠12とにより遊技機本体が構成される。
本体枠12の前面側の下部位置には、前面板14が設けられている。前面板14は横長状に形成され、その横幅は本体枠12の横幅とほぼ一致するように構成されている。前面板14は、幅方向ほぼ中央部において手前側へ膨出した膨出部15aを有するベース部15と、ベース部15の膨出部15a内側に設けられ下方にくぼんだ皿形状をなす球受皿としての下皿16と、下皿16の奥側の壁面を構成し、下皿16への球排出口17aが形成された奥壁パネル17とを備えている。ベース部15は本体枠12に対してネジ等の締結部材により固定されていることから、ベース部15が本体枠12に対する取付部を構成している。ベース部15には膨出部15aよりも右方に、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル18が設けられている。
遊技球発射ハンドル18は、操作ハンドル18aと支持台座18bとより構成されている。操作ハンドル18aは、ABS樹脂にて成形されており、その表面にメッキ処理が施されている。支持台座18bには、周知の構成のため図示による説明は省略するが、遊技者が操作ハンドル18aに触れていることを検知するためのタッチセンサ、操作ハンドル18aが操作されたことを検知するための発射スイッチ及び操作ハンドル18aの操作量を検知するためのダイヤル可変抵抗器が設けられている。さらに、操作ハンドル18aを操作した状態で、遊技球の発射を止めるべく操作される止め打ちスイッチが設けられている。これらタッチセンサ、発射スイッチ、ダイヤル可変抵抗器及び止め打ちスイッチの信号線は、後述する電源及び発射制御装置313に接続されている。
ベース部15の膨出部15a前面側にはスライド式の球抜きレバー19が設けられている。なお、球抜きレバー19はプッシュ式としてもよい。そして、球抜きレバー19が操作されると下皿16の底面に設けられた図示しない閉鎖板が一体に又はリンクを介して移動して球抜き穴が開放され、下皿16内の貯留球が下方に排出されるよう構成されている。球抜きレバー19には球抜き穴を塞ぐ側へ球抜きレバー19を付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられ、球抜きレバー19の操作が解除された際には付勢部材の付勢力によって閉鎖板が球抜き穴の開放位置に復帰する構成となっている。奥壁パネル17の球排出口17aとは異なる位置には、多数の小孔が集合したスピーカカバー部17bが形成されており、当該パネル17の後方に設置されたスピーカ20の出力音がスピーカカバー部17bを通じて前方に発せられるようになっている。なお、ベース部15には膨出部15aの左方に灰皿21が設けられている。
前面板14はその大部分が本体枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。前面板14はパチンコ機10の前面側に露出されるが、ABS樹脂で成形していることによって、装飾等の目的で表面の適宜箇所にメッキを施すことが可能となる。
本体枠12の前面側の前面板14を除く範囲には、本体枠12を覆うようにして前面扉としての前扉枠13が設けられている。したがって、前面板14と前扉枠13とにより本体枠12の前面側全体が覆われている。前扉枠13は、本体枠12に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。なお、前扉枠13は前面板14と同様、ABS樹脂にて成形されている。前扉枠13はパチンコ機10の前面側に露出されるが、ABS樹脂で成形していることによって、装飾等の目的で表面の適宜箇所にメッキを施すことが可能となる。
前扉枠13の下部位置には、下皿16の上方において手前側へ膨出した膨出部22が設けられ、その膨出部22内側には上方に開口した上皿23が設けられている。上皿23は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構160側へ導くための球受皿である。膨出部22前面側には上皿23用の球抜きレバー24が設けられており、この球抜きレバー24を操作すると上皿23の最下流部付近に設けられた球抜き通路(図示略)が開放され、上皿23内の貯留球が下皿16へ排出されるようになっている。なお、上皿23も下皿16等と同様、難燃性のABS樹脂にて構成することが可能である。
本パチンコ機10では、ガラス扉枠と前飾り枠とを個別に設けこれらを前面枠(本実施の形態の本体枠に相当)に対して各々開閉可能とすると共に前飾り枠に上皿を設けていた従来構成と異なり、ガラス扉枠と前飾り枠とを1つに統合して前扉枠13とし、前扉枠13に対して一体的に上皿23を設ける構成としている。この場合、ガラス扉枠と前飾り枠とを1つに統合して前扉枠13としたため、当該前扉枠13においてガラス支持構造の強度向上が実現できる。つまり、本パチンコ機10では、遊技領域の拡張を目的とし、その遊技領域拡張に伴い大きめのガラス137を前扉枠13に搭載している。したがって、ガラス周囲の枠部分が幅狭になり、強度低下の問題が懸念されるが、ガラス下方に上皿一体の枠部分を設けること等によりガラス支持構造の十分な強度が確保できる。また、前扉枠13は、少なくともその開閉の際に遊技球発射ハンドル18と干渉しないようにして下方に拡張されている。
図3に示すように、本体枠12は、外形が前記外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース25を主体に構成されており、樹脂ベース25の中央部には略円形状の窓孔26が形成されている。樹脂ベース25の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。図4に示すように、遊技盤30は略四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース25の裏側に当接した状態で取着されている。すなわち、遊技盤30はパチンコ機10後方より取り付けられ、遊技盤30の前面部の略中央部分だけが樹脂ベース25の窓孔26を通じて本体枠12の前面側に露出した状態となっている。
次に、遊技盤30の構成を図4に基づいて説明する。遊技盤30には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35等がそれぞれ設けられている。実際には、一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35は木ねじ等により遊技盤表面に取り付けられている。本実施の形態では、可変表示ユニット35が遊技盤30の略中央に配置され、その下方に作動口33が配置され、さらにその下方に可変入賞装置32が配置されている。また、可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート34が配置され、遊技盤30の下部両側に一般入賞口31がそれぞれ複数配置されている。作動口33には、所定の条件下で作動状態(開放状態)となる電動役物が付随的に設けられている。前記一般入賞口31、可変入賞装置32及び作動口33に遊技球が入ると、それが後述する検出スイッチにより検出され、その検出結果に基づいて上皿23(場合によっては下皿16)に対し所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30の最下部にはアウト口36が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。アウト口36は、遊技盤30の下端略中央を逆U字状に切り欠いて形成されている。そのため、アウト口を穴状に形成していた従来構成に比べ、アウト口形成が容易となる(但し、図4では手前側にレールユニット50が重ねて設けられているため、アウト口36が閉じた状態で示されている)。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されていると共に、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
遊技盤30の左右両側部には、組付相手である本体枠12の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように凹部としての切欠38が複数箇所に形成されている。
可変表示ユニット35には、作動口33への入賞をトリガとして第1図柄(特別図柄)を変動表示する図柄表示装置41が設けられている。可変表示ユニット35には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム43が配設されている。このセンターフレーム43は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置41の表示画面の前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示画面の視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。センターフレーム43の上部中央には、第1特定ランプ部47及び第2特定ランプ部48が横並びの状態で設けられている。また、これら両特定ランプ部47,48が配設された領域を挟むように、第1特定ランプ部47及び図柄表示装置41に対応した保留ランプ44が設けられている。遊技球が作動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ44の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、保留ランプ44は、図柄表示装置41の一部で変動表示される構成等であっても良い。上述したように、センターフレーム43の上部がパチンコ機10前方に延出していることにより、保留ランプ44、第1特定ランプ部47及び第2特定ランプ部48の視認性が遊技球の落下により阻害されない構成となっている。センターフレーム43の下部には、第2特定ランプ部48に対応した保留ランプ46が設けられている。遊技球がスルーゲート34を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、保留ランプ46は、前記保留ランプ44と同様に、図柄表示装置41の一部で変動表示される構成等であっても良い。
図柄表示装置41は8インチサイズの液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて第1図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。この図柄の変動表示については、後に詳細に説明することとする。なお、図柄表示装置41は、8インチ以外の10インチ,7インチ等の液晶ディスプレイを備えたもの、ワイドサイズのディスプレイを備えたもの、又はCRT,ドットマトリックス,7セグメント等その他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。
第1特定ランプ部47には、その内側に赤、緑、青の3色発光タイプのLEDランプが配設されている。そして、作動口33への入賞をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、作動口33への入賞をトリガとして、赤色光が点灯され、その状態で所定時間が経過すると緑色光に発光色が切り替えられる。そして、緑色光が点灯された状態で前記所定時間が経過すると青色光に発光色が切り替えられる。その後、発光色の切り替え停止時期がくるまで、赤色、緑色、青色という順序で発光色の切り替えが繰り返し行われる。これにより、第1特定ランプ部47には、赤色、緑色、青色が、この順序で繰り返し表示されることとなる。そして、最終的に赤色又は緑色が停止表示された場合には、大当たりが発生し、青色が停止表示された場合には、大当たりが発生しない。また、最終的に赤色で停止表示された場合と、最終的に緑色で停止表示された場合とで、大当たりの種類が異なり、前者の方が遊技者に有利な大当たりが発生する(いわゆる、確変大当たり)。
一方、第2特定ランプ部48には、その内側に赤、緑の2色発光タイプのLEDランプが配設されている。この第2特定ランプ部48は、スルーゲート34の通過をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、遊技球がスルーゲート34を通過すると、赤色光の点灯と緑色光の点灯とが交互に行われる。これにより、第2特定ランプ部48には、赤色、緑色が交互に表示されることとなる。そして、赤色が停止表示された場合には、作動口33に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となるよう構成されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。より詳しくは、大当たりが発生すると、可変入賞装置32が所定の開放状態となり、遊技球が入賞し易い状態となる。可変入賞装置32の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32内の継続入賞口への入賞を条件として次ラウンドへの移行条件成立とし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置32が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤30には、後述する遊技球発射機構160から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射機構160から発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品にて構成されており、より具体的には、摩擦抵抗を低減するべくフッ素配合のポリカーボネート樹脂が用いられている。レールユニット50は、内外二重に設けられた内レール部51と外レール部52とを有する。内レール部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、外レール部52は内レール部51の上方開放領域を囲むようにかつ内レール51の左側部と並行するように略半円環状に形成されている。
内レール部51は、他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられている。また、外レール部52は、内レール部51と同様に他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられた支持部52aを有し、その支持部52aの内側面に、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするための摺動プレート52bが取り付けられている。摺動プレート52bは、長尺状をなすステンレス製の金属帯よりなり、複数箇所で支持部52aに支持されている。かかる場合、内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、これら各レール部51,52が所定間隔を隔てて対向する部分により球案内通路が形成されている。なお、内外のレール部51,52が対向する部位では、遊技盤30との当接部53により各レール部51,52が連結されており、球案内通路は手前側に開放した溝状に形成されている。
レールユニット50において、前記球案内通路より遊技球が飛び出す部位(図4の左上部)には戻り球防止部材54が取着され、該飛び出した遊技球の最大飛翔部分に対応する部位(図4の右上部)には返しゴム55が取着されている。戻り球防止部材54により、一旦球案内通路から遊技盤30の上部へと飛び出した遊技球が球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム55に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。
レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされる。ここで、レールユニット50の上下及び左右の各端部は略直線状に形成されている。つまり、レールユニット50の上下及び左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。レールユニット50は、遊技盤30上の遊技領域の最大幅となる位置が遊技盤30の左右端位置に至るように配設されている。なお、レールユニット50の球案内通路に対応する部位のなかでも特に遊技球の受け入れ部位に関しては、当該レールユニット50を強固に取り付けて遊技球の飛びを安定させるべく、該当するフランジ56が他よりも多い箇所(本実施の形態では3カ所、他は2カ所)でネジ止めされている。
内レール部51及び外レール部52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。凸部57は、内レール部51の外周部から下方へ延びるように形成され、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路76(図3参照)に導く機能を有する。遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレートを貼着するためのスペース(図のSa,Sb)となっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58a,58bが形成されている。証紙等のシールを遊技盤30に直接貼り付ける構成とすることで、証紙等の不正な貼り直し等が行いにくいものとなっている。
遊技盤30においてレールユニット50よりも外方の左上部には、前後に貫通した中継端子孔59が設けられており、この中継端子孔59を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60がパチンコ機10前面側に露出されるようになっている。
次に、遊技領域について説明する。遊技盤30の盤面はレールユニット50(内外レール部51,52)により内外領域に区画され、略円形状に区画された内側領域が遊技領域とされている。
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て内レール部51及び外レール部52によって囲まれる領域のうち、内外レール部51,52の対向部分である球案内通路の領域を除いた領域として説明する。つまり、遊技領域は球案内通路部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール部52によってではなく内レール部51によって特定される。また、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール部51によって特定され、遊技領域の下側限界位置はアウト口36が形成された遊技盤30の下端位置によって特定され、遊技領域の上側限界位置は外レール部52によって特定される。
遊技領域の拡張に関連して、可変表示ユニット35の両側に位置するスルーゲート34は、該ゲート34を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の作動口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。また、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、比較的大型の可変表示ユニット35を遊技領域中央に設けても、可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート34、風車37、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための三角釘等の誘導釘)、他の役物などを余裕をもって配設することができ、可変表示ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の流れが単調とならず、遊技球の挙動を存分に楽しませることができる。
図3の説明に戻り、樹脂ベース25の窓孔26(遊技盤30)の下方には、遊技球発射機構160が取り付けられている。遊技球発射機構160は、図5に示すように、ベース部材としての金属板161を備えており、金属板161には、電磁式のソレノイド162と、発射レール163とが取り付けられている。
ソレノイド162は、本体部162aと出力軸162bとを主要構成部品として備えており、本体部161aへの電気的な信号の入力に基づき通電され、出力軸162bが伸縮方向に移動する。また、ソレノイド162は、通電時に出力軸162bが左斜め上方へ突出するように配置されている。発射レール163は、ソレノイド162により打ち出された遊技球を案内するものであり、その長手方向が出力軸162bの伸縮方向に延びるように配置されている。なお、発射レール163上には前扉枠13側の球出口(上皿23の最下流部より通じる球出口)から1つずつ遊技球Bが供給されるが、当該遊技球Bを発射レール163上に保持するためのストッパ164が金属板161上に取り付けられている。
以上の構成において、遊技者により遊技球発射ハンドル18が操作されるのに基づいてソレノイド162が通電されると出力軸162bが突出し、発射レール163上においてストッパ164により保持されている遊技球が打ち出される。そして、当該遊技球は発射レール163上を移動し、遊技領域に打ち出される。
発射レール163と球案内通路との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路76が設けられている。したがって、仮に遊技球発射機構160から発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らずファール球として球案内通路内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路76を介して下皿16に排出される。
ファール球が球案内通路内を逆流してくる際、その多くは外レール部52に沿って流れ、外レール部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は球案内通路内で暴れ、内レール部51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路76に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路76に確実に案内され、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
また、本体枠12の前面において発射レール163の左側には、左右一対の排出口66,67が形成されると共に、その前方に、排出口66,67より排出された遊技球を上皿23又は下皿16の何れかに案内するための遊技球案内ユニット70が取り付けられている。便宜上以下の説明では、排出口66を第1排出口、排出口67を第2排出口ともいう。これら排出口66,67は、本体枠12の背面に設けられた遊技球分配部245(図10参照)に通じており、基本的に第1排出口66より遊技球の排出が行われ、この第1排出口66も含め上皿23に通じる通路が遊技球で一杯になると、第1排出口66に代えて第2排出口67より遊技球の排出が行われるようになっている。
遊技球案内ユニット70は、ポリカーボネート樹脂等の透明な樹脂材料により内部を視認可能に構成され、本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した状態で本体枠12と前扉枠13との間に収まるよう厚みが比較的薄くなるように形成されている。遊技球案内ユニット70には、前述のファール球通路76が一体的に形成されている。遊技球案内ユニット70には、前記排出口66,67と下皿16とを連通するための球排出通路71が形成されている。遊技球案内ユニット70には、本体枠12の第1排出口66の手前側に、上皿23に連通する連通口72が形成され、連通口72を閉鎖するようにして開閉プレート73が取り付けられている。開閉プレート73は支軸74により回動可能に支持され、付勢手段としてのバネ75により連通口72を閉鎖する位置に常時付勢されている。
遊技球案内ユニット70の上記構成によれば、前扉枠13を開放した状態ではバネ75の付勢力により開閉プレート73が図示の如く起き上がり、連通口72を閉鎖する。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が球排出通路71を通じて下皿16に案内される。したがって、連通口72の上流側に遊技球が貯留されている状態で前扉枠13を開放した場合、その貯留球は連通口72よりこぼれ落ちることなく、球排出通路71を通じて下皿16に流下する。つまり、前飾り枠が省略され前扉枠13に対して上皿23が直接設けられる構成とした本パチンコ機10にあっても、前扉枠13の開放に際し連通口72の上流側にある遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠13を閉鎖した状態では、前扉枠13の裏面に設けられた球通路樋138(図2参照)によりバネ75の付勢力に抗して開閉プレート73が押し開けられる。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が連通口72を介して上皿23に案内される。したがって、連通口72より上流側の遊技球は上皿23に払い出される。なお、遊技球案内ユニット70の球排出通路71下流側には、下皿16に排出された遊技球が一杯(満タン)になったことを検知する下皿満タンスイッチが取り付けられている。
