図1は、本発明による中継用警報器を用いた警報システムの実施形態を示した説明図である。
図1において、住宅などの監視エリアには、住警器10−1〜10−6が第1チャンネルグループ14−1と第2チャンネルグループ14−2に分けて配置されている。
第1チャンネルグループ14−1は3台の住警器10−1〜10−3で構成され、400MHz帯の4つのチャンネル周波数(通信周波数)f1,f2,f3,f4の内の1つ、例えばチャンネル周波数f1を設定している。
第2チャンネルグループ14−2は3台の住警器10−4〜10−6で構成され、400MHz帯の4つのチャンネル周波数(通信周波数)f1,f2,f3,f4の内の1つ、例えばチャンネル周波数f2を設定している。なお、図1にあっては、チャンネル周波数f1の設定状態を「CH1」で示し、チャンネル周波数f2の設定状態を「CH2」で示している。
第1チャンネルグループ14−1に属する住警器10−1〜10−3の任意の1台、この例では住警器10−1を中継用の住警器に割り当て、また第2チャンネルグループ14−2に属する住警器10−4〜10−6の任意の1台、この例では住警器10−4を中継用の住警器に割り当て、中継用の住警器10−1,10−4の間を、移報伝送線16−1,16−2により有線接続している。
第1チャンネルグループ14−1の中継用の住警器10−1は、自分自身で火災を検出した時、又は同一グループの他の住警器10−2,10−3から火災を示すイベント信号を受信した時、火災を示す移報信号を移報信号線16−1により第2チャンネルグループ14−2の中継用の住警器10−4に送信する。
住警器10−1からの移報信号を受信した住警器10−4は、自分自身で連動先を示す警報を行うと共に、受信した移報信号を、第2チャンネルグループ14−2に割当てられたチャンネル周波数f2の火災を示すイベント信号に変換して無線送信し、住警器10−5,10−6に中継し、連動先を示す警報を行わせる。
また、第2チャンネルグループ14−2の中継用の住警器10−4は、自分自身で火災を検出した時、又は同一グループの他の住警器10−5,10−6から火災を示すイベント信号を受信した時、火災を示す移報信号を移報信号線16−2により第1チャンネルグループ14−1の中継用の住警器10−1に送信する。
住警器10−4からの移報信号を受信した住警器10−1は、自分自身で連動先を示す警報を行うと共に、受信した移報信号を、第1チャンネルグループ14−1に割当てられたチャンネル周波数f1の火災を示すイベント信号に変換して無線送信し、住警器10−2,10−3に中継し、連動先を示す警報を行わせる。
その結果、第1チャンネルグループ14−1内では住警器10−1〜10−3がチャンネル周波数f1を使用して信号を相互に送受信しており、第2チャンネルグループ14−2の住警器10−4〜10−6には、住警器10−1に有線接続した住警器10−4からチャンネル周波数f2を使用して中継された火災を示すイベント信号が送信される。
また、第2チャンネルグループ14−2内では住警器10−4〜10−6がチャンネル周波数f2を使用して信号を相互に送受信しており、第1チャンネルグループ14−1の住警器10−1〜10−3には、住警器10−4に有線接続した住警器10−1からチャンネル周波数f1を使用して中継された火災を示すイベント信号が送信される。これによってグループ内及びグループ間で連動監視を行うことができる。
また第1及び第2チャンネルグループ14−1,14−2を構成している住警器の数は信号衝突により受信不能となる割合を抑えた台数としても、全体の台数を拡張することができる。即ち無線信号であるため、第1チャンネルグループ14−1の住警器10−1〜10−3と第2チャンネルグループ14−2の住警器10−4〜10−6の間で相互に信号が届くことがあるが、グループ毎にチャンネル周波数が異なるため、衝突により信号が崩れる可能性は高くならない。例えば図1に示した例では、全体システムとしては最大6台分の信号が空間を伝搬することになるが、同一チャンネルの信号は、3台分を超えることが無い。
また住警器10−1と住警器10−4との間は移報信号線16−1,16−2による有線通信としているため、無線通信量が増加することが無く、信号衝突を発生しにくくしている。
また中継用の住警器10−1,10−4の間は有線接続としていることから、例えば通信エリアが遮断されているようなグループ間での中継送信による連動を実現できる。
更に、住警器10−1,10−4に設けられた移報信号の伝送機能を利用してグループ間の連動を実現しているため、専用の中継器を設置する必要がなく、その分、システム機器の台数が低減してコストを低減できる。
図2は図1の警報システムに設けた住警器(住宅用火災警報器)の実施形態を示したブロック図であり、図1に示した第1チャンネルグループの中継用の住警器10−1について回路構成を詳細に示している。なお、説明を分かり易くするため、第1チャンネルグループ14−2の住警器10−2〜10−3と第2チャンネルグループ14−2の住警器10−4〜10−6を併せて示している。この例の場合、他の住警器10−2〜10−6についても、住警器10−1と同様の構成を備える。
