JP2013147636A - 酸化抑制剤およびこれを用いた油脂含有飲食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】
多価不飽和脂肪酸含有食品の酸化を抑制し、酸化に起因する戻り臭の生成を抑制する酸化抑制剤を提供する。
【解決手段】
ジヒドロキシスフィンゴシンを酸化抑制剤の有効成分とする。トコフェロールの共存下、ジヒドロキシスフィンゴシンを多価不飽和脂肪酸含有食品の有効成分として配合する。本発明により、多価不飽和脂肪酸含有食品特有の課題として存在する保存中における脂質成分の酸化に起因する戻り臭が抑制された食品を提供することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は油脂類の酸化抑制剤に関する。より詳しくは、ジヒドロキシスフィンゴシンを有効成分とし、油脂類の酸化を抑制する酸化抑制剤及びそれを含有する油脂含有食品に関する。
油脂の構成成分である脂肪酸の中で、必須脂肪酸であるリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の二重結合を持つ脂肪酸は、生体内で種々の代謝を受け、プロスタグランジン等の化合物に変換されて、生体の恒常性や機能維持に重要な役割を果たしている。最近では、多価不飽和脂肪酸の研究が進み、n− 3 系、n − 6 系の必須脂肪酸であるリノール酸、α− リノレン酸の有効性が明らかになってきており、これに伴って、これらの脂肪酸を大量に含む大豆油やべに花油等の油脂や、これらの油脂を含む食品が大量に生産されるようになってきている。また、魚油中に大量に含まれるエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸の生理効果が明らかとなり、魚油を含む油脂やその油脂を含む食品が提供されるようになってきた。さらに、アラキドン酸やジホモγ− リノレン酸を含む油脂についても、その生理作用が明らかになるにつれて、これらの脂肪酸を含む油脂やその油脂を含む食品が提供されるようになってきた。
これらの不飽和脂肪酸は通常、油脂としてまたは油脂含有食品として摂取されるが、このような油脂や油脂含有食品は、製造後、消費されるまでの間に、しばしば不飽和脂肪酸の酸化という問題が発生する。すなわち、これらの脂肪酸を含む油脂は、空気中の酸素と反応して、パーオキサイド等の人体に有害な化合物を生成する。この酸化反応は、油脂や油脂含有食品中に含まれる微量の金属や、光等によって進行する。分子内に二重結合を複数含む多価不飽和脂肪酸、特にエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を含有する魚油は非常に酸化されやすいため、酸化防止剤として大量のトコフェロールやソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA) 等の合成酸化防止剤の添加等、なんらかの酸化防止方法が必須であった。このように酸化防止を行わないと、微量の鉄や銅等の金属の存在により、油脂の自動酸化が進み、いわゆる戻り臭と呼ばれる悪臭の発生や、着色化等が発生する。また、このような現象が生じなくとも、過酸化物の生成が起こり、食用には好ましくない状態となる。
油脂または油脂含有食品の酸化防止方法としては、前述のような酸化防止剤の添加のほか、空気や光から遮断するために、遮光性密閉容器中に充填し、窒素ガス等の不活性ガスと空気を置換する方法、密閉容器と脱酸素剤を併用することで、油脂または油脂含有食品を長期保存する方法(引用文献1)、乳酸菌を利用した酸化防止方法(引用文献2)、油脂をゼラチンやカラギーナンを用いてマイクロカプセル化して、空気との接触を遮断し、酸化防止を行う方法(特許文献3)等が知られている。
しかしながらこれらの方法では、多価不飽和脂肪酸の酸化と異風味の生成をある程度防止することは可能であるが、多様な食品形態全てに効果があるものではなく、必ずしも満足できるものではなかった。また、添加物の中には、大量摂取することが必ずしも好ましいものでないものも多い。
特開昭58−183466 号公報 特開平5−9126号公報 特開昭61−126016号公報
