JP2013160046A - 電動ポンプユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】 軸受装置の軸受支持剛性を高め、モータ軸およびモータロータの傾きを低減できる電動ポンプユニットを提供する。
【解決手段】 ポンプ本体6に、モータハウジング7内にのびる円筒状軸受保持部15が設けられている。軸受装置17は、軸受保持部15の内側に設けられており、軸受保持部15のモータロータ側端部に配置されたオイルシール20とインナギヤ12との間に配置された針状ころ軸受21を備えている。インナギヤ12は、モータ軸18にしまりばめされている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、たとえば自動車のトランスミッション(変速機)などに油圧を供給する油圧ポンプとして使用される電動ポンプユニットに関する。
自動車のトランスミッションには油圧ポンプにより油圧が供給されるが、省エネルギなどの観点から停車時にエンジンを停止するいわゆるアイドルストップ(アイドリングストップ)を行う自動車では、アイドルストップ時にもトランスミッションへの油圧供給を確保するために、電動油圧ポンプが使用されるようになっている。
自動車のトランスミッション用電動油圧ポンプは、車体の限られたスペースに搭載されるため、コンパクト化が要求され、また、軽量化およびコスト低減も要求される。このような要求に応えるため、ポンプ、ポンプ駆動用電動モータおよび電動モータのコントローラが共通のユニットハウジング内に組み込まれた電動ポンプユニットが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
このような従来の電動ポンプユニットでは、ポンプを構成するポンプ本体の後側にモータハウジングが連結され、モータハウジング内に形成された密閉状のモータ室に電動モータおよびコントローラが内蔵されている。電動モータはモータ室内の前側(ポンプ本体側)に配置され、電動モータの後端面にコントローラの基板が固定されている。そして、基板には、コントローラを構成するコンデンサ、FETなどの複数の電装部品(電気部品および電子部品)が取り付けられている。
電動モータは、軸受装置により支持されたポンプ駆動モータ軸の後側の自由端部に固定されたモータロータと、モータハウジングに固定されたモータステータとを備えている。ポンプ本体の内部に、ポンプ室が形成されている。ポンプ本体には、モータハウジング内にのびる円筒状の軸受保持部が形成され、この軸受保持部の内側にモータ軸の軸受装置が設けられている。モータ軸の前部は、ポンプ室内に進入し、前側の自由端部にポンプのポンプロータが固定されている。ポンプが内接歯車ポンプの場合、内側ポンプロータであるインナギヤがモータ軸の前端部に固定される。
特許文献1に記載の電動ポンプユニットにおいて、軸受装置は、軸方向に並べて配置された2個の単列深みぞ玉軸受を備えている。ポンプ本体の軸受保持部内には、ポンプ室と軸受装置との間を密封するオイルシールが設けられている。
この電動ポンプユニットでは、小型化を図るため、軸受装置の2個の転がり軸受を隣接させている。これにより、モータ軸は、モータロータ側で支持されて、ポンプロータ側が自由端となっている片持ち支持とされている。また、コスト低減を図るため、2個の転がり軸受を単列深みぞ玉軸受とし、さらに、組立コスト削減のため、玉軸受を軸受保持部とモータ軸に対してすきまばめとしている。
ポンプが内接歯車ポンプの場合、モータ軸によって回転駆動されるポンプロータであるインナギヤと外側ポンプロータであるアウタギヤのかみ合い部分に対応するポンプハウジングの対称位置に、油吸入ポートと油吐出ポートが形成される。
特開2010−116914号公報
上記の従来の電動ポンプユニットでは、ポンプの作動時、ポンプ室の油吸入ポートは低圧であるが、油吐出ポートは高圧になる。このため、インナギヤが固定された片持ち支持のモータ軸の前端部(ポンプハウジング側端部)に径方向の力が作用する。前記のように、軸受装置の2個の転がり軸受が並べて配置された単列深みぞ玉軸受で、すきまばめであるから、軸受支持剛性が低く、モータ軸に傾きが発生する。モータ軸の傾きにより、インナギヤが傾き、モータハウジングに接触した状態で回転する。このため、騒音が発生したり、モータロータおよびモータハウジングに摩耗が発生したりするおそれがある。
この発明の目的は、上記の問題を解決し、軸受装置の軸受支持剛性を高め、モータ軸およびモータロータの傾きを低減できる電動ポンプユニットを提供することにある。
