JP2013159591A - 多動性抑制剤 - Google Patents
多動性抑制剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013159591A JP2013159591A JP2012024809A JP2012024809A JP2013159591A JP 2013159591 A JP2013159591 A JP 2013159591A JP 2012024809 A JP2012024809 A JP 2012024809A JP 2012024809 A JP2012024809 A JP 2012024809A JP 2013159591 A JP2013159591 A JP 2013159591A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hyperactivity
- inhibitor
- momentum
- test
- protein hydrolyzate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
乳由来であり食品として幅広く利用可能な素材である、乳蛋白質加水分解物を有効成分とする多動性抑制剤を提供する。
【解決手段】
乳蛋白質加水分解物を有効成分として含有する多動性抑制剤であって、乳蛋白質加水分解物が乳清蛋白質加水分解物又はカゼイン加水分解物であること、及び注意欠陥多動性障害の予防又は治療に用いられることを好ましい態様としている。
本発明の多動性抑制剤は、メチルフェニデートとともに用いられることを好ましい態様としている。
【選択図】なし
Description
注意欠陥多動性障害は、持続的な不注意、重篤な衝動的行動、及び多動性を示し、発達に相応とみられる社会機能、学業成績、課外活動での機能が損なわれるとされている(非特許文献2)。例えば、持続的な不注意とは、細心の注意を払えない、注意の持続が困難、仕事及び行動を順序だてるのが困難、及び外部からの刺激で容易に注意がそれる等の症状を含んでいる。また、衝動的行動とは、順番を待つのが困難、質問が終わる前に答える、しばしば会話の継続を妨害するか、邪魔をする等の症状を含んでいる。
さらに、多動性とは、じっと座っているのが困難、不適切な状況での過剰な運動、患者があたかもエンジンで動かされるように行動する等の症状を含んでいる。
例えば、遺伝子改変(DAT−KO)マウスは、新奇環境下において野生型マウスに比べ、明らかな多動を示したことが報告されている(Raul R. Gainetdinov, et al., Science, 1999, 283, p.397-401、Ichiro Sora, et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 1998, 95, p.7699-7704)。
また、DAT−KOマウスを2時間馴化させ、アンフェタミンを腹腔内投与し、装置の長軸方向と短軸方向に設置されたフォトセルでマウスの動きを検知する光束法により求められる運動量を評価したところ、顕著な影響は認められなかったことが報告されている(Bruno Giros, et al. Nature, 1996, 379, p.606-612)。
一方、DAT−KOマウスに対して、運動量の高い馴化開始30分後にアンフェタミンやメチルフェニデートを投与すると運動量が減少し、多動性に対する精神刺激薬の効果が認められたことが報告されている(Raul R. Gainetdinov, et al., Science, 1999, 283, p.397-401)。
また、pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide(PACAP)遺伝子欠損マウスが新奇環境下において多動であり、アンフェタミンがこの多動を抑制することから、前記の遺伝子欠損マウスが疾患モデル動物として提案されている(日薬理誌、2008, 131, p.26)。
また、脳卒中易発症性自然発症高血圧ラット(SHRSP/Ezo)が、不注意行動、多動性、衝動性等の注意欠陥多動性障害の主症状が認められることから、疾患モデル動物として提案されている(日薬理誌、2011, 137, p.2)。
非病態マウスとしては、一定期間隔離飼育されたマウス(隔離飼育マウス)が、潜在学習・注意力障害を発現し、その障害が持続することから、疾患モデル動物として提案されている(日薬理誌、2011, 137, p.3)。
そこで、本発明者は、非病態マウスであっても、新奇な場所に収容された直後に、不安感から落ち着きがなくなり、活発に動き回り、運動量が増加する傾向(移所運動量の増加)が確認されることに着目した。そして、このような非病態マウスの挙動を、注意欠陥多動性障害の病態マウスが多動性を発症した状態に非常に近いと位置づけ、当該非病態マウスにおける移所運動量の増加を多動性の状態と定義して、本発明の薬剤における効果を確認した。
本件発明の多動性抑制剤は、さらにメチルフェニデートとともに用いられることを好ましい態様としている。
本発明の多動性抑制剤は、移所運動に伴う多動状態を抑制できることから、注意欠陥多動性障害の予防又は治療に用いることができる。
