JP2014035796A - プラズマディスプレイ製造方法およびプラズマディスプレイ用インク - Google Patents

プラズマディスプレイ製造方法およびプラズマディスプレイ用インク Download PDF

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Abstract

【課題】PDP保護膜上にMgO粉を分散させるため、インク化し、スリットコータにより塗布するプロセスにおいて、PDP保護膜上に分散させるMgO粉の凝集体が発生する。よって、ダマの発生を抑制する製造方法とインクを提供する。
【解決手段】インクはMgO粉と第1溶剤Aと第2溶剤Bと第2溶剤Cから構成される。蒸発する順番は、第1溶剤Aが先に蒸発し、第2溶剤Bと第2溶剤Cがほぼ同時に蒸発する。この時の表面張力の関係は、第1溶剤Aが一番小さく、第2溶剤Bが一番大きく、溶剤Cは第1溶剤Aとほぼ同等であることを特徴とする製造方法およびインク。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイ製造方法およびプラズマディスプレイ用インクに関するものである。
現状、高品位テレビジョン画像を大画面で表示するためのディスプレイ装置として、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも称す)を用いたディスプレイ装置への期待は高まっている。
PDP(例えば3電極面放電型PDP)は、映像を見る人から見て表面側となる前面板とその裏側の背面板とを対向配置して、それらの周辺部を封着部材で封着した構造を有している。前面板と背面板との間に形成された放電空間には、ネオンおよびキセノンなどの放電ガスが封入されている。
前面板は、ガラス基板の一方の面に形成された走査電極と維持電極とから成る表示電極と、これらの電極を覆う誘電体層と保護層とを備えている。背面板は、ガラス基板に上記表示電極と直交する方向にストライプ状に形成された複数のアドレス電極と、これらのアドレス電極を覆う下地誘電体層と、放電空間をアドレス電極毎に区画する隔壁と、隔壁の側面および下地誘電体層上に形成された赤色・緑色・青色の蛍光体層とを備えている。
表示電極とアドレス電極とは直交していて、その交差部が放電セルを成している。これらの放電セルはマトリクス状に配列されており、赤色・緑色・青色の蛍光体層を有する3個の放電セルがカラー表示のための画素となっている。このようなPDPでは、順次、走査電極とアドレス電極間、および走査電極と維持電極間に所定の電圧が印加されてガス放電を発生させている。そして、かかるガス放電で生じる紫外線により蛍光体層を励起して可視光を発光させることによってカラー画像表示を実現している。
<プラズマディスプレイパネルの製造方法>
以下、従来技術であるプラズマディスプレイパネルの製造方法について、図面を参照しながら説明する。
[プラズマディスプレイパネルの構成]
まず、本発明の製造方法を経ることによって最終的に得られるプラズマディスプレイパネル(PDP)を簡単に説明する。図7はPDPの構成を断面斜視図により模式的に示した図である。図8は、本発明の製造方法で得られるPDPの前面板を模式的に表した断面図である。
PDP100の前面板1では、平滑で透明かつ絶縁性の前面板側の基板10(例えばガラス基板)上に、走査電極12と維持電極13とから成る表示電極11が複数形成されており、その表示電極11を覆うように、前面板側の誘電体層15が形成される。更に、その前面板1の側の誘電体層15上に保護層16が形成されている。保護層16は、MgO薄膜層16aとMgO粉体層16bから構成されている。
なお、走査電極12および維持電極13は、図8に示すように、それぞれ、透明電極12a,13aと、この透明電極12a,13aに電気的に接続されたAg等から成るバス電極12b、13bとから構成されている。なお、前面板側の基板10上には、遮光層14も形成され得る(図7)。
図7に示すように、前面板1に対向配置される背面板2では、絶縁性の背面板2の側の基板20上にアドレス電極21が複数形成され、このアドレス電極21を覆うように、背面板側の誘電体層22が形成されている。そして、かかる背面板2の側の誘電体層22上のアドレス電極21間に対応する位置に隔壁23が設けられ、背面板側の誘電体層22の表面上の隣接する隔壁23の間には、赤、緑、青の各色の蛍光体層25がそれぞれ設けられている。
表示電極11とアドレス電極21とが直交し、かつ、放電空間30が形成されるように、前面板1と背面板2とは、隔壁23を挟んで対向して配置されている。放電空間30には、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴンまたはキセノンなどの希ガスが封入される。このような構成を有するPDP100では、隔壁23によって仕切られ、表示電極11とアドレス電極21とが交差する放電空間30が放電セル32として機能することになる。
<PDPの製造法>
