JP2014063637A - プラズマディスプレイパネルの製造方法およびプラズマディスプレイ用インク - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法およびプラズマディスプレイ用インク Download PDF

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Abstract

【課題】PDP保護膜上にMgO粉を分散させるため、インクを塗布するプロセスにおいて、工程中で10分ほど停止すると、PDP保護膜上のインクが水分を吸い、乾燥後のMgO結晶粉体の分布形状が乱れる。よって、工程で10分間停止しても、良好な分布形状を得る製造方法およびインクを提供する。
【解決手段】保護層の形成として、基板上に形成された誘電体層上に第1保護層を形成する工程、第1保護層上にMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、および、MgO原料層を乾燥に付してMgO原料層から第2保護層を得る工程を含んで成り、MgO原料が、MgO粉体と2種類以上の溶剤を含んで成り、MgO原料の主成分である溶剤よりも含有量が少ない溶媒の吸水性は、主成分である溶剤と同等であることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、保護層上に酸化マグネシウムの結晶粉体を散布する工程を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法とそのインクに関するものである。
高品位テレビジョン画像を大画面で表示するためのディスプレイ装置として、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも称す)を用いたディスプレイ装置への期待は高まっている。
PDP(例えば3電極面放電型PDP)は、映像を見る人から見て表面側となる前面板とその裏側の背面板とを対向配置して、それらの周辺部を封着部材で封着した構造を有している。前面板と背面板との間に形成された放電空間にはネオンおよびキセノンなどの放電ガスが封入されている。前面板は、ガラス基板の一方の面に形成された走査電極と維持電極とから成る表示電極と、これらの電極を覆う誘電体層と保護層とを備えている。背面板は、ガラス基板に上記表示電極と直交する方向にストライプ状に形成された複数のアドレス電極と、これらのアドレス電極を覆う下地誘電体層と、放電空間をアドレス電極毎に区画する隔壁と、隔壁の側面および下地誘電体層上に形成された赤色・緑色・青色の蛍光体層とを備えている。
表示電極とアドレス電極とは直交していて、その交差部が放電セルを成している。これらの放電セルはマトリクス状に配列されており、赤色・緑色・青色の蛍光体層を有する3個の放電セルがカラー表示のための画素となっている。このようなPDPでは、順次、走査電極とアドレス電極間、および走査電極と維持電極間に所定の電圧が印加されてガス放電を発生させている。そして、かかるガス放電で生じる紫外線により蛍光体層を励起して可視光を発光させることによってカラー画像表示を実現している。
[プラズマディスプレイパネルの構成]
図9及び図10を用いて、従来のPDP100の構成について説明する。図9は、従来のPDP100の基本構造を模式的に示す斜視図である。PDP100の基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図10は、PDP100の模式断面図である。
図9において、PDP100は、前面板1と、前面板1に対向配置された背面板2とを備えている。前面板1と背面板2との間の外周部には、ガラスフリットなどの封着部材(図示せず)が配置されている。当該封着部材によって、PDP100が気密封着され、PDP100の内部に放電空間30が形成されている。放電空間30には、例えば、ネオン(Ne)及びキセノン(Xe)などの放電ガスが、例えば400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。
前面板1には、ガラス等で構成された前面基板10を備えている。前面基板10の表面上には、帯状の表示電極対11と遮光層(ブラックストライプ)14とが、互いに平行に複数配列(ストライプ状に配置)されている。表示電極対11は、互いに並列に配置された帯状の走査電極12と維持電極13とで構成されている。走査電極12と維持電極13とは、図10に示すように、それぞれ可視光を透過するための透明電極12a,13aと、透明電極12a,13a上に配置され、各電極の抵抗を低くするためのバス電極12b,13bとの積層構造で構成されている。透明電極12a,13aの幅は、例えば180〜200μm程度であり、バス電極12b,13bの幅は、例えば60μm〜70μm程度である。なお、走査電極12及び維持電極13の厚みはそれぞれ、遮光層14の厚みよりも厚い。
また、前面基板10の表面上には、表示電極対11及び遮光層14をそれぞれ覆うように誘電体層15が配置されている。このように配置されることにより、誘電体層15はコンデンサとしての働きをする。
誘電体層15の表面上には、誘電体層15を覆うようにMgO薄膜層16が設けられている。MgO薄膜層16は、例えばMgOを主成分とし、EB(電子ビーム)蒸着機やプラズマガン蒸着機などを用いた成膜法、スパッタ法、又はCVD法などに代表される薄膜プロセスで形成されている。MgO薄膜層16は、放電によって発生した高エネルギーのイオンから走査電極12と維持電極13と誘電体層15とを保護するとともに、放電空間30に二次電子を効率良く放出して放電開始電圧を低減する機能を有する。
MgO薄膜層16の表面上には、例えばMgOなどの金属酸化物の結晶を含む微粒子の一例であるMgO結晶粉体17が分散されている。ここでは一例として、MgO結晶粉体17は、単独で生成されたMgOを主成分とし、結晶性が高いMgOを含んでいる割合がMgO薄膜層16よりも高く、MgO薄膜層16よりも放電空間30に二次電子をより効率良く放出して放電開始を促す機能を有するものとする。
このMgO結晶粉体17は、平均粒子径が0.9μm〜2.0μmの範囲内となるように形成されることが好ましい。MgO結晶粉体17の平均粒子径が0.9μm未満の場合には、結晶性の高いMgOの割合が少なく、所望の二次電子の放出効率を得ることができずに、放電開始を促す機能が損なわれる恐れがある。一方、MgO結晶粉体17の平均粒子径が2.0μmより大きい場合には、前面板1と背面板2とを対向配置して貼り合わせたときに、MgO結晶粉体17が後述する背面板2の隔壁23と接触して隔壁23を破壊する確率が上昇する。この場合、不灯などの不良が発生する確率が上昇することになる。なお、ここでいう平均粒子径とは、体積累積平均径(D50)を意味する。
図10に示すように、バス電極12b,13bを覆うMgO薄膜層16の部分が、それぞれの走査電極12,13の厚みの影響により例えば4μm程度隆起している。MgO薄膜層16の表面において、走査電極12のバス電極12bと対向する領域を領域X(第1領域)とし、領域Xを除く残りの領域を領域Y(第2領域)としたとき、MgO薄膜層16の表面がMgO結晶粉体17に覆われる被覆率は領域Xの方が領域Yよりも小さくなっている。この被覆率については、後で詳しく説明する。
背面板2は、ガラス等で構成された背面基板20を備えている。背面基板20の表面上には、複数の帯状のアドレス電極21が、それぞれ表示電極対11と直交するとともに、互いに平行に配置されている。