また、本発明の多動性抑制剤は、メチルフェニデートとの併用により、高い多動性抑制効果を発揮することができる。
本発明における試験動物による多動性状態のモデルは、以下の方法により作成した。
すなわち、試験動物を保定し、被験試料を経口的に投与(ゾンデ等を使用)し、投与した試験動物を移所運動量測定装置に収容し、収容直後から一定時間内の運動量(移所運動量)を計測することにより、多動性状態を確認することによって実施した。
ここで、試験動物は保定され、被験試料が試験動物に強制的に経口投与されることによってストレスを感じ、その後、新たな閉鎖的環境下に収容されることによって、落ち着きのない多動性の状態を呈することが予想される。これにより、試験動物は一時的に注意欠陥多動性障害の状態を示し、経口投与される被験試料の違いによって、多動性の変化を確認することが可能となると考えられる。
そして、当該基準の移所運動量に比して、投与する被験試料を変化させたとき、移所運動量が減少した場合は、当該被験試料は多動性を抑制する効果を有するものと定義し、基準の移所運動量に比して、移所運動量がさらに増加した場合は、当該被験試料は多動性を促進する効果を有するものとしてそれぞれ定義する。
例えば、動物の移動に伴う装置の傾きによりセンサーが反応する装置を用い、傾きが生じた回数を移所運動量として測定することができる。
また、装置の長軸方向と短軸方向に設置されたフォトセルでマウスの動きを検知する光束法により運動量を測定することができる。
その他、装置内の一又は複数の地点にセンサーを設置し、試験動物が通過する度に一ずつ加算される数値を移所運動量として測定することができる。
試験動物における多動性の評価は、試験動物に注射用水を投与し、投与した試験動物を移所運動量測定装置に収容し、25分間移所運動量を測定した時の数値を移所運動量の基準値とし、これに対して、試験動物に試験試料を投与して同様に測定した移所運動量が、先の基準値に対して10%以上減少した場合は、当該被験試料は多動性を抑制する効果を有するものと定義する。
なお、前記評価方法を確立するにあたっては、前述の多動性の測定方法において、多動性抑制剤として一般的に知られているメチルフェニデートを試験試料として試験した際に、移所運動量が10%以上低減することを確認することによって評価した(後述の参考例1)。
そして、このように確認された評価方法をもって、本発明の多動性抑制剤の効果についても評価した。
また、移所運動量は、試験動物の個体差、日時差等の測定環境の変化によって増減することが予測されることから、各試験ごとに、移所運動量の基準値を測定しておくことが好ましい。
本発明における多動性抑制剤は、注意欠陥多動性障害の症状の一つである多動性を抑制する効果を有すると規定することができることから、注意欠陥多動性障害の予防又は治療剤として使用することが可能である。
注意欠陥多動性障害の予防又は治療剤として本発明の多動性抑制剤を使用する場合、前記多動性の評価に記載されるとおり、移所運動量の基準値に比して10%以上移所運動量が減少する効果を有することが好ましく、20%以上移所運動量が減少する効果を有することがより好ましく、30%以上移所運動量が減少する効果を有することが特に好ましい。
本発明の多動性抑制剤は、乳蛋白質加水分解物を有効成分としている。
乳蛋白質加水分解物とは、牛乳等に含まれる蛋白質を酵素等で加水分解したものであって、乳蛋白質は、カゼイン又は乳清蛋白質であることが好ましい。
次に、本発明の多動性抑制剤に用いられる乳蛋白質加水分解物の製造方法について説明する。
乳蛋白質加水分解物を製造する上で、原料として使用される乳蛋白質は、カゼイン又は乳清蛋白質を主成分とするものであることが好ましい。
また、乳清蛋白質としては、市販の各種乳清蛋白質(ホエイ蛋白質と表記するものも含まれる)、例えば、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質分離物(WPI)、又はこれらの任意の混合物等が例示される。
なお、上記のほか、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳から常法により精製して得られるカゼインや乳清蛋白質も、本発明で使用される乳蛋白質加水分解物の原料として使用することが可能である。
原料として使用される乳蛋白質は、以下の製造例に示すように、蛋白質濃度75〜84%のものが好ましく、これを好ましくは75〜85℃、15秒〜10分の殺菌条件で殺菌し、好ましくはpHを9.0〜9.5に調製し、好ましくはエンドプロテアーゼ、乳酸菌体などを適宜選択して分解し、その後、限外濾過、濃縮、乾燥して得られる。このように得られた乳蛋白質加水分解物は、数平均分子量200〜500ダルトンが好ましく、340〜400ダルトンであればさらに好ましい。また、分解率は20〜30%が好ましく、24〜25%であればさらに好ましい。
カゼイン100g(品名:アシッドカゼイン、フォンテッラ社製、蛋白質濃度84%)を水酸化ナトリウム2.5gで溶解し、85℃、10分で殺菌した。