次に、このようなPDP100の典型的な製造方法について簡単に説明する。PDP100の製造は、前面板1の形成工程と背面板2の形成工程とに分かれている。まず、前面板1の形成工程においては、ガラスの基板10上に、例えばスパッタ法などで透明電極12a,13aを形成すると共に焼成法等でバス電極12b、13bを形成することによって表示電極11を形成する。
次いで、表示電極11を覆うように誘電体原料を前面板1の側の基板10上に塗布して加熱処理して誘電体層15を形成する。次いで、この誘電体層15上に、前述または後述する方法でMgOなどから成る膜を形成することで保護層16を形成し、前面板1を得ている。
背面板2の形成工程においては、ガラス基板上に、例えば焼成法等でアドレス電極21を形成し、その上に誘電体原料を塗布して背面板2の側の誘電体層22を形成する。次いで、所定のパターンで低融点ガラスから成る隔壁23を形成し、その隔壁23の間に蛍光体材料を塗布して焼成することによって蛍光体層25を形成する。
次いで、基板の周縁部に例えば低融点フリットガラス材料を塗布し、焼成を行うことで封着部材(図7には図示せず)を形成し、背面板2を得ている。
得られた前面板1と背面板2とを対向するように位置合わせし、その状態で固定したまま加熱して封着部材を軟化させることによって、前面板1と背面板2とを気密に接合する、いわゆるパネル封着工程を行う。引き続いて、加熱しながら放電空間30内のガスを排気する、いわゆる排気ベーキング工程を行った後、放電空間30内に放電ガスを封入することによって、放電空間30が放電セル32として機能することが可能となり、PDP100を完成させることができる。
<前面板1の製法>
図7および図8を参照して、前面板1の製造方法を説明する。電極および誘電体層15が形成された基板10を用意する。より具体的には、表示電極11および誘電体層15が形成されたガラス基板を用意する。
従って、まず、前面板1の側の基板10上に、走査電極12と維持電極13とから構成される表示電極11が形成されたものを用意する。前面板1の側の基板10としては、ソーダライムガラスや高歪み点ガラス、各種セラミックスからなる絶縁基板であることが好ましく、厚さは1.0mm〜3.0mm程度であることがよい。
表示電極11の走査電極12および維持電極13には、それぞれ、ITO等から成る透明電極12a,13a(厚さ50nm〜500nm程度)が形成されていると共に、かかる透明電極12a、13a上に表示電極の抵抗値を下げるべく、銀を含んで成るバス電極12b、13b(厚さ1μm〜8μm程度)が形成されている(図7参照)。
従って、透明電極12a,13aを薄膜プロセスなどで形成した後に、バス電極12b、13bの焼成プロセスなどを経て形成する。特に、バス電極12b、13bの形成に際しては、まず、銀を主成分とした導電性ペーストをスクリーン印刷法によりストライプ状に形成する。
また、バス電極12b、13bは銀を主成分とした感光性ペーストをダイコート法や印刷法により塗布した後に、100℃〜200℃で乾燥した後、露光・現像するフォトリソグラフィー法によりパターンニングすることによってストライプ状に形成しても良い。
更には、ディスペンス法やインクジェット法によって形成しても良い。そして、最終的には乾燥に付した後、400℃〜600℃の焼成に付すことによって、バス電極12b、13bを得る。なお、透明電極12a,13a上には、Al、CuまたはCr等の金属やCr/Cu/Crのような積層体からなる金属電極を形成しても良い。
表示電極11の形成に引き続いて、誘電体層15を形成する。誘電体層15は、PDP100の前面板1の一般的な製造で用いられる焼成法またはゾルゲル法などによって得ることができる。例えば、SiO、B、ZnO、Biを含むガラス粉末と有機溶剤とバインダ樹脂とを混合して成る誘電体原料ペーストをスクリーン印刷法で塗布し、 その後、熱処理に付すことによって誘電体層15を形成することができる。誘電体層15の厚さは、好ましくは5〜30μm程度であり、より好ましくは10〜20μm程度である。
なお、有機溶剤としてはアルコール類(例えばイソプロピルアルコール)やケトン類(例えばメチルイソブチルケトン)を挙げることができ、バインダ樹脂としては、セルロース系樹脂またはアクリル系樹脂などを挙げることができる。
誘電体層15の形成に引き続いて、図7に示す保護層16を形成する。工程(ア)として、誘電体層15の上にスパッタ法(スパッタリング法)または蒸着法でMgO薄膜層16aを形成する。好ましくは、酸化マグネシウム(MgO)を含んで成るMgO薄膜層16aを形成する。形成されるMgO薄膜層16aの厚さは、好ましくは約0.1〜2μm程度であり、より好ましくは約0.5〜1μm程度である。蒸着法としては、CVDまたはPVDを用いて良い。なお、スパッタ法または蒸着法に限定されず、所望のMgO薄膜層16aを形成できるのであれば、必要に応じて他の手法を用いても良い。
次いで、工程(イ)を実施する(特許文献1)。つまり、図8に示すように、MgO薄膜層16aの上に、MgO原料を塗布してMgO粉体層16bを形成する。用いられるMgO原料は、MgO粉体と主溶剤Aと第2溶剤Bと第2溶剤Cとを含んで成るものである。MgO粉体は、粒径が、約0.2〜20μmである。なお、MgO原料に含まれるMgO粉体の量は、0.3〜20質量%である。MgO原料の塗布には、スリットコータ法を用いる。
