JP2013150496A - スイッチング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度センサを用いることなく、スイッチング回路のトランジスタとダイオードの温度を推定し、推定した温度に基づいてPWM信号を生成するためのキャリア信号と指令信号のいずれかに加えるオフセット電圧を決定する。
【解決手段】本明細書が開示するスイッチング装置は、トランジスタとダイオードの並列接続で構成される複数のスイッチング回路と、各トランジスタにPWM信号を供給するコントローラを備える。コントローラは、スイッチング装置に印加される入力電圧VHとスイッチング回路に流れる電流Icに基づいて各スイッチング回路のトランジスタとダイオードの損失を推定する。そしてコントローラは、推定した損失からトランジスタとダイオードの夫々の温度を推定する。さらにコントローラは、推定した温度に基づいて、PWM信号を生成するためのキャリア信号と指令信号のいずれかに加えるオフセット電圧を決定する。
【選択図】図1
【解決手段】本明細書が開示するスイッチング装置は、トランジスタとダイオードの並列接続で構成される複数のスイッチング回路と、各トランジスタにPWM信号を供給するコントローラを備える。コントローラは、スイッチング装置に印加される入力電圧VHとスイッチング回路に流れる電流Icに基づいて各スイッチング回路のトランジスタとダイオードの損失を推定する。そしてコントローラは、推定した損失からトランジスタとダイオードの夫々の温度を推定する。さらにコントローラは、推定した温度に基づいて、PWM信号を生成するためのキャリア信号と指令信号のいずれかに加えるオフセット電圧を決定する。
【選択図】図1
Description
本明細書は、直流電力を交流電力に変換して出力するインバータに代表されるスイッチング装置に関する。
インバータに代表されるスイッチング装置は、IGBTなどのトランジスタとダイオードが逆並列に接続されたスイッチング回路を多数有する。以下では、スイッチング回路に用いられるトランジスタやダイオードをスイッチング素子と総称することがある。大出力のモータに電力を供給する電圧コンバータやインバータでは、スイッチング回路の温度上昇を抑えることが一つの課題となっている。スイッチング回路の温度上昇を抑制する技術の一つに、トランジスタを駆動するPWM信号を工夫し、スイッチング回路を構成するトランジスタとダイオードをバランスよく発熱させ、スイッチング回路全体の温度上昇を抑制する技術が特許文献1に開示されている。その技術は、スイッチング素子の温度に基づいて、トランジスタを駆動するPWM信号のデューティ比を調整するというものである。その調整は具体的には、次の通りである。PWM信号は、インバータの出力目標である正弦波(指令信号と称する)を、鋸状や三角状の波形(キャリア信号)と比較し、指令信号の電圧値がキャリア信号の電圧値よりも大きい期間をHigh出力とし、逆の期間をLow出力とするパルス信号である。特許文献1の技術は、キャリア信号と指令信号のいずれか一方の信号にオフセット電圧を加えた後に比較してPWM信号を生成する。オフセット電圧の大きさの決め方については、特許文献1を参照されたい。
特許文献1の技術は、スイッチング回路を構成するトランジスタとダイオードのそれぞれの温度を計測する必要がある。そのために各トランジスタとダイオードに温度センサを設置する。各トランジスタとダイオードに温度センサを設置するにはコストが嵩む。本明細書は、他の情報から、各トランジスタとダイオードの温度を推定することによって、温度センサを備えることなく、上記したオフセット電圧を決定し、スイッチング回路の温度上昇を抑制する技術を提供する。
本明細書が開示する技術は、トランジスタとダイオードの並列接続で構成される複数のスイッチング回路と、各トランジスタにPWM信号を供給するコントローラを備えるスイッチング装置を提供する。そのコントローラは、次の処理を行う。コントローラは、まず、スイッチング装置に印加される入力電圧VHとスイッチング回路に流れる電流Icに基づいて各スイッチング回路のトランジスタとダイオードの損失(総損失)を推定する。次いで、コントローラは、推定した損失からトランジスタとダイオードの夫々の温度を推定する。コントローラは、推定した温度に基づいて、PWM信号を生成するためのキャリア信号と指令信号のいずれかに加えるオフセット電圧を決定する。なお、コントローラは、決定したオフセット電圧をキャリア信号と指令信号のいずれかに加えてもよいし、決定したオフセット電圧を適宜の割合でキャリア信号と指令信号のそれぞれに加えてもよい。ここで、総損失は、スイッチング損失+定常損失である。
温度推定の好適な一実施形態は次の通りである。スイッチング装置は、トランジスタとダイオードの夫々について次のマップ群を記憶している記憶装置を備える。そのマップ群とは、入力電圧VHの値と電流Icの値の組に対してスイッチング損失Wsの推定値が対応付けられているスイッチング損失マップと、キャリア信号の周波数に対して周波数補正係数Cfの値が対応付けられている周波数補正係数マップと、オフセット電圧の値に対してオフセット補正係数Csの値が対応付けられているオフセット補正係数マップと、スイッチング回路を冷却する冷媒の流量の値に対して冷却補正係数Crの値が対応付けられている冷却補正係数マップである。上記マップ群の各値は、実験やシミュレーションなどにより予め定められる。コントローラは、上記マップ群を使って、トランジスタとダイオードの夫々について、次の通りにスイッチング素子(トランジスタとダイオード)の総損失推定値と温度推定値を求める。
