JP2013163954A - 中空コンクリート基盤の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】工事内容の簡素化と工期短縮が可能であり、施工コストを低減することが可能であると共に、コンクリート打設時に中空コンクリート基盤の性能や品質が損なわれない施工方法を提供する。
【解決手段】多数の軽量埋込材を埋設した中空コンクリート基盤を施工するに際し、前記多数の軽量埋込材は、互いに等間隔で配列させた複数の軽量埋込材と、これら複数の軽量埋込材の上端部分を互いに連結する連結基材と、一端が前記各軽量埋込材の下端部分の一部又は全部に固定された位置ずれ防止材とで形成された複数の埋込材ユニットに形成されており、鉄筋構造体の空間部内に多数の軽量埋込材を配置する際には、各埋込材ユニットを鉄筋構造体の上方から配置して連結基材を上端筋に固定するとともに、位置ずれ防止材の他端を下端筋に固定することを特徴とする中空コンクリート基盤の施工方法である。
【選択図】図5
【解決手段】多数の軽量埋込材を埋設した中空コンクリート基盤を施工するに際し、前記多数の軽量埋込材は、互いに等間隔で配列させた複数の軽量埋込材と、これら複数の軽量埋込材の上端部分を互いに連結する連結基材と、一端が前記各軽量埋込材の下端部分の一部又は全部に固定された位置ずれ防止材とで形成された複数の埋込材ユニットに形成されており、鉄筋構造体の空間部内に多数の軽量埋込材を配置する際には、各埋込材ユニットを鉄筋構造体の上方から配置して連結基材を上端筋に固定するとともに、位置ずれ防止材の他端を下端筋に固定することを特徴とする中空コンクリート基盤の施工方法である。
【選択図】図5
Description
本発明は、剛性、安定性に優れ、かつ施工の簡略化や工期の短縮化が可能で経済性に優れた、中空スラブ又は中空基礎を構成する中空コンクリート基盤の施工方法に関する。
近年、建築物のスラブにおいては、建築物の高層化、広い居室空間の確保、軽量化、遮音性等の改善のために、スラブ内部に多数の軽量埋込材を埋め込んで中空化した中空スラブ(ボイド工法)が種々提案されており、また、ベタ基礎やマットベースにおける基礎においても、基礎内部に多数の軽量埋込材を埋め込んで中空化した中空基礎(ボイド工法)が提案されている。軽量埋込材としては、ワインディングパイプ等の中空管やキーストンプレートを折り曲げ加工した箱型加工品、耐水段ボール成形品、発泡プラスチック成形品などが用いられている。特に、量産が容易で施工性に優れる発泡プラスチック成形品からなる軽量埋込材を用いる中空スラブ又は中空基礎が開発されてきた。
従来の中空スラブ又は中空基礎の施工方法としては、例えば、型枠に格子状の下端筋を配筋し、下端筋の格子部に軽量埋込材を配設し、次にこの配設された軽量埋込材の上部に上端筋を配筋し、軽量埋込材を上端筋に結束するなどして固定した後、型枠内にコンクリートを打設する施工方法が提案されている。しかしながら、この方法では、場合によっては軽量埋込材の底部を拘束するための補助筋を設置する必要があり、また、多数の軽量埋込材を個々に設置しなければならないほか、上端筋の配筋が埋込材の設置後となるため、配筋工事を二度に分けて行う必要がある等、施工に多くの手間が掛かり、施工コストの増加を招くという問題があった。
そこで、工事内容の簡素化や工期短縮の観点から、例えば、下型枠の上に下端筋と上端筋とを格子状に配筋して鉄筋構造体を構成し、この配筋工事が終了した後に、前記鉄筋構造体が形成する空間部内に上方から前記軽量埋込材を落とし込んで配置し、その後、この配置した埋込材の下端部または上端部を固定する方法(特許文献1)や、或いは、前記小空間に埋込材を落とし込んで配置した後に、この配置された埋込材を固定するための押さえ金物により埋込材を固定する方法(特許文献2)が提案されているが、これらの方法は依然として軽量埋込材を個々に設置するために、手間が掛かるという問題は解消されない。
