JP2013156122A - 加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】減圧下で発熱体が発熱したときの測定温度の追従性を高めることができ、かつ測定温度の追従性を長期間安定させることができる加熱装置を提供する。
【解決手段】帯状の発熱体20は、中間部20sが支持体11の主面22sに支持され、隣接部20p,20qが支持体11の外周面14s,14tに沿って配置されている。接触式温度センサ40の感温部40aは、発熱体20の隣接部20qの支持体11とは反対側の外表面20tに接するように配置される。感温部固定部材30は、支持体11に固定される固定部30a,30cと、感温部40aに接する対向部30bと、固定部30a,30cと対向部30bとの間を接続する接続部30m,30nとを有し、接続部30m,30nが弾性変形して、対向部30bが感温部40aを発熱体20の外表面20tに弾力的に押し付ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、加熱装置に関し、詳しくは、減圧下で発熱体が発熱したときに温度測定可能な加熱装置に関する。
熱電対や測温抵抗体などの接触式温度センサを用いて温度を計測する場合、接触式温度センサの感温部が被測定物に接触した状態が保持されるように、接触式温度センサの感温部を固定する必要がある。接触式温度センサの感温部を固定する方法については、種々提案されている。
例えば図5の断面図に示すように、特殊なクリップ109に形成されたテーパおねじ107を、テーパめねじ106が形成された被測温体105にねじ込み、熱電対101をクリップ109で挟み込む。これによって、熱電対101の先端の測温部102が被測温体105に押し付けられた状態で、熱電対101を固定する(例えば、特許文献1参照)。
また、図6の説明図に示すように、被測温体206の外周面に熱電対の測温部204が接触した状態で、両者を弾力のある器具205で外から挟み込む。これによって、熱電対の測温部204を被測温体206に押し付けて接触させた状態を保持する(例えば、特許文献2参照)。
また、フィルム袋をシールするために、帯状のリボンヒータを用いて短時間に加熱するインパルスシーラーやインパルスヒータと呼ばれる加熱装置が用いられている。例えば特許文献3には、その一般的な構成が開示されている。
また、特許文献4には、複数の素子が実装された基板上に樹脂フィルムを配置して袋の中に入れ、袋の開口部を減圧中で密閉した後、減圧を解除し、大気圧により袋を介して作用する圧力によって樹脂フィルムを素子間に充填する樹脂封止された電子部品の製造方法が開示されている。
特開平1−189527号公報 実開昭58−16534号公報 実開平6−1211号公報 特許第4386039号公報
例えば特許文献4の樹脂封止された電子部品の製造方法において、インパルスシーラーやインパルスヒータと呼ばれる加熱装置を用いて減圧下で加熱して袋の開口部を密閉する場合、加熱不足によるシール不良が発生しないように、温度を測定して監視することが考えられる。この場合、加熱装置は急激に温度が上昇し、かつシール時間は比較的短時間であるため、温度測定は、短時間の急激な温度変化に追従する必要がある。
図5のように熱電対の先端だけを、加熱装置のリボンヒータに接触させた場合、短時間の温度変化に対しては、温度検出精度が悪い。
また、図5のような特殊なクリップを用いる方法では、クリップを取り付ける部分を形成するために、被測温体は一定の体積を持つ必要がある。しかし、リボンヒータは薄く、クリップを取り付ける部分を形成できないため、図5の方法の適用は困難である。
また、熱電対を用いて正確な温度検出を実現するためは、クリップや雰囲気温度も含めた熱電対の測温部の周囲が、被測温体と同じ温度であることが条件となる。そのため、図5の方法は、急激な温度変化への追従や、減圧下での温度検出には適さない。
図6のように被測温体に熱電対の測温部を接触させる場合、被測温体と熱電対との接触面積が小さいため、急激な温度変化への追従や真空中での温度検出が難しい。
被測温体の外周面に熱電対用の溝を設けるなどして、熱電対と被測温体との接触面積を増やすと、急激な温度変化への追従性が向上する。しかし、リボンヒータのような薄い物体には溝などを設けることができないため、接触面積を増やすことによる追従性向上策は適用できない。