また、背面基板20の表面上には、それぞれのアドレス電極21を覆うように下地誘電体層22が配置されている。下地誘電体層22上には、放電空間30をアドレス電極21毎に区画するように、アドレス電極21の延在方向と平行に複数の隔壁23が配列されている。互いに隣り合う隔壁23,23の側面と下地誘電体層22とで形成される溝部24には、紫外線により赤色、緑色、又は青色に発光する蛍光体層25が順次塗布されている。
前記構成により、表示電極対11とアドレス電極21とが互いに直交する交差部には、それぞれ放電セル31が形成される。すなわち、放電セル31は、マトリクス状に配置されている。これらの放電セル31がPDP100の画像表示部となり、表示電極対11の延在方向に並ぶ赤色、緑色、及び青色の蛍光体層25を有する3個の放電セル31が、カラー表示のための画素となる。
例えば、外部に設置された駆動回路から、走査電極12とアドレス電極21との間、及び走査電極12と維持電極13との間に各駆動信号が順次印加されると、各放電セル31内にガス放電が発生する。より詳しくは、点灯すべき放電セル31における走査電極12とアドレス電極21との間では、MgO薄膜層16の表面に電荷を蓄積するアドレス放電が発生し、走査電極12と維持電極13との間では、前記電荷が蓄積された放電セル31において、画像形成に用いられる紫外線を発生する維持放電が発生する。PDP100は、このようにして点灯すべき放電セル31内に発生した紫外線が、放電セル31に対応する蛍光体層25を励起して可視光を発光させることにより、カラー映像を表示することができる。
次に、MgO薄膜層16の表面がMgO結晶粉体17に覆われる被覆率について説明する。ここで、被覆率とは、MgO薄膜層16の表面がMgO結晶粉体17に覆われる面積の割合を意味する。この被覆率は、例えば、最大発光波長550nmのハロゲン光源に対する直線透過率の減少率により評価することができる。
図11は、MgO薄膜層16の表面全体におけるMgO粉末による被覆率と放電遅延バラツキ比率との関係を示すグラフである。ここで「放電遅延バラツキ」とは、各放電セル31において、走査電極12とアドレス電極21との間に電圧を印加してからアドレス放電が開始されるまでの時間のバラツキ幅を意味する。この放電遅延バラツキは、被覆率に応じて変化するものである。「放電遅延バラツキ比率」とは、MgO薄膜層16の表面上にMgO結晶粉体17を全く配置していない場合の基準放電遅延バラツキに対する放電遅延バラツキの割合を百分率で示したものをいう。MgO薄膜層16の電子放出特性が高い程、放電遅延バラツキ比率は小さくなり、画像のちらつきなどの画像劣化の原因となるアドレス放電ミス(いわゆる、書き込み不良)を防ぐことができる。
図11に示すように、被覆率が増加すると、放電遅延バラツキ比率は低くなる。例えば、被覆率が5%のとき、放電遅延バラツキ比率は約20%である。すなわち、MgO薄膜層16の表面の5%にMgO結晶粉体17を分散することで、放電遅延バラツキ比率を80%低減することができ、MgO薄膜層16の電子放出特性を大幅に改善することができる。
図12は、MgO薄膜層16の表面全体における被覆率と放電開始電圧(Vscn_pdともいう)の上昇率との関係を示すグラフである。ここで、「放電開始電圧」とは、アドレス放電が開始されるのに必要な電圧をいう。「放電開始電圧上昇率」とは、MgO薄膜層16の表面上にMgO結晶粉体17を全く配置していない場合の基準放電開始電圧に対する放電開始電圧の上昇量の比率を百分率で示したものをいう。
図12に示すように、被覆率が増加すると、放電開始電圧上昇率は大きくなる。これは、被覆率の増加に伴い、MgO薄膜層16の露出表面が少なくなるため、蓄積可能な電荷量(以下、壁電荷量という)が低減し、アドレス放電に十分な壁電荷量を得ることができず、走査電極12とアドレス電極21の間に十分な電位差が形成されていないためと考えられる。
なお、放電開始電圧は低い程、PDP100のパネル設計上でも低電圧で駆動できることになるため、電源や各電気部品として、耐圧及び容量の小さい部品を使用することが可能となる。なお、それぞれの走査電極12に電圧を順次印加するためのMOSFETなどの半導体スイッチング素子として、例えば耐圧150V程度の素子を使用した場合には、放電開始電圧は、温度による変動を考慮して100V以下に抑えることが求められる。
図11及び図12の関係より、放電遅延バラツキを小さく(電子放出特性を改善)するためには、被覆率を大きくする必要があるが、放電開始電圧上昇率を小さくするためには、被覆率を小さくする必要があることが分かる。すなわち、放電遅延バラツキを小さくすることと、放電開始電圧上昇率を小さくすることとは、トレードオフの関係にある。
このため、放電遅延バラツキを小さくするとともに放電開始電圧上昇率を小さくするには、被覆率を一定の範囲内で設定することが好ましい。ここで、MgO薄膜層16の表面全体における被覆率が5%未満の場合には、放電遅延バラツキの低減効果が少ないだけでなく、PDP100を量産するときにMgO結晶粉体17の配置の製造上のばらつきが想定以上に大きくなる恐れがある。
一方、MgO薄膜層16の表面全体における被覆率が11%より大きい場合には、図12より放電開始電圧上昇率が約30%以上となることがある。この場合、PDP100の量産時に生じるMgO薄膜層16の特性のバラツキを考慮すると、パネルの基準放電開始電圧が70V後半の場合、放電開始電圧が100V以上になるものが発生する恐れがある。この場合には、前記したように、各走査電極12に電圧を順次印加するための半導体スイッチング素子として、耐圧150V程度の素子を使用することができない。従って、MgO薄膜層16の表面全体における被覆率は、約5%〜約11%の範囲内で設定することが好ましい。
図13は、放電開始電圧上昇率と被覆率の割合の関係を示す。図13の実線で示す曲線は、MgO薄膜層16の表面全体における被覆率を8%としたときの、領域Yにおける被覆率Y´に対する領域Xにおける被覆率X´の割合(X´/Y´)と放電開始電圧上昇率との関係を示している。なお、MgO薄膜層16の表面全体における被覆率が変化した場合には、前記割合(X´/Y´)と放電開始電圧上昇率との関係を示す曲線は、図12に示すようにMgO薄膜層16の表面全体における被覆率と放電開始電圧上昇率とがリニアな関係(比例関係)にあるので、図13のほぼ上下方向に平行移動するものと思われる。図13において、点線で示す曲線は、下から順に、MgO薄膜層16の表面全体における被覆率が5%、10%、11%であるときに示すと思われる、前記割合(X´/Y´)と放電開始電圧上昇率との関係を示している。
MgO薄膜層16の表面全体における被覆率が8%の場合において、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合を1.0にしたとき、すなわち領域X及び領域Yの区別無くMgO薄膜層16の表面全体において均一の被覆率としたとき、図13より放電開始電圧上昇率は約20%である。一方、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合を例えば0.7にしたとき、図13より放電開始電圧上昇率は約13%である。すなわち、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合を1.0から0.7まで低くすることで、放電開始電圧上昇率を約20%から約13%まで減少させることができる。