(1−1)スイッチング損失マップを使って入力電圧VHと電流Icからスイッチング損失の推定値Wsを求める。
(1−2)周波数補正係数マップを使って現在のキャリア信号の周波数から周波数補正係数Cfを求める。
(1−3)オフセット補正係数マップを使って現在のオフセット電圧からオフセット補正係数Csを求める。
(1−4)冷却補正係数マップを使って現在の冷媒流量から冷却補正係数Crを求める。
(1−5)Wa=Ws×Cf×Csの式を使って総損失の推定値Waを求める。
(1−6)スイッチング回路を冷却する冷媒の温度Tcを用いてスイッチング素子の温度推定値Tを、T=Tc+dT=Tc+Wa×Crで求める。ここで、dT=Wa×Crは、冷媒温度Tcに対するスイッチング素子の差分温度である。
(1−1)スイッチング損失マップを使って入力電圧VHと電流Icからスイッチング損失の推定値Wsを求める。
(1−2)周波数補正係数マップを使って現在のキャリア信号の周波数から周波数補正係数Cfを求める。
(1−3)オフセット補正係数マップを使って現在のオフセット電圧からオフセット補正係数Csを求める。
(1−4)冷却補正係数マップを使って現在の冷媒流量から冷却補正係数Crを求める。
(1−5)Wa=Ws×Cf×Csの式を使って総損失の推定値Waを求める。
(1−6)スイッチング回路を冷却する冷媒の温度Tcを用いてスイッチング素子の温度推定値Tを、T=Tc+dT=Tc+Wa×Crで求める。ここで、dT=Wa×Crは、冷媒温度Tcに対するスイッチング素子の差分温度である。
温度推定の別の好適な一実施形態は次の通りである。記憶装置は、トランジスタとダイオードの夫々について次のマップ群を記憶している。そのマップ群とは、電流Icの値に対してON抵抗Rnの値が対応付けられているON抵抗マップと、入力電圧VHの値と電流Icの値の組に対してスイッチング損失Wsの値が対応付けられているスイッチング損失マップと、スイッチング回路を冷却する冷媒の流量の値に対して冷却補正係数Crの値が対応付けられている冷却補正係数マップである。コントローラは、上記マップ群を使って、トランジスタとダイオードの夫々について、次の通りにスイッチング素子(トランジスタとダイオード)の総損失推定値と温度推定値を求める。
(2−1)ON抵抗マップを使って電流IcからON抵抗Rnを求める。
(2−2)定常損失WcをWc=Ic2×Rnの式で求める。
(2−3)スイッチング損失マップを使って入力電圧VHと電流Icの値からスイッチング損失Wsを求める。
(2−4)定常損失Wcの時間積分値Wciとスイッチング損失Wsの時間積分値Wsiを加算して総損失の推定値Waを求める。
(2−5)冷却補正係数マップを使って現在の冷媒流量から冷却補正係数Crを求める。(2−6)スイッチング回路を冷却する冷媒の温度Tcに対する素子の温度差分dTを、dT=Wa×Crで求める。ここで、dT=Wa×Crは、冷媒温度Tcに対するスイッチング素子の差分温度である。
(2−1)ON抵抗マップを使って電流IcからON抵抗Rnを求める。
(2−2)定常損失WcをWc=Ic2×Rnの式で求める。
(2−3)スイッチング損失マップを使って入力電圧VHと電流Icの値からスイッチング損失Wsを求める。
(2−4)定常損失Wcの時間積分値Wciとスイッチング損失Wsの時間積分値Wsiを加算して総損失の推定値Waを求める。
(2−5)冷却補正係数マップを使って現在の冷媒流量から冷却補正係数Crを求める。(2−6)スイッチング回路を冷却する冷媒の温度Tcに対する素子の温度差分dTを、dT=Wa×Crで求める。ここで、dT=Wa×Crは、冷媒温度Tcに対するスイッチング素子の差分温度である。
オフセット電圧は、好適には、トランジスタの温度推定値とトランジスタ許容上限温度との差と、ダイオードの温度推定値とダイオード許容上限温度との差が等しくなるように決めればよい。あるいは、オフセット電圧は、トランジスタの総損失の推定値とダイオードの総損失の推定値の和が最小となるように決めてもよい。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は、発明の実施形態の項にて詳しく説明する。
