JP2013165681A - インターフェロン療法の効果予測用マーカー - Google Patents

インターフェロン療法の効果予測用マーカー Download PDF

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一彰 茶山
Hidenori Ochi
秀典 越智
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Hiroshima University NUC
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Abstract

【課題】I型インターフェロン(IFN)療法における患者の治療効果を予測するためのIFN応答性関連遺伝子を同定し、患者の当該遺伝子を解析することによるI型IFN療法の治療効果の予測方法を提供すること。
【解決手段】GALNT8-NDUFA9遺伝子領域に存在する特定の遺伝子多型、および該多型と連鎖不平衡の関係にある遺伝子多型を検出し得るポリヌクレオチドを含有する、I型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬。被験者における当該遺伝子多型、GALNT8の発現量もしくは活性を指標とする、I型IFNによる治療に対する感受性予測方法。GALNT8遺伝子の発現もしくは活性の抑制を指標とする、I型インターフェロン作用増強剤のスクリーニング方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、I型インターフェロン療法における患者の治療効果を予測するためのマーカーとその使用等に関する。
慢性C型肝炎は、C型肝炎ウイルス (HCV) の感染を原因とするウイルス性疾患であり、その治療には最も治療効果が高いインターフェロン (IFN) 療法が用いられている。IFN療法には、I型IFN、すなわちIFN-αおよびIFN-βが、具体的には天然型IFN-αやPEG化されたIFN-α (ペグIFN-α)等が用いられており、もっとも治療効果が高いとされている。
しかしながら、IFN-α単独療法や、IFN-αおよび抗ウイルス剤 (例えばリバビリン) の併用療法で十分な治療効果が認められない患者も多く、HCVの遺伝子型1bに感染した患者の約50%、遺伝子型1b以外のHCVに感染した患者の約20%ではHCVが排除されないことが報告されている (非特許文献1、2および3を参照)。
慢性C型肝炎に対するIFN療法の治療効果が患者によって異なる原因の研究は世界中で精力的に行われ、治療効果に影響を及ぼす因子としてウイルス側因子と宿主 (ヒト) 側因子が報告されている。ウイルス側因子としてはHCV遺伝子型1bかつ治療前血中ウイルス量が高値の場合、治療抵抗性であることが報告されている (非特許文献3および4を参照)。
一方、IFN治療効果に影響を及ぼす宿主側の因子としては、年齢、性別、人種などが報告されている(非特許文献5を参照)。また、サイトカインなどの様々な遺伝子領域における遺伝的多型が慢性C型肝炎に対するIFN療法の治療効果と関連することが報告されている (非特許文献5及び6を参照)。
一方、「UDP-GalNAc:polypeptide N-acetylgalactosaminyl transferase 8 (GALNT8)」はタンパク質のセリンおよびスレオニン残基にアミノ糖のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を転移するGalNAc転移酵素ファミリーに属する糖修飾酵素としてクローニングされた637アミノ酸からなるタンパク質であり、ヒトにおいて広範な組織で発現していることが報告されている(非特許文献7を参照)。しかしながら、これまでに本遺伝子を含め、糖修飾酵素における遺伝子多型が慢性C型肝炎に対するIFN療法の治療効果と関連することの報告はない。
Fried MW et al. N. Engl. J. Med. 2002; 347: 975-982 NIH Consens Statement 1997; 15: 1-41 Liang TJ et al. Ann. Intern. Med. 2000; 132: 296-305 Trepo C. J. Viral. Hepat. 2000; 7: 250-257 Gao B et al. Hepatology 2004; 39: 880-890 PG et al. J. Hepatol. 2002; 36: 271-277 White KE et al. Gene. 2000; 246: 347-356
本発明が解決しようとする課題は、IFN療法における患者の治療効果を予測するためのIFN応答性関連遺伝子を同定し、患者の当該遺伝子を解析することによるIFN療法の治療効果の予測方法を提供することである。
本発明者らは、IFN療法の治療効果と関連する遺伝子を見出すべく、遺伝的多型、特に一塩基多型 (SNP, single nucleotide polymorphism) に着目して鋭意検討を行った。SNPとは無作為に抽出された集団において頻度が1%以上の点突然変異として定義され、遺伝子上には約1000塩基対ごとに一つ存在するため、遺伝的多型の良いマーカーとなり得る。隣接するSNP間では相同染色体間の組み換えがおこらないことから(連鎖不平衡)、連鎖不平衡となる複数のSNPの遺伝的多様性は選択された一つのSNPにより代表でき、当該SNPは「タグSNP」と定義される(Nat. Rev. Cancer 2004, 4, 850-860; Nat. Genet. 2001, 29, 233-237)。具体例で説明すると、SNP1がA対立遺伝子またはT対立遺伝子であり、隣接するSNP2がC対立遺伝子またはG対立遺伝子の場合に、SNP1のA対立遺伝子とSNP2のC対立遺伝子が同じ染色体上にあり、他方の相同染色体上にSNP1のT対立遺伝子とSNP2のG対立遺伝子があると仮定する。SNP1とSNP2の間で減数分裂時に組み換えが起こらない場合、次世代でも同じ染色体上にSNP1のA対立遺伝子とSNP2のC対立遺伝子があるか、あるいは同じ染色体上にSNP1のT対立遺伝子とSNP2のG対立遺伝子があるかの何れかであり、対立遺伝子間に関連性が生じる(これを連鎖不平衡という)。その場合、SNP1がA対立遺伝子であれば、SNP2はC対立遺伝子であるため、この2ヶ所のSNPはSNP1で代表可能となる。多くの場合では、隣接する複数のSNP間で強い関連性があり連鎖不平衡となることが実証されており、連鎖不平衡となる領域の多型性はタグSNPで代表することが可能となる。
近年、SNP解析技術とその理論は飛躍的に発達しており、症例群 (疾患罹患者群または薬剤応答性がある群) と対照群 (健常者 (もしくは他疾患罹患者) 群または薬剤応答性が無い群) の2群間において、タグSNPの対立遺伝子の頻度を比較することにより、2群間で有意な差のあるSNPを探索して、疾患や薬剤応答性に関連する遺伝子 (疾患感受性遺伝子または薬剤応答性関連遺伝子) を同定する、症例-対照関連解析が行われている。
そこで、本発明者らは、IFN-αによる単独治療を受けている慢性C型肝炎に罹患した日本人の患者(HCV感染患者)について、症例-対照(IFN療法著効群vs非著効群)の2群間で遺伝子ベースの70564個のSNPを用いたゲノムワイドのSNPジェノタイピングを行い、IFN療法効果の有無と関連する(P<10-5)2つのSNPsを抽出した。これらのSNPsはいずれもヒト第12番染色体12p13.3の同じ連鎖不平衡領域(GALNT8-NDUFA9遺伝子領域)に位置していた。そこで、当該領域についてタグSNPも用いた症例-対照(IFN療法著効群vs非著効群)関連解析(ファインマッピング)を行った。その結果、慢性C型肝炎に対するIFN療法の治療効果と強く関連する27個の遺伝子多型が同定された。
以上の知見から、同定されたいずれかの遺伝子多型の遺伝子型を検定することにより、患者のIFN治療効果の予測が可能になった。また、同定されたSNPはI型のIFN治療効果に影響を与える遺伝子のコード領域またはその近傍に存在する可能性が高いが、本発明者らは当該遺伝子としてGALNT8遺伝子を同定した。
本発明は上記の知見により、完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、
〔1〕
ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、以下の群:
1)配列番号1で表わされるSNPのID番号:rs10849130の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
2)配列番号2で表わされるSNPのID番号:rs10849131の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
3)配列番号3で表わされるSNPのID番号:rs12296205の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
4)配列番号4で表わされるSNPのID番号:rs10849133の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
5)配列番号5で表わされるSNPのID番号:rs3782740の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
6)配列番号6で表わされるSNPのID番号:rs3782741の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
7)配列番号7で表わされるSNPのID番号:rs2286578の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
8)配列番号8で表わされるSNPのID番号:rs3782742の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
9)配列番号9で表わされるSNPのID番号:rs4766286の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
10)配列番号10で表わされるSNPのID番号:rs10849138の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
11)配列番号11で表わされるSNPのID番号:rs10849139の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
12)配列番号12で表わされるSNPのID番号:rs7311675の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
13)配列番号13で表わされるSNPのID番号:rs7311694の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
14)配列番号14で表わされるSNPのID番号:rs7315211の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
15)配列番号15で表わされるSNPのID番号:rs7975978の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
16)配列番号16で表わされるSNPのID番号:rs2359466の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
17)配列番号17で表わされるSNPのID番号:rs2359467の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
18)配列番号18で表わされるSNPのID番号:rs7305525の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
19)配列番号19で表わされるSNPのID番号:rs7316209の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
20)配列番号20で表わされるSNPのID番号:rs7132030の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
21)配列番号21で表わされるSNPのID番号:rs2286580の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
22)配列番号22で表わされるSNPのID番号:rs2191157の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
23)配列番号23で表わされるSNPのID番号:rs7967117の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
24)配列番号24で表わされるSNPのID番号:rs10774267の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
25)配列番号25で表わされるSNPのID番号:rs10849143の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
26)配列番号26で表わされるSNPのID番号:rs1468556の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
27)配列番号27で表わされるSNPのID番号:rs9300304の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
から選択される少なくとも1つの遺伝子多型において、少なくとも各マイナー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、I型インターフェロンによる治療に対する感受性予測用試薬、
〔2〕
各メジャー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドをさらに含む、前記〔1〕に記載の試薬、
〔3〕
各対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドが、各配列番号で表わされる塩基配列において該対立遺伝子を含む10〜200の連続した塩基配列もしくはその相補鎖配列からなるGALNT8遺伝子断片と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプローブ、および/または該遺伝子断片を増幅し得るプライマーである、前記〔1〕または〔2〕に記載の試薬、
〔4〕
GALNT8遺伝子断片が10〜50の連続した塩基配列からなる、前記〔3〕に記載の試薬、
〔5〕
GALNT8遺伝子断片が15〜30の連続した塩基配列からなる、前記〔3〕に記載の試薬、
〔6〕
I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者に対して、インターフェロン療法が有効であるかどうかを予測するために用いられる、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の試薬、
〔7〕
I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者がHCV感染患者である、前記〔6〕に記載の試薬、
〔8〕
HCV感染患者がHCV遺伝子型1b感染患者又はHCV遺伝子型2a感染患者である、前記〔7〕に記載の試薬、
〔9〕
HCV感染患者が東アジア人である、前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の試薬、
〔10〕
(1)被験者由来の遺伝子サンプルを使用し、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、以下の群:
1)配列番号1で表わされるSNPのID番号:rs10849130の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
2)配列番号2で表わされるSNPのID番号:rs10849131の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
3)配列番号3で表わされるSNPのID番号:rs12296205の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
4)配列番号4で表わされるSNPのID番号:rs10849133の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
5)配列番号5で表わされるSNPのID番号:rs3782740の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
6)配列番号6で表わされるSNPのID番号:rs3782741の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
7)配列番号7で表わされるSNPのID番号:rs2286578の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
8)配列番号8で表わされるSNPのID番号:rs3782742の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
9)配列番号9で表わされるSNPのID番号:rs4766286の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
10)配列番号10で表わされるSNPのID番号:rs10849138の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
11)配列番号11で表わされるSNPのID番号:rs10849139の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
12)配列番号12で表わされるSNPのID番号:rs7311675の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
13)配列番号13で表わされるSNPのID番号:rs7311694の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
14)配列番号14で表わされるSNPのID番号:rs7315211の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
15)配列番号15で表わされるSNPのID番号:rs7975978の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
16)配列番号16で表わされるSNPのID番号:rs2359466の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
17)配列番号17で表わされるSNPのID番号:rs2359467の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
18)配列番号18で表わされるSNPのID番号:rs7305525の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
19)配列番号19で表わされるSNPのID番号:rs7316209の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
20)配列番号20で表わされるSNPのID番号:rs7132030の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
21)配列番号21で表わされるSNPのID番号:rs2286580の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
22)配列番号22で表わされるSNPのID番号:rs2191157の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
23)配列番号23で表わされるSNPのID番号:rs7967117の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
24)配列番号24で表わされるSNPのID番号:rs10774267の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
25)配列番号25で表わされるSNPのID番号:rs10849143の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
26)配列番号26で表わされるSNPのID番号:rs1468556の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
27)配列番号27で表わされるSNPのID番号:rs9300304の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
から選択される少なくとも1つの遺伝子多型を試験する工程、および
(2)(1)の試験の結果、マイナー対立遺伝子の存在が認められた場合、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が高いと判断する工程
を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法、
〔11〕
(1)被験者由来の遺伝子サンプルを使用し、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、配列番号10で表わされる塩基配列中第101番目の塩基における遺伝子多型を試験する工程、および
(2)(1)の試験の結果、マイナー対立遺伝子のホモ接合型遺伝子多型(CC)の存在が認められた場合、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が高いと判断する工程
