JP2013147936A - 液体循環装置、冷却装置、電子機器、液体循環装置の加圧方法 - Google Patents

液体循環装置、冷却装置、電子機器、液体循環装置の加圧方法 Download PDF

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明男 小林
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敦 大島
Naohiro Matsuzaki
尚洋 松崎
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Abstract

【課題】密閉構造の液体循環装置における液体の循環流量を増加させる。
【解決手段】循環ポンプ100で液体流路に圧送した液体を供給側バッファ室112に還流させ、供給側バッファ室112の液体を循環ポンプ100で吸引することによって密閉構造の液体循環装置10を構成する。そして、循環ポンプ100を動作させる前に、供給側バッファ室112および液体流路内の液体の圧力を、ΔP(循環ポンプ100がポンプ室102内で液体を加圧する加圧量)を0.8倍してC(供給側バッファ室112内の圧力変化に対する容積変化の比)で除算して得られる圧力よりは高く、ΔPよりは低い圧力範囲で加圧しておく。こうすれば、循環ポンプ100を動作させても供給側バッファ室112が負圧になることがないので、循環ポンプ100を動作させた分の体積の液体を圧送することができ、液体の循環流量を増加させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体流路の液体を循環ポンプで循環させる液体循環装置、あるいは、この液体循環装置を搭載した冷却装置、電子機器に関する。
液体が流れる液体流路と、液体流路に向けて液体を圧送する循環ポンプとから構成される密閉構造の液体循環装置が知られている(例えば、特許文献1)。密閉構造の液体循環装置は、ポンプから圧送された液体が液体流路を巡って再びポンプに戻るようになっており、液体流路に冷却媒体としての液体を循環させるとともに、熱を発するデバイス(たとえば光源など)の周囲に液体流路の一部を配することで、これらのデバイスを冷却する冷却装置として利用することができる。尚、密閉構造とは、ポンプを含む液体流路が密閉され、液体が大気開放されていない構造を示す。
こうした液体循環装置では、液体流路が長くなったり(例えば、冷却するデバイスが循環ポンプから離れていたり)、あるいは液体流路が細くなったりすると、液体流路の流路抵抗が大きくなるので、高い圧力で液体を圧送する必要が生じる。そこで、容積型ポンプが循環ポンプとして採用される。容積型ポンプは、容積を変更可能なポンプ室の容積を増大させて液体を吸い込んだ後、ポンプ室の容積を減少させて液体を加圧することで、高い圧力で液体を液体流路に向けて送り出すことができる。また、容積型ポンプを循環ポンプに採用した液体循環装置は、液体流路が細くても(断面積が小さくても)高い圧力で液体を循環させることが可能であり、しかもポンプ自体の小型化も図れることから、電子機器(例えば、プロジェクターに取り付けられる光源の冷却など)に適用することが可能である。
特開2007−103820号公報
しかし、こうした密閉構造の液体循環装置は、容積型ポンプを用いて高い圧力で液体を押し出すことが可能であるにも拘わらず、循環流量を増加させることができない場合があるという問題があった。これは、次のような理由による。先ず、容積型ポンプが吸い込む液体は、それより以前に容積型ポンプが液体流路に押し出して、液体流路を循環して来た液体である。従って、容積型ポンプによって押し出された液体が液体流路を循環して戻って来なければ、容積型ポンプを動かしても液体を吸い込むことができない。その結果、液体を送り出すことができなくなる。このため、密閉構造の液体循環装置では、容積型ポンプで幾ら高い圧力で液体を押し出した場合でも、循環流量を増加させることができない場合が生じていた。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、密閉構造の液体循環装置において、液体の循環流量を増加させることが可能な技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体循環装置は次の構成を採用した。すなわち、
液体が流れる液体流路と、ポンプ室内を加圧することによって前記液体流路に液体を圧送する循環ポンプと、
前記液体流路と前記循環ポンプの供給側との間に配設され、内部の圧力に応じて変形することが可能な供給側バッファ室と、前記供給側バッファ室および前記液体流路内の液体の圧力を上昇させる加圧部と、
を含んで密閉構造で構成される液体循環装置であって、
前記循環ポンプが前記ポンプ室内で液体を加圧する加圧量をΔP、前記供給側バッファ室内の圧力変化に対する前記供給側バッファ室の容積変化の比をCa、前記液体流路内の圧力変化に対する前記液体流路の容積変化の比をCtとしたときに、
前記循環ポンプが停止状態での前記供給側バッファ室および前記液体流路内の液体の圧力ΔPIは、0.8(Ct/2)/(Ca+Ct)ΔP <= ΔPI <ΔPを満たすことを特徴とする。
このような本発明の液体循環装置においては、循環ポンプがポンプ室内を加圧することによって液体を液体流路に圧送する。圧送された液体は、液体流路を循環して供給側バッファ室に還流する。そして、循環ポンプがポンプ室内を減圧させると、供給側バッファ室内の液体がポンプ室に吸引される。こうして、液体流路と循環ポンプとは、密閉構造を構成している。ここで、本発明の液体循環装置には、供給側バッファ室内および液体流路内の液体の圧力を上昇させる加圧部が設けられており、この加圧部は、循環ポンプがポンプ室内で液体を加圧する加圧量をΔPとするとき、循環ポンプが停止状態での供給側バッファ室および液体流路内の液体の圧力ΔPI2が、0.8(Ct/2)/(Ca+Ct)ΔP <= ΔPI2 <ΔPの範囲を満たすように、供給側バッファ室および液体流路内の液体を加圧する。
