JP2013164286A - 日射量予測方法、太陽光発電出力予測方法、及びシステム - Google Patents

日射量予測方法、太陽光発電出力予測方法、及びシステム Download PDF

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Abstract

【課題】気象予測データが離散的な値として与えられても日射量の予測誤差を小さくする日射量予測手法、及び当該手法により求めた日射量から精度よく太陽光発電の発電出力を算出する手法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】快晴度Ksを快晴時における日射量の理論上の最大値に対する実際の日射量の比率を表す0.0以上1.0以下の値と定義し、実測済みの快晴度Ksと気象との関係を記憶手段に記憶させておく。入力手段を介して予測対象時間帯の気象予測データを取得し、演算手段で、記憶手段に記憶されている快晴度Ksと気象の関係に基づいて気象予測データに対応する快晴度Ksを演算する。最後に、演算手段で、演算の結果得られた快晴度Ksに対して、予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論上の最大値を乗じる。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、日射量を予測する日射量予測方法、予測した日射量から太陽光発電による発電出力を予測する方法、及び其のシステムに関する。
近年の燃料費の高騰や環境保護意識の高まりを受けて、太陽光を利用する発電が注目を集めている。太陽光発電は、燃料費が不要であり、また温暖化ガスを放出しないためである。但し、太陽光発電は、気象変動を要因として発電量が大きく変動する。そのため、発電出力が大きく変動する太陽光発電を効果的に利用するためには、蓄電池や出力が可変な他の発電機と組み合わせて利用する必要がある。また、蓄電池や他の発電機の運転の準備を行なうためには、太陽光発電の発電出力を精度よく予測する必要がある。
太陽光発電の発電量は、大まかには太陽光発電パネルの位置でのパネルに垂直な成分の傾斜面日射量に比例する。従って、発電出力を精度よく予測するためには、太陽光発電のパネルへ照射される日射量を精度よく推定することが前提となる。そこで、従来から日射量の予測手法については各種の手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。一般的には、日射量を被説明変数とし、温度、湿度、風速、雲量等の気象データの各種要素を説明変数として重回帰分析を行っている。
しかしながら、図10は、重回帰分析による日射量算出の一例を示すグラフであるが、日射量を重回帰分析により算出しようとすると、日射量が理論的な最大値を超えてしまう場合や、日射量が負の値となってしまう場合がある。そのため、気象次第では、回帰分析の結果を現実的な値に戻す補正処理が必要となってしまい、この補正処理が日射量の予測に重大な誤差を与えかねない。
また、気象データは、専門の気象予報業者から入手することが普通である。しかし、気象予報業者が提供する気象データは1時間毎や3時間毎の時間間隔であったり、一定の時間の平均値であったりするため、必ずしも使いやすいものではない。すなわち、気象データの予報値が離散的な値であると、次のように実際の日射量と予測される日射量とには大きな誤差が生まれてしまう。
例えば、図11は、従来の離散的な気象データを用いた第1の日射量算出例を示すグラフである。予測される気象データが一定時間毎の平均値である場合には、図11に示すように、日射量が一定値となる区間と、日射量が大きく変化する箇所とが生じてしまう。しかしながら、日射量は太陽高度αの関数であるから、日射量は刻々と連続的に変化しているはずである。従って、気象データが一定時間毎の平均値であると、多くの時刻において、実際の日射量と予測した日射量とが大きく乖離してしまう。
また、図12は、従来の離散的な気象データを用いた第2の日射量算出例を示す図である。予測される気象データが瞬時値として与えられた場合には、図12に示すように、瞬時値が与えられた時刻以外の日射量を予測するために補間処理を施さねばならない。そうすると、日射量が瞬時値として予測された場合、早朝や夕方には日射量の予測値が理論的な最大値を越える場合がある。日射量の予測値を直線ではなく、2次曲線や、あるいは特許文献1のように日射量の理論的最大値を用いて補間した場合にも同様な状況は起こりうる。