を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法、
〔12〕
(1)被験者由来サンプルにおけるGALNT8遺伝子またはGALNT8の発現量を測定する工程、および
(2)前記発現量が高い場合に、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が低いと予測する工程
を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法、
〔13〕
(1)被験者由来サンプルにおけるGALNT8の活性を測定する工程、および
(2)前記活性が高い場合に、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が低いと予測する工程
を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法、
〔14〕
遺伝子サンプルが、ゲノムDNAまたはRNAを含む、前記〔10〕〜〔13〕に記載の予測方法、
〔15〕
被験者が、I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者である、前記〔10〕〜〔14〕に記載の予測方法、
〔16〕
I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者がHCV感染患者である、前記〔15〕に記載の予測方法、
〔17〕
HCV感染患者がHCV遺伝子型1b感染患者又はHCV遺伝子型2a感染患者である、前記〔16〕に記載の予測方法、
〔18〕
被験者が、東アジア人である、前記〔10〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の予測方法、
〔19〕
(1)被験物質がGALNT8遺伝子またはGALNT8の発現を抑制するか否かを測定する工程、および
(2)前記発現を抑制する被験物質を、I型インターフェロン作用増強剤の候補物質として選択する工程
を含む、I型インターフェロン作用増強剤のスクリーニング方法、
〔20〕
(1)被験物質がGALNT8の活性を抑制するか否かを測定する工程、および、
(2)前記活性を抑制する被験物質を、I型インターフェロン作用増強剤の候補物質として選択する工程
を含む、I型インターフェロン作用増強剤のスクリーニング方法、
〔21〕
GALNT8の発現を抑制する物質またはGALNT8阻害活性を有する物質を有効成分として含有する、I型インターフェロン作用増強剤、
〔22〕
HCV感染症治療または予防薬である、前記〔21〕に記載のI型インターフェロン作用増強剤、
〔23〕
HCV感染症がHCV遺伝子型1b感染症又はHCV遺伝子型2a感染症である、前記〔22〕に記載のI型インターフェロン作用増強剤、
に関する。
本発明により、IFN療法、詳しくはI型IFN療法における患者の治療効果を予測するためのマーカーを提供することが可能になった。すなわち本発明により、慢性C型肝炎におけるIFN療法の治療効果を判断するためのマーカーである、GALNT8遺伝子領域上の遺伝子多型が提供される。また、当該多型を有するか否かに基づいて被験者の遺伝子型を予測することにより、当該被験者がIFN療法を受けた場合の治療効果を予測することが可能となる。
IFN療法は投与期間が半年以上の長期間に及び、かつ副作用が報告されていることから (Adv. Intern. Med. 1994, 39, 241-275)、予め治療効果の予測が可能になれば、最適な治療法の選択、適切な投与量、投与期間の判断が可能になると考えられ、患者にとって有益である。
図1は、GALNT8-NDUFA9遺伝子領域における連鎖不平衡領域を示す図である。 図2は、ヒトの様々な組織におけるGALNT8遺伝子の発現を半定量的RT-PCRで解析した結果を示す図である。上段は、GALNT8遺伝子を示しており、下段はβアクチン遺伝子を示している。番号は、それぞれ、1; 骨髄、2;脳、3;大腸、4;腎臓、5;肺、6;肝臓、7;胎盤、8;前立腺、9;骨格筋、10;小腸、11;脊髄、12;脾臓、13;胃、14;精巣、15;胸腺、16;気管、17;ネガティブコントロール、を示している。 図3は、ASTQ法の結果を示す図である。縦軸は4検体におけるPBMC由来cDNAにおけるGALNT8の対立遺伝子間発現比およびコントロールゲノムDNAにおける対立遺伝子間発現比を示す。各検体について3サンプルずつ解析 (triplicate) した。データは平均値±標準偏差で示す。 図4は、GALNT8遺伝子発現のIFNαのインターフェロン応答性配列を介した転写誘導に対する抑制作用を示す図である。図4(a)は、ヒト肝癌由来細胞由来Huh7細胞を用いた場合の結果であり、図4(b)は、ヒトTリンパ腫由来Jurkat細胞を用いた場合の結果である。MOCKはモックベクター(pEF-DEST51)、GALNT8はGALNT8発現ベクター、SOCS1はSOCS1発現ベクターを細胞に導入した場合の結果を示している。*は、MOCKと比較してP<0.05を示している (Student, two tailed T-test) 。 図5は、GALNT8遺伝子発現のIFNαの抗HCV作用に対する抑制作用を示す図である。MOCKはモックベクター(pEF-DEST51)、GALNT8はGALNT8発現ベクターを細胞に導入した場合の結果を示すものである。*は、MOCKと比較してP<0.05を示している(Student, two tailed T-test)。
以下に本発明を詳細に説明する。
本明細書において、GALNT8とは、
(a)配列番号29(Genbank Accession No.: NP_059113.1)で表わされるアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号28(Genbank Accession No.: NM_017417.1)で表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチドでコードされるタンパク質、
(c)(c-1) 配列番号29で表わされるアミノ酸配列において、1もしくは複数のアミノ酸が欠失、付加、挿入もしくは置換されたアミノ酸配列、(c-2)配列番号29で示されるアミノ酸配列と70%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列、または(c-3)配列番号28で表わされる塩基配列の第93番目〜第2006番目の塩基配列を有するDNAに対し相補性を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAによりコードされるアミノ酸配列からなり、かつ基質であるタンパク質のセリンおよびスレオニン残基にアミノ糖のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を転移する活性を有する蛋白質である。
ここで、前記(c-1)における「アミノ酸の欠失、付加、挿入もしくは置換」や前記(c-2)における「70%以上の配列相同性」には、例えば、配列番号29 で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質が細胞内で受けるプロセシング、該蛋白質が由来する生物の種差、個体差、組織間の差異等により天然に生じる変異や、人為的なアミノ酸の変異等が含まれる。
前記(c-1)における「アミノ酸の欠失、付加もしくは置換」(以下、総じてアミノ酸の改変と記すこともある。)を人為的に行う場合の手法としては、例えば、配列番号29で示されるアミノ酸配列をコードするDNAに対して慣用の部位特異的変異導入を施し、その後このDNAを常法により発現させる手法が挙げられる。ここで部位特異的変異導入法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法(ギャップド・デュプレックス法、Nucleic Acids Res., 12, 9441-9456 (1984))、変異導入用プライマーを用いたPCRによる方法等が挙げられる。
前記で改変されるアミノ酸の数については、少なくとも1残基、具体的には1〜5個、1〜10個、またはそれ以上である。かかる改変の数は、当該蛋白質のセリンおよびスレオニン残基にGalNAcを転移する活性などGALNT8 の活性を見出すことのできる範囲であれば良い。
また前記欠失、付加または置換のうち、特にアミノ酸の置換に係る改変が好ましい。当該置換は、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似した性質を有するアミノ酸への置換がより好ましい。このような置換としては、例えば、i)グリシン、アラニン;ii)バリン、イソロイシン、ロイシン;iii)アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;iv)セリン、スレオニン;v)リジン、アルギニン;vi)フェニルアラニン、チロシンのグループ内での置換が挙げられる。
「配列相同性」とは、2つのDNAまたは2つの蛋白質間の配列の同一性および類似性をいう。前記「配列相同性」は、比較対象の配列の領域にわたって、最適な状態にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。ここで、比較対象のDNAまたは蛋白質は、2つの配列の最適なアラインメントにおいて、付加または欠失(例えばギャップ等)を有していてもよい。このような配列相同性に関しては、例えば、Vector NTIを用いて、ClustalWアルゴリズム (Nucleic Acid Res., 22(22): 4673-4680 (1994)) を利用してアラインメントを作成することにより算出することができる。尚、配列相同性は、配列解析ソフト、具体的にはVector NTI、GENETYX-MACや公共のデータベースで提供される解析ツールを用いて測定される。前記公共データベースは、例えば、ホームページアドレスhttp://www.ddbj.nig.ac.jpにおいて、一般的に利用可能である。
本発明における配列相同性は、70%以上であればよいが、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上である。
前記(c-3)における「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」に関して、ここで使用されるハイブリダイゼーションは、例えば、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行(Cold Spring Harbor Laboratory press)等に記載される通常の方法に準じて行うことができる。また「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、6×SSC(1.5M NaCl、0.15M クエン酸三ナトリウムを含む溶液を10×SSCとする)、50%フォルムアミドを含む溶液中で45℃にてハイブリッドを形成させた後、2×SSCで50℃にて洗浄するような条件(Molecular Biology, John Wiley & Sons, N. Y. (1989), 6.3.1-6.3.6)等を挙げることができる。洗浄ステップにおける塩濃度は、例えば、2×SSCで50℃の条件(低ストリンジェンシーな条件)から0.2×SSCで50℃の条件(高ストリンジェンシーな条件)までから選択することができる。洗浄ステップにおける温度は、例えば、室温(低ストリンジェンシーな条件)から65℃(高ストリンジェンシーな条件)から選択することができる。また、塩濃度と温度の両方を変えることもできる。
本明細書において、GALNT8とは、上記(a)〜(c)に該当し、GALNT8としての生理活性を維持するものであれば特に限定はない。ここでGALNT8の生理活性としては、基質タンパク質のセリンおよびスレオニン残基にGalNAcを転移する活性が挙げられる。当該酵素活性は、GalNAc転移酵素の測定に用いられる一般的な方法で測定することができ、例えば、放射性同位元素で標識したGalNAcを有するUDP-GalNAcを糖供与体、基質タンパク質あるいはペプチドを糖受容体として転移反応を行い、糖受容体に取り込まれた放射活性を測定すればよい。
上述のGALNT8(タンパク質)の具体例として、配列番号29で示されるアミノ酸配列からなるヒトGALNT8の他、ウシ(Genbank Acc. No.: XP_612492.3 )等の他の動物種のオルソログを挙げることができる。
本明細書において、GALNT8遺伝子とは、上記GALNT8をコードする塩基配列を有する遺伝子を表わす。具体的には、配列番号28で示される塩基配列からなるヒトGALNT8遺伝子の他、ウシ(Genbank Acc. No.: XM_612492.3 )等の他の動物種のオルソログを挙げることができる。
I.本発明の診断マーカーおよびその検出用試薬
本発明の第一の態様は、上述の〔1〕〜〔9〕に記載のI型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬に関する。すなわち、上記〔1〕の1)〜27)に示される遺伝子多型(SNPもしくはDIP (欠失/挿入多型))は、いずれも互いに連鎖不平衡となる多型であり、本発明の診断マーカーとして有用である。ここで「連鎖不平衡」とは、連鎖不平衡係数r2が0.64以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上の連鎖不平衡状態にある多型または有意水準を示すp値がTopSNP(最もP値の高い多型)の値から1ケタ内のP値を示す多型である。尚、後述する実施例2に示されるとおり、本願においては配列番号10で表されるrs10849138のSNPがTopSNPに相当する。「連鎖不平衡係数r2」は、2つの遺伝子多型について第一の多型の各対立遺伝子を(A, a)、第二の多型の各対立遺伝子を(B, b)とし、4つのハプロタイプ(AB, Ab, aB, ab)の各頻度をPAB, PAb, PaB, Pabとすると、下記式により得られる。
r2=(PABPab−PAbPaB)2/(PAB+PaB)(PaB+Pab)(PAB+PAb)(PAb+Pab)
また上記遺伝子多型と連鎖不平衡となるその他の既知多型についても、例えば、HapMapデータベース(http://www.hapmap.org/index.html.ja) 等を用いて同定することができる。本明細書において「(遺伝子)多型」とは、ゲノムDNA上の1または複数の塩基の変化(置換、欠失、挿入、転位、逆位等)であって、その変化が集団内に1%以上の頻度で存在するものをいい、例えば、1個の塩基が他の塩基に置換されたもの(SNP)、1〜数十塩基が欠失もしくは挿入されたもの(DIP)、2〜数十塩基を1単位とする配列が繰り返し存在する部位においてその繰り返し回数が異なるもの(繰り返し単位が2〜4塩基のものをマイクロサテライト多型、数〜数十塩基のものをvariable number of tandem repeat (VNTR)という)等が挙げられるが、好ましくはSNPもしくはDIPである。
ここで、「ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域」とは、配列番号28で示されるヒトGALNT8をコードする遺伝子を含むゲノム領域であり、NCBI genome sequence ID番号:NT_009759.15において、contig番号4684013〜4736153で示される領域並びにその上流および下流約5kbpの領域を挙げることができる。より好ましくは、ヒトGALNT8のOpen reading frame(ORF)をコードする遺伝子を含むゲノム領域であり、NCBI genome sequence ID番号:NT_009759.15において、contig番号4684105〜4736024で示される領域並びにその上流および下流約3kbpの領域を挙げることができる。当該遺伝子領域の遺伝子配列は、個体差、組織間の差異等により天然に生じる変異を含む。
「ポリヌクレオチド」とは、RNAおよびDNAを共に含む概念である。ここで「DNA」とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖(正鎖とも言う)およびアンチセンス鎖(相補鎖または逆鎖とも言う)といった各1本鎖DNAを包含する趣旨で用いられる。
ここでアンチセンス鎖(相補鎖、逆鎖)とは、正鎖に対して、A:TおよびG:Cといった塩基対関係に基づいて、塩基的に相補的な関係にあるポリヌクレオチドを意味するものである。
なお、遺伝子またはDNAは、機能領域の別を問うものではなく、例えば発現制御領域、コード領域、エキソン、またはイントロンを含むことができる。
また、「RNA」とは、1本鎖RNAのみならず、それに相補的な配列を有する1本鎖RNA、さらにはそれらから構成される2本鎖RNAを包含する趣旨で用いられる。
さらに、DNAとRNAとのキメラ分子やDNA:RNAハイブリッドもまた、本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。
「対立遺伝子」とは、染色体上の同一の遺伝子座(座位)を占めることができる遺伝構成要素が複数存在する場合、その一つの型と定義される。
機能単位としての遺伝子を必ず含む概念ではなく、SNPなどの遺伝子多型についても同一遺伝子座に複数の塩基(配列)が存在する場合もある。すなわち、両親由来の1対の相同な染色体において相同な遺伝子座に位置する複数種の遺伝子や塩基を示し、本明細書の場合は相同な遺伝子座に位置するSNPなどの遺伝子多型を示す。例を挙げて説明すると、ある遺伝子座について父親由来の染色体ではA、母親由来の染色体ではGの場合、それぞれA対立遺伝子、G対立遺伝子という概念をしめす。英語表記はA allele、G alleleとなる。
本明細書において、「メジャー対立遺伝子(major allele)」とは、該当する遺伝子座で、遺伝子多型が存在する場合に高頻度で出現する方の塩基(配列)を表す。例えば、父親由来の染色体ではA、母親由来の染色体ではGのSNPを想定した場合、A対立遺伝子の頻度が80%、G対立遺伝子の頻度が20%の場合、50%を超える頻度を示すAのSNPをメジャー対立遺伝子と言う。一方、該当する遺伝子座で、遺伝子多型が存在する場合に低頻度で出現する方の塩基(配列)(上記の例においては、GのSNP)をマイナー対立遺伝子と言う。
本発明において、〔1〕の1)に記載のマーカーは、配列番号1で表わされるSNPのID番号:rs10849130の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4681179で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)領域に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号1で表される塩基配列において第101番目の塩基がCである。
本発明において、〔1〕の2)に記載のマーカーは、配列番号2で表わされるSNPのID番号:rs10849131の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4681289で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)領域に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号2で表される塩基配列において第101番目の塩基がCである。
本発明において、〔1〕の3)に記載のマーカーは、配列番号3で表わされるSNPのID番号:rs12296205の塩基配列において第101番目の塩基がCである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4681676で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)領域に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号3で表される塩基配列において第101番目の塩基がGである。
本発明において、〔1〕の4)に記載のマーカーは、配列番号4で表わされるSNPのID番号:rs10849133の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4684261で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のエキソン1に位置する遺伝子多型であり、該当するアミノ酸がDである遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号4で表される塩基配列において第101番目の塩基がTであり、該当するアミノ酸がYである。
本発明において、〔1〕の5)に記載のマーカーは、配列番号5で表わされるSNPのID番号:rs3782740の塩基配列において第101番目の塩基がCである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4686637で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン1に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号5で表される塩基配列において第101番目の塩基がTである。
本発明において、〔1〕の6)に記載のマーカーは、配列番号6で表わされるSNPのID番号:rs3782741の塩基配列において第101番目の塩基がCである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4687041で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン1に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号6で表される塩基配列において第101番目の塩基がTである。
