JP2013147214A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】トレッド面の溝面積比率をタイヤ赤道面の左右両側で互いに異ならせた非対称パターンを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上することを可能にした空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】
トレッド面1の溝面積比率をタイヤ赤道面CLの左右両側で異ならせた空気入りラジアルタイヤにおいて、高弾性率の有機繊維糸と低弾性率の有機繊維糸とを撚り合わせてなるベルト補強コード9の打ち込み密度をタイヤ赤道面の左右両側で同等にする一方で、トレッド面10の溝面積比率が大きい側10Aのベルト補強コード9の上撚り係数Kaよりもトレッド面10の溝面積比率が小さい側10Bのベルト補強コード9の上撚り係数を小さくすると共に、その比Ka/Kbを1.1以上にする。
【選択図】図2
【解決手段】
トレッド面1の溝面積比率をタイヤ赤道面CLの左右両側で異ならせた空気入りラジアルタイヤにおいて、高弾性率の有機繊維糸と低弾性率の有機繊維糸とを撚り合わせてなるベルト補強コード9の打ち込み密度をタイヤ赤道面の左右両側で同等にする一方で、トレッド面10の溝面積比率が大きい側10Aのベルト補強コード9の上撚り係数Kaよりもトレッド面10の溝面積比率が小さい側10Bのベルト補強コード9の上撚り係数を小さくすると共に、その比Ka/Kbを1.1以上にする。
【選択図】図2
Description
本発明は、空気入りラジアルタイヤに関し、更に詳しくは、耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上することを可能にした空気入りラジアルタイヤに関する。
近年、排水性等のタイヤ性能を向上するために、トレッド面の溝面積比率をタイヤ赤道面の左右両側で互いに異ならせて、非対称のトレッドパターンを形成することが為されている(例えば、特許文献1参照)。
このような非対称パターンを有する空気入りタイヤでは、溝面積比率が異なるためトレッド部の重量がタイヤ赤道面の左右両側で互いに異なっている。即ち、溝面積比率が大きい側ではトレッド部のゴムが相対的に少なくなるため重量が軽く、溝面積比率が小さい側ではトレッド部のゴムが相対的に多くなるため重量が重くなる。その結果、走行時に、遠心力に起因する外周差が生じ易くなり、耐摩耗性や高速耐久性等のタイヤ性能を充分に向上することが出来ないと云う問題がある。
一方で、空気入りタイヤには、一般的に、ベルト層の外周側にベルト補強層が設けられているので、このベルト補強層を上述の溝面積比率の違いに起因する外周差への対策に利用することが考えられる。例えば、溝面積比率が大きい側(重量の軽い側)におけるベルト補強コードの打ち込み密度を溝面積比率が小さい側(重量の重い側)におけるベルト補強層の打ち込み密度よりも少なくすることが考えられる。しかしながら、このようにベルト補強コードの打ち込み密度をタイヤの赤道面の左右で異ならせた場合、加硫後のタイヤにおけるベルト補強コードの残留応力の総和がタイヤ左右で異なるため、タイヤに内圧を付加した際にタイヤの外周長が左右で異なると云う問題が生じる。また、接地面の圧縮領域はベルト補強コードの打ち込み密度が少ないと接地長が短くなり、ベルト補強コードの打ち込み密度が多いと接地長が長くなると云う差異が発生するため、本来意図した接地形状が得られないと云う問題が生じる。その結果、打ち込み密度がタイヤ左右両側で一定であるタイヤに比べて耐摩耗性や高速耐久性が悪化すると云う問題がある。
本発明の目的は、上述する問題点を解決するもので、トレッド面の溝面積比率をタイヤ赤道面の左右両側で互いに異ならせた非対称パターンを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上することを可能にした空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビード部間にカーカス層を装架し、トレッド部における前記カーカス層の外周側にベルト層を配置し、該ベルト層の外周側にベルト補強コードをタイヤ周方向に巻回したベルト補強層を配置すると共に、トレッド面の溝面積比率をタイヤ赤道面の左右両側で異ならせた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ベルト補強コードを高弾性率の有機繊維糸と低弾性率の有機繊維糸とを撚り合わせた複合コードから構成し、前記ベルト補強コードの打ち込み密度をタイヤ赤道面の左右両側で同等にする一方で、下記式(1)で表わされるベルト補強コードの上撚り係数Kを前記トレッド面の溝面積比率が大きい側よりも前記トレッド面の溝面積比率が小さい側で小さくすると共に、前記トレッド面の溝面積比率が大きい側の上撚り係数Kaと前記トレッド面の溝面積比率が小さい側の上撚り係数Kbとの比Ka/Kbを1.1以上にしたことを特徴とする。
