JP2013155153A - カルバゾール誘導体、有機電界発光素子用ホスト材料および有機電界発光素子 - Google Patents

カルバゾール誘導体、有機電界発光素子用ホスト材料および有機電界発光素子 Download PDF

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Keiki Yoshihara
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Abstract

【課題】有機電界発光素子(OLED)用のホスト材料として、熱的安定性、成膜特性、光学特性および電気化学特性に優れ、特に青色リン光OLED用ホール輸送特性に優れ、高い発光輝度、高い電力効率等を与えるホスト材料の提供。
【解決手段】カルバゾール基の3,6位に嵩高い置換基を有する1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(「TCPB」)誘導体。青色リン光色素をゲストとする発光層のホスト材料として用いることができる。更に、二色系白色発光OLEDまたは三色系白色発光OLEDの製造に用いることができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、新規スターバースト(starburst)型カルバゾール誘導体、その有機電界発光素子用ホスト材料としての利用、およびそれを用いる有機電界発光素子に関する。
有機電界発光素子(Organic light-emitting Diode、以下OLEDと略することもある。)は、陽極と陰極の間に有機薄膜層を挟んだ構造を有し、自発光や高速応答及び、面による発光が可能といった特徴から次世代ディスプレイや照明機器への応用が期待されている。
OLEDは陽極から注入されるホールと、陰極から注入される電子とが発光中心で再結合され、発光材料の電界励起が起こり発光する。このとき、一重項励起子と三重項励起子が1 : 3の割合で生成する。そのため、蛍光材料を用いた場合、内部量子効率は最大でも25%だが、リン光材料を用いた場合、項間交差も含めると内部量子効率は最大100%が達成可能である。
現状のOLEDにおいて、赤色リン光材料や緑色リン光材料を用いたOLEDは実用化段階にあるが、青色リン光材料を用いたOLEDは未だ低効率、短寿命であり実用化に至っていない。その為、フルカラー発光や白色発光のOLEDを得るためには青色リン光OLEDの開発が急務であり、そのためには最適なホスト材料が必要となる。ホスト材料には広いHOMO-LUMOギャップと高い三重項準位T1が必要となる。これは、広いHOMO-LUMOギャップによって発光中心への効率的な電荷移動及びキャリアの封じ込めを可能とし、また高いT1による発光色素からホスト材料への逆エネルギー移動を抑制する為である。
OLEDの作製方法には真空蒸着法と溶液塗布法がある。真空蒸着法は従来から用いられてきた方法であり、均一な膜質によって高性能な素子の作製が可能である半面、材料の利用効率が低く大面積の成膜が困難である。一方、溶液塗布法は材料の利用効率が高く、低コストであり、簡単な成膜過程といった特徴を有している。そのため大面積での素子作製が可能となり、工業的観点から注目されている。
この様な状況下、青色リン光OLED用ホスト材料として種々のカルバゾール誘導体が提案されている。例えば、Ming-Han Tsaiらの提案になるトリフェニルシリル基置換カルバゾール誘導体やトリチル基置換カルバゾール誘導体(非特許文献1)、Wei Jiangらの提案になるトリカルバゾール誘導体(非特許文献2)、Shanghui Yeらの提案になるフルオレニル基置換カルバゾール誘導体(非特許文献3)、Ming-Han Tsaiらの提案になる3−カルバゾイル置換カルバゾールまたは3,6−ジカルバゾイル置換カルバゾール(非特許文献4)などが挙げられる。更に、カルバゾイル両末端置換ターフェニル誘導体(特許文献1)、カルバゾイル両末端置換ジフェニルアセチレン誘導体(特許文献2)、3,6−ビス(ジフェニルホスフィンオキシド)置換カルバゾール誘導体(特許文献3)、ナフチルカルバゾール誘導体(特許文献4)および1,3,5−トリス(4−(N−カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(TCPB)誘導体(特許文献5、6、7)などが提案されている。
しかしながら、これら従来技術はホスト材料として要求される諸機能、例えば青色リン光OLED用ホスト材料として要求される発光効率、発光寿命、成膜性、熱的安定性および電気化学特性等のいずれかが不十分であり、更なる改良が望まれている。
WO2005/072017号 特開2006-265172号公報 特開2009-227604号公報 特表2010-522745号公報 特開2006-269670号公報 特開平07-090256号公報 特許第4133955号公報
Ming-Han Tsai, Tung-Huei Ke, Hao-Wu Lin, Chung-Chih Wu, Shih-Feng Chiu, Fu-Chuan Fang, Yuan-Li Liao, Ken-Tsung Wong, Yu-Hung Chen, and Chih-I Wu: ACS Appl. Mater. Interfaces, 2009, 1, 567-574 Wei Jiang, Lian Duan, Juan Qiao, Guifang Dong, Deqiang Zhang, Liduo Wang and Yong Qiu: J. Mater. Chem., 2011, 21, 4918-4926 Shanghui Ye , Yunqi Liu, Jianming Chen, Kun Lu, Weiping Wu, Chunyan Du,Ying Liu, Ti Wu, Zhigang Shuai, and Gui Yu: Adv. Mater., 2010, 22, 4167-4171 Ming-Han Tsai, Yun-Hua Hong, Chih-Hao Chang, Hai-Ching Su, Chung-Chih Wu,Ausra Matoliukstyte, Jurate Simokaitiene, Saulius Grigalevicius, Juozas V. Grazulevicius, and Chao-Ping Hsu: Adv. Mater., 2007, 19, 862-866
本発明は、熱的安定性、成膜特性、光学特性および電気化学特性に優れたOLED用ホスト材料の提供を課題とする。中でも、青色リン光OLED用ホール輸送特性に特に優れ、高い発光輝度と高い電力効率とを与えるホスト材料の提供を課題とする。
本発明者等は、上記課題の解決を目指して鋭意検討を進めた。その結果、驚くべき事に、特定の置換基を特定位置に有する1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(以後、「TCPB」と略すことあり。)誘導体が非置換体に比べて青色リン光OLED用ホスト材料として格段の優れた性能を示すことを発見し、本発明に到達した。特に、ホール輸送特性が際立って優れている。
即ち、本発明の第1の側面は、一般式SB-00:
Figure 2013155153
[式中、R1およびR2はそれぞれ異なって、水素原子または式Cz-00:
Figure 2013155153
[式中、R3およびR4はそれぞれ独立に3-12個の炭素原子を有する2級アルキル基もしくは4-12個の炭素原子を有する3級アルキル基を表す。]で表される3,6-ジ置換カルバゾリル基を表す。]で表わされる1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(「TCPB」)誘導体を提供する。
本発明の第2の側面は、一対の電極、および該電極間に存在する少なくとも1つの有機層を有して成る有機電界発光素子(OLED)であって、該有機層が前記TCPB誘導体を含んで成る有機電界発光素子を提供する。
本発明の第3の側面は、該有機層が、TCPB誘導体をホール移動材料として含んで成るホール移動層である有機電界発光素子を提供する。
本発明の第4の側面は、該有機層が、TCPB誘導体をホスト材料とし発光色素をゲスト材料として含んで成る発光層である有機電界発光素子を提供する。例えば、赤色発光色素、緑色発光色素または青色色素等の単色系発光(蛍光またはリン光)色素をゲストとし、TCPB誘導体をホスト材料とする単色系有機電解発光素子を提供する。また、TCPB誘導体をホスト材料とし、青〜青緑色発光色素および橙〜赤色発光色素から成る二色系(補色系)白色発光色素を発光材料として含む発光層を有して成る白色有機電界発光素子を提供する。また、TCPB誘導体をホスト材料として用い、青色発光色素、緑色発光色素および赤色発光色素から成る三色系白色発光色素を発光材料として含む発色層を有して成る白色有機電界発光素子を提供する。
各発光色素は蛍光色素もしくはリン光色素のいずれでもよいが、発光効率、発光輝度及び寿命等の点からリン光色素が好ましい。
本発明の第5の側面は、一対の電極、ならびに該電極間に存在する少なくとも1つの有機層を有して成る有機電界発光素子の製造方法であって、前記TCPB誘導体を含有する溶液を用いた溶液塗布法(例えば、スピンコート法)によって該有機層を形成する、有機電界発光素子の製造方法を提供する。同様に、有機層として発光層を有して成る有機電界発光素子の製造方法であって、TCPB誘導体および発光色素を含有する溶液を用いた溶液塗布法によって該発光層を形成する、有機電界発光素子の製造方法を提供する。
本発明によって、熱的安定性、成膜特性、光学特性および電気化学特性に優れた有機電界発光素子(OLED)用ホスト材料を得ることができる。中でも、青色リン光OLED用ホール輸送特性に特に優れ、高い発光輝度、高い電力効率および長い寿命を与えるホスト材料を得ることができる。更に、前記特性を利用して、二色系(補色系)白色発光OLEDまたは三色系(青色、緑色、赤色)白色発光OLEDを製造することができる。