特開2007−173657号公報
本発明の実施形態は、上記の課題を解消するために提案されたものであり、気象予測データが離散的な値として与えられても日射量の予測誤差を小さくする日射量予測手法、及び当該手法により求めた日射量から精度よく太陽光発電の発電出力を算出する手法及びそのシステムを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、実施形態に係る日射量予測方法は、快晴時における日射量の理論上の最大値に対する実際の日射量の比率を表す0.0以上1.0以下の値を快晴度と定義し、当該快晴度を用いてコンピュータにより日射量を予測する日射量予測方法であって、実測済みの前記快晴度と気象との関係を記憶手段に記憶させておき、入力手段を介して予測対象時間帯の気象予測データを取得し、演算手段で、前記記憶手段に記憶されている前記快晴度と前記気象の関係に基づいて前記気象予測データに対応する快晴度を演算し、演算手段で、前記演算の結果得られた快晴度に対して、前記予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論上の最大値を乗じることで各時刻の日射量を算出すること、を特徴とする。
また、快晴時における太陽光発電出力の理論上の最大値に対する実際の発電出力の比率を表す0.0以上1.0以下の値を快晴度と定義し、当該快晴度を用いてコンピュータにより日射量を予測するようにしてもよい。
また、当該日射量予測方法で求めた日射量に基づき発電出力を予測する太陽光発電出力予測方法であって、日射量と発電出力の関係を示す変換効率に係る情報を記憶手段に記憶させておき、前記演算手段で、前記日射量と前記変換効率とを乗算することで発電出力を算出すること、を特徴とする。
太陽光発電出力予測システムの構成を示すブロック図である。 快晴度Ksの概念を示す図である。 太陽光発電出力予測システムの動作を示すフローチャートである。 過去の快晴度Ksの実績値と気象データとの関連づけを示す第1のグラフである。 過去の快晴度Ksの実績値と気象データとの関連づけを示す第2のグラフである。 一日を複数の予測対象時間帯に区切って快晴度Ksの予測値を計算した結果を表すグラフである。 快晴度Ksを用いて算出した日射量の予測値を示すグラフである。 重回帰分析を用いて変換効率を計算した例を示すグラフである。 重回帰分析を用いて計算した変換効率の予測誤差を示す表である。 従来の重回帰分析を用いて日射量を算出した例を示すグラフである。 従来の離散的な気象データを用いた第1の日射量算出例を示すグラフである。 従来の離散的な気象データを用いた第2の日射量算出例を示すグラフである。
以下、日射量予測方法、及び太陽光発電出力予測方法を使用する太陽光発電出力予測システムの実施形態について図面を参照して具体的に説明する。
太陽光発電出力予測システムは、単一のコンピュータ又はネットワーク接続された複数のコンピュータで構成されている。太陽光発電出力予測システムは、プログラムをHDDやSSD等に記憶しており、RAMに適宜展開し、CPUで処理することにより、日射量及び太陽光発電の発電出力を計算している。
(構成)
図1は、この太陽光発電出力予測システムの構成を示すブロック図である。太陽光発電出力予測システムは、大別すると、日射量予測部1と発電量予測部2と出力部3を備えている。日射量予測部1は、気象予測データから各時刻の日射量を計算する。発電量予測部2は、予測された日射量から各時刻の太陽光発電の発電出力を計算する。出力部3は、液晶ディスプレイ等のモニタであり、発電出力の計算結果を表示する。
(日射量予測部)
日射量予測部1では、快晴度Ksという概念を定義しておき、日射量を予測しようとする予測対象の時間帯における快晴度Ksの算出を出発点として、快晴度Ksを用いた日射量の算出を行う。快晴度Ksは、以下の数式(1)で定義される。
図2は、快晴度Ksの概念を示す図であるが、図2に示すように、LMES(t)は、測定された水平面全天日射量の瞬時値であり、LMAX(t)は、対応する時間帯での日射量の理論的最大値である。理論的最大値は換言すると快晴時の値である。時間帯T〜Tまでの積分区間を変えることで、快晴度Ksは一分毎、一時間毎、又は一日の快晴度として定義することができる。時間帯T〜Tの長さは、天気変化が少ない時間間隔とすることが望ましい。
