JP2013160749A - 回転機械の設備診断方法及び設備診断装置 - Google Patents

回転機械の設備診断方法及び設備診断装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013160749A
JP2013160749A JP2012025822A JP2012025822A JP2013160749A JP 2013160749 A JP2013160749 A JP 2013160749A JP 2012025822 A JP2012025822 A JP 2012025822A JP 2012025822 A JP2012025822 A JP 2012025822A JP 2013160749 A JP2013160749 A JP 2013160749A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotating machine
output
signal
unit
recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012025822A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiko Henmi
信彦 辺見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinshu University NUC
Original Assignee
Shinshu University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinshu University NUC filed Critical Shinshu University NUC
Priority to JP2012025822A priority Critical patent/JP2013160749A/ja
Publication of JP2013160749A publication Critical patent/JP2013160749A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 複雑な処理を必要としない簡易な構成で、リアルタイムに診断が可能な回転機械の設備診断方法及び設備診断装置を提供する。
【解決手段】 運転条件と使用している軸受寸法諸元から予めわかっている転動体が軸受傷を通過する周期T0の値を算出しておき、微小な負のオフセットV0を与えたジャークセンサや加速度センサの出力信号を、そのまま微小な正のオフセットV1を与えたピークホールド回路を通過させ、そのピークホールド回路出力波形を時間間隔T0ごとに分けて保存し、それらを乗算する。そして乗算した時間波形に際立ったピークを認識することにより、損傷の有無や判定し、これを作業者に通知する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、転がり軸受等の回転機械に発生した摩耗や損傷を検出する新規な回転機械の設備診断方法及び設備診断装置に関する。
現在、車両や発電機等の機械設備では、軸受、カム、歯車等の回転機械が数多く用いられている。これらの回転機械は、当該設備において重要な役割を担っている一方、その稼動時には常に大きな負荷がかかり、傷や磨耗、異物混入などの異常が発生しやすい。このため、機械設備中の回転機械の状態管理は、設備の正常で安全な運転のためには欠かせず、その設備診断方法については重大な関心事である。
上記回転機械の設備診断に、現在最も汎用的に使用されているのが振動信号である。振動信号は、損傷のある転がり軸受が受ける機械的衝撃により一定周期でパルス状に発生する振動を検出するもので、回転機械の稼働中の異常を高精度に検出することができるため、広く採用されている。
設備診断のために振動信号を検出する方法としては、回転機械の亀裂等により発生するアコースティックエミッションを検出する方法(特許文献1、2)や、加速度センサにより検出する方法(特許文献3)、発生した振動信号の共振(ショックパルス)により振動を検出する方法(特許文献4)、超音波センサを用いて検出する方法等について報告がある(特許文献5)。
その他、回転機械の診断方法としては、回転機械に具備された電動機の電流値の変化を検出することにより診断を行う方法(特許文献6)や、ひずみゲージと変位計を用いて異常を検出する方法についての報告がある(特許文献7)。
特開昭63−304128号公報 特開2006−226731号公報 特開平3−221818号公報 特開2003−35632号公報 特開2007−192828号公報 特開平11−326147号公報 特開2009−243908号公報
