JP2013140154A - 検出マイクロシステムの開発 - Google Patents

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Abstract

【課題】室内環境での真菌汚染を検出するための装置を提供する。
【解決手段】この装置は、−濃縮モジュールMC、−クロマトグラフィーマイクロカラムを含む分離モジュールMS、および−検出モジュールMDを含み、検出モジュールMDの上流に少なくとも1つの第1の電磁弁E3を含み、この電磁弁が、標的分子を含む流れを、検出モジュールMDの方へ導くかまたは、流れが標的分子を含んでいないときは、ろ過のための第1の手段Tx1によってろ過された流れを、検出モジュールMDの方へ導き、そして、検出モジュールMDが洗浄され得るかいずれかを可能にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、室内環境の真菌汚染を検出するための装置、この装置の使用、ならびに、このような装置を実装している室内環境で真菌汚染を検出するためのプロセスに関する。
工業国の人間は時間の90%以上を閉鎖空間の中で過ごしている。そして、この閉鎖空間で、たくさんの物理的、化学的および生物学的な汚染物質に曝露されている。この複雑な汚染に潜在的に起因する健康リスクに気づき、フランス政府は、グルネル2環境法(the Grenelle 2 environmental code)に、室内環境での空気質をモニターする原理を導入した。この原理には、弱者(子供、高齢者、など)を受け入れる施設に情報を測定して提供するためのシステムを実装し、所々で一般に公開すること(学校、公共輸送機関、博物館、など)を含んでいる。非特許文献1で世界保健機構(WHO)によって強調されたように、カビは、アレルギー、感染症、中毒または炎症を引き起こす可能性がある。健康に対するインパクトの他に、これらの微生物は、建物の実際の構造に作用し、構造的および装飾的な機能を永久に傷つける可能性があり、現象は遺産保護活動家によって広く恐れられている。
これらの微生物の問題は、工業国の多くの居住施設には、湿気および/またはカビの問題があるという観察結果によって深刻化している。したがって、質問表または目視検査に基づく研究で、汚染された居住施設の割合は非常に高いことが分かった。それで、ヨーロッパの調査によれば、目視可能なカビを有する居住施設の割合が25%に達している場合があると報告されている(非特許文献2;非特許文献3)。北アメリカで行われた調査では、汚染率は14〜38%の範囲に及んでいる(非特許文献4)。この割合は壁で高湿度が検出された居住施設を考慮にいれると80%に達する(非特許文献5;非特許文献6)。
フランスでは、政府は、建築物のための科学および技術センター(the Scientific and Technical Center for Building ){Centre Scientifique et Technique du Batiment (CSTB)}によって管理される室内空気質観測所(internal air quality observatory){Observatoire de la Qualite de l’Air Interieur (OQAI)}に助成金を支給している。OQAIによって行われた国家的住宅運動の結果(2007年末に公表された)によって、フランスの居住施設の空気質についての初めての報告が作成された。この測定運動により、具体的には次のことが分かった。それは、カビによる居住施設の汚染は、フランスの家の37〜42%の大きな割合に関係しており、そして、フランスの家の2%(すなわち、610,000戸以上の世帯)が1m以上の汚染された表面積を有するということである。(非特許文献7)
これらの環境における生物汚染物質の中で、極微菌(カビ)は、世界中(北アメリカ、北ヨーロッパ諸国、ベルギー、イタリア、オーストラリア、フランスなど)の多数のチームにとっての研究の中心である。
室内環境とは、連続的には通気されてはいない建物内に閉じ込められた空間を意味する。室内環境の例は、居住施設、博物館、教会、洞穴、歴史的建造物、役所建造物、学校および病院に見られる。
室内環境にカビが存在すると、健康上の影響はないというわけにはいかない。実際、数多くの調査により、カビを有する建物の居住者に症状が発現すること、さらに、カビがコロニーを作っている材料および構造の両方の劣化において、カビが役割を果たしていることが立証された。実際、真菌が産生する酵素および/または酸は、基質の劣化の原因にもなる。
真菌は、成長の初期から、代謝の、または、材料の劣化の結果として生じる揮発性の分子(揮発性有機化合物、VOC)を放出する。材料においては、真菌は、それ自体が産生する酵素または酸によって成長する。隠れた汚染の場合には、VOCが壁に広がり、空気それ自体の中で検出することができる。しかしながら、室内環境に存在するVOCは、建築材料、家庭用品または人間の活動などの他の供給源に由来している可能性もある。真菌由来のVOCの濃度は、具体的には初期の汚染段階では、室内環境に存在するVOC全体に比べて比較的低い。
仏国特許出願第2913501号 特許出願第1059636号
WHO報告書「室内の空気品質のためのWHOガイドライン:湿気およびカビ("WHO guidelines for indoor air quality: dampness and mould")」2009年 Brunekreef、1992 Pirhonen、1996 Dales、1991 Miller、1998 Koskinen、1999 Moularat、2008 Charlot、2002
従来技術
この文脈において、本出願人は、10年以上の時間をかけてさまざまな調査研究、具体的には、基質上のカビの成長の抑制、および、同上の増殖の早期発見についての調査研究を行ってきている。
伝統的に、環境の真菌汚染は、目視検査によって、または、空気中に、表面上に、あるいは塵に存在する微生物の培養によって検出されてきた。それゆえに、通常の方法では、隠れた汚染(例えば、仕切りの裏、建築構造物の中、あるいは換気システムの中での増殖)、または、最近の汚染(成長の徴候がまだ明瞭には見られない)を検出することは滅多にできない。
真菌の成長の早期検出の目的で、本出願人の研究は、特定の微生物由来揮発性有機化合物(MVOC)の、真菌の成長の最初の数時間からの放出に基づくものである。そして、特定の微生物由来揮発性有機化合物は、環境内に拡散し生化学的な痕跡になり、その検出は、真菌が活動していることを知らせることになる。
このように、すべてのケースの汚染を検出するために、この痕跡を有する化学的トレーサを識別し、汚染指数を算出することを可能にすることに基づく技術が特許文献1の出願人によって開発された。
特許文献1は、周囲空気に存在するVOCの分析に基づいて、真菌の汚染指数を決定することによる室内環境の真菌汚染を検出するためのプロセスを提案している。このプロセスは、隠れた汚染の場合であっても、その成長の初期で真菌の成長を検出することを可能にするが、質量分析計と結合された気相クロマトグラフィーなどの従来の分析法を実装している。これらの方法は、実験室と関連させられる試料の収集を必要とし、試料はこの実験室では、試料は濃縮、分離および分析の長いステップにかけられる。室内環境での真菌汚染を検出するためのこれらのステップは、資格のある技術者の介在を必要とし、他と比べて時間およびコストがかかる。それゆえ、これらの分析技術は、迅速かつ連続的な測定を可能にはしない。 特許文献1は、周囲空気に存在するVOCの分析に基づいて、真菌の汚染指数を決定することによる室内環境の真菌汚染を検出するためのプロセスを提案している。このプロセスは、隠れた汚染の場合であっても、その成長の初期で真菌の成長を検出することを可能にするが、質量分析計と結合された気相クロマトグラフィーなどの従来の分析法を実装している。これらの方法は、実験室と関連させられる試料の収集を必要とし、試料はこの実験室では、試料は濃縮、分離および分析の長いステップにかけられる。室内環境での真菌汚染を検出するためのこれらのステップは、資格のある技術者の介在を必要とし、他と比べて時間およびコストがかかる。それゆえ、これらの分析技術は、迅速かつ連続的な測定を可能にはしない。
それゆえ、現在利用可能な解決策では、真菌汚染の早期検出および連続モニタリングのニーズを満たすことができない。本発明によるマイクロシステムの全般的な原理は、特許文献2に記載している。
出願人の会社は、室内環境での真菌汚染を検出する装置を何とか開発した。この装置は、短い測定時間で、迅速な、現場での周囲空気の分析、したがって、汚染の連続的な検出を可能にする。本発明の装置には、さらに、専門技術者が介在することなく、使用できるという利点がある。
発明の提示
したがって、本発明は、室内環境での真菌汚染を検出するための装置に関するものであり、この装置は以下のものを含む:
− 前濃縮モジュール、
− クロマトグラフィーマイクロカラムを含む含離モジュール、および
− センサ・アレイを含む検出モジュール。
それゆえ、本出願人は、現場での測定に適した化学マイクロセンサの内蔵式システムを開発した。実験室での分析フェーズはシステムに一体化して開発され、実験室での分析フェーズが無いことにより時間的な利点が生じる。それに加えて、この装置は、例えば、博物館、学校、病院、などの公共で頻繁に行われる環境の連続モニタリングを可能にする必要がある。
具体的には、前濃縮モジュールは、装置の他のモジュールの上流に位置する。クロマトグラフィーカラムの解像度が低すぎる、または、使用される検出器の感度が、標的分子の低い濃度によって制限されるとき、クラマトグラフィー・システムを使用するために、前濃縮器(preconcentrator)を使用する必要がある。
前濃縮は、蓄積の原理に基づく。前濃縮器を使用するときに、分析されるべき流れ、具体的にはガスは前濃縮モジュールを通過し、試料収集フェーズ中に、標的分子はその前濃縮モジュールで吸着材料に蓄積される。もちろん、吸着材料の選択は、探索される標的モジュールに依存し、その結果、標的モジュールは、材料に捕捉され、それから例えば熱的に脱着され、そして、分離されてから分析されるようにクロマトグラフィーカラムに注入することができる。したがって、リリースされる標的分子によって、カラム出口で、標的分子のより高い濃度を有する脱着ピークを得ることができる。それゆえ、この前濃縮モジュールによって、カラム分離の有効性が増大し、高濃度ピークによって分析の感度が高まる。本出願の解釈において、用語「前濃縮モジュール(preconcentration module)」および「濃縮モジュール(concentration module)」は、同義語であるとみなされなければならない。
好ましくは、濃縮モジュールは、前濃縮マイクロストラクチャを含む。この種のマイクロストラクチャによって、より小型の装置、好ましくは持ち運びができ、取扱いが容易な装置を作製することができる。さらに、この種のマイクロストラクチャによって、脱着中のエネルギー消費をより小さいだけでなく、より低い熱質量およびより小さな死空間に関連して加熱効率をより良好にすることが可能になる。
室内環境でのカビの有無は、単一の真菌由来VOCの検出から推論することはできない。それゆえ、本発明の発明者は、ある複数の標的VOCの検出に基づく真菌汚染の検出のための原理を使用する装置を設計した。それゆえ、本発明の装置によって、具体的には、真菌汚染の進展の結果生じる可能性がある標的VOCのアレイの存在を検出することが可能になる。標的VOCは、具体的には、以下を含む:
(1)1−オクテン−3−オール、1,3−オクタジエンおよびメチル−2−エチルヘキサノアートなどの、真菌種およびその基質と独立して放出される、ならびに、真菌種だけによって放出されるVOC。
(2)2−メチルフラン、3−メチルフラン、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノールおよび−ピネンなどの、真菌種およびその基質と独立して放出される、しかし、他の生物学的起源をさらに有する可能性があるVOC。
(3)2−ヘプテン、ジメチルスルフィド、4−ヘプタノン、2(5H)−フラノン、3−ヘプタノールおよびメトキシベンゼンなどの、真菌種および/または基質によって放出されるVOC。
標的VOCはカテゴリ(1)、(2)または(3)に属さないが、真菌汚染の存在の評価に含まれる、2−エチルヘキサノールなどのVOCもまた含むことができる。
具体的には、本発明による装置の前濃縮モジュールによって、検出モジュールによって検出可能な濃度まで、周囲空気に存在する標的VOCを濃縮できる。VOC濃縮は、当業者にとって知られている何らかの方法、具体的には、吸着材料での蓄積によって得られ得る。それゆえ、前濃縮モジュールは、標的VOCの蓄積を可能にする吸着材料を有利に含む。吸着材料の構造は、一般的に、比表面積を最適化することが可能な形状を有する。好ましくは、吸着材料は、50〜200μmのサイズ、20〜50m/gの比表面積、1〜5cm/gの気孔率および50〜500 nmの平均気孔サイズを一般的に有する粒子の形をしている。吸着材料は、活性炭、シリカゲル、ゼオライトおよび多孔性合成樹脂から好ましくは選択され、それらは、テナックス(Tenax)(登録商標)、カーボグラフ(Carbograph)(登録商標)またはクロムソルブ(Chromosorb(登録商標)の商標で販売されている吸着材料などである。前濃縮モジュールは、吸着材料に吸着されるVOCの脱着を可能にする加熱システムを有利にさらに含む。
具体的には、前記モジュールは連続的に流れを下って互いにつながっている。第1の態様によれば、本発明による装置は、流れ発生手段、好ましくは、ポンプおよび少なくとも1つの検出モジュールの上流の第1の電磁弁を含み、この電磁弁は、標的分子を含む流れを検出モジュールの方へ導くかまたは、流れが標的分子を含んでいないときは、ろ過のための第1の手段によってろ過された流れを検出モジュールの方へ導き、そして、検出モジュールを洗浄するかいずれかを可能にする。
有利にも、同じ流れは、標的分子を含むときは、検出モジュールに導かれるかまたは、標的分子を含まないときは、ろ過のための第1の手段の方へ導かれるかいずれかである。
標的分子、具体的には標的VOCの有無の決定は、好ましくは前記標的分子を分離するためのモジュールの保持時間に従って行われる。これらの保持時間は、測定標準によって見積もることができる。有利にも、前記第1の電磁弁は、分離モジュールと検出モジュールの間に配置する。
別の態様によれば、装置は、分離モジュールの上流に少なくとも1つの第2の電磁弁をさらに含む。この電磁弁は、流れを、標的分子を含むときに、あるいは、ろ過のための手段によってろ過されるときに分離モジュールの方へ、または、流れが標的分子を含んでいないときには、外の方へ導かれるかいずれかを可能にする。有利にも、前記第2の電磁弁は、濃縮モジュールと分離モジュールの間に配置する。
したがって、例えば、濃縮モジュールでの標的分子の保持の間、分離モジュールは、試料収集の他の分子によって過密になることはない。さらに、ろ過された流れを濃縮モジュールおよび分離モジュールを連続して通過するようにすることも可能である。
好ましくは、装置は、濃縮モジュールの上流に少なくとも1つの第3の電磁弁をさらに含む。この電磁弁は、試料収集流れを濃縮モジュールの方へ導くかまたは、ろ過のための手段によってろ過された流れを濃縮モジュールの方へ導き、そして、少なくとも濃縮モジュールが洗浄され得るかいずれかを可能にする。ろ過された流れは、分析の間、ベクター・ガスとして用いられる。
したがって、試料収集フェーズ外で、装置をろ過された流れによって洗浄することが可能である。
好ましくは、ろ過のための同じ手段が、濃縮モジュールおよび分離モジュールを洗浄するためのろ過された気流を発生させるために提供される。
有利な態様によれば、ろ過のための第1のおよび/または第2の手段は、吸着性のポリマーを含む。
具体的には、ろ過のための第1のおよび/または第2の手段の吸着性のポリマーは、揮発性または半揮発性の分子を吸着することができる。したがって、ろ過のためのこのような手段を通すことによって、標的分子の分析および別のモジュールの洗浄において、バックグラウンド・ノイズを減少させることができる。例えば、このような吸着材料は、2,6−酸化ジフェニレンを主成分とした多孔性のポリマー樹脂を含む。活性炭を含むろ過のための手段もまた想定することができる。
