JP2013146778A - 耐摩耗性および耐熱衝撃性にすぐれた複合部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性、耐熱衝撃性および耐熱疲労性にすぐれた熱間成形用ロール、熱間加工用金型等の複合部材を提供する。
【解決手段】超硬合金、金型鋼あるいは工具鋼からなる基材表面に、Ti、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層で構成された層厚1〜5μmの下地層を形成し、該下地層の表面に、組成式(Ti1−XAlX)N(但し、Xは原子比で、0.3≦X≦0.7)で表わされるTiとAlの複合窒化物層で構成された層厚1〜20μmの表面層を形成し、断熱性下地層で表面層−基材間の熱負荷、熱歪みを緩和することにより、耐摩耗性を低下させることなく、耐熱衝撃性を高めることにより基材表面のクラック発生を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】超硬合金、金型鋼あるいは工具鋼からなる基材表面に、Ti、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層で構成された層厚1〜5μmの下地層を形成し、該下地層の表面に、組成式(Ti1−XAlX)N(但し、Xは原子比で、0.3≦X≦0.7)で表わされるTiとAlの複合窒化物層で構成された層厚1〜20μmの表面層を形成し、断熱性下地層で表面層−基材間の熱負荷、熱歪みを緩和することにより、耐摩耗性を低下させることなく、耐熱衝撃性を高めることにより基材表面のクラック発生を防止する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、熱間成形用ロールあるいは熱間加工用金型等に用いられる複合部材に関し、特に、その耐摩耗性を低下させることなく、耐熱衝撃性を高めることにより、長期の使用にわたって、優れた耐久性を発揮する複合部材に関する。
従来から、熱間成形用ロール、熱間加工用金型等には、耐摩耗性、耐熱性等にすぐれた複合部材が用いられている。
例えば、特許文献1に示すように、複合圧延ロールの外層材として、高硬度基地中に、20〜60面積%のMC炭化物、総量で0〜5面積%のM2C、M6CおよびM7C3炭化物が分散した組織を有し、さらに、低熱伝導率の材質のものを用いることによって、複合圧延ロールの耐摩耗性、耐事故性、通板性を改善することが提案されている。
また、例えば、特許文献2に示すように、複合圧延ロールの内側リング部を球状黒鉛鋳鉄で構成し、さらに、外側リング部を超硬合金で構成するとともに、内側リング部の組織を、パーライト相、ベイナイト相、マルテンサイト相のいずれかと、フェライト相との混合相を主体とする素地中に有芯構造の球状黒鉛を分散分布した球状黒鉛鋳鉄で構成することにより、複合圧延ロールの耐摩耗性、耐熱衝撃性を改善することが提案されている。
また、例えば、特許文献3に示すように、超硬合金からなる圧延リングと台金からなる複合圧延ロールにおいて、圧延リングの内周面と台金の外周面が接触する内外周面に締め代を設けて圧着することにより、外周部に設けた圧延リングに作用する引張応力を低減し、クラックの発生防止を図ることも知られている。
例えば、特許文献1に示すように、複合圧延ロールの外層材として、高硬度基地中に、20〜60面積%のMC炭化物、総量で0〜5面積%のM2C、M6CおよびM7C3炭化物が分散した組織を有し、さらに、低熱伝導率の材質のものを用いることによって、複合圧延ロールの耐摩耗性、耐事故性、通板性を改善することが提案されている。
また、例えば、特許文献2に示すように、複合圧延ロールの内側リング部を球状黒鉛鋳鉄で構成し、さらに、外側リング部を超硬合金で構成するとともに、内側リング部の組織を、パーライト相、ベイナイト相、マルテンサイト相のいずれかと、フェライト相との混合相を主体とする素地中に有芯構造の球状黒鉛を分散分布した球状黒鉛鋳鉄で構成することにより、複合圧延ロールの耐摩耗性、耐熱衝撃性を改善することが提案されている。
また、例えば、特許文献3に示すように、超硬合金からなる圧延リングと台金からなる複合圧延ロールにおいて、圧延リングの内周面と台金の外周面が接触する内外周面に締め代を設けて圧着することにより、外周部に設けた圧延リングに作用する引張応力を低減し、クラックの発生防止を図ることも知られている。
近年の熱間加工技術の高性能化はめざましく、これに伴い、例えば、熱間成形用ロール、熱間加工用金型等に用いられる複合部材にも、より一層の特性向上が求められている。