また、図7の構成図のように、押え部材18xにリボンヒータ20xを沿わせ、押え部材18xにシース熱電対のシース部分40aを配置する溝18vを設け、押え部材18xとリボンヒータ20xの間にシース熱電対のシース部分40aを配置し、矢印20y,20zで示す方向のリボンヒータ20xの張力を利用して、シース熱電対のシース部分40aがリボンヒータ20xに十分に接触する状態を保ちながら、温度測定を行うことが考えられる。この場合、リボンヒータ20xの張力低下や押え部材18xの位置変動などの経時変化によって、シース熱電対のシース部分40aとリボンヒータ20xとの接触が不十分になると、温度追従性が低下する。
本発明は、かかる実情に鑑み、減圧下で発熱体が発熱したときの測定温度の追従性を高めることができ、かつ測定温度の追従性を長期間安定させることができる加熱装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した加熱装置を提供する。
加熱装置は、(a)主面と、該主面から後退した外周面とを有する支持体と、(b)前記支持体の前記主面に支持される中間部と、前記支持体の前記外周面に沿う隣接部とを有する帯状の発熱体と、(c)前記発熱体の前記隣接部の前記支持体とは反対側の外表面に接するように配置される接触式温度センサの感温部と、(d)前記支持体に固定される固定部と、前記感温部に接する対向部と、前記固定部と前記対向部とを接続する接続部とを含み、前記接続部が弾性変形して前記対向部が前記感温部を前記発熱体の前記外表面に弾力的に押し付ける感温部固定部材とを備える。前記支持体は、前記発熱体を介して前記感温部に対向する部分に、前記発熱体に接し、前記支持体のうち前記発熱体の中間部に接する部分の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する断熱部材を含む。減圧下で前記発熱体が発熱したとき、前記感温部により測定した温度が、前記発熱体の前記中間部の温度上昇に追従する。
上記構成において、接触式温度センサの感温部は、感圧部固定部材によって、発熱体の外表面に弾力的に押し付けられる。そのため、発熱体の伸縮などの経時変化があっても、接触式温度センサの感温部が発熱体の外表面に接触する状態(接触圧)が長期間一定に保たれ、測定温度の追従性が低下しないようにすることができる。
上記構成によれば、減圧下で発熱体が発熱したとき、周囲の気体の移動による熱移動(対流熱伝達)がほとんどないので、発熱体の中間部で発生した熱は、輻射伝熱と伝導伝熱(支持体への熱移動)とにより移動し、移動しない熱によって発熱体の中間部の温度が上昇する。発熱体のうち接触式温度センサの感温部に接する部分及びその近傍部分で発生した熱は、同様に輻射と伝導伝熱とにより移動する。発熱体のうち接触式温度センサの感温部に接する部分及びその近傍部分で発生した熱は、断熱部材が支持体への伝導伝熱を遮断するため、伝導伝熱により接触式温度センサの感温部に伝達され、さらに、接触式温度センサの感温部から感温部固定部材へと伝達される。接触式温度センサの感温部に伝達された熱によって、接触式温度センサの感温部により測定される温度が上昇する。接触式温度センサの感温部に接する感温部固定部材の熱的な特性を調整することにより、発熱体の中間部と接触式温度センサの感温部との温度差をできるだけ小さくして、接触式温度センサの感温部により測定される温度が、発熱体の中間部の温度上昇に良好に追従するようにできる。すなわち、測定温度の追従性を高めることができる。
一方、発熱体が発熱を停止し、減圧が解除されると、周囲の気体の移動による熱移動(対流熱伝達)によって、発熱体の中間部は急速に冷却され、温度が下降する。このとき、感温部固定部材は、接触式温度センサの感温部から熱を奪い、表面から放熱する。そのため、発熱体の温度下降時も、測定温度は発熱体の中間部の温度変化に追従する。
感温部固定部材からの放熱を十分に確保するように構成すると、再び減圧下での発熱体の発熱を開始するときに、発熱体の中間部と、発熱体のうち接触式温度センサの感温部に接する部分及びその近傍部分とが、同じ温度になるようにすることができる。その結果、減圧下での発熱と減圧解除下での冷却とを繰り返しても、熱の蓄積によって測定温度の追従性が低下することがないようにすることができる。
