JP2013149519A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保護層上にMgO粉体を分散させるため、インク化し、スリットコータにより塗布するプロセスにおいて、保護層上に分散させるMgO粉体の不均一性を抑制する。
【解決手段】基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成され、前記保護層の形成が、(i)前記基板上に形成された前記誘電体層上にスパッタ法または蒸着法で第1保護層を形成する工程、(ii)前記第1保護層上にスリットコータ法によりMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、および(iii)前記MgO原料層を乾燥し、第2保護層を形成する工程を含み、前記MgO原料が、MgO粉体、溶剤Aおよび溶剤Bを含み、溶剤Aの20℃における蒸気圧が50Pa以上、溶剤Bの20℃における蒸気圧が15Pa以下であり、溶剤Aの粘度が10mPa・s以下であり、溶剤Bの粘度が20mPa・s以上50mPa・s以下である、プラズマディスプレイパネルの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、保護層上に酸化マグネシウムの結晶粉体を散布する工程を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法に関するものである。
高品位テレビジョン画像を大画面で表示するためのディスプレイ装置として、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも称す)を用いたディスプレイ装置への期待は高まっている。
PDPは、映像を見る人から見て表面側となる前面板とその裏側の背面板とを対向配置して、それらの周辺部を封着部材で封着した構造を有している。前面板と背面板との間に形成された放電空間にはネオンおよびキセノンなどの放電ガスが封入されている。前面板は、ガラス基板の一方の面に形成された走査電極と維持電極とから成る表示電極と、これらの電極を覆う誘電体層と保護層とを備えている。背面板は、ガラス基板に上記表示電極と直交する方向にストライプ状に形成された複数のアドレス電極と、これらのアドレス電極を覆う下地誘電体層と、放電空間をアドレス電極毎に区画する隔壁と、隔壁の側面および下地誘電体層上に形成された赤色・緑色・青色の蛍光体層とを備えている。
表示電極とアドレス電極とは直交していて、その交差部が放電セルを成している。これらの放電セルはマトリクス状に配列されており、赤色・緑色・青色の蛍光体層を有する3個の放電セルがカラー表示のための画素となっている。このようなPDPでは、順次、走査電極とアドレス電極間、および走査電極と維持電極間に所定の電圧が印加されてガス放電を発生させている。そして、かかるガス放電で生じる紫外線により蛍光体層を励起して可視光を発光させることによってカラー画像表示を実現している。
このようなPDPの保護層としては、放電によるイオン衝突から誘電体層を保護すると共に、2次電子放出による蛍光体の発光を促進すべく、「壁電荷保持機能を担う薄膜層」と「初期電子放出機能を担う結晶層」との2層構造の保護層が採用される場合がある。かかる保護層の原料としては、一般的には耐スパッタ性能に優れかつ2次電子放出係数の高い酸化マグネシウム(MgO)が用いられる(特許文献1参照)。
特開2009−295372号公報
前記MgO結晶層を形成する方法としては、スリットコータ法が挙げられる。スリットコータ法を用いてMgO結晶層を形成する場合には、「MgO薄膜層上にMgO結晶粉体が存在しない領域」あるいは「周囲領域に比べてMgO結晶粉体の被覆率が低い領域」が形成されてしまう現象(以下では「はじき現象」と称す)が発生することがある。図3は「はじき現象」の態様を模式的に表した斜視図である。
「はじき現象」とは、MgO薄膜層の凸部51起因により生じるものと考えられており、凸部51は、(A)誘電体突起物、(B)MgO薄膜層の蒸着成膜中において発生するMgOスプラッシュ起因のMgO異物、(C)MgO薄膜層形成過程において混入する環境異物などによって、PDP前面板の作製過程で偶発的または不可避的に生じてしまうものである。