図1に、実施例に係る電気自動車の模式的システム図を示す。なお、図1のシステム図は、本発明に関係する要素のみ示しており、車両が備える全ての要素を示してはいないことに留意されたい。本実施例の電気自動車は、車輪駆動用のモータ8とエンジン6を備えるハイブリッド車2である。まず、ハイブリッド車2の駆動機構系を説明する。エンジン6の出力トルクとモータ8の出力トルクは、動力分配器7によって加算/分配される。大きな加速度が必要な場合は、動力分配器7がエンジン6とモータ8の出力トルクを加算し、車軸9へ伝える。一定の速度を維持する場合など、大きな加速度が必要とされない場合には、動力分配器7がエンジン6の出力トルク、あるいはモータ8の出力トルクを車軸9へ伝える。バッテリ3の残量(SOC:State Of Charge)が十分に大きい場合は、ハイブリッド車2は、エンジン6を停止し、モータ8の出力トルクのみで走行する。バッテリ3の残量が少なくなると、ハイブリッド車2は、エンジン6を始動し、動力分配器7が、エンジン6の出力トルクの一部を車軸9へ伝達し、残りをモータ8へ伝達する。モータ8はエンジン6の駆動力によって回転させられ、発電する。ハイブリッド車2は、発電によって得た電力を使ってバッテリ3を充電する。
ハイブリッド車2は、また、車両の運動エネルギ(減速により失う運動エネルギ)を電気エネルギに変換してバッテリ3を充電することもできる。具体的には、運転者がブレーキを踏んだ際、ハイブリッド車2は、車輪の回転に連動して回転するモータ8で発電しバッテリ3を充電する。なお、バッテリ3の電力でモータ8を駆動することを「力行」と称し、車両の運動エネルギによってモータを回転させて発電することを「回生」と称する。
次にハイブリッド車2の電気系を説明する。バッテリ3は、システムメインリレー4を介してパワーコントローラ5内の電圧コンバータ12に接続している。電圧コンバータ12は、バッテリ3の出力電圧をモータの駆動に適した電圧に昇圧する昇圧動作と、モータ8が発電した電力の電圧をバッテリ3の電圧まで降圧する降圧動作を行うことができる昇降圧コンバータである。例えば、バッテリ3の出力電圧は300V程度であり、モータ駆動電圧は600V程度である。電圧コンバータ12は、IGBTとダイオードの逆並列接続で構成された2つのスイッチング回路とリアクトルで構成される。図1に示される昇降圧コンバータの回路は良く知られているので詳しい説明は省略する。電圧コンバータ12の低電圧側(バッテリ側)の端子にはフィルタコンデンサC2が接続されている。フィルタコンデンサC2は、リアクトルによって生じる電流の脈動を抑制するために備えられている。電圧コンバータ12の高電圧側(インバータ回路側)の端子には平滑化コンデンサC1が接続されている。平滑化コンデンサC1は、インバータ13に入力される電流の脈動を抑制するために備えられている。インバータ13の入力側には、インバータ13に印加される電圧を計測するための電圧センサ16が備えられている。
電圧コンバータ12の高電圧側は、インバータ13の入力端に接続されている。インバータ13では、6個のトランジスタTr1〜Tc6、及び、6個のダイオードD1〜D6(還流ダイオード)が図に示す回路を構成している。それぞれのトランジスタとダイオードは逆並列に接続され、一つのスイッチング回路を構成している。例えば、トランジスタTr1とダイオードD1の逆並列接続によってスイッチング回路SW1が構成される。他のスイッチング回路については符号を省略する。図に示すように、直列に接続された2個のスイッチング回路が3組、並列に接続されている。3組のそれぞれからUVWの3相の交流電力が出力される。良く知られているように、高電位側のトランジスタTr1〜Tc3を通るラインは「上アーム」と呼ばれ、低電位側のトランジスタTc4〜Tc6を通るラインは「下アーム」と呼ばれる。また、上アームに電力を供給する共通の高電位線はP線と呼ばれ、下アームに共通する低電位線はN線と呼ばれることがある。N線は、バッテリ3の低電位側端子に直接繋がっている。インバータ13とモータ8を繋ぐケーブルの夫々に電流センサ14a、14b、及び、14cが設置されている。電流センサ14a〜14cは、例えば、ホール素子を使った非接触タイプの電流センサである。電流センサ14aはU相に流れる電流を計測し、電流センサ14bはV相に流れる電流を計測し、電流センサ14cはW相に流れる電流を計測する。電流センサ14a〜14cは、モータ8への電流フィードバック制御に用いられる。また、電流センサ14a〜14cのデータは、後述するように、各トランジスタとダイオードの温度推定にも用いられる。
インバータ13には、トランジスタやダイオードの温度上昇を抑制するために冷却器(不図示)が取り付けられている。冷却器は、ポンプによってLLC(Long Life Coolant)などの冷媒を循環させるタイプである。冷却器には、冷媒の温度を計測する温度センサ17が備えられている。温度センサ17が計測する冷媒の温度Tcも、コントローラ20に送られる。後述するように、コントローラ20は、電圧センサ16と電流センサ14a〜14cのセンサデータとともに、温度センサ17のセンサデータを使ってトランジスタ等の温度を推定する。
インバータ13の各スイッチング回路に与えるPWM信号はコントローラ20が生成する。コントローラ20は、上位のコントローラ(不図示)からモータ8の目標出力を与えられ、その目標出力を実現するPWM信号を生成する。PWM信号は、モータ目標出力に相当する正弦波(指令信号と称する)を、鋸状や三角状の波形(キャリア信号)と比較し、指令信号の電圧値がキャリア信号の電圧値よりも大きい期間をHigh出力とし、逆の期間をLow出力とするパルス信号である。通常のPWM信号の生成プロセスは良く知られているので、説明は省略する。なお、通常は、キャリア信号のゼロ点と、指令信号のゼロ点は一致している。