この発明による電動ポンプユニットは、流体の吸入および吐出を行うポンプのポンプ本体に、ポンプ駆動用電動モータを内蔵したモータハウジングが固定され、前記ポンプ本体内に、ポンプロータを収容したポンプ室が形成され、前記ポンプ本体に形成されてモータハウジング内にのびる円筒状軸受保持部の内側に軸受装置が設けられ、前記電動モータが、前記軸受装置により支持されて前記ポンプロータを回転駆動するモータ軸と、前記モータ軸のモータハウジング側端部に固定されたモータロータと、前記モータハウジングに固定されたモータステータとを備えている電動ポンプユニットにおいて、前記軸受装置は、前記軸受保持部のモータロータ側端部に配置された密封部材と前記ポンプロータとの間に配置された針状ころ軸受を備えているものである。
針状ころ軸受の配置位置が軸受保持部のモータロータ側端部に配置された密封部材とポンプロータとの間とされることで、軸受保持部のモータロータ側端部に配置された転がり軸受でモータ軸を支持する片持ち状態が解消され、軸受装置の軸受支持剛性を高めることができる。これにより、モータ軸およびモータロータの傾きを低減でき、音や摩耗の発生を防止することができる。また、従来の2個の転がり軸受を1個の針状ころ軸受で置き換えることができるので、組立性も向上する。
ポンプロータは、モータ軸にしまりばめされていることが好ましい。
モータ軸は、軸方向に若干移動できるように位置決めすることが必要であり、転がり軸受を使用する際には、内外輪を圧入することで、モータ軸の軸方向の位置決めを行い、ポンプロータ(内接歯車ポンプの場合は、インナギヤがこれに相当)とモータ軸とはすきまばめ(フローティング構造)とされる。そのため、ポンプロータがモータ軸に対して振動することに伴う音の振動値が高くなり、聴感が悪化するおそれがある。ポンプロータとモータ軸とをしまりばめとして、モータ軸の軸方向の位置決めを行うことも可能であるが、この場合には、転がり軸受の外輪をハウジングにすきまばめとする必要があり、外輪とハウジングとの間にフレッチング摩耗が生じる可能性がある。これに対し、針状ころ軸受を使用して、その外輪をハウジングにしまりばめすることにより、ポンプロータとモータ軸とをしまりばめとしても、モータ軸の軸方向の移動が可能とでき、こうして、ポンプロータとモータ軸との間で生じる音を低減することができ、しかも、針状ころ軸受の外輪とハウジングとの間にフレッチング摩耗が生じる可能性も防止される。
この発明の電動ポンプユニットによれば、上記のように、軸受装置の軸受支持剛性を高めて、モータ軸およびポンプロータの傾きを減少させることができる。
図1は、この発明の1実施形態を示す電動ポンプユニットの主要部の縦断面図である。
以下、図面を参照して、この発明を自動車のトランスミッション用電動ポンプユニットに適用した実施形態について説明する。
図1は、この発明の1実施形態を示す電動ポンプユニットの主要部の縦断面図である。以下の説明において、図1の左側を前、右側を後とする。
電動ポンプユニット(1)は、ユニットハウジング(2)内に、油の吸入および吐出を行うポンプ(3)、ポンプ駆動用電動モータ(4)ならびに電動モータ(4)のコントローラ(5)が一体に組み込まれたものである。この例では、ポンプ(3)は内接歯車ポンプ、モータ(4)は3相巻線を有するセンサレス制御DCブラシレスモータである。
ユニットハウジング(2)は、ポンプ(3)のポンプ本体(6)ならびに電動モータ(4)およびコントローラ(5)を内蔵したモータハウジング(7)よりなる。
ポンプ本体(6)は、後側のポンプハウジング(8)と前側のポンププレート(9)よりなる。ポンプハウジング(8)は、前後方向と直交する方向に広がりを持つ厚肉板状のものであり、その中心に、前部が開口したポンプ室(10)が形成されている。ポンプハウジング(8)の前面に、ポンププレート(9)がOリング(39)を介して固定され、ポンプ室(10)の前面が塞がれている。ポンプ室(10)内に、外側ポンプロータであるアウタギヤ(11)が回転自在に収容され、アウタギヤ(11)の内側に、これとかみ合う内側ポンプロータであるインナギヤ(12)が配置されている。ポンプハウジング(8)およびポンププレート(9)は、たとえば、アルミニウム合金製である。
モータハウジング(7)は、円筒状の合成樹脂製モータケース(13)と、モータケース(13)の後端に固定された円板状の蓋(14)とからなる。モータケース(13)の前端が、Oリング(49)を介してポンプハウジング(8)の後面に固定されている。ポンププレート(9)、ポンプハウジング(8)およびモータケース(13)は、それらの外周から径方向外側に突出するように一体に形成された複数の連結部(9a)(8a)(13a)の部分において、ボルト(16)により互いに固定されている。モータケース(13)の後端開口が、蓋(14)により塞がれている。
