JP2013148405A - 放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去方法及び放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去用の親水性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】親水性樹脂組成物とゼオライトとを含んでなる親水性樹脂組成物を用いて放射性廃液及び/又は放射性固形物中の放射性ヨウ素・放射性セシウムをともに除去処理する方法であって、親水性樹脂組成物が、親水性セグメントを有し、且つ、構造中の主鎖及び/又は側鎖に第3級アミノ基を有する、親水性ポリウレタン樹脂、親水性ポリウレア樹脂、親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性樹脂を含み、且つ、該親水性樹脂100質量部に対して、少なくとも、ゼオライトが1〜200質量部の割合で分散されてなる放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去方法。
【選択図】なし
Description
[但し、式(1)中、M2+は、Ca2+、Mn2+、Ba2+又はMg2+のいずれかであり、M+は、Na+、K+又はLi+のいずれかであり、mは1〜18のいずれかの数、nは1〜70のいずれかの数である。]
本発明の除去方法を特徴づける本発明の親水性樹脂組成物は、親水性樹脂にゼオライトを分散させた組成物からなり、該親水性樹脂は、親水性成分を構成単位とする親水性セグメントと、少なくとも1個の第3級アミノ基を有する成分を構成単位とする第3級アミノ基含有セグメントを有していることを特徴とする。すなわち、本発明で使用する親水性樹脂は、その構造中に、親水性成分を構成単位とする親水性セグメントと、少なくとも1個の第3級アミノ基を有する成分を構成単位とする第3級アミノ基含有セグメントとを有しているものであればよい。これらのセグメントは、親水性樹脂の合成時に、鎖延長剤を使用しない場合は、それぞれランダムに、ウレタン結合、ウレア結合又はウレタン−ウレア結合等で結合されている。親水性樹脂の合成時に、鎖延長を使用する場合には、上記の結合とともに、これらの結合の間に鎖延長剤の残基である短鎖が存在するものになる。
[但し、式(1)中、M2+は、Ca2+、Mn2+、Ba2+又はMg2+のいずれかであり、M+は、Na+、K+又はLi+のいずれかであり、mは1〜18のいずれかの数、nは1〜70のいずれかの数である。]
セシウム(Cs)>ルビジウム(Rb)>NH4>バリウム(Ba)>ストロンチウム(Sr)>Na>Ca>鉄(Fe)>Al>マグネシウム(Mg)>リチウム(Li)
[式(2)中の、R1は、炭素数20以下のアルキル基、脂環族基、又は芳香族基(ハロゲン、アルキル基で置換されていてもよい)であり、R2及びR3は、−O−、−CO−、−COO−、−NHCO−、−S−、−SO−、−SO2−等で連結されていてもよい低級アルキレン基であり、X及びYは、−OH、−COOH、−NH2、−NHR1(R1は上記と同じ定義である)、−SH等の反応性基であり、X及びYは、同一でも異なってもよい。また、X及びYは、上記の反応性基に誘導できるエポキシ基、アルコキシ基、酸ハライド基、酸無水物基、又はカルボキシルエステル基でもよい。]
攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、ポリエチレングリコール(分子量2,040)150部、N−メチルジエタノールアミン20部、ジエチレングリコール5部を、200部のメチルエチルケトン(以下、MEKと略記)と150部のジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)との混合溶剤中に溶解し、60℃でよく撹拌した。そして、撹拌しながら、74部の水素添加MDIを112部のMEKに溶解した溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応させて、本発明で規定する親水性樹脂溶液を得た。この樹脂溶液は、固形分35%で、530dPa・s(25℃)の粘度を有していた。また、この溶液から形成した親水性樹脂フィルムは、破断強度24.5MPa、破断伸度が450%であり、熱軟化温度は115℃であった。
製造例1で使用したのと同様の反応器に、ポリエチレンオキサイドジアミン(ハンツマン社製「ジェファーミンED」(商品名);分子量2,000)150部、メチルイミノビスプロピルアミン30部及び1,4−ジアミノブタン4部を、DMF200部に溶解し、内温を20〜30℃でよく撹拌した。そして、撹拌しながら、83部の水素添加MDIを100部のDMFに溶解した溶液を徐々に滴下して、反応させた。滴下終了後、次第に内温を上昇させ、50℃に達したところで更に6時間反応させた後、195部のDMFを加え、本発明で規定する親水性樹脂溶液を得た。この樹脂溶液は、固形分35%で、230dPa・s(25℃)の粘度を有していた。また、この樹脂溶液から形成した親水性樹脂フィルムは、破断強度が27.6MPa、破断伸度が310%であり、熱軟化温度は145℃であった。