このような現状に鑑み、本発明は、従来技術の課題を解決し、新規な酸化抑制剤を提供することを目的とする。本発明はさらに、酸化抑制剤の製造方法及び酸化抑制剤を用いる油脂の酸化抑制方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、本発明の上記目的を達成するために、スフィンゴミエリンの酸化抑制能についてさらに検討を進めた結果、スフィンゴミエリンの脂肪酸部分とリン酸基部分を分離した、スフィンゴシン塩基構造であるジヒドロキシスフィンゴシンに強い酸化抑制作用が見られ、α-トコフェロールとの相乗効果によりその酸化抑制力は顕著に増加すること
を、本発明者らは見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の構成を有する。
(1)ジヒドロキシスフィンゴシンを有効成分とする油脂の酸化抑制剤。
(2)前記油脂が、多価不飽和脂肪酸を含有する油脂である(1)記載の油脂の酸化抑制剤。
(3)ジヒドロキシスフィンゴシン及びトコフェロールを有効成分とする酸化抑制剤。
(4)前記トコフェロールの含有量が、前記ジヒドロキシスフィンゴシンの含有量の1%以上であることを特徴とする(3)記載の酸化抑制剤。
(5)5ppm以上のトコフェロール及び0.05%以上のジヒドロキシスフィンゴシンを含有することを特徴とする油脂。
(6)(5)記載の油脂を原料として使用してなる飲食品。
(7)トコフェロール存在下において、ジヒドロキシスフィンゴシンを配合することを特徴とする飲食品の酸化抑制方法。
(8)前記ジヒドロキシスフィンゴシンの配合量が、0.05%以上であることを特徴とする(7)記載の飲食品の酸化抑制方法。
本発明によれば新規な酸化抑制剤が提供される。本発明による酸化抑制剤は、公知の酸化抑制剤である大豆リン脂質等よりも酸化抑制能が強く、また乳化作用も有しているため、エマルジョン状態の油脂に対しても容易に添加することができる。
ジヒドロキシスフィンゴシンの構造を示す図である。 本発明の酸化抑制剤の魚油における効果を示すグラフである。 本発明の酸化抑制剤の大豆油における効果を示すグラフである。
以下、本発明を詳しく説明する。本発明の酸化抑制剤は、油脂、特に多価不飽和脂肪酸を含有する油脂に有効であり、そのような油脂に酸化抑制能を付与することができる。本発明において、多価不飽和脂肪酸とは、二重結合を2個以上含む脂肪酸を意味する。このような脂肪酸の中で、通常の食品中に含まれているものとしては、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、γ− リノレン酸等を代表的なものとして挙げることができるが、その他にも、多様な多価不飽和脂肪酸の存在が知られている。これらの多価不飽和脂肪酸は、微量の鉄や銅等の金属を触媒として、空気中の酸素や溶液中に溶解している酸素によって容易に酸化されたり、光化学反応によって酸化されて、種々の過酸化物を生成する。特に、食品中ではしばしば、鉄、銅等の金属元素やアスコルビン酸等の酸化促進作用を果たす物質が存在するため、窒素ガス置換を行っても食品中に含まれる微量の酸素によってこのような反応は進行し、食品の腐敗の原因となる。
本発明の酸化抑制剤の有効成分であるジヒドロキシスフィンゴシンは植物由来、動物由来のいずれも使用可能であるが、例えば、乳中に存在するリン脂質であるスフィンゴミエリンや糖脂質であるラクトシルセラミドやグルコシルセラミドの脂肪酸とリン酸基を化学的な処理もしくは酵素処理により加水分解することで得ることができる。したがって、たとえば、生乳やホエータンパク質濃縮物(WPC)などを原料として調製することが可能である。生乳やWPCなどからジヒドロキシスフィンゴシンを得る方法としては、エーテルやアセトンで抽出する方法、バターを加温融解して得られるバターカードやバターセーラムを含む水溶性画分を用いる方法等、公知の方法により、複合脂質画分を得た後に酸加水分解処理や酵素処理によりジヒドロキシスフィンゴシンを得る方法を例示することができる。得られたジヒドロキシスフィンゴシン含有組成物はそのまま酸化抑制剤として使用しても良いが、透析、硫安分画、ゲル濾過、等電点沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、溶媒分画、限外濾過(UF)、精密濾過(MF)などの手法により精製することで、よりジヒドロキシスフィンゴシンの純度を高めることができる。これらのジヒドロキシスフィンゴシン含有組成物は、液体や粉末の形態を適宜とることができ、多価不飽和脂肪酸含有飲食品の製造時に配合することができる。なお、ジヒドロキシスフィンゴシン素材の原料としては、乳にこだわるものではなく、各種植物由来原料からの調製物であっても同様の効果を発揮する。一例として、ジヒドロキシスフィンゴシンの構造を図1に示す。