また、図13より、放電開始電圧上昇率は被覆率Y´に対する被覆率X´の割合が約1.0であるときを境にして急激に低減していくことが分かる。従って、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合を約1.0より小さくすることで、言い換えれば、領域Xにおける被覆率X´を領域Yにおける被覆率Y´よりも小さくすることで、放電開始電圧上昇率を抑えることができる。図14は、領域Xにおける被覆率X´が領域Yにおける被覆率Y´よりも小さくなるようにMgO結晶粉体17をMgO薄膜層16の表面上に配置した一例を拡大平面図として示している。
なお、被覆率X´は、被覆率Y´よりも小さければ小さいほど好ましいが、PDP100の量産時における製造上のバラツキにより、大きく変化しないように、Y´と同程度とする。つまり、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合は±0.05程度増減させる、すなわち0.95〜1.05の範囲内でバラツキがあるものと考えられる。
この場合、前記製造上のバラツキにより、被覆率X´が被覆率Y´よりも小さくなるものが生じることが考えられるが、本発明はこれを含むことを意図しない。前記製造上のバラツキを含まないことを明確にするため、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合を0.9以下、すなわち被覆率X´を被覆率Y´の90%以下とすることがより好ましい。この場合、前記製造上のバラツキがあったとしても、被覆率X´は被覆率Y´よりも確実に小さくなる。また、図13に示すように、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合が0.9以下であるときの勾配は、前記割合が0.9〜1.0であるときの勾配に比べて急勾配になっている。従って、放電開始電圧上昇率の抑制効果がより高い。被覆率X´の下限については、次のように考える。
図11より被覆率が5%以下になると放電遅延バラツキ比率が20%より、急上昇する。そのため、Y´での被覆率を8%と仮定した場合、X´上で被覆率5%を維持するためには、被覆率Y´に対するX´の割合は0.625となる。製造上のバラツキに対する余裕を考えると、被覆率Y´に対するX´の割合は0.75程度のなるのが望ましい。これらから、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合は、0.75〜0.9が望ましい。
[前面板の製造法]
次に、このようなPDP100の典型的な製造方法について簡単に図9で説明する。PDP100の製造は、前面板1の形成工程と背面板2の形成工程とに分かれている。まず、前面板1の形成工程においては、前面基板10上に、例えばスパッタ法などで透明電極を形成すると共に焼成法等でバス電極を形成することによって表示電極対11を形成する。次いで、表示電極対11を覆うように誘電体原料を前面基板10上に塗布して加熱処理して誘電体層15を形成する。次いで、この誘電体層15上に、前述または後述する方法でMgOなどから成る膜を形成することでMgO薄膜層16を形成し、前面板1を得ている。
背面板2の形成工程においては、背面基板20上に、例えば焼成法等でアドレス電極21を形成し、その上に誘電体原料を塗布して下地誘電体層22を形成する。次いで、所定のパターンで低融点ガラスから成る隔壁23を形成し、その隔壁23の間に蛍光体材料を塗布して焼成することによって蛍光体層25を形成する。次いで、基板の周縁部に例えば低融点フリットガラス材料を塗布し、焼成を行うことで封着部材(図9には図示せず)を形成し、背面板2を得ている。
得られた前面板1と背面板2とを対向するように位置合わせし、その状態で固定したまま加熱して封着部材を軟化させることによって、前面板1と背面板2とを気密に接合する、いわゆるパネル封着工程を行う。引き続いて、加熱しながら放電空間30内のガスを排気する、いわゆる排気ベーキング工程を行った後、放電空間30内に放電ガスを封入することによって、PDP100を完成させる。
[保護膜の製造方法]
次に、前面板に形成される保護層の製造を詳細に説明する。
図9および図10を参照して、本発明の実施形態を説明する。図10はPDPの前面板を模式的に表した断面図である。まず、本発明の実施に際しては、電極および誘電体層が形成された基板を用意する。より具体的には、「表示電極対11および誘電体層15が形成されたガラス基板」を用意する。
従って、まず、前面基板10上に、走査電極12と維持電極13とから構成される表示電極対11が形成されたものを用意する。前面基板10としては、ソーダライムガラスや高歪み点ガラス、各種セラミックスからなる絶縁基板であることが好ましく、厚さは1.0mm〜3mm程度であることが好ましい。表示電極対11の走査電極12および維持電極13には、それぞれ、ITO等から成る透明電極12a,13a(厚さ50nm〜500nm程度)が形成されていると共に、かかる透明電極上に表示電極の抵抗値を下げるべく、銀を含んで成るバス電極12b,13b(厚さ1μm〜8μm程度)が形成されている(図10参照)。
従って、透明電極(12a)を薄膜プロセスなどで形成した後に、バス電極(13b)の焼成プロセスなどを経て形成する。特に、バス電極(13b)の形成に際しては、まず、銀を主成分とした導電性ペーストをスクリーン印刷法によりストライプ状に形成する。また、バス電極(13b)は銀を主成分とした感光性ペーストをダイコート法や印刷法により塗布した後に、100℃〜200℃で乾燥した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法によりパターンニングすることによってストライプ状に形成してもよい。
更には、ディスペンス法やインクジェット法によって形成してもよい。そして、最終的には乾燥に付した後、400℃〜600℃の焼成に付すことによって、バス電極を得る。尚、透明電極上には、Al、CuまたはCr等の金属やCr/Cu/Crのような積層体からなる金属電極を形成してもよい。
表示電極対11の形成に引き続いて、誘電体層15を形成する。誘電体層15は、PDPの前面板1の一般的な製造で用いられる焼成法またはゾルゲル法などによって得ることができる。例えば、SiO、B、ZnO、Biを含むガラス粉末と有機溶剤とバインダ樹脂とを混合して成る誘電体原料ペーストをスクリーン印刷法で塗布し、その後、熱処理に付すことによって誘電体層15を形成することができる。誘電体層15の厚さは、好ましくは5μm〜30μm程度であり、より好ましくは10μm〜20μm程度である。尚、有機溶剤としてはアルコール類(例えばイソプロピルアルコール)やケトン類(例えばメチルイソブチルケトン)を挙げることができ、バインダ樹脂としては、セルロース系樹脂またはアクリル系樹脂などを挙げることができる。
(工程(i):MgO薄膜層16を形成)
誘電体層15の形成に引き続いて、MgO薄膜層16を形成する。従って、本発明の製造方法の工程(i)を実施する。換言すれば、誘電体層上にスパッタ法(スパッタリング法)または蒸着法でMgO薄膜層16を形成する。好ましくは、酸化マグネシウム(MgO)を含んで成るMgO薄膜層16を形成する。形成されるMgO薄膜層16の厚さは、好ましくは約0.1μm〜2μm程度であり、より好ましくは約0.5μm〜1μm程度である。蒸着法としては、CVDまたはPVDを用いてよい。尚、スパッタ法または蒸着法に限定されず、所望のMgO薄膜層16を形成できるのであれば、必要に応じて他の手法を用いてもよい。
(工程(ii):MgO原料を塗布してMgO原料層を形成)