樹脂ベース25には、窓孔26の右下部に略四角形状の小窓78が設けられている。したがって、遊技盤30の右下隅部スペース(図4のSa)に貼られた証紙等は、この小窓78を通じて視認できるようになっている。この小窓78から遊技盤30上に証紙等を直接貼り付けることも可能である。
樹脂ベース25には、窓孔26の左上部にも小窓79が設けられている。この小窓79は、図4で説明した遊技盤30の中継端子孔59に対応する位置にそれとほぼ同一の形状で設けられ、中継端子孔59及び小窓79を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60が本体枠12の前面側に露出される。かかる構成において、前扉枠13側に設けた各種ランプに対しては、本体枠12(樹脂ベース25)の小窓79より露出した接続コネクタ60を介して電気的な接続がなされている。樹脂ベース25の上部には、前扉枠13の開放の状態を検出するための前扉枠開放スイッチ27が設けられている。前扉枠開放スイッチ27は、樹脂ベース25の前面に出没可能なピンを有しており、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠13の閉鎖が検知され、本体枠12に対して前扉枠13を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠13の開放が検知されるようになっている。樹脂ベース25の左右2カ所には、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた際に前扉枠13背面の金具類(図6に示す補強板131〜134)に接触し、且つその金具類を本体枠12側に導通させてアース(接地)するための金属片28a,28bが取り付けられている。したがって、金属片28a,28bを通じて、前扉枠13背面の金具類が本体枠12側の施錠装置やヒンジ金具に導通され、これら施錠装置やヒンジ金具と共にアースされる。
本体枠12の左端側(開閉軸線側)には、前扉枠13を開閉可能に支持するための支持機構として、上下一対の支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には上方へ突出する突起軸84が設けられている。なお、支持金具81,82に支持される前扉枠13の具体的構成については後述する。また、本体枠12の右端側(開閉軸線とは反対側)には、前扉枠13裏面側の開放端側に設けた上下一対の鉤金具155,156(図2参照)を挿入するための挿入孔87,88がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠12や前扉枠13を施錠状態とするための施錠装置が本体枠12の裏面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具155,156が挿入孔87,88を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠13が本体枠12に対して開放不能に施錠される。
本体枠12の右下隅部には、外枠11に対する本体枠12の施錠及び解錠、並びに本体枠12に対する前扉枠13の施錠及び解錠を行うための鍵部材としてのシリンダ錠91が設置されている。シリンダ錠91は施錠装置に一体化されており、施錠装置のうちシリンダ錠91だけが本体枠12の前方に突出した状態で設けられている。この場合、シリンダ錠91は、遊技領域の最大幅となる位置とは異なる位置に設けられている。シリンダ錠91は、本体枠12の施解錠と前扉枠13の施解錠とを共に賄う機能を有しており、鍵穴に差し込んだキーを左(反時計回り方向)に回すと本体枠12の施錠が解かれ、逆にキーを右(時計回り方向)に回すと前扉枠13の施錠が解かれるようになっている。
図2に示すように、本体枠12には、シリンダ錠91を囲むようにして縦長状のカバー部材92が取り付けられている。詳細な図示は省略するが、カバー部材92には、その上端部及び下端部に係止部(フック)が形成されている。したがって、上側の係止部を本体枠12側に係止させると共に、下側の係止部を本体枠12と前面板14との間に挟み込むことにより、カバー部材92が本体枠12に取り付けられる。前扉枠13には、カバー部材92の形状に合わせて切欠部145が形成されており、前扉枠13を閉鎖した状態ではこの前扉枠13と共にカバー部材92がパチンコ機前面部を構成する。なお、前扉枠13を閉鎖したとき、カバー部材92に形成された鍔部が前扉枠13により押さえられ、カバー部材92のがたつきが防止されるようになっている。
次に、前扉枠13について図1,図6を参照しつつ説明する。なお、図6は、前扉枠13の背面図である。
前扉枠13には遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした視認窓としての窓部101が形成されている。窓部101は、円形に近い略楕円形状をなし、より詳しくは、その左右側の略中央部が上下側に比べて緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になる形状であってもよい。
前扉枠13の下端部における左右両側には、本体枠12表面や遊技盤30表面等(証紙等を含む)の一部を視認できるよう透明樹脂を取り付けた小窓107が設けられている。小窓107に取り付けられる透明樹脂は、その内部の証紙等を工場等で容易に機械読み取りできるよう平坦状に構成される。但し、小窓107に、内部の証紙等をホール作業者等が容易に目視できるよう拡大レンズ部を設けることも可能である。
前扉枠13にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御されることにより、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部101の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状ランプ102が左右対称に設けられ、環状ランプ102の中央であってパチンコ機10の最上部にはLED等の発光手段を内蔵した中央ランプ103が設けられている。本パチンコ機10では、中央ランプ103が大当たりランプとして機能し、大当たり状態時に点灯や点滅を行うことにより大当たり中であることを報知する。また、上皿23周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿ランプ104が設けられている。その他、中央ランプ103の左右側方には、賞球払出中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とがそれぞれ設けられている。なお、環状ランプ102は、内外二重の樹脂カバー層とその内側に収容された発射板付き発光体(LED)とよりなり、樹脂カバー層の各々の内側面には各層で縦横に交差する向きに突条(又は波状の突起)が設けられている。外側の樹脂カバー層は透明であり、内側の樹脂カバー層は有色である。したがって、環状ランプ102を発光させれば、多数に分散化された状態、又は立体感を伴った状態の電飾が実現できるようになる。樹脂カバー層には、ガラス粉末入りの樹脂材料を用いると良い。このような樹脂カバー層の構成は、他のランプ(例えば中央ランプ103や賞球ランプ105)に適用することもできる。
前扉枠13には、窓部101の下方位置に、貸球操作部120が配設されている。貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたCRユニットに紙幣やカード等を投入した状態で、貸球操作部120によって球貸し操作、カード返却操作及びカード度数の確認を行うことができる。すなわち、球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタン122は、CRユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、CRユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機(いわゆる現金機)では貸球操作部120が不要となるが、かかる場合には、貸球操作部120の設置部分に飾りシール等が付されるようになっている。これにより、貸球操作部120を設けた本パチンコ機10の構成において、CRユニットを用いたパチンコ機(いわゆるCR機)と現金機との共用が可能となる。
前扉枠13の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図6に示すように、前扉枠13の裏側にあって窓部101の左右及び上下の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。これにより、補強板131〜134による電気経路の閉じたループが切断され、ノイズの原因となる磁界の発生等が防止されている。
図6の右側となる開閉軸線側の補強板131にはその上端部及び下端部に、本体枠12に対する組付機構として、組付金具151,152が取り付けられている。そして、本体枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前扉枠13側の組付金具151,152が取り付けられている。すなわち、下側の組付金具152には下面に開口する軸穴が形成されており、その軸穴に下側の支持金具82の突起軸84が挿入される一方、上側の組付金具151の軸部が上側の支持金具81の支持孔83に挿入されることにより、本体枠12に対して前扉枠13が開閉可能に支持されている。また、同補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前扉枠13を閉じた状態で本体枠12の孔部12a(図3参照)に挿入されるように構成されている。これにより、上皿23を含む形態で前扉枠13を構成し、その上下の軸支間隔を長くした本パチンコ機10においても、中間位置における前扉枠13の浮き上がりが防止できる。それ故、前扉枠13を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
図6の左側となる開閉軸線とは反対側の補強板132には鉤形状をなす上下一対の鉤金具155,156が取り付けられている。これら鉤金具155,156は、後方に延び、本体枠12に設けた挿入孔87,88(図3参照)に対応するようにして設けられている。本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した際、鉤金具155,156が本体枠12側の挿入孔87,88に挿入されて施錠装置により施錠状態とされるようになっている。
下側の補強板134には、前記発射レール163に対向する位置に樹脂ケース136が取り付けられている。樹脂ケース136には、前記貸球操作部120用の回路基板が収容されている。樹脂ケース136の背面(図6に見える面)は平坦状をなし、前扉枠13を閉じた際に発射レール163の側壁を構成するようになっている。故に、発射レール163から遊技球が前方にこぼれ落ちることが防止される。
下側の補強板134の一部を切り欠いた部位には、パチンコ機10後方に向けて球通路樋138が設置されており、球通路樋138の少なくとも上方には、同じくパチンコ機10後方に向けて延びる庇(ひさし)部139が設けられている。この場合、本体枠12側に前扉枠13を閉じた状態では、球通路樋138と庇部139との間に、本体枠12側の連通口72上辺に沿って延びる突条が入り込むようにして配置される。故に、球通路樋138より針金やフィルム等を侵入させて不正行為を行おうとしても、遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為を防止することができる。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の内側が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。ガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されている。
前述した通り本実施の形態のパチンコ機10では、前扉枠13を閉じた状態にあっては、内外のレール部51,52間に形成された球案内通路の一部が前扉枠13により覆い隠される構成となっている。それ故、球案内通路では手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射機構160より発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らず戻ってくると、遊技球が球案内通路外に飛び出したり、外レール部52とガラス137との間にできる隙間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前扉枠13に、球案内通路の手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。レールカバー140は略円弧状をなす板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記球案内通路の形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、球案内通路の基端部から先端部近傍までの区間を覆うようになっている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール部51のそれにほぼ一致する。また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前扉枠13に取着した図6の状態で右端となる部位)には、球案内通路がガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。以上のレールカバー140の構成により、前扉枠13が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が球案内通路のほぼ全域を覆うこととなって、遊技球が球案内通路外に飛び出したり、外レール部52とガラス137との間にできる隙間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
また、レールカバー140の下部裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ後方へ向けて突出する突条142が形成されている。突条142は、前扉枠13が閉じられた状態において、球案内通路内に入り込んだ状態で内レール部51に重なり合うように配置される。したがって、例えば前扉枠13と本体枠12との隙間から針金やフィルム等を侵入させて不正行為を行おうとしても、球案内通路の内側にある遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金やフィルム等を侵入させにくくなり、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。なお、図7はパチンコ機10の背面図、図8はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
まず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10の背面側には、各種制御装置(各種制御基板)が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されるとともに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御装置を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に本体枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御装置271(主制御基板)と音声ランプ制御装置272(音声ランプ制御基板)とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御装置311(払出制御基板)、電源及び発射制御装置313(電源及び発射制御基板)を他方の取付台に搭載してユニット化している。以下においては、便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化され、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて本体枠12又は遊技盤30の裏面に対して展開できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置された場合に隠れた部位を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。実際には、図9の概略図に示すように、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重複する領域に、裏パックユニット203が配置されている。
第1制御基板ユニット201にはパチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に第1制御基板ユニット201が回動可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部すなわち支軸部M1の反対側となる開放端側に、ナイラッチ(登録商標)等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。また、第2制御基板ユニット202にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に第2制御基板ユニット202が回動可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部すなわち支軸部M4の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。さらに、裏パックユニット203にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に裏パックユニット203が回動可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部すなわち支軸部M6の反対側となる開放端側にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられるとともに、上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
各ユニット201〜203を回動可能に支持する支軸部M1,M4,M6は、各ユニット201〜203をパチンコ機10の裏面から開いた状態で容易に取り外し可能なヒンジ構造となっている。簡単に説明すると、第1制御基板ユニット201については、締結部M2の締結及び係止爪部M3の係止を解除すると共に、当該ユニット201を軸線Aを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203がない前提であれば、第1制御基板ユニット201を取り外すことができる。また、第2制御基板ユニット202については、締結部M5の締結を解除すると共に、当該ユニット202を軸線Bを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、第2制御基板ユニット202を取り外すことができる。さらに、裏パックユニット203については、締結部M7の締結及び係止部M8,M9の係止を解除すると共に、当該ユニット203を軸線Cを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203を取り外すことができる。
ここで、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。この場合、第1制御基板ユニット201は、裏パックユニット203に一部重複して設けられるため、裏パックユニット203を開かないことには第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能であり、さらに言うと、第1制御基板ユニット201及び裏パックユニット203が各々逆方向に展開する構成であるため、裏パックユニット203を所定角度以上に大きく開いた状態又は同ユニット203を取り外した状態でなければ第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能である。したがって、第1制御基板ユニット201を取り外すことに着目すると、他のユニット202,203に比べて取り外しが困難な構成となっている。さらに、施錠装置をキー操作して外枠11に対して本体枠12を開放しなければ、裏パックユニット203を開くことができない構成となっているため、より一層第1制御基板ユニット201の取り外しが困難なものとなっている。より具体的な構成については後述する。
次に、本体枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。なお、図10は本体枠12に遊技盤30を組み付けた状態でかつ前記各ユニット201〜203等を取り外した状態の構成を示す背面図、図11は本体枠12を後方より見た斜視図、図12は遊技盤30を後方より見た斜視図である。
遊技盤30は、樹脂ベース25に囲まれた四角枠状の設置領域に裏面側より設置され、本体枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって後方へ脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。図10にはロック状態を示す。左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で本体枠12の外方へ張り出さないよう構成されている。なお、下部1カ所の係止固定具212は合成樹脂製のI型の留め具である。
遊技盤30の中央に配置される可変表示ユニット35には、センターフレーム43(図4参照)を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、図柄表示装置41と表示制御手段としての表示制御装置214とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム43に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
遊技盤30の裏面には、可変表示ユニット35を取り囲むようにして集合板ユニット215が設けられている。集合板ユニット215は、薄板状の枠体として例えばABS樹脂等の合成樹脂により成形されるベースを有し、そのベース面が遊技盤30の裏面に当接されるようにして取り付けられている。集合板ユニット215には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット215の下方には、前記一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33の遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、本体枠12にポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製の排出通路盤217が取り付けられており、排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部の例えば遊技ホールの島設備等へ案内するための排出通路218が形成されている。したがって、図10に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも集合板ユニット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に集合板ユニット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複していない。したがって、遊技盤30を本体枠12から取り外す際において、排出通路盤17が遊技盤取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機10前面の上皿23の裏側に配置されており、上皿23に至る球排出口(図2の球通路樋138)より針金やフィルム等を差し込み、さらにその針金やフィルム等を本体枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで、本パチンコ機10では、図11に示すように、排出通路盤217には、球通路樋138の上部位置に対応する高さ位置に、本体枠12に重なり合うようにしてパチンコ機10前方に延びるプレート219を設けた。したがって、本体枠12と排出通路盤217との隙間から針金やフィルム等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金やフィルム等を利用して可変入賞装置32を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット215には、遊技盤30表側の一般入賞口31と対応する位置に入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32と対応する位置に特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223が設けられている。特定領域スイッチ222は、大当たり中に可変入賞装置32へ入賞した遊技球が特定領域に入ったことを判定するスイッチである。特定領域とはラウンドの更新可否を判定するための領域であり、Vゾーンとも称されている。カウントスイッチ223は、可変入賞装置32に入賞した遊技球の数をカウントするスイッチである。また、作動口33に対応する位置には作動口33への遊技球の入賞を検知する作動口スイッチ224が設けられ、スルーゲート34に対応する位置にはスルーゲート34の遊技球の通過を検知するゲートスイッチ225が設けられている。入賞口スイッチ221及びゲートスイッチ225は電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、特定領域スイッチ222及びカウントスイッチ223は大入賞口中継基板227に接続されている。そして、盤面中継基板226及び大入賞口中継基板227が主制御装置271(主制御基板)に接続されている。作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主制御装置271(主制御基板)に接続されている。その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口の開閉扉を開放するための大入賞口ソレノイドと、入賞球を特定領域かその他の領域に振り分けるための振分板を駆動する入賞球振分板ソレノイドとが設けられ、作動口33には、それに付随する電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。