すなわち、快晴度Ksは、快晴時における日射量の理論上の最大値に対する実際の日射量の比率を表すものであり、定義上、0.0以上1.0以下の値となる。日射量予測部1では、予測対象時間帯の快晴度Ksを気象予測データから求め、この快晴度Ksに予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論上の最大値を乗算することで、各時刻の日射量を算出する。各時刻の日射量とは、厳密には各時刻に代表される最小区分の時刻帯での日射量である。
この日射量予測部1は、図1に示す通り、快晴度記憶部11と、入力部12と、快晴度算出部13と、日射量算出部14と、理論的最大値算出部15とを備えている。
快晴度記憶部11は、メモリを含み構成され、過去の快晴度Ksの実績値と気象データの実績値とを関連づけて多数蓄積している。気象データには、日付、時間帯、及び緯度経度の属性情報が添付されている。気象データは、晴れ、曇り、雨、雪等の天気概況を示し、又は温度、風速等の各種の気象要素が含まれている。
入力部12は、キーボード、マウス、タッチパネル等のマンマシンインターフェース、又はネットワークアダプタを含み構成され、気象予測データを外部から取得する。気象予測データは、予測された気象データであり、予測対象日付、予測対象時間帯、及び緯度経度の属性情報が添付されている。ここでいう外部とは、ユーザ、又は気象庁や民間の気象予測会社等の気象予測データ提供者が有するサーバである。
快晴度算出部13は、主にプロセッサを含み構成され、快晴度記憶部11に記憶されている過去の快晴度Ksと気象データをベースに、入力部12からの気象予測データに対応する快晴度Ksを算出する。この快晴度算出部13は、前処理としてデータ抽出処理を行い、その次に抽出されたデータから快晴度Ksを算出する。
前処理では、統計処理の母集団を決定する。すなわち、快晴度算出部13は、気象予測データに添付された日付、時間帯、及び緯度経度に関する属性情報に近い過去の気象データが関連づけられている過去の快晴度Ksを快晴度記憶部11から抽出する。抽出されたデータからの快晴度Ksの算出態様としては、単回帰分析、重回帰分析、ニューラルネットワーク、又は最小距離採用法の何れをも用いてもよい。
日射量算出部14は、主にプロセッサを含み構成され、以下の数式(2)を演算して快晴度Ksから日射量Sを算出する。
すなわち、日射量算出部14は、快晴度Ksに対して予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論的最大値Sを乗算することで、各時刻の日射量Sを算出する。快晴度Ksが数式(1)に示されるように、快晴時における日射量の理論上の最大値に対する実際の日射量の比率を表すように定義されているからである。
理論的最大値算出部15は、主にプロセッサを含み構成され、日射量算出部14が使用する日射量の理論上の最大値を計算する。この日射量の理論上の最大値としては、水平面全天日射量Sあるいは傾斜面全天日射量Sを用いる。尚、望ましくは、太陽光発電のパネルの設置角度や向き方位を考慮して傾斜面全天日射量Sを用いる。
(発電出力予測部)
発電出力予測部2は、発電出力算出部21と変換効率記憶部22とを備えている。発電出力予測部2には、日射量予測部1が計算した日射量が入力される。
発電出力算出部21は、主にプロセッサを含み構成され、日射量予測部1が算出した日射量に対して太陽光発電パネルの変換効率を乗じることで、予測対象時間帯の発電出力を計算する。
変換効率記憶部22には、変換効率を記憶し、発電出力算出部21に出力する。変換効率は、日射量と発電出力の関係を示し、定数であっても関数であってもよい。関数の場合は、気象データの各種要素や日射量をパラメータとする。気象データの各種要素は、気温、湿度、風速等の少なくとも一つである。
変換効率を定数として記憶しておく場合、変換効率記憶部22はメモリである。変換効率を関数として記憶する場合には、変換効率記憶部22は主にメモリとプロセッサを含み構成され、パラメータを取得して関数に代入することで、変換効率を数値に置き換える。変換効率を表す関数は、単回帰分析、重回帰分析、最小二乗法、ニューラルネットワーク等の手法により生成される。
(動作)
このような太陽光発電出力予測システムの動作を説明する。図3は、太陽光発電出力予測システムの動作を示すフローチャートである。