前述したように、密閉構造に構成された液体循環装置では、循環ポンプから液体流路に送り出した液体が、液体流路を循環して供給側バッファ室に戻ってこなければ、供給側バッファ室内が負圧となって、循環ポンプがポンプ室内を減圧させても、供給側バッファ室内とポンプ室内との圧力差が低下する。その結果、液体の吸引量が低下し循環流量が低下する。しかし、詳細なメカニズムは後述するが、循環ポンプを動作させる前に、上記の圧力範囲で供給側バッファ室および液体流路の液体を加圧しておけば、供給側バッファ室内が負圧となって循環流量が低下する事態を回避することができる。その結果、密閉構造の液体循環装置において、液体の循環流量を増加させることが可能となる。
また、上述した本発明の液体循環装置においては、循環ポンプの吐出側と液体流路との間に、吐出側バッファ室を設けてもよい。
前記循環ポンプの前記ポンプ室と前記液体流路との間に、さらに吐出側バッファ室を備え、
前記吐出側バッファ室の圧力変化に対する前記吐出側バッファ室の容積変化の比をCbとしたときに、
前記循環ポンプが停止状態での前記供給側バッファ室および前記液体流路および前記吐出側バッファ室内の液体の圧力ΔPI2は、0.8(Cb+Ct/2)/(Ca+Cb+Ct)ΔP <= ΔPI2 <ΔPを満たすことを特徴とする請求項1に記載の液体循環装置。
こうすれば、供給側バッファ室内が負圧となって循環流量が低下する事態を回避することができる。その結果、密閉構造の液体循環装置において、液体の循環流量を増加させることが可能となる。さらに、ポンプ室と吐出側バッファ室とこれらを接続する液体の通路とを流れる液体は脈動流であり、脈動の周期がポンプ室と吐出側バッファ室とこれらを接続する通路とで構成される構成体の固有振動数と近くなったとき、共振現象により、構成体を流れる液体の流量を増加させることが出来る。ここで、ポンプ室と吐出側バッファ室とこれらを接続する通路で構成される構成体の固有振動数は、ポンプ室のコンプライアンス、吐出側バッファ室のコンプライアンス、これらを接続する通路を流れる液体のイナータンスから計算で求められる。尚、液体のイナータンスとは、液体の慣性力を意味し、液体の密度、通路の長さ、通路の断面積から求めることが出来る。以上のように、固有振動数を持つ構造の固有振動数付近の周波数で循環ポンプから液体を圧送してやれば、共振現象を利用して液体の循環流量を増加させることが可能となる。
また、上述した本発明の液体循環装置の液体流路の少なくとも一部に熱交換部を設けることによって、冷却装置を構成しても良い。
本発明の液体循環装置は、液体流路内を十分な流量で液体を循環させることができるから、液体流路内に熱交換部を設けることで、熱交換部により熱交換効率が高い冷却装置を実現することができる。
また、上述した本発明の液体循環装置、あるいは本発明の冷却装置を電子機器に組み込んでもよい。
また、液体が流れる液体流路と、ポンプ室内を加圧することによって前記液体流路に液体を圧送する循環ポンプと、
前記液体流路と前記循環ポンプの供給側との間に配設され、内部の圧力に応じて変形することが可能な供給側バッファ室と、を含んで密閉構造で構成される液体循環装置の加圧方法であって、
前記循環ポンプが前記ポンプ室内で液体を加圧する加圧量をΔP、前記供給側バッファ室内の圧力変化に対する前記供給側バッファ室の容積変化の比をCa、前記液体流路内の圧力変化に対する前記液体流路の容積変化の比をCtとしたときに、
前記循環ポンプが停止状態での前記供給側バッファ室および前記液体流路内の液体の圧力ΔPIは、0.8(Ct/2)/(Ca+Ct)ΔP<= ΔPI <ΔPを満たす
液体循環装置の加圧方法であっても良い。
上述したとおり、循環ポンプを動作させる前に、上記の圧力範囲で供給側バッファ室および液体流路の液体を加圧しておけば、供給側バッファ室内が負圧となって循環流量が低下する事態を回避することができる。その結果、密閉構造の液体循環装置において、液体の循環流量を増加させることが可能となる。
さらに、液体が流れる液体流路と、ポンプ室内を加圧することによって前記液体流路に液体を圧送する循環ポンプと、
前記液体流路と前記循環ポンプの供給側との間に配設され、内部の圧力に応じて変形することが可能な供給側バッファ室と、
前記液体流路と前記循環ポンプの吐出側との間に配設される吐出側バッファ室と、を含んで密閉構造で構成される液体循環装置の加圧方法であって、
前記吐出側バッファ室の圧力変化に対する前記吐出側バッファ室の容積変化の比をCbとしたときに、
前記循環ポンプが停止状態での前記供給側バッファ室および前記液体流路および前記吐出側バッファ室内の液体の圧力ΔPI2は、0.8(Cb+Ct/2)/(Ca+Cb+Ct)ΔP <= ΔPI2 <ΔPを満たす液体循環装置の加圧方法であっても良い。
こうすれば、供給側バッファ室内が負圧となって循環流量が低下する事態を回避することができる。その結果、密閉構造の液体循環装置において、液体の循環流量を増加させることが可能となる。
さらに、ポンプ室と吐出側バッファ室とこれらを接続する液体の通路とを流れる液体は脈動流であり、脈動の周期がポンプ室と吐出側バッファ室とこれらを接続する通路とで構成される構成体の固有振動数と近くなったとき、共振現象により、構成体を流れる液体の流量を増加させることが出来る。
本発明の液体循環装置は、液体流路内を十分な流量で液体を循環させることが可能であり、また本発明の冷却装置は、高い冷却性能を実現することができる。このため、電子機器に組み込む液体循環装置あるいは冷却装置として特に優れている。