上記「はじき現象」が生じるとMgO薄膜層上におけるMgO結晶粉体の被覆率の均一性が減じられ、放電遅れの抑制・放電確率の均一化が困難になるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものである。つまり、本発明の課題は、スリットコータ法における「はじき現象」を抑制する方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたPDPの前面板の製造方法であって、前記保護層の形成が、(i)基板上に形成された誘電体層上にスパッタ法または蒸着法で第1保護層を形成する工程、(ii)第1保護層上にスリットコータ法によりMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、および(iii)MgO原料層を乾燥に付してMgO原料層から第2保護層を得る工程を含んで成り、MgO原料が、MgO粉体と溶剤Aと溶剤Bを含んで成り、溶剤Aの20℃における蒸気圧が50Pa以上、溶剤Bの20℃における蒸気圧が15Pa以下であって、溶剤Aの粘度が10mPa・s以下であり、溶剤Bの粘度が20mPa・s以上50mPa・s以下である。そして、全溶剤に対する溶剤Bの割合が3.5重量%以上20重量%以下である。これら上記を特徴とする製造方法を提供する。
本発明の製造方法では、第2保護層の形成に際して、「はじき現象」を抑制することができる。換言すれば、面内の被覆率が均一なMgO結晶層を形成でき、放電遅れの抑制・放電確率の均一化を図れる。その結果、選択不良等のない良好な放電特性を持つPDPを得ることができる。
PDPの構造を模式的に示す斜視図 本発明の製造方法で得られるPDPの前面板を模式的に表した断面図 はじき現象の態様を模式的に表した斜視図 本実施の形態および比較例における基板の平面写真を示す図 偏り現象の発生メカニズムを示す図
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
以下にて、本発明のPDPの製造方法を詳細に説明する。
[PDPの構成]
まず、本発明の製造方法を経ることによって最終的に得られるPDPを簡単に説明する。図1はPDPの構成を断面斜視図により模式的に示した図である。
PDP100の前面板1では、平滑で透明かつ絶縁性の基板10(例えばガラス基板)上に、走査電極12と維持電極13とから成る表示電極11が複数形成されており、その表示電極11を覆うように誘電体層15が形成され、更に、その誘電体層15上に保護層16が形成されている。なお、走査電極12および維持電極13は、それぞれ、透明電極と、この透明電極に電気的に接続されたAg等から成るバス電極とから構成されている。尚、基板10上には、遮光層14も形成され得る。
前面板1に対向配置される背面板2では、絶縁性の基板20上にアドレス電極21が複数形成され、このアドレス電極21を覆うように誘電体層22が形成されている。そして、かかる誘電体層22上のアドレス電極21間に対応する位置に隔壁23が設けられ、誘電体層22の表面上の隣接する隔壁23の間には、赤、緑、青の各色の蛍光体層25がそれぞれ設けられている。
表示電極11とアドレス電極21とが直交し、且つ、放電空間30が形成されるように、前面板1と背面板2とは、隔壁23を挟んで対向して配置されている。放電空間30には、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴンまたはキセノンなどの希ガスが封入される。このような構成を有するPDP100では、隔壁23によって仕切られ、表示電極11とアドレス電極21とが交差する放電空間30が放電セル32として機能することになる。
[PDPの一般的な製造法]
次に、このようなPDP100の典型的な製造方法について簡単に説明する。PDP100の製造は、前面板1の形成工程と背面板2の形成工程とに分かれている。まず、前面板1の形成工程においては、ガラス基板10上に、例えばスパッタ法などで透明電極を形成すると共に焼成法等でバス電極を形成することによって表示電極11を形成する。次いで、表示電極11を覆うように誘電体原料をガラス基板10上に塗布して加熱処理して誘電体層15を形成する。次いで、この誘電体層15上に、前述または後述する方法でMgOなどから成る膜を形成することで保護層16を形成し、前面板1を得ている。
