JP2013165229A - 光デバイスウェーハの分割方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】個片化されたチップの研削加工中の動きを規制することで、チップの加工品質の悪化を低減すること。
【解決手段】本発明の分割方法は、表面に形成された分割予定ライン(301)に沿って光デバイスウェーハ(W)を個々のチップに分割する方法であり、外周領域(307)を残すように分割予定ライン(301)に沿ってレーザビームを照射して、光デバイスウェーハ(W)の内部に改質層(304)を形成する改質層形成工程と、光デバイスウェーハ(W)を仕上げ厚さまで研削し、研削加工中の研削負荷によって改質層(304)を起点として外周領域(307)に囲まれた領域を分割する研削工程とを有する構成とした。
【選択図】図6

Description

本発明は、光デバイスウェーハの分割方法に関し、特にサファイアウェーハを分割する光デバイスウェーハの分割方法に関する。
光デバイウェーハとして、サファイア基板やシリコンカーバイド基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体層が積層されたものが知られている。光デバイスウェーハの表面には、格子状の分割予定ラインが形成されており、この分割予定ラインで区画された各領域に光デバイスが形成されている。この光デバイスウェーハの分割方法として、レーザ加工を用いてウェーハ内部に直線状の改質層を形成し、この強度が低下した改質層を分割起点とする分割方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の分割方法では、ウェーハの内部に集光点を合わせてレーザビームが照射されることにより、ウェーハ内部に分割予定ラインに沿う連続的な改質層が形成される。続いて、研削装置において裏面側から光デバイスウェーハが研削され、光デバイスウェーハが薄化される。このとき、ウェーハ内の改質層には研削ホイールからの研削負荷が加えられ、改質層を起点として厚さ方向に割れが生じて光デバイスウェーハが個々のチップに分割される。
特許第3762409号公報
上記した特許文献1に記載の光デバイスウェーハの分割方法では、光デバイスウェーハが薄化されながら格子状の分割予定ラインに沿って分割される。研削加工中に個片化したチップは粘着シートによって保持されているが、光デバイスウェーハの最外周に位置する三角チップは分割と同時に粘着シートから剥がれて飛散するおそれがある。この三角チップの飛散に伴い、最外周よりも内側で個片化したチップが研削加工中に動き易くなり、チップの加工品質が悪化するという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、個片化されたチップの研削加工中の動きを規制することで、チップの加工品質の悪化を低減できる光デバイスウェーハの分割方法を提供することを目的とする。
本発明の光デバイスウェーハの分割方法は、表面に形成された複数の分割予定ラインで区画された各領域に光デバイスが形成された光デバイスウェーハを前記分割予定ラインに沿って分割する光デバイスウェーハの分割方法であって、光デバイスウェーハの表面に粘着シートを貼着する貼着ステップと、前記貼着ステップを実施した後、前記粘着シート側を保持手段で保持して光デバイスウェーハの裏面から光デバイスウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを前記分割予定ラインに沿って照射して、光デバイスウェーハの外周領域を残し前記分割予定ラインに沿って内部に改質層を形成する改質層形成ステップと、前記改質層形成ステップを実施した後、前記粘着シート側を保持手段で保持して光デバイスウェーハの裏面から研削手段により研削し所定厚さへと薄化するとともに研削動作により前記改質層を起点として光デバイスウェーハを前記分割予定ラインに沿って分割する研削ステップと、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、改質層が形成されない光デバイスウェーハの外周領域を残して、この外周領域の内側領域だけが分割予定ラインに沿って個々のチップに分割される。よって、外周領域の内側で個片化されたチップは、外周領域によって研削加工中の動きが規制されるため、チップの動きに起因した加工品質の悪化が低減される。
