JP2013152369A - 絞り装置およびカメラ - Google Patents

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直道 郡
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崇 戸丸
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Abstract

【課題】一対の絞り羽根を用いて絞り調整を行う絞り装置において、シェーディング等の特性向上を図る。
【解決手段】絞り基板2に移動可能に取り付けられ、互いに重なり合った状態で絞り開口を形成する一対の絞り羽根3,4と、絞り開口を塞ぐ位置に固定的に設けられ、絞り開口を通過する光をフィルタリングするフィルタ基板5と、を備える絞り装置である。フィルタ基板5は、赤外線をカットする赤外線カットフィルタ層41と、NDフィルタ層42と、を有する。また、NDフィルタ層42は、赤外線カットフィルタ層42内にこれと重なり合うように設けられるとともに、絞り開口と同心状に配置され、かつ絞り開口を全開状態としたときの開口寸法よりも小さく形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、一対の絞り羽根を有する絞り装置とこれを備えるカメラに関する。
一般に、被写体が明るい昼間の撮影などに用いられるカメラには、赤外線カットフィルタが組み込まれている。この種のカメラに赤外線カットフィルタを組み込む理由は、次のような事情による。すなわち、カメラの撮像素子として用いられるCCDイメージセンサ等は、可視光の波長領域(400〜700nm)だけではなく、赤外線領域にも感度をもっている。このため、カラー撮影等に際して、カメラに入射する光(以下、「入射光」ともいう)に含まれる赤外線をカットしないと、撮像素子によって得られる画像が、人間の見た目とは違うものになってしまう。これを避けるために、入射光を赤外線カットフィルタに通し、人間の見た目に近い画像を得ている。
また、監視カメラを含む各種のカメラには、入射光の光量(以下、「入射光量」ともいう)を調整する絞り装置が組み込まれている。絞り装置は、入射光の光路上に絞り開口を形成し、この絞り開口の大きさ(開度)を変えることによって入射光量を調整(適正化)するものである。絞り装置に関しては、一対の絞り羽根によって絞り開口を形成し、この絞り開口の大きさを、一対の絞り羽根の移動によって調整するものが知られている(たとえば、特許文献1を参照)。以下、具体的に説明する。
図13は従来の絞り装置の主要部を示す平面図である。図13においては、一対の絞り羽根202,203が互いに重なり合うことで、一つの絞り開口216が形成されている。この絞り開口216は、一方の絞り羽根202に設けられた孔部210と、他方の絞り羽根203に設けられた湾部211によって形成されている。各々の絞り羽根202,203は、図中矢印(実線矢印、破線矢印)で示す方向に移動可能に設けられている。また、絞り羽根202には小片のND(Neutral Density)フィルタ208が取り付けられ、絞り羽根203にも小片のNDフィルタ209が取り付けられている。NDフィルタ208,209は、それぞれ光を均一に減衰させるものである。NDフィルタ208は、絞り羽根202の孔部210の縁に接着剤を用いて取り付けられている。NDフィルタ209は、絞り羽根203の湾部211の縁に接着剤を用いて取り付けられている。
上記従来の絞り装置においては、一対の絞り羽根202,203が互いに逆方向に直線的に移動することにより、その移動方向および移動量に応じて、絞り開口216の大きさが変化する。具体的には、一対の絞り羽根202,203がそれぞれ図中の実線矢印で示す方向に移動すると、これにしたがって絞り開口216が大きくなる。また、一対の絞り羽根202,203がそれぞれ図中の破線矢印で示す方向に移動すると、これにしたがって絞り開口216が小さくなる。また、予め設定された移動範囲において、一対の絞り羽根202,203を一方の移動端まで移動させると絞り開口216が最大(全開状態)となり、他方の移動端まで移動させると絞り開口216が最小(閉じた状態またはそれに近い状態)となる。ここで、NDフィルタ208,209がないと仮定した場合は、絞り開口216を小さく絞っていったときに、絞り羽根202,203の移動量に対する、入射光量の変化の割合が大きくなる。これに対して、NDフィルタ208,209がある場合は、絞り開口216を小さく絞っていったときに、絞り羽根202,203の移動量に対する、入射光量の変化の割合が小さくなる。特に、NDフィルタ208,209がある場合は、絞り開口216を閉じる直前と閉じた直後の入射光量の変化が小さく抑えられる。このため、NDフィルタ208,209がある場合は、これがない場合に比べて、明るい被写体を撮影するときの入射光量を細かく調整することが可能となる。
特開2002−258346号公報
ところで、上述のNDフィルタ208,209に関しては、絞り開口216を小さく絞ったときに、NDフィルタ208,209を有効に機能させる必要がある。このため、一対の絞り羽根202,203にNDフィルタ208,209を取り付け、各々の絞り羽根202,203と一体にNDフィルタ208,209を移動させる構成を採用している。
しかしながら、上記従来の絞り装置では、以下のような不具合があった。
すなわち、一対の絞り羽根202,203の移動によって絞り開口216を徐々に小さくすると、その途中で一対のNDフィルタ208,209が重なり始める。そうした場合、絞り開口216を通過する光は、透過率が異なる3つの光に分類される。一つは、NDフィルタ208またはNDフィルタ209が単独で存在する領域を通過する光である。もう一つは、2つのNDフィルタ208,209が重なり合う領域を通過する光である。残りの一つは、NDフィルタ208,209がいずれも存在しない領域を通過する光である。これにより、絞り開口216を通過する光の量に部分的な差が生じる。
その結果、図示しない撮像素子で撮像される画像の中(一つの画面中)に、明るさが大きく異なる分布が現れる。したがって、シェーディング等の特性が悪化してしまう。また、絞り開口216を小さく絞って入射光量を微調整する場合に、絞り羽根202,203と一緒にNDフィルタ208,209の位置が微妙に変化する。このため、絞り開口216の調整を安定的に行うことが困難となり、ハンチング現象を招きやすくなる。
ちなみに、従来の絞り装置の中には、一対の絞り羽根のうち、一方の絞り羽根だけにNDフィルタを取り付けたタイプもある。ただし、そのようなタイプの絞り装置では、絞り開口の中心に対してNDフィルタの位置が一方に偏ることになる。このため、必然的にシェーディング等の不具合を起こしてしまう。
本発明の主な目的は、一対の絞り羽根を用いて絞り調整を行う絞り装置において、シェーディング等の特性向上を図ることができる技術を提供することにある。
本発明の第1の態様は、
絞り基板と、
前記絞り基板に移動可能に取り付けられるとともに、互いに重なり合った状態で絞り開口を形成する一対の絞り羽根と、
前記絞り開口を塞ぐ位置に固定的に設けられるとともに、前記絞り開口を通過する光をフィルタリングするフィルタ基板と、
を備え、
前記フィルタ基板は、赤外線をカットする赤外線カットフィルタ領域と、前記赤外線カットフィルタ領域を通過し得る光を減衰させる光減衰領域と、を有し、
前記光減衰領域は、前記赤外線カットフィルタ領域内に当該赤外線カットフィルタ領域と重なり合うように設けられるとともに、前記絞り開口と同心状に配置され、かつ前記絞り開口を全開状態としたときの開口寸法よりも小さく形成されている
ことを特徴とする絞り装置である。
本発明の第2の態様は、
前記フィルタ基板は、前記絞り基板に固定されている
ことを特徴とする上記第1の態様に記載の絞り装置である。
本発明の第3の態様は、
前記一対の絞り羽根を覆う状態で前記絞り基板に取り付けられる羽根カバーをさらに備え、
前記フィルタ基板は、前記羽根カバーに固定されている
ことを特徴とする上記第1の態様に記載の絞り装置である。
本発明の第4の態様は、