中継用の住警器10−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ18を備え、プロセッサ18に対しては、有線通信部70、アンテナ21を備えた無線通信部20、メモリ22、センサ部24、報知部26、操作部28、電池電源30を設けている。
有線通信部70には移報出力端子76に接続した移報送信回路72−1と、移報入力端子78を接続した移報受信回路74−1が設けられている。移報送信回路72−1は住警器10−1自身で火災を検出した時または他の住警器10−2,10−3から火災を示すイベント信号を受信した時、例えばリレー接点のオンなどにより無電圧の接点信号としての移報信号を移報出力端子76に出力する。
移報出力端子76は移報信号線16−1により第2チャンネルグループ14−2に割当てられた中継用の住警器10−4に接続され、火災検出に伴う移報信号を住警器10−4の移報受信回路74−4に送信する。
また住警器10−1に設けた移報受信回路74−1の移報入力端子78には、第2チャンネルグループ14−2の住警器10−4に設けた移報送信回路72−4からの移報信号線16−2が接続され、住警器10−4自身で火災を検出した時または他の住警器10−5,10−6から火災を示すイベント信号を受信した時に出力される火災を示す接点信号としての移報信号を受信する。
図3は図2の住警器10−1,10−4の移報伝送系の一例を取り出して示した回路図である。図3において、住警器10−1の移報信号送信回路72−1は、例えばリレーなどで開閉する接点80−1を備え、火災を示す移報信号の送信時に接点80−1がオンされる。
住警器10−1の移報送信回路72−1は移報信号線16−1により中継先となる住警器10−4の移報受信回路74−4に接続されている。移報受信回路74−4は、移報信号線の一方を、抵抗82−4を介して電源電圧+Vcにプルアップし、移報信号線の他方をアース接続し、プルアップ側をプロセッサ18に取り込んでいる。
住警器10−1で火災を検出して移報送信回路72−1の接点80−1をオンすると、住警器10−4の移報受信回路74−4に設けた抵抗82−4から接点80−1を介してアース側に電流が流れ、プルアップ側の信号線電圧が低下する。この電圧低下をプロセッサで読取って火災を示す移報信号の受信を判別する。
住警器10−4の移報送信回路72−4と住警器10−1の移報受信回路74−1との間の移報信号伝送も同様となる。
再び図2を参照するに、無線通信部20には送信回路(無線送信回路)32及び受信回路(無線受信回路)34が設けられ、プロセッサ18からの指示に基づき例えば400MHz帯の4つのチャンネル周波数(通信周波数)f1,f2,f3,f4の内の1つ、例えばチャネル周波数f1を設定し、同一グループに属する他の住警器10−2,10−3との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。
無線通信部20としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備標準規格)に準拠した構成を備える。
もちろん無線通信部20としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
メモリ22には、イベント信号の順番を示す連続番号である連番38、住警器を特定するID(識別子)となる送信元符号40及び連動グループを構成するためのグループ符号42が格納されている。
連番38は警報器間の通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
送信元符号40としては、国内に提供される住警器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。送信元符号としては例えば、固有のシリアル番号等を使用する。なお中継器15から送信される中継信号についても、中継器のシリアル番号等を送信元符号として付加する。
グループ符号42は連動グループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、無線通信部20で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ22に登録しているグループ符号42に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理することになるので、同じチャンネル周波数を使用して近隣の住宅等に設置された、連動を要しない警報器との混信を回避出来る。
センサ部24には検煙部46が設けられ、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。検煙部46以外に、火災による温度を検出するサーミスタ等の温度検出素子や、火災に伴うその他の物理現象変化を検出する各種素子を設けても良い。また、異なる現象を検出する複数の素子を組み合わせても良い。