図1中、(a)はSB-1の熱分析(DSCおよびTG)結果、(b)はSB-2の熱分析(DSCおよびTG)結果を示す(実施例3)。 図2中、(a)はSB-1および(b)はSB-2について、紫外・可視光吸収スペクトル(5μM)、蛍光スペクトル(5 μM)及びリン光スペクトル(0.5μM)を示す(実施例5)。 図3中、(a)はSB-1に対応し(b)はSB-2に対応する。実線はサイクリックボルタモグラム(CVG)を示し、破線は電位窓を示す(実施例6)。 図4は、SB-1またはSB-2をホール輸送性ホスト材料とし、FIrpicを発光ドーパント色素とした青色リン光OLEDの素子構成を示す(実施例7)。 図5は、ホスト材料としてSB-1またはSB-2を用い、発光材料としてFIrpicをゲストに用いた発光層を示す(実施例7)。 図6は、上記青色リン光OLED中のホール注入層の組成を示す(実施例7)。 図7は、ホスト材料としてSB-1を用いた上記青色リン光OLED(素子1)のEL特性:電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線を示す(実施例7)。 図8は、ホスト材料としてSB-1を用いた上記青色リン光OLED(素子1)のELスペクトルを示す(実施例7)。 図9は、ホスト材料としてSB-2を用いた上記青色リン光OLED(素子2)のEL特性:電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線を示す(実施例7)。 図10は、ホスト材料としてSB-2を用いた上記青色リン光OLED(素子2)のELスペクトルを示す(実施例7)。 図11は、ホスト材料としてSB-1を用い、ゲスト発光材料として緑色リン光色素Ir(mppy)3錯体を用いた緑色リン光OLED(素子3)のEL特性:電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線を示す(実施例8)。 図12は、ホスト材料としてSB-1を用い、ゲスト発光材料として緑色リン光色素Ir(mppy)3錯体を用いた緑色リン光OLED(素子3)のELスペクトルを示す(実施例8)。 図13は、ホスト材料としてSB-1を用い、ゲスト発光材料として赤色リン光色素Ir-1錯体を用いた赤色リン光OLED(素子4)のEL特性:電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線を示す(実施例9)。 図14は、ホスト材料としてSB-1を用い、ゲスト発光材料として赤色リン光色素Ir-1錯体を用いた赤色リン光OLED(素子4)のELスペクトルを示す(実施例9)。 図15は、ホスト材料としてSB-1を用い、ゲスト発光材料として青色リン光色素Ir-103錯体と赤色リン光色素Ir-7錯体を一緒に用いた白色リン光OLED(素子5)のEL特性:電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線を示す(実施例10)。 図16は、ホスト材料としてSB-1を用い、ゲスト発光材料として青色リン光色素Ir-103錯体と赤色リン光色素Ir-7錯体を一緒に用いた白色リン光OLED(素子5)のELスペクトルを示す(実施例10)。
本発明の第1の実施態様は、一般式SB-00:
Figure 2013155153
[式中、R1およびR2はそれぞれ異なって、水素原子または式Cz-00:
Figure 2013155153
[式中、R3およびR4はそれぞれ独立に3-12個の炭素原子を有する2級アルキル基または4-12個の炭素原子を有する3級アルキル基を表す。]で表される3,6-ジ置換カルバゾリル基を表す。]で表わされる1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(「TCPB」)誘導体である。以下、TCPB誘導体を以下で具体的に説明する。
R1がCz-00で表される3,6-ジ置換カルバゾリル基でありR2が水素原子であるTCPB誘導体は、式SB-01:
Figure 2013155153
[式中、R3およびR4は前記と同義である。]で表される1,3,5-トリス(3-(N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(以下、「3-N-TCPB」と略することあり。)誘導体SB-01である。
一方、R1が水素原子でありR2がCz-00で表される3,6-ジ置換カルバゾリル基であるTCPB誘導体は、式SB-02:
Figure 2013155153
[式中、R3およびR4は前記と同義である。]で表される1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(以下、「4-N-TCPB」と略することあり。)誘導体SB-02である。
3-N-TCPB誘導体SB-01および4-N-TCPB誘導体SB-02において、カルバゾール基の3,6-位の置換基R3およびR4はそれぞれ独立に3-12個の炭素原子を有する2級アルキル基または4-12個の炭素原子を有する3級アルキル基である。
ここで、2級アルキル基の炭素原子数は、好ましくは3-8個、より好ましくは3-6個であり、例えば、炭素原子4個の2-ブチル基である。
3級アルキル基の炭素原子数は、好ましくは4-8個、より好ましくは4-6個であり、例えば、炭素原子4個のtert-ブチル基である。
ここで、3級アルキル基が2級アルキル基より好ましい。
置換基R3およびR4として、3-12個の炭素原子を有する2級アルキル基としては、例えば、iso-プロピル、2-ブチル、2-ペンチル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-ノニル、3-ノニル、4-ノニル、2-デシル、3-デシル、4-デシル、5-デシル、2-ウンデシル、3-ウンデシル、4-ウンデシル、5-ウンデシル、2-ドデシル、3-ドデシル、4-ドデシル、5-ドデシル、6-ドデシル、シクロヘキシル等の2級アルキル基が挙げられる。これらの中でも、炭素数3-6個の2級アルキル基が好ましく、例えば、2-ブチル基である。
置換基R3およびR4として、4-12個の炭素原子を有する3級アルキル基としては、例えば、tert-ブチル、2-メチル-2-ブチル、2-メチル-2-ペンチル、2-メチル-2-ヘキシル、3-メチル-3-ヘキシル、2-メチル-2-ヘプチル、3-メチル-3-ヘプチル、2-メチル-2-オクチル、3-メチル-3-オクチル、4-メチル-4-オクチル、2-メチル-2-ノニル、3-メチル-3-ノニル、4-メチル-4-ノニル、2-メチル-2-デシル、3-メチル-3-デシル、4-メチル-4-デシル、5-メチル-5-デシル、2-メチル-2-ウンデシル、3-メチル-3-ウンデシル、4-メチル-4-ウンデシル、5-メチル-5-ウンデシル等の3級アルキル基が挙げられる。これらの中でも、炭素数4-6個の3級アルキル基が好ましく、例えば、tert-ブチル基である。
上記R3およびR4の具体例に応じたSB-01およびSB-02の例示化合物を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2013155153
Figure 2013155153
Figure 2013155153
Figure 2013155153
これらの内、特に、R3およびR4がtert-ブチル基の場合が特に好ましく、SB-01およびSB-02に対応して、それぞれをSB-1およびSB-2として以下に再表示する。
Figure 2013155153
Figure 2013155153
次に、本発明化合物である1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体SB-01またはSB-02の製造方法の具体例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)3,6-ジ置換カルバゾール[1]の製造を、3,6-位の置換基が同一の場合(R3 = R4)を例として説明する。カルバゾールとアルキルハライドとをルイス酸触媒(例えば、塩化アルミニウムなど)の存在下、非プロトン系溶媒(例えば、塩化メチレンやEDCなど)中でフリーデルクラフツ型アルキル化反応によって3,6-ジアルキルカルバゾール[1]を得ることができる。反応終了後、定法に従って後処理し、生成物をカラムクロマトグラフィーおよび再結晶等により精製して、次工程の反応に供する。
反応式、および反応条件の一例を以下に示す。
Figure 2013155153
(2)3-ヨードフェニルまたは4-ヨードフェニル-N-カルバゾリル誘導体]2]の製造:
上記で得た3,6-ジアルキルカルバゾール[1]と1,3-または1,4-ジヨードベンゼンとを銅触媒の存在下、ウルマンカップリング反応によって3-ヨードフェニル-N-カルバゾリル誘導体[2]または4-ヨードフェニル-N-カルバゾリル誘導体[3]を得ることができる。この反応は、塩基(例えば、炭酸カリウムなど)およびクラウンエーテルの存在下に、高沸点の非プロトン性溶媒中(例えば、オルトジクロロベンゼンなど)、150℃〜180℃程度の高温で行うことが反応推進上、好ましい。反応終了後、定法に従って後処理し、生成物をカラムクロマトグラフィーおよび再結晶等により精製して、次工程の反応に供する。
反応式、および反応条件の一例を以下に示す。
Figure 2013155153
(3)3-ヨードフェニル-N-カルバゾリル誘導体[2]または4-ヨードフェニル-N-カルバゾリル誘導体[3]からそれぞれのピナコボレート誘導体[4], [5]の製造:
上記で得た3-ヨードフェニル-N-カルバゾリル誘導体[2]または4-ヨードフェニル-N-カルバゾリル誘導体[3]とビスピナコラートジボロンとを、パラジウム触媒と塩基の存在下に反応させて、それぞれに対応する3-ピナコボレート誘導体[4]または4-ピナコボレート誘導体[5]を製造することができる。パラジウム触媒としては、例えばPd(dppf)Cl2などが、塩基としては、例えばAcOKなどを用いることができる。反応は非プロトン性極性溶媒中(例えば、DMFなど)で、50〜100℃程度の温度で実施することができる。反応終了後、定法に従って後処理し、生成物をカラムクロマトグラフィー等により精製して、次工程の反応に供する。
反応式、および反応条件の一例を以下に示す。
Figure 2013155153
(4)3-ピナコボレート誘導体[4]または4-ピナコボレート誘導体[5]からの1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体SB-01またはSB-02の製造:
上記で得た3-ピナコボレート誘導体[4]または4-ピナコボレート誘導体[5]と1,3,5-トリブロモベンゼンとをパラジウム触媒および塩基の存在下で、いわゆる、鈴木-宮浦クロスカップリング反応によって本発明の1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体SB-01またはSB-02を製造することができる。パラジウム触媒としては、例えばPd(PPh3)4など、塩基としては、例えばK2CO3などを用いることができる。反応は溶媒中(例えば、トルエンなど)、50℃〜100℃程度の温度で実施することができる。
反応終了後、定法に従って後処理し、生成物をカラムクロマトグラフィーおよび再結晶もしくは再沈殿等により精製して、目的の本発明化合物SB-01またはSB-02を得ることができる。
反応式を以下に示す。
Figure 2013155153
