JP2013151746A - オーステナイト系ステンレス鋼の浸炭処理方法及びその加工品 - Google Patents

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Abstract

【課題】オーステナイト系ステンレス鋼の被処理物における硬度や靱性を向上させるための浸炭処理方法及びその加工品を提供する。
【解決手段】浸炭装置10を用いて、浸炭処理と拡散処理とからなる処理セットを連続して複数回繰り返す。更に、再度、浸炭処理と拡散処理とからなる処理セットを繰り返す。浸炭処理においては、制御部20が、バルブ133を制御して、被処理物Wが設置された浸炭室13に浸炭用ガスを導入する。そして、拡散処理においては、制御部20が、バルブ133を閉じて浸炭用ガスを排出する。この場合、制御部20は、後続の反復処理における〔浸炭時間/拡散時間〕よりも、先行の反復処理における処理時間割合が大きくなるように、それぞれの処理時間を計測して、バルブ133の開閉制御を行なう。
【選択図】図1

Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の浸炭処理方法及びその加工品に関する。
高合金鋼の表面硬化法として、加熱室内を1kPa以下の真空状態にして浸炭処理を行なう真空浸炭処理が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載された真空浸炭処理は、被処理物を加熱室において低圧状態で所定温度に加熱し、加熱室内にアセチレン等の浸炭用ガスを装入して被処理物に浸炭させる。そして、浸炭用ガスの供給を停止し、再び加熱室内を極低圧状態にすることにより被処理物の表面近くの炭素を内部へ拡散させ、焼き入れ温度まで降温させてから油冷する。
また、被処理物の硬度や靱性を向上させるための真空浸炭処理方法も検討されている(例えば、特許文献2参照)。この文献に記載された真空浸炭処理方法は、被処理物を収容した加熱室内に浸炭用ガスを加熱室内に供給することにより被処理物を浸炭させる浸炭工程と、浸炭工程の後、浸炭用ガスの供給を停止して炭素を被処理物の表面から内部へ拡散させる拡散工程と、被処理物を冷却する冷却工程とを実施する。この場合、浸炭工程と拡散工程とを交互に複数回、繰り返す。
特開2000−129418号公報(第1頁、図1) 特開2010−53431号公報(第1頁、図1)
しかしながら、上記の特許文献に記載の方法では、母材への炭素の含有量が十分ではなく、所望の硬度が得られない場合があった。また、表面硬化層が浅い場合、靱性の改善が不十分なこともある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、オーステナイト系ステンレス鋼の被処理物における硬度や靱性を向上させるための浸炭処理方法及びその加工品を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の被処理物の浸炭方法であって、前記被処理物に対して、均熱かつ減圧状態で炭化水素ガスを用いた浸炭処理と、前記炭化水素ガスを排出し、不活性ガスを導入した状態での拡散処理とを組み合わせた処理セットを複数回、繰り返す反復処理と、前記被処理物に対して、オーステナイト組織を維持しマルテンサイト化を抑制しながら冷却する冷却処理とを行なうことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浸炭処理方法において、反復処理、冷却処理の終了後に、再度、反復処理、冷却処理を実行することを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の浸炭処理方法において、前記処理セットに含まれる拡散処理の時間に対する浸炭処理の時間の処理時間割合を、先行に反復処理と後続の反復処理とで変更することを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の浸炭処理方法において、先行の処理セットにおける処理時間割合に対して、後続の処理セットにおける処理時間割合を大きくすることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の被処理物に対して、均熱かつ減圧状態で炭化水素ガスを用いた浸炭処理と、前記炭化水素ガスを排出した拡散処理とを組み合わせた処理セットを複数回、繰り返す反復処理において、前記処理セットに含まれる拡散処理の時間に対する浸炭処理の時間の処理時間割合を、先行に反復処理に対して後続の反復処理において大きくするとともに、前記被処理物に対して、オーステナイト組織を維持しマルテンサイト化を抑制しながら冷却する冷却処理により、浸炭を行なったことを要旨とする。