本実施例の液体循環装置の構成を示した説明図である。 循環ポンプを動作させて液体チューブ内に液体を循環させる様子を示した説明図である。 加圧の基本的な原理についての説明図である。 本実施例の液体循環装置で行われる加圧について示した説明図である。 加圧の効果を得るために必要な加圧量についての検討結果を示す説明図である。 第1変形例の液体循環装置の構成を示した説明図である。 第2変形例の液体循環装置の構成を示した説明図である。 液体循環装置を電子機器の冷却に用いた適用例を示す説明図である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.液体循環装置の構成:
B.加圧の基本原理:
C.加圧の加圧条件:
D.変形例:
D−1.第1変形例:
D−2.第2変形例:
E.電子機器への適用例:
A.液体循環装置の構成 :
図1は、本実施例の液体循環装置10の構成を示した説明図である。図示されているように、本実施例の液体循環装置10では、液体が流れる液体チューブ200や、液体チューブ200の液体を循環させる循環ポンプ100などによって密閉構造の循環経路が構成されている。尚、本実施例においては、液体チューブ200が本発明の「液体流路」に対応する。
本実施例の循環ポンプ100は、液体を加圧するポンプ室102や、ポンプ室102の一部を構成するダイアフラム104や、ダイアフラム104の背面側に設けられた圧電素子106などから構成されている。ダイアフラム104は、金属薄板で形成されている。また、圧電素子106はいわゆる積層型の圧電素子106であり、ケース108内に収容されている。圧電素子106の一端側は、ケース108内の底面に接着などの方法によって固定され、圧電素子106の他端側はダイアフラム104に押し付けられている。尚、圧電素子106の他端側をダイアフラム104に直接押し付けるのではなく、圧電素子106の端面よりも広い面積を有する板状部材を介してダイアフラム104に押し付けるようにしてもよい。また、圧電素子106の端面とダイアフラム104との間(あるいは、圧電素子106と板状部材とダイアフラム104との間)は、接着などの方法によって固定しておいてもよい。
ポンプ室102には、逆止弁110を介して供給側バッファ室112が設けられており、供給側バッファ室112には、液体が流入する入口流路114が設けられている。また、供給側バッファ室112には、後述する加圧を行うための機構(加圧機構130)が、開閉弁132を介して接続されている。尚、供給側とは、出口流路116より入口流路114に近い位置の液体チューブ200に設けられていることを示し、後述する吐出側とは入口流路114より出口流路116に近い位置の液体チューブ200に設けられていることを示している。
加圧機構130は、本体部130aやベローズ130bなどが設けられており、本体部130aおよびベローズ130bには液体が満たされている。そして、通常時は閉じた状態となっている開閉弁132を開いてベローズ130bに荷重を加えると、本体部130aおよびベローズ130b内の液体が供給側バッファ室112に流入する。このような操作を、循環ポンプ100の動作前に行えば、循環ポンプ100内および液体チューブ200内の液体全体の圧力を高めておくことが可能である。尚、本実施例においては、加圧機構130が本発明の「加圧部」に対応する。
また、ポンプ室102は、出口流路116を介して吐出側バッファ室118に接続されている。そして、この吐出側バッファ室118と供給側バッファ室112との間に、液体チューブ200が接続されている。液体チューブ200には、耐圧性を有するシリコンチューブや樹脂チューブが採用されている。更に、圧電素子106には、図示しない駆動回路が接続されており、圧電素子106に駆動信号を印加することが可能である。
以上のような循環ポンプ100および液体チューブ200を備えた液体循環装置10は、循環ポンプ100の圧電素子106に駆動信号を印加して圧電素子106を伸張させると、ダイアフラム104が変形してポンプ室102の容積が減少する。すると、ポンプ室102内の液体が加圧されて、出口流路116を介して吐出側バッファ室118に流入し、吐出側バッファ室118から液体チューブ200に圧送される。こうして液体チューブ200に圧送された液体は、熱を発生するデバイス(例えば、プロジェクターに取り付けられる光源など)を冷却した後、供給側バッファ室112に還流する。そして、圧電素子106が縮んでポンプ室102の容積が増加するに従って、逆止弁110を介してポンプ室102に吸い込まれる。こうしてポンプ室102に吸い込まれた液体は、次に圧電素子106が伸張することによって加圧されて、吐出側バッファ室118を介して液体チューブ200に圧送される。
以上の説明から明らかなように、本実施例の循環ポンプ100に供給側バッファ室112が設けられているのは、圧電素子106が縮んでポンプ室102の容積が増加した時に、ポンプ室102に流入する液体を溜めておくためである。また、吐出側バッファ室118が設けられているのは、ポンプ室102と吐出側バッファ室118とを出口流路116で接続することによって、上述したように固有振動数を持つ構成体を構成し、共振現象を利用して液体の流量を増加させるためである。実際に、共振周波数で圧電素子106を駆動すると、共振現象によって液体の流量が大きく増加することが確かめられている。
B.加圧の原理 :