有利にも、濃縮および/または分離モジュールは、対応する脱着手段と関連する前記標的分子を吸着するまたは吸収することができる材料を含む。好ましくは、前記標的分子を吸着するまたは吸収することができる材料は、2,6−ジフェニレンなどの、好ましくは、濃縮モジュールの場合にはポリマー粒子、および、分離モジュールの場合にはポリジメチルシロキサン(PDMS)ゲルである吸着性のポリマーであり、ならびに、脱着手段は、前記濃縮および/または分離モジュールに備えられた加熱抵抗器を含む。
別の興味深い態様によれば、装置は、電磁弁、溶出手段、具体的には加熱抵抗器、および流れ発生手段、具体的には少なくとも1つのポンプの中の少なくとも1つを、制御する、好ましくは自動的に制御することを可能にする制御カードをさらに含む。
好ましくは、制御カードは、データを受けるように検出モジュールに接続する。システムの検出モジュールの信号処理カードとシステムの制御モジュールの信号処理カードもまた分離することができる。
有利にも、制御カードおよび検出モジュールは、標的分子を含む流れとろ過された流れとの間の抵抗率の差を測定するように構成する。具体的には、検出モジュールは、増幅アセンブリに付随したいわゆる「ホイートストン・ブリッジ」アセンブリを含む。
本発明は、前記電磁弁を制御する、好ましくは自動的に制御するように、すなわち、次の少なくとも1つを実行するように構成した、上記したような検出装置のための制御カードにさらに関する:
−標的分子を含む流れを検出モジュールの方へ導くかまたは、流れが標的分子を含まないときには、ろ過のための第1の手段によってろ過された流れを検出モジュールの方へ導き、そして、検出モジュールを洗浄することを可能にするかいずれか、
−流れが標的分子を含むとき、あるいは、流れがろ過のための第2の手段によってろ過されるときには、分離モジュールの方へ、または、流れが標的分子を含まないときには、外の方へのいずれかに流れを導く、
−または、試料収集流れを濃縮モジュールの方へ導く、あるいは、流れが標的分子を含まないときには、ろ過のための第3の手段によってろ過された流れを濃縮モジュールの方へ導き、そして、濃縮モジュールを洗浄することを可能にする。
好ましくは、制御カードは、流れ発生手段、具体的には少なくとも1つのポンプを、さらに制御する、好ましくは自動的に制御するように構成される。
有利にも、制御カードは、溶出手段を、具体的には標的分子を脱着するための加熱抵抗器を、さらに制御する、好ましくは自動的に制御するために構成される。
本発明は、検出装置を用いて室内環境の真菌汚染を検出するためのプロセスにさらに関する。
この検出装置は:
− 前濃縮モジュール、
− 前濃縮モジュールの下流にクロマトグラフィーマイクロカラム含む分離モジュール、および、
− 分離モジュールの下流にセンサ・アレイを含む検出モジュール、
− 流れ発生手段、好ましくは少なくとも1つのポンプを含む。
このプロセスは:
− 標的分子が前濃縮モジュール内に、好ましくは濃縮時間の間保持される、濃縮ステップ、
− ろ過された流れが、前濃縮モジュール、分離モジュールまたは検出モジュールの中の少なくとも1つを通過する、センサ洗浄ステップ、
− 標的分子が、好ましくは分析時間のために、検出モジュール内に入る、分析ステップを含む。
より一般的には、本発明は、検出装置を用いて室内環境の真菌汚染を検出するためのプロセスに関する。
この検出装置は:
− 前濃縮モジュール、
− 前濃縮モジュールの下流にクロマトグラフィーマイクロカラムを含む分離モジュール、および、
− 分離モジュールの下流にセンサ・アレイを含む検出モジュール、
− 流れ発生手段、好ましくは少なくとも1つのポンプを含む。
このプロセスは:
− ろ過された流れが、前濃縮モジュール、分離モジュールおよび検出モジュールの中の少なくとも1つを通過する、センサ洗浄ステップを含む。
有利な態様によれば、プロセスは、前記濃縮および前記分析ステップの前および/または後、少なくとも1つの非アクティブ・ステップ(12、13、10)を含み、非アクティブ・ステップでは、少なくとも流れ発生手段が非アクティブにされ、プロセスのステップは、室内環境での真菌汚染を検出するよう連続的に好ましくは実行される。
好ましくは、検出プロセスは、少なくとも次の1つを実行するように、少なくとも1つの電磁弁を制御する、好ましくは自動的に制御するためのステップを含む:
−標的分子を含む流れを検出モジュールの方へ導くかまたは、流れが標的分子を含まないときには、ろ過のための第1の手段によってろ過された流れを検出モジュールの方へ導き、そして、検出モジュールを洗浄することを可能にするかいずれか、
− 流れが標的分子を含むとき、あるいは、流れがろ過のための第2の手段によってろ過されるときには、分離モジュールの方へ、または、流れが標的分子を含まないときには、外の方へのいずれかに流れを導く、
− または、試料収集流れを濃縮モジュールの方へ導く、あるいは、流れが標的分子を含まないときには、ろ過のための第3の手段によってろ過された流れを濃縮モジュールの方に導き、そして、濃縮モジュールを洗浄されることを可能にする、
好ましくは、検出プロセスは、前記の流れの導きを行うように、流れ発生手段、具体的には少なくとも1つのポンプを制御する、好ましくは自動的に制御するためのステップをさらに含む。
有利にも、検出プロセスは、標的分子を脱着するように、標的分子を脱着するための溶出手段、具体的には加熱抵抗器を制御する、好ましくは自動的に制御するためのステップをさらに含む。
本発明は、制御ユニットのメモリにロード可能なコンピュータ・プログラムにさらに関する。このコンピュータ・プログラムは、制御ユニットによって実行されるときには、本発明による検出プロセスを実行するためのソフトウエア・コード部分を含む。したがって、上記の制御カードは、例えば、このようなコンピュータ・プログラムを含むことができる。
誘電層の「結合(”bonding”)」は、例えば、閉じた空孔を得ることを可能にする「結合」技術の1つに関する。これに関しては、非特許文献8に記載されている。具体的には、プレート間の「結合」(「水結合(”water bonding”)」)は、シリコンまたは様々な材料(ガラスなど)の基板を一緒に溶接し、閉じた空孔を形成することが可能な3D構造を得ることができる技術である。当業者に知られている2つの技術は、例えば、陽極溶接および融接である。
有利な態様によれば、本発明による装置はポリマー・センサを含む。実際、化学センサは、有機汚染物質の連続測定に使用される。しかしながら、このようなセンサは、真菌の成長において放出されるVOCの濃縮レベルを検出するのに十分なだけ感度が高くない、または、これらの真菌由来VOCを、例えば、建設または装飾的な材料などの他の供給源からやってくる他のVOCと区別するのに十分なだけ選択的ではない。
好ましくは、検出モジュールは、PEDOT−PSS、ジブロミン・ビフルオレン、オクタンスルホン酸塩によってドープされたポリピロール、リチウム過塩素酸塩によってドープされたポリピロールまたはポリピロール、ポリチオフェンあるいはポリアニリンのあらゆる他の誘導体を含む群から選ばれた導電性ポリマーを含む。
変形例において、本発明の装置では、前濃縮モジュールはマイクロ前濃縮器を含む。このようなマイクロ前濃縮器は、0.1〜1cmの有効容積、好ましくは0.1〜0.5cm、さらに好ましくは0.1〜0.3cmの有効容積を有利に有する。マイクロ前濃縮器は、シリコン・プレートなどの基板プレートから成っている。この基板プレートの表面には溝がエッチングされており、この溝には、吸着材料が位置決めされている。マイクロ前濃縮器は、基板と同一であるか、基板と異なる材料(ガラス・プレートなど)でできた、溝を有するエッチングされた基板プレートの表面に結合されている第2のプレートを含む。基板プレートは、例えば、2〜20cmの表面積を有する。溝は、3〜10cmの長さ、100〜1000μmの幅、100〜500μmの深さ、および0.01〜0.5mmの断面積を有利に有している。溝の断面は、矩形、半円形または円形などの様々な形状であってよい。
有利にも、前濃縮モジュールは、周囲空気を前濃縮モジュールを通って強制的に通過させることが可能な強制循環システムをさらに含む。
分離モジュールは、有利に0.01〜0.25mmの断面積を有しているクロマトグラフィーマイクロカラムを含む。マイクロカラムの長さは、VOCの分離を最適化するようにさらに選択しなければならない。その長さは、1mより有利に大きく、好ましくは1〜50mである。長い長さを選ぶと、カラムの有効性を改良することになり、それゆえ、VOCの分離がより良好になる。マイクロカラムは、当業者がVOCの分離を最適化するように選択することが可能な固定相を含む。その固定相は、ポリシロキサン族(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS))に有利に属する。他の固定相もまた使用することができる。これらの固定相は、分枝炭化水素、ポリエチレン・グリコールおよびポリプロピレン・グリコール、ポリエステル、ポリ(アリールエーテルスルホン)、または、特定の選択性を有する固定相であり得る。
マイクロカラムが、例えば、シリコン・プレートなどの基板プレートを含み、この基板プレートの表面には、溝がエッチングされ、この溝には固定相が配置されている。基板と同一であるか、基板と異なる材料(ガラス・プレートなど)でできた、溝を有するエッチングされた基板プレートの表面に結合されている第2のプレートはマイクロカラムを含む。基板プレートは、2〜20cmの表面積を一般的に有する。溝は、1m以上の長さ、好ましくは1〜50m、100〜500μmの幅、100〜500μmの深さ、および0.01〜0.25mmの断面積を有利に有する。例えば、溝の断面は、矩形、半円形、円形などの様々な形状であってよい。溝は、構造、例えば平行ループ(コイル)の大きさおよびそれゆえサイズを最小化するように様々な方法で作製できる。
本発明の装置の他の実施形態によれば、分離モジュールは、電磁弁および前記電磁弁を制御することが可能なプログラマブル・ユニットを好ましくは含む、標的VOCを選択するためのシステムを、さらに含む。この選択システムは、マイクロカラムの出口に直接接続される。保持時間は、所与の固定相およびマイクロカラムの長さのために、各VOCに特定のものである。したがって、各標的VOCの保持時間を提供することによって、プログラマブル・ユニットは、溶出液の残部が分析回路から取り除かれている状態で、選択システムが、各標的VOCの保持時間に相当する溶出液部を検出モジュールの方へ選択的に導くように、予めプログラムすることができる。前記溶出液部は、溶出の過程で、次々と検出モジュールに送られるかまたは、保存されて、そして検出モジュールに一緒に送られるかどちらかが可能である。
主な真菌由来VOCを含んでいる標的VOCは、周囲空気に存在する全てのVOCのトータル濃縮度と比較して大変に低い濃縮度を有する。したがって、標的VOCのこの選択的な分離によって、標的VOCの検出に悪影響を与えるであろう、バックグラウンド・ノイズの形成および/またはヒステリシスの現象および/または検出モジュールのセンサの飽和を防止することが可能になる。
本発明による装置の検出モジュールは、ポリマー・タイプの電気化学的センサから有利に選択されるセンサのアレイを含む。センサは、ポリマーまたは真菌由来VOCとの親和性を有するポリマーの混合物の層を好ましくは含む。
VOCは、化学的性質によって様々な族に分類することができる:脂肪族VOC、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、アルデヒド、芳香族のVOC、塩素化されたVOC、窒素含有VOCまたは硫黄含有VOC。判定された官能基を有する化合物の検出を可能にする化学センサがある。このようなセンサで、判定された族に属するVOCの存在を検出し識別することはできるが、同じ族に帰属しているVOCを区別することはできない。
特定の実施形態では、センサ・アレイは各VOC族に特定のセンサを含む。この場合、センサ・アレイの反応は、所与の溶出液部のVOCの有無を結論づけることができるが、単独で、検出されたVOCの性質を決定するのに十分ではない。しかしながら、センサ・アレイの反応は、検出されたVOCが属する1つまたは複数の族を判定することを可能にし、考慮される溶出液部の保持時間についての知識によって、どの標的VOCが前記溶出液部に存在する可能性があるかを知ることができる。したがって、保持時間およびセンサ・アレイによって提供される情報を組み合わせることによって、標的VOCの有無を推論することが可能である。
もう1つの実施形態では、アレイは、各標的VOCに特定な全体印象を得ることを可能にする一連のセンサを含む。全体印象によって、我々が言いたいのは、アレイのセンサの全ての反応の組合せである。この場合、アレイの各センサが単一の標的VOCに特有でないにもかかわらず、複数のセンサの組み合わされた応答は、各標的VOCを明確に識別することを可能にする。したがって、センサ・アレイによって提供される情報から標的VOCの有無を推論することが可能である。
もう1つの実施形態では、センサ・アレイは、各標的VOCに特定のセンサを含む。この場合、センサ・アレイは、標的VOCと同じ多さのセンサを含み、そして、各特定のセンサの反応は、それが特定である標的VOCの有無を個別に結論づけることを可能にする。
有利にも、検出モジュールは、センサ・アレイを含んでいる閉じ込めチャンバ(confinement chamber)をさらに含む。このチャンバによって、センサの感知層を、分析する試料にだけ曝露するように閉じ込めることが可能になる。有利にも、閉じ込めチャンバは、分析される試料の汚染を防止するように、分析条件下でVOC放出がないまたは低い、ステンレス鋼またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの材料でできている。
特定の実施形態では、本発明の装置は、制御カードなどの情報処理モジュールをさらに含む。この情報処理モジュールは、各センサによって送られる信号を解釈することができ、各標的VOCの有無を推論することができる。好ましくは、情報処理モジュールは、真菌汚染の有無を判定する。この判定は、例えば、特許文献1において定義した真菌の汚染指数を算出することによってなされ得る。
従来の検出および/または識別方法は、小型化するのが困難である質量分析計、赤外線分光計、炎イオン化検出器または熱伝導度検出器などの複雑な機器を実装する。本装置は、小型化することができ、そして、専門技術者が介在することなく使用できるという利点がある。
それゆえ、本発明の装置は、そのサイズの点で利点があり、そして、連続する各測定の間の時間間隔および/または測定の応答時間を減らすことを可能にする。本発明の装置による測定の所要時間は、一般的に10〜180分であり、そして好ましくは30〜120分である。それゆえ、このような装置は、各測定間の短い時間間隔による、真菌汚染のモニターのための効果的な方策を行える可能性がある。例えば、成長の最も初期の段階で、汚染を調査し処置するための警報手順を構想できる。さらに、空気ハンドリング・ユニット(air handling unit)などの周囲空気制御システムを、真菌の成長を防止するために、本発明の装置に連結することが可能である。
具体的には、本発明は、室内環境の真菌汚染を検出するためのプロセスにさらに関する。このプロセスは、本発明の装置によって実行され:
− 室内環境のVOC試料の収集、
− 収集されたVOCの分離、
および、
− 存在する真菌由来VOC菌検出を含んでいる。
本発明のプロセスは、標的分子、好ましくは室内環境のVOCの試料の収集を含む。これを行うために、本発明の装置は室内環境に配置し、そして、試料収集は、前濃縮モジュールと周囲空気との接触によって実行する。試料収集は、周囲空気を前濃縮モジュールを通って通過させる強制的な規則によって実行する。試料収集モジュールを通過する周囲空気の流速は、例えば、10〜1000mL/分である。そして、試料の収集は5〜60分の間続く。収集は、吸着材料でのVOCの吸着によって好ましくは実行させる。この場合、本発明のプロセスは、吸着されるVOCの脱着のステップをさらに含む。これは、当業者にとってよく知られている条件の下で、熱脱着によって実行する。
本発明のプロセスは、標的分子、具体的には収集されたVOCの分離をさらに含む。収集されたVOCの分離は、分離モジュールによって実行する。具体的には、収集されたVOCは、クロマトグラフィーマイクロカラム上の溶出によって分離される。カラムの温度または移動相の流速などの最適分離パラメータは、当業者にとって知られている技術よって、カラムの形状、固定相およびベクター・ガスの性質に従って決定する。