次いで、本発明の製造方法の工程(ii)を実施する。つまり、MgO薄膜層16の上に、MgO原料を塗布してMgO原料層を形成する。用いられるMgO原料は、MgO粉体と溶剤Aと溶剤B、または溶剤Aと溶剤Bと溶剤Cとを含んで成るものである。MgO粉体は、好ましくはMgO結晶粉体17(MgO微結晶粉体)であり、より好ましくはMgO単結晶粉体である。かかるMgO結晶粉体またはMgO単結晶粉体の粒径は、好ましくは約0.2μm〜20μm程度、より好ましくは約0.5μm〜10μm程度である。尚、MgO原料に含まれるMgO粉体の量は、好ましくは0.3質量%〜20質量%(MgO原料基準)、より好ましくは0.3質量%〜10質量%(MgO原料基準)、更に好ましくは0.3質量%〜5質量%(MgO原料基準)であり、例えば約1質量%(MgO原料基準)である。
MgO原料に含まれる溶剤は、溶剤Aと溶剤Bであり、乾燥時の対流を抑制するために、溶剤Aと溶剤Bとの蒸気圧がある程度離れている必要がある。全溶剤に対して溶媒Bの割合が3.5質量%以上であり、溶剤Aの20℃における蒸気圧が50Pa以上、溶剤Bの20℃における蒸気圧が20Pa以下である。
また、MgO原料に含まれる全溶剤に対する溶剤Bの割合(即ち溶剤Bの含有率)は、3.5質量%以上である。ここで、本明細書にいう「全溶剤」とは、溶剤が溶剤Aと溶剤Bから成る場合では、「溶剤Aと溶剤B」のことを実質的に意味しており、溶剤がその他の溶剤(つまり、少なくとも1種類の他の溶剤)を付加的に含む場合では「溶剤A、溶剤Bおよびその他の溶剤」のことを実質的に意味している。
尚、全溶剤に対する溶剤A以外の割合は、好ましくは3.5質量%以上かつ20質量%以下である。なお、全溶剤に対する溶剤A以外の割合は、好ましくは3質量%以上かつ20質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上かつ12質量%以下である。この理由として、次の内容が挙げられる。溶剤Bの効果を出すには、溶剤Bが少なすぎると溶剤Aの蒸発とともに溶剤Bも影響を受けてしまい、ほぼ同時に蒸発し、ムラが発生することがわかっている。よって、このような影響を受けないためには、溶剤Bは3質量%以上必要である。また、溶剤Bが多すぎると、MgO原料の乾燥に時間がかかりすぎるため、溶剤Bは好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは12質量%以下である。
溶剤Aは、水溶性のアルコール系溶剤であり、例えば3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、2−エトキシエタノールまたは2−メトキシエタノール等の有機溶剤をあげることができる。また、溶剤Bは、α-テルピネオール、プロピレングリコール、2-オクタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルまたはグリセリン等の有機溶剤を挙げることができる。
MgO原料の塗布には、スリットコータ法を用いることが好ましい。「スリットコータ法」とは、巾広のノズルからペースト状原料を圧送吐出して所定の面にペースト状原料を塗布する方法である。かかるスリットコータ法を用いる場合、MgO原料はMgO粉体の凝集防止の観点から8mPa・s以下程度の粘度を有していることが好ましい。
ここで、MgO原料は一般に非ニュートン性流体となり得るので、本明細書で用いる粘度は「ずり速度100s−1および温度25℃における粘度」を実質的に意味していることに留意されたい。MgO原料の粘度は、好ましくは3mPa・s以上かつ8mPa・s以下であり、より好ましくは4mPa・s以上かつ8mPa・s以下である。これは、前記スリットコータの塗布性から8mPa・s以下の原料粘度が求められ、また、MgO粉の沈降を抑制する点から、3mPa・s以上が望ましく、MgO粉の粒子径に依存するが、できるだけ粘度が高い方が、MgO粉の沈降を抑制する効果が大きいためである。
MgO原料の塗布により形成されるMgO原料層の厚さ(以下にて「Wet膜厚」とも称す)は、スリットコータ法を用いる場合には約5μm〜約13μm程度が好ましい。
(工程(iii):乾燥)
MgO原料層の形成が完了すると、次に、本発明の製造方法の工程(iii)を実施する。つまり、MgO原料層を乾燥に付してMgO原料層からMgO結晶層を得る。ここでいう「乾燥」とは、MgO原料層に含まれている溶剤(より具体的にいえば溶剤A、溶剤B、溶剤C)を気化させてMgO原料層から除去することを実質的に意味している。例えば、MgO原料層を7Pa〜0.1Paの減圧下または真空下に置いてもよく、あるいは、大気圧下で100℃〜400℃程度の熱処理に付してもよい。必要に応じて「減圧下または真空下」と「熱処理」とを組み合わせてもよい。乾燥後に得られる第2保護層の厚さは、溶剤が抜けることに起因して、MgO原料層の厚さよりも減じられ、0.1μm〜5μm程度となり得る。
以上の工程(i)〜(iii)によって、MgO薄膜層16とMgO結晶層とから成る2層構造の保護層が形成され、前面板1が完成することになる。
[背面板の製造法]
前面板1の作製に対して、背面板2は次のようにして作製する。まず、ガラス基板である基板20上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、銀を主成分とした金属膜を全面に形成した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによって前駆体層を形成し、それを所望の温度(例えば約400℃〜約700℃)で焼成することによりアドレス電極21を形成する。
次いで、アドレス電極21が形成された背面基板20上に、下地誘電体層となる下地誘電体層22を形成する。まず、「ガラス成分(SiO、Bなどから形成される材料)およびビヒクル成分などを主成分とした誘電体原料ペースト」をダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、かかる誘電体ペースト層を焼成することによって下地誘電体層22を形成できる。次いで、隔壁23を所定のピッチで形成する。具体的には、下地誘電体層22上に隔壁形成用原料ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成し、その後、それを焼成に付して隔壁23を形成する。例えば、低融点ガラス材料、ビヒクル成分およびフィラー等を主成分とした原料ペーストをダイコート法または印刷法によって塗布して約100℃〜200℃の乾燥に付した後、露光・現像するフォトリソグラフィー法でパターニングし、次いで、約400℃〜約700℃の焼成に付すことによって隔壁23を形成する。
尚、隔壁23は、スクリーン印刷で隔壁材料の膜を形成したのち乾燥して、感光性樹脂を含むドライフィルムにより露光・現像処理でパターン形成した後、サンドブラストにより掘削し、ドライフィルムを剥離し、焼成することでも形成することができる。次いで、蛍光体層25を形成する。隣接する隔壁23間の下地誘電体層22上および隔壁23の側面に蛍光体材料を含む蛍光体原料ペーストを塗布し、焼成することによって蛍光体層25を形成する。より具体的には、蛍光体粉末およびビヒクル成分等を主成分とした原料ペーストをノズル吐出法などで塗布し、次いで、約100℃の乾燥に付すことによって蛍光体層25を形成する。尚、赤色の蛍光体粉末としては[YBO3:Eu3+]、緑色の蛍光体粉末としては[Zn2SiO4:Mn]、青色の蛍光体粉末としては[BaMgAl10O17:Eu2+]を用いることができる。