MgO原料層の形成が完了すると、次に、工程(ウ)を実施する。
つまり、MgO原料層を乾燥に付してMgO原料層からMgO粉体層16bを得る。例えば、MgO原料層を7〜0.1Paの減圧下または真空下に置いて、或いは、大気圧下で100〜400℃程度の熱処理にて乾燥させる。乾燥後に得られるMgO粉体層16bの厚さは、溶剤が抜けることに起因して、MgO原料層の厚さよりも減じられ、0.1〜5μm程度となり得る。
以上の工程(ア)〜(ウ)によって、図8に示すMgO薄膜層16aとMgO粉体層16bとから成る2層構造の保護層16が形成され、前面板1が完成することになる。
<背面板2の製法>
前面板1の作製に対して、図7に示す背面板2は次のようにして作製する。まず、ガラス基板である背面板2の側の基板20上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、銀を主成分とした金属膜を全面に形成した後、露光・現像するフォトリソグラフィー法を用いてパターニングする方法などによって前駆体層を形成し、それを所望の温度(例えば、約400〜約700℃)で焼成することによりアドレス電極21を形成する。次いで、アドレス電極21が形成された背面板側の基板20上に、下地誘電体層となる背面板側の誘電体層22を形成する。
まず、「ガラス成分(SiO、Bなどから形成される材料)、及び、ビヒクル成分などを主成分とした誘電体原料ペースト」をダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、かかる誘電体ペースト層を焼成することによって背面板側の誘電体層22を形成できる。次いで、隔壁23を所定のピッチで形成する。
具体的には、図7に示す背面板側の誘電体層22上に隔壁形成用原料ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成し、その後、それを焼成に付して隔壁23を形成する。例えば、低融点ガラス材料、ビヒクル成分およびフィラー等を主成分とした原料ペーストをダイコート法または印刷法によって塗布して約100℃〜200℃の乾燥に付した後、露光・現像するフォトリソグラフィー法でパターニングし、次いで、約400℃〜約700℃の焼成に付すことによって隔壁23を形成する。
なお、隔壁23は、スクリーン印刷で隔壁材料の膜を形成したのち乾燥して、感光性樹脂を含むドライフィルムにより露光・現像処理でパターン形成した後、サンドブラストにより掘削し、ドライフィルムを剥離し、焼成することでも形成することができる。次いで、蛍光体層25を形成する。
隣接する隔壁23間の背面板側の誘電体層22上および隔壁23の側面に蛍光体材料を含む蛍光体原料ペーストを塗布し、焼成することによって蛍光体層25を形成する。より具体的には、蛍光体粉末およびビヒクル成分等を主成分とした原料ペーストをノズル吐出法などで塗布し、次いで、約100℃の乾燥に付すことによって蛍光体層25を形成する。なお、赤色の蛍光体粉末としては[YBO:Eu3+]、緑色の蛍光体粉末としては[ZnSiO:Mn]、青色の蛍光体粉末としては[BaMgAl1017:Eu2+]を用いることができる。
以上の工程により、図7に示す背面板側の基板20上に、所定の構成部材たるアドレス電極21、背面板側の誘電体層22、隔壁23および蛍光体層25が形成され、背面板2が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板1と背面板2とは、表示電極11とアドレス電極21とが直交するように対向配置させる。次いで、前面板1と背面板2の周囲をガラスフリットで封着する。そして、形成される放電空間30内を排気した後、放電ガス(ヘリウム、ネオンおよび/またはキセノンなど)を好ましくは55kPa〜80kPaの圧力で封入することによってPDP100を最終的に完成させる。
ここで、上記のMgOの製造方法の工程(イ)(特許文献1)において、インクにてスリットコータ法を用いてMgO結晶層を形成する場合には、図9に示すように、「MgO薄膜層上にMgO結晶粉体が存在しない領域」、或いは「周囲領域に比べてMgO結晶粉体の被覆率が低い領域」が形成されてしまう現象(以下、「核なしはじき現象」と称す)が発生することがある。
図9は“核なしはじき現象”の態様を模式的に表した斜視図である。図9において、前面板側の基板10上に誘電体層15が存在し、さらにその上にMgO薄膜層16aが施されている。MgO薄膜層16a上には、MgO結晶粉体が所定の被覆率で存在する正常領域52と被覆率が低い不良領域53が存在する。
この現象が生じると、MgO薄膜層16a上におけるMgO結晶粉体の被覆率の均一性が減じられ、放電遅れの抑制・放電確率の均一化が困難になるという問題があった。なお、特許文献1記載の「はじき現象」と「核なしはじき現象」とは似ているが、異なるものである。「核なしはじき現象」は、MgO薄膜層16aの凸部の存在がなくても生じる。