(作用)
均熱かつ減圧状態において、浸炭処理と拡散処理とを組み合わせた処理セットを複数回、繰り返すことにより、表面のみに溜まりやすい傾向がある炭素を深い領域まで高い濃度で導入し、硬度や靱性を向上させることができる。更に、オーステナイト組織を維持しながら冷却することにより、磁性化を抑制することができる。例えば、油冷における温度勾配により、マルテンサイト化を抑制できる。
反復処理、冷却処理の終了後に、再度、反復処理、冷却処理を実行することにより、より深い領域まで硬化を進めることができるので、硬化層の剥離を抑制することができる。
処理セットに含まれる拡散処理の時間に対する浸炭処理の時間の処理時間割合を、先行に反復処理と後続の反復処理とで変更することにより、表面層の炭素濃度に応じて、浸炭を進めることができる。
先行の処理セットにおける処理時間割合に対して、後続の処理セットにおける処理時間割合を大きくすることにより、表面層の炭素濃度が高い場合にも、より浸炭を進めることができる。
本発明によれば、オーステナイト系ステンレス鋼の被処理物における硬度や靱性を向上させるための浸炭処理方法及びその加工品を提供することができる。
本発明の一実施形態の浸炭装置の概略図。 本発明の一実施形態の処理手順の説明図。 硬度の深さ依存性を示した説明図。 他の実施形態の処理手順の説明図。 他の実施形態の処理手順の説明図。
以下、本発明を具体化した浸炭方法の一実施形態を図1〜図3に従って説明する。本実施形態では、浸炭の被処理物として、例えばボールベアリングに用いる、ステンレス鋼のボール材に適用する場合を想定する。この浸炭には、図1に示す浸炭装置10を用いる。
この浸炭装置10は、前室11、油冷槽12、浸炭室13を備えている。更に、前室11には、被処理物Wを導入するための開閉扉D1、前室11と浸炭室13との間には被処理物Wを搬送するための開閉扉D2が設けられている。
開閉扉D1が開放された場合、前室11は外気と連通するようになっている。更に、前室11の下方には、油冷槽12が設けられており、被処理物Wを油冷槽12の焼入油に浸漬することにより、油冷することができる。本実施形態では、H値(例えば、0.28〜0.40/インチ)、粘度(例えば、10〜30mm2/s)の公知の焼入油を用いて、冷却処理を行なう。
前室11及び浸炭室13は、それぞれ減圧可能な気密構造を有するとともに、バルブ111,131を介してポンプPに接続されている。更に、前室11及び浸炭室13には、それぞれの室内の圧力を計測するための圧力センサG1,G3が設けられている。そして、開閉扉D1,D2を閉じて、ポンプP及び圧力センサG1,G3を用いることにより、前室11及び浸炭室13を所定圧力に制御された減圧状態にすることができる。
更に、前室11及び浸炭室13には、それぞれバルブ112,132を介して、窒素ガスを供給する配管が接続されている。この窒素ガスの供給により、前室11及び浸炭室13を不活性雰囲気中において、所定の圧力や大気圧にすることができる。
更に、浸炭室13には、図示しない加熱装置が設けられている。この浸炭室13には、バルブ133を介して、浸炭処理を行なうための浸炭用ガス(炭素源)を供給する配管が接続されている。本実施形態では、この浸炭用ガスを浸炭室13の左右、上下の4側面から導入できるように配管されている。本実施形態では、浸炭用ガスとしてアセチレンガスを用いる。そして、浸炭用ガスが供給されている減圧状況において、被処理物Wを所定の温度に加熱することにより、浸炭処理を行なう。
更に、浸炭装置10には、制御部20が設けられている。制御部20は、浸炭処理や拡散処理を制御するコンピュータである。この制御部20は、圧力センサG1,G3、ポンプP、バルブ(112〜133)、加熱装置に接続されている。この制御部20は、CPU、RAM、ROMを備えており、制御プログラムを実行することにより、浸炭処理段階、拡散処理段階の各処理を実行する。これにより、制御部20は、浸炭処理手段、拡散処理手段として機能する。
