JP2013148931A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2次転写対向部材12Bを介して中間転写体8にトナーの極性と同極性のバイアスを印加する第1電源部61と、2次転写部材19にトナーの極性と逆極性のバイアスを印加する第2電源部62と、を備える。そして、2次転写工程がおこなわれるときに、第1電源部61によって電流が一定になるように中間転写体8にトナーと同極性のバイアスを印加するとともに、第2電源部62によって電圧が一定になるように2次転写部材19にトナーと逆極性のバイアスを印加する。
【選択図】図4
Description
特許文献1等における画像形成装置は、4つの感光体ドラム(像担持体)が中間転写ベルト(中間転写体)に対向するように並設されている。これらの4つの感光体ドラムでは、それぞれ、ブラック(黒色)、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像が形成される。そして、各感光体ドラムで形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト上に重ねて転写(1次転写)される。さらに、中間転写ベルト上に担持された複数色のトナー像は、中間転写ベルトと2次転写ローラ(2次転写部材)との当接位置(2次転写ニップ部)で、カラー画像として記録媒体上に転写(2次転写)される。なお、中間転写ベルトは複数のローラ部材によって張架・支持されていて、その複数のローラ部材のうちの1つである2次転写対向ローラ(2次転写対向部材)が中間転写ベルトを介して2次転写ローラに圧接して2次転写ニップ部を形成している。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。また、図3は、中間転写ベルト及び2次転写ローラの近傍を示す構成図である。さらに、図4は、2次転写ローラ及び2次転写対向ローラを幅方向(図3の紙面垂直方向である。)にみた図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写ユニット15(中間転写ベルト装置)が設置されている。また、中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。さらに、中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、2次転写ローラ19(2次転写部材)が配設されている。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び転写ローラ9Y(1次転写ローラ)との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対(不図示である。)によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
なお、本実施の形態における画像形成装置100は、プロセス線速(又は、記録媒体Pの搬送速度)が430mm/秒に設定されている高速機である。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤収容部に開口を介して連通するトナー補給経路43Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
図3及び図4に示すように、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8(中間転写体)、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、2次転写対向部材としての2次転写対向ローラ12B、テンションローラ12C、補正ローラ12D、中間転写クリーニング部10、第1電源部61(定電流電源)、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材12A〜12Dによって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材(駆動ローラ)12Aの回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。複数のローラ部材12A〜12Dや第1電源部61等を内包する中間転写ユニット15は、装置本体100に対して着脱自在に構成されている。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