上記の設備診断方法では、例えば、転がり軸受の診断を行う際には、フレーキング(長期間あるいは高負荷使用時の軸受面のヘタリによる部分的剥離損傷)等の損傷が転がり軸受の軸受面にある場合、その傷を転動体が通過する度に生じるパルス状の振動に着目して診断を行う。ただし、このパルス状の振動は、着目している損傷によってのみ発生するわけではなく、回転中の保持器(リテーナ)や転動体の瞬間的なずれ等、様々な原因によって似たようなパルス状のノイズ振動が発生するため、振動を用いた設備診断方法では、軸受の損傷による振動と、ノイズとを適切に弁別する必要があるという課題がある。
また、回転機械が低速回転している場合や、軸受の損傷が軽微な場合等は、軸受自体が励振されるエネルギーが小さいため、軸受構造の固有振動成分は殆ど現れず、設備診断装置により検出される異常振動の強度が、ノイズの強度に対して相対的に低くなる、つまりS/N比が悪くなっており、従来のような軸受固有振動数付近に帯域幅を持つバンドパスフィルタを併用した設備診断装置では、こうした場合に目的とするパルス状信号を適切に抽出するのが困難であるという課題がある。
また、上記の診断方法では、パルス状信号を認識するのに閾値を設けてピーク強度が閾値を超えたかどうかにより判定しているため、得られる振動信号のピーク強度が閾値以下となるような軽微な損傷の場合には、パルス状信号を認識するのに十分なピーク強度が得られず、パルスの抽出が困難であるという課題があった。
また、従来の設備診断方法では、設備診断装置が検出した振動信号の処理を行うのに、エンベロープ処理や高速フーリエ変換等の複雑な信号処理を施す必要があった。このため、診断の精度は確保されるものの、装置が複雑になると同時に、その処理により多くの時間が必要となるため、対象設備の稼働現場でリアルタイムに設備診断を行いたいという要望に応えるのが困難であるという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、回転機械が低速回転する場合や、損傷度合いが小さい場合等の異常振動のレベルが小さく、また信号のS/N比が悪い場合であっても、高精度に回転機械の異常を検出できる回転機械の設備診断方法及び設備診断装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、廉価な部材を用いることが可能で、かつ簡易な構成によりリアルタイムな診断を可能とする回転機械の設備診断方法及び設備診断装置を提供することである。
即ち、本発明は、回転機械から発せられる振動を検出するための検出ステップと、前記検出ステップの出力の裾野を拡げるための波形整形ステップと、前記波形整形ステップの出力を記録する記録ステップと、前記記録ステップで記録された信号から、回転機械の損傷を示す所定の信号を抽出する信号処理ステップと、を備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記検出ステップの前工程として、回転機械の仕様と運転条件から、傷通過周期、波形整形ステップにおいて用いる時定数を算出する条件設定ステップと、をさらに備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記検出ステップにおいては、出力される信号がゼロに対して一方にオフセットされ、前記波形整形ステップにおいては、出力される信号がゼロに対して他方にオフセットされることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記信号処理ステップは、前記記録ステップで記録された信号を傷通過周期に対応する時間で分割する分割ステップと、前記分割ステップで分割された信号同士を乗算する一括乗算ステップと、を備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記信号処理ステップは、前記記録ステップにおいて前記傷通過周期の時間分だけ記録された信号と、新たに前記波形整形ステップから前記傷通過周期の時間分だけ出力された信号と乗算する処理を繰り返す随時乗算ステップと、を備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記検出ステップの出力は電流値であって、前記検出ステップの出力を増幅するための電流増幅ステップと、をさらに備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記傷通過周期が、検出対象の数に応じて複数設けられていることを特徴とする。