(S01)
まず、ステップS01において、入力部12は、予測対象時間帯の気象データを取得する。入力部12がマンマシンインターフェースの場合には、ユーザが気象予測データと予測対象時間帯をキーボードやマウス等を用いて入力する。入力部12がネットワークアダプタの場合には、ネットワーク上のサーバから気象予測データと予測対象時間帯を受信する。
(S02)
ステップS02において、気象予測データが取得されると、快晴度算出部13は、気象予測データに対応した快晴度Ksを算出する。具体的には、快晴度算出部13は、まず、気象予測データに付帯する属性情報が示す日付、時間帯、及び緯度経度に関連づけられた過去の快晴度Ksと気象データの組を快晴度記憶部11から抽出する。そして、抽出されたデータを用いて単回帰分析、重回帰分析、ニューラルネットワーク、又は最小距離採用法等の手法を用いて快晴度Ksを算出する。
図4は、重回帰分析により快晴度Ksを算出する態様を示したグラフである。図4に示すように、例えば、快晴度Ksは、温度、湿度、風速等の気象データと関連づけられて快晴度記憶部11に記憶されている。快晴度算出部13は、快晴度Ksを従属変数、気象データを説明変数とした重回帰分析を行うことで、快晴度Ksを気象データの関数として表し、入力部12からの気象予測データを代入することで、予測対象時間帯の快晴度Ksを算出する。
また、図5は、快晴度Ksを晴れ、曇り、雨等の天気概況に関する気象データと関連づけて快晴度記憶部11に記憶している例を示している。このように、気象データが天気概況を示している場合には、まず、晴れの場合の快晴度Ksの平均値、曇りの場合の快晴度Ksの平均値、雨の場合の快晴度Ksの平均値、雪の場合の快晴度Ksの平均値をそれぞれ算出することで、各種類の気象データに対する快晴度Ksを求めておく。そして、入力部12からの気象予測データと同一の気象データに対する快晴度Ksの平均値を採用することで、予測対象時間帯の快晴度Ksを算出する。
また、最小距離採用方法で快晴度Ksを算出する場合には、温度、湿度、風速等のn個のパラメータからなる気象データをn次元のベクトルと考え、気象予測データのベクトルと最も距離が近い気象データに関連づけられた快晴度Ksを予測値として採用する。
距離の定義としては、通常のユークリッド距離の他に、マハラノビスの距離等を用いることができる。また、以下の数式(3)に示すように、気象データ間の非類似度Is(j)を定義し、この非類似度Is(j)を距離と見立てることもできる。
ここで、温度、湿度、風速等の要素を固有の番号として定義し、また予測対象時間帯の気象データにも固有の番号を付与しておく。そして、数式(3)中のXはi番目の要素の平均値であり、xj,iはj番目の気象データにおけるi番目の要素が示す値である。また、wは気象データの各要素に対するウェートである。
最小距離採用方法で快晴度Ksを算出する場合、快晴度算出部13は、この非類似度Is(j)が最小となるj番目の過去の気象データに対応する快晴度Ksの実績値を、気象予測データに対する快晴度Ksの予測値とする。
(S03)
ステップS03において、理論的最大値算出部15は、入力部12が取得した気象予測データに付帯する日付、予測対象時間帯、及び緯度経度を用いて、予測対象時間帯の各時刻の日射量の理論的な最大値を算出する。具体的には、理論的最大値算出部15は、各時刻の水平面全天日射量Sあるいは傾斜面全天日射量Sの理論的な最大値を算出する。
水平面全天日射量Sあるいは傾斜面全天日射量Sの理論的な最大値は、天文計算及び大気の透過率に基づき以下のように求めることができる。
まず、水平面全天日射量Sは、水平面直達日射量Sに水平面散乱日射量SIを加えたものであるから、以下の数式(4)の計算により求めることができる。
この水平直達日射量Sと水平面散乱日射量SIは、大気外全天日射量Sから大気の影響を考慮して計算する。
大気外全天日射量Sは、太陽高度α、地心太陽距離r/r(天文単位)、及び太陽定数Cを用いて以下の数式(5)により求められる。
太陽定数Cは1367(W/m)を用いる。地心太陽距離r/rは元旦からの日数によって決まり、太陽高度αは日付と時刻と予測しようとする地点の緯度と経度によって決まり、それぞれ天文計算によって求めることができる。
そして、水平直達日射量Sは、大気外全天日射量Sを用いて以下の数式(6)に従って求めることができる。