上記構成において、感温部固定部材の固定部材は、支持体の主面に固定しても、支持体の外周面に固定しても、支持体のそれ以外の部分に固定しても構わない。
好ましくは、前記感温部固定部材は、金属板を用いて形成されている。前記感温部固定部材は、(a)前記発熱体の前記隣接部の両側に配置され、前記支持体の前記外周面に固定される一対の前記固定部と、(b)前記一対の固定部の間から離れた位置において、前記発熱体の前記隣接部に接する一つの前記対向部と、(c)一対の前記固定部と前記対向部とを接続する一対の前記接続部とを含む。
この場合、感温部固定部材は、金属板により簡単に形成することができ、金属板の板厚を変えることによって感温部固定部材に蓄積される熱量を調整し、測定温度の追従性を調整することができる。また、感温部固定部材は、固定部と対向部との間を接続する接続部の構成(長さ、幅、板厚、材質など)によってばね定数が変わるので、感温部固定部材の対向部が接触式温度センサの感温部を押し付ける力を、所望の大きさにすることが容易である。
好ましくは、前記感温部固定部材は、前記発熱体に対向する部分に貫通穴が形成されている。
この場合、感温部固定部材の貫通穴は発熱体からの熱輻射を遮らないので、接触式温度センサの感温部と発熱体の中間部とを同じ温度に近づけ、測定温度の追従性をさらに高めることができる。また、感温部固定部材の表面積が増えるので、冷却されやすくなり、放熱性が高まる。
本発明によれば、減圧下で発熱体が発熱したときの測定温度の追従性を高めることができ、かつ測定温度の追従性を長期間安定させることができる。
加熱装置の平面図である。(実施例) 加熱装置の断面図である。(実施例) 加熱装置の側面図である。(実施例) 加熱装置を用いる製造設備の概略構成図である。(実施例) 熱電対固定装置の断面図である。(従来例1) 熱電対の固定状態を示す説明図である。(従来例2) 熱電対の固定状態を示す説明図である。(比較例)
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4、図7を参照しながら説明する。
<実施例> 本発明の実施例の加熱装置10について、図1〜図4を参照しながら説明する。
まず、加熱装置10の構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、加熱装置10の平面図である。図2は、図1の線X−Xに沿って切断した縦断面図である。図3(a)は、加熱装置10の右側面図である。図3(b)は、加熱装置10の左側面図である。
図1〜図3に示すように、加熱装置10は、支持体11と、リボンヒータ20とを備えている。
図1及び図2に示すように、支持体11は、本体12の両側に絶縁部材14a,14bが固定されている。本体12の下部12aは、不図示の昇降装置に固定される。
図1〜図3に示すように、本体12の上部12b及び絶縁部材14a,14bの上面12s,14p,14qには溝12u,14u,14vが形成され、溝12u,14u,14vには緩衝部材22が配置されている。緩衝部材22の上面22sの中央部分は、本体12の上部12b及び絶縁部材14a,14bの上面12s,14p,14qよりも突出している場合を図示しているが、面一であっても、後退していても構わない。
図1に示すように、本体12の上部12b及び絶縁部材14a,14bの上面12s,14p,14qと、その中央に配置された緩衝部材22の上面22sとによって、支持体11の主面11sが形成される。
図1〜図3に示すように、リボンヒータ20は、帯状に形成された発熱体である。リボンヒータ20の中間部20sは、緩衝部材22の上面22sの中央部分に支持されている。すなわち、リボンヒータ20の中間部20sは、支持体11の主面11sに支持されている。リボンヒータ20のうち中間部20sの両側の隣接部20p,20qは、絶縁部材14a,14bの側面14s,14tに沿って配置されている。絶縁部材14a,14bの側面14s,14tは、支持体11の主面11sから後退した外周面である。