また、別の本発明は、回転機械から発せられる振動を検出するための検出部と、前記検出部の出力の裾野を拡げるための波形整形部と、前記波形整形部の出力を記録する記録部と、前記記録部で記録された信号から、回転機械の損傷を示す所定の信号を抽出する信号処理部と、を備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記検出部は、圧電素子と電流アンプを有するジャークセンサを備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記波形整形部は、ピークホールド回路を備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記信号処理部は、前記記録部で記録された信号を傷通過周期に対応する時間で分割する分割部と、前記分割部で分割された信号同士を乗算する一括乗算部と、を備えることを特徴とする。
また、前記信号処理部は、前記記録部に前記傷通過周期の時間分だけ記録された信号と、新たに前記波形整形部から前記傷通過周期の時間分だけ出力された信号とを乗算する随時乗算部と、を備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記波形整形ステップと前記記録ステップと前記信号処理ステップとの機能を実現するためのコンピュータプログラムである。
また、別の本発明は、回転機械から発せられる振動を検出するための検出部と、前記コンピュータプログラムを実行するためのコンピュータを備えることを特徴とする。
本発明は、損傷した回転機械が一定速度で回転する際に、転動体が傷を通過するタイミングにあわせて、一定周期でパルス状の振動が発生するという知見に基づく。
本発明に係る設備診断方法及び設備診断装置は、その基礎となる考え方が、デジタル信号処理で行われている2つの数値での同じビットを抽出するNAND(排他的論理積)と同じであり、万人に理解できる簡単かつ確実な方法である。このため、本発明に係る設備診断方法及び設備診断装置は、回転機械を用いる産業分野全般(軸、工作機械、製鉄、圧延機械、減速機、ポンプ等)、転がり軸受分野、特に製鉄関連企業では設備保全と安全運転が重要であるため好適に適用が可能である。
また、本発明に係る設備診断方法及び設備診断装置は、振動検出にジャークセンサのような高感度なセンサを用いたり、乗算するときに0にしないようにするためのオフセットを設けたり、軸受の転動体の位置変動に対応するようにそれに応じた時定数のピークホールド回路に検出信号を通す等の工夫をすることにより、機械の低速回転時等、損傷による異常振動の信号レベルの大小にかかわらず高精度に診断することが可能になる。
また、本発明における信号処理部においては、記録部により記録された出力信号を、回転機械の速度や周期に応じた一定の時間分に区切り、それを重ねあわせ乗算する処理を行う事ができるが、その他の態様として、同様の効果が得られる処理であれば、適宜選択可能である。例えば、記録部に、回転機械の速度や周期に応じた一定の時間分のみの信号を記録しておき、新たに出力された振動信号を随時これに乗算していくような処理も適用可能である。なお、この随時乗算を行う方式を採用した場合は、回転機械が低速回転で運転されている際に、検出部のサンプリングの間隔によっては、取得される信号数が膨大な量になるため、こうした場合に記録部の容量を節約できる点で好適である。
本発明に係る設備診断方法及び設備診断装置によれば、高速フーリエ解析やウェーブレット解析等の時間のかかる周波数分析や、複雑なフィルタリング処理などを必要としない簡易な構成で、リアルタイムに診断が可能な回転機械の設備診断方法及び設備診断装置を提供することが可能になる。
設備診断装置を示す概観図である。 チャージアンプと電流アンプの出力、及び電流アンプの出力をピークホールド回路で処理した出力の波形の図である。 回転速度が40rpmの場合の、ピークホールド回路の出力を重ね合わせた図である。 回転速度が40rpmの場合の、波形乗算を行った結果の図である。 本発明の一実施例の処理手順を例示するためのフローチャートである。 回転速度が20rpmの場合の、電流アンプからの出力波形の図である。 回転速度が20rpmの場合の、ピークホールド回路からの出力波形の図である。 回転速度が20rpmの場合の、ピークホールド回路の出力を重ねあわせたグラフである。 回転速度が20rpmの場合の、図8で重ねあわせたそれぞれの波形の乗算を行った出力の結果のグラフである。 回転速度が10rpmの場合の、電流アンプからの出力波形の図である。 回転速度が10rpmの場合の、ピークホールド回路からの出力波形の図である。 回転速度が10rpmの場合の、ピークホールド回路の出力を重ねあわせたグラフである。 回転速度が10rpmの場合の、図12で重ねあわせたそれぞれの波形の乗算を行った出力の結果のグラフである。 時定数を50ミリ秒とした場合の、ジャークセンサからの出力波形及びピークホールド回路からの出力波形の図である。 時定数を50ミリ秒とした場合の、波形を重ねあわせた波形の図である。 時定数を50ミリ秒とした場合の、乗算処理を行った結果の出力波形の図である。 時定数を12.5ミリ秒とした場合の、ジャークセンサからの出力波形及びピークホールド回路からの出力波形の図である。 時定数を12.5ミリ秒とした場合の、波形を重ねあわせた波形の図である。 時定数を12.5ミリ秒とした場合の、乗算処理を行った結果の出力波形の図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(装置の構成)