本発明によるプロセスの一実施形態において、標的VOCは、分離モジュールによって収集されたVOCから選択する。このステップは、クロマトグラフィーマイクロカラム上の試料の溶出の間に、選択システムによって実行される。これを行うため、以下を実行する。各標的VOCは、所与のクロマトグラフィー・システムのための、たがいに異なる、知られている速度で溶出する。それゆえ、所定の保持時間が標的VOCに割り当てられる。選択システムはこれらの値によってプログラムする。そして、選択システムは、標的VOCに対応する保持時間を有する溶出液の部分を選択できる。そして、溶出液部は検出モジュールに選択的に送られる。予めプログラムされた値に相当していない溶出液部は取り除かれる。結果的に、標的VOCの有無だけが、検出モジュールによって検出される。
溶出液の残部が分析回路から取り除かれるので、検出モジュールのセンサのヒステリシスおよび/または飽和状態の現象が防がれる。このヒステリシスおよび/または飽和状態の現象は、真菌由来VOCの濃度より著しく高い濃度を一般的に有する非標的VOCの存在によって引き起こされるかもしれないものである。
標的VOCは、1−オクテン−3−オール、1,3−オクタジエン、メチル−2−エチルヘキサノアート、2−メチルフラン、3−メチルフラン、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、α−ピネン、2−ヘプテン、ジメチルスルフィド、4−ヘプタノン、2(5H)−フラノン、3−ヘプタノール、メトキシベンゼンおよび2−エチルヘキサノールおよびそれらの混合物からなる群から好ましくは選択する。
有利にも、発明のプロセスは、例えば、特許文献1で定められたようなプロセスを使って、真菌の汚染指数の決定をさらに含む。
本発明によるプロセスを、好ましくは連続的に用いる。有利にも、測定サイクルの所要時間は、10〜180分および好ましくは30〜120分である。
本発明の他の特徴、詳細および利点は、添付の図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。その添付図面は:
本発明の好ましい代替物による検出装置の線図である。 前処理マイクロストラクチャの位置合わせパターンの図示である。 クロマトグラフィーマイクロカラムの作製のための3マスク・レベルの図示である。 前濃縮マイクロストラクチャの作製のための3マスク・レベルの図示である。 前処理マイクロモジュールを作製するためのプロセスの模式図である。 検出モジュールの交差指電極を作製するためのプロセスの模式図である。 検出モジュールの交差指電極を含むチップの作製のためのマスクの図示である。 濃縮モジュールの検証のための、8つのトレーサを含むチャンバの放出物のクロマトグラムである(ヒューレット・パッカード−SIMモード)。 分離モジュールの検証のための、エタノールの8つのトレーサを含む5μLの原液の注入から得られるクロマトグラムである(HP)。 検出モジュールのセンサの情報の処理のための「ホイートストン・ブリッジ」アセンブリおよび増幅アセンブリである。 検出モジュールのセンサの情報の処理のための増幅アセンブリである。 エタノールおよび水の8つのMVOCに対するPpy/オクタンスルホン酸塩膜(0.3M)の応答の線図である。 Ppy/オクタンスルホン酸塩膜(0.3M)およびPEDOT−PSS膜の応答の線図である。 PEDOT−PSS膜の応答の線図である。 ヒンダード・アルコールのためのPEDOT−PSS膜の応答の線図である; 検出装置および制御インタフェースを含む分析システムの概略図である。 分析システムの要素の状態の模式図である。 検出装置の制御インタフェースの線図である。 分析システムの動作の流れ図である。
より明快にするために、同一または類似の要素は、全ての図において、同じ参照符号で示す。
図1を参照すると、本発明の好ましい代替物による装置は、濃縮モジュールMC、分離モジュールMS、および検出モジュールMDを含み、各モジュールは連続的に流れを下って互いにつながっている。装置は電磁弁E1をさらに含み、この電磁弁は、濃縮モジュールの上流に2つの位置aおよびbを有する。この電磁弁E1が位置aにあるときには、空気試料の流入が可能になり、位置bにあるときには、テナックス管(Tenax tube)Tx2を通っての、ろ過された空気の流入が可能になる。装置は、濃縮モジュールと分離モジュールとの間に電磁弁E2をさらに含む。この電磁弁E2は、2つの位置aおよびbを有し、位置bにあるときには、濃縮モジュールMCからの空気流の方向を分離モジュールMSの方へ向け、位置aにあるときには、この空気流を装置の外の方に排出することが可能になる。空気流は、この場合には、濃縮モジュールと電磁弁E2との間に位置するポンプPで発生させる。装置は、分離モジュールMSと検出モジュールMDとの間に、電磁弁E3をさらに含む。この電磁弁E3は、2つの位置およびbを有し、位置aにあるときには、分離モジュールMSからの空気流を直接に検出モジュールMDの方へ向かうように方向づけし、位置bにあるときには、この流れの方向を、テナックス管Tx1を用いて検出モジュールMDの方へ向かうように方向づけすることを可能にする。
実施形態の次の実施例は、いかなる形であれ、本発明をその範囲を制限せずに示す。
実施例1:装置の第1の実施形態
前濃縮モジュールは、DRIEプロセスによってシリコン・プレートにエッチングされるマイクロ前濃縮器を含む。マイクロ前濃縮器は、幅500μmおよび長さ250μmの矩形断面を有する、長さ6cmの20本の溝から成り、0.15cmの有効容積を有する。溝は、テナックス(登録商標)TAという商品名で販売されている2、6−酸化ジフェニルを主成分とした樹脂粒子で埋められる。そして、TAは120のμmの平均直径、35m/gの比表面積、2.4cm/gの気孔率および200nmの平均気孔サイズを有する。マイクロ前濃縮器は、第1のプレートの、溝を有する表面に結合されるガラス・プレートによって閉じられる。
クロマトグラフィーマイクロカラムは、DRIEプロセスによってシリコン・プレートにエッチングする。マイクロカラムは、幅150μm、長さ200μmの矩形断面を有する長さ5mの溝から成る。溝は、死角の形成を防止するために、円弧の形のエルボを有する平行ループ(コイル)の形で作製する。固定PDMS相[ポリジメチルシロキサン{シルガード(Sylgard)(登録商標)184、ダウ・コーニング社(Dow corning company)により販売}]がマイクロカラムの内部に存在する。マイクロカラムは、第1のプレートの溝を有する表面に結合される第2のガラス・プレートによって閉じられる。
検出モジュールは、4つのポリマー・センサから成るセンサ・アレイを含む。ポリマー・センサは、交差指電極対(interdigital electroide pair)に蒸着した真菌由来VOC(それぞれ、PEDOT−PSS、ポリピロール/ナトリウム・オクタンスルホン酸塩、ポリピロール/リチウム過塩素酸塩およびポリビフルオレン)との親和性を有する。センサ・アレイは、ステンレス鋼の閉じ込めチャンバおよびPTFEシール内に配列する。
別々の要素は、ナノ・ポート(NanoPort)(登録商標)コネクタによって、互いに、そして、循環システムに連結する。
実施例2: 第1の実施形態のマイクロカラムの較正
較正のために、実施例1の装置のセンサ・アレイは、質量分析計と置き換えた。
分析チェーン( analysis chain)の実験的なパラメータを表1に示す。
GC/MSの特性
標的VOCの試料は、各標的VOCの保持時間を決定するために、マイクロカラムに入れる。
各標的VOCの保持時間は、表2に一覧で示す。
実施例3: 実験法
3.1 ポリマー・センサのための実験装置
3.1.A データ取得システム
実験は、カードから信号を取得することが可能なシステムを使用して行われた。このカードは、システムのコアを構成している導電性ポリマーから成る。
放出チャンバ(emission chamber)は、システムの外側に配置する。テナックス管Txから成るろ過システムは、放出チャンバの上流に位置決めをされて、「清浄な」空気の更新(漏出)を確実にする。下流では、PTFE管によって、放出チャンバと3方向電磁弁との間の接続が可能である。接続は全てPTFEでできている。3方向電磁弁(BIO−CHEM−VALVE CORPで販売されている)によって、リファレンス経路(空気は活性炭でろ過される)、サンプリング経路(放出チャンバ)または洗浄経路(1−ブタノール/水混合)を選択することが可能である。
ポンプ(ESCAP社で販売されている)によって、異なった環境の空気を147±1mL/分−1でPTFEチャンバ(内部寸法20x25x5mm、すなわち2.5mLの全容積)に閉じ込められたセンサ・アレイの方へ移すことが可能である。
したがって、このシステムに適しているカードがこの研究のために特別に作成された。このカードは、ガラス・ウェーハ(プレートまたはマイクロプレート)に蒸着された12対の金電極(クロム蒸着層を有する)から成る。
そして、ポリマーは、電子重合または滴下被覆(溶液中のポリマーのための滴下の蒸着)によって各電極対の間に蒸着される。
システムは、経時的に制御される。システムによって、センサ(Rsample)の抵抗率の変化を観察することも、処理するためにコンピュータ経由でこのデータを収集することも可能である。基線を決定するための基準(Rreference)として活性炭でろ過された空気が使用される。1−ブタノール/水(1/50;v/v)混合液は、放出チャンバへの曝露の後のセンサの完全な洗浄を可能にする。実際、この混合液によって、基線への速い復帰が可能になると共に、センサを飽和させることが可能になる。
結果は、抵抗の微小な差の形で示される:
3.1.B ポリマー層の蒸着
導電性ポリマーは、多数の対イオンの存在下で、さまざまな溶媒中の広範なモノマーから合成できる。それゆえ、実験は、種々の導電性ポリマー(様々な対イオンの他にこれらのポリマーの混合物でドープされた)をシステムのアレイの電極に蒸着させることから成る。
溶液の中のポリマーは、マイクロピペットのコーンを用いて蒸着させた。粉末状で利用可能なポリマーは、クロロホルムで可溶化され、それから、同じくマイクロピペット・コーンを用いて蒸着させた。そして、溶液中のこれらのポリマーは、二ヨウ素(I2)蒸気で2時間ドープした。PEDOT−PSSは、水溶液の中ですでに伝導性のポリマーであり、それゆえ、二ヨウ素蒸気によってドープする必要はない。
不溶ポリマーの蒸着は、3−電極アセンブリおよび電解質(0.1mol.L−1の濃度)を有するモノマー溶液(0.05のmol.L−1の濃度)によるパーコレーション(2本の電極間のポリマー接合)まで、電子重合によって行う。
実施例4: 検知層の特性評価
4.1 ポリマー・センサによる環境の区別
4.1.A 真菌株に基づくキャラクタリゼーション(characterization)
予備試験(研究の異なる菌株を使用して行う)によってかびの生えた環境にさらされたポリマー・センサの特定の反応を得ることができた。たがいに異なる菌株によって得られたプロフィル(3回繰り返される)の全てが、汚染された環境および殺菌された環境のセンサの反応のたがいに異なる挙動を示す。この観察の結果として、ポリマー・センサの反応のより正確なキャラクタリゼーションが、全ての種類の室内環境において頻繁に遭遇する2つのカビ種によってもたらせれた:ペニシリウム・ブレビコンパクツム(Penicillium brevicompactum)およびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)。
反応を特徴づけるために用いる実験的なプロトコルは、種々の空気試料を、システムのカード上に存在する12のポリマー・センサに、20分の間、通すことから成る。試験された14のポリマーおよびポリマー混合物(表3)の中で、5つは、試料タイプ(ろ過された空気、制御チャンバ、汚染された部屋)に従って、たがいに異なった信号の挙動を示す。試験は、次の導電性ポリマーを使用して行われた。ポリマーの一覧ならびに汚染された環境から汚染されていない環境を区別するために用いる混合物(種々の層の重ね合せ)は、表3に示す。
試験された導電性ポリマーの一覧
利用可能な結果を与えたセンサは、PEDOT−PSS、ポリピロール+リチウム過塩素酸塩、PEDOT−PSSおよびCOPO、エタノールおよび水の中で二ヨウ素蒸気およびPpy/オクタンスルホン酸塩(0.3M)によってドープされたジブロミン・ビフルオレン・ユニット(dibromine bifluorene unit)に基づく。
他のポリマーは、加えた刺激に対して無反応または変わりやすい非特定的反応を示した。
吸着したVOCの完全な脱着を可能にしている洗浄プロトコルは、好ましくその後実行され、これらのポリマーが、現場での用途のためのカビの検出専用のセンサ・システムで用いられる場合、このドリフトを防止する。
種々の試験の間に、チャンバの汚染空気の希釈現象もまた、連続したサンプル収集のために観察された。これにより、同一のチャンバの2つの試料収集間の変化が説明可能である。
カビによって放出されるVOCは、極性分子(アルコール、ケトン類、硫黄含有化合物)である。それゆえ、相互作用メカニズムに出される仮説は、ポリマーに存在する酸素(O)、硫黄(S)および窒素(N)の原子を有するこれらの極性の機能の相互作用であろう。
実施例5: 第2の実施形態
空気中に化合物の分析において、複数センサ・システムの主な限界は、センサの検知層の湿気、ドリフトおよび汚染に対する高感度である。しかしながら、センサ・アレイの使用により、使用者のための複雑な構成を必要とせずに、揮発成分の検出および識別のための迅速で、簡単な、非侵襲性および非破壊的サンプリングが可能になる。
6.1 生物的物質および増殖基質
これらの試験のために選択される真菌種は、Institute of Hygiene and Epidemiology−Mycology of Brussels (IHEM)からの菌株:アスペルギルス・ニガーである。この真菌株は、培地S10{(2%のブドウ糖を有する希釈されたサブロー寒天培地;メルク(Merck)}上の超高純度の水に4℃で保存する。培養はS10とオート寒天培地を交互に切り替える。ここで、S10は、栄養分に乏しい培地(現実に最も近い培地)であり、オートむgい寒天培地は栄養豊富な培地である。最終的な培養は、オート麦寒天培地で25℃で7日後に得られる。
栄養培地に関係なく、培養菌は暗所で25℃で培養する。この種は、それが室内環境において頻繁に見つけられて、真菌の汚染指数の全てのトレーサを、その成長の間、放出するので選択された。
使用する増殖基質はガラス布(ここに塗布される)である。蒸留水が加えられる前に、この材料は切られて殺菌される(121℃、45分、湿熱)。
6.2 特定のVOC放出チャンバ
濃縮および分離モジュール上の試験は、汚染指数の作成のために本実施形態において前に使用したものと同一の300mLの放出チャンバを使用してさらに行った。そして、化学的標的標準物質(chemical target standards)は、種々のマイクロ・モジュールを試験するために、これらのチャンバに蒸着させた。これを行うため、真菌成長のトレーサとして識別される8つの化合物を使用した。これらの標準物質(SIGMA−ALDRICH社で販売されている)の一覧は、表4に記載する。
前処理モジュールの検証のための標準物質の一覧
これらの8つのトレーサは、5g.L−1の濃度を得るために、エタノールの溶液に入れた。
使用する増殖支持体は、ガラス布である。蒸留水が加えられる前に、この材料は切られ殺菌される(121℃、45分、湿熱)。各々のチャンバは、50mLのガラスビーズおよび5mLの蒸留水を含む。チャンバに基質を配置した後に、得られる負荷速度は、7.10−2cm/cmである。
これらの放出チャンバを使用して、3つの環境は、開発された:制御環境(control climate)(汚染なし)、アスペルギルス・ニガーによって汚染された環境、および、8つの標準物質の溶液を含んでいる環境。アスペルギルス・ニガーによる汚染のために使用される胞子懸濁液の前処理は、50mLの超純水をオート麦上で培養された菌株に注ぐことによって作成される。
種々のチャンバのコンディショニングのために、活性炭で空気をろ過(増殖開始の前に存在するVOCの除去)するのに30分かかる。そして、チャンバは、25℃、暗所で7日間、オーブン内に置かれる。
6.3 VOCのサンプリングおよび分析
6.3.A VOCのサンプリング
マイクロストラクチャの検証のフェーズ中のVOCのサンプリングおよび分析のために、2つの分析チェーン(analysis chain)を用いた。したがって、サンプリングを2つの分析チェーンの各々の注入システムと互換性のあるものにするために、2つの試料収集技術を選んだ。