背面板2の形成工程においては、ガラス基板20上に、例えば焼成法等でアドレス電極21を形成し、その上に誘電体原料を塗布して誘電体層22を形成する。次いで、所定のパターンで低融点ガラスから成る隔壁23を形成し、その隔壁23の間に蛍光体材料を塗布して焼成することによって蛍光体層25を形成する。次いで、基板の周縁部に例えば低融点フリットガラス材料を塗布し、焼成を行うことで封着部材(図1には図示せず)を形成し、背面板2を得ている。
得られた前面板1と背面板2とを対向するように位置合わせし、その状態で固定したまま加熱して封着部材を軟化させることによって、前面板1と背面板2とを気密に接合する、いわゆるパネル封着工程を行う。引き続いて、加熱しながら放電空間30内のガスを排気する、いわゆる排気ベーキング工程を行った後、放電空間30内に放電ガスを封入することによって、PDP100を完成させる。
[本発明の製造方法]
本発明の製造方法は、上述のPDPの製造に際して、前面板の製造、特に前面板に形成される保護層の製造に関している。
図1および図2を参照して、本発明の実施形態を説明する。図2は本発明の製造方法で得られるPDPの前面板を模式的に表した断面図である。まず、本発明の実施に際しては、電極および誘電体層が形成された基板を用意する。より具体的には、「表示電極および誘電体層が形成されたガラス基板」を用意する。従って、まず、基板10上に、走査電極12と維持電極13とから構成される表示電極11が形成されたものを用意する。基板10としては、ソーダライムガラスや高歪み点ガラス、各種セラミックスからなる絶縁基板であることが好ましく、厚さは1.0mm〜3mm程度であることが好ましい。表示電極11の走査電極12および維持電極13には、それぞれ、ITO等から成る透明電極12a、13a(厚さ50nm〜500nm程度)が形成されていると共に、かかる透明電極上に表示電極の抵抗値を下げるべく、銀を含んで成るバス電極12b、13b(厚さ1μm〜8μm程度)が形成されている(図2参照)。従って、透明電極を薄膜プロセスなどで形成した後に、バス電極の焼成プロセスなどを経て形成する。特に、バス電極の形成に際しては、まず、銀を主成分とした導電性ペーストをスクリーン印刷法によりストライプ状に形成する。また、バス電極は銀を主成分とした感光性ペーストをダイコート法や印刷法により塗布した後に、100℃〜200℃で乾燥した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法によりパターンニングすることによってストライプ状に形成してもよい。更には、ディスペンス法やインクジェット法によって形成してもよい。そして、最終的には乾燥に付した後、400℃〜600℃の焼成に付すことによって、バス電極を得る。尚、透明電極上には、Al、CuまたはCr等の金属やCr/Cu/Crのような積層体からなる金属電極を形成してもよい。
表示電極11の形成に引き続いて、誘電体層15を形成する。誘電体層15は、PDP前面板の一般的な製造で用いられる焼成法またはゾルゲル法などによって得ることができる。例えば、SiO2、B23、ZnO、Bi23を含むガラス粉末と有機溶剤とバインダ樹脂とを混合して成る誘電体原料ペーストをスクリーン印刷法で塗布し、その後、熱処理に付すことによって誘電体層を形成することができる。誘電体層15の厚さは、好ましくは5〜30μm程度であり、より好ましくは10〜20μm程度である。尚、有機溶剤としてはアルコール類(例えばイソプロピルアルコール)やケトン類(例えばメチルイソブチルケトン)を挙げることができ、バインダ樹脂としては、セルロース系樹脂またはアクリル系樹脂などを挙げることができる。
誘電体層15の形成に引き続いて、保護層を形成する。従って、本発明の製造方法の工程(i)を実施する。換言すれば、誘電体層上にスパッタ法(スパッタリング法)または蒸着法で第1保護層16aを形成する。好ましくは、酸化マグネシウム(MgO)を含んで成る第1保護層16a(即ち、MgO薄膜層)を形成する。形成される第1保護層の厚さは、好ましくは約0.1〜2μm程度であり、より好ましくは約0.5〜1μm程度である。蒸着法としては、CVDまたはPVDを用いてよい。尚、スパッタ法または蒸着法に限定されず、所望のMgO薄膜層を形成できるのであれば、必要に応じて他の手法を用いてもよい。