前記赤外線カットフィルタ領域は、前記絞り開口を全開状態としたときの開口寸法よりも大きく形成されている
ことを特徴とする上記第1〜第3の態様のいずれか一つに記載の絞り装置である。
本発明の第5の態様は、
前記絞り開口の開口形状は、当該絞り開口を小絞りの状態としたときに多角形又は楕円形となり、
前記光減衰領域は、前記多角形又は楕円形に外接する円の直径以下の円形に形成されている
ことを特徴とする上記第1〜第4の態様のいずれか一つに記載の絞り装置である。
本発明の第6の態様は、
前記絞り開口の開口形状は、当該絞り開口を小絞りの状態としたときに四角形となり、
前記光減衰領域は、前記小絞りの状態としたときの前記絞り開口の開口形状と相似形に形成されている
ことを特徴とする上記第1〜第4の態様のいずれか一つに記載の絞り装置である。
本発明の第7の態様は、
上記第1〜第6の態様のいずれか一つに記載の絞り装置と、
前記絞り開口を通して入射する光を電気信号に変換する光電変換素子と、
を備えることを特徴とするカメラである。
本発明によれば、一対の絞り羽根を用いて絞り調整を行う絞り装置において、シェーディング等の特性向上を図ることができる。
本発明が適用されるカメラの構成例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る絞り装置を上側から見たときの分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る絞り装置を下側から見たときの分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る絞り装置の組み立て後の動作状態の一例を示す斜視図である。 フィルタ基板の構成を示す図である。 一対の絞り羽根が形成する絞り開口とフィルタ基板の位置関係を示す図である。 本発明の第1の実施の形態におけるフィルタ基板の取付構造を説明する図である。 本発明の第2の実施の形態に係る絞り装置を上側から見たときの分解斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る絞り装置を下側から見たときの分解斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る絞り装置の動作状態の一例を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態におけるフィルタ基板の取付構造を説明する図である。 本発明の第3の実施の形態に係る絞り装置の主要部の構成を示す斜視図である。 従来の絞り装置の主要部を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施の形態においては、次の順序で説明を行う。
1.カメラの構成
2.第1の実施の形態
3.第2の実施の形態
4.第3の実施の形態
5.変形例等
<1.カメラの構成>
図1は本発明が適用されるカメラの構成例を示すもので、(A)はカメラ全体の外観図、(B)は鏡筒内部の概略図である。図示したカメラ100は、たとえば、防犯目的に建物の天井部分(又は壁など)に設置される監視カメラ、あるいは他の撮影用途で使用されるカメラである。このカメラ100は、取り付け台座101と、カメラ本体102とを備えている。取り付け台座101は、たとえば、ねじ止めによって建物の天井部分に固定する構造になっている。
カメラ本体102は、鏡筒部103と、対物レンズ104とを備えている。鏡筒部103の内部には、対物レンズ104を含む光学系が組み込まれている。対物レンズ104は、鏡筒部103の先端に取り付けられている。また、カメラ本体102には、光学系の一機能部として、絞り装置1と撮像素子105とが組み込まれている。絞り装置1については、後段で詳しく説明する。
撮像素子105は、カラー撮影が可能な撮像素子であって、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子などで構成される。撮像素子105は、たとえば、複数(多数)の画素を行列状に配置してなる撮像面を有する。撮像素子105は、絞り装置1の絞り開口を通して撮像面に入射する光を電気信号に変換する光電変換素子の一例として組み込まれている。
なお、本発明は、ここで例示したカメラ100に限らず、絞り装置1を備える他の構成のカメラにも適用可能である。また、光学系の構成としても、レンズの種類・枚数・配置や、絞り装置1の配置等、種々の変更が可能である。
また、本発明に係る絞り装置は、赤外線を利用した夜間等の撮影や、昼夜兼用の撮影用途ではなく、主に昼間の時間帯など比較的明るい環境(照明等で明るくした場合も含む)での撮影に適した、いわゆるデイ仕様のカメラに用いられるものである。
<2.第1の実施の形態>
図2は本発明の第1の実施の形態に係る絞り装置を上側から見たときの分解斜視図であり、図3は当該絞り装置を下側から見たときの分解斜視図である。図示した絞り装置1は、大きくは、絞り基板2と、一対(2つ)の絞り羽根3,4と、フィルタ基板5と、羽根カバー6と、絞り駆動ユニット7と、を備えた構成となっている。なお、以降の説明においては、絞り基板2の厚み方向において、絞り駆動ユニット7が取り付けられる側を「上側」とし、一対の絞り羽根3,4が取り付けられる側を「下側」とする。この上側および下側の概念は、絞り基板2以外の構成要素についても同様とする。
(絞り基板)
絞り基板2は、絞り装置1を構成する各々の構成部材を実装するためのベースとなるものである。絞り基板2は、たとえば、樹脂を用いて構成されるもので、全体的に平面視略長方形に形成されている。絞り基板2には、開口部10と、複数の突起部11a,11b,11c,11dと、左右一対の固定用部12と、駆動ユニット取付部13と、が形成されている。開口部10は、真円またはそれに近い円形状に形成されている。複数の突起部11a,11b,11c,11dは、一対の絞り羽根3,4の移動を案内するためのものである。なお、図3においては、各々の突起部11a,11b,11c,11dを円柱状に表記しているが、実際には各々の突起部11a,11b,11c,11dの先端がL字形に曲げられている。このように各突起部11a,11b,11c,11dの先端を曲げる理由は、これに嵌合される絞り羽根3,4の脱落を防止するためである。固定用部12は、上述したカメラ100の鏡筒部103に光軸と直交する方向から絞り装置1を差し込んで取り付ける場合に、絞り装置1をネジ等で固定するために用いられる部分である。駆動ユニット取付部13は、絞り駆動ユニット7を取り付けるための部分である。駆動ユニット取付部13は全体に凹形状に形成されている。駆動ユニット取付部13の底部には、後述する絞り駆動ユニット7の駆動ピン34a,34bを絞り基板2の下面側に通すための逃げ孔14が形成されている。
(絞り羽根)
一対の絞り羽根3,4は、互いに重なり合った状態で絞り開口を形成するものである。絞り開口は、カメラに入射する光の光路上に配置され、そこを通過する光の量を制限する。すなわち、絞り開口の大きさが大きくなると、そこを通過する光の量が相対的に増大し、絞り開口の大きさが小さくなると、そこを通過する光の量が相対的に減少する。一対の絞り羽根3,4は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる板状素材の表面をカーボンの膜で被覆したものを用いて構成されている。各々の絞り羽根3,4は、全体的に薄板状に形成されている。
一方の絞り羽根3には、1つの孔部15と、3つの案内溝16a,16b,16cと、1つの係合孔17とが設けられている。孔部15は、真円またはそれに近い円形状の一部を略V字形に拡大させた形態の平面形状を有している。3つの案内溝16a,16b,16cは、絞り羽根3の長手方向に沿って互いに平行に形成されている。3つの案内溝16a,16b,16cのうち、2つの案内溝16b,16cは同一直線上に形成されている。そして、これら2つの案内溝16b,16cに対して、孔部15を挟んだ反対側に、残り1つの案内溝16aが形成されている。係合孔17は、上記2つの案内溝16b,16cの延長線上に形成されている。また、係合孔17は、絞り羽根3の短手方向に沿って平面視長孔状に形成されている。