上記入賞検知機構にて各々検出された検出結果は主制御装置271(主制御基板)に取り込まれ、該主制御装置271(主制御基板)よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311(払出制御基板)に出力される。そして、払出制御装置311(払出制御基板)の出力により所定数の遊技球の払出が実行されるようになっている。ここで、従来のいわゆる証拠球方式では、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行うようにしていたが、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に検知して払出が直ちに行われるようにしているため、払い出す遊技球が多量にあってもその払出をいち早く実施することが可能となるとともに、入賞球処理装置が不要となる。
集合板ユニット215には、その中央上部に中継端子板276が設けられており、さらにその右上部に盤用外部端子板230が設けられている。中継端子板276は、主制御装置271(主制御基板)や電源及び発射制御装置313(電源及び発射制御基板)から表示制御装置214(表示制御基板)への信号線を中継するものである。盤用外部端子板230には、第1図柄の変動が停止(確定)する毎に信号出力するための出力端子と、大当たり中又は第1図柄の変動時間短縮中に信号出力するための出力端子と、大当たり中に信号出力するための出力端子とが設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置に対して遊技(遊技盤30側の状態)に関する信号が出力される。盤用外部端子板230は、取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられている。
集合板ユニット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる軸受け金具231が設けられ、この軸受け金具231には同一軸線上に上下一対の軸受け孔231aが形成されている。また、遊技盤30において、軸受け金具231の右方には上下一対の被締結孔(具体的にはナイラッチの取付孔)232が設けられ、軸受け金具231の上方には係止爪片233が設けられている。
本体枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、本体枠12にはその右端部に長尺状の軸受け金具235が取り付けられている。この軸受け金具235は補強部材としても機能する。図13に示すように、軸受け金具235は遊技盤30よりも下方へ延びる長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より後方へ起立させるようにして、下部2カ所に第2制御基板ユニット202用の軸受け部237が形成されると共に、上部2カ所に裏パックユニット203用の軸受け部238が形成されている。これら軸受け部237,238にはそれぞれ同軸の軸受け孔が形成されている。なお、第2制御基板ユニット202用の軸受け部237と裏パックユニット203用の軸受け部238とを各々個別の軸受け金具で構成することも可能である。その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)239が設けられている。また、裏パックユニット203用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)240が設けられている。本体枠12において遊技盤30の左上方、右寄り上方及び右寄り下方の各位置には、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具241,242,243がそれぞれ設けられている。なお、裏パックユニット203は、その上部に大量の遊技球を貯留することから、裏パックユニット203の上部を支持するための固定具241,242に関しては特に十分な強度を持つ構成とするのが望ましく、本実施の形態では回動式の固定具を用いている。
上記の如く本体枠12の左右一側部(図10では右側部)には長尺状の軸受け金具235が設けられる一方、本体枠12の左右他側部(図10では左側部)には施錠装置が設けられている。施錠装置は、上下方向に延び本体枠12に固定された基枠247と、その基枠247に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆248とを備え、基枠247の下部に前記シリンダ錠91が一体化されている。連動杆248は、シリンダ錠91の操作により上下いずれかの方向に移動する。連動杆248には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具249が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉鎖した際には、鉤金具249が外枠11側の支持金具(図示略)に係止され、施錠装置により施錠状態とされるようになっている。この場合、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が上方向に移動すると、外枠11に対する本体枠12の施錠が解除される。逆に、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が下方向に移動すると、本体枠12に対する前扉枠13の施錠が解除される。
なお、本体枠12の左右側部に軸受け金具235と施錠装置(基枠247、連動杆248等)とが振り分けられる上記構成において、これら軸受け金具235及び施錠装置(基枠247、連動杆248等)を配置するための領域を残した幅となるようにして、本体枠12に前記遊技盤30が取り付けられている。
本体枠12の背面における遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿23、下皿16又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。遊技球分配部245は、左側の開口部245aが第1排出口66を介して上皿23に通じ、中央の開口部245bが第2排出口67を介して下皿16に通じ、右側の開口部245cが排出通路218に通じるように、各通路が形成されている。遊技球分配部245は、本体枠12に対してネジ等により強固に取り付けられている。したがって、遊技球分配部245の設置部位における浮き上がりが防止され、隙間から針金やフィルム等を侵入させることによる不正行為が防止できるようになっている。なお、本体枠12の下端部には、奥壁パネル17の裏側に設置されたスピーカ20の背後を囲むための合成樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、スピーカボックス246がスピーカ音を後方へ逃さないように機能することで低音域の音質改善が図られている。
次に、第1制御基板ユニット201の構成を図14〜図17に基づいて説明する。図14は第1制御基板ユニット201の正面図、図15は同ユニット201の斜視図、図16は同ユニット201の分解斜視図、図17は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、取付台251に主制御装置271と音声ランプ制御装置272とが搭載されている。主制御装置271は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(電源監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックス273に収容されて構成されている。主制御装置271には複数のコネクタが設けられており、各コネクタにハーネスや信号線が差し込まれることで、他の基板等(払出制御基板、盤面中継基板226等)との電気的な接続がなされるようになっている。なお、主制御装置271の詳細な構成については後に説明する。
音声ランプ制御装置272は、表示制御装置214からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス274に収容されて構成されている。
取付台251は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製であり、例えば緑や青等に着色されて不透明とされている。但し、取付台251は無色透明又は半透明であってもよい。取付台251の表面には平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は縦横に直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。基板搭載面252の上縁部及び下縁部にはそれぞれ、基板搭載面252より起立した起立部254が一体成形されている。そして、横長の基板搭載面252上に主制御装置271が配置されると共に、縦長の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置272が配置される。このとき、主制御装置271は、上下の側部が起立部254にて支えられる。また、音声ランプ制御装置272は、複数箇所でネジ等により基板搭載面253に固定される。
ここで、図16に示すように、基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔256が形成されている。一方、主制御装置271の基板ボックス273には、その裏面の左右2カ所に回動操作式の固定具275が設けられている。主制御装置271を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔256に固定具275が挿通されるように主制御装置271を載置し、その状態で固定具275を回動操作することで主制御装置271がロックされる。したがって、主制御装置271は第1制御基板ユニット201の裏面側から固定具275をロック解除しなければ取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が得られる。
また、取付台251において、主制御基板用の基板搭載面252の下方には、基板搭載面252の裏面空間に通じる開口を遮蔽するための遮蔽部257が設けられている。したがって、基板搭載面252の下方より取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具275のロック状態を不正に解除することができないようになっている。また、第1制御基板ユニット201をパチンコ機10裏面に搭載した状態では、当該ユニット201の上部が裏パックユニット203により覆われるため、やはり取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具275のロック状態を不正に解除することができないようになっている。
前述した通り、第1制御基板ユニット201は、裏パックユニット203を所定角度以上に大きく開いた状態又は同ユニット203を取り外した状態でなければ取り外すことが不可能であり、また、施錠装置を正しくキー操作して外枠11に対して本体枠12を開放しなければ、裏パックユニット203を開くことができない構成となっている。つまり、本体枠12を開くことができなければ、結果的に第1制御基板ユニット201を回動させたり取り外すことができず、ひいては主制御装置271の取り外しも不可能となる。それ故、主制御装置271の不正な載せ替えや盗難等を効果的に防止することができる。
主制御装置271は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置272はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置271及び音声ランプ制御装置272を搭載した状態において各制御装置271,272はその一部を前後に重ねて配置される。つまり、図15等にも見られるように、主制御装置271はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置される。故に、主制御装置271に重なる領域まで音声ランプ制御装置272を拡張することが可能となり、また別の見方をすれば音声ランプ制御装置272に重なる領域まで主制御装置271を拡張することが可能となり、パチンコ機10という限られた大きさの中にあっても、各制御基板271,272の大型化に良好に対処できるとともに、各制御装置271,272を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置32やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
取付台251の左端面には上下一対の掛止ピン261が設けられており、この掛止ピン261を前記軸受け金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して回動可能に片持ち支持される。取付台251の右端部には前記被締結孔232にはめ込まれる締結具として上下一対のナイラッチ262が設けられている。取付台251の上端部には前記係止爪片233が係止される長孔263が設けられている。したがって、ナイラッチ262を被締結孔232にはめ込むと共に、長孔263に係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。なお、軸受け金具231及び掛止ピン261が前記支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ262が前記締結部M2に、係止爪片233及び長孔263が前記係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、主制御装置271の構成を図18〜図21に基づいて説明する。図18は主制御装置271の斜視図、図19は主制御装置271の分解斜視図、図20は主制御装置271の基板ボックス273を説明するための説明図、図21は主制御措置271の一部を拡大して示す斜視図である。
主制御装置271は、上記のとおり基板ボックス273を備えている。基板ボックス273は、略直方体形状のボックスベース276と該ボックスベース276の開口部を覆うボックスカバー277とから構成されており、それらボックスベース276とボックスカバー277とから構成される内部空間に主制御基板278が収容されている。
主制御基板278は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生機、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を備えている。本実施の形態では、CPU、ROM及びRAMがCPUチップ278aに1チップ化されている。また、詳細な説明は省略するが、入出力ドライバ用ICチップ278b及びラッチ用ICチップ278cが搭載されている。
ボックスベース276及びボックスカバー277は、ポリカーボネート樹脂などといった透明性を有する合成樹脂により形成されている。ボックスベース276には、底板部276aの長辺側に側板部276bが形成されており、短辺側の一側には側板部276bに連なるようにして段差部276cが形成されている。側板部276bの先端は内側に折り曲げて形成されている。側板部276bの右端部は、ボックスカバー277をスライド装着するための装着口276dとなっている。この場合、図20に示すように、ボックスカバー277を装着口276dから装着し、段差部276cに当たるまでスライド移動させることで、ボックスカバー277がボックスベース276上の所定位置に装着されるようになっている。
ボックスカバー277には、ボックスベース276の段差部276cと重なるようにして延出部277aが形成されている。延出部277aはボックスベース276の段差部276cと共に封印手段としての封印ユニット279(いわゆる、カシメ構造)を構成しており、当該封印ユニット279によってボックスベース276とボックスカバー277とが連結され、基板ボックス273が封印されている。
封印ユニット279は、ボックスベース276とボックスカバー277とを連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図19等に示すように、5つの封印部材279a,279bが形成された構成となっており、この封印部材279a,279bの長孔に係止爪を挿入することでボックスベース276とボックスカバー277とが連結されるようになっている。この場合、係止爪を封印部材279a,279bから抜くことが不可能な構成となっているため、基板ボックス273を開封するためには封印部材279a,279bを破壊する必要が生じる。よって、基板ボックス273が不正に開封されたことの履歴を残すことができ、主制御基板278に対して不正が行われたことを発見することができる。
ボックスカバー277及びボックスベース276には、封印ユニット279が設けられた側部とは反対側の側部に貼付板部281,282が設けられており、これら貼付板部281,282が締結具(連結具)としての金属製のネジ283,284によって締結されている(連結されている)。このように金属製のネジ283,284によって締結することで、主制御基板278を不正に取り外すべく両貼付板部281,282を締結する締結具を分断しようとする行為が抑制される。
かかる締結に関する構成について図22に示す貼付板部281,282の縦断面図を用いて説明する。各貼付板部281,282には、それぞれの長辺方向の両端側に各貼付板部281,282を貫通するようにしてネジ孔285a,285b,286a,286bが形成されている。ネジ孔285aとネジ孔285bとはその軸線が同一軸線上に位置するようにして形成されており、これらが連通されて第1ネジ孔285が形成されている。一方、ネジ孔286aとネジ孔286bとはその軸線が同一軸線上に位置するようにして形成されており、これらが連通されて第2ネジ孔286が形成されている。なお、第1ネジ孔285及び第2ネジ孔286は、各貼付板部281,282において上下に並んでいる。
第1ネジ孔285には、貼付板部281におけるパチンコ機10後方を向く面281a(以下、第1貼付面281aともいう)側を段差状に拡径させて頭収容部287が形成されている。これに対して、第2ネジ孔286には、貼付板部282におけるパチンコ機10前方を向く面282a(以下、第2貼付面282aともいう)側を段差状に拡径させて頭収容部288が形成されている。そして、これら頭収容部287,288に各ネジ283,284の頭部283a,284aが収容されるようにネジ283,284が螺着されている。つまり、一方のネジ283(以下、第1ネジ283ともいう)は第1貼付面281a側から螺着されているのに対して、他方のネジ284(以下、第2ネジ284ともいう)は第2貼付面282a側から螺着されている。
各ネジ283,284の螺着に際しては、各頭部283a,284aが各頭収容部287,288の段差部287a,288aに当接するまで螺着される。この場合に、各頭部283a,284aが段差部287a,288aに当接した状態(すなわち、締結が完了した状態)では、各ネジ283,284の頭部283a,284aは開口289,290(以下、取り外し側開口289,290ともいう)に対してX1の距離だけ内側の位置にある。つまり、各頭部283a,284aの頂上(先端)の位置は各ネジ孔285,286における軸線方向の途中位置となっている。
各ネジ283,284によって締結された貼付板部281,282には、図21等に示すように、封印シール300が貼り付けられている。この場合に、図21や図22等に示すように、各貼付板部281,282には、その上縁に一連の上側突条291a,292aが一体形成されており、その下縁にも一連の下側突条291b,292bが一体形成されている。そして、各貼付板部281,282が締結されていることにより、各上側突条291a,292aの先端が相互に当接するとともに、各下側突条291b,292bの先端が相互に当接している。また、各貼付板部281,282はそれぞれボックスカバー277の側方端部293及びボックスベース276の側方端部294に対して連続させて形成されており、これら側方端部293,294はそれぞれ各貼付板部281,282の基端側の区画壁を構成する。つまり、上側突条291a,292a、下側突条291b,292b、及び側方端部293,294は囲み部Cとして機能し、貼付板部281,282における貼付面281a、281b,282a,282bは当該囲み部Cによって囲まれている。
囲み部Cによって囲まれた貼付面281a、281b,282a,282bに封印シール300が略コ字状に曲げられて貼り付けられている。この場合に、封印シール300の周縁は囲み部Cに近接しており、封印シール300を剥がそうとしても、その剥がし行為が非常に困難なものとなっている。封印シール300が貼り付けられていることにより貼付面281a、281b,282a,282bのほぼ全域が覆われている。したがって、各ネジ孔285,286における取り外し側開口289,290は封印シール300によって覆われている。
次に、封印シール300の構成を図23〜図26に基づいて説明する。図23は封印シール300の構成を示す断面図、図24(a)は封印シール300の構成を示す正面図、図24(b)は封印シール300の構成を示す背面図、図25は貼付面281a、281b,282a,282bに対する封印シール300の位置関係を説明するための説明図、図26(a)は封印シール300周辺を拡大して示す正面図、図26(b)は封印シール300周辺を拡大して示す側面図、図26(c)は封印シール300周辺を拡大して示す背面図である。なお、図25においては、後述する各切り込み307,308,309を省略して示す。
封印シール300は、略矩形状のベースシート301を備えており、ベースシート301の背面には粘着剤が塗布され粘着剤層302が形成されている。粘着剤層302にはアンテナ付きICチップ303が貼り付けられている。なお、図23においては、粘着剤層302の背面側に剥離シート304が示してある。この剥離シート304は封印シール300を基板ボックス273に貼り付ける際に剥がされる。
ベースシート301はポリエステル系フィルムなどの可撓性樹脂フィルムにより形成されており適度な脆性を有し、さらに溶剤や熱に対して反応性を有する。具体的には、粘着剤層302を構成する粘着剤に対して溶解性を備えたトルエンなどがベースシート301に塗布されると、ベースシート301は変色する。また、粘着剤層の粘着力が低下する温度(例えば、50℃)以上の熱が加えられた場合にもベースシート301は変色する。これにより、基板ボックス273の貼付板部281,282から封印シール300を不正に剥がそうとして溶剤がかけられたり、熱が加えられたりした場合、ベースシート301が変色することで当該不正行為の痕跡を残すことができる。
ベースシート301の表面には、図24(a)に示すように、インク塗布部301a、識別番号部301b及び機種情報部301cが設けられている。インク塗布部301aには、紫外線などといった特定の波長の光が照射されることにより模様が表れる特殊インクが塗布されている。識別番号部301bには、複数の数字が記載されており、当該識別番号部301bに記載される数字はパチンコ機毎に異なっている。機種情報部301cには、当該遊技機の機種名や当該遊技機の製造メーカー名などが記載されている。なお、インク塗布部301a及び識別番号部301bが設けられた上部領域R1は貼付板部281の第1貼付面281aに位置し、機種情報部301cが設けられた中間領域R2は両貼付板部281,282の側面側に位置し、下部領域R3は貼付板部282の第2貼付面282aに位置している。