本発明において、〔1〕の7)に記載のマーカーは、配列番号7で表わされるSNPのID番号:rs2286578の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4690143で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のエキソン2に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号7で表される塩基配列において第101番目の塩基がTである。
本発明において、〔1〕の8)に記載のマーカーは、配列番号8で表わされるSNPのID番号:rs3782742の塩基配列において第101番目の塩基がAである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4705816で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン3に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号8で表される塩基配列において第101番目の塩基がGである。
本発明において、〔1〕の9)に記載のマーカーは、配列番号9で表わされるSNPのID番号:rs4766286の塩基配列において第101番目の塩基がTである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4707276で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン3に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号9で表される塩基配列において第101番目の塩基がGである。
本発明において、〔1〕の10)に記載のマーカーは、配列番号10で表わされるSNPのID番号:rs10849138の塩基配列において第101番目の塩基がCである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4717569で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号10で表される塩基配列において第101番目の塩基がGである。
本発明において、〔1〕の11)に記載のマーカーは、配列番号11で表わされるSNPのID番号:rs10849139の塩基配列において第101番目の塩基がAである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4717618で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号11で表される塩基配列において第101番目の塩基がGである。
本発明において、〔1〕の12)に記載のマーカーは、配列番号12で表わされるSNPのID番号:rs7311675の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4718338で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号12で表される塩基配列において第101番目の塩基がAである。
本発明において、〔1〕の13)に記載のマーカーは、配列番号13で表わされるSNPのID番号:rs7311694の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4718378で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号13で表される塩基配列において第101番目の塩基がAである。
本発明において、〔1〕の14)に記載のマーカーは、配列番号14で表わされるSNPのID番号:rs7315211の塩基配列において第101番目の塩基がCである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4718515で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号14で表される塩基配列において第101番目の塩基がTである。
本発明において、〔1〕の15)に記載のマーカーは、配列番号15で表わされるSNPのID番号:rs7975978の塩基配列において第101番目の塩基がTである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4720415で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号15で表される塩基配列において第101番目の塩基がGである。
本発明において、〔1〕の16)に記載のマーカーは、配列番号16で表わされるSNPのID番号:rs2359466の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721099で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号16で表される塩基配列において第101番目の塩基がAである。
本発明において、〔1〕の17)に記載のマーカーは、配列番号17で表わされるSNPのID番号:rs2359467の塩基配列において第101番目の塩基がTである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721402で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号17で表される塩基配列において第101番目の塩基がGである。
本発明において、〔1〕の18)に記載のマーカーは、配列番号18で表わされるSNPのID番号:rs7305525の塩基配列において第101番目の塩基がCである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721631で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号18で表される塩基配列において第101番目の塩基がTである。
本発明において、〔1〕の19)に記載のマーカーは、配列番号19で表わされるSNPのID番号:rs7316209の塩基配列において第101番目の塩基がAである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721760で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号19で表される塩基配列において第101番目の塩基がGである。
本発明において、〔1〕の20)に記載のマーカーは、配列番号20で表わされるSNPのID番号:rs7132030の塩基配列において第101番目の塩基がTである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721881で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号20で表される塩基配列において第101番目の塩基がCである。
本発明において、〔1〕の21)に記載のマーカーは、配列番号21で表わされるSNPのID番号:rs2286580の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4724189で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号21で表される塩基配列において第101番目の塩基がAである。
本発明において、〔1〕の22)に記載のマーカーは、配列番号22で表わされるSNPのID番号:rs2191157の塩基配列において第101番目の塩基がAである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4724624で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン7に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号22で表される塩基配列において第101番目の塩基がGである。
本発明において、〔1〕の23)に記載のマーカーは、配列番号23で表わされるSNPのID番号:rs7967117の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4730294で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン10に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号23で表される塩基配列において第101番目の塩基がCである。
本発明において、〔1〕の24)に記載のマーカーは、配列番号24で表わされるSNPのID番号:rs10774267の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4732837で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン10に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号24で表される塩基配列において第101番目の塩基がTである。
本発明において、〔1〕の25)に記載のマーカーは、配列番号25で表わされるSNPのID番号:rs10849143の塩基配列において第101番目の塩基がTである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4735396で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン10に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号25で表される塩基配列において第101番目の塩基がCである。
本発明において、〔1〕の26)に記載のマーカーは、配列番号26で表わされるSNPのID番号:rs1468556の塩基配列において第101番目の塩基がTである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4727424で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のエキソン8に位置する遺伝子多型であり、該当するアミノ酸がFである遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号26で表される塩基配列において第101番目の塩基がGであり、該当するアミノ酸がVである。
本発明において、〔1〕の27)に記載のマーカーは、配列番号27で表わされるSNPのID番号:rs9300304の塩基配列において第101番目の塩基がGである遺伝子多型を判別するためのマーカーである。当該多型は、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4690599で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン2に位置する遺伝子多型である。当該遺伝子多型のメジャー対立遺伝子では、配列番号27で表される塩基配列において第101番目の塩基がAである。
本発明の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドは、被験者がI型IFNによる治療に対して感受性を示すか否かを予測するために有用である。疾患対照関連解析の結果、本発明の診断マーカーにおけるマイナー対立遺伝子の頻度は、I型IFNによる治療の非著効群におけるそれよりも著効群において有意に高いことが示された。従って、被験者が、本発明の診断マーカーにおいてマイナー対立遺伝子を有するか否かを試験することにより、該被験者がI型IFNによる治療に対して感受性を示すか否かを予測することができる。したがって、本発明のI型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬は、本発明の診断マーカーにおいて、少なくともマイナー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドを含有するものである。例えば、上記〔1〕の1)の診断マーカーにあっては、配列番号1で表わされる塩基配列中第101番目の塩基を含む、連続した10〜200の塩基配列またはその相補鎖配列であって、当該塩基がG(相補鎖配列にあってはC)である配列の存在を検出し得るものである。
具体的には、本発明の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドは、Taqmanプローブ法、Invaderプローブ法(Third Wave社)、GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip(ILLUMINA社)など遺伝子チップを用いたSNPタイピング法、ダイレクトシークエンス法、SSCP法 (single-stranded comformational polymorphism analysis) 、ASP-PCR法 (allele-specific primer PCR analysis) などといった公知の遺伝子解析方法におけるプライマーまたはプローブとして用いられる。すなわち、プライマーであれば、本発明の診断マーカー部位を含むヒトGALNT8遺伝子断片を増幅し得る1対のポリヌクレオチドであり、プローブであれば、当該多型部位を含むヒトGALNT8遺伝子領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチドである。ここで「ストリンジェントな条件」とは上記と同義である。
本発明の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドの長さは、当該多型部位を含む10〜200の連続した塩基配列を有するヒトGALNT8遺伝子断片を検出し得るものであれば特に制限はなく、具体的には該ポリヌクレオチドの用途に応じて、長さを適宜選択し設定することができる。
本発明のポリヌクレオチドをプライマーとして用いる場合には、10bp〜200bp、好ましくは15bp〜50bp、より好ましくは15bp〜35bpの塩基長を有するものが例示できる。また検出プローブとして用いる場合には、10bp〜200bp、好ましくは10bp〜50bp、より好ましくは15bp〜30bpの塩基長を有するものが例示できる。
本発明の診断マーカーにおいて、メジャー対立遺伝子はI型IFNによる治療に対する非感受性対立遺伝子であるのに対し、マイナー対立遺伝子は感受性対立遺伝子である。すなわち、被験者がマイナー対立遺伝子のホモ接合型である遺伝子型を有する場合、ヘテロ接合型やメジャー対立遺伝子のホモ接合型と比較して、I型IFNによる治療に対して感受性である頻度が顕著に高い。したがって、本発明のI型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬は、本発明の診断マーカーにおいて、マイナー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドをさらに含有していることが望ましい。
本発明の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドがプローブとして用いられる場合、該プローブは多型性の検出に適した付加的配列(ゲノムDNAと相補的でない配列)を含んでいてもよい。例えば、Invaderプローブ法に用いられるアレルプローブは、多型部位の塩基の5’末端にフラップと呼ばれる付加的配列を有する。
また、該プローブは、適当な標識剤、例えば、例えば、放射性同位元素(例:125I、131I、3H、14C等)、酵素(例:β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等)、蛍光物質(例:フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート等)、発光物質(例:ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等)などで標識されていてもよい。あるいは、蛍光物質(例:FAM、VIC等)の近傍に該蛍光物質の発する蛍光エネルギーを吸収するクエンチャー(消光物質)がさらに結合されていてもよい。かかる実施態様においては、検出反応の際に蛍光物質とクエンチャーとが分離して蛍光が検出される。
本発明の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドがプライマーとして用いられる場合、該プライマーは、多型性の検出に適した付加的配列(ゲノムDNAと相補的でない配列)、例えばリンカー配列を含んでいてもよい。
また、該プライマーは、適当な標識剤、例えば、例えば、放射性同位元素(例:125I、131I、3H、14C等)、酵素(例:β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等)、蛍光物質(例:フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート等)、発光物質(例:ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等)などで標識されていてもよい。
上記核酸プローブおよび/またはプライマーは、各々別個に(あるいは可能であれば混合した状態で)水もしくは適当な緩衝液(例:TEバッファーなど)中に適当な濃度(例:2×〜20×の濃度で1〜50μMなど)となるように溶解し、約-20℃で保存することができる。
本発明のI型IFNによる治療に対する感受性予測用試薬は、多型検出法に応じて、当該方法の実施に必要な他の成分を構成としてさらに含んでいてもよい。例えば、該試薬がTaqMan PCR法による多型検出用である場合には、該試薬は、10×PCR反応緩衝液、10×MgCl2水溶液、10×dNTPs水溶液、Taq DNAポリメラーゼ(5U/μL)等をさらに含むことができる。
II.I型IFNによる治療に対する感受性の予測方法
本発明はまた、被験者がI型IFNによる治療に対する感受性を有するか否かを、当該被験者の遺伝子型を調べることによって予測する、上記〔10〕〜〔18〕に記載の予測方法を包含する。
ここで測定対象試料となる被験者由来の遺伝子サンプルは、被験者(患者等)の遺伝子、すなわちゲノムDNAおよびRNAを含む生体試料であれば特に限定はなく、使用する検出方法の種類に応じて適宜選択することができる(但し、RNAもしくはそれに由来するポリヌクレオチド(例、cDNA)を遺伝子サンプルとする場合、検出すべき診断マーカーとしては、ヒトGALNT8遺伝子のエキソン部分に存在するものが選択される)。該試料は、例えば、被験者の生体組織、具体的には、血液、肝生検、頬粘膜などを採取し、そこから常法に従って調製したゲノムDNAまたはtotal RNAを用いてもよいし、さらに該RNAをもとにして調製される各種のポリヌクレオチドを用いてもよい。被験者由来サンプルからのゲノムDNAおよびRNAの調製は、当業者に周知の任意の方法を用いればよい。
また、被験者の人種は特に限定されないが、好ましくは東アジア人、更に好ましくは日本人である。
具体的には、上述の本発明の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドを、常法に従ってプライマーまたはプローブとして利用し、Taqmanプローブ法、Invaderプローブ法(Third Wave Technologies社)、GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip (ILLUMINA社)など遺伝子チップを用いたSNPタイピング法、ダイレクトシークエンス法、SSCP法 (single-stranded comformational polymorphism analysis)、ASP-PCR法 (allele-specific primer PCR analysis)、などといった、特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法で試験すればよい。
例えば、Taqmanプローブ法およびInvaderプローブ法を用い、以下の群:
1)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4681179で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)領域に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号1で表わされるSNPのID番号:rs10849130の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
2)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4681289で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)領域に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号2で表わされるSNPのID番号:rs10849131の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
3)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4681676で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)領域に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号3で表わされるSNPのID番号:rs12296205の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
