JP2013149566A - 導電性組成物及び接合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性を有する焼成体を形成するための導電性組成物であって、酸化銀粒子と、還元剤と、溶剤と、Ag粒子と、を含み、 前記酸化銀粒子と前記Ag粒子との質量比Ag−O/Agが、3/7≦Ag−O/Ag≦97/3の範囲内とされていることを特徴とする。ここで、前記Ag粒子の平均粒径が20nm以上800nm以下であるこが好ましい。
【選択図】図1
Description
ここで、半導体素子等の電子部品を回路上に接合する際には、例えば特許文献1に示すように、はんだ材を用いた方法が広く使用されている。最近では、環境保護の観点から、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系等の鉛フリーはんだが主流となっている。
金属酸化物粒子と有機物からなる還元剤とを含む酸化物ペーストにおいては、金属酸化物粒子が還元剤によって還元されることによって生成する金属粒子が焼結することで、導電性の焼成体からなる接合層が形成され、この接合層を介して半導体素子等の電子部品が回路上に接合されることになる。
なお、Ag−O/Agが97/3を超える場合には、Ag粒子が不足し、焼成体内部に空隙が多く存在してしまうおそれがある。一方、Ag−O/Agが3/7未満である場合には、酸化銀の還元による発熱量が不足し、焼結や素子との反応が不十分となるおそれがある。したがって、記酸化銀粒子と前記Ag粒子との質量比Ag−O/Agを、3/7≦Ag−O/Ag≦97/3の範囲内に設定している。
この場合、Ag粒子の平均粒径が20nm以上800nm以下の範囲とされていることから、還元Ag粒子の周囲にAg粒子が接触して焼結し易くなり、緻密な構造の導電性焼成体を形成することができる。
詳述すると、Ag粒子の平均粒径を20nm以上とすることによって、酸化銀粒子が還元されて生成する還元Ag粒子と大きさが揃うため、還元Ag粒子及びAg粒子の焼結がより均一に進行するとともに緻密な構造の接合層が形成されるのである。一方、Ag粒子の平均粒径を800nm以下とすることによって、Ag粒子の低温焼結性が向上し、還元Ag粒子との焼結を促進させることが可能となる。
この場合、酸化銀粒子に対して必要な還元剤が確保されているので、酸化銀粒子を確実に還元することができるとともに、還元剤が余剰に添加されていないので、形成された導電性焼成体の内部に還元剤成分が残存することを抑制できる。
この場合、酸化銀粒子が還元されて生成する還元Ag粒子とAg粒子とが焼結することになり、緻密な構造の導電性焼成体を確実に形成することが可能となる。なお、樹脂は、導電性組成物の粘性を調整するものであり、取り扱い性を考慮して必要に応じて添加すればよい。
この場合、Ag粒子に含有される有機物が分解する際の発熱を利用して焼結を促進することができる。これにより、焼結温度を低くすることが可能となる。
この場合、前記第一部材と前記第二部材とを互いに近接する方向に加圧しなくても、酸化銀粒子が還元されて生成する還元Ag粒子とAg粒子とを焼結することによって空隙の少ない緻密な構造の接合層を介して第一部材と第二部材とを接合することができる。よって、接合時における第一部材や第二部材の破損を抑制することができる。
なお、本実施形態における導電性組成物は、その粘度が10Pa・s以上400Pa・s以下、より好ましくは30Pa・s以上300Pa・s以下に調整されている。
アルコールであれば、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の1級アルコールを用いることができる。なお、これら以外にも、多数のアルコール基を有する化合物を用いてもよい。
有機酸であれば、例えば、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナンデカン酸などの飽和脂肪酸を用いることができる。なお、これら以外にも、不飽和脂肪酸を用いてもよい。
なお、導電性組成物を焼結して得られる導電性焼成体(接合層)内部での空隙の発生を抑制するために、熱分解性に優れた分子構造を有する有機物を用いることが好ましい。
具体的には、α-テルピネオール、酢酸2エチルヘキシル、酢酸3メチルブチル等を用いることができる。
例えば、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等を適用することができる。なお、本実施形態では、焼結時に樹脂が焼結温度以下で完全に酸化・分解して導電性焼成体(接合層)内に残存しないようにするため、熱分解性の良いアクリル樹脂を用いた。
このようにして得られたAg粒子(ナノAg粒子)においては、炭素鎖1〜3の原料由来の有機化合物(例えばカルボン酸など)を含有しており、有機化合物のAg粒子中の含有量は、1質量%未満とされている。
本実施形態においては、酸化銀粉末を含有する酸化銀ペーストと、Ag粉末を含有するAgペーストと、を混合、撹拌することで、本実施形態である導電性組成物を製造する構成とされている。
また、樹脂と溶剤とを混合して、有機混合物を生成する(有機物混合工程S02)。
このようにして、前述の酸化銀ペーストが製出されることになる。なお、得られた酸化銀ペーストは、冷蔵庫等によって低温(例えば5〜15℃)で保存しておくことが好ましい。
なお、溶剤は酸化銀ペーストに用いられた溶剤と同種の溶剤を用いることが望ましい。また、このAgペーストの組成は、Ag粉末の含有量が50質量%以上80質量%以下とされ、残りが溶剤とすることが好ましい。