次いで、本発明の製造方法の工程(ii)を実施する。つまり、第1保護層(好ましくはMgO薄膜層)の上に、MgO原料を塗布してMgO原料層を形成する。用いられるMgO原料は、MgO粉体と溶剤Aと溶剤Bとを含んで成るものである。MgO粉体は、好ましくはMgO結晶粉体(MgO微結晶粉体)であり、より好ましくはMgO単結晶粉体である。かかるMgO結晶粉体またはMgO単結晶粉体の粒径は、好ましくは約0.2〜20μm程度、より好ましくは約0.5〜10μm程度である。尚、MgO原料に含まれるMgO粉体の量は、好ましくは0.3〜20質量%(MgO原料基準)、より好ましくは0.3〜10質量%(MgO原料基準)、更に好ましくは0.3〜5質量%(MgO原料基準)であり、例えば約1質量%(MgO原料基準)である。
MgO原料に含まれる溶剤は、溶剤Aと溶剤Bであり、乾燥時の対流を抑制するために、溶剤Aと溶剤Bの蒸気圧がある程度離れている必要があり、溶剤Aの20℃における蒸気圧が50Pa以上、溶剤Bの20℃における蒸気圧が15Pa以下である。
また、MgO原料に含まれる全溶剤に対する溶剤Bの割合は、3.5質量%以上である。ここで、本明細書にいう「全溶剤」とは、溶剤が溶剤Aと溶剤Bから成る場合では、「溶剤Aと溶剤B」のことを実質的に意味しており、溶剤がその他の溶剤(つまり、少なくとも1種類の他の溶剤)を付加的に含む場合では「溶剤A、溶剤Bおよびその他の溶剤」のことを実質的に意味している。尚、全溶剤に対する溶剤Bの割合は、好ましくは3.5質量%以上かつ20質量%以下であり、より好ましくは3.5質量%以上かつ12質量%以下である。溶剤Aは、例えば3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、n−ヘプチルアルコール、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、n−ヘキシルアルコール、3−メトキシブタノールまたは2−メチル−1−プロパノール等の有機溶剤をあげることができる。また、溶剤Bは、例えばα−テルピネオール、プロピレングリコール、2−フェノキシエタノール、ヘキシレングリコール、等の有機溶剤をあげることができる。
MgO原料の塗布には、スリットコータ法を用いることが好ましい。「スリットコータ法」とは、巾広のノズルからペースト状原料を圧送吐出して所定の面にペースト状原料を塗布する方法である。かかるスリットコータ法を用いる場合、MgO原料はMgO粉体の凝集防止の観点から7mPa・s以下程度の粘度を有していることが好ましい。ここで、MgO原料は一般に非ニュートン性流体となり得るので、本明細書で用いる粘度は「ずり速度100s−1および温度25℃における粘度」を実質的に意味していることに留意されたい。MgO原料の粘度は、好ましくは3mPa・s以上かつ7mPa・s以下であり、より好ましくは4mPa・s以上かつ7mPa・s以下である。これは、前記スリットコータから7mPa・s以下の原料粘度が求められ、また、MgO粉体の沈降を抑制する点から、3mPa・s以上が望ましく、MgO粉体の粒子径に依存するが、4mPa・s以上の方が、MgO粉体の沈降を抑制する効果が大きいためである。
MgO原料の塗布により形成されるMgO原料層の厚さ(以下にて「Wet膜厚」とも称す)は、スリットコータ法を用いる場合には約5μm〜約13μm程度が好ましい。
MgO原料層の形成が完了すると、次に、本発明の製造方法の工程(iii)を実施する。つまり、MgO原料層を乾燥に付してMgO原料層から第2保護層16b(即ち、MgO結晶層)を得る。ここでいう「乾燥」とは、MgO原料層に含まれている溶剤(より具体的にいえば溶剤A、溶剤B)を気化させてMgO原料層から除去することを実質的に意味している。例えば、MgO原料層を7〜0.1Paの減圧下または真空下に置いてもよく、あるいは、大気圧下で100℃〜400℃程度の熱処理に付してもよい。必要に応じて「減圧下または真空下」と「熱処理」とを組み合わせてもよい。乾燥後に得られる第2保護層16bの厚さは、溶剤が抜けることに起因して、MgO原料層の厚さよりも減じられ、0.1〜5μm程度となり得る。
