以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
<1.実施の形態>
[電力監視システムの構成例および設置例]
図1は、本発明を適用した電力監視システム101の一実施の形態および設置例を示す図である。
電力監視システム101は、例えば、一般の家庭に設置され、単相3線式の交流電力の状態の検出および監視を行うシステムである。
電力監視システム101は、電流センサ111L1、電流センサ111L2、電流センサ111U、電流センサ111W、スマートセンサ112、および、PC(パーソナルコンピュータ)113を含むように構成される。電流センサ111L1および電流センサ111L2は、ケーブル114Aを介して、スマートセンサ112に接続されている。電流センサ111Uおよび電流センサ111Wは、ケーブル114Bを介して、スマートセンサ112に接続されている。PC113は、ケーブル115を介して、スマートセンサ112に接続されている。
なお、この図には、太陽光発電システム201および分電盤202を備えた家庭に電力監視システム101を設置した例が示されている。
太陽光発電システム201は、太陽電池モジュール211およびパワーコンディショナ212を含むように構成される。太陽電池モジュール211は、太陽光発電により得られた直流電力をパワーコンディショナ212に供給する。パワーコンディショナ212は、太陽電池モジュール211からの直流電力を、商用系統とほぼ同じ電圧および周波数の単相3線式の交流電力に変換するとともに、交流電圧の位相を商用系統の交流電圧の位相に同期させて分電盤202に供給する。
分電盤202は、主幹漏電ブレーカ221、PV分岐ブレーカ222、および、複数のブレーカからなる配線用ブレーカ223を含むように構成される。主幹漏電ブレーカ221は、商用電源(不図示)と配線用ブレーカ223の1次側の間に接続されている。PV分岐ブレーカ222は、パワーコンディショナ212と配線用ブレーカ223の1次側の間に接続されている。配線用ブレーカ223の2次側には、電気機器等の各種の負荷(不図示)が接続されている。
従って、商用系統(商用電源)からの単相3線式の商用電力が、主幹漏電ブレーカ221および配線用ブレーカ223を介して負荷に供給される。また、太陽光発電システム201からの単相3線式の発電電力が、PV分岐ブレーカ222および配線用ブレーカ223を介して負荷に供給される。さらに、太陽光発電システム201の発電電力が、負荷の消費電力を上回っている場合、その余剰電力が、主幹漏電ブレーカ221を介して、商用系統側に供給される。
なお、以下、太陽光発電システム201と配線用ブレーカ223の1次側の間の電力系統を発電系統と称する。また、以下、配線用ブレーカ223の2次側の電力系統を負荷系統と称する。さらに、以下、発電系統を除く商用系統から負荷系統までの電力系統を主幹系統と称する。従って、この例では、配線用ブレーカ223が主幹系統と発電系統の接続点となり、主幹系統は、その接続点を境に商用系統と負荷系統に分かれる。
電流センサ111L1乃至電流センサ111Wは、例えば、変流器(CT(Current Transformer))やシャント抵抗を用いたセンサ等、電流の計測が可能なセンサにより構成される。なお、以下、電流センサ111L1乃至電流センサ111Wが、変流器により構成される場合について説明する。
電流センサ111L1は、主幹漏電ブレーカ221のL1相の1次側、すなわち、主幹系統の商用電源側のL1相に設置され、主幹系統(商用系統)のL1相の電流を計測する。電流センサ111L2は、主幹漏電ブレーカ221のL2相の1次側、すなわち、主幹系統の商用電源側のL2相に設置され、主幹系統(商用系統)のL2相の電流を計測する。電流センサ111Uは、PV分岐ブレーカ222のU相の1次側に設置され、発電系統のU相の電流を計測する。電流センサ111Wは、PV分岐ブレーカ222のW相の1次側に設置され、発電系統のW相の電流を計測する。
なお、主幹系統のL1相と発電系統のU相は同じ相であり、主幹系統のL2相と発電系統のW相は同じ相である。
また、以下、図1、並びに、後述する図2および図3において、電流センサ111L1乃至電流センサ111Wの図に示される矢印の方向を正の方向とする。すなわち、電流センサ111L1乃至電流センサ111Wの計測値は、矢印の方向に電流が流れる場合に正の値になり、矢印と逆方向に電流が流れる場合に負の値になる。
なお、以下、電流センサ111L1乃至電流センサ111Wを個々に区別する必要がない場合、単に、電流センサ111と称する。
スマートセンサ112は、各電流センサ111の計測結果に基づいて、各部の電力の状態の検出および監視を行う。例えば、スマートセンサ112は、商用系統の電力の潮流方向を検出する。すなわち、スマートセンサ112は、太陽光発電システム201の余剰電力を商用系統に供給し、電力を販売している状態(以下、売電状態と称する)、または、商用系統から電力が供給され、電力を購入している状態(以下、買電状態と称する)のいずれであるかを検出する。また、スマートセンサ112は、太陽光発電システム201の発電電力、および、太陽光発電システム201の余剰電力であって、商用系統に供給される売電電力の計測を行う。さらに、スマートセンサ112は、商用系統から供給される買電電力、および、配線用ブレーカ223の2次側に接続されている負荷により消費される負荷電力の計測を行う。
また、スマートセンサ112は、各部の電力の状態の検出結果を示す情報を外部の装置に送信する。なお、スマートセンサ112が外部の装置と通信する方法には、有線または無線を問わず、任意の方法を採用することができる。
さらに、スマートセンサ112は、電力監視システム101の設置時に、各電流センサ111の設置状態等の検査(以下、設置検査と称する)を行う。具体的には、スマートセンサ112は、各電流センサ111の設置方向、各電流センサ111とスマートセンサ112との間の配線、スマートセンサ112の計測タイプ(後述)の設定等の検査を行う。そして、スマートセンサ112は、検査結果を示す情報をPC113に供給する。
PC113は、例えば、電力監視システム101の設置検査を実行する場合にスマートセンサ112に接続される。そして、PC113は、設置検査の実行の指令をスマートセンサ112に与えたり、設置検査の結果の表示を行ったりする。
なお、以下、主幹系統のL1相の電圧および電流をそれぞれVcuおよびIcuとし、L2相の電圧および電流をVcwおよびIcwとする。また、以下、電圧Vcuと電圧Vcwを主幹電圧と総称し、電流Icuと電流Icwを主幹電流と総称する。さらに、以下、発電系統のU相の電圧および電流をそれぞれVpuおよびIpuとし、W相の電圧および電流をVpwおよびIpwとする。また、以下、電圧Vpuと電圧VpwをPV電圧と総称し、電流Ipuと電流IpwをPV電流と総称する。
[電力監視システムの他の設置例]
図2および図3は、電力監視システム101の他の設置例を示している。
図2は、分電盤241を備え、太陽光発電システム201が設けられてない家庭に電力監視システム101を設置した場合の例を示している。なお、この図では、PC113の図示を省略している。
分電盤202は、主幹漏電ブレーカ251、および、複数のブレーカからなる配線用ブレーカ252を含むように構成される。主幹漏電ブレーカ251は、商用電源(不図示)と配線用ブレーカ252の1次側の間に接続される。配線用ブレーカ252の2次側には、電気機器等の各種の負荷(不図示)に接続されている。
従って、商用系統(商用電源)からの単相3線式の商用電力が、主幹漏電ブレーカ251および配線用ブレーカ252を介して負荷に供給される。
なお、以下、図2において、主幹系統のうち、配線用ブレーカ223の1次側を商用系統とし、2次側を負荷系統とする。