当該数式(6)は、大気による吸収を考慮したものである。すなわち、大気外から大気外全天日射量Sで入射した太陽光は、大気による吸収を受けてP倍になる。Pは垂直方向の大気の透過率であり、Mは大気の光学的相対質量であり、Mは太陽高度αの関数である。
Mは第0近似では、cosec(α)であるが、標高や地球の曲率を考慮して以下の数式(7)の式で算出できる。
は、海面における大気質量である。また、ηは、標高に対する修正である。従って、mとηはそれぞれ以下の数式(8)及び(9)で算出できる。尚、式中Zは標高である。
大気透過率Pは、12時の最大値の平年値を地域毎及び月毎に実測値等を用いてテーブル化してメモリに記憶しておく。
更に、水平面散乱日射量SIは、大気外全天日射量Sを用いて以下の数式(10)に従って求めることができる。
SDは補正係数であり、以下の数式(11)に従って求めることができる。
次に、傾斜面全天日射量Sは、傾斜面直達日射量Iに傾斜面散乱日射量Iを加えたものであるから、以下の数式(12)の計算により求めることができる。
そして、傾斜面直達日射量Iは、法線面直達日射量Iと、太陽光発電のパネルの傾斜効果を示すcos(i)とを用いて以下の数式(13)の計算によって求めることができる。
更に、太陽光発電のパネルの傾斜効果を示すcos(i)は、以下の数式(14)の計算によって求めることができる。
式中αはパネル傾斜角、φはパネル方位角、αは太陽高度、φは太陽方位である。但し、cos(i)<0のときは、パネルの裏面からの日射に相当するcos(i)=0とする。
また、法線面直達日射量Iは、水平面直達日射量Sを用いて、以下の数式(15)の計算によって求めることができる。
次に、傾斜面散乱日射量Iは太陽光発電のパネルの傾斜角度のみによって決まり、パネルの方位にはよらないので、水平面散乱日射量Sとパネル傾斜角αを用いて、以下の数式(16)の計算によって求めることができる。
従って、最終的には、傾斜面全天日射量Sは、以下の数式(17)の計算により求めることができる。
尚、ステップS02とS03とは、順番が前後してもよいし、並行処理されてもよい。
(S04)
ステップS04において、快晴度Ks及び日射量の理論的な最大値が求められると、日射量算出部14は、快晴度Ksと予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論的な最大値とを乗算することで、日射量を算出する。
(S05)
ステップS05において、日射量予測部1にて日射量が算出されると、変換効率記憶部22は、変換効率を算出する。
変換効率が定数として記憶されている場合には、当該ステップS05をスキップすることができる。この定数は、太陽光発電のパネルの位置で測定された日射量と発電量の比で表すことができる。従って、定数は、パネルの設置位置、設置角度、面積等によって異なるが、パネルが決まれば定まる定数である。また、実際には、季節や時間によって変化するが、月ごと、時間帯ごとに平均値を求めておけばよい。
変換効率が関数として記憶されている場合には、当該関数は、単回帰分析、重回帰分析、最小二乗法、ニューラルネットワーク等の手法を用いて予め生成しておく。この関数は、パネルの物性値や電圧電流の制御特性を反映したものである。
具体的には、変換効率は、太陽光発電のパネルの温度や日射量に大きく依存する。パネルの温度は、日射量、気温、湿度、風速等の各種の気象要素の影響を受けるが、その中でも気温と日射量を説明変数とし、変換効率を被説明変数として重回帰分析すると、精度の高い変換効率を得られることがわかった。この重回帰分析の結果を以下の数式(18)に示す。以下の数式(18)において、日射量は、外部から予測値として入手したものの他、日照量予測部1で求めたものを用いることができる。
尚、説明変数としては気温及び日射量に限らず、気温又は日射量のいずれかでもよいし、各種の気象要素の一又は複数を説明変数としてもよいし、更に日付情報などの収集可能なその他の種類のデータを用いることができる。
変換効率記憶部22は、数式(18)で表される変換効率の関数を予め記憶しておき、入力部12が取得した予測気温と日射量予測部1が算出した日射量とを代入して変換効率を算出する。
(S06)
ステップS06において、日射量及び変換効率が揃うと、発電出力算出部21は、この日射量と変換効率とを乗算することで、予測対象時間帯の各時刻の発電出力を算出する。