しかし、特許文献1に記載の複合部材においては、熱間使用条件下における複合圧延ロールの外層材の耐熱性、耐摩耗性はまだ十分とは言えないため、使用寿命が短いという問題点があった。
また、特許文献2、3に記載される複合部材においても、耐摩耗性はある程度改善されるものの、急激な熱負荷が作用した場合の耐熱衝撃性が十分でないため、長期間の使用にわたる耐久性は満足できるものであるとはいえなかった。
しかし、特許文献1に記載の複合部材においては、熱間使用条件下における複合圧延ロールの外層材の耐熱性、耐摩耗性はまだ十分とは言えないため、使用寿命が短いという問題点があった。
また、特許文献2、3に記載される複合部材においても、耐摩耗性はある程度改善されるものの、急激な熱負荷が作用した場合の耐熱衝撃性が十分でないため、長期間の使用にわたる耐久性は満足できるものであるとはいえなかった。
そこで、本発明者等は、耐摩耗性を高め、かつ、長期の使用にわたって優れた耐熱衝撃性を発揮する複合部材について鋭意研究を行った結果、次のような知見を得たのである。
本発明者等は、まず、上記特許文献2、3に示されるような複合部材(複合圧延ロール)において、外部圧延リングを構成する超硬合金の耐摩耗性、耐熱性をより高めるため、超硬合金に比し、より一段と耐摩耗性、耐熱性に優れるTiとAlの複合窒化物(以下、(Ti,Al)Nで示す)層を被覆形成したところ、耐摩耗性、耐熱性が改善される反面、熱衝撃が作用する条件下で使用した場合には、超硬合金表面にクラックが発生し、耐久性が十分ではないという問題が生じることがわかった。
そこで、本発明者等は、上記の複合部材におけるクラック発生の原因をさらに究明したところ、これが、超硬合金と(Ti,Al)N層の熱伝導率の差に起因するものであることを見出したのである。
つまり、本発明者等は、超硬合金と(Ti,Al)N層の熱伝導率差を緩和すべく、両者の熱伝導率の中間的な熱伝導率を有する材質の層を、超硬合金表面と(Ti,Al)N層との間に下地層として介在形成したところ、超硬合金表面と(Ti,Al)N層との間での急激な熱伝達が緩和され、それによって、超硬合金表面と(Ti,Al)N層との間での急激な熱膨張・熱収縮も抑制され、その結果、熱歪みの発生が低減され、超硬合金表面におけるクラックの発生が防止されることを見出したのである。
つまり、本発明者等は、超硬合金と(Ti,Al)N層の熱伝導率差を緩和すべく、両者の熱伝導率の中間的な熱伝導率を有する材質の層を、超硬合金表面と(Ti,Al)N層との間に下地層として介在形成したところ、超硬合金表面と(Ti,Al)N層との間での急激な熱伝達が緩和され、それによって、超硬合金表面と(Ti,Al)N層との間での急激な熱膨張・熱収縮も抑制され、その結果、熱歪みの発生が低減され、超硬合金表面におけるクラックの発生が防止されることを見出したのである。
この発明は、上記の知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 基材表面に、Ti、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層からなる層厚1〜5μmの下地層と、該下地層の表面に、組成式(Ti1−XAlX)N(但し、Xは原子比で、0.3≦X≦0.7)で表わされるTiとAlの複合窒化物層からなる層厚1〜20μmの表面層が被覆形成されていることを特徴とする耐摩耗性および耐熱衝撃性にすぐれた複合部材。
(2) 上記複合部材が、超硬合金、金型鋼あるいは工具鋼のいずれかを基材とする、熱間成形用ロールあるいは熱間加工用金型であることを特徴とする前記(1)に記載の耐摩耗性および耐熱衝撃性にすぐれた複合部材。」
に特徴を有するものである。
「(1) 基材表面に、Ti、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層からなる層厚1〜5μmの下地層と、該下地層の表面に、組成式(Ti1−XAlX)N(但し、Xは原子比で、0.3≦X≦0.7)で表わされるTiとAlの複合窒化物層からなる層厚1〜20μmの表面層が被覆形成されていることを特徴とする耐摩耗性および耐熱衝撃性にすぐれた複合部材。
(2) 上記複合部材が、超硬合金、金型鋼あるいは工具鋼のいずれかを基材とする、熱間成形用ロールあるいは熱間加工用金型であることを特徴とする前記(1)に記載の耐摩耗性および耐熱衝撃性にすぐれた複合部材。」
に特徴を有するものである。
この発明について、以下に説明する。
この発明では、複合部材の基材としては、外面からの加熱冷却による熱衝撃を受けることによってヒートクラックを生じやすい材料、あるいは、基材内部からの冷却とともに外面からの熱サイクルを受けることによって熱疲労を生じやすい材料を用いることができる。具体的には、前記した超硬合金のほかに、熱間成形用ロールあるいは熱間加工用金型材料として通常用いられている金型鋼あるいは工具鋼等を用いることができる。