これに対して、他方の絞り羽根4には、1つの湾部18と、3つの案内溝19a,19b,19cと、1つの係合孔20とが設けられている。湾部18は、半円形(または楕円形)の一部を略V字形に拡大させた平面形状に切り欠かれている。3つの案内溝19a,19b,19cは、絞り羽根4の長手方向に沿って互いに平行に形成されている。3つの案内溝19a,19b,19cのうち、2つの案内溝19a,19bは同一直線上に形成されている。そして、これら2つの案内溝19a,19bに対して、湾部18を挟んだ反対側に、残り1つの案内溝19cが形成されている。係合孔20は、上記2つの案内溝19a,19bの延長線上に形成されている。また、係合孔20は、絞り羽根4の短手方向に沿って平面視長孔状に形成されている。
(フィルタ基板)
フィルタ基板5は、入射光に対して光学的なフィルタ機能を有するものである。フィルタ基板5は、一対の絞り羽根3,4が形成する絞り開口を塞ぐ位置に固定的に設けられるものである。ここで記述する「絞り開口を塞ぐ位置に固定的に設ける」とは、「絞り開口を塞ぐ位置から動かないように設ける」という意味である。本実施の形態においては、フィルタ基板5が、絞り基板2の開口部10を塞ぐように、絞り基板2に取り付けられている。フィルタ基板5は、絞り基板2の下面側(絞り羽根3,4に面する側)に取り付けられている。フィルタ基板5は、たとえば、光透過性を有する円形のガラス基板を用いて構成されている。フィルタ基板5の表面および裏面をそれぞれフィルタ基板5の主面と定義すると、フィルタ基板5の少なくとも一方の主面には、光をフィルタリングするフィルタ層が形成されている。このフィルタ層を備えるフィルタ基板5の構成および取付構造の詳細については後段で説明する。
(羽根カバー)
羽根カバー6は、一対の絞り羽根3,4を覆う状態で絞り基板2に取り付けられることにより、一対の絞り羽根3,4を外部から遮蔽して保護するものである。羽根カバー6は、たとえば、アルミニウムなどの金属を用いて板状に形成されている。羽根カバー6は、前述した絞り基板2と同様に平面視略長方形に形成されている。羽根カバー6には、1つの開口部30と、2つの逃げ溝部31a,31bとが設けられている。開口部30は、真円またはそれに近い円形状に形成されている。開口部30は、一対の絞り羽根3,4が形成する絞り開口に重なるように配置される。逃げ溝部31a,31bは、羽根カバー6の短手方向の一方と他方に対をなして形成されている。各々の逃げ溝部31a,31bは、羽根カバー6を厚み方向に貫通する状態で、平面視略弧状に形成されている。さらに、羽根カバー6には、一対の孔部36a,36bと一対の切り欠き部37a,37bとが形成されている。
(絞り駆動部)
絞り駆動ユニット7は、絞り開口の大きさを調整するために一対の絞り羽根3,4を相対的に移動させるものである。絞り駆動ユニット7は、駆動源となるモータの駆動力を、図示しない駆動力伝達機構(歯車機構等)を介して一対の絞り羽根3,4に伝達することにより、一対の絞り羽根3,4を相対的に移動させる。絞り駆動ユニット7は、絞り基板2の駆動ユニット取付部13に取り付けられる。絞り駆動ユニット7は、一対の駆動ピン34a,34bを有している。一対の駆動ピン34a,34bは、同一円周上に約180°位置をずらして配置されている。一対の駆動ピン34a,34bは、上記駆動源の駆動によって同一円周上を同一方向に同量ずつ移動するようになっている。そして、絞り駆動ユニット7と一対の絞り羽根3,4とは、一方の駆動ピン34aを絞り羽根4の係合孔20に、他方の駆動ピン34bを絞り羽根3の係合孔17に、それぞれ係合することにより、相互に連結されるようになっている。
(絞り装置の組み立て)
次に、前述した各々の構成要素を用いて絞り装置1を組み立てる場合の手順について説明する。ここでは一例として、一対の絞り羽根3,4と羽根カバー6を絞り基板2に取り付ける前に、絞り駆動ユニット7が絞り基板2に実装されているものとする。
まず、絞り基板2にフィルタ基板5を取り付ける。フィルタ基板5の取り付けに関しては、後段で詳しく説明する。
次に、絞り基板2に絞り羽根3を取り付ける。その際、絞り羽根3の案内溝16a,16b,16cを、絞り基板2の突起部11a,11c,11dにそれぞれ嵌め入れる。また、絞り羽根3の係合孔17を絞り駆動ユニット7の一方の駆動ピン34bに嵌め入れる。
次に、絞り基板2に絞り羽根4を取り付ける。その際、絞り羽根4の案内溝19a,19b,19cを、絞り基板2の突起部11a,11b,11cにそれぞれ嵌め入れる。また、絞り羽根4の係合孔20を絞り駆動ユニット7の他方の駆動ピン34aに嵌め入れる。
次に、絞り基板2に羽根カバー6を取り付ける。絞り基板2に対する羽根カバー6の固定は、たとえば、嵌合等で行う。絞り基板2に羽根カバー6を取り付ける場合、両者の位置的な干渉は次のように回避される。すなわち、絞り羽根3の係合孔17を通して突出する絞り駆動ユニット7の一方の駆動ピン34bと羽根カバー6との位置的な干渉は、逃げ溝部31bに駆動ピン34bを通すことによって回避される。同様に、絞り羽根4の係合孔20を通して突出する絞り駆動ユニット7の他方の駆動ピン34aと羽根カバー6との位置的な干渉は、逃げ溝部31aに駆動ピン34aを通すことによって回避される。また、絞り基板2の突起部11a,11cと羽根カバー6との位置的な干渉は、一対の孔部36a,36bに突起部11a,11cを通すことによって回避される。同様に、絞り基板2の突起部11b,11dと羽根カバー6との位置的な干渉は、一対の切り欠き部37a,37bに突起部11b,11dを通すことによって回避される。
以上の手順により、絞り装置1が組み立てられる。図4(A),(B)はこの絞り装置の組み立て後の動作状態の一例を示している。このように組み立てられた絞り装置1においては、一対の絞り羽根3,4が絞り基板2の下面側で4つの突起部11a,11b,11c,11dにより移動(スライド)自在に支持される。また、絞り基板2の開口部10と羽根カバー6の開口部30とが、絞り基板2の厚み方向で対向する状態(重なり合う状態)に配置され、さらにその対向部分に絞り羽根3の孔部15と絞り羽根4の湾部18とが重なり合う状態に配置される。
絞り羽根3の孔部15の大きさを規定する略円形状の直径と、絞り羽根4の湾部18の大きさを規定する半円部分の直径とは、ほぼ同一の寸法に設定されている。そして、2枚の絞り羽根3,4を互いに重ね合わせた状態では、絞り羽根3の孔部15と絞り羽根4の湾部18とが重なり合う部分に絞り開口が形成されるようになっている。したがって、一対の絞り羽根3,4によって形成される絞り開口は、絞り基板2の開口部10と羽根カバー6の開口部30とが対向する領域内で、拡大または縮小することになる。ただし、絞り羽根3,4の位置によっては、絞り開口が完全に閉じられる場合もある。
なお、ここでは絞り羽根3の孔部15と絞り羽根4の湾部18とを組み合わせて絞り開口を形成する構成を採用しているが、これに限らず、たとえば、孔部同士を組み合わせたり、湾部同士を組み合わせたりして、絞り開口を形成する構成であってもよい。
(フィルタ基板の構成)
ここで、フィルタ基板5の構成について詳しく説明する。
図5はフィルタ基板の構成を示すもので、図中(A)は平面図、(B)は断面図である。フィルタ基板5は、たとえば、ガラス基板40をベースに構成されている。ガラス基板40には、一例として、紫外線カットガラスが用いられている。フィルタ基板5の一方の主面には、赤外線カットフィルタ層41とND(Neutral Density)フィルタ層42が形成されている。赤外線カットフィルタ層41は、赤外線をカットするフィルタ層である。赤外線カットフィルタ層41は、ガラス基板40の一方の主面上に、当該主面の全面を覆うように、当該主面の全領域にわたって形成されている。また、赤外線カットフィルタ層41は、一様な厚みでガラス基板40上に形成されている。フィルタ基板5においては、赤外線カットフィルタ層41が形成された領域が「赤外線カットフィルタ領域」となっており、NDフィルタ層42が形成された領域が「NDフィルタ領域」となっている。ガラス基板40は、前述のとおり紫外線カットガラスで形成されている。このため、フィルタ基板5の全領域が紫外線をカットする領域にもなっている。このことから、ガラス基板40の赤外線カットフィルタ層41が形成された領域は、赤外線および紫外線を除去し、可視光を通過させる領域(以下、「可視光通過領域」とも記す)となっている。ただし、可視光通過領域は、厳密に可視光のみを通過させる領域でなくてもよい。具体的には、可視光通過領域を通過する光の中に、撮像画像に悪影響を及ぼさない範囲内で、紫外線領域に属する一部の光や、赤外線領域に属する一部の光が含まれていてもよい。