第1の分析チェーン、GC/MS1(パーキンエルマー社で販売されている)については、サンプリングはテナックス管を使用して実行する。汚染指数開発部分に関しては、テナックス管Txでのサンプリングは、フレック社(Flec company)によって販売されるFL−1001空気ポンプを使用して、チャンバの中で、100mL/分−1の流速で30分間動的に実行する。
したがって、VOCはステンレス鋼管に捕捉され、そして、このステンレス鋼管は、4〜18個の炭素原子を含んでいるVOCに適している固体吸着剤、テナックスTA(スペルコ社(Supelco company)で販売されている)を含む。
この吸着剤は、2,6一酸化ジフェニレンを主成分とした多孔性ポリマーであり、その気孔サイズは0.18mm〜0.25mm(60メッシュ〜80メッシュ)の範囲におよぶ。熱コンディショニングによるテナックスTAの予備洗浄は、窒素流の下で有利に実行する。
それから、テナックス管は、自動熱脱着装置で脱着され、それで、捕捉されたVOCがリリースされ得るようにする。このように脱着された試料はカラムに直接注入する。熱脱着は、不活性ガス流によって押し流された試料を加熱することによって、固体アレイを用いた揮発性有機化合物を抽出する技術である。化合物は−30℃で冷捕捉において吸着され、そして、それらの化合物が分離されるクロマトグラフィーカラムに導かれる前に300℃で脱着させる。
第2のチェーン、GC/MS2{ヒューレット・パッカード社(the Hewlett Packard company)で販売されている}は、熱脱着装置を含まない。この場合、VOCサンプリングは、分析される気体試料が収集される、バイアル(2mlの容積を有するガラス・フラスコ)を使用して実行する。そして、チャンバからの放出物は、SP725EC膜ポンプによって、試料収集バイアルを含むチャンバで、6.2mL/分−1の流速で30分間収集する。
気体試料は、バイアルに閉じ込められ、そして、分析チェーンの自動注入器が、自動サンプラに存在するバイアルの1つの中に、シリンジによって空気量を収集することができる。
6.3.B 分析チェーンの説明
2つの分析チェーン、GC/MS1および2(VOCを分析するために用いる)は、2つの技術の組合せから成る:
− VOCを分離するために用いる気相クロマトグラフィー(GC)、
− これらの化合物を同定するために用いる質量分析(MS)。
2つの分析チェーン、パーキンエルマーおよびヒューレット・パッカード(マイクロストラクチャを検証するために用いる)の特性は、表5および表6にそれぞれ明記する。
GC/MS1(パーキンエルマー)の特性
GC/MS2(ヒューレット・パッカード)の特性
2つの分析チェーンのために、得られたスペクトルは、マス・スペクトル・ライブラリ(mass spectral library)(NIST、1998)と比較される。
2つの分析モードを化合物を検出するために用いた:
− いわゆる「供給源」スペクトル、すなわち、所与の時点に供給源で作られるイオンの全てが存在するスペクトルを記録するために用いる、いわゆる「スキャニング」または「フルスキャン」モード、
− ”SIM”{「単一イオン・モニタリング(Single Ion Monitoring)}モードであり、ただ1つの(または少数の)イオンを検出することから成る。それゆえ、質量分析計はフィルタとして機能する。調査される分析物に特有のほんの少数(一般に、1〜4)のイオンだけを検出するように、それは、プログラムされる。分析物の検出に関連する信号を増大させると、クロマトグラフィーのバックグラウンド・ノイズを減らしながら、感度を改善することが可能になる。四極子で、イオンのスキャン時間(滞留)は、走査されるm/z比の範囲と比例している。それゆえ、「フルスキャン」モードと比べると、ほとんどのm/z値に作用しないことは、相当するイオンの検出に与えられる時間を増大する。低い試料濃度が注入されるときには、「SIM」モードが用いられる。
したがって、テナックス管での試料収集において、化合物が過度な濃度の場合、検出器を保護するために、カラム出口のスプリットは、収集された試料体積、すなわち、90mLの3%が注入され得る。
バイアルによる試料収集において、注入される体積は5μLである。それゆえ、テナックス管で収集された試料の分析と比べて、18,000の希釈係数となる。表7に、使用した2つのサンプリング・モードによる試料収集の特性を一覧にする。
試料収集の特性
6.4 モジュールを検証するための装置
6.4.A 前濃縮モジュール
本実施形態において開発される濃縮マイクロストラクチャは、長さ60mmおよび幅500 μmがエッチングされたシリコン基板から成る。ガラス基板を融着(fusion)すると、閉じ込められた気孔を作ることができる。そして、マイクロストラクチャは、120μmの平均直径を有するテナックス粒子で機能させられる。この種のマイクロストラクチャに適している流体コネクタは、ポンプとの接続、および、空気を構造を通して循環することを可能にするために、キャピラリをマイクロモジュールの出入り用開口に備えることを可能にする
濃縮マイクロストラクチャに関する試験プロトコルは、2つの試料タイプの使用を好ましくは含む。これら2つの試料タイプとは、トレーサ(放出チャンバは8つのトレーサの混合物を含んでいる)を有する試料、および真菌汚染(放出チャンバはアスペルギルス・ニガーによって汚染されたガラス布を含んでいる)のある試料である。
試験プロトコルは、たがいに異なるチャンバから前濃縮器を通って、SP725EC膜ポンプによって、6.2mL/分−1の流速で30分間、空気を収集することから成る。そして、前濃縮器からの試料は、140℃で30分間脱着され、そして試料収集バイアルを含むチャンバの中にポンプを介して抽出される。そして、バイアルに収容した前濃縮器からの試料は、GC/MS分析チェーンで分析する。
6.4.B 分離モジュール
本実施形態で開発された分離マイクロストラクチャは、シリコン基板も含み、このシリコン基板には、長さ5m、幅150μmおよび深さ200μmの溝がエッチングしてある。ガラス基板と融着するとチャネルを作製することができる。マイクロストラクチャは、PDMSから成る固定相と共に、通過する分子が保持されることを可能にするように機能付与される。濃縮マイクロストラクチャに関しては、適切な流体コネクタによって、ポンプとの接続を可能にして、空気が構造を通って循環することを可能にするために、マイクロモジュールの出入り用開口にキャピラリを備えることが可能になる。
一旦クロマトグラフィーマイクロカラムを作製し、機能付与したならば、研究の種々の標的化合物を保持し、分離するための有効性を検査するために試験を行った。
このため、汚染指標の開発において使用する気相クロマトグラフィー分析ベンチが、従来のクロマトグラフィーカラムをマイクロカラムに置き換えることによって使われた。質量分析計が、化合物を識別するために、出口で使われた。
2つの試料タイプが、マイクロカラム試験プロトコルにおいても使われた:これら2つの試料タイプとは、トレーサ(放出チャンバは8つのトレーサの混合物を含んでいる)を有する試料、および真菌汚染(放出チャンバはアスペルギルス・ニガーによって汚染されたガラス布を含んでいる)のある試料である。異なるチャンバの空気試料は、ポンプ(空気Pump1001、フレック)によって、100mL/分−1の流速で30分間、テナックス管によって収集する。それから、管をGC/MS分析チェーンの自動熱脱着装置に配置し、試料を分析することを可能にする。したがって、試料は、保持有効性を検査するために、マイクロカラムによって分離し、質量分析によって出口で分析する。マイクロカラム試験プロトコルにおいて、バイアル試料収集方法を同じく用いた。第2のGC/MS分析チェーンにおいても、試料は、従来のカラムをマイクロカラムに置き換えることによって同じく分析した。
実施例6: 前処理モジュールを作製のためのプロセス
7.1.A マイクロモジュールを有する要素
マイクロモジュール作製プロセスを定めるための、第1の技術的選択は、パターンをエッチングするために使用される基板に関する。シリコンは、その機械的および電気的特性のためにマイクロシステムを作製するために非常に広く使われている基材である。単結晶シリコンは、豊富および安価で、小型化によく適している材料である。
装置は、4インチ(約10cm)の直径および500μm(475〜525μm)の厚さを有する2つの面を有するプレート(ウェーハ)を使用しているシリコン基板で作製した。
マイクロ流体構造の作製は、マイクロシステムと空気循環システム(マイクロポンプ、弁など)との間の接続を作製できることを含む。本実施形態において用いられた解決策は、「NanoPort」の使用である。これらの流体コネクタは、マイクロストラクチャに適し、そして、マイクロモジュールの出入り用開口にキャピラリを備えることを可能にする。これらのコネクタの位置決めは、マイクロストラクチャの出入り用開口とキャピラリが挿入されるようにしているコネクタの開口部との間に良好な位置合わせを必要とする。これらのコネクタは、接着リング、シール・ジョイント、コネクタ本体、そして最後に、キャピラリが挿入されるのを可能にしている「ネジ」を含んでいる。
システムのそれぞれのモジュール間の接続を作製するためにこの実施形態において使用する管は、1/32インチ(800μm)の外径および0.008インチ(200μm)の内径を有するPEEK管である。
2台のモジュール(それは、クロマトグラフィーマイクロカラムおよび濃縮マイクロストラクチャである)の使用は、その温度を制御し得ることを含む。実際、カラムの温度は、その有効性に影響する、そして、濃縮構造体は、捕捉された分子をリリース可能な温度に加熱することを必要とする。この観点から、加熱抵抗器は、それゆえ、マイクロモジュールと一体化した。
この種の適用例のための文献において最も頻繁に用いられる材料は、プラチナである。正の温度係数および良好な感度因子に加えて、この材料は高い抵抗率を有する。高い抵抗率を有する材料は、ジュール効果によって大量の熱を放散させる効果がある。プラチナも、高い温度に対する線形性によって特徴づけられている。しかしながら、プラチナを使用するには蒸着層を使用する必要がある。この蒸着層を作製するために用いる材料は、チタニウムである。蒸着厚は、チタニウムおよびプラチナ、それぞれ50および100nmある。
7.1.B マスクの設計
リソグラフィーの使用は、シリコン技術において、クロマトグラフィーマイクロカラムまたは濃縮マイクロストラクチャなどの、マイクロストラクチャの作製のために非常に広く使われるプロセスであり続けている。リソグラフィーを使うと、高解像度構造を作製することが可能になる。この種の構造を作製するために一般的に用いる方法は、「トップダウン(”top−down”)」と呼ばれる、すなわち、プロセスは基板から始めて、そして、材料にパターンをエッチングすることを含む。
リソグラフィーは、マスク(実際の製造工程で使用される)を作製することを最初に含む。そして、このマスクが、露光領域およびそれゆえ基板のエッチング領域を定めることを可能にする。これらのマスクの設計は、Coventor2008ソフトウェアを使用して実行した。
したがって、これらのマスクによって構造の最終形状を定めることができる。それゆえ、我々の2つの「分離」および「濃縮」モジュールを作製するために、3つのマスク・レベルが必要であった:前面にエッチングされる溝の形状を定める第1のレベル、裏面にエッチングされる溝の形状を定める第2のレベル、構造の出入り用開口をつくり、そして最後に、裏面側にさらに加熱抵抗器を作製する第3のレベル。
マイクロカラム・マスク
それゆえ、第1のマスク・レベル(N1)は、カラムの溝、すなわちシル(sill)の形状に関する。複数の幾何学的形状が、マイクロカラムの溝の配列に関して、構造の大きさ、それゆえ寸法を制限するために想定され得る。本実施形態においては、使用される幾何学的形状は、「コイル」タイプの構成である。死空間を制限して、カラムの詰込み(packing)を容易にするために、各溝間のカラムのエルボは円弧の形で作製した。円弧の形により、構造は直角部分を有しないことが可能になる。カラム長を選択し、5mに設定した。この種のマイクロストラクチャのために、このように比較的長い長さを選択したのは、この装置が、様々な化合物の複雑な試料の分離を可能にしなければならないことに基づく。したがって、長い長さを選択することによって、カラムの有効性を高め、それゆえ、化合物のより良好な分離を得ることが可能になる。
マイクロカラムを作製するためのチップの幾何学的な特性は、表8に一覧する。
マイクロカラム・チップの幾何学的な特性(単位:μm)
ポジ型またはネガ型の感光性樹脂の選択に関しては、作製プロセスで、マスク設計中のマスクの「極性」の選択が指定されなければならない。したがって、マスクに転写されるデータ(「デジタル化されたデータ」)は、暗いバックグラウンドには明るくかまたは、明るいバックグラウンドに暗くかどちらかで与えられなければならない。この第1のマスク・レベルを作製するために、極性は、明るいデータで選択した。
第2のマスク・レベル(N2)は、マイクロストラクチャへの出入り用開口に関する。本実施形態で使われる選択は、NanoPortsを介して基板の裏面側から、構造にアクセスすることになっている。NanoPortsは、PEEK管によってマイクロシステムと空気循環システムとの間の接続を可能にする。選択されるPEEK管は、800μmの外径に対して200μmの内径であるので、使用する出入り用開口の寸法は、NanoPortの配置を容易にするように直径で400μmである。実際、これらの寸法によって、管が構造に当接することができ、管および構造の開口部が重なる危険を防止することができる。このマスクの極性もまた、明るいデータで選択した。
第3のマスク・レベル(N3)は、構造の温度を加熱して、制御するために用いる加熱抵抗器の作製に関する。当業者に知られている先行技術は、この種の分離マイクロストラクチャの作製における温度の重要性を示している。
抵抗の値は、次の公式によって定義されるので、これらの幾何学的な特性に依存している:
ここで、ρは材料の抵抗率、lは長さ、wは幅、Sは表面積そしてeは厚さである。
加熱抵抗器は、マイクロストラクチャと一体化できる;それでも、第1段階で、外部の加熱抵抗器を一体化している閉じ込めチャンバを使う。
位置合わせパターンの存在は、種々のマスクを重ね合わせ、各マスクの上に種々のパターンを位置合わせすることを可能にするために、リソグラフィー・フェーズにおいて好ましい。種々のマスクの位置決めは、2つの幾何学図形を位置合わせし重ね合わせることによって実行する。一般的に見られ、本実施形態で使われる位置合わせパターンは十字形である(図2)。
本実施形態において、位置合わせパターンの存在によって、具体的には、出入り用開口(access opening)(「orif」)を前面(「ant」)に、出入り用開口(inlet/outlet opening)がマイクロチャネルの端にある状態で、背面(「post」)に配置できる。この場合、これらの2つのパターン間の数マイクロメートルのオフセットによって構造が使用不可能になることがあり得る場合には、位置合わせパターンの精度はより重要である。したがって、小さい位置合わせパターンの使用は、1μmのオーダーの配列精度を得ることを可能にする。
位置合わせパターンは、マイクロチャネルによって形成される表面の下に加熱抵抗器RCを位置させるために、加熱抵抗器RCのマスク上にも存在する
マイクロカラム・チップを作製するためにCoventor2008によって開発される種々のマスク・レベルのイメージは、図3に示す。
マイクロ前濃縮器マスク
濃縮マイクロストラクチャを作製するために、複数の幾何学的形状もまた想定することができる。真菌の検出のために選択される分子が捕捉され得るようにする本実施形態において使用される吸着材料は、テナックスTAである。この材料(粒子の形で入手可能)の構造の詰込みを容易にするために、エルボのない構造を使用した。我々の研究でVOCの検出のために伝統的に用いられるテナックス試料収集管は、300μmの平均直径の粒子を有する、1cm(5cmの長さおよび0.5cmの直径)の有効容積を含む。前濃縮マイクロストラクチャを作製するために、使用される粒子のサイズはより小さいものである(120μmの平均直径)。より小さい直径を使用することにより、比表面積の増大を可能にする(6倍);それゆえ、有効容積は減少して0.25cm(四分の一)が使われた。したがって、長さ60mmおよび幅500μmの溝を開発した。
空気が通過する間、粒子をマイクロストラクチャ内に保つために、マイクロピラー(micropillar)を使用して、格子を構造の出口に作製した。構造に挿入されるテナックス粒子のサイズが75μmの最小直径を有することができるので、使用される格子の寸法は55μmのピラー(pillar)の間隔を有する幅56μmのピラーを含んだ。
