JP2013155273A - 土壌改良材及び土壌改良方法 - Google Patents

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公夫 伊藤
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Abstract

【課題】本発明は、土壌改良材、及び、これを用いた土壌改良方法を提供する。
【解決手段】く溶性MgOを5質量%以上25質量%以下、CaOを25質量%以上40質量%以下、可溶性SiOを10質量%以上25質量%以下、全鉄を1質量%以上8質量%以下、アルカリ分を30質量%以上55質量%以下、を少なくとも含むことを特徴とする土壌改良材及びこれを用いた土壌改良方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、土壌改良材、及び、この土壌改良材を用いた土壌改良方法に関する。
食糧の生産性を高めるために、土地を農作物の栽培に適した土地に土壌改良を行うことは極めて重要である。地力増進法(1984年施行)により、「地力」即ち土壌の性質に由来する農地の生産力を高めるための土壌改良資材として、泥炭、バークたい肥、腐植酸質資材、木炭、けいそう土焼成粒、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、A菌根菌質材、ポリエチレンイミン系資材、ポリビニルアルコール系資材の12種類が定められている。また、酸性土壌の改良に用いられる石灰資材は、肥料取締り法により普通肥料の石灰質肥料として定められている。また、地力増進法において土壌改良資材として定められてはいないものの、地力を高めるものもあり、これらも土壌改良材として使用されている。したがって、土壌改良材は、肥料取締法で肥料に該当するものや、地力増進法で指定されたものばかりでなく、そのいずれにも該当しないものも含むことになる。
農作物の栽培に適した土壌に改良するために用いる土壌改良材は、なるべく安価で容易に入手できるものが普及のために重要である。
土壌改良において広く利用される石灰質肥料は、酸性土壌の改良、植物の生長に必要なカルシウムの供給等の効果があり、しかも安価で多用してもコスト的にあまり問題にならないといった利点がある。
農作物を栽培する土壌においてカルシウムと共に重要な2価陽イオンであるマグネシウムに関しては、苦土肥料がある。苦土肥料は、硫酸苦土肥料、水酸化苦土肥料、酢酸苦土肥料、炭酸苦土肥料、加工苦土肥料、腐植酸苦土肥料、リグニン苦土肥料、被覆苦土肥料、副産苦土肥料、混合苦土肥料に分類されている。
また、石灰質肥料においても、例えば、生石灰、消石灰や炭酸カルシウム肥料に、マグネシウムの酸化物や水酸化物を混合したものが石灰質肥料として認められている。ドロマイトを原料とする苦土石灰はカルシウムとマグネシウムを共に含むことから、石灰質肥料として広く普及している(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。
特開平6−172070号公報
日本苦土カルシウム肥料協会ホームページ:http://WWW.kudokaru.com/ 鐵鋼スラグ協会ホームページ:http://WWW.slg.jp/slag/character.html
農作物を栽培する土壌においてカルシウムとマグネシウムは2価陽イオンとして非常に重要であり、共に植物の必須元素となっている。
カルシウムは、石灰質肥料として使用される生石灰、消石灰、炭酸カルシウム等から安価に入手することが可能であるため、土壌改良の際、供給し易い。
しかしながら、マグネシウムについては、苦土肥料は石灰質肥料と比較して高価であるため、既存の苦土肥料を用いて土壌にマグネシウムを供給して土壌改良を行なうことは、経済的に不利となる。
また、カルシウムとマグネシウムの両方を土壌に供給しようとする場合、一般的な石灰質肥料を土壌改良材として用いても、マグネシウムを供給するために、苦土肥料等を追加施用する必要が生じてしまい、手間となる。このような問題を解決して、一度にカルシウムとマグネシウムを土壌に供給するために、生石灰、消石灰や炭酸カルシウムに、マグネシウムの酸化物や水酸化物を混合したものが石灰質肥料として認められている。