以上の工程により、背面基板20上に、所定の構成部材たるアドレス電極21、下地誘電体層22、隔壁23および蛍光体層25が形成され、背面板2が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板1と背面板2とは、表示電極対11とアドレス電極21とが直交するように対向配置させる。次いで、前面板1と背面板2の周囲をガラスフリットで封着する。そして、形成される放電空間30内を排気した後、放電ガス(ヘリウム、ネオンおよび/またはキセノンなど)を好ましくは55kPa〜80kPaの圧力で封入することによってPDP100を最終的に完成させる。
[MgO薄膜層の形成について]
ここで、MgO薄膜層の形成について、特許文献1では、蒸着法などを用いる一方、MgO結晶層の形成に、スリットコータ法を用いている。特に、特許文献1の第1の実施形態では、直径0.5μm〜10μmのMgO単結晶粉体を3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールとα−テルピネオールとから成る混合溶媒中に分散させることよって、スリットコータ用インクを調製している。
図15は従来の“はじき現象”の態様を模式的に表した斜視図である。図15において、前面板側の前面基板10上に誘電体層15が存在し、さらにその上にMgO薄膜層16が施されている。MgO薄膜層16上には、MgO薄膜層の凸部51とMgO粉体が所定の被覆率で存在する領域52とMgO粉体が存在しない或いは周辺領域52に比べて被覆率が低い領域53が存在する。特許文献1の第1の実施形態にて作成したインクにてスリットコータ法を用いてMgO結晶層を形成する場合には、図15に示すように、MgO薄膜層上にMgO結晶粉体が存在しない領域53、あるいは、周囲領域52に比べてMgO結晶粉体の被覆率が低い領域53が形成されてしまう現象(以下では「はじき現象」と称す)が発生することがある。
「はじき現象」とは、MgO薄膜層の凸部51起因により生じるものと考えられており、凸部51は、(A)誘電体突起物、(B)MgO薄膜層の蒸着成膜中において発生するMgOスプラッシュ起因のMgO異物、(C)MgO薄膜層形成過程において混入する環境異物などによって、PDP前面板の作製過程で偶発的または不可避的に生じてしまうものである。
特開2009−295372号公報
従来の方法として、特許文献1の第1の実施形態にて作成したインクにてスリットコータ法を用いてMgO結晶層を形成する場合には、図15の従来のはじき現象に加えて、図16に示すように、MgO薄膜層の凸部51が存在しなくても、MgO薄膜層上にMgO結晶粉体が存在しない或いは周囲領域に比べてMgO結晶粉体の被覆率が低い領域53が形成されてしまう現象(以下では「核なしはじき現象」と称す)が発生することがある。従来のはじき現象とこの核なしはじき現象が生じるとMgO薄膜層上におけるMgO結晶粉体の被覆率の均一性が減じられ、放電遅れの抑制・放電確率の均一化が困難になる傾向にある。
核ありはじき現象は、核の発生をしない方法で防ぐことができる。核なしはじき現象は、インク中の溶剤の一つであるα―テルピネオールが疎水性であるため、空気中の水分をはじき、生じるとため起こると考えられ、親水性の溶剤に置き換えると、核なしはじき現象の発生を抑制することができる。その代わりに、はじきを抑制するインクにて塗布後に工程中で10分ほど停止すると、PDP保護膜上に塗布されたインクが製造工程中の水分を吸い、乾燥後のMgO結晶粉体の分布形状が乱れるという問題があった。
上記課題を解決するため、本発明は、基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
保護層の形成が、
(1)基板上に形成された誘電体層上にスパッタ法または蒸着法で第1保護層を形成する工程、
(2)第1保護層上にスリットコータ法によりMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、および
(3)MgO原料層を乾燥に付してMgO原料層から第2保護層を得る工程を含んで成り、
MgO原料はMgO粉体と2種類以上の溶剤を含んでおり、MgO原料の主成分である溶剤はアルコールであり、主溶剤よりも含有量が少ない全ての溶媒の添加量は3質量%以上である。
また、主溶剤よりも含有量が少ない溶媒は、グリコール、エーテル、グリコールのアセテート誘導体であり、MgO原料に含まれる主溶剤よりも含有量が少ない全ての溶媒の吸水性は、主成分である溶剤と同等である。ここで、そして、溶媒の吸水性とは、相対湿度1%以下雰囲気での溶媒の蒸発による重量変化と、相対湿度約50%雰囲気下での吸水と蒸発による重量変化との差を示す。MgO原料の主成分である溶剤よりも含有量の少ない溶媒の吸水性は、主成分である溶剤の時間あたりの吸水量を100とした時に、プラスマイナス15%以内であることを特徴とする製造方法およびプラズマディスプレイ用インクを提供する。
本発明の製造方法およびインクでは、第2保護層の形成に際して、MgO原料の「核なしはじき現象」を抑制することができる。換言すれば、面内の被覆率が均一なMgO結晶層を形成でき、放電遅れの抑制・放電確率の均一化を図れる。その結果、選択不良等のない良好な放電特性を持つプラズマディスプレイを得ることができる。また、第2保護層の製造工程において、何らかのトラブルで設備が10分間程度停止し、MgO薄膜層上に塗布されたインクが製造工程雰囲気中にて待機しても、プラズマディスプレイの品質に影響を与えないため、製造工程におけるプロセスマージンを拡げることが可能となる。
23℃、湿度47〜49%雰囲気での溶剤の重量変化を示す図 図1の時間0〜30分までの拡大図 23℃、露点マイナス35℃雰囲気での溶剤の重量変化を示す図 (A)実施例インク1を塗布後すぐに乾燥させて作成した基板の外観写真を示す図、(B)実施例インク1を塗布後10分間待機させた基板の外観写真を示す図、(C)比較インク1を塗布後すぐに乾燥させて作成した基板の外観写真を示す図、(D)比較インク1を塗布後10分間待機させた基板の外観写真を示す図 (A)図4(D)の状態を詳しく描いた断面模式図、(B)図4(D)の状態を詳しく描いた平面模式図 (A)実施例インク2を塗布した基板の外観写真を示す図、(B)実施例インク2を塗布後10分間待機させた基板の外観写真を示す図 (A)MgO結晶粉体が偏っていないパネルの点灯状態を表す図、(B)MgO結晶粉体が偏っているパネルの点灯状態を表す図 被覆率と吸水速度比の差との関係を示す図 従来のPDPの基本構造を模式的に示す斜視図 従来のPDPの模式断面図 MgO薄膜層の表面全体における被覆率と放電遅延バラツキ比率との関係を示す図 MgO薄膜層の表面全体における被覆率と放電開始電圧の上昇率との関係を示す図 放電開始電圧上昇率と被覆率の割合の関係を示す図 前面板をMgO薄膜層面から模式的に表した図 “はじき現象”の態様を模式的に表した斜視図 “核なしはじき現象”の態様を模式的に表した斜視図
〔インク溶剤の物性〕
核なしはじきを抑制する効果のある親水性インクに用いることが可能な溶剤について検証を行った。親水性溶剤は親水性であるがため、大気中の水分を吸水しやすいと考えられる。よって、インクの溶剤が吸水することについて検証した。
尚、以下で説明する試験では、MgO原料のことを便宜上「インク」と呼んでいる。
インクの溶剤として、以下のものを用いた。
・ 溶剤A:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール (沸点174℃、粘度5.0mPa・s)
・ 溶剤B:3−メチル−1,3−ブタンジオール (沸点203℃、粘度175.3mPa・s)
・ 溶剤C:ヘキシレングリコール (沸点197℃、粘度27.1mPa・s)
・ 溶剤D:プロピレングリコール (沸点188℃、粘度38.5mPa・s)