中間転写ベルト8は、23℃50%の環境下でのベルト裏面側の表面抵抗率が109.5〜1011.5Ω/□の範囲になるように調整されている。ここで、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率が109.5Ω/□以上の場合には、第1電源部61(定電流電源)より2次転写対向ローラ12Bを介して中間転写ベルト8に印加した電流(トナーと同極性の電流である。)のほぼすべてが、記録媒体Pや2次転写ローラ19へ向かう転写電流として用いられるので、2次転写工程における転写率が安定する。これに対して、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率が109.5Ω/□より小さい場合には、第1電源部61(定電流電源)より2次転写対向ローラ12Bを介して中間転写ベルト8に印加した電流の一部が、中間転写ベルト8の内周面等から中間転写ベルト8に接触する他の部材に漏れてしまうため、記録媒体Pや2次転写ローラ19へ向かう転写電流が減少してしまい、2次転写工程における転写率が低下する。他方、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率が1011.5Ω/□を超える場合には、中間転写ベルト8に電荷が残留するようになり、放電痕画像等の異常画像が発生しやくなる。また、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率が1011.5Ω/□を超える場合には、記録媒体Pとして坪量の小さい薄紙が用いられるときに、2次転写工程後に中間転写ベルト8から記録媒体Pを分離する工程において、記録媒体Pが中間転写ベルト8から分離し難くなってしまう。これらのことから、中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率を上述の範囲に設定することが好ましい。なお、中間転写ベルト8の表面抵抗率の測定は、「ハイレスタIP」とそれに付属する「HRプローブ」(いずれも三菱化学社製)とを用いて、印加電圧500Vの10秒値としたものである。
また、中間転写ベルト8は、体積抵抗率が107〜1012Ωcm程度に、厚さが80〜100μm程度に設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト8の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト8の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。
具体的に、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kのうち、カラー用の3つの1次転写ローラ9Y、9M、9Cは、不図示の筐体に一体的に保持されていて、上下方向に一体的に移動可能に構成されている。また、黒色用の1次転写ローラ9Kは、単独で上下方向に移動可能に構成されている。そして、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kが図3中の破線の位置に移動することで、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kから離間する(破線位置への移動である。)。このような中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kから離間させる動作は、中間転写ベルト8の磨耗劣化を軽減するためにおこなわれるものであって、主として非画像形成時におこなわれる。なお、黒色用の1次転写ローラ9Kを単独で上下方向に移動可能に構成したのは、モノクロ画像形成時に、カラー用の3つの1次転写ローラ9Y、9M、9Cを下方に移動してカラー用の感光体ドラム1Y、1M、1Cを中間転写ベルト8から離間させるためである。
補正ローラ12Dは、蛇行検知センサ(不図示である。)によって検知された中間転写ベルト8の変位(変位量)に基いて、一端側を固定端として他端側が上下方向に移動するように(回転軸が傾斜するように)構成されている。これにより、中間転写ベルト8の幅方向の変位(蛇行)が補正される。
テンションローラ12Cは、中間転写ベルト8の外周面に当接している。2次転写対向ローラ12Bとテンションローラ12Cとの間に、中間転写クリーニング部10(クリーニングブレード)が設置されている。