本発明の上記光デバイスウェーハの分割方法において、前記貼着ステップ実施後であって前記研削ステップ実施前に、前記粘着シートから光デバイスウェーハの外周エッジの露呈する裏面にかけて樹脂を光デバイスウェーハの前記外周エッジ全周にリング状に塗布する樹脂塗布ステップを更に備える。
本発明によれば、光デバイスウェーハの外周領域を残して外周領域の内側だけ個々のチップに分割することで、個片化されたチップの研削加工中の動きを規制してチップの加工品質の悪化を低減できる。
本実施の形態に係るレーザ加工装置の一例を示す斜視図である。 本実施の形態に係る研削装置の一例を示す斜視図である。 本実施の形態に係る光デバイスウェーハ上の加工領域を示す模式図である。 本実施の形態に係るレーザ加工装置によるレーザ加工の一例を示す図である。 本実施の形態に係る研削装置による研削加工の一例を示す図である。 本実施の形態に係る光デバイスウェーハの分割状態の一例を示す図である。 変形例に係る分割方向の樹脂塗布工程の説明図である。
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る光デバイスウェーハの分割方法について説明する。本実施の形態に係る分割方法を用いた光デバイスウェーハの分割は、マウンタ装置による貼着工程(貼着ステップ)、レーザ加工装置による改質層形成工程(改質層形成ステップ)、研削装置による研削工程(研削ステップ)を経て実施される。貼着工程では、発光層が形成された光デバイスウェーハの表面に粘着シートが貼着される。改質層形成工程では、光デバイスウェーハの内部に分割予定ラインに沿った改質層が連続的に形成される。
この改質層形成工程では、複数の分割予定ラインに対して、光デバイスウェーハの外周領域を残して改質層が形成される。研削工程では、光デバイスウェーハが薄化されることで、改質層が分割起点となって個々のチップに分割される。この研削工程では、改質層が形成されていない外周領域は分割されず、外周領域の内側だけが個々のチップに分割される。これらの工程を経ることで、研削加工中に個片化されたチップの動きが外周領域によって規制されるため、研削加工中のチップの動きによって加工品質が悪化することがない。以下、本実施の形態に係る分割方法の詳細について説明する。
図1を参照して、光デバイスウェーハの内部に改質層を形成するレーザ加工装置について説明する。図1は、本実施の形態に係るレーザ加工装置の斜視図である。なお、本実施の形態に係る分割方法に用いられるレーザ加工装置は、図1に示す構成に限定されない。レーザ加工装置は、光デバイスウェーハに対して改質層を形成可能であれば、どのような構成でもよい。
図1に示すように、レーザ加工装置101は、レーザビームを照射するレーザ加工ユニット105と光デバイスウェーハWを保持したチャックテーブル(保持手段)106とを相対移動させて、光デバイスウェーハWを加工するように構成されている。光デバイスウェーハWは、略円板状に形成されており、無機材料基板の表面に発光層(デバイス層)305(図4参照)が積層されている。光デバイスウェーハWは、格子状に配列された分割予定ライン301(図4参照)によって複数の領域に区画され、この区画された各領域に光デバイスが形成されている。
また、光デバイスウェーハWは、発光層305が形成された上面を下向きにして、リングフレーム302に張られた粘着シート303に貼着されている。光デバイスウェーハWに対する粘着シート303の貼着は、図示しない既知のマウンタ装置によって実施される。なお、光デバイスウェーハWは、サファイア(Al2O3)基板に発光層305を積層したサファイアウェーハに限らず、ガリウム砒素(GaAs)基板、シリコンカーバイド(SiC)基板に発光層305を積層したものでもよい。
レーザ加工装置101は、直方体状の基台102を有している。基台102の上面には、チャックテーブル106をX軸方向に加工送りすると共に、Y軸方向に割出送りするチャックテーブル移動機構107が設けられている。チャックテーブル移動機構107の後方には、立壁部103が立設されている。立壁部103の前面からはアーム部104が突出しており、アーム部104にはチャックテーブル106に対向するようにレーザ加工ユニット105が支持されている。