K=T×D1/2 ・・・(1)
(但し、Tは複合コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dはベルト補強コードの総繊度(dtex)である。)
K=T×D1/2 ・・・(1)
(但し、Tは複合コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dはベルト補強コードの総繊度(dtex)である。)
本発明は、上述のように、ベルト補強コードを高弾性率の有機繊維糸と低弾性率の有機繊維糸とを撚り合わせた複合コードから構成し、トレッド面の溝面積比率が小さい側のベルト補強コードの上撚り係数Kbをトレッド面の溝面積比率が大きい側のベルト補強コードの上撚り係数Kaよりも小さくし、その比Ka/Kbを1.1以上にしているので、トレッド面の溝面積比率が小さい側において遠心力負荷時の引張剛性が高まり、タイヤ左右での膨径の非対称性が抑制される結果、耐偏摩耗性及び高速走行時の操縦安定性を向上することが出来る。また、溝面積比率の大きい側では、上撚り係数が高いコードが用いられるため、溝下で発生し易いコードの疲労が抑制でき、高速耐久性の悪化を抑制することが出来る。
本発明においては、低弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がナイロン66繊維、ナイロン6繊維、ポリエステル繊維から選ばれるいずれか1種であり、且つ高弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がアラミド繊維、ポリオレフィンケトン繊維、レーヨン繊維から選ばれるいずれか1種であることが好ましく、特に、低弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がナイロン66繊維であり、且つ高弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がアラミド繊維であることが好ましい。これにより、このような有機繊維糸を用いた場合に発生し易い上述の問題を効果的に防止し、耐偏摩耗性及び高速耐久性を高度に両立することが出来る。
本発明においては、ベルト補強コードの残留張力が0.20cN/dtex以上0.85cN/dtex未満であることが好ましい。これにより、より効果的に耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上することが出来る。
本発明においては、トレッド面の溝面積比率が大きい側と小さい側との上撚り係数の比Ka/Kbを1.2以上1.9未満にすることが好ましい。このように上撚り係数の比Ka/Kbを特定することで、更に効果的に耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上することが出来る。
本発明においては、ベルト補強コードの上撚り係数が1700以上3100未満であることが好ましく、特に、トレッド面の溝面積比率が大きい側のベルト補強コードの上撚り係数Kaを2600以上3100未満にすると共に、トレッド面の溝面積比率が小さい側のベルト補強コードの上撚り係数Kbを1700以上2200未満にすることが好ましい。このようにベルト補強コードの上撚り係数を特定することで、更に効果的に耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上することが出来る。
尚、本発明において、ベルト補強コードの残留張力は、以下の測定方法により測定されたものである。即ち、室温20℃、湿度67%の条件下で、無負荷状態のタイヤのトレッドゴムの一部を除去してベルト補強コードを露出させ、そのベルト補強コードに一定の長さLaの区間を示す印を付けた後、そのベルト補強コードをタイヤから切り出し、収縮後の長さLbを測定する。長さLaは、測定誤差を極力無くすために十分に大きく設定し、例えば、500mmとするのが良い。長さLbの測定時には、ベルト補強コードに対して表示デシテックス×0.45mNの荷重を負荷する。その後、JIS L1017に規定される引張強さ及び伸び率の測定条件に準拠して補強コードの応力歪み曲線を求め、歪み(La−Lb)/La×100での力Lsを前記応力歪み曲線から求める。このようにして得た力Lsをベルト補強コードの残留張力とする。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の空気入りラジアルタイヤの一実施形態の子午線断面図である。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部であり、このトレッド部1の外表面のトレッド面10が構成されている。左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部分と折り返し部分により包み込まれている。