2次転写対向ローラ12Bは、芯金上に中抵抗ゴム層を形成したものであって、23℃50%環境下での抵抗値が107〜108.5Ωになるように設定されている。ここで、幅方向のサイズが小さな記録媒体P(小サイズ紙等である。)が通紙される場合には、2次転写ニップ部において2次転写ローラ19と中間転写ベルト8とが直接接触する部分に電流が流れやすくなり、双方の部材8、19が記録媒体Pを介して接触する部分に流れる電流が少なくなってしまうので、記録媒体Pのサイズに応じて2次転写対向ローラ12Bに印加する電流の補正をおこなっている。2次転写対向ローラ12Bの抵抗値が107Ωより小さいと、上述した補正の程度が大きくなり過ぎてしまう。また、2次転写対向ローラ12Bの抵抗値が108.5Ωを超えると、第1電源部61(定電流電源)から2次転写対向ローラ12Bの芯金に印加される電圧が大きくなってしまう。さらに、2次転写対向ローラ12Bの抵抗値が108.5Ωを超えると、2次転写対向ローラ12Bの芯金と2次転写ローラ19の芯金との電位差が大きくなり、互いのローラ12B、19の抵抗層間でリークが生じて放電痕画像が発生する可能性もある。
通常時(2次転写工程時)には、接離機構によって、2次転写ローラ19は中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ12Bに圧接している(図3、図4の状態である。)。そして、2次転写工程がおこなわれないとき(ウォーミングアップ時や待機等である。ただし、後述する第1電圧検出部64による検出時を除く。)には、接離機構によって、中間転写ベルト8に対して2次転写ローラ19が離間される。
なお、図示は省略するが、2次転写ユニット30は、筐体36内に、2次転写ローラ19や第2電源部62の他に、クリーニングブレード、潤滑剤供給ブラシ、除電針、紙粉取りブラシが2次転写ローラ19に当接するように内包されている。
なお、2次転写対向ローラ12Bや2次転写ローラ19の抵抗は、ローラを金属平板の上に置いた状態で、測定用の高圧電圧より芯金に1kVの電圧を印加したときの金属平板に流れる電流を測定して、その電流値をオームの式に代入して求めた値である。
また、本実施の形態において、2次転写対向ローラ12Bや2次転写ローラ19は、幅方向(回転軸方向)の長さが344mm程度に設定されている。
ここで、第1電源部61から2次転写対向ローラ12Bを介して中間転写ベルト8に印加されるバイアスは、トナーの極性に対して同極性のバイアスである。具体的に、本実施の形態にて用いられているトナーの極性はマイナスであるため、第1電源部61から中間転写ベルト8にマイナス極性のバイアスが印加されることになる。そして、第1電源部61は、定電流電源であって、2次転写工程がおこなわれるときに電流が一定になるように中間転写ベルト8にマイナス極性のバイアスを印加する。これにより、2次転写ニップ部の位置で、中間転写ベルト8上に担持されたトナー像に対して、静電斥力を作用させる。
また、第1電源部61は、第1電源部61から出力される電圧を検出する検出手段としての第1電圧検出部64を介して、装置本体100に設置された制御部80に接続されている。
ここで、第2電源部62から2次転写ローラ19に印加されるバイアスは、トナーの極性に対して逆極性のバイアスである。具体的に、本実施の形態にて用いられているトナーの極性はマイナスであるため、第2電源部62から2次転写ローラ19にプラス極性のバイアスが印加されることになる。そして、第2電源部62は、定電圧電源であって、2次転写工程がおこなわれるときに電圧が一定になるように2次転写ローラ19にプラス極性のバイアスを印加する。これにより、2次転写ニップ部の位置で、中間転写ベルト8上に担持されたトナー像に対して、静電引力を作用させる。
また、第2電源部62は、第2電源部62から出力される電圧を検出する第2検出手段としての第2電圧検出部65を介して、装置本体100に設置された制御部80に接続されている。
2次転写対向ローラ12Bの芯金にはトナーと同極性のバイアスが印加されて、2次転写ローラ19の芯金にはトナーと逆極性のバイアスが印加されるので、双方の芯金間の電位差は双方の電源部61、62より出力される電圧の絶対値を足した大きなものとなる。しかし、上述したように、2次転写ローラ19を支持する部材と、2次転写対向ローラ12Bを支持する部材と、が接触しないように構成されているため、双方のユニット15、30においてそれぞれの高圧電源の電圧に対する沿面距離をそれぞれ確保していれば、双方の芯金間に形成される大きな電位差に対応して大きな沿面距離を双方のユニット15、30に設ける必要がなくなり、ホルダ71、72の肉厚化(大型化)を軽減することができる。また、上述した構成によれば、2次転写対向ローラ12Bと第1電源部61とを接続する高圧ハーネス74と、2次転写ローラ19と第2電源部62とを接続する高圧ハーネス75と、の遠隔距離も充分に確保されるために、双方の電源部61、62から出力される電圧の絶対値を足した大きな電位差に絶えるように双方の高圧ハーネス74、75を太くする必要はなく、双方の高圧ハーネス74、75がそれぞれの電源部61、62から出力される電圧に耐えうる程度の太さで形成されていればよいことになる。