以上の工程(i)〜(iii)によって、第1保護層16a(好ましくはMgO薄膜層)と第2保護層16b(MgO結晶層)とから成る2層構造の保護層が形成され、前面板1が完成することになる。
前面板1の作製に対して、背面板2は次のようにして作製する。まず、ガラス基板である基板20上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、銀を主成分とした金属膜を全面に形成した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによって前駆体層を形成し、それを所望の温度(例えば約400℃〜約700℃)で焼成することによりアドレス電極21を形成する。次いで、アドレス電極21が形成された基板20上に、下地誘電体層となる誘電体層22を形成する。まず、「ガラス成分(SiO2、B23などから形成される材料)およびビヒクル成分などを主成分とした誘電体原料ペースト」をダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、かかる誘電体ペースト層を焼成することによって誘電体層22を形成できる。次いで、隔壁23を所定のピッチで形成する。具体的には、誘電体層22上に隔壁形成用原料ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成し、その後、それを焼成に付して隔壁23を形成する。例えば、低融点ガラス材料、ビヒクル成分およびフィラー等を主成分とした原料ペーストをダイコート法または印刷法によって塗布して約100℃〜200℃の乾燥に付した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法でパターニングし、次いで、約400℃〜約700℃の焼成に付すことによって隔壁23を形成する。尚、隔壁23は、スクリーン印刷で隔壁材料の膜を形成したのち乾燥して、感光性樹脂を含むドライフィルムにより露光・現像処理でパターン形成した後、サンドブラストにより掘削し、ドライフィルムを剥離し、焼成することでも形成することができる。次いで、蛍光体層25を形成する。隣接する隔壁23間の誘電体層22上および隔壁23の側面に蛍光体材料を含む蛍光体原料ペーストを塗布し、焼成することによって蛍光体層25を形成する。より具体的には、蛍光体粉末およびビヒクル成分等を主成分とした原料ペーストをノズル吐出法などで塗布し、次いで、約100℃の乾燥に付すことによって蛍光体層25を形成する。
以上の工程により、基板20上に、所定の構成部材たるアドレス電極21、誘電体層22、隔壁23および蛍光体層25が形成され、背面板2が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板1と背面板2とは、表示電極11とアドレス電極21とが直交するように対向配置させる。次いで、前面板1と背面板2の周囲をガラスフリットで封着する。そして、形成される放電空間30内を排気した後、放電ガス(ヘリウム、ネオンおよび/またはキセノンなど)を好ましくは55kPa〜80kPaの圧力で封入することによってPDP100を最終的に完成させる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。例えば、第1保護層と第2保護層とから構成される保護層の「2層構造」は、第1保護層と第2保護層とが明確に区別できる態様のみならず、第1保護層と第2保護層とを明確に区別できない態様(例えば第1保護層と第2保護層との間の界面が不明確な態様)であってもよい。
[実施例]
インクの溶剤物性が、「はじき現象」に与える影響を調べるために試験を実施した。尚、以下で説明する試験では、MgO原料のことを便宜上「インク」と呼んでいる。MgOインクとして、以下の材料を含んだものを用いた。
(実施例1)
・MgO結晶粉体:0.5〜10μmのMgO単結晶粉体
・溶剤A:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(93wt%)
・溶剤B:α−テルピネオール(7wt%)
(実施例2)
・MgO結晶粉体:0.5〜10μmのMgO単結晶粉体