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側にはベルト補強層8が設けられている。このベルト補強層8は、実質的にタイヤ周方向に延びる複数本のベルト補強コード9を含む。このベルト補強コード9のタイヤ周方向に対するコード角度は5°以下、より好ましくは3°以下である。
図2は上述の本発明の空気入りラジアルタイヤのトレッド面10を示す正面図である。図2において、トレッド面10には、タイヤ周方向Cに延在する複数の周方向主溝11と該周方向主溝11より溝幅が狭い複数の周方向副溝12が設けられている。また、トレッド面10には、タイヤ幅方向に延在する複数のラグ溝13A,13B,13Cがタイヤ周方向Cに所定の間隔で配置されている。これにより、トレッド面1にはタイヤ赤道面CLの左右の領域10A,10Bで溝面積比率が異なる非対称パターンが形成されている。溝面積比率は、左側の領域10Aが右側の領域10Bより大きくなっている。尚、本発明においては、タイヤ赤道面CLの左右の領域10A,10Bで溝面積比率が異なる非対称パターンであれば、図示されるトレッドパターンに限定されない。
このように構成したタイヤにおいて、ベルト補強コード9は、高弾性率の有機繊維糸と低弾性率の有機繊維糸とを撚り合わせた複合コードから構成されている。また、ベルト補強コード9の打ち込み密度はタイヤ赤道面の左右両側で同等になっている。その一方で、下記式(1)で表わされるベルト補強コード9の上撚り係数Kをトレッド面10の溝面積比率が大きい側10Aよりも前記トレッド面の溝面積比率が小さい側10Bで小さくすると共に、トレッド面の溝面積比率が大きい側10Aの上撚り係数Kaと前記トレッド面の溝面積比率が小さい側10Bの上撚り係数Kbとの比Ka/Kbを1.1以上に設定している。
K=T×D1/2 ・・・(1)
(但し、Tは複合コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dはベルト補強コードの総繊度(dtex)である。)
K=T×D1/2 ・・・(1)
(但し、Tは複合コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dはベルト補強コードの総繊度(dtex)である。)
このように、高弾性率の有機繊維糸と低弾性率の有機繊維糸とを撚り合わせた複合コードから構成されるベルト補強コード9について、トレッド面の溝面積比率が小さい側10Bのベルト補強コードの上撚り係数Kbをトレッド面の溝面積比率が大きい側10Aのベルト補強コードの上撚り係数Kaよりも小さくし、その比Ka/Kbを1.1以上にしているので、トレッド面の溝面積比率が小さい側10Bにおいて遠心力負荷時の引張剛性が高まり、タイヤ左右での膨径の非対称性が抑制される結果、耐偏摩耗性及び操縦安定性を向上することが出来る。また、溝面積比率の大きい側10Aでは、撚り係数の高いコードが用いられるため、溝下で生じ易いコード疲労も抑制され、タイヤの高速耐久性を向上することが出来る。
その一方で、ベルト補強コード9の打ち込み密度をタイヤ赤道面CLの左右両側で同等にしているので、加硫後のタイヤにおけるベルト補強コード9の残留応力の総和が左右で同等になり、内圧を付加した際にタイヤの外周長をタイヤの左右両側で同等にすることが出来、また、適切な接地形状を保つことが出来るので、耐偏摩耗性及び高速耐久性を高度に維持することが出来る。尚、本発明で言う「左右両側で同等」とは製造誤差の範囲を含むものであり、タイヤ赤道面の左右両側のベルト補強コードの打ち込み密度が厳密に一致する必要はない。具体的には、タイヤ赤道面の左右両側のベルト補強コードの打ち込み密度の差が10%以内である場合は、ベルト補強コードの打ち込み密度がタイヤ赤道面の左右両側で同等であると定義する。
このとき、ベルト補強コード9の打ち込み密度がタイヤ赤道面の左右両側で異なると、加硫後のタイヤにおけるベルト補強コード9の残留応力の総和がタイヤ左右で異なり、タイヤに内圧を付加した際にタイヤの外周長が左右で異なると云う問題が生じ、また、打ち込み密度の違いに因る接地長の差異に起因して本来意図した接地形状が得られないと云う問題が生じるため、耐偏摩耗性や高速耐久性が悪化する。また、トレッド面10の溝面積比率が大きい側10Aのベルト補強コード9の上撚り係数Kaとトレッド面10の溝面積比率が小さい側10Bのベルト補強コード9の上撚り係数Kbとの比Ka/Kbが1.1未満であると、溝面積比率が小さい側10Bの遠心力負荷時における引張剛性を高めることが出来ず、タイヤ左右での膨径の非対称性を抑制することが出来ないので、耐偏摩耗性及び高速耐久性が低下する。
尚、本発明では、タイヤ赤道面CL近傍においては必ずしも上述の関係を満たす必要は無い。少なくともタイヤ赤道面CLからタイヤ幅方向の左右両側にそれぞれ15mm以上離間した領域10A’,10B’において上述の関係を満たすようにすれば、上述の作用効果を得ることが出来る。尚、領域10A’はタイヤ赤道面CLからタイヤ幅方向に15mm以上離間した溝面積比率の大きい側10Aの領域であり、領域10B’はタイヤ赤道面CLからタイヤ幅方向に15mm以上離間した溝面積比率の小さい側10Bの領域である。