電流センサ111L1は、主幹漏電ブレーカ251のL1相の1次側、すなわち、主幹系統の商用電源側のL1相に設置され、主幹系統(商用系統)のL1相の電流を計測する。電流センサ111L2は、主幹漏電ブレーカ251のL2相の1次側、すなわち、主幹系統の商用電源側のL2相に設置され、主幹系統(商用系統)のL2相の電流を計測する。
また、電流センサ111L1および電流センサ111L2は、ケーブル114Aを介して、スマートセンサ112に接続されている。
図3は、図2に示される設備に加えて、太陽光発電システム201、追加ユニット271、および、遮断器272をさらに備えた家庭に電力監視システム101を設置した場合の例を示している。なお、この図では、PC113の図示を省略している。
追加ユニット271は、PV分岐ブレーカ281を含むように構成される。PV分岐ブレーカ281は、パワーコンディショナ212と遮断機272の2次側の間に接続されている。
遮断機272は、1次側が商用電源(不図示)に接続され、2次側が主幹漏電ブレーカ251の1次側およびPV分岐ブレーカ281の1次側に接続されている。
従って、商用系統(商用電源)からの単相3線式の商用電力が、遮断機272、主幹漏電ブレーカ251および配線用ブレーカ223を介して、負荷に供給される。また、太陽光発電システム201からの単相3線式の発電電力が、PV分岐ブレーカ281、主幹漏電ブレーカ251および配線用ブレーカ223を介して、負荷に供給される。さらに、太陽光発電システム201の発電電力が負荷の消費電力を上回っている場合、その余剰電力が、遮断機272を介して、商用系統側に供給される。
すなわち、この例では、太陽光発電システム201と遮断機272の2次側の間が発電系統となり、遮断機272の2次側が、主幹系統と発電系統の接続点となる。また、主幹系統のうち、遮断器272の1次側が商用系統となり、2次側が負荷系統となる。
電流センサ111L1は、遮断器272のL1相の2次側と主幹漏電ブレーカ251のL1相の1次側の間、すなわち、主幹系統の負荷側のL1相に設置され、主幹系統(負荷系統)のL1相の電流を計測する。電流センサ111L2は、遮断器272のL2相の2次側と主幹漏電ブレーカ251のL2相の1次側の間、すなわち、主幹系統の商用電源側のL2相に設置され、主幹系統(負荷系統)のL2相の電流を計測する。電流センサ111Uは、PV分岐ブレーカ281のU相の1次側に設置され、発電系統のU相の電流を計測する。電流センサ111Wは、PV分岐ブレーカ281のW相の1次側に設置され、発電系統のW相の電流を計測する。
なお、以下、図1のように、主幹系統の商用電源側と発電系統に電流センサ111を設置し、商用系統と発電系統の電流を計測するタイプを、PV有(直結)タイプと称する。また、以下、図2のように、主幹系統のみに電流センサ111を設置し、商用系統(=負荷系統)の電流を計測するタイプを、PV無タイプと称する。さらに、以下、図3のように、主幹系統の負荷側と発電系統に電流センサ111を設置し、負荷系統と発電系統の電流を計測するタイプを、PV有(分岐)タイプと称する。また、以下、PV有(直結)タイプとPV有(分岐)タイプをまとめてPV有タイプと称する。
[スマートセンサ112の構成例]
図4は、スマートセンサ112の機能の構成例を示すブロック図である。
スマートセンサ112は、入力部301L1乃至入力部301W、電流検出部302、判定値算出部303、電力算出部304、通信部305、設定部306、検査部307、および、入出力部308を含むように構成される。
入力部301L1乃至入力部301Wは、例えば、所定の規格に準じた入力端子により構成される。電流センサ111L1および電流センサ111L2は、ケーブル114Aを介して、スマートセンサ112の入力部301L1および入力部301L2にそれぞれ接続される。また、電流センサ111Uおよび電流センサ111Wは、ケーブル114Bを介して、スマートセンサ112の入力部301Uおよび入力部301L2にそれぞれ接続される。
なお、以下、入力部301L1乃至入力部301Wを個々に区別する必要がない場合、単に、入力部301と称する。
電流検出部302は、例えば、抵抗、A/D変換器等により構成される。そして、電流検出部302は、各電流センサ111から入力部301U乃至入力部301Wに入力される信号により示される各部の電流の瞬時値を所定のサンプリング周期でサンプリングする。また、電流検出部302は、サンプリングした各部の電流の瞬時値に基づいて、各部の電流の実効値等を算出する。そして、電流検出部302は、各部の電流の瞬時値や実効値等を示す情報を、判定値算出部303、電力算出部304、および、検査部307に供給する。
判定値算出部303は、主幹電流およびPV電流の検出結果に基づいて、主幹系統と発電系統の間の電流の位相の関係を示し、商用系統の電力の潮流方向の検出や電流センサ111の設置状態の検査等に用いる系統間位相判定値を算出する。判定値算出部303は、算出した系統間位相判定値を、電力算出部304および検査部307に供給する。
また、判定値算出部303は、主幹電流の検出結果に基づいて、主幹系統のL1相とL2相の間の電流の位相の関係を示し、電流センサ111の設置状態の検査等に用いる相間位相判定値を算出する。さらに、判定値算出部303は、PV電流の検出結果に基づいて、発電系統のU相とW相の間の電流の位相の関係を示し、電流センサ111の設置状態の検査等に用いる相間位相判定値を算出する。判定値算出部303は、算出した相間位相判定値を検査部307に供給する。
電力算出部304は、主幹電流およびPV電流の検出結果、並びに、系統間位相判定値に基づいて、各部の電力を算出する。電力算出部304は、算出結果を通信部305に供給する。
通信部305は、各種の通信装置により構成され、各部の電力の状態を示す電力状態情報を外部の装置に送信する。なお、通信部305の通信方法には、有線または無線を問わず、任意の方法を採用することができる。
設定部306は、例えば、ハードウエアまたはソフトウエアによる各種のスイッチ、入力デバイス、メモリ等により構成され、ユーザの指令に基づいて、スマートセンサ112の計測タイプを設定する。上述したように、計測タイプは、PV有(直結)、PV有(分岐)、および、PV無の3種類に分かれる。設定部306は、設定した計測タイプを判定値算出部303、電力算出部304、および、検査部307に通知する。
なお、計測タイプを、通信部305を介して外部の装置から設定したり、入出力部308を介してPC113から設定したりするようにしてもよい。
検査部307は、PV電流検査部321、主幹電流検査部322、主幹位相検査部323、系統間位相検査部324、PV位相検査部325、および、電力比較検査部326を含むように構成される。
PV電流検査部321は、PV電流の検出結果に基づいて、電流センサ111Uおよび電流センサ111Wの設置状態等の検査を行う。PV電流検査部321は、入出力部308を介してPC113に検査結果を供給する。
主幹電流検査部322は、主幹電流の検出結果に基づいて、電流センサ111L1および電流センサ111L2の設置状態等の検査を行う。主幹電流検査部322は、入出力部308を介してPC113に検査結果を供給する。
主幹位相検査部323は、主幹系統の相間位相判定値に基づいて、電流センサ111L1および電流センサ111L2の設置状態等の検査を行う。主幹位相検査部323は、入出力部308を介してPC113に検査結果を供給する。
系統間位相検査部324は、系統間位相判定値に基づいて、各電流センサ111の設置状態等の検査を行う。系統間位相検査部324は、入出力部308を介してPC113に検査結果を供給する。
PV位相検査部325は、発電系統の相間位相判定値に基づいて、電流センサ111Uおよび電流センサ111Wの設置状態等の検査を行う。PV位相検査部325は、入出力部308を介してPC113に検査結果を供給する。
電力比較検査部326は、主幹電流およびPV電流の検出結果、並びに、系統間位相判定値に基づいて、売電電力と発電電力の大小関係を比較することにより、各電流センサ111の設置状態等の検査を行う。電力比較検査部326は、入出力部308を介してPC113に検査結果を供給する。