これに対して、NDフィルタ層42は、このNDフィルタ層42に入射する光を減衰させるフィルタ層である。NDフィルタ層42は、赤外線カットフィルタ層41が形成されている領域に比較して、波長依存性の低いフィルタ層である。したがって、フィルタ基板5においては、NDフィルタ層42が形成された領域が、絞り開口を通過する光のうち、少なくとも可視光通過領域を通過し得る光を減衰させる領域、すなわち光減衰領域に相当する。たとえば、可視光通過領域を通過し得る光が可視光のみであれば、この可視光を減衰させる領域が光減衰領域となる。その場合、NDフィルタ層42における可視光の透過率は、カメラに組み込む撮像素子の特性にもよるが、たとえば6%程度とするのが好ましい。ただし、NDフィルタ層42は、紫外線領域、可視光領域および赤外線領域の各領域の光をほぼ均一な透過率で減衰する特性を有する。このため、NDフィルタ層42で減衰可能な光は、可視光に限定されるものではない。
フィルタ基板5の主面内において、NDフィルタ層42が形成されている領域の大きさ(本例では直径)は、一対の絞り羽根3,4が形成する絞り開口の開口寸法との関係では、次のような関係に設定されている。すなわち、一対の絞り羽根3,4が形成する絞り開口を全開状態(最大の開口度)としたときの開口寸法に比較して、それよりも小さい寸法(直径)でNDフィルタ層42が形成されている。具体的には、全開状態とした絞り開口の開口領域内に、NDフィルタ層42の形成領域の全部が収まるように、両者の寸法関係が設定されている。つまり、絞り調整の大径側の開口範囲が、NDフィルタ層42の形成領域よりも大きい範囲まで確保されている。
また、可視光通過領域と光減衰領域の相対的な面積比としては、絞り開口を全開状態としたときに有効に機能する可視光通過領域の面積を100%とした場合に、これに対する光減衰領域の面積の比率が、たとえば4〜33%となるように設定することが望ましい。このように光減衰領域の面積比を広範に規定する理由は、絞り開口が全開状態のときの可視光通過領域の面積に対して、適切とされる光減衰領域の面積比が当該全開時の絞り開口径によって変わるためである。具体的には、全開時の絞り開口径が大きいほど、適切とされる光減衰領域の面積比が小さくなり、反対に、全開時の絞り開口径が小さいほど、適切とされる光減衰領域の面積比が大きくなる。
NDフィルタ層42は、ガラス基板40の一方の主面側に、赤外線カットフィルタ層41の上に積層する状態で形成されている。また、NDフィルタ層42は、一様な厚みで赤外線カットフィルタ層41上に形成されている。NDフィルタ層42は、フィルタ基板5を平面的に見たときに、赤外線カットフィルタ層41が形成されている領域に対して、その中央部に円形に形成されている。つまり、フィルタ基板5は、目玉型のフィルタ構造になっている。具体的には、赤外線カットフィルタ層41が形成されている領域を白目の部分とし、それよりも内側のNDフィルタ層42が形成されている領域を黒目の部分とした目玉型の構造になっている。
NDフィルタ層42は、図から明らかなように、赤外線カットフィルタ層41が形成されている領域よりも小さい領域をもってフィルタ基板5の中心部に形成されている。また、前述したように赤外線カットフィルタ層41が形成されている領域は可視光通過領域に該当する。このため、NDフィルタ層42は可視光通過領域内に当該可視光通過領域と重なり合うように形成されている。ただし、赤外線カットフィルタ層41とNDフィルタ層42とは、ガラス基板40の厚み方向で直接、接触する状態で重なり合う必要はない。
NDフィルタ層42の外形寸法(図例の場合は直径)は、図6に示すように、一対の絞り羽根3,4が形成する絞り開口43が小絞りの状態になったときの開口寸法に対応して設定されている。本明細書において、「小絞り」の状態とは、絞り開口43を全開させたときの開口面積に対して、実際の絞り開口43の開口面積が全開時の1/3以下となった状態(ただし、全閉状態を含まず)をいう。小絞りの状態においては、絞り羽根3の孔部15の一部にV字形に形成された切り欠き部分と、絞り羽根4の湾部18の一部にV字形に形成された切り欠き部分とによって、絞り開口43の開口形状が四角形(菱形)になる。
ガラス基板40に赤外線カットフィルタ層41やNDフィルタ層42を形成する場合の具体的な製造手法に関しては、たとえば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法などの周知の成膜方法を採用すればよい。また、ガラス基板40に赤外線カットフィルタ層41を形成した後に、NDフィルタ層42を形成する場合は、NDフィルタ層42の形成領域を制限する必要がある。その場合は、赤外線カットフィルタ層41を形成済みのガラス基板40に対して、NDフィルタ層42を形成したい部分だけを開口するようにマスク処理した状態で、NDフィルタ層42を形成すればよい。
(フィルタ基板の取付構造)
次に、フィルタ基板5の取付構造について、図7(A),(B)を用いて説明する。
まず、絞り基板2の下面側にはフィルタ取付部51が一体に形成されている。フィルタ取付部51は、絞り基板2の開口部10を囲むように、平面視リング形状に形成されている。また、フィルタ取付部51は、開口部10と同心円状に形成されている。フィルタ取付部51は、絞り基板2にフィルタ基板5を取り付ける場合に、フィルタ基板5の外周部分を受ける部分である。フィルタ取付部51は、絞り基板2の厚み方向にへこむ状態で形成されている。フィルタ取付部51のへこみ寸法は、このフィルタ取付部51にフィルタ基板5を取り付けたときに、フィルタ基板5がフィルタ取付部51から出っ張らない程度の寸法に設定されている。具体的には、フィルタ取付部51のへこみ寸法を、フィルタ基板5の厚み寸法と同等またはそれよりも若干大きい寸法に設定してある。このようにフィルタ取付部51のへこみ寸法を設定する理由は、フィルタ基板5と絞り羽根3との干渉(接触)を避けるのに有効だからである。
また、フィルタ取付部51は、絞り基板2にフィルタ基板5を取り付ける場合に、フィルタ基板5を位置決めする機能を有する。フィルタ取付部51の外周径は、この位置決め機能を発揮させるために、フィルタ基板5の外径よりも僅かに大きく設定されている。つまり、フィルタ取付部51にフィルタ基板5がぴったりと収まるようになっている。
フィルタ取付部51の周囲には複数(図例では4つ)の耳部52が形成されている。耳部52は、絞り基板2のフィルタ取付部51にフィルタ基板5を接着剤53で固定する場合に、接着剤53を供給(塗布)する部分として形成されている。
耳部52は、平面視略円形に形成されている。耳部52は、絞り基板2の下面側において、フィルタ取付部51と同様に凹状にへこんだ状態で形成されている。耳部52とフィルタ取付部51とは部分的につながっている。また、各耳部52の底面とフィルタ取付部51の底面とは、互いに同一平面をなしている。ただし、これに限らず、耳部52に塗布した接着剤が重力の作用で自然にフィルタ取付部51側に流れ込むように、耳部52が形成されている領域内において、フィルタ取付部51に近い側が遠い側よりも低位となるように傾斜させて、耳部52の底面を形成してもよい。耳部52は、フィルタ取付部51の外周上の4箇所に分けて形成されている。ただし、一つのフィルタ取付部51に対して形成する耳部52の位置、個数等は適宜変更することが可能である。
(フィルタ基板の取付手順)
次に、上記のフィルタ取付部51および耳部52を有する絞り基板2にフィルタ基板5を取り付ける場合の手順を説明する。