報知部26には警報音を出力するスピーカ48と警報表示を行うLED50が設けられている。スピーカ48は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。スピーカ48に代えて、ブザー等を用いても良い。LED50は点滅や点灯、明滅などにより、火災などの異常を表示する。また、2色LEDや表示色の異なる2つのLEDを設け、連動元の表示と連動先の表示で表示色を異ならせても良い。
操作部28には警報停止スイッチ52と通信周波数選択指示部として機能するチャンネル周波数選択スイッチ54が設けられている。警報停止スイッチ52は、報知部26からスピーカ48により警報音により警報表示を行っているときにのみ警報停止指示を入力することが出来る。
即ち警報停止スイッチ52は住警器の機能点検を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。たとえば、火災警報時に警報停止スイッチ52が操作されると警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ52が操作されると機能点検を実施して結果を報知する。
住警器10−1〜10−5が警報音を出している状態で、警報停止スイッチ52を操作すると、警報音の停止処理が行われるが、ここで、本実施形態の警報音の停止処理としては次のいずれかの停止処理を行う。
(1)住警器10−1〜10−3の内、連動元以外の任意の警報停止スイッチ52を操作すると、連動元のみが引き続き警報音を出力し、連動先は警報音を停止する。一方、連動元の警報停止スイッチ52を操作すると、連動元および連動先の全ての警報音を停止する。
(2)警報中の住警器10−1〜10−3の内の任意の警報停止スイッチ52を操作すると、連動先、連動元に関わらず、全ての警報音を停止する。
(3)前記(1)の停止処理を第1モード、前記(2)の停止処理を第2モードとし、いずれか一方のモードを選択して停止処理を行う。
なお機能点検や警報停止についても、移報信号線16−1や16−2、また必要に応じ別の配線を介して第2チャンネルグループ14−2の住警器10−4へ、さらには移報信号を受けた住警器10−4からの無線連動により住警器10−5、10−6へ連動させることが出来る。
このように警報(火災)以外のイベントについても2つのチャンネルグループ間で連動させることで、よりきめ細かく適切な防災システムとすることが出来る。2つのチャンネルグループ間の連動は、双方向とすることも片方向とすることも出来るが、例えば連動させるイベント毎に双方向と片方向を組み合わせても良い。
電池電源30は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線通信部20を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
チャンネル周波数選択スイッチ54は例えばディップスイッチをプロセッサ18に接続しており、チャンネル周波数f1,f2,f3,f4のいずれかの選択状態にスイッチ操作しておくと、電源投入時にディップスイッチの状態をプロセッサ18が読み取り、読み取った状態に応じてプロセッサ18から無線通信部20にコマンドを送信して送信回路32及び受信回路34に対するチャンネル周波数の設定を行う。これに限らず、例えば定期的にディップスイッチの状態を読み取り、読み取った状態に応じてチャンネル切り替えを行うようにしても良い。
なおチャンネル切り替えについても、同一チャンネルグループ内の他の住警器へ連動させるようにすることも出来る。この場合例えば、任意の住警器で使用チャンネルの切り替え操作が行われたときに、使用チャンネルを直ちに切り替えるのではなく、従来のチャンネル周波数で他の住警器に使用チャンネル切り替えのイベント信号を送信し、応答信号を受信するか当該従来の周波数の信号が無くなったこと等によって、使用チャンネル切り替えを示すイベント信号が受信されたことを確認してから自己の使用チャンネル周波数を切り替える。
その後、新たなチャンネル周波数で他の住警器からの完了応答を確認するようにしても良い。使用チャンネル切り替えのイベント信号を受信した他の住警器は、必要に応じ所定の応答を行った上で自己の使用チャンネルを切り替え、更に必要に応じて新たな周波数でも切り替え完了応答信号を送信する。
引き続き図2を参照するに、プロセッサ18にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部56、送信処理部58、受信処理部60、チャネル周波数設定部62、警報処理部64及び中継処理部66が設けられている。
イベント検出部56は、センサ部24による異常検出、操作部28による警報停止または点検指示、センサ部24の異常検出がなくなる異常復旧等のイベントを検出する。
送信処理部58は、イベント検出部56によりセンサ部24による火災検出、操作部28による警報停止または点検指示、センサ部24の異常検出がなくなる異常復旧等、自己のイベントを検出した時に、検出イベントを示すイベント信号を連動先の住警器に送信させる。
受信処理部60は、受信回路34で他の住警器から受信したイベント信号を解読する。また受信処理部60は移報受信回路74−1による火災を示す移報信号の受信を判別する。