マイクロ前濃縮器を作製するためのチップの幾何学的な特性は、表9で報告する。
前濃縮チップの幾何学的な特性(単位:μm)
第2のマスク・レベル上の出入り用開口に関して、技術的ソリューション(NanoPorts)および使用された開口部の幾何学的な特性は、マイクロカラム・チップの作製のために使用されたものと同一である。
マイクロカラム・マスクの設計に関しては、加熱抵抗器を前濃縮モジュールと一体化することも想定される、それゆえ、第3のマスク・レベルが開発された。しかしながら、閉じ込めチャンバは、外部の加熱抵抗器を使用することを可能にするために、第1段階においてさらに与えられる。
前濃縮チップを作製するためにCoventor2008によって開発される種々のマスク・レベルのイメージは、図4に示す。
7.1.C 前処理モジュールを作製するためのプロセス
この種の構造の作製は、作製手順、またはより正確に言うとエッチング技術を選択する課題を当然提示する。そして、作成手順とはこのような解像度と両立できるものである。チャネルの特性寸法は約100ミクロンであり、断面は従来から矩形、半円形または円形である。参考文献によれば、キャピラリ・カラムのための断面形状は、カラムの分離有効性に影響しない。それゆえ、この所見によって、作製プロセスによって定義されるエッチング形状に関しての制約を除くことができる。
DRIEは、高アスペクト比を有する深い異方性エッチングを作ることを可能にする作製プロセスである。したがって、DRIEエッチングによって作製される矩形の断面の選択はこのようにして行った。
試料の2つの前処理モジュール(それらは、マイクロカラムおよび前濃縮器である)のために使用される作製プロセスは、実質的に同じであり、図5に詳しく示す。2つのモジュール間のプロセスの主な差は、溝のエッチング深さに関する。したがって、200μmのエッチング深さをクロマトグラフィーマイクロカラムを形成しているチャネルのために定め、そして、250μmのエッチング深さを前濃縮構造の溝のために定めた。
ステップT1: ウェーハの洗浄
疎水性が得られるまで、プレート(ウェーハ)の基板(Si)は好ましくは、HF1%溶液に浸漬する。それから、脱イオン水で5分間すすぐ。洗浄は、第1のステージにおいて、硫酸を使用して(HSO4、150℃で3分間)、有機不純物を溶かすことから成る。第2のステージにおいて、硝酸を使用しての(HNO3、3分間)酸化被膜の形成によって、金属不純物を捕捉する。それから、ウェーハは脱イオン水で5分間再びすすぎ、そして、脱イオン水での最終的なリンスの前に、形成された酸化物層は新しいHF1%溶液によって取り除く。そして、ウェーハは窒素の下で乾燥させる。
ステップT2: アルミニウム蒸着
DRIEエッチングは、基板がエッチングされない領域を定めることを可能にする保護層の使用を好ましくは含む。本実施形態で用いられる保護層は、5000Åの厚さ(すなわち、500nm)を有するアルミニウム層、Al、である。蒸着は、周囲温度(24℃)の、アルゴン・プラズマ中で、陰極スパッタリングによって実行する。イオンは、0.5kVで電位差によって加速させる。蒸着は、3.10−7Torr.の低圧力の下で実行する。蒸着時間は、所望のアルミニウム厚に依存している。このパラメータによって、蒸着速度として、約1000Å/分であるので、蒸着は5分続く。
次のステップは、ウェーハのDRIEエッチング領域、すなわち、アルミニウム層によって保護されていない領域を定めることから成る。それゆえ、これらのステップは、ウェーハの各面への従来のUVフォトリソグラフィ・フェーズ、そして、アルミニウム層のウエット・エッチングを含む。
ステップT3、T4、T5およびT6:エッチング領域の定義
それゆえ、ステップT3は、ウェーハの各表面上に感光性樹脂層、res+を蒸着させることから成る。我々の場合において、選択される樹脂がポジ型樹脂(PFR7790)であり、すなわち、UVに露光される樹脂領域は分解される。樹脂は、最初は、回転機(whirler)を用いて、ウェーハの面に一様に蒸着させる。樹脂を広げるためのパラメータ(回転速度、加速度および具体的には樹脂の粘度)は、蒸着物の最終的な厚みを決定する。所望の厚みが1.2μmであるので、選ばれた樹脂のための回転速度は、30秒間、2000rpm−2の加速度での4500rpm−1である。ウェーハの両面上のレジン層の使用は樹脂のための、樹脂を硬化して、いくらかの溶媒を取り除くための短いアニーリング時間(110℃の5分)を好ましくは意味する。
そして、ウェーハの第2の面上の樹脂の蒸着を、同じ条件の下で実行し、100℃で15分間のアニーリングが続く。
背面上の第1のフォトリソグラフィ・ステップ(L)が次に実行できる。露光パラメータ(ランプの電力および露光時間)によって、パターンの鮮明度を定めることができる。我々の場合には、露光時間は、345Wのランプ電力で10秒に設定する。
そして、ステップT4は、具体的には、位置合わせパターンを出現させるために、樹脂を現像させ、その結果、露光の間、前面のマスクを位置合わせすることができることから成る。それゆえ、ウェーハは現像浴槽(PRD238)に1分10秒の間浸漬される。そして、現像されたウェーハは、脱イオン水で3分間すすぎ、乾燥させる。
そして、ステップT5は、前面上のフォトリソグラフィを実行することから成る。このため、マスクのパターンと背面上のウェーハのパターンとの間の位置合わせは、露光の前が好ましい。ウェーハのパターンの座標は保存され、そして、マスクの位置は、これらのパターンの座標と、顕微鏡の下で位置合わせすることができる。一旦位置合わせを実行したならば、前面の露光の条件は背面の露光のための条件と同じである。
ステップT6は、現像浴槽の樹脂を現像して、したがって、前面のパターンを出現させることから成る。パターンが完全に現れるまで、ウェーハは槽に浸す。
最終的に、2回目のアニーリングが、完全に樹脂を硬くするようにウェーハを加熱するためには好ましい。このアニーリング・ステップは、100℃で15分の間、炉内で実行する。ウェーハは、樹脂残渣(具体的にはエッチング穴の底)を現像の後に取り除き、そして、樹脂の穴の鮮鋭さを改善するために、O2プラズマを使用して洗浄する。
ステップT7: アルミニウム(Al)のエッチング
アルミニウムのエッチングは、アルミニウムが侵され得る酸から成る化学溶液の中で実行する(「Alエッチング」)。溶液は、30℃の温度に保つ。エッチングは、樹脂によって定められた領域のアルミニウム層が全て取り除かれるまで、視覚で確認する。そして、ウェーハは脱イオン水の中ですすぐ。
ステップT8:樹脂層の除去
一旦アルミニウム層をエッチングしたならば、ウェーハを樹脂層を取り除くためにアセトンに浸漬し、その後、そのウェーハをリンサー(rinser)へ移動する。リンサーとは、最初は300rpm−1、その後、1000rpm−1で回転させられ、そして、ウェハーを乾燥するためにわずかに加熱させられる水洗を有するドラムである。
ステップT9およびT10:背面(下部)および前面(上部)エッチング
出入り用開口を作成するためのDRIEエッチングにおいて、エッチングは、Si基板の厚み全体に渡って行う必要があり、したがって、一方の部分は、溝を有する前面からエッチングされ、他方の部分は、背面からエッチングされる。背面からのオーバー・エッチング(前面からのエッチング深さは、溝の深さによって設定されている)は、基板全体で垂直壁を得るために好ましい。実際に、このオーバー・エッチングがなければ、基板の両面のエッチング間の交差部分は、穴の直径の減少を伴うであろう。
マイクロカラム・チップのために、溝のエッチング深さは、200μmに設定する。基板厚が500μmであるので、背面からのエッチング深さは、それゆえ、360μm(その内の、60μmはオーバー・エッチングから成る)で設定する。
前濃縮器チップのために、溝のエッチング深さは400μmで設定される。基板厚が500μmであるので、背面からのエッチング深さは、それゆえ、160μm(その内の60μmはオーバー・エッチングから成る)で設定される。
2種類のガスが、DRIEエッチングを作製するために、交互に注入され、第1はシリコン・エッチングのためのSF6であり、チャンバに300mL/分−1で6秒間注入され、第2は抑制膜(inhibiting film)の蒸着のためのC4F8であり、チャンバに150mL/分−1で2秒間注入する。チャンバ内の圧力は、3〜4Paである。45分のエッチング・サイクルを用いる(具体的には、ウェーハの過剰な加熱を防止するために)。所与の時間の後にエッチング深さを測定することにより、所望の深さを得るために必要なエッチング時間を定めることができる。使用する条件の下で、エッチング速度は、一般に5μm/分−1に近い。
一旦DRIEエッチングが背面で完了したならば、前面でのDRIEエッチングを同じ条件の下で行う。エッチング深さは、マイクロカラム・チップおよび前濃縮器チップに、それぞれ200μmおよび400μmで設定する。
ステップT11:アルミニウム層の除去
DRIEエッチングステップの後、ウェーハを、アルミニウム層を取り除くことが可能な酸浴槽に浸漬させる。酸性溶液は、60℃の温度に保たれ、したがって、アルミニウム残渣にエッチングするプロセスを加速することを可能にする。ウェーハは、過酸化水素水浴槽(H 30%)/硫酸(HSO)で15分間、そして、残渣の残部を取り除く熱いO2プラズマ(225℃)の下で洗浄する。
ステップT12、T13、T14およびT15: 加熱抵抗器RC1またはRC2の作製
そして、次のステップは、チタニウム/プラチナ加熱抵抗器を作製することを可能にする。抵抗器の蒸着のために使用するプロセスは、「リフト・オフ(lift−off)」プロセス、すなわち犠牲層を用いた付加的な技術(エッチング技術と比べて)である。
ステップT12およびT13は、犠牲層として、ネガティブ型の樹脂(”res”)(露光されない樹脂が溶かされる)を用いて、従来のフォトリソグラフィ・ステップ(L)を構成する。それゆえ、7μmの厚さを得るために、樹脂は、回転機によって広げる。そして、110℃で90秒間のアニーリングを行う。抵抗器のパターンを含んでいるマスクMの顕微鏡の下での位置合わせを、ウェーハにエッチングされる位置合わせパターンの位置を保存した後に行う。そして、樹脂を、110℃で90秒の新しいアニーリングの前に、90秒間露光する。そして、ウェーハは現像浴槽(AZ351B/水)に浸漬し、そしてリンサーへ移動させる。
ステップT14は、抵抗器を作製するために用いる2つの金属層の連続した蒸着を行うことから成る。2つの金属層は、すなわち、蒸着層のための500Å(50nm)のチタニウム(Ti1)、そして、1000Å(100nm)のプラチナ(Pt1)である。金属層の蒸着の前に、作製された穴を適切に洗浄し、底の樹脂残渣を避けるために、基板はアルゴン・プラズマによってはがす。チタニウム(Ti)およびプラチナ(Pt)層の蒸着を、低圧(1.10−2mbar)でそれぞれ1分15秒および1分35秒の間、ウェーハの全表面に渡って行う。蒸着は、エッチングされた領域で基板に達し、エッチングされていない領域で樹脂上に達する。
そして、ステップT15は、犠牲層を取り除くことから成る。これを行うため、ウェーハを、超音波の下でアセトン浴槽に浸漬させる。犠牲層が取り除かれたとき、樹脂に接する金属層は引き離される。犠牲層の除去の後、金属層(Ti2およびPt2)は、基板との接触領域にだけ残っている。そして、ウェーハは、種々の残渣を取り除くために、種々の洗浄を受ける(樹脂、過酸化水素水/硫酸浴槽およびHF1%などのポリマー残渣のための浴槽)。
ステップT16: 陽極の溶接
シリコンを直接にマイクロマシーニングすることにより、外側に開いた構造(溝、シル)を得ることができる。ウェーハ間の陽極溶接(anode welding)は、閉空孔を得るために、互いにシリコンまたは異なる材料(ガラスのような)の基板を一緒に溶接することを可能にする技術である。閉空孔を作製するために用いるソリューションは、シリコン・ウエハ(溝を含む)とガラス・ウェーハ(v)間の陽極溶接である。
陽極溶接は、真空(10−4〜10−5mbar)の下で、および500Vの電界の下で10分間、420℃の高温で実行する。
7.1.D マイクロ流体接続
マイクロストラクチャを詰め込むことが可能なだけでなく、空気試料を循環させることが可能であるようにするために、前述のマイクロ流体コネクタ(NanoPorts)を備える必要がある。
コネクタを取り付ける方法は、その第1ステージで、接着剤の良好な蒸着力を確保するために、エタノールでウェーハ表面を洗浄することを好ましくは含む。一旦表面を洗浄したならば、接着リングをマイクロストラクチャの出入り用開口を囲んで配置する。そして、シール・ジョイントを、位置決め「リング」のコネクタ本体の下に配置する。そして、コネクタ本体は、接着性リングに蒸着させ、ウェーハおよびコネクタの開口部が位置合わせされ得るように、慎重に配置する必要がある。位置合わせは、視覚的に確認する。
一旦コネクタを配置したならば、ウェーハおよびコネクタ本体をクランプによって所定の位置に保持し、したがって、シールを加圧することができ、接続のきつさを確保する。ガラス・プレートを、ウェーハの他の面(ガラス側)に接して最初に配置し、マイクロストラクチャとクランプとの間の直接接触を防止する。そして、アセンブリは、180℃で、2時間炉内に置いておく。
7.2 モジュールに機能付与するためのプロセス
7.1.A 分離マイクロストラクチャ
一旦マイクロカラムを作製し、マイクロ流体接続が所定の位置にあるならば、モジュールを、気体化合物の溶出および分離を可能にする固定相によって、詰込みで機能付与させる。
汚染指数の開発のためのVOCの分析において、異なる化合物の分離を、固定相としてPDMS(好ましくは、5%のフェニル−95%のポリジメチルシロキサン)を含んでいるキャピラリ・カラムを使用する気相クロマトグラフィーによって実行した。マイクロカラムの作製のために、PDMS(ポリジメチルシロキサン)から構成される固定相を有する同様のカラム組成の選択を行った。
使用されるPDMS{ダウ・コーニング社(the Dow corning company)によって販売されているシルガード(Sylgard)(登録商標)184}は、2つの液体、ベースおよび架橋剤の形で販売されている。2つの成分は、10:1(ベース:架橋剤)の質量比で一般的には混合させる。架橋反応は混合で始まる。したがって、粘度は漸進的に増大し、ゲルの形成が続く。混合の間、気泡がもたらされるが、カラムの全長に渡って一様な蒸着を可能にするために、詰込みを行う前に取り除く必要がある。泡を取り除くために、混合物は真空チャンバの中に置く。除去時間は、発生した気泡の量に依存して変化する。
続いて、マイクロモジュールに挿入され、活性物質、すなわち、固定相でチャネルの作製を可能にするために、混合物を溶媒で希釈する。クロマトグラフィーカラムで最高の分離有効性を得るために、均一な固定相の層の蒸着が必要である。そして、固定層の蒸着は2つの方法によって行うことができる:動的(「動的コーティング」)または静的(「静的コーティング」)詰込みである:
− 動的詰込み手順は、一部のカラムに溶液を詰め込むことから成り、この溶液は、不活性ガスの圧力によって、約1〜2cm/s−1の速度で、カラムを通って押される。そして、溶液の微細な層がカラムの壁上に残される。詰込みの後、ガス流は溶媒の蒸発の間、維持し、したがって、カラムの壁上に固定相の層を残す。カラムは、溶媒の残留物の跡を取り除くために、溶媒の沸点より高く加熱する。膜厚は、相の希釈のために使用する溶媒の割合によって決める。それでもなお、この簡単な方法には、固定相の不均一な蒸着に結びつく問題がある(XuおよびVermeulen、1988)。
− 静的詰込み手順は、溶媒で希釈された固定相溶液をカラムに全面的に詰め込むことから成る。カラムに溶液を詰め込んだ後に、カラムの一端を塞ぎ、他端を真空ポンプに接続する。そして、カラムは、カラムの温度を制御するために、オーブンの中に、または、二重ボイラーの中に置く。溶媒の蒸発は、真空を適用することによって行い、カラムの壁上に固定相の一様な蒸着物を残す。この手順に関して、溶媒と固定相との間の比率を正確に知り、それゆえ、固定相の密度を知るので、蒸着物の厚みを、正確に決定することができる(XuおよびVermeulen、1988)。
マイクロカラムに機能付与するために静的詰込みを選択した。それゆえ、カラムの機能付与のプロセスは、3つのステップを含む:
ステップ1:溶液の準備
静的詰込みプロセスに関して、固定相の層の厚みは、溶液の濃度によって左右され、円形断面を有するキャピラリ・カラムの場合、次の方程式によって決定されてもよい:
ここで、dcはカラムの内径、cは溶液の濃度、そして、dfは蒸着層の厚みであり、したがって:
マイクロカラム詰込みのために使用される溶媒は、n−ペンタンである。その沸騰温度が36.06℃であるので、この溶媒は揮発性が高い利点があり、蒸発を促進する。さらに、それは非プロトン性であり、それは、シロキサン官能基(PDMSのSi−O−Si官能基)と反応することができるアシッド・ハイドロジェン(acid hydrogen)(酸素または窒素原子などのヘテロ原子と結合した水素)を有しないことを意味する。水またはエタノールなどのプロトン性溶媒は、ポリジメチルシロキサンのゲル化につながる。
試験のために使用されるマイクロカラムは、矩形の断面を有する。所望のPDMS厚が200nmであり、そのマイクロカラムが200μmの深さおよび150μmの幅を有するとすると、比率VPDMS/Vpentaneは0.47%と見積もられた。
キャピラリ・カラムで一般に使われるPDMS溶液の濃度とマイクロカラムのために使われるものを比較するために、上記の方程式のマイクロカラムの深さの値に内径の値を近似して算定を行った。200μmの深さに対して、比率VPDMS/Vpentaneは、0.4%と見積もられた。したがって、この値は上記の算出値と整合している。
溶液を準備するために、この体積比率は、質量比率に換算される:ρ=m/V、ここで、ρが化合物の密度、mが質量、そして、Vが体積であるとすると、質量比率は:
それゆえ、PDMSとペンタン間の質量比率は0.82%である。
ステップ2: カラム詰込み
このステップは、マイクロカラムに溶液を完全に詰め込むことから成る。したがって、溶媒で希釈されたPDMSの溶液は、シリンジ・ポンプ(syringe driver)によってマイクロカラムに注入する。チャネルの開閉を容易に制御することを可能にするために、カラムの各端部に弁を取り付ける。
詰込みの間、2つの弁は開いており、それゆえ、溶液はカラムを循環する。一旦カラムが完全に詰め込まれたならば、出口弁、それから入口弁を連続して閉じる。このように、カラムをシリンジ・ポンプから分離することができる。カラムを溶媒蒸発ステップのための真空ポンプに接続する前に、マイクロストラクチャの入口のアクセス管を、管内に含まれる溶液を取り除くために最初に切り離す。メニスカスの形成が、マイクロストラクチャの入口で観察される。このメニスカスは、溶媒の蒸発が発生する溶液(ペンタンで希釈されるPDMS)の表面に一致するものである。それゆえ、これは溶媒の蒸発を制御することを可能にするであろう。
溶液の濃度は、プロセスのこのステップにおいてさらに重要な役割を果たす。実際、溶媒のPDMSの希釈が不十分な場合、メニスカスの壁には、溶媒が蒸発するのを可能にはしない膜が形成される。
ステップ3:溶媒蒸発および機能付与
一旦カラムの入口のアクセス管を再接続したならば、真空ポンプをカラムに接続することができる。T型継手を、リングによって制御された漏出を作るために、入口弁とポンプの間に挿入し、カラム内の真空を制御可能にする。アセンブリ要素間をきつく接続することは、溶媒の蒸発プロセスの間の連続性を確保するための重要なパラメータである。
一旦接続したならば、それから、マイクロカラムを温度制御の加熱板に接して配置する。この加熱版は、マイクロストラクチャに加えられる温度を制御することを可能にしている。
マイクロストラクチャとの接触を確立させるときに、温度変化により、溶媒の膨張の後、メニスカスにわずかな移動が観察される。実際、静的詰込みプロセスで、外部熱はメニスカスへ伝導される。そして、それは溶媒が蒸発するのを可能にする。このように作られた溶媒の蒸気は、カラムが開くより高い圧力を有し、カラムを通過して出口に向かう。
このプロセスで、2つの主因は、出口の方への質量移動(溶剤蒸気)およびカラム内の熱伝導である。ポワズイユの法則から、この物理的な現象を支配する次の方程式を得る:
ここで、dV/dtは溶媒の蒸発速度、PおよびPはそれぞれ、メニスカスの、そして、カラム出口の圧力、ηは溶剤蒸気の粘度、Lはメニスカスとカラム出口の間の距離、Patmは気圧、dcはカラムの内径である。
この方程式により、カラムを通しての溶媒の蒸発の速度は、Lに反比例しおよびP−P に比例している。上記の方程式から、詰込み速度を支配している次の方程式が得られる:
ここで、dL/dtは詰込み速度、Mは溶媒のモル質量、Tcは、詰込み温度である、そして、d1は溶媒の密度である。
従来の静的詰込みプロセスにおいて、Pは一般に低く、それゆえ、詰込み速度dL/dtも低い。具体的には、満たされるカラムが長いとき、または、その内径が小さいときである。高い詰込み温度を用いるとき、Pもまた高いにもかかわらず項P−P が高くなり得る。しかしながら、高温の使用は、蒸気圧P、溶液の液相と気相間の平衡圧力、およびより高いメニスカスの圧力、Pの間の差につながる。この現象は泡の形成を増加させる場合があり、そして、カラムの非均一な機能付与にむすびつく。
詰込み速度を増加させために、真空ポンプをカラム出口に接続する。Pの値を減少させることが可能であり、したがって、質量移動を促進する。
それゆえ、蒸発プロセスの初期条件は次のようである:真空ポンプ(スイッチは切れている)は、制御リングを挿入してある入口弁(閉じられている)に接続する。出口バルブも閉じる。第1ステージで、ポンプは、漏出するように制御リングを開いた状態でスイッチを入れる。そして、入口弁を開き、制御リングをカラムの漸進的な真空を作るために次第に閉じる。真空の測定は入口弁の上流で行う。
我々の場合には、溶媒の蒸発は、約0.2barの真空に対して始まり、カラムの温度は、33℃に保つ。メニスカス(溶媒の蒸発によって形成される)の経過により、蒸着の進行をモニタすることができる。したがって、メニスカスはカラムの入口から出口へ動く。
蒸発プロセスは約15分間、すなわち、約0.5cm/秒−1の速度で続く。一旦メニスカスがカラム出口に到達したならば、出口管に含まれる溶媒が蒸発することを可能にするために、数分間、真空を維持する。それから、真空は制御リングによって次第に弱められていく。
マイクロカラムを機能付与するための最終ステップは、壁に蒸着させたPDMS層を架橋結合するために、カラムを80℃の炉の中に2時間置くことから成る。
溶媒蒸発プロセスにおいて、マイクロカラムに加えられる温度および真空の環境パラメータを制御することは難しい。実際に、不十分な温度(31℃以下)では、溶媒を蒸発させることはできない。一方、過剰な温度(35℃より上で、すなわち、溶媒の沸騰温度付近)では、カラムによる蒸発プロセスの漸進的変化に不連続が生じる。それゆえ、33℃の温度が選択された。しかしながら、蒸発プロセスは、温度に影響されやすいことに変わりはない。
真空を制御すると、この問題を解決することができる。実際に、適切な温度を見つけることが困難なままの場合であっても、一旦マイクロストラクチャの温度が安定するならば、カラム内で真空を管理すると、溶媒蒸発速度を制御することができる。したがって、真空を漸進的に増加させると、一方では、蒸発プロセスを開始する(本実施形態では0.2bar)ことが、そして、他方では、その速度を制御することができる(真空度が高くなればなるほど、蒸発速度は増加する)。
7.3.B 濃縮マイクロストラクチャ
真菌汚染指数を開発したので、真菌の検出のために選択される分子を捕捉するために適切な吸着剤としてテナックスTA、Txを識別することが可能になった。この材料は、粒子の形で利用できる。そして、直径50〜100μmの粒子サイズを得るために、篩を用いて粒子サイズを選択した。
材料が粒子形状なので、シリンジ・ポンプによってマイクロストラクチャに導入され得るように溶媒で希釈する。濃縮マイクロストラクチャのための詰込みプロセスは、マイクロカラムの機能付与のためと比べてより複雑ということはない。それでもやはり、テナックス粒子を装置に挿入することによる、マイクロストラクチャの機能付与を最適化するフェーズは、好ましい。希釈および挿入速度パラメータは、マイクロストラクチャの構造アクセス・チャンネルの詰まり、または非構造化の危険を避けるために具体的に定める必要がある。
濃縮マイクロストラクチャの機能付与のために使用する溶媒はエタノールである。希釈パラメータのために、テナックス体積とエタノール体積間の比率(VTenax/VEthanol)は、1〜2%と見積もる。
それゆえ、濃縮マイクロストラクチャ詰込みプロセスは、シリンジ・ポンプを介して、エタノールで希釈されたテナックス粒子を注入することから成る。磁石(シリンジに挿入される)は、マイクロ撹拌機に連結されて、粒子を溶媒の中で懸濁状態に保つことを可能にする。これにより、シリンジの底でのテナックス粒子の沈殿の問題を解決することができる。したがって、溶媒によって輸送される粒子は、次々と構造に注入される。マイクロストラクチャでは、垂直位置において、粒子が出口の方へ構造内を流れることができる。そして、構造の出口にマイクロピラーから構成される格子が存在するので、粒子をろ過することができる。
シリンジ・ポンプを使用することによって、詰込み速度を制御して、それゆえ、アクセス・チャンネルを介した構造への粒子の注入を制御することができる。しかしながら、詰込み速度が過剰になると、チャネルを形成している壁の部分的な破壊、または構造の背面上のひびの形成に結びつく可能性がある。
マイクロストラクチャの詰込みのための250μL/分−1の流速を選択した。これにより、一方では、構造に注入された粒子によるアクセス・チャンネルの目詰まり、および、他方では、マイクロストラクチャが、具体的には構造の詰込みの終わりにおいて、過剰な応力を受けることを避けることができる。
一旦マイクロストラクチャが完全に詰め込まれたならば、溶媒の残留物の痕跡を取り除くために、100℃のオーブン内に2時間置き、そして、構造を通ってろ過された空気の流路で140℃で2時間だけ調整する。
7.4 検出モジュールを作製するためのプロセス
データ収集システム(導電性ポリマー・センサでの試験で使用された)は、真菌由来VOC分析マイクロチェーンと統合して作製できない。この観点から、収集システムのコアから成るポリマー・マトリックスに基づく検出モジュールが作製された。したがって、検出モジュールは、ポリマー層の蒸着のための4対の交差指電極およびポリマー層を閉じ込めることができ、空気を通過させることができるステンレス鋼チャンバから成る。
7.4.A 交差指電極
前に収集において使用されたカードでは、簡単に、そして、正確に蒸着物を作製することができない。
一方では、その構成および種々のポリマーを蒸着させる方法は、同じポリマーが電極の全てに蒸着させられることを必要とする。実際に、他のポリマーまたは電解質の連続した蒸着、ならびに化学ドーピング(二ヨウ素蒸気)により、前の蒸着物は変わり、それゆえ、VOCとポリマーとの間の一意的な相互作用の機構が理解されることができない。そのうえ、使用される電極の構成によって、二つの電極間のポリマーの蒸着領域を制御することができなし。
したがって、単一の一対の交差指電極から構成される独立「チップ」は、これらの不利な点を克服するために開発された。以前のカードに関しては、電極は、クロム蒸着層を有する金でできている。作製プロセスは、図6に示す。
ステップD1: ウェーハの洗浄
洗浄は、以前のモジュールの作製のために使われたものと同一である。
ステップD2: クロムおよび金の層の蒸着
電極の作製のために、プロセスは、500Åの厚さをこえるクロム蒸着層(蒸着時間1分15秒)、そして、10,000Åの厚さの金の層(蒸着時間10分)を連続して均一に蒸着させることから成る。蒸着は、アルゴン・プラズマの中で、周囲温度(24℃)で、陰極スパッタリングによって実行する。
次のステップは、パターンの作製のためのエッチング領域を定めることから成る。それゆえ、これらのステップは、従来のUVフォトリソグラフィ・フェーズ、そしてクロムおよび金の層のウエット・エッチングを含む。
ステップD3およびD4: エッチング領域の決定
一旦層が蒸着されたならば、プロセスは、インターデジタル領域が作製され得るようにする従来のフォトリソグラフィ・ステップを実行することから成る。
それゆえ、ステップD3は、回転機を使用して、感光樹脂層(ポジ型PFR樹脂7790)を蒸着させることから成る。所望の厚みは、1.2μmである(回転速度4500rpm−1、30秒間の加速度2000rpm−2)。樹脂のアニーリングは、110℃、3分間、加熱板で実行する。そして、フォトリソグラフィ・ステップを、樹脂の露光時間設定が10秒およびランプ電力345Wで実行する。露光中に使用されるマスクのイメージを図7に示す。この図は、左から右に、一組のチップ、そして1つのチップおよび最終的に交差指電極を示す。
交差指電極対を含んでいるチップの作製のために使用される幾何学的な特性を表10に示す。
電極の幾何学的な特性(単位:μm)
ステップD4は、したがって、続いてエッチングされるパターンを形成する樹脂を現像することから成る。それゆえ、ウェーハは、現像浴槽(PRC238)に1分10秒間浸漬させる。そして、現像されるウェーハは、脱イオン水で3分間洗浄し、第2の現像後アニーリングの前に乾燥し、したがって、樹脂は完全に硬化させることができる。このアニーリング・ステップは、100℃の炉内で15分間で実行する。さらに、ウェーハは、現像の後、樹脂残渣を取り除くために(具体的には、エッチングされた穴の底)O2プラズマによって洗浄し、そして、樹脂の穴の鮮鋭さを改善する。
ステップD5: クロムおよび金の層のエッチング
金の、およびそれに続くクロムのエッチングを、酸から成る化学溶液中で実行する。溶液は、30℃の温度に保つ。
第1浴は、金層をエッチングできるような溶液中で実行する。全体の金層が樹脂によって定められた領域で取り除かれるまで、エッチングを視覚的に確認する。そして、ウェーハを、脱イオン水ですすぐ。
第2浴は、クロム層をエッチングできるような溶液中で実行する。全体のクロム層が樹脂によって定められた領域において取り除かれるまで、エッチングを視覚的に確認する。そして、ウェーハは、脱イオン水ですすぐ。
そして、新規な非常に速い浴を、2つの層の界面で、金およびクロム・エッチングのために行う。そして、ウェーハを脱イオン水ですすぐ。
ステップD6:樹脂層の除去
一旦層をエッチングしたならば、ウェーハは、残留する樹脂層を取り除くためにアセトンに浸漬し、そして、リンサーへ移動させる。
一旦カード作製プロセスを完了したならば、ウェーハ上に存在する他のカードの切断中に、電極へ粒子が蒸着するのを防ぐように、3μmの厚さを有する樹脂層をウェーハの全表面に再び蒸着させる。そして、樹脂を加熱板の上で110℃で1分30秒間、アニールする。カードを、導電性ポリマーと共に機能させるために使用する前に、アセトンに浸漬させることで、保護樹脂層を取り除くことができる。
7.4.B 閉じ込めチャンバ
試験システムに関して、ポリマー・センサの使用は、チャンバの開発を好ましくは必要とする。このチャンバによって、システム内を循環する空気試料だけに曝露されるよう、検知層を限定することができる。このチャンバを作製するための材料としてのステンレス鋼を選択し、かつ、テフロン・シール(PTFE)を使用することにより、ステンレス鋼およびテフロンがこの実施形態の実験的な条件の下で非放出材料なので、バックグラウンド・ノイズの発生を制限することができる。
閉じ込めチャンバは、例えば、2つの部分に分けられる。ベース部分は4つのくぼんだ溝を有し、そこに、電極を挿入することができる。ストッパ(stop)によって、電極に存在するポリマーの蒸着のための領域を、カバー部分に存在する閉じ込め「体積」に対向して配置することができる。
それゆえ、カバー部分は、チャネルによって互いに連結される4つの閉じ込め体積から成る。これらの閉じ込め体積によって、ポリマー蒸着領域のみを含む、したがって過剰な体積の試料の希釈を制限することができる。電極と閉じ込め体積との間の密着性を確保するために、テフロン・シールを、2つの要素の間の溝に挿入する。したがって、シールには、閉じ込め体積内に存在する空気試料を電極の検知層に曝露させることができる4つの開口がある。
最終的に、空気試料の循環は、カバー部分のチャンバの入口および出口でNanoPortによって確保する。
各センサ間の寸法および間隔は、2.54mmのステップを有する接続可能なコネクタを使用することができるように定めた。したがって、このコネクタによって、センサと情報処理カードとの間の接続ができる。
7.4.C 情報処理
導電性ポリマーによって機能付与されたセンサは、分析システムの検出モジュールとして使用され得るために、閉じ込めチャンバの中に置く。これらのセンサの動作の原理は、その表面での気体化合物の吸着によって誘導されるポリマーの伝導率の変化に基づく。この吸着は、ポリマーに存在する活性部位を有する化合物の親和性に依存している。