図2に示すように、リボンヒータ20の両端付近20a,20bは、絶縁部材14a,14bの下部に固定されている。すなわち、リボンヒータ20の両端付近20a,20bは、絶縁部材14a,14bの下部に沿って配置された断面L字状の当て部材26の一片26aと、絶縁部材14a,14bに固定された押えブロック16との間に挟まれ、絶縁部材14a,14bに固定された端子24と当て部材26の他の一片26bとの間に挟まれた状態で固定されている。端子24には、リボンヒータ20に電源を供給するため、不図示の配線が接続される。当て部材26は、例えば銅板で形成する。
図2及び図3(b)に示すように、一方の絶縁部材14aの側面14sには、突出部材18が取り付けられている。突出部材18の取り付け位置を不図示のねじ機構を用いて調整することによって、リボンヒータ20の一方の隣接部20pを一方の絶縁部材14aの側面14sから離れる方向に押し出し、リボンヒータ20のたるみを取り除くことができる。なお、突出部材18によってリボンヒータ20に張力を与える必要はないが、張力を与えるようにしても構わない。
図2及び図3(a)に示すように、他方の絶縁部材14bの側面14tには、リボンヒータ20の他方の隣接部20qを跨ぐように、感温部固定部材30が取り付けられている。感温部固定部材30は、金属板を用いてU字状に形成されており、U字の中間に配置された対向部30bとU字の両端に配置された固定部30a,30cとが、接続部30m,30nを介して接続されている。感温部固定部材30の固定部30a,30cは、リボンヒータ20の他方の隣接部20qの両側に配置され、ボルト38で他方の絶縁部材14bに固定されている。感温部固定部材30の対向部30bは、リボンヒータ20の他方の隣接部20qの支持体11とは反対側の外表面20tに対向する。
感温部固定部材30の対向部30bとリボンヒータ20の他方の隣接部20qとの間には、シース熱電対40のシース部分40aが挟まれた状態で固定されている。シース熱電対40のシース部分40aは、金属保護管(シース)の内部に熱電対素線を入れ無機絶縁物を密封充填し絶縁したものであり、接触式温度センサの感温部である。
感温部固定部材30は、固定部30a,30cと対向部30bとの間を接続する接続部30m,30nが弾性変形することにより、感温部固定部材30の対向部30bがシース熱電対40のシース部分40aをリボンヒータ20の他方の隣接部20qの外表面20tに弾力的に押し付けている。感温部固定部材30の対向部30bがシース熱電対のシース部分40aを押し付ける力の大きさは、感温部固定部材30の接続部30m,30nの構成(長さ、幅、板厚、材質など)により感温部固定部材30のばね定数を変えることによって、所望の大きさにすることが容易である。
感温部固定部材は、一か所のみを支持体に固定することも可能である。この場合に比べ、固定部30a,30cにより感温部固定部材30の両端を固定すると、感温部固定部材30の対向部30bがシース熱電対のシース部分40aを押し付ける力の大きさが長期間安定し、一定に保たれるようにすることが容易であるので、好ましい。
感温部固定部材30は、金属板により簡単に形成することができ、金属板の板厚を変えることによって感温部固定部材30に蓄積される熱量を調整し、測定温度の追従性を調整することができる。例えば、感温部固定部材30をステンレス板で形成する場合、板厚は0.2mm以上、0.5mm以下が好ましい。板厚を0.2mm以上にすると板ばね効果を得ることができ、板厚を0.5mm以下にすると良好な放熱効果を得ることができる。
すなわち、感温部固定部材30の板厚が大き過ぎると、感温部固定部材30がシース熱電対40のシース部分40aから奪う熱が過剰となり、シース熱電対40のシース部分40aの温度上昇が抑制され、測定温度の追従性が低下する。感温部固定部材30の板厚が小さ過ぎると、ばね定数が小さくなり、感温部固定部材30の対向部30bがシース熱電対40のシース部分40aを押し付ける力が、不足する。
図3(a)に示すように、感温部固定部材30には、リボンヒータ20の他方の隣接部20qに対向する部分及びその近傍部分に、貫通穴30pが形成されている。貫通穴30pは、リボンヒータ20の他方の隣接部20qからの熱輻射を遮らないので、シース熱電対40のシース部分40aとその周囲の熱的な状態を、熱輻射が遮られないリボンヒータ20の中間部20sの熱的な状態に近づけることができる。これによって、シース熱電対40のシース部分40aとリボンヒータ20の中間部20sとを同じ温度に近づけ、シース熱電対40のシース部分40aによって測定した温度が、リボンヒータ20の中間部20sの温度上昇により良好に追従するようにできる。また、貫通穴30pによって感温部固定部材30の表面積が増えるので、冷却されやすくなり、放熱性が高まる。