本発明の酸化抑制剤は、油脂に添加することにより、油脂の酸化を防止することができる。特に、本発明の酸化抑制剤は、常温の油脂、または融点以上に加温して液状にした油脂中に添加し、混合または分散させることが好ましい。本発明の酸化抑制剤の油脂への添加量は、油脂や食品の種類に応じて適当に変更することができるが、通常は、油脂に対して、ジヒドロキシスフィンゴシンが0 .0 5 重量% 以上、特に、0 .5 重量% の割合で含有されるように添加することが好ましい。添加量が、0 .0 5 重量% 未満となると、酸化抑制効果が期待できず、酸化抑制効果のみを目的とする場合は、添加量を増加するほど、顕著な効果を油脂に付与することができる。本発明品はトコフェロールとの相乗効果により顕著な酸化抑制効果を発揮する。トコフェロールの添加量はジヒドロキシスフィンゴシンに対して1重量%以上であることが望ましい。
本発明の酸化抑制剤を配合する方法に特に制限はないが、例えば、溶液中で添加、配合するには、本発明の酸化抑制剤を脱イオン水に懸濁あるいは溶解し、撹拌混合した後、飲食品の形態に調製して使用する。撹拌混合の条件としては、本発明の酸化抑制剤が均一に混合されればよく、ウルトラディスパーサーやTKホモミクサー等を使用して撹拌混合することも可能である。また、この本発明の酸化抑制剤の溶液は、飲食品用原料として使用しやすいように、必要に応じて、RO膜等での濃縮や、凍結乾燥して使用することができる。本発明では、医薬品、飲食品や飼料の製造に通常使用される殺菌処理が可能であり、粉末状であっては乾熱殺菌も可能である。従って、本発明の酸化抑制剤を含有する液状、ゲル状、粉末状、顆粒状等様々な形態の医薬品、飲食品や飼料を製造することができる。
本発明の酸化抑制剤によって酸化抑制能を付与された油脂は、単独で通常の食用油脂として用いることもでき、または、マーガリン、スプレッド等の油性食品、サラダドレッシング、クッキー、バターケーキ、育児用粉乳等の調製粉乳、コーヒークリーム、ホイップクリーム等のクリーム類等の食品の原料として用いることも可能である。これらの食品において本発明の酸化抑制剤を含有する油脂を使用した場合、保存時の酸化抑制能が維持されて、保存に伴うPV(POV)の上昇や、酸化臭の発生等が抑制されるという効果が得られる。また、てんぷら、ポテトチップス、ドーナッツ、かき揚げ、フライ等の揚げ物用の油として本発明の酸化抑制剤を含有する油脂を使用した場合、長時間使用しても油の劣化が起こりにくく、業務用に大量のフライ食品を製造する際の揚げ油として適している。また通常、このような業務用食品は、油の酸化を防止するため、パーム油などを使用しているが、本発明の酸化抑制剤を油脂に添加して用いる場合には、大豆油や菜種油の使用も可能となる。さらに、本発明の酸化抑制剤を含有する油脂を用いて揚げ物を調製した場合、調製された揚げ物にも酸化抑制能が付与される。また、油脂に添加する場合に、公知の油溶性酸化抑制剤であるβ− カロチンと併用して用いることもでき、これらの酸化抑制剤を安定化させることもできるので、非常に有用である。
以下に、実施例及び試験例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
ホエータンパク質濃縮物(WPC)の10%水溶液にプロテアーゼを作用させて得られた反応液をクロロホルム-メタノール(2:1)溶液で抽出した後、濃縮し、さらにアセトン抽出してリン脂質画分を得た。得られたリン脂質画分をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、クロロホルム-メタノール溶液で段階抽出したものを凍結乾燥し、精製スフィンゴミエリンを得た。精製標品を薄層クロマトグラフィーにより分画し、ディットマー試薬で発色した後、デンシトメーターを用いて定量した。その結果、スフィンゴミエリン含有率は95.2%であった。スフィンゴミエリンに対して、塩酸を用いた酸加水分解を行った。分解物をシリカゲルカラムクロマトを用いて精製し、ジヒドロキシスフィンゴシンを99%の高純度で含有する酸化抑制剤(実施例品1)を得た。