伝導率のこの変化を測定可能な信号に変換するために、センサは、「ホイートストン・ブリッジ」(PWh)と呼ばれる電気抵抗の変化を測定することができるアセンブリの中に置く。このアセンブリの原理は、2つの分岐のうちの1つにセンサを配置することによって、ブリッジの2つの分岐の平衡を保つことより成る。センサの抵抗率の変化により、アンバランス、およびブリッジの2つの分岐間に電圧が出現する(図10Aおよび10Bの線図を参照のこと)。
このアセンブリにおいて、dRは、センサ表面での気体化合物の吸着の間に生じる抵抗率の変化を表す。出力電圧VS1の値はアセンブリの要素によって定まる:
ここで、VCCは、ホイートストン・ブリッジ・アセンブリ(PWh)に印加される電圧である。
全ての抵抗が等しい(dR=0)ときに、VS1の値は0に等しい。センサの抵抗率が変化する(dR≠0)ときに、そして、VS1はこの変化のイメージ(image)であり、演算増幅器、Ampli1に基づく増幅アセンブリによって増幅されてもよい(図10Aの線図を参照のこと)。
このアセンブリによって、アセンブリを有する抵抗器の値に従ってVとVとの間の電圧(すなわちVS1)を増幅することができる:
および
ここで、R=30kΩおよびR=10kΩ。
そして、センサの抵抗率における変化を表しているアセンブリの出力電圧は以下のようになる:
この観点から、センサによって伝達される情報を処理することを可能にするカードを開発した。それは、抵抗率の変化を電圧に変換するために、ホイートストン・ブリッジを各センサと関連させること、およびアンプ・アセンブリ(Ampli1)から成る(図10A)。あるいは、図10Bのアンプ・アセンブリ(Ampli2)が、本発明の範囲を越えることなく使われてもよい。
ケイデンス・アレグロ・デザイン・エントリ(Cadence Allegro Design Entry)で開発されたアセンブリの線図は、センサの各々の処理のために使用する4つのアセンブリのうちの1つを表す。端子は、たがいに異なるセンサの測定信号を結合して、使用者が伝達情報を受けることができるように測定ノードを接続できるようにする。参照符号Cx(図13)は、処理カードおよび制御カードの連結端子を示す。
したがって、4つのアセンブリおよび端子は、異なるセンサの信号を処理するためのカードを共に形成する。そして、このアセンブリは、カードを開発するために、アレグロ・PCBデザイン(Allegro PCB Design)ツールによって一体化することができる。このツールは、ケイデンス・アレグロ・デザイン・エントリで定められた全ての接続を一体化することによって、カードの様々な構成部品間の配置やルーティングを可能にする。そして、センサによって伝達される信号を処理するためのカードを作製することができる。
7.5 モジュールの特性評価
7.5.A 試料濃縮モジュール
図8に関連して、8つのトレーサの捕捉および脱着を、従来のクロマトグラフィーによって検証した。8つのトレーサはカビによって汚染される環境で見つかった、しかし、観察された濃度は低かった。
図8のピークは、次のようである:c:メチルフラン;d:2−メチル−1−ブタノール;d’:3−メチル−1−ブタノール;e:4−ヘプタノン;f:3−ヘプタノール;g:メトキシベンゼン;h:α−ピネン;i:1−オクテン−3−オール。
7.5.B 試料分離モジュール
分離モジュールは、クロマトグラフィーおよび質量分析によってさらに検証した。
溶液中の8つのトレーサから得られるクロマトグラムを図9に示す。
試験されたマイクロカラムによって、試験される8つのトレーサのうちの7つを分離することができた:3−メチル−1−ブタノールおよび2−メチル−1−ブタノール(これらは、異性体である)は共溶出された。
これらの全ての試験によって、トレーサを分離するのに最も適している条件を見つけ出し(40℃で等温およびヘリウム流速0.5ml/分−1)、および、分析時間を著しく減少させる(標準カラムに対する1時間30秒と比較してマイクロカラムに対して約10分)ことができた。したがって、たがいに異なる保持時間が、真菌の汚染指数を算出され得るようにできる11のトレーサに対して得られることを示すことによって、これらの試験は、分離モジュールを検証することを可能にした。
7.5.C 検出モジュール
試験は、ポリピロール/オクタンスルホン酸ナトリウム(0.3M)およびPEDOT−PSSについて行った。これらの2つの検知層を、異なる揮発性有機化合物(VOC)に曝露させた。図10Aおよび10Bで示される装置によって、これらの試験を行った。
図10Cで示した試験において、2つの導電性ポリマーは、真菌の汚染指数からの8つのVOCに、蒸留水(l)およびエタノール(m)に曝露される。一般に、参照符号CH1〜CH4は、異なる試験を示す。
負の微小抵抗差が6つのVOC{α−ピネン、アニソール(j)、1−オクテン−3−オル、2−メチルフラン、3−ヘプタノール(k)}、エタノールおよび水に対して観察された。しかしながら、正の微小抵抗差が、2つのVOC、2−メチル−1−ブタノールおよび3−メチル−1−ブタノールについて観測された。これらの2つの異性体VOCのために、これらの反応は類似しており、そして、それは第一級アルコール類である。ポリマーがエタノール(第一級アルコールである)に曝露されるときに、負の微小抵抗差が観察された。これは、それが水を含むという事実によって説明される。
そして、第一級アルコールに対する選択性を確認するために、2つの検知層を、一連の第一級アルコール、すなわち、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ブタノール(n)、1−ペンタノール(o)および1−ヘキサノール(p)に、2つのアルカン、すなわち、ヘプタン(q)およびオクタン(s)に、ならびに、3−ヘプタノール(r)に、2−オクテン−3−オールに、および、4−ヘプタノンに曝露させた。正の微小抵抗差は、第一級アルコールに対して観察された。しかしながら、負の微小抵抗差が、他のVOCのために観察された。結果は、図10Dに示す。この図において、参照符号CH1およびCH3がPEDOT/PSSでの試験を示し、そして、参照符号CH2およびCH4は、OSS(0.3M)での試験を示す。
そして、PEDOT−PSSは、一連の第一級アルコール、すなわち、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ブタノール、1−ペンタノールおよび1−ヘキサノールに、3つのアルカン、すなわち、ペンタン、ヘプタン、およびオクタンに曝露された。結果は、図10Eに示す。
アルカンに対する曝露の間、負の微小抵抗差が観察された。
そして、この検知層は、異なる障害を有する3つの第一級アルコールに曝露された。結果は、図10Fに示す。
図10C〜10Fによって、第一級アルコールが妨害されるときに、その微小抵抗差は、妨害されていないアルコールに関して減少すると結論づけられる。
導電性ポリマーによって、金属酸化物または複合材料の限界(モジュール性、極性化合物に対する特異性、エネルギー消費など)を越えることができる。それらの化学組成はVOCのそれらに類似している。それによって、ポリマーとVOCの間に物理的相互作用をつくる。さらに、それらの構造は修正可能であり、そして、VOCを標的とするために、定められた選択性を有する材料を作られるようにすることが可能である。
実施例7: システムの統合および制御
8. 分析システムの制御インタフェース
8.1 分析システムのアーキテクチャ
8.1.A 分析システムの原理
システムの概略図は、図11に示す。それゆえ、システムは、3つのモジュール(前濃縮モジュール、分離モジュールおよび検出モジュール)、ポンプPおよび3つの電磁弁E1、E2、E3を備える。
選択されたポンプPは、例えば、偏心膜ポンプ(参照SP725ECの下でScharzer Precisionによって販売されている)である。ポンプは、0〜24Vの直流電源で作動する。ポンプの特性は、マイクロチャネルの使用によって生じる、1〜2barの損失水頭に従って選択した。
濃縮フェーズの間、ポンプによって、試料をモジュールを通って空気循環によって収集することができる。したがって、分子蓄積プロセスによって、濃縮の後、分析されるべき空気試料に含まれる分子は、マイクロストラクチャ内に保持されている。分析フェーズの間、システムの入口で、フィルタ(活性炭)がポンプと連携してシステムを通る空気循環を清浄し、ベクター・ガスとして供給する。
電磁弁によって、分析ステップの間、空気流の方向を選択することができる。温度調節器に付随した加熱要素は、濃縮および分離マイクロストラクチャが、捕捉された分子がリリースされ得るように加熱するために、システムにさらに一体化してある。
システムで使用される電磁弁は、リー社(Lee company)によって開発されるミニチュア電磁弁である。
濃縮および分離モジュールのために使用される加熱要素に関して、MINCO社によって作製されるRCマイカ・ヒータを選択した。
実例として、2つのマイクロストラクチャの各々のために使用する要素の特性を、表11に示す。
マイカ・ヒーターの特性
システムは、制御カード(CCom)によって制御され、この制御カードは、一方では、電磁弁、温度調節器およびポンプの制御装置を管理することを、および、他方では、処理カード(CTr)によってセンサによって伝達される情報を集めることを可能にしている。
8.1.B 分析ステップの説明
それゆえ、試料の分析は、従来のガスクロマトグラフィー・システムと同じ2つの主要なステップ、すなわち、試料の濃縮、そして、分離による分析に分割される。ポンプおよび電磁弁を使用すると、状態を切替えることによってモジュールを通る空気流を導くことができる。図12において示すプロセスの好ましい実例は、実行される分析ステップに従うシステムを構成する種々の要素の可能な状態を結びつけている。したがって、分析ステップを表わす以下の4つの状況を定めることができる:「非アクティブ」10、「濃縮」20、「分子分析」40、および「センサ洗浄」30。
システムの「非アクティブ」状態10は、分析ステップの始めおよび終わりにおけるシステムの状態に相当する。
「濃縮」状態20は、濃縮マイクロストラクチャを通して分析される空気を収集し、試料を濃縮することから構成される第1のステップに相当する。
「分子分析」40および「センサ洗浄」30状態は、興味がある分子の有無によって、システムによってとられる2つの状態に相当する。
図14の他の参照符号は以下のようである:
V:真;F:偽;O:Yes;N:No;13B:開始;14:Init?;11:ステップ選択?;21:t=tconcen?;23:分析?;31:t=tmolecul?32:t=tanalysis?;31:t=texpo?;42:分析完了;12:システム停止;13A:終了。
システムによって、試料の分子を、それぞれの分子に特定な保持時間によって分離することができる。
分離モジュールの出口で、分析時間が目的とする分子の1つの保持時間に相当するときに、システムは、検出モジュールに分子を導くために、数秒間、「分子分析」状態へ切り替わる。
分子が分析され通過する時間でないときには、システムは「センサ清浄」状態に保たれる。この「センサ洗浄」状態では、分析モジュール内を清浄な空気(活性炭でろ過された)が循環できる。
表12は、実行される分析ステップに従って、システムの種々の要素の状態を定める。ポンプ状態(P)は、それぞれオンまたはオフであるときに、「On」状態および「Off」状態によって表される。濃縮モジュールのためのRC1および分離モジュールのためのRC2と呼ばれている加熱抵抗器は、電力を供給される、または、されないときに、それぞれ「On」状態および「Off」状態によってさらに表される。最終的に、電磁弁(図10で1〜3の番号をつけた)は、選択される空気流の方向に従って、状態「a」または状態「b」によって表される。
分析ステップによるシステムの要素の状態
8.1.C プロトタイプを構成している要素の説明
システムは、ポンプP、加熱抵抗器RCおよび電磁弁Eなどの超小型素子を使用することができる。可能な限りの最も小型のシステムを得ようとして、これらの要素を、システムによって課される制約を満たすために性能に従って最小の大きさになるように選択した。これらの要素は、さまざまな専門技術者から購入可能である。
これらの要素は、0.5mmの厚さの、2枚のマイカ層の間に含まれるエッチングされた薄層状の要素から成る。これらの膜は、膜表面上の均一温度で急速に高温(最高600℃)に達することができる。加熱されるマイクロストラクチャは、好ましくは2枚の絶縁材料の層(3.2mmの厚さを有するセラミック紙)の間のヒーターと接触して配置し、2枚のアルミニウム板の間に機械的に保持する。
温度調節システムによって、マイクロストラクチャにかける温度を制御することができる。これらの三方向弁は、2つの入口/出口のうちの1つの方へバルブを磁気係止することが可能なソレノイドを用いて動く。これらの電磁弁の寸法は、死空間を制限するために小さい内部容積(72μL)を得るように設計してある。
8.2 システムを制御するための機器
8.2.A 制御信号の生成
図13で見ることができるように、装置の作動は、測定ノード(No)によって処理カードと関連する制御カード(C.Com.)によって管理する。
制御カードは、センサから情報を受け、そして、ホイートストン・ブリッジ・アセンブリ(Pwh)によってそれを伝達する。ホイートストン・ブリッジ・アセンブリは、増幅アセンブリ(Ampli)(この場合は、処理カードの中に設けられた)と関連する。
多重分離カード(Dmx)は、制御カードに設けられ、電磁弁リレー(comEV)、加熱抵抗器(comRC)、およびポンプを制御するためのHブリッジ(H)と関連する。このDmxカードによって、測定ノードのデジタル入力の各々に適用される論理レベルからそれぞれの制御信号を発生させることができる。制御カードは、ノード(No)とDmxカードとの間に電圧コンバータ(conv)を好ましくは含む。
このような構成によって、コンピュータを介してそれぞれの要素を制御することを可能にするために、システムのそれぞれの要素の状態を管理することができる。
測定ノードによって、使用者によって送信されるシステム状態情報を伝達することができる。この場合の測定ノードは、4つのアナログ入力4A±10Vおよび4つの双方向性デジタル入力4Nを与える。それゆえ、制御カードは、書込モードの測定ノードの4つのデジタル入力ビット4N(DIO0〜DIO3)によって、システムのそれぞれの状態を発生させることができるように設計される。検出モジュールのセンサによって伝達される情報は、測定ノードの4つのアナログ入力によって使用者に送られる。
図13に示される線図は、制御信号の生成部分を示し、制御カードを設計するために用いる。
それゆえ、制御信号は、リレー(com)を用いてたがいに異なる要素のための制御電圧の印加を検証することができる、電圧を発生させる。それゆえ、これらのコンポーネントは、多重分離カードの信号によって制御されるスイッチとして機能する。
電磁弁が、印加される電圧の極性によって制御されるので、2つのリレーはそれらを制御するために好ましくは用いられる:正極性を発生させる1つのリレー、負極性を発生させるもう1つのリレー。それゆえ、Dmxカードによる復号化の間、2つの補完的な制御信号を使用することは、電磁弁の各々のために好まれる(すなわち8つの信号)。
電磁弁のための電流に比べて、より高い電流を使用することができるように、H−ブリッジ(HcomP)が、ポンプの制御のために選ばれる。
8.2.C カード設計
カードを有する要素の電源および電圧制御は従来からあるものである。この態様は、参照符号Alim.で示される。
開発された制御カードは、この場合、以前に開発されたそれぞれ異なった部分を結合している2つの面を有するカードである。
測定ノード(制御バス)の4つのデジタル入力に基づき、それゆえ、Dmxカードによって、非多重化した後に最高16の制御信号(データバス)を発生させることができる。したがって、これにより、最高4つのポンプ、4つの電磁弁および2つの加熱抵抗器を制御することができる。したがって、デコード・テーブルは、制御バスにより用いられることができるそれぞれの値に従ってDmxカードにプログラムすることができる。
それゆえ、デコード・テーブルは、単純に、4ビット制御バス(DIO0、DIO 1、DIO2およびDIO3)および、例えば、4つの電磁弁を制御するための8つの信号(3つの電磁弁のための6つの信号)、4つのポンプを制御するための6つの信号(1つのポンプのために2つの信号が使用される)、および、加熱抵抗器を制御するための2つの信号から成るデータ・バスからなる(図11)。