チャックテーブル移動機構107は、基台102の上面に配置されたX軸方向に平行な一対のガイドレール111と、一対のガイドレール111にスライド可能に設置されたモータ駆動のX軸テーブル112とを有している。また、チャックテーブル移動機構107は、X軸テーブル112上面に配置されたY軸方向に平行な一対のガイドレール113と、一対のガイドレール113にスライド可能に設置されたモータ駆動のY軸テーブル114とを有している。
Y軸テーブル114の上部には、チャックテーブル106が設けられている。なお、X軸テーブル112、Y軸テーブル114の背面側には、それぞれ図示しないナット部が形成され、これらナット部にボールネジ115、116が螺合されている。そして、ボールネジ115、116の一端部に連結された駆動モータ117、118が回転駆動されることで、チャックテーブル106がガイドレール111、113に沿ってX軸方向及びY軸方向に移動される。
チャックテーブル106は、円板状に形成されており、θテーブル121を介してY軸テーブル114の上面に回転可能に設けられている。チャックテーブル106の上面には、ポーラスセラミックス材により吸着面が形成されている。チャックテーブル106の周囲には、一対の支持アームを介して4つのクランプ部122が設けられている。4つのクランプ部122がエアアクチュエータにより駆動されることで、光デバイスウェーハWの周囲のリングフレーム302が四方から挟持固定される。
レーザ加工ユニット105は、アーム部104の先端に設けられた加工ヘッド131を有している。アーム部104及び加工ヘッド131内には、レーザ加工ユニット105の光学系が設けられている。加工ヘッド131は、発振器132から発振されたレーザビームを集光レンズによって集光し、チャックテーブル106上に保持された光デバイスウェーハWをレーザ加工する。この場合、レーザビームは、光デバイスウェーハWに対して透過性を有しており、光学系において光デバイスウェーハWの内部に集光するように調整される。
このレーザビームの照射により光デバイスウェーハWの内部に分割起点となる改質層304(図4C参照)が形成される。改質層304は、レーザビームの照射によって光デバイスウェーハWの内部の密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲と異なる状態となり、周囲よりも強度が低下する領域のことをいう。改質層304は、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域であり、これらが混在した領域でもよい。
このように構成されたレーザ加工装置101では、Y軸テーブル114の移動によって加工ヘッド131の射出口が光デバイスウェーハWの分割予定ライン301に位置合わせされる。この加工ヘッド131の位置合わせは、レーザ加工ユニット105の図示しない赤外線カメラによって、光デバイスウェーハWを透過して裏面側から表面に形成されたパターン面が撮像されることで行われる。そして、加工ヘッド131からレーザビームを照射した状態でX軸テーブル112が移動されることで、光デバイスウェーハWの内部に分割予定ライン301に沿った改質層304が形成される。なお、詳細は後述するが、光デバイスウェーハWには、外縁に沿った外周領域307(図3参照)を除いて改質層304が形成される。
図2を参照して、光デバイスウェーハを研削する研削装置について説明する。図2は、本実施の形態に係る研削装置の斜視図である。なお、本実施の形態に係る分割方法に用いられる研削装置は、図2に示す構成に限定されない。研削装置は、光デバイスウェーハを研削することで、改質層を起点として光デバイスウェーハを分割可能であれば、どのような構成でもよい。
図2に示すように、研削装置201は、光デバイスウェーハWが保持されたチャックテーブル(保持手段)206と研削ユニット205の研削ホイール224とを相対回転させることで、光デバイスウェーハWを研削するように構成されている。研削装置201は、略直方体状の基台202を有している。基台202の上面には、一対のチャックテーブル206(1つのみ図示)が配置されたターンテーブル204が設けられている。ターンテーブル204の後方には、研削ユニット205を支持する立壁部203が立設されている。