続いて、水酸化ナトリウムを添加してpHを9.5に調整し、ビオプラーゼsp−20(長瀬生化学工業社製)100,800活性単位、プロテアーゼN(天野エンザイム社製)168,000活性単位、PTN6.0S(ノボザイムズ社製)588,000活性単位で加水分解した。
酵素を90℃、10分間で加熱して失活させた後、限外濾過モジュールSLP1053(分画分子量10,000、旭化成製)を用いて限外濾過し、公知の方法により濃縮、噴霧乾燥してカゼイン加水分解物を得た。
得られたカゼイン加水分解物は、ゲル濾過カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー法により数平均分子量を測定したところ、340ダルトンであることが確認された。
また、原料カゼイン溶液の全窒素量当たりのカゼイン加水分解物溶液のホルモル態窒素量の百分率(質量基準)として分解率を算出した結果、分解率は25%であった。
乳清蛋白質濃縮物100g(品名WPC80、ワーナンブールチーズアンドバター社製、蛋白質濃度75%)を精製水で溶解し、75℃、15秒間で殺菌した。水酸化ナトリウムでpHを9.0に調整し、PTN6.0S(ノボザイムズ社製)946,000活性単位、プロテアーゼN(天野エンザイム社製)161,000活性単位、乳酸菌体(森永乳業社製)0.07gで分解した。酵素を90℃、10分で加熱して失活させた後、限外濾過モジュールSLP1053(分画分子量10,000、旭化成製)を用いて限外濾過した後、公知の方法により濃縮、噴霧乾燥して、乳清蛋白質加水分解物を得た。
得られた乳清蛋白質加水分解物は、ゲル濾過カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー法により数平均分子量を測定したところ、400ダルトンであることが確認された。
また、原料乳清蛋白質溶液の全窒素量当たりの乳清白質加水分解物溶液のホルモル態窒素量の百分率(質量基準)として分解率を算出した結果、分解率は24%であった。
本発明の多動性抑制剤は、注意欠陥多動性障害の予防又は治療剤として、医薬品への利用が可能である。
本発明の多動性抑制剤を注意欠陥多動性障害の予防又は治療のための医薬として利用する場合、有効成分として乳蛋白質加水分解物を含有し、移所運動量を10%以上低減する効果を有するものとして、当該医薬品に乳蛋白質加水分解物を含有しているものである。
なお、前記乳蛋白質加水分解物を含有しているものであれば、公知の注意欠陥多動性障害の予防又は治療効果を有する成分を、本発明で規定する医薬品に含有させても良い。
例えば、従来使用されている注意欠陥多動性障害治療薬に混合して医薬品を製造してもよく、特にメチルフェニデートとともに混合して製剤化することが好ましい。
本発明の多動性抑制剤を含む医薬は、投与方法に応じて、適宜所定の剤形に製剤化することができる。具体的には、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等が挙げられる。また、非経口投与の場合、座剤、噴霧剤、軟膏剤、貼付剤、注射剤等が挙げられる。
さらに、製剤化は剤形に応じて、適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、有効成分のみを製剤化してもよく、適宜、製剤担体を配合して製剤化してもよい。
例えば、固形製剤の場合、多動性抑制剤に含まれる有効成分の含有量は1〜90質量%であることが好ましく、5〜80質量%以上であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましい。該範囲内であれば製剤化が容易である。
同様に、液剤の場合、多動性抑制剤に含まれる有効成分の含有量は0.1〜60質量%であることが好ましく、0.5〜40質量%であることがより好ましく、2〜20質量%であることがより好ましい。
前記製剤担体としては、剤形に応じて、各種有機又は無機の担体を用いることができる。
例えば、固形製剤の場合の担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
本発明の多動性抑制剤の投与量は、各種製剤形態、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件等に応じて適宜設定することが可能である。具体的には、多動性抑制剤に含まれる有効成分としての乳蛋白質加水分解物の量が、0.1〜1200mg/kg/日、好ましくは10〜500mg/kg/日の範囲であることが好ましく、これらの投与量にて、1日1回又は複数回に分けて投与することができる。
乳蛋白質加水分解物は、カゼイン加水分解物又は乳清蛋白質加水分解物を使用することができ、これらの混合物を使用してもよい。
本発明の多動性抑制剤は、注意欠陥多動性障害の予防又は治療剤として、飲食品への利用が可能である。
本発明の多動性抑制剤を飲食品へ利用する場合、公知の飲食品に添加して多動性抑制効果を有する飲食品を調製することが可能であり、飲食品の原料中に本発明の多動性抑制剤を混合して、多動性を抑制する効果を有する新たな飲食品を製造することもできる。
多動性抑制剤を飲食品に添加する際、添加量は添加する飲食品に応じて適宜調節でき、有効成分の乳蛋白質加水分解物の配合量が、飲食品当たりの固形分濃度として、0.1〜80質量%であることが好ましく、1〜60質量%であることがより好ましい。