図2及び図3(a)に示すように、他方の絶縁部材14bの側面14tのうち、シース熱電対40のシース部分40aがリボンヒータ20の他方の隣接部20qを介して対向する部分には、凹部14wが形成されている。凹部14w内に、断熱部材15が配置されている。感温部固定部材30がシース熱電対40のシース部分40aをリボンヒータ20の他方の隣接部20qの外表面20tに押し付けるため、断熱部材15には、リボンヒータ20の他方の隣接部20qの支持体11側の内表面20uが押し付けられ、内表面20uに接している。断熱部材15は、耐熱性が高く、リボンヒータ20の中間部20sが接する緩衝部材22の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する。
断熱部材15は、ロナスボードのような高温耐熱性に優れ、熱伝導率が低い多孔質の断熱材を用いて形成することが好ましい。断熱部材15は、例えば、直径10mm、厚み3mmに形成する。
シース熱電対40のシース部分40aが固定された付近において、リボンヒータ20の他方の隣接部20qで発生した熱は、断熱部材15により支持体11側への伝達が遮断され、シース熱電対40のシース部分40aに伝達される。そのため、リボンヒータ20の急な温度上昇に追従した温度検出が可能である。
図2に示すように、リボンヒータ20の中間部20sに対向して、対向部材50が配置され、その間に、被加熱物として、例えば袋の開口部8aが配置される。そして、加熱装置10と対向部材50とが互いに近づくように相対移動し、発熱しているリボンヒータ20の中間部20sと対向部材50との間に袋の開口部8aが挟まれて加熱され、開口部8aにおいて互いに対向するシート同士が熱融着することによって、開口部8aは密封(シール)される。
加熱装置10は、特に減圧された雰囲気において好適に使用され、図4の概略図に示すように、密閉可能はチャンバー80内に収納される。図4に示すように、チャンバー80内には、ステージ84と、加熱装置10に対向する対向部材50と、加熱装置10及び対向部材50を昇降する不図示の昇降装置とが収納されている。チャンバー80内の空間82は、真空ポンプ86に接続されており、密閉されたチャンバー80内の空間82を減圧することができる。
図4の設備は、例えば電子部品を製造する際の樹脂封止工程では、次のように用いる。
(1) 金属シートに樹脂がコーティングされた袋8内に、基板4に実装された素子2上に樹脂シート6を載せた状態の基板4を入れ、袋8の開口部8aの封をしていない状態で、チャンバー80内のステージ84上に設置する。
(2) 次いで、チャンバー80を密閉し、真空ポンプ86を用いてチャンバー80内の空間82を減圧する。
(3) 次いで、加熱装置10のリボンヒータに通電し、リボンヒータの温度を上昇させる。
(4) 次いで、不図示の昇降装置を作動させて、矢印で示すように、加熱装置10を上昇させ、対向部材50を下降させる。そして、加熱装置10のリボンヒータの中間部と対向部材50との間に、袋8の開口部8aを挟み、リボンヒータの熱で、袋8の開口部8aにおいて互いに対向するシート表面の樹脂を溶かして貼り合わせ、袋8の開口部8aを密閉する。このとき、加熱装置10のリボンヒータに袋8が直接触れると、袋8がリボンヒータから離れにくくなる場合には、リボンヒータの表面を耐熱テープで覆い、耐熱テープを介して袋8を加熱すればよい。
(5) 次いで、加熱装置10のリボンヒータに通電を停止するとともに、不図示の昇降装置を逆方向に作動させて、加熱装置10と対向部材50を袋8の開口部から離し、元の位置に戻す。
(6) 次いで、チャンバー80内を大気圧に戻す。これにより、大気の圧力が袋8を介して樹脂シート6に作用することによって、基板4に実装された素子2間に樹脂シート6が充填され、基板4に実装された素子2を封止することができる。