そのため、複数の軽量埋込材を効率よく配置するための方法として、例えば、前記のように配筋工事が終了した後に、複数の中空材(軽量埋込材)とこの中空材の頂部に載せられた格子状または線状の繋ぎ材とを中空材に刺し込んだ埋込アンカー等を介して固定してなる中空材ユニットを、配筋された鉄筋構造体が形成する空間部内に上方から落とし込んで配置し、その後、配置された中空材ユニットの繋ぎ材を上端筋に固定する方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、この方法では中空材の底部が何ら固定されていないので、コンクリート打設時硬化前のコンクリートの流れから受ける強力な浮力や押圧力により、中空材が意図した所定位置からずれたり、前記繋ぎ材から外れる等の問題があった。
そこで、このような問題を解決するため、本発明者らは、先に、複数の軽量埋込材を、等間隔に立設された複数のシャフトを備えた基材に配置・固定してなる埋込材ユニットを提案すると共に、この埋込材ユニットを、配筋工事が終了した後の鉄筋構造体が形成する空間部内に上方から配置し、その後、基材を上端筋に固定することによって多数の軽量埋込材を前記空間部内に配置する方法を提案した(特許文献4)。この埋込材ユニットの軽量埋込材はシャフトを介して止め具で確実に固定されると共に、底部に直線状又は十字状の溝を備えることにより、その溝が補助筋又は下端筋に嵌め込まれて固定されるため、コンクリート打設時硬化前のコンクリートの流れから受ける強力な浮力や押圧力により、前記軽量埋込材が所定位置からずれたり、前記シャフトから抜け落ちるという問題はない。
しかしながら、この特許文献4により提案された埋込材ユニットにおいても、底部に溝を供えた軽量埋込材を新たに製造するにはコストがかかり、また、スラブや基礎の厚みを厚くした場合には、配置された軽量埋込材と下端筋との間の距離が長くなり、前記のように軽量埋込材の底部に溝が設けられていたとしても、この溝を補助筋又は下端筋に作業性良く嵌め込むことが難しいといった別の問題がある。また、これに対応して前記特許文献4には軽量埋込材の形状を上下方向に長くしてカプセル状(円筒状)にする方法も開示されているが、この場合には前記の通り軽量埋込材の製造コストが増えるため必ずしも好ましい方法とはいえない。
そこで、本発明者らは、これらの問題を解決するために鋭意検討した結果、下端筋と上端筋とが構成する鉄筋構造体の空間部内に多数の軽量埋込材を配置する際には、複数の軽量埋込材を配列して備えた埋込材ユニットを鉄筋構造体の上方から配置して上端筋に固定すると共に、各軽量埋込材にはその一部又は全部の下端部に位置ずれ防止材を設け、且つ前記位置ずれ防止材の他端を下端筋に固定することにより、配筋工事を効率よく行うことが可能であると共に、多数の軽量埋込材を鉄筋構造体の所定の位置に効率的に配置でき、しかも、コンクリート打設時硬化前のコンクリートの流れから受ける強力な浮力や押圧力を受けたとしても各軽量埋込材の位置ずれを効果的に防止できることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、中空スラブや中空基礎における工事内容の簡素化や工期短縮が可能であり、施工性やコスト性に優れ、しかも、コンクリート打設時における軽量埋込材の位置ずれを効果的に防止することができる中空コンクリート基盤の施工方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、中空スラブ又は中空基礎を構成する中空コンクリート基盤の施工方法であって、
施工現場には下端筋と上端筋とを互いに所定の間隔で配筋して構成された鉄筋構造体を配設し、この鉄筋構造体が形成する空間部内に多数の軽量埋込材を配置し、コンクリートを打設して多数の軽量埋込材を埋設した中空コンクリート基盤を施工するに際し、