4)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4684261で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のエキソン1に位置する遺伝子多型であり、該当するアミノ酸がDであり塩基がGである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号4で表わされるSNPのID番号:rs10849133の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
5)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4686637で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン1に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号5で表わされるSNPのID番号:rs3782740の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
6)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4687041で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン1に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号6で表わされるSNPのID番号:rs3782741の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
7)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4690143で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のエキソン2に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号7で表わされるSNPのID番号:rs2286578の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
8)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4705816で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン3に位置する塩基が、Aである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号8で表わされるSNPのID番号:rs3782742の塩基配列において第101番目の塩基がAであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
9)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4707276で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン3に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号9で表わされるSNPのID番号:rs4766286の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
10)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4717569で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号10で表わされるSNPのID番号:rs10849138の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
11)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4717618で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Aである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号11で表わされるSNPのID番号:rs10849139の塩基配列において第101番目の塩基がAであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
12)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4718338で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号12で表わされるSNPのID番号:rs7311675の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
13)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4718378で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号13で表わされるSNPのID番号:rs7311694の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
14)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4718515で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号14で表わされるSNPのID番号:rs7315211の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
15)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4720415で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号15で表わされるSNPのID番号:rs7975978の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
16)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721099で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号16で表わされるSNPのID番号:rs2359466の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
17)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721402で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号17で表わされるSNPのID番号:rs2359467の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
18)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721631で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号18で表わされるSNPのID番号:rs7305525の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
19)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721760で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Aである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号19で表わされるSNPのID番号:rs7316209の塩基配列において第101番目の塩基がAであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
20)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721881で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号20で表わされるSNPのID番号:rs7132030の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
21)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4724189で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号21で表わされるSNPのID番号:rs2286580の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
22)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4724624で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン7に位置する塩基が、Aである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号22で表わされるSNPのID番号:rs2191157の塩基配列において第101番目の塩基がAであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
23)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4730294で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン10に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号23で表わされるSNPのID番号:rs7967117の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
24)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4732837で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン10に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号24で表わされるSNPのID番号:rs10774267の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
25)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4735396で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン10に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号25で表わされるSNPのID番号:rs10849143の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
26)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4727424で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のエキソン8に位置する遺伝子多型であり、該当するアミノ酸がFであり塩基がTである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号26で表わされるSNPのID番号:rs1468556の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
27) ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4690599で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン2に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号27で表わされるSNPのID番号:rs9300304の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
から選択されるポリヌクレオチドが特異的に生成されることを確認することができる。Taqmanプローブ法を利用してSNP遺伝子型を予測する方法は当業者に周知であり、例えばApplied Biosystems社が市販するTaqMan(登録商標)SNP Genotyping Assays試薬を用い、SNP領域を検出するPCRプライマーおよびSNP対立遺伝子を識別する蛍光標識されたTaqManプローブおよび被験者の遺伝子サンプル由来のゲノムDNAを混合して、キットの添付文書に従って反応させ、蛍光シグナルを解析することにより、サンプル中に含まれるSNP対立遺伝子の遺伝子型を検出する方法を例示することができる(Nat Genet 2003; 34: 395-402)。
また、Invaderプローブを用いてSNP遺伝子型を同定する方法も当業者に周知であり、Third Wave Technologies社が市販するSNP対立遺伝子を識別するInvaderプローブおよび反応試薬を混合し、被験者の遺伝子サンプル由来のゲノムDNAを鋳型としてkit推奨の方法に従い反応させ、汎用の蛍光プレートリーダーで蛍光シグナルを検出することにより、サンプル中に含まれるSNP対立遺伝子の遺伝子型を検出する方法を例示することができる(J Hum Genet 2001; 46: 471-477)。
ノーザンブロット法を利用する場合、上述の〔1〕に記載の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドをプローブとして用いればよい。具体的には、前記プローブを放射性同位元素(32P、33Pなど:RI)や蛍光物質などで標識し、それを、常法に従ってナイロンメンブレン等にトランスファーした細胞由来のRNAとハイブリダイズさせた後、形成された前記プローブ(DNAまたはRNA)とRNAとの二重鎖を、前記プローブの標識物(RI若しくは蛍光物質)に由来するシグナルとして放射線検出器(BAS-1800II、富士フィルム社製)または蛍光検出器で検出、測定する方法を例示することができる。また、AlkPhos Direct Labelling and Detection System (Amersham Pharamcia Biotech社製)を用いて、該プロトコールに従って前記プローブを標識し、細胞由来のRNAとハイブリダイズさせた後、前記プローブの標識物に由来するシグナルをマルチバイオイメージャーSTORM860(Amersham Pharmacia Biotech社製)で検出、測定する方法を使用することもできる。
また、被験者の遺伝子型は、GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip (ILLUMINA社)など遺伝子チップを利用して検出することもでき、本発明の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドの配列を含む10-100bpまでの任意の長さのポリヌクレオチドをプローブとして用いることが可能である。GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip (ILLUMINA社)を用いた方法は当業者に周知であり、AFFYMETRIX社およびILLUMINA社からのkit推奨の方法に従い、本発明のポリヌクレオチドをプローブに含むDNAチップを、被験者由来の遺伝子サンプルとハイブリダイズさせることにより、サンプル中に含まれるSNP対立遺伝子の遺伝子型を検出する方法を例示することができる。
「I型IFN」にはIFN-αおよびIFN-βが含まれる。ここでIFN-αはさらにわずかに特異性の異なる小さなアイソフォーム(isoform)に分類されているが、本明細書におけるIFN-αは、これらのアイソフォームの混合物である天然型IFN-αも、これらのアイソフォームが単離された組換えタンパク質等もすべて包含する概念である。アイソフォームとしては、IFN-α2a、IFN-α2b等が挙げられる。
「I型IFNによる治療に対する感受性が高い」とは、I型IFNを投与された場合に期待される薬理作用を示す状態を意味する。具体的には、ウイルス感染症に罹患した患者であれば、血中ウイルスRNA量の低下、完全な消滅、肝機能改善の指標である血中ALT (alanine transaminase、アラニンアミノ基転移酵素)値の正常化などが挙げられる。
I型IFNによる治療に対する感受性が高い患者は、I型IFNによる治療効果が期待され得る。
I型IFNによる治療が有効な疾患、すなわちI型IFNにおる治療が適用され得る疾患としては、HCV、HBV (hepatitis B virus) 等のウイルス感染症、ウイルス感染が原因と考えられる亜急性硬化性全脳炎、HTLV-I (human adult T cell leukemia virus-I) 脊髄症等、肝硬変からの発癌等があげられる。また、腎癌、多発性骨髄腫、白血病なども挙げられる。
I型IFNにおる治療が適用され得る疾患の患者としては前記疾患に罹患している患者等が挙げられる。
一方、I型IFNによる治療に対する感受性が低い患者は、I型IFNを投与しても血中ウイルスRNA量が低下しない、低下しても完全に消滅しない、血中ALT値が正常化しない、一度消滅しても治療後にウイルスRNAが再増殖する等の所見を呈する。
被験者由来の遺伝子サンプルにおいて、上述の1)〜27)のうちの少なくとも1つの遺伝子多型について試験した結果、被験者がメジャー対立遺伝子を有する場合、該被験者はI型IFNによる治療に対する感受性が低いと予測することができる。より好ましくは、上述の1)〜27)のうちの少なくとも1つの遺伝子多型について試験した結果、マイナー対立遺伝子をホモにもつ場合、I型IFNによる治療に対する感受性が高く、ヘテロ接合型の場合、マイナー対立遺伝子をホモにもつ場合に比べてI型IFNによる治療に対する感受性が低く、メジャー対立遺伝子をホモにもつ場合、I型IFNによる治療に対する感受性がさらに低いと予測することができる。
III.I型IFNによる治療に対する感受性の予測方法
本発明はまた、被験者がI型IFNによる治療に対する感受性を有するか否かを、当該被験者の遺伝子型を調べることによって予測する、上記〔10〕または〔11〕に記載の予測方法を包含する。
ここで測定対象試料となる被験者由来の遺伝子サンプルは、被験者(患者等)の遺伝子、すなわちゲノムDNAおよびRNAを含む生体試料であれば特に限定はなく、使用する検出方法の種類に応じて適宜選択することができる(但し、RNAもしくはそれに由来するポリヌクレオチドを遺伝子サンプルとする場合、検出すべき診断マーカーとしては、ヒトGALNT8遺伝子のエキソン部分に存在するものが選択される)。該試料は、例えば、被験者の生体組織、具体的には、血液、肝生検、頬粘膜などを採取し、そこから常法に従って調製したゲノムDNAまたはtotal RNAを用いてもよいし、さらに該RNAをもとにして調製される各種のポリヌクレオチドを用いてもよい。被験者由来サンプルからのゲノムDNAおよびRNAの調製は、当業者に周知の任意の方法を用いればよい。
具体的には、上述の本発明の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドを、常法に従ってプライマーまたはプローブとして利用し、Taqmanプローブ法、Invaderプローブ法(Third Wave Technologies社)、GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip (ILLUMINA社)など遺伝子チップを用いたSNPタイピング法、ダイレクトシークエンス法、SSCP法 (single-stranded comformational polymorphism analysis)、ASP-PCR法 (allele-specific primer PCR analysis)、などといった、特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法で試験すればよい。
例えば、Taqmanプローブ法およびInvaderプローブ法を用い、以下の群:
1)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4681179で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)領域に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号1で表わされるSNPのID番号:rs10849130の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
2)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4681289で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)領域に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号2で表わされるSNPのID番号:rs10849131の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