まず、上記図7(A)に示すように、絞り基板2の下面側を上向きにした状態で、フィルタ取付部51にフィルタ基板5を載せる。このとき、開口部10の開口径よりも外周側において、フィルタ基板5およびフィルタ取付部51の面同士が、接触または近接した状態に配置される。フィルタ基板5の表裏の向きに関しては、フィルタ基板5に形成されているNDフィルタ層42が、絞り装置1に対する光の入射側および出射側のうちのいずれか一方を向いて配置される。
また、絞り基板2にフィルタ基板5を取り付ける場合は、フィルタ取付部51にフィルタ基板5を嵌め入れることによって、絞り基板2に対するフィルタ基板5の位置決めがなされる。具体的には、絞り基板2の開口部10を塞ぐかたちで、フィルタ基板5が開口部10と同心状に配置される。これにより、絞り基板2の開口部10の中心と、フィルタ基板5の中心とが、ほぼ一致した状態に配置される。また、フィルタ基板5を取り付けた後に、一対の絞り羽根3,4を絞り基板2に取り付けた場合は、これらの絞り羽根3,4が形成する絞り開口43の中心と、フィルタ基板5の中心とが、ほぼ一致した状態に配置される。
次に、上記図7(B)に示すように、各々の耳部52の形成部位を対象に適量の接着剤53を塗布する。接着剤53としては、たとえば、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂などを用いることができる。接着剤53の塗布は、たとえば、各々の耳部52に図示しないディスペンサ等を用いて行う。また、接着剤53を塗布する際は、耳部52に供給した接着剤53がフィルタ基板5の端面に接触するように塗布する。これにより、フィルタ基板5が接着剤53によって絞り基板2に固定される。このとき、低粘度の接着剤53を使用すると、耳部52に供給した接着剤53が、フィルタ基板5とフィルタ取付部51の界面(微小な隙間)に毛細管現象等によって引き込まれる。このため、フィルタ基板5やフィルタ取付部51に直接、接着剤53を塗布しなくても、両者の界面に接着剤53を介在させることができる。また、耳部52に供給した接着剤53が広がる領域は、耳部52の外周部分の段差によって制限される。このため、粘性の低い接着剤53を用いた場合でも、不要な部分への接着剤53の広がりが抑制される。
また、前述したように、一対の絞り羽根3,4が形成する絞り開口43の中心に対して、フィルタ基板5の中心が位置合わせされるため、フィルタ基板5の面内においては、NDフィルタ層42が形成された領域(光減衰領域)が絞り開口43と同心状に配置される。したがって、絞り開口43を小絞りの状態にすると、絞り開口43の開口面積に占めるNDフィルタ層42の面接比率が非常に高くなる。特に、明るい環境(晴天下の屋外など)で撮影する場合は、絞り開口43が小さく絞られるため、絞り開口43の全領域を塞ぐようにNDフィルタ層42が配置される。
(絞り装置の動作)
続いて、本発明の実施の形態に係る絞り装置1の動作について説明する。
まず、絞り装置1の動作原理について説明する。
一対の絞り羽根3,4によって形成される絞り開口43を調整する場合は、絞り駆動ユニット7を駆動する。そうすると、絞り駆動ユニット7の駆動力を受けて一対の絞り羽根3,4が互いに逆方向に直線的に移動する。そうすると、一対の絞り羽根3,4の移動方向および移動量に応じて、絞り開口43の大きさが変化する。具体的には、上記図6において、一対の絞り羽根3,4がそれぞれ図中の実線矢印で示す方向に移動すると、これにしたがって絞り開口43が大きくなる。また、一対の絞り羽根3,4がそれぞれ図中の破線矢印で示す方向に移動すると、これにしたがって絞り開口43が小さくなる。また、予め設定された移動範囲において、一対の絞り羽根3,4を一方の移動端まで移動させると絞り開口43が最大(全開状態)となり、他方の移動端まで移動させると絞り開口43が最小(閉じた状態またはそれに近い状態)となる。ここで、NDフィルタ層42がない場合は、絞り開口43を小さく絞っていったときに、絞り羽根3,4の移動量に対する、入射光量の変化の割合が大きくなる。これに対して、NDフィルタ層42がある場合は、絞り開口43を小さく絞っていったときに、絞り羽根3,4の移動量に対する、入射光量の変化の割合が小さくなる。特に、NDフィルタ層42がある場合は、絞り開口43を閉じる直前と閉じた直後の入射光量の変化が小さく抑えられる。このため、NDフィルタ層42がある場合は、これがない場合に比べて、明るい被写体を撮影するときの入射光量を細かく調整することが可能となる。
また、たとえば、昼間等の明るい環境でカラー撮影を行う場合は、撮像素子の画素の信号が飽和しないように、絞り開口43を小さく絞った小絞りの状態で、絞り装置1による光量調整が行われる。このため、絞り開口43の全部または大半(おおむね80%以上、100%未満)の部分が、赤外線カットフィルタ層41およびNDフィルタ層42からなる2層のフィルタ機能層で塞がれた状態となる。この状態で撮影した場合は、入射光の全部または大半が、赤外線カットフィルタ層41およびNDフィルタ層42を介して撮像素子に到達する。したがって、従来のように一対の絞り羽根にそれぞれNDフィルタを取り付けた構造を採用しなくても、小絞りの状態において、赤外線カットフィルタ層41およびNDフィルタ層42によるフィルタ機能が共に働く。このため、撮影環境が明るい場合に、画素信号の飽和を抑制し、かつ入射光量を細かく調整しつつ、被写体を撮影することができる。
一方、昼間等の時間帯であっても、たとえば、天候が悪い場合、あるいはカメラの設置場所などの関係で、薄暗い環境で撮影することも考えられる。そうした場合は、必要な光量を確保するために、絞り開口43を小絞りの状態よりも大きく開口させた状態で、絞り装置1による光量調整が行われる。その場合、絞り駆動ユニット7の駆動によってNDフィルタ層42の形成領域よりも絞り開口43を大きく開口させると、絞り開口43の開口領域の一部(中央部)にNDフィルタ層42が存在することになる。この状態で撮影すると、絞り開口43の中心側を通る入射光は、赤外線カットフィルタ層41およびNDフィルタ層42を介して撮像素子に到達するが、絞り開口43の外周側を通る入射光は、赤外線カットフィルタ層41だけを介して撮像素子に到達する。このため、薄暗い環境であっても、撮影に必要な光量を確保することができる。また、赤外線カットフィルタ層41は、フィルタ基板5の片側全面に形成されているため、たとえ絞り開口43を全開状態まで開放しても、常に赤外線カットフィルタ層41が絞り開口43を塞ぐように配置される。このため、光量確保等のために絞り開口43を大きくしても、赤外光の入射に起因した画像の色ズレや色かぶりなどの不具合が発生しない。したがって、撮影環境が薄暗い場合に、色ズレの発生を回避し、かつ必要な光量を確保しつつ、被写体を撮影することができる。
(効果)
本発明の第1の実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
(1)撮影時の特性劣化が低減
従来のように絞り羽根にNDフィルタを取り付けた場合に生じるシェーディング等の特性劣化を低減することができる。以下、理由を記述する。
まず、従来においては、上記図13の状態から絞り開口216をさらに小さく絞ったときに、各々の絞り羽根202,203に取り付けられたNDフィルタ208,209同士が、絞り開口216の開口領域内で部分的に重なり合う状態になる。この状態では、絞り開口216の開口領域内に、光の透過率が異なる3つの領域が存在する。第1の領域は、NDフィルタ208またはNDフィルタ209が単独で存在する領域である。第2の領域は、2つのNDフィルタ208,209が重なり合う領域である。第3の領域は、NDフィルタ208,209がいずれも存在しない領域である。このうち、第1の領域を通過する光を「第1の光」、第2の領域を通過する光を「第2の光」、第3の領域を通過する光を「第3の光」とする。
そうした場合、絞り開口216を塞いでいるフィルタ部分を透過する光の透過量に関して、たとえば、各NDフィルタ208,209の透過率が仮に10%であるとすると、絞り開口216を通過する上記第1〜第3の光の透過量は、次のような関係になる。すなわち、第1の光と第3の光を対比すると、第1の光の透過量は、第3の光の透過量の1/10程度となる。また、第2の光と第3の光を対比すると、第2の光の透過量は、第3の光の透過量の1/100程度となる。このため、撮像素子で撮像される画像中の明暗差が顕著になり、シェーディング等の特性が悪化する。