各工程で得られた化合物の同定は、1H NMR, 13C NMR, TOF-MASSおよび元素分析により行うことができる。具体的には、以下の装置を用いて測定を行った。
1H NMRスペクトルおよび13C NMRは、テトラメチルシランを内部標準物質として、JEOL社製JNM-LA-400 FT-NMR分光計により測定した。TOF-MASS分析は、MALDI-TOF法による質量分析を行ったが、測定はSHIMADZU社製AXIMA-CFR PLUS質量分析計により行い、マトリックスとしてシナピン酸もしくはジスラノールを使用した。元素分析はジェイ・サイエンス社製ラボJM10元素分析装置により測定した。
本発明の第2の実施態様は、一般式SB-00で表わされる1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体を、青色リン光OLED用のホスト材料を提供するものである。中でも、本発明のTCPB誘導体は青色リン光OLED用のホール輸送ホスト材料として優れた特性を有する。
ここで、青色リン光OLED用のホスト材料として要求される光学特性および電気化学特性について説明する。
本発明のSB-00で表わされる1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体の光学特性は、紫外可視吸収スペクトル、蛍光スペクトルおよびリン光スペクトルの測定によって解析することができる。本発明において、紫外可視吸収スペクトルと蛍光スペクトルとは室温下、トルエン中5 μMで測定し、リン光スペクトルは77 K下、2-メチルTHFガラスマトリックス中0.5 μMで測定した。また、紫外可視吸収スペクトルからHOMO-LUMOギャップΔEを算出し、リン光スペクトルから三重項準位T1を求めた。紫外可視吸収スペクトルからは、極大吸収波長および吸収端波長を求めることができる。蛍光スペクトルからは、極大発光波長を求めることができる。紫外可視吸収スペクトル測定ではSHIMADZU社製UV3100分光光度計を用い、蛍光スペクトルおよびリン光スペクトル測定では日本分光社製FP-6600ST分光光度計を用いた。
本発明の一般式SB-00で表わされる1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体は、広いHOMO-LUMOギャップと高い三重項準位T1とを有することを特徴とする。これらの特徴は、SB-00の構造が、カルバゾリル基をスペーサーのベンゼンに対してm-位またはp-位に結合させた形状であることから、ホール輸送性に優れたカルバゾールを核となるベンゼン環に放射状(スターバースト状)に結合させることでπ共役を拡張させ高いホール輸送能を与えるものと推定される。また、フェニレン骨格の導入によって構造にねじれを持たせ、部分的にπ共役を切断し、広いHOMO-LUMOギャップと高いT1を実現したものと推定される。本発明はその作用機構に必ずしも囚われるものではないが、広いHOMO-LUMOギャップと高い三重項準位T1とが存在することは、広いHOMO-LUMOギャップによって発光中心への効率的な電荷移動及びキャリアの封じ込めを可能とし、また高いT1による発光色素からホスト材料への逆エネルギー移動を抑制するという効果を及ぼし、その結果として高い発光輝度と長い発光寿命を発現したものと推定される。
本発明のSB-00で表わされる1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体の電気化学特性としては、サイクリックボルタンメトリーによる測定を行うことができる。本発明では、サイクリックボルタンメトリーによる測定を行って、以下のようにしてHOMO-LUMO準位を決定した。即ち、電解質に過塩素酸テトラブチルアンモニウムのジクロロメタン溶液を、参照電極に銀・塩化銀を、作用極・対極に白金を用いてサイクリックボルタモグラム測定する。本発明ではホール輸送能の高いカルバゾールを多く有するため、電気化学的還元が起こりにくく、還元側のピークが得られないため、酸化電位を用いたOnset法によりHOMO準位を決定した。Onset法では酸化ピークの立ち上がりの電位を読み取り、標準物質であるフェロセンの立ち上がり電位との電位差を求め、その電位差とフェロセンの真空準位を基準とするエネルギー準位 (-4.8 eV) との差からHOMO準位を求めた。さらに紫外可視吸収スペクトルから求めたΔEをHOMOの値に加えてLUMO準位を決定した。
次に、青色リン光OLED用のホスト材料として要求される特性の一つである熱特性(熱安定性)について説明する。成膜過程や素子発光での発熱に対しては十分な熱安定性が求められる。熱安定性は熱重量分析(TG)と示差走査熱量測定(DSC)により行う。熱安定性の評価は、ガラス転移温点Tg、結晶化温度Tc、融点Tm、分解温度Td等により行う。実施例の項で具体的に説明するように、本発明のSB-00で表される1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導は、通常、150℃以上、具体的には200℃程度以上の高いTgを示し、Tdは、通常、350℃以上、具体的には400℃以上の高い値を示すことから、十分に高いガラス転移点を持っており、成膜過程や素子発光での発熱に対しては十分な熱安定性示すことが示唆される。また、結晶化温度が確認される場合があるものの、300℃以上、具体的には350℃以上と十分に高いため、成膜性や発光に対する影響は小さいと考えられる。
更に、本発明のSB-00で表される1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体は、嵩高い2級ないし3級アルキル基またはアルキルオキシ基をカルバゾールの3,6位に結合させた構造を有することから、それら置換基同士の立体反発から分子間での会合を抑制して溶媒への溶解性を高め、高い成膜性と溶液塗布法(スピンコート法など)への応用を可能にしたものと推定される。スピンコート法等の溶液塗布法が採用され得ることから、蒸着法による製膜法に比べて、原料ロスを削減し得ると共に、製造装置の簡易化という工業上の利益も得られる。また、製膜性が向上したことから、均一な膜厚で幅広な塗膜が得られて、良好な光学特性および電気化学特性が発現したものと推定される。
OLED作製に用いる発光層の成膜性は、原子間力顕微鏡 (AFM) を用いて検討することができる。測定されたAFM画像の解析から、膜厚および表面粗さを求めて成膜性を判定する。AFM測定には、キーエンス社製NANOSCALE HYBRID MICROSCOPE VN-8010型原子間力顕微鏡を用いた。発光層に求められる膜厚は、10〜300 nm、好ましくは20〜200 nm、より好ましくは50〜150 nm、例えば、80〜100 nmである。表面粗さは、膜厚の20%以下、好ましくは10%以下、例えば、1〜5%である。
発光層の作成は、定法に従い、スピンコート法または真空蒸着法によって行うことができる。以下、スピンコート法による例で説明する。ホスト材料としての本発明に係るSB-00で表される1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体と、発光色素としての蛍光またはリン光色素と、電子輸送材料とを溶媒(例えば、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素等)中に所定割合で混合希釈し、回転する基板上へスピンコートする。スピンコート後、所定温度で乾燥、焼成して発光層とする。
非限定的な具体例で説明すると、溶媒としてのクロロホルム0.7 ml中に、ホスト材料として本発明に係るSB-00を、発光色素としてFIrpicを、電子輸送材料として2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール) (以下「OXD-7」と略すことあり。)を重量比で8.5:1.2:3.0 (wt/wt/wt)の割合で混合してスピンコート液を得た。このスピンコート液を用いて基板回転数が2000 rpmで10秒間、次いで3000 rpmで20秒間スピンコートし、引き続いて80℃で20分間、乾燥および焼成を行って、発光層を得た。
得られた発光層のAFM画像解析の結果、膜厚が50〜150nmの範囲にあって、発光層として十分な膜厚を有していた。また、表面粗さは膜厚の1〜5%であって、発光層として十分な均一性を有していた。
本発明に係るSB-00で表される1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体の紫外可視スペクトルの極大吸収波長は、概ね300 nm〜400 nm、例えば、330〜380 nmの範囲にある。また蛍光スペクトルの極大発光波長は、概ね300 nm〜400 nm、例えば、330〜380 nmの範囲にある。リン光スペクトルの極大発光波長は、概ね400 nm〜500 nm、例えば、430〜460 nmの範囲にある。また、紫外可視吸収スペクトルの吸収端から算出したHOMO-LUMOギャップΔEは、概ね2.5〜5.0 eV、例えば3〜4.0 eVであり、ホスト材料として十分な広さのHOMO-LUMOギャップを有していることがわかる。また、リン光スペクトルの最大吸収波長より算出した三重項準位T1は、概ね2.5〜4.0 eV、例えば2.7〜3.0 eVであり、典型的な青色発光色素であるFIrpicのT1 = 2.62 eVを上回る値を有することができるので、例えば、FIrpicを青色発光色素としたOLEDへの応用が可能であることがわかる。
本発明に係るSB-00で表される1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体のHOMO準位は概ね-5.0〜-6.0 eV付近、例えば-5.5〜-5.8 eVにあり、LUMO準位は概ね-2.0〜-3.0 eV、例えば-2.1〜-2.5 eVにあり、典型的青色発光色素であるFIrpicのLUMO準位である-2.6 eVよりも浅くなることも可能であることから、例えば、FIrpicを青色発光色素としたOLEDへの応用が可能であることがわかる。
本発明に係るOLEDの製造方法における発光層の作成は、好ましくは、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロゼット法、インクジェット法等)による。例えば、発光色素を溶媒に溶解させて基板上に塗布、キャストする方法、より好ましくは、スピンコート法による。
ホスト材料としての本発明に係るSB-00(1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体)をホール輸送性ホストとして用い、ドーパントとしての発光色素及び電子輸送材料とともに溶媒に溶解させて、スピンコート液とすることができる。