チャネル周波数設定部62は、送信回路32と受信回路34を操作部28のチャネル周波数選択スイッチ54の操作で指示されたチャンネル周波数たとえばf1の送受信状態に設定する。
警報処理部64は、イベント検出部56で自己の異常として火災を検出した時にスピーカ48から連動元を示す警報音を出力すると共に、LED50を駆動して連動元を示す表示を行い、また、火災を示すイベント信号を他の住警器に無線送信する。
具体的に説明すると、警報処理部64は、センサ部24に設けた検煙部46から煙検出信号に基づいてイベント検出部56で火災を検出したときに、報知部26のスピーカ48から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、LED50をたとえば点灯して連動元を示す警報表示を行う。
また警報処理部64は、火災検出時に火災を示すイベント信号を無線通信部20の送信回路32によりチャンネル周波数f1を使用してアンテナ21から他の住警器に向けて送信させる。
また警報処理部64は、他の住警器からの火災を示すイベント信号を無線通信部20の受信回路34によりチャンネル周波数f1で受信し、受信処理部60で有効となったときに、報知部26のスピーカ48から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時にLED50をたとえば点滅して連動先を示す警報表示を行う。
また警報処理部64は、火災検出時に移報信号を有線通信部70の移報送信回路72−1から移報信号線16−1を介して第2チャンネルグループ14−2の中継用の住警器10−4に設けた移報受信回路74−4に送信する。
住警器10−1から移報信号を受信した住警器10−4は、連動先を示す警報を行うと共に、火災を示すイベント信号を、チャンネル周波数f2を使用して無線送信することで、同一グループの他の住警器10−5,10−6に中継して連動警報を行わせる。
また警報処理部64は、第2チャンネルグループ14−2の住警器10−4に設けた移報送信回路72−4からの火災を示す移報信号を移報受信信回路74−1により受信したとき、連動先を示す警報を行うと共に、火災を示すイベント信号を、チャンネル周波数f1を使用して無線送信することで、同一グループの他の住警器10−2,10−3に中継して連動警報を行わせる。
このような住警器10−1,10−4間の有線による移報信号伝送を経由した中継動作により、第1チャンネルグループ14−1に属するチャンネル周波数f1を使用した住警器10−1〜10−3と、第2チャンネルグループ14−2に属するチャンネル周波数f2を使用した住警器10−4〜10−6との間で、相互に信号衝突を低減できる通信環境を構築しながらイベント信号を送受信し、実質的に1つの連動グループとして火災を監視することができる。
更に、警報処理部64は、火災警報の出力中に操作部28に設けた警報停止スイッチ52の警報停止操作を検出した場合、スピーカ48からの警報音を停止すると共にLED50の表示を停止させる。この場合、LED50による表示については所定時間継続させた後に停止しても良い。
図4は本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図4において、イベント信号36は連番38、送信元符号40、グループ符号42及びイベント符号44で構成されている。
連番38はイベント信号の順番を示す連続番号であり、イベント信号を送信する毎に1つずつ増加させる。連番38は警報器間の通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
送信元符号40は例えば26ビットの符号である。グループ符号42は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図1の住警器10−1〜10−3、10−4〜10−6につきそれぞれ同じグループ符号が設定されている。
グループ符号42は、近隣に設置された他の(連動不要の)住警器からの受信信号を処理しないように、またそれらのシステムへの送信信号が処理されないように設けているものであり、本実施例の場合はチャンネル周波数の違いによって住警器10−1〜10−3と10−4〜10−6は分離されているので、住警器10−1〜10−6につき全て同じグループ符号としても支障は無い。
なおグループ符号42としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する住警器に共通な基準符号と、各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
イベント符号44は、火災、ガス漏れなどのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては3ビット符号を使用しており、例えば「001」で火災、「010」でガス漏れ、「011」で復旧、「100」で警報停止、「101」で復旧、「110」で点検、残りをリザーブとしている。なおイベント符号44のビット数は、イベントの種類が増加したときには4ビット、5ビットと増加させることで、更に多くのイベント内容を表すことができる。