粘着剤層302の粘着剤は、従来の封印シールと同様に、一旦貼り付けされた後に剥がされるとベースシート301から剥がれる程度の粘着力を有している。したがって、封印シール300が剥がされた場合には再度貼り付けすることが不可能なものであり、さらには粘着剤層の一部が貼付板部281,282側に残ることとなる。よって、封印シール300を不正に剥がした痕跡を残すことができる。
アンテナ付きICチップ303は、ICチップ305及びアンテナ部306より構成されており、長尺状のアンテナ部306の中央付近にICチップ305が配置されている。ICチップ305は集積回路として形成されるものであり、制御部及びメモリー領域を有する。メモリー領域には、識別情報としてのID情報が記憶されている。アンテナ部306は、アルミ等の金属薄層で形成されており、その厚みはICチップ305の厚みよりも薄い。また、アンテナ部306は、共振周波数が2.45GHz等の一定周波数となるようにアンテナパターンとして作製されている。
ICチップ305のID情報は、制御部によって呼び出されてアンテナ部306から発信することができるように構成されており、アンテナ部306から発信されたID情報をリーダ/ライタとして形成されるスキャナ340で入力して読み取ることができるようになっている。
スキャナ340について詳細には、スキャナ340は図17に示すように、取付台251における主制御装置271が搭載される基板搭載面252の裏面側に形成されたスキャナ搭載部258にネジ止めされている。この位置にスキャナ340を配置することで、スキャナ340は取付台251と遊技盤30とに囲まれた空間内に位置することとなる。よって、外枠11に対して本体枠12を回動させたとしてもスキャナ340は露出することはなく、スキャナ340を不正に取り外そうとする行為を抑制することができる。
スキャナ340には、前記周波数(2.45GHz)の呼出波(検出用電波)を出力するためのリーダアンテナ、及びRF回路が設けられており、さらにはスキャナ340の制御を司るCPUが設けられている。なお、スキャナ340によるID情報の入力に関する構成については後に説明する。
封印シール300の説明に戻り、アンテナ付きICチップ303(アンテナ部306)は、図24(b)に示すように、粘着剤層302が形成されたベースシート301に対し、当該ベースシート301の一隅部側からその対角方向の隅部側に亘って斜めに配置されている。この場合、長尺状のアンテナ部306はその長手方向がベースシート301のすべての辺方向と交差することとなる。そして、封印シール300が両貼付板部281,282に跨って貼り付けられているのに伴って、アンテナ部306も両貼付板部281,282に跨っている。また、アンテナ付きICチップ303は、矩形状のベースシート301の中心に対して点対称となるように配置されている。
封印シール300には、アンテナ部306の長手方向に沿って等間隔で並ぶ多数のアンテナ用切り込み307が形成されている。アンテナ用切り込み307は、アンテナ部306の長手方向に対して略直交する方向に延びる直線状であり、ベースシート301の表面側から粘着剤層302の背面側まで貫通している(なお、図24(a)ではアンテナ用切り込み307を省略して示してある)。
アンテナ用切り込み307が延びる方向は、アンテナ部306の長手方向に対して略直交する方向であるため、ベースシート301のすべての辺方向と交差している。また、アンテナ用切り込み307は、アンテナ部306に若干掛かる構成となっている。この場合に、アンテナ部306はアンテナ用切り込み307により分断されていないため、ID情報の出力に関して弊害は生じない。また、アンテナ用切り込み307がアンテナ部306を挟んで直線状に並ばないように、アンテナ部306の一側に位置するアンテナ用切り込み307と他側に位置するアンテナ用切り込み307とは、アンテナ部306の長手方向にずらして形成されている。
封印シール300の4隅には、ベースシート301の表面側から粘着剤層302の背面側まで貫通する隅側切り込み308がそれぞれ形成されている。隅側切り込み308は、封印シール300の隅角に沿うようにしてL字状に形成されている。また、封印シール300の外縁には、図24に示すように、外側端部から内側に向けて多数の外縁切り込み309が形成されている。これら外縁切り込み309は、内側から外側に向けて開くようにして鋭角のV字状となっており、さらに封印シール300の外周に沿って等間隔で形成されている。
封印シール300を貼付板部281,282から剥がそうとする場合、封印シール300をその隅角から剥がす場合と、封印シール300の一辺に沿う方向に剥がす場合とが想定される。前者の場合、剥がす力に伴う応力が隅側切り込み308や外縁切り込み309に集中するため、封印シール300の破壊が生じ易い。一方、後者の場合、この剥がす方向はアンテナ部306の延びる方向に対して交差する方向である。したがって、剥がす力に伴う応力がアンテナ用切り込み307の端部に集中することで、アンテナ用切り込み307を介してベースシート301が破壊され、アンテナ部306が分断される。アンテナ部306が分断されるとID情報が出力されなくなるので、ID情報をスキャナで読み取ることができなくなる。よって、主制御基板278に対して不正行為が行われた場合には、それを容易に発見することができる。
次に、封印シール300のアンテナ部306と各貼付板部281,282を締結する各ネジ283,284との位置関係について説明する。
アンテナ部306の両端部306a,306bは、図26等に示すように、第1貼付面281a及び第2貼付面282aにおいて、各ネジ孔285,286における取り外し側開口289,290を跨ぐようにして配置されている。詳細には、アンテナ部306の短手方向の寸法は当該開口289,290の孔径よりも小さくなっており、さらにアンテナ部306はその両端部306a,306bが取り外し側開口289,290を挟んで当該開口289,290の周縁部を架渡すように配置されている。このようにアンテナ部306が配置されていることにより、アンテナ部306の両端部306a,306bは対応するネジ283,284の頭部283a,284aと対峙している。
かかる構成において、上記のとおり、各ネジ283,284の頭部283a,284aの頂上の位置は各ネジ孔285,286における軸線方向の途中位置となっている。すなわち、各頭部283a,284aの頂上の位置は封印シール300に対して各ネジ孔285,286内に入り込んだ位置となっている。したがって、アンテナ部306と各ネジ283,284とは、図22に示すように離間されている。また、アンテナ部306と各ネジ283,284との間には両者を介在する介在部材が設けられていない。つまり、アンテナ部306と各ネジ283,284との間には空間Sが設けられている。これにより、アンテナ部306が各ネジ283,284に接触することが防止されている。特に、上記のとおりアンテナ部306が取り外し側開口289,290を挟んで当該開口289,290の周縁部を架渡すように配置されているため、アンテナ部306がネジ孔285,286内に向けて撓みにくくなり、アンテナ部306と各ネジ283,284の頭部283a,284aとを対峙させた構成において両者を確実に離間させることができる。例えば、アンテナ部306が各ネジ283,284に接触すると、設定された共振周波数(本実施の形態では、2.45GHz)が変化してしまい、ICチップ305に記憶されたID情報がスキャナ340によって読み取れなくなるおそれがあるが、本実施の形態における構成によればかかる不都合の発生を防止することができる。
上記のとおり各貼付板部281,282には囲み部Cが形成されており、封印シール300の周縁は囲み部Cに近接している。したがって、封印シール300の貼り付け作業に際しては、封印シール300が囲み部Cによって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部306の両端部306a,306bが取り外し側開口289,290を跨ぎ、各ネジ283,284の頭部283a,284aと対峙する。
また、図25に示すように、囲み部Cによって囲まれる領域は、封印シール300の面積よりも広くなっている。これにより、封印シール300の貼り付け作業に際しては、貼り付け位置に所定のゆとりが生まれ、貼り付け作業の作業性が向上されている。この場合に、その貼り付け位置のゆとりは、アンテナ部306の両端部306a,306bが取り外し側開口289,290を跨ぎ、且つ各ネジ283,284の頭部283a,284aと対峙する範囲内で形成されている。さらに、上記のとおりアンテナ付きICチップ303は矩形状のベースシート301の中心に対して点対称となるように配置されているため、封印シール300を上下逆に貼り付けたとしても、アンテナ部306の両端部306a,306bが取り外し側開口289,290を跨ぎ、且つ各ネジ283,284の頭部283a,284aと対峙する。
次に、第2制御基板ユニット202の構成を図27〜図29に基づいて説明する。図27は第2制御基板ユニット202の正面図、図28は同ユニット202の斜視図、図29は同ユニット202の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台325を有し、取付台325に払出制御装置311、電源及び発射制御装置313及びCRユニット接続基板314が搭載されている。
払出制御装置311は、賞品球や貸出球の払出を制御する払出制御基板を具備しており、当該払出制御基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックス315に収容されて構成されている。基板ボックス315は、ボックスベース317とボックスカバー318とから構成されており、これらボックスベース317及びボックスカバー318には封印手段としての封印ユニット319が設けられている。また、ボックスベース317とボックスカバー318とを跨ぐようにして封印シール320が貼り付けられている。
封印シール320は、主制御装置271に貼り付けられた封印シール300と同様に、ICチップ320b及びアンテナ部320cを有するアンテナ付きICチップ320aを備えている(図28参照)。ICチップ320bに記憶されたID情報は、主制御装置271のICチップ305に記憶されたID情報とは内容が異なっている。一方、アンテナ部320cのパターンは主制御装置271のアンテナ部306のパターンと同一である。したがって、ICチップ320bに記憶されたID情報は上述したスキャナ340から所定周波数の呼出波が出力されることで読み取られる。
また、払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、後述する払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
電源及び発射制御装置313は、基板ボックス316内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
CRユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないCRユニットに電気的に接続され、主として遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、CRユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、CRユニット接続基板314は不要である。
取付台325は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面326が設けられている。基板搭載面326には、電源及び発射制御装置313及びCRユニット接続基板314が横並びとなった状態で搭載され、ネジ等で固定されている。電源及び発射制御装置313の基板ボックス316上には略平板状の台座プレート327が載置されるとともに台座プレート327上に払出制御装置311が搭載され、ネジ等で固定されている。払出制御装置311と電源及び発射制御装置313との間には台座プレート327が介在するため、例えばノイズ除去用の金属プレート等を設置するには台座プレート327に金属プレート等を取り付ければ良く、ノイズ対策が簡単に実現できる。
取付台325には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン328が設けられており、掛止ピン328を前記軸受け部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。取付台325の左端部には締結具として上下一対のナイラッチ329が設けられており、ナイラッチ329を前記被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に固定される。なお、軸受け部237及び掛止ピン328が前記支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ329が前記締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、裏パックユニット203の構成を図30〜図32に基づいて説明する。図30は裏パックユニット203の正面図、図31は裏パックユニット203の分解斜視図、図32はタンクレールの分解斜視図である。
裏パックユニット203は、裏パック351と遊技球の払出機構部352とが一体化されることにより構成されている。裏パック351は例えばABS樹脂等の合成樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置272も併せて囲む構成となっている。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。したがって、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置214等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができるようになっている。
裏パック351のベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、タンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、タンクレール356の下流側には上下方向に延びるケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出制御装置311の制御により払出モータ358aが駆動されて必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。払出装置358より払い出された遊技球は払出通路359等を通じて前記上皿23等に供給される。なお、図示は省略するが、ケースレール357の上流部には、タンク355やタンクレール356から供給される遊技球の有無を検出するタンク球無しセンサが設けられている。また、払出装置358には、払出モータ358aの回転の有無を検出する払出回転センサと、払い出される遊技球数をカウントする払出カウントスイッチとが設けられている。
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。バイブレータ360は、バイブモータとそのバイブモータを収容する合成樹脂製のケースとによりユニット化されており、2本の脚部360aでタンクレール356に取り付けられている。したがって、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
タンクレール356の構成ついて詳述すると、図32に示すように、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有している。レール本体361の上流部には球面状の球受部362が形成され、球受部362によりタンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれるようになっている。レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に塵埃を落下させるための開口部365が設けられている。レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。整流板367は、下流側ほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、その下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。したがって、タンクレール356に多量の遊技球が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが発生し難くなっている。なお、レール本体361が帯電防止のために黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は球詰まり等を目視で確認できるように透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。整流板367には、遊技球の流下を阻止するための手動式のストッパ369が取り付けられている。
図30,図31の説明に戻り、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する裏パック制御基板381が設置されている。また、裏パック制御基板381は、外部より主電源を取り込む役割を果たす。即ち、裏パック制御基板381には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ381aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する合成樹脂材料、例えば導電性ポリカーボネート樹脂にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
裏パック351には、その右上部に枠用外部端子板390が設けられている。枠用外部端子板390には、タンク355やタンクレール356で遊技球が不足した場合に信号出力するための出力端子、所定個数の賞球を払い出す毎に信号出力するための出力端子、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子、本体枠12の開放時に信号出力するための出力端子、及び前扉枠13の開放時に信号出力するための出力端子が設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置に対して枠側の状態に関する信号が出力される。
裏パック351には、枠用外部端子板390に隣接して略四角形状の窓部391が設けられている。したがって、裏パックユニット203を本体枠12に取り付けた状態では、窓部391を通じて遊技盤30裏面の盤用外部端子板230が露出し、裏パックユニット203を装着したままで盤用外部端子板230の操作を行うことができるようになっている。前述のとおり、盤用外部端子板230は取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられていることから、盤用外部端子板230の配線を接続したままで、窓部391を介して当該盤用外部端子板230を取り出すことも可能となる。裏パック351の右上部には本体枠12の開放の状態を検出するための本体枠開放スイッチ392が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉じた状態では当該スイッチ392の金属接点が閉じて本体枠12の閉鎖が検知され、外枠11に対して本体枠12を開いた状態では金属接点が開いて本体枠12の開放が検知されるようになっている。
裏パック351には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン385が設けられており、掛止ピン385を前記軸受け部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を前記被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に前記固定具242を挿入した上で当該固定具242を回動操作することで、裏パックユニット203が本体枠12に固定される。また、前記固定具241,243によっても裏パックユニット203が本体枠12に固定される。なお、軸受け部238及び掛止ピン385が前記支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が前記締結部M7に、固定具242及び係止孔387が前記係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が前記係止部M9に相当する。
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図33のブロック図に基づいて説明する。図33では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置271に設けられた主制御基板278には、主制御回路500と停電監視回路508とが内蔵されている。主制御回路500には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置313に設けられた電源及び発射制御基板313aからデータ記憶保持用電源(データ記憶保持用電圧)が供給されてデータが保持される構成となっている。詳細には、電源及び発射制御基板313aには、データ記憶保持用コンデンサが設けられており、当該コンデンサからデータ記憶保持用電源が供給される。
CPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御回路500の入力側には、主制御基板278に設けられた電源監視回路508、払出制御装置311に設けられた払出制御基板311a及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、電源監視回路508には電源及び発射制御基板313aが接続されており、主制御回路500には電源監視回路508を介して電源が供給される。
一方、主制御回路500の出力側には、電源監視回路508、払出制御基板311a及び中継端子板276が接続されている。払出制御基板311aには、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。かかる場合に、当該各種コマンドは、ハーネスを介して一方向通信によって出力される。中継端子板276を介して主制御回路500から音声ランプ制御装置272に設けられた音声ランプ制御基板272aに対して各種コマンドなどが出力される。
電源監視回路508は、主制御回路500と電源及び発射制御基板313aとを中継し、また電源及び発射制御基板313aから出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
払出制御基板311aは、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御基板311aのRAM513は、主制御回路500のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板313aからデータ記憶保持用電源が供給されてデータを保持できる構成となっている。また、RAM513における各種のカウンタ等が記憶される作業エリアには、コマンド入力フラグ格納エリアなどといった各種フラグ格納エリアと共に、主制御回路500から出力されたコマンドが記憶されるコマンドバッファ513aが設けられている。
コマンドバッファ513aは、主制御回路500から出力されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファ513aにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
払出制御基板311aのCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板311aの入力側には、主制御回路500、電源及び発射制御基板313a、及び裏パック接続基板381が接続されている。また、払出制御基板311aの出力側には、主制御回路500及び裏パック接続基板381が接続されている。この場合に、裏パック接続基板381を介して払出装置358などを含む払出機構部352が接続されている。
電源及び発射制御基板313aは、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御回路500や払出制御基板311a等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部は、裏パック接続基板381を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMのデータ記憶保持用電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びデータ記憶保持用電源を主制御回路500や払出制御基板311a等に対して供給する。なお、データ記憶保持用電源を生成するとは、データ記憶保持用コンデンサの充電を行うことをいう。