具体的に、図5(A)に示すように、2次転写ユニット30が重力方向に接離する場合には、2次転写ユニット30が中間転写ユニット15に当接するのに必要な接離機構の加圧力(スプリング力等である。)をなるべく小さく設定したい。このような場合には、第2電源部62を、2次転写ユニット30に内設せずに、画像形成装置本体100に内設することが好ましい(図5(A)に示す構成である。)。このとき、第2電源部62と2次転写ローラ19とを接続する高圧ハーネス75の、2次転写ユニット30の接離動作(回動動作)にともなう伸縮によるダメージを小さくするために、2次転写ユニット30の回動中心36aに第2電源部62を配置することが好ましい。さらには、図示は省略するが、2次転写ユニット30の回動中心36aを、第2電源部62と2次転写ローラ19とのそれぞれに近設させることが好ましい。
また、図5(B)に示すように、2次転写ユニット30が水平方向に接離する場合(記録媒体Pを縦搬送する場合等である。)には、2次転写ユニット30が中間転写ユニット15に当接するときの接離機構の加圧力に対して、2次転写ユニット30の重量の影響が少ない。このような場合には、2次転写ユニット30の接離動作にともなう高圧ハーネス75の伸縮をまったく生じさせないように、第2電源部62を2次転写ユニット30に内設することが好ましい(図5(B)に示す構成である。)。
本実施の形態では、先に説明したように、第1電源部61(定電流電源)によって、2次転写対向ローラ12Bを介して中間転写ベルト8に、マイナス極性(トナーの極性と同じ極性である。)のバイアスが定電流となるように印加される。また、第2電源部62(定電圧電源)によって、2次転写ローラ19に、プラス極性(トナーの極性と逆の極性である。)のバイアスが定電圧となるように印加される。そして、これらのバイアス印加は、2次転写工程がおこなわれるときに、同時におこなわれる。すなわち、2次転写工程がおこなわれるときに、第1電源部61による中間転写ベルト8への定電流バイアスの印加がおこなわれるとともに、第2電源部62による2次転写ローラ19への定電圧バイアスの印加がおこなわれる。
まず、2次転写工程がおこなわれる直前に、2次転写ニップ部に記録媒体Pを介在しない状態(中間転写ベルト8に2次転写ローラ19が直接的に当接した状態である。)で、第1電圧検出部64(検出手段)によって第1電源部61から出力される電圧が検出される。ここで、第1電圧検出部64(検出手段)によって第1電源部61の出力電圧を検出するときには、第2電源部62の出力電圧が0ボルト(V)になるように制御している。
なお、中間転写ベルト8に対して2次転写ローラ19が離間されている場合には、上述した接離機構によって中間転写ベルト8に対して2次転写ローラ19を接触させてから、記録媒体Pが2次転写ニップ部に達する前までに、第1電圧検出部64(検出手段)による電圧の検出をおこなう。
そして、2次転写工程がおこなわれるときに、通紙される記録媒体Pの抵抗に応じて第1電源部61による中間転写ベルト8への定電流バイアスの印加がおこなわれると同時に、第2電源部62による2次転写ローラ19への定電圧バイアス(予め2次転写工程前に装置側の抵抗のみによって決定されたバイアスである。)の印加がおこなわれることになる。
2次転写工程時には、装置側の抵抗(2次転写対向ローラ12Bや中間転写ベルト8や2次転写ローラ19の抵抗である。)に記録媒体Pの抵抗が加わった状態で、必要な電圧(2次転写バイアス)が定められなければならない。本実施の形態における制御によれば、装置側の抵抗により必要となる電圧分を2次転写ローラ19に印加して、記録媒体Pによる抵抗によってさらに必要となる電圧分を2次転写対向ローラ12Bに印加している。これを達成するために、中間転写ベルト8に2次転写ローラ19を直接的に接触させた状態で第1電圧検出部64によって第1電源部61の出力電圧の検出をおこなっている。そして、記録媒体Pを介して中間転写ベルト8に2次転写ローラ19が間接的に接触する2次転写工程時には、第1電圧検出部64によって検出された第1電源部61の出力電圧の値よりも余裕度分だけ小さな値で第2電源部62(定電圧電源)を制御している。