3)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4681676で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)領域に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号3で表わされるSNPのID番号:rs12296205の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
4)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4684261で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のエキソン1に位置する遺伝子多型であり、該当するアミノ酸がDであり塩基がGである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号4で表わされるSNPのID番号:rs10849133の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
5)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4686637で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン1に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号5で表わされるSNPのID番号:rs3782740の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
6)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4687041で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン1に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号6で表わされるSNPのID番号:rs3782741の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
7)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4690143で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のエキソン2に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号7で表わされるSNPのID番号:rs2286578の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
8)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4705816で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン3に位置する塩基が、Aである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号8で表わされるSNPのID番号:rs3782742の塩基配列において第101番目の塩基がAであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
9)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4707276で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン3に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号9で表わされるSNPのID番号:rs4766286の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
10)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4717569で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号10で表わされるSNPのID番号:rs10849138の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
11)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4717618で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Aである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号11で表わされるSNPのID番号:rs10849139の塩基配列において第101番目の塩基がAであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
12)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4718338で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号12で表わされるSNPのID番号:rs7311675の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
13)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4718378で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号13で表わされるSNPのID番号:rs7311694の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
14)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4718515で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号14で表わされるSNPのID番号:rs7315211の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
15)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4720415で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号15で表わされるSNPのID番号:rs7975978の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
16)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721099で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号16で表わされるSNPのID番号:rs2359466の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
17)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721402で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号17で表わされるSNPのID番号:rs2359467の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
18)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721631で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Cである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号18で表わされるSNPのID番号:rs7305525の塩基配列において第101番目の塩基がCであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
19)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721760で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Aである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号19で表わされるSNPのID番号:rs7316209の塩基配列において第101番目の塩基がAであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
20)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4721881で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号20で表わされるSNPのID番号:rs7132030の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
21)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4724189で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン6に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号21で表わされるSNPのID番号:rs2286580の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
22)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4724624で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン7に位置する塩基が、Aである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号22で表わされるSNPのID番号:rs2191157の塩基配列において第101番目の塩基がAであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
23)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4730294で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン10に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号23で表わされるSNPのID番号:rs7967117の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
24)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4732837で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン10に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号24で表わされるSNPのID番号:rs10774267の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
25)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4735396で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン10に位置する塩基が、Tである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号25で表わされるSNPのID番号:rs10849143の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
26)ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4727424で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のエキソン8に位置する遺伝子多型であり、該当するアミノ酸がFであり塩基がTである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号26で表わされるSNPのID番号:rs1468556の塩基配列において第101番目の塩基がTであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
27) ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域を含むゲノム配列NT_009759.15においてcontig番号4690599で示され、GALNT8遺伝子(配列番号28, Genbank : NM_017417.1)のイントロン2に位置する塩基が、Gである遺伝子、又は当該塩基を含む断片(配列番号27で表わされるSNPのID番号:rs9300304の塩基配列において第101番目の塩基がGであるポリヌクレオチド又は当該塩基を含む断片)、
から選択されるポリヌクレオチドが特異的に生成されることを確認することができる。Taqmanプローブ法を利用してSNP遺伝子型を予測する方法は当業者に周知であり、例えばApplied Biosystems社が市販するTaqMan(登録商標)SNP Genotyping Assays試薬を用い、SNP領域を検出するPCRプライマーおよびSNP対立遺伝子を識別する蛍光標識されたTaqManプローブおよび被験者の遺伝子サンプル由来のゲノムDNAを混合して、キットの添付文書に従って反応させ、蛍光シグナルを解析することにより、サンプル中に含まれるSNP対立遺伝子の遺伝子型を検出する方法を例示することができる(Nat Genet 2003; 34: 395-402)。
また、Invaderプローブを用いてSNP遺伝子型を同定する方法も当業者に周知であり、Third Wave Technologies社が市販するSNP対立遺伝子を識別するInvaderプローブおよび反応試薬を混合し、被験者の遺伝子サンプル由来のゲノムDNAを鋳型としてkit推奨の方法に従い反応させ、汎用の蛍光プレートリーダーで蛍光シグナルを検出することにより、サンプル中に含まれるSNP対立遺伝子の遺伝子型を検出する方法を例示することができる(J Hum Genet 2001; 46: 471-477)。
ノーザンブロット法を利用する場合、上述の〔1〕に記載の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドをプローブとして用いればよい。具体的には、前記プローブを放射性同位元素(32P、33Pなど:RI)や蛍光物質などで標識し、それを、常法に従ってナイロンメンブレン等にトランスファーした細胞由来のRNAとハイブリダイズさせた後、形成された前記プローブ(DNAまたはRNA)とRNAとの二重鎖を、前記プローブの標識物(RI若しくは蛍光物質)に由来するシグナルとして放射線検出器(BAS-1800II、富士フィルム社製)または蛍光検出器で検出、測定する方法を例示することができる。また、AlkPhos Direct Labelling and Detection System (Amersham Pharamcia Biotech社製)を用いて、該プロトコールに従って前記プローブを標識し、細胞由来のRNAとハイブリダイズさせた後、前記プローブの標識物に由来するシグナルをマルチバイオイメージャーSTORM860(Amersham Pharmacia Biotech社製)で検出、測定する方法を使用することもできる。
また、被験者の遺伝子型は、GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip (ILLUMINA社)など遺伝子チップを利用して検出することもでき、本発明の診断マーカーを検出し得るポリヌクレオチドの配列を含む10-100bpまでの任意の長さのポリヌクレオチドをプローブとして用いることが可能である。GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)やBeadchip (ILLUMINA社)を用いた方法は当業者に周知であり、AFFYMETRIX社およびILLUMINA社からのkit推奨の方法に従い、本発明のポリヌクレオチドをプローブに含むDNAチップを、被験者由来の遺伝子サンプルとハイブリダイズさせることにより、サンプル中に含まれるSNP対立遺伝子の遺伝子型を検出する方法を例示することができる。
「I型IFN」にはIFN-αおよびIFN-βが含まれる。ここでIFN-αはさらにわずかに特異性の異なる小さなアイソフォーム(isoform)に分類されているが、本明細書におけるIFN-αは、これらのアイソフォームの混合物である天然型IFN-αも、これらのアイソフォームが単離された組換えタンパク質等もすべて包含する概念である。アイソフォームとしては、IFN-α2a、IFN-α2b等が挙げられる。
「I型IFNによる治療に対する感受性が高い」とは、I型IFNを投与された場合に期待される薬理作用を示す状態を意味する。具体的には、ウイルス感染症に罹患した患者であれば、血中ウイルスRNA量の低下、完全な消滅、肝機能改善の指標である血中ALT (alanine transaminase、アラニンアミノ基転移酵素)値の正常化などが挙げられる。
I型IFNによる治療に対する感受性が高い患者は、I型IFNによる治療効果が期待され得る。
I型IFNによる治療が有効な疾患、すなわちI型IFNにおる治療が適用され得る疾患としては、HCV、HBV (hepatitis B virus) 等のウイルス感染症、ウイルス感染が原因と考えられる亜急性硬化性全脳炎、HTLV-I (human adult T cell leukemia virus-I) 脊髄症等、肝硬変からの発癌等があげられる。また、腎癌、多発性骨髄腫、白血病なども挙げられる。
I型IFNにおる治療が適用され得る疾患の患者としては前記疾患に罹患している患者等が挙げられる。該患者がHCV感染症患者である場合、HCV遺伝子型1bである患者はI型IFNによる治療に対する感受性において、本発明の診断マーカーとの関連性がより顕著であるので、本発明の予測方法を実施するのが好ましい。
一方、I型IFNによる治療に対する感受性が低い患者は、I型IFNを投与しても血中ウイルスRNA量が低下しない、低下しても完全に消滅しない、血中ALT値が正常化しない、一度消滅しても治療後にウイルスRNAが再増殖する等の所見を呈する。
被験者由来の遺伝子サンプルにおいて、上述の1)〜27)のうちの少なくとも1つの遺伝子多型について試験した結果、被験者がメジャー対立遺伝子を有する場合、該被験者はI型IFNによる治療に対する感受性が低いと予測することができる。より好ましくは、上述の1)〜27)のうちの少なくとも1つの遺伝子多型について試験した結果、マイナー対立遺伝子をホモにもつ場合、I型IFNによる治療に対する感受性が高く、ヘテロ接合型の場合、マイナー対立遺伝子をホモにもつ場合に比べてI型IFNによる治療に対する感受性が低く、メジャー対立遺伝子をホモにもつ場合、I型IFNによる治療に対する感受性がさらに低いと予測することができる。
本発明のマーカー多型において、メジャー対立遺伝子を有するハプロタイプでは、GALNT8遺伝子の発現がマイナー対立遺伝子を有するハプロタイプにおけるそれよりも亢進しており、産生されたGALNT8がIFN刺激により誘導される抗ウイルス遺伝子の発現を抑制することで、I型IFNによる治療効果を低下させ、もしくは無効にしている。したがって、本発明は、上記〔12〕または〔13〕に記載の、GALNT8遺伝子もしくはGALNT8の発現量、またはGALNT8の活性を指標とした、被験者のI型IFNに対する感受性の予測方法を包含する。
GALNT8遺伝子の発現量を測定する方法としては、特に限定は無く、ノーザンブロット法、RT-PCR法、in situハイブリダーゼーション法、Taqmanプローブ法GENECHIP SNP ARRAY (AFFYMETRIX社)など遺伝子チップを用いた公知の方法などが挙げられる。
具体的には、GALNT8遺伝子の塩基配列において連続する少なくとも15塩基を有するポリヌクレオチドおよび/またはその相補的なポリヌクレオチドをプライマーまたはプローブとして用いることによって、RNA中の本遺伝子の発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。そのようなプローブもしくはプライマーは、本遺伝子の塩基配列(GenBank accession番号:NM_017417.1を参照)をもとに、例えばprimer 3(HYPERLINK http://www.genome.wi.mit.edu/cgi-bin/primer/primer3.cgi http://www.genome.wi.mit.edu/cgi-bin/primer/primer3.cgi)あるいはベクターNTI(Infomax社製)を利用して設計することができる。
ノーザンブロット法を利用する場合、前記プライマーもしくはプローブを用いて、上記で述べた方法に従って、GALNT8遺伝子発現量を測定すればよい。