電動モータ(4)は、前後方向にのびるポンプ駆動軸であるモータ軸(18)を有している。モータ軸(18)は、軸受装置(17)により支持されている。モータ軸(18)は、円柱状とされている。モータ軸(18)の前部は、ポンプハウジング(8)の後壁に形成された穴(19)の部分を貫通してポンプ室(10)内に進入し、その前端部にインナギヤ(12)が嵌め合わされている。モータ軸(18)の前端部(18a)とインナギヤ(12)の内周(12a)との嵌め合わせは、しまりばめとされている。
ポンプハウジング(8)の後端面の中心に、モータケース(13)より小径の円筒状の軸受保持部(15)が一体に形成されて、モータケース(13)内にのびている。
軸受保持部(15)の後端部(モータロータ側端部)に、軸受保持部(15)とモータ軸(18)の間を密封するオイルシール(密封部材)(20)が配置されている。オイルシール(20)は、断面略L字状とされて軸受保持部(15)に固定された環状芯金(20a)と、環状芯金(20a)に固定されたゴム状弾性体からなる環状のシールリップ(20b)と、シールリップ(20b)をモータ軸(18)に圧接させているガータースプリング(20c)とを有している。
軸受装置(17)は、1個の針状ころ軸受(21)からなり、針状ころ軸受(21)は、インナギヤ(12)とわずかな隙間(サイドクリアランス)を開けて隣り合うようにして、オイルシール(20)とインナギヤ(12)との間に配置されている。
針状ころ軸受(21)は、両端部に径方向内側に屈曲した鍔部(21b)を有する円筒状の外輪(21a)と、外輪(21a)の内周面に沿うように配置された針状ころ(21c)と、針状ころ(21c)を保持する保持器(21d)とを備えている。外輪(21a)は、軸受保持部(15)にしまりばめされている。なお、この針状ころ軸受(21)は、外輪(21a)が鋼板のプレス成形品とされたシェルタイプと称されているものとされているが、これに代えて、外輪を削り加工にて成形したソリッドタイプと称されているものとしてもよい。
軸受保持部(15)より後方に突出したモータ軸(18)の後端部(モータハウジング側端部)に、モータ(4)を構成するモータロータ(23)が固定されている。モータロータ(23)は、円筒状(横断面形状がコの字状)のロータ本体(24)の外周部に合成樹脂製の永久磁石保持部材(25)が固定状に設けられ、保持部材(25)を周方向に等分する複数箇所にセグメント形状の永久磁石(26)が保持されたものである。
モータロータ(23)に対向するモータケース(13)の内周に、モータ(4)を構成するモータステータ(27)が固定されている。ステータ(27)は、積層鋼板よりなるステータコア(28)にインシュレータ(合成樹脂製絶縁体)(29)が組み込まれ、インシュレータ(29)の部分にコイル(30)が巻きつけられたものである。この例では、ステータ(27)は、モータケース(13)の内周部に一体にモールドされている。
インシュレータ(29)の後端に、コントローラ(5)の基板(31)が配置され、基板(31)に、コントローラ(5)を構成する部品(32)が取り付けられている。基板(31)は、インシュレータ(29)の後端部に設けられた金属製めねじ部材(35)にねじはめられたねじ(38)によりインシュレータ(29)に固定されている。図1には基板(31)の前面に取り付けられた部品(32)が1個だけ示されているが、部品は基板(31)の前面および後面の少なくとも一方の所定位置に配置される。図1に示された部品(32)は、たとえば電解コンデンサである。
インシュレータ(29)は、前後1対の半体(33)(34)よりなる。各半体(33)(34)は、たとえばPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などの合成樹脂により成型され、ステータコア(28)に前後両側から組み込まれている。
モータケース(13)は、型を用いてたとえばPA66(ポリアミド66)などの合成樹脂をステータ(27)の外周側の部分にモールドすることにより、ステータ(27)と一体化されている。モータケース(13)の外周に、複数のピン(36)を備えたコネクタ(37)が一体に形成されている。
蓋(14)は、合成樹脂製で、熱溶着などの適宜な手段により、モータケース(13)の後端に固定されている。
図示は省略したが、インシュレータ(29)とモータケース(13)の成型体には複数のバスバーが組み込まれており、これらのバスバーを用いて、ステータ(27)のコイル(30)が互いに電気的に接続されるとともに、基板(31)に電気的に接続されている。コネクタ(37)のピン(36)も、基板(31)に電気的に接続されている。
