JP2013160342A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を削減して、管理コストおよび製造コストの低減、並びに、軽量化を図ることができるトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】このトロイダル型無段変速機では、球面ポスト64,68がポスト部材300とアッパープレート52との間およびポスト部材300とシリンダボディ61との間で挟持されて固定される。そのため、抜け止め固定用の止め輪を設ける必要がなくなる。したがって、部品点数を削減して、管理コストおよび製造コストの低減、並びに、軽量化を図ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図5および図6に示すように構成されている(図5に2つのキャビティ221,222が示される)。図5に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力側ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図6参照)が回転自在に挟持されている。
図5中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図5の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図6は、図5のE−E線に沿う断面図である。図6に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図6においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、パワーローラ11を支持する支持板部16の長手方向(図6の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された(パワーローラ11を回転可能に支持する)変位軸(軸部)23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、ラジアルニードル軸受99を介して各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図6の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図5の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50にアッパープレート52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図6で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図6の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図6の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面(トラクション面)11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の変速比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、上記構成のトロイダル型無段変速機においては、近年、特許文献1に開示されるようなモジュール化が進んでいる。具体的には、図7および図8に示すように、モジュール200は、前述したトロイダル型無段変速機ユニット201と、遊星歯車式変速ユニット202,203とを組み合わせて成り、この構成では、球面ポスト64,68が一体部品を成してポスト部材300を形成している。また、図9に示すように、ポスト部材300と球面ポスト64,68とが別体になっているものも存在する(例えば、特許文献2参照)。この場合、別体の球面ポスト64,68は、ヨーク23A,23Bの外側に配置される止め輪312によって抜け止め固定される。
また、図9の構成においてアッパープレート52が存在する場合には、一般に図10に示すような構造になると考えられるが、図9および図10のいずれにおいても、別体の球面ポスト64,68を止め輪312によって抜け止め固定する必要がある。
特開2004−84712号公報 特開2008−138762号公報
しかしながら、上記従来の構成では、止め輪312を組み付ける必要があるため、部品点数が増大し、したがって、組み立て作業が複雑化するとともに、管理コストおよび製造コストが増大する。また、装置全体の重量も増大する結果となる。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、部品点数を削減して、管理コストおよび製造コストの低減、並びに、軽量化を図ることができるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に傾転し且つ前記パワーローラを回転自在に支持するトラニオンと、前記トラニオンの両端の前記枢軸を揺動自在および軸方向に変位自在に支持する一対のヨークと、前記ケーシングにアッパープレートを介して支持されるポスト部材の一端に別体で設けられ且つ一方のヨークを揺動自在に支持する第1の球面ポストと、前記トラニオンを軸方向に変位させるための駆動ピストンを摺動可能に収容するシリンダボディに支持される前記ポスト部材の他端に別体で設けられ且つ他方のヨークを揺動自在に支持する第2の球面ポストとを備えるトロイダル型無段変速機において、前記第1の球面ポストが前記ポスト部材と前記アッパープレートとの間で挟持され、前記第2の球面ポストが前記ポスト部材と前記シリンダボディとの間で挟持されることを特徴とする。
上記構成によれば、球面ポストがポスト部材とアッパープレートとの間およびポスト部材とシリンダボディとの間で挟持されて固定されるため、抜け止め固定用の止め輪を設ける必要がなく、したがって、部品点数を削減して、管理コストおよび製造コストの低減、並びに、軽量化を図ることができる。
なお、上記構成では、ポスト部材の一端とアッパープレートとの当接およびポスト部材の他端とシリンダボディとの当接によって第1および第2の球面ポストが挟持されてもよい。また、その場合には、寸法公差等により、挟持される球面ポストにガタが生じる可能性があるため、ポスト部材の一端とアッパープレートとの間およびポスト部材の他端とシリンダボディとの間に弾性体を介挿して、ガタを無くし、球面ポストを位置決めできるようにすることが好ましい。また、球面ポストのガタを無くす他の方法として、互いに対向するポスト部材の一端とアッパープレートとの間および互いに対向するポスト部材の他端とシリンダボディとの間に隙間を介在させた状態で第1および第2の球面ポストが挟持されるようにしてもよい。この場合は、ポスト部材の一端とアッパープレートとが第1の球面ポストを介して当接し、また、ポスト部材の他端とシリンダボディとが第2の球面ポストを介して当接するため、球面ポストをガタ無く挟持できる。