次に、本実施形態の浸炭処理方法を説明する。
本実施形態においては、浸炭処理と拡散処理とからなる処理セットを連続して複数回繰り返す。更に、処理セットの処理条件を変更して、変更された処理条件を用いて、再度、浸炭処理と拡散処理とからなる処理セットを繰り返す。この場合、先行の処理セットと後続の処理セットとにおいて、浸炭処理と拡散処理との処理時間割合を変更する。
具体的には、浸炭処理においては、制御部20が、バルブ133を制御して、被処理物Wが設置された浸炭室13に浸炭用ガスを導入する。そして、拡散処理においては、制御部20が、バルブ133を制御して、浸炭用ガスを停止する。この場合、制御部20は、後続の反復処理における〔浸炭時間/拡散時間〕(以下、処理時間割合という)よりも、先行の反復処理における処理時間割合が大きくなるように、それぞれの処理時間を計測して、バルブ133の開閉制御を行なう。
(実施例)
図2に示すように、表面洗浄処理S11、第1の反復処理S12、第2の反復処理S13、冷却処理S14、第3の反復処理S15、第4の反復処理S16、冷却処理S17を行なう。ここで、先行の反復処理(S12、S15)と後続の反復処理(S12に対するS13、S15に対するS16)における処理時間割合が異なる。以下、具体的な処理内容を説明する。
まず、表面洗浄処理S11を行なう。ここでは、アルカリ脱脂、有機溶剤による脱脂を行なう。なお、前室11又は浸炭室13において、フッ素系ガス(三フッ化窒素等)を添加した200℃〜450℃の雰囲気中で不動態膜をフッ化物に置換・除去するフッ化処理
を行なうようにしてもよい。
そして、開閉扉D1を介して、前室11に被処理物Wを搬入する。そして、前室11及び浸炭室13を、バルブ111,131を介して、ポンプPにより減圧する。更に、開閉扉D2を介して、減圧された浸炭室13に被処理物Wを搬入する。
浸炭処理の前には、被処理物Wが導入された浸炭室13内の温度を800℃〜1100℃、例えば1030℃で保持しておく。これにより、被処理物Wの温度が表面から内部まで設定温度(ここでは1030℃)に均熱化される。
以下、制御部20を用いて、第1の反復処理S12における各浸炭・拡散処理を実行する。
まず、制御部20は、バルブ133を開けて、浸炭室13内に浸炭用ガスを供給し、バルブ(131、133)により、所定圧力に制御することにより、第1の反復処理S12における1回目の浸炭処理を実行する。このとき、制御部20は、圧力を一定に維持して、時間t1(例えば5分)の浸炭処理を行なう。本実施形態では、アセチレンガスのガス圧として80Paの雰囲気中で浸炭処理を行なう。
次に、制御部20は、バルブ133を閉じて、バルブ131に接続されたポンプPにより、浸炭室13内から浸炭用ガスを排気して、第1の反復処理S12における1回目の拡散処理を実行する。このとき、浸炭室13内の減圧下で、時間t2(例えば5分)の拡散処理を行なう。本実施形態では、不活性ガス(例えば窒素ガス)を導入した減圧状態で拡散処理を行なう。窒素ガスのガス圧としては、20〜800Paを用いる。この拡散処理を経ることにより、被処理物Wの表面近傍に浸入した炭素が、表面から内部へと拡散される。これで、第1の反復処理S12における1回目の処理セットを終了する。
次に、制御部20は、前の処理セットと同様に、浸炭室13内に浸炭用ガスを供給して、浸炭処理を行ない、浸炭室13内から浸炭用ガスを排気して拡散処理を行なう(2回目の処理セット)。そして、第1の反復処理S12においては、上述と同様に、浸炭処理と拡散処理とからなる処理サイクルを、合計Na回(例えば20回)の処理セットを繰り返して行なう。
第1の反復処理S12を終了した場合、制御部20は、継続して第2の反復処理S13を実行する。ここでは、浸炭処理(時間t1、例えば5分)と拡散処理(時間t3、例えば1分)とからなる処理セットを、合計Na回、繰り返して行なう。
第2の反復処理S13を終了した場合、冷却処理S14を行なう。具体的には、減圧下で開閉扉D2を介して、被処理物Wを前室11に移動させる。そして、被処理物Wを油冷槽12に浸漬させて、オーステナイト組織を維持しマルテンサイト化を抑制しながら冷却を行なう。本実施形態では、油温として常温を用いるが、炭素の拡散温度から、マルテンサイト化を抑制できる温度勾配での冷却であれば、これに限定されるものではない。なお、冷却時には、ネオジム磁石を用いて、被処理物Wは強磁性体になっていないこと、そして、マルテンサイト化を抑制できていることを確認した。そして、冷却後に、被処理物Wの表面に付着した油分を洗浄により取り除く(脱脂洗浄)。