図2は、循環ポンプ100を動作させて液体チューブ200に液体を循環させる様子を示した説明図である。循環ポンプ100を起動する前は、循環ポンプ100内の液体も、液体チューブ200内の液体も、環境の圧力P0(一般的には大気圧)にあると考えてよい。そして、循環ポンプ100を起動すると、ポンプ室102内の液体が、圧力P1まで加圧される。図2(a)には、循環ポンプ100が起動直後で供給側バッファ室112や吐出側バッファ室118や液体チューブ200の液体の圧力はP0であるが、ポンプ室102の液体はP0からP1に加圧された状態が示されている。
ポンプ室102の液体がP1に加圧されると、ポンプ室102から吐出側バッファ室118に液体が流入するが、吐出側バッファ室118の液体の圧力が直ちにP1に上昇するわけではない。これは、ポンプ室102から僅かな液体が流れ込んでも、吐出側バッファ室118の変形による容積増加によって吸収されてしまうためである。変形によって吐出側バッファ室118の容積が増加することを考慮すると、吐出側バッファ室118内の液体圧力の増加量と、吐出側バッファ室118に流入した液体の体積とは比例関係にあり、比例係数(コンプライアンスC)を考えることができる。そして、コンプライアンスCを用いると、吐出側バッファ室118の圧力上昇量dPと、吐出側バッファ室118の容積増加量dVとの間には、dV=C・dPの関係が成り立つ。ここでdVは、吐出側バッファ室118に流入した液体の体積に等しい。換言すれば、循環ポンプ100の起動直後で、ポンプ室102内の液体を数回送り出しただけでは、dVが小さく、そのため吐出側バッファ室118内の液体の圧力も僅かしか上昇しない。
また、吐出側バッファ室118の圧力がほとんど上昇しなければ、液体チューブ200を循環して供給側バッファ室112に液体が戻って来ることもない。従って、供給側バッファ室112は、もっぱらポンプ室102に液体を供給するだけとなる。そして、このような状態が長く続くと、供給側バッファ室112内の圧力が低下して、やがてはポンプ室102の容積が増加しても供給側バッファ室112から液体を吸い込めなくなる。
もっとも、そのような状態となる前に、吐出側バッファ室118の圧力がP1に上昇する。図2(b)には、ポンプ室102から圧送された液体が流入することによって、吐出側バッファ室118の圧力がP1に上昇した状態が示されている。このような状態となるまでに吐出側バッファ室118に流入した液体の体積Vbは、吐出側バッファ室118のコンプライアンスをCb、ポンプ室102の加圧量をΔP(=P1−P0)とすると、CbにΔPを乗算した値となる。
また、吐出側バッファ室118の圧力が上昇すると、液体チューブ200に液体が流れるようになる。ここで、液体力学の教えるところによると、液体(ここでは液体)の流れがあるところでは必ず圧力勾配が発生する。逆に言えば、液体中に圧力勾配が存在していると、そこには必ず、圧力勾配に相当する速度の液体の流れが存在する。また、液体チューブ200のような円管状の流路内を層流状態で液体が流れる状態は「ハーゲン・ポアズイユ流」と呼ばれて、流れの速度と圧力勾配と間の比例係数が解析的に求められている。
従って、液体チューブ200に液体が流れ始めると、液体チューブ200内には、ポンプ吐出側からポンプ吸入側に向かって直線的に圧力が低下するような圧力勾配が発生する。そして、液体チューブ200の内圧が上昇すると液体チューブ200の内径が大きくなるから、液体チューブ200についてもコンプライアンスCtを考えることができる。
すなわち、吐出側バッファ室118から僅かな体積の液体が流入しても、液体チューブ200の容積増加に吸収されてしまう。その結果、液体チューブ200のポンプ吐出側の圧力はごく僅かしか上昇せず、液体チューブ200内にはほとんど圧力勾配が生じない。しかし、吐出側バッファ室118から液体が流入するにつれて液体チューブ200のポンプ吐出側の圧力が上昇し、それに伴って液体チューブ200内の圧力勾配も大きくなる。液体チューブ200内の圧力勾配が増加すると、少しずつ液体チューブ200を液体が流れるようになって、供給側バッファ室112に液体が戻り始める。そして最終的には、図2(c)に示したように、液体チューブ200のポンプ吐出側の圧力がP1(吐出側バッファ室118内の圧力)、液体チューブ200のポンプ吸入側の圧力がP0となる。この状態では、液体チューブ200内に大きな圧力勾配が発生するため、液体チューブ200内での液体の流れが速くなる。その結果、ポンプ室102が圧送した液体と同じ体積の液体が、液体チューブ200を循環して供給側バッファ室112に戻るようになるので、それ以降は安定して液体を液体チューブ200内に循環させることができる。また、このような状態となるまでに液体チューブ200に流入した液体の体積Vtは、液体チューブ200のコンプライアンスをCt、ポンプ室102の加圧量をΔP(=P1−P0)とすると、CtにΔPを乗算し1/2倍した値となる。ここで、1/2倍しているのは、液体チューブ200と吐出側バッファ室118との接続部がΔP、液体チューブ200と供給側バッファ室との接続部がP0で圧力が直線的に負荷していることを考慮したためである。
結局、図2(c)に示したように、ポンプ室102で圧送した分の液体が液体チューブ200を循環して供給側バッファ室112に戻ってくるような状態とするためには、吐出側バッファ室118の加圧のためにVb(=Cb・ΔP)、液体チューブ200の加圧のためにはVt=(Ct/2・ΔP)、合計では図2(d)中の(1)式に示す体積の液体を、初期状態から追加する必要がある。
尚、図2では、吐出側バッファ室118内の圧力がP1に上昇して図2(b)のような状態になった後に、吐出側バッファ室118から液体チューブ200に液体が流れ始めるかのように表示されている。しかしこれは、理解の便宜を図って、ポンプ室102と吐出側バッファ室118との間で起きる現象と、吐出側バッファ室118と液体チューブ200との間で起きる現象とを分けて説明しただけのことであり、実際には、図2(b)を用いて説明した現象と、図2(c)を用いて説明した現象とは同時並行的に起こる。従って、吐出側バッファ室118内の圧力がP1に達する前から、少しずつ液体チューブ200に液体が流れている。尚、循環ポンプが脈動を生じる場合には、ポンプ室102の加圧量ΔPとは、脈動の平均圧とすることが出来る。
