JP5750397B2 - 放射性セシウムの除去方法及び放射性セシウムの除去用の親水性樹脂組成物 - Google Patents
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(M+,M2+)O・Al2O3・mSiO2・nH2O (1)
[但し、式(1)中、M2+は、Ca2+、Mn2+、Ba2+又はMg2+のいずれかであり、M+は、Na+、K+又はLi+のいずれかであり、mは1〜18のいずれかの数、nは1〜70のいずれかの数である。]
(M+,M2+)O・Al2O3・mSiO2・nH2O (1)
[但し、式(1)中、M2+は、Ca2+、Mn2+、Ba2+又はMg2+のいずれかであり、M+は、Na+、K+又はLi+のいずれかであり、mは1〜18のいずれかの数、nは1〜70のいずれかの数である。]
また、本発明によれば、放射性セシウムに対して固定化できる機能を有し、しかも、除去処理の際にフィルム状等の形態で用いた場合に、その耐水性や表面の耐ブロッキング性(耐くっつき性)の向上を実現させた、実用性の高い親水性樹脂組成物が提供され、これによって、放射性セシウムの除去処理をより良好な状態で実現可能なものにできる。さらに、本発明によれば、その主成分が樹脂組成物であることから、必要に応じて放射性廃棄物の減容化も可能な新規な親水性樹脂組成物が提供される。
本発明の放射性セシウムの除去方法の特徴は、本発明を特徴づける親水性樹脂に、ゼオライトを分散させてなる本発明の親水性樹脂組成物を用いたことにある。本発明を特徴づける親水性樹脂は、親水性成分を構成単位とする親水性セグメントと、構造中の主鎖及び/又は側鎖にポリシロキサンセグメントを有する、親水性ポリウレタン、親水性ポリウレア、親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる群から選択的に選ばれる少なくとも1種を含むものである。これらのセグメントは、親水性樹脂の合成時に、鎖延長剤を使用しない場合は、それぞれランダムに、ウレタン結合、ウレア結合又はウレタン−ウレア結合等で結合されている。親水性樹脂の合成時に、鎖延長剤を使用する場合には、上記の結合とともに、これらの結合の間に鎖延長剤の残基である短鎖が存在するものになる。
(M+,M2+)O・Al2O3・mSiO2・nH2O (1)
[但し、式(1)中、M2+は、Ca2+、Mn2+、Ba2+又はMg2+のいずれかであり、M+は、Na+、K+又はLi+のいずれかであり、mは1〜18のいずれかの数、nは1〜70のいずれかの数である。]
セシウム(Cs)>ルビジウム(Rb)>アンモニウム(NH4)>バリウム(Ba)>ストロンチウム(Sr)>ナトリウム(Na)>カルシウム(Ca)>鉄(Fe)>アルミニウム(Al)>マグネシウム(Mg)>リチウム(Li)
撹拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、該容器内で、下記構造のポリジメチルシロキサンポリオール(分子量3,200)8部、ポリエチレングリコール(分子量2,040)142部、エチレングリコール8部を、150部のメチルエチルケトンと140部のジメチルホルムアミドとの混合溶剤中に溶解した。そして、60℃でよく撹拌しながら、52部の水素添加MDIを50部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応させた後、50部のメチルエチルケトンを加え、本発明で規定する構造を有する親水性ポリウレタン樹脂溶液を得た。
製造例1で使用したのと同様の反応容器中に、下記構造のポリジメチルシロキサンジアミン(分子量3,880)5部、ポリエチレンオキサイドジアミン(「ジェファーミンED」(商品名)、ハンツマン社製;分子量2,000)145部、プロピレンジアミン8部を、ジメチルホルムアミド180部に溶解した。そして、内温を10〜20℃でよく撹拌しながら、47部の水素添加MDIを100部のジメチルホルムアミドに溶解した溶液を徐々に滴下して反応させた。滴下終了後、次第に内温を上昇させ、50℃に達したところで更に6時間反応させた後、100部のジメチルホルムアミドを加え、本発明で規定する構造を有する親水性ポリウレア樹脂溶液を得た。