また、上述のように絞り開口216を小さく絞って撮影(絞り調整)する場合は、絞り開口216の開口領域内に、透過率が最も高い第3の領域が、絞り開口216の中心から一方と他方に分かれて存在し、それらの間に、透過率が最も低い第2の領域が介在することがある。このため、絞り開口216を通過する光の強度分布のばらつきが大きくなり、これによって画質に悪影響を与えるおそれがある。
一方、本発明の第1の実施の形態に係る絞り装置1においては、絞り羽根3,4とは別個独立の部材であるフィルタ基板5にNDフィルタ層42を形成し、フィルタ基板5を絞り基板2に固定的に取り付けることで、NDフィルタ層42を絞り開口43の中央に配置した構成を採用している。このため、絞り開口43を小絞りの状態とした場合に、絞り開口43を通過する光は、次のようになる。すなわち、絞り開口43をNDフィルタ層42の形成領域よりも小さく絞った場合は、絞り開口43を通過するすべての光が、赤外線カットフィルタ層41とNDフィルタ層42でフィルタリングされる。また、絞り開口43の大半がNDフィルタ層42で塞がれる程度に絞り開口43を絞った場合は、絞り開口43を通過する大半の光が、赤外線カットフィルタ層41とNDフィルタ層42でフィルタリングされ、残りの光は、赤外線カットフィルタ層41でフィルタリングされる。このため、各NDフィルタ208,209とNDフィルタ層42の透過率が互いに等しいと仮定して、上記従来の構成と比較すると、小絞りのときに絞り開口43を通過する光の透過率差(最大透過率−最小透過率)は、本実施の形態のほうが小さくなる。その理由は、絞り開口43を通過する光が、NDフィルタ層42でフィルタリングされた光と、それ以外の光に分けられ、NDフィルタで二重にフィルタリングされる光(上記の「第1の光」)が存在しないためである。したがって、従来の構成に比較すると、本実施の形態の構成を採用したほうが、撮像素子で撮像される画像中の明暗差が小さくなる。
また、絞り装置1の構成として、NDフィルタ層42を絞り開口43と同心状に配置しているため、絞り開口43を小絞りにして撮影する場合に、NDフィルタ層42が有効に機能するだけでなく、絞り開口43全体がNDフィルタ層42で塞がれた状態となる。したがって、小絞りの状態であっても、画像全体が均一の明るさになる。さらに、一対の絞り羽根3,4の相対移動によって絞り開口43の大きさが変わっても、NDフィルタ層42の位置は変わらないため、明るさの中心位置が偏ることがない。
以上のことから、本実施の形態によれば、シェーディング等の特性劣化を低減する効果が得られる。また、小絞りの状態でも絞り調整を安定的に行えるようになるため、ハンチング現象が起こりにくくなるという効果も得られる。
(2)絞り装置以外の光学要素の汎用性を維持
本実施の形態においては、絞り開口43を全開状態としたときの開口寸法よりも大きくなるように赤外線カットフィルタ層41を配置し、絞り開口43を通して入射する光を赤外線カットフィルタ層41でフィルタリングする構成を採用している。このため、撮像素子によって得られる画像が人間の見た目に近い画像となる。これにより、デイ仕様のカメラにおいて、絞り装置1の前段または後段に配置されるレンズにコーティング等によって赤外線カットフィルタを形成したり、撮像素子の直前に赤外線吸収ガラス付きの光学ローパスフィルタ等を配置したりする必要がなくなる。このため、カメラの小型化・軽量化を図ることができる。また、カメラのレンズに赤外線カットフィルタを形成したり、撮像素子の直前に上記光学ローパスフィルタ等を配置したりする場合は、そのレンズや撮像素子の用途がデイ仕様に限定されてしまう。これに対して、本実施の形態のように絞り装置1の構成要素であるフィルタ基板5に赤外線カットフィルタ層41を形成した場合は、レンズに赤外線カットフィルタを形成したり、撮像素子の直前にモアレ対策として上記光学ローパスフィルタ等を配置したりする必要がないため、レンズや撮像素子の用途をデイ仕様に限定せずに済む。このため、絞り開口43の開口径に適合するレンズを汎用的に使えるという利点がある。また、レンズに赤外線カットフィルタを形成するとなると、個々のレンズの位置やそこを通過する光の領域などにあわせて、個々のレンズごとに赤外線カットフィルタの形成領域を設計し、製造する必要があるが、本実施の形態によれば、そうした必要がなくなる。また、レンズに赤外線カット機能を付加するとなると、その分のコストがかかり、また赤外線吸収ガラス等を付加するとなると、その分のスペースを確保する必要があるが、本実施の形態のように絞り装置1と一体型で赤外線カット機能を提供すれば、多大なコストダウンと省スペース化を同時に実現することができる。
(3)絞り装置の組立性が向上
従来(図13)のように絞り羽根202,203にNDフィルタ208,209を取り付ける場合は、NDフィルタ208,209が非常に小さく取り扱いも困難であるため、NDフィルタ208,209の取り付け作業が面倒になる。この点に関して、本実施の形態においては、フィルタ基板5にNDフィルタ層42を形成しているため、そうした面倒な作業が不要になる。
(4)その他の効果
従来の構成において、絞り羽根202,203にNDフィルタ208,209を接着剤で貼り付ける場合は、NDフィルタの厚み(たとえば、約0.1mm)に接着剤の厚みを加味して、一対の絞り羽根202,203を移動するための隙間を確保する必要がある。これに対して、本実施の形態のようにフィルタ基板5にNDフィルタ層42を形成した場合は、その厚みが数μm〜十数μm程度で済む。このため、絞り装置1の薄型化を図ることができる。また、絞り調整に際して絞り羽根202,203の移動を繰り返すと、これに伴う振動等に起因してNDフィルタ208,209が絞り羽根202,203から外れるおそれがある。これに対して、フィルタ基板5にNDフィルタ層42を形成したものでは、そのような不具合が発生することはない。したがって、長期にわたって動作の信頼性に優れた絞り装置を実現することができる。
また、従来の構成を採用した場合は、絞り羽根202,203の厚み方向にNDフィルタ208,209やこれを固定する接着剤等が出っ張ることになる。このため、絞り調整に際して絞り羽根202,203を移動させたときに、NDフィルタ208,209や接着剤等が他の部材に干渉しないように、たとえば、部材の剛性等を犠牲にして絞り基板や羽根カバーに逃げ構造を設ける必要があるが、本発明によれば、それが不要になる。
また、絞り基板2にフィルタ取付部51と耳部52を形成し、この耳部52に接着剤53を供給することで、フィルタ取付部51にフィルタ基板5を固定する構成を採用している。かかる構成においては、接着剤53を供給する位置を一目で特定できるため、接着剤53の供給作業を素早く行うことができる。また、耳部52が凹状にへこんで形成されているため、そこに供給された接着剤53が不要な部分まで流れ込まないように抑制することができる。このため、絞り装置1の組立上、良好な品質を維持することができる。
また、フィルタ基板5の構成として、NDフィルタ層42からなる光減衰領域を円形に形成している。このため、絞り開口43が小絞りになったときの開口形状が、たとえば、多角形や楕円形であっても、これに外接する円の直径以下の円形をもって光減衰領域を形成しておけば、当該開口形状の違いにかかわらず、シェーディング等の特性を向上させることができる。このため、汎用性に優れたものとなる。
また、フィルタ基板5の構成上、ガラス基板40の共通の主面に、赤外線カットフィルタ層41とNDフィルタ層42とを積層状態で形成している。このため、フィルタ基板5を製造する場合に、ガラス基板40を表裏反転させることなく、赤外線カットフィルタ層41とNDフィルタ層42とを順に形成(成膜)することができる。
<3.第2の実施の形態>
図8は本発明の第2の実施の形態に係る絞り装置を上側から見たときの分解斜視図であり、図9は当該絞り装置を下側から見たときの分解斜視図である。また、図10(A)は本発明の第2の実施の形態に係る絞り装置の動作状態の一例を下側から見たときの斜視図であり、同(B)は当該絞り装置の動作状態の一例を上側から見たときの斜視図である。