また、生石灰、消石灰や炭酸カルシウムは、雨水等により流失し易く、カルシウムやマグネシウムの効果が持続し難い課題がある。
また、カルシウムとマグネシウムを共に含む石灰質肥料として、苦土石灰があり、0.5N塩酸に溶出する可溶性苦土の最小保証値は5%であるが、実際に田畑で植物への肥料効果とより密接に関係すると考えられる2%クエン酸に要する溶出するく溶性苦土の最小保証値は3.5%である。したがって、苦土石灰に含まれるマグネシウムは肥料効果の高い形態になっていないことが考えられる。
前記の理由により、一度の施用で土壌にカルシウムとマグネシウムを両方供給でき、施用後もカルシウムとマグネシウムの効果に持続性があり、かつ安価で大量に入手可能な土壌改良材、及び当該土壌改良材を用いた土壌改良方法の開発が求められている。
そこで、本発明は、上述の問題を解決するための土壌改良材及びこの土壌改良材を用いた土壌改良方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下のような土壌改良材を開発することに成功し、また、当該土壌改良材を用いて土壌を改良する方法を確立することに成功し、本発明を完成させた。
(1)5質量%以上25質量%以下のく溶性MgOと、25質量%以上40質量%以下のCaOと、10質量%以上25質量%以下の可溶性SiOと、1質量%以上8質量%以下の全鉄と、30質量%以上55質量%以下のアルカリ分と、を少なくとも含むことを特徴とする、土壌改良材。
(2)溶解炉にMgO含有物とCaO含有物と鉄元素を含む鉄含有物とを添加した後に、Siを含有する微粉炭と酸素とを吹き込み、温度1350℃以上1800℃以下で20分以上90分以下反応させることにより形成される製鋼スラグ、該製鋼スラグを破砕して得られる粉体、又は該粉体を結合剤により粒状にしたものからなることを特徴とする、(1)に記載の土壌改良材。
(3)前記MgO含有物が、MgOまたはMgO−FeOであることを特徴とする、(2)に記載の土壌改良材。
(4)前記CaO含有物が、生石灰であることを特徴とする、(2)又は(3)に記載の土壌改良材。
(5)前記鉄含有物が、製鉄業の転炉工程から発生する鉄を含有するダストであることを特徴とする、(2)〜(4)のいずれかに記載の土壌改良材。
(6)粒径が10mm以下であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の土壌改良材。
(7)pHが2以上6.5以下でかつ交換性MgO含量が250mg/kg未満の土壌に、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の土壌改良材0.5t/ha以上20t/ha以下を作土層の土壌と混合して施用することを特徴とする土壌改良方法。
本発明により、製鋼スラグを原料とする土壌改良材を安価かつ大量に供給することが可能となるため、土壌改良による農地開拓、農産物収量増加による食糧の安定供給にも貢献することが期待できる。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の土壌改良材の製造方法について説明する。
本発明の土壌改良材は以下のように製造される製鋼スラグを原料とする。
転炉や電炉等の溶解炉に、MgO含有物と、CaO含有物と、鉄元素を含む鉄含有物と、を添加する。MgO含有物としては、例えば、MgOやMgO−FeO等のMgOの複合酸化物が好ましい。CaO含有物としては、例えば、生石灰(CaO)が好ましい。鉄含有物としては、例えば、製鉄業の転炉工程から発生するダスト類が好ましい。ただし、鉄元素を含有する物であれば、鉄含有ダスト以外であっても、金属鉄、鉄の酸化物、鉄の化合物、鉄のイオン等といったさまざまな物が鉄含有物として利用可能である。