ターンテーブル204は、大径の円板状に形成されており、上面には回転軸を中心とした点対称位置に一対のチャックテーブル206が配置されている。また、ターンテーブル204は、図示しない回転駆動機構によって矢印D1方向に180度間隔で間欠回転される。このため、一対のチャックテーブル206は、光デバイスウェーハWが搬入搬出される載せ換え位置と研削ユニット205に対峙する研削位置との間で移動される。
チャックテーブル206は、小径の円板状に形成されており、ターンテーブル204の上面に回転可能に設けられている。チャックテーブル206の上面には、ポーラスセラミック材により吸着面が形成されている。チャックテーブル206の周囲には、環状のマグネット211が設けられている。光デバイスウェーハWの周囲のリングフレーム302は、磁性体で形成されているため、環状のマグネット211によって吸着固定される。
基台202の上面において、ターンテーブル204の研削位置の近傍にはハイトゲージ212が設けられている。ハイトゲージ212は、光デバイスウェーハWの上面に接触して、厚さ測定する1本の接触子213を有している。ハイトゲージ212では、接触子213によってチャックテーブル206の表面位置が事前に測定され、表面位置を基準に光デバイスウェーハWの厚みが測定される。ハイトゲージ212による測定値は、伝送路を介して図示しない制御部に入力される。
立壁部203には、研削ユニット205を上下動させる研削ユニット移動機構207が設けられている。研削ユニット移動機構207は、立壁部203の前面に配置されたZ軸方向に平行な一対のガイドレール215と、一対のガイドレール215にスライド可能に設置されたモータ駆動のZ軸テーブル216とを有している。Z軸テーブル216の前面には、研削ユニット205が支持されている。Z軸テーブル216の背面には、立壁部203の開口217を介して後方に突出したナット部が設けられている。
Z軸テーブル216のナット部には、立壁部203の裏面に設けられたボールネジが螺合されている。そして、ボールネジの一端部に連結された駆動モータ218が回転駆動されることで、研削ユニット205がガイドレール215に沿ってZ軸方向に移動される。
研削ユニット205は、円筒状のスピンドル221の下端にマウント222が設けられている。マウント222には、複数の研削砥石223が固定された研削ホイール224が装着されている。研削砥石223は、例えば、ダイヤモンド砥粒をメタルボンドやレジンボンド等の結合剤で固めたダイヤモンド砥石で構成されている。研削砥石223は、スピンドル221の駆動に伴ってZ軸回りに高速回転される。そして、研削ホイール224と光デバイスウェーハWとが平行状態で回転接触させることで、光デバイスウェーハWが研削される。
このように構成された研削装置201では、ハイトゲージ212によって光デバイスウェーハWの厚さがリアルタイムに測定される。ハイトゲージ212の測定結果が、目標厚さである光デバイスウェーハWの最終的な仕上げ厚さに近付くように研削ユニット205の送り量が制御される。そして、光デバイスウェーハWの内部に形成された改質層304に対して、研削ホイール224から研削負荷が加えられ、改質層304を起点として光デバイスウェーハWが分割予定ライン301に沿って個々のチップに分割される。
このように、内部に改質層304が形成された光デバイスウェーハWが研削されることで、光デバイスウェーハWが個々のチップに分割されると共に、所望の仕上げ厚さに形成される。なお、詳細は後述するが、光デバイスウェーハWは、改質層が形成されない外周領域307を残して、分割予定ライン301に沿って個々のチップに分割される。これにより、環状の外周領域の内側で、研削加工中に個片化されたチップの動きが規制される。