コントローラ20は、各アームのトランジスタの温度推定値とダイオードの温度推定値に応じて、指令信号に電圧のオフセット(オフセット電圧)を加える。即ち、キャリア信号のゼロ点と指令信号のゼロ点をシフトさせる。オフセット電圧の分だけ、PWM信号のデューティ比が変化する。オフセット電圧を適切に選定すると、スイッチング回路を構成するトランジスタとダイオードの発熱量の差が小さくなり、トータルの発熱量が抑えられる。次に、トランジスタとダイオードの温度推定と、オフセット電圧決定のプロセスを説明する。
インバータ13は、トランジスタとダイオードで構成される複数のスイッチング回路を備えている。以下では、一例として、スイッチング回路SW1を構成するトランジスタTr1の温度推定プロセスを説明する。ダイオードD1や他のスイッチング回路のトランジスタとダイオードの温度推定値も、同様のプロセスで求められることに留意されたい。
コントローラ20は、トランジスタTr1とダイオードD1で構成されるスイッチング回路を流れる電流と、インバータ13に印加される電圧に基づいてトランジスタTr1の温度とダイオードD1の温度を推定する。トランジスタTr1とダイオードD1で構成されるスイッチング回路SW1はU相の電流を制御するので、スイッチング回路SW1を流れる電流は、U相の電流を計測する電流センサ14aから得られる。今、U相を流れる電流を「電流Ic」と表す。インバータ13に印加される電圧は、電圧センサ16の計測値であり、以下、「入力電圧VH」と表す。
コントローラ20は、いくつかのマップを記憶している。ここで、マップとは、特定の物理量の推定値を、他の物理量を変数として対応付けたものである。別言すれば、「他の物理量」は関数における独立変数に相当し、「物理量の推定値」が従属変数に相当する。以下、マップ群について説明する。
(1)スイッチング損失マップ:このマップは、入力電圧VHの値と電流Icの値の組に対してスイッチング損失の推定値Ws(スイッチング損失推定値Ws)が対応付けられているマップである。別言すれば、このマップは、電流Icと入力電圧VHを独立変数とし、素子のスイッチング損失推定値Wsを従属変数とする関数に相当するマップである。スイッチング損失推定値Wsは、印加される入力電圧VHと流れる電流Icとの間に一定の関係があることが知られている。スイッチング損失マップは、実際のデバイスでの試験やシミュレーションなどによってその関係を特定して作成される。即ち、スイッチング損失マップの値は、実際のデバイスに依存する。スイッチング損失マップは、トランジスタTr1とダイオードD1の夫々に対して用意されている。また、力行時と回生時に対しても夫々用意されている。回生とは、車両の運動エネルギを利用してモータ8が発電した交流電力をインバータ13が直流に変換することであり、コントローラ20は、回生時にも、スイッチング回路の温度を推定する。結局、トランジスタTr1に対して力行用と回生用のスイッチング損失マップが用意されており、ダイオードD1に対して力行用と回生用のスイッチング損失マップが用意されている。図2に、スイッチング損失マップの例を示す。なお、スイッチング損失マップは、PWM信号を生成する際のキャリア周波数f=faの場合のスイッチング損失推定値を表すものとする。図2のマップ中の記号Lta11、Ltb11、Lda11,Ldb11等は、スイッチング損失推定値Wsの具体的な値を意味する。
(2)周波数補正係数マップ:このマップは、キャリア周波数に対して予め定められている周波数補正係数Cfのマップである。周波数補正係数Cfは、キャリア周波数に依存する損失の変化を修正するための係数である。コントローラ20は、周波数補正係数マップを参照し、温度を推定するときの実際のキャリア周波数f=fcに対する周波数補正係数Cfを特定する。周波数補正係数Cfは、具体的には、上記したスイッチング損失マップを作製した際のキャリア周波数faと、温度推定する際のキャリア周波数fcを独立変数とし、周波数補正係数Cfを従属変数とする関数に相当するマップである。スイッチング損失Wsは、キャリア周波数にも依存する。前述したスイッチング損失マップの値は、キャリア周波数f=faのときのスイッチング損失をマップ化したものである。周波数補正係数Cfは、温度推定する際のキャリア周波数fcがfaと異なる場合に、その相違に基づいてスイッチング損失マップの値を補正する係数である。それゆえ、faとfcが等しい場合には、周波数補正係数Cfは1.0となる。周波数補正係数Cfも予め定められている。すなわち、周波数補正係数マップも、実際のデバイスでの試験やシミュレーションなどによって予め作成される。また、スイッチング損失マップに対応して、周波数補正係数Cfもトランジスタとダイオードの夫々に対して設定されている。周波数補正係数マップの一例を図3に示す。図3のマップ中の記号fa1等は、スイッチング損失マップを作製した際のキャリア周波数faの具体的な値を意味する。fc1等は、現在のキャリア周波数f=fcの具体的な値を意味する。Cft11、Cfd11等は、周波数補正係数Cfの具体的な値を意味する。