以上の樹脂封止工程において、加熱装置10のリボンヒータに通電し、リボンヒータの温度を上昇させるときに、チャンバー80内は減圧されており気体がほとんど存在しないため、周囲の気体の移動による熱移動(対流熱伝達)がほとんどない。そのため、リボンヒータの中間部で発生した熱は、輻射伝熱と伝導伝熱(すなわち、支持体への熱移動)とにより移動する。
同様に、シース熱電対のシース部分に接するリボンヒータの他方の隣接部で発生した熱も、輻射と伝導伝熱とにより移動する。この場合、断熱部材が支持体への伝導伝熱を遮断するため、リボンヒータで発生した熱は、伝導伝熱により、シース熱電対のシース部分に伝達され、さらに、シース熱電対のシース部分から感温部固定部材へと伝達される。シース熱電対のシース部分に伝達された熱によって、シース熱電対のシース部分により測定される温度が上昇する。シース熱電対のシース部分に接する感温部固定部材の熱的な特性を調整することにより、リボンヒータの中間部とシース熱電対のシース部分との温度差をできるだけ小さくして、シース熱電対のシース部分により測定される温度が、リボンヒータの中間部の温度上昇に良好に追従するようにできる。すなわち、測定温度の追従性を高めることができる。
一方、袋8の開口部8aを密閉した後、チャンバー80内の空間82を大気圧に戻すと、周囲の気体の移動による熱移動(対流熱伝達)により、リボンヒータの中間部は急速に冷却され、温度が下降する。このとき、感温部固定部材は、シース熱電対のシース部分から熱を奪い、表面から放熱する。そのため、リボンヒータの温度下降時も、測定温度はリボンヒータの中間部の温度変化に追従する。
感温部固定部材からの放熱を十分に確保するように構成すると、再び減圧下でのリボンヒータの発熱を開始するときに、リボンヒータの中間部と、リボンヒータのうちシース熱電対のシース部分に接する部分及びその近傍部分とが、同じ温度になるようにすることができる。その結果、減圧下での発熱と大気圧下での冷却とを繰り返しても、熱の蓄積によって測定温度の追従性が低下することがないようにすることができる。
断熱部材と感温部固定部材の材質、形状、厚みなどを適宜に選択することによって、断熱と放熱のバランスをとり、測定温度の追従性を高めることができる。
<比較例> 比較例の加熱装置について、図7を参照しながら説明する。
比較例の加熱装置は、シース熱電対のシース部分を固定する構成以外は、実施例1の加熱装置10と同じ構成である。以下では、実施例1との相違点を中心に説明する。
図7は、比較例の加熱装置の要部を拡大した構成図である。図7に概略構成を模式的に示すように、支持体11の外周面11tに、半割れ円筒形状の押え部材18xが、ねじ19を用いて固定されている。押え部材18xの外周面18wには、シース熱電対のシース部分40aを配置するための溝18vが形成されている。押え部材18xの外周面18wにリボンヒータ20xを沿わせ、押え部材18xとリボンヒータ20xの間にシース熱電対のシース部分40aを配置する。そして、矢印20y,20zで示す方向のリボンヒータ20xの張力を利用して、シース熱電対のシース部分40aをリボンヒータ20xに十分に接触させる。押え部材18xを固定するねじ19を回転することにより、押え部材18xの位置を変え、リボンヒータ20xの張力を調整できる。
比較例の加熱装置は、加熱と冷却を繰り返すうちに、リボンヒータ20xが伸びたり、リボンヒータ20xや押え部材18xの固定が緩むなどの経時的な要因によって、シース熱電対のシース部分40aとリボンヒータ20xとの接触が不十分となり、温度検出異常が多発し、設備稼働率が落ちることがある。
リボンヒータ20xの張力の緩みを解消するため張力を高めに設定すると、温度検出異常のたびにリボンヒータ20xの張り直しを繰り返すことによって、押え部材18xには、リボンヒータ20xの張力による負荷が集中的にかかる。そのため、押え部材18xが破損しやすい。また、同じ理由で、リボンヒータ20xの断線も発生しやすい。
これに対し、実施例の加熱装置10では、感温部固定部材30の板ばね効果を利用してシース熱電対のシース部分40aを固定しており、リボンヒータ20の張力とは無関係な固定方法を採用している。そのため、シース熱電対のシース部分40aとリボンヒータ20の接触状態が長期間一定に保たれ、変化しない。これに加え、実施例の加熱装置10では、断熱部材15による断熱と、感温部固定部材30による放熱のバランスをとることにより、加熱と冷却を繰り返しても温度検出精度が安定し、同じ温度検出精度が再現する。そのため、実施例の加熱装置10では、長期間安定して温度検出可能であり、比較例のような温度検出異常や設備稼働率低下は発生しない。