溶媒の例としては、脂肪族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン;脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン;石油系溶媒、例えば石油エーテル、石油ベンジン;ハロゲン化炭化水素、例えば四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン;エーテル、例えばエチルエーテル、イソプロピルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン;ケトン、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソフォロン;エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル;アミド、例えばジメチルフォルムアミド;アセトニトリル;ジメチルスルフォキシド;ハロゲン化ベンゼン、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン;アルコール、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノールが挙げられる。
スピンコートによって、OLEDの有機層(例えば、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)を形成することができる。例えば、陰極、陽極、ホール(電子)輸送層、ホール(電子)注入層などの基材の上に有機層をスピンコートする。スピンコート操作において、100〜10,000 rpm、例えば500〜4,000 rpmで0.1〜30分間、例えば0.5〜3分間、基材を回転させることが好ましい。スピンコートによって、厚さ5〜500 nm、例えば25〜250 nm(乾燥後の膜厚)の膜を形成する。スピンコートは、真空蒸着などに比較して、物質が蒸着時に飛散するという物質の無駄が生じることがなく、複雑な工程を必要とせず、製造コストが低く、簡便に行えるという利点がある。
溶媒の除去は、0.00001〜1気圧で温度10〜200℃で溶媒を乾燥することによって行うことができる。
有機層の例は、発光層、ホール輸送層、電子輸送層、ホールブロック層、電子ブロック層、ホール注入層、電子注入層である。
本発明において、OLEDは、有機層に加えて、基板、陽極、陰極を有する。
即ち、一対の電極、即ち、対向する陽極と陰極の間に、少なくとも1つの有機層を有して成るOLEDにおいて、該有機層が本発明に係るTCPB誘導体をホール移動材料として含有するホール移動層であってよい。
また、対向する陽極と陰極の間に少なくとも1つの有機層を有して成るOLEDにおいて、該有機層が、TCPB誘導体をホスト材料とし発光色素をゲスト材料として含有する発光層であってよい。
OLEDの代表的な層構成を以下に例示する。
(i)陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ii)陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(iii)陽極/ホール注入輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(iv)陽極/ホール注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(v)陽極/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/陰極
(vi)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vii)陽極/ホール注入輸送層/発光層/陰極
(viii)陽極/発光層/電子注入輸送層/陰極
(ix)陽極/発光層/陰極
上記の層構成において、ホスト材料としての本発明に係るSB-00(1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン誘導体)は、ホール輸送機能を有することから、ホール輸送層に用いることもできるが、ホール輸送性ホストとして発光色素ゲストと共に発光層に用いることが好ましい。その際、発光層には電子輸送能を有する有機材料を共存させることもできる。
上記層構成において、ホールブロック層または電子ブロック層またはこれら両方が、陽極と陰極との間に存在してよい。
基板の上に陽極を形成してもよいし、あるいは基板の上に陰極を形成してもよい。
基板は、特に限定されないが、ジルコニア安定化イットリウム、ガラス等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン−ポリエチレン共重合体等の高分子材料であってよい。基板は、これらの2種以上の材料を組み合わせた複合シートであってもよい。さらに、基板に、例えば、カラーフィルタ膜、色変換膜、誘電体反射膜を組み合わせて、発光色をコントロールすることもできる。青色あるいは青緑色の発光素子に青色カラーフィルタと緑色と赤色の色変換膜を組み合わせることによって赤・緑・青の三原色フルカラー表示を実現できる。三色系の白色発光基盤は発光スペクトルが赤・緑・青の三原色成分を含むので液晶ディスプレイのバックライトに使用することができる。
陽極に使用する物質としては、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物(含む、導電性有機ポリマー)、又はこれらの2種以上が挙げられる。具体例としては金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウムスズ)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等が挙げられる。陽極に使用する物質は、単独で使用しても良く、あるいは2種以上併用しても良い。陽極に使用する物質は、隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。
陽極は、例えば、蒸着法、スパッタリング法等の方法により、基板の上に形成することができる。一方、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性有機ポリマーは、その有機溶媒への溶解性を利用した溶液塗布法(スピンコーティング法など)によって基板上に陽極を製膜形成することが出来、あるいは、ポリマー生成法として電気化学的重合法を用いて基板上に製膜することも可能である。また、陽極は一層構造であっても良く、あるいは多層構造であっても良い。陽極のシート電気抵抗は、数百Ω/□以下、より好ましくは、1〜50 Ω/□程度であることが好ましい。陽極の厚さは、一般に、5〜1,000 nm程度、より好ましくは、10〜500 nm程度である。
陰極に使用する物質としては金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの2種以上が挙げられる。具体例としてはアルカリ金属(例えばLi, Na, K, Cs等)又はフッ化アルカリ金属、ナフトール等の有機塩、アルカリ土類金属(例えばMg, Ca等)又はフッ化アルカリ土類金属、金、銀、白金、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、又はそれらの2種以上を併用する合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属が挙げられる。陰極に使用する物質は、電子注入輸送の機能を有する層、陰極と隣接する層との密着性や、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法等の方法が用いられ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、2種以上の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能である。また、あらかじめ調製した合金を蒸着させても良い。陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下がより好ましい。
陰極の厚さは、使用する物質により適宜選択可能であるが、通常10 nm〜5 μmの範囲が好ましく、より好ましくは50 nm〜1 μmであり、さらに好ましくは100 nm〜1 μmである。
ホール注入輸送機能を持つ化合物を、ホール注入層、ホール輸送層、ホール注入輸送層等のホール注入輸送機能を有する層において使用する。
ホール注入輸送機能を有する層において、青色発光色素、緑色発光色素または赤色発光色素等を単独で使用することもでき、あるいは、青〜青緑色発光色素および橙〜赤色発光色素から成る二色系(補色系)白色発光色素または、赤色発光色素、緑色発光色素および青色発光色素のRGB三色系発光色素から成る白色発光色素を使用することもできる。
ホール注入輸送機能を有する化合物の具体例としては、フタロシアニン誘導体、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体等が挙げられる。ホール注入輸送機能を有する他の化合物は、単独で使用しても良く、あるいは2種以上併用しても良い。
発光層においては、本発明に係るホスト材料としてのTCPB誘導体と共に、ゲスト材料としての発光色素を使用する。発光色素としては、蛍光及びリン光色素が用いられる。例えば、青色発光を目的とする場合には、特に限定するものではないが、青色リン光色素FIrpic:
Figure 2013155153
または、下式:
Figure 2013155153
で表されるビス(アミノビフェニルエチニル)系化合物で代表される青色蛍光色素、または
Figure 2013155153
に示すIr-103錯体
等を用いることができる。
白色発光の場合には、青色発光色素およびその補色関係にある橙〜赤色発光色素から成る二色系白色発光色素をゲスト材料として用いることができる。青色発光色素としては、例えば青色リン光色素であるFIrpicを用いることができる。また、RGB三色系白色発光の場合には、赤色発光色素、緑色発光色素および青色発光色素から成る三色系発光色素を用いることができる。例えば、青色発光色素としては、青色リン光色素であるFIrpicを用いることができる。また、赤色発光色素としては、特に限定するものではないが、例を挙げれば
式(Ir−1):
Figure 2013155153
もしくは
式(Ir−2):
Figure 2013155153
もしくは
式(Ir−3):
Figure 2013155153
で表されるイリジウム錯体等の赤色リン光色素を用いることができる。