(3)オフセット補正係数マップ:このマップは、オフセット電圧dVに対して予め定められているオフセット補正係数Csの値が対応付けられているマップである。ここで、オフセット電圧dVは、キャリア信号の振幅が0.0から1.0の間となるように正規化したときの、キャリア信号の中間点(=0.5)に対する指令信号(正弦波信号)のゼロ点の位置を決定する値である。正規化後のキャリア信号は最低値ゼロ、最大値1.0、中間値0.5である。ゆえに、オフセット電圧dVは、ゼロから1.0の間の値を取り、オフセット電圧がゼロのときにはdV=0.5(正規後のキャリア信号の中間点)となる。ただし、オフセット電圧dVは、概ね、0.3〜0.7の間で調整される。オフセット補正係数マップの一例を図4に示す。図4のマップ中の記号dV1等は、オフセット電圧dVの具体的な値を意味する。記号Cs1等は、補正係数Csの具体的な値を意味する。オフセット補正係数マップも、実際のデバイスでの試験やシミュレーションなどによって予め作成される。
(4)冷却補正係数マップ:このマップは、スイッチング回路を冷却する冷媒の流量の値に対して冷却補正係数Crの値が対応付けられているマップである。素子温度上昇は、冷媒の流量にも依存する。冷媒の流量が大きいほど、素子温度上昇は小さくなる。冷媒の流量と素子温度上昇との間にも、実際のデバイスに依存して一定の関係が成立する。冷却補正係数マップの一例を図5に示す。図5のマップ中の符号Q1等は、冷媒の流量Qの具体的な値を意味する。符号Cr1等は、補正係数Crの具体的な値を意味する。なお、冷媒の流量Qは、冷媒を送り出すポンプの出力に依存するため、素子の温度を推定する際のポンプ出力の値が、冷媒の流量Qの代替値として用いられる。即ち、冷却補正係数マップの変数は、理論的には冷媒流量Qであるが、実際にはポンプ出力となる。ポンプ出力は素子の温度や車速に応じてコントローラ20が決めるものであるため、コントローラ20は、素子の温度を推定する時点でのポンプ出力から、冷却補正係数マップを参照して補正係数Crを定めることになる。
次に、上記した4つのマップを使ってのトランジスタTr1の推定温度の算出アルゴリズムを説明する。コントローラ20は、電圧センサ16からインバータ13への入力電圧VHを取得する。同時に、U相の電力供給線に取り付けた電流センサ14aからU相上アームのスイッチング回路SW1を流れる電流Icを取得し、温度センサ17からスイッチング回路を冷却する冷媒の温度Tcを取得する。コントローラ20は、記憶されているスイッチング損失マップを参照し、取得した入力電圧VHと電流Icに対応するスイッチング損失推定値Wsを特定する。例えば、現在が力行状態であり、入力電圧VH=VH1、電流Ic=Ic1とすると、図2(A)のマップにて、入力電圧VH=VH1と電流Ic=Ic1に対応するスイッチング損失推定値Lta11が、求めるスイッチング損失推定値Wsに相当する。即ち、求めるスイッチング損失推定値Ws=Lta11となる。なお、計測した入力電圧VHの値と電流Icの値がマップ上にない場合には、コントローラ20は、計測した入力電圧VHの値と電流Icの近傍の4点の値から内挿補間にて対応するスイッチング損失推定値Wsを求める。
次に、コントローラ20は、周波数補正係数マップ(図3(A))を参照し、現在のキャリア周波数fcに対応するキャリア周波数補正係数Cfを求める。例えば、現在のキャリア周波数がfc1の場合、キャリア周波数補正係数CfはCft11となる。
次に、コントローラ20は、オフセット補正係数マップ(図4)を参照し、現在のオフセット電圧dVに対応するオフセット補正係数Csを求める。例えば、現在のオフセット電圧がdV1の場合、オフセット補正係数CsはCs1となる。
次にコントローラ20は、マップより得られたスイッチング損失推定値Ws=Lta11、マップより得られたキャリア周波数補正係数Cf=Cf1、及び、マップより得られたオフセット補正係数Cs=Cs1を用い、数式:総損失推定値Wa=Ws×Cf×Csによって総損失の推定値Wa(総損失推定値Wa)を求める。上記例の場合、総損失推定値Wa=Lta11×Cf1×Cs1となる。総損失推定値Waは、スイッチング損失の推定値と定常損失の推定値を合計したものである。総損失推定値Wa=Ws×Cf×Csの式は、スイッチング損失と定常損失との間に存在する関係を利用したものである。その関係が、キャリア周波数補正係数Cfとオフセット補正係数Csで表されていることになる。
次に、コントローラ20は、冷却補正係数マップ(図5)を使って現在の冷媒流量Qに対応する冷却補正係数Crを求める。なお、前述したように、冷媒流量Qは、コントローラ20が決定するポンプ出力に対応して特定される。コントローラ20は、スイッチング損失の推定値Waと取得した冷却補正係数Crを使って、冷媒温度Tcに対するトランジスタTr1の温度上昇分dTを、数式dT=Wa×Crによって求める。最後にコントローラ20は、冷媒温度Tcに温度上昇分dTを加算し、トランジスタTr1の推定温度Teを求める(Te=Tc+Wa×dT)。同様にしてコントローラ20は、トランジスタTr1と対をなしてスイッチング回路SW1を構成するダイオードD1の推定温度Tdを求める。以上の温度推定プロセスを以下では第1温度推定プロセスと称することにする。