[試験例1]
実施例品1及び比較対照として、スフィンゴミエリン、ラクトシルセラミド、セラミドの高純度試薬(純度98%以上)の酸化抑制効果について酸化実験により評価を行った。各種試料(1mg)とα-トコフェロール(0.05mg)を魚油TG(99mg)と混合し、分析試料とした。なお、コントロールとして魚油TG(100mg)を用いた。分析試料を分析用バイアル瓶(5mL)に精秤した後、ブチルセプタムゴムおよびアルミシールバイアルで栓をした。40℃、暗所にてインキュベートした後、一定時間ごとにバイアル瓶上部の空気40μLずつ熱伝導度検出器(TCD)装置のGCに注入した。酸化に伴い空気中の酸素のピークが減少するので、酸素と窒素のピーク比の変化により脂質の酸化による酸素吸収量を算出した。酸化実験は同じ試料を3本のバイアル瓶にとり、それぞれ別々に測定した。各測定値の平均値の推移を図1に示す。グラフの縦軸は残存酸素量(%)を、横軸は酸化時間(時間)を示す。実験に使用した魚油トリグリセリドの脂肪酸組成を表1に示す。
Figure 2013147636
魚油TGは20:5n-3(EPA)と22:6n-3(DHA)といった高度不飽和脂肪酸を多く含むため(表1)、極めて酸化されやすく、測定開始150時間経過後にはバイアル瓶上部の酸素すべてが酸化により消費された。添加したコントロールの酸素吸収速度は、添加しない場合のそれに比べて明らかに遅くなっており、ジヒドロキシスフィンゴシン添加により、酸化が抑制されていることが確認された。しかし、スフィンゴミエリン、ラクトシルセラミド、セラミド添加試料ではコントロールと大きな違いはなかった。以上より、トコフェロール存在下では、ジヒドロキシスフィンゴシンにより優れた酸化抑制効果が得られることが明らかとなった。
ジヒドロキシスフィンゴシン50gを4950gの脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、TKホモミクサー(TKROBO MICS;特殊機化工業社)にて、6000rpmで30分間撹拌混合してジヒドロキシスフィンゴシン含量1000mg/100gのジヒドロキシスフィンゴシン溶液を得た。このジヒドロキシスフィンゴシン溶液4.0kgに、カゼイン5.0kg、大豆タンパク質5.0kg、魚油1.0kg、シソ油3.0kg、デキストリン18.0kg、ミネラル混合物6.0kg、ビタミン混合物1.95kg、乳化剤2.0kg、安定剤4.0kg、香料0.05kg、α-トコフェロール1.0gを配合し、本発明の多価不飽和脂肪酸含有食品50kg(実施例品2)を得た。なお、得られた多価不飽和脂肪酸含有食品には、100gあたり、ジヒドロキシスフィンゴシンが80mg、α-トコフェロールが2mg含まれていた。
[試験例2]
実施例品2において、ジヒドロキシスフィンゴシン溶液4.0kgの代わりに水を4.0kg配合した比較例品1を調製した。実施例品2と比較例品1を37℃に保持し、経時的な過酸化物価(POV)の変化を評価した結果を表2に示す。
Figure 2013147636
表2より、保存2ヶ月後に比較例品1のPOVが1.4kg/meqであったのに対し、実施例品2のPOVは0.3kg/meqであった。また、比較例品1に魚油の戻り臭を感じたのに対し、実施例品2は保存開始時と同じく異風味は感じなかった。以上の結果から、本発明の抗酸化剤を利用した多価不飽和脂肪酸含有食品は酸化安定性が向上され、保存中の異風味の生成が抑制されることが明らかとなった。
[試験例3]
本発明におけるジヒドロキシスフィンゴシンの有効量を評価するために、ジヒドロキシスフィンゴシン量をそれぞれ0.00%(水準1)、0.01%(水準2)、0.03%(水準3)、0.05%(水準4)とした4水準の試験試料を用いて、試験例1と同様の方法を用いて酸化安定性試験を行った。なお、試料中のトコフェロール配合量は全ての水準で0.0025%とした。結果を表3に示す。