製造例1で使用したのと同様の反応容器に、ポリエチレンオキサイドジアミン(ハンツマン社製「ジェファーミンED」(商品名);分子量2,000)150部、N,N−ジメチル−N’,N’−ジヒドロキシエチル−1,3−ジアミノプロパン30部及びトリエチレングリコール6部を、DMF140部に溶解した。そして、内温20〜30℃でよく撹拌しながら、70部の水素添加MDIを200部のMEKに溶解した溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応させた後、MEK135部を加え、本発明で規定した親水性樹脂溶液を得た。この樹脂溶液は、固形分35%で、280dPa・s(25℃)の粘度を有していた。また、この樹脂溶液から形成した親水性樹脂フィルムは、破断強度が14.7MPa、破断伸度が450%であり、熱軟化温度は107℃であった。
製造例1で使用したのと同様の反応容器を窒素置換し、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と1,4−ブタンジオール15部とを、250部のDMF中に溶解した。そして、60℃でよく攪拌しながら、62部の水素添加MDIを171部のDMFに溶解したものを徐々に滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応させて、比較例で使用する樹脂溶液を得た。この樹脂溶液は、固形分35%で、3.2MPa・s(25℃)の粘度を有していた。また、この溶液から得られた非親水性樹脂フィルムは、破断強度が45MPa、破断伸度が480%であり、熱軟化温度は110℃であった。
製造例1で使用したのと同様の反応容器を窒素置換し、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部、N−メチルジエタノールアミン20部、ジエチレングリコール5部を、200部のMEKと150部のDMFとの混合溶剤中に溶解した。そして、60℃でよく撹拌しながら、74部の水素添加MDIを112部のMEKに溶解した溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応させて比較例で用いる樹脂溶液を得た。この樹脂溶液は、固形分35%で、510dPa・s(25℃)の粘度を有していた。また、この溶液から形成した非親水性樹脂フィルムは、破断強度が23.5MPa、破断伸度が470%であり、熱軟化温度は110℃であった。
製造例1〜5の各樹脂溶液と、ゼオライト(サン・ゼオライト工業(株)製)とを、表2に示した各配合(質量基準で表示)で、高密度アルミナボール(3.5g/ml)を使用してボールミル分散で24時間分散した。そして分散後の内容物を、ポリエステル樹脂製の100メッシュのふるいを通して取り出して、樹脂溶液とゼオライトとを含んでなる液状の各樹脂組成物を得た。
(樹脂フィルムの作製)
上記した実施例1〜3及び比較例1、2の液状の核樹脂組成物をそれぞれ用い、下記のようにして各樹脂フィルムを作製した。具体的には、離型紙上に、上記各樹脂組成物を塗布した後、110℃で3分加熱乾燥して溶剤を揮散させて、約20μmの厚さの各樹脂フィルムを作製した。次に、このようにして得た各樹脂フィルムを用い、下記の方法で、ヨウ素イオン及びセシウムイオンの除去に対する効果を評価した。
評価試験用のヨウ素溶液は、イオン交換処理した純水にヨウ化カリウムを、ヨウ素イオン濃度が200mg/L(200ppm)となるよう溶解し調製した。また、評価試験用のセシウム溶液は、イオン交換処理した純水に塩化セシウムを、セシウムイオン濃度が200mg/L(200ppm)となるよう溶解し調製した。なお、ヨウ素イオン及びセシウムイオンが除去できれば、当然に、放射性ヨウ素及び放射性セシウムの除去ができる。
実施例1の親水性樹脂組成物を用いて作製した樹脂フィルム20gを、先に評価試験用に調製したヨウ素溶液50mlとセシウム溶液50mlの混合溶液中に浸漬し(25℃)、経過時間毎に溶液中のヨウ素イオン濃度及びセシウムイオン濃度をイオンクロマトグラフ(東ソー製;IC2001)で測定した。測定結果を表3に示したが、表3に示した通り、経過時間毎に、溶液中のヨウ素イオン濃度及びセシウムイオン濃度がともに減少することが確認された。表3中に経過時間毎の溶液中のこれらのイオンの除去率を合わせて記載した。また、得られた経時変化の結果をグラフ化して、図1及び図2に示した。