前記多数の軽量埋込材は、互いに等間隔で配列させた複数の軽量埋込材と、これら複数の軽量埋込材の上端部分を互いに連結する連結基材と、一端が前記各軽量埋込材の一部又は全部の下端部分に固定された位置ずれ防止材とで形成された複数の埋込材ユニットに形成されており、
前記鉄筋構造体の空間部内に多数の軽量埋込材を配置する際には、前記各埋込材ユニットを鉄筋構造体の上方から配置して前記連結基材を上端筋に固定するとともに、前記位置ずれ防止材の他端を下端筋に固定することを特徴とする中空コンクリート基盤の施工方法である。
施工現場には下端筋と上端筋とを互いに所定の間隔で配筋して構成された鉄筋構造体を配設し、この鉄筋構造体が形成する空間部内に多数の軽量埋込材を配置し、コンクリートを打設して多数の軽量埋込材を埋設した中空コンクリート基盤を施工するに際し、
前記多数の軽量埋込材は、互いに等間隔で配列させた複数の軽量埋込材と、これら複数の軽量埋込材の上端部分を互いに連結する連結基材と、一端が前記各軽量埋込材の一部又は全部の下端部分に固定された位置ずれ防止材とで形成された複数の埋込材ユニットに形成されており、
前記鉄筋構造体の空間部内に多数の軽量埋込材を配置する際には、前記各埋込材ユニットを鉄筋構造体の上方から配置して前記連結基材を上端筋に固定するとともに、前記位置ずれ防止材の他端を下端筋に固定することを特徴とする中空コンクリート基盤の施工方法である。
本発明において、埋込材ユニットの連結基材には所定の間隔で複数のシャフトが取り付けられており、このシャフトに軽量埋込材が取り付けられているのがよい。このような方法で軽量埋込材を取り付ければ、コンクリート打設の際に負荷を受けたとしても軽量埋込材が連結基材から外れることがないので好ましい。
本発明において、各軽量埋込材は、前記シャフトの長さ方向位置調節可能に取り付けられている。通常、軽量埋込材の径はコンクリート基盤の厚さに応じて決まってくるものであるが、コンクリート基盤が厚くなり、特に350mmを超えるような場合には、それに合わせて軽量埋込材の径を大きくしていくと、軽量埋込材を配置するためには鉄筋の配筋ピッチも大きくしなければならない。ところが、鉄筋のピッチについては、コンクリート基盤の性能や品質を確保する目的から300mm以下とすることが推奨されていることから、この鉄筋ピッチを満たすように軽量埋込材の径を選択すると、コンクリート基盤の厚みに対して軽量埋込材の径が小さくなり、通常の方法で軽量埋込材を配置すると、上端筋側のコンクリート被り厚よりも下端筋側のコンクリート被り厚が大きくなって均等でなくなってしまう。本発明では、このような場合であっても、シャフトの長さをコンクリート基盤の厚みに応じて変えると共に、軽量埋込材をこのシャフトに沿ってコンクリート基盤の上下方向の中央部に埋設することにより、上端筋側のコンクリート被り厚と下端筋側の被り厚を均等にすることができるので、コンクリート基盤の性能や品質を損なうことがない。
また、上記のようにコンクリート基盤の厚みが350mmを超える場合、本発明においては、各軽量埋込材は前記シャフトに2つ以上を重ねて取り付けることにより対応が可能である。2つ以上の軽量埋込材を重ねて使用することにより、軽量埋込材の径を大きくしなくても、一定量の軽量埋込材をコンクリート基盤内に配置できるので、コンクリート基盤の性能や品質を損なうことがない。取り付ける軽量埋込材の数については、コンクリート基盤の厚みや使用する軽量埋込材の径などを考慮して適宜決定される。
また、本発明における軽量埋込材が球状体である場合、埋込材ユニットの軽量埋込材には異なった直径を有する軽量埋込材を取り付けることもできる。コンクリート基盤の厚みが一定でない場合、例えば、基盤上面が平らでなく傾斜を有するような場合や基盤厚みが部分的に異なるような場合に同じ径の軽量埋込材だけを使用すると、外観上好ましくない。そのため、コンクリート基盤の形状に応じて段階的に軽量埋込材の径を変化させたり、或いは部分的に軽量埋込材の径を変えることが好ましい。如何なる径の軽量埋込材をどのように配置するかに関しては、コンクリート基盤全体の形状を考慮して適宜決定される。