・ 溶剤E:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート酢酸2−(2−エトキシエトキシ)エチル (沸点217℃、粘度1.5mPa・s)
・ 溶剤F:1,3−ブタンジオール−3−メチル-1−アセテート(沸点206℃、粘度7.9mPa・s)
・ 溶剤G:α‐テルピネオール(沸点219℃、粘度34.4mPa・s)
これら6種類の溶剤に対して、23度、湿度47〜49%の環境下で、内径66mmのシャーレに5gの溶剤を滴下し、その後の重量変化を電子天秤で測定した。図1は、23度、湿度47〜49%雰囲気での溶剤の重量変化を表す。溶剤A、B、C、D、E、F、Gは、いったん重量が増加している。これは、溶剤の蒸発と同時に雰囲気中の水分が溶剤に吸収されているためである。溶剤Aについては、50分ほど放置した後に溶剤の重量が減少に転じている。増加から減少に変化する点については、吸収された水分が溶剤中で飽和しつつあり、溶剤Aの吸水速度がゼロに近づいたためだと考えられる。重量が減少するのは、溶剤Aが大気中に蒸発しているためである。溶剤Eに関しては、30分ほどで溶剤中の水分は飽和し、溶剤重量の減少に転じている。重量減少の速度が遅いのは、溶剤Eの沸点が高いがゆえに蒸発速度が遅いためである。溶媒Cも溶媒Eと同じような現象が起きていると推定される。
溶剤B、C、Fに関しては溶剤の重量が増加し続けている。これらは、溶剤の蒸発と雰囲気中の水分が溶剤に吸収が同時に生じており、雰囲気中の水分の吸収速度が溶剤B、C、Fの蒸発速度を上回っているからである。溶剤Gについては溶剤Aと同様に、雰囲気中の水分吸収により溶剤内の水が飽和し、重量が減少する、すなわち乾燥に転じている。溶剤Gは、疎水性であるため、雰囲気中の水分の吸収は少ない。逆に溶剤A,B,C,D,E,Fは、親水性であるため、空気中の水分の吸収をしやすいと考えられる。
図2は、図1の時間0〜30分までの拡大図である。プラズマディスプレイパネルの製造工程において、スリットコータ法を用いてMgO原料層を形成する場合、工程中で何らかのトラブルで設備が10分間程度停止する場合がある。その間に、MgO薄膜層16上に塗布されたインクが製造工程雰囲気中に存在する水分を吸うことが想定される。そのため、0分から10分の間の吸水速度が重要となる。よって、0分から10分の間の傾きを算出し、シャーレの面積で割ることにより吸水‐蒸発速度を求めた。表1は、図1の場合(30分まで)、各溶剤の吸水‐蒸発による重量変化を表す。
表1に示す各溶剤の吸水―蒸発による重量変化は、溶剤の吸水速度だけでなく、同時に蒸発速度も含まれている。よって、吸水速度を推算するため、蒸発速度に関して次のような実験を行った。
温度23℃、露点マイナス35℃雰囲気にあるドライルームにて、シャーレを用いた同様の測定を行った。温度23℃、露点マイナス35℃雰囲気は、相対湿度約1%に相当する。溶剤A,B,C,D,E,F,Gに対して、23度、相対湿度1%の環境下で、内径66mmのシャーレに5gの溶剤を滴下し、その後の重量変化を電子天秤で測定した。
図3は、23度、露点マイナス35雰囲気での溶剤の重量変化を表す。相対湿度1%の環境下では、溶剤の吸水による重量変化への影響はほとんどなく、シャーレに入った溶剤の重量は減少していく。これらの溶剤の0分から10分の間の傾きを算出し、シャーレの面積で割ることにより蒸発速度を求めた。この結果を表2に示す。表2は、各溶剤の蒸発による重量変化を表す。
吸水と蒸発が同時に発生している環境下での「吸水‐蒸発速度」、と吸水の要因を取り除いた「蒸発速度」が得られた。これらから、表1の「吸水‐蒸発速度」と表2の「蒸発速度」との和が「吸水速度」になると考え、表1と表2の値から計算した。表3は、各溶剤の吸水による重量変化を表す。
溶剤Aの吸水量を100とすると、溶剤Dは溶剤Aとの比145であり、溶剤Aと比較して著しく高い。また、溶剤Eは、溶剤Aとの比84であり、溶剤Aと比較して低いことがわかる。また、溶剤Gは、溶剤Aとの比25であり、溶剤Aと比較して著しく低いことがわかる。溶剤B,C,Fに関しては、溶剤Aとの比は96〜100であり、溶剤Aと同等の吸水量であることがわかる。
核なしはじきを抑制する効果のある親水性インクに用いることが可能な溶剤について検証を行った。親水性溶剤は親水性であるがため、大気中の水分を吸水しやすいと考えられる。よって、塗布してすぐに乾燥させた基板と、基板に塗布した状態で10分間待機させた後に乾燥させた基板とを作成し、インクの溶剤が吸水することによる影響について検証した。また、インクは4〜8mPa・s程度のものが望ましいため、4〜8mPa・sに調整したインクで評価を行った。
〔インク溶剤成分の効果確認試験〕
表3の吸水速度を参考にして、以下の組成の実施例インク1を、スリットコータ法を用いてMgO薄膜層16上にMgO結晶粉体17を分散させた。実施例インク1に関しては、吸水性が溶剤Aと同等である溶剤B,Cを選定した。比較インク1としては、吸水性が溶剤Aと大きく異なる溶剤D,Eを選定した。
従来と同様に、主成分である溶剤Aと、溶剤Aの蒸発が急激に起こるのを和らげるための副溶剤を用いている。今回の実施例では、溶剤Aと副溶剤2つ(溶剤B、C)を用いた。
ここで主成分とは、溶剤中で一番質量%が多い溶剤である。また、溶媒は、添加量が3質量%以上のものを溶剤として扱う。3質量%より少ない溶剤は、効果がでない。
(実施例インク1):
・ MgO結晶粉体:0.5〜10μmのMgO単結晶粉体
・ 溶剤A:85wt%
・ 溶剤B:7.5wt%
・ 溶剤C:7.5wt%
(実施例インク2)
・ MgO結晶粉体:0.5μm〜10μmのMgO単結晶粉体
・ 溶剤A:91wt%
・ 溶剤B:3wt%
・ 溶剤F:6wt%
(比較例インク1)
・ MgO結晶粉体:0.5〜10μmのMgO単結晶粉体
・ 溶剤A:93wt%
・ 溶剤D:3.5wt%
・ 溶剤E:3.5wt%
MgO粉体濃度は全て0.7質量%とした。
MgOインクの調製に際しては、上記材料から成る混合物2000gをMgO結晶粉体であるMgO結晶粉体17表面にチッピング等の格子欠陥を起こさないように振幅20μmで30分間超音波処理し、MgO結晶粉体17を溶剤中に分散させた。
得られたMgOインクの粘度は、実施例インク1、2に関しては7.1mPa・s、比較インク1に関しては、4.9mPa・sであった。実施例インク1、2と比較インク1について、蒸着法で形成したMgO薄膜層16(厚さ0.7μm程度)の上に塗布した。具体的には、MgOインクをスリットコータ法でWet膜厚が12μmとなるように塗布した(出願人製作のスリットコータ設備使用)。
次いで、雰囲気を1Paにまで減圧することで真空乾燥に付し、それによって、溶剤を気化させMgO結晶粉体17を分散させたサンプルを作成した。また、塗布と真空乾燥の間に、工程中での何らかのトラブルで設備が停止することを想定して、10分程度、MgO薄膜層16上にインクが塗布された状態で放置したサンプルも作成した。
図4(A)は、実施例インク1を塗布後すぐに乾燥させて作成した基板の外観写真を示す図、図4(B)は、実施例インク1を塗布後10分間待機させた基板の外観写真を示す図、図4(C)は、比較インク1を通常に作成した基板の外観写真を示す図、図4(D)は、比較インク1を塗布後10分間待機させた基板の外観写真を示す図である。走査型の電子顕微鏡を使い、150倍で撮影した。写真中、白色に写っているものはMgO結晶粉体17である。また、写真に対して水平方向に前面電極側の表示電極対11が存在している。なお、写真は、走査型顕微鏡で撮影した。