図1は、外輪に傷の入った軸受が回転する際にそれによって発生する異常振動を圧電センサによって検出する装置を示す図である。サーボモータ40は回転軸とカップリング30で繋がれており、このモータ40を回転させて回転軸に動力を伝達し、傷がある軸受と共に回転させる。この軸受が回転する際に、軸受内のころが外輪の傷に当たることによって励起される振動を、センサ台に取り付けたセンサ10によって検出、出力し、必要に応じて電流アンプ50で増幅する。測定した出力信号はピークホールド回路60を通過した後、レコーダ70に記録し、適宜、信号処理部80で処理を行う。
使用する軸受20は外径47mm、内径20mmの円錐ころ軸受である。転動面の損傷を模擬して軸受の外輪の内側円錐斜面に沿って、けがき傷を1か所つける。これにより転動体のころがその傷を乗り越える度にパルス状の振動が発生することになる。
また、本実施例では、転動体の位置ずれ等により、パルス状信号の周期に生じるばらつきを吸収するため、検出した振動信号をピークホールド回路60で処理する。これにより、全てのパルス状信号が0に戻るときの時間を遅らせて、パルス波の時間波形の裾野を拡げる。この際、各転動体の位置ずれが発生するだけの時間幅を含む程度にピークホールド回路60の時定数を調整する必要がある。時定数の調整では、診断対象となる回転機械の転動体の位置ずれの程度によって異なるが、概ね転動体が傷を通過する周期(傷通過周期)に対して、転動体の位置ずれによる最大時間変動幅分程度(±0.1%〜±10.0%)が好適である。なお、本実施例では、ピークホールド回路60の時定数は、軸受のころの隙間内移動による傷通過周期の変動分を約±5%と設定し、軸受の回転数が40rpmの場合の傷評価周期の約10%に相当する25ミリ秒になるように調節している。ただし、本発明に係る設備診断方法及び設備診断装置は、診断対象とする回転機械の回転速度を40rpmに限定するものではなく、これより低回転であっても、好適に適用することが可能であり、逆に回転速度が40rpmより高速な場合(例えば1,000rpm)であれば、さらにS/N比の良い信号が得られるため、当然に適用可能である。
(診断の手順)
図5は、本実施例による診断手順のフローチャートを示す。具体的には以下のとおりである。
(1)まず始めに軸受内の隣り合う転動体が傷を通過する周期(ここでは傷通過周期と呼ぶことにし、T0と略記する。)の公称値を求めておく。これは軸の運転回転数と軸受の型式(内輪と外輪の大きさ、転動体の数)により求まる値であるため、対象の機械の仕様と運転条件が不明でなければ予め把握することが可能である。この条件設定については、条件設定ステップとして発明中の構成に加えても良い。
(2)センサで連続的に計測された回転機械の長時間振動波形を検出する(S104)。検出には、高周波帯域における感度が高いセンサであれば、AEセンサや、加速度センサ、加加速度センサ(ジャークセンサ)等を適宜選択して適用可能である。なお、本実施例においては、圧電素子と電流アンプを組み合わせて、高周波領域を高感度に検出可能なジャークセンサを構成している。検出のサンプリングレートは、診断対象の回転機械の種類に応じて適宜調整可能であるが、概ねセンサの固有振動数の2.5倍程度であることが望ましい。例えば、センサの固有振動数が40kHzである場合には、100kHz程度に設定されると好適である。なお、検出の際には、もとのセンサ信号の0V付近の定常ノイズ分がピークホールド回路出力に乗らないように、センサ出力にノイズ分の微小な負のオフセット電圧(ここではV1と略記する。)を設定しておく。なお、この微小オフセットV1の役割に相当する定数加算処理は、後述(4)の乗算処理の直前に設けても良い。
(3)転がり軸受の転動体は正確な一定時間間隔で軸受傷を通過するのではなく、リテーナとの隙間分のガタを主原因として、その傷通過周期はやや変動する。そのため、そのような変動があっても乗算処理により値を保持させるために、変動分を含む程度の復帰時定数(ここではT1と略記する。)を有するピークホールド回路にセンサ信号を入力し、ピークの裾野を拡げる(S106)。診断の際には、傷が小さい場合や低速回転時の場合は軸受損傷による振動レベルがセンサに検出できない大きさにまで小さくなる場合も時折出るため、そのままゼロレベルの信号を乗算したのでは、一度でも信号が載らないとその後は全てゼロになってしまうため、ゼロにしないようにピークホールド回路の出力信号には予め故意に微小なオフセット電圧(ここではV0と略記する。)を与えておく。