・溶剤A:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(93wt%)
・溶剤B:プロピレングリコール(3.5wt%)
(比較例1)
・MgO結晶粉体:0.5〜10μmのMgO単結晶粉体
・溶剤A:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(100wt%)
(比較例2)
・MgO結晶粉体:0.5〜10μmのMgO単結晶粉体
・溶剤A:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(93wt%)
・溶剤B:イソプレングリコール(7wt%)
本試験で用いた溶剤の代表的な物性を以下の表1に示す。同表は実施例および比較例における溶媒の代表的な物性を示す。ここでMgO粉体濃度は全て0.7質量%とした。
MgOインクの調製に際しては、上記材料から成る混合物2000gをMgO結晶粉体表面にチッピング等の格子欠陥を起こさないように振幅20μmで30分間超音波処理し、MgO結晶粉体を溶剤中に分散させた。
得られたMgOインクを、蒸着法で形成したMgO薄膜層(厚さ0.7μm程度)の上に塗布した。具体的には、MgOインクをスリットコータ法でWet膜厚が12μmとなるように塗布した(出願人製作のスリットコータ設備使用)。次いで、雰囲気を1Paにまで減圧することで真空乾燥に付し、それによって、溶剤を気化させMgO結晶層(厚さ1.0μm程度)を形成した。
図3に「はじき現象」の態様を模式的に表した斜視図を示す。スリットコータ法でMgO結晶層を形成するに際しては、図3に示すような「MgO薄膜層上にMgO結晶粉体が存在しない領域53」あるいは「周囲領域52に比べてMgO結晶粉体の被覆率が低い領域53」が形成されるといった「はじき現象」が生じ得る。しかし、実施例1、2で発生した「はじき現象」の数またはサイズは、溶剤Bを含有しない比較例1と比較して大幅に減少していた。
これは、溶剤Aに溶剤Bを一定割合以上混合することにより、乾燥時の、MgO薄膜層の凸部51の存在により発生する対流を抑制することが可能となるため、MgO粉体の移動が抑制され、「はじき現象」の発生数またはサイズが減少したと考えられる。
また、MgOインクをスリットコータで塗布した後の減圧乾燥では、溶剤Bより蒸気圧が高い溶剤Aが優先的に蒸発し、溶剤Aと比較して粘度が高い溶剤Bの、塗布膜に占める割合が上昇する。この結果、塗布膜の粘度が上昇し、MgO粉体の移動が抑制され、「はじき現象」のサイズまたは発生数が減少したと考えられる。
以上のような結果から、インク中の溶剤は2種類以上の溶剤から成り、かつ一方の溶剤の含有率は少なくとも3.5重量%以上であることが必要であることがわかる。また、蒸気圧が比較的低い溶剤Bの含有率が多くなると、減圧乾燥に要する時間が著しく増加するため、溶剤Bの含有率は20重量%以下であることが好ましい。
次に、MgO粉体の均一性を調べるために、実施例および比較例におけるMgO粉体の分布状態を、走査型電子顕微鏡で観察し、150倍で撮影した。実施例1、2および比較例1、2で作製した基板の外観を図4に示す。同図(a)、(b)、(c)、(d)がそれぞれ順に、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2となる。
写真中、白色に写っているものはMgO粉体である。また、写真に対して水平方向に前面板側の電極(表示電極)11が存在しており、この電極部分は数μmの凸となっている。これらを見るに、実施例2および比較例2は、電極上のMgO粉体が少なくなる「偏り現象」が顕著である。また、溶媒Bを含有していない比較例1においては、電極上にMgO粉体が集まる「偏り現象」が見られる。一方、実施例1においては、MgO粉体が電極上にも存在しており、バランスよく分散している。
ここで、MgO粉体の「偏り現象」の推定発生メカニズムについて、比較例2を例にとり、図5を用いて説明する。
(a)塗布直後:粒子と溶媒Aと溶媒Bとの混合溶媒で構成される均質な膜を形成する。ここで、第1保護層(MgO薄膜層43)の表面には表示電極11の形状を踏襲した電極凸部44が形成されている。また上述したように、MgOインクには、粒子41および溶媒42が含まれる。