入出力部308は、ケーブル115を介して、所定の通信方法により、スマートセンサ112とPC113との間のデータの入出力を行う。なお、入出力部308とPC113が通信する方法には、任意の方法を採用することができる。
[設置検査]
次に、図5のフローチャートを参照して、電力監視システム101を設置する場合に行われる設置検査について説明する。なお、この処理は、例えば、ケーブル115を介してPC113をスマートセンサ112に接続した状態で、PC113からスマートセンサ112に設置検査の実施の指令が入力されたとき開始される。
ステップS1において、検査部307は、計測タイプが設定されているか否かを判定する。計測タイプが設定されていると判定された場合、処理はステップS2に進む。
ステップS2において、判定値算出部303は、電流検出部302により検出された各部の電流の瞬時値および実効値に基づいて、系統間位相判定値を算出する。ここで、計測タイプ毎に、系統間位相判定値の算出方法について説明する。
判定値算出部303は、計測タイプがPV有に設定されている場合、発電系統のU相の電流Ipuと主幹系統のL1相の電流Icuとの位相の関係を示す系統間位相判定値phS(U)を、次式(1)により算出する。
なお、式(1)のkは、電流Ipuおよび電流Icuのサンプリング点の番号を示し、mは1周期あたりのサンプリング数を示している。また、Ipu[k]はk番目のサンプリング点における電流Ipuのサンプリング値を示し、Icu[k]はk番目のサンプリング点における電流Icuのサンプリング値を示している。
従って、系統間位相判定値phS(U)は、図6に示されるように、ほぼ同時刻における電流Ipuと電流Icuのサンプリング値の乗算値を、t=0からt=Tまでの1周期の間積算した値となる。
なお、図6は、横軸が時間、縦軸が電流値を示し、計測タイプがPV有(直結)に設定され、かつ、売電状態の場合の電流Ipuと電流Icuの波形の例を示している。また、図6の丸印および四角印はサンプリング点を示している。なお、図を分かりやすくするために、図6では、サンプリング点の一部のみを示している。
また、判定値算出部303は、発電系統のW相の電流Ipwと主幹系統のL2相の電流Icwとの位相の関係を示す系統間位相判定値phS(W)も同様に、次式(2)により算出する。
なお、判定値算出部303は、電流Ipuおよび電流Icuの実効値の少なくとも一方が所定の規定値(例えば、0.2A)未満である場合、算出結果を問わず、系統間位相判定値phS(U)の正負の符号を+に固定する。同様に、判定値算出部303は、電流Ipwおよび電流Icwの実効値の少なくとも一方が規定値未満である場合、算出結果を問わず、系統間位相判定値phS(W)の正負の符号を+に固定する。
なお、この規定値は、例えば、電流の検出限界の10倍など電力の潮流方向の判定が安定して行われる値に設定される。
また、判定値算出部303は、計測タイプがPV無に設定されている場合、電流Ipuおよび電流Ipwの瞬時値の代わりに、電流Icuおよび電流Icwの瞬時値を用いて、系統間位相判定値phS(U),phS(W)を算出する。従って、系統間位相判定値phS(U)は、1周期の間の電流Icuの瞬時値の二乗和となり、系統間位相判定値phS(W)は、1周期の間の電流Icwの瞬時値の二乗和となる。
なお、計測タイプがPV無に設定されている場合の系統間位相判定値phS(U),phS(W)は、正の値になればよく、例えば、上記とは別の算出方法を用いたり、所定の正の定数に設定したりすることが可能である。
そして、判定値算出部303は、算出した系統間位相判定値phS(U)およびphS(W)を示す情報を電力算出部304および検査部307に供給する。
ここで、計測タイプ毎の系統間位相判定値phS(U)およびphS(W)の性質について説明する。まず、計測タイプがPV有(直結)である場合について説明する。
電流Ipuの位相をφUとし、電流Icuの位相をφL1とすると、|φU−φL1|≦π/2の場合、系統間位相判定値phS(U)≧0となり、π/2<|φU−φL1|≦πの場合、系統間位相判定値phS(U)≦0となる。
一方、家庭用の一般的な負荷の力率は、cos(π/6)以上になることが経験的に分かっている。すなわち、電圧波形と電流波形の位相差はπ/6以下となる。
例えば、図7は、蛍光灯に100Vの交流電圧を印加し、変流器により電流を計測した結果を示すグラフである。なお、図7の横軸は時間を示し、縦軸は電圧および電流を示している。波形401は電圧の波形を示し、波形402は、電圧と電流が同位相の場合に電流値が正になる方向に変流器を取付けた場合の電流の波形を示し、波形403は、電圧と電流が逆位相の場合に電流値が正になる方向に変流器を取付けた場合の電流の波形を示している。この場合、蛍光灯に印加される電圧と蛍光灯を流れる電流の位相差は、約11.5度(<π/6)となる。
また、図8は、他の負荷に100Vの交流電圧を印加し、電圧と電流が同位相の場合に電流値が正になる方向に取付けた変流器により電流を計測した結果を示すグラフである。
なお、図8の横軸は時間を示し、縦軸は電圧および電流を示している。波形411は電圧の波形を示し、波形412は負荷が電子レンジの場合の電流の波形を示し、波形413は負荷がパーソナルコンピュータとディスプレイの場合の電流の波形を示している。この例でも、電圧と電流の位相差は、π/6より小さくなっている。
従って、発電系統のU相の電圧Vpuと電流Ipuとの位相差は、±π/6以内になると仮定することができる。一方、主幹系統のL1相の電圧Vcuと電流Icuとの位相差は、買電状態の場合、±π/6以内となり、売電状態の場合、π±π/6の範囲内になると仮定することができる。これに伴い、買電状態の場合、|φU−φL1|≦π/3となり、系統間位相判定値phS(U)≧0になると仮定することができる。一方、売電状態の場合、2π/3≦|φU−φL1|≦πとなり、系統間位相判定値phS(U)≦0になると仮定することができる。
従って、計測タイプがPV有(直結)である場合、系統間位相判定値phS(U)の符号に基づいて、商用系統のL1相が買電状態または売電状態のいずれであるかを判定することができる。
一方、計測タイプがPV有(分岐)である場合、買電状態か売電状態かに関わらず、電流センサ111L1および電流センサ111L2の設置位置における電力の潮流方向は一定である。従って、|φU−φL1|≦π/3となり、系統間位相判定値phS(U)≧0になると仮定することができる。
また、計測タイプがPV無である場合、系統間位相判定値phS(U)は、1周期の間の電流Icuの瞬時値の二乗和なので、系統間位相判定値phS(U)≧0になる
なお、以上では、系統間位相判定値phS(U)についてのみ説明したが、系統間位相判定値phS(W)についても同様である。
図5に戻り、ステップS3において、判定値算出部303は、電流検出部302により検出された各部の電流の瞬時値および実効値に基づいて、相間位相判定値を算出する。具体的には、判定値算出部303は、計測タイプがPV有に設定されている場合、発電系統のU相の電流IpuとW相の電流Ipwとの位相の関係を示す相間位相判定値phP(P)を、次式(3)により算出する。
なお、式(3)のkは、電流Ipuおよび電流Ipwのサンプリング点の番号を示し、mは1周期あたりのサンプリング数を示している。また、Ipu[k]はk番目のサンプリング点の電流Ipuのサンプリング値を示し、Ipw[k]はk番目のサンプリング点の電流Ipwのサンプリング値を示している。
従って、相間位相判定値phP(P)は、ほぼ同時刻における電流Ipuと電流Ipwのサンプリング値の乗算値を、系統間位相判定値と同様に1周期の間積算した値となる。
また、判定値算出部303は、設定されている計測タイプに関わらず、主幹系統のL1相の電流IcuとL2相の電流Icwとの位相の関係を示す相間位相判定値phP(C)も同様に、次式(4)により算出する。