図6は、本実施の形態の画像形成装置100における、第1電源部61と第2電源部62との電気的な接続状態をモデル化した図である。このモデル図は、中間転写ベルト8を伝わる漏れ電流は無視できるくらい少なく、記録媒体を伝わる漏れ電流も無視できるくらい少なく、分離除電部材の放電の影響も無視できるくらい少なく、記録媒体Pが2次転写工程で電荷をほとんど奪わないものとして、1つの抵抗90(2次転写ローラ19芯金と、2次転写対向ローラ12Bの芯金と、の間の実機抵抗である。)の両端に、第1電源部61(定電流マイナス電源)と第2電源部62(定電圧プラス電源)とが接続されたものとなっている。
なお、本実施の形態において中間転写ベルト8のベルト裏面側の表面抵抗率は109.5以上に設定されているために、中間転写ベルト8を伝わる漏れ電流が無視できるくらい少なくなるため、このモデル図に近い設定になっている。また、2次転写工程後の分離除電を積極的におこなわない装置であって、抵抗が高い記録媒体Pを通紙する場合や、含水分量が低くなり記録媒体Pの抵抗が高くなる低湿環境になっている場合には、記録媒体Pを伝わる漏れ電流が少なくなり、分離除電部材からの放電の影響も少なくなるので、このモデル図により近いものになる。
定電圧電源62は出力電圧を一定電圧にしようする。この電圧をV+とする。これに対して、定電流電源61は出力電流を一定電流にしようとする。この電流をI−とする。ここで、定電圧電源62からはプラスの電流(I+)が図6の矢印方向に流れようとして、定電流電源61からはマイナスの電流(I−)が図6の矢印方向に流れようとする。そして、抵抗90の両端で流れる電流は同じなので、
|I+|=|I−|
と絶対値が等しくなる。定電圧電源62はプラス電流を出そうとするので、定電流電源61にはこのプラス電流が入らなければならない。定電流電源61はマイナス電流を出そうとするが、これはプラス電流が入ることと同じことである。よって、双方の電源61、62からの出力電流の方向は同じ方向となって、その大きさも同じであるから、回路を流れる電流の向きと大きさは矛盾しないことになる。
この回路において、オームの法則より、
〔(V+)−(V−)〕=I×R
が成立して、
(V−)=(V+)−I×R
となる。ここで、V−は定電流電源61からの出力電圧だからその極性がマイナスになる。したがって、
(V−)=(V+)−I×R<0 …(1)
が成立する。また、(1)式を移行して、
I×R>(V+) …(1´)
となる。これらの式には矛盾はない。
そのために、本実施の形態では、定電圧電源62(第2電源部)から出力される電圧の可変範囲の最小値を0Vに設定している。そして、2次転写ニップ部に記録媒体Pがない状態で、定電圧電源62から出力される電圧を0Vとするとともに、定電流電源61(第1電源部)に2次転写工程時の電流(I)を出力させて定電流電源61から出力される電圧(I×R´)を測定している。なお、R´は、記録媒体Pがニップ部にないときの、2次転写ローラ19と2次転写対向ローラ12Bとの芯金間の実機抵抗になる。そして、I×R´>V+が成立するように、2次転写工程時には、測定した電圧(I×R´)の絶対値よりも絶対値で若干小さなプラスの電圧を、定電圧電源62から出力する一定電圧(V+)として設定している。
なお、2次転写工程時には、上述したように記録媒体Pの抵抗が加わるので、そのときのトータルの抵抗RはR>R´となるが、I×R>I×R´> V+となって、(1´)式を満足して矛盾はない。すなわち、2次転写工程時に定電流電源61から出力される電圧がマイナス極性になることに矛盾はない。
図7(A)は、本実施の形態における画像形成装置100を用いた実施例の実験条件及び実験結果を示す表図である。図7(B)は、従来の画像形成装置(本実施の形態における画像形成装置において、2次転写ローラ19を接地して、2次転写対向ローラ12Bを定電流制御したものである。)を用いた比較例の実験条件及び実験結果を示す表図である。
図7に示すように、実施例、比較例ともに、坪量の異なる5種類の記録媒体Pを通紙したときの、2次転写対向ローラ12Bの電圧と2次転写ローラ19の電圧とを測定している。比較例では、2次転写ローラ19が接地されているために、その電圧が0Vになっている。また、実施例、比較例ともに、2次転写対向ローラ12Bの抵抗が108Ωに設定され、定電流電源61によって2次転写対向ローラ12Bに−80μAの定電流が流れるように制御されている。