本発明における前記位置ずれ防止材は、連結基材の長さ方向に対して直角方向に延びてその下端が前記下端筋に固定されるのがよい。このような方向で位置ずれ防止材を取り付けることにより、如何なる方向からコンクリート打設を行ったとしても埋込材ユニットがずれることがなく、コンクリート打設方向に選択性を持つことが可能となる。
また、本発明において、中空コンクリート基盤が中空基礎を構成する場合には、先ず、地盤上に捨コンクリートを施設し、この捨コンクリートの上に中空コンクリート基盤を施工する。
本発明の中空コンクリート基盤の施工方法は、配筋工事が終了した後に軽量埋込材の配置工事を行うので、工事内容を簡素化して工期を短縮することが可能であり、施工コストを低減することができる。また、軽量埋込材の一部又は全部の下端部分に位置ずれ防止材を設け、且つこの位置ずれ防止材の他端を下端筋に固定することにより、コンクリート打設時の強力な浮力や押圧力による軽量埋込材の位置すれを効果的に防止できるので、コンクリート基盤の性能や品質を損なうことがないばかりでなく、厚さや形状を変えた場合の施工にも対応することが可能である。
本発明の中空コンクリート基盤の施工方法について、図面に基づき具体的に説明する。
まず、本発明の施工方法で用いられる埋込材ユニット1については、図1に示すように、複数の軽量埋込材2が連結基材4に装着され、等間隔で一列に配置されている。軽量埋込材の連結個数に制限はないが、少ないものは工事手間がかかり、多いものは取り扱いしにくいことから4〜12連程度、好ましくは6〜9連程度がよい。
軽量埋込材2としては、球状、サイコロ状、カプセル状、直方体状、楕円球状などの中実体や中空体が挙げられ、好ましくは球状の発泡プラスチック製中実体である。発泡プラスチックとしては、吸水性が低く加工しやすいものであればよく、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンなどが好適である。後述する連結基材に備えたシャフトに装着させるために、軽量埋込材2の中心部に貫通孔3を備えることができる。また、必要に応じて、その底部に直線状又は十字状の溝を備えた軽量埋込材(図示せず)を用いると、その溝を補助筋又は下端筋に嵌め込んで固定することも可能である。
球状の軽量埋込材としては、例えば、S(φ135mm)、M1(φ160mm)、M2(φ185mm)、L1(φ210mm)、L2(φ235mm)、UL(φ260mm)の6種類程度を用意すればよい。球状以外の軽量埋込材としては、サイコロ状の軽量埋込材は一辺が上記φ程度のもの、カプセル状(円筒状)の軽量埋込材は、直径が上記φ程度で高さが直径と同じかそれより長いもの、好ましくは1.5〜3倍程度のもの、直方体状の軽量埋込材は、頂部(底部)の一辺の長さが上記φ程度で、その高さがφよりも長いもの、例えば1.5〜3倍程度のものをそれぞれ使用することも可能である。スラブの設計厚さ(225mm〜900mm)に応じて、これらの軽量埋込材から適当な形状及びサイズのものを選ぶことが可能である。
軽量埋込材2を取り付けるための連結基材4は、コンクリート打設の際に生じる強力な浮力や押圧力に耐える強度が要求されるため、例えば、図2に示したように、幅と厚みがある平板状部材であることがよく、好ましくは補強用リブ8を備えたものがよい。補強用リブ8は、鉄板等をプレス加工で山型に成形したものでもよいし、押出成形で連続突起としたものでもよい。平板状部材としては、上記したものの他、等間隔に打ち抜いた穴明き板を用いてもよいし、エキスパンドメタル等の目開き板を用いてもよい。