なお、電流Ipuおよび電流Ipwの実効値の少なくとも一方が上述した規定値未満である場合、相間位相判定値phP(P)の算出結果を問わず、後述する相間位相判定値phP(P)を用いた検査で異常なしと判定されるように処理される。同様に、電流Icuおよび電流Icwの実効値の少なくとも一方が規定値未満である場合、相間位相判定値phP(C)の算出結果を問わず、後述する相間位相判定値phP(C)を用いた検査で異常なしと判定されるように処理される。
そして、判定値算出部303は、相間位相判定値phP(P)およびphP(C)を示す情報を検査部307に供給する。
ここで、相間位相判定値phP(P)およびphP(C)の性質について説明する。
発電系統の電流Ipuの位相をφUとし、電流Ipwの位相をφWとすると、|φU−φW|≦π/2の場合、相間位相判定値phP(P)≧0となり、π/2≦|φU−φW|≦πの場合、相間位相判定値phP(P)≦0となる。
上述したように、発電系統のU相の電圧Vpuと電流Ipuとの位相差は、±π/6以内になると仮定することができる。同様に、発電系統のW相の電圧Vpwと電流Ipwとの位相差も、±π/6以内になると仮定することができる。一方、発電系統のU相の電圧VpuとW相の電圧Vpwは、逆位相であり、位相差はπとなる。
従って、計測タイプに関わらず、発電系統のU相の電流IpuとW相の電流Ipwとの位相差は、π±π/6の範囲内になると仮定することができる。これに伴い、相間位相判定値phP(P)≦0になると仮定することができる。
また、主幹系統の電流Icuの位相をφL1とし、電流Icwの位相をφL2とすると、|φL1−φL2|≦π/2の場合、相間位相判定値phP(C)≧0となり、π/2<|φL1−φL2|≦πの場合、相間位相判定値phP(C)≦0となる。
計測タイプがPV有(分岐)またはPV無である場合、電流センサ111L1の設置位置における電力の潮流方向は一定なので、主幹系統のL1相の電圧Vcuと電流Icuとの位相差は、±π/6以内になると仮定することができる。同様に、主幹系統のL2相の電圧Vcwと電流Icwとの位相差も、±π/6以内になると仮定することができる。一方、主幹系統のL1相の電圧VcuとL2相の電圧Vcwは、逆位相であり、位相差はπとなる。
従って、計測タイプがPV有(分岐)またはPV無である場合、主幹系統のL1相の電流IcuとW相の電流Icwとの位相差は、π±π/6の範囲内になると仮定することができる。これに伴い、相間位相判定値phP(C)≦0になると仮定することができる。
一方、計測タイプがPV有(直結)である場合、買電状態か売電状態かにより、電流センサ111L1および電流センサ111L2の設置位置における電力の潮流方向が反転する。従って、電流Ipuおよび電流Ipwの状態によって、電圧Vcuと電流Icuとの位相差、および、電圧Vcwと電流Icwとの位相差が大きく変化し、相間位相判定値phP(C)の正負の符号が変動する。ただし、太陽光発電システム201の発電が停止しており、発電系統の電流Ipuおよび電流Ipwが0の場合には、計測タイプがPV有(分岐)またはPV無の場合と同様に、相間位相判定値phP(C)≦0になると仮定することができる。
次に、ステップS4において、PV電流検査部321は、PV電流検査を実行する。
(PV電流検査の詳細)
ここで、図9のフローチャートを参照して、PV電流検査の詳細について説明する。
ステップS31において、PV電流検査部321は、計測タイプがPV無に設定されているか否かを判定する。計測タイプがPV無に設定されていると判定された場合、処理はステップS32に進む。
ステップS32において、PV電流検査部321は、いずれかの相のPV電流値≠0であるか否かを判定する。具体的には、PV電流検査部321は、電流検出部302により検出された電流Ipuおよび電流Ipwの実効値の少なくとも一方が所定の閾値以上である場合、いずれかの相のPV電流値≠0であると判定し、処理はステップS33に進む。
なお、この閾値は、ノイズ等による誤差を考慮して設定される。
ステップS33において、電力監視システム101は、エラー表示を行う。具体的には、計測タイプがPV無に設定されているにも関わらず、発電系統の電流Ipuや電流Ipwの実効値が0にならない場合、例えば、以下の異常が発生していることが想定される。
・計測タイプの設定が誤っている。
・入力部301Uや入力部301Wに、電流センサ111が誤って接続されている。
そこで、PV電流検査部321は、図10の計測タイプがPV無の欄に示されるようなエラー情報を生成する。
具体的には、エラー情報は、異常個所コードとメッセージデータを含み、メッセージデータは、さらにメッセージコードとメッセージを含んでいる。
異常個所コードは、電流の異常が発生している場所を示す4ビットのデータであり、各電力系統の各相の電流が、各ビットに対応づけられている。具体的には、異常個所コードの最上位のビットから順に、主幹系統のL1相の電流Icu、主幹系統のL2相の電流Icw、発電系統のU相の電流Ipu、発電系統のW相の電流Ipwが、それぞれ対応付けられている。また、電流の異常が発生している可能性がある場所に対応するビットの値が1に設定され、それ以外のビットの値が0に設定される。
メッセージコードは、発生しているエラーの種類を所定の2桁の数値により表す。メッセージは、発生しているエラーの現象、原因、対処方法等を具体的に示す。
例えば、電流Ipuの実効値が0でない場合、計測タイプの設定に誤りがあるか、入力部301Uに電流センサ111が誤接続されている可能性がある。従って、異常個所コードは、電流Ipuに対応するビットを1にした「0010」に設定される。また、メッセージコードは、所定の「01」に設定される。さらに、メッセージには、PV電流の値が0でないこと、並びに、電流センサ111のケーブルの配線、または、計測タイプの設定に誤りがある可能性があることを示す内容が設定される。
なお、電流Ipwの実効値が0でない場合、または、電流Ipuおよび電流Ipwの実効値が0でない場合には、メッセージデータは同内容で、異常個所コードのみが変更される。
そして、PV電流検査部321は、設定したエラー情報を、入出力部308を介して、PC113に供給する。PC113は、取得したエラー情報を表示する。
その後、PV電流検査は終了する。
一方、ステップS32において、いずれの相のPV電流値も0であると判定された場合、ステップS33の処理はスキップされ、エラーは検出されずに、PV電流検査が終了する。
また、ステップS31において、計測タイプがPV有に設定されていると判定された場合、処理はステップS34に進む。
ステップS34において、PV電流検査部321は、いずれかの相のPV電流値=0であるか否かを判定する。具体的には、PV電流検査部321は、電流検出部302により検出された電流Ipuおよび電流Ipwの実効値の少なくとも一方が、上述した閾値未満である場合、いずれかの相のPV電流値=0であると判定し、処理はステップS35に進む。
ステップS35において、電力監視システム101は、エラー表示を行う。具体的には、計測タイプがPV有に設定されているにも関わらず、発電系統の電流Ipuや電流Ipwの実効値が0になる場合、例えば、入力部301Uまたは入力部301Wに、電流センサ111が正常に接続されていないことが想定される。そこで、PV電流検査部321は、図10の計測タイプがPV有の欄に示されるようなエラー情報を生成する。
例えば、電流Ipuの実効値が0である場合、電流センサ111Uが入力部301Uに正常に接続されていない可能性がある。従って、異常個所コードは、電流Ipuに対応するビットを1にした「0010」に設定される。また、メッセージコードは、所定の「02」に設定される。さらに、メッセージには、PV電流の値が0であること、並びに、電流センサ111のケーブルの配線に誤りがある可能性があり、確認が必要であることを示す内容が設定される。