そして、この発明の複合部材は、上記の基材の表面に、Ti、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層からなる下地層を、例えば、物理蒸着法の一種であるアークイオンプレーティング法により形成し、ついで、上記下地層の表面に、TiとAlの複合窒化物層からなる表面層を、同じくアークイオンプレーティング法により形成することにより作製することができる。
そして、この発明の複合部材は、上記の基材の表面に、Ti、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層からなる下地層を、例えば、物理蒸着法の一種であるアークイオンプレーティング法により形成し、ついで、上記下地層の表面に、TiとAlの複合窒化物層からなる表面層を、同じくアークイオンプレーティング法により形成することにより作製することができる。
上記TiとAlの複合窒化物層からなる表面層は、5〜10W/K・mの熱伝導率を有し、一方、Ti、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層からなる下地層は、ほぼ21〜23W/K・mの熱伝導率を有する。
したがって、例えば、60〜80W/K・m程度の熱伝導率を有する超硬合金からなる基材と、上記5〜10W/K・mの熱伝導率を有する表面層との間に介在形成されている下地層は、表面層−基材間での伝熱緩和層(断熱層)としての作用を発揮する。
つまり、(Ti,Al)N層からなる表面層が、急激な熱衝撃を受けた場合でも、また、該表面層が加熱冷却の繰り返しからなる熱履歴を受けた場合でも、下地層の存在によって、基材への急激な熱伝達が抑制される。
その結果、基材表面と(Ti,Al)N層との間での急激な熱膨張、熱収縮が抑制され、また、急激な熱歪みの発生も低減されるため、基材表面におけるクラックの発生が防止され、長期の使用にわたって優れた耐熱衝撃性を発揮する。
したがって、例えば、60〜80W/K・m程度の熱伝導率を有する超硬合金からなる基材と、上記5〜10W/K・mの熱伝導率を有する表面層との間に介在形成されている下地層は、表面層−基材間での伝熱緩和層(断熱層)としての作用を発揮する。
つまり、(Ti,Al)N層からなる表面層が、急激な熱衝撃を受けた場合でも、また、該表面層が加熱冷却の繰り返しからなる熱履歴を受けた場合でも、下地層の存在によって、基材への急激な熱伝達が抑制される。
その結果、基材表面と(Ti,Al)N層との間での急激な熱膨張、熱収縮が抑制され、また、急激な熱歪みの発生も低減されるため、基材表面におけるクラックの発生が防止され、長期の使用にわたって優れた耐熱衝撃性を発揮する。
表面層を構成する(Ti,Al)N層は、耐熱性、高温硬さおよび高温強度に優れ、本発明の複合部材の耐摩耗性を担保する層として作用する。
ただ、(Ti,Al)N層を、組成式:(Ti1−XAlX)Nで表した場合、Tiとの合量に占めるAlの含有割合X(原子比によるAl/(Ti+Al)の値)が0.3より小さくなると、高温硬さが低下傾向を示すようになり、一方、Alの含有割合Xが0.7を超えるようになると、高温強度が低下傾向を示すようになることから、(Ti,Al)N層からなる表面層におけるTiとの合量に占めるAlの含有割合Xは0.3〜0.7(但し、原子比)と定めた。
また、表面層の厚さが1μm未満では、長期の使用にわたって十分な耐摩耗性を発揮することができず、一方、表面層の厚さが20μmを超えると、熱的な影響によって表面層が荒れを生じ、その結果、処理材表面の平滑性を損ねることになり、さらに、表面層の一部剥離等が生じやすくなることから、表面層の厚さは1〜20μmと定めた。
ただ、(Ti,Al)N層を、組成式:(Ti1−XAlX)Nで表した場合、Tiとの合量に占めるAlの含有割合X(原子比によるAl/(Ti+Al)の値)が0.3より小さくなると、高温硬さが低下傾向を示すようになり、一方、Alの含有割合Xが0.7を超えるようになると、高温強度が低下傾向を示すようになることから、(Ti,Al)N層からなる表面層におけるTiとの合量に占めるAlの含有割合Xは0.3〜0.7(但し、原子比)と定めた。
また、表面層の厚さが1μm未満では、長期の使用にわたって十分な耐摩耗性を発揮することができず、一方、表面層の厚さが20μmを超えると、熱的な影響によって表面層が荒れを生じ、その結果、処理材表面の平滑性を損ねることになり、さらに、表面層の一部剥離等が生じやすくなることから、表面層の厚さは1〜20μmと定めた。