図3は、本実施例の液体循環装置10で行われる加圧の基本的な原理についての説明図である。図3(a)には、図2を用いて前述した最終的な状態、すなわち、ポンプ室102が液体チューブ200に圧送した液体と同じ分量の液体が、液体チューブ200から供給側バッファ室112に戻ってくる状態が示されている。この状態から循環ポンプ100を停止すると、ポンプ室102や、吐出側バッファ室118、液体チューブ200、供給側バッファ室112の圧力が全て同じ圧力となる。しかし、前述したように図3(a)の状態とするためには図2(a)の状態から液体が追加されているから、循環ポンプ100を停止しても図2(a)の状態に戻るわけではない。従って、循環ポンプ100の停止後は、図3(b)に示すように、ポンプ室102や、吐出側バッファ室118、液体チューブ200、供給側バッファ室112の圧力が、環境の圧力P0よりも高い圧力P2となる。更に、この状態(図3(b)に示した状態)から循環ポンプ100を起動すれば、図3(a)の状態に復帰する筈である。
また、図3(b)の状態から循環ポンプ100を起動しても、ポンプ室102から液体チューブ200に送り出した液体が、直ちに液体チューブ200を循環して供給側バッファ室112に戻ってくるわけではない。従って、図3(a)の状態になるまでの間は、供給側バッファ室112の圧力や、液体チューブ200のポンプ吸入側の圧力が初めの圧力P2から次第に低下していく。しかし、環境の圧力P0よりも低くなることはないから、図3(b)の状態から図3(a)の状態になるまでの間に、供給側バッファ室112が負圧になってポンプ室102が液体を吸い込めない事態が生じることはない。そこで、循環ポンプ100を起動させる前に、図1に示した加圧機構130を用いて、ポンプ室102や吐出側バッファ室118や液体チューブ200や供給側バッファ室112の圧力を、圧力P2まで予め加圧しておき、その後、循環ポンプ100を起動させる。こうすれば、供給側バッファ室112が負圧になってポンプ室102が液体を吸い込めない事態を回避することが可能となる。以上が、加圧の基本的な原理である。
図4は、本実施例の液体循環装置10で行われる加圧について示した説明図である。図4(a)に示されるように、本実施例の液体循環装置10は、循環ポンプ100を起動する前に、供給側バッファ室112と加圧機構130との間に設けられた開閉弁132を開いて、加圧機構130から液体を供給側バッファ室112に圧送する。すると、供給側バッファ室112、ポンプ室102、吐出側バッファ室118、液体チューブ200の液体の圧力が環境の圧力P0から加圧されていく。そして、供給側バッファ室112、ポンプ室102、吐出側バッファ室118、液体チューブ200の圧力がP2に達したら、図4(b)に示すように開閉弁132を閉鎖して、加圧を完了する。その状態から、循環ポンプ100を起動すると、供給側バッファ室112、ポンプ室102、吐出側バッファ室118、液体チューブ200の圧力は、図4(c)に示した状態となる。
この状態では、前述したように、ポンプ室102から液体チューブ200に圧送した液体と同じ分量の液体が、液体チューブ200を循環して供給側バッファ室112に戻ってくる。このため、液体チューブ200に液体を安定して循環させることができる。
また、ポンプ室102から液体チューブ200に圧送する流量を調整したい場合には、ポンプ室102の加圧量ΔPを調整すればよい。所望のポンプ室102の最大の加圧量をΔPとして、図2(d)に示す(1)式で求められる体積の液体をあらかじめ循環流路に封入することにより、供給側バッファ室112が負圧となることなく、液体チューブ200に液体を安定して循環させることができる。つまり、所望のポンプ室102の加圧量の調整範囲をPmin <= ΔP <= Pmaxとしているため、ΔP=Pmaxとした場合の、図2(d)に示す(1)式で求められる体積の液体があらかじめ封入され、加圧された状態になっている。よって、ポンプ室102の加圧量がPdで循環流路に安定して液体が流れているとき、供給側バッファ室112は大気圧P0以上に加圧された状態になり、供給側バッファ室112が負圧となってポンプ室102が液体を吸い込めなくなる事態は生じない。よって、所望のポンプ室102の加圧量の調整範囲のうち、最大の加圧量をΔPとして、図2(d)に示す(1)式で求められる体積の液体をあらかじめ循環流路に封入することにより、供給側バッファ室112が負圧となることなく、液体チューブ200を循環する液体の流量を所望の調整範囲内で調整することが可能となる。
更に、図4(c)の状態から循環ポンプ100を停止しても図4(b)の状態に戻るだけなので、循環ポンプ100を再び起動すれば、加圧を行わなくても直ぐに図4(c)の状態に復帰させることが可能となる。
もっとも、以上のような加圧の効果を得るためには、供給側バッファ室112やポンプ室102や吐出側バッファ室118や液体チューブ200の圧力を、ある程度の圧力まで加圧しておかなければならないことが予想される。そこで、加圧の効果を得るために必要な加圧量について検討する。
C.加圧の加圧条件 :
図5は、加圧の効果を得るために必要な加圧量についての検討結果を示す説明図である。加圧を行うことによって、供給側バッファ室112、ポンプ室102、吐出側バッファ室118、液体チューブ200の圧力を、環境の圧力P0から圧力P2まで加圧するものとする。ここで、圧力P2とは、図3(b)に示した圧力である。図3に示されるように、この圧力まで加圧しておけば、上述した加圧の効果を得ることができる。