次に、制御部20は、第3、第4の反復処理(S15、S16)を実行する。ここでも、第3の反復処理S15においては、第1の反復処理S12と同様に、浸炭処理(時間t1)と拡散処理(時間t2)とからなる処理セットを、合計Na回、繰り返して行なう。第4の反復処理S16においては、第2の反復処理S13と同様に、浸炭処理(時間t1)と拡散処理(時間t3)とからなる処理セットを、合計Na回、繰り返して行なう。
第4の反復処理S16を終了した場合、冷却処理S14と同様に、冷却処理S17を行なう。
そして、上記処理を終了した後、開閉扉D1を介して、被処理物Wを浸炭装置10から取り出す。
上記処理を行なった被処理物Wの硬さの深さ依存性を図3に示す。ここで、「鉄」は、「3:1」の時間割合で浸炭処理、拡散処理を行なった被対象物である。比較例は、浸炭処理、拡散処理を繰り返すことなく、時間割合「1:1」で実施した例である。また、実施例1、2は、それぞれ、浸炭処理、拡散処理を繰り返すことなく、浸炭処理の処理時間を、拡散処理の処理時間に対して長くした結果である。ここでは、実施例1は「3:1」、実施例2は「10:1」の時間割合である。更に、実施例3は「11:1」の時間割合で、途中で冷却(油冷)を入れたものである。
一方、本実施例による被処理物においては、「鉄」に及ばないが、浸炭処理の時間割合が大きくなると硬度が高くなる。更に、途中で冷却を入れることにより、深いところまで高い硬度を維持している。なお、「鉄」は磁性体であるため、磁力の影響を受けやすい。一方、本実施例(SUS)、比較例(SUS)は、オーステナイト系のステンレス鋼であるため非磁性であり、磁力の影響が小さい。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、オーステナイト系のステンレス鋼の浸炭において、被処理物Wを油冷槽12に浸漬させる。焼入油で冷却することにより、オーステナイト組織を維持し、マルテンサイト化を抑制できる。後続処理(第2の反復処理S13)の処理時間割合(t1/t3)を、先行処理(第1の反復処理S12)の処理時間割合(t1/t2)より大きくする。また、後続処理(第4の反復処理S16)の処理時間割合(t1/t3)を、先行処理(第3の反復処理S15)の処理時間割合(t1/t2)より大きくする。通常、減圧浸炭の鋼部品への炭素供給速度が非常に速いので、短時間の浸炭処理で被処理物Wの表面炭素量は固溶限に達する。この場合、母相の合金成分、特に肌焼鋼ではCrが減少することがあり、表面硬さの低下のみならず材料硬度の低下を招く。更に、被処理物表面にススが析出しやすくなり、浸炭反応を阻害する。そこで、浸炭処理と拡散処理とからなる処理セットを繰り返すとともに、後続の処理セットにおいては、拡散処理時間に対して浸炭処理時間を長くすることにより、浸炭を進めることができる。また、真空減圧下においては、表面からCrが離脱することがあるが、本実施形態では、不活性ガスを導入して拡散処理を行なうので、表面からCrの離脱を抑制することができる。
(2)上記実施形態では、先行の第2の反復処理S13を終了した場合、冷却処理S14を行なう。これにより、より深い領域まで硬化を進めることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態においては、第1の反復処理S12の後で、処理時間割合を変更した第2の反復処理S13を実行し、更に、第3の反復処理S15の後で、処理時間割合を変更した第4の反復処理S16を実行した。反復処理の繰り返し方はこれに限定されるものではない。例えば、第1の反復処理S12、第2の反復処理S13、冷却処理S14で、浸炭処理を終了するようにしてもよい。また、各反復処理における繰り返し回数も同じ回数に限定されるものではない。