また、下地層を構成するTi、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層の厚さが1μm未満では、熱伝達緩和層としての作用を十分発揮することができないため、熱衝撃、熱疲労による基材表面のクラック発生を抑制することができず、一方、その厚さが5μmを超えると、下地層−基材界面あるいは下地層−表面層界面にせん断力が作用した場合に、界面における密着強度が低下することから、基材表面と表面層との間に介在形成する下地層の層厚は、1〜5μmと定めた。
本発明の複合部材によれば、基材−表面層の間に、伝熱緩和層として作用するTi、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層を介在形成することにより、外面あるいは内外面からの熱衝撃、熱サイクルを受けた場合にも、基材−表面層間での熱伝達を緩和し、それによって、基材−表面層間での急激な熱膨張・熱収縮を抑制するとともに、熱歪みの発生を低減し、基材表面におけるクラックの発生が防止されることから、耐摩耗性を低下させることなく、耐熱衝撃性にすぐれた複合部材を提供することができる。
本発明を、実施例により説明する。
なお、以下では、本発明を、基材が超硬合金である複合圧延ロールに適用した場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、基材として通常の金型鋼あるいは工具鋼等を用いた熱間成形用ロールあるいは熱間加工用金型に対しても適用可能であることは勿論である。
なお、以下では、本発明を、基材が超硬合金である複合圧延ロールに適用した場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、基材として通常の金型鋼あるいは工具鋼等を用いた熱間成形用ロールあるいは熱間加工用金型に対しても適用可能であることは勿論である。
この発明の複合部材により、複合圧延ロール(例えば、特許文献2に示されるもの)の外側リングを形成した場合について具体例に説明すると、以下のとおりである。
(a) 原料粉末として、いずれも1〜5μmの平均粒径を有するWC粉末、Cr3C2粉末、Co粉末、及びNi粉末を用意し、これら原料粉末を表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、1ton/cm2の圧力でリング状圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を真空中、1300〜1500℃の範囲内の所定温度に1時間保持の条件で焼結して、上記配合組成と実質的に同じ成分組成を有する超硬合金で構成され、かつ外径:50mm×内径:34mm×幅:10mmの寸法をもった外側リングA〜Cをそれぞれ製造した。
(b) また、通常の高周波誘導炉を用い、それぞれ表1に示される成分組成をもった内側リングa〜c用球状黒鉛鋳鉄の溶湯を調整し、この溶湯をそれぞれ表2に示される組み合わせで上記外側リングを鋳型として、これを750℃に予熱した状態で鋳込み、冷却して内側リングa〜cをそれぞれ前記外側リング部A〜Cのそれぞれと一体に形成することにより複合圧延ロール1〜10を製造した。
(b) また、通常の高周波誘導炉を用い、それぞれ表1に示される成分組成をもった内側リングa〜c用球状黒鉛鋳鉄の溶湯を調整し、この溶湯をそれぞれ表2に示される組み合わせで上記外側リングを鋳型として、これを750℃に予熱した状態で鋳込み、冷却して内側リングa〜cをそれぞれ前記外側リング部A〜Cのそれぞれと一体に形成することにより複合圧延ロール1〜10を製造した。
ついで、上記複合圧延ロール1〜6の外側リングA〜Cに対して、Ti、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層からなる下地層をアークイオンプレーティング法で形成し、また、同じく(Ti,Al)N層からなる表面層を同じくアークイオンプレーティング法で形成することにより、表2に示される本発明の複合圧延ロール1〜10(以下、実施例1〜10という)を製造した。
比較のため、上記の工程(a)、(b)で製造した複合圧延ロール1〜6に対して、本発明の範囲外の下地層あるいは表面層を形成した複合圧延ロール1〜6を作製し、これを、比較例の複合圧延ロール1〜6(以下、比較例1〜6という)とした。
表3に、比較例1〜6を示す。
表3に、比較例1〜6を示す。
さらに、参考のため、上記の工程(a)、(b)で製造した複合圧延ロール7〜10に対して、下地層および表面層を形成しないものを参考例の複合圧延ロール7〜10(以下、参考例7〜10という)とした。