第2の実施の形態に係る絞り装置1は、上記第1の実施の形態と比較して、フィルタ基板5を取り付ける位置が異なる。すなわち、上記第1の実施の形態においては、絞り基板2にフィルタ基板5を取り付けた構成を採用しているが、本第2の実施の形態においては、羽根カバー6にフィルタ基板5を取り付けた構成を採用している。フィルタ基板5の構成は上記第1の実施の形態(図5)と同様である。以下、フィルタ基板の取付構造について、図11(A),(B)を用いて説明する。
(フィルタ基板の取付構造)
羽根カバー6にはフィルタ取付部61が一体に形成されている。フィルタ取付部61は、羽根カバー6の開口部30を囲むように、平面視リング形状に形成されている。また、フィルタ取付部61は、開口部30と同心円状に形成されている。フィルタ取付部61は、羽根カバー6にフィルタ基板5を取り付ける場合に、フィルタ基板5の外周部分を受ける部分である。フィルタ取付部61は、羽根カバー6の厚み方向において、羽根カバー6の上面側ではへこむ状態に、羽根カバー6の下面側では突出する状態に形成されている。羽根カバー6の上面側におけるフィルタ取付部61のへこみ寸法は、このフィルタ取付部61にフィルタ基板5を取り付けたときに、フィルタ基板5がフィルタ取付部61から出っ張らない程度の寸法に設定されている。具体的には、フィルタ取付部61のへこみ寸法を、フィルタ基板5の厚み寸法と同等またはそれよりも若干大きい寸法に設定してある。このようにフィルタ取付部61のへこみ寸法を設定する理由は、フィルタ基板5と絞り羽根4との干渉(接触)を避けるのに有効だからである。
また、フィルタ取付部61は、羽根カバー6にフィルタ基板5を取り付ける場合に、フィルタ基板5を位置決めする機能を有する。フィルタ取付部61の外周径は、この位置決め機能を発揮させるために、フィルタ基板5の外径よりも僅かに大きく設定されている。つまり、フィルタ取付部61にフィルタ基板5がぴったりと収まるようになっている。
フィルタ取付部61の周囲には複数(図例では3つ)の耳部62が形成されている。耳部62は、羽根カバー6のフィルタ取付部61にフィルタ基板5を接着剤63で固定する場合に、接着剤63を塗布する部分として形成されている。
耳部62は、平面視半円形に形成されている。耳部62は、羽根カバー6の上面側において、フィルタ取付部61と同様に凹状にへこみ、その反対側には突出した状態で形成されている。耳部62とフィルタ取付部61とは部分的につながっている。また、羽根カバー6の上面側において、各耳部62の底面とフィルタ取付部61の底面とは、互いに同一平面をなしている。ただし、これに限らず、耳部62に塗布した接着剤が重力の作用で自然にフィルタ取付部61側に流れ込むように、耳部62が形成されている領域内において、フィルタ取付部61に近い側が遠い側よりも低位となるように傾斜させて、耳部62の底面を形成してもよい。耳部62は、フィルタ取付部61の外周上の3箇所に分けて形成されている。ただし、一つのフィルタ取付部61に対して形成する耳部62の位置、個数等は適宜変更することが可能である。
(フィルタ基板の取付手順)
次に、上記のフィルタ取付部61および耳部62を有する羽根カバー6にフィルタ基板5を取り付ける場合の手順を説明する。
まず、上記図11(A)に示すように、羽根カバー6のフィルタ取付部61にフィルタ基板5を載せる。このとき、開口部30の開口径よりも外周側において、フィルタ基板5およびフィルタ取付部61の面同士が、接触または近接した状態に配置される。フィルタ基板5の表裏の向きに関しては、フィルタ基板5に形成されているNDフィルタ層42が、絞り装置1に対する光の入射側および出射側のうちのいずれか一方を向いて配置される。
また、羽根カバー6にフィルタ基板5を取り付ける場合は、フィルタ取付部61にフィルタ基板5を嵌め入れることによって、羽根カバー6に対するフィルタ基板5の位置決めがなされる。具体的には、羽根カバー6の開口部30を塞ぐかたちで、フィルタ基板5が開口部30と同心状に配置される。これにより、羽根カバー6の開口部30の中心と、フィルタ基板5の中心とが、ほぼ一致した状態に配置される。
次に、上記図11(B)に示すように、各々の耳部62の形成部位を対象に適量の接着剤63を塗布する。接着剤63としては、たとえば、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂などを用いることができる。接着剤63の塗布は、たとえば、各々の耳部62に図示しないディスペンサ等を用いて行う。また、接着剤63を塗布する際は、耳部62に供給した接着剤63がフィルタ基板5の端面に接触するように塗布する。これにより、フィルタ基板5が接着剤63によって羽根カバー6に固定される。このとき、低粘度の接着剤63を使用すると、耳部62に供給した接着剤63が、フィルタ基板5とフィルタ取付部61の界面(微小な隙間)に毛細管現象等によって引き込まれる。このため、フィルタ基板5やフィルタ取付部61に直接、接着剤63を塗布しなくても、両者の界面に接着剤63を介在させることができる。また、耳部62に供給した接着剤63が広がる領域は、耳部62の外周部分の段差によって制限される。このため、粘性の低い接着剤63を用いた場合でも、不要な部分への接着剤63の広がりが抑制される。
以上の手順で羽根カバー6にフィルタ基板5を取り付けたら、一対の絞り羽根3,4を絞り基板2に取り付けた後に、フィルタ基板5付きの羽根カバー6を絞り基板2に取り付ける。これにより、絞り羽根3,4が形成する絞り開口43の中心と、フィルタ基板5の中心とが、ほぼ一致した状態に配置される。また、一対の絞り羽根3,4が形成する絞り開口43の中心に対して、フィルタ基板5の中心が位置合わせされる。このため、フィルタ基板5の面内においては、NDフィルタ層42が形成された領域(光減衰領域)が絞り開口43と同心状に配置される。
なお、羽根カバー6にフィルタ基板5を取り付ける場合は、上記第1の実施の形態のように絞り基板2にフィルタ取付部51や耳部52を形成する必要はない。ただし、これに限らず、たとえば、何らかの理由により、絞り基板2および羽根カバー6のどちらにフィルタ基板5を取り付けるかを任意に選択できるように、絞り基板2にもフィルタ取付部51と耳部52を形成しておいてもよい。また、赤外線カットフィルタ層41とNDフィルタ層42をそれぞれ別のフィルタ基板5に形成した場合は、一方のフィルタ基板5を絞り基板2のフィルタ取付部51に取り付けるとともに、他方のフィルタ基板5を羽根カバー6のフィルタ取付部61に取り付けた構成を採用してもよい。
(効果)
本発明の第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
すなわち、上記第1の実施の形態においては、絞り基板2にフィルタ基板5を取り付けた後、接着剤53が硬化するのを待って、絞り基板2に絞り羽根3,4を取り付ける必要がある。これに対して、本第2の実施の形態においては、絞り基板2に絞り羽根3,4を取り付ける工程と、羽根カバー6にフィルタ基板5を取り付ける工程とを、並行して行うことができる。このため、絞り基板2に絞り羽根3,4を取り付ける場合に、接着剤63の硬化を待つ必要がない。したがって、絞り装置1の組み立てを効率よく行うことができる。
<4.第3の実施の形態>
図12(A),(B)は本発明の第3の実施の形態に係る絞り装置の主要部の構成を示す斜視図である。第3の実施の形態に係る絞り装置1においては、上記第1,第2の実施の形態と比較して、フィルタ基板5およびNDフィルタ層42の形状が異なる。すなわち、上記第1,第2の実施の形態においては、円形のフィルタ基板5に円形のNDフィルタ層42を形成した構成を採用しているが、本第3の実施の形態においては、四角形のフィルタ基板5に四角形のNDフィルタ層42を形成した構成を採用している。フィルタ基板5およびNDフィルタ層42は、それぞれ正方形またはこれに近い形状に形成されている。ただし、フィルタ基板5の相対応する2つの頂点を結ぶ対角線と、NDフィルタ層42の相対応する2つの頂点を結ぶ対角線は、フィルタ基板5の中心軸を基準とした回転方向において、位置が45度ずれている。