発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作にしたがって発射ソレノイド162の発射制御を担うものであり、発射ソレノイド162は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。具体的には、発射制御部には遊技球発射ハンドル18に設けられた発射スイッチ331、タッチセンサ332及び止め打ちスイッチ333が接続されており、発射スイッチ331及びタッチセンサ332がオン、止め打ちスイッチ333がオフの状態となった場合に限って発射許可信号を主制御回路500(電源監視回路508を介して)に出力する。主制御回路500は、当該発射許可信号の入力に基づいて所定周期の発射制御信号を発射制御部(電源監視回路508を介して)に出力する。これにより、発射制御部は、発射制御信号の入力周期にしたがって発射ソレノイド162を駆動する。この場合に、遊技球発射ハンドル18にはハンドル操作量を判定するためのダイヤル可変抵抗器が設けられており、発射制御部はダイヤル可変抵抗器における抵抗値の変化に基づいて発射ソレノイド162による打ち出し速度を決定する。
なお、電源部には、RAM消去スイッチ回路が設けられており、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御回路500のRAM503に記憶されたデータをクリアするためのRAM消去信号を出力する。即ち、RAM消去スイッチ323が押された際、RAM消去スイッチ回路は主制御回路500に対してRAM消去信号を出力する。これにより、RAM消去スイッチ323が押された状態でパチンコ機10の電源が投入されると、主制御回路500においてRAM503のデータがクリアされる。また、この際、主制御回路500から払出制御基板311aに対して払出初期化コマンドが出力され、払出制御基板311aにおいてもRAM513のデータがクリアされる。
音声ランプ制御基板272aは、スピーカ20や各種ランプ102〜106、及び表示制御装置214を制御するものである。演算装置であるCPU521は、そのCPU521により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM522と、ワークメモリ等として使用されるRAM523とを備えている。また、ROM522は、主制御装置271に貼り付けられた封印シール300のICチップ305に記憶された第1ID情報と、払出制御装置311に貼り付けられた封印シール320のICチップ320bに記憶された第2ID情報とを記憶している。
音声ランプ制御基板272aのCPU521にはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。音声ランプ制御基板272aの入力側には中継端子板276に中継されて主制御回路500が接続されており、基本的には主制御回路500から出力される各種コマンドに基づいて、スピーカ20、各種ランプ102〜106、及び表示制御装置214を制御する。表示制御装置214は、音声ランプ制御基板272aから入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置41を制御する。
次に、スキャナ340によるID情報の読み取りに関する電気的構成について、図34のブロック図に基づいて説明する。
スキャナ340は、図34に示すように、その内部にCPU340a、RF回路340b、及びリーダアンテナ340cを備えており、CPU340aはRF回路340bに接続されており、RF回路340bはリーダアンテナ340cに接続されている。CPU340aには、当該CPU340aにより実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROMと、そのROM内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAMが内蔵されている。また、CPU340aは図示しない入出力ポートを介して音声ランプ制御装置272(音声ランプ制御基板272a)と接続されている。
音声ランプ制御装置272は、所定条件が成立した場合にスキャナ340のCPU340aに対して電波出力信号を出力する。詳細には、音声ランプ制御装置272におけるCPU521の入力側には、表示制御装置214と、電源及び発射制御装置313と、払出装置358の払出モータ358aとが接続されている。
表示制御装置214からは、図柄の可変表示が行われていることを表す可変表示中信号を入力する。電源及び発射制御装置313からは、上述した発射許可信号を入力する。つまり、発射許可信号は主制御回路500だけでなく音声ランプ制御装置272に対しても出力される。払出モータ358aからは、駆動されていることを表す駆動信号を入力する。そして、音声ランプ制御装置272は、それら可変表示中信号、発射許可信号及び駆動信号を入力していないことを条件として、後述する不正検出処理(図49)にて電波出力信号を出力する。
スキャナ340のCPU340aは、音声ランプ制御装置272から電波出力信号を入力することにより、RF回路340bを駆動してリーダアンテナ340cから所定周波数(2.45GHz)の呼出波を出力させる。リーダアンテナ340cから出力された呼出波により、誘導電磁界が形成される。この誘導電磁界が形成される範囲内には、主制御装置271及び払出制御装置311に貼り付けられた封印シール300,320が含まれており、誘導電磁界が形成されることでアンテナ部306,320cにおいて電磁誘導により起電力が発生する。ICチップ305,320bではこの起電力を電源として、メモリ領域に記憶されているID情報を呼び出してアンテナ部306,320cからID情報を含んだ応答波を出力し、この出力された応答波はリーダアンテナ340cで入力される。この入力した応答波に内在したID情報はCPU340aにて読み込まれ、CPU340aは当該ID情報を音声ランプ制御装置272に出力する。
ただし、主制御装置271や払出制御装置311が不正な制御装置に交換された場合には、応答波の出力は行われない。また、主制御装置271や払出制御装置311の基板ボックス273,315が不正に開放された場合には、封印シール300,320のアンテナ部306,320cが分断され、アンテナ部306,320cからの応答波の出力は行われない。これらの場合、音声ランプ制御装置272のCPU521においては、スキャナ340のCPU340aからID情報が出力されないことに基づいて、主制御装置271や払出制御装置311に対して不正行為が行われたことを把握する。そして、上述したとおり、音声ランプ制御装置272におけるCPU521の出力側には、スピーカ20、エラー表示ランプ106、及び表示制御装置214が接続されており、これら各種報知手段を介してエラー報知を実行する。つまり、スピーカ20によるエラー報知音の出力、及びエラー表示ランプ106の点灯を実行するとともに、表示制御装置214に対してエラーコマンドを出力することで図柄表示装置41にエラー検出表示を表示させる。
次に、図柄表示装置41の表示内容について、図35に基づいて説明する。
図柄表示装置41には、左・中・右の3つの図柄列が設定されている。各図柄列は、例えば「0」〜「9」の数字を各々付した主図柄と、例えば菱形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。各主図柄及び副図柄がそれぞれ第1図柄を構成している。各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間に副図柄が配されている。すなわち、各図柄列には、10個の主図柄及び10個の副図柄の計20個の第1図柄が備えられている。この場合において、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「高確率図柄」に相当し、当該高確率図柄が揃うことで特別遊技状態たる大当たり状態に突入し、さらにその後、高確率時の状態に移行する。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「低確率図柄」に相当し、当該低確率図柄が揃うことで大当たり状態に移行するが、かかる場合には高確率時の状態には移行しない。なお、高確率時とは、第1図柄の組み合わせが予め定められた確率変動図柄の組み合わせによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない時をいう。また、第1特定ランプ部47においては、確変状態となる大当たりのときに赤色が表示され、通常状態となる大当たりのときに緑色が表示される。
そして、図柄表示装置41には、各図柄列毎に20個の第1図柄が周期性をもって上から下へとスクロールするように変動表示されるようになっている。特に、左図柄列においては主図柄の数字が降順に現れ、中図柄列及び右図柄列においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。図柄表示装置41には、各図柄列毎に上・中・下の3段の第1図柄が表示されるようになっている。したがって、図柄表示装置41には、3段×3列の計9個の第1図柄が表示される。また、図柄表示装置41には、5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
本実施の形態では、主制御回路500のCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部47の発光色の設定や、図柄表示装置41の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図36に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置41が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置41の変動パターン選択に使用する第1変動種別カウンタCS1と、第1特定ランプ部47に表示される色の切り替えを行う期間を決定する第2変動種別カウンタCS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、作動口33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に、確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしており、例えば、C2=0〜24が確変状態となる大当たりに該当し、C2=25〜49が通常状態となる大当たりに該当する。なお、大当たり種別カウンタC2により、図柄表示装置41の変動停止時の図柄の組合せ及び当該図柄の組合せを停止させる位置も決定される。即ち、本実施の形態では、図柄表示装置41において有効ラインが5ラインであり、特定図柄(主図柄)が10通り設定されていることから、50個のカウンタ値によって全てのパターンが設定されていることとなる。そして、C2=0〜24のとき、即ち、確変状態となる大当たりのときには、奇数番号の図柄の組合せと当該図柄の組合わせを停止させる位置が決定される。一方、C2=25〜49のとき、即ち、通常状態となる大当たりのときには、偶数番号の図柄の組合せと当該図柄の組合わせを停止させる位置が決定される。大当たり種別カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしており、例えば、C3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、図柄表示装置41の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様といった図柄表示装置41の表示態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、第1特定ランプ部47に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。また、この切替表示時間は、図柄表示装置41の図柄の変動時間に相当する。したがって、当該第2変動種別カウンタCS2によって、図柄表示装置41においてリーチが発生した後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様も決定されることとなる。つまり、図柄表示装置41に関しては、これらの両変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。両変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部47に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置41による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して両変動種別カウンタCS1,CS2のバッファ値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左列第1図柄、中列第1図柄、右列第1図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
本実施の形態では、CPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファの何れかのバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCS1,CS2の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。また、図示は省略するが、第2特定ランプ部48の抽選には第2特定ランプ乱数カウンタC4が用いられる。第2図柄乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2特定ランプカウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右何れかのスルーゲート34を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」である。
次いで、主制御回路500のCPU501により実行される各制御処理を図37〜図42のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図37は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が電源監視回路508からCPU501のNMI端子に出力され、CPU501は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM503に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。当該処理については、後に説明する。
次に、主制御回路500のCPU501により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、図38のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS201では、各種入賞スイッチや払出制御基板311aなどからの信号読み込み処理を実行する。すなわち、主制御回路500に接続されている各種スイッチの状態や払出制御基板311aなどからの信号を読み込むと共に、当該スイッチや信号の状態を判定して検出情報を保存する(但し、RAM消去スイッチ323の状態や停電信号を除く)。なお、検出情報の保存は、RAM503内に設定された各検出情報に対応するフラグ格納エリアにフラグをセットすることにより行われる。
その後、ステップS202では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS203では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
その後、ステップS204にて始動入賞処理を実行した後に、本処理を終了する。ここで、この始動入賞処理を図39のフローチャートを用いて説明する。先ずステップS301では、遊技球が作動口33に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判別する。遊技球が作動口33に入賞したと判別されると、続くステップS302では、第1特定ランプ部47及び図柄表示装置41の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する。作動口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS303に進み、作動保留球数Nを1インクリメントする。続くステップS304では、前記ステップS203で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU501は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
なお、遊技球が作動口33に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い図柄表示装置41による第1図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、第1図柄が変動し図柄停止に至るまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞が確認された場合、各カウンタ値の格納処理(ステップS304)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットすることとしている。具体的には、上記始動入賞処理は2msec周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値と共に、RAM503の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する第1図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定されるようになっている。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図40のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS401では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板311aや音声ランプ制御基板272a等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS402では、RAM503のアクセスを許可する。
その後、ステップS403では、電源及び発射制御装置313に設けたRAM消去スイッチ323がオンされているか否かを判別し、続くステップS404ではRAM503の停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判別する。また、ステップS405ではRAM判定値を算出し、続くステップS406では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。したがって、RAM消去スイッチ323が押されていれば、ステップS409〜S411の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS409〜S411の処理に移行する。
ステップS409では、従側の制御基板となる払出制御基板311a(及び音声ランプ制御基板272a等)を初期化するために、払出初期化コマンド(及び音声ランプ初期化コマンド等)を出力する。続くステップS410ではRAM503の使用領域を0にクリアし、ステップS411ではRAM503の初期化処理を実行する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、停電フラグがセットされていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS407にて停電フラグ格納エリアに格納されている停電フラグをクリアする。その後、ステップS408にて従側の制御基板(払出制御基板311a及び表示制御基板214a等)を電源遮断前の遊技状態に復帰させるための復電コマンドを出力する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図41のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S509の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS510,S511のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS501では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御基板に出力する。次に、ステップS502では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS503では、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理では、左・中・右図柄列のいずれかの更新時期か否かを判別し、更新時期となった図柄列の外れ図柄カウンタCL,CM,CRを更新する。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、重複することなく1回の通常処理で1つずつ順に更新され、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。そして、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、前後外れリーチとなる外れリーチ図柄の組合せである場合、前後外れ以外リーチ図柄の組合せである場合、リーチとならない完全外れ図柄の組合せである場合には、その組合せがそれぞれに対応したバッファ内に格納される。なお、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せが大当たり図柄の組合せである場合には、そのまま更新処理を終了する。
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理の後は、ステップS504にて第1特定ランプ部47に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部47に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。また、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置41による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別し、さらに大当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たりの種類を決定する(いわゆる、確変大当たりか否かを決定する)。なお、この際、第1図柄における大当たり図柄の種類及び大当たり図柄の組合せの停止ラインも決定し、停止図柄コマンドとして設定する。また、大当たりが発生しないと判別された場合には、リーチ乱数カウンタC3の値に基づいて第1図柄における外れ図柄の組合せの態様を決定する。かかる場合に、上記外れ図柄カウンタ更新処理にて更新されバッファ内に格納された図柄の組合せを停止図柄コマンドとして設定する。さらに、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいて、第1特定ランプ部47に表示される色の切替表示時間、及び第1図柄の変動表示時間を決定する。さらに、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいて第1図柄におけるリーチ種別やその大まかな図柄変動態様を決定し、変動態様コマンドとして設定する。なお、当該第1特定ランプ部制御処理にて第1特定ランプ部47のオンオフ制御が開始される毎に作動保留球数Nが1減算され、作動保留球数Nが0の場合にはオンオフ制御が開始されない。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS505にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口の連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
その後、ステップS506では、第2特定ランプ部48に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。簡単に説明すると、遊技球がスルーゲート34を通過したことを条件に、その都度の第2特定ランプカウンタC4の値が取得されると共に第2特定ランプ部48に表示される色の切り替え処理が実施される。そして、第2特定ランプ乱数カウンタC4の値により表示される色の抽選が実施され、赤色が選択されると、作動口33に付随する電動役物が所定時間開放される。
ステップS506の後は、ステップS507にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、図42に示すように、先ずステップS601にて発射カウンタHCを1加算し、続くステップS602にてその加算後の発射カウンタHCの値が150以上であるか否かを判別する。かかる場合に、通常処理の中では、遊技球発射制御処理は4msec毎に実行されるものであり、発射カウンタHCが0から150に達する間には0.6secの時間が必要となる。