この核なしはじき現象は、MgO薄膜層が吸水するために発生すると考えられており、インクの溶剤を親水性にすると、核なしはじきの発生を抑制することが可能となることがわかっている。
特開2009−295372号公報
MgO結晶粉体41と3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールとα−テルピネオールから構成されるインクについて、疎水性であるα−テルピネオールから親水性であるプロピレングリコールに変更すると、前述の核なしはじきの発生を抑制することが可能となる。
しかし、MgO結晶粉体41の凝集体である直径10μm程度の“ダマ”と呼ばれる別の現象が生じる。図10は、“ダマ”の態様を模式的に表した図である。基板43上にMgO結晶粉体41の凝集体が存在している。この現象が生じると、MgO薄膜層16a上におけるMgO結晶粉体41の被覆率の均一性が減じられ、放電遅れの抑制・放電確率の均一化が困難になるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、スリットコータ法における“ダマ”を抑制するプラズマディスプレイ製造方法およびプラズマディスプレイ用インクを提供することである。
上記課題を解決するため、基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたプラズマディスプレイパネルの前面板を製造する方法として、以下の方法を用いる。保護層の形成が、(i)前記基板上に形成された前記誘電体層上にスパッタ法または蒸着法で第1保護層を形成する工程、(ii)前記第1保護層上にMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、及び、(iii)前記MgO原料層を乾燥に付して前記MgO原料層から第2保護層を得る工程を含んで成なる。MgO原料は、MgO粉体とアルコールである第1溶剤と、グリコールもしくはエーテルである第2溶剤とから構成される。
第2溶剤の粘度は、25℃において60.7mPa・s以下であり、前記第2溶剤の23℃の表面張力は、前記第1溶剤の23℃における表面張力との差が4.1mN/m以下であり、かつ、第1溶剤の表面張力より大きいことを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法を用いる。
また、基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたプラズマディスプレイパネルの前面板の製造に用いるインクにおいて、前記MgO原料は、アルコールである第1溶剤とグリコールもしくはエーテルである第2溶剤とから構成され、前記第2溶剤による混合溶液の粘度は、25℃において60.7mPa・s以下であり、前記第2溶剤による混合溶剤における20℃の表面張力は、前記第1溶剤の23℃における表面張力との差が4.1mN/m以下であり、かつ、第1溶剤の表面張力より大きいことを特徴とするプラズマディスプレイ用インクを用いる。
本発明のMgOインク、製法を用いれば、MgO粉体層の形成に際して、MgO原料の「核なしはじき現象」を抑制することができる。換言すれば、面内の被覆率が均一なMgO粉体層を形成でき、放電遅れの抑制・放電確率の均一化を図れる。その結果、選択不良等のない良好な放電特性を持つプラズマディスプレイを得ることができる。
(a)〜(f)効果確認試験における実施例1〜3、比較例1〜3の基板の外観写真を示す図 実施例1における表面張力と溶剤混合比との関係を示す図 実施例2における表面張力と溶剤混合比との関係を示す図 実施例3における表面張力と溶剤混合比との関係を示す図 (a)〜(d)“ダマ”発生メカニズムを示す図 (a)〜(d)電極上にMgO粉が多く集まるメカニズムを示す図 PDPの構造を模式的に示す斜視図 本発明の製造方法で得られるPDPの前面板を模式的に表した断面図 “はじき現象”の態様を模式的に表した斜視図 “ダマ”の態様を模式的に表した図
上記課題の「ダマ」とは、MgO原料の乾燥中に生じる表面張力差により対流が促進され、乾燥終期の粘度が高いと、そのまま対流した状態で基板に定着するものだと予測される。よって、MgO原料に含まれる溶剤の表面張力と粘度に原因があると考えた。
そこで、MgO粉体層16bの形成に用いるMgO原料の望ましい組成および物性を調べるために以下の試験を実施した。
[インク溶剤成分の効果確認試験]
MgOインクとして、以下の材料を含んだものを用いた:
MgO結晶粉体として、0.5〜10μmのMgO単結晶粉体、溶剤として、
主溶剤A(第1溶剤):3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、添加溶剤B(第2溶剤):プロピレングリコール、添加溶剤C(第2溶剤):ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル、添加溶剤D(第2溶剤):ジエチレングリコールモノエチルエーテル2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、添加溶剤E(第2溶剤):ヘキシレングリコール、添加溶剤F(第2溶剤):3−メチル−1,3−ブタンジオールを用いた。