・上記実施形態においては、図2に示した処理時間で第1〜第4の反復処理(S12、S13、S15、S16)を実行した。それぞれの時間は、これらに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、表面洗浄処理S21の後、制御部20を用いて、浸炭処理(時間t4)、拡散処理(時間t5)の処理セットを繰り返す反復処理S22を実行し、処理時間割合を変更した浸炭処理(時間t4)、拡散処理(時間t6)の処理セットを繰り返す反復処理S23を実行するようにしてもよい。この場合、例えば、「t4=3分」、「t5=3分」、「t6=1分」を用いる。更に、冷却処理S24の後で、制御部20を用いて、浸炭処理(時間t7)、拡散処理(時間t8)の処理セットを繰り返す反復処理S25の後で、処理時間割合を変更した浸炭処理(時間t7)、拡散処理(時間t9)の処理セットを繰り返す反復処理S26を実行するようにしてもよい。この場合、例えば、「t7=2分」、「t8=2分」、「t9=1分」を用いる。ここでは、処理セットをNb回(例えば20回)繰り返す。この場合も、先行の反復処理S23、S26の終了後に冷却処理S24、S27を実行する。
・上記実施形態においては、図2に示すように、第2の反復処理S13の後で、冷却処理S14を実行した。冷却処理のタイミングはこれに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、表面洗浄処理S31の後、制御部20を用いて、浸炭処理(時間t10)、拡散処理(時間t11)の処理セットを繰り返す反復処理S32を実行し、冷却処理S33を実行する。更に、この冷却処理S33の後で、処理時間割合を変更した浸炭処理(時間t12)、拡散処理(時間t13)の処理セットを繰り返す反復処理S34を実行する。そして、冷却処理S35を実行する。この場合、例えば、「t10=1分」、「t11=1分」、「t12=1分」、「t13=0.5分」を用いる。
更に、処理時間割合を変更した反復処理の回数は1度に限定されるのではない。図5においては、処理時間割合を変更した浸炭処理(時間t14)、拡散処理(時間t15)の処理セットを繰り返す反復処理S36を実行して、冷却処理S37を実行する。この場合、例えば、「t14=1分」、「t15=0.25分」を用いる。ここでは、各処理セットをNc回(例えば20回)ずつ繰り返す。
W…被処理物、10…浸炭装置、11…前室、12…油冷槽、13…浸炭室、111〜133…バルブ、G1,G3…圧力センサ、20…制御部、S11…表面洗浄処理、S12…第1の反復処理、S13…第2の反復処理、S14…冷却処理、S15…第3の反復処理、S16…第2の反復処理、S17…冷却処理、t1〜t15…時間。

Claims (5)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼の被処理物の浸炭方法であって、
    前記被処理物に対して、均熱かつ減圧状態で炭化水素ガスを用いた浸炭処理と、前記炭化水素ガスを排出し、不活性ガスを導入した状態での拡散処理とを組み合わせた処理セットを複数回、繰り返す反復処理と、
    前記被処理物に対して、オーステナイト組織を維持しマルテンサイト化を抑制しながら冷却する冷却処理と
    を行なうことを特徴とする浸炭処理方法。
  2. 反復処理、冷却処理の終了後に、再度、反復処理、冷却処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の浸炭処理方法。
  3. 前記処理セットに含まれる拡散処理の時間に対する浸炭処理の時間の処理時間割合を、先行に反復処理と後続の反復処理とで変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の浸炭処理方法。
  4. 先行の処理セットにおける処理時間割合に対して、後続の処理セットにおける処理時間割合を大きくすることを特徴とする請求項3に記載の浸炭処理方法。
  5. オーステナイト系ステンレス鋼の被処理物に対して、均熱かつ減圧状態で炭化水素ガスを用いた浸炭処理と、前記炭化水素ガスを排出した拡散処理とを組み合わせた処理セットを複数回、繰り返す反復処理において、
    前記処理セットに含まれる拡散処理の時間に対する浸炭処理の時間の処理時間割合を、先行に反復処理に対して後続の反復処理において大きくするとともに、
    前記被処理物に対して、オーステナイト組織を維持しマルテンサイト化を抑制しながら冷却する冷却処理により、浸炭を行なったことを特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼の加工品。
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