図7(B)の実験結果から、従来の画像形成装置では、抵抗の高いフィルムを記録媒体Pとして用いた場合に、定電流電源61から出力される電圧の絶対値が9.2Vと最も高くなるのがわかる。したがって、従来の画像形成装置は、この実験で用いたフィルムよりも抵抗の大きな記録媒体を用いる場合のことを想定して、定電流電源61から出力される電圧の絶対値が10V以上となっても問題が生じない大型・高コストの定電流電源61を用意したり、リーク等が生じることのない大型・高コストのホルダ71、72や高圧ハーネス74、75を用意したりする必要がある。
これに対して、図7(A)の実験結果から、本実施の形態における制御をおこなうことで、抵抗の高いフィルムを記録媒体Pとして用いた場合であっても、定電流電源61から出力される電圧の絶対値が比較的低く制御されるのがわかる。具体的に、2次転写工程の直前に、2次転写ローラ19を中間転写ベルト8に接触させて、2次転写ローラ19にバイアスを印加する定電圧電源62からの出力電圧を0Vに制御して、定電流電源61からの出力電圧を第1電圧検出部64で検出した結果、その出力電圧は−5.1kVであった。そして、その出力電圧(検出結果)に0.9を乗じた絶対値が4.6kVとなり、2次転写工程時には、常に、第2電源部62からの出力電圧が4.6kVになるように制御された。
本実施の形態における画像形成装置は、従来のものと比較して、2次転写ローラ19にバイアスを印加するための第2電源部62を設置しているので、第1電源部61に加えて電源の数が増加することになるが、図7(A)の結果からも、それぞれの電源部の大きさを比較的小さくすることができる。したがって、ホルダ71、72や高圧ハーネス74、75の耐圧性やコストを考慮すると、画像形成装置全体としては、かえって従来のものよりも、大型化・高コスト化を抑止することができることになる。また、個々の電源部61、62を小型化できるために、個々の電源をそれぞれのユニット15、30に搭載することも容易になる。
なお、図7の実施例、比較例ともに、いずれの記録媒体Pに対しても出力画像の転写率の低下はほとんどなく、良好な画像が形成されていた。
詳しくは、図7の実験で用いたフィルムよりも抵抗が高い記録媒体Pを通紙した場合等には、本実施の形態における制御をおこなうと、2次転写工程時に記録媒体Pの先端がニップ部に送入されることにより抵抗の急激な変化が生じて、2つの電源部61、62から出力される電圧が数10m秒間ブレてから落ち着くことになる。したがって、このように落ち着いた電圧をそれぞれの電圧検出部64、65で検出して、第1電源部61により出力される電圧の絶対値が第2電源部62より出力される電圧の絶対値よりも大きな場合には、両者の絶対値がほぼ等しくなるように、第2電源部62より出力される電圧を制御する。
このような制御をおこなうことで、双方の高圧電源61、62から出力される電圧の上限が7kV程度におさまることになる。そして、上限電圧が7kV程度の電源であれば、高圧ハーネス74、75の太さやホルダ71、72の肉厚をそれほど大きく設定しなくても、必要な沿面距離を確保することができる。したがって、装置の大型化・高コスト化を抑止することができる。
また、本実施の形態では、中間転写体として中間転写ベルト8を用いたが、中間転写体として中間転写ドラムを用いることもできる。
また、実施の形態では、2次転写部材として2次転写ローラ19を用いたが、2次転写部材として2次転写ベルトを用いることもできる。
そして、これらの場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
8 中間転写ベルト(中間転写体)、
12B 2次転写対向ローラ(2次転写対向部材)、
15 中間転写ユニット、
19 2次転写ローラ(2次転写部材)、
30 2次転写ユニット、
61 第1電源部(定電流電源)、
62 第2電源部(定電圧電源)、
64 第1電圧検出部(検出手段)、
65 第2電圧検出部(第2検出手段)、
71、72 ホルダ、
100 画像形成装置本体(装置本体)、 P 記録媒体。
定電圧電源62は出力電圧を一定電圧にしようする。この電圧をV+とする。これに対して、定電流電源61は出力電流を一定電流にしようとする。この電流をI−とする。ここで、定電圧電源62からはプラスの電流(I+)が図6の矢印方向に流れようとして、定電流電源61からはマイナスの電流(I−)が図6の矢印方向に流れようとする。そして、抵抗90の両端で流れる電流は同じなので、