飲食品に含まれる成分としては、食品衛生法等の食品規定で飲食品への使用が認められているものであれば、特に制限なく用いることができる。
例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆蛋白、トウモロコシ蛋白等の蛋白質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロースアラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を含有させることができる。
なお、本発明の飲食品の形態は特に制限されず、乳蛋白質加水分解物と、飲食品として許容される担体とからなる可食性組成物の如何なる形態のものも含まれる。例えば、パン、チューインガム、ガムドロップ(グミ)、クッキー、チョコレート、菓子、シリアル類等の固形食品、ジャム、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー等のジャム状、クリーム状又はゲル状食品、緑茶、紅茶、ウーロン茶等の茶類、ジュース、コーヒー、ココア等の飲料等のあらゆる飲食品形態にすることが可能である。また、調味料、食品添加剤等に配合することもできる。
本発明で定義される飲食品は、注意欠陥多動性障害の予防又は治療用との保健用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。
前記「表示」の行為(表示行為)には、需要者に対して上記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、上記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、すべて本発明の「表示」の行為に該当する。
製造例1で得られたカゼイン加水分解物を300mgずつ日本薬局方1号ゼラチンカプセル(アリメント工業社製)に充填し、カプセルのキャップとボディーの接合部をゼラチンを用いてシールし、カゼイン加水分解物を有効成分として含有する、多動性抑制効果を有する注意欠陥多動性障害治療用カプセル剤1500個を製造した。
製造例2で得られた乳清蛋白質加水分解物を300mgずつ日本薬局方1号ゼラチンカプセル(アリメント工業社製)に充填し、カプセルのキャップとボディーの接合部をゼラチンを用いてシールし、乳清蛋白質加水分解物を有効成分として含有する、多動性抑制効果を有する注意欠陥多動性障害治療用カプセル剤1500個を製造した。
本試験は、本試験方法が、多動性抑制効果の評価方法として有効であることを確認するために行った。試料として、多動性抑制剤として使用されるメチルフェニデートを用いた。
1.試験動物
6週齢のddY系雄性マウス(日本エスエルシー)を使用した。
2.試験試料
メチルフェニデート:塩酸メチルフェニデート(シグマ社製)を注射用水に溶解して使用した。
6週齢のddY系雄性マウスを各用量のメチルフェニデート投与群および注射用水投与群に群分けした。
メチルフェニデート投与群に、メチルフェニデート0.2〜1mg/kg経口投与(単回投与)し、そのまま移所運動量測定装置(小原医科産業)に収容した。
そして、ddY系雄性マウスを移所運動量測定装置に収容した直後から、25分間の移所運動量を測定した。なお、移所運動量は、装置内の3箇所にセンサーを設置し、動物の移動に伴う装置の傾きによりカウンターで1ずつ加算される数値(傾き回数)として測定した。
一方、注射用水投与群には、被験物質に代えて注射用水を10mL/kgの割合で経口投与(単回投与)して、同様の方法で移所運動量の基準値を測定した。
最後に、被験物質投与群の移所運動量の平均値(A)、及び移所運動量の基準値(B)から、多動性抑制率を以下の式により求めた。
多動性抑制率(%)=(B−A)/B×100(%)
本試験の測定結果を表1に示す。
運動量は、用量依存的に減少し、いずれの用量においても10%以上の抑制率を示し、メチルフェニデートが多動性抑制効果を有することが確認された。
従って、本試験が多動性の抑制効果を確認する方法として有効であるとが明らかになった。
以下に示す試験例により、本発明の多動性抑制剤における移所運動量減少効果を確認した。
1.試験動物
6週齢のddY系雄性マウス(日本エスエルシー)を使用した。
2.試験試料
試験試料1:製造例1で調製したカゼイン加水分解物を注射用水に溶解して使用した。
試験試料2:製造例2で調製した乳清蛋白質加水分解物を注射用水に溶解して使用した。
6週齢のddY系雄性マウスを試験試料投与群と注射用水投与群に群分けした。
試験試料投与群に、試験試料1又は試験試料2を100〜1000mg/kg経口投与(単回投与)し、そのまま移所運動量測定装置(小原医科産業)に収容した。
そして、ddY系雄性マウスを移所運動量測定装置に収容した直後から、25分間の移所運動量を測定した。なお、移所運動量は、装置内の3箇所にセンサーを設置し、試験動物の移動に伴う装置の傾きによりカウンターで1ずつ加算される数値(傾き回数)として測定した。
一方、注射用水投与群には、試験試料1〜2に代えて注射用水を10mL/kgの割合で経口投与(単回投与)して、同様の方法で移所運動量の基準値を測定した。