また、連結基材4には通常の鉄筋等を用いてもよい。鉄筋が一本の場合は、コンクリート打設の際これを軸として埋込材ユニットが回転するおそれがあるので、上端筋に溶接などで固定することがよい。好ましくは、例えば、2本の鉄筋を平行かつ接触させて並べて使用するのがよい。なお、いずれの連結基材も、強度があって加工容易な鉄製が好ましいが、硬質プラスチック成形品としてもよく、鉄とプラスチックとの複合製品としてもよい。
軽量埋込材2を連結基材4に固定する方法としては、強固に固定できる方法であれば限定されるものではないが、施工時の取り扱い性や固定の安定性を考慮したり、或いは複数の軽量埋込材2を上下方向に重ねて取り付けたりする場合を考慮すると、例えば以下のような取り付け方法を選択することができる。すなわち、図2に示すように、まず、連結基材4には、それに垂直かつ等間隔に複数のシャフト5を取り付ける。シャフト5の材質としては、連結基材4と同様のものを使用可能であるが、加工や取り付けを考慮すると共に、コンクリート打設時に受ける負荷により曲がったり破損したりしない材質を選択するのがよい。シャフト5を取り付ける手段としては、溶接、ネジ止め、又は一体成形など任意の手段を採用することができる。
次いで、このシャフト5に、中心部に貫通孔3を備えた軽量埋込材2を嵌め込むが、この場合、シャフト5は軽量埋込材2の中心部を貫通するのに十分な長さを有しているものがよく、使用する軽量埋込材2のサイズにより、シャフト5の長さや隣り合うシャフトの間隔等を適宜調整する。
また、シャフト5に軽量埋込材2を装着したのち、その下端にはストッパー6を取り付けることによって軽量埋込材2を固定することができる。ストッパー6の取り付け手段としてはとしては、例えば、シャフト5の全部又は一部にネジ切り加工を施しネジナットや蝶ナットで固定するか、或いは圧接留め具、プラスチック止め具なども使用することができる。ストッパー6と軽量埋込材2との間には、ワッシャー7を介在させるとよい。なお、底部に溝を備えた軽量埋込材を用いる場合は、溝の内部にストッパー6を取り付けることがよい。取り付けられた軽量埋込材は、シャフト5の長さ方向で任意に位置の調節が可能である。
本発明における埋込材ユニット1には、図1に示すように、各軽量埋込材2の下端部分の一部又は全部には、軽量埋込材2の位置ずれを防止するための位置ずれ防止材9を取り付ける。位置ずれ防止材9は、軽量埋込材2の下端部に取り付けられると共に他端を下端筋に固定されるものであれば限定されない。形状は、帯状、線状等であるのがよく、材質としては鉄、樹脂等を挙げることができるが、強度があって加工容易な鉄製が好ましい。なお、位置ずれ防止効果を発揮できるものであれば、加工性、耐久性、取り付け性、コスト等を考慮しながら適宜選択することができる。本願発明においては、具体的には、帯状の鉄製薄板を使用した。
この位置ずれ防止材9は軽量埋込材2の下端部分に直接取り付けることも可能であるが、その場合は軽量埋込材が破損する可能性があるので前記シャフトに取り付けるのが好ましく、むしろその方が運搬や施工性に都合がよい。例えば、位置ずれ防止材9の形状が線状等である場合には、前記シャフトの下端に巻き付けることによって取り付けることが可能である。また、位置ずれ防止材の形状が帯状等である場合には、当該位置ずれ防止材に貫通孔を設け、その貫通孔に前記シャフトの下端部を通し、下方より前記ワッシャー7やストッパー6と取り付けることにより、位置ずれ防止材9を軽量埋込材2とストッパー6とで挟んで固定することもできる。位置ずれ防止材9の形状を考慮して適宜選択することができる。
また、前記位置ずれ防止材9の他端は下端筋に固定する。位置ずれ防止材9の他端が固定されていれば、軽量埋込材2或いはシャフト5の下端部分も固定されるので、コンクリート打設時のコンクリートの強力な浮力や押圧力を受けたとしても、下端部分が変形したり、軽量埋込材を取り付けた連結基材全体の位置がずれたり、或いは、連結基材を取り付けた上端筋の構造に歪みなどが生じることを有効に防止できる。