実施例2の親水性樹脂組成物で作製した樹脂フィルム20gを用いた以外は、実施例1の親水性樹脂組成物を用いて作製した樹脂フィルムを用いたのと同様にして、経過時間毎に溶液中のヨウ素イオン濃度及びセシウムイオン濃度を測定した。得られた結果を、先に説明した実施例1の場合と同様に、表4と、図1及び図2に示した。
実施例3の親水性樹脂組成物で作製した樹脂フィルム20gを用いた以外は、実施例1の親水性樹脂組成物を用いて作製した樹脂フィルムを用いたのと同様にして、経過時間毎に溶液中のヨウ素イオン濃度及びセシウムイオン濃度を測定した。得られた結果を、先に説明した実施例1の場合と同様に、表5と、図1及び図2に示した。
比較例1の非親水性樹脂組成物で作製した樹脂フィルム20gを用いた以外は、実施例1の親水性樹脂組成物を用いて作製した樹脂フィルムを用いたのと同様にして、経過時間毎に溶液中のヨウ素イオン濃度及びセシウムイオン濃度を測定した。得られた結果を、先に説明した実施例1の場合と同様に、表6と、図3及び図4に示した。
比較例2の非親水性樹脂組成物で作製した樹脂フィルム20gを用いた以外は、実施例1の親水性樹脂組成物を用いて作製した樹脂フィルムを用いたのと同様にして、経過時間毎に溶液中のヨウ素イオン濃度及びセシウムイオン濃度を測定した。得られた結果を、先に説明した実施例1の場合と同様に、表7と、図3及び図4に示した。
Claims (8)
- 放射性廃液及び/又は放射性固形物中の放射性ヨウ素・放射性セシウムをともに、親水性樹脂組成物とゼオライトとを含んでなる親水性樹脂組成物を用いて除去処理する放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去方法であって、
上記親水性樹脂組成物が、親水性セグメントを有し、且つ、構造中の主鎖及び/又は側鎖に第3級アミノ基を有する、親水性ポリウレタン樹脂、親水性ポリウレア樹脂、親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性樹脂を含み、且つ、
該親水性樹脂100質量部に対して、少なくとも、ゼオライトが1〜200質量部の割合で分散されてなることを特徴とする放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去方法。 - 前記親水性セグメントが、ポリエチレンオキサイドセグメントである請求項1に記載の放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去方法。
- 前記親水性樹脂が、少なくとも1個の第3級アミノ基を有するポリオール又は少なくとも1個の第3級アミノ基を有するポリアミンを原料の一部として形成された樹脂である請求項1又は2に記載の放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去方法。
- 液中及び/又は固形物中の放射性ヨウ素・放射性セシウムのいずれをも固定できる機能を有する親水性樹脂組成物であって、
親水性樹脂とゼオライトとを含み、
該親水性樹脂が、少なくとも1個の第3級アミノ基を有するポリオール又は少なくとも1個の第3級アミノ基を有するポリアミンを原料の一部として形成された、親水性セグメントと、分子鎖中に第3級アミノ基を有してなる、水及び温水に不溶解性の樹脂であり、且つ、
該親水性樹脂100質量部に対して、少なくとも、ゼオライトが1〜200質量部の割合で分散されていることを特徴とする放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去用の親水性樹脂組成物。 - 液中及び/又は固形物中の放射性ヨウ素・放射性セシウムのいずれをも固定できる機能を示す親水性樹脂組成物であって、
親水性樹脂とゼオライトとを含み、
該親水性樹脂が、有機ポリイソシアネートと、親水性成分である高分子量の親水性ポリオール及び/又はポリアミンと、少なくとも1個の活性水素含有基と少なくとも1個の第3級アミノ基とを同一分子内に有する化合物を反応させて得られた、親水性セグメントを有し、且つ、構造中の主鎖及び/又は側鎖に第3級アミノ基を有する、親水性ポリウレタン樹脂、親水性ポリウレア樹脂、親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、且つ、
該親水性樹脂100質量部に対して、少なくとも、ゼオライトが1〜200質量部の割合で分散されていることを特徴とする放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去用の親水性樹脂組成物。 - 前記親水性セグメントが、ポリエチレンオキサイドセグメントである請求項5又は6に記載の放射性ヨウ素・放射性セシウムの除去用の親水性樹脂組成物。
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