電子注入輸送機能を有する化合物を、電子注入層、電子輸送層、電子注入輸送層等の電子注入輸送機能を有する層において使用する。
電子注入輸送機能を有する層において、青色発光色素または、補色系もしくはRGB三色系白色発光色素を使用する。
電子注入輸送機能を有する化合物としては、例えば、有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体等が挙げられる。
本発明のOLEDにおいては、発光層が、本発明に係るホスト材料としてのTCPB誘導体と共に、ゲスト材料としての青色発光色素または、補色系もしくはRGB三色系白色発光色素を含有している。他の化合物(例えば、発光機能またはホール(電子)注入輸送機能を有する他の化合物)を併用する場合、発色層中に占める青色発光色素または、補色系もしくはRGB三色系白色発光色の割合は、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.1〜99.9重量%、例えば0.1〜99重量%、特に0.2〜30重量%、特別に0.5〜20重量%である。
溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロゼット法、インクジェット法等)により有機層(特に、発光層)を形成する場合、本発明に係るホスト材料としてのTCPB誘導体と共に、ゲスト材料としての発光色素またはホール(電子)注入輸送機能を有する化合物のみ、あるいはこれら化合物とバインダーポリマーとを溶媒に溶解又は分散させて塗布液とする。バインダーポリマーとしては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルフォン、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリフェニレンエチニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等の高分子化合物が挙げられる。バインダーポリマーは、単独で使用しても良く、あるいは2種以上併用しても良い。バインダーポリマーの量は、有機層の1〜99重量%、例えば10〜80重量%であってよい。
有機層(例えば、ホール注入輸送機能を有する層、発光層、電子注入輸送機能を有する層)の形成方法に関しては、特に限定するものではなく、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロゼット法、インクジェット法等)により薄膜を形成することにより作製することができる。本発明においては、有機層の形成は、スピンコート法を用いることが好ましい。
各有機層の厚さは、好ましくは5〜500 nm、例えば25〜250 nm、特に50〜150 nmであってよい。
OLEDにおいて、保護液、保護層(封止層)を設けても良い。これにより、OLEDが酸素や水分等と接触することが防止される。保護液は、例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコーンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油等の不活性液体であってよい。保護層は、例えば、有機高分子材料(例えば、光硬化性樹脂)、無機材料であってよい。具体的な封止の例を挙げるならば、例えば、キャビティガラスにOLEDを入れ、蓋をする際に光硬化性樹脂等を用いて封止する。
OLEDに印加する電圧は、例えば、0.1〜50 Vである。
本発明のOLEDは、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験装置>
1H NMRスペクトルおよび、13C NMRはテトラメチルシランを内部標準物質とJEOL社製JNM-LA-400 FT-NMR分光計により測定した。MALDI-TOF法による質量分析にはSHIMADZU社製AXIMA-CFR PLUS質量分析計により行い、マトリックスとしてシナピン酸もしくはジシラノールを使用した。元素分析はジェイ・サイエンス・ラボ社製JM10元素分析装置により測定した。TG測定および、DSC測定に用いた機器はRIGAKU社製THERMO PLUS EVO TG 8120差動型示差熱天秤装置、THERMO PLUS EVO DSC 8230高感度示差走査熱量計で、TGおよびDSCの測定は昇温速度を10 K/min、走査温度範囲は25℃-450℃で行った。その際、ブランク補正にはAl2O3を用いた。成膜性の検討に用いた原子間力顕微鏡(AFM)はキーエンス社製のNANOSCALE HYBRID MICROSCOPE VN-8010型原子間力顕微鏡装置である。UV測定ではSHIMADZU社製UV3100分光光度計を用い、蛍光スペクトルおよび、リン光スペクトル測定では日本分光社製FP-6600ST分光光度計を用いた。サイクリックボルタンメトリー測定はジクロロメタンを溶媒とし、支持電解質として0.1 Mの過塩素酸テトラブチルアンモニウムを添加した。作用極および対極には白金電極を用い、Ag/AgCl電極を参照電極とし、フェロセンを外部標準物質として用い、北斗電工社製のHZ-5000によりスキャン速度100 mV s-1で測定を行った。
<素子作製>
まず、ITO透明電極 (150 nm) に塩酸-亜鉛処理によるエッチングを施し、中性洗剤による洗浄を行い、さらに、クリーンエース水溶液、蒸留水、アセトン、クロロホルムおよび、ヘキサンでの超音波洗浄を行った。次に、ITO透明電極表面上にUV‐O3照射をした後、PEDOT:PSS (40 nm) をスピンコートし、120℃で1時間焼成を行った。その後、脱水クロロホルムに電子輸送材料、発光材料および、ホスト材料を溶解させた発光層溶液をスピンコートし(2000 rpm, 10 sec→3000 rpm, 20 sec)、80℃で20分焼成することによって発光層(90 nm)を得た。最後に真空蒸着装置により 10-4〜10-5 Pa下でフッ化セシウム (1 nm)とアルミニウム(250 nm) をそれぞれ真空蒸着し、UV硬化性樹脂でキャビティガラス中に封止した。
<合成例1>
<3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール (1)の合成>
Figure 2013155153
10%水酸化ナトリウム水溶液の酸トラップを接続した300 ml二口フラスコに9H-カルバゾール(5.07 g, 30.3 mmol)および塩化アルミニウム (4.00 g, 30.0 mmol) を添加し、ジクロロメタン(100 ml)に溶解させた後、tert-ブチルクロリド(7.3 ml, 67.2 mmol)をジクロロメタン(20 ml)に溶解させたものを滴下漏斗で滴下しながら60℃で加熱還流させながら2時間撹拌させた。反応溶液を水(100 ml)に加え、ジクロロメタン(50 ml×3回)で抽出した後、水(120 ml×2回)および飽和食塩水(100 ml)で洗浄した。その後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:ヘキサン=3:4(v/v))及び再結晶(ヘキサン溶媒)により精製し、白色固体(1)を得た(3.69 g, 13.2 mmol, 収率:44%)。以下の分析結果より、白色固体は目的の3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール (1)であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ=1.45 (s, 18 H), 7.33 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.47 (dd, J = 1.8 and 8.7 Hz, 2H), 7.84 (br s, 1H) , 8.07 (d, J = 1.8 Hz, 2H).
13C NMR (100.5 MHz, CDCl3) δ= 32.13, 34.79, 110.08, 116.27, 123.41, 123.61, 138.11, 142.31.
MALDI-TOF MS (m/z): Calcd for C20H25N, 279; found, 279 [M+]. Anal. Calcd for C20H25N: C 85.97, H 9.02, N 5.01; found C 85.85, H 8.78, N 5.05.
<合成例2>
<3,6-ジ-tert-ブチル-9-(3-ヨードフェニル)-9H-カルバゾール (2)の合成>
Figure 2013155153
100ml二口フラスコを減圧下、ヒートガンで加熱し乾燥させた後、N2雰囲気下、合成例1で得た(1)(1.55 g, 5.55 mmol)、1,3-ジヨードベンゼン(5.05 g, 15.3 mmol)、18-クラウン6-エーテル(522 mg, 1.97 mmol)、銅粉末(252 mg, 3.97 mmol)および炭酸カリウム(3.03 g, 21.9 mmol)を1,2-ジクロロベンゼン(44 ml)中に溶解し、180℃で13時間加熱還流した。室温に戻した後、固体をろ別し、濾液を減圧蒸留 (油浴温度140-180℃、1 mmHg)することによって溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:ヘキサン=1:9 (v/v)) および再結晶(クロロホルム:ヘキサン=1:15 (v/v))により精製し、白色固体(1.76 g, 3.66 mmol, 収率: 66%)を得た。以下の分析結果より、白色固体は目的の3,6-ジ-tert-ブチル-9-(3-ヨードフェニル)-9H-カルバゾール (2)であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ=1.46 (s, 18H), 7.28-7.34 (m, 3H), 7.47 (dd, J = 1.8 and 8.7 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 7.8 Hz,1H), 7.92 (s, 1H), 8.12 d, J = 1.8 Hz, 2H).
13C NMR (100.5 MHz, CDCl3) δ= 32.08, 34.84, 94.60, 109.13, 116.41, 123.60, 123.85, 126.07, 131.24, 135.66, 136.01, 138.98, 139.55, 143.36.
MALDI-TOF MS (m/z): Calcd for C26H28IN, 481; found, 482 [M+ + H]. Anal. Calcd for C26H28IN: C 64.87, H 5.86, N 2.91; found C 64.93, H 5.99, N 2.90.