図5は図2の実施形態における中継用の住警器の基本的な処理例を示したフローチャートである。図5において、中継用の住警器10−1の電池電源30から電源供給が開始されると、ステップS1で初期化及び自己診断を実行し、異常がなければステップS2に進み、操作部28に設けたチャンネル周波数選択スイッチ54の設定状態に基づき無線通信部20に設けた送信回路32と受信回路34に、選択したチャンネル周波数たとえばf1を設定する。
続いてステップS3に進んでイベント検出部56によるイベント検出の有無をチェックし、イベント検出を判別するとステップS4に進み、検出イベントに対応した処理を実行する。
続いてステップS5で他の住警器からのイベント信号の受信の有無をチェックしており、イベント信号受信を判別するとステップS6に進み、受信イベントに対応した処理を実行する。
図6は、図5のステップS4における検出イベント対応処理の詳細を示したフローチャートであり、プロセッサ18のプログラムの実行による処理となる。
図6において、検出イベント対応処理は、ステップS11で火災発生を監視しており、センサ部24から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災発生を判別してステップS12に進み、ステップS12で連番、送信元符号、グループ符号、火災を示すイベント符号を含むイベント信号を第1チャンネルグループ14−1に属する他の住警器10−2,10−3に送信する。
同時に火災を示す移報信号を第2チャンネルグループ14−2に属する住警器10−4に送信し、住警器10−4で連動先を示す警報を行わせると共に、住警器10−4から火災を示すイベント信号を、チャンネル周波数f2を使用して中継送信させ、住警器10−5,10−6で連動先を示す警報を行わせる。
続いてステップS13に進み、スピーカ48からの警報音とLED50の点灯による表示(発報表示、警報表示)とにより連動元を示す火災警報を出力する。
続いて、ステップS14でセンサ部24からの煙検出信号が低下して火災状態が解消する火災復旧の有無を判別しており、火災復旧を判別するとステップS15に進み、連番、送信元符号、グループ符号、火災復旧を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に無線により送信した後、ステップS16で連動元を示す火災警報を停止する。ここで、復旧についても火災同様に移報信号も送信するようにしても良い。この場合は例えば、図2に示す移報送信回路72−1の接点80−1をオープンとすることで伝送出来る。
続いてステップS17で警報停止スイッチ52の操作の有無を判別し、スイッチ操作が判別されるとステップS18で警報中の有無を判別する。ステップS18で警報中が判別されると、ステップS19に進んで連番、送信元符号、グループ符号、警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信した後に、ステップS20で火災警報を停止する。ステップS19に於いても、有線によって警報停止指示信号をも送信するようにしても良い。
一方、ステップS18で警報中でなかった場合には、通常の監視状態であることから、ステップS21に進んで連番、送信元符号、グループ符号、点検を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS22で所定の点検処理を行い、点検結果を示す点検メッセージを出力する。ここでもステップS21に於いて、有線によって点検指示信号をも送信するようにすることが出来る。
図7は図5のステップS6における受信イベント対応処理の詳細を示したフローチャートであり、プロセッサ18のプログラムの実行による処理となる。
図7において、ステップS31で同じ第1チャンネルグループ14−1に属する他の住警器からの同じチャンネル周波数f1を使用した火災を示すイベント信号受信の有無を判別している。ステップS31で火災を示すイベント信号受信を判別するとステップS32に進み、連動先を示す火災警報としてスピーカ48からの警報音とLED50の点滅による表示を行う。
続いてステップS33で第2チャンネルグループ14−2に属する住警器10−4からの火災を示す移報信号受信の有無を判別しており、移報信号受信を判別するとステップS34に進み、連動先を示す火災警報としてスピーカ48からの警報音とLED50の点滅による表示を行う。
更にステップS35で移報信号の受信判別に基づき、自己と同じチャンネル周波数f1を使用した火災を示すイベント信号を住警器10−2,10−3に中継送信し、連動先を示す警報を行わせる。
続いて、ステップS36で火災復旧のイベント信号受信の有無を判別しており、火災復旧を示すイベント信号の受信を判別するとステップS37で火災警報を停止する。
続いてステップS38で警報停止を示すイベント信号受信の有無を判別し、警報停止を示すイベント信号受信を判別するとステップS39で警報中の有無を判別する。ステップS39で警報中が判別されると、ステップS40に進んで火災警報を停止する。