Figure 2013147636
表3の結果から、魚油試料中のジヒドロキシスフィンゴシンの配合量が0.03%以下では100時間後の残存酸素量はジヒドロキシスフィンゴシン無添加物とほとんど差が認められなかった。このように、ジヒドロキシスフィンゴシンの酸化抑制効果は0.05%以上の添加により発揮され、0.05%未満では十分な効果が得られない。
[試験例4]
トコフェロールの有効量を評価するために、ジヒドロキシスフィンゴシンに対してトコフェロール量をそれぞれ0%(水準5)、0.5%(水準6)、1.0%(水準7)、2.0%(水準8)とした4水準の試験試料を用いて、試験例1と同様の方法を用いて酸化安定性試験を行った。なお、試料中のジヒドロキシスフィンゴシン配合量は、全ての水準で0.05%とした。結果を表4に示す。
Figure 2013147636
表4の結果から、ジヒドロキシスフィンゴシンに対するトコフェロールの量が0.5%の水準は1.0%の水準に比べて100時間後の酸素吸収量が大きく低下していることが判る。このように、本発明では、ジヒドロキシスフィンゴシンに対するトコフェロール量は効果発現に重要であり、トコフェロールがジヒドロキシスフィンゴシン存在量の1.0%未満の場合、十分な効果が期待できない。
バターから油脂分を除去したバターセーラムの10%水溶液に水性メタノール塩酸を加えて70℃にて20時間加熱した。生成したメチルエステルをヘキサンで抽出除去した後、残渣よりメタノールを除去した。次いで、0.1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて攪拌保持した。メタノールとクロロホルムの混液を加えた後、遠心分離により2層に分離した。下層のクロロホルム層をメタノールと水の1:1混液にて洗浄した後、クロロホルムを濃縮乾固した。濃縮物について、シリカゲルカラムクロマトを用いて精製し、ジヒドロキシスフィンゴシンを97%の高純度で含有する酸化抑制剤(実施例品3)を得た。
[試験例5]
ジヒドロキシスフィンゴシンの植物油脂への酸化抑制効果を評価するため、実施例品3と大豆油を用いて、試験例1と同様の方法により酸化実験を行なった。実験に使用した大豆油の脂肪酸組成は表5に示す。
酸化実験にあたっては、ジヒドロキシスフィンゴシン(1mg)とα-トコフェロール(0.05mg)を大豆油(99mg)と混合し、分析試料とした。なお、コントロールとして大豆油(100mg)を用いた。大豆油を用いた450時間後の酸素吸収量を表6に示す。
Figure 2013147636
Figure 2013147636
表6より、保存450時間後において、大豆油と大豆油にジヒドロキシスフィンゴシンを添加した試料には酸素が消失していたのに対し、ジヒドロキシスフィンゴシンとαトコフェロールを添加した試料は顕著な酸素の残存が認められた。以上より、ジヒドロキシスフィンゴシンは魚油などの動物油脂以外の植物油脂についても優れた酸化抑制効果が得られることが明らかとなった。このように、本物質による酸化抑制効果は油脂の種類によらず、有効であることが確認できた。

Claims (8)

  1. ジヒドロキシスフィンゴシンを有効成分とする油脂の酸化抑制剤。
  2. 前記油脂が、多価不飽和脂肪酸を含有する油脂である請求項1記載の油脂の酸化抑制剤。
  3. ジヒドロキシスフィンゴシン及びトコフェロールを有効成分とする酸化抑制剤。
  4. 前記トコフェロールの含有量が、前記ジヒドロキシスフィンゴシンの含有量の1%以上であることを特徴とする請求項3記載の酸化抑制剤。
  5. 5ppm以上のトコフェロール及び0.05%以上のジヒドロキシスフィンゴシンを含有することを特徴とする油脂。
  6. 請求項5記載の油脂を原料として使用してなる飲食品。
  7. トコフェロール存在下において、ジヒドロキシスフィンゴシンを配合することを特徴とする飲食品の酸化抑制方法。
  8. 前記ジヒドロキシスフィンゴシンの配合量が、0.05%以上であることを特徴とする請求項7記載の飲食品の酸化抑制方法。
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