また、位置ずれ防止材9を下端筋に取り付ける方法としては、結果として軽量埋込材の下端部が位置ずれ防止材9を介して下端筋に固定されるものであればよいため限定されないが、例えば、埋込材ユニット1を配置する前に、予め軽量埋込材2の下端部に位置ずれ防止材9を取り付けておき、埋込材ユニットを配置した後であってコンクリート打設を行う前に、鉄筋構造体の上から腕を延ばして位置ずれ防止材9の先端を曲げながら下端筋に引っ掛けて固定することができる。本発明では、具体的に、前記の通りの方法により行った。
[実施例1]
次に、このような埋込材ユニット1を用いて、本発明のコンクリート基盤を施工するための方法について、具体的に中空スラブの施工方法を例に説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態の中空スラブを示す平面図、図4は、図3のA−A線における垂直断面図、図5は、図3のB−B線における垂直断面図である。なお、いずれの図面もコンクリートは省略されている。
次に、このような埋込材ユニット1を用いて、本発明のコンクリート基盤を施工するための方法について、具体的に中空スラブの施工方法を例に説明する。
図3は、本発明の第1の実施の形態の中空スラブを示す平面図、図4は、図3のA−A線における垂直断面図、図5は、図3のB−B線における垂直断面図である。なお、いずれの図面もコンクリートは省略されている。
現場施工による中空スラブ10の施工方法は、次に示す手順で行った。
まず、下型枠11を設置し、この上に下端筋12a及び12aに直交する下端筋12bをそれぞれ平行に配筋した後、所定の間隔をとって、同様に上端筋13a及び13bを配筋する。これらにより鉄筋構造体が形成され、鉄筋構造体の中には格子状に仕切られた空間部分14が多数形成される。
まず、下型枠11を設置し、この上に下端筋12a及び12aに直交する下端筋12bをそれぞれ平行に配筋した後、所定の間隔をとって、同様に上端筋13a及び13bを配筋する。これらにより鉄筋構造体が形成され、鉄筋構造体の中には格子状に仕切られた空間部分14が多数形成される。
埋込材ユニット1は、予め準備しておいた。先ず、図2に示すように補強リブ8を備えた鉄板に鉄製のシャフト5を取り付けて連結基材4とし、次いで、この連結基材4の各シャフトに球状の軽量埋込材2を1つずつ取り付けた。一方、帯状の鉄製薄板からなる位置ずれ防止材9には貫通孔を設け、その貫通孔に前記シャフトの下端部を通し、下方より前記ワッシャー7やストッパー6と取り付けることにより、軽量埋込材2と位置ずれ防止材9を連結基材4に固定し、埋込材ユニット1とした。
配筋工事が終了後、軽量埋込材2が下側になるように前記埋込材ユニット1の連結基材4を上端筋13bに載せて、軽量埋込材2を鉄筋構造体中の空間部分14内の所定位置に配置した。連結基材4と上端筋13bとは、鉄製線材からなる結束材15で固定した。他の埋め込み材ユニットについても同じ作業を繰り返すことにより、全ての軽量埋込材をスラブ内に配置した。
次いで、スラブ内に配置された軽量埋込材2の下端部分に取り付けられた位置ずれ防止材9をそれぞれ連結基材4の長さ方向と直角方向になるように下端筋12aに固定したが、下端筋12aへの取り付け方法については、位置ずれ防止材9の先端を曲げながらこれを下端筋に引っ掛けることにより行った。
位置ずれ防止材9の固定作業が終了後、これにコンクリート打設を行う。コンクリート打設は通常の方法及び手順にて行った。コンクリート打設を行っている最中は、コンクリートの強力な浮力や押圧力が発生し、スラブ内に配置した多数の軽量埋込材は強い負荷を受けていたが、軽量埋込材の下端が位置ずれ防止材により効果的に固定されているため、予め配置した所定の位置からずれることは無かった。