本発明において、ベルト補強コード9を構成する低弾性率の有機繊維糸及び高弾性の有機繊維糸は特に限定されないが、好ましくは、低弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がナイロン66繊維、ナイロン6繊維、ポリエステル繊維から選ばれるいずれか1種であり、且つ高弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がアラミド繊維、ポリオレフィンケトン繊維、レーヨン繊維から選ばれるいずれか1種であることが好ましい。
特に、本発明は、ベルト補強コード9として低弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がナイロン66繊維であり、且つ高弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がアラミド繊維である複合コードを用いたタイヤに好適に用いることが出来る。即ち、アラミド繊維は、熱安定性が高いという特質から複合コードに好適に用いられるが、加硫工程で応力緩和を起こし難い結果、加硫後のタイヤの残留応力がナイロン等の応力緩和を生じ易いコードに比べて大幅に高くなる傾向がある。そのため、本発明のように、ベルト補強コード9の打ち込み密度をタイヤの赤道面CLの左右両側で異ならせることなく、溝面積比率の違いに因る問題を解決することが出来るので好ましい。つまり、アラミド繊維とナイロン66繊維とを撚り合わせたベルト補強コード9の打ち込み密度をタイヤの赤道面CLの左右両側で異ならせた場合、アラミド繊維の熱安定性の高さに起因して、加硫後のタイヤにおけるベルト補強コードの残留応力の総和がタイヤ左右で大きく異なり、タイヤの耐偏摩耗性や高速安定性が大きく悪化する。
本発明においては、ベルト補強コード9の残留張力が0.20cN/dtex以上0.85cN/dtex未満であることが好ましい。このように残留張力を設定することで、ベルト補強コード9を構成する複合コードの引張弾性率との相乗により遠心力に因る膨径を抑制する効果が得られ、より高速耐久性を向上することが出来る。
このとき、ベルト補強コード9の残留張力が0.20cN/dtexより小さいと、残留張力が低過ぎて耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上する効果が充分に得られない。逆に、ベルト補強コード9の残留張力が0.85cN/dtexより大きいと、加硫工程においてベルト補強コード9がベルト層7に食い込み、ベルト層7とベルト補強層8との間のゴムゲージが薄くなり過ぎて、高速耐久性を向上する効果が不充分になる。
尚、ベルト補強コード9の残留張力は、例えば、ベルト補強層8をベルト層7の外周に巻き回すときにタイヤ幅方向の部位に応じて張力を異ならせることや、加硫時に上下のモールドの温度を異ならせてベルト補強層8の収縮量をタイヤ幅方向の部位に応じて変えることにより設定することが出来る。
本発明においては、トレッド面10の溝面積比率が大きい側10Aと小さい側10Bとの上撚り係数の比Ka/Kbを1.2以上1.9未満にすることが好ましい。このように上撚り係数の比Ka/Kbを特定し、タイヤ赤道面CLの左右両側のベルト補強コード9間の上撚り係数の差を特定の範囲に収めることで、より効果的に耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上することが出来る。
このとき、トレッド面10の溝面積比率が大きい側10Aと小さい側10Bとの上撚り係数の比Ka/Kbが1.2より小さいと、タイヤ赤道面CLの左右両側のベルト補強コード9間の上撚り係数の差が小さ過ぎて耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上する効果が充分に得られない。逆に、トレッド面10の溝面積比率が大きい側10Aと小さい側10Bとの上撚り係数の比Ka/Kbが1.9より大きいと、タイヤ赤道面CLの左右両側の引張剛性に差が付き過ぎるため、却って耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上する効果が充分に得られなくなる。
本発明においては、ベルト補強コード9の上撚り係数Ka,Kbとがそれぞれ1700以上3100未満であることが好ましい。このようにベルト補強コード9の上撚り係数Ka,Kbを特定することで、更に効果的に耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上することが出来る。
このとき、ベルト補強コード9の上撚り係数Ka,Kbが1700より小さいと、高速耐久性を向上する効果が充分に得られない。逆に上撚り係数が3100より大きいと、引張剛性が低下するため、高速耐久性及び耐偏摩耗性を向上する効果が充分に得られない。