<合成例3>
<3,6-ジ-tert-butyl-9-(4-ヨードフェニル)-9H-カルバゾール (3)の合成>
Figure 2013155153
100 ml二口フラスコを減圧下、ヒートガンで加熱し乾燥させた後、N2雰囲気下、合成例1で得た(1)(1.21 g, 4.33 mmol)、1,4-ジヨードベンゼン(3.92 g, 11.9 mmol)、18-クラウン6-エーテル(348 mg, 1.32 mmol)、銅粉末(197 mg, 3.10 mmol)および炭酸カリウム(2.38 g, 17.2 mmol)を1,2-ジクロロベンゼン(34.0 ml)中へ溶解し、180℃で10時間加熱還流した。室温に戻した後、固体をろ別し、濾液を減圧蒸留 (油浴温度140-180℃、1 mmHg)することによって溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:ヘキサン=1:5 (v/v))により精製し、白色固体(1.15 g, 2.38 mmol, 収率: 55%) を得た。以下の分析結果より、白色固体は目的の3,6-ジ-tert-butyl-9-(4-ヨードフェニル)-9H-カルバゾール (3)であることを確認した。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 1.46 (s, 18H), 7.30-7.32 (m, 4 H), 7.45 (dd, J = 1.8 and 8.7 Hz, 2H), 7.88 (d, J = 8.7 Hz, 2H), (d, J = 1.8 Hz, 2H).
13C NMR (100.5 MHz, CDCl3) δ = 32.09, 34.84, 91.43, 109.10, 116.42, 123.61, 123.82, 128.62, 138.09, 138.93, 139.03, 143.29.
MALDI-TOF MS (m/z): Calcd for C26H28IN, 481; found, 482 [M+ + H].
<合成例4>
<3,6-ジ-tert-ブチル-9-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール (4)の合成>
Figure 2013155153
50 ml二口フラスコを減圧下、ヒートガンで加熱し乾燥させた後、N2雰囲気下、合成例2で得た(2)(1.90 g, 3.95 mmol)、ビスピナコラートジボロン(1.08 g, 4.26 mmol)、酢酸カリウム(1.7 g, 17.3 mmol)および[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(76.7 mg, 0.10 mmol)を脱水N,N'-ジメチルホルムアミド(14 ml)中に溶解させ、90℃で19時間加熱撹拌した。反応混合物を室温に戻した後、水100mlに注入し、ジクロロメタン(50 ml×3回)で抽出した。有機層を水(150 ml×2回)および飽和食塩水(150 ml)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン:ヘキサン=1:5 (v/v))で精製し、白色固体(777 mg, 1.61 mmol, 収率:41%) を得た。以下の分析結果より、固体は目的の3,6-ジ-tert-ブチル-9-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール (4)であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 1.34 (s, 12H), 1.45 (m, 18H), 7.30 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.44 (dd, J = 1.8 and 8.7 Hz, 2H), 7.55-7.63 (m, 2H), 7.85 (dd, J = 1.4 and 8.3 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 8.12 (d, J = 1.8 Hz, 2H).
13C NMR (100.5 MHz, CDCl3) δ = 24.99, 32.13, 34.81, 84.13, 109.31, 116.24, 123.35, 123.58, 129.25, 129.84, 133.27, 133.45, 137.78, 139.50, 142.71.
MALDI-TOF MS (m/z): Calcd for C32H40BNO2, 481, found, 482 [M+ + H]. Anal. Calcd for C32H40BNO2: C 79.83, H 8.37, N 2.91; found C 79.68, H 8.18, N 2.83.
<合成例5>
<3,6-ジ-tert-ブチル-9-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール (5)の合成>
Figure 2013155153
50 ml二口フラスコを減圧下、ヒートガンで加熱し乾燥させた後、N2雰囲気下、合成例3で得た(3)(659 mg, 1.37 mmol)、ビスピナコラートジボロン(377 mg, 1.48 mmol)、酢酸カリウム(591 mg, 6.02 mmol)および[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(26.7 mg, 0.036 mmol)を脱水N,N’−ジメチルスルホアミド(5.2 ml)中に溶解させ、90℃で4時間加熱撹拌した。反応混合物を室温に戻した後、水100mlに注入し、ジクロロメタン(10 ml×3回)で抽出した。有機層を水 (30 ml×2回)および飽和食塩水(50 ml)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン:ヘキサン=1:2 (v/v))で精製し、褐色がかった白色固体(454 mg, 0.94 mmol, 収率:69%) を得た。以下の分析結果より、固体は目的の3,6-ジ-tert-ブチル-9-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール (5)であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 1.39 (s, 12H), 1.45 (s, 18H), 7.38 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.45 (dd, J = 1.8 and 8.7 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.01 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 8.12 (d, J = 1.8 Hz, 2H). 13C NMR (100.5 MHz, CDCl3) δ = 25.03, 32.09, 34.82, 84.12, 109.38, 116.30, 123.61, 123.71, 125.71, 136.36, 138.99, 140.96, 143.08
MALDI-TOF MS (m/z): Calcd. for C32H40BNO2, 481, found, 482 [M+ + H]. Anal. Calcd. for C32H40BNO2 : C 79.83, H 8.37, N 2.91; found C 79.68, H 8.18, N 2.83.
実施例1
<1,3,5-トリス(3-(3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾール-9-イル)フェニル)ベンゼン (SB-1)の合成>
Figure 2013155153

50 ml二口フラスコを減圧下、ヒートガンで加熱し乾燥させた後、N2雰囲気下、参考例4で得た3,6-ジ-tert-ブチル-9-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール(4) (750 mg, 1.56 mmol)、1,3,5-トリブロモベンゼン (102 mg, 0.32 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (64.7 mg, 0.056 mmol)、2M 炭酸カリウム (9.7 ml)およびトルエン (19 ml) を加え、90℃で11時間20分加熱還流した。反応混合物を室温に戻した後、ロータリーエバポレーターで溶媒をできるだけ留去した。得られた残渣に水100 mlを加え、ジクロロメタン (60 ml×3回) で抽出し、有機層を水 (150 ml×2回) および、飽和食塩水 (150 ml) で洗浄した。この有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒;ジクロロメタン:ヘキサン=1:5) および、再沈殿 (ジクロロメタンで濃縮後、メタノールを多量に加えた) により精製し、白色固体 (245 mg, 0.215 mmol, 収率=67%) を得た。以下の分析結果より、白色固体は目的の1,3,5-トリス(3-(3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾール-9-イル)フェニル)ベンゼン (SB-1)であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 1.45 (s, 54H), 7.38 (d, J = 8.7 Hz, 6H), 7.45 (dd, J = 1.8 and 8.7 Hz, 6H), 7.56 (d, J=7.60 Hz, 3H), 7.66 (t, J = 7.8 Hz, 3H), 7.73 (d, J=8.40 Hz, 3H), 7.86-7.90 (m, 6H), 8.12 (d, J = 1.8 Hz, 6H).
13C NMR (100.5 MHz, CDCl3) δ = 32.10, 34.82, 109.26, 116.36, 123.48, 123.73, 125.77, 126.12, 130.40, 138.93, 139.34, 141.96, 142.72, 142.96.
MALDI-TOF MS (m/z): Calcd. for C84H87N3, 1137, found, 1137. Anal. Calcd. for C84H87N3: C 88.61, H 7.70, N 3.69; found C 88.56, H 7.69, N 3.68.
実施例2
<1,3,5-トリス(4-(3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾール-9-イル)フェニル)ベンゼン (SB-2)の合成>
Figure 2013155153
50 ml二口フラスコを減圧下、ヒートガンで加熱し乾燥させた後、N2雰囲気下で、合成例5で得た3,6-ジ-tert-ブチル-9-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール(5) (454 mg, 0.943 mmol)、1,3,5-トリブロモベンゼン (63.0 mg, 0.200 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (40.3 mg, 0.037 mmol)、2M 炭酸カリウム (5.8 ml)およびトルエン (12 ml) を加え、90℃で16時間加熱還流した。室温に戻し、ロータリーエバポレーターでトルエンを留去させ、ジクロロメタン (20 ml×3回) で抽出した。水 (60 ml×2回) および、飽和食塩水 (60 ml) で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒;ジクロロメタン:ヘキサン=1:4) および、再沈殿 (ジクロロメタンで濃縮後、メタノールを多量に加えた) により精製し、白色固体 (88.7 mg, 0.078 mmol, 収率=39%) を得た。以下の分析結果より、白色固体は目的の1,3,5-トリス(4-(3,6-ジ-tert-ブチルカルバゾール-9-イル)フェニル)ベンゼン (SB-2)であることを確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 1.48 (s, 54H), 7.46 (d, J = 8.7 Hz, 6H), 7.50 (d, J = 8.7 Hz, 6H), 7.72 (d, J=8.7 Hz, 6H), 7.99 (d, J = 8.7 Hz, 6H), 8.03 (s, 3H), 8.16 (d, J=1.8 Hz, 6H).
13C NMR (100.5 MHz, CDCl3) δ = 32.12, 34.86, 109.34, 116.41, 123.59, 123.76, 125.35, 127.15, 128.78, 137.95, 139.26, 139.53, 141.97, 143.11.
MALDI-TOF MS (m/z): Calcd. for C84H87N3, 1137, found, 1137. Anal. Calcd. for C84H87N3: C 88.61, H 7.70, N 3.69; found C 88.44, H 7.89, N 3.55.