添加溶剤(第2溶剤)である添加溶剤B,E,Fによる効果を確認するために、主溶剤Aと添加溶剤Bのみのインク、主溶剤Aと添加溶剤Eのみのインク、および主溶剤Aと添加溶剤Fのみのインクも調整した。表1に試験したインクの溶剤組成および主溶剤Aと添加溶剤1,2による混合溶液との表面張力差、添加溶剤1,2による混合溶液の粘度を示す。
なお、主溶剤Aは、溶液のほとんどを占めるものである。主溶剤Aだけであると急激に蒸発して、膜質が均質とならないので、添加溶剤を少量混ぜている。主溶剤Aは、一番沸点が低く、最初に蒸発するもので、他の溶剤は、主溶剤Aの蒸発後、蒸発するものである。
MgO粉体濃度は全て0.7質量%とした。MgOインクの調製に際しては、上記材料から成る混合物2000gをMgO結晶粉体表面にチッピング等の格子欠陥を起こさないように振幅20μmで30分間超音波処理し、MgO結晶粉体を溶剤中に分散させた。
なお、添加溶剤の合計を7質量%にしているが、主溶剤Aが一度に蒸発することによるムラを無くすために添加溶剤の必要な量は、3〜20質量%である。つまり主溶剤は、97〜80質量%である。添加溶剤は、より好ましくは3質量%以上かつ12質量%以下である。
この理由として、次の内容が挙げられる。添加溶剤の効果を出すには、添加溶剤が少なすぎると主溶剤Aの蒸発とともに添加溶剤も影響を受けてしまい、ほぼ同時に蒸発し、ムラが発生する。よって、このような影響を受けないためには、添加溶剤は3質量%以上必要である。また、添加溶剤が多すぎると、MgO原料の乾燥に時間がかかりすぎる、また、添加溶剤の蒸発の影響も抑制が必要となるため、添加溶剤は好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下である。
また、この実施例、比較例では、1種類、または、2種類の添加溶剤を用いているが、2種類にすること特徴はなく、1種類の場合でも、複数種類の場合でも、下記で求めた物性の範囲ならよい。
この実施例、比較例において、2種類の添加溶剤を用いているのは、所定の表面表力、粘度の溶剤を得るためである。所定の物性内なら、2種類以上の添加溶剤を用いても同じ実験結果となる。
また、2種類の添加溶剤の量を同じにしているが、これも、単に、所定の表面表力、粘度の溶剤を得るためであり、必要に応じて変えても、同じ実験結果となる。ただし、添加溶剤として2種類用いることが、最も、物性を調整しやすくよい。
得られたMgOインクを、蒸着法で形成したMgO薄膜層(厚さ0.7μm程度)の上に塗布した。具体的には、MgOインクをスリットコータ法でWet膜厚が12μmとなるように塗布した。次いで、雰囲気を1Paにまで減圧することで真空乾燥に付し、それによって、溶剤を気化させMgO結晶層(厚さ1.0μm程度)を形成した。
本実験で用いたインクでは、“核なしはじき”はほとんど見られなかった。ただし、図10で説明した“ダマ”やバス電極12b,13b上にMgO粉が多く集まるなどの異なる現象を確認した。
図1(a)〜(f)は、それぞれ、効果確認試験における実施例1〜3、比較例1〜3の基板外観を示す図である。走査型の電子顕微鏡を使い、150倍で撮影した。写真中、白色に写っているものはMgO結晶粉体41である。また、写真に対して水平方向に走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13bが存在している。
これらをみるに、主溶剤Aと添加溶剤Eとよりなる図1(d)の比較例1においては、バス電極12b,13b上にMgO粉が多く集まる現象が見られる。
主溶剤Aと添加溶剤Fよりなる図1(e)の比較例2は、MgO粉の凝集体である直径10μm程度の“ダマ”の発生が顕著である。
同様に、主溶剤Aと添加溶剤Bよりなる図1(f)の比較例3においても、MgO粉の凝集体である直径10μm程度の“ダマ”の発生が顕著である。
一方、主溶剤Aと添加溶剤Eと添加溶剤Fからなる図1(a)の実施例1、主溶剤Aと添加溶剤Bと添加溶剤Dからなる図1(b)の実施例2、主溶剤Aと添加溶剤Bと添加溶剤Cからなる図1(c)の実施例3においては、“ダマ”は存在せず、かつ、MgO粉が電極上にも存在しており、バランスよく分散している。
効果確認試験から、添加溶剤の種類と量により基板上でのMgO粉の分布が異なるため、乾燥過程において、刻々と変化する溶剤間の表面張力差による対流が生じているものと考えた。よって、溶剤の蒸発性とそのときの表面張力を推定するために、以下の検証を実施した。また、参考までに今回に用いた溶剤の代表的な物性を表2に示す。
実施例1〜3,比較例1〜3のインクの共通した考え方は次のとおりである。真空乾燥の過程において、まず、主溶剤Aを主成分とする混合溶液が蒸発し、その後に、添加溶剤B〜Fを成分とする混合溶液が蒸発する。