プラズマディスプレイパネルの製造工程において、スリットコータ法を用いてMgO結晶層を形成する場合、工程中で何らかのトラブルで設備が10分間程度停止する場合がある。その間に、MgO薄膜層上に塗布されたインクが製造工程雰囲気中に存在する水分を吸うことが想定される。そのため、0分から10分の間の吸水速度が重要となる。
図4(A)は、実施例インク1を設備の停止なしで通常にスリットコーターで塗布し、真空乾燥炉にて乾燥をさせたもの、図4(B)は実施例インク1を塗布後10分ほど待機させたのち、真空乾燥炉にて乾燥させたものである。
また、図4(C)は、比較インク1を設備停止なしで通常にスリットコーターで塗布し、真空乾燥炉にて乾燥をさせたもの、図4(D)は比較インク1を塗布後10分ほど待機させたのち、真空乾燥炉にて乾燥させたものである。
図4(A),(B)より、実施例インク1は塗布後10分ほど待機させても、MgO薄膜層16上のMgO結晶粉体17は一様に分布し、外観は待機させない場合と同等である。図4(C)より、比較インク1は塗布後に設備停止なしで真空乾燥にて乾燥させた場合、MgO結晶粉体17は実施例インク1と同等の外観である。しかし、図4(D)からは、設備停止により塗布後に10分ほど待機した場合、MgO薄膜層16上のMgO結晶粉体17は電極方向に沿って電極上のMgO結晶粉体17が極端に少なくなる現象が見られる。これは、10分程度、MgO薄膜層16上にインクが塗布された状態で放置されると、比較インク1はMgO結晶粉体17の分布が乱れることがわかった。
この現象は、スリットコーターによりMgO薄膜層上に塗布されたインクが10分間の待機中に製造工程雰囲気中に存在する水分を吸ったために生じる。水の表面張力は溶剤A,B,Cに較べてかなり高いため、その結果、待機中に吸収された水により塗布されたインク中の溶剤による表面張力バランスが崩れ、待機および真空乾燥の工程中にMgO結晶粉体17の分布が乱れたと推定される。
図5(A)、図5(B)は、図4(D)を詳しく描いた模式図である。図5(A)は、前面板1のMgO薄膜層16部分の断面図、図5(B)は、前面板1をMgO薄膜層16側から描いた平面図である。MgO薄膜層16は、走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13bがMgO薄膜層16の下に存在するため、高低差約4μmの凹凸を形成している。
図6(A)は、実施例インク2を通常に作成した基板の外観写真(デジタルマイクロスコープにより撮影した写真)を示す図、図6(B)は、実施例インク2を塗布後10分間待機させた基板の外観写真(デジタルマイクロスコープにより撮影した写真)を示す図である。デジタルマイクロスコープを使い、150倍で撮影した。デジタルマイクロスコープで撮影したため、走査型顕微鏡で撮影した図4(A)と異なって見える点に注意されたい。図に対して水平方向に走査電極12と維持電極13が存在している。走査電極12の透明電極12a上にバス電極12bが存在している。同様に、維持電極13の透明電極13a上にバス電極13bがある。走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13bの影響を受け、MgO薄膜層16(透明のため、図中では示していない)は、バス電極13a、13b上で高低差約4μmの凸の状態になっている。図6(A)、(B)中の黒い点は、MgO結晶粉体17である。
図6(A)は、実施例インク2を設備の停止なしで、スリットコーターで塗布し、真空乾燥炉にて乾燥をさせたもの、図6(B)は実施例インク2を塗布後10分ほど待機させたのち、真空乾燥炉にて乾燥させたものである。
図6(A),(B)より、実施例インク2は塗布後10分ほど待機させても、MgO薄膜層上のMgO結晶粉体は一様に分布し、外観は待機させない場合と同等である。ここで、被覆率X´,Y´に対して外観写真より目視で測定を行った。図6(A),(B)における被覆率Y´に対する被覆率X´の割合は、およそ0.9であった。
なお、実施例インク1と実施例インク2では、核なしはじきの不良は発生なく、比較例1にては、核なしはじきの不良が存在した。
比較インク1を塗布後10分ほど待機させた後、真空乾燥炉にて乾燥させた場合、MgO結晶粉体17は、走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13bにより形成される凸部の片側に偏る傾向がある。また、前面板1において、全ての場所で同じ方向に偏ることはない。ある領域では走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13bにより形成される凸部のある片側に偏るとすると、他の領域では走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13bにより形成される凸部の逆方向に偏る傾向がある。よって、MgO結晶粉体17が偏る方向には規則性がないことがわかっている。
図7(A)、(B)は、42型パネルの点灯状態を表す図である。図7(A)は、図4(A)のように走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13bとの間でMgO結晶粉体17が偏っていないパネルの点灯状態を示す。図7(B)は、図4(D)のように走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13bとの間でMgO結晶粉体17がどちらかに偏ったパネルを点灯させたものである。
図7(A)は、パネル一面に対してほぼ均一に点灯しているのに対し、図7(B)は、パネルのある領域ごとに明るいところ、暗いところの分布ができているのが分かる。これは、点灯のMgO結晶粉体17が走査電極12のバス電極12bと維持電極13のバス電極13bとの間でどちらかに偏ると、MgO結晶粉体17の多い部分で放電が速くなり、また、少ない部分で放電が遅くなると考えられ、結果としてパネルの状態で点灯させると、領域ごとに明るい部分、暗い部分の分布ができると考えられる。
比較インク1を塗布後10分間待機させた後で乾燥させた基板(図4(D))について、点灯状態のムラについて検証するために、MgO結晶粉体17による被覆率の測定を行った。
ここで、被覆率とは、MgO薄膜層16の表面が微粒子結晶であるMgO結晶粉体17に覆われる面積の割合を意味する。
MgO薄膜層16の表面において、走査電極12のバス電極12bと対向する領域を領域X(第1領域)とし、領域Xを除く残りの領域を領域Y(第2領域)としたとき、被覆率X´,Y´に対して外観写真より目視で測定を行った(領域は図14に示している)。
図4(A),(B),(C)における被覆率Y´に対する被覆率X´の割合は、およそ0.9であった。図4(D)におけるMgO結晶粉体17が偏った部分の被覆率Y´に対する被覆率X´の割合は、およそ0.1であった。放電遅延バラツキと放電開始電圧上昇率との関係から、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合は、0.75〜0.9が望ましく、そのためには、吸水による影響を抑制する必要がある。
表4は、実施例1、2と比較例1における吸水速度比の最大の差と被覆率の関係を表す表である。
なお、溶剤A以外の添加溶剤(溶剤B〜F)の合計を15質量%と9質量%にしているが、3〜20質量%ならよい。添加溶剤が少なすぎると溶剤Aの蒸発とともに添加溶剤も影響を受けてしまい、ほぼ同時に蒸発し、ムラが発生することがわかっている。よって、このような影響を受けないためには、添加溶剤は3質量%以上必要である。また、添加溶剤が多すぎると、MgO原料の乾燥に時間がかかりすぎるため、添加溶剤は好ましくは20質量%以下である。