表3に、参考例7〜10を示す。
表3に、参考例7〜10を示す。
ついで、上記実施例1〜10、比較例1〜6および参考例7〜10に対して、
特許文献1に記載の圧延摩耗試験機を用いて耐摩耗試験を実施した。試験条件は、圧延材料:SUS304、圧下率25%、圧延速度150m/min.、圧延温度800℃、圧延距離1200m/回、ロール冷却:水冷、ロール数:4重式にて行った。圧延後、試験用ロールの表面に生じた摩耗の深さ(単位:μm)を触針式表面粗さ計により測定した。
特許文献1に記載の圧延摩耗試験機を用いて耐摩耗試験を実施した。試験条件は、圧延材料:SUS304、圧下率25%、圧延速度150m/min.、圧延温度800℃、圧延距離1200m/回、ロール冷却:水冷、ロール数:4重式にて行った。圧延後、試験用ロールの表面に生じた摩耗の深さ(単位:μm)を触針式表面粗さ計により測定した。
また、上記実施例1〜10、比較例1〜6および参考例7〜10に対して、バーナーにて800℃に加熱後、直ちに水中に浸漬急冷を1サイクルとし、これを繰り返し施す加速熱衝撃試験を行い、これを構成する外側リング部に肉眼で観察されるクラックが発生するまでの前記サイクル(単位:サイクル)を測定した。
表4に、上記耐摩耗試験および耐熱衝撃試験の結果を示す。
表4に、上記耐摩耗試験および耐熱衝撃試験の結果を示す。
表4に示す結果から、本発明の複合部材(実施例1〜10)は、耐摩耗試験および耐熱衝撃試験のいずれについても優れ、基材表面におけるクラックの発生はなく長期の使用にわたって、優れた耐久性を発揮することが分かる。
これに対して、本発明範囲外の下地層、表面層を形成した比較例1〜6においては、下地層の薄い場合は熱伝達緩和層としての作用を十分発揮できないため早期にクラックが発生し、下地層が厚すぎる場合は界面における密着強度が低下するため十分な耐摩耗性を発揮しない。表面層のAl量が少ない場合には高温硬さが十分でないため、またAl量が多すぎる場合には高温強度が低下するため、いずれも十分な耐摩耗性を発揮しない。また表面層の厚さが十分でない場合は耐摩耗性を発揮せず、一方厚すぎる場合は表面層の荒れ及び剥離により被加工物の品質が早期に低下する。
また、下地層、表面層を形成していない参考例7〜10においては、
いずれも耐摩耗性が十分でなかった。
これに対して、本発明範囲外の下地層、表面層を形成した比較例1〜6においては、下地層の薄い場合は熱伝達緩和層としての作用を十分発揮できないため早期にクラックが発生し、下地層が厚すぎる場合は界面における密着強度が低下するため十分な耐摩耗性を発揮しない。表面層のAl量が少ない場合には高温硬さが十分でないため、またAl量が多すぎる場合には高温強度が低下するため、いずれも十分な耐摩耗性を発揮しない。また表面層の厚さが十分でない場合は耐摩耗性を発揮せず、一方厚すぎる場合は表面層の荒れ及び剥離により被加工物の品質が早期に低下する。
また、下地層、表面層を形成していない参考例7〜10においては、
いずれも耐摩耗性が十分でなかった。
上記のとおり、本発明の複合部材によれば、基材−表面層の間に、伝熱緩和層として作用するTi、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層を介在形成することにより、基材表面におけるクラックの発生が防止され、耐摩耗性を低下させることなく、耐熱衝撃性にすぐれた複合部材を提供することができ、産業上の有益性が非常に大きいといえる。
Claims (2)
- 基材表面に、Ti、ZrおよびHfのいずれか一種の金属層からなる層厚1〜5μmの下地層と、該下地層の表面に、組成式(Ti1−XAlX)N(但し、Xは原子比で、0.3≦X≦0.7)で表わされるTiとAlの複合窒化物層からなる層厚1〜20μmの表面層が被覆形成されていることを特徴とする耐摩耗性および耐熱衝撃性にすぐれた複合部材。
- 上記複合部材が、金型鋼、工具鋼あるいは超硬合金のいずれかを基材とする、熱間成形用ロールあるいは熱間加工用金型であることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性および耐熱衝撃性にすぐれた複合部材。
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CN112439804A (zh) * | 2020-11-10 | 2021-03-05 | 中北大学 | Ti-Al金属间化合物叠层复合板的制备方法及其模具 |
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