図5(a)には、加圧を行って、供給側バッファ室112、ポンプ室102、吐出側バッファ室118、液体チューブ200の圧力を、環境の圧力P0から圧力P2まで加圧する様子が示されている。加圧を行うことによって、供給側バッファ室112の容積はVaIだけ増加し、吐出側バッファ室118の容積はVbIだけ増加し、液体チューブ200の容積はVtIだけ増加するものとする。尚、ポンプ室102については、容積を減少させることによって液体を加圧しているので、液体の圧力で変形することによる容積増加は考える必要はなく、従って、ポンプ室102のコンプライアンスCは考慮する必要はない。
従って、加圧によって加圧機構130から供給すべき液体の体積をΔVとすれば、ΔVは、VaIとVbIとVtIとを合計した値となる。また、供給側バッファ室112のコンプライアンスをCaとすれば、供給側バッファ室112の容積増加量VaIはCa・ΔPIによって求められる。ここで、加圧量ΔPI(=P2−P0)である。更に、吐出側バッファ室118のコンプライアンスをCbとすれば、吐出側バッファ室118の容積増加量VbIはCb・ΔPIとなる。また、液体チューブ200のコンプライアンスをCtとすれば、加圧による液体チューブ200の容積増加量VtIは、Ct・ΔPIとなる。ここで、加圧時の液体チューブ200のコンプライアンスCが、液体循環時の液体チューブ200のコンプライアンスCの2倍となっているのは、液体循環時は液体チューブ200内の圧力が、吐出側バッファ接続部からの距離にほぼ比例してP1からP0に低下しているのに対して、加圧時は圧力P2で一定となるためである。
結局、加圧時に加圧機構130から供給すべき液体の体積ΔVは、図5(b)に示す(2)式で求められる。そして、この値は、図2(d)に示した(1)式で得られた値と一致する筈である。そこで、(1)式で得られるΔVと、(2)式で得られるΔVとが等しいため、図5(c)に示す(3)式が得られる。尚、(3)式中のΔPIは加圧量(=P2−P0)であり、ΔPはポンプ室102での加圧量(=P1−P0)である。
図5(c)に示した(3)式は、分母の値が分子の値よりもCa+Ctだけ大きいから、ΔPの係数は1より小さく、従ってΔPIがΔPより大きくなることはない。また、分母および分子に共通に含まれるCbの値が、他の値(すなわちCaやCt)よりも極端に大きければ、ΔPIはΔPに近付いていく。Ctについても同様に、Ctが他の値(すなわちCaやCb)よりも極端に大きければ、ΔPIはΔPに近付いていく。従って、ΔPIの最大値はΔPとなる。
尚、上述した検討では、供給側バッファ室112の圧力が環境の圧力P0よりも僅かでも低くなると、ポンプ室102に液体を吸い込めなくなる(吸い込み量が減少する)ものとした。しかし実際には、供給側バッファ室112の圧力が環境の圧力P0より僅かに低くなった程度では、ポンプ室102の吸い込み量が減少することはない。従って、実際には、上述した検討によって得られた図5(c)に示す(3)式よりも低い圧力まで加圧しただけでも、前述の加圧の効果が得られるものと考えられる。そこで、実際に実験して確かめてみると、図5(d)に示した圧力範囲で加圧を行えば、加圧の効果が得られることが確かめられた。
図5(d)に示す圧力範囲で適切に加圧を行った液体循環装置10は、液体チューブ200の流路抵抗が大きい(液体チューブ200が長く、断面積が小さい)場合であっても、十分な流量で液体チューブ200に液体を循環させることが可能である。また、駆動部として圧電素子106を用いることで循環ポンプ100自体の小型化も図れるので、電子機器への適用が期待される。以下では、液体循環装置10を電子機器に適用する例について簡単に説明する。
D.変形例 :
上述した本実施例の液体循環装置10には、幾つかの変形例を考えることができる。以下では、これら変形例について説明する。尚、以下の変形例では、上述した実施例との相違点に焦点を当てて説明することとして、上述の実施例と同様な構成については同じ符番を付すことによって詳細な説明は省略する。
D−1.第1変形例 :
上述した実施例では、加圧機構130から供給側バッファ室112に液体を供給することによって、供給側バッファ室112、ポンプ室102、吐出側バッファ室118、液体チューブ200の液体を加圧するものとして説明した。しかし、加圧機構130は、供給側バッファ室112、ポンプ室102、吐出側バッファ室118、液体チューブ200の液体を加圧することができれば十分である。たとえば供給側バッファ室112や吐出側バッファ室118の一部を変形させて、あるいは供給側バッファ室112や吐出側バッファ室118内にピストンを挿入するなどの方法によって、供給側バッファ室112、ポンプ室102、吐出側バッファ室118、液体チューブ200の液体を加圧するようにしてもよい。従って、密閉構造の流路のどこからでも加圧してよい。
図6には、このような第1変形例の液体循環装置10が例示されている。図示した第1変形例の循環ポンプ100では、ピストン形状の加圧機構130が供給側バッファ室112内に押し込まれることによって、加圧を行うようになっている。もちろん、ピストン形状の加圧機構130を吐出側バッファ室118内に押し込むことによって、加圧を行うようにしても良い。
D−2.第2変形例 :
上述した実施例あるいは変形例では、ポンプ室102の吐出側に、吐出側バッファ室118が設けられているものとして説明した。しかし、上述した検討は、吐出側バッファ室118が存在しない場合でも全く同様に成立する。実際、図2(d)に示した(1)式や、図5(b)に示した(2)式や、図5(c)に示した(3)式は、吐出側バッファ室118のコンプライアンスCbが「0」であっても成立する。更に、図5(d)に示した加圧の加圧範囲も、吐出側バッファ室118の有無によっては変わらない。このことから、図7に示すように、吐出側バッファ室118が設けられていない循環ポンプ100を用いた第2変形例の液体循環装置10に対しても、図5(d)に示す加圧範囲の加圧を行うことで、前述した加圧の効果を得ることが可能となる。