ここで、図3及び図4を参照して、レーザ加工装置によるレーザ加工動作について説明する。図3は、本実施の形態に係る光デバイスウェーハ上の加工範囲を示す模式図である。図4は、本実施の形態に係るレーザ加工装置によるレーザ加工の一例を示す図である。なお、以下の説明では、光デバイスウェーハをサファイアウェーハとし、レーザ波長1045[nm]、周波数100[kHz]、出力0.3[w]、加工送り速度400[mm/s]に設定されている。しかしながら、加工形成条件は、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
図3に示すように、光デバイスウェーハWには、外縁に沿った所定幅の外周領域307が設定されている。レーザ加工装置101には、外周領域307の内周縁308と各分割予定ライン301との交点にレーザ加工の加工開始位置と加工終了位置が設定されている。すなわち、各分割予定ライン301上の加工開始位置から加工終了位置までレーザ加工されることで、光デバイスウェーハWの外周領域307を除いた内側領域に改質層304が形成される。このように、光デバイスウェーハWの外周領域307で囲まれた内側領域は、分割予定ライン301に沿って改質層304が形成される改質層形成領域309になっている。
図4Aに示すように、チャックテーブル106に光デバイスウェーハWが載置されると、チャックテーブル106が加工ヘッド131に臨む加工位置に移動される。そして、加工ヘッド131の射出口が、光デバイスウェーハWの分割予定ライン301上の加工開始位置に位置付けられる。また、レーザビームの集光点が、光デバイスウェーハWの内部において、発光層305よりも僅かに高い位置に調整される。次に、加工ヘッド131からレーザビームが照射されることで、光デバイスウェーハWの内部に改質部306aが形成される。
この場合、チャックテーブル106が光デバイスウェーハWを保持した状態で分割予定ライン301上の加工開始位置から加工終了位置までX軸方向に加工送りされ、分割予定ライン301に沿って光デバイスウェーハWの内部に最下段の改質部306aの1列目が形成される。続いて、加工ヘッド131の射出口が、隣接する分割予定ライン301における加工開始位置に位置付けられ、隣接する分割予定ライン301に沿って最下段の改質部306bの2列目が形成される。この動作が繰り返されて、X軸方向の全ての分割予定ライン301に沿って最下段の改質部306が形成される。
続いて、チャックテーブル106がθテーブル121によって90度回転され、X軸方向の分割予定ライン301と同様に、Y軸方向の全ての分割予定ライン301に沿って最下段の改質部306が形成される。この場合も、チャックテーブル106が分割予定ライン301における加工開始位置から加工終了位置まで加工送りされることで、各分割予定ライン301に沿って改質部306が形成される。このようにして、光デバイスウェーハWの外周領域307で囲まれた改質層形成領域309に最下段の改質部306が格子状に形成される。
図4Bに示すように、光デバイスウェーハWの内部に最下段の全ての改質部306が形成されると、レーザビームの集光点が上動される。そして、最下段の改質部306と同様にして、X軸方向及びY軸方向の分割予定ライン301のそれぞれに沿う2段目の改質部306が改質層形成領域309に形成される。この集光点の上動と改質部306の形成が繰り返されて光デバイスウェーハWの内部に2段目以降の改質部306が形成される。
そして、図4Cに示すように、1段毎にX軸方向及びY軸方向の全ての分割予定ライン301に沿って改質部306が形成され、これが最下段から積み重なることで改質層304が形成される。この改質部306の形成は改質層304が光デバイスウェーハWの最終的な仕上げ厚さL(表面W1からの高さ)を超えるまで繰り返される。このようにして、光デバイスウェーハWの外周領域307を避けて、分割予定ライン301に沿った改質層304が改質層形成領域309に形成される。改質層304が形成された光デバイスウェーハWは、チャックテーブル106から取り外されて研削装置201に搬入される。
なお、光デバイスウェーハWの外周領域307を残して改質層304を形成可能であれば、改質層304の形成順序は特に限定されない。例えば、X軸方向の全ての分割予定ライン301に沿って改質層304を形成した後、Y軸方向の全ての分割予定ライン301に沿って改質層304を形成してもよい。