続いてステップS41で点検を示すイベント信号受信の有無を判別し、点検を示すイベント信号受信を判別するとステップS42で警報停止中の有無を判別する。ステップS42で警報停止中が判別されると、ステップS43に進んで所定の点検処理を行って結果を示す点検メッセージを報知部26のスピーカ48から出力する。
図8は、有線により中継するグループの複数組を無線により中継する拡張された警報システムを示したブロック図である。
図8において、第1チャンネルグループ14−1と第2チャンネルグループ14−2は、図1に示したと同様に、中継用の住警器10−1,10−4の間を移報信号線16−1,16−4で相互に接続し、火災検出時に火災を示す移報信号を有線伝送し、中継先のチャンネルグループのチャンネル周波数のイベント信号に変換して無線により中継送信し、連動先を示す警報を行わせている。
このような有線接続により相互中継する第1チャンネルグループ14−1と第2チャンネルグループ14−2の組に加え、更に、同様に有線接続により相互中継する第3チャンネルグループ14−3と第4チャンネルグループ14−4の組が設けられる。
第3チャンネルグループ14−3と第4チャンネルグループ14−4の組においても、中継用の住警器10−7,10−10の間を移報信号線16−3,16−4により有線接続し、火災検出時に火災を示す移報信号を有線伝送し、中継先のチャンネルグループのチャンネル周波数のイベント信号に変換して無線により中継送信し、連動先を示す警報を行わせている。
このような2組の有線伝送を経由して中継するチャンネルグループにつき、各組の間で連動警報を行うため、例えばCH1で示すチャンネル周波数f1とCH3で示すチャンネル周波数f3の両方を設定した中継器15が設置される。
中継器15は、第1チャンネルグループ14−1の住警器10−1〜10−3のいずれかの火災検出に伴う、チャンネル周波数f1のイベント信号を受信すると、チャンネル周波数f3を使用して火災を示すイベント信号を無線により第3チャンネルグループ14−3の住警器10−7〜10−9に中継送信し、連動先を示す警報を行わせる。
また中継器15は、第3チャンネルグループ14−3の住警器10−7〜10−9のいずれかの火災検出に伴う、チャンネル周波数f3のイベント信号を受信すると、チャンネル周波数f1を使用して火災を示すイベント信号を無線により第1チャンネルグループ14−1の住警器10−1〜10−3に中継送信し、連動先を示す警報を行わせる。
このとき中継用の住警器10−7で火災を示すイベント信号が受信されると、第4チャンネルグループ14−4の住警器10−10に火災を示す移報信号が有線で中継送信されて連動先を示す警報が行われ、更に住警器10−10からのイベント信号の中継送信により住警器10−11,10−12で連動先を示す警報が行われ、4つのチャンネルグループ全体で連動警報を行うことができる。
なお、上記の実施形態は、同じチャンネル周波数を使用するチャンネルグループを構成する住警器の数を3台として信号衝突を低減するようにしているが、チャンネル数、1グループあたりの住警器台数を更に増やせば、全体の連動台数も増やすことが出来る。この場合は本発明の目的を損なわない範囲で調整することになる。
また図1の警報システムでは、各チャンネルグループの任意の1台の住警器の間を、移報信号を送受信できるように相互を有線接続しているが、一方の移報信号線のみによる有線接続とすることで、他方のチャンネルグループへ中継するが、逆の中継は行わないような使い方もできる。
また、1つのチャンネルグループを構成する住警器の数が1台となることを妨げない。
また、上記の実施形態は親機/子機の区別無くそれぞれの警報器が相互に通信するものであるが、各チャンネルグループに親機と子機を設け、各チャンネルグループの親機同時を移報信号線により相互接続して中継送信するようにしても良い。
そして、親機と子機で構成するチャンネルグループと、親機と子機の別のないチャンネルグループとの間で、中継器を介して通信するようにしても良い。
また、有線通信部70は中継用住警器にのみ実装するようにしても良い。このようにすれば、全ての住警器に有線通信部を設ける必要が無いので、コストを抑えることが出来る。
また有線通信部の機能の少なくとも一部について有効/無効を切り替えるようにしても良い。このようにすれば、有線通信機能を必要としない住警器の、有線通信に係る消費電流を抑制することが出来る。そして、以下に示す片方向連動と上記実施形態に示した双方向連動の切り替え等、運用に応じて適宜に連動関係を切り替えることも出来る。
また、有線通信は片方向のみとし、一方のグループから他方のグループに対してのみ連動できるようにすることも出来る。これにより、必要な連動のみを選択し、不要な連動を避けることが出来る。
また上記の実施形態は火災を検出して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムについても同様に適用できる。
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等が出来る。
また、有線通信の移報送信回路、移報受信回路は、上記の実施形態で示した例に限定されない。
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。