E.電子機器への適用例 :
図8は、液体循環装置10を電子機器に適用する例を示した説明図である。図8には、電子機器として、プロジェクター300に本実施例の液体循環装置10を適用する例が示されている。図8(a)に示されるようにプロジェクター300は、複数の光学部品から構成される光学構造と、光学部品を冷却する冷却装置330と、図示しない電源ユニットと、図示しない制御ユニットなどが、外装筺体320の内部に収納されることによって構成されている。光学構造は、光束を射出する光源322と、画像情報に応じて光変調を行う液晶ライトバルブ324と、ダイクロイックプリズム326と、投射レンズ328などから構成されている。
光源322としては、R色光を射出するR光源322Rと、G色光を射出するG光源322Gと、B色光を射出するB光源322Bの、3つの光源322R〜322Bが搭載されている。これら各色の光源322R〜322Bには、LED素子や、レーザーダイオード、有機EL素子、シリコン発光素子などの各種の固体発光素子を用いることができる。また、各色の光源322R〜322Bは、それぞれに設けられた液晶ライトバルブ324に向けて光束を射出する。
液晶ライトバルブ324は透過型の液晶パネルであり、図示しない制御装置からの駆動信号に基づいて、液晶セル内の液晶分子の配列を変化させて光を透過あるいは遮断することによって、画像情報に応じた光学像を形成する。尚、液晶セルで光を透過させたり、遮断したりする動作を「光変調」と呼ぶことがある。液晶ライトバルブ324で光変調を行う結果、光源322Rからの光束を受ける液晶ライトバルブ324RではR光学像が形成され、光源322Gからの光束を受ける液晶ライトバルブ324GではG光学像が形成され、光源322Bからの光束を受ける液晶ライトバルブ324BではB光学像が形成される。こうして得られた各色の光学像は、ダイクロイックプリズム326に向けて射出される。
ダイクロイックプリズム326は、4つの直角プリズムを貼り合わせて構成されたほぼ立方体形状の光学素子である。直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。誘電体多層膜は、膜厚の設定によって特定の波長の光のみを反射し、その他の光を透過する性質がある。この性質を利用して、ダイクロイックプリズム326では、液晶ライトバルブ324から射出された色光を投射レンズ328の方向に向けて反射する。それぞれの液晶ライトバルブ324R〜324Bからの色光が投射レンズ328に向けて反射される結果、各色光による光学像が合成されて、カラー画像として投射レンズ328に向けて射出される。そして投射レンズ328は、図示しないスクリーン上にカラー画像を投影することによって拡大表示する。
ここで、光源322は光を射出すると同時に発熱する。そこで、前述した密閉構造の液体循環装置10が、次のように各色の光源322R〜322Bを冷却するための冷却装置330として適用されている。尚、本実施例では、冷却装置330を用いて光源322を冷却しているが、他の部品(例えば液晶ライトバルブ324や、電源ユニットなど)を冷却してもよい。
図8(b)は、冷却装置330の構成を示した説明図である。尚、図8(a)を用いて前述したように、冷却装置330は、各色の光源322R〜322Bのそれぞれに(合計で3つ)設けられているが、何れの構成も同様であるため、以下では、1つの冷却装置330について説明する。
図示されるように冷却装置330は、前述した液体循環装置10を構成する循環ポンプ100および液体チューブ200を備えている。液体チューブ200の途中には、光源322からの熱を液体に吸収させる受熱部334や、液体の熱を放熱させる熱交換部336が設けられており、循環ポンプ100を駆動することによって、冷却媒体としての液体(例えば、水、エチレングリコール水溶液、プロピレングリコール水溶液、シリコンオイルなど)が液体チューブ200、受熱部334、熱交換部336を循環するようになっている。尚、図6(b)では、冷却媒体が流れる方向が破線の矢印によって示されている。
受熱部334では、金属などの熱伝導率の高い材質で形成された図示しない伝熱部材に液体が接触して流れるようになっており、伝熱部材は、光源322の熱を持つ部分に接触している。このため、光源322の熱が伝熱部材を介して液体に伝達されて光源322が冷却される。熱交換部336は、いわゆるラジエーターであり、内部を流れる液体の温度を、表面に形成された複数の放熱フィンから空気中に放熱する。その結果、熱交換部336を通過した液体は冷やされた状態で、循環ポンプ100に還流される。
また、冷却装置330には、熱交換部336での放熱を促進するための冷却促進ユニットも搭載されている。この冷却促進ユニットは、冷却ファン340と、冷却ファン340を回転させるファンモーター342と、ファンモーター342の動作を制御するモーター制御部344と、温度センサー346などから構成されている。温度センサー346は光源322の近傍に配置されており、光源322の温度を検出して、検出した温度をモーター制御部344に出力する。モーター制御部344は、検出された温度に基づいてファンモーター342の動作を制御する。例えば、温度センサー346で検出した温度が高い場合には、ファンモーター342の回転速度を増加させることによって熱交換部336での放熱を促進させる。