上記の各種添加物が入った溶解炉の底から、Siを含有する微粉炭を炭素源として吹き込みながら、溶解炉に別に酸素を吹き込んで反応させることにより、製鋼スラグを形成させる。製鋼スラグの形成に際して、温度は、1350℃以上1800℃以下とすることが適当である。また、反応時間は、20分以上、90分以下とすることが適当である。ここで、酸素やSiを含有する微粉炭の吹き込みと、溶解炉の運転時間とを長く実施することはコスト増要因になるため、なるべく1350℃以上1800℃以下の温度、かつ、20分以上90分以下の反応時間で反応させることがより好ましい。
このようにすることで、溶解炉の内部で、溶鋼の上部にマグネシウム含有量の高い製鋼スラグが形成される。溶解炉を例えば傾注することで、このマグネシウム含有量の高い製鋼スラグを回収することが可能となる。
回収した製鋼スラグは、常温に冷却した後、必要に応じてジョークラッシャー等を用いて粉砕する。篩い等を用いて粒径10mm以下としたものを、そのまま本発明の土壌改良材として用いることが可能である。しかし、比表面積を大きくした場合の方が、土壌改良材からCaやMg等の有効成分がより効率的に溶出することが期待できる。したがって、回収した製鋼スラグを破砕して得られる粉体や、得られた粉体をリグニンスルホン酸等の結合剤を用いて粒状にしたものも、本発明の土壌改良材として用いることが可能である。
尚、MgO含有物、CaO含有物、鉄含有物とSiを含有する微粉炭の溶解炉への添加量については、製造した製鋼スラグのく溶性MgO、アルカリ分、全鉄、可溶性ケイ酸を分析することにより、以下に記す本発明の土壌改良材の組成を満足するように決定する。
また、前記の本発明の土壌改良材の原料となる製鋼スラグの製造方法は、あくまで一例であり、以下に示すような本発明の土壌改良材の組成を満足するように製鋼スラグを製造する方法であれば、その他の方法を用いてもよい。
次に、本発明の土壌改良材の組成について説明する。
本発明の土壌改良材は、く溶性MgOを5質量%以上25質量%以下、CaOを25質量%以上40質量%以下、可溶性SiOを10質量%以上25質量%以下、全鉄を1質量%以上8質量%以下、及び、アルカリ分を30質量%以上55質量%以下、を少なくとも含む。
まず、く溶性MgOに関して説明する。
く溶性MgOとは、肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所−1992年版−)に基づき、2%のクエン酸溶液に溶出するMgOのことである。く溶性MgOの含有量が5質量%未満の場合には、植物へのマグネシウム供給能力が小さくなるため、肥料効果が期待できなくなる。一方、く溶性MgOの含有量が25質量%を超える土壌改良材は、原料となる製鋼スラグの製造工程では発生しない。したがって、く溶性MgOの含有量は、5質量%以上25質量%以下とした。なお、く溶性MgOの含有量は、10質量%以上25質量%であることがより好ましい。
次に、CaOに関して説明する。
本発明の土壌改良材の原料となる製鋼スラグの製造において、例えばCaO(生石灰)等のCaO含有物を、MgO含有物や鉄含有物と共に溶解炉に入れて溶解させる。CaOの添加量が少ないと、鉄を主要な成分とする溶鋼の上に製鋼スラグの層が形成され難く、製鋼スラグの回収が困難になる。本発明の土壌改良材のCaO含有量が25質量%未満の場合には、溶鋼の上部に製鋼スラグの層が形成され難くなり、製鋼スラグの回収が困難となる。さらに、本発明の土壌改良材のCaO含有量が25質量%未満の場合には、カルシウムの含有量が低くなるため、土壌改良材として用いる場合、植物へのカルシウム供給能力が低くなってしまう。
一方、CaO含有量が40質量%を超える場合には、本発明の土壌改良材は、く溶性MgOを5質量%以上25質量%以下含むので、CaOとMgOの両方の影響でアルカリ化が強く起こることが懸念される。そこで、本発明の土壌改良材のCaO含有量は、25質量%以上40質量%以下とした。尚、CaOの含有量は、例えば蛍光X線分析法により測定することが可能である。
次に、可溶性SiOに関して説明する。