20℃における主溶剤Aの蒸気圧は、66.6Pa、添加溶剤Bの蒸気圧は、10.6Pa、添加溶剤Cの蒸気圧は6.7Pa、添加溶剤Dの蒸気圧は13.3Pa、添加溶剤Eの蒸気圧は2.7Pa、添加溶剤Fの蒸気圧は、1.0Paである。主溶剤Aが主成分として蒸発する過程で発生する対流を緩和するためにも、添加溶剤の蒸気圧は主溶剤Aより小さく、主溶剤Aが蒸発したあとで、蒸発する必要がある。
次に、蒸発中の表面張力を推定するために、添加溶剤Eと添加溶剤Fとの混合溶液の表面張力を測定した。図2にしめす。実施例1(E+F)、比較例1(E)、比較例2(F)における添加溶剤(主溶剤Aを含んでいない状態)の表面張力の関係がわかる。
表面張力の測定はペンダントドロップ法で、各条件に対して5回行った。縦軸に表面張力の測定値、横軸に添加溶剤Eと添加溶剤Fとの混合比率を示す。各プロットは測定平均値を示し、測定値の最大値と最小値を各プロットに対する上下のエラーバーで示す。
この結果から、添加溶剤Eと添加溶剤Fとの混合比率が1:1(50質量%)の時(実施例1)、混合溶剤の表面張力は29.2mN/mまで低減でき、主溶剤Aの表面張力(28.5)との表面張力差の低減が可能である。このときの主溶剤Aと、添加溶剤Eと添加溶剤Fから成る混合溶液との表面張力差は0.7mN/mである。また、主溶剤Aの表面張力(28.5mN/m)より、混合溶剤(E+F、実施例1)の表面張力(29.2mN/m)は大きい。
添加溶剤Fが0%(添加溶剤E100%)、つまり、比較例2の場合は、主溶剤Aの表面張力と近いが、主溶剤Aの表面張力より小さい。小さいことで、不均一な膜ができた。メカニズムは、下記別途で説明する。
同様の方法にて、添加溶剤Bと添加溶剤Dとの混合溶液の表面張力を測定した。図3は、実施例2における表面張力と溶剤混合比との関係を示す図である。
Bが50Wt%の時、実施例2の添加溶剤であり、BとDが1:1である。B100%は、比較例3である。この結果から、添加溶剤Bと添加溶剤Dとの混合比率が1:1(50質量%)の時(実施例2)、混合溶剤の表面張力は32.6mN/mまで低減でき、主溶剤Aとの表面張力差の低減が可能である。このときの主溶剤Aと、添加溶剤Bと添加溶剤Dから成る混合溶液との表面張力差は4.1mN/mである。同時に、主溶剤Aの表面張力(28.5mN/m)より、添加溶剤Bと添加溶剤Dから成る混合溶剤の表面張力(32.6mN/m)は大きい。
同様の方法にて、添加溶剤Bと添加溶剤Cとの混合溶液の表面張力を測定した。図4は、実施例3における表面張力と溶剤混合比との関係を示す図である。添加溶剤Cが0%(Bが100%)の時が、比較例3の時である。
この結果から、添加溶剤Bと添加溶剤Dとの混合比率が1:1(50質量%)の時、混合溶剤の表面張力は31.5mN/mまで低減することができ、主溶剤Aとの表面張力差の低減が可能である。このときの主溶剤Aと、添加溶剤Bと添加溶剤Cから成る混合溶液との表面張力差は3.0mN/mである。また、主溶剤Aの表面張力(28.5mN/m)より、混合溶剤の表面張力(31.5mN/m)は大きい。
このように、23℃における主溶剤Aより添加溶剤(混合溶液)の表面張力が4.1mN/m以下の範囲で大きければ、MgO粉をバランスよく分散することができる。
<メカニズム1:ダマ>
比較例3(添加溶剤B、表面張力が大きい)において、MgO粉の凝集体である直径10μm程度の“ダマ”の発生が顕著である(図1(f))。図5は、“ダマ”発生メカニズムを図示したものである。
図5において、基板43上にスリットコータ法でWet膜厚が12μmになるように混合溶剤42とMgO結晶粉体41で構成されるMgO原料層を塗布した。ここで、参考までに“ダマ”の推定発生メカニズムについて、比較例3を例にとって図5に記す。
塗布直後を図5(a)に示す。MgO結晶粉体41と主溶剤Aと添加溶剤Bとの混合溶剤42で構成される均質な膜を形成する。
乾燥初期を図5(b)に示す。減圧乾燥により、主溶剤Aを主成分とした溶剤の蒸発が始まる。主溶剤Aは、表面張力が添加溶剤Bに比べて小さい。主溶剤Aが蒸発した後に残る添加溶剤は添加溶剤Bの含有量が多くなるため、乾燥が進んだ箇所は表面張力が大きくなる。結果として、溶剤内に表面張力のバラツキが生じ、表面張力が低いところから高いところへ向けて対流が起きる。
乾燥中期を図5(c)に示す。対流の影響が大きくなり、粒子が対流する結果、ベナードセルとよばれるセルが発生する。
乾燥終期を図5(d)に示す。主溶剤Aのほとんどが蒸発し、残された溶剤は添加溶剤Bが主成分となり、表面張力差による対流は収束する。但し、ほぼ同時に残された添加溶剤Bは量が少ないため、粒子は対流の影響を受けたまま蒸着法で形成したMgO薄膜層上に定着する。このとき、MgO粒子はセルの形状が少し崩れ、その結果“ダマ”となって定着する。
上記の表面張力差を原因とする対流は、表面張力差が大きいほど対流が強いと考えられ、“ダマ”を抑制するには、表面張力差を小さくすることが有効だと考えられる。よって、表2、図2から図4の結果から、表1の右側に表面張力の差をまとめた。