RT-PCR法を利用する場合も、細胞由来のRNAから上記で述べた方法に従って、GALNT8遺伝子発現量を測定すればよい。同様に、上述のTaqman probe (Applied Biosystems社) やAffymetrix社遺伝子チップを用いる方法で測定することもできる。
GALNT8の発現量を測定する方法としては、特に限定は無いが、ウェスタンブロット法、ELISA法などが挙げられる。
ウェスタンブロット法は、一次抗体として本蛋白質を認識する抗体を用いた後、二次抗体として125Iなどの放射性同位元素、蛍光物質、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)等の酵素等で標識した一次抗体に結合する抗体を用いて標識し、これら標識物質由来のシグナルを放射線測定器(BAI-1800II:富士フィルム社製など)、蛍光検出器などで測定することによって実施できる。また、一次抗体としてGALNT8を認識する抗体を用いた後、ECL Plus Western Blotting Detection System(アマシャム ファルマシアバイオテク社製)を利用して該プロトコールに従って検出し、マルチバイオメージャーSTORM860(アマシャム ファルマシアバイオテク社製)で測定することもできる。
抗体は、その形態に特に制限はなく、前記GALNT8を免疫抗原とするポリクローナル抗体であっても、またそのモノクローナル抗体であってもよく、さらにはGALNT8を構成するアミノ酸配列のうち少なくとも連続する、通常8アミノ酸、好ましくは15アミノ酸、より好ましくは20アミノ酸からなるポリペプチドに対して抗原結合性を有する抗体も、本発明の抗体に含まれる。
これらの抗体の製造方法は、すでに周知であり、本発明の抗体もこれらの常法に従って製造することができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.12〜11.13)。
GALNT8(蛋白質)の活性を測定する方法としては、特に限定は無いが、GALNT8が基質タンパク質にGalNAcを転移する活性を測定すればよい。
上述のとおり測定したGALNT8もしくはGALNT8遺伝子の発現量またはGALNT8の活性が、I型IFNに感受性を示さない対照者におけるこれらの発現量(標準値という)に比べて低い値を示す場合に、被験者がI型IFN療法の治療効果が高いまたはI型IFNに対する感受性を有すると予測することができる。
尚、I型IFNに対する感受性についての標準値は、別途I型IFNにより誘導される抗ウイルス遺伝子の発現をリアルタイム定量PCR法により解析することによって確認することができる。ここで、IFN-α誘導性の抗ウイルス遺伝子は多数公知であり、例としては、myxovirus resistance A (MxA, NM_002462) や2-prime, 5-prime oligoadenylate synthetase 1 (OAS1, NM_016816.2) などが挙げられる。
IV. I型IFN作用増強剤のスクリーニング方法
本発明は、上記〔19〕または〔20〕に記載の、I型IFN作用増強剤のスクリーニング方法を包含する。
被験物質がGALNT8の発現を抑制するか否かを判定する方法としては、特に限定は無く、上記IIに記載のGALNT8遺伝子発現量の測定方法を用いればよい。
すなわち、(1-1)被験物質と、GALNT8遺伝子を発現可能な細胞とを接触させ、次いで(1-2)被験物質を接触させた細胞における、GALNT8遺伝子の発現量を測定し、該発現量を、被験物質を接触させない対照細胞におけるGALNT8遺伝子の発現量と比較すればよい。
前記(1-1)において用いられるGALNT8遺伝子としては、GALNT8遺伝子を発現している細胞であれば特に限定は無く、使用する細胞の内在性のGALNT8遺伝子、外来遺伝子として細胞に導入されたGALNT8遺伝子のいずれでも良いが、使用する細胞の内在性のGALNT8遺伝子が好ましい。外来遺伝子として導入する場合、GALNT8遺伝子は用いられる細胞の由来動物種のGALNT8遺伝子であることが好ましい。
具体的には、ヒト肝細胞由来細胞株Huh7、HepG2あるいはヒトリンパ球由来細胞株Jurkat等の細胞に、GALNT8発現ベクターを導入されてなる形質転換細胞等が挙げられる。由来動物種としては、ラット、マウス、モルモット等のげっ歯類哺乳動物、イヌ、サル、ヒト等が挙げられる。
前記細胞としては、動物の組織や臓器から分離された細胞や、同一の機能・形態を持つ集団を形成している細胞(組織)等も含まれ、いかなる分化過程にある細胞であってもよい。
「対照細胞」とは(1-1)の工程で用いられるGALNT8遺伝子を発現可能な細胞において、被験物質を接触させない場合の当該細胞を表す。「被験物質を接触させない場合」には、被験物質の代わりに被験物質と同量の溶媒(ブランク)を添加する場合や、本遺伝子の発現に影響を与えないネガティブコントロール物質を添加する場合も含まれる。
上記で用いられる「GALNT8遺伝子を発現している細胞」の調製方法について以下に説明する。
まず、GALNT8遺伝子を、通常の遺伝子工学的方法(例えば、Sambrook J., Frisch E. F., Maniatis T.著、モレキュラークローニング第2版(Molecular Cloning 2nd edition)、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行(Cold Spring Harbor Laboratory press)等に記載されている方法)に準じて取得する。次いで、GALNT8遺伝子が宿主細胞中で発現できるようなプラスミドを作製し、これを宿主細胞に導入して形質転換し、さらに形質転換された宿主細胞(形質転換体)を培養することで得られる細胞を用いればよい。上記プラスミドとしては、例えば、宿主細胞中で複製可能な遺伝情報を含み、自立的に増殖できるものであって、宿主細胞からの単離・精製が容易であり、宿主細胞中で機能可能なプロモーターを有し、検出可能なマーカーをもつ発現ベクターに、本蛋白質をコードする遺伝子が導入されたものを好ましく挙げることができる。尚、発現ベクターとしては、各種のものが市販されている。例えば、大腸菌での発現に使用される発現ベクターは、lac、trp、tacなどのプロモーターを含む発現ベクターであって、これらはファルマシア社、宝酒造等から市販されている。当該発現ベクターに本蛋白質をコードする遺伝子を導入するために用いられる制限酵素も宝酒造等から市販されている。さらなる高発現を導くことが必要な場合には、GALNT8遺伝子の上流にリボゾーム結合領域を連結してもよい。用いられるリボゾーム結合領域としては、Guarente L.ら(Cell 20, p543)や谷口ら(Genetics of Industrial Microorganisms, p202, 講談社)による報告に記載されたものを挙げることができる。
哺乳動物細胞での発現に使用されるベクターは、SV40ウイルスプロモーター、サイトメガロウィルスプロモーター(CMVプロモーター)、Raus Sarcoma Virusプロモーター(RSVプロモーター)、βアクチン遺伝子プロモーター、aP2遺伝子プロモーター等のプロモーターを含む発現ベクターであって、これらは、東洋紡社、宝酒造社等から市販されている。
宿主細胞としては、原核生物もしくは真核生物である微生物細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞等を挙げることができる。例えば、GALNT8の大量調製が容易になるという観点では、大腸菌等を好ましく挙げることができる。
前記のようにして得られたプラスミドは、通常の遺伝子工学的方法により前記宿主細胞に導入することができる。
形質転換体の培養は、微生物培養、昆虫細胞もしくは哺乳動物細胞の培養に使用される通常の方法によって行うことができる。例えば大腸菌の場合、適当な炭素源、窒素源およびビタミン等の微量栄養物を適宜含む培地中で培養を行う。培養方法としては、固体培養、液体培養のいずれの方法でもよく、好ましくは、通気撹拌培養法等の液体培養を挙げることができる。
また、被験物質と細胞とを接触させる条件は、特に制限されないが、該細胞が死なないように、その培養条件(温度、pH、培地組成など)を大きく変化させない条件を採用することが好ましい。
GALNT8遺伝子を発現可能な細胞と接触させる被験物質の濃度としては、特に限定は無く、通常約0.1μM〜約100μMであればよく、好ましくは1μM〜50μMであればよい。細胞と被験物質とを接触させる時間は、特に限定されるものでなく適時設定するものであるが、例えば5分間〜30分間程度あり、好ましくは10分間〜20分間程度である。被験物質は適宜、水、リン酸バッファーもしくはトリスバッファー等のバッファー、エタノール、アセトン、ジメチルスルホキシドもしくはこれらの混合物などの溶媒に溶解または懸濁して用いることができる。
被験物質を添加した細胞におけるGALNT8遺伝子の発現が被験物質を添加しない対照細胞での発現量と比較して統計学的に有意に低下していれば該被験物質はGALNT8遺伝子の発現抑制物質として選択することができる。好ましくは、1/2以下、1/5以下、更に好ましくは1/10以下であれば、該被験物質はGALNT8遺伝子の発現抑制物質として選択することができる。
あるいは、GALNT8のプロモーター領域の下流にルシフェラーゼ等のマーカーとなるタンパク質をコードする遺伝子を挿入したレポーターベクターを構築して、ルシフェラーゼ活性を指標としてGALNT8プロモーターの転写活性を阻害または促進する化合物をスクリーニングすることも可能である。
すなわち、(1-1)被験物質と、GALNT8遺伝子の発現制御領域を機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子を含有する細胞とを接触させ、(1-2)被験物質を接触させた細胞における、前記レポーター遺伝子の発現量を測定し、該発現量を被験物質に接触させない対照細胞における前記遺伝子の発現量と比較することができる。
ここで「GALNT8遺伝子の発現制御領域」とは、通常、当該染色体遺伝子の上流数kbから数十kbの範囲を指し、例えば、(i)5’-レース法(5'-RACE法)(例えば、5’full Race Core Kit(宝酒造社製)等を用いて実施されうる)、オリゴキャップ法、S1プライマーマッピング等の通常の方法により、5’末端を決定するステップ;(ii)Genome Walker Kit(クローンテック社製)等を用いて5’-上流領域を取得し、得られた上流領域について、プロモーター活性を測定するステップ;、を含む手法等により同定することが出来る。
GALNT8遺伝子の発現制御領域を機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子は、当業者に公知の方法で調製すればよい。すなわち、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd edition」(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press、「Current Protocols in Molecular Biology」(1987), John Wiley & Sons,Inc.等に記載される通常の遺伝子工学的手法に従って切り出された本遺伝子の発現調節領域を、レポーター遺伝子を含むプラスミド上に組み込むことができる。
レポーター遺伝子としては、グルクロニダーゼ(GUS)、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールトランスアセチラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼおよびグリーン蛍光タンパク質(GFP)等が挙げられる。
調製した本遺伝子の発現制御領域を機能可能な形で連結されてなるレポーター遺伝子を、通常の遺伝子工学的手法を用いて、当該レポーター遺伝子を導入する細胞において使用可能なベクターに挿入し、プラスミドを作製し、適当な宿主細胞へ導入することができる。レポーター遺伝子に応じた選抜条件の培地で培養することにより、形質転換細胞を得ることができる。
また、レポーター遺伝子の発現量を測定する方法としては、個々のレポーター遺伝子に応じた方法を利用すればよい。例えば、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用いる場合には、前記形質転換細胞を数日間培養後、当該細胞の抽出物を得、次いで当該抽出物をルシフェリンおよびATPと反応させて化学発光させ、その発光強度を測定することによりプロモーター活性を検出することができる。この際、ピッカジーンデュアルキット(登録商標;東洋インキ製)等の市販のルシフェラーゼ反応検出キットを用いることができる。
被験物質を添加した細胞におけるレポーター遺伝子の発現が被験物質を添加しない対照細胞での発現量と比較して統計学的に有意に低下していれば該被験物質はGALNT8遺伝子の発現抑制物質として選択することができる。好ましくは、1/2以下、1/5以下、更に好ましくは1/10以下であれば、該被験物質はGALNT8遺伝子の発現抑制物質として選択することができる。
被験物質がGALNT8(タンパク質)の発現を抑制するか否かを測定する方法としては、特に限定は無く、上記IIに記載のGALNT8発現量の測定方法を用いればよい。
すなわち、(1-1)被験物質と、GALNT8を発現可能な細胞とを接触させ、次いで(1-2)被験物質を接触させた細胞における、GALNT8の発現量を測定し、該発現量を被験物質に接触させない対照細胞におけるGALNT8の発現量と比較すればよい。ここで、「GALNT8を発現可能な細胞」としては、前述の「GALNT8遺伝子を発現可能な細胞」と同じものが挙げられる。
被験物質を添加した細胞におけるGALNT8の発現が被験物質を添加しない対照細胞での発現量と比較して統計学的に有意に低下していれば該被験物質はGALNT8遺伝子の発現抑制物質として選択することができる。好ましくは、1/2以下、1/5以下、更に好ましくは1/10以下であれば、該被験物質はGALNT8の発現抑制物質として選択することができる。
被験物質がGALNT8(蛋白質)の活性を抑制するか否かを測定する方法としては、特に限定は無いが、GALNT8が基質タンパク質もしくはペプチドにGalNAcを転移する活性を測定すればよい。
すなわち、(1-1)被験物質と、GALNT8、基質タンパク質もしくはペプチド、およびUDP-GalNAcを含む溶液とを接触させ、次いで(1-2)被験物質を接触させた溶液における、GALNT8のGalNAc転移活性を測定し、測定した活性値を被験物質に接触させない対照溶液におけるGALNT8の活性値と比較すればよい。ここで、「GALNT8、基質タンパク質およびUDP-GalNAcを含む溶液」としては、単離精製された基質タンパク質を含む適当なバッファー溶液や前述の「GALNT8を発現可能な細胞」を含む溶液を用いることができる。ここで基質タンパク質は、前記細胞が元来発現している基質タンパク質を用いてもよいし、別途基質タンパク質を含む溶液を添加してもよいし、基質タンパク質を同時に発現できるように遺伝子導入された細胞を用いてもよい。これらの測定は、当業者に周知の方法で行うことができる。
GALNT8は、一般の蛋白質の単離・精製に通常使用される方法を組み合わせて得ることができる。例えば、前記のGALNT8を発現可能な細胞を培養することにより得られた形質転換体を遠心分離等で集め、該形質転換体を破砕または溶解せしめ、必要であれば蛋白質の可溶化を行い、イオン交換、疎水、ゲルろ過等の各種クロマトグラフィーを用いた工程を単独で、若しくは組み合わせることにより精製すればよい。精製された蛋白質の高次構造を復元する操作をさらに行ってもよい。また、例えば、前記の培養により得られた形質転換体を遠心分離などで除去し、培養上清から本蛋白質を前記と同様にして精製してもよい。
被験物質を添加した溶液におけるGALNT8の活性が被験物質を添加しない対照溶液での活性値と比較して統計学的に有意に低下していれば該被験物質はGALNT8遺伝子の活性抑制物質として選択することができる。好ましくは、1/2以下、1/5以下、更に好ましくは1/10以下であれば、該被験物質はGALNT8の活性抑制物質として選択することができる。
GALNT8の活性を、IFN刺激により誘導される、GAS配列やISRE配列の制御下にある遺伝子の発現を指標として試験することもできる。GAS配列やISRE配列を含むプロモーターの下流に上記のようなレポーター遺伝子を連結して適当な宿主細胞に導入し、被験物質の存在下および非存在下で、該細胞にGALNT8を接触させ、両条件下でのレポーター遺伝子産物の発現量を測定する。被験物質の存在下で、IFN刺激によるレポーター遺伝子の発現量が、被験物質を添加しない対照細胞での発現量と比較して統計学的に有意に低下していれば該被験物質はGALNT8遺伝子の活性抑制物質として選択することができる。好ましくは、1/2以下、1/5以下、更に好ましくは1/10以下であれば、該被験物質はGALNT8の活性抑制物質として選択することができる。
また、GAS配列やISRE配列の制御下にあるレポーター遺伝子に代えて、IFN刺激により誘導される抗ウイルス遺伝子、例えば、myxovirus resistance A (MxA, NM_002462) や2-prime, 5-prime oligoadenylate synthetase 1 (OAS1, NM_016816.2) などの発現量を、例えばRT-PCR法などを用いて測定することによっても、GALNT8の活性抑制物質を選択することができる。
本発明のスクリーニング方法において用いられる被験物質に特に限定は無く、蛋白質、ペプチド、核酸、無機化合物、天然もしくは合成化学的に調製された有機化合物等が挙げられる。被験物質として、具体的には、アミノ酸3〜50残基、好ましくは5〜20残基のペプチドライブラリーや、当業者に公知のコンビナトリアルケミストリーの技術を用いて調製された分子量100〜2000、好ましくは200〜800の低分子有機化合物ライブラリーを挙げることができる。
本発明のスクリーニング方法で見出された物質には特に限定はなく、低分子有機化合物のみならず、抗体、アンチセンスRNA、またはsiRNA、mRNA等も含まれる。
V. I型IFN作用増強剤
本明細書において、「I型IFN作用増強剤」とは、I型IFNの治療効果を促進する薬剤を表わす。
I型IFNの治療効果を促進するとは、I型IFNシグナルの活性亢進、I型IFN誘導遺伝子の発現亢進、I型IFNによって惹起される抗ウイルス作用の亢進、抗原提示細胞やT細胞などエフェクター細胞に対する活性亢進などを意味する。I型IFNシグナルとしては、具体的には、JAK/STAT (Janus-activated kinase/signal transducer and activator of transcription)経路もしくはRacI/p38経路のシグナル伝達が挙げられる。I型IFN誘導遺伝子としては、具体的には2-prime, 5-prime oligoadenylate synthetase 1 (OAS1)やmyxoviru resistance A (MxA)などが挙げられる。I型IFNによって惹起される抗ウイルス作用を促進するとは、I型IFNの抗ウイルス作用によりウイルス量が減少または完全に排除されることが挙げられる。抗原提示細胞に対するI型IFNの作用としては、抗原提示作用活性化および補助刺激分子などの発現向上など、T細胞への作用としては細胞障害活性の亢進などが挙げられる。
本発明のスクリーニング方法で見出される化合物は、I型IFN作用増強剤として、HCV、HBV (hepatitis B virus)等のウイルスによる感染、ウイルス感染が原因と考えられる亜急性硬化性全脳炎、HTLV-I (human adult T cell leukemia virus-I)脊髄症等、肝硬変からの肝癌移行の治療もしくは予防のために用いることができる。また、腎癌、多発性骨髄腫、白血病などの治療もしくは予防に対しても有効性が期待される。
また、GALNT8の発現を抑制する他の物質として、GALNT8に対するアンチセンス核酸、siRNA(shRNA)、リボザイムなどが挙げられ、GALNT8の活性を抑制する他の物質として、GALNT8に対する中和抗体、GALNT8の基質アナログなどが挙げられる。GALNT8に対するアンチセンス核酸、siRNA(shRNA)、リボザイムなどは、上述のGALNT8遺伝子の塩基配列に基づいて、公知の設計ソフトを用いて適宜設計し、DNA/RNA自動合成機を用いて容易に合成することができる。また、GALNT8に対する中和抗体は、上記スクリーニング法に使用される抗GALNT8抗体と同様の方法により作製し、その中和活性(例えば、GalNAc転移酵素活性阻害)を確認することにより選択することができる。ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体は、自体公知の手法により取得することができる。また、GALNT8の基質アナログは、基質タンパク質のGalNAc転移部位とその近傍のアミノ酸配列を含むオリゴペプチドあるいはGalNAc誘導体を化学合成することにより得ることができる。
これらを医薬品として用いるにあたり、そのままもしくは公知の薬学的に許容される担体(賦形剤、希釈剤、増量剤、結合剤、滑沢剤、流動助剤、崩壊剤、界面活性剤等などが含まれる)や慣用の添加剤などと混合して医薬組成物として調製することができる。当該医薬組成物は、調製する形態(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、懸濁液などの経口投与剤;注射剤、点滴剤、外用剤、坐剤などの非経口投与剤)等に応じて、全身的にまたは局所的に、経口投与または非経口投与することができる。非経口投与する場合には、静脈投与、皮内投与、皮下投与、直腸投与、経皮投与すること等が可能である。
前記の適当な投与剤型は許容される通常の担体、賦型剤、結合剤、安定剤、希釈剤等に有効成分(本発明スクリーニング方法により選抜される物質またはその薬学的に許容される塩等)を配合することにより製造することができる。また注射剤型で用いる場合には、許容される緩衝剤、溶解補助剤、等張剤等を添加することもできる。