このようにして、本実施形態である導電性組成物が製造されることになる。
本実施形態における接合体10は、図3に示すように、第一部材11と第二部材12とが接合されてなるものであり、第一部材11がSi製基板とされ、第二部材12がサファイア基板とされている。
そして、第一部材11と第二部材12とを積層した状態で加熱炉内に装入し、導電性組成物20の焼結を行う(焼結工程S13)。このとき、加熱炉内は大気雰囲気とし、加熱温度を150℃以上300℃以下、ピーク温度での加熱時間を1分以上2時間以下とした。また、第一部材11と第二部材12とを積層方向に加圧しなかった。
このようにして、第一部材11と第二部材12とが接合されてなる接合体10が製造される。
また、本実施形態においては、導電性組成物に混合する還元剤として、室温で固体であるものを用いているので、焼結工程S13の前に還元反応が進行することを防止できる。
さらに、本実施形態では、焼結工程S13を行う際に第一部材11と第二部材12とを積層方向に加圧していないので、第一部材11や第二部材12の破損を抑制することができる。
例えば、サブミクロンAg粒子であってもよい。このサブミクロンAg粒子は、銀イオン溶液に還元剤を添加して銀微粒子を還元析出させることによって製造される。具体的にはハロゲン化物イオン源として塩化アンモニウム(NH4Cl)、臭化アンモニウム(NH4Br)、ヨウ化アンモニウム(NH4I)、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、またはヨウ化ナトリウム、還元剤としてはヒドロキノンが用いられる。なお、銀濃度に対するハロゲン濃度を調整することによって析出する銀微粒子の粒径(0.2〜1μm)が制御可能である。
また、このサブミクロンAg粒子の平均粒径は、レーザ散乱法(粒子群にレーザ光を照射し、そこから発せられる回折・散乱光の強度分布パターン)から計算によって求めることが可能である。
さらに、本実施形態では、第一部材をSi製基板とし、第二部材をサファイア基板として説明したが、これに限定されることはなく、第一部材及び第二部材に限定はなく、前述の導電性組成物の焼成体によって接合するものであればよい。
例えば、アルミニウム部材同士を接合する場合や、アルミニウム部材とセラミックス基板を接合する場合に適用してもよい。また、銅部材同士を接合する場合や、銅部材とセラミックス基板を接合する場合、アルミニウム部材と銅部材とを接合する場合に適用してもよい。
本実施形態に記載された方法によって導電性組成物を製造した。このとき、表1に示すように、Ag粉末の添加量を変更して11種類の導電性組成物を製造した。
長さ5mm,幅5mm,厚さ0.2mmのサファイア基板を素子として用意した。
Si製基板の表面に、表1に示す導電性組成物を塗布し、上述のサファイア基板を積層した。そして、大気中、300℃で2時間の条件で焼結を行い、接合体を製造した。このとき、表1に示すように積層方向への加圧圧力を変更して接合を実施した。
また、Ag粒子を添加しなかった従来例においても、接合時の加圧圧力を0MPa、1MPaとした場合には接合できなかった。これは、酸化銀粒子のみでは接合時の加圧圧力を高くしないと接合層内部に空隙が発生するためと推測される。
さらに、酸化銀粒子とAg粒子との比Ag−O/Agが1/9とされ、酸化銀粒子に対してAg粒子が非常に多くされた比較例3では、接合時の加圧圧力を0MPa、1MPaとした場合には接合できなかった。また、加圧圧力を高くした場合であってもせん断強度が不十分であった。
11 第一部材
12 第二部材
15 接合層
20 導電性組成物
Claims (7)
- 導電性を有する焼成体を形成するための導電性組成物であって、
酸化銀粒子と、還元剤と、溶剤と、Ag粒子と、を含み、
前記酸化銀粒子と前記Ag粒子との質量比Ag−O/Agが、3/7≦Ag−O/Ag≦97/3の範囲内とされていることを特徴とする導電性組成物。 - 前記Ag粒子の平均粒径が20nm以上800nm以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性組成物。
- 前記酸化銀粒子と前記還元剤との質量比Ag−O/Rが、3/1≦Ag−O/R≦12/1の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性組成物。
- 前記酸化銀粒子を10質量%以上80質量%以下、前記還元剤を1質量%以上10質量%以下、前記Ag粒子を2質量%以上60質量%以下、樹脂を0質量%以上2質量%以下の範囲で含有し、残部が溶剤とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の導電性組成物。
- 前記Ag粒子が有機物を含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の導電性組成物。
- 第一部材と第二部材とが接合されてなる接合体の製造方法であって、
前記第一部材と前記第二部材との間に、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の導電性組成物を介在させた状態で加熱処理を行い、前記第一部材と前記第二部材とを、前記導電性組成物の焼成体からなる接合層を介して接合することを特徴とする接合体の製造方法。 - 前記第一部材と前記第二部材との間に前記導電性組成物を介在させた状態で加熱処理する際に、前記第一部材と前記第二部材とを互いに近接する方向に加圧しないことを特徴とする請求項6に記載の接合体の製造方法。
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