可溶性SiOとは、肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所−1992年版−)に基づき、0.5N塩酸に溶出するSiOのことである。可溶性SiOの含有量10質量%は、鉱さいケイ酸質肥料に関して決められている含有すべき主成分の最小値であり、可溶性SiOの含有量が10質量%未満の場合には、植物へのケイ酸供給能力が小さくなるため、肥料効果が期待できなくなる。一方、可溶性SiOの含有量が25質量%を超える土壌改良材は、原料となる製鋼スラグの製造工程では発生しない。したがって、可溶性SiOの含有量は、10質量%以上25質量%以下とした。
次に、全鉄に関して説明する。
溶解炉により本発明の土壌改良材の原料となる製鋼スラグを形成させるために、溶解炉内に鉄を原料として入れる必要がある。鉄の含有量は、なるべく低い含有量にすることが好ましい。しかし、溶解炉で溶鋼の上部に発生する製鋼スラグには、1質量%以上8質量%以下の鉄が含まれるため、全鉄の含有量は、1質量%以上8質量%以下とした。尚、全鉄とは、様々な化学形態の鉄の総量である。鉄は、肥料効果は高くないものの、微量元素として植物に栄養成分として作用する。
次に、アルカリ分に関して説明する。
アルカリ分とは、肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所−1992年版−)に基づき測定されるアルカリ分のことである。アルカリ分の含有量が30質量%未満あるいは55質量%を超える土壌改良材は、原料となる製鋼スラグの製造工程では発生しない。したがって、アルカリ分の含有量は30質量%以上55質量%以下とした。尚、本発明の土壌改良材に含まれるアルカリ分の構成成分は、主にMgOとCaOである。MgOに関しては前記く溶性MgOの説明に示したように、本発明の土壌改良材には5質量%以上25質量%以下のく溶性MgOを含む。残りのアルカリ分は主にCaOに起因するが、CaOも生石灰として酸性土壌の中和による改良や、植物へのカルシウムイオン供給に用いられる物質であり、土壌改良作用を有する。本発明の土壌改良材は、前記のように25質量%以上40質量%以下のCaOを含む。
尚、本発明の土壌改良材の組成の残部に含み得る成分としては、く溶性以外のMgO、可溶性以外のSiOの他、例えば、Al、MnO、P等の成分を含むことができる。ここで、Al、MnO、P等の成分の含有量は、例えば蛍光X線分析法により測定することが可能である。
本発明の土壌改良材を土壌に施用することにより、土壌改質効果及び植物への肥料効果を期待できるが、土壌改良材の粒径が大き過ぎる場合、土壌改良材からマグネシウム、ケイ酸、カルシウム等の有効成分の溶出効率が低くなる。また、土壌改良材は、その粒径が大きい場合、重量が大きくなり取り扱い難くなる。そこで、本発明の土壌改良材の粒径は10mm以下であることが好ましい。また、粒径が小さな土壌改良材ほど比表面積が大きくなるため、有効成分の溶出が高まり好ましいが、あまり粒径が小さいと粉じん等の原因となるため、土壌改良材の粒径は0.05μm以上が好ましく、可能であれば、1μm以上のものが取り扱い易いので更に好ましい。粒径が1μm未満の土壌改良材を1μm以上とするためには、上述したように、1μm未満の粉状の土壌改良材をリグニンスルホン酸等の結合剤を用いて1μm以上の粒状にすればよい。なお、上記土壌改良材の粒径は、篩い等を用いて特定することが可能である。
以上、本発明の土壌改良材の製造方法、及び本発明の土壌改良材の組成について説明した。
ここで、非特許文献2によると、一般的な製鋼スラグである転炉系スラグの組成は、CaO 45.8質量%、SiO 11.0質量%、全鉄 17.4質量%、MgO 6.5質量%、Al 1.9質量%、S 0.06質量%、P 1.7質量%、MnO 5.3質量%のようになっている。本発明の土壌改良材のく溶性MgOの組成は、5質量%以上、25質量%以下である。したがって、本発明の土壌改良材の原料となる製鋼スラグは、く溶性MgOの含有量を高めて製造したものであるため、一般に製鉄業の製鋼工程から発生する製鋼スラグとは、製造方法および組成が異なるものである。
次に、本発明の土壌改良材を用いた土壌改良方法について説明する。