(4)上述の傷通過周期T0の区間で区切って記録し(S108)、各区間の開始時間から終了時間までのセンサ出力波形の積(乗算値)を取る(S110)。そうすることによってT0に同期しないパルスは相対的に小さな値にし、同期したパルス列のみを相対的に大きな値として抽出することができる。
(5)以上の一連の処理の選択、組合せにより、軸受に傷が1箇所に入っている場合は、1個の顕著な大きさのパルス状波形が残ることになる。また、傷が複数ある場合には、このパルス状波形は複数表れることになる。こうして認識されたパルス状信号は、軸受の損傷として判定し、作業者に通知されることとなる。認識されたパルス状の信号について損傷であるか否かの判定を行う判定部または判定ステップや、認識結果、判定結果について、作業者に通知する通知部または結果通知ステップについて、新たな構成として発明の要件として加えても良いし、新たな発明として構成しても良い。また、上記の一連の処理を自動、または手動で制御するための、例えばコンピュータなどの制御部または制御手段を新たな構成として発明の要件として加えても良い。
(電流アンプとチャージアンプによる出力比較)
図2は、軸受の回転数が40rpmの場合のチャージアンプの出力波形(a)と、電流アンプ出力の波形(b)、電流アンプ出力をピークホールド回路処理した後の波形(c)である。チャージアンプの出力が通常の加速度センサの出力に相当する。図2(a)、図2(b)において、スパイク状のパルス波形部分が軸受のころと外輪の傷が接触したときに生じた振幅である。これらを比較すると、図2(a)のチャージアンプでは傷によるパルス波形が出ている部分とそうでない部分があり、周期的なパルス波形とはなっていないが、図2(b)の電流アンプでは傷によるパルス波形をしっかりと大きな振幅で出力していることが認められる。周期的でない部分の波形はリテーナが移動する際に発生するノイズ振動であると思われる。周期的なパルス波形のわずかなずれは、「ころ」と当該「ころ」を保持しているリテーナとの間にわずかな隙間があるため回転時に「ころ」が移動することで生じる時間変動であると考えられる。
(ピークホールド回路による波形乗算)
図2(c)は、図2(b)の電流アンプ出力による波形をピークホールド回路に入力した場合の出力波形である。図から、ピークホールド回路により出力された波形が、電流アンプの波形のピーク値をよく保持していることがわかる。また、図3は、図2(c)の波形を傷評通過期である0.258秒で分割して重ね合わせたものであり、それらを乗算した結果が図4である。図から、傷通過周期で分割した波形を乗算することにより、傷通過1周期分に1回の同期的なパルスが存在することが明確に表れていることが認められる。以上の結果から、本実施例に係る回転機械の設備診断方法によれば、軸受の損傷を正しく検出することが可能なことが認められる。
(低速回転時のパルス検出実験)
本発明に係る設備診断方法によれば、診断対象となる回転機械の回転速度が100rpm以下の低速回転を行っている場合であっても好適に適用が可能である。この点につき検証を行うため、回転機械の回転速度を20rpm、10rpmのそれぞれの場合について、損傷の検出を行った。診断対象である回転機械の回転速度が遅くなると、傷通過周期はそれに合わせて長くなり、例えば、回転数が20rpmの時には、0.516秒になり、回転数が10rpmの時には、1.032秒になる。これに合わせて、実験の際には、ピークホールド回路の時定数を、回転速度が20rpmの時は、50ミリ秒、同じく10rpmの時は100ミリ秒にそれぞれ設定した。その他の条件(傷の数等)や使用機材等は、上記40rpmの場合と同様である。
図6は、回転速度が20rpmの場合の、電流アンプからの出力波形を示す。観測時間が長く、データ数が多くなったため、グラフは2つに分離されている。図から、40rpmの場合の信号と比較して、ピーク強度が低くなっていることが認められる。
図7は、回転速度が20rpmの場合の、ピークホールド回路からの出力波形を示す。グラフを2つに分離している点は上記と同様である。
図8は、回転速度が20rpmの場合の、ピークホールド回路の出力を重ねあわせたグラフを示す。また、図9は、重ねあわせたそれぞれの波形の乗算を行った出力の結果のグラフを示す。図から、回転数が20rpmであっても、ピークホールド回路の時定数も適切な値に変更することで、傷通過周期当たり一つのパルス状波形が得られることが認められる。
図10は、回転速度が10rpmの場合の、電流アンプからの出力波形を示す。観測時間が長く、データ数が多くなったため、グラフは2つに分離されている。図から、40rpmの場合の信号と比較して、ピーク強度が低くなっていることが認められる。
図11は、回転速度が10rpmの場合の、ピークホールド回路からの出力波形を示す。グラフを2つに分離している点は上記と同様である。