図5及び図6を参照して、本実施の形態に係る研削装置による研削加工について説明する。図5は、本実施の形態に係る研削装置による研削加工の一例を示す図である。図6は、本実施の形態に係る光デバイスウェーハの分割状態の一例を示す図である。なお、図6においては、説明の便宜上、光デバイスウェーハと研削ユニットのみを図示している。
図5Aに示すように、チャックテーブル206に光デバイスウェーハWが載置されると、チャックテーブル206が研削ホイール224に臨む研削位置に移動される。研削位置では、ハイトゲージ212の接触子213が光デバイスウェーハWの裏面W2に接触され、光デバイスウェーハWの厚さ測定が開始される。そして、研削ホイール224が回転しながらチャックテーブル206に近付けられ、研削ホイール224の研削面225が光デバイスウェーハWの裏面W2に押し当てられて研削加工がおこなわれる。このとき、ハイトゲージ212によって光デバイスウェーハWの厚さがリアルタイムに測定される。
図5Bに示すように、研削ホイール224の研削によって光デバイスウェーハWが仕上げ厚さLに近付くと、各改質層304に対して研削ホイール224からの研削負荷が加えられる。光デバイスウェーハWには改質層304を起点として分割予定ライン301に沿って割れが生じ、光デバイスウェーハWが分割予定ライン301に沿って分割される。この結果、図6Aに示すように、改質層304が形成されない光デバイスウェーハWの外周領域307を残して、外周領域307の内側だけが分割予定ライン301に沿って個々のチップC1に分割される。そして、仕上げ厚さLまで光デバイスウェーハWが研削されると、研削ユニット205による研削加工が停止される。
このようにして、光デバイスウェーハWが所望の仕上げ厚さLまで薄化されながら、個々のチップC1に分割される。このとき、光デバイスウェーハWの外周領域307が個片化されないため、図6Bの比較例に示す光デバイスウェーハWの全体が個片化された場合のように最外周の三角チップC2が研削加工中に飛散することがない。本実施の形態に係る光デバイスウェーハWは、個片化されていない外周領域307と外周領域307の内側で個片化された個々のチップC1とが相互に研削加工中の動きを規制している。具体的には、光デバイスウェーハWの外周領域307は、内側に位置する個々のチップC1によって研削加工中の動きが内側から規制される。一方で、外周領域307の内側の個々のチップC1は、周囲に位置する外周領域307によって研削加工中の動きが外側から規制される。
このように、外周領域307を残して個片化されることで、個片化された個々のチップC1が外周領域307によって一体化された状態で研削される。よって、分割前の光デバイスウェーハWと同様な状態を維持しつつ個々のチップC1が研削されるため、チップC1の動きに起因した加工品質の悪化が低減される。これに対し、図6Bの比較例に示す光デバイスウェーハWは、全体が個片化されているため個々のチップC1の動きが規制されない。このため、最外周に位置する三角チップC2が研削加工中に粘着シート303から剥がれて飛散する場合がある。この場合、三角チップC2よりも内側に位置するチップC1は研削加工中に動き易くなり、加工品質が悪化する。
なお、研削ユニット205は、研削負荷によって光デバイスウェーハWを個々のチップC1に分割するため、砥粒径が粗い粗研削用の砥石を用いて光デバイスウェーハWを研削する構成が好ましい。しかしながら、改質層304に対して十分な研削負荷を加えることができれば、どのような砥石を用いてもよい。例えば、砥粒径が細かい仕上げ研削用の砥石や発泡材や繊維質等で形成された研磨用の砥石を用いてもよい。
また、本実施の形態では、光デバイスウェーハWの外周領域307が粘着シート303の粘着力によって保持されたが、図7に示すように光デバイスウェーハWの外周エッジ311全周に沿って樹脂312を塗布してもよい。この場合、樹脂塗布工程(樹脂塗布ステップ)は、貼着工程の実施後であって研削工程の実施前に実施される。樹脂塗布工程では、粘着シート303から光デバイスウェーハWの外周エッジ311の露呈する裏面W2(図示上面)にかけて樹脂312をリング状に塗布することで、光デバイスウェーハWの外周領域307の研削加工中の動きを更に規制できる。