製造例2で使用したと同様の反応容器中に、製造例2で使用したポリジメチルシロキサンジアミン(分子量3,880)5部、ポリエチレングリコール(分子量2,040)145部及び1,3−ブチレングリコール8部を、74部のトルエン及び197部のメチルエチルケトンの混合溶剤中に溶解した。そして、60℃でよく撹拌しながら、42部の水素添加MDIを100部のメチルエチルケトンに溶解したものを徐々に滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応させて本発明で規定する構造を有する親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂溶液を得た。
上記で得た樹脂溶液は、固形分35%で200dPa・s(25℃)の粘度を有していた。また、この溶液から形成した親水性樹脂フィルムの破断強度は14.7MPa、破断伸度は450%であり、熱軟化温度は90℃であった。
製造例1で使用したと同様の反応容器を窒素置換し、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と1,4−ブタンジオール15部とを、250部のジメチルホルムアミド中に溶解した。そして、60℃でよく撹拌しながら、62部の水素添加MDIを100部のメチルエチルケトンに溶解したものを徐々に滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応させた後、メチルエチルケトン71部を加え、比較例で用いる非親水性樹脂溶液を得た。
上記で得た樹脂溶液は、固形分35%で320dPa・s(25℃)の粘度を有していた。また、この樹脂溶液から得られた非親水性樹脂フィルムは、破断強度が45MPa、破断伸度が480%であり、熱軟化温度は110℃であった。
製造例1で使用したと同様の反応容器に、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と、ヘキサメチレンジアミン18部とを、ジメチルホルムアミド200部に溶解した。そして、内温を20〜30℃でよく撹拌しながら、60部の水素添加MDIを100部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、80℃で6時間反応させた後、メチルエチルケトン123部を加え、比較例で用いる非親水性樹脂溶液を得た。
上記で得た樹脂溶液は、固形分35%で、250dPa・s(25℃)の粘度を有していた。また、この樹脂溶液から形成した非親水性樹脂フィルムは破断強度が14.7MPa、破断伸度が450%であり、熱軟化温度は121℃であった。
製造例1〜5で得た各樹脂溶液とゼオライト(サン・ゼオライト工業(株)製)とを、表2に示した配合で、高密度アルミナボール(3.5g/ml)を使用してボールミルで24時間分散した。そして、分散後の内容物をポリエステル樹脂製の100メッツュのふるいを通して取り出して、樹脂とゼオライトとを含んでなる液状の各樹脂組成物を得た。
上記で得た実施例1〜3、比較例1、2の各樹脂組成物をそれぞれ離型紙上に塗布し、110℃で3分加熱乾燥して溶剤を揮散させ、約20μmの厚さの樹脂フィルムをそれぞれ形成した。このようにして得た実施例1〜3と比較例1、2の各樹脂フィルムを用い、以下の項目を評価した。
実施例及び比較例の各樹脂組成物で形成した各樹脂フィルムについて、それぞれフィルム面同士を重ね合わせた後、0.29MPaの荷重を掛け、40℃で1日放置した。その後、重ね合わせたフィルム同士のブロッキング性を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:ブロッキング性なし
△:僅かにブロッキング性あり
×:ブロッキング性あり
実施例及び比較例の各樹脂組成物で形成した各樹脂フィルムを、厚さ20μm、縦5cm×横1cmの形状に切り、25℃の水中に12時間浸漬し、浸漬フィルムの縦方向の膨張係数を測定し、耐水性を評価した。なお、膨張係数(膨張率)は、以下の方法で算出し、膨張係数が200%以下を○とし、200%以上を×として、耐水性を評価した。得られた結果を表3に示した。
膨張係数(%)=(試験後の縦の長さ/元の縦の長さ)×100
実施例及び比較例の各樹脂組成物で形成した各樹脂フィルムを用い、下記の方法で、セシウムイオンの除去に対する効果を評価した。
(評価試験用セシウム溶液の作製)
評価試験用のセシウム溶液は、イオン交換処理した純水に塩化セシウムを、セシウムイオン濃度が100mg/L(100ppm)となるよう溶解し、調整した。なお、セシウムイオンが除去できれば、当然に放射性セシウムの除去ができる。