なお、電流Ipwの実効値が0である場合、または、電流Ipuおよび電流Ipwの実効値が0である場合には、メッセージデータは同内容で、異常個所コードのみが変更される。
そして、PV電流検査部321は、設定したエラー情報を、入出力部308を介して、PC113に供給する。PC113は、取得したエラー情報を表示する。
その後、PV電流検査は終了する。
一方、ステップS34において、全ての相のPV電流値=0であると判定された場合、ステップS35の処理はスキップされ、エラーは検出されずに、PV電流検査が終了する。
図5に戻り、ステップS5において、主幹電流検査部322は、主幹電流検査を実行する。
(主幹電流検査の詳細)
ここで、図11のフローチャートを参照して、主幹電流検査の詳細について説明する。
ステップS51において、主幹電流検査部322は、いずれかの相の主幹電流値=0であるか否かを判定する。具体的には、主幹電流検査部322は、電流検出部302により検出された電流Icuおよび電流Icwの実効値の少なくとも一方が所定の閾値未満である場合、いずれかの相の主幹電流値=0であると判定し、処理はステップS52に進む。
なお、この閾値は、ノイズ等による誤差を考慮して設定される。
ステップS52において、電力監視システム101は、エラー表示を行う。具体的には、主幹系統の電流Icuや電流Icwの実効値が0になる場合、例えば、入力部301L1または入力部301L2に、電流センサ111が正常に接続されていないことが想定される。
例えば、電流Icuの実効値が0である場合、電流センサ111L1が入力部301L1に正常に接続されていない可能性がある。従って、異常個所コードは、電流Icuに対応するビットを1にした「1000」に設定される。また、メッセージコードは、所定の「03」に設定される。さらに、メッセージには、主幹電流の値が0であること、並びに、電流センサ111のケーブルの配線に誤りがある可能性があり、確認が必要であることを示す内容が設定される。
なお、電流Icwの実効値が0である場合、または、電流Icuおよび電流Icwの実効値が0である場合には、メッセージデータは同内容で、異常個所コードのみが変更される。
そして、PV電流検査部321は、設定したエラー情報を、入出力部308を介して、PC113に供給する。PC113は、取得したエラー情報を表示する。
その後、主幹電流検査は終了する。
一方、ステップS51において、全ての相の主幹電流値≠0であると判定された場合、ステップS52の処理はスキップされ、エラーは検出されずに、主幹電流検査が終了する。
図5に戻り、ステップS6において、主幹位相検査部323は、主幹位相検査を実行する。
(主幹位相検査の詳細)
ここで、図13のフローチャートを参照して、主幹位相検査の詳細について説明する。
ステップS71において、主幹位相検査部323は、全ての相の主幹電流値≠0であるか否かを判定する。具体的には、主幹位相検査部323は、主幹電流検査部322は、電流検出部302により検出された電流Icuおよび電流Icwの実効値が全て上述した閾値以上である場合、全ての相の主幹電流値≠0であると判定し、処理はステップS72に進む。
ステップS72において、主幹位相検査部323は、計測タイプがPV有(直結)に設定されているか否かを判定する。計測タイプがPV有(直結)に設定されていると判定された場合、処理はステップS73に進む。
ステップS73において、主幹位相検査部323は、全ての相のPV電流値=0であるか否かを判定する。具体的には、主幹位相検査部323は、電流検出部302により検出された電流Ipuおよび電流Ipwの実効値が全て上述した閾値未満である場合、全ての相のPV電流値=0であると判定し、処理はステップS74に進む。
なお、計測タイプはPV有(直結)に設定されている場合には、例えば、太陽光発電システム201の発電を停止させ、全ての相のPV電流値=0に設定してから、主幹位相検査を行うことが想定されている。
一方、ステップS72において、計測タイプがPV無またはPV有(分岐)に設定されていると判定された場合、ステップS73の処理はスキップされ、処理はステップS74に進む。
ステップS74において、主幹位相検査部323は、主幹系統の相間位相判定値phP(C)>0であるか否かを判定する。相間位相判定値phP(C)>0である、換言すれば、相間位相判定値phP(C)の符号が正であると判定された場合、処理はステップS75に進む。
ステップS75において、電力監視システム101は、エラー表示を行う。
上述したように、計測タイプがPV無もしくはPV有(分岐)に設定されている場合、または、計測タイプPV有(直結)に設定されており、かつ、電流Ipuおよび電流Ipwの実効値が0である場合、相間位相判定値phP(C)≦0になると想定される。これに対し、相間位相判定値phP(C)>0である場合、例えば、電流センサ111L1または電流センサ111L2の一方の設置方向が逆になっており、電流Icuおよび電流Icwの一方の位相が逆に検出されていることが想定される。
そこで、主幹位相検査部323は、図14に示されるようなエラー情報を生成する。具体的には、異常個所コードは、電流Icuおよび電流Icwに対応するビットを1にした「1100」に設定される。また、メッセージコードは、所定の「11」に設定される。さらに、メッセージには、電流の位相の異常が検出されており、電流センサ111の設置方向に誤りがある可能性があることを示す内容が設定される。
そして、主幹位相検査部323は、設定したエラー情報を、入出力部308を介して、PC113に供給する。PC113は、取得したエラー情報を表示する。
その後、主幹位相検査は終了する。
一方、ステップS74において、相間位相判定値phP(C)≦0であると判定された場合、エラーは検出されずに、主幹位相検査は終了する。
また、ステップS73において、いずれかの相のPV電流値≠0であると判定された場合、ステップS74およびS75の処理はスキップされ、エラー判定は行われずに、主幹位相検査は終了する。
すなわち、計測タイプがPV有(直結)である場合、上述したように、相間位相判定値phP(C)の正負の符号は、電流Ipuおよび電流Ipwの状態によって変動する。従って、電流Ipuまたは電流Ipwのうち少なくとも一方が0でない場合、主幹位相検査の検査結果の信頼性が低下するため、エラー判定は行われない。
さらに、ステップS71において、いずれかの相の主幹電流値=0であると判定された場合、相間位相判定値phP(C)の信頼性が低下し、検査結果の信頼性が低下するため、ステップS72乃至S75の処理はスキップされ、エラー判定は行われずに、主幹位相検査は終了する。
図5に戻り、ステップS7において、系統間位相検査部324は、系統間位相検査を行う。
(系統間位相検査の詳細)
ここで、図15のフローチャートを参照して、系統間位相検査の詳細について説明する。
ステップS91において、系統間位相検査部324は、計測タイプがPV有(分岐)に設定されているか否かを判定する。計測タイプがPV有(分岐)に設定されていると判定された場合、処理はステップS92に進む。
ステップS92において、系統間位相検査部324は、全ての相のPV電流値≧規定値であるか否かを判定する。具体的には、系統間位相検査部324は、PV電流検査部321は、電流検出部302により検出された電流Ipuおよび電流Ipwの実効値の全てが規定値以上である場合、全ての相のPV電流値≧規定値であると判定し、処理はステップS93に進む。
なお、この規定値は、例えば、系統間位相判定値の正負の符号を固定するか否かの判定に用いた規定値と同じ値に設定される。
ステップS93において、系統間位相検査部324は、いずれかの相の系統間位相判定値<0であるか否かを判定する。系統間位相検査部324は、系統間位相判定値phS(U)またはphS(W)の少なくとも一方が0未満である、換言すれば、系統間位相判定値phS(U)またはphS(W)の少なくとも一方の符号が負である場合、いずれかの相の系統間位相判定値<0であると判定し、処理はステップS94に進む。