最後に、試験試料投与群の移所運動量の平均値(A)、及び移所運動量の基準値(B)から、多動性抑制率を以下の式により求めた。
多動性抑制率(%)=(B−A)/B×100(%)
本試験の測定結果を表2、表3に示す。
ddY系雄性マウスに対して、試験試料1を200mg/kg投与したとき、多動性抑制率は13.9%であった(表2)。
また、試験試料2を100〜1000mg/kg投与したとき、多動性抑制率は29.1〜41.8%となり、200mg/kgを投与したときの多動性抑制率が顕著に高くなることが確認された(表3)。
すなわち、試験試料1及び2は、いずれも多動性抑制率が10%以上となり、多動性の抑制効果を有することが明らかになった。
以下に示す試験例により、本発明の多動性抑制剤とメチルフェニデートの併用における移所運動量減少効果を確認した。
1.試験動物
6週齢のddY系雄性マウス(日本エスエルシー)を使用した。
2.試験試料
試験試料1:製造例1で調製したカゼイン加水分解物を注射用水に溶解して使用した。
メチルフェニデート:塩酸メチルフェニデート(シグマ社製)を注射用水に溶解して使用した。
被験物質:試験試料1とメチルフェニデートを注射用水に溶解して使用した。
6週齢のddY系雄性マウスを試験試料のメチルフェニデートとの併用投与群と注射用水投与群に群分けした。
試験試料とメチルフェニデートとの併用投与群に、試験試料1を200mg/kgとメチルフェニデート0.2mg/kgとを経口投与(単回投与)し、そのまま移所運動量測定装置(小原医科産業)に収容した。
そして、ddY系雄性マウスを移所運動量測定装置に収容した直後から、25分間の移所運動量を測定した。なお、移所運動量は、装置内の3箇所にセンサーを設置し、動物の移動に伴う装置の傾きによりカウンターで1ずつ加算される数値(傾き回数)として測定した。
一方、注射用水投与群には、試験試料1とメチルフェニデートに代えて注射用水を10mL/kgの割合で経口投与(単回投与)して、同様の方法で移所運動量の基準値を測定した。
最後に、試験試料投与群の移所運動量の平均値(A)、及び移所運動量の基準値(B)から、多動性抑制率を以下の式により求めた。
多動性抑制率(%)=(B−A)/B×100(%)
本試験の測定結果を表4に示す。
ddY系雄性マウスに対して、試験試料1の200mg/kgとメチルフェニデート0.2mg/kgを併用投与した場合、多動性抑制率は46.8%であった(表4)。
一方、試験試料1の200mg/kgを単独投与したときの多動性抑制率は、13.9%であり、メチルフェニデートの0.2mg/kgを単独投与したときの多動性抑制率は、11.7%であった。
すなわち、試験試料1は、メチルフェニデートとともに併用投与することにより、メチルフェニデートの単独投与(表1の0.2mg/kgの体重投与群。多動性抑制率:11.7%)に比して、顕著に多動性抑制率を高めることが確認された。
よって、従来の多動性抑制剤であるメチルフェニデートの投与量を低減しても、本発明の多動性抑制剤により十分な多動性抑制効果を得ることができるので、精神刺激薬で心配される副作用をより低く抑えた注意欠陥多動性障害の治療が可能であると考えられる。
Claims (4)
- 乳蛋白質加水分解物を有効成分として含有する多動性抑制剤。
- 乳蛋白質加水分解物が乳清蛋白質加水分解物又はカゼイン加水分解物である請求項1に記載の多動性抑制剤。
- 注意欠陥多動性障害の予防又は治療に用いられる請求項1又は2に記載の多動性抑制剤。
- 多動性抑制剤がメチルフェニデートとともに用いられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の多動性抑制剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012024809A JP2013159591A (ja) | 2012-02-08 | 2012-02-08 | 多動性抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012024809A JP2013159591A (ja) | 2012-02-08 | 2012-02-08 | 多動性抑制剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013159591A true JP2013159591A (ja) | 2013-08-19 |
Family
ID=49172144
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012024809A Pending JP2013159591A (ja) | 2012-02-08 | 2012-02-08 | 多動性抑制剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013159591A (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004536030A (ja) * | 2000-12-06 | 2004-12-02 | カンピナ メルクニー ベー.フェー. | トリプトファンの豊富なペプチドの製造方法 |