コンクリート打設作業が終了した後は、通常の方法で養生を行い、下型枠11から鉄筋ストッパーのアンカーを取り外し、最後に下型枠11を撤去することにより、中空スラブ10を得た。
[実施例2]
次に、本発明の第2の実施の形態の中空スラブを示す。この中空スラブでは、軽量埋込材が埋込材ユニットの各シャフトに対して2つ重ねて取り付けられている。
図6は、この場合の中空スラブ示す垂直断面図であり、これは、図3のB−B線における垂直断面図に相当するものである。なお、この図6においても、コンクリートは省略されている。
次に、本発明の第2の実施の形態の中空スラブを示す。この中空スラブでは、軽量埋込材が埋込材ユニットの各シャフトに対して2つ重ねて取り付けられている。
図6は、この場合の中空スラブ示す垂直断面図であり、これは、図3のB−B線における垂直断面図に相当するものである。なお、この図6においても、コンクリートは省略されている。
実施例1の場合と同様に、埋込材ユニット1を予め準備した。先ず、同じように連結基材4を準備したが、シャフト5は、軽量埋込材が2つ取り付け可能な程度の十分な長さのものを用いた。次いで、この連結基材4の各シャフトに軽量埋込材2を2つずつ取りつけた以外は、実施例1と同じように位置ずれ防止材9を取り付け、最後に、ワッシャー7とストッパー6を用いてこれらを固定した。
埋込材ユニット1を準備した後は、実施例1と同じ方法で施工を行い、中空スラブ10を得た。
[実施例3]
次に、本発明の第3の実施の形態の中空スラブを示す。この中空スラブでは、各連結基材に取り付けられた球状の軽量埋込材の径が、連結基材ごとに異なっている。この施工例では、スラブの上面が傾斜を有している。
図7は、この場合の中空スラブ示す垂直断面図であり、図3のB−B線における垂直断面図に相当するものである。なお、この図7においても、コンクリートは省略されている。
次に、本発明の第3の実施の形態の中空スラブを示す。この中空スラブでは、各連結基材に取り付けられた球状の軽量埋込材の径が、連結基材ごとに異なっている。この施工例では、スラブの上面が傾斜を有している。
図7は、この場合の中空スラブ示す垂直断面図であり、図3のB−B線における垂直断面図に相当するものである。なお、この図7においても、コンクリートは省略されている。
埋込材ユニット1は、基本的には実施例1の場合と同様の方法で準備したが、取り付けられている軽量埋込材2の径が埋込材ユニットごとに異なるようにした。そして、図7に示すように、軽量埋込材2の径がスラブ上面の傾斜に合わせて大きくなるよう、埋込材ユニット1の配置方法を決めた。
埋込材ユニット1を前記のように準備した後は、スラブの傾斜に合わせて配筋工事を行い、次いで、実施例1と同じ方法で埋込材ユニット1を配置したが、前記の通り、スラブ上面の傾斜に合わせて軽量埋込材2の径が大きくなるよう埋込材ユニット1を配置した。その後は、実施例1と同じ方法で施工を行い、中空スラブ10を得た。
[実施例4]
次に、本発明の第4の実施の形態の中空スラブを示す。この中空スラブでは、異なる直径を有する複数の球状軽量埋込材が、各埋込材ユニットに取り付けられている。この施工例においても、実施例3と同様に、スラブの上面が傾斜を有している。
図8は、この場合の中空スラブ示す垂直断面図であり、図3のA−A線における垂直断面図に相当するものである。なお、この図8においても、コンクリートは省略されている。
次に、本発明の第4の実施の形態の中空スラブを示す。この中空スラブでは、異なる直径を有する複数の球状軽量埋込材が、各埋込材ユニットに取り付けられている。この施工例においても、実施例3と同様に、スラブの上面が傾斜を有している。
図8は、この場合の中空スラブ示す垂直断面図であり、図3のA−A線における垂直断面図に相当するものである。なお、この図8においても、コンクリートは省略されている。