(S07)
ステップS07において、発電出力が算出されると、出力部3は、この発電出力を表示する。
(作用・効果)
図6は、一日を複数の予測対象時間帯に区切って快晴度Ksの予測値を計算した結果を表すグラフである。また、図7は、この快晴度Ksを用いて算出した日射量の予測値を示すグラフである。
図6に示すように、快晴度Ksは日射量の理論的な最大値に乗じる0.0以上1.0以下の係数である。そのため、図7に示すように、算出された日射量は理論的な最大値を超えたり負の値になることはない。また、快晴度Ksは1〜3時間といった短時間であればほとんど変化せず、予測対象時間帯の各時刻間での日射量の変化は、理論的な最大値の違いに依存する。更に、日射量は季節によって大きく変化するが、似たような天候の日の快晴度Ksは一年を通じてほぼ一定であり、快晴度Ksと気象データの関係式のみが季節により異なる。そのため、この快晴度Ksを用いた日射量の算出手法では、各時刻の日射量の違いを精度よく表現することができている。
このように、本実施形態に係る日射量予測方法では、快晴度Ksを快晴時における日射量の理論上の最大値に対する実際の日射量の比率を表す0.0以上1.0以下の値と定義し、当該快晴度Ksを用いてコンピュータにより日射量を予測するようにした。
このとき、実測済みの快晴度Ksと気象との関係を記憶手段に記憶させておき、入力手段を介して予測対象時間帯の気象予測データを取得し、演算手段で、記憶手段に記憶されている快晴度と気象の関係に基づいて気象予測データに対応する快晴度Ksを演算し、演算手段で、演算の結果得られた快晴度Ksに対して、予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論上の最大値を乗じることで各時刻の日射量を算出するようにした。
従って、理論的な最大値を超えた場合の補正処理は必要とせず、補正による精度誤差は発生しにくくなる。また、予測対象時間帯を1〜3時間程度に区切れば、快晴度Ksの変化はほとんどないため、太陽高度αに応じた各時刻の日射量の違いも精度よく反映することができる。尚、快晴度Ksが0.2を下回ることは稀であるため、快晴度Ksを例えば0.2以上と制限することで予測精度を向上させることも可能である。
また、本実施形態に係る太陽光発電出力予測方法では、日射量と発電出力の関係を示す変換効率に係る情報を記憶しておき、演算手段で、日射量に変換効率を乗算することで発電出力を算出するようにした。変換効率に係る情報は、例えば、気象データを説明変数とした重回帰分析により予め算出された関数である。
図8は、府中市におけるある年の2月13日、3月13日、7月10日の気象データ、日射量、及び発電出力に基づき、重回帰分析を用いて変換効率を計算した例である。図9は、本手法による変換効率の予測誤差の例を示している。この計算結果において、重決定係数Rは約0.798であり、よく近似できていることがわかる。このように、本実施形態によれば、快晴度Ksを出発点とした発電出力も精度よく算出することができる。
(その他の実施の形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。具体的には、以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、快晴度Ksは、快晴時を基準にした日射量の程度を表しているが、上記実施形態による快晴度Ksの算出方法の他、次のような手法をとることができる。すなわち、発電出力は日射量と比例関係にあるため、発電量を実測し、その実測値と発電量の理論的な最大値との比を快晴度Ksと定義し、気象データの実績値と関連づけて快晴度記憶部11に記憶させるようにしてもよい。
1 日射量予測部
11 快晴度記憶部
12 入力部
13 快晴度算出部
14 日射量算出部
15 理論的最大値算出部
2 発電出力予測部
21 発電出力算出部
22 変換効率記憶部
3 出力部

Claims (8)

  1. 快晴時における日射量の理論上の最大値に対する実際の日射量の比率を表す0.0以上1.0以下の値を快晴度と定義し、当該快晴度を用いてコンピュータにより日射量を予測する日射量予測方法であって、
    実測済みの前記快晴度と気象との関係を記憶手段に記憶させておき、
    入力手段を介して予測対象時間帯の気象予測データを取得し、