また、実施例の加熱装置10では、リボンヒータ20の熱膨張による伸びを阻害せず、かつリボンヒータ20に張力をかけなくてもよいため、リボンヒータ20への負荷が小さくなり、リボンヒータ20の固定が緩むこともなくなる。そのため、リボンヒータ20の寿命は、比較例の加熱装置よりも長くなる。
<まとめ> 以上に説明したように、安価なシース熱電対を用いて温度を測定し、シース熱電対のシース部分を感温部固定部材の板ばね効果を利用した簡単な構成で固定することにより、減圧下でリボンヒータが発熱したときの測定温度の追従性を高めることができ、かつ測定温度の追従性を長期間安定させることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
例えば、実施例では、接触式温度センサとしてシース熱電対を用いる場合を例示したが、これに限るものではなく、シース熱電対以外の接触式温度センサ、例えば測温抵抗体を用いても構わない。
2 素子
4 基板
6 樹脂シート
8 袋
8a 開口部
10 加熱装置
11 支持体
11s 主面
11t 外周面
12 本体
12a 下部
12b 上部
12s 上面(支持体の主面)
12u 溝
14a,14b 絶縁部材
14s,14t 側面(支持体の外周面)
14p,14q 上面(支持体の主面)
14u,14v 溝
14w 凹部
15 断熱部材
16 押えブロック
18 突出部材
18v 溝
18w 外周面
18x 押え部材
19 ねじ
20,20x リボンヒータ(発熱体)
20a,20b 両端付近
20p,20q 隣接部
20s 中間部
20t 外表面
20u 内表面
22 緩衝部材
22s 上面(支持体の主面)
24 端子
26 当て部材
26a,26b 片
30 感温部固定部材
30a 固定部
30b 対向部
30c 固定部
30m,30n 接続部
30p 貫通穴
38 ボルト
40 シース熱電対(接触式温度センサ)
40a シース部分(感温部)
50 対向部材
80 チャンバー
82 空間
84 ステージ
86 真空ポンプ

Claims (3)

  1. 主面と、該主面から後退した外周面とを有する支持体と、
    前記支持体の前記主面に支持される中間部と、前記支持体の前記外周面に沿う隣接部とを有する帯状の発熱体と、
    前記発熱体の前記隣接部の前記支持体とは反対側の外表面に接するように配置される接触式温度センサの感温部と、
    前記支持体に固定される固定部と、前記感温部に接する対向部と、前記固定部と前記対向部とを接続する接続部とを含み、前記接続部が弾性変形して前記対向部が前記感温部を前記発熱体の前記外表面に弾力的に押し付ける感温部固定部材と、
    を備え、
    前記支持体は、前記発熱体を介して前記感温部に対向する部分に、前記発熱体に接し、前記支持体のうち前記発熱体の中間部に接する部分の熱伝導率よりも小さい熱伝導率を有する断熱部材を含み、
    減圧下で前記発熱体が発熱したとき、前記感温部により測定した温度が、前記発熱体の前記中間部の温度上昇に追従することを特徴とする、温度測定可能な加熱装置。
  2. 前記感温部固定部材は、金属板を用いて形成され、
    前記発熱体の前記隣接部の両側に配置され、前記支持体の前記外周面に固定される一対の前記固定部と、
    前記一対の固定部の間から離れた位置において、前記発熱体の前記隣接部に接する一つの前記対向部と、
    一対の前記固定部と前記対向部とを接続する一対の前記接続部と、
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の温度測定可能な加熱装置。
  3. 前記感温部固定部材は、前記発熱体に対向する部分に貫通穴が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の加熱装置。
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