(結果)実施例1、実施例2、実施例3から、主溶剤Aと添加溶媒1,2より成る混合溶液との表面張力差が0.7から4.1mN/mのとき、”ダマ”は存在せず、かつ、MgO粉が電極上にも存在しており、バランスよく分散している。
よって、主溶剤Aと添加溶媒1、2より成る混合溶液との表面張力差は4.1mN/m以下であると、極めて有効であることがわかった。ただし、主溶剤Aと添加溶剤Fとからなる比較例2においても、主溶剤Aと添加溶剤Fとの表面張力差は、3.4mN/mであるが、比較例2の結果である図1(e)では、MgO粉の凝集体である直径10μm程度の“ダマ”の発生が顕著である。比較例2の場合、表面張力差が4.1mN/m以下であるため、表面張力による対流の影響は少ないと考えられるが、溶媒Fの粘度起因の対流の影響が出ていると推定される。溶媒Fの粘度は175.3mPa・sであり、その他の溶剤よりも5〜150倍ほども粘度が高い。そのため、(ウ)乾燥中期、(エ)の乾燥終期において溶剤Fの粘度の高さにより、(イ)の乾燥初期で生じた表面張力差による対流した時の状態でMgO粉が固定され、MgO粉の拡散などの緩和がないまま固着し、ダマが発生したと考えられる。
表1より、実施例1における添加溶媒E、Fによる混合溶液の粘度は、60.7mPa・s、実施例2における添加溶媒B、Dによる混合溶液の粘度は12.3mPa・s、実施例3における添加溶媒B、Cによる混合溶液の粘度は12.0mPa・sである。すべて、25℃における粘度であるが、より高い温度の乾燥状態でも粘度は、25℃と同様の傾向があるため、25℃の粘度で判断する。
添加溶剤による混合溶液の粘度は、25℃において60.7mPa・s以下であることが望ましい。粘度の観点から、比較例1,3も含まれるが、上記、表面張力の範囲に含まれないので、不良現象が生じる。
<メカニズム2:凝集>
また、比較例1(主溶剤A+E)図1(d)においては、電極上にMgO結晶粉体が多く集まる現象が見られる。これは、表面張力が逆転すると違う現象が生じることを示唆している。
図6は、電極上にMgO結晶粉体が多く集まるメカニズムを示す図である。図6において、基板43上にスリットコータ法でWet膜厚が12μmになるように混合溶剤42とMgO結晶粉体41で構成されるMgO原料層を塗布したものである。ここで、参考までに電極上にMgO結晶粉体が多く集まるメカニズムについて、比較例1を例にとって図6に記す。
塗布直後を図6(a)に示す。MgO結晶粉体41と主溶剤Aと添加溶剤Eとの混合溶剤42で構成される均質な膜を形成する。このとき、前面板側の電極(表示電極)11が存在する部分は、基板43としては、凹凸のついた状態となっている。測定を行うと、基板43の平面度は電極(表示電極)11の存在による影響を受けており、走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13b部分を凸とした高低差4μmほどの凹凸ができている。
乾燥初期を図6(b)に示す。減圧乾燥により、主溶剤Aを主成分とした溶剤の蒸発が始まる。主溶剤Aは、表面張力が添加溶剤Eに比べて大きい。主溶剤Aが蒸発した後に残る溶剤は添加溶剤Eの含有量が多くなるため、乾燥が進んだ箇所は表面張力が小さくなる。
よって、基板上において、一様に同じ割合で主溶剤Aが蒸発すると、凹部の主溶剤Aの残存量は、凸部の主溶剤A残存量より大きくなり、その結果、表面張力は凸部よりも凹部の方が大きくなる。結果として、基板43の凹凸部において、表面張力のバラツキが生じる。表面張力の高い部分が低い部分を引っ張ることにより、表面張力の低いところから高いところへ向けて流れが起きる。この場合、膜の表面付近で、基板43の凸部から凹部への対流44が生じる。
主溶剤Aと添加溶剤Eとの表面張力の差は−0.5mN/mであるが、本実験は減圧乾燥により乾燥を行うため、塗布されたインクにおいて短時間で凹凸部にて表面張力差が生じる。そのため、乾燥過程のインクにおいて、溶剤の対流が生じやすくなっていると考えられる。
乾燥中期を図6(c)に示す。凹部の底部と膜の表面付近で表面張力の差が大きくなる。乾燥が進む膜の表面付近の表面張力は、主溶剤Aが蒸発することにより小さくなり、底部の表面張力の方が大きくなる。よって、表面張力の高い底部の溶剤が表面張力の低い膜表面付近の溶剤を引っ張り、膜表面から凹部の底部へ向かう対流が生じる。
膜の表面付近で生じた基板の凸部から凹部への流れと、凹部で生じた膜表面から底部へ向かう流れにより、図6(c)のような対流45、対流46が生じる。この対流により、MgO結晶粉体41は、基板43上の凸部へ押し出される。
乾燥後を図6(d)に示す。主溶剤Aのほとんどが蒸発し、残された溶剤は添加溶剤Eが主成分となり、表面張力差による対流は収束する。ただし、ほぼ同時に残された添加溶剤Eは量が少ないため、MgO結晶粉体41は対流の影響を受けたまま基板43上に定着する。このとき、粒子は凸部上に集まった状態になっている。
混合溶剤42の表面張力が、主溶剤Aの表面張力より低い場合(比較例1)、MgO結晶粉体41は基板凸部上に集まった状態になる。