埋込材ユニット1は、基本的には実施例1の場合と同様の方法で準備したが、各埋込材ユニットには、異なった直径を有する球状の軽量埋込材2を複数取り付けた。そして、図8に示すように、スラブ上面の傾斜に合わせて軽量埋込材2の径が大きくなるよう埋込材ユニット1の配置方法を決めた。
埋込材ユニット1を前記のように準備した後は、スラブの傾斜に合わせて配筋工事を行い、次いで、実施例3と同じ方法で埋込材ユニット1を配置した。その後は、実施例3と同じ方法で施工を行い、中空スラブ10を得た。
本発明の中空コンクリート基盤は、上階と下階との間に設置する床スラブのみならず、最下階に設置する基礎や、垂直に立設する壁スラブとしても用いることができ、いずれも本発明に属する。また、厚さ350mmを超えるような極厚スラブは、集合住宅の床スラブのみならず、大荷重がかかる倉庫などの床スラブとしても好適である。
1:埋込材ユニット、2:軽量埋込材、3:貫通孔、4:連結基材、5:シャフト、6:ストッパー、7:ワッシャー、8:補強用リブ、9:位置ずれ防止材、10:中空スラブ、11:下型枠、12a,12b:下端筋、13a,13b:上端筋、14:空間部分、15:結束材
Claims (8)
- 中空スラブ又は中空基礎を構成する中空コンクリート基盤の施工方法であって、
施工現場には下端筋と上端筋とを互いに所定の間隔で配筋して構成された鉄筋構造体を配設し、この鉄筋構造体が形成する空間部内に多数の軽量埋込材を配置し、コンクリートを打設して多数の軽量埋込材を埋設した中空コンクリート基盤を施工するに際し、
前記多数の軽量埋込材は、互いに等間隔で配列させた複数の軽量埋込材と、これら複数の軽量埋込材の上端部分を互いに連結する連結基材と、一端が前記各軽量埋込材の一部又は全部の下端部分に固定された位置ずれ防止材とで形成された複数の埋込材ユニットに形成されており、
前記鉄筋構造体の空間部内に多数の軽量埋込材を配置する際には、前記各埋込材ユニットを鉄筋構造体の上方から配置して前記連結基材を上端筋に固定するとともに、前記位置ずれ防止材の他端を下端筋に固定することを特徴とする中空コンクリート基盤の施工方法。 - 前記埋込材ユニットにおいて、連結基材には所定の間隔で複数のシャフトが取り付けられており、このシャフトに軽量埋込材が取り付けられている請求項1に記載の中空コンクリート基盤の施工方法。
- 前記各軽量埋込材は、前記シャフトの長さ方向位置調節可能に取り付けられている請求項2に記載の中空コンクリート基盤の施工方法。
- 前記位置ずれ防止材は、前記シャフトに取り付けられている請求項2又は3に記載の中空コンクリート基盤の施工方法。
- 前記各軽量埋込材は、前記シャフトに2つ以上を重ねて取り付けられている請求項2〜4のいずれかに記載の中空コンクリート基盤の施工方法。
- 前記軽量埋込材が球状体である場合、前記埋込材ユニットの軽量埋込材には異なった直径を有する軽量埋込材が含まれる請求項1〜5のいずれかに記載の中空コンクリート基盤の施工方法。
- 前記位置ずれ防止材は、前記連結基材の長さ方向に対して直角方向に延びてその下端が前記下端筋に固定される1〜6のいずれかに記載の中空コンクリート基盤の施工方法。
- 中空コンクリート基盤が中空基礎を構成する場合、地盤上に捨コンクリートを施設し、この捨コンクリートの上に中空コンクリート基盤を施工する請求項1〜7のいずれかに記載の中空コンクリート基盤の施工方法。
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- 2012-02-13 JP JP2012028788A patent/JP2013163954A/ja active Pending
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