ステップS94において、電力監視システム101は、エラー表示を行う。具体的には、上述したように、計測タイプがPV有(分岐)である場合、系統間位相判定値phS(U)≧0、かつ、系統間位相判定値phS(W)≧0になると想定される。これに対し、系統間位相判定値phS(U)<0である場合、例えば、電流センサ111Uまたは電流センサ111L1の一方の設置方向が逆になっており、電流Ipuおよび電流Icuの一方の位相が逆に検出されていることが想定される。また、系統間位相判定値phS(W)<0である場合、例えば、電流センサ111Wまたは電流センサ111L2の一方の設置方向が逆になっており、電流Ipwおよび電流Icwの一方の位相が逆に検出されていることが想定される。
そこで、系統間位相検査部324は、図16に示されるようなエラー情報を生成する。例えば、系統間位相判定値phS(U)<0である場合、異常個所コードは、電流Ipuおよび電流Icuに対応するビットを1にした「1010」に設定される。また、メッセージコードは、所定の「11」に設定される。さらに、メッセージには、電流の位相の異常が検出されており、電流センサ111の設置方向に誤りがある可能性があることを示す内容が設定される。
なお、系統間位相判定値phS(W)<0である場合、メッセージデータは同内容で、異常個所コードのみが変更される。
そして、系統間位相検査部324は、設定したエラー情報を、入出力部308を介して、PC113に供給する。PC113は、取得したエラー情報を表示する。
その後、系統間位相検査は終了する。
一方、ステップS93において、全ての相の系統間位相判定値≦0であると判定された場合、ステップS94の処理はスキップされ、エラーは検出されずに、系統間位相検査は終了する。
また、ステップS92において、いずれかの相のPV電流値<規定値であると判定された場合、系統間位相判定値の信頼性が低下し、検査結果の信頼性が低下するため、ステップS93およびS94の処理はスキップされ、エラー判定は行われずに、系統間位相検査は終了する。
また、ステップS91において、計測タイプがPV有(分岐)に設定されていないと判定された場合、ステップS92乃至S94の処理はスキップされ、エラー判定は行われずに、系統間位相検査は終了する。
図5に戻り、ステップS8において、PV位相検査部325は、PV位相検査を行う。
(PV位相検査の詳細)
ここで、図17のフローチャートを参照して、PV位相検査の詳細について説明する。
ステップS111において、PV位相検査部325は、計測タイプがPV有に設定されているか否かを判定する。計測タイプがPV有に設定されていると判定された場合、処理はステップS112に進む。
ステップS112において、PV位相検査部325は、図15のステップS92の処理と同様に、全ての相のPV電流値≧規定値であるか否かを判定する。全ての相のPV電流値≧規定値であると判定された場合、処理はステップS113に進む。
ステップS113において、PV位相検査部325は、発電系統の相間位相判定値phP(P)>0であるか否かを判定する。相間位相判定値phP(P)>0であると判定された場合、換言すれば、相間位相判定値phP(P)の符号が正であると判定された場合、処理はステップS114に進む。
ステップS114において、電力監視システム101は、エラー表示を行う。具体的には、上述したように相間位相判定値phP(P)≦0になると想定されるのに対し、相間位相判定値phP(P)>0である場合、例えば、電流センサ111Uまたは電流センサ111Wの一方の設置方向が逆になっており、電流Ipuおよび電流Ipwの一方の位相が逆に検出されていることが想定される。
そこで、PV位相検査部325は、図18に示されるようなエラー情報を生成する。具体的には、異常個所コードは、電流Ipuおよび電流Ipwに対応するビットを1にした「0011」に設定される。また、メッセージコードは、所定の「11」に設定される。さらに、メッセージには、電流の位相の異常が検出されており、電流センサ111の設置方向に誤りがある可能性があることを示す内容が設定される。
そして、PV位相検査部325は、設定したエラー情報を、入出力部308を介して、PC113に供給する。PC113は、取得したエラー情報を表示する。
その後、PV位相検査は終了する。
一方、ステップS113において、発電系統の相間位相判定値phP(P)≦0であると判定された場合、ステップS114の処理はスキップされ、エラーは検出されずに、PV位相検査は終了する。
また、ステップS112において、いずれかの相のPV電流値<規定値であると判定された場合、相間位相判定値phP(P)の信頼性が低下し、検査結果の信頼性が低下するため、ステップS113およびS114の処理はスキップされ、エラー判定は行われずに、PV位相検査は終了する。
また、ステップS111において、計測タイプがPV有に設定されていないと判定された場合、ステップS112乃至S114の処理はスキップされ、エラー判定は行われずに、PV位相検査は終了する。
図5に戻り、ステップS9において、電力比較検査部326は、ステップS6乃至S8の主幹位相検査、系統間位相検査、PV位相検査のいずれかでエラーが検出されたか否かを判定する。主幹位相検査、系統間位相検査、PV位相検査のいずれかでエラーが検出されなかったと判定された場合、処理はステップS10に進む。
ステップS10において、電力比較検査部326は、電力比較検査を行い、設置検査は終了する。
(電力比較検査の詳細)
ここで、図19のフローチャートを参照して、電力比較検査の詳細について説明する。
ステップS131において、電力比較検査部326は、計測タイプがPV有に設定されているか否かを判定する。計測タイプがPV有に設定されていると判定された場合、処理はステップS132に進む。
ステップS132において、電力比較検査部326は、発電電力と売電電力の大小関係を比較する。具体的には、電力比較検査部326は、電流Ipu、電流Ipw、電流Icu、および、電流Icwの実効値の検出結果を電流検出部302から取得する。そして、電力比較検査部326は、設定されている計測タイプ毎に、以下の方法により、発電電力と売電電力の大小関係を比較する。
まず、計測タイプがPV有(直結)に設定されている場合について説明する。
電力比較検査部326は、系統間位相判定値phS(U)<0である場合、すなわち、商用系統のL1相が売電状態であると想定される場合、発電系統の電流Ipuと主幹系統の電流Icuの実効値を比較する。そして、電力比較検査部326は、電流Ipuの実効値<電流Icuの実効値である場合、L1相の売電電力がU相の発電電力より大きいと判定する。一方、電力比較検査部326は、電流Ipuの実効値≧電流Icuの実効値である場合、L1相の売電電力がU相の発電電力以下であると判定する。また、電力比較検査部326は、系統間位相判定値phS(U)≧0である場合、すなわち、商用系統のL1相が買電状態であると想定される場合、L1相の売電電力は0であり、L1相の売電電力はU相の発電電力以下であると判定する。
電力比較検査部326は、L2相の売電電力とW相の発電電力の大小関係についても、同様の方法により比較する。
次に、計測タイプがPV有(分岐)に設定されている場合について説明する。
電力比較検査部326は、発電系統の電流Ipuの実効値から主幹系統の電流Icuの実効値を引いた値を、L1相の売電電力に係る電流の実効値として算出する。そして、電力比較検査部326は、電流Ipuの実効値と、L1相の売電電力に係る電流の実効値を比較する。しかし、常に電流Ipuの実効値>L1相の売電電力に係る電流となるため、L1相の売電電力はU相の発電電力以下であると判定される。同様に、L2相の売電電力も、常にW相の発電電力以下であると判定される。