また投与量は、有効成分の種類、投与経路、投与対象または患者の年齢、体重、症状などによって異なり一概に規定できないが、通常、経口の場合には成人で1日あたり有効成分量として、数mg〜2g程度、好ましくは5mg〜数十mg程度を、1日1〜数回にわけて投与することができる。注射の場合には成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよく、1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
本発明はまた、上記IIの予測方法によりI型IFNによる治療に対する感受性が低いと判断された患者に対して投与される、上記IVのI型IFN作用増強剤、該薬剤とI型IFNとを組み合わせてなる併用剤を提供する。該併用剤において用いられるI型IFNの剤形、投与経路および投与量などは、それを適用する患者が罹患する疾患において通常使用されるものであればよい。本発明のI型IFN作用増強剤とI型IFNとは、合剤として、別個に同時に、もしくは経時的に投与されてよい。
さらに、本発明は、上記IIの予測方法によりI型IFNによる治療に対する感受性が高いと判断された患者に対して投与される、I型IFNを有効成分として含有する医薬を提供する。該医薬において用いられるI型IFNの剤形、投与経路および投与量などは、それを適用する患者が罹患する疾患において通常使用されるものであればよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、本明細書においてSNPの2種類の塩基を併記する場合、特に表記が無ければ「マイナー対立遺伝子/メジャー対立遺伝子」の順に表記されている。
[慢性C型肝炎患者のIFN療法の治療効果と関連するSNPsの同定]
広島大学病院、広島大学医学部関連病院、および虎ノ門病院において慢性C型肝炎に対するIFN療法を完了し、かつ本研究への参加の同意を得た患者1416名からゲノムDNAを調製して、SNPの遺伝子型の判定を行った。遺伝子型の判定はInvader assay法 (J Hum Genet 2001;46:471-477) またはTaqman法 (Nat Genet 2003;34:395-402) を用い、方法は各引用文献の方法に従った。
研究は独立した2つのCase (著効)―Control (非著効)関連解析研究を実施した。各患者の年齢、性別、感染したHCV遺伝子型、治療前血中ウイルス量、肝線維化に関する患者背景、すなわち著効群と非著効群を比較した結果を表1(A)(B)(C)に示した。表1(A)は、研究1の患者情報、表1(B)は、研究2の患者情報、表1(C)は研究1と研究2を単純合算した患者情報を示す。
データは患者数または平均値±標準偏差で示した。HCV RNA量は2群に分類し、分類基準はAmplicor-monitor assay定量法による100 KIU/mL未満、またはbranched-chain DNA assay定量法による1.0 MEQ/mL未満をHCV RNA量低とした。
各患者は1日1回600万単位IFNを8週間連続で筋肉内投与後、1週間に2回600万単位IFNを16週間投与するIFN治療を完了した。治療効果の予測は、投与完了6ヶ月後の血中HCV RNA量の陰性化を指標として著効または非著効とした。
発明者らは65名の著効者(平均年齢55.4歳、範囲29-77、78.5%男性)と118名の非著効者(平均年齢56.0歳、範囲28-74、61.8%男性)について、SNPsデータベース(JSNPデータベース(http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp/))からランダムに選択した遺伝子ベースの70456個のSNPsについて、ハイスループットのマルチプレックスPCR−インベーダーアッセイ法により初期スクリーニングを実施した(Hisanori Haga, et al., Journal of Human Genetics (2002) 47, 605-610)。
マイナーアレル頻度が5%以下である8838個のSNPsとハーディワインバーグ平衡が0.01以下の1896個のSNPsについては解析から除外した。58809個のSNPsについてアレル頻度により関連解析を行った(表1)。
研究1のスクリーニング段階では、2段階スクリーニング法を使用した。上位100番目のSNPsのP値は0.00098であり、このP値をカットオフクライテリアとした。このクライテリアにより99.8%のSNPsが解析から除外された。488 名著効者 (平均年齢, 54.7歳, 範囲21-87歳, 66.4%男性) と 584 名非著効者 (平均年齢, 55.8歳, 範囲25-78歳, 61.5%男性)で2段階目の選抜を実施したところ、ほとんどのSNPsは関連が無くなった。一方で、染色体12p13.3に位置するrs2286580 (GALNT8, G/A, イントロン6) とrs2267552 (NDUFA9, A/G, イントロン9)については、関連性が増加した(rs2286580: P= 0.0000033, オッズ比=1.47 (1.25 - 1.741), HCV全体, rs2267552: P= 0.0000091, オッズ比= 1.45 (1.23 - 1.71), HCV全体)。 発明者らは統計学的な関連性についてP値積法により算出したところ、rs2286580 (GALNT8, G/A, intron6) (y(1+log10(α/y))rs2286580= 0.00000096 < αall= 0.00000085 =0.05/ 58809)は統計学的に有意であり、rs2267552 (NDUFA9, A/G, intron9)はボーダーラインであった(y(1+log10(α/y))rs2267552= 0.00000096 > αall= 0.00000085 =0.05/ 58809)) 。
[独立したレプリケーション解析とファインマッピング解析]
rs2286580 (GALNT8, G/A, intron6) とrs2267552 (NDUFA9, A/G, intron9) は、染色体12p13.3の同じ連鎖不平衡ブロックに位置していた。連鎖不平衡ブロックは、Hapmapデータベースにおいて104kbpから構成されていた。 発明者ら、GALNT8遺伝子領域とNDUFA9遺伝子領域をカバーする14個のタグSNPsとrs2286580(GALNT8, G/A, intron6)と強い連鎖不平衡の関係にある25個のSNPsを、Hapmap database 24(フェーズII、JPT、遺伝子型データ)において開始コドンから3kbp上流を含むGALNT8遺伝子領域とNDUFA9遺伝子領域の127個のSNPsから選択した。
これらの39個のSNPsについて、研究1と、独立した研究2(94名 著効者 (平均年齢, 55.0歳, 範囲22-78歳, 56.5%男性) と 344名 非著効者 (平均年齢, 55.0歳, range 22-78歳, 55.2 %男性))について遺伝子型の決定を行い、結果をMantel-Haenszel法により統合した。2つのコーディングSNPs(アミノ酸置換、(rs10849133 (G/T, D53Y) と rs1468556 (T/G, F515V)を含む27個のSNPsが、慢性C型肝炎患者のIFN療法の治療効果に強い関連を示すことを見出した(統合P値=5.1X10-7-1.8X10-8、アレルモデル、HCV全体)。関連性のピークは、GALNT8遺伝子のイントロン6に位置するrs10849138 (C/G)であった(統合P値=1.8 x 10-8, OR =1.58, 95% CI (1.35-1.85),アレルモデル) 。これらの関連は、ゲノムワイド解析研究においても統計学的に有意であった。
表2では、39個のSNPsの関連解析結果(統合P値、オッズ比、95%信頼区間)を示している。位置*はNCBI genome sequence ID番号:NT_009759.15におけるcontig番号を示す。また、連鎖不平衡の尺度を表すr2値およびD'値は、rs10849138(C/G)との関連を元に算出している。
発明者らは、58809個のSNPsについてVariable Infrationを算出するために、ゲノムコントロール法を用いて、研究1における初期スクリーニング(65名著効者(平均年齢55.4歳, 範囲29-77歳, 78.5% 男性)と118名非著効者 (平均年齢56.0歳, 範囲28-74歳, 61.9%男性)の遺伝子型を用いたところ、λGCは1.046であったため、集団の階層化(Population stratification)の影響は軽微なものであると判断した。
[rs10849138(C/G)のHCV遺伝子型に層別化した場合の関連解析]
GALNT8遺伝子のイントロン6に位置するrs10849138(C/G)は、IFN療法の治療効果にHCV全体において最も強い関連を有していたことから、発明者らはHCV遺伝子型1BとHCV遺伝子型非1B(2Aおよび2B)についても3つの異なるモデル(アレルモデル、G対立遺伝子優性遺伝モデルおよびG対立遺伝子劣性遺伝モデル)により、関連解析を実施した。発明者らは、rs10849138(C/G)が、HCV全体、HCV遺伝子型1BとHCV遺伝子型2Aにおいて、アレルモデルおよびG対立遺伝子優性遺伝モデルにおいてIFN療法の治療効果と強い関連性を有することを確認した(表3)。
表2では、GALNT8-NDUFA9遺伝子領域の遺伝子多型とIFN療法の治療効果との関連解析結果を示している。rs10849138(C/G)と連鎖不平衡の強いSNPsについても、当然ながらrs10849138(C/G)と同じようにHCV全体、HCV遺伝子型1BとHCV遺伝子型2Aにおいて強い関連性を有しており、rs10849138(C/G)と同様に治療効果の判定に使用できる。
[多重ロジスティック回帰分析]
発明者らは、rs10849138(C/G, イントロン6、GALNT8)が慢性C型肝炎患者のIFN療法の治療効果にとても強い関連を有していることを明らかにした。IFN療法の治療効果に関連を有していると考えられる、年齢(10歳増加)、性別(男/女)、rs10849138(CC,CG/GG)、肝繊維化の程度(F0-F2/F3-F4)、IFN療法前のHCVウイルス量(高/低)とHCV遺伝子型(非1B/1B)の6つの因子を独立変数として、多重ロジスティック回帰分析を実施した(表4)。多重ロジスティック回帰分析は、StatFlex ver6を用いて実施し、独立変数は固定で実施した。多重ロジスティック回帰分析の結果、rs10849138(CC,CG/GG)は、慢性C型肝炎患者のIFN療法の治療効果に対して独立して寄与する因子であることが明らかとなった(オッズ比= 1.70, 95%信頼区間=1.24 - 2.33, P値=0.00044) 。これらの結果は、GALNT8(単一SNPsとハプロタイプ)の遺伝子多型は、慢性C型肝炎患者のIFN療法の治療効果に対して独立して寄与する因子であり、IFN療法の予測因子であることを示している。
[様々なヒト組織における遺伝子発現解析]
発明者らは、半定量的RT-PCRにより、ヒトの様々な組織における遺伝子発現解析を実施した。結果を図2に示す。GALNT8遺伝子は、骨髄、脳、大腸、腎臓、肺、肝臓、胎盤、前立腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、気管などの様々な組織で発現していることが明らかとなった。遺伝子の発現量は、コントロールであるβアクチン(NM_007393)と比較して約1000倍低発現であった。
[ハプロタイプ解析]
IFN療法の治療効果に強い関連を示す27個のSNPsの中には、2つのコーディングSNPs(rs10849133 (G/T, D53Y)とrs1468556 (T/G, F515V))が含まれている(統合P値=5.1X10-7-1.8X10-8, アレルモデル、HCV全体)。発明者らは、慢性C型肝炎のIFN療法の治療効果と最も関連を示すSNPsであるrs10849138(C/G)と2つのコーディングSNPs(rs10849133 (G/T, D53Y)とrs1468556 (T/G, F515V)についてハプロタイプ解析を実施した。ハプロタイプ解析結果により、2つの主要なハプロタイプ、IFN抵抗性ハプロタイプ(Y53/V515, rs10849138_G, rs10849133_T, rs1468556_G)とIFN感受性ハプロタイプ(D53/F515, rs10849138_C, rs10849133_G, rs1468556_T) が存在することが明らかとなった。ハプロタイプのP値は単一SNPsと同程度であった(表5)。
〔ASTQ法 (allele specific transcript quantification) による対立遺伝子特異的GALNT8発現量の解析〕
実施例1,2によって関連性のピークがGALNT8遺伝子のイントロン6に位置するrs10849138(C/G)に認められることが示された。そこでrs10849138(C/G)の対立遺伝子の違いによって、GALNT8の発現量が異なる可能性をASTQ法により検討した。ASTQ法とは、着目するSNPの対立遺伝子についてヘテロ遺伝子型由来のmRNAに含まれる各対立遺伝子特異的な転写産物を定量比較する方法であり、鈴木 (Nat Genet 2008; 40,1224-1229) らの方法に従って行った。同SNPはイントロンにあるため、mRNAとして定量する際にはイントロン配列はスプライシングにより削除されるため検出できない。そのため、同定したSNPと完全連鎖(D’=1)にあり、かつmRNA上に存在するSNPについてタイピングデータを元に連鎖不平衡の状態を確認したところ、GALNT8のエクソン9に位置するSNP rs1468556(T/G) がrs10849138(C/G)と完全連鎖の関係にあり、ASTQ法のマーカーとして利用可能であった。そこでASTQ法に用いるPBMCサンプルとして、SNP rs10849138(C/G)およびSNPrs1468556(T/G)が両方ともヘテロ接合型の健常人4名を選定した。これら4名では、rs10849138(C/G)のG対立遺伝子はrs1468556(T/G)のG対立遺伝子と同一の染色体上 (ハプロタイプ1) にあり、rs10849138(C/G)のC対立遺伝子はrs1468556(T/G)のT対立遺伝子と同一の染色体上 (ハプロタイプ2) にあることが完全連鎖の関係から理論的に特定できる。
ASTQ実験方法は、RNeasy Plus Micro kit (Qiagen, Hilden, Germany)を用いて上記4名のPBMCサンプルからtotal RNAを調製し、WT-Ovation Pico RNA amplification System(Nugen Technologies社) を用いてcDNAを合成した。このcDNAをマーカーであるrs1468556(T/G)の各対立遺伝子に特異的なTaqManプローブ (Applied biosystems社) を用いてG対立遺伝子特異的およびT対立遺伝子特異的GALNT8発現量をメーカー推奨の系に従い定量的PCR法(Taqman assay)にて測定した。定量比1:1のリファレンスコントロールとして、同じ健常人4名の血液から精製したゲノムDNAを鋳型としたPCR産物を用いた。PBMCサンプルからのゲノムDNAの調製は、標準的なフェノール・クロロホルムプロトコールで実施した(Ozaki K, et al., Nat Genet, 2002. 32: p.650-654.)。上記4名はマーカーSNPのヘテロ遺伝子型であるため、ゲノムからの各対立遺伝子特異的なGALNT8のPCR産物量は理論的には等しい。
Taqman assayに使用したマーカーSNPの各対立遺伝子に特異的なTaqman probe (Applied biosystems社)の配列は、
VICプローブはAGGGACCCGTTCCA (rs 1468556_G)(配列番号30),
FAMプローブはAGGGACCCTTTCCA(rs 1468556_T)(配列番号31)
である。
PCRプライマーの配列は、
5’-CCTATTGGATGAAAATGTCTGCTTG-3’ (配列番号32)、
5’-TGTGAGCTGAATTCATGGCAGT-3’ (配列番号33)
である。
VICプローブのスタンダードオリゴヌクレオチドの配列は、
5’-GCTCCCCAGTTAGGTGATAGTAGACATTCTGTGAGCTGAATTCATGGCAGTAATACATGATGG
GGGTGTTGCCTGGAACGGGTCCCTGATCCAAGCAGACATTTTCATCCAATAGGTTTTTCATTCTTC-3’ (配列番号34)、
FAMプローブのスタンダードオリゴヌクレオチドの配列は、
5’-GCTCCCCAGTTAGGTGATAGTAGACATTCTGTGAGCTGAATTCATGGCAGTAATACATGATGG
GGGTGTTGCCTGGAAAGGGTCCCTGATCCAAGCAGACATTTTCATCCAATAGGTTTTTCATTCTTC-3’ (配列番号35)
である。(下線はSNPの位置を示す。)
それぞれゲノムDNAとcDNAのVIC/FAM比(各対立遺伝子特異的GALNT8発現比)は、VICプローブのスタンダードオリゴヌクレオチドのFAMプローブのスタンダードオリゴヌクレオチドの混合比(2:1、3:2、6:5、5:6、2:3、1:2)の検量線をもとに、Taqman assayにより決定した。
ASTQ法の結果を図3に示した。縦軸はGALNT8発現比で、ゲノムDNAおよびPBMCサンプルcDNAにおける各検体のGALNT8のアレル間発現比を示している。リファレンスコントロールのゲノムDNA群ではGALNT8のアレル発現比はほぼ1:1であるが、PBMCサンプルcDNA群では発現比がゲノムDNA群より有意に大きいことが示された (P値0.022)。以上の結果より、ハプロタイプ1においてGALNT8の転写活性がハプロタイプ2に比較して高いことが示された。ハプロタイプ1はSNP rs10849138のG対立遺伝子を含み、G対立遺伝子は非著効群に高頻度であり非著効となるリスク因子であることが示されているため (実施例1および実施例2)、非著効患者ではGALNT8が高発現するために、IFN療法の治療効果が低くなると考えられた。
[GALNT8遺伝子発現のIFNシグナル伝達経路に対する影響]
GALNT8遺伝子のIFNシグナル伝達経路に対する機能的な影響を同定する目的で、GALNT8遺伝子をヒト肝癌由来細胞株Huh7細胞又はヒトTリンパ腫由来Jurkat細胞に一過性に過剰発現させ、IFN-α刺激によるインターフェロン応答性配列(ISRE)を介したluciferase遺伝子の転写誘導を指標としたルシフェラーゼアッセイを、塚田等の文献(Gastroenterology 136, 1796-1805,2009)に記載の方法に準じて実施した。
先ず、ヒト肝癌由来細胞株Huh7細胞由来cDNAを鋳型として、PCR法および合成DNAカセット法によりGALNT8遺伝子の全長cDNA(NM_017417.1)をpENTR/D ベクターにクローニングした。
(ヒト肝癌由来細胞由来Huh7細胞)
Huh7細胞を5×103 細胞/ウェルで96ウェルプレートに100 ul/well (DMEM培地, 抗生物質不含)で播種し、Fugene 6 transfection reagent(Roche Applied Science)を用い、1ngのRenilla luciferase発現ベクターpRL-Tk (Promega社)と10 ngのISRE配列を含むfirefly luciferase ベクター pISRE-TA-Luc(Clontech社)を導入し、同時に50ngのGALNT8発現ベクター、モックベクター pEF-DEST51、又はSOCS1 (suppressor of cytokine signaling 1) 発現ベクターをReverse transfection法により導入した。
48時間後に、細胞を10 IU/mlの 天然型IFN-α製剤スミフェロン(大日本住友製薬株式会社)で24時間刺激した。細胞を100ul PBS(-)で一度洗浄した後、ルシフェラーゼ活性を後述の方法により測定した。Dual-Luciferase Reporter Assay System (Promega) およびCentro LB 960ルミノメーター(Berthold technologies)を用いて測定した。
(ヒトTリンパ腫由来Jurkat細胞)
Jurkat細胞を5×105 細胞/ウェルで24ウェルプレートに1ml/well(RPMI1640培地, 抗生物質不含)で播種し、Fugene 6 transfection reagent(Roche Applied Science)を用い、20 ngのrenilla luciferase発現ベクターpRL-Tk (Promega社)と0.4 ugのISRE配列を含むfirefly luciferase ベクター pISRE-TA-Luc(Clontech社)を導入し、同時に0.4 ugのGALNT8発現ベクター、モックベクター pEF-DEST51、又はSOCS1発現ベクターを導入した。
24時間後に、細胞を100 IU/mlの 天然型IFN-α製剤スミフェロン(大日本住友製薬株式会社)で24時間刺激した。細胞を遠心により回収し、100ul PBS(-)で一度穏やかに洗浄した後、ルシフェラーゼ活性を前述の方法により測定した。
(ルシフェラーゼ活性測定)
ルシフェラーゼ活性はDual-Luciferase Reporter Assay System (Promega) およびCentro LB 960ルミノメーター(Berthold technologies)を用いて業者の手順書に従って測定した。Firefly luciferase 活性は、Renilla luciferase活性によって導入効率の補正を行い、luciferase相対活性として示した。それぞれのluciferase相対活性は、IFN-α未刺激時のluciferase相対活性を基準としたIFN-α添加後のluciferase相対活性の比 (fold induction)を示した。データはN=3の平均値±標準偏差で示した。* は、P<0.05を示している (Student, two tailed T-test) 。