本発明のトロイダル型無段変速機によれば、球面ポストがポスト部材とアッパープレートとの間およびポスト部材とシリンダボディとの間で挟持されて固定されるため、抜け止め固定用の止め輪を設ける必要がなくなる。そのため、部品点数を削減して、管理コストおよび製造コストの低減、並びに、軽量化を図ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る要部断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る要部断面図である。 図3の(a)は本発明の第3の実施形態に係る要部断面図、図3の(b)は本発明の第4の実施形態に係る要部断面図、図3の(c)は本発明の第5の実施形態に係る要部断面図である。 図4の(a)は本発明の第6の実施形態に係る要部断面図、図4の(b)は本発明の第7の実施形態に係る要部断面図、図4の(c)は本発明の第8の実施形態に係る要部断面図である。 従来から知られているハーフトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図5のA−A線に沿う断面図である。 他の従来のモジュール化されたトロイダル型無段変速機の要部斜視図である。 図7のトロイダル型無段変速機の断面図である。 ポストによるヨークの支持形態の従来例を示す断面図である。 ポストによるヨークの支持形態の想定例を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の特徴は、球面ポストの支持形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図5ないし図10と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面を示している。図示のように、上側(一方)のヨーク23Aを揺動自在に支持する第1の球面ポスト64は、ケーシングにアッパープレート52を介して支持されるポスト部材300の一端部に別体で設けられる。また、下側(他方)のヨーク23Bを揺動自在に支持する第2の球面ポスト68は、トラニオン15を軸方向に変位させるための駆動ピストン33を摺動可能に収容するシリンダボディ61に支持されるポスト部材300の他端に別体で設けられる。
また、本実施形態では、アッパープレート52と対向するポスト部材300の一端部がアッパープレート52の凹状溝52a内に嵌合し、シリンダボディ61と対向するポスト部材300の他端部がシリンダボディ61の凹状溝61a内に嵌合している。そして、互いに対向するポスト部材300の一端面300aとアッパープレート52の端面52b(凹状溝52aの底部)とが第1の球面ポスト64よりもアッパープレート52側で当接し且つ互いに対向するポスト部材300の他端面300bとシリンダボディ61の端面61b(凹状溝61aの底部)とが第2の球面ポスト68よりもシリンダボディ61側で当接することにより、第1の球面ポスト64がポスト部材300の一端部のフランジ部300cとアッパープレート52の下端面との間で挟持されるとともに、第2の球面ポスト68がポスト部材300の他端部のフランジ部300dとシリンダボディ61の上端面との間で挟持されている。
このように、本実施形態によれば、球面ポスト64,68がポスト部材300とアッパープレート52との間およびポスト部材300とシリンダボディ61との間で挟持されて固定されるため、抜け止め固定用の止め輪を設ける必要がなく、したがって、部品点数を削減して、管理コストおよび製造コストの低減、並びに、軽量化を図ることができる。
ところで、前述した第1の実施形態のようにポスト部材300の一端とアッパープレート52との当接およびポスト部材300の他端とシリンダボディ61との当接によって第1および第2の球面ポスト64,68が挟持される場合には、寸法公差等により、挟持される球面ポスト64,68にガタが生じる可能性がある(従来のように止め輪を用いる場合にも、止め輪と止め輪溝にガタがあるため、球面ポスト64,68にガタが生じ得る)ため、ポスト部材300の一端とアッパープレート52との間およびポスト部材300の他端とシリンダボディ61との間に弾性体(ゴム、パッキン、Oリング等の弾力性を有する任意の部材)を介挿して、ガタを無くし、球面ポスト64,68を位置決めできるようにすることが好ましい。
また、球面ポストのガタを無くす他の形態としては、図2に示すような形態(本発明の第2の実施形態)も考えられる。すなわち、この形態では、互いに対向するポスト部材300の一端面300aとアッパープレート52の端面52bとの間および互いに対向するポスト部材300の他端面300bとシリンダボディ61の端面61bとの間に隙間400,420を介在させた状態で第1および第2の球面ポスト64,68が挟持されるようになっている。すなわち、ポスト部材300の一端部のフランジ部300cとアッパープレート52の下端面とが第1の球面ポスト64を介して当接し、また、ポスト部材300の他端部のフランジ部300dとシリンダボディ61の上端面とが第2の球面ポスト68を介して当接した状態となっており、球面ポスト64,68をガタ無く圧接挟持される。
図3の(a)は、本発明の第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面を示している。図示のように、本実施形態では、アッパープレート52およびシリンダボディ61にポスト部材嵌合用の凹状溝52a,61aが設けられず、互いに対向するポスト部材300の一端面300aとアッパープレート52の端面52bとが第1の球面ポスト64の内側で当接し且つ互いに対向するポスト部材300の他端面300bとシリンダボディ61の端面61bとが第2の球面ポスト68の内側で当接することにより、第1の球面ポスト64がポスト部材300の一端部のフランジ部300cとアッパープレート52の下端面との間で挟持されるとともに、第2の球面ポスト68がポスト部材300の他端部のフランジ部300dとシリンダボディ61の上端面との間で挟持されている。このような構成によれば、第1の実施形態とは異なり、組み立て時に球面ポストの位置決めが不要になる(これに対し、第1の実施形態は、第3の実施形態よりもポスト部材300の心出し精度が向上する)。
図3の(b)は、本発明の第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面を示している。図示のように、本実施形態では、ポスト部材300の一端部と対向するアッパープレート52がポスト部材300の一端部の凹状溝300e内に嵌合し、ポスト部材300の他端部と対向するシリンダボディ61がポスト部材300の他端部の凹状溝300f内に嵌合している。そして、互いに対向するポスト部材300の一端面300aとアッパープレート52の端面52bとが第1の球面ポスト64よりもポスト部材300側で当接し且つ互いに対向するポスト部材300の他端面300bとシリンダボディ61の端面61bとが第2の球面ポスト68よりもポスト部材300側で当接することにより、第1の球面ポスト64がポスト部材300の一端部の環状凸部300gとアッパープレート52の下端面との間で挟持されるとともに、第2の球面ポスト68がポスト部材300の他端部の環状凸部300hとシリンダボディ61の上端面との間で挟持されている。このような形態でも、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