WO2009133055A1 (en) * | 2008-04-29 | 2009-11-05 | Dsm Ip Assets B.V. | Mixture of peptide-bound tryptophan and polypeptide-bound tryptophan |
-
2012
- 2012-02-08 JP JP2012024809A patent/JP2013159591A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004536030A (ja) * | 2000-12-06 | 2004-12-02 | カンピナ メルクニー ベー.フェー. | トリプトファンの豊富なペプチドの製造方法 |
WO2009133055A1 (en) * | 2008-04-29 | 2009-11-05 | Dsm Ip Assets B.V. | Mixture of peptide-bound tryptophan and polypeptide-bound tryptophan |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6344796B2 (ja) | 高齢者用アルツハイマー型認知症改善剤 | |
JP2011136907A (ja) | 持久力向上剤 | |
US20110262421A1 (en) | Pharmaceutical composition, food or drink, or feed for intestinal disease | |
Colombo et al. | Efficacy and tolerability of Creon for Children in infants and toddlers with pancreatic exocrine insufficiency caused by cystic fibrosis: an open-label, single-arm, multicenter study | |
JPWO2018159546A1 (ja) | Glp−1分泌促進剤及び組成物 | |
JP4394155B2 (ja) | 脂質代謝改善剤 | |
JP2003503038A (ja) | 乳を主成分とする予防的補助食品 | |
JP2013159591A (ja) | 多動性抑制剤 | |
JP6369990B2 (ja) | 筋萎縮抑制剤及び筋萎縮抑制用飲食品 | |
JP5087297B2 (ja) | インターロイキン−11産生促進剤 | |
JPWO2021025154A1 (ja) | 学童期の記憶能向上のための乳幼児用組成物 | |
US20190374493A1 (en) | Method of enhancing glucose levels in the central nervous system | |
WO2020013306A1 (ja) | 注意機能および判断機能向上用組成物 | |
JP5409808B2 (ja) | 治療薬および治療方法 | |
Och et al. | Dietary carbohydrate modification in Niemann-Pick type C | |
JP5427713B2 (ja) | 統合失調症の陽性症状のための治療薬 | |
JP7007797B2 (ja) | 乳児期のストレスに起因する成長期の不安行動の予防剤 | |
JP5656482B2 (ja) | 統合失調症の陽性症状のための治療薬 | |
JP2020005598A (ja) | 起床時コルチゾール濃度調節用組成物 | |
WO2019168149A1 (ja) | 認知機能を改善するペプチド | |
JP6256888B2 (ja) | 健脳食品または健脳飲料およびこれらを投与する方法 | |
JP2019170171A (ja) | 高温環境下における活力向上用組成物 | |
JP2021181408A (ja) | パーキンソン病治療用組成物及びカテコール類血中濃度向上用組成物 | |
Keskin et al. | Protein substitutions as new-generation pharmanutrition approach to managing phenylketonuria | |
JP2020058346A (ja) | 認知機能改善用組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140213 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20140213 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150127 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150319 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20150414 |