8.3 ユーザ・インタフェース
多重分離カードをプログラミングすることによって、システムの4つのデジタル入力から成る制御バスの値に作用することによって、システムの状態の変化によって分析の同期を定めることができ、そして、物理的な挙動が制御カードによって管理されている状態で、システムのそれぞれの要素の状態のグラフィック・ディスプレイを使用可能にすることができる。
流れ図は上記の、システムのほぼ4つの可能性がある状態(「非アクティブ」10、「濃縮」20、「分子分析」40および「センサ洗浄」30)で構成され、かつ、2つのデジタル入力ビットDIO0およびDIO1によって生成されている。これらの状態の各々に対応している「サブプログラム」において、2つの動作が実行される:制御バスのデジタル入力の状態は測定ノードに伝達され、そして、システムの要素の状態に対応している値は、それらを表しているグラフィック・オブジェクトに割り当てられる。プロセスおよび流れ図は、下記の8.3.Bの部分で更に詳細に記載する。
デジタル入力DIO2およびDIO3がシステムの状態を定めるために用いられないので、マイクロカラムの温度を調節すること、および電磁弁制御信号をスリープ・モードにすることを可能にする。
加熱抵抗器は、前濃縮モジュールに捕捉された分子をリリースし、分離モジュールの温度を調節するために、分析フェーズにおいて使用する。加えて、前濃縮モジュールの加熱が制御された調節を必要としない場合、それができるだけ急速に作製されなければならないので、分離モジュールの温度調節は、分子の保持時間に影響する可能性がある。デジタル入力DIO2はシステムの分析フェーズを定めるために用いられていないので、全か無かのモード(all−or−nothing mode)の分離モジュールの加熱の速度を制御するために用いる。入力DIO2、それゆえ、モジュール加熱制御の状態変更は、矩形波信号(そのサイクリック・レシオが制御された温度勾配を仮想的につくる)によって定める。
電磁弁の制御は、作動させられるリレーに従って制御状態を生じさせることができるように、2つの相補型リレーを用いて実行する。制御パルスは、電磁弁の各々を制御入力に作用される極性に従って切り替えるために好ましい。
システムが状態を変えるときに、それゆえ、リレーを、電磁弁の各々の制御入力に極性を作用させるために起動させる。
したがって、表13は、分析ステップに従ってシステムの全ての要素を制御するために適切に定められる制御テーブルを示す。
システム制御テーブル
*Xは信号の中のあらゆる状態に相当する。
8.3.B ユーザ・インタフェースの設計
それぞれのステップによるシステムの要素(弁、ポンプおよび加熱抵抗器)の状態を、表13に示す。これらの要素のグラフィック・ディスプレイ・オブジェクトは、それゆえ、分析のそれぞれのフェーズに渡ってそれらの変化を観察できるようにするバイナリ値によって割り当てられる。
流れ図に見られるシステムの異なる入力パラメータによって、分析ステップの同期を定めることができる。
第1の2つのパラメータは、それゆえ、試料収集フェーズの間の試料収集時間(tconcen)および試料分析のために必要な時間(tanalysis)に関する。これらの2つのパラメータは、ユーザ・インタフェースの制御ボタンによって使用者によって調整され得る。
次のパラメータは、試料分析の間のシステムの管理に関する。実際、このフェーズの間、システムは、2つの状態であり得る:「センサ洗浄」状態および「分子分析」状態。初期化フェーズの間、システムは、分子を保持時間(tmolecul)および曝露時間(texpo)、すなわち、システムが、保持される分子を検出モジュールへ送ることを可能にする時間と組み合わせることによって分析される分子の数を定めることを可能にする。
このデータは、表に示され、そして、試料分析時間に関連するクロノメータと分子の保持時間の間の比較によって、分子に関連する曝露時間の間、システムを「分子分析」状態に切り替えることができる。
9. 分析システムの特性評価
9.1 流速の特性評価
ポンプは、真空下で作動するとき、比較的高い流速を得ることを可能にする。マイクロモジュールの使用によってつくられるプラトーが8Vを上回る電源電圧に対して観察される。それゆえ、最大試料収集流速は7mL/分である。用いられる電源電圧は、12Vであり、したがって、例えば、粒子の収集によって追加の損失水頭が生じた場合、システムによって、同一の試料収集流速を保つことができる。
9.2 温度勾配の特性評価
濃縮および分離マイクロストラクチャの各々のための温度勾配が、さらに特徴づけられる。調節装置の設定点によって調整される最大温度は、140℃である。
濃縮マイクロストラクチャに関して、この設定点温度は、可能な限り短い時間で保持された分子をリリースするために、好ましくはできるだけ急速に得る必要がある。種々の電源電圧のために得られる温度勾配、したがって、加熱抵抗器に導入される電源は、それゆえ特徴づけられた。
この第1のプロトタイプにおいて、できるだけ急速に温度勾配を得るために、使用する電源電圧は、20Vである。濃縮マイクロストラクチャのために使用する加熱抵抗器が21.2Ωの公称抵抗を有するので、20Vの電圧のために消費される電流は約0.94A、すなわち18.8Wの消費電力である。
それゆえ、システムは、分離モジュールの加熱速度を、調節器の全か無かのモードの電源により温度勾配をつくることによって、制御できるように設計された。
このため、デジタル入力の1つ(DIO2)によって、マイクロカラム(RC2)の加熱抵抗器の制御リレーを直接に制御することが可能である。
マイクロカラムを特徴づけるときに行われた試験は、40℃の温度で興味がある分子を分離するのに十分であることを示した。それゆえ、サイクリック・レシオの値は10%でセットされる。
より高い温度、それゆえ、マイクロカラムの洗浄を必要としている分子のリリースを可能にするために、それは、最大設定点温度に達しなければならない。
分離マイクロストラクチャのために使用する加熱抵抗器が23.2Ωの公称抵抗を有するので、20Vの電圧のために消費される電流は、約0.86A、すなわち加熱制御が起動させられるときには、17.2Wの消費電力である。
多数の組合せを、発明の範囲を越えずに想定することができる。当業者は、対応しなければならない、経済的、人間工学的、寸法的または他の制約に従って、どちらか一方を選択するであろう。例えば、当業者は、制御カードおよび/または処理カードの代わりにマイクロコントローラを構成してもよい。

Claims (22)

  1. 室内環境での真菌汚染を検出するための装置であって:
    − 前濃縮モジュール(MC)、
    − 前記前濃縮モジュール(MC)の下流にクロマトグラフィーマイクロカラムを含む分離モジュール(MS)、および、
    − 前記分離モジュール(MS)の下流にセンサ・マトリックスを含む検出モジュール(MD)、
    − 流れ発生手段、好ましくは少なくとも1つのポンプ(P)、を含む装置であって、
    前記検出モジュール(MD)の上流に少なくとも1つの第1の電磁弁(E3)を含み、この電磁弁が、標的分子を含む流れを前記検出モジュール(MD)の方へ導くかまたは、前記流れが前記標的分子を含んでいないときは、ろ過のための第1の手段(Tx1)によってろ過された流れを前記検出モジュール(MD)の方へ導き、そして、前記検出モジュール(MD)が洗浄され得るかいずれかを可能にすることを特徴とする装置。
  2. 前記第1の電磁弁が、前記分離モジュール(MS)と前記検出モジュール(MD)との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の検出装置。
  3. 流れが標的分子を含むとき、あるいは、前記流れがろ過のための第2の手段(Tx2)によってろ過されるときには、前記分離モジュール(MS)の方へ、または、前記流れが前記標的分子を含まないときには、外の方へのいずれかに前記流れを導くことが可能な、少なくとも1つの第2の電磁弁(E2)を前記分離モジュールの上流に含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の検出装置。
  4. 前記第2の電磁弁が、前記濃縮モジュール(MC)と前記分離モジュール(MS)との間に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の検出装置。
  5. 少なくとも1つの第3の電磁弁(E1)を前記濃縮モジュール(MC)の上流にさらに含み、前記電磁弁は、試料収集流れを前記濃縮モジュール(MC)の方へ導くかまたは、前記流れが前記標的分子を含まないときには、ろ過のための手段(Tx2)によってろ過された流れを前記濃縮モジュールへ導き、前記濃縮モジュールが洗浄され得るかいずれかを可能にすることを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の検出装置。
  6. ろ過のための手段の少なくとも1つが、吸着性のポリマー、好ましくは2,6−ジフェニレンを主成分とするものを含むことを特徴とする、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の検出装置。
  7. 前記濃縮モジュール(MC)および/または前記分離モジュール(MS)が、対応する脱着手段に関連した前記標的分子を吸着することができる材料を含むことを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の検出装置。
  8. 前記標的分子を吸着することができる前記材料が、吸着性のポリマー、好ましくはポリマー・ビーズで、好ましくは、前記濃縮モジュールの場合、2,6−酸化ジフェニレン、および、前記分離モジュールの場合、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を主成分とするものであり、ならびに、前記脱着手段が、前記濃縮モジュールおよび/または前記分離モジュールに備えられる加熱抵抗器を含むことを特徴とする、請求項7に記載の検出装置。
  9. 前記電磁弁、溶出手段、具体的には加熱抵抗器、および流れ発生手段、具体的には前記ポンプの中の少なくとも1つを、制御する、好ましくは自動的に制御することを可能にする制御カード(C.Com)を含む制御インタフェースをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の検出装置。
  10. 前記検出モジュールからデータを受けるように、前記制御インタフェースは、好ましくは処理カード(C.Tr)によって、前記検出モジュールに接続されることを特徴とする、請求項9に記載の検出装置。
  11. 前記処理カードおよび前記検出モジュールが、前記標的分子を含んでいる前記流れと前記ろ過された流れとの間の抵抗率の差を測定するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の検出装置。
  12. 前記検出モジュールは、PEDOT−PSS、ジブロミン・ビフルオレン、オクタンスルホン酸塩によってドープされたポリピロール、リチウム過塩素酸塩によってドープされたポリピロールまたはポリピロール、ポリチオフェンあるいはポリアニリンのあらゆる他の誘導体を含む群から選ばれた導電性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の検出装置。
  13. 請求項9〜12のうちのいずれか一項に記載の検出装置のための制御カードを含んでいる制御インタフェースであって、前記電磁弁(E1、E2、E3)を制御する、好ましくは自動的に制御するように、すなわち:
    − 標的分子を含む流れを前記検出モジュールの方へ導くか、または、前記流れが前記標的分子を含まないときは、ろ過のための前記第1の手段によってろ過された流れを、前記検出モジュールの方に導き、そして、前記検出モジュールが洗浄されることを可能にするかのいずれか、
    − 前記流れが標的分子を含むとき、あるいは、前記流れがろ過のための前記第2の手段によってろ過されるときに、前記分離モジュールの方へ、または、前記流れが前記標的分子を含まないときには、前記外の方へのいずれかに流れを導くこと、
    − または、試料収集流れを前記濃縮モジュールの方へ導く、あるいは、前記流れが前記標的分子を含まないときには、ろ過のための第3の手段によってろ過された流れを前記濃縮モジュールの方へ導き、前記濃縮モジュールを洗浄することを可能にすること
    の少なくとも1つを実行するように構成された制御インタフェース。
  14. 前記流れ発生手段、具体的には前記少なくとも1つのポンプを、さらに制御する、好ましくは自動的に制御するように構成された、請求項13に記載の制御インタフェース。
  15. 前記標的分子を脱着するように、前記溶出手段、具体的には前記加熱抵抗器を、さらに制御する、好ましくは自動的に制御するように構成された、請求項13または請求項14に記載の制御インタフェース。
  16. 検出装置を使用して室内環境の真菌汚染を検出するためのプロセスであって、
    前記検出装置は:
    − 前濃縮モジュール、
    − 前記前濃縮モジュールの下流にクロマトグラフィーマイクロカラムを含む分離モジュール、および、
    − 前記分離モジュールの下流にセンサ・アレイを含む検出モジュール、
    − 流れ発生手段、好ましくは少なくとも1つのポンプ、を含み、
    前記プロセスは:
    − 標的分子が前記前濃縮モジュールにおいて保持される、好ましくは濃縮時間の間保持される濃縮ステップ(20)、
    − ろ過された流れが、前記前濃縮モジュール、前記分離モジュールまたは前記検出モジュールの中の少なくとも1つを通過する、センサ洗浄ステップ(30)、
    − 前記標的分子が、前記検出モジュールの中に入る、好ましくは分析時間の間入る分析ステップ(40)、
    を含むプロセス。
  17. 前記濃縮ステップおよび前記分析ステップの前および/または後に、少なくとも1つの非アクティブ・ステップ(12、13、10)を含み、その非アクティブ・ステップでは、少なくとも前記流れ発生手段は非アクティブにされ、室内環境での真菌汚染を検出するように、前記プロセスの前記ステップが好ましくは連続的に実行されることを特徴とする、請求項16に記載のプロセス。
  18. 請求項16または請求項17に記載のプロセスであって、
    少なくとも1つの電磁弁を制御する、好ましくは自動的に制御するためのステップを含む、
    すなわち、
    − 標的分子を含む流れを前記検出モジュールの方へ導くかまたは、前記流れが前記標的分子を含まないときには、ろ過のための第1の手段によってろ過された流れを前記検出モジュールの方に導き、そして、前記検出モジュールが洗浄されることを可能にするかいずれか、
    − 前記流れが標的分子を含むときに、あるいは、前記流れがろ過のための第2の手段によってろ過されるときに、前記分離モジュールの方へ、または、前記流れが前記標的分子を含まないときには、前記外の方へのいずれかに流れを導く
    − または、試料収集流れを前記濃縮モジュールの方へ導くか、あるいは、前記流れが前記標的分子を含まないときには、ろ過のための第3の手段によってろ過された流れを前記濃縮モジュールの方へ導き、そして、前記濃縮モジュールが洗浄されることを可能にするか、の少なくとも1つの動作を実行するように構成されたプロセス。
  19. 前記流れの導きを行うように、前記流れ発生手段、具体的には前記ポンプを、制御する、好ましくは自動的に制御するためのステップをさらに含むことを特徴とする、請求項16〜18のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
  20. 前記標的分子を脱着するように、前記溶出手段、具体的には前記加熱抵抗器を、制御する、好ましくは自動的に制御するためのステップをさらに含むことを特徴とする、請求項16〜19のうちのいずれか一項に記載のプロセス。
  21. コンピュータ・プログラムが、制御ユニットによって実行されるときに、請求項16〜20のうちのいずれか一項に記載のプロセスを実行するためのソフトウェア・コード部分を含んでいる、制御ユニットのメモリにロードされ得るコンピュータ・プログラム。
  22. 請求項21に記載のコンピュータ・プログラムを含んでいる、請求項13〜15のうちのいずれか一項に記載の制御インタフェース。
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