ステップS602にて発射カウンタHCの値が150未満の場合には、そのまま本処理を終了する。一方、発射カウンタHCの値が150以上の場合には、ステップS603にて発射カウンタHCを0クリアし、ステップS604に進む。ステップS604では、RAM503の発射許可フラグ格納エリアに発射許可フラグがセットされているか否かを判別する。発射許可フラグは、電源及び発射制御基板313aから発射許可信号が出力されることによりセットされるフラグである。発射許可フラグがセットされていた場合には、ステップS605にて電源及び発射制御基板313aに発射制御信号を出力し、発射許可フラグがセットされていなかった場合には、発射制御信号を出力することなく本処理を終了する。電源及び発射制御基板313aは1の発射制御信号を入力することにより、発射ソレノイド162を1回励磁し、遊技球を1個発射させる。
即ち、本パチンコ機10では、遊技者が遊技球発射ハンドル18を操作していることを条件として遊技球の発射が行われる。また、上述のとおり、発射カウンタHCが0から150に達する間には0.6secの時間が必要となるため、基本的に、発射制御信号は1分間に100回出力され、1分間に100個の遊技球が発射される。
通常処理(図41)の説明に戻り、遊技球発射制御処理の後はステップS508にて、RAM503内に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判別する。停電フラグがセットされていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS509にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(ステップS510,S511)。
つまり、ステップS510では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。また、ステップS511では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
一方、ステップS508にて、停電フラグがセットされていると判別した場合は、停電により電源が遮断されたことになるので、ステップS512以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS512では、各割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS513にて電源が遮断されたことを示す停電信号を他の制御基板(払出制御基板311aや音声ランプ制御基板272aなど)に対して出力する。そして、ステップS514にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS515にてRAM503のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板313aからRAMのデータ記憶保持用電源が供給されるため、電源遮断前にRAM503に記憶されていた情報はそのままの状態で所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
次に、払出制御基板311aのCPU511により実行される各制御処理を図43〜図48のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU511の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理と、主制御回路500から出力されるコマンドの入力により起動される入力時割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理と入力時割込み処理とを説明し、その後、タイマ割込み処理、メイン処理の順で説明する。
NMI割込み処理は、停電の発生等に伴ってパチンコ機10の電源が遮断されるときに、停電信号を入力することにより実行される。但し、本実施の形態では、当該停電信号を、電源を監視する電源監視回路508から入力するのではなく、主制御回路500から入力する。NMI割込み処理では、主制御回路500におけるNMI割込み処理と同様に、払出制御基板311aのRAM513に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。その後、後述するメイン処理にて停電フラグがセットされていることが確認されることで、停電時処理が実行される。当該処理については、後に説明する。
次に、主制御回路500からコマンドを入力した場合に、他の処理を中断して実行される入力時割込み処理について、図43のフローチャートを用いて説明する。
入力時割込み処理では、先ずステップS701にて主制御回路500から出力されたコマンドをRAM513のコマンドバッファ513aに記憶し、その後、ステップS702にてRAM513に設けられたコマンド入力フラグ格納エリアにコマンド入力フラグをセットし、本処理を終了する。上述したように、コマンドがコマンドバッファ513aに記憶される場合には、記憶ポインタが参照されて所定の記憶領域に記憶されると共に、次に入力したコマンドを次の記憶領域に記憶させるために記憶ポインタが更新される。
次に、払出制御基板311aのCPU511により例えば2msec毎に実行されるタイマ割込み処理について、図44のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS801では、主制御回路500から入力したコマンドの判定を行うコマンド判定処理を実行する。このコマンド判定処理では、図45に示すように、ステップS901にて、RAM513のコマンド入力フラグ格納エリアにコマンド入力フラグがセットされているか否かを判別する。コマンド入力フラグがセットされていない場合は、新たなコマンドが主制御回路500から出力されていないので、そのまま本処理を終了する。一方、コマンド入力フラグがセットされていた場合は、ステップS902にてコマンド読出し処理を実行する。コマンド読出し処理では、入力したコマンドをRAM513のコマンドバッファ513aから読出し、さらにコマンド入力フラグをクリアする。かかる場合に、コマンドバッファ513aの読出ポインタが更新される。
その後、読み出されたコマンドの種類を、ステップS903、ステップS908及びステップS909の各処理にて判別し、各コマンドに対応した処理を実行する。つまり、ステップS903では、払出初期化コマンドであるか否かを判別し、当該コマンドである場合には、電源投入時に主制御回路500からRAM513の初期化が指示されていることになるので、ステップS904〜ステップS906の処理を実行した後に本処理を終了する。ステップS904では、RAM513に設けられた払出許可フラグ格納エリアに払出許可フラグがセットされているか否かを判別し、当該フラグがセットされていない場合は、ステップS905にてRAM513の作業領域を0にクリアし、さらにステップS906にてRAM513の初期値を設定する。その後、ステップS907にて払出許可フラグをセットすることで、賞球の払出が許可される。
なお、ステップS904において払出許可フラグがセットされている場合は、ステップS905及びステップS906の処理を行うことなく本処理を終了する。かかる構成とすることにより、RAM消去スイッチ323が押されていないにも関わらずノイズの影響などで払出初期化コマンドの入力を認識したとしても、その際に残っている賞球が遊技者に払い出されることなく消去されることを防止できる。
ステップS908では、復電コマンドであるか否かを判別し、当該コマンドである場合には、払出制御基板311aが停電による電源遮断の前の状態に復帰するので、ステップS907にて払出許可フラグをセットした後に本処理を終了する。かかる構成とすることにより、電源遮断前に賞球が残っていた場合に当該賞球を即座に払い出すことができる。
ステップS909では、賞球コマンドである否かを判定し、当該コマンドである場合には、ステップS910にて賞球コマンドに対応した賞球個数を総賞球個数に加算した後に、ステップS907にて払出許可フラグをセットし本処理を終了する。
なお、コマンドバッファ513aから読み出したコマンドが、払出初期化コマンド、復電コマンド又は賞球コマンドのいずれでもない場合は、当該コマンドはノイズ等により生じたコマンドと認識し、コマンドバッファ513aの読出ポインタを更新するだけで他の処理を行わずに本処理を終了する。
タイマ割込み処理(図44)の説明に戻り、コマンド判定処理を実行した後は、ステップS802にて払出許可フラグがセットされているか否かを判別する。払出許可フラグがセットされていない場合は、そのまま本処理を終了する。一方、払出許可フラグがセットされている場合は、ステップS803にて状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
また、ステップS804では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
その後、ステップS805では、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する。
ステップS806〜S808では、賞球払出の処理を実行する。この場合、賞球の払出不可状態でなく且つ前記ステップS801のコマンド判定処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(ステップS806,S807が共にNO)、ステップS808に進み、図46に示す賞球制御処理を開始する。また、賞球の払出不可状態又は総賞球個数が0であれば(ステップS806,S807の何れかがYES)、ステップS809〜S811の貸球払出の処理に移行する。
貸球払出の処理において、貸球の払出不可状態でなく且つCRユニットからの貸球払出要求を入力していれば(ステップS809がNO、S810がYES)、ステップS811に進み、図47に示す貸球制御処理を開始する。また、貸球の払出不可状態又は貸球払出要求を入力していなければ(ステップS809がYES又はS810がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
ステップS812では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS813では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本処理を終了する。
ここで、図46に示す賞球制御処理において、ステップS1001では、払出モータ358aを駆動させて賞球の払出を実行する。続くステップS1002では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1003に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図44のタイマ割込み処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1004に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1005に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図44のタイマ割込み処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1006に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1007で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図44のタイマ割込み処理に戻る。
また、図47に示す貸球制御処理において、ステップS1101では、払出モータ358aを駆動させて貸球の払出を実行する。続くステップS1102では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1103に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図44のタイマ割込み処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1104に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1105に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図44のタイマ割込み処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1106に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1107で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図44のタイマ割込み処理に戻る。
次に、払出制御基板311aのメイン処理を、図48のフローチャートを用いて説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
まず、ステップS1201では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、割込みモードを設定する。そして、ステップS1202に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS1203で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、ステップS1204では、RAM513の停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判別する。また、ステップS1205ではRAM判定値を算出し、続くステップS1206では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
停電フラグがセットされていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合はRAM513の初期化処理(ステップS1211〜S1213)に移行する。つまり、ステップS1211ではRAM513の全領域を0にクリアし、続くステップS1212ではRAM513の初期化処理を実行する。また、ステップS1213ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。
一方、停電フラグがセットされており、さらにRAM判定値(チェックサム値等)が正常である場合は、復電時の処理(停電による電源遮断後の復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS1207にて停電フラグをクリアすると共に、ステップS1208にて賞球の払出を許可する払出許可フラグをクリアする。また、ステップS1209ではCPU周辺デバイスの初期設定を行う。なお、RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。但し、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
ステップS1209又はステップS1213の処理の後は、ステップS1210にて割込みを許可し、さらにステップS1214にてRAM513の停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判別する。その結果、停電フラグがセットされていなければ、停電フラグがセットされるまで待機する。
一方、停電フラグがセットされている場合には、停電が発生したことになるので、停電時処理としてステップS1215移行の処理を実行する。停電時処理では、先ずステップS1215にて各割込み処理の発生を禁止する。その後、ステップS1216にて上述したコマンド判定処理(図45参照)を実行し、ステップS1217にてRAM判定値を算出、保存し、さらにステップS1218にてRAM513のアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。なお、電源が完全に遮断された後も、電源及び発射制御基板313aからRAM513の記憶保持用電源が供給されるため、電源遮断前にRAM513に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。
次に、音声ランプ制御基板272aのCPU521により例えば4msec毎に実行される不正検出処理について、図49のフローチャートを用いて説明する。ここで、不正検出処理とは、主制御装置271及び払出制御装置311に貼り付けられた封印シール300,320のICチップ305,320b(以下、ICチップ305を主側ICチップ305ともいい、ICチップ320bを払出側ICチップ320bともいう)に記憶されたID情報をスキャナ340により入力して確認することで、主制御装置271や払出制御装置311への不正の有無を検出する処理である。
不正検出処理においては先ずステップS1301にて、RAM523に設けられた待機中フラグ格納エリアに待機中フラグがセットされているか否かを判定する。待機中フラグは音声ランプ制御基板272aがスキャナ340に対して電波出力信号を出力することでセットされ、出力停止信号を出力することでクリアされるフラグである。そして、スキャナ340は、後述するように電波出力信号を入力することで所定周波数の呼出波を出力し、出力停止信号を入力することで呼出波の出力を停止する。したがって、待機中フラグがセットされている間はスキャナ340からのID情報の入力待ち状態にある。
待機中フラグがセットされていない場合には、ステップS1302〜ステップS1306の不正検出設定処理を実行する。一方、待機中フラグがセットされている場合には、ステップS1307〜ステップS1313の不正検出判定処理を実行する。
不正検出設定処理では、先ずステップS1302にてRAM523の遊技中フラグ格納エリアに遊技中フラグがセットされているか否かを判定する。遊技中フラグは、電源及び発射制御基板313aから上述した発射許可信号を入力している間、表示制御装置214から上述した可変表示中信号を入力している間、又は払出装置358の払出モータ358aから上述した駆動信号を入力している間、セットされるフラグである。つまり、遊技中フラグは、パチンコ機10において遊技が進行しているか否かを表すフラグである。
遊技中フラグがセットされていない場合には、ステップS1303にて周期カウンタFCを1加算し、その後、ステップS1304にて周期カウンタFCが15000以上となったか否かを判定する。かかる場合に、待機中フラグがセットされていない場合には、不正検出設定処理は4msec毎に実行されるものであり、周期カウンタFCが0〜15000に達する間に1minの時間が必要となる。
ステップS1304にて周期カウンタFCの値が15000未満の場合には、そのまま本処理を終了する。一方、周期カウンタFCの値が15000以上の場合には、ステップS1305に進む。ステップS1305では、スキャナ340に対して電波出力信号を出力する。これにより、スキャナ340のCPU340aはRF回路340bを駆動し、リーダアンテナ340cを介して所定周波数の呼出波を出力させる。また、ステップS1305では、待機中フラグをセットするとともに、周期カウンタFCを0クリアする。その後、本処理を終了する。
一方、遊技中フラグがセットされておりステップS1302にて肯定判定をした場合には、ステップS1306にて周期カウンタFCを0クリアした後に本処理を終了する。
即ち、本パチンコ機10では、遊技者が遊技球ハンドル18を操作しておらず、図柄表示装置41にて図柄の可変表示が行われておらず、さらに払出装置358による遊技球の払い出しが行われていない状態が1min継続することで、スキャナ340から呼出波が出力される。これにより、遊技が行われている状況下においてスキャナ340から呼出波が出力されることを防止しつつ、所定の頻度で当該呼出波の出力を実行することができる。
不正検出設定処理にて待機中フラグがセットされることにより、次回の不正検出処理ではステップS1301にて肯定判定をする。これにより、不正検出判定処理を開始する。不正検出判定処理では、先ずステップS1307にてスキャナ340からID情報を入力したか否かを判定する。ID情報を入力している場合には、ステップS1308にてID情報確認処理を実行する。
ID情報確認処理では、図50に示すように、先ずステップS1401にて入力したID情報が第1ID情報であるか否かを判定する。第1ID情報は、主側ICチップ305に記憶されたID情報であり、上述したように音声ランプ制御基板272aのROM522にも記憶されている。つまり、当該ステップS1401では、入力したID情報とROM522に記憶された第1ID情報とを比較し、同一か否かを判定する。第1ID情報でない場合には、そのままステップS1404に進む。
第1ID情報である場合には、主側ICチップ305からID情報を入力したことを表す。この場合、ステップS1402にてRAM523の第1IDフラグ格納エリアに第1IDフラグがセットされているか否かを判定する。第1IDフラグがセットされていない場合には、ステップS1403にて第1IDフラグをセットした後にステップS1404に進み、第1IDフラグがセットされている場合には、そのままステップS1404に進む。このように第1フラグがセットされているか否かを判定するのは、不正検出判定処理が継続して実行される場合に、第1ID情報を繰り返し入力することがあるからである。
ステップS1404では、入力したID情報が第2ID情報であるか否かを判定する。第2ID情報は、払出側ICチップ320bに記憶されたID情報であり、上述したように音声ランプ制御基板272aのROM522にも記憶されている。つまり、当該ステップS1404では、入力したID情報とROM522に記憶された第2ID情報とを比較し、同一か否かを判定する。第2ID情報でない場合には、そのまま本処理を終了する。
第2ID情報である場合には、払出側ICチップ320bからID情報を入力したことを表す。この場合、ステップS1405にてRAM523の第2IDフラグ格納エリアに第2IDフラグがセットされているか否かを判定する。第2IDフラグがセットされていない場合には、ステップS1406にて第2IDフラグをセットした後に本処理を終了し、第2IDフラグがセットされている場合には、そのまま本処理を終了する。このように第2IDフラグがセットされているか否かを判定するのは、不正検出判定処理が継続して実行される場合に、第2ID情報を繰り返し入力することがあるからである。
不正検出判定処理において、ステップS1308のID情報確認処理を実行した後は、ステップS1309にて全ID情報を入力したか否かを判定する。つまり、第1IDフラグと第2IDフラグとの両方がセットされているか否かを判定する。両フラグがセットされている場合には、主制御装置271及び払出制御装置311に対して不正行為が行われていないことを意味するため、ステップS1310に進む。
ステップS1310では、先ずスキャナ340に対して出力停止信号を出力する。これにより、スキャナ340のCPU340aはRF回路340bの駆動を停止し、リーダアンテナ340bを介した呼出波の出力を停止させる。また、ステップS1310では、第1IDフラグ、第2IDフラグ、及び待機中フラグをクリアするとともに、待機カウンタWCを0クリアする。その後、本処理を終了する。
一方、ステップS1307又はステップS1309にて否定判定をした場合は、ステップS1311に進む。つまり、ID情報を入力していない場合、又は全ID情報を入力していない場合には、ステップS1311に進む。ステップS1311では待機カウンタWCを1加算する。その後、ステップS1312では待機カウンタWCが10以上となったか否かを判定する。かかる場合に、ID情報を入力していない場合、又は全ID情報を入力していない場合には、ステップS1311及びステップS1312の処理は4msec毎に実行されるものである。したがって、ステップS1312ではスキャナ340に対して電波出力信号を出力してから40msecが経過したか否かを判定している。
ステップS1312にて待機カウンタWCが10未満である場合には否定判定をし、そのまま本処理を終了する。一方、待機カウンタWCが10以上である場合には、主制御装置271又は払出制御装置311に対して不正行為が行われたことを意味するため、ステップS1313にてエラー報知処理を実行した後に無限ループに入る。エラー報知処理では、スピーカ20からエラー報知音を出力するとともに、エラー表示ランプ106を点灯させる。さらに、表示制御装置214に対してエラーコマンドを出力し、図柄表示装置41にてエラー報知表示を行う。そして、無限ループに入っている間は、かかるエラー報知が継続される。つまり、本パチンコ機10では、スキャナ340から呼出波が出力されてから所定期間(40msec)以内に第1ID情報及び第2ID情報の両方を入力しなかった場合に、主制御装置271又は払出制御装置311に対して不正行為が行われたと判定する。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御装置271及び払出制御装置311にID情報が記憶されたICチップ305,320bを設けたことにより、そのID情報の読み取りを行うことで不正な制御装置への交換等といった不正行為が行われたか否かを確認することができる。この場合に、パチンコ機10にスキャナ340を搭載し、所定のタイミングでID情報を呼び出すための呼出波を出力するようにした。そして、呼出波を出力してから予め定められた期間内にID情報を入力しなかった場合には、エラー報知を行うようにした。かかる構成とすることにより、遊技ホールの管理者等がID情報の読み取り作業を行う必要はなく、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