ステップS133において、電力比較検査部326は、ステップS132の処理の結果に基づいて、いずれかの相で発電電力<売電電力であるか否かを判定する。いずれかの相で発電電力<売電電力であると判定された場合、処理はステップS134に進む。
ステップS134において、電力監視システム101は、エラー表示を行う。具体的には、L1相の売電電力がU相の発電電力以下になることが想定されるのに対し、L1相の売電電力がU相の発電電力より大きくなる場合、例えば、以下の異常が発生していることが想定される。
・電流センサ111Uおよび電流センサ111L1の設置方向は正しいが、電流センサ111Uが入力部301L1に接続され、電流センサ111L1が入力部301Uに接続されている。
・電流センサ111Uまたは電流センサ111L1の一方の設置方向が逆になっており、電流Ipuおよび電流Icuの一方の位相が逆に検出されている。
また、L2相の売電電力がW相の発電電力より大きくなる場合も同様に、例えば、以下の異常が発生していることが想定される。
・電流センサ111Wおよび電流センサ111L2の設置方向は正しいが、電流センサ111Wが入力部301L2に接続され、電流センサ111L2が入力部301Wに接続されている。
・電流センサ111Wまたは電流センサ111L2の一方の設置方向が逆になっており、電流Ipwおよび電流Icwの一方の位相が逆に検出されている。
そこで、電力比較検査部326は、図20に示されるようなエラー情報を生成する。例えば、U相の発電電力<L1相の売電電力である場合、異常個所コードは、電流Ipuおよび電流Ipwに対応するビットを1にした「1010」に設定される。また、メッセージコードは、所定の「21」に設定される。さらに、メッセージには、発電電力が売電電力より小さい状態が発生しており、ケーブルの配線または電流センサ111の設置方向が誤っている可能性があることを示す内容が設定される。
なお、W相の発電電流<L2相の販売電流である場合、メッセージデータは同内容で、異常個所コードのみが変更される。
そして、電力比較検査部326は、設定したエラー情報を、入出力部308を介して、PC113に供給する。PC113は、取得したエラー情報を表示する。
その後、電力比較検査は終了する。
一方、ステップS133において、全ての相で発電電力≧売電電力であると判定された場合、ステップS134の処理はスキップされ、エラーは検出されずに、電力比較検査は終了する。
また、ステップS131において、計測タイプがPV無に設定されていると判定された場合、ステップS132乃至S134の処理はスキップされ、電力比較検査は終了する。
以上のようにして、電圧の計測結果を用いずに、各電流センサ111により計測された電流のみを用いて、簡単に電流センサ111の設置状態の異常を検出することができる。
次に、図21のフローチャートを参照して、電力監視システム101により実行される電力監視処理について説明する。なお、この処理は、例えば、電力監視システム101の電源がオンされたときに開始され、オフされたときに終了する。
ステップS201において、電力監視システム101は、各部の電流を検出する。具体的には、電流検出部302は、電流センサ111L1乃至111Wにより計測される各部の電流の瞬時値を所定のサンプリング周期でサンプリングする。また、電流検出部302は、サンプリングした各部の電流の瞬時値に基づいて、各部の電流の実効値等を算出する。そして、電流検出部302は、各部の電流の瞬時値を示す情報を判定値算出部303に供給する。また、電流検出部302は、各部の電流の実効値を示す情報を電力算出部304に供給する。
ステップS202において、判定値算出部303は、図5のステップS2の処理と同様に、系統間位相判定値phS(U)およびphS(W)を算出する。そして、判定値算出部303は、系統間位相判定値phS(U)およびphS(W)を示す情報を電力算出部304に供給する。
ステップS203において、電力算出部304は、各部の電力を算出する。以下、各部の電力の算出方法の具体例を、計測タイプ毎に説明する。
(計測タイプがPV有(直結)の場合)
まず、計測タイプがPV有(直結)に設定されている場合について説明する。
U相の発電電力PpuおよびW相の発電電力Ppwは、次式(5)および(6)により算出される。
Ppu=VRpu×IRpu×PFpu ・・・(5)
Ppw=VRpw×IRpw×PFpw ・・・(6)
なお、VRpuおよびVRpwは、それぞれ発電系統の電圧Vpuおよび電圧Vpwの実効値を示し、例えば、太陽光発電システム201の出力電圧の公称値が用いられる。なお、太陽光発電システム201から電圧Vpuおよび電圧Vpwの実効値の計測値を取得して用いるようにしてもよい。また、IRpuおよびIRpwは、それぞれ発電系統の電流Ipuおよび電流Ipwの実効値を示し、電流検出部302により算出される。さらに、PFpuおよびPFpwは、それぞれ発電系統のU相およびW相の力率を表し、例えば、実験結果、実際の計測結果、または、理論式等に基づいて設定される定数である。
また、系統間位相判定値phS(U)≧0の場合、L1相が買電状態であると判定され、L1相の買電電力Pcbu、売電電力Pcsu、および、負荷電力Pluは、次式(7)乃至(9)により算出される。
Pcbu=VRcu×IRcu×PFc ・・・(7)
Pcsu=0 ・・・(8)
Plu=VRcu×(IRpu+IRcu)×PFl ・・・(9)
なお、VRcuは、主幹系統の電圧Vcuの実効値を示し、例えば、商用系統の公称電圧が用いられる。なお、太陽光発電システム201の出力電圧が、商用系統の電圧と等しくなるように制御されるため、太陽光発電システム201から電圧Vpuの実効値の計測値を取得し、電圧VRcuとして用いるようにしてもよい。また、IRcuは、発電系統の電流Icuの実効値を示し、電流検出部302により算出される。さらに、PFcは、商用系統の力率を表し、例えば、実験結果、実際の計測結果、または、理論式等に基づいて設定される定数である。また、PFlは、負荷系統の力率を表し、例えば、実験結果、実際の計測結果、または、理論式等に基づいて設定される定数である。
一方、系統間位相判定値phS(U)<0の場合、L1相が売電状態であると判定され、L1相の買電電力Pcbu、売電電力Pcsu、および、負荷電力Pluは、次式(10)乃至(12)により算出される。
Pcbu=0 ・・・(10)
Pcsu=VRcu×IRcu×PFc ・・・(11)
Plu=VRcu×(IRpu−IRcu)×PFl ・・・(12)
なお、L2相の買電電力Pcbw、売電電力Pcsw、および、負荷電力Plwについても、L1相と同様の式により算出される。
(計測タイプがPV有(分岐)の場合)
次に、計測タイプがPV有(分岐)に設定されている場合について説明する。
発電電力Ppuおよび発電電力Ppwについては、計測タイプがPV有(直結)に設定されている場合と同様に、上述した式(5)および(6)により算出される。
また、主幹系統の実効電流値IRcu≧発電系統の実効電流値IRpuである場合、L1相が買電状態であると判定され、L1相の買電電力Pcbu、売電電力Pcsu、および、負荷電力Pluは、次式(13)乃至(15)により算出される。
Pcbu=VRcu×(IRcu−IRpu)×PFc ・・・(13)
Pcsu=0 ・・・(14)
Plu=VRcu×IRcu×PFl ・・・(15)
一方、主幹系統の実効電流値IRcu<発電系統の実効電流値IRpuである場合、L1相が売電状態であると判定され、L1相の買電電力Pcbu、売電電力Pcsu、および、負荷電力Pluは、次式(16)乃至(18)により算出される。
Pcbu=0 ・・・(16)
Pcsu=VRcu×(IRpu−IRcu)×PFc ・・・(17)
Plu=VRcu×IRcu×PFl ・・・(18)
なお、式(15)と式(18)は同じ式である。すなわち、買電状態および売電状態のいずれの状態においても、負荷電力Pluは同じ式により算出される。
なお、L2相の買電電力Pcbw、売電電力Pcsw、および、負荷電力Plwについても、L1相と同様の式により算出される。