本発明の土壌改良材は、MgOやCaOを多く含むので、酸性土壌を中性化する作用が期待できる。さらに、MgOを含むので、マグネシウムが不足した土壌を改良するのに適している。具体的には、本発明の土壌改良材を施用しようとする土壌のpHが2より低い場合には、本発明の土壌改良材を施用しても、植物の生育に適するpH5以上のpHに改良することが難しい。また、本発明の土壌改良材を施用しようとする土壌のpHが6.5より高い場合には、本発明の土壌改良材を施用することによって、土壌のpHが7.5以上にアルカリ化してしまい、植物の生育に適さない環境になる可能性がある。したがって、本発明の土壌改良材を施用する土壌のpHは、2以上、6.5以下である。
また、本発明の土壌改良材を、施用しようとする土壌の交換性MgO含量が250mg/kg未満の土壌に対して施用すると、本発明の土壌改良材から供給されるマグネシウムの効果が期待できる。交換性MgOとは、土壌粒子表面の負電荷と電気的に結びついているマグネシウムイオンに由来するものであり、土壌を塩化アンモニウム水溶液で溶出することにより、アンモニウムイオンと交換して溶出してくるマグネシウムをMgOとして換算して分析されるものである。土壌の交換性MgO含量が250mg/kgよりも高い場合には、本発明の土壌改良材を施用しなくとも、土壌からマグネシウムが供給されることが期待できる。したがって、本発明の土壌改良材を施用しようとする土壌のpHは2以上6.5以下で、かつ、交換性MgO含量が250mg/kg未満である。
尚、本発明の土壌改良材を土壌に施用する場合、土壌に0.5t/ha(1ha=10)より少なく施用する場合には、本発明の土壌改良材による土壌改良効果を発揮することができなくなる。また、本発明の土壌改良材を50t/haより多く施用すると、本発明の土壌改良材に含まれるCaOやMgOの作用によって、土壌が過度にアルカリ化することが懸念される。また、本発明の土壌改良材を50t/haより多く施用する場合、大量の土壌改良材を施用することになるため、施用に要する労力やコストが掛る可能性が考えられる。したがって、本発明の土壌改良材は、土壌に0.5t/ha以上50t/ha以下施用する。尚、本発明の土壌改良材は、施用する土壌で栽培しようとする植物の根がはると想定される土の層を作土層とする場合、作土層と混合して用いることが好ましい。作土層の目安としては、地表から深さ15cm程度までの土層が対象となる。
本発明の土壌改良材を土壌に施用する時期についてであるが、本発明の土壌改良材は、植物を栽培するための土壌の耕起前、なるべく早い時期に土壌に施用することが好ましい。耕起前に施用することによって、本発明の土壌改良材から、マグネシウム、ケイ酸、カルシウム等の有効成分が土壌に溶出して、植物が生長する時に根によるこれら有効成分の吸収を促進することが可能となる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
{実施例1}土壌改良材の製造方法
溶解炉に、酸化マグネシウム、生石灰、製鉄所の転炉工程から発生した鉄を含有するダストを添加し、SiOを含む微粉炭を溶解炉の底から加えながら、酸素を吹き込み、燃焼熱を利用して、1400℃で50分間反応させ、炉内の原料を溶解させた。そして、鉄分が主要な溶鋼の上に形成された製鋼スラグを、溶解炉を傾けることにより溶鋼を除いて回収した。得られた製鋼スラグを大気下で冷やした後、ジョークラッシャーを用いて粉砕し、篩いにより、粒径10mm以下の製鋼スラグ粒を回収し、土壌改良材とした。
く溶性MgO、可溶性SiO、全鉄及びアルカリ分を、肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所法)−1992年版−に基づき分析した。また、CaO及びAlについては、蛍光X線分析により定量したCa量及びAl量を、CaO及びAlとして換算した。土壌改良材の組成を分析した結果を、以下の表1に示す。
Figure 2013155273
表1に示したように、製造した土壌改良材は、本発明の土壌改良材の組成を満足することを確認した。
{実施例2}土壌改良材のく溶性MgO含量の影響
実施例1と同様にして、溶解炉の操業条件の違いにより、表2に記載の組成の、く溶性MgOが2質量%と5質量%の土壌改良材である、資材A、資材Bをそれぞれ得た。後者の資材Bのみが、本発明の土壌改良材のく溶性MgOの含有量の条件を満たしている。