次に、オフセット電圧dVを決定するプロセスを説明する。前述したように、トランジスタTr1の推定温度Teと、ダイオードD1の推定温度Tdは、ともに、オフセット電圧dVをパラメータに含んでいる。即ち、第1温度推定プロセスは、トランジスタTr1とダイオードD1の推定温度を求めるというだけでなく、オフセット電圧dVを変化させたときのトランジスタTr1とダイオードD1の予想温度を与える。他方、トランジスタとダイオードには、その物理的特性、及び、インバータ13に課せられる制約から定まる許容上限温度がある。コントローラ20は、許容上限温度を記憶している。今、トランジスタTr1の許容上限温度をTe_lmtで表し、ダイオードD1の許容上限温度をTd_lmtと表す。コントローラ20は、オフセット電圧dVを変数として、トランジスタTr1の温度推定値Te(即ち、特定のオフセット電圧dVに対するトランジスタの予想温度)とトランジスタ許容上限温度Te_lmtとの温度差(Te_lmt−Te)と、ダイオードD1の温度推定値Tdとダイオード許容上限温度Td_lmtとの温度差(Td_lmt−Td)を算出する。そして、コントローラ20は、オフセット電圧dVを様々に変えてトランジスタの温度差(Te_lmt−Te)とダイオードの温度差(Td_lmt−Td)を算出し、温度差(Te_lmt−Te)と温度差(Td_lmt−Td)が等しくなるオフセット電圧dVを決定する。このプロセスは、トランジスタTr1の温度Teがその許容上限温度Td_lmtに近く、ダイオードD1の温度Tdは、その許容上限温度Td_lmtまで余裕がある場合に、トランジスタTr1の発熱量を抑えるように、逆にダイオードD1の発熱量が多くなるようにオフセット電圧dVを定めることを意味する。そのようにオフセット電圧dVを決定することによって、スイッチング回路SW1の全体が許容上限温度に達することを遅らせることができる。上記のオフセット電圧の決定プロセスを、第1オフセット電圧決定プロセスと称する。
第1オフセット電圧決定プロセスの変形例として、コントローラ20は、トランジスタの温度推定値Teとトランジスタ許容上限温度Te_lmtとの比と、ダイオードの温度推定値Tdとダイオード許容上限温度Td_lmtとの比が等しくなるように、オフセット電圧を決めてもよい。
次に、オフセット電圧の別の決定プロセスを説明する。第1温度推定プロセスにおいて、コントローラ20は、トランジスタTr1の総損失推定値Wa_tを得る。同様にしてコントローラ20は、ダイオードD1の総損失推定値Wa_dを得る。総損失推定値を得る数式(総損失推定値Wa=Ws×Cf×Cs)から明らかなとおり、総損失推定値Wa_t(Wa_d)も、オフセット電圧dVをパラメータに含んでいる(オフセット補正係数Csを求める際にオフセット電圧dVを用いた)。それゆえ、総損失推定値Wa_t(Wa_d)は、オフセット電圧dVを変化させたときの予想総損失を与える。そこで、コントローラ20は、オフセットdVを様々に変化させ、トランジスタの総損失推定Wa_t(総損失の予想値)とダイオードの総損失推定値Wa_d(総損失の予想値)の和が最小となるように、オフセット電圧を決定する。この決定プロセスによれば、トランジスタTr1とダイオードD1の逆並列回路で構成されるスイッチング回路の総損失を最小にすることができる。スイッチング回路の総損失を最小にできれば、そのスイッチング回路の温度上昇も抑制できる。このオフセット電圧の決定プロセスを、第2オフセット電圧決定プロセスと称する。
次に、上記した第1温度推定プロセスとは別の温度推定プロセスを説明する。このプロセスを実施するに際して、コントローラ20は、第1温度推定プロセスにて用いられた周波数補正係数マップ、オフセット補正係数マップに代えて、ON抵抗マップを記憶している。ON抵抗マップは、電流Icの値に対して素子(トランジスタあるいはダイオード)のON抵抗Rnの値が対応付けられているマップである。ON抵抗とは、素子(トランジスタあるいはダイオード)に電流を流したときの電気抵抗であり、素子の物理的性質で定まる。それゆえ、ON抵抗の値は、事前の試験あるいはシミュレーションなどで予め求められる。また、ON抵抗は、流す電流の大きさによって異なる。ON抵抗マップは、トランジスタとダイオードの夫々に対して用意される。以下、トランジスタ用のON抵抗を記号Rntで表し、ダイオード用のON抵抗を記号Rndで表す。ON抵抗マップの一例を図6に示す。
コントローラ20は、ON抵抗マップ(図6)、スイッチング損失マップ(図2)、及び、冷却補正係数マップ(図5)を用い、次の計算によって、トランジスタとダイオードの温度推定値を求める。以下では、トランジスタTr1を例として、その温度推定プロセスを説明する。
コントローラ20は、電圧センサ16からインバータ13への入力電圧VHを取得する。同時に、U相の電力供給線に取り付けた電流センサ14aからU相上アームのスイッチング回路SW1(トランジスタTr1とダイオードD1で構成されるスイッチング回路)を流れる電流Icを取得し、温度センサ17からスイッチング回路SWを冷却する冷媒の温度Tcを取得する。コントローラ20は、トランジスタ用のON抵抗マップを参照し、取得した電流Icに対応するON抵抗Rntを求める。次にコントローラ20は、トランジスタTr1の定常損失の推定値Wcを、Wc=Ic2×Rnの式で求める。定常損失が、流れる電流の二乗とON抵抗の積で求められることはよく知られている。