|I+|=|I−|
と絶対値が等しくなる。定電圧電源62はプラス電流を出そうとするので、定電流電源61にはこのプラス電流が入らなければならない。定電流電源61はマイナス電流を出そうとするが、これはプラス電流が入ることと同じことである。よって、双方の電源61、62からの出力電流の方向は同じ方向となって、その大きさも同じであるから、回路を流れる電流の向きと大きさは矛盾しないことになる。
Claims (8)
- 像担持体上に形成されたトナー像が1次転写される中間転写体と、
前記中間転写体に当接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成するとともに、前記中間転写体に1次転写されたトナー像を前記ニップ部に搬送された記録媒体に2次転写する2次転写工程をおこなうための2次転写部材と、
前記中間転写体にトナーの極性に対して同極性のバイアスを直接的又は間接的に印加する第1電源部と、
前記2次転写部材にトナーの極性に対して逆極性のバイアスを印加する第2電源部と、
を備え、
前記2次転写工程がおこなわれるときに、前記第1電源部によって電流が一定になるように前記中間転写体に前記同極性のバイアスを印加するとともに、前記第2電源部によって電圧が一定になるように前記2次転写部材に前記逆極性のバイアスを印加することを特徴とする画像形成装置。 - 前記第1電源部から出力される電圧を検出する検出手段を備え、
前記第2電源部によって電圧が一定になるように出力される前記逆極性のバイアスは、前記2次転写工程がおこなわれる前に前記ニップ部に記録媒体を介在しない状態で前記検出手段によって検出された電圧に基いて制御されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記第2電源部によって電圧が一定になるように出力される前記逆極性のバイアスは、前記検出手段によって検出された電圧と絶対値が同じになるように制御されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記第2電源部によって電圧が一定になるように出力される前記逆極性のバイアスは、前記検出手段によって検出された電圧に0.75〜0.95の範囲内で予め設定された定数を乗じた値と絶対値が同じになるように制御されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記2次転写工程がおこなわれる前に前記ニップ部に記録媒体を介在しない状態で前記検出手段によって前記第1電源部の出力電圧を検出するときに、前記第2電源部の出力電圧は、0ボルトになるように、又は、前回の2次転写工程時における前記第2電源部の出力電圧よりも絶対値が小さくなるように制御されることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記第2電源部から出力される電圧を検出する第2検出手段を備え、
前記2次転写工程が開始されて所定時間が経過した後であって、前記検出手段によって検出される前記第1電源部の出力電圧の絶対値が前記第2検出手段によって検出される前記第2電源部の出力電圧の絶対値より大きい場合に、双方の出力電圧の絶対値が一致するように前記第2電源部が制御されることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記中間転写体を介して前記2次転写部材に当接して前記ニップ部を形成する2次転写対向部材を備え、
前記第1電源部は、前記2次転写対向部材を介して前記中間転写体に前記同極性のバイアスを印加するように構成され、
前記2次転写部材は、前記中間転写体に対して相対的に離間できるように構成され、
前記2次転写部材を支持する部材と、前記2次転写対向部材を支持する部材と、が接触しないように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載に画像形成装置。 - 前記中間転写体と前記第1電源部とを内包するとともに、画像形成装置本体に対して着脱自在に設置された中間転写ユニットと、
前記2次転写部材を内包するとともに、前記画像形成装置本体に対して着脱自在に設置された2次転写ユニットと、
を備え、
前記第2電源部は、前記2次転写ユニット又は前記画像形成装置本体に内設されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載に画像形成装置。
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