本発明では、溝面積比率が大きい側10Aのベルト補強コード9及び溝面積が小さい側10Bのベルト補強コード9について、それぞれ上撚り係数が上述の範囲に含まれていれば良いが、より好ましくは、トレッド面10の溝面積比率が大きい側10Aのベルト補強コード9の上撚り係数Kaを2600以上3100未満にすると共に、トレッド面10の溝面積比率が小さい側10Bのベルト補強コード9の上撚り係数Kbを1700以上2200未満にすることが好ましい。このように上撚り係数Kaと上撚り係数Kbとをそれぞれ特定し、互いの差を特定の範囲に収めることで、より効果的に耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上することが出来る。
このとき、上撚り係数Kaが2600より小さいと、上撚り係数Kaが上撚り係数Kbに近過ぎるため、耐偏摩耗性及び高速耐久性を改善する効果が充分に得られない。上撚り係数が3100より大きいと、引張剛性が低下するため高速耐久性及び耐偏摩耗性を向上する効果が充分に得られない。上撚り係数Kbが1700より小さいと耐久性を向上する効果が充分に得られない。上撚り係数Kbが2200より大きいと上撚り係数Kaと上撚り係数Kbとが近過ぎるため、耐偏摩耗性及び高速耐久性を改善する効果が充分に得られない。
タイヤサイズ255/40ZR20の空気入りラジアルタイヤにおいて、トレッドパターン(非対称パターンであるか、対称パターンであるか)、トレッド面の溝面積比率が大きい側(領域10A)とトレッド面の溝面積比率が小さい側(領域10B)のそれぞれの溝面積比率、コードの打ち込み密度、上撚り係数Ka,Kb、ベルト補強層の単位幅当たりの総残留張力、上撚り係数比Ka/Kb、ベルト補強コードの残留張力を表1,2のように異ならせた比較例1〜4、実施例1〜12の16種類の試験タイヤを製作した。
尚、ベルト補強コードとしては、いずれの例でもアラミド繊維糸(1670dtexを2本)とナイロン66繊維糸(1400dtexを1本)からなる複合コードを使用した。また、比較例1〜3及び実施例1〜12においては図2のトレッドパターンを採用した。これに対して、比較例4はトレッドパターンが左右対称のタイヤであり、図2におけるタイヤ赤道面CLの左側のトレッドパターンをタイヤ赤道面CLに対して反転させて図2におけるタイヤ赤道面CLの右側に配置すると共に、トレッド面全体の溝面積が他の例と同じになるように溝幅を調整したものを採用した。
これら16種類の試験タイヤについて、下記の評価方法により耐偏摩耗性、高速耐久性(走行距離)、高速耐久性(コード強力保持率)を評価し、その結果を表1,2に併せて示した。
耐偏摩耗性
各試験タイヤを、リムサイズ20×10 1/2Jのリムに組み付け、空気圧220kPaを充填して、排気量4400ccの乗用車に装着し、平坦路を平均速度80km/hで走行し、10000km走行後のトレッド面の摩耗形態を目視により数値化した。評価結果は、比較例1を100とする指数値で示した。この指数値が大きいほど耐偏摩耗性が優れていることを意味する。
各試験タイヤを、リムサイズ20×10 1/2Jのリムに組み付け、空気圧220kPaを充填して、排気量4400ccの乗用車に装着し、平坦路を平均速度80km/hで走行し、10000km走行後のトレッド面の摩耗形態を目視により数値化した。評価結果は、比較例1を100とする指数値で示した。この指数値が大きいほど耐偏摩耗性が優れていることを意味する。
高速耐久性(走行距離)
各試験タイヤを、リムサイズ20×10 1/2Jのリムに組み付け、空気圧290kPaを充填し、直径1707mmのドラム試験機を用い、JATMAで規定される最大負荷能力の85%の荷重を負荷して、速度200km/hから10分毎に10km/hずつ加速して、タイヤが破壊するまでの走行距離を計測した。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど高速耐久性が優れていることを意味する。
各試験タイヤを、リムサイズ20×10 1/2Jのリムに組み付け、空気圧290kPaを充填し、直径1707mmのドラム試験機を用い、JATMAで規定される最大負荷能力の85%の荷重を負荷して、速度200km/hから10分毎に10km/hずつ加速して、タイヤが破壊するまでの走行距離を計測した。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど高速耐久性が優れていることを意味する。
高速耐久性(コード強力保持率)
各試験タイヤを、リムサイズ20×10 1/2Jのリムに組み付け、空気圧290kPaを充填し、直径1707mmのドラム試験機を用い、JATMAで規定される最大負荷能力の85%の荷重を負荷して、速度200km/hから10分毎に10km/hずつ速度260km/hまで加速し、走行後のタイヤから取り出したベルト補強コードの強力保持率(新品タイヤから取り出したコードの強力からの低下率)を測定した。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど高速耐久性(コード強力保持率)が優れていることを意味する。