次に、コントローラ20は、スイッチング損失マップを参照し、取得した入力電圧VHと電流Icの値の組に対応するスイッチング損失の推定値Wsを求める。スイッチング損失推定値Wsの求め方は、第1温度推定プロセスの場合と同じである。コントローラ20は、定常損失推定値Wcの時間積分値Wciとスイッチング損失推定値Wsの時間積分値Wsiを加算して総損失推定値Waを求める。総損失推定値Waからトランジスタの推定温度Teを求めるプロセスは、第1温度推定プロセスの場合と同じである。即ち、コントローラ20は、冷却補正係数マップを参照し、現在の冷媒流量Qから冷却補正係数Crを求める。コントローラ20は、スイッチング損失の推定値Waと取得した冷却補正係数Crを使って、冷媒温度Tcに対するトランジスタTr1の温度上昇分dTを、数式dT=Wa×Crによって求める。最後にコントローラ20は、冷媒温度Tcに温度上昇分dTを加算し、トランジスタTr1の温度推定値Teを求める(Te=Tc+Wa×dT)。ダイオードD1の温度推定値Tdについても、同様のプロセスによって求めることができる。以上の温度推定プロセスを以下では第2温度推定プロセスと称することにする。
以上説明したように、本明細書が開示する技術は、スイッチング装置に印加される入力電圧VHと、スイッチング回路に流れる電流Icに基づいてスイッチング回路を構成するトランジスタとダイオードの総損失(=スイッチング損失+定常損失)の推定値Waを求め、さらに総損失の推定値Waと、スイッチング回路を冷却する冷媒の温度Tcから、トランジスタの温度推定値Teとダイオードの温度推定値Tdを求めた。そして、求めた温度推定度Te、Tdを用いて、キャリア信号のゼロ点と指令信号のゼロ点の差であるオフセット電圧を決定した。オフセット電圧を導入することで、スイッチング回路の温度上昇を抑えることができる。本明細書が開示する技術は、トランジスタとダイオードの温度を推定することによって、それらの温度を計測するセンサを要することなく、オフセット電圧というパラメータを導入してスイッチング回路の温度上昇を抑制することができる。即ち、本明細書が開示する技術の一つの利点は、温度センサを必要としないのでコストメリットがあるということである。
本明細書が開示する技術に関する留意点を述べる。本明細書が開示する技術の適用先の好適な一例は、電気自動車の走行用モータに電力を供給するインバータである。本明細書が開示する技術をインバータに適用すると、インバータの温度上昇を抑えることができる。インバータの発熱が厳しい状況の一つに、車輪が輪止めなどに当たり、アクセルを踏んでも車輪が動かない、いわゆる車輪ロック状況がある。そのような状況では、アクセル開度に応じてインバータがモータへ電力を供給するが、車輪(モータ)は輪止めに当たっており、回転できない。モータが回転しないとUVW3相の位相が動かず、UVW各相の出力電流がほぼ一定となってしまう。車輪ロックし始めたときに大きい電流が流れていた相には、その大きさの電流がほぼ一定で流れ続けることになる。即ち、その相に対応するスイッチング回路だけが特別に発熱する状況となる。本明細書が開示する技術は、そのような車輪ロックに対しても有効である。
本明細書が開示する技術を電気自動車に適用した場合の利点は、車輪ロック時に限らず、登坂時や段差乗り越え時にも有効である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:ハイブリッド車
3:バッテリ
4:システムメインリレー
5:パワーコントローラ
6:エンジン
7:動力分配器
8:モータ
9:車軸
12:電圧コンバータ
13:インバータ
14a、14b、14c:電流センサ
16:電圧センサ
17:温度センサ
20::コントローラ
Cf:キャリア周波数補正係数
Cr:冷却補正係数
Cs:オフセット補正係数
Rn:ON抵抗
3:バッテリ
4:システムメインリレー
5:パワーコントローラ
6:エンジン
7:動力分配器
8:モータ
9:車軸
12:電圧コンバータ
13:インバータ
14a、14b、14c:電流センサ
16:電圧センサ
17:温度センサ
20::コントローラ
Cf:キャリア周波数補正係数
Cr:冷却補正係数
Cs:オフセット補正係数
Rn:ON抵抗
Claims (5)
- トランジスタとダイオードの並列接続で構成される複数のスイッチング回路と、各トランジスタにPWM信号を供給するコントローラを備えるスイッチング装置であって、
コントローラは、
スイッチング装置に印加される入力電圧VHとスイッチング回路に流れる電流Icに基づいて各スイッチング回路のトランジスタとダイオードの損失を推定し、
推定した損失からトランジスタとダイオードの夫々の温度を推定し、
推定した温度に基づいて、PWM信号を生成するためのキャリア信号と指令信号のいずれかに加えるオフセット電圧を決定する、
ことを特徴とするスイッチング装置。 - スイッチング装置は、記憶装置を備えており、
記憶装置は、トランジスタとダイオードの夫々について以下のマップ、即ち、