このまた、添加溶剤の量の範囲なら、下記結果にも影響しない。
表4および下記の吸水速度比の差は、溶剤Aとそれ以外の溶剤との差の内で最大の値を示めしている。下記にも示すが、この差が、ダマ発生の重要な要因であり、溶剤Aとの最大差が問題となる。
また、この実施例、比較例では、2種類の添加溶剤を用いているが、2種類には意味はなく、1種類の場合でも、複数種類の場合でも、溶剤Aとの給水速度比の最大の差が問題となる。添加溶剤2つを用いた理由は、物性を調整しやすいこと、蒸発する場合に、2種類なら、溶剤ごとに、ずれて飛び出し、ムラの原因となる可能性が低いなどの利点があるためである。
ここで、溶剤の吸水速度比(最大)の差を考える。図8は、被覆率と吸水速度比の差との関係を示す図である。縦軸に被覆率、横軸に吸水速度比の差をとり、上記被覆率の測定結果をプロットした。実施例インク1における溶剤Bと溶剤Cとの吸水速度比の差は、4%であり、同様に比較インク1における溶剤Dと溶剤Eとの吸水速度比の差は、61%である。また、比較インク1のとき、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合はおよそ0.1であり、実施例インク1のとき、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合はおよそ0.9である。これらの吸水速度比の差から、被覆率Y´に対する被覆率X´の割合の最低値である0.75(上記図13のところで説明)になるポイントを直線近似により推算すると、吸水速度比の差が15%であることが推定される。
ここで、溶剤としては、少なくとも添加量が3質量%以上のものの場合に影響がでる。3質量%より小さい場合は、影響が少なく、除外する。
(結果)
これは、MgO原料の主成分である溶剤よりも含有量の少ない溶媒の吸水性は、主成分である溶剤の時間あたりの吸水量を100とした時に、プラスマイナス15%以内であり、また、添加溶剤は3質量%以上であることが必要であることが推測される。
さらに、より望ましくは、MgO原料の主成分である溶剤よりも含有量の少ない溶媒の吸水性は、主成分である溶剤の時間あたりの吸水量を100とした時に、プラスマイナス4%以内であることだと考えられる。
なお、上記では、特定の溶剤に関して、蒸発速度のみで考察したが、溶剤Aとしては、アルコール系のもの、溶剤A以外は、グリコール、エーテル、グリコールのアセテート誘導体のものであれば、少なくとも、同様の結果となる。
例えば、溶剤Aのアルコール類としては、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、n−ヘプチルアルコール、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、n−ヘキシルアルコールまたは2−メチル−1−プロパノール等の有機溶剤をあげることができる。また、溶剤A以外は、グリコールもしくはエーテル系としては、親水基を含んでいうものが好ましく、例えばα-テルピネオール、プロピレングリコール、2−オクタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、またはグリセリン等の有機溶剤を挙げることができる。
本発明の製造方法を通じて最終的に得られるPDPは、良好な放電特性を有するので、一般家庭向けのプラズマテレビおよび商業用プラズマテレビとして好適に用いることができる他、その他の各種表示デバイスとしても好適に用いることができる。
また、本発明の製造方法は、PDPに限定されず、他の製品分野でも活用することができる。例えば、電池・電子部品等の分野において、ポリマー・分散剤を含有しないインクをスリットコータ法で基板に塗布して、被覆率が極めて均一な粉体層を形成するといった用途にも適用可能である。
1 前面板
2 背面板
10 前面基板
11 表示電極対
12 走査電極
12a 透明電極
12b バス電極
13 維持電極
13a 透明電極
13b バス電極
14 遮光層
15 誘電体層
16 MgO薄膜層
17 MgO結晶粉体
20 背面基板
21 アドレス電極
22 下地誘電体層
23 隔壁
24 溝部
25 蛍光体層
30 放電空間
31 放電セル
51 凸部
52 周辺領域
53 領域
100 PDP


Claims (6)

  1. 基板上に電極と誘電体層と保護層とが形成されたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記保護層の形成が、
    (1)前記基板上に形成された前記誘電体層上に第1保護層を形成する工程、
    (2)前記第1保護層上にMgO原料を塗布してMgO原料層を形成する工程、および
    (3)前記MgO原料層を乾燥に付して前記MgO原料層から第2保護層を得る工程を含んで成り、
    前記MgO原料は、MgO粉体と2種類以上の溶剤を含んで成り、
    前記MgO原料中の最も含有量が多い第1溶剤はアルコールであり、さらに、第2溶媒としてアセテート誘導体を含み、
    少なくとも前記第2溶剤は、3質量%以上の含有量のものであり、
    前記第2溶剤の吸水性は、前記第1溶剤の時間あたりの吸水量を100とした時に、プラスマイナス15%以内であることを特徴とするプラズマディスプレイの製造方法。
  2. 前記MgO原料は、さらに、前記第2溶剤として、複数の3質量%以上溶剤を含む請求項1記載のプラズマディスプレイの製造方法。
  3. 前記第1溶剤は、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、n−ヘプチルアルコール、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、n−ヘキシルアルコールまたは2−メチル−1−プロパノールのうちの1つであり、
    前記第2溶剤は、α-テルピネオール、プロピレングリコール、2−オクタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、またはグリセリンである請求項1または2記載のプラズマディスプレイの製造方法。
  4. MgO原料が、MgO粉体と2種類以上の溶剤を含んで成り、前記MgO原料中の最も含有量の多い第1溶剤はアルコールであり、さらに、第2溶媒としてアセテート誘導体を含み、
    前記第2溶剤の添加量は3質量%以上であり、
    前記第2溶媒の吸水性は、前記第1溶剤の時間あたりの吸水量を100とした時に、プラスマイナス15%以内であることを特徴とするプラズマディスプレイ用インク。
  5. 前記MgO原料は、さらに、前記第2溶剤として、複数の3質量%以上の溶剤を含む請求項4記載のプラズマディスプレイ用インク。
  6. 前記第1溶剤は、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、n−ヘプチルアルコール、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、n−ヘキシルアルコールまたは2−メチル−1−プロパノールの1つであり、
    前記第2溶剤は、α-テルピネオール、プロピレングリコール、2−オクタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、またはグリセリンである請求項4または5記載のプラズマディスプレイ用インク。

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