実施例3
<SB-1およびSB-2の熱安定性の測定>
実施例1で得たSB-1および実施例2で得たSB-2の熱安定性を熱重量分析(TG)と示差走査熱量測定(DSC)により0-400℃の範囲で測定した。得られた結果を図1に示す。図1中、(a)はSB-1の熱分析(DSCおよびTG)結果、および(b)はSB-2の熱分析(DSCおよびTG)結果を示す。さらに図1より得られたガラス転移温点Tg、結晶化温度Tc、融点Tm および分解温度Tdを表1に示す。
Figure 2013155153
DSCより、SB-1では201℃にTg が見られたが、Tmは確認できなかった。一方SB-2では232℃にTg 、317℃にTc および399℃にTmが確認された。また、TGからSB-1のTd (2% 重量減少点)は440℃、SB-2のTd (2% 重量減少点)は442℃で確認された。このことからSB-1およびSB-2ともに高いガラス転移点を持っており、成膜過程や素子発光での発熱に対しては十分な熱安定性示すことが確認された。また、SB-2に関しては結晶化温度が確認されたものの、399℃と十分に高いため、前述したような成膜や発光に対する影響は小さいと考えられる。
実施例4
<SB-1およびSB-2の成膜性>
素子作製に用いる発光層の成膜性を原子間力顕微鏡 (AFM) を用いて検討した。発光層にはホスト材料としてSB-1およびSB-2を、発光材料としてFIrpicを、電子輸送材料として2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール (以下OXD-7) を重量比で8.5:1.2:3.0 (wt/wt/wt)の割合で混合した。得られた混合液を、0.7 mlクロロホルム中、2000 rpm, 10 s → 3000 rpm, 20 s の条件でPEDOT:PSS (40 nm) を成膜したITOガラス基板上にスピンコートし、80℃で20分間焼成して発光層を得た。得られた発光層のAFM画像を観察した。
PEDOT:PSS層からの段差を測定することによって得られた、発光層の膜厚および表面粗さを表2に示す。
Figure 2013155153
AFM分析の結果から、SB-1およびSB-2は同程度の成膜性を持つことが示された。さらにSB-1およびSB-2ともに発光層として十分な膜厚を有しており、FIrpicを用いたOLEDへの応用が可能であることを示す。
実施例5
<SB-1およびSB-2の光学特性>
SB-1およびSB-2の紫外可視吸収スペクトル、蛍光スペクトルおよびリン光スペクトルの分析結果を図2に示す。図2中、(a)はSB-1について、(b)はSB-2について、それぞれ、紫外・可視光吸収スペクトル(5 μM)、蛍光スペクトル(5 μM)及びリン光スペクトル(0.5 μM)を示す。紫外・可視吸収スペクトルと蛍光スペクトルは室温下、トルエン中5μMで測定し、リン光スペクトルは77 K下、2-メチルテトラヒドロフランガラスマトリックス中0.5 μMで測定した。SB-1およびSB-2の紫外可視吸収スペクトルから、SB-1では332 nmおよび347 nmに吸収ピークが見られたが、SB-2では330 nmに一つのピークが確認できた。また蛍光スペクトルではSB-1が355 nmと370 nmに、SB-2では373 nmに発光が見られた。リン光スペクトルではSB-1は444 nm、SB-2は452 nmに最大発光が見られた。
また、紫外可視吸収スペクトルからHOMO-LUMO準位ギャップΔEを算出し、リン光スペクトルから三重項準位を求め、表3に示した。
Figure 2013155153
HOMO-LUMO準位ギャップΔEを紫外可視吸収スペクトルの吸収端から算出したところ表3に示すとおり、SB-1では3.48 eV、SB-2では3.36 eVとなりSB-1、SB-2ともにホスト材料として十分な広さHOMO-LUMO準位ギャップを有していることがわかった。また、リン光スペクトルの最大吸収波長より算出した三重項準T1に関しては、SB-1が2.79 eV、SB-2が2.74 eVとなり両方とも青色発光材料FIrpicのT1=2.62eVを上回る値を示し、代表的な青色リン光材料であるFIrpicを発光材料としたOLEDへの応用が可能であることを示す。
実施例6
<SB-1およびSB-2の電気化学特性>
SB-1およびSB-2のHOMO-LUMO準位を決定するためにサイクリックボルタンメトリーによる測定を行った。電解質に過塩素酸テトラブチルアンモニウムのジクロロメタン溶液を、参照電極に銀・塩化銀を、作用極・対極に白金を用いて測定したサイクリックボルタモグラム(CVG)を図3に示す。図3中、(a)はSB-1に対応し、(b)はSB-2に対応する。破線はサイクリックボルタモグラム(CVG)を示し、実線は電位窓を示す。測定条件は、濃度が1 mM SB-1および1 mM SB-2であり、電解質溶液: 0.1 M Bu4N+ClO4 -/CH2Cl2; 参照電極: Ag/AgCl; 作用極および対極: Pt電極である。
本発明に係るホール輸送能の高いカルバゾールを多く有する構造では電気化学的還元が起こりにくく、還元側のピークが得られなかったため、酸化電位を用いたOnset法によりHOMO準位を決定した。Onset法では酸化ピークの立ち上がりの電位を読み取り、標準物質であるフェロセンの立ち上がり電位との電位差を求め、その電位差とフェロセンの真空準位 (-4.8eV) との差からHOMO準位を求めた。さらに紫外可視吸収スペクトル(図2)から求めたΔEをHOMOの値に加え、LUMO準位を決定した。得られたHOMO・LUMO準位を表4に示す。
Figure 2013155153
LUMO準位を比較したところ、SB-1およびSB-2共に青色リン光材料であるFIrpicのLUMO準位 -2.6eVよりも浅いことが確認できた。このことから、SB-1およびSB-2共に、青色リン光材料であるFIrpicのホスト材料として適していることが確認された。この中でも、SB-2よりも深いHOMOを有するSB-1の方がよりホスト材料として適していることが示唆される。
実施例7
<青色リン光色素にFIrpicを用い、SB-1またはSB-2をホストとする青色リン光OLED素子(素子1および素子2)の作製>
SB-1またはSB-2をホール輸送性ホスト材料とし、FIrpicを発光ドーパントとした青色リン光OLEDを作製した。素子構成は図4に示すように陽極としてITO透明電極を用い、PEDOT:PSSを用いたホール注入層(図6にホール注入層の組成を示す。)および発光層(図5に発光層の組成を示す。)を順次スピンコートにより成膜した。さらにその上に電子注入層としてフッ化セシウムを、陰極としてアルミニウムをそれぞれ真空蒸着法により積層した。発光層(図5)にはホスト材料としてSB-1またはSB-2を、発光材料としてFIrpicを、電子輸送材料として2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール (以下OXD-7) を重量比で8.5:1.2: 3.0 (wt/wt/wt)の割合で混合した。それぞれの膜厚はITOが150 nm、PEDOT:PSSが40 nm、発光層が85 nm、フッ化セシウムが1 nm、アルミニウムが250 nmとなった。即ち、素子構造および発光層は以下のとおりである:
素子構造:ITO (陽極、150 nm)/PEDOT:PSS (40 nm)/発光層 (85 nm)/CsF (1 nm)/Al (陰極、250 nm)
発光層組成:SB-1 : FIrpic : OXD-7 = 8.5 : 1.2 : 3.0 (wt/wt/wt)
なお、青色リン光色素FIrpicの構造式を以下に示す:
Figure 2013155153
FIrpic
SB-1をホール輸送性ホスト材料として得られた素子(素子1)のEL特性を表5、図7(電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線)および図8(電界発光スペクトル、CIE色度:(0.19, 0.39))に示す。
SB-2をホール輸送性ホスト材料として得られた素子(素子2)のEL特性を表5、図9(電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線)および図10(電界発光スペクトル、CIE色度:(0.20, 0.43))に示す。
ここで、表5中には、以下で説明する実施例8〜10の結果も併せて示してある。
Figure 2013155153
実施例8
<緑色リン光色素にIr(mppy)3を用い、SB-1をホストとする緑色リン光OLED素子(素子3)の作製>
実施例7における青色リン光色素FIrpicに代えて、緑色リン光色素として下式:
Figure 2013155153
に示すIr(mppy)3錯体を用いる以外は、実施例7に準じて緑色リン光OLEDを作製した。素子構造および発光層は以下のとおりである:
素子構造:ITO (陽極、150 nm)/ PEDOT:PSS(40 nm)/ 発光層(60 nm)/ CsF (1 nm)/ Al(陰極、250 nm).