ID情報の読み取り作業を遊技ホールの管理者等が行う場合を想定すると、遊技ホールには多数のパチンコ機が設置されているため、かかる作業を1日に1度行う場合であったとしても作業負荷は大きなものとなる。また、読み取り作業を1日に1度行うだけでは少なくとも1日間は不正行為が行われた状態で遊技が行われてしまうため、確認作業の間隔を短くするのが好ましい。この場合、上記作業負荷はより大きなものとなる。また、確認作業の間隔を短くするためには、遊技ホールの営業中に確認作業を行う必要が生じ、それは困難である。これに対して、本実施の形態の構成によれば、上記のとおり遊技ホールの管理者等がID情報の読み取り作業を行う必要はないため、上記不都合が生じることはなく、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
ICチップ305,320bをアンテナ付きICチップ303,320aとして封印シール300,320に設けた。このアンテナ付きICチップ303,320aはアンテナ部306,320cから出力する応答波によりID情報を出力する構成であり、アンテナ部306,320cが分断されることにより応答波の出力が行われなくなる。また、アンテナ部306,320cは封印シール300,320を剥が力に伴う応力によって一部が破壊される程度の脆性を有している。さらには、主制御装置271や払出制御装置311の基板ボックス273,315を開封するためには封印シール300,320を剥がす必要がある。つまり、以上の構成によれば、基板ボックス273,315が開封された場合には、ICチップ305,320bからID情報が出力されなくなり、エラー報知が行われる。よって、不正な制御装置への交換だけでなく、基板ボックス273,315の不正な開封が行われたか否かを確認することができる。
ID情報の呼び出しやID情報の入力を行う情報読取手段をスキャナ340として主制御装置271や払出制御装置311とは別で設けた。また、不正検出処理を主制御装置271や払出制御装置311とは別の音声ランプ制御装置272にて実行するようにした。これにより、主制御装置271や払出制御装置311が不正な制御装置に交換されたとしても、ID情報の読み取り、及びそれに基づく不正検出処理を実行することができる。
主制御装置271及び払出制御装置311にICチップ305,320bを設け、それら制御装置271,311に対する不正行為の有無を一括して確認するようにした。これにより、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認をより良好に行うことができる。
不正検出処理においてID情報を入力できなかった場合には、エラー報知を行うようにした。これにより、主制御装置271又は払出制御装置311に対して不正行為が行われたことを明確に報知することができる。この場合に、報知手段としてのスピーカ20、エラー表示ランプ106などを制御する音声ランプ制御装置272において不正検出処理を実行するようにした。これにより、不正検出処理を実行するための制御装置を別途設ける構成に比べ、構成の簡素化を図ることができる。特に、音声ランプ制御装置272は報知手段を制御する機能を備えた制御装置であるため、異常処理としてエラー報知を行うようにした構成においては音声ランプ制御装置272にて不正検出処理を実行することで、さらなる構成の簡素化を図ることができる。
遊技球発射ハンドル18が操作されている間、図柄表示装置41において図柄の可変表示が行われている間、及び払出装置358から遊技球が払い出されている間は、スキャナ340から呼出波を出力しないようにした。これにより、パチンコ機10において遊技が行われている状況下において呼出波や応答波が出力されることが防止される。遊技が行われている状況下において呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、例えば、遊技球を検出する検出センサ、図柄表示装置41、払出装置358、及び各種制御装置に対して、呼出波や応答波がノイズとなり、遊技が正確に進行しないおそれがある。より詳細には、例えば、大当たり判定が正常に行われなかったり、図柄表示装置41における表示に支障をきたすおそれがある。これに対して、本実施の形態における構成によれば、かかる不都合の発生を抑制することができる。
音声ランプ制御装置272は、発射許可信号、可変表示中信号、及び駆動信号を主制御装置271や払出制御装置311を介することなく入力する。これら信号を主制御装置271や払出制御装置311を介して入力する構成を想定すると、主制御装置271や払出制御装置311に対する不正に際して上記各信号を常に出力するように細工されることで、呼出波の出力が開始されなくなってしまう。これに対して、本実施の形態における構成によれば、かかる不都合の発生を抑制することができる。
(第2の実施の形態)
以下、スロットマシンに関する第2の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図51はスロットマシン550の前面扉552を閉じた状態の斜視図、図52はスロットマシン550の前面扉552を開いた状態の斜視図、図53は筐体551の正面図である。
スロットマシン550は、その外殻を形成する筐体551を備えている。筐体551は前方に開放した箱状に形成されている。筐体551の前面側には、前面扉552が開閉可能に取り付けられている。前面扉552の中央部上寄りには、遊技パネル553が設けられており、遊技パネル553には、縦長の3つの表示窓554L,554M,554Rが横並びとなるように形成されている。表示窓554L,554M,554Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓554L,554M,554Rを通じて筐体551の内部に設けられたリールユニット555による図柄の可変表示が視認可能となっている。
リールユニット555は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された複数(3個)のリール556L,556M,556Rを備えている。これら各リール556L,556M,556Rは、各表示窓554L,554M,554Rに1対1で対応している。各リール556L,556M,556Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール556L,556M,556Rの外周面には複数の図柄が回転方向に付されている。また、各リール556L,556M,556Rは、それぞれ図示しないステッピングモータに連結されており、ステッピングモータの駆動により各リール556L,556M,556Rが個別に回転する。各リール556L,556M,556Rが回転することにより、上述した図柄の可変表示が実行される。
遊技パネル553の下方左側には、各リール556L,556M,556Rを一斉に回転開始させるために操作されるスタートレバー561が設けられている。また、スタートレバー561の右側には、回転している各リール556L,556M,556Rを個別に停止させるために操作されるストップスイッチ562L,562M,562Rが設けられている。また、表示窓554L,554M,554Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口563が設けられている。
メダル投入口563から投入されたメダルは、前面扉552の背面に設けられたセレクタ565によって貯留用通路566か排出用通路567のいずれかへ導かれる。すなわち、セレクタ565にはメダル通路切替ソレノイドが設けられ、そのメダル通路切替ソレノイドの非励磁時には排出用通路567側とされ、励磁時には貯留用通路566側に切り替えられるようになっている。貯留用通路566に導かれたメダルは、筐体551の内部に収納されたホッパ装置571へと導かれる。一方、排出用通路567に導かれたメダルは、前面扉552の前面下部に設けられたメダル受け皿575へと導かれ、遊技者に返還される。なお、セレクタ565にはメダル検出センサが設けられており、当該センサにより貯留用通路566に導かれるメダルが検出される。
メダルを遊技者に付与するホッパ装置571は、メダルを貯留する貯留タンク572と、メダルを遊技者に払い出す払出装置573とより構成されている。払出装置573は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路567へメダルを排出し、排出用通路567を介してメダル受け皿575へメダルを払い出すようになっている。
表示窓554L,554M,554Rの下方左側には、投資価値としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのマックスベットスイッチ576が設けられている。なお、マックスベットスイッチ576が操作された場合の投入枚数は3枚に限定されることはない。
前面扉552の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ577と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ578と、遊技者に各種情報を与える補助表示部579とが設けられている。補助表示部579の背面には上部ランプ577やスピーカ578,補助表示部579を駆動させるための表示制御装置581が設けられている。
筐体551の内部においてリールユニット555の上方には、主制御装置582が設けられている。主制御装置582は、主たる制御を司るCPU等を含む主基板を具備しており、主基板が基板ボックス583に収容されて構成されている。基板ボックス583は、ボックスベースとボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット584によって開封不能に連結されている。また、基板ボックス583には、ボックスベースとボックスカバーとを跨ぐようにして封印シール585が貼り付けられている。
封印シール585は上記第1の実施の形態における封印シール300,320と同様にアンテナ付きICチップを備えている。また、筐体551内における主制御装置582に近接した位置には、スキャナ586が設けられている。スキャナ586は上記第1の実施の形態におけるスキャナ340と同様に封印シール585のアンテナ付きICチップに向けて所定周波数の呼出波を出力し、それに基づいてアンテナ付きICチップから発信されるID情報を入力して読み取ることができるようになっている。
次に、本スロットマシン550の電気的構成について、図54のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置582には、演算処理手段であるCPU591を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU591には、このCPU591によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM592と、このROM592内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM593などが内蔵されている。CPU591には図示しない入出力ポートが接続されている。
主制御装置582の入力側には、スタートレバー561、ストップスイッチ562、マックスベットスイッチ576、リールユニット555、セレクタ565、及びホッパ装置571等が接続されている。この場合に、リールユニット555については各リール556L,556M,556Rの回転位置(原点位置)を個別に検出するリールインデックスセンサが接続されており、セレクタ565についてはメダル投入口563から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサが接続されており、ホッパ装置571については当該ホッパ装置571から払い出されるメダルを検出する払出検出センサが接続されている。
主制御装置582の出力側には、リールユニット555、セレクタ565、及びホッパ装置571等が接続されている。この場合に、リールユニット555については各リール556L,556M,556Rを回転させるための各ステッピングモータが接続されており、セレクタ565については当該セレクタ565に設けられた通路切替ソレノイドが接続されており、ホッパ装置571についてはメダルを払い出すためのメダル払出用回転板の駆動部が接続されている。また、主制御装置582の出力側には表示制御装置581が接続されている。
表示制御装置581は、上部ランプ577やスピーカ578、及び補助表示部579を制御するものである。演算装置であるCPU596は、そのCPU596により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM597と、ワークメモリ等として使用されるRAM598とを備えている。CPU596には図示しない入出力ポートが接続されている。表示制御装置581の入力側には主制御装置582が接続されており、表示制御装置581の出力側には上部ランプ577、スピーカ578、及び補助表示部579が接続されている。そして、表示制御装置581は、基本的に主制御装置582から出力される各種コマンドに基づいて、上部ランプ577、スピーカ578、及び補助表示部579を制御する。
次に、スキャナ586によるID情報の読み取りに関する電気的構成について、図55のブロック図に基づいて説明する。
スキャナ586は、図55に示すように、その内部にCPU586a、RF回路586b、及びリーダアンテナ586cを備えており、CPU586aはRF回路586bに接続されており、RF回路586bはリーダアンテナ596cに接続されている。CPU586aには、当該CPU586aにより実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROMと、そのROM内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAMが内蔵されている。また、CPU586aは図示しない入出力ポートを介して表示制御装置581と接続されている。
表示制御装置581は、所定条件が成立した場合にスキャナ586のCPU586aに対して電波出力信号を出力する。詳細には、表示制御装置581におけるCPU596の入力側には、リールユニット555と、ホッパ装置571とが接続されている。リールユニット555からは各リール556L,556M,556Rが回転後停止したことを表すリール停止信号を入力する。ホッパ装置571からはメダル払出用回転板を駆動していることを表す駆動信号を入力する。そして、表示制御装置581は、リール停止信号を入力し、且つ駆動信号を入力していないことを条件として、後述する不正検出処理(図57)にて電波出力信号を出力する。
スキャナ586のCPU586aは、表示制御装置581から電波出力信号を入力することにより、RF回路586bを駆動してリーダアンテナ586cから所定周波数(2.45GHz)の呼出波を出力させる。リーダアンテナ586cから出力された呼出波により、誘導電磁界が形成される。この誘導電磁界が形成される範囲内には、主制御装置582に貼り付けられた封印シール585が含まれており、誘導電磁界が形成されることでアンテナ部585bにおいて電磁誘導により起電力が発生する。ICチップ585aではこの起電力を電源として、メモリ領域に記憶されているID情報を呼び出してアンテナ部585bからID情報を含んだ応答波を出力し、この出力された応答波はリーダアンテナ586cで入力される。この入力した応答波に内在したID情報はCPU586aにて読み込まれ、CPU586aは当該ID情報を表示制御装置581に出力する。
ただし、主制御装置582が不正な制御装置に交換された場合には、応答波の出力は行われない。また、主制御装置582の基板ボックス583が不正に開放された場合には、封印シール585のアンテナ部585bが分断され、アンテナ部585bからの応答波の出力は行われない。これらの場合、表示制御装置581のCPU596においては、スキャナ586のCPU586aからID情報が出力されないことに基づいて、主制御装置582に対して不正行為が行われたことを把握する。そして、上述したとおり、表示制御装置581におけるCPU596の出力側には、上部ランプ577、スピーカ578、及び補助表示部579が接続されており、これら各種報知手段を介してエラー報知を実行する。つまり、上部ランプ577の点灯、及びスピーカ578によるエラー報知音の出力を実行するとともに、補助表示部579にエラー検出表示を表示させる。
次に、主制御装置582のCPU591により実行される通常処理を図56のフローチャートを参照しながら説明する。
通常処理では、先ずステップS1501にてメダルがベットされているか否かを判定する。すなわち、マックスベットスイッチ576の操作により仮想メダルがベットされたか、又はメダル投入口563よりメダルが投入されたか否かを判定する。メダルがベットされているときには、続いてステップS1502にてスタートレバー561が操作されたか否かを判定する。ステップS1501又はステップS1502にて否定判定をした場合には、ステップS1501に戻る。一方、ステップS1501及びステップS1502にて肯定判定をした場合には、ステップS1503にてメダル投入不許可処理を行う。
具体的には、セレクタ565に設けられたメダル通路切替部材のソレノイドを非励磁とし、仮にメダル投入口563からメダルが投入されたとしても排出用通路567を介して遊技者にかかるメダルが返却されるようにする。また、マックスベットスイッチ576のON操作を無効化する処理も併せて行う。
その後、ステップS1504の抽選処理、ステップS1505のリール制御処理、ステップS1506のメダル払出処理、ステップS1507の特別遊技状態処理を順に実行し、ステップS1508ではメダル投入許可処理を行う。
抽選処理ではスタートレバー561の操作に基づく当選役の抽選を行い、リール制御処理では各リール556L,556M,556Rの回転及び停止制御を行う。この場合に、リールユニット555は全リール556L,556M,556Rの停止後に表示制御装置581に対してリール停止信号を出力する。メダル払出処理では各リール556L,556M,556Rの回転停止後にメダルの払い出しに対応した入賞図柄が有効ライン上に停止していた場合に、所定枚数のメダルの払い出しを実行するようホッパ装置571を駆動制御する。この場合に、ホッパ装置571はメダル払出用回転板を駆動している間、表示制御装置581に対して駆動信号を出力する。特別遊技状態処理では、いわゆるボーナスゲームへの移行処理及び終了処理を実行する。メダル投入許可処理では、セレクタ565に設けられたメダル通路切替部材のソレノイドを励磁し、メダル投入口563からメダルが投入された際に貯留用通路566へ導かれるようにするとともに、マックスベットスイッチ576のON操作を有効化する処理を行う。
以上の処理を行うことで、1遊技回が終了し、ステップS1501に戻る。ここで、本スロットマシン550においてはステップS1506のメダル払出処理が終了してからステップS1508のメダル投入許可処理が実行されるまでに所定の期間(例えば、0.1sec)が確保されている。この間に、スキャナ586から呼出波が出力される。
次に、表示制御装置581のCPU596により実行される不正検出処理について、図57のフローチャートを用いて説明する。ここで、不正検出処理とは、主制御装置582に貼り付けられた封印シール585のICチップ585aに記憶されたID情報の入力をスキャナ586を介して確認することで、主制御装置582への不正の有無を検出する処理である。
不正検出処理においては先ずステップS1601にて、RAM598に設けられた待機中フラグ格納エリアに待機中フラグがセットされているか否かを判定する。待機中フラグは表示制御装置581がスキャナ586に対して電波出力信号を出力することでセットされ、出力停止信号を出力することでクリアされるフラグである。そして、スキャナ586は、電波出力信号を入力することで所定周波数の呼出波を出力し、出力停止信号を入力することで呼出波の出力を停止する。したがって、待機中フラグがセットされている間はスキャナ586からのID情報の入力待ち状態となる。
待機中フラグがセットされていない場合には、ステップS1602〜ステップS1607の不正検出設定処理を実行する。一方、待機中フラグがセットされている場合には、ステップS1608〜ステップS1611の不正検出判定処理を実行する。
不正検出設定処理では、先ずステップS1602にてRAM598に設けられたリール停止フラグ格納エリアにリール停止フラグがセットされているか否かを判定する。リール停止フラグがセットされていない場合には、ステップS1603にてリールユニット555からリール停止信号を入力しているか否かを判定する。リール停止信号を入力していない場合には、そのまま本処理を終了する。リール停止信号を入力している場合には、ステップS1604にてリール停止フラグをセットするとともに、計測タイマに20msecをセットした後に、本処理を終了する。つまり、リール停止フラグは各リール556L,556M,556Rが回転停止した直後であることを示すフラグである。
リール停止フラグがセットされている場合には、ステップS1602にて肯定判定をし、ステップS1605に進む。ステップS1605では、ホッパ装置572から駆動信号を入力しているか否かを判定することで、メダルの払い出しが行われているか否かを判定する。メダルの払い出しが行われている場合には、そのまま本処理を終了する。メダルの払い出しが行われていない場合には、ステップS1606にてステップS1604の処理において20msecにセットされた計測タイマが「0」となったか否かを判定する。かかる判定を行うことで、各リール556L,556M,556Rの回転が停止してからメダルの払い出しが開始されるまでの時間が確保されている。
計測タイマが「0」となっていない場合には、そのまま本処理を終了する。計測タイマが「0」となっている場合には、ステップS1607を実行した後に本処理を終了する。ステップS1607では、スキャナ585に対して電波出力信号を出力する。これにより、スキャナ586のCPU586aはRF回路586bを駆動し、リーダアンテナ586cを介して所定周波数の呼出波を出力させる。また、ステップS1607では、待機中フラグのセット、リール停止フラグのクリアを行うとともに、計測タイマに10msecをセットする。
即ち、本スロットマシン550では、各リール556L,556M,556Rの回転が停止した直後、又はメダルの払い出しが実行される場合には当該払い出しが完了した直後に、スキャナ586から呼出波が出力される。また、スキャナ586から呼出波が出力された場合には、基本的に10msecを経過する前にICチップ585aからID情報を入力し、後述するようにID情報を入力することで呼出波の出力は停止される。主制御装置582のCPU591において実行される通常処理では、上述したようにステップS1506のメダル払出処理が終了してからステップS1508のメダル投入許可処理が実行されるまでに所定の期間が確保されているため、この間に呼出波の出力が停止される。よって、遊技(メダルの投入、各リール556L,556M,556Rの回転、及びメダルの払い出し)が行われている状況下においてスキャナ586から呼出波が出力されることを防止しつつ、所定の頻度で(1遊技回毎に)当該呼出波の出力を実行することができる。
不正検出設定処理にて待機中フラグがセットされることにより、次回の不正検出処理ではステップS1601にて肯定判定をする。これにより、不正検出判定処理を開始する。不正検出判定処理では、先ずステップS1608にてスキャナ586からID情報を入力したか否かを判定する。ID情報を入力している場合には、主制御装置582に対して不正行為が行われていないことを意味するため、ステップS1609に進む。
ステップS1609では、先ずスキャナ586に対して出力停止信号を出力する。これにより、スキャナ586のCPU586aはRF回路586bの駆動を停止し、リーダアンテナ586cを介した呼出波の出力を停止させる。また、ステップS1609では、待機中フラグをクリアする。その後、本処理を終了する。
一方、ID情報を入力しておらずステップS1608にて否定判定をした場合には、ステップS1610にて計測タイマが「0」となったか否かを判定する。計測タイマが「0」でない場合には否定判定をし、そのまま本処理を終了する。一方、計測タイマが「0」である場合には、主制御装置582に対して不正行為が行われたことを意味するため、ステップS1611にてエラー報知処理を実行した後に無限ループに入る。エラー報知処理では、上部ランプ577を所定の態様で点滅させるとともに、スピーカ578から「係員をお呼び下さい。」などのエラー報知音声を出力する。さらに、補助表示部579にてエラー報知表示を行う。そして、無限ループに入っている間は、かかるエラー報知が継続される。つまり、本スロットマシン550では、スキャナ586から呼出波が出力されてから所定期間(10msec)以内にID情報を入力しなかった場合に、主制御装置582に対して不正行為が行われたと判定する。