図3の(c)は、本発明の第5の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面を示している。図示のように、本実施形態では、アッパープレート52と対向するポスト部材300の一端部がアッパープレート52の凹状溝52a内に嵌合し、ポスト部材300の他端部と対向するシリンダボディ61がポスト部材300の他端部の凹状溝300f内に嵌合している。そして、互いに対向するポスト部材300の一端面300aとアッパープレート52の端面52b(凹状溝52aの底部)とが第1の球面ポスト64よりもアッパープレート52側で当接し且つ互いに対向するポスト部材300の他端面300bとシリンダボディ61の端面61bとが第2の球面ポスト68よりもポスト部材300側で当接することにより、第1の球面ポスト64がポスト部材300の一端部のフランジ部300cとアッパープレート52の下端面との間で挟持されるとともに、第2の球面ポスト68がポスト部材300の他端部の環状凸部300hとシリンダボディ61の上端面との間で挟持されている。
このような形態では、シリンダボディ61を下側にして組み立てる際(図3の(c)の状態)には球面ポストの位置決めが不要になる。逆に、アッパープレート52を下側にして組み立てる際には、図3の(c)と逆の形態となり、アッパープレート52が凸状になり、シリンダボディ61が凹状になる。
図4の(a)は、本発明の第6の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面を示している。図示のように、本実施形態は、図3の(a)に示される第3の実施形態において、図2の第2の実施形態に示される隙間400,420を設けたものである。すなわち、互いに対向するポスト部材300の一端面300aとアッパープレート52の端面52bとの間および互いに対向するポスト部材300の他端面300bとシリンダボディ61の端面61bとの間に隙間400,420を介在させた状態で第1および第2の球面ポスト64,68が挟持されるようになっている。なお、それ以外の構成は第3の実施形態と同様である。したがって、第2の実施形態の作用効果を更に得ることができる。
図4の(b)は、本発明の第7の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面を示している。図示のように、本実施形態は、図3の(b)に示される第4の実施形態において、図2の第2の実施形態に示される隙間400,420を設けたものである。すなわち、互いに対向するポスト部材300の一端面300aとアッパープレート52の端面52bとの間および互いに対向するポスト部材300の他端面300bとシリンダボディ61の端面61bとの間に隙間400,420を介在させた状態で第1および第2の球面ポスト64,68が挟持されるようになっている。なお、それ以外の構成は第4の実施形態と同様である。したがって、第2の実施形態の作用効果を更に得ることができる。
図4の(c)は、本発明の第8の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面を示している。図示のように、本実施形態は、図3の(c)に示される第5の実施形態において、図2の第2の実施形態に示される隙間400,420を設けたものである。すなわち、互いに対向するポスト部材300の一端面300aとアッパープレート52の端面52bとの間および互いに対向するポスト部材300の他端面300bとシリンダボディ61の端面61bとの間に隙間400,420を介在させた状態で第1および第2の球面ポスト64,68が挟持されるようになっている。なお、それ以外の構成は第5の実施形態と同様である。したがって、第2の実施形態の作用効果を更に得ることができる。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機に適用することができる。
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
14 枢軸
15 トラニオン
23A,23B ヨーク
52 アッパープレート
61 シリンダボディ
64 第1の球面ポスト
68 第2の球面ポスト
300 ポスト部材
400,420 隙間

Claims (4)

  1. 互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に傾転し且つ前記パワーローラを回転自在に支持するトラニオンと、前記トラニオンの両端の前記枢軸を揺動自在および軸方向に変位自在に支持する一対のヨークと、前記ケーシングにアッパープレートを介して支持されるポスト部材の一端に別体で設けられ且つ一方のヨークを揺動自在に支持する第1の球面ポストと、前記トラニオンを軸方向に変位させるための駆動ピストンを摺動可能に収容するシリンダボディに支持される前記ポスト部材の他端に別体で設けられ且つ他方のヨークを揺動自在に支持する第2の球面ポストとを備えるトロイダル型無段変速機において、
    前記第1の球面ポストが前記ポスト部材と前記アッパープレートとの間で挟持され、前記第2の球面ポストが前記ポスト部材と前記シリンダボディとの間で挟持されることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記ポスト部材の一端と前記アッパープレートとの当接および前記ポスト部材の他端と前記シリンダボディとの当接によって前記第1および第2の球面ポストが挟持されることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  3. 前記ポスト部材の一端と前記アッパープレートとの間および前記ポスト部材の他端と前記シリンダボディとの間に弾性体が介挿されることを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
  4. 互いに対向する前記ポスト部材の一端と前記アッパープレートとの間および互いに対向する前記ポスト部材の他端と前記シリンダボディとの間に隙間を介在させた状態で前記第1および第2の球面ポストが挟持されることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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