モックベクターと比較して、GALNT8遺伝子を過剰発現させたところ、上記のいずれの細胞においてもIFNシグナル伝達経路は有意に抑制されることが明らかとなった(図4(a)および図4(b))。これらの結果は、GALNT8遺伝子の発現が、インターフェロンαシグナルに対して抑制的に作用することを示している。
[GALNT8遺伝子発現のIFN-αの抗HCV作用に対する影響]
GALNT8遺伝子のIFN-αの抗HCV活性に対する影響を同定する目的で、GALNT8をHCV RNAが自律複製するHCVレプリコン細胞Huh7-N (J Virol 2001;75:8516-8523.)に一過性に過剰発現させ、IFN-αで24間刺激後のHCV RNA量を指標とした抗HCV活性の評価を実施した。
HCVレプリコン細胞Huh7-Nは、DMEM培地(10% FBS, 100 U/mL ペニシリン, 100 ng/mL ストレプトマイシン及び800 ng/ml G418)で維持継代した。
Huh7-N細胞を2×104 細胞/ウェルで24ウェルプレートにDMEM培地(10% FBS, 抗生物質不含)で播種し、Fugene 6 transfection reagent(Roche Applied Science)を用い、Fugene 6 複合体(血清不含培地(Opti-MEM(Invitrogen))中に、0.3 ul Fugene 6 (Roche Applied Science)と100ngのGALNT8発現ベクター、又はモックベクター pEF-DEST51が含まれる。)を Reverse transfection法により導入した。
24時間後に、細胞を0, 1, 10又は100 IU/ml天然型IFN-α製剤スミフェロン(大日本住友製薬株式会社)で24時間刺激した。細胞を100ul PBS(-)で一度洗浄した後、トータルRNAをQuickGene-810 (Fujifilm)を用いて調製し、SuperScriptTM III Platinum(R) Two-Step qRT-PCR Kit (Invitrogen)を用いcDNAを調製した。HCV-RNA量は、SYBRアッセイ法を用いたリアルタイム定量PCRにより解析した。用いたプライマーは、HCV RNAには
forwardプライマー:5’-CCGCTCAATGCCTGGAGAT-3’(配列番号36;Genbank Acc No.:S62220, position_207-225)および
reverseプライマー:5’-CTTTCGCGACCCAACACTACTC-3’(配列番号37;Genbank Acc No.:S62220, position_255-276)
を用いた。
内部標準遺伝子としてglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (GAPDH) には
forwardプライマー:5’-CCACATGGCCTCCAAGGA-3’(配列番号38;Genbank Acc. No.:NM_002046, position_1089-1106)および
reverseプライマー:5’-CCCAGCAGTGAGGGTCTCTCT-3’(配列番号39;Genbank Acc. No.:NM_002046, position_1152-1172)
を用い、HCV RNAの相対発現量を算出した。標準曲線の作成には、各標的配列が挿入されたプラスミドDNAの段階希釈系列を用いた。それぞれのHCV-RNA/GAPDHレベルは、IFN-α未刺激時のHCV RNA量を基準としたIFN-α添加後のHCV RNA量の比(% of control)を示した。データは3ウェルの平均値±標準偏差で示した。* は、P<0.05を示している (Student, two tailed T-test) 。
モックベクターと比較して、GALNT8遺伝子を過剰発現させたところ、IFN-αの抗HCV作用が有意に減弱することが明らかとなった。これらの結果は、GALNT8遺伝子の発現が、IFN-αの抗HCV作用に対して抑制的に作用することを示している(図5)。
本発明により、IFN療法、詳しくはI型IFN療法における患者の治療効果を予測するためのマーカー等を提供することが可能になった。
配列番号30:VICプローブ (rs 1468556_G)
配列番号31:FAMプローブ(rs 1468556_T)
配列番号32:プライマー
配列番号33:プライマー
配列番号34:VICプローブのスタンダードオリゴヌクレオチド
配列番号35:FAMプローブのスタンダードオリゴヌクレオチド
配列番号36:rHCV RNAのforwardプライマー
配列番号37:rHCV RNAのreverseプライマー
配列番号38:GAPDHのforwardプライマー
配列番号39:GAPDHのreverseプライマー

Claims (23)

  1. ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8-NDUFA9遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、以下の群:
    1)配列番号1で表わされるSNPのID番号:rs10849130の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    2)配列番号2で表わされるSNPのID番号:rs10849131の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    3)配列番号3で表わされるSNPのID番号:rs12296205の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    4)配列番号4で表わされるSNPのID番号:rs10849133の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    5)配列番号5で表わされるSNPのID番号:rs3782740の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    6)配列番号6で表わされるSNPのID番号:rs3782741の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    7)配列番号7で表わされるSNPのID番号:rs2286578の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    8)配列番号8で表わされるSNPのID番号:rs3782742の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
    9)配列番号9で表わされるSNPのID番号:rs4766286の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    10)配列番号10で表わされるSNPのID番号:rs10849138の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    11)配列番号11で表わされるSNPのID番号:rs10849139の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
    12)配列番号12で表わされるSNPのID番号:rs7311675の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    13)配列番号13で表わされるSNPのID番号:rs7311694の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    14)配列番号14で表わされるSNPのID番号:rs7315211の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    15)配列番号15で表わされるSNPのID番号:rs7975978の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    16)配列番号16で表わされるSNPのID番号:rs2359466の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    17)配列番号17で表わされるSNPのID番号:rs2359467の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    18)配列番号18で表わされるSNPのID番号:rs7305525の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    19)配列番号19で表わされるSNPのID番号:rs7316209の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
    20)配列番号20で表わされるSNPのID番号:rs7132030の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    21)配列番号21で表わされるSNPのID番号:rs2286580の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    22)配列番号22で表わされるSNPのID番号:rs2191157の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
    23)配列番号23で表わされるSNPのID番号:rs7967117の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    24)配列番号24で表わされるSNPのID番号:rs10774267の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    25)配列番号25で表わされるSNPのID番号:rs10849143の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    26)配列番号26で表わされるSNPのID番号:rs1468556の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    27)配列番号27で表わされるSNPのID番号:rs9300304の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    から選択される少なくとも1つの遺伝子多型において、少なくとも各マイナー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、I型インターフェロンによる治療に対する感受性予測用試薬。
  2. 各メジャー対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1に記載の試薬。
  3. 各対立遺伝子を検出し得るポリヌクレオチドが、各配列番号で表わされる塩基配列において該対立遺伝子を含む10〜200の連続した塩基配列もしくはその相補鎖配列からなるGALNT8遺伝子断片と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプローブ、および/または該遺伝子断片を増幅し得るプライマーである、請求項1または2に記載の試薬。
  4. GALNT8遺伝子断片が10〜50の連続した塩基配列からなる、請求項3に記載の試薬。
  5. GALNT8遺伝子断片が15〜30の連続した塩基配列からなる、請求項3に記載の試薬。
  6. I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者に対して、インターフェロン療法が有効であるかどうかを予測するために用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試薬。
  7. I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者がHCV感染患者である、請求項6に記載の試薬。
  8. HCV感染患者がHCV遺伝子型1b感染患者又はHCV遺伝子型2a感染患者である、請求項7に記載の試薬。
  9. HCV感染患者が東アジア人である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の試薬。
  10. (1)被験者由来の遺伝子サンプルを使用し、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、以下の群:
    1)配列番号1で表わされるSNPのID番号:rs10849130の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    2)配列番号2で表わされるSNPのID番号:rs10849131の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    3)配列番号3で表わされるSNPのID番号:rs12296205の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    4)配列番号4で表わされるSNPのID番号:rs10849133の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    5)配列番号5で表わされるSNPのID番号:rs3782740の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    6)配列番号6で表わされるSNPのID番号:rs3782741の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    7)配列番号7で表わされるSNPのID番号:rs2286578の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    8)配列番号8で表わされるSNPのID番号:rs3782742の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
    9)配列番号9で表わされるSNPのID番号:rs4766286の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    10)配列番号10で表わされるSNPのID番号:rs10849138の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    11)配列番号11で表わされるSNPのID番号:rs10849139の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
    12)配列番号12で表わされるSNPのID番号:rs7311675の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    13)配列番号13で表わされるSNPのID番号:rs7311694の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    14)配列番号14で表わされるSNPのID番号:rs7315211の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    15)配列番号15で表わされるSNPのID番号:rs7975978の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    16)配列番号16で表わされるSNPのID番号:rs2359466の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    17)配列番号17で表わされるSNPのID番号:rs2359467の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    18)配列番号18で表わされるSNPのID番号:rs7305525の塩基配列において第101番目の塩基がC(マイナー)である遺伝子多型、
    19)配列番号19で表わされるSNPのID番号:rs7316209の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
    20)配列番号20で表わされるSNPのID番号:rs7132030の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    21)配列番号21で表わされるSNPのID番号:rs2286580の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    22)配列番号22で表わされるSNPのID番号:rs2191157の塩基配列において第101番目の塩基がA(マイナー)である遺伝子多型、
    23)配列番号23で表わされるSNPのID番号:rs7967117の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    24)配列番号24で表わされるSNPのID番号:rs10774267の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    25)配列番号25で表わされるSNPのID番号:rs10849143の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    26)配列番号26で表わされるSNPのID番号:rs1468556の塩基配列において第101番目の塩基がT(マイナー)である遺伝子多型、
    27)配列番号27で表わされるSNPのID番号:rs9300304の塩基配列において第101番目の塩基がG(マイナー)である遺伝子多型、
    から選択される少なくとも1つの遺伝子多型を試験する工程、および
    (2)(1)の試験の結果、マイナー対立遺伝子の存在が認められた場合、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が高いと判断する工程
    を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法。
  11. (1)被験者由来の遺伝子サンプルを使用し、ヒト第12番染色体12p13.3に位置するGALNT8遺伝子領域に存在する遺伝子多型であって、配列番号10で表わされる塩基配列中第101番目の塩基における遺伝子多型を試験する工程、および
    (2)(1)の試験の結果、マイナー対立遺伝子のホモ接合型遺伝子多型(CC)の存在が認められた場合、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が高いと判断する工程
    を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法。
  12. (1)被験者由来サンプルにおけるGALNT8遺伝子またはGALNT8の発現量を測定する工程、および
    (2)前記発現量が高い場合に、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が低いと予測する工程
    を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法。
  13. (1)被験者由来サンプルにおけるGALNT8の活性を測定する工程、および
    (2)前記活性が高い場合に、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性が低いと予測する工程
    を含む、被験者のI型インターフェロンによる治療に対する感受性の予測方法。
  14. 遺伝子サンプルが、ゲノムDNAまたはRNAを含む、請求項10〜13に記載の予測方法。
  15. 被験者が、I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者である、請求項10〜14に記載の予測方法。
  16. I型インターフェロンによる治療が適用され得る疾患の患者がHCV感染患者である、請求項15に記載の予測方法。
  17. HCV感染患者がHCV遺伝子型1b感染患者又はHCV遺伝子型2a感染患者である、請求項16に記載の予測方法。
  18. 被験者が、東アジア人である、請求項10〜17のいずれか1項に記載の予測方法。
  19. (1)被験物質がGALNT8遺伝子またはGALNT8の発現を抑制するか否かを測定する工程、および
    (2)前記発現を抑制する被験物質を、I型インターフェロン作用増強剤の候補物質として選択する工程
    を含む、I型インターフェロン作用増強剤のスクリーニング方法。
  20. (1)被験物質がGALNT8の活性を抑制するか否かを測定する工程、および、
    (2)前記活性を抑制する被験物質を、I型インターフェロン作用増強剤の候補物質として選択する工程
    を含む、I型インターフェロン作用増強剤のスクリーニング方法。
  21. GALNT8の発現を抑制する物質またはGALNT8阻害活性を有する物質を有効成分として含有する、I型インターフェロン作用増強剤。
  22. HCV感染症治療または予防薬である、請求項21に記載のI型インターフェロン作用増強剤。
  23. HCV感染症がHCV遺伝子型1b感染症又はHCV遺伝子型2a感染症である、請求項22に記載のI型インターフェロン作用増強剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017009303A1 (en) * 2015-07-15 2017-01-19 F. Hoffmann-La Roche Ag Biomarkers for hbv treatment response

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