これら2種類の資材を、pHが5で、交換性MgO含量が100mg/kgの土壌に0.5t/ha加えて、作土層(地表からの厚さ15cm)とよく混合した。2週間後土壌の交換性MgO含量を測定したところ、表3に示すように、資材Bを加えた場合には土壌の交換性MgO含量が270mg/kgとなった。一方、資材Aを加えた場合には土壌の交換性MgO含量が160mg/kgとなった。
Figure 2013155273
Figure 2013155273
本発明のく溶性MgOを5質量%含有する土壌回良材を0.5t/ha施用することによって、土壌の交換性MgO含量が250mg/kg以上に達したので、土壌改良材としての効果が発揮できた。また、土壌のpHは、施用前はpH5であったが、施用後2週間では、資材Aを施用した場合がpH5.3、資材Bを施用した場合がpH5.4であった。共に植物の栽培に適すると考えられる、pH5以上、pH7.5以下であった。したがって、本発明の土壌改良材のく溶性MgO含有量は5質量%以上が好ましいことが明らかとなった。
{実施例3}土壌改良材の施用による土壌改良
pHが1、1.5、2、4、6.5、7の土壌に、表1に組成を示した粒径10mm以下の本発明の土壌改良材を0.2、0.5、5、20、50、75t/ha施用した。作土層(地表からの厚さ15cm)の土壌と本発明の土壌改良材を混合して、2週間後に各土壌のpHを測定した。結果を表4に示す。
表4に示すように、土壌の初期pHが1の土壌では本発明の土壌改良材を50t/ha施用しても、土壌のpHは4.8であり、植物の栽培に適するpH5以上7.5以下の範囲に入らなかった。
また、土壌の初期pHが7の土壌では本発明の土壌改良材を0.5t/ha施用した場合、土壌のpHは7.6となり、やはり植物の栽培に適するpH5以上7.5以下の範囲に入らなかった。
Figure 2013155273
したがって、本発明の土壌改良材をpH1.5以上6.5以下の土壌に0.5t/ha以上50t/ha以上施用することによって、土壌のpHを植物の生育に適するpH5以上pH7.5以下に改良することが可能であることが明らかとなった。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (7)

  1. 5質量%以上25質量%以下のく溶性MgOと、25質量%以上40質量%以下のCaOと、10質量%以上25質量%以下の可溶性SiOと、1質量%以上8質量%以下の全鉄と、30質量%以上55質量%以下のアルカリ分と、を少なくとも含むことを特徴とする、土壌改良材。
  2. 溶解炉にMgO含有物とCaO含有物と鉄元素を含む鉄含有物とを添加した後に、Siを含有する微粉炭と酸素とを吹き込み、温度1350℃以上1800℃以下で20分以上90分以下反応させることにより形成される製鋼スラグ、該製鋼スラグを破砕して得られる粉体、又は該粉体を結合剤により粒状にしたものからなることを特徴とする、請求項1に記載の土壌改良材。
  3. 前記MgO含有物が、MgOまたはMgO−FeOであることを特徴とする、請求項2に記載の土壌改良材。
  4. 前記CaO含有物が、生石灰であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の土壌改良材。
  5. 前記鉄含有物が、製鉄業の転炉工程から発生する鉄を含有するダストであることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載の土壌改良材。
  6. 粒径が10mm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の土壌改良材。
  7. pHが2以上6.5以下でかつ交換性MgO含量が250mg/kg未満の土壌に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の土壌改良材0.5t/ha以上20t/ha以下を作土層の土壌と混合して施用することを特徴とする土壌改良方法。
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