入力電圧VHの値と電流Icの値の組に対してスイッチング損失Wsの推定値が対応付けられているスイッチング損失マップと、
キャリア信号の周波数に対して周波数補正係数Cfの値が対応付けられている周波数補正係数マップと、
オフセット電圧の値に対してオフセット補正係数Csの値が対応付けられているオフセット補正係数マップと、
スイッチング回路を冷却する冷媒の流量の値に対して冷却補正係数Crの値が対応付けられている冷却補正係数マップと、
を記憶しており、
コントローラは、トランジスタとダイオードの夫々について、
スイッチング損失マップを使って入力電圧VHと電流Icからスイッチング損失の推定値Wsを求め、
周波数補正係数マップを使って現在のキャリア信号の周波数から周波数補正係数Cfを求め、
オフセット補正係数マップを使って現在のオフセット電圧からオフセット補正係数Csを求め、
冷却補正係数マップを使って現在の冷媒流量から冷却補正係数Crを求め、
総損失の推定値Waを、Wa=Ws×Cf×Csの式により求め、
スイッチング回路を冷却する冷媒の温度Tcを用いてトランジスタとダイオードの夫々の温度推定値Tを、T=Tc+Wa×Crで求める、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング装置。 - スイッチング装置は、記憶装置を備えており、
記憶装置は、トランジスタとダイオードの夫々について以下のマップ、即ち、
電流Icの値に対してON抵抗Rnの値が対応付けられているON抵抗マップと、
入力電圧VHの値と電流Icの値の組に対してスイッチング損失Wsの推定値が対応付けられているスイッチング損失マップと、
スイッチング装置を冷却する冷媒の流量の値に対して冷却補正係数Crの値が対応付けられている冷却補正係数マップと、
を記憶しており、
コントローラは、トランジスタとダイオードの夫々について、
ON抵抗マップを使って電流IcからON抵抗Rnを求め、
定常損失WcをWc=Ic2×Rnの式で求め、
スイッチング損失マップを使って入力電圧VHと電流Icの値からスイッチング損失Wsを求め、
定常損失Wcの時間積分値Wciとスイッチング損失Wsの時間積分値Wsiを加算して総損失Waを求め、
冷却補正係数マップを使って現在の冷媒流量から冷却補正係数Crを求め、
スイッチング回路を冷却する冷媒の温度Tcを用いてトランジスタとダイオードの夫々の温度推定値Tを、T=Tc+Wa×Crで求める、
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング装置。 - 記憶装置は、トランジスタとダイオードの夫々について、許容上限温度を記憶しており、
コントローラは、トランジスタの推定温度と許容上限温度との差と、ダイオードの推定温度と許容上限温度との差が等しくなるように、オフセット電圧を決めることを特徴とする請求項2又は3に記載のスイッチング装置。 - コントローラは、トランジスタの損失の推定値とダイオードの損失の推定値の和が最小となるように、オフセット電圧を決めることを特徴とする請求項2又は3に記載のスイッチング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012010807A JP2013150496A (ja) | 2012-01-23 | 2012-01-23 | スイッチング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012010807A JP2013150496A (ja) | 2012-01-23 | 2012-01-23 | スイッチング装置 |
Publications (1)
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JP2013150496A true JP2013150496A (ja) | 2013-08-01 |
Family
ID=49047495
Family Applications (1)
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JP2012010807A Pending JP2013150496A (ja) | 2012-01-23 | 2012-01-23 | スイッチング装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2013150496A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019146374A (ja) * | 2018-02-21 | 2019-08-29 | 株式会社日立産機システム | 電力変換装置 |
WO2019202675A1 (ja) * | 2018-04-18 | 2019-10-24 | 三菱電機株式会社 | 電力変換装置 |
-
2012
- 2012-01-23 JP JP2012010807A patent/JP2013150496A/ja active Pending
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