もっとも、光源322の発熱量が大きい場合には、ファンモーター342の回転速度を増加させるだけでは冷却できなくなるので、液体の循環流量を増加させる必要がある。前述したように、本実施例の循環ポンプ100では図5(d)に示す圧力範囲で加圧されているので、十分な循環流量を確保して、光源322を冷却することが可能となる。
以上、本実施例の液体循環装置10について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上述した適用例では、ダイヤフラムを用いた容積形ポンプを適用した場合について説明したが、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイアフラムポンプ、ベローズポンプ等でも良く、羽根状の回転子を用いて回転子の回転により送液するポンプ等でも良い。
また、上述した適用例では、プロジェクター300に適用した場合について説明したが、本発明は、プロジェクター300に限らない。たとえば、圧電素子とダイヤフラムとを用いて液体を噴射し生体の組織を切除するウォータージェットメスなどの医療機器に、本実施例の液体循環装置を用いて冷却液を循環させることもできる。その結果、ウォータージェットメスの装置が冷却され、噴射される液体も切除に適した温度とすることができるため、あらゆる電子機器の液体循環装置として好適に適用することができる。
10…液体循環装置、 100…循環ポンプ、 102…ポンプ室、
104…ダイアフラム 106…圧電素子、 108…ケース、
110…逆止弁、 112…供給側バッファ室、 114…入口流路、
116…出口流路、 118…吐出側バッファ室、 130…加圧機構、
132…開閉弁、 200…液体チューブ、 300…プロジェクター、
320…外装筺体、 322…光源、 324…液晶ライトバルブ、
326…ダイクロイックプリズム、 328…投射レンズ、 330…冷却装置、
334…受熱部、 336…熱交換部、 340…冷却ファン、
342…ファンモーター、 344…モーター制御部、 346…温度センサー、
ΔP…加圧量、 ΔPI…加圧量、 Vb…体積、
Ca,Cb,Ct…コンプライアンス

Claims (6)

  1. 液体が流れる液体流路と、ポンプ室内を加圧することによって前記液体流路に液体を圧送する循環ポンプと、
    前記液体流路と前記循環ポンプの供給側との間に配設され、内部の圧力に応じて変形することが可能な供給側バッファ室と、前記供給側バッファ室および前記液体流路内の液体の圧力を上昇させる加圧部と、
    を含んで密閉構造で構成される液体循環装置であって、
    前記循環ポンプが前記ポンプ室内で液体を加圧する加圧量をΔP、前記供給側バッファ室内の圧力変化に対する前記供給側バッファ室の容積変化の比をCa、前記液体流路内の圧力変化に対する前記液体流路の容積変化の比をCtとしたときに、
    前記循環ポンプが停止状態での前記供給側バッファ室および前記液体流路内の液体の圧力ΔPIは、0.8(Ct/2)/(Ca+Ct)ΔP <= ΔPI <ΔPを満たすことを特徴とする液体循環装置。
  2. 前記循環ポンプの前記ポンプ室と前記液体流路との間に、さらに吐出側バッファ室を備え、
    前記吐出側バッファ室の圧力変化に対する前記吐出側バッファ室の容積変化の比をCbとしたときに、
    前記循環ポンプが停止状態での前記供給側バッファ室および前記液体流路および前記吐出側バッファ室内の液体の圧力ΔPI2は、0.8(Cb+Ct/2)/(Ca+Cb+Ct)ΔP <= ΔPI2 <ΔPを満たすことを特徴とする請求項1に記載の液体循環装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体循環装置と、
    前記液体循環装置の前記液体流路の少なくとも一部を構成する熱交換部と、
    を備える冷却装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の液体循環装置、あるいは請求項3に記載の冷却装置を備えた電子機器。
  5. 液体が流れる液体流路と、ポンプ室内を加圧することによって前記液体流路に液体を圧送する循環ポンプと、
    前記液体流路と前記循環ポンプの供給側との間に配設され、内部の圧力に応じて変形することが可能な供給側バッファ室と、を含んで密閉構造で構成される液体循環装置の加圧方法であって、
    前記循環ポンプが前記ポンプ室内で液体を加圧する加圧量をΔP、前記供給側バッファ室内の圧力変化に対する前記供給側バッファ室の容積変化の比をCa、前記液体流路内の圧力変化に対する前記液体流路の容積変化の比をCtとしたときに、
    前記循環ポンプが停止状態での前記供給側バッファ室および前記液体流路内の液体の圧力ΔPIは、0.8(Ct/2)/(Ca+Ct)ΔP<= ΔPI <ΔPを満たす液体循環装置の加圧方法。
  6. 液体が流れる液体流路と、ポンプ室内を加圧することによって前記液体流路に液体を圧送する循環ポンプと、
    前記液体流路と前記循環ポンプの供給側との間に配設され、内部の圧力に応じて変形することが可能な供給側バッファ室と、
    前記液体流路と前記循環ポンプの吐出側との間に配設される吐出側バッファ室と、を含んで密閉構造で構成される液体循環装置の加圧方法であって、
    前記吐出側バッファ室の圧力変化に対する前記吐出側バッファ室の容積変化の比をCbとしたときに、
    前記循環ポンプが停止状態での前記供給側バッファ室および前記液体流路および前記吐出側バッファ室内の液体の圧力ΔPI2は、0.8(Cb+Ct/2)/(Ca+Cb+Ct)ΔP <= ΔPI2 <ΔPを満たす液体循環装置の加圧方法。
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