(b)乾燥初期:減圧乾燥により、溶媒Aを主成分とした溶媒の蒸発が始まる。溶媒Aは、表面張力が溶媒Bに比べて小さい。溶媒Aが蒸発した後に残る溶媒は溶媒Bの含有量が多くなるため、乾燥が進んだ箇所は表面張力が大きくなる。この結果、基板上の電極凸部と周辺部で、溶剤の表面張力の差が生じ、表面張力が低いところから高いところへ向けて対流45が起きる。
(c)乾燥中期:対流の影響が大きくなり、粒子が対流する結果、電極凸部の周辺部に粒子が移動する。
(d)乾燥終期:溶媒Aのほとんどが蒸発し、残された溶媒は溶媒Bが主成分となり、表面張力差による対流は収束する。ただし、ほぼ同時に残された溶媒Bは粘度が非常に高いため、粒子は対流の影響を受け偏った状態でMgO薄膜層上に定着する。
上記の表面張力差を原因とする対流は、溶剤Aと溶剤Bの表面張力差が大きいほど対流が強いと考えられる。よって、実施例2において「偏り現象」が顕著だった理由は、溶剤Bの表面張力が溶剤Aと比較して高かったためと推察される。
また、比較例1においては、溶剤Bが含まれていないためインクの蒸発スピードが速く、かつ粘度が低くなっている。そのため、インクを塗布した基板を減圧乾燥に付した場合、基板の電極凸部に向けたインクの流れが発生する。この結果、電極凸部にMgO粉体が移動し、そのまま基板上に定着することで図5−比較例1のような、電極上にMgO粉体が集まる「偏り現象」が発生したと考えられる。
以上の結果から、MgO粉体の良好な分布状態を得るためには、溶剤Bの粘度が20mPa・s以上50mPa・s以下であり、溶剤Aと溶剤Bの20℃における表面張力の差は5mN/m以下であることが必要であることが分かった。
本発明の製造方法を通じて最終的に得られるPDPは、良好な放電特性を有するので、一般家庭向けのプラズマテレビおよび商業用プラズマテレビとして好適に用いることができる他、その他の各種表示デバイスとしても好適に用いることができる。
また、本発明の製造方法は、PDPに限定されず、他の製品分野でも活用することができる。例えば、電池・電子部品等の分野において、ポリマー・分散剤を含有しないインクをスリットコータ法で基板に塗布して、被覆率が極めて均一な粉体層を形成するといった用途にも適用可能である。
1 前面板
2 背面板
10 前面板側の基板
11 前面板側の電極(表示電極)
12 走査電極
12a 透明電極
12b バス電極
13 維持電極
13a 透明電極
13b バス電極
14 ブラックストライプ(遮光層)
15 前面板側の誘電体層
16 保護層
16a 第1保護層(MgO薄膜層)
16b 第2保護層(MgO結晶層もしくはMgO粉体層)
41 粒子
42 溶媒
43 MgO薄膜層
44 電極凸部
45 溶媒の対流
51 MgO薄膜層の凸部
52 MgO粉体が所定の被覆率で存在する領域
53 MgO粉体が存在しないあるいは周辺領域52に比べて被覆率が低い領域

Claims (2)

  1. 基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記保護層の形成が、
    (i)前記基板上に形成された前記誘電体層上にスパッタ法または蒸着法で第1保護層を形成する工程、
    (ii)前記第1保護層上にスリットコータ法によりMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、および
    (iii)前記MgO原料層を乾燥し、第2保護層を形成する工程を含み、
    前記MgO原料が、MgO粉体、溶剤Aおよび溶剤Bを含み、
    溶剤Aの20℃における蒸気圧が50Pa以上、溶剤Bの20℃における蒸気圧が15Pa以下であり、
    溶剤Aの粘度が10mPa・s以下であり、溶剤Bの粘度が20mPa・s以上50mPa・s以下である、プラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 全溶剤量に対し、溶媒Bの割合が3.5質量%以上20重量%以下である、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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