(計測タイプがPV無の場合)
次に、計測タイプがPV無に設定されている場合について説明する。
計測タイプがPV無に設定されている場合、負荷電力(=買電電力)のみ算出される。具体的には、L1相の負荷電力Pluは、次式(19)により算出される。
Plu=VRcu×IRcu×PFl ・・・(19)
なお、L2相の負荷電力Plwについても、L1相と同様の式により算出される。
そして、電力算出部304は、各部の電力の算出結果を通信部305に供給する。
ステップS204において、通信部305は、各部の電力の状態を通知する。具体的には、通信部305は、算出された各部の電力、並びに、買電状態または売電状態のいずれの状態であるかを含む電力状態情報を外部の装置に送信する。
送信先の外部の装置は、例えば、受信した情報を蓄積したり、受信した情報に基づいて電力の使用状況等の解析を行ったりする。
なお、主幹電流およびPV電流の検出値を電力状態情報に含めるようにしてもよい。また、必ずしも以上に述べた全ての情報を送信する必要はなく、例えば、送信先の装置の必要性に応じて、送信する情報を選択するようにしてもよい。
さらに、電力状態情報の送信は、必ずしも電力監視処理のループ処理で毎回行う必要はなく、例えば、所定の期間毎、あるいは、情報の蓄積量が所定量を超えたときなど、所定のタイミングで行うようにすればよい。あるいは、外部の装置からの要求に応じて、電力状態情報を送信するようにしてもよい。
その後、処理はステップS201に戻り、ステップS201以降の処理が実行される。
<2.変形例>
以上の説明では、本発明を単相3線式の電力系統に適用する場合について説明したが、本発明は、単相2線式の電力系統にも適用することも可能である。例えば、図5の設置検査のうち、相間位相判定値の算出、並びに、相間位相判定値を用いる主幹位相検査およびPV位相検査以外の処理は、本発明を単相2線式の電力系統に適用する場合にも実行することが可能である。また、例えば、図21の電力監視処理も、本発明を単相2線式の電力系統に適用する場合にも実行することが可能である。
また、以上の説明では、系統間位相判定値を算出する際に、式(1)および式(2)に示されるように、各電流のサンプリング値の乗算値を1周期の間積算する例を示したが、n周期(ただし、nは2以上の自然数)の間積算するようにしてもよい。同様に、系統間位相判定値を算出する際も、各電流のサンプリング値の乗算値をn周期(ただし、nは2以上の自然数)の間積算するようにしてもよい。
さらに、アナログ回路等により、各電流の検出が連続して行われる場合、例えば、各電流の乗算値をn周期分(ただし、nは自然数)積分した値を、系統間位相判定値や相間位相判定値に用いるようにしてもよい。
また、例えば、PV電流が正のピークに達する時間におけるPV電流の瞬時値と主幹電流の瞬時値の乗算値を、系統間位相判定値として算出するようにしてもよい。あるいは、例えば、PV電流が負のピークに達する時間におけるPV電流の瞬時値と主幹電流の瞬時値の乗算値を、系統間位相判定値として算出するようにしてもよい。これは、負荷が容量性負荷主体であり、PV電流が短時間の鋭いピークが現れるパルス状の波形となる場合に特に有効である。
さらに、例えば、サンプリング間隔が短いなどの理由により、PV電流と主幹電流を同時に検出できない場合、異なる周期において検出されたPV電流と主幹電流を用いて系統間位相判定値を算出するようにしてもよい。例えば、PV電流の瞬時値とn周期遅れ(ただし、nは自然数)の主幹電流の瞬時値の乗算値を用いて、系統間位相判定値を算出するようにしてもよい。これは、各相のPV電流または主幹電流を同時に検出できない場合に、相間位相判定値を算出するときにも適用することが可能である。
また、系統間位相判定値の正負の符号は、電流センサ111の設置方向のルールによって、上述した例と逆になる場合がある。
さらに、本発明の実施の形態では、太陽光発電以外にも、例えば、風力発電、ディーゼル発電、燃料電池等、任意の方式の自家発電装置を採用することができる。
また、本発明は、一般の家庭以外にも、例えば、ビル、工場、商業施設、公共施設等の自家発電装置を備えた各種の施設の電力系統に適用することが可能である。
さらに、本発明は、例えば、電力の監視機能を搭載せずに、電流センサ111の設置状態を検査する検査装置にも適用することができる。
[コンピュータの構成例]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。
また、例えば、上述した設置検査の処理を、PC113により実行させることも可能である。この場合、例えば、PV電流および主幹電流の瞬時値、並びに、その位相情報(あるいは、検出時刻)を含む情報を、スマートセンサ112からPC113に供給し、その情報を用いて、スマートセンサ112と同様の処理をPC113で行うようにすればよい。あるいは、例えば、スマートセンサ1112が、PV電流および主幹電流の実効値、並びに、系統間位相判定値および相間位相判定値を算出し、それらの情報をスマートセンサ112からPC113に供給し、その情報を用いて、スマートセンサ112と同様の処理をPC113で行うようにしてもよい。
なお、一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ(例えば、PC113)などが含まれる。
図22は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)501,ROM(Read Only Memory)502,RAM(Random Access Memory)503は、バス504により相互に接続されている。
バス504には、さらに、入出力インタフェース505が接続されている。入出力インタフェース505には、入力部506、出力部507、記憶部508、通信部509、及びドライブ510が接続されている。
入力部506は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部507は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部508は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部509は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ510は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア511を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU501が、例えば、記憶部508に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース505及びバス504を介して、RAM503にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ(CPU501)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア511に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア511をドライブ510に装着することにより、入出力インタフェース505を介して、記憶部508にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部509で受信し、記憶部508にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM502や記憶部508に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
さらに、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。