実施例1〜3の各親水性樹脂組成物フィルム20gを、それぞれ上記セシウム溶液100ml中に静置浸漬し(25℃)、経過時間毎に、溶液中のセシウムイオン濃度をイオンクロマトグラフ(東ソー製;IC2001)で測定した。そして、溶液中のセシウムイオンの除去率を求めた。結果を表4と図1に示した。
比較例1、2の非親水性樹脂組成物フィルム20gを用いた以外は、実施例の親水性樹脂組成物フィルムを用いたと同様にして、経過時間毎に溶液中のセシウムイオン濃度を測定し、その除去率を求めた。その結果を表5と図2に示した。
Claims (8)
- 放射性廃液及び/又は放射性固形物中に存在する放射性セシウムを、親水性樹脂とゼオライトとを含んでなる親水性樹脂組成物を用いて除去処理する放射性セシウムの除去方法であって、
上記親水性樹脂が、親水性セグメントを有し、その分子中に親水性基を有しているが、水及び温水に不溶解性の樹脂であり、且つ、構造中の主鎖及び/又は側鎖にポリシロキサンセグメントを有する、親水性ポリウレタン樹脂、親水性ポリウレア樹脂及び親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、且つ、
上記親水性樹脂組成物が、親水性樹脂100質量部に対して、少なくとも、ゼオライトが1〜200質量部の割合で分散されてなることを特徴とする放射性セシウムの除去方法。 - 前記親水性樹脂が、少なくとも1個の活性水素含有基とポリシロキサンセグメントとを同一分子内に有する化合物を原料の一部として形成された樹脂である請求項1に記載の放射性セシウムの除去方法。
- 前記親水性セグメントが、ポリエチレンオキサイドセグメントである請求項1又は2に記載の放射性セシウムの除去方法。
- 前記ゼオライトは、下記の一般式(1)で表せる化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射性セシウムの除去方法。
(M+,M2+)O・Al2O3・mSiO2・nH2O (1)
[但し、式(1)中、M2+は、Ca2+、Mn2+、Ba2+又はMg2+のいずれかであり、M+は、Na+、K+又はLi+のいずれかであり、mは1〜18のいずれかの数、nは1〜70のいずれかの数である。] - 液中及び/又は固形物中の放射性セシウムを固定できる機能を示す親水性樹脂組成物であって、
親水性樹脂とゼオライトとを含み、
該親水性樹脂が、少なくとも1個の活性水素含有基とポリシロキサンセグメントとを同一分子内に有する化合物を原料の一部として反応させて得られた、親水性セグメントと、ポリシロキサンセグメントとを有してなる、その分子中に親水性基を有しているが、水及び温水に不溶解性の樹脂であり、且つ、
該親水性樹脂100質量部に対し、少なくとも、ゼオライトが1〜200質量部の割合で分散されていることを特徴とする放射性セシウムの除去用の親水性樹脂組成物。 - 液中及び/又は固形物中の放射性セシウムを固定できる機能を示す親水性樹脂組成物であって、
親水性樹脂とゼオライトとを含み、
該親水性樹脂が、有機ポリイソシアネートと、親水性成分である高分子量の親水性ポリオール及び/又はポリアミンと、少なくとも1個の活性水素含有基とポリシロキサンセグメントとを同一分子内に有する化合物とを反応させて得られた、親水性セグメントを有し、その分子中に親水性基を有しているが、水及び温水に不溶解性の樹脂であり、且つ、構造中の主鎖及び/又は側鎖にポリシロキサンセグメントを有する、親水性ポリウレタン樹脂、親水性ポリウレア樹脂及び親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、且つ、
該親水性樹脂100質量部に対し、少なくとも、ゼオライトが1〜200質量部の割合で分散されていることを特徴とする放射性セシウムの除去用の親水性樹脂組成物。 - 前記親水性セグメントが、ポリエチレンオキサイドセグメントである請求項5又は6に記載の放射性セシウムの除去用の親水性樹脂組成物。
- 前記ゼオライトは、下記の一般式(1)で表せる化合物であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の放射性セシウムの除去用の親水性樹脂組成物。
(M+,M2+)O・Al2O3・mSiO2・nH2O (1)
[但し、式(1)中、M2+は、Ca2+、Mn2+、Ba2+又はMg2+のいずれかであり、M+は、Na+、K+又はLi+のいずれかであり、mは1〜18のいずれかの数、nは1〜70のいずれかの数である。]
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