発光層組成:SB-1:Ir(mppy)3:PBD = 8.5:0.4:3.0 (wt/wt/wt)
得られた素子(素子3)のEL特性を表5、図11(電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線)および図12(電界発光スペクトル、CIE色度:(0.32, 0.61))に示す。
実施例9
<赤色リン光色素に下記のIr-1錯体を用い、SB-1をホストとする緑色リン光OLED素子(素子4)の作製>
実施例7における青色リン光色素FIrpicに代えて、赤色リン光色素として下式:
Figure 2013155153
に示すIr-1錯体を用いる以外は、実施例7に準じて赤色リン光OLED素子を作製した。素子構造および発光層は以下のとおりである:
素子構造:ITO (陽極、150 nm)/ PEDOT:PSS(40 nm)/ 発光層(60 nm)/ CsF (1 nm)/ Al(陰極、250 nm).
発光層組成:SB-1:Ir-1:PBD = 8.5:0.4:3.0 (wt/wt/wt)
得られた素子(素子4)のEL特性を表5、図13(電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線)および図14(電界発光スペクトル、CIE色度:(0.69, 0.31))に示す。
実施例10
<SB-1をホストとし、青色リン光色素Ir-103錯体および赤色リン光色素Ir-7錯体を発光ドーパントに用いた白色リン光OLED素子(素子5)の作製>
実施例7における青色リン光色素FIrpicに代えて、青色リン光色素として下式:
Figure 2013155153
に示すIr-103錯体、およびを赤色リン光色素として下式:
Figure 2013155153
に示すIr-7錯体を一緒に用いる以外は、実施例7に準じて白色リン光OLED素子(素子5)を作製した。素子構造および発光層は以下のとおりである:
素子構造:ITO (陽極、150 nm) / PEDOT:PSS (40 nm) / 発光層 (60 nm) / CsF (1 nm) / Al (陰極、250 nm)
発光層組成:SB-1 : Ir-103 : Ir-7 : OXD-7 = 8.5 : 1.2 : 0.024 : 3.0 (wt//wt/wt/wt)
得られた素子(素子5)のEL特性を表5、図15(電流(J)-印加電圧(V)-発光輝度(L)曲線)および図16(電界発光スペクトル、CIE色度:(0.40, 0.39))に示す。
表5から、本発明に係るホスト材料SB-1を用いた素子5が、白色発光(CIE色度:(0.40, 0.39))OLEDとして高い発光輝度を示すことが判る。
比較合成例1
<1,3,5-トリス(3-(3,6-ジ-n-ブチルカルバゾール-9-イル)フェニル)ベンゼン (SB-1-ref)の合成>
Figure 2013155153
3,6-ジ-n-ブチル-9H-カルバゾール (1-ref)は非特許文献(Noriaki Iguchi, Yong-Jin Pu, Ken-ichi Nakayama, Masaaki Yokoyama, and Junji Kido: Org. Electron., 2009, 10, 465-472)に従って、3,6-ジブロモ-9H-カルバゾールとn-ブチルボロン酸とのSuzuki-Miyauraクロスカップリングによって合成した。
次に、合成例2における3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール (1)に代えて、前記で得られた3,6-ジ-n-ブチル-9H-カルバゾール (1-ref)を用いる以外は、合成例2に準じて反応、後処理、精製および分析を行って、3,6-ジ-n-ブチル-9-(3-ヨードフェニル)-9H-カルバゾール (2-ref)を得た。
次に、合成例4における3,6-ジ-tert-ブチル-9-(3-ヨードフェニル)-9H-カルバゾール (2)に代えて、前記で得た3,6-ジ-n-ブチル-9-(3-ヨードフェニル)-9H-カルバゾール (2-ref)を用いる以外は、合成例2に準じて反応、後処理、精製および分析を行って、3,6-ジ-n-ブチル-9-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール (4-ref)を得た。
次に、実施例1における3,6-ジ-tert-ブチル-9-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール(4)に代えて、前記で得た3,6-ジ-n-ブチル-9-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル)-9H-カルバゾール (4-ref)を用いる以外は、実施例1に準じて反応、後処理、精製および分析を行って、1,3,5-トリス(3-(3,6-ジ-n-ブチルカルバゾール-9-イル)フェニル)ベンゼン (SB-1-ref)を得た。
比較実施例1
<青色リン光色素にFIrpicを用い、SB-1-refをホストとする青色リン光OLED(比較素子1)の作製>
比較合成例1で得たSB-1-refをホール輸送性ホスト材料とし、FIrpicを発光ドーパントとした青色リン光OLEDを、実施例7に準じて作製した。得られた素子(比較素子1)のEL特性を表6に示す。表6には、実施例7で得たSB-1をホストとする青色リン光OLED(素子1)のEL特性も併せて示す。
Figure 2013155153
比較ホスト材料であるSB-1-refを用いたOLEDは、最大輝度が僅かに32 cd m-2であり、本発明に係るSB-1をホスト材料に用いたOLEDの性能を大幅に下回った。
本発明によって得られる1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(「TCPB」)誘導体は、有機電界発光素子(OLED)用のホスト材料として優れた特性を持ち、例えば、熱的安定性、成膜特性、光学特性および電気化学特性に優れる。具体的には、青色リン光OLED用ホール輸送特性に優れ、高い発光輝度、高い電力効率および長い寿命を与えるホスト材料として用いることができる。更に、前記特性を利用して、二色系(補色系)白色発光OLEDまたは三色系(青色、緑色、赤色)白色発光OLEDの製造に利用することができる。

Claims (16)

  1. 一般式SB-00:
    Figure 2013155153
    [式中、R1およびR2はそれぞれ異なって、水素原子または式Cz-00:
    Figure 2013155153
    [式中、R3およびR4はそれぞれ独立に3-12個の炭素原子を有する2級アルキル基もしくは4-12個の炭素原子を有する3級アルキル基を表す。]で表される3,6-ジ置換カルバゾリル基を表す。]で表わされる1,3,5-トリス((N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(「TCPB」)誘導体。
  2. 一般式SB-00で表わされるTCPB誘導体が、式SB-01:
    Figure 2013155153
    [式中、R3およびR4は前記と同義である。]で表される1,3,5-トリス(3-(N-カルバゾリル)フェニル)ベンゼン(「3-N-TCPB」)誘導体である、請求項1に記載のTCPB誘導体。
  3. 一般式SB-00で表わされるTCPB誘導体が、式SB-02:
    Figure 2013155153
    [式中、R3およびR4は前記と同義である。]で表される1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(「4-N-TCPB」)誘導体である、請求項1に記載のTCPB誘導体。
  4. 式SB-01で表わされる3-N-TCPB誘導体が、式SB-1:
    Figure 2013155153
    で表される1,3,5-トリス[3-(3,6-ジ-tert-ブチル-N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼンである、請求項1または2に記載のTCPB誘導体。
  5. 式SB-02で表わされる(4-N-TCPB)が、式SB-2
    Figure 2013155153
    で表される1,3,5-トリス[4-(3,6-ジ-tert-ブチル-N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼンである、請求項1または3に記載のTCPB誘導体。
  6. 一対の電極、および該電極間に存在する少なくとも1つの有機層を有して成る有機電界発光素子であって、該有機層が請求項1〜5のいずれか1つに記載のTCPB誘導体を含んで成る有機電界発光素子。
  7. 有機層が、TCPB誘導体をホール移動材料として含んで成るホール移動層である、請求項6に記載の有機電界発光素子。
  8. 有機層が、TCPB誘導体をホスト材料とし発光色素をゲスト材料として含んで成る発光層である、請求項6に記載の有機電界発光素子。
  9. 発光色素が蛍光色素またはリン光色素である、請求項6または8に記載の有機電界発光素子。
  10. 発光色素が青色リン光色素である、請求項6、8および9のいずれか1つに記載の有機電界発光素子。
  11. 発光色素が下式:
    Figure 2013155153
    で表される青色リン光色素(FIrpic)である、請求項6および8〜10のいずれか1つに記載の有機電界発光素子。
  12. 発光色素が、青〜青緑色発光色素および橙〜赤色発光色素から成る補色系白色発光色素である、請求項6および8〜11のいずれか1つに記載の有機電界発光素子。
  13. 発光色素が、青色発光色素、緑色発光色素および赤色発光色素から成る三色系白色発光色素である、請求項6および8〜12のいずれか1つに記載の有機電界発光素子。
  14. 三色系白色発光色素を構成する赤色発光色素が、
    式(Ir−1):
    Figure 2013155153
    もしくは
    式(Ir−2):
    Figure 2013155153
    もしくは
    式(Ir−3):
    Figure 2013155153
    で表される赤色りん光色素である、請求項13に記載の有機電界発光素子。
  15. 一対の電極、ならびに該電極間に存在する少なくとも1つの有機層を有して成る有機電界発光素子の製造方法であって、請求項1〜5のいずれか1つに記載のTCPB誘導体を含有する溶液を用いた溶液塗布法によって該有機層を形成する、有機電界発光素子の製造方法。
  16. 請求項8〜14の少なくとも1つに記載の発光層を有して成る有機電界発光素子の製造方法であって、TCPB誘導体および発光色素を含有する溶液を用いた溶液塗布法によって該発光層を形成する、有機電界発光素子の製造方法。
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