ポンプ(3)のインナギヤ(12)とアウタギヤ(11)のかみ合い部分(この例では下側のかみ合い部分)に対応するポンプハウジング(8)とポンププレート(9)の対向壁に、油吸入ポート(40)(41)が形成されている。ポンプ(3)のインナギヤ(12)とアウタギヤ(11)のかみ合い部分(この例では上側のかみ合い部分)に対応するポンプハウジング(8)とポンププレート(9)の対向壁に、油吐出ポート(42)(43)が形成されている。ポンププレート(9)には、油吸入ポート(41)に連通する油吸入穴(44)および油吐出ポート(43)に連通する油吐出穴(45)が形成されている。
ポンプ(3)の作動中、油吐出ポート(42)内の油の一部は、ポンププレート(9)と反対側の軸受保持部(15)内に漏れ出てくる。このポンプ室(10)から漏れた油は、オイルシール(20)によって、それ以上電動モータ側に進入することが防止されている。ポンプ室(10)に面するポンプハウジング(8)の壁に、モータ軸(18)が挿通されている穴(19)と油吸入ポート(40)を連通する油逃がしみぞ(48)が形成されており、ポンプ室(10)から漏れた油は、油逃がしみぞ(48)を介して低圧側の油吸入ポート(40)へと排出される。これにより、オイルシール(20)に作用する油圧が下がるため、オイルシール(20)のしめ代を小さくして、回転トルクを低減することができる。
オイルシール(20)に作用する油圧およびオイルシール(20)に流入する油量は、針状ころ軸受(21)の保持器(21d)の断面積を増減することで、調整することができる。この電動ポンプユニット(1)のポンプ(3)は、アイドルストップ時にトランスミッションへの油圧供給を確保するための補助ポンプとして使用するのに好適であり、この用途では、ポンププレート(9)の油吐出穴(45)が補助吐出油路を介してエンジンによって駆動される主ポンプ側にある主吐出油路に接続されて、補助吐出油路に、主吐出油路側からポンプ(3)への油の逆流を阻止する逆止弁が設けられる構成とされる。この逆止弁が故障すると、オイルシール(20)に過大油圧が作用することになり、これに対し、保持器(21d)の断面積を調整することで、過大油圧の緩和が可能となる。
電動モータ(4)によりポンプ(3)が駆動されて、インナギヤ(12)およびアウタギヤ(11)が回転するとき、油吸入ポート(40)(41)は低圧で、油吐出ポート(42)(43)は高圧になる。このため、インナギヤ(12)は、径方向(この例では下向き)の力を受ける。
針状ころ軸受(21)は、インナギヤ(12)とオイルシール(20)との間に配置されているので、モータ軸(18)のインナギヤ(12)寄りの中間部分を支持するようになっている。針状ころ軸受(21)の中心は、モータ軸(18)の重量+モータロータ(23)の重量+インナギヤ(12)の重量+インナギヤ(12)に作用する平均荷重の合計が作用する位置と一致させられている。これにより、さらに、支持剛性が高められており、インナギヤ(12)部分で発生する音が低減されている。しかも、モータ軸(18)とインナギヤ(12)とがしまりばめとされているので、モータ軸(18)に対してインナギヤ(12)が振動することがなく、聴感を悪くするような音の発生も防止されている。
上記において、電動ポンプユニットの全体構成および各部の構成は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更可能である。
また、この発明は、トランスミッション用電動ポンプユニット以外の電動ポンプユニットにも適用できる。
(1):電動ポンプユニット、(3):ポンプ、(4):電動モータ、(6):ポンプ本体、(7):モータハウジング、(10):ポンプ室、(11):アウタギヤ、(12):インナギヤ(ポンプロータ)、(15):軸受保持部、(17):軸受装置、(18):モータ軸、(20):オイルシール(密封部材)、(21):針状ころ軸受、(23):モータロータ、(27):モータステータ

Claims (2)

  1. 流体の吸入および吐出を行うポンプのポンプ本体に、ポンプ駆動用電動モータを内蔵したモータハウジングが固定され、前記ポンプ本体内に、ポンプロータを収容したポンプ室が形成され、前記ポンプ本体に形成されてモータハウジング内にのびる円筒状軸受保持部の内側に軸受装置が設けられ、前記電動モータが、前記軸受装置により支持されて前記ポンプロータを回転駆動するモータ軸と、前記モータ軸のモータハウジング側端部に固定されたモータロータと、前記モータハウジングに固定されたモータステータとを備えている電動ポンプユニットにおいて、
    前記軸受装置は、前記軸受保持部のモータロータ側端部に配置された密封部材と前記ポンプロータとの間に配置された針状ころ軸受を備えていることを特徴とする電動ポンプユニット。
  2. 前記ポンプロータは、前記モータ軸にしまりばめされていることを特徴とする請求項1の電動ポンプユニット。
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