    演算手段で、前記記憶手段に記憶された前記快晴度と前記気象の関係に基づいて前記気象予測データに対応する快晴度を演算し、
    演算手段で、前記演算の結果得られた快晴度に対して、前記予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論上の最大値を乗じることで各時刻の日射量を算出すること、
    を特徴とする日射量予測方法。
  2. 快晴時における太陽光発電出力の理論上の最大値に対する実際の発電出力の比率を表す0.0以上1.0以下の値を快晴度と定義し、当該快晴度を用いてコンピュータにより日射量を予測する日射量予測方法であって、
    実測済みの前記快晴度と気象との関係を記憶手段に記憶させておき、
    入力手段を介して予測対象時間帯の気象予測データを取得し、
    演算手段で、前記記憶手段に記憶された前記快晴度と前記気象の関係に基づいて前記気象予測データに対応する快晴度を演算し、
    演算手段で、前記演算の結果得られた快晴度に対して、前記予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論上の最大値を乗じることで各時刻の日射量を算出すること、
    を特徴とする日射量予測方法。
  3. 請求項1又は2記載の日射量予測方法で求めた日射量に基づき発電出力を予測する太陽光発電出力予測方法であって、
    日射量と発電出力の関係を示す変換効率に係る情報を記憶手段に記憶させておき、
    前記演算手段で、前記日射量に前記変換効率を乗算することで発電出力を算出すること、
    を特徴とする太陽光発電出力予測方法。
  4. 前記変換効率に係る情報は、
    気温データを説明変数とした重回帰分析により予め算出された関数であり、前記記憶手段に記憶されること、
    を特徴とする請求項3記載の太陽光発電出力予測方法。
  5. 快晴時における日射量の理論上の最大値に対する実際の日射量の比率を表す0.0以上1.0以下の値を快晴度と定義し、当該快晴度を用いて日射量を予測する日射量予測システムであって、
    実測済みの前記快晴度と気象との関係を予め記憶した記憶手段と、
    予測対象時間帯の気象予測データを取得する入力手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記快晴度と前記気象の関係に基づいて前記気象予測データに対応する快晴度を演算する第1の演算手段と、
    前記演算の結果得られた快晴度に対して、前記予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論上の最大値を乗じることで各時刻の日射量を算出する第2の演算手段と、
    を備えること、
    を特徴とする日射量予測システム。
  6. 快晴時における太陽光発電出力の理論上の最大値に対する実際の発電出力の比率を表す0.0以上1.0以下の値を快晴度と定義し、当該快晴度を用いて日射量を予測する日射量予測システムであって、
    実測済みの前記快晴度と気象との関係を予め記憶した記憶手段と、
    予測対象時間帯の気象予測データを取得する入力手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記快晴度と前記気象の関係に基づいて前記気象予測データに対応する快晴度を演算する第1の演算手段と、
    前記演算の結果得られた快晴度に対して、前記予測対象時間帯の各時刻に係る日射量の理論上の最大値を乗じることで各時刻の日射量を算出する第2の演算手段と、
    を備えること、
    を特徴とする日射量予測システム。
  7. 請求項5又は6記載の日射量に基づき発電出力を予測する太陽光発電出力予測システムであって、
    日射量と発電出力との関係を示す変換効率に係る情報を記憶した第2の記憶手段と、
    前記日射量に前記変換効率を乗算することで発電出力を算出する第3の演算手段と、
    を備えること、
    を特徴とする太陽光発電出力予測システム。
  8. 前記変換効率に係る情報は、
    気象データを説明変数とした重回帰分析により予め算出された関数であること、
    を特徴とする請求項7記載の太陽光発電出力予測システム。
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