(結果)少なくとも、混合溶剤42の表面張力は、主溶剤Aより高い必要がある。以上の条件のMgOインクなら、MgO結晶粉体41の集合・凝集を防止でき、輝度が均一でスキャン特性が良好なPDPを得ることができる。
なお、上記では、特定の溶剤に関して、表面張力と粘度のみで考察したが、主溶剤Aとしては、アルコール系のもの、添加溶剤B,Cは、グリコールもしくはエーテル系のものであれば、少なくとも、同様の結果となる。
例えば、主溶剤Aのアルコール類としては、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、n−ヘプチルアルコール、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、n−ヘキシルアルコールまたは2−メチル−1−プロパノール等の有機溶剤をあげることができる。また、添加溶剤B、Cのグリコールもしくはエーテル系としては、親水基を含んでいうものが好ましく、例えばα−テルピネオール、プロピレングリコール、2−オクタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、またはグリセリン等の有機溶剤を挙げることができる。
本発明の製造方法を通じて最終的に得られるPDPは、良好な放電特性を有するので、一般家庭向けのプラズマテレビおよび商業用プラズマテレビとして好適に用いることができる他、その他の各種表示デバイスとしても好適に用いることができる。また、本発明の製造方法は、PDPに限定されず、他の製品分野でも活用することができる。例えば、電池・電子部品等の分野において、ポリマー・分散剤を含有しないインクをスリットコータ法で凹凸の存在する基板に塗布して、被覆率が極めて均一な粉体層を形成するといった用途にも適用可能である。
1 前面板
2 背面板
10 基板
11 表示電極
12 走査電極
12a 透明電極
12b バス電極
13 維持電極
13a 透明電極
13b バス電極
14 遮光層
15 誘電体層
16 保護層
16a MgO薄膜層
16b MgO粉体層
20 基板
21 アドレス電極
22 誘電体層
23 隔壁
25 蛍光体層
30 放電空間
32 放電セル
41 MgO結晶粉体
42 混合溶剤
43 基板
44、45、46 対流
52 正常領域
53 不良領域
100 PDP

Claims (7)

  1. 基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたプラズマディスプレイパネルの前面板
    を製造する方法において、
    前記保護層の形成が、
    (i)前記基板上に形成された前記誘電体層上にスパッタ法または蒸着法で第1保護層
    を形成する工程、
    (ii)前記第1保護層上にMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、及び、
    (iii)前記MgO原料層を乾燥して前記MgO原料層から第2保護層を得る工程
    を含んで成り、
    前記MgO原料は、MgO粉体とアルコールである第1溶剤と、グリコールもしくはエーテルである第2溶剤とから構成され、
    前記第2溶剤の粘度は、25℃において60.7mPa・s以下であり、
    前記第2溶剤の23℃の表面張力は、前記第1溶剤の23℃における表面張力との差が4.1mN/m以下であり、
    かつ、第1溶剤の表面張力より大きいことを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法。
  2. 前記第2溶剤が、2種類の溶剤からなる請求項1記載のプラズマディスプレイの製造方法。
  3. 基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたプラズマディスプレイパネルの前面板
    の製造に用いるインクにおいて、
    前記MgO原料は、第1溶剤と第2溶剤とから構成され、
    前記第2溶剤の粘度は、25℃において60.7mPa・s以下であり、
    前記第2溶剤の23℃の表面張力と、前記第1溶剤の23℃における表面張力との差が4.1mN/m以下であり、かつ、前記第1溶剤の表面張力より大きいことを特徴とするプラズマディスプレイ用インク。
  4. 前記第1溶剤は、アルコールであり、前記第2溶剤は、グリコールもしくはエーテルである請求項3記載のプラズマディスプレイ用インク。
  5. 前記第2溶剤が、2種類の溶剤からなる請求項3または4記載のプラズマディスプレイ用インク。
  6. 前記第1溶剤は、97〜80質量%で、それ以外の溶剤が前記第2溶剤である請求項3から5のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイ用インク。
  7. 前記第1溶剤は、前記第2溶剤のすべてより沸点が低い請求項3から6のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイ用インク。
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