光デバイスウェーハWの外周領域307の動きが樹脂312によって抑えられることで、外周領域307の内側に位置する個々のチップC1の動きも更に規制される。よって、チップC1の動きに起因した加工品質の悪化がより低減される。なお、樹脂塗布工程で塗布される樹脂312は、後段の研削工程において研削可能であればよく、例えば、UV硬化型接着剤や熱硬化型接着剤でもよい。
以上のように、本実施の形態に係る分割方法によれば、改質層304が形成されない光デバイスウェーハWの外周領域307を残して、この外周領域307の内側領域だけが分割予定ライン301に沿って個々のチップC1に分割される。よって、外周領域307の内側で個片化された個々のチップC1は、外周領域307によって研削加工中の動きが規制されるため、チップC1の動きに起因した加工品質の悪化が低減される。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、本実施の形態においては、レーザビームの集光点を上動させて複数段の改質部306を積み重ねることで改質層304を形成したが、この構成に限定されない。改質層304は、レーザ加工の加工条件を調整することにより、一度のレーザビームの照射によって形成することも可能である。
また、本実施の形態においては、改質層304が分割予定ライン301に沿って連続的に形成される構成としたが、この構成に限定されない。光デバイスウェーハWが分割予定ライン301に沿って分割可能であれば、改質層304は分割予定ライン301に沿って断続的に形成されてもよい。
また、本実施の形態においては、改質層304が、仕上げ厚さLを超える高さまで形成されたが、この構成に限定されない。改質層304は、研削負荷によって分割可能であれば、仕上げ厚さを超えない程度の高さまで形成されればよい。
また、本実施の形態においては、貼着工程がマウンタ装置、改質層形成工程がレーザ加工装置、研削工程が研削装置で行われるが、一部の工程又は全ての工程が1つの装置で行われてもよい。
以上説明したように、本発明は、個片化されたチップの研削加工中の動きを規制してチップの加工品質の悪化を低減できるという効果を有し、特に、サファイアウェーハを分割する光デバイスウェーハの分割方法に有用である。
101 レーザ加工装置
105 レーザ加工ユニット
106 チャックテーブル(保持手段)
131 加工ヘッド
201 研削装置
205 研削ユニット
206 チャックテーブル(保持手段)
224 研削ホイール
301 分割予定ライン
303 粘着シート
304 改質層
306 改質部
307 外周領域
308 内周縁
309 改質層形成領域
311 外周エッジ
312 樹脂
W 光デバイスウェーハ
W1 表面
W2 裏面
C1 チップ
C2 三角チップ

Claims (2)

  1. 表面に形成された複数の分割予定ラインで区画された各領域に光デバイスが形成された光デバイスウェーハを前記分割予定ラインに沿って分割する光デバイスウェーハの分割方法であって、
    光デバイスウェーハの表面に粘着シートを貼着する貼着ステップと、
    前記貼着ステップを実施した後、前記粘着シート側を保持手段で保持して光デバイスウェーハの裏面から光デバイスウェーハに対して透過性を有する波長のレーザビームを前記分割予定ラインに沿って照射して、光デバイスウェーハの外周領域を残し前記分割予定ラインに沿って内部に改質層を形成する改質層形成ステップと、
    前記改質層形成ステップを実施した後、前記粘着シート側を保持手段で保持して光デバイスウェーハの裏面から研削手段により研削し所定厚さへと薄化するとともに研削動作により前記改質層を起点として光デバイスウェーハを前記分割予定ラインに沿って分割する研削ステップと、を備えること
    を特徴とする光デバイスウェーハの分割方法。
  2. 前記貼着ステップ実施後であって前記研削ステップ実施前に、前記粘着シートから光デバイスウェーハの外周エッジの露呈する裏面にかけて樹脂を光デバイスウェーハの前記外周エッジ全周にリング状に塗布する樹脂塗布ステップを更に備える、
    ことを特徴とする請求項1記載の光デバイスウェーハの分割方法。
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