図12は、回転速度が10rpmの場合の、ピークホールド回路の出力を重ねあわせたグラフを示す。また、図13は、重ねあわせたそれぞれの波形の乗算を行った出力の結果のグラフを示す。図13においては、波形が一周期に届かない不足部分を継続した一次遅れ曲線で補間して乗算を行っている。図から、回転数が10rpmであっても、ピークホールド回路の時定数も適切な値に変更することで、傷通過周期当たり一つのパルス状波形が得られることが認められる。以上の結果から、本実施例に係る回転機械の設備診断方法によれば、診断対象の回転機械の回転速度が低速であり、信号のS/N比が悪い場合であっても、正しく回転機械の損傷を検出、認識することが可能であると認められる。
(ピークホールド回路の時定数変更)
本実施例に係る設備診断方法では、センサによって検出された信号をピークホールド回路により処理することで、リテーナとのがたつきによる傷通過周期の変動を吸収している。この際、ピークホールド回路の時定数は、回転機械の回転数や、傷通過周期等によって適切に調整される必要がある。この点につき検証を行うため、ピークホールド回路の時定数を変更して、結果の検証を行った。使用した軸受は外径47mm、内径20mmの円錐ころ軸受であり、回転速度は40rpmである。
図14は、時定数を50ミリ秒とした場合の、ジャークセンサからの出力波形及びピークホールド回路からの出力波形を示す。また、図15、図16は、図14の波形について、それぞれ重ねあわせた波形と、乗算処理を行った結果の出力波形を示す。図から、時定数が長すぎると、波形に目的とする傷以外の原因によるパルス状ノイズ振動波形が含まれて、複数のパルスが表れてしまうことが認められる。
図17は、時定数を12.5ミリ秒とした場合の、ジャークセンサからの出力波形及びピークホールド回路からの出力波形を示す。また、図18、図19は、図17の波形について、それぞれ重ねあわせた波形と、乗算処理を行った結果の出力波形を示す。図から、時定数が短すぎると、傷通過周期の変動分による振動が別のピークとして現れてしまい、同一の傷によるパルス状振動であるにもかかわらず、複数のパルス状信号に分かれてしまうことが認められる。以上の結果から、本実施例におけるピークホールド回路の時定数は、本実施例に係る設備診断方法が正しく機能を実現させるためには適切な値に設定しておく必要があると認められる。
(その他)
本実施例では、転がり軸受のフレーキングのような軸受面に発生した損傷について例示したが、その他の場合でも転動体に傷が入った場合には転動体の転がり周期を処理周期T0にすれば、同じように転動体の傷であることも判別することが可能である。
本実施例に係る設備診断方法は周期的パルス状信号を抽出しているので、玉軸受、ころ軸受、針状ころ軸受、円錐ころ軸受、球面ころ軸受、スラスト軸受等の様々な軸受けの診断に好適に適用可能である。また、転がり軸受だけでなく、歯車の損傷やカムの損傷等の、予め周期を把握可能なパルス状異常振動信号が発生する様々な回転機械に対して、効果的に診断を行うことが可能である。
10 センサ
20 ベアリング
30 カップリング
40 モータ
50 電流アンプ
60 ピークホールド回路
70 レコーダ
80 信号処理部

Claims (14)

  1. 回転機械から発せられる振動を検出するための検出ステップと、
    前記検出ステップの出力の裾野を拡げるための波形整形ステップと、
    前記波形整形ステップの出力を記録する記録ステップと、
    前記記録ステップで記録された信号から、回転機械の損傷を示す所定の信号を抽出する信号処理ステップと、
    を備えることを特徴とする回転機械の設備診断方法。
  2. 前記検出ステップの前工程として、回転機械の仕様と運転条件から、傷通過周期、波形整形ステップにおいて用いる時定数を算出する条件設定ステップと、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の回転機械の設備診断方法。
  3. 前記検出ステップにおいては、出力される信号がゼロに対して一方にオフセットされ、前記波形整形ステップにおいては、出力される信号がゼロに対して他方にオフセットされることを特徴とする請求項1または2に記載の回転機械の設備診断方法。
  4. 前記信号処理ステップは、
    前記記録ステップで記録された信号を傷通過周期に対応する時間で分割する分割ステップと、
    前記分割ステップで分割された信号同士を乗算する一括乗算ステップと、
    を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の回転機械の設備診断方法。
  5. 前記信号処理ステップは、
    前記記録ステップにおいて前記傷通過周期の時間分だけ記録された信号と、新たに前記波形整形ステップから前記傷通過周期の時間分だけ出力された信号と乗算する処理を繰り返す随時乗算ステップと、