各試験タイヤを、リムサイズ20×10 1/2Jのリムに組み付け、空気圧290kPaを充填し、直径1707mmのドラム試験機を用い、JATMAで規定される最大負荷能力の85%の荷重を負荷して、速度200km/hから10分毎に10km/hずつ速度260km/hまで加速し、走行後のタイヤから取り出したベルト補強コードの強力保持率(新品タイヤから取り出したコードの強力からの低下率)を測定した。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど高速耐久性(コード強力保持率)が優れていることを意味する。
表1,2から判るように、実施例1〜12はいずれも、耐偏摩耗性及び高速耐久性を向上した。特に、上撚り係数の比Ka/Kbを好ましい範囲に設定した実施例3,4、ベルト補強コードの残留張力を好ましい範囲に設定した実施例6,7、上撚り係数Ka,Kbを好ましい範囲に設定した実施例10,11は、これら耐偏摩耗性及び高速耐久性をより高度に両立した。
一方、残留張力がタイヤ赤道面の左右で異なる比較例2、溝面積比率の大小関係に対する上撚り係数Ka,Kbの大小関係が逆転した比較例3、トレッドパターンが左右対称である比較例4では、耐偏摩耗性及び高速耐久性を改善することが出来なかった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
9 ベルト補強コード
10 トレッド面
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
9 ベルト補強コード
10 トレッド面
Claims (7)
- 左右一対のビード部間にカーカス層を装架し、トレッド部における前記カーカス層の外周側にベルト層を配置し、該ベルト層の外周側にベルト補強コードをタイヤ周方向に巻回したベルト補強層を配置すると共に、トレッド面の溝面積比率をタイヤ赤道面の左右両側で異ならせた空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記ベルト補強コードを高弾性率の有機繊維糸と低弾性率の有機繊維糸とを撚り合わせた複合コードから構成し、前記ベルト補強コードの打ち込み密度をタイヤ赤道面の左右両側で同等にする一方で、下記式(1)で表わされるベルト補強コードの上撚り係数Kを前記トレッド面の溝面積比率が大きい側よりも前記トレッド面の溝面積比率が小さい側で小さくすると共に、前記トレッド面の溝面積比率が大きい側の上撚り係数Kaと前記トレッド面の溝面積比率が小さい側の上撚り係数Kbとの比Ka/Kbを1.1以上にしたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
K=T×D1/2 ・・・(1)
(但し、Tは複合コードの上撚り数(回/10cm)であり、Dはベルト補強コードの総繊度(dtex)である。) - 前記低弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がナイロン66繊維、ナイロン6繊維、ポリエステル繊維から選ばれるいずれか1種であり、且つ前記高弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がアラミド繊維、ポリオレフィンケトン繊維、レーヨン繊維から選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記低弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がナイロン66繊維であり、且つ前記高弾性率の有機繊維糸を構成する有機繊維がアラミド繊維であることを特徴とする請求項2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ベルト補強コードの残留張力が0.20cN/dtex以上0.85cN/dtex未満であることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記トレッド面の溝面積比率が大きい側と小さい側との上撚り係数の比Ka/Kbを1.2以上1.9未満にしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ベルト補強コードの上撚り係数が1700以上3100未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記トレッド面の溝面積比率が大きい側のベルト補強コードの上撚り係数Kaを2600以上3100未満にすると共に、前記トレッド面の溝面積比率が小さい側のベルト補強コードの上撚り係数Kbを1700以上2200未満にしたことを特徴とする請求項6に記載の空気入りラジアルタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012010941A JP2013147214A (ja) | 2012-01-23 | 2012-01-23 | 空気入りラジアルタイヤ |
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