ここで、上記第1の実施の形態と比較すると、図12(A)に示すように、絞り基板2にフィルタ基板5を取り付ける点では共通するものの、次の点では相違する。すなわち、本第3の実施の形態においては、絞り基板2に四角形のリング形状にフィルタ取付部51を形成し、このフィルタ取付部51の四隅にそれぞれ耳部52を形成している。そして、各々の耳部52に適量ずつ供給した接着剤53を用いて、フィルタ基板5を絞り基板2に固定している。
また、上記第2の実施の形態と比較すると、図12(B)に示すように、羽根カバー6にフィルタ基板5を取り付ける点では共通するものの、次の点では相違する。すなわち、本第3の実施の形態においては、羽根カバー6に四角形のリング形状にフィルタ取付部61を形成し、このフィルタ取付部61の四隅にそれぞれ耳部62を形成している。そして、各々の耳部52に適量ずつ供給した接着剤53を用いて、フィルタ基板5を羽根カバー6に固定している。
(効果)
本発明の第3の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態または上記第2の実施の形態と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
すなわち、絞り開口43を小絞りの状態としたときの開口形状と相似形となるようにNDフィルタ層42を形成している。このため、実際に撮影する場合に、絞り開口43の開口寸法がNDフィルタ層42の形成領域の外形寸法に一致するまで、絞り開口43をNDフィルタ層42で塞いだ状態に維持することができる。したがって、NDフィルタ層42の形成領域を無駄なく最大限に活用することができる。また、これに付随して、NDフィルタ層42の形成領域を最小限にとどめることができるため、NDフィルタ層42の存在による光量の低下を極力抑えることができる。また、絞り開口43を小絞りの状態よりも大きく開放した場合には、NDフィルタ層42が形成されていない領域(以下、「非形成領域」と記す)が絞り開口43の外縁部分の全周にわたって均一に存在する。このため、絞り開口43の開口領域において、その中央部に位置するNDフィルタ層42の形成領域では相対的に画像が暗くなり、NDフィルタ層42の非形成領域では相対的に画像が明るくなる。これに対して一般に、撮影用のレンズは、中央部が明るく周縁部にいくほど暗くなるという特性を有する。このため、それらの相殺によって画像の明るさを均一化することができる。
<5.変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、絞り基板2にフィルタ基板5を取り付ける場合に、絞り羽根3,4が取り付けられる面とは反対側となる絞り基板2の上面側にフィルタ基板5を取り付けてもよい。また、絞り基板2の厚み方向において、フィルタ基板5を設ける位置は、一対の絞り羽根3,4の間でもよいし、絞り羽根4と羽根カバー6の間でもよい。
また、フィルタ基板5の構成に関して、赤外線カットフィルタ層41は、必ずしもフィルタ基板5の全域に形成される必要はなく、全開状態の絞り開口43を塞ぐことができる程度の大きさに形成されていればよい。また、NDフィルタ層42は、ガラス基板40の表裏のうち少なくとも一方に形成されていればよい。この点は、赤外線カットフィルタ層41についても同様である。また、上記実施の形態においては、ガラス基板40の一方の面に赤外線カットフィルタ層41とNDフィルタ層42をまとめて形成しているが、これに限らず、ガラス基板40の一方の面に赤外線カットフィルタ層41を形成し、それと反対側の面にNDフィルタ層42を形成してもよい。また、ガラス基板40の組成により、ガラス基板40自体に赤外線カットフィルタ層41の機能をもたせてもよい。また、赤外線カットフィルタ層41はガラス基板40に貼り付けて設けてもよい。また、NDフィルタ層42は絞り開口43と同心状に配置する必要があるが、両者の中心が必ずしも厳密に一致している必要はなく、絞り装置1に求められる光学的な特性を満足する範囲内で、絞り開口43の中心から少し偏心した位置にNDフィルタ層42を配置した構成になっていてもよい。また、フィルタ基板5の構成として、ガラス基板40の代わりにプラスチック基板を用いてもよい。また、フィルタ基板5およびNDフィルタ層42の形状に関しても、適宜変更が可能である。たとえば、上記実施の形態の変形例として、円形のフィルタ基板5に四角形のNDフィルタ層42を形成してもよいし、四角形のフィルタ基板5に円形のNDフィルタ層42を形成してもよい。また、NDフィルタ層42の外形形状は、これまでに例示した円形、四角形等に限定されるものではなく、使用する絞り羽根が小絞り状態のときに形成する開口形状と相似する形状、すなわち当該開口形状に依存して適切に選択された形状であればよい。
また、フィルタ基板5の取り付けに関して、図示しない支持部材にフィルタ基板5を取り付け、この支持部材と一緒にフィルタ基板5を絞り基板2または羽根カバー6に取り付けてもよい。また、フィルタ基板5の固定手段は、接着による固定だけでなく、たとえば、バンド式の留め具などを用いた固定方式、あるいは可撓性の係止爪を用いたスナップフィット方式の固定方式などを採用してもよい。また、上記実施の形態のようにフィルタ基板5を接着剤53で固定する場合は、フィルタ基板5をセットする前に耳部(52,62)に接着剤53を塗布してもよい。
1…絞り装置
2…絞り基板
3,4…絞り羽根
5…フィルタ基板
6…羽根カバー
41…赤外線カットフィルタ層
42…NDフィルタ層
43…絞り開口
51,61…フィルタ取付部
52,62…耳部
53,63…接着剤

Claims (7)

  1. 絞り基板と、
    前記絞り基板に移動可能に取り付けられるとともに、互いに重なり合った状態で絞り開口を形成する一対の絞り羽根と、
    前記絞り開口を塞ぐ位置に固定的に設けられるとともに、前記絞り開口を通過する光をフィルタリングするフィルタ基板と、
    を備え、
    前記フィルタ基板は、赤外線をカットする赤外線カットフィルタ領域と、前記赤外線カットフィルタ領域を通過し得る光を減衰させる光減衰領域と、を有し、
    前記光減衰領域は、前記赤外線カットフィルタ領域内に当該赤外線カットフィルタ領域と重なり合うように設けられるとともに、前記絞り開口と同心状に配置され、かつ前記絞り開口を全開状態としたときの開口寸法よりも小さく形成されている
    ことを特徴とする絞り装置。
  2. 前記フィルタ基板は、前記絞り基板に固定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の絞り装置。
  3. 前記一対の絞り羽根を覆う状態で前記絞り基板に取り付けられる羽根カバーをさらに備え、
    前記フィルタ基板は、前記羽根カバーに固定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の絞り装置。
  4. 前記赤外線カットフィルタ領域は、前記絞り開口を全開状態としたときの開口寸法よりも大きく形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の絞り装置。
  5. 前記絞り開口の開口形状は、当該絞り開口を小絞りの状態としたときに多角形又は楕円形となり、
    前記光減衰領域は、前記多角形又は楕円形に外接する円の直径以下の円形に形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の絞り装置。
  6. 前記絞り開口の開口形状は、当該絞り開口を小絞りの状態としたときに四角形となり、
    前記光減衰領域は、前記小絞りの状態としたときの前記絞り開口の開口形状と相似形に形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の絞り装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つに記載の絞り装置と、
    前記絞り開口を通して入射する光を電気信号に変換する光電変換素子と、
    を備えることを特徴とするカメラ。
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