    を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の回転機械の設備診断方法。
  6. 前記検出ステップの出力は電流値であって、
    前記検出ステップの出力を増幅するための電流増幅ステップと、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の回転機械の設備診断方法。
  7. 前記傷通過周期が、検出対象の数に応じて複数設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の回転機械の設備診断方法。
  8. 回転機械から発せられる振動を検出するための検出部と、
    前記検出部の出力の裾野を拡げるための波形整形部と、
    前記波形整形部の出力を記録する記録部と、
    前記記録部で記録された信号から、回転機械の損傷を示す所定の信号を抽出する信号処理部と、
    を備えることを特徴とする回転機械の設備診断装置。
  9. 前記検出部は、圧電素子と電流アンプを有するジャークセンサを備えることを特徴とする請求項8記載の回転機械の設備診断装置。
  10. 前記波形整形部は、ピークホールド回路を備えることを特徴とする請求項8または9記載の回転機械の設備診断装置。
  11. 前記信号処理部は、
    前記記録部で記録された信号を傷通過周期に対応する時間で分割する分割部と、
    前記分割部で分割された信号同士を乗算する一括乗算部と、
    を備えることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項記載の回転機械の設備診断装置。
  12. 前記信号処理部は、
    前記記録部に前記傷通過周期の時間分だけ記録された信号と、新たに前記波形整形部から前記傷通過周期の時間分だけ出力された信号とを乗算する随時乗算部と、
    を備えることを特徴とする請求項8から11のいずれか1項記載の回転機械の設備診断装置。
  13. 前記波形整形ステップと前記記録ステップと前記信号処理ステップとの機能を実現するためのコンピュータプログラム。
  14. 回転機械から発せられる振動を検出するための検出部と、
    請求項13記載のプログラムを実行するためのコンピュータを
    備えることを特徴とする回転機械の設備診断装置。
JP2012025822A 2012-02-09 2012-02-09 回転機械の設備診断方法及び設備診断装置 Pending JP2013160749A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012025822A JP2013160749A (ja) 2012-02-09 2012-02-09 回転機械の設備診断方法及び設備診断装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012025822A JP2013160749A (ja) 2012-02-09 2012-02-09 回転機械の設備診断方法及び設備診断装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013160749A true JP2013160749A (ja) 2013-08-19

Family

ID=49173086

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012025822A Pending JP2013160749A (ja) 2012-02-09 2012-02-09 回転機械の設備診断方法及び設備診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013160749A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105841961A (zh) * 2016-03-29 2016-08-10 中国石油大学(华东) 一种基于Morlet小波变换和卷积神经网络的轴承故障诊断方法
CN108168886A (zh) * 2017-12-22 2018-06-15 合肥工业大学 滚动轴承故障特征提取与运行状态监测方法
CN108444713A (zh) * 2018-05-09 2018-08-24 济南大学 一种基于d氏小波能量基的滚动轴承故障特征提取方法
US12032025B2 (en) 2020-02-17 2024-07-09 Mitsubishi Electric Corporation Permanent magnet synchronous motor diagnostic device and inverter comprising the same