以上詳述した第2の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
メダル投入許可状態においては、スキャナ586からの呼出波の出力を行わないようにした。これにより、メダル投入口563からメダルが投入されている状況下において呼出波や応答波が出力されることが防止される。メダルが投入されている状況下において呼出波や応答波が出力される構成を想定すると、それら呼出波や応答波がセレクタ565に設けられたメダル検出センサに対してノイズとなり、投入されたメダルのカウントが正確に行われないおそれがある。これに対して、本実施の形態の構成によれば、かかる不都合の発生を抑制することができる。
主制御装置582のCPU591においてメダル払出処理(ステップS1506)が終了してからメダル投入許可処理(ステップS1508)が実行されるまでに、スキャナ586による呼出波の出力及び応答波の入力を行うようにした。つまり、1遊技回が終了しメダルの受け入れの阻止が解除される前の段階で呼出波の出力及び応答波の入力を行うようにした。これにより、遊技が進行している状況で呼出波や応答波が出力されることが防止され、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
なお、本第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態における特徴的な構成と同一又は類似した構成を備えており、かかる構成に基づく効果は本第2の実施の形態においても同様に奏する。
(第3の実施の形態)
以下、パチンコ機やスロットマシンなどが多数設置された遊技ホールにおける不正監視システムに関する第3の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図58はシステム構成を説明するための概略図である。なお、図58においては遊技機としてパチンコ機PMのみを示すが、本不正監視システムはスロットマシン等の他の遊技機に対しても適用される。
図58に示すように、遊技ホールには多数のパチンコ機PM−1,PM−2,PM−3,PM−4,・・・・PM−m,PM−nが設置されている。パチンコ機PMの基本的な構成は上記第1の実施の形態におけるパチンコ機10と同様であり、アンテナ付きICチップを有する封印シールが主制御装置及び払出制御装置に貼り付けられている。ただし、スキャナはパチンコ機PM内に搭載されていない。各パチンコ機PMはホール内ネットワーク601を介してホールコンピュータ600に接続されている。
ホールコンピュータ600は、演算処理手段であるCPU602を備えている。CPU602には、このCPU602によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM603と、このROM603内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM604などが内蔵されている。また、CPU602における処理に基づいて各種の表示を行う表示画面605を備えている。
遊技ホールには、2台のパチンコ機PMに対応させて1台のスキャナSC−1,SC−2,・・・・SC−kが設置されている。各スキャナSCは上記第1の実施の形態や上記第2の実施の形態におけるスキャナ340,586と同様にCPU,RF回路,リーダアンテナを備えている。各スキャナSCはホール内ネットワーク601を介してホールコンピュータ600に接続されている。
各スキャナSCからは対応するパチンコ機PMに対して所定周波数の呼出波が出力される。各パチンコ機PMの封印シールに設けられたアンテナ付きICチップは、対応するスキャナSCから出力される呼出波の周波数に合わせて作製されている。例えば、パチンコ機PM1及びパチンコ機PM2のアンテナ付きICチップはスキャナSC1から出力される呼出波の第1周波数に合わせて作製されており、パチンコ機PM3及びパチンコ機PM4のアンテナ付きICチップはスキャナSC2から出力される呼出波の第2周波数に合わせて作製されている。
各スキャナSCは対応するパチンコ機PMから応答波を入力することにより、その応答波に内在したID情報をホールコンピュータ600に出力する。ホールコンピュータ600は、不正検出処理においてID情報を確認することにより、各パチンコ機PMの主制御装置や払出制御装置に対して不正行為が行われたか否かを判定する。
次に、ホールコンピュータ600のCPU602により実行される不正検出処理を図59のフローチャートを参照しながら説明する。
不正検出処理においては先ずステップS1701にて、ホールコンピュータ600のRAM604に設けられた待機中フラグ格納エリアに待機中フラグがセットされているか否かを判定する。待機中フラグはホールコンピュータ600が各スキャナSCに対して電波出力信号を出力することでセットされ、出力停止信号を出力することでクリアされるフラグである。そして、各スキャナSCは、電波出力信号を入力することでそれぞれ異なる周波数の呼出波を出力し、出力停止信号を入力することで呼出波の出力を停止する。したがって、待機中フラグがセットされている間はスキャナSCからのID情報の入力待ち状態となる。
待機中フラグがセットされていない場合には、ステップS1702及びステップS1703の不正検出設定処理を実行する。一方、待機中フラグがセットされている場合には、ステップS1704〜ステップS1709の不正検出判定処理を実行する。
不正検出設定処理では、先ずステップS1702にて前回の待機中フラグのクリア処理が実行されてから5minが経過したか否かを判定する。経過していない場合には、そのまま本処理を終了する。経過している場合には、ステップS1703を実行した後に本処理を終了する。ステップS1703では、各スキャナSCに対して電波出力信号を出力する。これにより、各スキャナSCのCPUはRF回路を駆動し、リーダアンテナを介して所定周波数の呼出波を出力させる。また、ステップS1703では待機中フラグをセットする。即ち、本不正監視システムでは、所定周期で各スキャナSCから呼出波が出力される。
不正検出設定処理にて待機中フラグがセットされることにより、次回の不正検出処理ではステップS1701にて肯定判定をする。これにより、不正検出判定処理を開始する。不正検出判定処理では、先ずステップS1704にて各スキャナSCからID情報を入力したか否かを判定する。ID情報を入力している場合には、ステップS1705にてID情報確認処理を実行する。
ID情報確認処理では、上記第1の実施の形態におけるID情報確認処理(図50参照)と同様に、各パチンコ機PMの主制御装置及び払出制御装置からID情報を入力したか否かを個別に判定し、入力していた場合には対応するフラグをセットする。
つまり、ホールコンピュータ600のROM603には、図60(a)に示すように、各パチンコ機PMの主制御装置及び払出制御装置に対応させてID情報が記憶されている。例えば、パチンコ機PM1の主制御装置のID情報は「1001」であり、払出制御装置のID情報は「2001」である。また、ホールコンピュータ600のRAM604には、図60(b)に示すように、各パチンコ機PMの主制御装置及び払出制御装置に対応させて確認フラグ格納エリアが設けられている。そして、ID情報確認処理では入力したID情報に対応した確認フラグをセットする。
ステップS1705のID情報確認処理を実行した後は、ステップS1706にて全ID情報を入力したか否かを判定する。つまり、全確認フラグがセットされているか否かを判定する。全フラグがセットされている場合には、全てのパチンコ機PMに対して不正行為が行われていないことを意味するため、ステップS1707に進む。
ステップS1707では、先ず各スキャナSCに対して出力停止信号を出力する。これにより、スキャナSCのCPUはRF回路の駆動を停止し、リーダアンテナを介した呼出波の出力を停止させる。また、ステップS1707では、待機中フラグをクリアする。その後、本処理を終了する。
一方、ステップS1704又はステップS1706にて否定判定をした場合は、ステップS1708に進む。つまり、ID情報を入力していない場合、又は全ID情報を入力していない場合には、ステップS1708に進む。ステップS1708ではステップS1703にて待機中フラグをセットしてから1secが経過したか否かを判定する。
ステップS1708にて1secが経過していない場合には否定判定をし、そのまま本処理を終了する。一方、1secが経過していた場合には、いずれかのパチンコ機PMの主制御装置又は払出制御装置に対して不正行為が行われたことを意味するため、ステップS1709にてエラー表示処理を実行した後に本処理を終了する。
エラー表示処理では、ホールコンピュータ600の表示画面605にて、ID情報を入力しなかったパチンコ機PMの台番、及び主制御装置又は払出制御装置のいずれであるのかを特定した態様の表示を行う。例えば、「j番台の主制御装置に対してエラー発見」などといった表示を行う。これにより、遊技ホールの管理者などは不正の有無を容易に発見することができる。かかるエラー表示処理はホールコンピュータ600に設けられた確認ボタンが操作されるまで継続される。
以上詳述した第3の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
パチンコ機PMの制御装置にID情報が記憶されたICチップが設けられているので、ID情報の読み取りを行うことにより、不正な制御装置への交換等といったパチンコ機PMに対する不正行為が行われたか否かを確認することができる。この場合に、遊技ホールには複数台のパチンコ機PMに対して1個のスキャナSCが設けられており、ホールコンピュータ600に制御されることにより各スキャナSCから所定周期で呼出波が出力される。そして、呼出波を出力してから予め定められた期間内に各ID情報をホールコンピュータ600が入力しなかった場合には、エラー表示を行うようにした。かかる構成とすることにより、遊技ホールの管理者等がID情報の読み取り作業を行う必要はなく、ID情報の読み取りに基づいた不正行為の確認を良好に行うことができる。
(他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記各実施の形態において、スキャナ340,586,SCが不正検出処理を実行する構成としてもよい。この場合に、上記第1の実施の形態においては、スキャナ340に対して可変表示中信号、発射許可信号、及び駆動信号を入力する。また、上記第2の実施の形態においては、スキャナ586に対してリール停止信号、及び駆動信号を入力する。この場合、上記第1の実施の形態や上記第2の実施の形態と同様に、パチンコ機10やスロットマシン550において遊技が行われている間にスキャナ340,586から呼出波が出力されることが防止される。
(2)上記各実施の形態において、スキャナ340,586,SCに出力周期計測タイマを設け、当該タイマを参照することでスキャナ340,586,SCが独自に呼出波を出力する構成としてもよい。この場合、上記第1の実施の形態や上記第2の実施の形態と異なり、パチンコ機10やスロットマシン550において遊技が行われているか否かに関係なくスキャナ340,586から呼出波が出力されることとなる。
(3)上記各実施の形態において、識別手段はアンテナ付きICチップに限定されない。ただし、識別手段は識別情報を記憶しており、スキャナなどの情報読取手段により識別情報を読み取ることができる必要がある。また、封印シール300,320,585を複数のケース体を跨ぐようにして貼り付けるのではなく、ボックスベース又はボックスカバーの何れか一方のみに貼り付けたり、制御基板に貼り付ける構成としてもよい。また、アンテナ付きICチップは封印シール300,320,585に設けられている必要はなく、制御基板や基板ボックスなどに単独で設けられた構成であってもよい。
(4)スキャナ340,586,SCが呼出波を出力してからエラー発生と判定されるまでの期間は、上記各実施の形態における期間に限定されることはない。但し、呼出波によるノイズにより遊技の進行が阻害されないように、その判定期間を極力短くするのが好ましい。
(5)上記各実施の形態では識別手段であるアンテナ付きICチップを制御装置271,311,582に対して設けたが、制御装置271,311,582以外に設けてもよい。例えば、遊技媒体の払い出しを行う払出装置358,573に設けてもよい。この場合、不正な払出装置に交換されたか否かを容易に確認することができる。
また、上記第1の実施の形態においては、電源及び発射制御装置313にアンテナ付きICチップを設ける構成としてもよい。電源及び発射制御装置313に対して不正を行うことにより遊技球の発射周期を変更する不正行為が想定されるため、電源及び発射制御装置313に対してアンテナ付きICチップを設けることで、かかる不正行為の確認を容易に行うことができる。
(6)異常処理の態様は上記各実施の形態におけるものに限定されることはない。例えば、その後の遊技を禁止する遊技禁止処理を行う構成としてもよい。また、上記第1の実施の形態、及び上記第2の実施の形態においては、遊技ホールのホールコンピュータにエラー情報を出力する構成としてもよい。また、上記第3の実施の形態においては、エラーを発見したパチンコ機PMにおいてスピーカ20やエラー表示ランプ106や図柄表示装置41などによりエラー報知を行う構成としてもよい。
(7)上記各実施の形態において、スキャナ340,586,SCが取り外された場合には、異常処理を実行する構成としてもよい。上記第1の実施の形態において例示すると、音声ランプ制御装置272がスキャナ340からの接続確認用信号を入力する構成とする。そして、当該接続確認用信号の入力が停止された場合には異常処理を行う。
(8)上記第1の実施の形態において、スキャナ340が音声ランプ制御装置272に一体化された構成としてもよい。また、上記第2の実施の形態において、スキャナ586が表示制御装置581に一体化された構成としてもよい。
(9)上記第1の実施の形態における遊技球発射制御処理(図42)において、ステップS604にて発射許可フラグがセットされていないと判定された場合には発射カウンタHCを0クリアする構成としてもよい。この場合、遊技者によって遊技球発射ハンドル18が操作されてから所定期間が経過するまでは遊技球が発射されない。そして、この所定期間を、スキャナ340が呼出波を出力してから各ID情報を入力し、そのID情報が音声ランプ制御装置272において入力されるまでに要する期間(即ち、不正検出処理においてステップS1305から実行されてからステップS1310が実行されるまでに要する期間)よりも長くすることで、呼出波が出力されている間に遊技球の発射が開始されてしまうことを防止することができる。
(10)上記第1の実施の形態において、遊技球発射機構160から発射した遊技球の数と遊技領域を流下し終えた遊技球の数とをカウントし、両者の差が「0」でない場合にはスキャナ340から呼出波を出力しないようにする構成としてもよい。この場合、遊技領域を遊技球が流下している間は確実に呼出波の出力を防止することができる。
(11)上記第1の実施の形態において、音声ランプ制御装置272にて不正検出処理を実行するのではなく、表示制御装置214や、電源及び発射制御装置313にて不正検出処理を実行する構成としてもよい。
(12)上記第1の実施の形態において、スキャナ340の配置位置は任意であり、例えば、裏パックユニット203の裏パック351にスキャナ340を配置する構成としてもよい。
(13)上記第1の実施の形態において、主制御装置271におけるアンテナ付きICチップ303のアンテナ部306のパターンと、払出制御装置311におけるアンテナ付きICチップ320aのアンテナ部320cのパターンとを同一としたが、異なるパターンとしてもよい。ただし、この場合、各アンテナ付きICチップ303,320aの動作周波数が異なるため、それぞれに対応した動作周波数の呼出波を出力可能なスキャナを設ける必要がある。そして、不正検出処理においては、主制御装置271に対応したID情報を読み取るための第1検出処理と、払出制御装置311に対応したID情報を読み取るための第2検出処理とを設ける必要がある。
なお、上記第3の実施の形態においては、1個のスキャナSCにより複数台のパチンコ機PMからID情報を入力する。そこで、当該スキャナSCにおいても、動作周波数が異なる呼出波を出力可能な構成としてもよい。
(14)上記第1の実施の形態において、音声ランプ制御装置272が表示制御装置214から可変表示中信号を入力することで、図柄表示装置41にて図柄が可変表示されているか否かを判定する構成としたが、可変表示中信号を入力することなく音声ランプ制御装置272が独自に図柄表示装置41にて図柄が可変表示されているか否かを判定する構成としてもよい。音声ランプ制御装置272が表示制御装置214を制御する構成であるため、音声ランプ制御装置272において図柄表示装置41にて図柄が可変表示されているか否かを独自に判定することは可能である。
(15)上記第1の実施の形態において、音声ランプ制御装置272が電源及び発射制御装置313から発射許可信号を入力するのではなく、発射スイッチ331、タッチセンサ332、及び止め打ちスイッチ333から直接信号を入力する構成としてもよい。
(16)上記第1の実施の形態において、主側ICチップ305からID情報(第1ID情報)を入力しなかった場合と、払出側ICチップ320bからID情報(第2ID情報)を入力しなかった場合とで、それぞれ異なる報知を行う構成としてもよい。例えば、第1ID情報用の報知部と、第2ID情報用の報知部とをそれぞれ別に設ける構成としてよい。より詳細には、パチンコ機10の背面等に第1ID情報用のランプ部と、第2ID情報用のランプ部を設ける。これにより、エラー報知が行われた場合において、主制御装置271と払出制御装置311とでいずれに対して不正行為が行われたかを、遊技ホールの管理者等が容易に把握することができる。
(17)上記第1の実施の形態において、主側ICチップ305に記憶された第1ID情報、及び払出側ICチップ320bに記憶された第2ID情報の内容は任意である。例えば、第1ID情報が「12345」であり、第2ID情報が「98765」である構成としてもよい。
また、第1ID情報が「100A」であり、第2ID情報が「200A」であるといったように、第1ID情報と第2ID情報とでそれぞれ同一の特定情報(ここでは、「00A」)を有する構成としてもよい。この場合に、音声ランプ制御基板272aは、不正検出処理において入力したID情報がROM522に記憶した第1ID情報か第2ID情報か否かを判定することで不正を判定するのではなく、同一の特定情報を有する2つのID情報を入力したか否かを判定することで不正を判定する構成としてもよい。かかる構成とすることにより、音声ランプ制御基板272aのROM522に予め第1ID情報と第2ID情報とを記憶させておく必要はないので、ROM522の記憶容量の削減を図ることができる。なお、かかる構成を第3の実施の形態におけるホールコンピュータ600に対して適用してもよい。
(18)上記第1の実施の形態において、主側ICチップ305に記憶された第1ID情報と、払出側ICチップ320bに記憶された第2ID情報とを同一の情報としてもよい。ただし、本構成においては、主制御装置271に対する不正行為と払出制御装置311に対する不正行為とを区別して認識するために、スキャナ340から出力される呼出波を、第1周波数の第1呼出波と第2周波数の第2呼出波とで2種類設定し、さらに主制御装置271のアンテナ部306を第1周波数に対応させて形成し、払出制御装置311のアンテナ部320cを第2周波数に対応させて形成する必要がある。
(19)上記第1の実施の形態では、第1特定ランプ部47が図柄表示装置41の表示画面の上方に配設されている構成であったが、他の位置に配設されている構成であってもよい。例えば、第1特定ランプ部47がアウト口36付近に配設されている構成であってもよい。
(20)上記第1の実施の形態では、第1図柄の変動表示を行う図柄表示装置41と別に第1特定ランプ部47を設ける構成としたが、第1特定ランプ部47を設けずともよい。
(21)上記第1の実施の形態では、図柄表示装置41を備えたパチンコ機10に対して本発明を適用したが、それ以外のタイプのパチンコ機に適用してもよい。例えば、遊技球転動部や有利口などが設けられた入賞役物装置を備えたパチンコ機に対して本発明を適用してもよい。
(22)上記第2の実施の形態では、1遊技回に1回、スキャナ586から呼出波を出力しID情報の確認を行う構成としたが、これに代えて、複数遊技回に1回、スキャナ586から呼出波を出力しID情報の確認を行う構成としてもよい。
(23)上記第2の実施の形態において、補助表示部579にて遊技における各種演出を行っている間はスキャナ586から呼出波を出力しない構成としてもよい。この場合、スキャナ586からの呼出波やICチップ585aからの応答波が補助表示部586における表示に対してノイズとなることを防止することができる。
(24)上記第2の実施の形態において、メダル通路切替ソレノイドの励磁状況をセレクタ565から表示制御装置581に出力する構成としてもよい。この場合、メダル不許可状態にあるか否かを表示制御装置581に把握させることができる。
(25)取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機に本発明を適用してもよい。
(26)上記第3の実施の形態において、スキャナSCをパチンコ機PMに対して1対1で設ける構成としてもよい。この場合、スキャナSCを各パチンコ機PMに搭載してもよい。また、スキャナSCを3台、4台、又は5台以上に対して1個設ける構成としてもよい。
(27)上記第3の実施の形態において、各スキャナSCからの呼出波の出力タイミングを異ならせてもよい。例えば、スキャナSC−1が呼出波を出力してから特定時間(例えば、1min)後にスキャナSC−2が呼出波を出力し、当該スキャナSC−2が呼出波を出力してから特定時間後にスキャナSC−3が呼出波を出力する構成としてもよい。
(28)上記第3の実施の形態において、ホールコンピュータ600における不正検出処理を各スキャナSC毎に設定し、各スキャナSC毎に不正検出処理を実行する構成としてもよい。
(29)上記第3の実施の形態において、ホールコンピュータ600に対して各パチンコ機PMから可変表示中信号、発射許可信号、及び駆動信号等の遊技の進行状況を把握可能な信号を出力する構成としてもよい。そして、ホールコンピュータ600は遊技が行われていないパチンコ機PMに対応したスキャナSCに対して電波出力信号を出力する構成とする。これにより、不正監視システムにおいて、スキャナSCから出力される呼出波やアンテナ付きICチップから出力される応答波がパチンコ機PMの遊技の進行に対してノイズとなることが抑制される。
(30)上記第3の実施の形態において、各スキャナSCの配置位置は任意である。例えば、パチンコ機PMが備え付けられる島設備内に各スキャナSCを配置してもよい。また、パチンコ機PMの側部に設けられる遊技球貸出操作装置に各スキャナSCを搭載する構成としてもよい。
(31)上記第3の実施の形態において、ホールコンピュータ600のROM603が各パチンコ機PMの各ID情報とともに、各パチンコ機PMの遊技機情報を記憶する構成としてもよい。この遊技機情報としては、遊技盤30の右下隅部や左下隅部のスペースSa,Sbに貼り付けられた証紙に記載された情報が考えられる。
10…遊技機としてのパチンコ機、11…外枠、12…本体枠、13…前扉枠、18…発射操作手段としての遊技球発射ハンドル、20…報知手段としてのスピーカ、31…賞球入球部としての一般入賞口、32…賞球入球部としての可変入賞装置、33…始動入球部としての作動口、41…報知手段としての図柄表示装置、106…報知手段としてのエラー表示ランプ、160…遊技球発射機構、271…主制御装置、272…報知制御装置としての音声ランプ制御装置、276…ケース体としてのボックスベース、277…ケース体としてのボックスカバー、278…制御基板としての主制御基板、300…封印シール、301…ベースシート、303…識別手段としてのアンテナ付きICチップ、305…ICチップ、306…アンテナ部、320…封印シール、320a…識別手段としてのアンテナ付きICチップ、320b…ICチップ、320c…アンテナ部、311…払出制御装置、340…情報読取手段としてのスキャナ、340a…CPU、358…払出装置、550…遊技機としてのスロットマシン、555…絵柄表示装置としてのリールユニット、561…始動操作手段としてのスタートレバー、562…停止操作手段としてのストップスイッチ、563…受入手段を構成するメダル投入口、565…受入阻止手段としてのセレクタ、566…受入手段を構成する貯留用通路、573…払出装置、577…報知手段としての上部ランプ、578…報知手段としてのスピーカ、579…報知手段としての補助表示部、581…報知制御装置としての表示制御装置、582…主制御装置、585…封印シール、585a…ICチップ、585b…アンテナ部、586…情報読取手段としてのスキャナ、586a…CPU、600…ホールコンピュータ、PM…パチンコ機、SC…スキャナ。