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105841961A (zh) * 2016-03-29 2016-08-10 中国石油大学(华东) 一种基于Morlet小波变换和卷积神经网络的轴承故障诊断方法
CN108168886A (zh) * 2017-12-22 2018-06-15 合肥工业大学 滚动轴承故障特征提取与运行状态监测方法
CN108444713A (zh) * 2018-05-09 2018-08-24 济南大学 一种基于d氏小波能量基的滚动轴承故障特征提取方法
US12032025B2 (en) 2020-02-17 2024-07-09 Mitsubishi Electric Corporation Permanent magnet synchronous motor diagnostic device and inverter comprising the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10598568B1 (en) Vibration measurement and analysis
US8544331B2 (en) Parameter independent detection of rotating machinery faults
US8534128B2 (en) Method and system for abnormality diagnosis of very low speed rotating machine
EP2522977B1 (en) Abnormality diagnosis device for rolling bearing, wind power generator, and abnormality diagnosis system
EP3049788B1 (en) Gear fault detection
US20090082976A1 (en) Methods of Analysing Apparatus
Klausen et al. Multi-band identification for enhancing bearing fault detection in variable speed conditions
JP6781612B2 (ja) シールドマシンの劣化診断方法
CN103134679B (zh) 轴承状态监视方法以及轴承状态监视装置
JP2018179735A (ja) 回転部品の異常診断方法及び異常診断装置
AU2015201595A1 (en) Vibration measurement and analysis
Segla et al. Bearing fault diagnosis with an improved high frequency resonance technique
JP2013160749A (ja) 回転機械の設備診断方法及び設備診断装置
JP2006118869A (ja) 転がり軸受の欠陥検出装置および転がり軸受の欠陥検出方法
Bendjama et al. Selection of wavelet decomposition levels for vibration monitoring of rotating machinery
JP2016170085A (ja) 異常診断装置及び異常診断方法
JP5428994B2 (ja) 機械設備の異常診断方法、装置及びプログラム
JP6815489B2 (ja) 振動検出装置および異常判定システム
JP2006189333A (ja) 軸受の異常診断装置
Kumar et al. Signal processing for enhancing impulsiveness toward estimating location of multiple roller defects in a taper roller bearing
Saidi et al. The use of spectral kurtosis as a trend parameter for bearing faults diagnosis
JPH07311082A (ja) 回転機器の異常診断装置
Wang et al. An automatic fault diagnosis method for aerospace rolling bearings based on ensemble empirical mode decomposition
Yang The envelop-based bispectral analysis for motor bearing defect detection
Mitra et al. Vibration signal analysis of induction motors used in process control operation